鉄リッチ硫酸塩廃棄物、採鉱残留物、および酸洗い液から金属鉄および硫酸の有価分を回収するための電気化学プロセス
专利摘要:
鉄リッチ金属硫酸塩廃棄物から金属鉄または鉄リッチ合金、酸素、および硫酸を回収するための電気化学プロセスが説明される。概して、電気化学プロセスは、鉄リッチ金属硫酸塩溶液を供給する段階と、電解槽内で鉄リッチ金属硫酸塩溶液を電解する段階であって、この電解槽は、鉄の過電位以上の水素過電位を有する陰極を備え約6.0未満のpHを有する陰極液を入れた陰極室と、陽極を備え陽極液を入れた陽極室と、アニオンが通過できるセパレータとを含む、段階と、電解析出された鉄または鉄リッチ合金、硫酸、および酸素ガスを回収する段階とを含む。鉄リッチ金属硫酸塩溶液を電解すると、鉄または鉄リッチ合金が陰極のところに電解析出され、発生期酸素ガスが陽極のところに発生し、硫酸が陽極室内に蓄積し、鉄欠乏溶液が生成される。 公开号:JP2011516730A 申请号:JP2011503319 申请日:2009-04-14 公开日:2011-05-26 发明作者:フランソワ・カルダレッリ 申请人:フランソワ・カルダレッリ; IPC主号:C25C1-06
专利说明:
[0001] 本発明は、鉄リッチ金属硫酸塩廃棄物から金属鉄、鉄リッチ合金、酸素、および硫酸の有価分を回収するための電気化学プロセスに関する。より具体的には、ただし排他的ではなく、本発明は、コッパラス、鉄リッチ硫酸塩液、使用済み硫酸浸出液、酸洗い液、または採鉱、冶金、化学、および二酸化チタン顔料産業における副産物などの他の鉄リッチ金属硫酸塩液または溶液などの鉄リッチ金属硫酸塩廃棄物から金属鉄、鉄リッチ合金、酸素、および硫酸を回収するための電気化学プロセスに関する。] 背景技術 [0002] 硫酸塩法による白色二酸化チタン顔料の製造では、まず、チタンリッチ原料(例えば、イルメナイト、チタンスラグ)を含水率が0.1wt.%未満になるまで乾燥させる。次いで、乾燥原料をボールミルですりつぶし、平均粒子サイズを約40μmにする。チタンスラグが使用される場合、その後の温浸で生じる危険な水素ガス発生を防ぐために磁選を用いて微量の遊離金属鉄を除去する。] [0003] その後、すりつぶした材料(例えば、イルメナイト、チタンスラグ、またはブレンド)を濃硫酸(93〜98wt.%のH2SO4)と混合する回分温浸段階を実行する。酸価(硫酸と原料との質量比)は、その後の加水分解段階におけるH2SO4とTiO2の最終比が約1.8となるように選択される。反応は、通常、過熱蒸気を注入することによって開始する。初期温度は、約70℃まで上昇するが、これは、もっぱら、硫酸の水和反応のエンタルピーによるものである。温度は、硫酸化反応それ自体によって放出されるエンタルピーによって約220℃までさらに上昇する。混合液は、数時間の間約220℃のまま放置される。] [0004] 次いで反応ケーキ状固形物を冷水に溶かして早すぎる加水分解を回避する。チタンスラグが使用される場合、三価チタンカチオン(Ti3+)(レドックス対の標準電極電位が負であるため[E0298.15k(TiO2+/Ti3+)=−0.100V/SHE])が、レドックス反応Ti3++Fe3++H2O → TiO2++Fe2++2H+に従ってすべての第二鉄(Fe3+)を還元する[E0298.15K(Fe3+/Fe2+)=+0.710V/SHE]。イルメナイトを使用する場合、レドックス反応Fe0(S)+Fe3+ → 2Fe2+に従ったすべての鉄カチオンを還元するためにスクラップ鉄金属(Fe)を加えなければならない。] [0005] 次いで、この溶液を、沈殿により澄清化させ、回転式真空フィルタを使用して濾過して、未溶解の残留物を除去する。澄清化された液体は、チタンスラグのみが使用される場合には、約200〜300g/Lの硫酸チタニル(TiOSO4)と約30〜50g/Lの全鉄を含む。しかし、イルメナイトが使用される場合、全鉄の最大120〜150g/Lが、溶液中に存在する(スクラップ金属鉄の添加による鉄カチオンの還元の後に)。鉄リッチ溶液を冷やして、天然に鉱物として発見されるときにはコッパラスまたは緑礬と呼ばれる、硫酸鉄(II)七水和物(FeSO4.7H2O)を結晶化させる。] [0006] 残りの枯渇液は、約170〜230g/LのTiO2、20〜30g/Lの鉄、および20〜28wt.%のH2SO4を含む。チタンオキシ水和物を95〜110℃の加水分解によって沈殿させ、濾過し、洗浄し、乾燥させ、顔料添加物を添加し、最後に800〜110℃でか焼して、所望の白色顔料を生成する。加水分解の後、使用済みの液体は、約20wt.%のH2SO4および約20〜30g/Lの鉄を含む。] [0007] イルメナイトが原料として使用される場合、著しい量のコッパラスおよび鉄リッチ硫酸塩液が副産物として生成される。これらの副産物は、大半が、硫酸第一鉄および使用済みの硫酸またはこれらの組み合わせを含むものとしてよい。実際の副産物は、実際にはさらに複雑であるが、それは、これらがコッパラス結晶の洗浄が完全でない場合に他の金属硫酸塩で汚染された上記の塩で本質的に構成される廃棄物からなるものであるからである。] [0008] 六価クロムに関係する危険を防ぐために廃水処理における凝集剤としてまたはセメントに加える添加剤としてのコッパラスの商品化は、その鉄含有量およびその低い市場価格と比較した製品の重要な量がネックとなっている。したがって、鉄を金属として集め、硫酸塩廃棄物から硫酸を回収すると、廃棄物の管理の手間およびその関連するコストが大幅に低減される。] [0009] 現在まで、酸洗い液から使用済みの硫酸を回収するために使用される透析および溶剤抽出を除き、二酸化チタン顔料産業において副産物として生じる廃棄物から金属鉄と硫酸の両方を回収するために電気化学プロセスは一切使用されてこなかった。] [0010] 従来技術から、鉄含有溶液から鉄金属を電解析出させることに関して18世紀の後半以降に広範な研究がなされたことはわかる。実際、鉄金属を電気メッキまたは電解精製するためのさまざま方法が知られている。通常、これらのプロセスの目的は、高純度の電解鉄金属を、またそれよりは程度が落ちるが、純粋な鉄金属粉末を調製することである。通常、もっとも一般的な電解は、塩化第一鉄[1]および硫酸第一鉄[2]または両方の混合物に基づいていた。] [0011] これら知られている電気化学プロセスの大半は、陰極で鉄金属を電解析出させるように本来設計されているが、陽極反応は、通常、不純物を含む鉄、銑鉄、バルク形態の、または不溶性のスラッジを保持するためのガラス布もしくはOrlon(登録商標)およびDynel(登録商標)などの合成繊維で作られた袋に入れた破片もしくは削りくずの軟鋼で作られた可溶性陽極の陽極溶解を伴っている。このようなプロセスでは、消耗品タイプの陽極を使用すると、鉄カチオンを槽に連続的に確実に供給することができ、硫酸塩電解液中に通常生じる腐食性発生期酸素の発生などの望ましくない陽極反応が回避された[3、4]。] [0012] これらのプロセスはどれも、鉄リッチ金属硫酸塩溶液から鉄および硫酸を効率よく同時に回収することができなかった。鉄担持硫酸塩溶液から鉄金属を電解回収する試みのみが、Pyrorプロセスであり、これは、近年になって検討されている[5]。このプロセスにおいて、鉄リッチ硫酸塩液を、鋼鉄陰極、鉛陽極、およびさまざまな布材料で作られた仕切板を備える2室電解槽内で電解した。陰極液中の第一鉄の濃度が低い(25g/L Fe)ため、約90〜100g/L Na2SO4の最終濃度に到達するように硫酸ナトリウム十水和物を支持電解質として添加した。陽極液は、55〜60g/Lの硫酸、55〜65g/Lの硫酸ナトリウム、および25g/Lの第二鉄からなるものであった。電解は、250A/m2の低電流密度の下で70℃から80℃までの範囲の温度により実行され、全体的な槽電圧は3.75Vであり、陰極電流収率は85%であった。] [0013] このプロセスの大きな制限は、(1)電流密度が低いため空時収量が0.260kg.m−2h−1と低いこと、(2)除去されなければならない硫酸ナトリウムが存在し、また第二鉄、鉛、アンチモン、およびスズにより汚染されるため、陽極液から純硫酸を回収することが不可能であること、および(3)槽電圧の上昇が報告されているため鉄金属に対するエネルギー消費量が4.25kWh/kgと高いことである。] [0014] 硫酸の不純物含有量に関する厳格な指定に鑑みて、上記の欠点があるため、このようなプロセスを二酸化チタン顔料の製造時に副産物として生じる鉄リッチ硫酸塩廃棄物から鉄および硫酸の有価分を回収するために使用することはできなかった。