专利摘要:
摩耗低減成分を含有する新規な油溶性添加剤組成物、潤滑油組成物および添加剤濃縮物を提供する。(1)酸化、硫化又は酸硫化モリブデンおよび(2)カルボン酸成分とポリアミン成分の充填モル比(CMR)が約2:1乃至1:1である、カルボン酸成分とポリアミン成分とのアミド反応生成物の塩を含有する油溶性添加剤組成物、潤滑油組成物および添加剤濃縮物。なし
公开号:JP2011516663A
申请号:JP2011503047
申请日:2009-03-26
公开日:2011-05-26
发明作者:ウィリアム・アール・ルーへ;バラ・ゴーラヴ
申请人:シェブロン・オロナイト・カンパニー・エルエルシー;
IPC主号:C10M177-00
专利说明:

[0001] 本発明は、新規な潤滑油添加剤および潤滑油組成物に関する。特には、本発明は、酸化、硫化又は酸硫化モリブデンとアミドとの塩からなる摩耗低減成分を含有する新規な潤滑油組成物に関する。]
背景技術

[0002] 長い間二硫化モリブデンが、潤滑油組成物に使用するのに望ましい添加剤として知られてきた。二硫化モリブデンは通常、微細に粉砕されたのち潤滑油組成物に分散されて摩擦緩和性や耐摩耗性を与える。しかし、微粉砕二硫化モリブデンを使用することの主な不利益の一つに溶解度の不足がある。]
[0003] 摩擦緩和剤として微粉砕二硫化モリブデンを使用する代わりに、モリブデン化合物の種々の塩を含む別の手段も数多く用いられている。モリブデンジチオカルバメート類(MoDTC)およびモリブデンジチオホスフェート類(MoDTP)が、摩擦緩和性を与えることは当該分野でもよく知られている。代表的なMoDTC組成物が特許文献1、2及び3に記載されていて、特許文献1には二酸化モリブデン(VI)ジアルキルジチオカルバメート類が教示されている;特許文献2には、硫化オキシモリブデンジチオカルバメート類が教示され;また特許文献3には、硫黄含有モリブデン二炭化水素ジチオカルバメート組成物が教示されている。代表的なMoDTP化合物としては、特許文献4に記載された組成物、例えばオキシモリブデンジイソプロピルホスホジチオエートがある。]
[0004] モリブデン化合物を油に混合する別の方法は、公知の分散剤を用いて分散させた二硫化又は酸硫化モリブデンのコロイド複合体を製造することである。公知の分散剤としては、コハク酸イミド類、カルボン酸アミド類、ホスホンアミド類、チオホスホンアミド類、マンニッヒ塩基類および炭化水素ポリアミン類を含む塩基性窒素含有化合物が挙げられる。特許文献5、6及び7には、酸性モリブデン化合物と分散剤として作用する塩基性窒素化合物を含み、酸化防止剤および耐摩耗性添加剤として使用できるモリブデン化合物が教示されている。]
[0005] 特許文献8には、テトラチオモリブデン酸アンモニウムと塩基性窒素化合物との反応生成物を含み、酸化防止剤、耐摩耗性添加剤および摩擦緩和剤として使用できる硫黄含有添加剤が開示されている。]
[0006] 特許文献9には、潤滑油の清浄添加剤としてのカルボン酸アミド類の製造が教示されている。]
[0007] 特許文献10には、カルボン酸のアルカリ土類金属塩とアミンと陽イオンモリブデン源とを反応させること、ただし、酸基の当量数とモリブデンのモル数の比(当量:モル)は1:10乃至10:1の範囲にあり、かつ酸基の当量数とアミンのモル数の比(当量:モル)は20:1乃至1:10の範囲にある、により製造されたモリブデン含有錯体を含む、潤滑油用減摩添加剤が記載されている。]
[0008] 特許文献11には、酸硫化モリブデンポリアミド類を含む、淡色モリブデン化合物とポリアミド分散剤を含有する潤滑油用酸化防止添加剤が記載されている。]
[0009] 特許文献12には、耐摩耗性及び酸化防止添加剤として、潤滑油、反応性硫黄を実質的に含まない油溶性モリブデン化合物、油溶性ジアリールアミンおよびカルシウムフェネートを含有する潤滑油組成物が開示されている。]
先行技術

[0010] 米国特許第3419589号明細書、ラーソン(Larson)、外
米国特許第3509051号明細書、ファーマー(Farmer)、外
米国特許第4098705号明細書、サクライ(Sakurai)、外
米国特許第3494866号明細書、ローワン(Rowan)、外
米国特許第4263152号明細書、キング(King)、外
米国特許第4261843号明細書、キング(King)、外
米国特許第4259195号明細書、キング(King)、外
米国特許第4259194号明細書、デブリーズ(DeVries)、外
米国特許第4705643号明細書、ネモ(Nemo)
米国特許第5468891号明細書、ウディング(Udding)、外
米国特許第6962896号明細書、ルーエ、Jr(Ruhe, Jr)、外
米国特許第6174842号明細書、ガット(Gatto)、外]
発明が解決しようとする課題

[0011] 本発明は、新規な潤滑油添加剤および潤滑油組成物に関する。特には、本発明は、酸化、硫化又は酸硫化モリブデンとアミドとの塩からなる摩擦低減成分を含有する新規な潤滑油組成物に関する。]
課題を解決するための手段

[0012] 本発明の一態様は、下記の成分の塩を含む油溶性添加剤組成物に関する。
