专利摘要:

公开号:WO1991014359A1
申请号:PCT/JP1991/000382
申请日:1991-03-25
公开日:1991-10-03
发明作者:Noboru Onishi;Kunihiro Hayashida;Kanji Mamiya
申请人:Kirin Beer Kabushiki Kaisha;
IPC主号:A01H4-00
专利说明:
[0001] 明 細
[0002] 塊茎の生産方法
[0003] 〔産業上の利用分野〕
[0004] 本発明は、 ソラナム属植物の塊茎の生産方法に関す る
[0005] 〔従来の技術〕
[0006] 現在、 世界のバレイショ生産は、 主にその栄養繁殖 性を利用して行われている。 すなわち、 栄養繁殖器官 である塊茎、 いわゆる芋を植え付けると、 植物体の生 育に伴って地下部の節 (腋芽) からス トロン (側技の 一種であるが地上部の側技が背地性及び主茎と同様の 形態を示すのに対し、 ス トロ ンは斜向性一地中を水平 方向、 又は斜下方に伸長する一であり明瞭な葉を持た ない) が発生し、 その先端部が肥大して、 再び塊茎が 得られる。 これらを次世代の種芋として、 又は食用、 加工に利用するのである。 通常、 1株から 10個程度の 塊茎が再生産される。
[0007] このように栄養繁殖を行うバレイショでは、 世界的 に主にアブラムシが媒介する各種ウイルス病が極めて 重大な病害として問題となっている。 つま り、 イネ、 ムギ、 トウモロコシで代表される種子繁殖性の作物は、 たとえ植物体がウィルス病に罹病しても、 その植物体 上に受精によつて形成される種子には大半のウィルス は移行しないため、 次代への影響がそれ程大き く ない のに対し、 バレイショは上述のように主に受精を伴わ ない塊茎で繁殖するため、 一旦ウィルスに感染すると 世代を越えて体内でウィルスが増殖し、 収穫に極めて 重大な被害をもたらすのである。 そのようなバレイシ ョに感染したウィルスを、 通常の自然条件では植物体 内より除去することはほとんど不可能であるため、 現 在はウィルス病の害を柽減するのに、 できるだけウイ ルスに感染させない栽培体系が世界的に用いられてい る。 その基本となるのは、 ウィルスフ リーの種芋の供 耠である。 すなわち、 ノ《レイショ栽培において、 どの 様なウィルス防除体制をとつたとしても、 植え付ける 種芋が汚染されていれば上述の理由からその努力は無 意味となるからである。
[0008] この 「ウィルスフ リー」 の種芋の供給は、 各地で多 少の差異はあるものの、 概ね次の方法で行われている。
[0009] (1)生長点培養によるウィルスフ リー個体の作出、 (2)ゥ ィルスフ リ ー個体の馴化、 鉢植えによる小塊茎の作製、 (3)それら小塊茎の温室での栽培、 塊茎の収穫、 (4)得ら れた塊茎の圃場での栽培、 再収穫、 (5)必要量に応じた 圃場での栽培の継続 (3 - 5回) 。 このように現在世 界のウィルスフ リ一の種芋生産は行われているわけで あるが、 この方法は圃場でのウィルス再感染の危険性 を有する為、 その完全な実施には高度の栽培技術及び 検疫体制が不可欠であり、 より簡易かつ安全な方法が 求められている。
[0010] その方法の一つとして、 組織培養による無菌条件下 で作製した塊茎の利用が各方面で検討されている。 す なわち、 生長点培養で得られたウィルスフ リ ー個体を、 温室、 圃場等に出すことなく、 インビトロ(i v v i tro) のまま塊茎を作製し、 それらを直接種芋として、 又は その塊茎を 1 〜 2度圃場で栽培し、 それで得られた芋 を種芋として用いるのである。 それら無菌条件で形成 される塊茎は、 従来の方法においてはその大きさが、 普通の塊茎 (tuber, チュ-バ-, 50〜300g) に比して著し く小さい (大半 1 g 以下、 直径 5〜10隨) ため、 マイ クロチューバ一 (mi cro t uber) とも呼ばれている。
[0011] これら塊茎は次のような利点を有する。 (1)塊茎はゥ ィルスフ リ ー植物体から無菌条件で作られるため、 ゥ ィルスをはじめ完全に無病である。 (2)塊茎は組織培養 条件下で作製されるため、 自然条件に量及び質が左右 されず年中生産可能である。 (3)塊茎は種芋に直接なり うる、 又は 1 〜 2度の圃場での栽培で種芋を生産しう る可能性を持つので、 ウィルスの再感染、 他の病害の 罹病の危険性がない、 又は従来法に比してより小さい。
[0012] (4)塊茎はサイズが小さいため、 大量の数の輸送でも簡 易に行いうる。
[0013] このような利点を有する無菌条件下で作製される塊 茎は、 一般に次のように大き く 2つの工程に分けられ る培養法によって作製される (Estrada ら、 1986. P1 ant Cell Tiss. Org. Cult.7:3-10 、 Wang P.J. and C. Y. Hu.1982. Am. Potato J.59:33 - 37、 Rosellら、 1987. Potato Research 30:111-116^ Hussey G, and N. J. Stacey. 1984. Ann. Bot. 53: 565-578)。
[0014] 茎葉増殖工程…本工程は、 後の塊茎形成に必要とな る腋芽、 すなわち各節に含まれる芽を増やすため、 バ レイショの茎葉自体を生長させる工程である。 このェ 程は、 通常植物組織培養に使用される基本培地に、 炭 素源として 1〜 3 %のショ糖、 更に場合によっては低 濃度の植物ホルモンを加え、 寒天又は液体条件下、 一 定の日長の光照射下で行われる。 この条件で植え付け られた少なく とも 1個の芽を有する植物片は、 自然条 件下の地上部の生長と同様の形態を相似的に小さ く し た形で生長する。 発根も伴うが、 通常この条件では塊 茎の形成はない。 培養温度は 20〜25でである。 培養期 間は通常 3〜 5週間である。
[0015] 塊茎形成工程…茎葉増殖工程で生長した茎葉を、 茎 葉増殖工程より高いショ糖 (5〜10%) を含有する、 場合によっては更にサイ トカイニン等の植物ホルモン や矮化剤を加えた上記基本培地に移植する。 また、 茎 葉増殖工程が液体で行われた場合は、 同成分の培地で 交換することも行われている。 温度は 15〜25' (:、 一般 に暗条件、 場合によって 100〜5001uxの低照度又は短 日条件が用いられる。 培養期間は通常 4〜 8週間であ る。 これらの操作によって茎葉に含まれる腋芽に直接、 又はそれらから伸長した茎に主に塊茎が形成される。
[0016] しかし、 従来の方法は塊茎の誘導効率が低く、 また 手法自体が大量の塊茎作製に適しておらず、 結果的に 塊茎作製のコス トが高く、 実用化技術とはなっていな い。 これら従来技術は遺伝子源の保存、 遺伝子源の配 布に用いられているに過ぎなかった。
[0017] 近年、 その欠点を改良する試みがなされている (特 願昭 63- 500104号(国際公開番号 W088/04136)、 Aki ta M. and S. Takayama. 1988. Acta Hor t i cu l t . 230 : 55- 61 )。 その改良法においては、 塊茎の大半が培地と気 相部の境界面付近にしか形成されないため、 長く伸長 した植物体に効率的に塊茎を誘導するには、 塊茎形成 工程で培地面を徐々に下げていく必要がある。 そのた めにここで用いられている方法は、 植物体を増殖後、 その大部分を没するように塊茎形成用培地を入れ、 境 界面付近に塊茎が形成され始めた時点で、 培地を人為 的にぬき、 更に下げた培地面付近で塊茎が形成された 後これらの操作を繰り返していく方法や、 多量の空気 (0. 8〜2. 2vvm) を液相部に通気し、 培地を強制的に蒸 発させ、 培地面を徐々に下げる方法である。