電解の唯一の代替手段は、溶媒抽出を使って硫酸および鉄を回収することであった[6]。しかし、今に至るまで、このようなプロセスは、法外に高い有機溶媒を必要とするため商業的に有用な規模には決して達することはなかった。] 発明が解決しようとする課題 [0015] 依然として、鉄リッチ金属硫酸塩廃棄物、特にチタン顔料産業で生じる副産物から鉄金属と硫酸の両方の有価分を回収するための効率的で経済的なプロセスが求められている。] [0016] 本発明の説明では、多数の文献を引用し、その内容は全体として参照により本明細書に組み込まれている。] 課題を解決するための手段 [0017] 本発明は、概して、鉄リッチ金属硫酸塩廃棄物から金属鉄または鉄リッチ合金、酸素、および硫酸を回収するための電気化学プロセスに関する。] [0018] 広範に請求されているように、本発明は、鉄リッチ金属硫酸塩溶液から金属鉄または鉄リッチ合金、酸素、および硫酸を回収するための電気化学プロセスに関するものであり、このプロセスは、 鉄リッチ金属硫酸塩溶液を供給する段階と、 電解槽内で鉄リッチ金属硫酸塩溶液を電解する段階であって、この電解槽は、鉄の過電位以上の水素過電位を有する陰極を備え約6.0未満のpHを有する陰極液を入れた陰極室と、陽極を備え陽極液を入れた陽極室と、アニオンが通過できるセパレータとを含む、段階と、 電解析出された鉄または鉄リッチ合金、硫酸、および酸素ガスを回収する段階と を含み、鉄リッチ金属硫酸塩溶液を電解すると、鉄または鉄リッチ合金が陰極のところに電解析出され、発生期酸素ガスが陽極のところに発生し、硫酸が陽極室内に蓄積し、鉄欠乏溶液が生成される。] [0019] 本発明の一実施形態では、鉄リッチ金属硫酸塩溶液を供給する段階は、鉄リッチ原料を浸出する段階を含む。本発明の他の実施形態では、鉄リッチ金属硫酸塩溶液を供給する段階は、コッパラスを酸性化水中に溶解する段階を含む。本発明のさらに他の実施形態では、鉄リッチ原料は、二酸化チタン顔料の製造時に副産物として生じるコッパラスおよび硫酸鉄、合成ルチルの製造時に生成されるような鉄リッチ採鉱残留物、および鉄鉱石からなる群から選択される。本発明のさらに他の実施形態では、鉄リッチ金属硫酸塩溶液は、鉄鉱石および濃縮物を使用済みの硫酸または遊離硫酸を含む使用済みの酸洗い液中に浸出または溶解することによって得られる。鉄鉱石および濃縮物の限定しない例は、酸化物、炭酸塩、および硫化物を含む。] [0020] 本発明の一実施形態では、陰極液のpHは、約0.5から約6までの範囲のpHに調節される。本発明の他の実施形態では、陰極液のpHは、約1.0から約5.0までの範囲のpHに調節される。本発明の他の実施形態では、陰極液のpHは、約1.5から約4.5までの範囲のpHに調節される。本発明の他の実施形態では、陰極液のpHは、約2.0から約4.0までの範囲のpHに調節される。] [0021] 本発明の一実施形態では、陰極において、25℃の0.5mol.dm−3のH2SO4溶液中での200A.m−2の水素カチオンの放電に対する過電圧は約466mVより大きく、25℃の1.0mol.dm−3のH2SO4溶液中での1000A.m−2の水素カチオンの放電に対する過電圧は約800mVより大きい。] [0022] 本発明の一実施形態では、陰極は、ニッケル、ニッケル合金、鉄、鉄合金、チタン、チタン合金、ジルコニウム、ジルコニウム合金、亜鉛、亜鉛合金、カドミウム、カドミウム合金、スズ、スズ合金、銅、銅合金、鉛、鉛合金、ニオブ、ニオブ合金、金、金合金、水銀、および水銀を含む金属アマルガムからなる群から選択される材料を含むか、またはその材料でコーティングされる。] [0023] 本発明の一実施形態では、電解段階は、陽極室と陰極室を分離するイオン交換膜を備える2室電解槽内で実行される。] [0024] 本発明の一実施形態では、電解段階は、陽極室と陰極室の間に配設された中央室を備える3室電解槽内で実行され、イオン交換膜は陽極室および陰極室それぞれと中央室を分離する。] [0025] 本発明の前記および他の目的、利点、および特徴は、添付図面を参照しながらほんの一例として示す、本発明の特定の実施形態の以下の非制限的説明を読むとより明らかになろう。] [0026] 図面の説明を以下に示す。] 図面の簡単な説明 [0027] pH調節鉄リッチ金属硫酸塩溶液を用いて電解を実行する、2室電解槽に基づく、本発明の第1の実施形態による電気化学プロセスのさまざまな段階を例示する段階図である。 pH調節鉄リッチ金属硫酸塩溶液を用いて電解を実行する、3室電解槽に基づく、本発明の第2の実施形態による電気化学プロセスのさまざまな段階を例示する段階図である。 電極のところに生じる電気化学反応を例示する本発明のいくつかの実施形態において使用される2室電解槽の略図である。 電極のところに生じる電気化学反応を例示する本発明のいくつかの実施形態において使用される3室電解槽の略図である。 本発明の他の実施形態による2室電解槽の略図である。] [0028] 本明細書で使用される用語を明確に、また矛盾なく理解できるようにするために、以下で多数の定義を行う。さらに、別に定義されていない限り、本明細書で使用されるすべての技術および科学用語は、本発明が関係している技術分野の当業者に通常理解される意味と同じ意味を有する。] [0029] 英文の請求項および/または明細書において、「a(1つの)」または「an(1つの)」という語は「comprising(含む)」という語と併せて使用されている場合に「one(1つの)」を意味するものとするが、「1つまたは複数の」、「少なくとも1つの」、および「1つ以上の」の意味とも矛盾しない。同様に、英文中の「another(別の)」という語は、少なくとももう1つの他のものを意味するものとしてよい。] [0030] 本明細書および請求項において使用されているように、英文中の「comprising(含む)」(および「comprise」、「comprises」などの任意の活用形)、「having(有する)」(および「have」、「has」などの任意の活用形)、「including(含む)」(および「include」、「includes」などの任意の活用形)、または「containing(含有する)」(および「contain」、「contains」などの任意の活用形)は、包括的または非限定的であり、追加の、引用されていない要素、または方法段階を除外しない。] [0031] 「約」という語は、値を決定するために使用されるデバイスもしくは方法に対する固有の誤差変化量を値が含むことを示すために使用される。] [0032] 本発明のプロセスでは、限定はしないが、例えば、チタンを含む鉄鉱石の硫酸、使用済み酸浸出液、酸洗い液、または他の鉄リッチ金属硫酸塩液もしくは溶液の硫酸中の温浸からの鉄リッチ硫酸塩廃棄物を含む、さまざまな鉄リッチ原料を使用することができる。原料は、固形、無水物、スラリー形態、または溶液とすることができる。本発明の一実施形態では、鉄リッチ原料は、二酸化チタン顔料の製造時に副産物として生じるコッパラスおよび硫酸鉄、合成ルチルの製造時に生成されるような鉄リッチ採鉱残留物、および鉄鉱石からなる群から選択される。鉄鉱石の限定しない例は、酸化物、炭酸塩、および硫化物を含む。本発明のさらに他の実施形態では、鉄リッチ金属硫酸塩溶液は、コッパラスおよび/または硫酸鉄をプロセス水または鉄を豊富に含む使用済みの酸洗い液中に溶解することによって得られる。本発明のさらに他の実施形態では、鉄リッチ金属硫酸塩溶液は、さまざまな産業プロセスにおいて生じる鉄リッチ使用済み酸洗い溶液および使用済み硫酸溶液の混合液から得られる。本発明のさらに他の実施形態では、鉄リッチ金属硫酸塩溶液は、使用済みの硫酸または遊離硫酸を含む使用済みの酸洗い液中に溶解した鉄金属および合金スクラップによって得られる。