(1)一般式:MoOxSy(式中、x≧0、y≧0、かつ12≧(x+y)≧2)を有する酸化、硫化又は酸硫化モリブデンであるモリブデン成分、および
(2)カルボン酸成分とポリアミン成分の充填モル比が約2:1乃至1:1である、カルボン酸成分とポリアミン成分との反応生成物を含むアミド。]
[0013] また、本発明は、下記の物質を含む潤滑油組成物にも関する。
(1)潤滑粘度の油、および
(2)下記の成分の塩を含む油溶性添加剤組成物:
(a)一般式:MoOxSy(式中、x≧0、y≧0、かつ12≧(x+y)≧2)を有する酸化、硫化又は酸硫化モリブデンであるモリブデン成分、および
(b)カルボン酸成分とポリアミン成分の充填モル比が約2:1乃至1:1である、カルボン酸成分とポリアミン成分との反応生成物を含むアミド。]
[0014] 別の態様では、本発明は、下記の物質を含む潤滑油濃縮物に関する:
(1)潤滑粘度の油、および
(2)下記の成分の塩を含む油溶性添加剤組成物、約2.0質量%乃至約90質量%:
(a)一般式:MoOxSy(式中、x≧0、y≧0、かつ12≧(x+y)≧2)を有する酸化、硫化又は酸硫化モリブデンであるモリブデン成分、および
(b)カルボン酸成分とポリアミン成分の充填モル比が約2:1乃至1:1である、カルボン酸成分とポリアミン成分との反応生成物を含むアミド。]
[0015] 本発明の別の態様は、油溶性組成物を製造する方法であって、下記の成分を反応させてモリブデン含有反応生成物にすることを含む方法に関する。
(1)酸化、硫化もしくは酸硫化モリブデンであるか、あるいはそれを生成させることができるモリブデン成分、および
(2)カルボン酸成分とポリアミン成分の充填モル比が約2:1乃至1:1である、カルボン酸成分とポリアミン成分との反応生成物を含むアミド。
モリブデン含有反応生成物を硫化して、酸硫化モリブデン又は硫化モリブデンとアミドの塩にするのが好ましい。]
[0016] 別の態様では、本発明は、下記の成分の反応生成物を含む油溶性添加剤組成物に関する:
(1)一般式:MoOxSy(式中、x≧0、y≧0、かつ12≧(x+y)≧2)を有する酸化、硫化又は酸硫化モリブデンであるか、もしくはそれを生成させることができるモリブデン成分、および
(2)カルボン酸成分とポリアミン成分の充填モル比が約2:1乃至1:1である、カルボン酸成分とポリアミン成分との反応生成物を含むアミド。]
発明の効果

[0017] (1)酸化、硫化又は酸硫化モリブデン類、および(2)カルボン酸成分とポリアミン成分とのアミド反応生成物、ただし、カルボン酸成分とポリアミン成分の充填モル比(CMR)は約2:1乃至約1:1である、の塩が、非常に優れた摩擦低減性を示す。]
[0018] 本明細書に開示する油溶性添加剤組成物を含む潤滑油組成物は、潤滑油の摩擦特性を調整するための液体組成物としてもグリース組成物としても効果があり、それをクランクケース用潤滑剤として使用すれば、本発明の潤滑油で潤滑性を付与した車両に総マイル数の改善をもたらすことができる。]
[0019] 本発明には様々な変更や代替形態が可能であるが、本明細書では本発明の特定の態様について詳細に記述する。ただし、本明細書における特定の態様の記述は、本発明を開示する特定の形態に限定しようとするものではなく、むしろ反対に、本発明は、添付した特許請求の範囲で規定する本発明の真意および範囲内に含まれる全ての変更形、等価形および代替形を包含することになると理解されたい。]
[0020] [定義]
以下の用語を本明細書全体にわたって使用するが、特に断らない限り、下記の意味である。]
[0021] 「ポリアミン類」は、塩基性窒素を1個より多く含む有機化合物を意味する。化合物の有機部分は、脂肪族、環状又は芳香族炭素原子を含んでいてもよい。]
[0022] 「ポリアルキレンアミン類」又は「ポリアルキレンポリアミン類」は、下記一般式で表される化合物を意味する。

H2N(−R−NH)n−H

(式中、Rは、好ましくは炭素原子数2〜3のアルキレン基であり、そしてnは、約1乃至11の整数である)]
[0023] 「アミド」又は「ポリアミド」は、カルボン酸、カルボン酸塩、カルボン酸の無水物またはカルボン酸のエステルと、ポリアミンとの反応生成物を意味する。]
[0024] 「酸化モリブデン」、「硫化モリブデン」および「酸硫化モリブデン」は、一般式:MoOxSy(式中、x≧0、y≧0、かつ12≧(x+y)≧2)の化合物を意味する。]
[0025] 「カルボン酸成分」は、カルボン酸類、カルボン酸塩類、カルボン酸無水物類およびカルボン酸のエステル類を意味する。]
[0026] 「脂肪酸」は、末端カルボキシル基を持つ炭素原子数4乃至22のアルキル鎖を含む動物又は植物油脂から誘導されるか、もしくはそれに含まれているカルボン酸成分を意味する。]
[0027] (1)酸化、硫化又は酸硫化モリブデンと(2)アミドとの塩を含む本発明の油溶性添加剤組成物の正確な分子式は、確実には分かっていないが、モリブデンの価数が酸素と硫黄の原子で満たされ、かつモリブデンが、これら添加剤の製造に使用されたアミドの1個以上の塩基性窒素と錯体を形成しているか、もしくはそれとの塩である化合物であると考えられる。]
