专利摘要:

公开号:WO1991000517A1
申请号:PCT/JP1990/000822
申请日:1990-06-25
公开日:1991-01-10
发明作者:Ryotaro Irie
申请人:Hitachi, Ltd.;
IPC主号:C07K1-00
专利说明:
[0001] 明 細 書
[0002] 材料設計支援方法およびその装置
[0003] 技 術 分 野
[0004] 本発明は材料設計支援方法及びその装置に係リ、 特に医薬品、 有機材料、 種々の電子材料その他の材料の選択等、 使用者の種々 の目的に有効な材料の設計の支援に用いて好適な材料設計支援方 法及びその装置に関する。
[0005] 背 景 技 術
[0006] 分子やクラスタ一の電子構造や電子の波動性と強く関わる分子 物性を解析し、 理解しょうとする場合、 独立粒子模型は欠くこと はできない。 分子の電子構造計算法に対する独立粒子模型の応用 である、 拡張ヒュッケル法 (R . HOFFMANN , The Journal of Chemical Physics , Vol . 39, No . 6 , 1963 , pages 1397 - 1412)は、 材料の電子構造を計算し解析する方法 (分子軌道法) の中では、 最も計算労力が小さく、 理論構造が簡明なので、 材料の探索ゃ設 計に向いた方法と考えられ、 応用されてきた c
[0007] 伝統的な拡張ヒュッケル法では、 電子のポテンシャルを露わに 仮定せずに、 一電子ハミルトニアンの行列要素 (クーロン積分お よび共鳴積分) が経験的に与えられて、 電子構造の計算が行なわ れる。 ところが最近、 本発明者等によリウィグナー ·ザィヅ型ポ テンシャル (L E A F ) に基づく 1電子ハミル卜二アンが提案さ れ、 その行列要素が誘導された。 さらに近似を加えると、 拡張ヒ ュッケル法の行列要素が導かれた。 このことは、 拡張ヒュッケル 法が L E A Fポテンシャルに基づく分子軌道法の近似解法のひと つであることを意味する。 また、 L E A F分子軌道法は、 束縛 態の電子軌道のエネルギを計算すると、 その値は全て負になると いう性質を持っていることが分かった。 これは、 拡張ヒュッケル 法には欠けている物理的に正しい性質である。 (R. IRIE,
[0008] Theoretics Chimica Acta, Vol. 70, pages, 1986, 239-252)。 伝統的な拡張ヒュッケル法では、 分子 (あるいは原子集団) の 全エネルギーの演算子である全ハミル卜二アン Hは、 系内の電子 の一電子ハミルトニアン h ( i ) の和
[0009] H= ∑ h ( i ) (1)
[0010] として与えられており、 これは、 理論構造が簡明になる一要因で る。 ところが、 この式には定量的な根拠はなく、 必ずしも観測事 を反映しない。 すなわち、 従来の拡張ヒュッケル法は、 正しい全 ミルト二アン Hと∑ h ( i ) との差厶を考慮することができない めに、 定量性に乏しく、 観測事実を反 15映しないこともあったの ある。
[0011] このような問題を解決し、 定量性を向上させる方法として、 ハ トリー ' フォック法や C I法 (A. SZABO, N. S.0STLU D, dern Quantum Chemistry ,nacmil lan, 1982, pages 53-55 and 60-64) が知られている。 しかし、 ハ一トリ一 ' フォック法では、 h (i )はある一つの電子配置に対して最適化さ 20れているため 、
[0012] Δ = H-∑ h ( i ) (2)
[0013] にの期待値の絶対値は、 その電子配置に対しては大きくないが、 その他の電子配置に対しては、
[0014] h ( i ) において他の電子数を一個多く含むために、 非常に大き くなつてしまう。 電子数を過大評価するような非現実的な第 0次 近似モデルから物理量を計算することは、 事実上、 不可能である から、 Δをすベての電子状態の摂動項として扱うことは出来なレ 即ち、 電子構造解析が煩雑となり、 材料設計には向いていない。 また、 計算時間も非常に長く、 材料探索には向いていない。
[0015] また、 C I法は、 ハ一トリ一 ' フォック法の全エネルギーの精 度をさらに向上させる方法であり、 計算時間は一層長いので、 同 様に、 材料設計にも材料探索にも向いていない。
[0016] 発 明 の 開 示
[0017] 本発明は、 上述した従来技術の有する課題を解決し、 有用性と 信頼性を高めた材料設計支援方法およびその装置を提供すること を目的とする。 より詳しくは材料設計や探索に十分な精度を有し、 かつ材料探索に実用可能な計算処理速度を有する材料設計支援方 法およびその装置を提供することを目的とする。
[0018] また、 適切な一電子ハミルトニアンを用いることにより、 総て の電子配置に対して定義可能な摂動項 Δを導入して、 材料設計に 使用可能な簡明な理論構成 (式 ( 1 ) ) を有する全エネルギー計 算法を提案し、 それを用いた材料設計支援方法およびその装置を 提供することを目的とする。
[0019] 上記目的およびその他の目的を達成するために本発明によれば、 前述した 20 ( 1 ) 式の近似関係を、 特定の電子配置についてでは なく一般的に成立させる h ( i ) を導入し、 系の全ハミルトニア ンを計算する際に系に存在する全ての電子配置に対し定義可能な 摂動項を用いて摂動近似によリ数値解析する材料設計支援方法及 びその装置が提供される。
[0020] すなわち本発明の 1局面によれば、
[0021] 複数の原子よりなる系の原子配置を特定する第 1のパラメータ 群を入力するステップと、
[0022] 上記系内の電子等のキヤ リア配置であって、 キャ リア配置を特 定するための第 2のパラメ一タ群を入力するステップと、
[0023] 上記第 1のパラメ一タ群を用いて上記キヤリアの配置に対して 共通の、 上記キャリアの 1体ポテンシャルから生成する 1体ハミ ルトニアンの行列要素を求めるステップと、
[0024] この 1体ハミル卜ニアンの固有値問題を解くことにより、 上記 キャ リアの軌道を求めるステップと、