[0018] これら方法では、 用いた培地の大半が主に塊茎の誘 導にのみ使用され、 その肥大にはあまり利用されてい ない。 すなわち、 添加した養分、 炭素源を十分利用し ていないことになり、 一層の製造コス トの削減が難し い。 また、 特に培地を徐々に人為的に除去していく方 法は多く の操作を要し、 コンタ ミネーシヨ ンの危険も 増す。 また、 塊茎が主に形成される腋芽は、 茎葉増殖 工程で気相中に形成したものが殆んどであり、 培地中 に形成された茎葉は殆ど利用されない。 更に、 我々の 検討では、 培地境界面付近に作製された塊茎は、 品種 によっては皮目肥大、 又は、 表皮の損傷が著しく、 貯 蔵及び圃場栽培には不向きであった。
[0019] 〔発明が解決しょう とする課題〕
[0020] 本発明の目的は、 上記従来技術の問題点を解消した、 改良された塊茎の生産方法の提供である。 更に具体的 には、 貯蔵性及び栽培性に優れた塊茎を大量かつ容易 に生産する方法の提供である。
[0021] 〔課題を解決するための手段〕
[0022] 本発明者らは、 上記目的を達するべく研究を進めた 結果、 意外はも茎葉増殖工程の明期での炭酸ガス施用 が、 (1)従来ではス ト口ンの誘導が認められなかった培 養条件においても、 ス トロンを旺盛に誘導、 増殖する こと、 (2)従来のス トロン誘導条件において、 より肥厚 したス トロンをより効率的に誘導、 増殖しうること、 (3)長日かつ暗期の低温条件下でス ト口ンをより旺盛に 誘導、 増殖すること、 (4)それら炭酸ガス施用下におい て液相部に伸長したス トロン及び茎葉を、 塊茎形成ェ 程で気相部に露出することによって、 露出されたス ト ロン及び茎に、 短時間に同調的に、 著しく高率で塊茎 が成形されることを見い出した。 また、 意外にも、 塊 茎形成工程において、 培養槽気相部への直接の通気条 件下での培養が、 ス トロ ンの有無及び茎葉の気相部へ の露出に関係なく、 (5)塊茎を培地境界面付近だ でな く培地面から離れた気相中に多数形成せしめ、 結果的 に塊茎の形成効率、 質を改善することを見出した。 さ らに、 (6)前述 (4)及び (5)の組合せにより、 量的、 質的に 優れた塊茎生産が可能であることを見い出し、 上記各 知見に基づいて本発明を完成するに至った。
[0023] これまでにも、 炭酸ガスを施用した培養法はいくつ か報告がある (特開平い 285117号、 特開平 1-304826号、 特開平 2-16921号、 Lakso ら、 1986. J. Amer. Soc. Hort. Sci. Ill :634-638 、 Kozai T. and Y. Iwanami.1988. J. Japan, Soc. Hort. Sci.57:279 - 288)0 しかし、 これらい ずれの方法においても、 その目的は、 従来の従属栄養 的生長を行っている培養植物体を光独立的生長に移行 させるこ とによって、 植物の生長を早め、 発根を促進 し、 更には馴化時の活着率を向上せしめることであり、 炭酸ガスも培養環境下での光合成を最適にするために 用いられている。 すなわち、 その目的においては、 培 養植物体は、 自然条件下の植物体と同一の形態、 性質 を持つことが望まれているのであり、 炭酸ガス施用に よって、 自然条件では認められないような新規な植物 体の形態を誘導し、 それらを利用することは報告され ておらず、 又、 考えられてもいなかった。
[0024] バレイショにおいても炭酸ガスの施用下での培養の 報告はあるが (Kozai ら 1988. Acta Horticult.230:12 1-127、 古在ら 園学雑 58別 1 ' 89 p.244〜245)、 '塊茎 形成に利用した例はない。 それら報告の目的は前述の 例と同じであり、 光独立的生長性の付与による自然条 件下に容易に馴化可能な、 自然条件の地上部と同じ形 態の培養植物体の育成が考えられている。 すなわちこ の方法においては、 ス トロンの誘導、 増殖及びそれら からの塊茎の形成は観察されておらず、 その可能性も 示唆されていない。 また、 それらの報告で用いられて いる炭酸ガス濃度は、 一定の培養条件下での植物体の 光合成を最適にすることを目的に設定されており、 そ の濃度は主に lOOOppm (0.1%) 以下の比較的低い値が 例示されている。
[0025] また根系 (Artecaら、 1979. Science 205:1279-1280) や通常の塊茎そのもの(D. R. Paterson 1975. J. Amer. Soc. Hort. Sci. 100:431-434)に対する炭酸ガス処理 が、 その後の地上部の生長、 ス トロンの長さ、 ス ト口 ンの発達程度、 ス トロンあたりの塊茎形成数、 塊茎収 量に促進的な影響を及ぼす報告例があるが、 それらに おいても植物体は、 茎葉の生長部と塊茎の形成部が明 らかに区別される形態を示し、 それは、 自然条件下の バレイショの形態と同一範ちゆ うに属するものと言え る。 又、 これらの報告では、 高濃度の炭酸ガス (前者 -45 後者- 80 % ) が短時間 (両者とも 12時間) 、 特定の器官 (前者- 根系、 後者- 塊茎) に施されてい
[0026] 0。
[0027] 一方、 培養条件下では、 ス トロンは、 これまでにも 主に短日条件下で形成されることが観察されてはいる が、 これらは一般に細くかつ誘導効率も低く、 また塊 茎形成能力も高く はないので、 これまで積極的に塊茎 の生産に用いられることはなかった。 また自然条件下 では一般にバレイショのスト口ン伸長を促進すると言 われる長日条件において、 培養条件下では、 これまで まれにス トロンの伸長及び塊茎の形成を観察した例 ( 前出、 Huss ey G. and Ν· J. S tacey)はあるが、 ス トロ ン を効率的に誘導、 増殖し、 それらを塊茎生産に利用し た例はない。 また暗期の低温を長日条件と結びつけた 塊茎作成の培養例もない。
[0028] ところが本発明者らは、 明期.に炭酸ガスを施用する こ とにより、 塊茎生産に効果的な植物形態を誘導可能 であることを見い出した。 すなわち自然条件下では主 に土中の根系部分にしか伸長せず、 炭酸ガスを施用し ない同一条件 (主に長日条件) の培養中にはほとんど 形成されないス トロンが、 又条件 (主に短日条件) に よっては形成される場合でも細くかつ少数であるス ト ロンがより肥厚した状態でより効率的に、 植物体の上 部から下部にわたって旺盛に分化、 発達した。 その結 果、 良好な場合にはス トロンの密集した特異な形態に なることもある (第 3図、 第 4図) 。
[0029] 更に本発明の方法で得られたそれらのス トロン及び 茎に含まれる腋芽は、 従来法で得られたものに比して、 高い塊茎形成能力を持つことも見い出された。 特に炭 酸ガス施用時に液相部に伸長し、 塊茎形成時に気相部 に露出する条件で培養されたス トロン及び茎に含まれ る腋芽から、 最も効果的 (短時間、 同調的及び高い効 率) かつ培地面からの距雜に関係なく、 気相中に塊茎 が形成された。 その様な条件下では塊茎は、 それらス トロンの先端部が直接肥大して主に形成されるが、 ス トロン及び茎の腋芽からも、 直接、 又は新たなス ト口 ンを介して塊茎が多く形成された。 その結果、 良好な 場合には、 植物体の上部から下部に至る大部分が塊茎 で覆われる、 すなわち、 自然条件下のバレイショの生 長では明らかに区別されている、 茎葉部分と塊茎の形 成部分が混在すると言う極めて特徴的な形態を示した (第 5図) 。 この現象は、 従来法の培養槽における塊 茎形成のほとんどが、 茎葉増殖工程の気相に存在した 腋芽に、 かつ塊茎形成工程の培地境界近辺で生じる点 と大き く異なっている。
[0030] 以上の様な、 本発明におけるス トロンの誘導、 増殖、 更にス トロン及び塊茎の密集形態の誘導は、 先に示し たこれまでの炭酸ガス施用を含む植物体培養方法、 並 びに塊茎形成法においては全く報告されておらず、 又、 それらから予想することも不可能であり、 塊茎形成効 率が大幅に改善された。 また本方法では、 一般に、 茎 葉増殖培地より高濃度のショ糖が用いられる塊茎誘導 用培地が、 従来法に比して少量で良く、 単位糖量あた りの塊茎形成効率も顕著に向上した。