本発明のさらに他の実施形態では、鉄リッチ金属硫酸塩溶液は、酸化鉄、炭酸鉄、および硫化鉄などの鉄鉱石または濃縮物を使用済みの硫酸または遊離硫酸を含む使用済みの酸洗い液中に浸出または溶解することによって得られる。] [0033] 本明細書で使用されているように、「電解槽」という用語は、一般的に、2室または3室の電解槽を指す。本発明のプロセスにおいて使用される電解槽は、陽極室と陰極室とを備え、これらはイオン交換膜によって分離されている。] [0034] 本明細書で使用されているように、電解槽を参照する場合、「非陽極室」という用語は、2室電解槽の陰極層および/または3室電解槽の中央室を指す。さらにわかりやすくするために、それは3室電解槽の陰極室を示さない。] [0035] 本明細書において使用されているように、過電位(過電圧とも呼ばれる)という用語は、一般的に、Gerischerによって与えられた定義に従って、電流が流れているときの電極の電位と同じ実験条件に対して電解がない場合の電極電位の熱力学的値との間の差を指す。] [0036] 本明細書で使用されているように、陰極といった場合、「水素過電位」という用語は、陰極で水素カチオンを放出し、発生期水素ガスを遊離することに関連する過電位を指す。高い水素過電位を有する陰極は、電解中に水素発生を最小限に抑え、したがって、鉄の電解析出が容易に行われる。高い水素過電位を有する材料の知られている、非限定的な例は、例えば、Cardarelli[7]において示されている。有利には、陰極材料は、析出鉄金属の剥離も許容する。好適な陰極材料の非限定的な例としては、鉄、鋼鉄、ニッケル、ニッケル合金、チタン(市販純度以上)、チタン合金(例えば、チタンパラジウムASTMグレード7)、ジルコニウム(市販純度以上)、ジルコニウム合金、亜鉛(市販純度以上)、亜鉛合金、カドミウム(市販純度以上)、カドミウム合金、スズ(市販純度以上)、スズ合金、銅(市販純度以上)、銅合金、鉛(市販純度以上)、鉛合金、ニオブ(市販純度以上)、ニオブ合金、金(市販純度以上)、金合金、水銀、または水銀との金属アマルガムが挙げられる。高い水素過電位を有する陰極は、高い水素過電位を有する材料のバルクからなるものとしてよいか、またはそのような材料で単にコーティングされたものでもよいことは理解されるであろう。] [0037] 本明細書で使用されているように、陰極を記述する際に、「鉄の過電位以上の水素過電位を有する」という表現は、絶対値に関して、陰極において、200A.m−2での過電圧は25℃の0.5mol.dm−3のH2SO4中で約466mVより高く、1000A.m−2での過電圧は25℃の1.0mol.dm−3のH2SO4中で約800mVより高いことを意味する。] [0038] 一実施形態では、原料が固形および/または無水物形態である場合、本発明のプロセスは、一般的に、最初に、チタニアリッチ原料(例えば、イルメナイト、チタンスラグ)の硫酸中への温浸時に副産物として生じるコッパラス(FeSO4・7H2O)などの原料を浸出または溶解する段階を含み、その際に、a)高温の酸性プロセス水、b)高温の希釈硫酸、c)合成ルチル(例えば、Becher、Benelite)を生産するために使用されるプロセスなどにおいて還元および/または金属化されたチタン原料の硫酸による高圧浸出によってもたらされる、またはチタンスラグの硫酸による高圧浸出によってもたらされる、またはさらには鋼鉄の酸洗いの際に副産物として生じる使用済み液からもたらされる高温の使用済み鉄リッチ液のいずれか1つを使用する。完全に溶解した後、例えば、限定はしないが、炭酸第一鉄を添加することによってpHを調節し、その液を濾過して残留している、大半が水酸化第二鉄Fe(OH)3である、不溶性の固体を分離する。] [0039] 他の実施形態では、原料がすでにスラリーの形態で存在している場合、浸出が、固液分離の前に可溶性硫酸鉄を溶解するのを助長しうる。固体分離段階は、典型的には、物理的分離法によって実行され、その非限定的な例としては、デカンテーション、濾過、または遠心分離が挙げられる。本発明の一実施形態では、固液分離は、濾過を使用して実行される。] [0040] さらに他の実施形態では、原料が、透明な水性液体である場合、つまり、鉄リッチ金属硫酸塩溶液のものである場合、浸出もしくは溶解段階、または合成ルチルを生産するために使用されるプロセスなどにおける還元および/または金属化されたチタン原料の酸性浸出は、特に重要であるわけではない。] [0041] 2つの主要なプロセス変更形態は、pHが6.0未満に調節された陰極液および鉄に比べて等しいかまたは高い水素過電位を有する陰極を使用して、電解によって鉄リッチ金属硫酸塩溶液から金属鉄および硫酸の有価分を同時に回収する同じ一般的な原理に基づき、鉄リッチ金属硫酸塩溶液から硫酸、酸素、および金属の有価分を回収するために使用することができる。] [0042] 本発明の一実施形態では、陰極は、電解の開始前にエッチングされる。本発明の他の実施形態では、陰極は、シュウ酸溶液(10wt.%)を使用してエッチングされる。本発明のさらに他の実施形態では、陰極は、フルオロ硝酸混合液を使用してエッチングされる。本発明のさらに他の実施形態では、フルオロ硝酸混合液は、約70体積%の濃HNO3、約20体積%の濃HF、および約10体積%のH2Oを含む。他のエッチング溶液も当技術分野で知られており、当業者の能力の範囲内にある。] [0043] 本発明のプロセスの特定の一実施形態では、図1に示されているように、鉄リッチ金属硫酸塩溶液のpHは、最初に、限定はしないが、炭酸第一鉄または水酸化アンモニウムまたはこれらの混合物などのアルカリ試薬を使用して、約0.5から約6.0までに調節され、その後、この溶液は、すぐにでも電解に使用できる。] 図1 [0044] なおも図1を参照すると、電解段階は、電解槽の陰極室内でpH調節済みの鉄リッチ金属硫酸塩溶液を循環させることである。そこで、鉄リッチ金属硫酸塩溶液は、陰極液として働く。一実施形態では、電解槽は、アニオン交換膜によって分離された2つの槽を備える(図3に例示されているように)。陰極室は、ニッケル、ニッケル合金、鉄、鋼鉄、チタン、またはチタン合金(通常はASTMグレード7)で作られた陰極を備えるが、陽極室は、酸素の発生を促進するために二酸化イリジウムコーティング(DSA(商標)−O2)、例えば、Ti−Pd/IrO2または好ましくはTa/IrO2が施された寸法安定性陽極を有する。本発明の一実施形態では、陽極室内でループで循環する陽極液は、約30wt.%の硫酸の混合物を含む。この濃度において、陽極液は、複数の温度で優れたイオン導電率を呈示することが観察された(例えば、25℃で83S/mおよび50℃で101S/m)。] 図1 図3 [0045] 約0.5から約6.0までの範囲の上述のpHで電解を行うときに、鉄金属が陰極に析出する。硫酸塩アニオンは、電気化学反応 2Fe2+(aq)+4e−→2Fe0(s)(陰極、−) 2H2O → O2(g)+4H++4e−(陽極、+) に従って、浸透性を有するアニオン交換膜を通り陽極室の方へ移動し、そこで、水が酸化されて、陽極の表面に発生期酸素ガスを発生し、陽極室の酸度を高めるヒドロニウムカチオンを後に残す。] [0046] したがって、陰極に鉄金属を生成し、酸素ガスと硫酸が陽極室内に発生する全体的な反応は、 2FeSO4+2H2O → 2Fe(s)+2H2SO4+O2(g) である。] [0047] 副反応も以下のように生じうる。] [0048] (1)陽極において、硫酸アニオンの酸化で、過硫酸アニオン[例えば、ペルオキソ一硫酸アニオン(SO52−)およびペルオキソ二硫酸アニオン(S2O82−)]が形成され、これが、高電流密度および低温において、陽極室内で生じる酸性プロセス条件の下で、2つの非常に不安定な過硫酸[例えば、ペルオキソ一硫酸またはカロ酸(H2SO5)およびペルオキソ二硫酸またはマーシャル酸 (H2S2O8)]の針状沈殿物を形成する。 2SO42−(aq) → S2O82−(aq)+2e− SO42−(aq)+H2O → SO52−(aq)+2H++2e−] [0049] (2)陰極では、水素ガスが、 2H+(aq)+2e− → H2(g) に従って発生し、それに伴って、陰極液内に存在する微量の鉄カチオンが、 Fe3+(aq)+e− → Fe2+(aq) に従って、還元される。] [0050] 陰極側では、これらの望ましくない副反応は、陰極液のpHを約0.5よりも高く、約6.0のpHよりも低く維持することによって、また水素カチオンの放出に対し高い過電位を有する陰極材料を使用して水素発生を防ぐことによって最小限に抑えられる。