[0025] 上記軌道と上記第 2のパラメ一タ群とを用いて上記系の全ハミ ルトニアン 10を構成する非摂動項の固有値を上記キヤリァ配置に ついて計算するステップと、
[0026] 上記軌道と上記第 2のパラメータ群とを用いて上記系の全ハミ ルトニアンを構成する摂動項の期待値を上記キヤ リァ配置につい て計算するステップと、 及び
[0027] 上記固有値と上記期待値の計算結果を表示するステップと、 を有する材料設計や探索に十分な精度を有し、 かつ材料探索に実 用可能な計算処理速度を有する材料設計支援方法が提供される。 上記複数の原子よリなる系は例えば、 有機化合物若しくは無機 化合物等の分子、 若しくはクラスタ一等が含まれる。 とくに、 本 発明においては、 タン 20パク質等の高分子化合物であっても扱う ことができる。 このような系の原子配置を特定する第 1のパラメ ータ群としては、 例えば解析すべき系を構成する原子数、 それら の原子番号及び位置、 また、 1体ハミルトニアンを求めるステツ プにおいて後述するように内部パラメータを用いない場合は、 上 記原子が中性状態における最外殻電子数、 価電子数、 及び内殻電 子数、 更に、 各原子殻を構成する原子軌道の主量子数、 方位量子 数、 原子軌道エネルギ、 原子軌道を構成するスレ一タ型軌道の数、 各スレータ軌道の指数 (S T O指数) 及び係数 (S T O係数) 、 原子内電子反発エネルギ等を用いる。
[0028] 上記系内の電子等のキャ リア配置であって、 複数のキャ リア配 置を特定するための第 2のパラメ一タ群としては、 例えば各軌道 を占有する電子数を用いる。
[0029] 上記第 1のパラメータ群から求める上記キヤリァ配置に対する 共通の 1体ポテンシャルとは、 固体物性論におけるウイグナ一 · ザイツセル法による 1体ポテンシャルと類似するポテンシャルを 導入する (本明細書においてはこれを 「L E A F (Linkage of Embedded Atomic Fields) ポテンシャル」 と呼び、 このポテンシ ャルを用いて生成された 1体ハミルト二アンを 「L E A Fハミル トニアン」 という。 ) 。 このポテンシャルは、 系を構成する各原 子の孤立状態における 1体ポテンシャルを紫ぎあわせた形で定義 するものである (この意味において、 ウィグナー · ザイジ型ポテ ンシャルと呼ぶことができる。 ) 。 但し後に詳細に説明するよう に、 本発明においてはキヤリァ配置の仕方に依存しない 1体ポテ ンシャルを用いることに 1つの特徵がある。 また他の特徴として. 本発明で用いる 1体ポテンシャルにおける各原子を含むセルは、 ウイダナ一 ·ザイツ ·セル法によるセルと異なり、 立体幾何学的 には定義されない。 例えば、
[0030] 1 . 1つのセルは、 それが含む原子の孤立中性状態でのキヤ リ ァ密度が高 20い 3次元領域を包含し、
[0031] 2 . セル同志は重なりあわず、 かつ 3 , 系内の全てのセルをあわせると、 キャリアが到達しうる全 3次元空間を満たす、
[0032] という 3条件によリ定義される。
[0033] このようにして求まるキヤリァ配置に対する共通の 1体ポテン シャルを用いて、 キャ リアに対する 1体ハミルトニアンを構成す る。 すなわち、 上で求まった 1体ポテンシャルにキャリアの運動 エネルギ演算子を加えて、 1体のハミル卜二アン演算子を求める。 このハミルトニアンの固有値問題は通常は例えばその 1体ハミル トニアンを系内の原子の中性孤立状態のハ一トリ一一フォック原 子軌道によリ展開することにより近似して簡単な行列の対角化計 算として解くことができ、 上記キャリアの軌道が求まる。 この例 の解法を用いるとき、 計算途中の数値誤差が無ければ、 必ず、 軌 道エネルギは 0 e V以下の値として算出され、 計算途中の数値誤 差が無視できない場合でも、 軌道エネルギは必ず + 0 . l e Vよ リも小さい値として算出される。
[0034] 本発明において特に重要なボイン卜の 1つは、 上述してきたよ うにキャリアの軌道を、 キャリアの配置に関する情報、 すなわち 上述した第 2のパラメータ群を用いずに求める点にある。 従って、 あらかじめ入力した系内の原子配置に関する情報、 すなわち第 1 のパラメ一タ群により求めた上記キヤリアの軌道を記憶しておき、 それに対して様々な (複数種類の) キャ リア配置情報 (複数の第 2のパラメータ群) を入力することにより、 それぞれのキャリア 配置に応じた系のエネルギーを上記記憶されたキヤリアの軌道を 用いて極めて容易に求めることができ、 時間効率を著しく改善す ることができる。 また、 この説明から理解されるように、 本発明においては常に 初めから上述した第 2のパラメータ群を入力しておく必要はなく、 系のエネルギを計算するを前においてそれらの情報を用いること ができる状態になっていれば良い。
[0035] 上記キヤ リアの軌道と上記第 2のパラメ一タ群とを用いて上記 系の全エネルギを求めるのであるが、 本発明においては系の全ハ ミルト二アン演算子の固有値問題を摂動近似を用いて計算する。 この全ハミルトニアン演算子は、 系内の全キヤ リァに対する運動 ェネルギ演算子と、 これらのキャ リアに対するポテンシャルの和 で与えられる。 このポテンシャルとしては例えば、 空間に固定さ れた原子核とキヤリアのクーロン相互-作用、 キャ リア同 15志のク —ロン相互作用及び原子核同志のクーロン相互作用に基づくポテ ンシャルェネルギの和を用いるとよい。 有効な摂動近似として、 全ハミルトニアン演算子のうち、 記述したキヤ リアの 1体ハミル トニアンからなる項を非摂動項として選択し、 上記複数のキヤ リ ァ配置についてその固有値を求める。
[0036] また、 上記軌道と上記第 2のパラメータ群とを用いて上記系の 全ハミルトニアンを残りの成分を摂動項としてその補正値を上記 複数のキャ リア配置について計算する (多体摂動近似) 。 摂動項 に後に詳述する適当な近似を導入することができ、 また第 1次摂 動近似が有効である。
[0037] 上記固有値と上記補正値の計算結果は個別に若しくはそれらの 値の和として出力表示装置に表示される。
[0038] 本発明の他の 1局面によれば、 複数の原子よリなる系の原子配 置を特定する第 1のパラメータ群に基づき、 上記系内に存在する キヤリアの配置情報とは独立にあらかじめ系内のキヤ リァ軌道を 求める第 1のステップと、