[0028] [モリブデン成分]
本発明の油溶性添加剤組成物を製造するのに使用されるモリブデン成分は、一般式:MoOxSy(式中、x≧0、y≧0、かつ12≧(x+y)≧2)を有する酸化、硫化又は酸硫化モリブデンなどのモリブデン含有化合物である。モリブデン成分は、如何なる酸化状態のモリブデンでも含むことができる。本発明の油溶性添加剤組成物の製造に使用できるモリブデン成分は、これらに限定されるものではないが、ヘキサカルボニルモリブデン、モリブデン酸、モリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、他のアルカリ金属モリブデン酸塩、アルカリ土類金属モリブデン酸塩、MoOCl4、MoO2Br2、およびMo2O3Cl6を含むモリブデン化合物から誘導することができる。その他のモリブデン成分としては、三酸化モリブデン、テトラチオモリブデン酸アンモニウム、および二硫化モリブデンが挙げられる。好ましいモリブデン成分は、三酸化モリブデン、およびモリブデン酸やモリブデン酸アンモニウムから誘導されるような成分である。より好ましいモリブデン成分は三酸化モリブデンである。]
[0029] [硫黄源]
本発明の油溶性添加剤組成物のモリブデン成分を製造するのに硫黄源が用いられるなら、代表的な硫黄源としては、これらに限定されるものではないが、硫黄、硫化水素、一塩化硫黄、二塩化硫黄、五硫化リン、R2Sx(ただし、Rは炭化水素基、好ましくはC1-C40アルキルであり、そしてxは少なくとも2である)、(NH4)2Sx(ただし、xは少なくとも1である)などの無機硫化物及び多硫化物、チオアセトアミド、チオ尿素、および式:RSH(ただし、Rは上に定義した通りである)のメルカプタン類を挙げることができる。また、従来の硫黄含有酸化防止剤、例えばワックススルフィド及びポリスルフィド類、硫化オレフィン類、硫化カルボン酸エステル類および硫化エステル・オレフィン類、および硫化アルキルフェノール類及びそれらの金属塩も硫化剤として使用できる。]
[0030] 好ましい硫黄源は、硫黄、硫化水素、五硫化リン、R2Sx(ただし、Rは炭化水素基、好ましくはC1〜C10アルキルであり、そしてxは少なくとも3である)、メルカプタン類(ただし、RはC1〜C10アルキルである)、無機硫化物及び多硫化物、チオアセトアミド、およびチオ尿素である。最も好ましい硫黄源は、硫黄、硫化水素、五硫化リン、および無機硫化物及び多硫化物である。]
[0031] [アミド成分]
本発明の油溶性添加剤組成物の製造に使用されるアミド類は、カルボン酸成分とポリアミン成分との反応生成物である。アミドを生成させるカルボン酸成分とアミン成分の反応では、カルボン酸成分とアミン成分の充填モル比は約2:1乃至1:1である。好ましくはカルボン酸成分とアミン成分の充填モル比は、約1.7:1乃至1:1である。別の態様ではカルボン酸成分とアミン成分の充填モル比は、約1.5:1乃至1:1である。また別の態様では充填モル比は、約1.7:1乃至約1.3:1である。]
[0032] ある態様ではアミドは、1)炭素数約4乃至40の脂肪族カルボン酸成分と、2)窒素数約2乃至10のポリアミン成分とから誘導される。好ましい態様ではカルボン酸成分はイソステアリン酸であり、そしてポリアミン成分は、テトラエチレンペンタアミン、ジエチレントリアミン、エチレンジアミンおよびそれらの混合物からなる群より選ばれる。]
[0033] 後述するカルボン酸成分とポリアミン成分を、モリブデン成分との反応の前あるいは反応の間に反応させてアミドにする。本発明に使用できるアミド組成物としては、米国特許第3405064号明細書に開示されているものが挙げられ、その開示内容も参照内容として本明細書の記載とする。これら組成物は通常、炭素原子数が少なくとも4乃至約40で、所望により分子を油溶性にするために脂肪族側基を持つカルボン酸、カルボン酸塩、無水カルボン酸またはカルボン酸エステルを、エチレンジアミンなどのポリアミンと反応させて、アミドにすることにより製造される。好ましいのは、(1)脂肪族モノカルボン酸、例えばイソステアリン酸、ステアリン酸またはそれらの混合物と、(2)エチレンポリアミン、例えばテトラエチレンペンタアミン、ジエチレントリアミン、エチレンジアミンまたはそれらの混合物とから製造されるようなアミド類である。本発明に使用できるアミド類は、少なくとも1個の塩基性窒素を有することが好ましい。]
[0034] [カルボン酸成分]
本発明の油溶性添加剤組成物の製造に使用されるカルボン酸成分としては、炭素原子数少なくとも4乃至100、好ましくは炭素原子数4乃至60、より好ましくは炭素原子数4乃至40、更に好ましくは炭素原子数10乃至30の脂肪族及び芳香族カルボン酸類、カルボン酸塩類、無水カルボン酸類またはカルボン酸エステル類を挙げることができる。カルボン酸類、カルボン酸塩類、無水カルボン酸類及びカルボン酸エステル類の混合物も本発明の製造に使用することができる。好ましくはカルボン酸成分は脂肪族カルボン酸である。脂肪族カルボン酸の例としては、イソステアリン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸およびアラキン酸などの脂肪酸を挙げることができる。特に好ましいカルボン酸成分はイソステアリン酸である。]