[0031] 一方炭酸ガスを富化しない通常の空気を培養環境下 の気相部に直接通気する方法についても、 従来法はや はり光合成促進による培養植物体の生長率及び馴化後 の活着率の向上を目的としており、 植物形態の変化は 考えられていない。 また培養条件下での塊茎形成工程 に、 気相部に直接通気する方法が用いられた例はない。
[0032] ところが本発明の塊茎形成時における培養槽気相部 への直接の通気は、 自然条件下と異なる特徴的な植物 体の形態を導き、 塊茎形成効率を大き く改善する点で 予想外であった。 すなわち、 培養槽気相部に適度に通 気した場合、 添加した培地量に関係なく、 かつ培地面 をあまり低下させることなく気相中の植物体の上部か ら培地に接した間の部分に、 塊茎が多数形成されたの である。 その際、 塊茎は、 前過程の植物体生長時に伸 長した茎の腋芽に直接形成される場合もあるし、 それ ら腋芽から新たな茎又はスト口ンが本過程の間に伸長 し、 それらに形成される場合もある。 また望ましい気 相部への直接の通気方法では、 塊茎着生部の湿度が低 下し比較的乾燥した条件下で塊茎が形成される為、 従 来法より乾物割合の高いかつ皮目肥大、 表皮の損傷の 少ない良質な塊茎が得られる。
[0033] このような塊茎の形成の仕方は、 従来の培養槽を用 いた培養条件下では、 培地の境界面を人為的に大幅に 下げることなしに、 これと類似の塊茎の形成を実現す ることが出来ず、 新規な現象と言えよう。
[0034] 塊茎形成時におけるこの方法は、 用いる植物体の状 態、 すなわち茎葉増殖工程の培養方法のいかんによら ず効果的であるが (第 6図) 、 前述の炭酸ガス施用に よる塊茎生産法と組合せた際に、 最も良好な結果が得 られる (第 5図) 。
[0035] すなわち、 本発明の塊茎の生産方法は、 塊茎形成能 を有するソラナム属植物の塊茎の生産方法において、 下記請求範囲記載の通りの、
[0036] 「 1 . 培養容器内の茎葉増殖工程および塊茎形成工程を 含む工程からなる塊茎形成能を有するソラナム属植 物の塊茎の生産方法において、
[0037] (1) 該茎葉増殖工程の少なく とも一部において、 少なく とも 1個の芽を有する植物片を、 少なく とも 炭素源および無機塩を含む液体培地で、 明期の少な く とも一部に炭酸ガスを施用した条件下で培養し、 茎葉およびス トロ ンを誘導、 増殖し、
[0038] (2) 該塊茎形成工程において、 前記茎葉増殖工程 で液体培地中に形成されたス トロ ンの少なく とも一 部を気相に露出させて、 少なく とも炭素源を含む液 体培地で、 培養することを特徴とする塊茎の生産方 法
[0039] . 前記塊茎形成工程において、 気相部に通気するこ とにより該気相部の相対湿度を低下させて培養する こ とを特徴とする請求項 1記載の塊茎の生産法。. 炭酸ガスの施用濃度が、 0. 1 〜30 % (v/v) である ことを特徵とする請求項 1記載の塊茎の生産法。. 炭酸ガスの施用方法が、 炭酸ガスを 0. 1 〜30 % (v /V) に富化した空気を容器内体積に対して毎分 0. 00 01〜 1 容通気することを特徵とする請求項 1 記載の 塊茎の生産方法。
[0040] . 培養容器内の茎葉増殖工程および塊茎形成工程を 含む工程からなる塊茎形成能を有するソラナム属植 物の塊茎の生産方法において、 該塊茎形成工程にお いて、 気相部に通気するこ とにより該気相部の相対 湿度を低下させて培養することを特徴とする塊茎の 生産法。 J
[0041] を含むことを特徵とするものである。 以下、 説明の便宜上、 請求項 1記載の発明を第 1 発明、 請求項 5記載の発明を第 2発明という。
[0042] 以下に本発明を詳細に説明するが、 こ こで用いる ス ト口ンについて定義しておく。
[0043] ス トロン…以下の 3つの形態の茎をここではス ト ロンと呼ぶこ ととする (第 3図、 第 4図) 。
[0044] (1) 自然条件下で生長する植物体のス トロンに 類似した形態をとり (地上部の側技に比して節間が長 い。 先端にはフッ ク =鈞状部を持ち、 葉緑体はなく 白 色に近い、 各節の葉は痕跡程度に発達が抑制されてい る) かつ明らかな伸長方向の斜向性 (水平又は斜下方 に向かって伸長する性質) を示す。
[0045] (2) 大部分の形態は (1)のス ト口ンと同じであるが、 葉緑体を有するやや発達した葉を持ち、 時には部分的 に赤色を呈する。 伸長方向は斜向性を示す。
[0046] (3) (2)のス トロンと同じ形態であるが上方に向かつ て伸びてゆく、 培地上で、 又は、 培地上に出てもそれ 以上の葉の発達が認められない、 あるいはその発達が 極めて遅いもの。
[0047] 本発明で対象となる植物には、 ソラナム(Solanum) 属の塊茎形成能を持つ種のすべてが含まれる。 その ような植物の具体例は、 例えば、 バレイ ショ栽培種 (So lanum t uberosum) 、 S. demi ssum、 S. acau l e、 S. s t ol on i f erum、 S. phure j a等である。 これらのうちで は、 バレイショ栽培種が代表的である。
[0048] 本発明に用いる容器は、 培養槽の場合、 空気もしく は炭酸ガスを富化した空気を通気しうるものならどの ようなものでも良いが、 培地の液相部、 気相部とも通 気しうるものであることが望ま しい。 培養槽を用いな い場合は、 通気性のある通常の植物組織培養用の容器、 又はキャ ップならどのようなものでも良い。 普通、 通 気性を良く したフタをかぶせた三角フラスコ、 円筒状 の培養びん又はボリカーボネー ト製の培養容器を用い 第 1 発明は、 明期に炭酸ガスを施用し、 植物体を生 長させ、 茎葉およびス トロンを誘導、 増殖させる茎葉 増殖工程((A)工程) と、 それら植物体のス トロン及び 茎に含まれる腋芽に塊茎を形成させる塊茎形成工程 ( (B)工程) の 2つの工程を含むので、 以下別々に説明 する。 また第 2発明については、 下記(Β)工程の中に 含めて説明する。 さらに前記第 1 発明および第 2発明 以外の、 請求項 2, 3および 4記載の発明についても 下記(Α)工程 および(Β)工程の中に含めて説明する。
[0049] (Α) ェ 程
[0050] 本工程に供試する植物材料は、 無菌的に維持されて いる個体なら由来は問わないが、 通常圃場で生育中の 個体の、 又は収穫した塊茎から萌芽した芽の生長点培 養由来の植物体が用いられ、 ウィルスその他の病害に 完全にフ リーであることが望ま しい。 本工程では、 少 なく とも 1個の芽を有するその植物片であれば根は必 ずしも必要ではないが、 望ましく は数個の芽及び根を 有する小植物体を植え付け材料として用いるのが良い。 植え付け数は、 培地 1 リ ッ トル当たり 1〜50ケが用い られる。 また、 該植物体又は植物片は、 ス トロンが形 成されていないものであってもよいが、 望ましく は既 にス トロンが形成されているものが良い。 なぜならス ト口ンを有しない植物片を材料として用いた場合には、 それまでに存在しなかったス トロンを 「誘導」 するま でに一定時間を要し、 その後それらス トロン及び茎葉 からの旺盛なス トロンの 「増殖」 が生じるのに对し、 ス トロ ンを有する材料の場合には、 既にス トロ ンの 「誘導」 は起こっている為、 置床後すぐにス トロ ンの 「増殖」 が始まり培養時間の効率的な利用が可能だか らである。 更に、 本工程の植え付け材料として、 ス ト ロン又は、 少なく とも 1個の芽を有するス トロンの一 部を用いても良いことは言うまでもない。 本工程によ り、 茎葉およびス トロンが誘導、 増殖され、 更にそれ らの塊茎形成能が高められる。