[0039] 上記系内の電子等のキャ リア配置情報であって、 複数のキヤ リ ァ配置を特定するための第 2のパラメ一タ群及び上記求めたキヤ リァ軌道から上記系のエネルギを求める第 2のステツプと、 を有する材料設計や探索に十分な精度を有し、 かつ材料探索に実 用可能な計算処理速度を有する材料設計支援方法が提供される。 本発明の限定された 1局面によれば、 上記第 2のステップは摂 動近似により上記系のエネルギを求める材料設計支援方法が提供 される。
[0040] 本発明の更に限定された 1局面によれば、 上記第 2のステップ は上記摂動近似として上記系の全ハミルトニアン演算子のうち、 上 Ϊ5キヤリアの 1体ハミルトニアンの和で表される項を非摂動項 として選択するステップを有する材料設計支援方法が提供される。 摂動近似における非摂動項をこのように選択することにより、 材 料設計や探索に要求される精度を一定のレベルに維持しつつ、 そ の計算処理時間を著しく低減することができる。
[0041] 本発明の他の 1局面によれば、
[0042] 複数の原子よりなる系の原子配置を特定する第 1のパラメータ 群を入力するための手段と、
[0043] 上記系内の電子等のキヤリア配置であって、 複数のキヤリア配 置を特定するための第 2のパラメータ群を入力するための手段と、 系の全エネルギを計算するための全エネルギ計算処理部であつ て、
[0044] 上記第 1のパラメータ群を用いて上記キヤリアの配置に対して 共通の、 上記キャ リアの 1体ポテンシャルを求める手段と、 上記 1体ポテンシャルを用いて上記キヤリアの軌道を求める手段と、 上記軌道と上記第 2のパラメータ群とを用いて上記系の全ハミル トニアンを構成する非摂動項の固有値を上記複数のキヤリア配置 について計算する手段と、 及び上記軌道と上記第 2のパラメ一タ 群とを用いて上記系の全ハミルトニアンを構成する摂動項の期待 値を上記複数のキヤ リァ配置について計算する手段とを有するも のと、 及び
[0045] 上記固有値と上記期待値の計算結果を表示するための手段と、 を有する材料設計や探索に十分な精度を有し、 かつ材料探索に実 用可能な計算処理速度を有する材料設計支援装置が提供される。 第 2図に本発明に係る材料設計支援装置の全エネルギ計算処理 部及び入 · 出力手段を示す。 本発明でそのエネルギ計算をするこ とができる系 (代表的には分子構造) はキャ リアとして電子を含 む系に限られるものではないが、 通常そのエネルギ計算が要求さ れる系のキャリアは電子であるため、 以下、 キャ リアとして電子 を取り上げ説明する。 第 2図で、 2 0 1は空間に固定された系内 の原子の座標 (原子配置) を含む入力データ (第 1のパラメータ) 第 2図に本発明に係る材料設計支援装置の全エネルギ計算処理 部及び入 · 出力手段を示す。 本発明でそのエネルギ計算をするこ とができる系 (代表的には分子構造) はキャリアとして電子を含 む系に限られるものではないが、 通常そのエネルギ計算が要求さ れる系のキャ リアは電子であるため、 以下、 キャ リアとして電子 を取り上げ説明する。 第 2図で、 2 0 1は空間に固定された系内 の原子の座標 (原子配置) を含む入力データ (第 1のパラメータ 群) を入力するためのキーボード等の入力手段であり、 2 0 2は L E A F 1電子ハミゾレトニアン、 すなおち上述したウイダナ一 · ザイツ型ポテンシャルを用いてキャ リア (電子) の 1体ハミル卜 二アンの行列要素を求める手段である。 本発明においては、 この L E A F 1電子ハミル卜二アンは、 第 1のパラメ一タ群から求め られる。 すなわちエネルギ計算の対象となる系内に存在する電子 の配置に関する情報 (第 2のパラメータ群) とは独立 (無関係に) 求められる。 2 0 3は電子軌道を計算する手段であり、 上記 1体 ハミル卜二アンの行列から誘導される行列を対角化することによ リ、 系内の電子軌道を計算する。 本発明においては、 この段階に 到るまで系の電子配置に関する特定の情報を用いることなく進行 する。 従って、 系の原子配置を共通にして、 その系について種々 の電子配置を考慮する場合には特に効率的なエネルギ計算が可能 となる。 すなわち、 対象とする系の原子配置に関するデータから 求められる電子軌道を求めたら、 それを記憶手段に格納しておき、 後のステツプにいて適宜読み出すようにすることができる。
[0046] ここで求められた電子軌道と、 上記入力手段 2 0 1と同一の、 若しくは別の入力手段 2 0 4により入力される第 2のパラメ一タ 群として与えられる電子配置を含む入力データとから摂動近似に より系のエネルギを計算する。 本発明に係る材料設計支援装置は、 系の全ハミル卜二アンの非摂動項、 例えば L E A F 1電子ハミル トニアンの系内の全電子に関する和、 の固有値を計算する手段 2 0 5と、 全ハミルトニアンから上記非摂動項、 例えば
[0047] L E A F 1電子ハミルトニアンの系内の全電子に関する和、 を差 し引いた残りの項の期待値を計算する手段 2 0 6とを有する。 求 められた非摂動項の固有値と摂動項の期待値とは、 加算手段
[0048] 2 0 7により加算され、 2 0 7の出力として得られる系の全エネ ルギ一を含む出力データとしてディスプレイ等の適当な出力表示 手段 2 0 8に出力される。 必要であれば、 電子軌道の情報を含む 出力データを上記系の全エネルギーを含む出力データと共に、 2 0 8と同一の、 若しくは別の出力表示手段 2 0 9に出力すると 良い。 電子軌道情報の出力は、 材料設計において有効である。
[0049] 第 3図に本発明において用いられる電子の 1体ポテンシャルを 水素原子の集合体 (H 4 ) を例示して図式的に示す。 第 3図で、 横軸 Xは電子の位置座標であり、 縦軸は電子の一体ポテンシャル エネルギであり、 C 2、 C 3及び C 4はそれぞれ水素原子 1 、 2、 3及び 4の原子領域を表す。 各原子領域内の曲線は、 孤立水 素原子の電子のポテンシャル V ( x ) を示す。 第 3図に示すよう な、 各原子領域上で定義される孤立原子の一体ポテンシャル関数 の繋ぎ合わせ、 または、 その近似を L E A Fポテンシャルと呼ぶ。 ここで、 上記孤立原子の 1体ポテンシャルは、 中性孤立状態での 他の電子からの反発ポテンシャルと原子核からの引力から構成さ れる。 但し、 上記他の電子からの反発ポテンシャルは、 各原子に 固有のものであり、 電子配置を含む入力データとは独立に定義さ れる。 従って本発明においては, 既述したとおり、 原子配置を特 定する第 1のパラメータ群としてこれらの情報を入力することが 可能である。