[0035] [ポリアミン成分]
本発明の油溶性添加剤組成物の製造に使用されるポリアミン成分としては、芳香族、環状及び脂肪族(線状及び分枝)ポリアミン類、およびそれらの混合物が挙げられる。芳香族ポリアミン類の例としては、これらに限定されるものではないが、フェニレンジアミン、2,2’−ジアミノジフェニルメタン、2,4−及び2,6−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノ−p−キシレン、多核及び縮合芳香族ポリアミン類、例えばナフチレン−1,4−ジアミン、ベンジジン、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジフェニルジアミン、および4,4’−ジアミノアゾベンゼンを挙げることができる。別の態様ではポリアミン成分は、環員数約5乃至32でアミン窒素原子数約2乃至8のポリアミン類を含んでいる。そのようなポリアミン化合物としては、ピペラジン、2−メチルピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(2−ヒロドキシエチル)ピペラジン、1,2−ビス−(N−ピペラジニル)エタン、3−アミノピロリジン、N−(2−アミノエチル)ピロリジン、並びにアザクラウン化合物、例えばトリアザシクロノナン、およびテトラアザシクロドデカン等を挙げることができる。]
[0036] 好ましい態様では本発明の製造に使用されるポリアミン成分は、ポリアルキレンポリアミン類であり、下記一般式で表すことができる。

H2N(−R−NH)n−H

(式中、Rは、好ましくは炭素原子数2〜3のアルキレン基であり、そしてnは、1乃至11の整数である)]
[0037] ポリアルキレンポリアミン類の特定の例としては、これらに限定されるものではないが、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタアミン、ペンタエチレンヘキサアミン、ヘキサエチレンヘプタアミン、ヘプタエチレンオクタアミン、オクタエチレンノナアミン、ノナエチレンデカアミン、デカエチレンウンデカアミン、ウンデカエチレンドデカアミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラアミン、テトラプロピレンペンタアミン、ペンタプロピレンヘキサアミン、ヘキサプロピレンヘプタアミン、ヘプタプロピレンオクタアミン、オクタプロピレンノナアミン、ノナプロピレンデカアミン、デカプロピレンウンデカアミン、ウンデカプロピレンドデカアミン、ジ(トリメチレン)トリアミン、トリ(トリメチレン)テトラアミン、テトラ(トリメチレン)ペンタアミン、ペンタ(トリメチレン)ヘキサアミン、ヘキサ(トリメチレン)ヘプタアミン、ヘプタ(トリメチレン)オクタアミン、オクタ(トリメチレン)ノナアミン、ノナ(トリメチレン)デカアミン、デカ(トリメチレン)ウンデカアミン、およびウンデカ(トリメチレン)ドデカアミンを挙げることができる。]
[0038] [本発明の油溶性組成物の製造方法]
本発明の方法は、モリブデン成分とアミド成分を一緒にすることにより実施することができる。極性促進剤を任意に反応混合物に加えることができる。アミド成分は、モリブデン成分との反応に先立って生成させることもできるし、あるいはその場でカルボン酸成分とポリアミン成分とから生成させることもできる。モリブデン成分とアミドとの反応生成物を、硫黄成分と反応させることにより硫化することが好ましい。アミド成分の添加に先立って、モリブデン成分を硫黄成分と一緒にして硫化又は酸硫化モリブデンを生成させることにより、本発明の製造を実施してもよい。好ましい態様では、モリブデン成分とアミドを反応させて酸化モリブデンとアミドの塩にし、続いて硫黄成分で硫化して硫化又は酸硫化モリブデンとアミドの塩にする。反応成分の添加順序は重要ではない。反応は通常、当該分野の熟練者によく知られている方法を用いて大気圧で実施するが、所望によりそれより高い圧力でも低い圧力でも用いることができる。反応混合物を効率よく撹拌することができるように、希釈剤を使用してもよい。代表的な希釈剤は、潤滑油、および炭素と水素だけを含む液体化合物である。混合物が充分に混合できるほど流動的であるなら、希釈剤は必要ではない。モリブデン成分と反応しない希釈剤が望ましい。]