一実施形態では、本発明のプロセスで使用される陰極材料は、与えられた電解条件において純鉄に比べて等しいかまたは高い(絶対値に関して)水素過電位を有する。本発明の一実施形態では、陰極液のpHは、約0.5から約6.0までの間に維持される。本発明の他の実施形態では、陰極液のpHは、約1.0から約5.0までの間に維持される。本発明のさらに他の実施形態では、陰極液のpHは、約1.5から約4.5までの間に維持される。本発明のさらに他の実施形態では、陰極液のpHは、約2.0から約4.0までの間に維持される。したがって、生じる水酸化第二鉄の沈殿物は、濾過によって連続的に除去することができる。ごく微量の鉄カチオンが、溶液中に残り、不溶性の水酸化物と平衡状態になる。それに加えて、陰極室の上の不活性雰囲気(例えば、窒素)は、鉄カチオンの酸化を防ぐのを助けることができる。] [0051] 陽極側では、温度を室温以上に維持し、陽極電流密度を制限することで、過硫酸の形成を阻害し、これにより、高純度の硫酸の安全な働きと生産が保証される。] [0052] 本発明の一実施形態では、電解は、定電流制御の下で約20℃から約80℃までの範囲内の温度で実行される。総電流密度は、約200から約10,000A/m2の間であり、槽電圧は1槽当たり約1.5から約5.0Vの範囲である。この特定の実施形態では、ファラデー効率は、通常約90%より大きく、平均エネルギー消費量は鉄1kg当たり約1.60から約5.33kWhの範囲内である。] [0053] 発生する酸素ガスは、大気中に放出されるか、または従来の方法によって回収される。例えば、図1に示されているように、吸引により回収し、それを熱交換器に通して最終的には冷却し、それをミストエリミネーターおよびいくつかの濃硫酸噴霧塔に通して(スクラビング)乾燥させることができる。最後に、乾燥した低温の酸素ガスが圧縮され、こうして、将来使用するためにすぐに輸送または現場に貯蔵することができる。] 図1 [0054] 電解析出された鉄金属のプレートが生産される実施形態では、電解析出物は、電解の最後に陰極(例えば、チタン、ニッケル、または鋼鉄製の陰極)から機械的にはぎ取られる。鉄金属プレートは、微量の陰極液を除去するために弱酸性水で完全にすすぎ洗いされ、最終的に、硝酸で不動態化され、脱イオン水ですすぎ洗いされ、窒素雰囲気下で乾燥させられる。] [0055] 純鉄金属チップが、回転するマンドレル上に電解析出する実施形態では、これらは、スクレーパーを使って付着力の弱いチタン、ニッケル、または鋼鉄のドラム形陰極から機械的に連続的に除去することができる。集められた鉄金属チップは、微量の陰極液を除去するために弱酸性水で完全にすすぎ洗いされ、最終的に、硝酸で不動態化され、脱イオン水ですすぎ洗いされ、窒素雰囲気下で乾燥させられる。その後、鉄金属微粉を得るために粉砕処理を実行することができる。] [0056] 鉄微粉が生産される実施形態では、陰極液を激しく循環させることによって付着力の弱いチタン、ニッケル、または鋼鉄の陰極から機械的に除去し、直列に並ぶ1つまたは複数のハイドロサイクロンを使用して、および/またはハイドロサイクロンの下層流に取り付けられた永久磁石を使用して集められうる。集められた鉄金属粉は、微量の陰極液を除去するために弱酸性水で完全にすすぎ洗いされ、最終的に、硝酸で不動態化され、脱イオン水ですすぎ洗いされ、窒素雰囲気下で乾燥させられる。] [0057] 本発明の一実施形態では、プレート、チップ、または粉末の形態の鉄リッチ合金を生産する。合金は、典型的には、鉄金属とともに析出した還元性金属元素を含む、このような還元性金属の非限定的な例としては、Ni、Co、Cu、Cd、Sn、Mn、Cr、またはVが挙げられる。他の還元性元素も当技術分野で知られており、当業者の能力の範囲内にある。] [0058] 本発明の一実施形態では、非限定的な例としてリチウム、ナトリウム、カリウム、および硫酸アンモニウムなどの塩を陰極液に添加して、導電性を高める。] [0059] 電解を行っているときに、硫酸アニオンは、アニオン交換膜を通って陽極の方へ移動し、そこで、水が酸化されて、発生期酸素ガスを発生し、電解槽の陽極室内にヒドロニウムカチオンを後に残す。したがって、陽極液中の硫酸の濃度は、時間の経過とともに連続的に増大する。酸濃度が、所定の閾値に到達したら、純水をシステムに加えて、最初の陽極液の酸性濃度に戻す。水を添加すると、陽極液の全体積が増大する。そこで、水を添加した後に陽極液回路ループ内でブリードを実行する。] [0060] 実際、硫酸の最大閾値濃度は、まず所定の動作温度で硫酸の導電率が濃度とともに増大し、次いで最大値に到達し、次いで再び減少するという、実験観察結果に基づいて確定される。イオン導電率が再び最初の酸濃度の導電率に等しくなる、酸の最高濃度を閾値上限として使用する。例えば、50℃のときに、導電率が108.9S/mの30wt.%の硫酸から開始すると、導電率は33wt.%の濃度に対して最大109.75S/mまで上昇し、次いで、60℃の間に36wt.%のH2SO4に対して108.75S/mまで下がる。したがって、36wt.%のH2SO4は、カットオフ値として選択されうる。カットオフ値に到達した後、比重計で測定されるような酸濃度がもう一度30wt.%に到達するまで水を加えてゆく。30wt.%の過剰量の硫酸を除去し、プロセスに戻してリサイクルするか(例えば、酸洗い、酸圧力浸出)、またはその濃度を、例えば、限定はしないが、蒸発、減圧または真空下での蒸発、機械的蒸気再圧縮(MVR)、逆浸透圧、透析などの、硫酸を濃縮するために使用される技術を使用することによってさらに高めることができる。] [0061] 本発明の一実施形態では、電解の後に、コッパラスを加えて全鉄濃度を適当なレベルに調節し、次いで電解槽の陰極室内に再循環させることによって欠乏鉄溶液を補充する。] [0062] 図1のプロセスにおいて陰極液のpHを、例えば、炭酸第一鉄を加えて2.5から3.5に変えることによって、不要な鉄カチオンを不溶性の水酸化第二鉄Fe(OH)3として沈殿させ、濾過によって簡単に連続的に除去できるスラッジを形成することは理解されるであろう。] 図1 [0063] 図2に例示されているように、本発明のプロセスの一実施形態では、鉄リッチ金属硫酸塩溶液が前処理(pH調節などの)なしで電気化学プラントに送られる。このプロセスで使用される電解槽の設計は(図4に例示されているように)3室を備え、これら3室は、(i)陰極を備える陰極室、(ii)酸素を発生させるための寸法安定性陽極を備える陽極室、および(iii)カチオン交換膜によって陰極室と、またアニオン交換膜によって陽極室と分離される中央室である。一実施形態では、陰極室は、鉄、鋼鉄、ニッケル、またはチタンのプレート型陰極を備える。陰極室内を循環する陰極液は、硫酸第一鉄の飽和溶液(約600g/LのFeSO4・7H2O)を含むが、陽極液は、約30wt.%の硫酸を含む。陰極液のpHは、6.0未満に調節される。本発明の一実施形態では、陰極液のpHは、約1.0から約5.0までの間に維持される。本発明のさらに他の実施形態では、陰極液のpHは、約1.5から約4.5までの間に維持される。本発明のさらに他の実施形態では、陰極液のpHは、約2.0から約4.0までの間に維持される。本発明のさらに他の実施形態では、陰極液のpHは、約2.5から約3.5までの間に維持される。鉄リッチ金属硫酸塩溶液は、中央室に連続的に通される。電解の際に(図5)、鉄リッチ金属硫酸塩溶液の鉄カチオンは、カチオン交換膜を通って移動し、ニッケル、鉄、またはチタンの陰極上で純鉄金属に還元されるが、硫酸アニオンは、アニオン交換膜を通り寸法安定性陽極の方へ移動して、そこで、水が酸化され、これにより、発生期酸素ガスが発生し、後にヒドロニウムカチオンが残され、これは入ってくる硫酸アニオンと結合してさらに硫酸を形成する。関与する電気化学反応は、 2Fe2+(aq)+4e− → 2Fe0(s)(陰極、−) 2H2O → O2(g)+4H++4e−(陽極、+) である。] 