[0050] この L E A Fポテンシャルに電子の蓮動エネルギ演算子を加えた ものが、 L E A Fハミルトニアンである。
[0051] 第 1図は、 本発明に係る材料設計支援方法の処理の流れを示す 図である。 第 1のパラメータ群である系の原子配置データを第 2 図に示した.1体ハミルトニアンを求める手段 2 0 2によって、 第 2図の入力手段 2 0 1から読み込む (処理 1 0 1 ) 。 第 2図の 1 体ハミルトニアンを求める手段 2 0 2により読み込まれた原子配 置データ及び内蔵されている (あるいは、 やはり入力手段 2 0 1 から読み込まれた) 原子軌道に関するパラメータ (主量子数、 方 位量子数若しくは原子軌道を構成するスレ一タ型軌道の指数及び 係数) を用いて、 原子軌道間の重なり積分とセル内積分とを計算 し、 これらの積分値と、 内蔵されている (あるいは入力手段 2 0 1から読み込まれた) 原子軌道エネルギの乗算、 及び加減算 によ り、 1体ハミノレ卜二アンの行列、
[0052] h = s w e S
[0053] を求める。 但し、 sは重なり積分の行列、 wはセル内積分の対角 行列、 eは原子軌道エネルギの対角行列である (処理 1 0 2 ) 。 この処理 1 0 2で作成された行列を第 2図の電子軌道を計算する 手段 2 0 3で重なり積分の平方根を用いて変換し、 対角化するこ とによリ電子軌道と電子軌道エネルギーを計算し、 第 2図の系の 全ハミルトニアンの非摂動項の固有値を計算する手段 2 0 5、 全 ハミルトニアンから上記非摂動項を差し引いた残リの項の期待値 を計算する手段 2 0 6及び出力表示手段 2 0 9へ出力する (処理 1 0 3 ) 。 第 2図の入力手段 2 0 4から電子配置情報を第 2図の 系の全ハミルトニアンの非摂動項の固有値を計算する手段 2 0 δ 及び全ハミルトニアンから上記非摂動項を差し引いた残りの項の 期待値を計算する手段 2 0 6により読み込む (処理 1 0 4 ) 。 第 2図の系の全ハミルトニアンの非摂動項の固有値を計算する手段 205において、 読み込まれた電子配置情報 ( Vい V 2 , · · · , V d) と、 電子軌道を計算する手段 2 0 3により求められた電子 軌道エネルギ ( ε ε 2, · · ♦ , ε d) とから非摂動項の固有 値、
[0054] Ό =∑ i€ i を計算する (処理 1 0 5 ) 。 また、 第 2図の全ハミルトニアンか ら上記非摂動項を差し引いた残りの項の期待値を計算する手段 2 06において、 読み込まれた電子配置情報と電子軌道エネルギ とから、 全ハミルトニアンから上記非摂動項を差し引いた残りの 項 H' の期待値、
[0055] Φ* Η' Φ d て
[0056] を計算する (処理 1 0 6) 。 但し、 Φは電子配置の状態関数であ リ、 τは空間の座標を示し、 積分は空間について行う。 処理 1 0 7は、 第 2図の加算手段 20 7で、 Ε。と £ が加算すること により全エネルギーが計算されること
[0057] を示す。 第 2図の 2 0 7で計算された全エネルギーは、 第 2図の 出力表示手段 208に出力される (処理 1 0 8 ) 。
[0058] 上記目的を達成させるために、 第 2図では、 全エネルギー計算 処理部に、 一電子ハミルトニアン生成手段として、 L E AFハミ ルトニアンの生成手段 (2 02 ) を採用し、 摂動項の期待値を計 算する手段 (2 0 6) と非摂動項の固有値に摂動項の期待値を加 算する手段 (20 7) を組み込んだものである。
[0059] 次に第 1図に示した本発明に係る材料設計支援方法の流れを第 7 A図の装置構成図および第 Ί B'図の本発明のプロフラム構成図 を用いて説明する。 第 1のパラメータ群である系の原子配置データを第 7 A図のキ 一ボード等の入力装置 705あるいはディ スク等の補助メモリ 703からワークメモリ 702に読み込む (処理 1 01 ) 。 本発 明で用いる各入力データ、 出力データは入力装置であるキーボ一 ド 705、 及び出力装置であるディスプレイ 706を制御するた めの I ZO制御プログラム 74 1により、 入 ' 出力が制 15御され る。 プログラムメモリ 704に内蔵された原子軌道に関するパラ メータ 722あるいは原子軌道エネルギを変更する場合には、 キ —ボード 705あるいは補助メモリであるディスク 703から変 更部分をワークメモリ 702に入力する。 ワークメモリ 702は プログラムメモリ 704に格納されたワークメモリ管理プログラ ム 742により管理される。 なお、 図ではプログラムメモリ 704とワークメモリ 702を別々に表したが、 通常これらのメ モリは一つのメモリ内に異なったメモリエリアとして与えられる ものである。
[0060] ワークメモリ 702に格納された原子配置データと、 変更原子 軌道パラメ一タ及びプログラムメモリ 704に格鈉された重なリ 積分計算プログラム 743とセル内積分計算プログラム 744と 内蔵原子軌道パラメ一タ 745を用いて C PU 70 1により重な リ積分行列とセル内積分の対角化行列を計算し、 ワークメモリ 702に格钠する。 ワークメモリ 702に格納された変更原子軌 道エネルギと原子配置データ及びプログラムメモリ 704に格鈉 された内蔵原子軌道パラメ一タ 745内の内蔵原子軌道エネルギ と原子軌道エネルギ対角行列生成プログラム 746を用いて、 CPU 70 1により原子軌道エネルギ対角行列を作成し、 ワーク メモリ 702に格納する。