[0039] 任意に、極性促進剤を本発明の製造に用いることができる。極性促進剤は、モリブデン成分とポリアミン又はアミド成分の塩基性窒素との間の相互作用を容易にする。多種多様なそのような促進剤を使用することができる。代表的な促進剤としては、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ブチルセロソルブ、プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、メチルカルビトール、エタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチル−ジエタノール−アミン、ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、ジメチルアセトアミド、水酸化アンモニウム、水酸化テトラアルキルアンモニウム、アルカリ金属水酸化物、メタノール、エチレングリコール、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホアミド、テトラヒドロフラン、酢酸、無機酸、および水がある。好ましいのは水およびエチレングリコールである。特に好ましいのは水である。]
[0040] 通常は促進剤を別個に反応混合物に添加するが、特に水の場合には、非無水出発物質の成分として、もしくは(NH4)6Mo7O24・4H2Oのようなモリブデン成分中の水和水として存在していてもよい。また、水酸化アンモニウムとして水を添加してもよい。]
[0041] 本発明の油溶性添加剤組成物を製造するための一般的な方法は、(1)モリブデン成分、および(2)カルボン酸とポリアミンの充填モル比(CMR)が約2:1から1:1の間にあるカルボン酸とポリアミンのアミドを、反応させることを含んでいる。任意に、塩を生成させるために(3)極性促進剤、または(4)希釈剤、または(5)極性促進剤と希釈剤両方を添加してもよい。混合や取扱いを容易にするために、必要なら希釈剤を使用して好適な粘度にする。代表的な希釈剤は、潤滑油、および炭素と水素だけを含む液体化合物である。任意に、水酸化アンモニウムも反応混合物に添加して、モリブデン酸アンモニウムの溶液にしてもよい。モリブデン成分、アミド、使用するなら極性促進剤、および使用するなら希釈剤を反応器に充填して、約200℃以下、好ましくは約70℃乃至約120℃の温度に加熱する。モリブデン成分が充分に反応するまで、温度を約200℃以下、好ましくは約70℃乃至約90℃の温度で維持する。この工程の反応時間は、一般に約1乃至約30時間、好ましくは約1乃至約10時間の範囲にある。]
[0042] 一般に、反応混合物から余分な水および如何なる揮発性希釈剤も取り除く。除去方法としては、これらに限定されるものではないが、反応器の温度を約200℃以下、好ましくは約70℃から約90℃の間の温度で維持しながらの、減圧蒸留または窒素ストリッピングが挙げられる。水と揮発性希釈剤の除去は通常、減圧で行う。泡立ちの問題を回避するために、圧力を徐々に下げてもよい。所望の圧力に達した後、ストリッピング工程を一般に約0.5乃至約5時間、好ましくは約0.5乃至約2時間の間行う。]
[0043] 反応混合物を更に、前述した硫黄成分と好適な圧力で200℃を越えない温度で反応させてもよい。硫化工程は、一般に約0.5乃至約5時間、好ましくは約0.5乃至約2時間の間行う。場合によっては、硫黄成分との反応の終了前に反応混合物から極性促進剤を除去することが望ましい。]
[0044] 硫黄成分は通常、最大でモリブデン原子当り硫黄12原子となるような比率で反応混合物に充填する。ある態様では本発明の油溶性組成物のモリブデンと硫黄のモル比は、1:0乃至1:8である。別の態様ではモリブデンと硫黄の比は、約1:0乃至1:4である。また別の態様ではモリブデンと硫黄の比は、約1:1乃至1:4である。]
[0045] 反応混合物において、モリブデン原子とアミドが与える塩基性窒素原子との比は、塩基性窒素原子当りモリブデン約0.01乃至4.0原子の範囲にあってよい。通常は、アミドが与える塩基性窒素原子当りモリブデン0.01乃至2.00原子で反応混合物を充填する。好ましくは塩基性窒素原子当りモリブデン0.4乃至1.0原子、最も好ましくは0.4乃至0.7原子で反応混合物に加える。]
[0046] 極性促進剤は、水であることが好ましいが、通常はモリブデンモル当り0.1乃至50モルの比率で存在する。好ましくはモリブデンモル当り0.5乃至25モル、最も好ましくは1.0乃至15モルの極性促進剤が存在する。]
[0047] カルボン酸成分とポリアミンの充填モル比は重要であり、約2:1乃至1:1の範囲にあってよい。ある態様では充填モル比は約1.7:1乃至1:1である。別の態様では充填モル比は約1.5:1乃至1:1である。また別の態様では充填モル比は約1.7:1乃至1.3:1である。カルボン酸成分とポリアミンの反応で生成するアミドは、反応混合物へのモリブデン成分の導入の前でも、その間でももしくは後でも生じさせることができる。]
[0048] [添加剤濃縮物]
多くの場合において、本発明の油溶性添加剤組成物の濃縮物をキャリヤ液で作ることが有利である。これら添加剤濃縮物は、取扱いや輸送の、また潤滑油基油に最後にブレンドして完成潤滑剤にする便利な方法をもたらす。一般に本発明の油溶性添加剤濃縮物は、単独では完成潤滑剤として使用できないか適さない。むしろ、油溶性添加剤濃縮物は潤滑油基材油にブレンドされて完成潤滑剤になる。キャリヤ液は、本発明の油溶性添加剤を容易に可溶化して、潤滑油基材油に容易に溶ける油添加剤濃縮物を与えるものであることが望ましい。さらに、キャリヤ液は、例えば高い揮発性や高粘度、ヘテロ原子などの不純物を含む如何なる望ましくない特性も、潤滑油基材油に持ち込まないで、そうして最終的に完成潤滑剤にすることが望ましい。従って、本発明は更に、不活性キャリヤ液、および全濃縮物に基づき2.0質量%乃至90質量%の本発明に係る油溶性添加剤組成物を含む、油溶性添加剤濃縮組成物を提供する。不活性キャリヤ液は潤滑油であってもよい。]