図2 図4 図5 [0064] したがって、陰極に鉄金属を生成し、酸素と硫酸が陽極室内に生成する全体的な反応は、 2FeSO4+2H2O → 2Fe(s)+2H2SO4+O2(g) である。] [0065] 副反応も以下のように生じうる。] [0066] (1)陽極において、硫酸アニオンの酸化で、過硫酸アニオン[例えば、ペルオキソ一硫酸アニオン(SO52−)およびペルオキソ二硫酸アニオン(S2O82−)]が形成され、これが、高電流密度および低温において、陽極室内で生じる酸性プロセス条件の下で、2つの非常に不安定な過硫酸[例えば、ペルオキソ一硫酸またはカロ酸(H2SO5)およびペルオキソ二硫酸またはマーシャル酸 (H2S2O8)]の針状沈殿物を形成する。 2SO42−(aq) → S2O82−(aq)+2e− SO42−(aq)+H2O → SO52−(aq)+2H++2e−] [0067] (2)陰極では、水素ガスが、 2H+(aq)+2e− → H2(g) に従って発生し、それに伴って、陰極液内に存在する微量の鉄カチオンが、 Fe3+(aq)+e− → Fe2+(aq) に従って、還元される。] [0068] 陰極側では、これらの望ましくない副反応は、陰極液のpHを約0.5よりも高く、約6.0のpHよりも低く維持することによって、また水素カチオンの放出に対し高い過電位を有する陰極材料を使用して水素発生を防ぐことによって最小限に抑えられる。一実施形態では、本発明のプロセスで使用される陰極材料は、与えられた電解条件において鉄に比べて等しいかまたは高い(絶対値に関して)水素過電位を有する。本発明の一実施形態では、陰極液のpHは、約0.5から約6.0までの間に維持される。本発明の他の実施形態では、陰極液のpHは、約1.0から約5.0までの間に維持される。本発明のさらに他の実施形態では、陰極液のpHは、約1.5から約4.5までの間に維持される。本発明のさらに他の実施形態では、陰極液のpHは、約2.0から約4.0までの間に維持される。したがって、生じる水酸化第二鉄の沈殿物は、濾過によって連続的に除去することができる。ごく微量の鉄カチオンが、溶液中に残り、不溶性の水酸化物と平衡状態になる。それに加えて、陰極室の上の不活性雰囲気(例えば、窒素)を使用して、鉄カチオンの酸化を防ぐのを助けることができる。] [0069] 陽極側では、温度を室温以上に維持し、陽極電流密度を制限することで、過硫酸の形成を阻害し、これにより、高純度の硫酸の安全な働きと生産が保証される。] [0070] 本発明の一実施形態では、電解は、定電流制御の下で約20℃から約80℃までの範囲内の温度で実行される。総電流密度は、約200から約10,000A/m2の間であり、槽電圧は1槽当たり約1.5から約5.0Vの範囲である。この特定の実施形態では、ファラデー効率は、通常約90%より大きく、平均エネルギー消費量は鉄1kg当たり約1.60から約5.33kWhまでの間である。] [0071] 発生する酸素ガスは、大気中に放出されるか、または従来の方法によって回収される。例えば、図2に示されているように、吸引により回収し、それを熱交換器に通して最終的には冷却し、それをミストエリミネーターおよびいくつかの濃硫酸噴霧塔に通して(スクラビング)乾燥させることができる。最後に、乾燥した低温の酸素ガスが圧縮され、こうして、将来使用するためにすぐに輸送または現場に貯蔵することができる。] 図2 [0072] 電解析出された鉄金属のプレートが生産される実施形態では、これらのプレートは、電解の最後に陰極(例えば、チタン、ニッケル、または鋼鉄製の陰極)から機械的にはぎ取られる。鉄金属プレートは、微量の陰極液を除去するために弱酸性水で完全にすすぎ洗いされ、最終的に、硝酸で不動態化され、脱イオン水ですすぎ洗いされ、窒素雰囲気下で乾燥させられる。] [0073] 純鉄金属チップが、回転するマンドレル上に電解析出する実施形態では、これらは、スクレーパーを使って付着力の弱いチタン、ニッケル、または鋼鉄のドラム形陰極から機械的に連続的に除去することができる。集められた鉄金属チップは、微量の陰極液を除去するために弱酸性水で完全にすすぎ洗いされ、最終的に、硝酸で不動態化され、脱イオン水ですすぎ洗いされ、窒素雰囲気下で乾燥させられる。その後、鉄金属微粉を得るために粉砕処理を実行することができる。] [0074] 本発明の一実施形態では、プレート、チップ、または粉末の形態の鉄リッチ合金を生産する。合金は、典型的には、鉄金属とともに析出した還元性金属元素を含む、このような還元性金属の非限定的な例としては、Ni、Co、Cu、Cd、Sn、Mn、Cr、またはVが挙げられる。他の還元性元素も当技術分野で知られており、当業者の能力の範囲内にある。] [0075] 本発明の一実施形態では、非限定的な例としてリチウム、ナトリウム、カリウム、および硫酸アンモニウムなどの塩を陰極液に添加して、導電性を高める。] [0076] 鉄微粉が生産される実施形態では、陰極液を激しく循環させることによって付着力の弱いチタン、ニッケル、または鋼鉄の陰極から機械的に連続的に除去し、直列に並ぶ1つまたは複数のハイドロサイクロンを使用して、および/またはハイドロサイクロンの下層流に取り付けられた永久磁石を使用して集められうる。集められた鉄金属粉は、微量の陰極液を除去するために弱酸性水で完全にすすぎ洗いされ、最終的に、硝酸で不動態化され、脱イオン水ですすぎ洗いされ、窒素雰囲気下で乾燥させられる。] [0077] 電解を行っているときに、硫酸アニオンは、アニオン交換膜を通って陽極の方へ移動し、そこで、水が酸化されて、発生期酸素ガスを発生し、電解槽の陽極室内にヒドロニウムカチオンを後に残す。したがって、陽極液中の硫酸の濃度は、時間の経過とともに連続的に増大する。酸濃度が、所定の閾値に到達したら、純水をシステムに加えて、最初の陽極液中の硫酸の濃度に戻す。水を添加すると、陽極液の全体積が増大する。そこで、水を添加した後に陽極液回路ループ内でブリードを実行する。] [0078] 実際、硫酸の最大閾値濃度は、まず所定の動作温度で硫酸の導電率が濃度とともに増大し、次いで最大値に到達し、次いで再び減少するという、実験観察結果に基づいて確定される。イオン導電率が再び最初の酸濃度の導電率に等しくなる、酸の最高濃度を閾値上限として使用する。例えば、50℃のときに、導電率が108.9S/mの30wt.%の硫酸から開始すると、導電率は33wt.%の濃度に対して最大109.75S/mまで上昇し、次いで、60℃の間に36wt.%のH2SO4に対して108.75S/mまで下がる。したがって、36wt.%のH2SO4は、カットオフ値として選択されうる。カットオフ値に到達した後、比重計で測定されるような酸濃度がもう一度30wt.%に到達するまで水を加えてゆく。次いで、30wt.%の過剰量の硫酸を除去し、プロセスに戻してリサイクルするか(例えば、酸洗い、酸圧力浸出)、またはその濃度を、例えば、限定はしないが、蒸発、減圧または真空下での蒸発、機械的蒸気再圧縮(MVR)、逆浸透圧、透析などの、硫酸を濃縮するために使用される技術を使用することによってさらに高めることができる。] [0079] 本発明の一実施形態では、中央室は、鉄リッチ金属硫酸塩溶液の添加によって連続的に補充される。中央室を通る鉄リッチ金属硫酸塩溶液のpHは、3室電解槽を使用したときに電解の前に調節してもよいし、調節しなくてもよいことに留意されたい。さらに他の実施形態では、中央室は、任意選択により、コッパラスまたは他の好適な鉄リッチ原料を添加することによってさらに補充されうる(図2)。] 図2 [0080] 本発明のプロセスの多くのパラメータが、以下で説明されているように変更可能である。] [0081] 本発明のプロセスで使用するのに適している陰極材料(バルクとして、またはコーティング材料として使用される)は、水素ガスの発生を最小限度に抑える高い水素過電位を有する材料である。本発明の一実施形態では、陰極材料は、与えられた一組の電解条件において純鉄に比べて等しいかまたは高い水素過電位を有する。有利には、陰極材料は、析出鉄金属の剥離(例えば、機械的剥離)も許容する。