[0051] 本工程で甩いられる培地は、 通常植物組織培養に使 用される基本培地に炭素源としてショ糖を 1〜 3 %添 加したもので良い。 それら基本培地としては、 ムラシ ゲ · スクーグ (Murashi ge & Skoog)の培地( 以下、 M S培地と記す) 、 リ ンスマイヤ一 · スクーグ (Li nsma i er & Skoog)の培地、 ホワイ ト(Whi te) の培地、 シェ ンク · ヒルデブラン ト(Schenk & Hi l debrandt )の培地 等があるが、 通常 M S培地が用いられる。 これら従来 - の培地の組成などは、 例えば、 原田及び駒嶺著 「植物 細胞組織培養」 P. 390〜391 、 理工学社、 1984年に記 載されている。 ショ糖以外の炭素源としては、 グルコ —ス、 マルトース、 糖蜜等が例示される。
[0052] それら基本培地に、 植物生長調節剤として、 1 ーナ フタ リ ン酢酸 (NAA)、 イ ン ドール— 3 —酢酸 (I AA)、 2, 4 ージクロロフヱノキシ酢酸 (2, 4 - D)、 イ ン ドール 一 3 —酪酸 (I BA:)、 ジベレ リ ン酸 (GA 3 )、 6 —べンジ ルァデニン (BA) 、 力イネチン等の植物ホルモンゃサ ィコセル(CCC) 、 アンシミ ドール等の矮化剤を 0. 001 〜10ppm の範囲で加えても良い。 特に GA3はス トロ ン 伸長に効果的な場合が多い。 用いる培地量は、 特に限 定されないが、 (1)ス トロンは、 培地外より培地中によ り容易にかつ多く誘導されるこ と、 (2)液中でそれらス トロ ンは旺盛に伸長し、 技分かれし、 更にス トロンを 生み出すこと、 (3)ス トロン以外の茎も液中で旺盛に伸 長、 分枝すること、 (4)茎には腋芽が多数含まれること、 (5)液中に形成されたス ト口ン及び茎に含まれる腋芽か ら、 後に述べる条件下で塊茎がより効率的に形成され ることから、 用いる培養槽、 容器の 30 %以上であるこ とが望ま しい。 培地の pHは 4〜 8、 好ま しく は 5〜 7 を用レヽな o
[0053] 以上の基本的な培養条件の他に、 ス トロンの誘導、 増殖には、 日長、 温度及び光の照射方向が相互に関わ つてく るので、 以下の 2つの場合に分けて説明する。
[0054] 1 . 長日条件の場合
[0055] 品種の日長感応性にも依存するが、 通常バレイショ の組織培養に用いられている長日条件、 すなわち 14時 間以上の日長かつ 20〜25°Cの条件では一般にス トロン は誘導されにくい。 また、 誘導される場合においても ス トロンは地上茎又は葉状茎として伸長し、 ス トロン としての伸長は認められにくい。 長日下での炭酸ガス 施用による旺盛なス トロンの誘導、 増殖の促進は、 (1) 連続日長、 もしく は (2)喑期の温度が 15°C以下となる条 件下で顕著に認められる。
[0056] 培養温度は、 (1)の場合、 15〜30で、 望ましく は 17〜 22°C、 (2)の場合、 明期が 15〜30て、 暗期が 5〜; 15 °C、 望ましく はそれぞれ 17〜25eC、 8〜12での変温条件が 好ましい。 照度は (1), (2)とも 1000〜20,0001 ux 、 望ま しく は 3000〜80001 ux が好ましい。 (2)の明期の時間は 、 14〜20時間、 望ましく は 15〜18時間が好ましい。 本 方法で誘導されるス トロンには、 光の照射方向に向つ て伸長するものも含まれる為、 液中に存在するス ト口 ンを増すには横方向又は下方からの照明が好ましい。 2 . 短日条件の場合
[0057] 通常 12時間以下の短日培養条件下では、 ス トロンを 誘導し、 それらをス トロンとして伸長させる品種が多 い。 しかし、 炭酸ガスを施用しないで得られたス ト口 ンは一般に細く、 数が少なく、 かつ塊茎形成時の効率 も低い。 炭酸ガス処理を短日条件下で併用すると、 ス トロンは顕著に肥厚化し、 数も増し、 その後の塊茎形 成率も著しく 向上する。 日長時間は 6〜12時間、 望ま しく は 8〜10時間が良い。 短日条件下では植物体自体 の生長が遅延しやすいので、 一定期間長日条件下で培 養された植物体を用いても良い。 温度は 5〜30°C、 望 ましく は 17〜25での条件が良い。 また、 暗期の温度を 5〜15°Cに下げると更に効果的である。 照度は 1000〜 20, 0001 ux 、 望ましく は 3000〜80001 ux が良い。 この 方法で誘導されたス ト口ンは向地性又は斜向性を示し やすい。 光の照射方向はどの様なものでも良いが横方 向又は下方からの照明も有効である。
[0058] 炭酸ガスの施用方法は長日、 短日条件で共通してい る。 培養槽の場合は炭酸ガス富化空気を通気する条件 下で、 小型の培養容器の場合は、 炭酸ガス富化雰囲気 中で培養する方法を用いる。 培養槽への通気又は、 通 気性のある培養容器を培養する雰囲気に用いられる炭 酸ガス濃度は 0. 1〜30 % (v/v) の範囲内、 好ましく は 0. 5〜20 % (v/v) である。 培養槽への通気量はその容 積の単位体積当たり毎分 0. 0001〜 1容、 好ま し く は 0 . 001〜0. 1容を用いる。
[0059] これらの条件下では気相、 液相、 特に後者にス ト口 ン、 更には次の塊茎形成過程でス トロンを経由して塊 茎に容易になりうる腋芽が効率良く多量に誘導、 増殖 される。 炭酸ガス濃度がこれより低い場合、 又は通気 量が少ない場合、 植物体は通常の増殖形態を示し、 ス トロンは形成されにく い。 すなわち、 液中の腋芽から 伸長した芽は、 ス トロ ンにはならず通常の茎葉へと発 達する。 これら茎に含まれた腋芽の塊茎形成能力は低 い。
[0060] 逆に、 炭酸ガス濃度が更に濃い場合 (30 %以上) に は植物体が枯死してしま う。 通気量が更に多い場合
[0061] (容積の単位体積あたり毎分 1容以上) は、 炭酸ガス の過剰害や通気量の多さに起因する、 培地の蒸発、 気 相部の過湿 (液相部への通気の場合) 、 又は、 逆に、 過度の乾燥 (気相部への通気の場合) によって植物体 の生長、 ス トロ ンの伸長が遅れる。
[0062] 培養槽の場合、 炭 ガス富化空気の通気は液相部の み、 気相部のみ、 又は液相部と気相部とにわけても良 い。 望ましく は、 気相部に炭酸ガス富化空気を通気し、 液相部には通常の空気を適量、 すなわち 0. 001〜0. 05 vvm 程度通気する方法が良い。
[0063] 炭酸ガスの施用は、 茎葉増殖工程の少なく とも一部 に、 1 日あたり少なく とも明期に 1 時間、 好ましく は 2時間以上実施すれば良い。 施用期間は 10〜70日間、 好ま しく は 20〜40日間である。
[0064] また炭酸ガスを施用する植物体又は植物片の大きさ も特に限定されるものではない。 すなわち、 植物体又 は植物片を置床した直後から炭酸ガス施用を開始して も良いし、 植え付け後、 一定期間、 公知の方法で培養 後、 炭酸ガスを上記の方法で施用しても良い。
[0065] 炭酸ガスを施用しない時間帯がある場合は、 通常の 空気を同様の条件で通気しても良い。 又培養槽の場合 には、 その間少なく とも液相部に適量、 すなわち 0. 00 1 〜0. l vvm通気することが望ま しい。
[0066] (B) ェ 程