[0061] ワークメモリ 702に格納された重なり積分行列 (S) 、 セル 内積分の対角行列(W)、 及び原子軌道エネルギの対角行列(e ) 、 そしてプログラム 10メモリ 704に格納された上記行列の乗算プ ログラム 74 7を用いて、 C PU 7 0 1により、 1体ハミノレトニ アンの行列、
[0062] h =SWeS
[0063] を計算し、 ワークメモリ 702に格納する (処理 1 02) 。
[0064] 次にワークメモリ 702に格納された 1体ハミルトニアンの行 列と重なり積分の行列、 プログラムメモリ 704に格納された重 なり積分の平方根による行列変換のプログラム 748と行列の対 角化プログラム 749を用いて、 C PU 70 1により電子軌道と 電子軌道エネルギを計算し、 ワークメモリ 702に格納すると共 に、 適宜、 ディスプレイ 706に出力したり、 ディスク 703に 出力する (処理 103) 。
[0065] 次に、 電子配置情報を第 7図のキーボード 705あるいはディ スク 703から、 ワークメモリ 702により読み込む (処理 1 04) 。
[0066] 次に、 ワークメモリ 702に格鈉された電子配置情報 ( V い V 2 , ' ' ' ' V d) と、 ワークメモリ 702に格納された上記鼋 子軌道エネルギ ( ε ι, ε · · · , £ d) と、 プログラムメモ リに格納された非摂動項の固有値計算プログラム 750を用いて 非摂動項の固有値、
[0067] E。 = .∑ i ε i
[0068] を計算し、 ワークメモリ 702に格納する (処理 1 05) 。 また、 ワークメモリ 702に格納された電子配置情報と電子軌 道と原子配置データ及びプログラムメモリ 704に格納された全 ハミルトニアンから上記非摂動項を差し引いた残りの項 (摂動項) の期待値を計算するためのプログラム 75 1を用いて、
[0069] CPU 70 1により摂動項の期待値 E,を計算し、 ワークメモリ 702に格鈉する (処理 1 06) 。
[0070] 処理 1 07は、 ワークメモリ 702に格納された E。と とプ ログラムメモリ 704に格納された E 0と E 1の加算プログラム 752を用いて CPU 701により全エネルギを計算し、 ワーク メモリ 702に格鈉することを示す。
[0071] ワークメモリに格納された全エネルギは、 ディスク 703に格 納されるか、 ディスプレイ 706に出力される (処理 1 08) 。
[0072] 第 7 B図には、 物性値計算プログラム 753及び重要原子配置 計算プログラム 754を示したが、 これらに関しては後の本発明 を実施するための最良の形態の項で説明する。 本発明の一つの特 徴は、 上述した通り、 系の全エネルギ計算までのステップ及びそ のための装置構成にあり、 これを有効に活用するための 1例が後 の実施例に記載するものである。
[0073] 本発明の更に他の限定された 1局面によれば、 計算労力の軽減 と理論式の 10簡明化のために、 第 1図の処理 1 06において、 上 記摂動項を各原子内のス 15ピン数の関数に近似する。 各原子内の スピン数の期待値 (スピン密度) を求める方法として、 例えば、 マリケンのポピュレーション · アナリシスを用いることができる。 本発明の更に他の限定された 1局面によれば、 スピンが重要で はない問題への適用において、 理論式のいっそうの簡明化のため に、 第 1図の処理 1 0 6において、 摂動項を各原子内の電子数の 関数に近似する。 各原子内の電子数の期待値を求める方法として、 例えば、 マリケンのポピュレーション ' アナリシスを用いること ができる。
[0074] 本発明によれば、 材料設計に向いた簡明さを保ちながら、 少な い計算労力で、 信頼性が高い材料設計支援が実現される。
[0075] また、 本発明によれば、 系の種々の電子配置について効率的に エネルギ計算をすることが可能となる。
[0076] 本発明の更に他の利点は、 後に詳細に説明する本発明を実施す るための最良の形態を読み、 理解する当業者にとり明らかであろ う。 '
[0077] 図面の簡単な説明
[0078] 第 1図は本発明のエネルギー計算処理部の処理の流れを示す図 である。
[0079] 第 2図は本発明の全エネルギー計算処理部を示す図である。 第 3図は本発明の全エネルギー計算処理部において採用される L E A Fポテンシャルの 1例を図式的に示したものである。
[0080] 第 4図は本発明の一実施例の材料設計支援装置の全体構成を示 す。
[0081] 第 5図は本発明によるフッ化水素の全エネルギーの計算結果を 示す。
[0082] 第 6図は本発明によるアルシンの全エネルギーの計算結果を示 す。
[0083] 第 7 A図は本発明に係る材料設計支援方法の流れを計算装置の 構成に沿って説明するための計算装置の 1構成例を示す図である 第 7 B図は本発明に係る材料設計支援方法及び装置のプログラ ムメモリの 1構成例を示す図である。
[0084] 発明を実施するための最良の形態
[0085] 本発明においては、 例えば第 2図の期待値を計算する手段
[0086] 2 0 6、 正しい全ハミルトニアン Ηと L E A F 1電子ハミルト二 アンの和∑ h ( i ) の間の差 Δを摂動項として第一次摂動論によ リ補正しているので、 期待値を計算する手段 2 0 6と加算手段 2 0 7を含まない従来の拡張ヒュッケル法よリも明らかに定量性 において改善される。 また、 ハ一トリー ' フォック法と比較する と、 本発明は、 1電子ハミルトニアンの生成手段として、 電子配 置に依存して他の電子数を過大あるいは過小評価することのない L E A Fハミルトニアンを採用しているので (第 2図の 1体ハミ ルトニアンの行列要素を求める手段 2 0 2 ) 、 第 2図の期待値を 計算する手段 2 0 6と加算手段 2 0 7による第一次補正は、 全て の電子配置に対して適用可能である。 しかも、 第 2図の期待値を 計算する手段 2 0 6と加算手段 2 0 7による一次補正は、 摂動項 Δの期待値、
[0087] J Φ 厶 Φ d π