好適な陰極材料の非限定的な例としては、鉄、鋼鉄、ニッケル、ニッケル合金、チタン(市販純度以上)、チタン合金(例えば、チタンパラジウムASTMグレード7)、ジルコニウム(市販純度以上)、ジルコニウム合金、亜鉛(市販純度以上)、亜鉛合金、カドミウム(市販純度以上)、カドミウム合金、スズ(市販純度以上)、スズ合金、銅(市販純度以上)、銅合金、鉛(市販純度以上)、鉛合金、ニオブ(市販純度以上)、ニオブ合金、金(市販純度以上)、金合金、水銀、または水銀との金属アマルガムが挙げられる。] [0082] 本発明のプロセスで使用するのに適している陽極材料(バルクとして、またはコーティング材料として使用される)は、 (1)電極触媒として混合金属酸化物(MMO)でコーティングされた金属基材または卑金属Mを含む[M/MxOy−AzOt]のタイプの酸素(DSA(商標)−O2)を発生するための寸法安定性陽極(式中、 Mは、バルブ作動特性を持つ高融点金属またはその合金であり、非限定的な例は、チタン、チタン合金、ジルコニウム、ジルコニウム合金、ハフニウム、ハフニウム合金、バナジウム、バナジウム合金、ニオブ、ニオブ合金、タンタル、およびタンタル合金を含み、 MxOyは、金属基材または卑金属を保護する不浸透性薄層を形成するバルブ金属の金属酸化物であり、非限定的な例は、TiO2、ZrO2、HfO2、NbO2、Nb2O5、TaO2、およびTa2O5を含み、 AzOtは、貴金属の電気触媒金属酸化物、非限定的な例としてRuO2、IrO2、およびPtOxが挙げられる白金族金属(PGM)の酸化物、または非限定的な例としてSnO2、Sb2O5、Bi2O3が挙げられる金属酸化物である)、 (2)一般化学式TinO2n−1(式中、nは3以上の整数である)を有するMagneli−Anderson相などの準化学量論的酸化チタンなどの導電性セラミック、 (3)スピネル構造AB2O4を含む導電性酸化物(式中、AはFe(II)、Mn(II)、およびNi(II)からなる群から選択され、BはAl、Fe(III)、Cr(III)、およびCo(III)からなる群から選択される)、 (4)ペロブスカイト構造ABO3を含む導電性酸化物(式中、AはFe(II)、Mn(II)、Co(II)、およびNi(II)からなる群から選択され、BはTi(IV)である)、 (5)パイロクロア構造AB2O7を含む導電性酸化物(式中、AはFe(II)、Mn(II)、Co(II)、およびNi(II)からなる群から選択され、BがTi(IV)である)、 (6)炭素系材料(その非限定的な例としてグラファイト、不浸透性グラファイト、およびガラス状炭素が挙げられる)、または (7)鉛または鉛合金(その非限定的な例として純鉛(Pb>99.94wt.%)、鉛−銀(Ag 0.25〜0.80wt.%)、鉛−スズ(Sn 5〜10wt.%)、鉛−アンチモン合金(Sb 4〜6wt.%)、および鉛−スズアンチモン(Sb 1〜2wt.%およびSn 3〜4wt.%)が挙げられる) を含む。] [0083] 本発明のプロセスで使用される陽極液組成物は、有利には、硫酸を含む。本発明の一実施形態では、陽極液組成物は、約10から約60wt.%までの範囲の硫酸濃度の硫酸を含む。本発明の他の実施形態では、硫酸濃度は、約30wt.%の硫酸を含む。] [0084] 3室電解槽を伴う本発明の一実施形態では、陰極液組成物は、約1から約800g/Lまでの範囲の硫酸鉄(II)七水和物を含む。3室電解槽を伴う本発明の他の実施形態では、陰極液組成物は、約600g/Lの硫酸鉄(II)七水和物を含む。3室電解槽を伴う本発明のさらに他の実施形態では、陰極液のpHは、約0.5から約6.0までの間に維持される。3室電解槽を伴う本発明のさらに他の実施形態では、陰極液のpHは、約1.0から約5.0までの間に維持される。3室電解槽を伴う本発明のさらに他の実施形態では、陰極液のpHは、約1.5から約4.5までの間に維持される。3室電解槽を伴う本発明のさらに他の実施形態では、陰極液のpHは、約2.0から約4.0までの間に維持される。] [0085] 3室電解槽を伴う本発明の一実施形態では、電解は、約20℃から約80℃までの範囲内の温度で実行される。3室電解槽を伴う本発明の他の実施形態では、電解は、約30℃から約70℃までの範囲内の温度で実行される。3室電解槽を伴う本発明のさらに他の実施形態では、電解は、約50℃の温度で実行される。] [0086] 本発明の一実施形態では、陽極液および陰極液の両方の流量は、約0.1から約100L/minまでの範囲である。本発明のさらに他の実施形態では、陽極液および陰極液の両方の流量は、約0.1から約50L/minまでの範囲である。本発明のさらに他の実施形態では、陽極液および陰極液の両方の流量は、約2L/minである。] [0087] 本発明の一実施形態では、電解は、約50から約3000A/m2までの範囲内の電流密度で実行される。このような電流密度は、有利には、デンドライトを有しない鉄析出をもたらす。本発明の他の実施形態では、電解は、約2500A/m2の電流密度で実行される。] [0088] 本発明の一実施形態では、電解は、約3000から約5000A/m2までの範囲内の電流密度で実行される。このような電流密度は、有利には、鉄チップを生産することができる。本発明の他の実施形態では、電解は、約4000A/m2の電流密度で実行される。] [0089] 本発明の一実施形態では、電解は、約5000から約10000A/m2までの範囲内の電流密度で実行される。このような電流密度は、有利には、鉄金属粉を生産することができる。本発明の他の実施形態では、電解は、約7000A/m2の電流密度で実行される。] [0090] 本発明のプロセスにおいて使用されるようなセパレータは、従来のダイヤフラムセパレータなどのようにパッシブであるか、またはイオン交換膜などのようにアクティブなものとすることができる。本発明の一実施形態では、アニオン交換膜およびカチオン交換膜は、従来の膜を含む。] [0091] 電極間ギャップは可変とすることもでき、抵抗降下に対する影響はよく知られている。本発明の一実施形態では、電極間ギャップは約1mmから約100mmまでの範囲内である。本発明のさらに他の実施形態では、電極間ギャップは約2mmから約50mmまでの範囲内である。本発明のさらに他の実施形態では、電極間ギャップは約3mmから約25mmまでの範囲内である。本発明のさらに他の実施形態では、電極間ギャップは約4mmから約10mmまでの範囲内である。] [0092] 本発明は、以下の非限定的な例でさらに例示される。] [0093] 鉄リッチ金属硫酸塩溶液の調製および微量の鉄カチオンの除去。コッパラスとしても知られる、チタン顔料生産業者からの硫酸鉄(II)七水和物のバッチを使用して、合成溶液を調製した。材料を脱イオンし脱気した水に溶解した。可溶性塩を完全に溶解させた後、試料を採取して、質量密度、全鉄含有量、および鉄カチオンの濃度を測定した。] [0094] 鉄カチオンを測定した後、炭酸第一鉄または硫酸のいずれかを溶液のpHが3.5に達するまで添加して溶液のpHを調節した。そのpHにおいて、微量の第二鉄が水酸化第二鉄として沈殿し、これをその後濾過によって除去した。次いで、透明な鉄硫酸塩溶液を約0.5のpHに酸性化した(このpHでは、第一鉄(Fe2+)を第二鉄(Fe3+)に変える空気酸化は遅くなった)。溶液の上に窒素ガスのブランケットを維持し、空気酸化をさらに防いだ。小さなcmサイズのポリプロピレン球を溶液の上に浮かべることが、蒸発による重大な水喪失を防ぐのに役立った。] [0095] 実施例2a−pH1.4および50℃での鉄リッチ金属硫酸塩溶液の電解。微量の炭酸第一鉄を加えることによって実施例1の鉄リッチ金属硫酸塩溶液のpHを1.4に調節し、次いで、電解槽の陰極室内で循環させた。電解槽は、2つの槽がアニオン交換膜で分離されているプレート型電解槽(図5)であった。幾何学的電極および膜表面積は929cm2(1平方フィート)であり、それぞれの電極とセパレータとの間の間隔は1インチ(2.54cm)であった。陰極室には、RMI社(オハイオ州ナイルズ所在)が供給するCPチタン(ASTMグレード2)から作られた陰極プレートを備えた。電解の前に、陰極を沸騰しているシュウ酸(10wt.%H2C2O4)に浸漬して化学的にエッチングし、次いで、酸の痕跡が全く残らなくなるまで脱イオン水で完全にすすぎ洗いした。陽極室には、酸素の発生を促進するための電気触媒として作用する高担持二酸化イリジウム(IrO2)でコーティングされたCPチタンのプレート(基材)(Ti/IrO2)からなるEltech Systems社(オハイオ州チャードン所在)が供給するTiR−200(登録商標)タイプの寸法安定性陽極(DSA(商標)−O2)を備えた。] 