[0067] 本工程の塊茎誘導培地としては、 少なく とも炭素源 を必須成分とし、 (A)工程のそれと同じか、 又は糖濃 度を高めたものを用いるが、 これに限定されるもので はない。 糖濃度はショ糖の場合、 5〜15 %、 望ましく は 6〜10 %が用いられる。 場合によっては、 6 —ベン ジルアデニン(BA)、 力イネチン、 ゼァチン、 アブシジ ン酸 (ABA)等の植物ホルモンや、 サイコセル (CCC:)、 アンシミ ドール等の矮化剤を 0. 01〜20ppm の範囲で使 用しても良い。 これらの培地を、 (A)工程で使用した 培地を除去し、 (A)の工程で培地中に誘導、 増殖され た又は塊茎形成能が高められたス ト口ンの少なく とも 一部が気相中に露出するように添加する。 すなわち本 発明の条件では、 (A)工程で伸長したス トロンは伸長 位置にかかわらず既に高い塊茎形成能を有するが、 主 に、 液相部に伸長したス トロン及び茎が本工程におい て気相中に露出することによって、 その位置が培地と の距離にあまり関係なく、 それらから塊茎が短期間に、 同調的に、 極めて効率良く形成されるため、 多くのス トロン及び茎が気相中に露出するよう培地量は(A) ェ 程より適度に少ない方が良い。 通常(A) 工程の培地量 の 5〜80 %量、 好ま しく は 10〜40 %量の培地を用いる。
[0068] また、 その条件を満たすように (A)工程で用いた培 地を減じても良い。 更にそれら培地に塊茎誘導を促進 する成分 (糖、 前記基本培地成分、 植物ホルモン等) の濃縮液を必要量添加しても良い。 又、 培地量の操作 とは別に、 ス トロンが気相中に露出する様な手法を用 いても良い。 たとえば植物体を培地より引きあげる、 植物体を倒す、 逆さにする、 縦長の培養槽を用い培養 槽ごと倒す、 培養に袋を用い形伏を変化させる等があ げられる。 培地の p Hは 4〜 8、 好ましく は 5〜 7で めな。
[0069] 光環境は種々 の条件が用いう る。 すなわち 100〜 l OOO l ux の低照度条件は適当な日長範囲内 (4〜24時 間) において、 又 4〜10時間の短日条件は、 適当な照 度範囲内(100〜80001 ux)において使用可能であり、 望 ま しく はその両者を組合せた時に、 又は、 塊茎が形成 される部分のみ遮光した時に良好な結果が得られやす レ、。 又、 喑条件も同様に良好な結果を生じる。 特に短 日条件下では培地中の糖濃度を高めなく とも多数の塊 茎が形成される。
[0070] 温度条件は 5〜30 、 好ましく は 15〜25°Cである。 また短日条件利用時は、 暗期温度を明期温度より下げ ても良い。
[0071] この工程では、 通気性のある容器を用いた場合には 上記培養条件を満たす大気環境下で培養すると良い。 培養槽の場合は通常、 培養槽で行なわれる液相部への 空気の通気 (通気量はたとえば 0 . 001〜0. l vvm) をし てやりさえすれば良い。
[0072] 本(B) 工程では、 第 2発明を組み合わせるとさらに 良好な結果が得られる。 すなわち、 上記の塊茎形成ェ 程において、 気相部に通気することにより、 気相部の 相対温度を低下させると良い。 その際の最適の通気量 は培地の絶体量、 容器の形状、 気相部に存在する植物 体量、 液相部への通気量、 気相部への通気口の数及び 形状等によって異なるが、 いずれも単位体積当たり毎 分 0. 02〜 1 容で良く、 好ましく は 0. 05〜0. 5容が良い。 更に、 この通気によって気相部の相対湿度が 90 %以下 になった場合に、 塊茎形成において、 質的、 量的によ り良い結果が得られることが多い。 この通気量以下で は、 十分に塊茎が気相部に形成されることがなく、 以 上では過度の乾燥により植物体が枯死してしまう。 液 相部へ通気する場合は 0. 05vvm 以下が好ましい。 以上 のような条件では培地が大き く蒸発して減少すること はない。 また、 培地量が減少するような通気量であつ ても、 気相部の通気を行った場合には、 液相部の通気 のみの培養より多くの塊茎が形成される。
[0073] 第 2発明は、 従来の培養法で作出された植物体にも 用いることが可能であり、 顕著な効果をもたらす。
[0074] また、 本発明においては、 前述した塊茎形成工程に おける気相への強制的な通気の代わりに、 該工程にお ける培養を相対濃度 90 %以下で行いうる他の手段 (例 えば、 (1)換気能力の高い培養槽の利用、 (2)培地面から の水分蒸発を抑制する物質の利用、 (3)培地面から蒸発 した水分が気相部に移行しにくい培養槽の利用等) を 用いても良い。
[0075] 本工程の培養期間は 10〜50日、 望ましく は 20〜40日 である。
[0076] 〔図面の簡単な説明〕
[0077] 第 1 図は、 従来法 (実施例 2の対照区の方法) によ る茎葉増殖の状態を示す図 (写真) 、 第 2図は、 従来 法 (実施例 2の対照区の方法) による塊茎形成状態を 示す図 (写真) 、 第 3図は、 実施例 6の炭酸ガス施用 によるス トロンの誘導、 増殖の状態を示す図 (写真) 、 第 4図は、 実施例 6の炭酸ガス施用によるス トロンの 誘導、 増殖の状態を示す図 (培養槽の底部より撮影し た写真) 、 第 5図は、 実施例 4の炭酸ガス施用によつ て誘導、 増殖したス トロンおよび茎の塊茎形成の状態 を示す図 (写真) および第 6図は、 実施例 1 の培養槽 気相部への通気による塊茎形成の状態を示す図 (写真) である。
[0078] 〔実施例〕
[0079] 以下、 実施例により本発明を更に詳細に説明するが、 これらの実施例は本発明の範囲を何ら制限するもので はない。
[0080] 実施例 1
[0081] 塊茎形成時の培養槽内気相部への通気が、 塊茎の 形成位置及び効率に及ぼす影響
[0082] 本実験の供試材料には、 生長点培養から得られたバ ィ レショ (So lanum t uberosum し、 品種 : 農林 1号) の無菌植物体を用いた。
[0083] 5節及び根を有するそれら小植物体 3本を、 ショ糖 を 3 %添加した M S液体培地(p H 5. 8、 以下、 茎葉増 殖培地という) 10 ^を含む、 直径 27cm、 高さ 40cmの総 容量約 23 ^の円筒状の培養槽に置床し、 22eC、 照度 60 OO l ux 、 16時間日長、 液相 30ml /分及び気相 500ml/ 分の通気条件で、 5週間茎葉を増殖した。 この培養に よって植物体は約 30cmの高さまで旺盛に生長した。 次に 、 残存培地をショ糖 8 %を含む M S液体培地(pH 5. 8 、 以下、 塊茎誘導培地という) 10 ^ と交換し、 塊茎の 誘導を、 22 、 暗所及び (1)液相部のみへの通気 1030ml 分 (対照) 、 (2)液相部への通気 30ml /分、 気相部へ の通気 lOOOinlZ分の 2つの条件下で 3週間行い、 塊茎 の形成位置とその効率について比較検討した。 気相部 への通気は茎葉増殖時、 塊茎誘導時とも頂部より行ない 、 排気口は高さ約 30cmのところに設置した。 培養終了 時培地面は (1), (2)区ともほぼ同じ位置であった。 結果は 、 第 1表の通りであった。
[0084] (本頁以下余白)
[0085] 第 1 表
[0086]
[0087] *…培養終了時の培地面からの距離
[0088] 気相部に通気した区では、 気相部の腋芽に直接塊茎 が形成され、 又液相部及び気相部の多くの腋芽から、 葉緑体を持たない白色の茎が新たに旺盛に伸長し、 そ れらの気相中に存在する節部にも多く の塊茎が形成さ れた。 それに対し、 対照区では、 気相部の腋芽に塊茎 が形成されることはほとんどなく、 同様の白色茎はみ られたものの、 数は少なく又その頂芽の多く は多湿の 為枯死し、 塊茎は培地境界面及びその直上部の腋芽に 大半が形成された。 その結果として気相通気区は塊茎 数、 塊茎重量とも対照の 2倍以上に大き く向上し、 そ の形成位置も対照と大きく異なり 60%以上が培地から 5 cm以上離れた部位に、 また対照では全く認められな い 10cm以上の部位においても多く の塊茎が存在した。 また、 対照区の塊茎はほとんど全てにおいて顕著な皮 目肥大が認められ、 二次生長も多かったが、 気相通気 区の塊茎はその点でも大きく改善されていた。
[0089] 実施例 2
[0090] 塊茎形成時の培養槽内気相部への通気が、 塊茎形 成効率及びその質に及ぼす影響