[0088] 計算し、 非摂動項の固有値に加えるだけで達成されるので、 拡張 ヒュッケル法と同様に計算労力は大きくない。 さらに、 この期待 値は、 原子の電荷の二次闋数として近似でき、 全ハミルトニアン Ηと一電子ハミルトニアン h ( i ) との関係は箇明であるので、 出力後の利用者による全エネルギーの解析は容易である。 以上か ら、 本発明の全エネルギー処理部を含む材料設計支援装置は、 材 料設計や探索に十分な精度を有し、 材料探索に使用可能な計算処 理速度を有し、 そして、 材料設計に使用可能な簡明な理論構成
[0089] (式 ( 1 ) ) を有することがわかる。 そして、 精度において、 拡 張ヒュッケル法よリも優れており、 計算処理速度と理論構成の簡 明さにおいて、 ハートレー ' フォック法ゃ C I法よりも優れてい る。
[0090] スピンが重要ではない問題への適用において、 理論式のいつそ うの箇明化のために、 第 2図の期待値を計算する手段 2 0 6にお いて、 摂動項 Δを各原子上の電子数の関数 (Κ ( α ) ) に近似す る場合、
[0091] Η = ∑ h ( i )
[0092] + Σ (1/2)Κ(α ) (Κ( α) + 1 ) γ ( α)
[0093] +≤Κ {α)Κ( β)/ ί (Rai5)
[0094] + (定数) (3)
[0095] となる。 ただし、 y ( a ) は原子内電子間反発エネルギー、 f (R ) は a番目の原子と /3番目の原子との間の距離 R の関数 である。 たとえば、 f (R )= { (4)
[0096] Re (R ≤Rep )
[0097] ただし、 R ° は原子種 aと j3との最短距離である。 したがって 第一次摂動論により全エネルギは
[0098] E = ∑ ε ( i )
[0099] +∑ (l/2)Q (a) (Q ( a) - 1 ) y (a )
[0100] + ¾Q (a) (Q( j3)/ f (Ra,)
[0101] + (定数) (5)
[0102] となる。 ただし、 ε ( i ) は占有された電子軌道のエネルギー、 Q ( a ) は各原子の電荷である。 式 (5 ) からわかるように、 第 2図の期待値を計算する手段 2 0 6と加算手段 2 0 7により系内 の電荷分布を考慮した第 1次補正項が加えられるので、 定量性が 改善される。 しかも、 第 1次補正項は、 各原子の電荷の簡単な関 数であり、 直感的に把握しやすい量であるので、 出力後の利用者 による Eと∑ s との関係、 すなわち、 Hと∑ hの関係の解析は、 非常に簡明となる。 したがって、 本発明による全エネルギー計算 処理部を含む材料設計支援方法および装置は、 より一層、 材料設 計や材料探索に向いている。
[0103] 以下、 本発明の実施例を図面を用いて説明する。
[0104] 実施例 1
[0105] まず、 本発明の一実施例の材料設計支援装置の全体構成を第 4 図に示す。 第 4図で、 4 0 1は、 データ ·ベ一スゃコンソールか ら入力される既知材料の組成や原子配置などの実験データやこの 装置による計算結果を一時的に収容する入力ファイルであリ、 4 0 2は材料内の安定状態や遷移状態などの重要原子配置を探索 するための処理部であり、 4 0 3は 4 0 2から入力された原子配 置と電子配置に対して系の電子軌道と全エネルギーを計算し出力 する全エネルギー計算処理部であり、 4 0 4は系の種々の物性値 の計算処理部であり、 4 0 5は電子軌道の表示データの計算処理 部であり、 4 0 6は処理装置から出力される系の重要原子配置に 対する系の全エネルギーや種々の物性値を含む出力ファイルであ リ、 4 0 7は既知材料に関するデータやこの装置による計算結果 を蓄積収鈉子、 かつ整理、 制御するデ一タ · ベースであり、 8は 出力データを表示したり、 データ ·ベースを管理制御したり、 入 力データを生成するコンソールである。
[0106] 第 4図を用いて、 本発明の 1実施例に係る材料設計支援装置に おける処理の流れを以下に示す。 まず、 4 0 7から 4 0 1に既存 の材料の中で要求特性に関連する材料のデータが送られ、 処理装 置で関連材料の電子軌道と物性値が計算され、 4 0 8に表示され る。 この計算値と関連材料の実験データは 4 0 7で制御、 整理さ れ、 4 0 7に格納され、 4 0 8に表示される。 この表示データに 基づいて利用者により提案される新規組成および新規構造の材料 のデータが 4 0 8を通じて 4 0 1に送られる。 処理装置で新規提 案材料の重要原子配置、 電子軌道、 全エネルギー、 および種々の 物性値を計算し、 4 0 8に表示する。 計算結果が要求を満足する ものであれば、 材料設計は終了し、 その新規材料は合成すべき候 補材料として登録される。 計算結果が満足すべきものではない場 合は、 その計算結果と 4 0 7に含まれる関連データを 4 0 7で制 御、 整理し 4 0 8に表示される。 この表示データに基づき利用者 により提案される新規材料の入力データについて上と同様の処理 が行なおれる。
[0107] 本発明の材料設計支援装置と方法の特徴のひとつは処理装置に おいて行なわれる処理部 4 0 3における系の全エネルギー計算法 にある。
[0108] 本発明における全エネルギー計算は第 2図に示すように、 指定 電子配置に対する軌道エネルギーの総和、 すなわち非摂動項の固 有値 (E D ) に指定電子配置に対する摂動項の期待値、 すなわち、 第一次補正項 (E J を加えているので、 従來の拡張ヒュッケル 法に比べ定量性の高い計算が可能となった-
[0109] - 1 δ
[0110] 実施例 2 フッ化水素 (HF)
[0111] 本発明の他の一実施例を第 5図によリ説明する。 本実施例の材 料設計支援装置の全体構成、 材料設計全体の処理の流れ、 および 全エネルギー計算の処理の流れは、 実施例 1と同様である。 δ 第 0次近似 (従来法) の結果と全ハミルトニアンの摂動項 Δを 各原子内の過剰電子数の関数に近似した場合の第 1次近似 (本発 明) の結果を第 5図に示す。 ただし、 第 0次近似計算は L E AF 法 (公知例 2) で行ない、 原子軌道はスレ一タ型とした。 第 1次 近似計算では、 上に例示した f (R„,) を用い、 RHF f = 0.9 10 Aとした。 その他のパラメ一タを表 1に示す。 表 1
[0112] 原子 軌道 原 子 内
[0113] 元素 軌道 ヅェ一タ ェ不ノレギー