[0049] これら濃縮物は通常、本発明の油溶性添加剤組成を約2.0質量%乃至約90質量%、好ましくは10質量%乃至50質量%含有していて、更に当該分野で知られている後述する他の添加剤を一種以上含有していてもよい。濃縮物の残りは実質的に不活性なキャリヤ液である。]
[0050] [潤滑油組成物]
本発明の一態様では、本発明の油溶性添加剤組成物を潤滑粘度の基油に混合して、潤滑油組成物にすることができる。潤滑油組成物は、主要量の潤滑粘度の基油と、少量の上述した本発明の油溶性添加剤組成物を含んでいる。]
[0051] 本発明に使用することができる潤滑油としては、ナフテン系、パラフィン系および混合基油などの種々様々な炭化水素油、並びにエステル類などの合成油を挙げることができる。また、本発明に使用することができる潤滑油としては、植物及び動物由来の油のようなバイオマスからの油も挙げられる。潤滑油は個々に使用しても組み合わせて使用してもよいが、その粘度は40℃で一般に7乃至3300cSt、通常は20乃至2000cStの範囲にある。よって基油は、精製パラフィン型基油、精製ナフテン系基油、または潤滑粘度の合成炭化水素又は非炭化水素油であってよい。また、基油は鉱油と合成油の混合物であってもよい。本発明に基油として使用される鉱油としては例えば、潤滑油組成物に通常使用されるパラフィン系、ナフテン系及びその他の油が挙げられる。合成油としては例えば、所望の粘度を有する炭化水素合成油と合成エステル類の両方およびそれらの混合物が挙げられる。炭化水素合成油としては例えば、エチレンの重合により製造された油、すなわちポリアルファオレフィン又はPAO、あるいはフィッシャー・トロプシュ法のような一酸化炭素ガスと水素ガスを用いた炭化水素合成法により製造された油を挙げることができる。使用できる合成炭化水素油としては、適正な粘度を有するアルファオレフィンの液体重合体が挙げられる。同様に、適正な粘度のアルキルベンゼン類、例えばジドデシルベンゼンも使用することができる。使用できる合成エステル類としては、モノカルボン酸及びポリカルボン酸とモノヒドロキシアルカノール及びポリオールとのエステル類が挙げられる。代表的な例としては、ジドデシルアジペート、ペンタエリトリトールテトラカプロエート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、およびジラウリルセバケート等がある。モノ及びジカルボン酸とモノ及びジヒドロキシアルカノールとの混合物から製造された複合エステル類も使用することができる。鉱油と合成油のブレンドも使用できる。]
[0052] 本発明の油溶性添加剤を含有する潤滑油組成物は、従来技術により、本発明の油溶性添加剤を適切な量で潤滑油と混ぜ合わせることによって製造することができる。特定の基油の選択は、潤滑剤に期待する用途や他の添加剤の有無に依存する。一般に本発明の潤滑油組成物における本発明の油溶性添加剤の量は、潤滑油組成物の全質量に基づき0.05から15質量%まで変わり、好ましくは0.2から1質量%まで変わる。ある態様では潤滑油組成物のモリブデン含量は、百万分の約50部(ppm)から5000ppmの間にあり、好ましくは約90ppmから1500ppmの間にある。別の態様では潤滑油組成物のモリブデン含量は、約500ppmから700ppmの間にある。]
[0053] [他の添加剤]
所望により、他の添加剤が本発明の潤滑油組成物および潤滑油濃縮組成物に含まれていてもよい。これら添加剤としては、抗酸化剤又は酸化防止剤、分散剤、さび止め添加剤、および腐食防止剤等を挙げることができる。また、消泡剤、安定剤、防汚剤、粘着付与剤、チャター防止剤、滴点向上剤、スクォーク防止剤、極圧剤、および悪臭防止剤等も挙げることができる。]
[0054] 以下の添加剤成分は、本発明の潤滑油組成物に好ましく用いることができる成分の一部の例である。これら追加の添加剤の例は、本発明を説明するために記すのであって、本発明を限定しようとするものではない。]
[0055] <金属清浄剤>
本発明に用いることができる清浄剤としては、アルキル又はアルケニル芳香族スルホネート類、カルシウムフェネート、ホウ酸化スルホネート類、多ヒドロキシアルキル又はアルケニル芳香族化合物の硫化又は未硫化金属塩類、アルキル又はアルケニルヒドロキシ芳香族スルホネート類、硫化又は未硫化アルキル又はアルケニルナフテネート類、アルカノール酸の金属塩類、アルキル又はアルケニル多酸の金属塩類、およびそれらの化学的及び物理的混合物を挙げることができる。]
[0056] <耐摩耗性添加剤>
その名が意味するように、これら添加剤は可動金属部分の摩耗を低減する。そのような添加剤の例としては、これらに限定されるものではないが、ジチオリン酸亜鉛類、カルバメート類、エステル類、およびモリブデン錯体を挙げることができる。]