[0091] ノくィ レショ (Solanum tuberosum L.、 品種 : ラセッ トバーバンク) の無菌植物体を根及び 5節を有する小 植物体に分割し、 それら 5本を、 ショ糖濃度を 2 %に 変更した茎葉増殖培地 3 を含む 8 ^培養槽 (直径 20 cm, 高さ 24cm) に置床した。 液相部に 30mlZ分、 気相 部に 100ml /分の量で空気を通気し、 22で、 照度 6000 l ux 、 16時間日長で 5週間茎葉の増殖を行なった。 次 に培地を塊茎誘導培地 3 と交換した後、 気相部の通 気量を 1 ^ /分に変更し、 22で、 喑所で 3週間塊茎の 形成を行なった。 対照として塊茎誘導時の通気を、 液 相部にのみ SOml Z分で行なう こと以外、 同じ条件で培 養する区を設けた。 結果は第 2表の通りであった。 第 2 表
[0092]
[0093] 塊茎は実施例 1 と同様の過程を経て気相通気区では、 気相中に主に、 対照区では培地境界付近に偏在して形 成された。 総塊茎数、 重量とも気相通気区が対照区を 上回ったが、 特に塊茎の表皮の損傷程度に顕著な差が みられた。 すなわち対照区の塊茎の大半が、 過湿又は 培地との接触に起因する著しい皮目肥大や表皮の損傷 があり、 二次生長も多かったのに対し、 気相通気区で はその程度が軽微なものにとどまった。 この差違は、 塊茎の貯蔵条件下で一層明確であった。 対照区の塊茎 は半数以上が低温での貯蔵中に過度の水分の蒸発によ り栽培に不適な状態に劣化したのに対し、 気相通気区 の塊茎は質的にほとんど変化が認められなかった。
[0094] この様に、 気相部に塊茎を形成させる方法は、 ラセ ッ トバーバンクの様な過湿条件に塊茎が弱い (表皮を 損傷しやすい) 品種において、 塊茎の質の改善も著し い。
[0095] 実施例 3
[0096] 塊茎形成時の培養槽内気相部の相対湿度が塊茎形 成に及ぼす影響
[0097] 直径 20cm、 高さ 48cm、 内容積約 16 ^の培養槽、 3 の茎葉増殖培地を用いる以外、 実施例 1 と同一の条件 で茎葉を約 20cmの高さまで増殖した後、 3 の塊茎誘 導培地と残存培地を交換し、 22で、 暗所、 液相部通気 30mlZ分、 気相部通気 1 ^ Z分の条件下での培養にお いて気相通気の位置を変え、 それに起因する相対湿度 の差が塊茎形成に及ぼす影響について比較した。 すな わち、 気相部への通気を (1)培地面に近い (約 5 cm上部) 場所から行う場合と (2)培養槽の頂部付近から行う場合 の 2方法 (通気の向きはいずれも培地面方向) を試み た。 その際の内部の相対湿度 (頂部付近に取り付けた 排気口で計測) 及び塊茎形成程度を調査した。 結果は 第 3表の通りであつた。
[0098] (本頁以下余白) 第 3 表
[0099]
[0100] *…培養終了時の培地面からの距離
[0101] 培養槽頂部付近より通気した (2)区においては、 実施 例 1 と同様の白色茎がやはり旺盛に伸長し、 その多く が頂部に達し、 多数の塊茎をその近辺にも形成したの に対し、 培地面付近で通気した (1)区では、 高い位置に 形成される塊茎はまれであった。 その際 (1)区では細か な水滴の、 培養槽上部での顕著な付着がみられ、 排気 口で測定した相対湿度も (2)区が (1)区に対して顕著に低 かった。 この結果は塊茎を形成する空間の湿度低下を 伴なう気相部への通気がより有効であることを示して いる。
[0102] 参考例
[0103] 気相部通気法によって作製した塊茎の、 圃場での 生産力の検討
[0104] 本発明で得られた塊茎の圃場での崩芽、 生育及び生 産能力を把握する為に北海道 (上川郡剣淵町) におい て試作を行った。 塊茎は実施例 1 と同様の手法で作製 し、 一定期間低温 (2〜 4で) 、 喑所で貯蔵した後、 塊茎のサイズ及び貯蔵期間別に現地の慣行法に従って 栽培を行なった。 但し塊茎を植え付ける深さは慣行法 より もやや浅目に設定した。 また、 0. 1 〜0. 5 gの塊 茎のみは、 ペーパーポッ ト (直径 5 cm、 長さ 7. 5 cm) を用い、 温室で催芽、 育苗した後圃場へ定植した。 結 果は第 4表の通りであった。
[0105] (本頁以下余白) 第 4表 貯蔵期間 サイズ1)個体数 萌芽率 2)茎 数 3) 収 量 4) 上いも5〉 10a当り 上いも 澱粉価
[0106] (月) (%) 収 量 上いも
[0107] (本/株) (g/株) (g/株) 収量(t) 数 Ζ株 (%) 小 30 16.7 1.1 970 728 3.4 7.7 10.7
[0108] 9 Ψ on 1
[0109] 0. ί 1. A 1 Π 10 1 0 に
[0110] ά. ο D. D 1 . ά 大 32 12.5 1.3 1207 1046 4.8 8.2 13.6 ぺ-パ-ポ 7 60 1.1 1108 932 4.3 10.9 13.3 小 30 93.3 1.5 1324 1203 5.6 12.1 11.8
[0111] 5 中 30 90.0 1.4 1106 1006 4.7 9.2 14.4
[0112] 大 32 93.8 1.2 1324 1150 5.3 10.7 13.4 ぺ-パ -ポプト 60 1.6 1207 1029 4.8 11.1 12.4 小 30 100.0 1.5 1120 985 4.6 10.7 12.1
[0113] 9 中 30 96.7 1.8 1286 1179 5.5 10.7 15.1
[0114] 大 32 93.8 2.7 1317 1249 5.8 11.2 14.2 対照 β> 60 83.3 4.2 1211 1140 5.3 10.9 14.5
[0115] 1) ペ-パ-ポ'ノト: 0.1-0.5g, 小: 0.5- lg, 中: l_5g, 大: 5 - 10g,
[0116] 各区とも 72cmX30cniの栽植密度
[0117] 2) 植え付け後 4週目に調査
[0118] 3) 各区 12株の平均値
[0119] 4) 各区の総収量 Z供試個体数
[0120] 5) 40g以上
[0121] 6) 通常の種芋 (40〜120g)
[0122] 貯蔵期間 2 ヶ月の区のみ萠芽率が著しく低いが、 こ れは 2 ヶ月 という播種までの期間が休眠の解除には不 十分であった為と判断される。 貯蔵期間 5 ヶ月及び 9 ヶ月区ではサイズに関わらず萠芽率は高く、 萠芽後の 初期の生育は全般に対照に比してやや劣ったもののそ の後回復した。 最終的な収量はいずれのサイズ区にお いても対照に近い、 場合によってはそれ以上の高い値 となり、 本発明で作成された塊茎は高い生育及び生産 能力を持つことが確認された。
[0123] 実施例 4
[0124] 培養槽での炭酸ガス施用がその後の塊茎形成に及 ぼす影饗
[0125] 本実験の供試材料には、 バイ レショ(So lanum t uberosum L.、 品種 : ビンチヱ、 農林水産ジーンバンクか ら、 生物系特定産業技術研究推進機構のあっせん事業 により入手) の生長点培養由来無菌植物体を用いた。 直径 20cm、 高さ 24cm、 内容積 8 の培養槽に実施例 1 と同じ茎葉増殖培地 5 ^を入れ、 それぞれ 5節及び 根を有する植物体 3個を置床した。 その培養槽を、 四 方より光照射の可能なインキュベーター内に置き、 照 度 70001 UX 、 連続照明、 20で、 液相部への空気通気量 30ral Z分の条件下で、 まず 3週間前培養を行なった。 この過程で植物体は主に液中で分技しながら良く生長 し、 多数の腋芽を形成した。 一部の茎葉は気相部に伸 長したが、 この時点ではス トロンの発生は認められな かった。 その後液相部への通気条件は同一のまま、 気 相部に炭酸ガスを 10%に富化した空気を 1 OOmlZ分で 通気し、 更に 3週間培養した。 この培養によって植物 体の更なる生長とともに、 主に液相部の腋芽からのス ト口ンの旺盛な誘導、 増殖が認められた。 多くのス ト 口ンは培養槽の壁面に向って斜向性を示しながら生長 したが、 やや上方に進むものもあり、 一部は気相部に 達した。 最終的に液中の植物体はス トロンで覆われる 特異な形態となった。 対照として、 炭酸ガスを富化し ない空気を気相部に通気した区を設けた。 この対照区 では、 明らかなス トロンの誘等、 増殖は観察されず、 炭酸ガス施用区との植物形態の相違は顕著であつた。 その後、 残存培地を、 塊茎誘導培地 1. 5 と交換し、 20°C、 連続暗条件で 4週間培養した。 その時の通気は 炭酸ガス施用区、 対照区とも炭酸ガス無富化の空気を 液相部に 30ml//分、 気相部に 1 ^ Z分の条件で行った。 炭酸ガス施用区では、 この培地交換によって液中に形 成されたス トロ ンも、 大半が気相中に露出した。 結果 は第 5表の通りであつた。