図5 [0096] ループ内で循環する陽極液は、30wt.%の硫酸の水溶液からなり、残りは脱イオン水とした。電解は、700A/m2の総電流密度の定電流条件の下で実行された。作動温度は50℃であり、陰極液と陽極液の両方の体積流量は2L/minであった。使用される電流密度では、測定された全槽電圧は3.25Vであった。電解を行っているときに、純鉄金属が陰極に析出したが、硫酸アニオンが浸透性アニオン交換膜を通って陽極室の方へ移動し、そこで、水が陽極の表面のところで酸素ガスとして酸化され、同時に、ヒドロニウムカチオンを発生した。これに伴う電気化学反応は、 2Fe2+(aq)+4e− → 2Fe0(s)(陰極、−) 2H2O → O2(g)+4H++4e−(陽極、+)] [0097] したがって、陰極に鉄金属を生成し、酸素と硫酸が陽極室内に発生する全体的な反応は、 2FeSO4+2H2O → 2Fe(s)+2H2SO4+O2(g) である。] [0098] 連続電解を2時間続けた後、電力を遮断し、電解槽を開いた。電解析出した滑らかな灰色の薄いプレートが、機械的な手段によってチタン陰極から容易に剥離した。測定された質量は129gであった。バルク試料の最終的な化学的分析を実行した後、これは、99.99wt.%の鉄から成り立っていた。推定されるファラデー電流効率は、95%であり、700mA/m2でのエネルギー消費量は、純鉄1kg当たり3.47kWhであった。] [0099] 実施例2b−pH2.8および60℃での鉄リッチ金属硫酸塩溶液の電解。炭酸第一鉄を加えることによって実施例1の鉄リッチ金属硫酸塩のpHを2.8に調節し(水素ガスの発生に有利に働かないようにするため)、次いで、上の実施例2aに記載の電解槽の陰極室内で循環させた。作動温度は60℃であった。電解は、1000A/m2の総電流密度の定電流条件の下で実行された。使用される電流密度では、測定された全槽電圧は3.50Vであった。連続電解を2時間続けた後、輝く滑らかな電解析出物は、機械的な手段によってチタン陰極から容易に剥離した。測定された質量は190gであった。試料の最終的な化学的分析を実行した後、これは、99.99wt.%の鉄から成り立っていると判定された。推定されるファラデー電流効率は、98%であり、1000mA/m2でのエネルギー消費量は、純鉄1kg当たり3.42kWhであった。] [0100] 実施例2c−pH3.5および25℃での鉄リッチ金属硫酸塩溶液の電解。炭酸第一鉄を加えることによって実施例1の鉄リッチ金属硫酸塩のpHを3.5に調節し(水素ガスの発生に有利に働かないようにするため)、次いで、上の実施例2aに記載の電解槽の陰極室内で循環させた。作動温度は25℃であった。電解は、300A/m2の総電流密度の定電流条件の下で実行された。使用される電流密度では、測定された全槽電圧は2.90Vであった。連続電解を2時間続けた後、輝く滑らかな電解析出物は、機械的な手段によってチタン陰極から容易に剥離した。測定された質量は55gであった。試料の最終的な化学的分析を実行した後、これは、99.99wt.%の鉄から成り立っていると判定された。推定されるファラデー電流効率は、95%であり、300mA/m2でのエネルギー消費量は、純鉄1kg当たり2.93kWhであった。] [0101] 3室電解槽を使用する鉄リッチ金属硫酸塩溶液の電解。炭酸第一鉄を加えることによって実施例1の鉄リッチ金属硫酸塩溶液のpHを1.4に調節し、次いで、3室電解槽の中央室内で循環させた。電解槽は、3室がアニオン交換膜とカチオン交換膜とで分離されているプレート型電解槽(図4)であった。幾何学的電極および膜表面積は929cm2(1平方フィート)であり、それぞれの電極とセパレータの間隔は1インチ(2.54cm)であった。それぞれの膜の間の間隔は、1インチ(2.54cm)であった。] 図4 [0102] 陰極室には、RMI社(オハイオ州ナイルズ所在)が供給するCPチタン(ASTMグレード2)から作られた陰極プレートを備えた。電解の前に、陰極を沸騰しているシュウ酸(10wt.%H2C2O4)に浸漬して化学的にエッチングし、次いで、酸の痕跡が全く残らなくなるまで脱イオン水で完全にすすぎ洗いした。] [0103] 陽極室には、酸素の発生を促進するための電気触媒として作用する高担持二酸化イリジウム(IrO2)でコーティングされたCPチタンのプレート(基材)(Ti/IrO2)からなるEltech Systems社(オハイオ州チャードン所在)が供給するTiR−2000(登録商標)タイプの寸法安定性陽極(DSA(商標)−O2)を備えた。] [0104] 陰極室内のループ内で循環する陰極液は、pH1.4の600g/Lの硫酸鉄(II)七水和物の水溶液であるが、陽極室内のループ内で循環する陽極液は、30wt.%の硫酸の水溶液からなり、残りは脱イオン水であった。] [0105] 電解は、1000A/m2の総電流密度の定電流条件の下で実行された。作動温度は50℃であり、陰極液、陽極液、および鉄リッチ溶液の体積流量は2L/minであった。使用される電流密度では、測定された全槽電圧は3.90Vであった。] [0106] 電解が行われているときに、鉄リッチ金属硫酸塩溶液から出る第一鉄カチオンは、カチオン交換膜を横切り、純鉄金属が陰極に析出した。硫酸アニオンが、浸透性アニオン交換膜を通って陽極室の方へ移動し、そこで、水が陽極の表面のところで酸素ガスとして酸化され、同時に、ヒドロニウムカチオンを発生した。] [0107] 連続電解を2時間続けた後、電力を遮断し、電解槽を開いた。電解析出した輝く鉄金属が、機械的な手段によってチタン陰極から容易に剥離した。測定された質量は184gであった。推定されるファラデー電流効率は、95%であり、1000mA/m2でのエネルギー消費量は、純鉄1kg当たり3.94kWhであった。] [0108] 実施例2a、2b、2c、および3において実施された電解実験の結果および特性は、以下のTable 1(表1)にまとめられている。] [0109] ] [0110] 本発明は、上で説明した構造および部分の詳細への適用に限定されないことは理解されよう。本発明は、他の実施形態を利用することができ、またさまざまな方法で実施されうる。また、本明細書で使用される語法または術語は、説明を目的としたものであり、制限するものとしてみなされるべきではないことも理解されよう。したがって、本発明は、その例示的な実施形態によって上で説明されているが、付属の特許請求の範囲において定義されている精神、範囲、および本質から逸脱することなく修正できる。] 実施例 [0111] ]
权利要求:
請求項1 鉄リッチ金属硫酸塩溶液から金属鉄または鉄リッチ合金、酸素、および硫酸を回収するための電気化学プロセスであって、a)鉄リッチ金属硫酸塩溶液を供給する段階と、b)電解槽内で前記鉄リッチ金属硫酸塩溶液を電解する段階であって、前記電解槽は、鉄の過電位以上の水素過電位を有する陰極を備え約6.0未満のpHを有する陰極液を入れた陰極室と、陽極を備え陽極液を入れた陽極室と、アニオンが通過できるセパレータとを含む、段階と、c)電解析出された鉄または鉄リッチ合金、硫酸、および酸素ガスを回収する段階とを含み、前記鉄リッチ金属硫酸塩溶液を電解すると、鉄または鉄リッチ合金が前記陰極のところに電解析出され、発生期酸素ガスが前記陽極のところに発生し、硫酸が前記陽極室内に蓄積し、鉄欠乏溶液が生成される、電気化学プロセス。 請求項2 段階a)は、鉄リッチ原料を浸出してスラリーを生成する段階と、前記スラリーを分離段階に供して前記鉄リッチ金属硫酸塩溶液を供給する段階とを含む、請求項1に記載の電気化学プロセス。 請求項3 前記鉄欠乏溶液は、新鮮な鉄リッチ金属硫酸塩溶液を補充され、再循環される、請求項1に記載の電気化学プロセス。 請求項4 前記電解段階の前に前記陰極をエッチングする段階をさらに含む、請求項1に記載の電気化学プロセス。 請求項5 前記陰極液のpHは、約0.5から約6までの範囲のpHに調節される、請求項1に記載の電気化学プロセス。 請求項6 前記陰極液のpHは、約1から約5までの範囲のpHに調節される、請求項1に記載の電気化学プロセス。 