[0057] <さび止め添加剤(さび止め剤)>
さび止め添加剤は、普段腐食にさらされる物質の腐食を低減する。さび止め添加剤の例としては、これらに限定されるものではないが、非イオン性ポリオキシエチレン界面活性剤、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、およびポリエチレングリコールモノオレエートを挙げることができる。さび止め添加剤として使用できる他の化合物としては、これらに限定されるものではないが、ステアリン酸および他の脂肪酸類、ジカルボン酸類、金属石鹸類、脂肪酸アミン塩類、重質スルホン酸の金属塩類、多価アルコールの部分カルボン酸エステル、およびリン酸エステルを挙げることができる。]
[0058] <抗乳化剤>
抗乳化剤は、エマルジョンの分離を促すために使用される。抗乳化剤の例としては、これらに限定されるものではないが、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールのブロック共重合体、ポリエトキシル化アルキルフェノール類、ポリエステルアミド類、エトキシル化アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂、ポリビニルアルコール誘導体、および陽イオン又は陰イオン高分子電解質を挙げることができる。様々な種類の重合体の混合物も使用することができる。]
[0059] <摩擦緩和剤>
追加の摩擦緩和剤を、本発明の潤滑油に添加してもよい。摩擦緩和剤の例としては、これらに限定されるものではないが、脂肪アルコール類、脂肪酸類、アミン類、エトキシル化アミン類、ホウ酸化エステル類、他のエステル類、リン酸エステル類、亜リン酸エステル類、およびホスホン酸エステル類を挙げることができる。]
[0060] <多機能添加剤>
酸化防止性と耐摩耗性のような複数の特性を持つ添加剤も、本発明の潤滑油に添加してよい。多機能添加剤の例としては、これらに限定されるものではないが、硫化オキシモリブデンジチオカルバメート、硫化オキシモリブデンオルガノホスホジチオエート、オキシモリブデンモノグリセリド、オキシモリブデンジエチラートアミド、アミン・モリブデン錯体、および硫黄含有モリブデン錯体を挙げることができる。]
[0061] <粘度指数向上剤>
粘度指数向上剤は、粘度調整剤としても知られていて、潤滑油の粘度温度特性を改善して、油の温度が変化するにつれてその粘度をより安定にする添加剤の部類からなる。粘度指数向上剤を本発明の潤滑油組成物に添加してもよい。粘度指数向上剤の例としては、これらに限定されるものではないが、ポリメタクリレート型重合体、エチレン・プロピレン共重合体、スチレン・イソプレン共重合体、リン硫化ポリイソブチレンのアルカリ土類金属塩類、水和スチレン・イソプレン共重合体、ポリイソブチレン、および分散型粘度指数向上剤を挙げることができる。]
[0062] <流動点降下剤>
流動点降下剤は、潤滑油中のろう結晶形成を抑制するように設計され、その結果流動点を下げて低温流動性能を改善する重合体である。流動点降下剤の例としては、これらに限定されるものではないが、ポリメチルメタクリレート、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン重合体、およびアルキル化ポリスチレン類を挙げることができる。]
[0063] <消泡剤>
消泡剤は、潤滑油の泡立ち傾向を低減するために使用される。消泡剤の例としては、これらに限定されるものではないが、アルキルメタクリレート重合体、アルキルアクリレート共重合体、およびジメチルシロキサン重合体などの高分子量オルガノシロキサン類を挙げることができる。]
[0064] <金属不活性化剤>
金属不活性化剤は、金属が油を酸化させるのを防ぐために金属表面に膜を作る。金属不活性化剤の例としては、これらに限定されるものではないが、ジサリチリデンプロピレンジアミン、トリアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ビスイミダゾールエーテル類、およびメルカプトベンズイミダゾール類を挙げることができる。]
[0065] <分散剤>
分散剤は、スラッジやカーボン、スス、酸化生成物、他の堆積物前駆体を拡散して凝集するのを防ぎ、結果として堆積物形成を低減し、油酸化を減らし、そして粘度増加を減らす。分散剤の例としては、これらに限定されるものではないが、アルケニルコハク酸イミド類、他の有機化合物で変性したアルケニルコハク酸イミド類、エチレンカーボネート又はホウ酸による後処理で変性したアルケニルコハク酸イミド類、アルカリ金属又は混合アルカリ金属、アルカリ土類金属のホウ酸塩類、水和アルカリ金属ホウ酸塩の分散物、アルカリ土類金属ホウ酸塩の分散物、およびポリアミド無灰分散剤等、またはそのような分散剤の混合物を挙げることができる。]
[0066] <酸化防止剤>