[0126] (本頁以下余白) 第 5表
[0127] W
[0128] 対照比
[0129] 炭酸ガス施用区では、 培地交換後 2 日目より、 (1)培 地面からの距離に関係なく気相に露出したス トロンの 大部分がほぼ同調的にその先端部の塊茎化を開始し、 引き続いて、 (2)それらス トロンの節部に直接、 又は新 たに誘導されたス トロンを介して塊茎を形成した。 更 にその後、 (3)他の茎の節部より、 実施例 1 と同様の白 色茎や、 ス トロンの発生及び塊茎化が認められた。 こ の様な塊茎形成過程により炭酸ガス施用区の植物体は、 その気相部分全体に塊茎が密集して存在するという本 発明特有の形態を示した。 一方対照区の塊茎形成は、 上記 (3)のみの過程によって生じその開始時期も炭酸ガ ス施用区より も遅れた。 結果的に培養槽あたりの総塊 茎数及び塊茎重とも炭酸ガス施用区が対照区を大き く 上回った。 1塊茎あたりの平均重量は炭酸ガス施用区 で小さ くなつているが、 この様なサイズの塊茎からも 正常な萠芽、 生育、 収穫が可能であることは参考例か らも明らかである。
[0130] 実施例 5
[0131] 培養槽での炭酸ガス施用がその後の塊茎形成に及 ぼす影響
[0132] 実施例 2 と同じ方法によってラセッ トバーバンクの 茎葉を 3週間増殖した。 次いでショ糖濃度を 2 %に変 更した茎葉増殖培地を 2 ^添加し、 気相部への通気の みを、 炭酸ガスを 2 %に富化した空気を用いて行ない、 連続日長、 照度 60001 ux 、 20eC条件で更に 3週間培養 を継続し、 ス ト口ンの誘導、 伸長を促した。 対照区は 実施例 2 と同じ通気条件とした。 培地追加後は、 光照 射が周囲より可能なインキュベーターで実施した。 そ の後培地を 1. 5 ^の塊茎誘導用培地と交換し、 20で、 暗所で 4週間塊茎の誘導を行なった。 その際の通気条 件は炭酸ガス施用区、 対照区とも気相部への通気口を 対角に位置する 2 ケ所に増し、 各々 より 1 i / %、 液 相部へは 30mlZ分とした。 結果は第 6表の通りであつ た。 第 6 表
[0133]
[0134] 対照比 この様に品種ラセッ トバーバンクにおいても、 実施 例 4のビンチェと同じく、 最終的に形成された塊茎の 総数及び総重量に顕著な増加が認められ、 植物体増殖 時の炭酸ガスの施用効果が確認できた。 又、 本結果で は、 対照に対する総重量の増加率が総塊茎数のそれを 上回った為、 1個あたりの平均塊茎重量も大き く改善 された。 一方、 得られた塊茎の質は、 炭酸ガス施用区、 対照区とも塊茎の形成位置が主に気相中であつた為、 両区とも皮目肥大及び表皮の損傷がほとんど見られず、 優れていた。
[0135] 実施例 6
[0136] 培養槽における長日及び暗期の低温条件下での炭 酸ガス施用が、 ス ト口ンの誘導、 増殖、 及びその 後の塊茎形成に及ぼす影響
[0137] 照度 6000 1 UX 、 16時間日長、 20で条件下で維持され ているビンチェ及びラセッ トバーバンクの無菌植物体 5本 (それぞれ 5節と根を有する) を供試材料として 用い、 ショ糖濃度を 2 %に変更した茎葉増殖培地 3 ^ を含む 8 ^培養槽に置床した。 それら培養槽を、 主に 下方より光照射可能なインキュベーターにおいて、 照 度 6000 1 U X 、 16時間日長、 明期温度 22て、 暗期温度 10 で条件下で培養し、 6週間後に形成されたス トロ ン数 を調査した。 通気は気相部に炭酸ガスを 2 %に富化し た空気を、 液相部に通常の空気を、 それぞれ 100ml / 分、 δΟπιΐ Ζ分の量で実施した。 対照として気相部へも 通常の空気を同量通気した区 (対照区 IT ) 、 更に温度 条件を明期、 暗期とも 22°Cとした区 (対照区 I ) を設 けた。
[0138] 次にビンチヱについて、 上記と同一方法で茎葉の増 殖、 ス トロンの増殖を行なった後、 培地を塊茎誘導培 地 1 ^ と交換した。 20で暗条件下で形成された塊茎数 を 4週後に調査した。 通気条件は、 炭酸ガス施用区、 対照区 I とも、 通常の空気を気相部に 1 分、 液相 部に 30mlZ分とした。 培地の交換によって炭酸ガス施 用時に旺盛に液相部に増殖、 技分れしたス トロンの多 く は、 気相部に露出した。
[0139] ス トロ ンの調査結果を第 7表に、 塊茎の形成数を第 8表に示した。
[0140]
[0141] * …形成されたス トロ ン数 (本) 炭酸ガス施用区ではビンチェ、 ラセッ トバーバンク とも培養開始後 2週間茎葉を伸長させた後、 やはり主 に液中の腋芽からス トロンを発生し始め、 続いてそれ らの旺盛な増殖を示したのに対し、 一方対照区では、 I区、 I [区ともス トロ ンの発生が全く認められず、 炭 酸ガス施用の効果は極めて顕著であった。 本実験で観 察されたス トロンは、 実施例 4で認められたそれらに 比して、 より強い斜向性を示すス トロンが多いこ と、 更に、 枝分れするス トロンの数が多い点で特徴的であ つた。
[0142] また、 供試材料に、 炭酸ガス施用によって既にス ト ロンの誘導が開始された植物体を用いた実験では、 置床 直後より旺盛なス トロン増殖が認められ、 より良好な 結果が得られた。 第 8 表
[0143]
[0144] ネ · · ·対照比 炭酸ガス施用区のス トロンは、 実施例 5のそれらと 同じく、 気相に露出した直後から、 培地面からの距離 に関係なく、 ほぼ同調的にその先端の塊茎化を開始し た。 また既に枝分れしていた二次的なス トロンも同様 に短期間の塊茎形成を行なった。 その結果、 対照区と の塊茎形成程度の差違は大きなものとなつた。
[0145] 実施例 7
[0146] 炭酸ガスの施用時期がス トロンの誘導、 増殖、 及 びその後の塊茎形成に及ぼす影響
[0147] 品種ビンチ の無菌植物体を各節毎に約 1 cmの長さ に分割し、 茎葉増殖培地 4 00mlを含有する 5 00ml容三 角フラスコに 3節ずつ置床した。 それら三角フラスコ を通気性フィルター付きのアルミ箔 (商品名 PFミ ク口 フィルタ一 : 柴田ハリォ社製) を用いて密封し、 以下 の 3つの条件下で静置培養を行い、 ス トロンの誘導、 増殖の程度を調査した。 (A) 温度 20で、 連続照明、 照 度約 7, 0001 ux、 炭酸ガス無施用条件 (大気中炭酸ガス 濃度約 0. 03% (v/v))で、 6週間培養 (対照) 。 (B) 炭 酸ガス濃度を 2 % (v/v) に高めた雰囲気中で培養する 以外(A) と同一の条件下で 6週間培養。 (C) (A) 条件 下で 3週間培養した後、 (B)条件下で更に 3週間培養。 光の照射はいずれの区も四方より行った。 その後、 そ れらフラスコに残存する培地を塊茎誘導培地 1 00mlと 交換し、 20で、 連続暗条件下で更に 4週間培養した後、 それぞれの塊茎形成程度を調査し、 比較した。 結果は 第 9表の通りであつた。
[0148] (本頁以下余白)
[0149] 第 9表
[0150]
[0151] '容器あたりの平均値 各区 4 反復
[0152] 対照比