請求項7 前記陰極液のpHは、約1.5から約4.5までの範囲のpHに調節される、請求項1に記載の電気化学プロセス。 請求項8 前記陰極液のpHは、約2から約4までの範囲のpHに調節される、請求項1に記載の電気化学プロセス。 請求項9 前記陰極において、25℃の0.5mol.dm−3のH2SO4溶液中での200A.m−2の過電圧は約466mVより大きく、25℃の1.0mol.dm−3のH2SO4溶液中での1000A.m−2の過電圧は約800mVより大きい、請求項1に記載の電気化学プロセス。 請求項10 前記陰極は、ニッケル、ニッケル合金、鉄、鉄合金、チタン、チタン合金、ジルコニウム、ジルコニウム合金、亜鉛、亜鉛合金、カドミウム、カドミウム合金、スズ、スズ合金、銅、銅合金、鉛、鉛合金、ニオブ、ニオブ合金、金、金合金、水銀、および水銀を含む金属アマルガムからなる群から選択される材料を含むか、またはその材料でコーティングされる、請求項1に記載の電気化学プロセス。 請求項11 前記陰極は、チタンもしくはチタン合金を含む、またはチタンもしくはチタン合金でコーティングされる、請求項10に記載の電気化学プロセス。 請求項12 前記チタン合金はチタンパラジウム合金である、請求項11に記載の電気化学プロセス。 請求項13 前記エッチング段階は、前記陰極を酸で処理する段階を含む、請求項4に記載の電気化学プロセス。 請求項14 前記酸は、シュウ酸、およびフルオロと硝酸の混合物からなる群から選択される、請求項13に記載の電気化学プロセス。 請求項15 前記陽極液は硫酸溶液を含む、請求項1に記載の電気化学プロセス。 請求項16 前記硫酸溶液は約5から約60wt.%までの範囲の濃度である、請求項15に記載の電気化学プロセス。 請求項17 前記硫酸溶液は約30wt.%の濃度である、請求項16に記載の電気化学プロセス。 請求項18 前記陽極液は、前記陽極室内においてループで循環する、請求項15に記載の電気化学プロセス。 請求項19 前記陰極液として働く前記鉄リッチ金属硫酸塩溶液は、前記陰極室内においてループで循環する、請求項1に記載の電気化学プロセス。 請求項20 前記陽極は、i)化学式M/MxOy−AzOtを有する材料(式中、a)Mは、バルブ作動特性を持つ高融点金属または合金であり、b)MxOyは、バルブ金属の金属酸化物であり、c)AzOtは、貴金属の電極触媒金属酸化物、白金族金属の酸化物、または金属酸化物である)、ii)導電性セラミック材料、iii)スピネル構造AB2O4を有する導電性酸化物(式中、a)Aは、Fe(II)、Mn(II)、およびNi(II)からなる群から選択され、b)Bは、Al、Fe(III)、Cr(III)、およびCo(III)からなる群から選択される)、iv)ペロブスカイト構造ABO3を有する導電性酸化物(式中、a)Aは、Fe(II)、Mn(II)、Co(II)、およびNi(II)からなる群から選択され、b)BはTi(IV)である)、v)パイロクロア構造AB2O7を有する導電性酸化物(式中、a)Aは、Fe(II)、Mn(II)、Co(II)、およびNi(II)からなる群から選択され、b)BはTi(IV)である)、vi)炭素系材料、またはvii)鉛もしくは鉛合金のいずれかを含む寸法安定性陽極である、請求項1に記載の電気化学プロセス。 請求項21 前記高融点金属または前記高融点金属の前記合金は、チタン、チタン合金、ジルコニウム、ジルコニウム合金、ハフニウム、ハフニウム合金、バナジウム、バナジウム合金、ニオブ、ニオブ合金、タンタル、およびタンタル合金からなる群から選択される、請求項20に記載の電気化学プロセス。 請求項22 バルブ金属の前記金属酸化物は、TiO2、ZrO2、HfO2、NbO2、Nb2O5、TaO2、およびTa2O5からなる群から選択される、請求項20に記載の電気化学プロセス。 請求項23 前記白金族金属の前記酸化物は、RuO2、IrO2、およびPtOxからなる群から選択される、請求項20に記載の電気化学プロセス。 請求項24 前記金属酸化物は、SnO2、Sb2O5、またはBi2O3からなる群から選択される、請求項20に記載の電気化学プロセス。 請求項25 バルブ金属の前記金属酸化物は、前記高融点金属または前記高融点金属の前記合金上に薄い不浸透性保護層を形成する、請求項22に記載の電気化学プロセス。 請求項26 前記セラミック材料は、一般化学式TinO2n−1を有する酸化チタン(式中、nは3以上の整数である)を含む、請求項20に記載の電気化学プロセス。 請求項27 前記炭素系材料は、グラファイト、不浸透性グラファイト、およびガラス状炭素からなる群から選択される、請求項20に記載の電気化学プロセス。 請求項28 前記鉛合金は、鉛−銀合金、鉛−スズ合金、鉛−アンチモン合金、および鉛−スズアンチモン合金からなる群から選択される、請求項20に記載の電気化学プロセス。 請求項29 段階b)は、前記陽極室と前記陰極室を分離するイオン交換膜を備える2室電解槽内で実行される、請求項1に記載の電気化学プロセス。 請求項30 前記イオン交換膜はアニオン交換膜である、請求項29に記載の電気化学プロセス。 請求項31 段階b)は、前記陽極室と前記陰極室の間に配設された中央室を備える3室電解槽内で実行され、イオン交換膜は前記陽極室および前記陰極室それぞれと前記中央室を分離する、請求項1に記載の電気化学プロセス。 請求項32 アニオン交換膜は前記陽極室と前記中央室を分離し、カチオン交換膜は前記陰極室を前記中央層から分離する、請求項31に記載の電気化学プロセス。 請求項33 前記鉄リッチ金属硫酸塩溶液は前記中央室内で循環する、請求項32に記載の電気化学プロセス。 請求項34 前記陰極液は前記陰極室内においてループで循環する、請求項31に記載の電気化学プロセス。 請求項35 前記陰極液は硫酸鉄(II)七水和物溶液を含む、請求項34に記載の電気化学プロセス。 請求項36 前記陰極液は、約1から約800g/Lまでの範囲の濃度を有する硫酸鉄(II)七水和物溶液を含む、請求項35に記載の電気化学プロセス。 請求項37 前記陰極液は、約600g/Lの濃度を有する硫酸鉄(II)七水和物溶液を含む、請求項36に記載の電気化学プロセス。 請求項38 前記陽極液または陰極液は、約0.1L/minから約100L/minまでの範囲の流量を有する、請求項18、19、または34のいずれか一項に記載の電気化学プロセス。 請求項39 前記流量は約0.1L/minから約30L/minまでの範囲内である、請求項38に記載の電気化学プロセス。 請求項40 前記流量は約2L/minである、請求項39に記載の電気化学プロセス。 請求項41 段階b)は、定電流の下、約50から約10000A/m2までの範囲の電流密度で実行される、請求項1に記載の電気化学プロセス。 請求項42 前記電流密度は約50から約5000A/m2までの範囲内である、請求項41に記載の電気化学プロセス。 請求項43 前記電流密度は約2500A/m2である、請求項42に記載の電気化学プロセス。 請求項44 前記電流密度は約3000から約5000A/m2までの範囲内である、請求項41に記載の電気化学プロセス。 請求項45 前記電流密度は約4000A/m2である、請求項44に記載の電気化学プロセス。 請求項46 前記電流密度は約5000から約10000A/m2までの範囲内である、請求項41に記載の電気化学プロセス。 請求項47 前記電流密度は約7000A/m2である、請求項46に記載の電気化学プロセス。 請求項48 前記段階b)は約20から約100℃までの範囲内の温度で実行される、請求項1に記載の電気化学プロセス。 請求項49 前記温度は約30℃から約70℃までの範囲内である、請求項48に記載の電気化学プロセス。 請求項50 前記温度は約50℃である、請求項49に記載の電気化学プロセス。 請求項51 前記回収される発生期酸素ガスに対して乾燥および液化がさらに行われる、請求項1に記載の電気化学プロセス。 請求項52 前記回収される硫酸に対して濃縮および/または再循環が行われる、請求項1に記載の電気化学プロセス。
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引用文献:
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