[0114] ( e V) ( e V)
[0115] Η 1 s 1.0000 -13.60 17.00
[0116] F 2 s 2.5639 -37.86 19.53
[0117] 2 Ρ 2.5500 -18.65
[0118] HF距離の変化に伴う第 1電子配置 (平衡距離における基底状 態) および第 2電子配置 (homo σ*) のエネルギーの変化が示
[0119] 20 されている。 第 2電子配置については、 従来法 (第 0次近似) と 本発明 (第 1次近似) の間にはほとんど差がない。 ところが、 第 1電子配置については、 解離状態 (HF距離 >4 Aにおいて、 従来法 (破線) と本発明 (実線) の間には著しい差がある。 この 結果として、 従来法では、 (H+ F) 解離状態よりも (H +十 F+)
[0120] 25 解離状態が安定であることになるが、 これは実験事実に反する。 これに対して、 本発明によれば、 解離状態の実験事実を正しく反 映する。
[0121] 実施例 3 アルシン (A s H3)
[0122] 以下、 本発明の一実施例を第 6図により説明する。 本実施例の 材料設計支援装置の全体構成、 材料設計全体の処理の流れ、 およ び全エネルギー計算の処理の流れは、 実施例 1と同様である。 第 0次近似 (従来法) の結果と全ハミルトニアンの摂動項 Δを 各原子上の過剰電子数の関数に近似した場合の第 1次近似 (本発 明) の結果を第 6図に示す。 ただし、 第 0次近似計算は LE A F 法 (公知例 2) で行ない、 電子軌道はスレ一タ型とした。 第 1次 近似計算では、 上に例示した f (R^)を用い、 RASH° = 1.5 A と した。 その他のパラメータ を表 2 に示す。
[0123]
[0124] ZHA s Hを 92.1° に固定し、 C3v対象を保持する条件で、 A s H距離の変化に伴う第 1電子配置 (平衡距離における基底状 態) および第 2電子配置 (解離状態が A s + 3Hとなるようなも ので最も安定なもの) のエネルギーの変化が示されている。 第 2 電子配置については、 従来法 (第 0次近似) と本発明 (第 1次近 似) の間にはほとんど差がない。 ところが、 第 1電子配置につい ては、 解離状態 ( 311距離>4 ) において、 従来法 (破線) と本発明 (実線) の間には著しい差がある。 この結果として、 従 来法では、 (A s + 3H) 解離状態よりも (A s3 + 3H + ) 解離 状態が安定であることになるが、 これは実験事実に反する。 これ に対して、 本発明によれば、 解離状態の実験事実を正しく反映す る。
[0125] 実施例 4
[0126] 本発明の他の 1実施例を第 7 A図及び第 7 B図を用いて説明す る。
[0127] まず、 プログラムメモリ 704内の I ZO制御プログラム
[0128] 741によって、 既知材料に関するデータが収納されているディ スク 703から、 要求特性に関連する材料のデータがディスプレ ィ 706に表示され、 かつ関連材料の原子配置と電子配置がディ スク 703からワークメモリ 702に格鈉される。 第 1図、 第 7 A図及び第 7 B図を用いて既に説明した通り、 関連材料の電子 軌道と系の全エネルギが計算され、 ワークメモリ 702とデイス ク 703に格鈉され、 ディスプレイ 706に表示される。 更に、 求めようとする物性値が、 プログラムメモリ 704に収鈉された 物性値計算プログラム 753とワークメモリ 702に格納された 原子配置、 電子配置及び電子軌道を用いて、 CPU 701により 計算され、 ワークメモリ 702とディスク 703に格鈉され、 デ イスプレイ 706に表示される。 ディスプレイ 706表示された 関連材料の電子軌道、 全エネルギ及び物性値に基づいて利用者に よリ提案される新規組成及び新規構造の材料の所期原子配置及び 電子配置がキーボード 705から入力され、 ワークメモリ 702 に格鈉される。 本発明の全エネルギ計算の処理と組み合わせて、 プログラムメモリ 7 0 4に格納された重要原子配置を搮索するブ ログラム 7 5 4と上記物性値の計算プログラム 7 5 2及びワーク メモリ 7 0 2に格納された新規提案材料の所期原子配置と電子配 置を用いて C P U 7 0 1により新規提案材料の重要原子配置、 電 子配置、 全エネルギ及び上記物性値を再び上述したステツプによ リ計算し、 ワークメモリ 7 0 2に格鈉し、 ディスプレイ 7 0 6に 表示する。 計算結果が満足なものであれば、 材料設計は終了し、 7 0 2に格納されたその新規材料の重要原子配置、 電子配置、 電 子軌道及び物性値は、 合成すべき候補材料のデータとして、 ディ スク 7 0 3に格納される。 計算結果が満足すべきものでない場合 には、 ディスク 7 0 6に表示される関連材料及び前回提案の新規 材料の電子軌道、 重要原子配置、 物性値等に基づき、 前回の新規 材料提案後と同様の処理を行う。
[0129] 本発明の材料設計支援方法及び材料設計支援装置の特徴のひと つは、 プログラムメモリ 7 0 4に収納された系の全エネルギ計算 処理にある。
[0130] 本発明における全エネルギ計算処理は、 第 1図で説明した処理 の流れに示したように、 指定電子配置に対する軌道エネルギの総 和、 すなわち非摂動項の固有値 (E。) に指定電子配置に対する 摂動項の期待値、 すなわち第 1次摂動項 (E J を加えているの で、 従来の拡張ヒュッケル法に比べ定量性の高い計算が可能とな つた- 本発明は、 上記説明においては第 1次摂動近似について述べて きたが、 第 2次摂動近似を含む他の近似を用いることができる。 但し、 第 2次摂動近似を用いる場合には計算時間が長くなる
权利要求:
Claims請 求 の 範 囲
1 . 複数の原子よりなる系の原子配置を決定する第 1のパラ —タと、 上記系内のキヤ リア配置を決定する第 2のパラメータと を入力し、 上記入力された第 1のパラメ一タに基づきキヤ リアに 対する共通の 1体ポテンシャルを求め、 この求められた 1体のポ テンシャルに基づくキヤ リアの軌道を求め、 この求められたキヤ リアの軌道と上記入力された第 2のパラメータに基づき系の全ェ ネルギ一を表すハミルトニアンを構成する非摂動項の固有値を計 算し、 上記キヤ リアの軌道と上記第 2のパラメ一タとから系の全 エネルギーを表すハミルトニアンを構成する摂動項の期待値を計 算する材料設計支援方法。