[0153] 第 9表が示すように、 容器を炭酸ガス富化雰囲気中 におく培養条件においても、 その効果は明らかであつ た。 すなわち、 対照区(A) では、 ス トロンの増殖が全 く認められなかったのに対し、 培養開始時から炭酸ガ ス施用条件にあった区 ((B) )、 及び培養途中から炭酸 ガス施用条件で培養された区 ((C) )、 においては旺盛 なス トロンの誘導、 増殖が認められた。 また、 塊茎形 成程度についても、 対照に比して(B)、 (C)区は容器当 たりの塊茎数で 3倍以上、 総重量で 2倍に近い改良が 認められた。 また (A)区の塊茎は培地交換後約 5 日目 より形成され始め、 その後の 3週間にわたり徐々に数 が増して行ったのに対し、 (B)、 (C)区の塊茎の大半は、 ス トロンの先端部が約 2 日〜 14日間と言う短期間にか つ同調的に肥大することによって形成され、 この点で も対照と顕著な差が認められた。 (B)区と(C)区、 即ち 炭酸ガスの施用開始時期及び施用期間の差異は、 本実 験においてはス トロンの増殖程度、 塊茎の形成率には 大きな影響を及ぼさなかった。
[0154] 1塊茎あたりの平均重量は、 炭酸ガス施用区は対照 区に比していずれも少なくなつてはいるが、 この点は、 参考例で明らかな様に、 塊茎は 0. l g程度の極小型のも のでも萌芽し、 正常に生育し、 塊茎を再生産すること が確認されているので、 炭酸ガスの施用による、 塊茎 形成効率の改善という効果を減ずるものではない。 実施例 8
[0155] 塊茎形成時の培地量が、 炭酸ガス施用条件下で増 殖したス ト口ンからの塊茎形成に及ぼす影響 直径 6 cm、 高さ 15cm、 内容積 380mlの円筒状の培養 容器に 2 00mlの茎葉増殖培地を入れ、 次の実験に供試 した。 置床材料及び炭酸ガス施用条件下での培養法は 実施例 7—(B) と同様のものを用い、 ス トロンが気相 部、 液相部に旺盛に増殖した培養 5週目に、 ① 50ml、 ② 100ml及び③ 200mlの塊茎誘導培地との培地交換を行 レ、、 培地量と塊茎形成程度との関連を調査した。 培地 交換後の培養条件は実施例 7 と同じである。 結果は第 10表の通りであつた。
[0156] (本頁以下余白)
[0157] 第 10表
[0158]
[0159] 容器あたりの平均値
[0160] 各区 4 反復
[0161] 対照比
[0162] 大気条件下 (炭酸ガス濃度 0. 03% ) で培養
[0163] 7 炭酸ガス施用の効果は、 実施例 7 と同様に、 容器当 たりの塊茎形成数に大き く表われている。 本結果は、 塊茎形成時の培地量を、 茎葉増殖時のそれより も減じ ることが、 塊茎形成数及び重量をより改善することを 示している。 また、 その際の塊茎の多く は、 ス トロン 増殖時に液相に伸長し、 かつ、 塊茎形成時に気相部に 露出したス トロンに形成された。
[0164] 実施例 9
[0165] 炭酸ガス濃度がス トロンの誘導、 増殖、 及びその 後の塊茎形成に及ぼす影響
[0166] 実施例 8 —①と同一の方法を用いて表題の点につい て調査を行った。 雰囲気中の供試炭酸ガスの濃度は、 1 % , 5 %、 10 %である。 結果は第 11表の通りであつ た。
[0167] (本頁以下余白)
[0168] 第 11表
[0169] CD
[0170]
[0171] 容器あたりの平均値
[0172] 各区 4 反復
[0173] 対照比
[0174] 大気条件下 (炭酸ガス濃度 0.03%) で培養
[0175] 炭酸ガス施用の効果が最も顕著に表われる容器当た りの個数においては、 いずれの区についても対照を大 き く上回り、 中でも 5 %区が対照の約 4倍と最高の値 を示した。 1 %区と 10 %区間では大きな差は認められ なかった o
[0176] 実施例 10
[0177] 連続光照射下での、 1 日当たりの炭酸ガス施用時 間がその後の塊茎の形成に及ぼす影響
[0178] 実施例 7 - (C) の炭酸ガス施用時間を 1 日当たり① 2時間② 6時間③ 10時間とし、 残りの時間は、 炭酸ガ ス無施用かつ連続照明条件下で培養することによって、 表題の点について調査を行った。 結果は第 12表の通り であった。
[0179] (本頁以下余白)
[0180] 第 12表
[0181]
[0182] 容器あたり の平均値
[0183] 各区 4 反復
[0184] 対照比
[0185] 大気条件下 (炭酸ガス濃度 0.03% ) で培養
[0186] 連続光照射下での炭酸ガスの施用効果は、 1 日あた り 2時間と言う短時間から明らかに認められ、 その程 度は施用時間が増すに連れ、 大となる傾向であった。 実施例 1 1
[0187] 短日及び暗期の低温条件下での、 明期における 1 日当たりの炭酸ガス施用時間がその後の塊茎形成 に及ぼす影響
[0188] 実施例 7 -(C) の条件において、 茎葉増殖時の後半 の 3週間を短日 (10時間日長) 及び暗期の低温 (10° (:、 明期は 20で) とするとともに、 明期に① 2時間② 6時 間又は③ 10時間、 炭酸ガスを施用する条件下で行った。 結果は第 13表の通りであった。
[0189] (本頁以下余白)
[0190] 第 13表
[0191] t
[0192] * —容器あたりの平均値
[0193] 各区 4 反復
[0194] ** 対照比
[0195] *** 大気条件下 (炭酸ガス濃度 0.03%) 及び
[0196] 短日 · 低温条件下で培養
[0197] 本実施例で用いた短日、 低温条件下では、 対照にお いてもス トロンの伸長が認められたが、 その数及び太 さは、 炭酸ガスを施用した区がいずれも対照を上回つ た。 塊茎形成に及ぼす炭酸ガスの効果は、 容器あたり 総重量で 1 日あたり 2時間処理から、 塊茎数で 1 日あ たり 6時間処理から認められた。
[0198] 〔発明の効果〕
[0199] 本発明によれば、 従来法に比し、 貯蔵性及び栽培性 が改善された塊茎を大量かつ容易に生産するこ とがで きる。
权利要求:
Claims請求 の 範 囲
1 . 培養容器内の茎葉増殖工程および塊茎形成工程を 含む工程からなる塊茎形成能を有するソラナム属植 物の塊茎の生産方法において、
(1) 該茎葉増殖工程の少なく とも一部において、 少なく とも 1個の芽を有する植物片を、 少なく とも 炭素源および無機塩を含む液体培地で、 明期の少な く とも一部に炭酸ガスを施用した条件下で培養し、 茎葉およびス トロンを誘導、 増殖し、
(2) 該塊茎形成工程において、 前記茎葉増殖工程 で液体培地中に形成されたス トロンの少なく とも一 部を気相に露出させて、 少なく とも炭素源を含む液 体培地で、 培養することを特徵とする塊茎の生産方 法
2 . 前記塊茎形成工程において、 気相部に通気するこ とにより該気相部の相対湿度を低下させて培養する ことを特徴とする請求項 1記載の塊茎の生産法。
3 . 炭酸ガスの施用濃度が、 0. 1 〜30 % (v/v) である ことを特徴とする請求項 1記載の塊茎の生産法。
4 . 炭酸ガスの施用方法が、 炭酸ガスを 0. 1 〜30 % (v /v) に富化した空気を容器内体積に対して毎分 0. 00 01〜 1容通気することを特徵とする請求項 1記載の 塊茎の生産方法。
. 培養容器内の茎葉増殖工程および塊茎形成工程を 含む工程からなる塊茎形成能を有するソラナム属植 物の塊茎の生産方法において、 該塊茎形成工程にお いて、 気相部に通気することにより該気相部の相対 湿度を低下させて培養することを特徴とする塊茎の 生産法。
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EP0691073B1|2002-12-11|
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法律状态:
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