2 . 請求項 1に記載の材料設計支援方法において、 前記 1体ポ テンシャルは前記キヤ リアの全てに対して共通の形をしている材 料設計支援方法。
3 . 請求項 1に記載の材料設計支援方法において、 前記第 2の パラメータは複数種類のキャ リァ配置に対する情報を含む材料設 計支援方法。
4 . 請求項 1に記載の材料設計支援方法において、 前記摂動項 の期待値は第 1次摂動近似による第 1次補正項である材料設計支 援方法。
5 . 請求項 1に記載の材料設計支援方法において、 前記キヤリ ァは電子であリ、 前記 1体ポテンシャルはウイグナ一 · ザイツ型 のポテンシャルである材料設計支援方法。
6 . 請求項 1に記載の材料設計支援方法において、 前記摂動項 の期待値は原子のスピン密度の関数である材料設計支援方法。
7 . 請求項 1に記載の材料設計支援方法において、 前記摂動項 の期待値は原子の電荷関数である材料設計支援方法。
8 . 複数の原子よりなる系の原子配置を決定する第 1のパラメ —タと上記原子内のキヤリアの配置を決定する第 2のパラメ一タ を入力するための入力装置と、 上記入力された第 1のパラメ一タ から単一原子内のキヤリアに対する共通の 1体ポテンシャルを求 め、 この求められた 1体ポテンシャルからキヤリアの軌道をもと め、 この求められたキヤリアの軌道と上記第 2のパラメータとか ら系の全エネルギーを表すハミルトニアンを構成する非摂動項の 固有値を計算し、 上記求められたキャ リアの軌道と上記第 2のパ ラメータとから系の全エネルギーを表すハミルトニアンを構成す る摂動項の期待値を計算する手段と、 この期待値を表示するため の表示装置とを有する材料設計支援装置。
9 . 請求項 8に記載の材料設計支援装置において、 前記非摂動 項の固有値を計算する手段は単一キヤリアに対するハミルトニア ンの全キヤリアに関する和を非摂動項として前記固有値を計算す る材料設計支援装置。
10. 請求項 8に記載の材料設計支援装置において、 前記非摂動 項の固有値を計算する手段はウイグナ一 ·ザィヅ型のポテンシャ ルを用いて前記非摂動項を計算する材料設計支援装置。
11 . 系の粒子の運動を決定するパラメータに基づき、 複数の粒 子が存在する系の正しい全ハミルトニアンをこの系に存在する各 粒子の 1粒子ハミルト二アンの和により近似し、 この 1粒子ハミ ルトニアンを特定の粒子配置に対して最適化することなく決定し. かつ系に存在する全ての粒子に対して共通な摂動項を用いて上記 正しぃ全ハミルト二アンと、 上記各粒子の 1粒子ハミルト二アン の和との差を摂動近似を用いて数値計算することを特徵とする材 料設計支援方法。
1 2. 請求項 11に記載の材料設計支援方法において、 前記各粒子 の 1粒子ハミルトニアンのポテンシャル項はゥィ グナ一 · ザィッ 型のポテンシャルにより求める材料設計支援方法。
13 . 請求項 12に記載の材料設計支援方法において、 前記各粒子 の 1粒子ハミルトニアンの和はウイダナ一 · ザイツポテンシャル の紫ぎ合わせ若しくはその近似である材料設計支援方法。
14 . すべての核が空間に固定されている分子あるいは原子の集 合体の全ハミルトニアン、 すなわち、 全電子の運動エネルギー、 核と電子との間のポテンシャル、 電子間のポテンシャル、 および 核間のポテンシャルの総和からなる全エネルギー演算子の固有値 を計算するとき、 その一体ポテンシャル項が各原子領域上で定義 される孤立原子の一体ポテンシャル関数の紫ぎ合わせ、 または、 その近似である所の一電子ハミルトニアンの全電子に関する和を 非摂動項とする第一次多体摂動論を用いることを特徴とする材料 設計支援方法。
15 . すべての核が空間に固定されている分子あるいは原子の集 合体の全ハミルトニアン、 すなわち、 全電子の運動エネルギー、 核と電子との間のポテンシャル、 電子間のポテンシャル、 および 核間のポテンシャルの総和からなる全エネルギー演算子の固有値 を計算するとき、 その一体ポテンシャル項が各原子領域上で定義 される孤立原子の一体ポテンシャル関数の繫ぎ合わせ、 または、 その近似である所の一電子ハミルトニアンの全電子に関する和を 非摂動項とする第一次摂動論を用いることを特徴とする材料設計 支援装置。
16. 前記摂動項の期待値が各原子のスピン密度の関数である請 求項 14記載の材料設計支援方法。
17. 前記摂動項の期待値が各原子のスピン密度の関数である請 求項 15記載の材料設計支援装置。
18. 前記摂動項の期待値が各原子の電荷の関数である請求項 14 記載の材料設計支援方法。
19. 前記摂動項の期待値が各原子の電荷の関数である請求項 15 記載の材料設計支援装置。
20. 請求項 1に記載の材料設計支援方法において、 前記固有値 (軌道エネルギ) が + 0 . 1 e Vよりも小さい 1体ハミルトニア ンを用いる材料設計支援方法。
21 . 請求項 8に記載の材料設計支援装置において、 前記固有値 (軌道エネルギ) が + 0 . 1 e Vよりも小さい 1体ハミルトニア ンを用いる材料設計支援装置。
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EP0431189A4|1992-04-22|
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1991-06-12| WWP| Wipo information: published in national office|Ref document number: 1990909387 Country of ref document: EP |
1994-08-09| WWW| Wipo information: withdrawn in national office|Ref document number: 1990909387 Country of ref document: EP |
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