酸化防止剤は、スラッジ及びワニス状堆積物など酸化生成物が金属表面に形成されるのを防ぐことにより、鉱油が劣化する傾向を低減する。本発明に使用できる酸化防止剤の例としては、これらに限定されるものではないが、フェノール型(フェノール系)酸化防止剤、例えば4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデン−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、2,2’−イソブチリデン−ビス(4,6−ジメチルフェノール)、2,2’−5−メチレン−ビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−1−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−4−(N,N’−ジメチルアミノメチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−10−ブチルベンジル)−スルフィド、およびビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)を挙げることができる。ジフェニルアミン型酸化防止剤としては、これらに限定されるものではないが、アルキル化ジフェニルアミン、フェニル−アルファ−ナフチルアミン、およびアルキル化アルファ−ナフチルアミンを挙げることができる。他の型の酸化防止剤としては、金属ジチオカルバメート(例えば、亜鉛ジチオカルバメート)、およびメチレンビス(ジブチルジチオカルバメート)が挙げられる。]
[0067] [用途]
本明細書に開示する油溶性添加剤組成物を含む潤滑油組成物は、潤滑油の摩擦特性を調整するための液体組成物としてもグリース組成物としても効果があり、それをクランクケース用潤滑剤として使用すれば、本発明の潤滑油で潤滑処理した車両に総マイル数の改善をもたらすことができる。]
[0068] 本発明の潤滑油組成物は、クロスヘッド・ディーゼルエンジンにおけるような舶用シリンダ潤滑剤、自動車や鉄道におけるようなクランクケース潤滑剤、製鋼所などの重機械類用潤滑剤に、あるいは軸受等用のグリースとして使用することができる。潤滑剤が液体であるか固体であるか否かは通常、増ちょう剤が存在するか否かに依る。代表的な増ちょう剤としては、ポリ酢酸尿素およびステアリン酸リチウム等が挙げられる。本発明の油溶性添加剤組成物はまた、爆発性のエマルジョン配合物において酸化防止剤、耐摩耗性添加剤としての有用性も見い出すことができる。]
[0069] [他の用途]
本発明の油溶性添加剤組成物は、潤滑油添加剤としての使用に加えて、水素化処理触媒の前駆体としても考慮することができる。本発明の油溶性添加剤組成物は、触媒前駆体として作用することができて、水素と硫黄又は硫黄担持化合物の存在下で炭化水素と接触して分解して、炭化水素質供給原料を水素化処理するための活性触媒になることができる。本発明の油溶性添加剤組成物を、水素と炭化水素と硫黄又は硫黄担持化合物の存在下で、例えば「油中」条件で分解温度に加熱して分解して、水素化処理用活性触媒種にすることができる。]
[0070] 炭化水素の性質は重要ではなく、一般に、非環状でも環状でも、飽和でも不飽和でも、未置換でも反応不活性に置換されていてもよい任意の炭化水素化合物が挙げられる。好ましい炭化水素は、通常の温度で液体であるものであり、その例示としては、オクタン、トリデセン、エイコサンまたはノナコサン等のような直鎖飽和非環状炭化水素;2−ヘキセンおよび1,4−ヘキサジエン等のような直鎖不飽和非環状炭化水素;3−メチルペンタン、ネオペンタン、イソヘキサンおよび2,7,8−トリエチルデカン等のような分枝鎖飽和非環状炭化水素;3,4−ジプロピル−1,3−ヘキサジエン−5−インおよび5,5−ジメチル−1−ヘキセン等のような分枝鎖不飽和非環状炭化水素;シクロヘキサンおよび1,3−シクロヘキサジエン等のような飽和又は不飽和環状炭化水素があり;また、クメン、メシチレン、スチレン、トルエンまたはo−キシレン等のような芳香族炭化水素も挙げられる。より好ましい炭化水素は石油から誘導されたものであり、特にはバージンナフサ類、分解ナフサ類、フィッシャー・トロプシュ・ナフサ、ライトサイクルオイル、ミディアムサイクルオイルおよびヘビーサイクルオイル等と特徴付けられる石油炭化水素の混合物が挙げられ、一般には炭素原子約5乃至約30個、好ましくは炭素原子約5乃至約20個を含み、沸点が約30℃乃至約450℃、好ましくは約150℃乃至約300℃の範囲にあるものである。本発明の油溶性添加剤組成物を分解して水素化処理触媒にするには、本発明の油溶性添加剤組成物を含んだ充填層を、水素雰囲気中で炭化水素と硫黄又は硫黄担持化合物両方と接触させて、該本発明の油溶性添加剤組成物を分解できる条件で加熱する。]
[0071] 硫黄又は硫黄担持化合物は、オルガノ硫黄又は炭化水素硫黄化合物と特徴付けられ、分子全体で炭素−硫黄結合を1つ以上含んでいて、一般には非環式でも環式でも、飽和でも不飽和でも、置換されていても反応不活性に置換されていてもよい化合物が挙げられる。この特徴を持つ非環式化合物の例示としては、エチルスルフィド、n−ブチルスルフィド、n−ヘキシルチオール、ジエチルスルホン、アリルイソチオシアネート、ジメチルジスルフィド、エチルメチルスルホン、およびエチルメチルスルホキシド等があり;そのような特徴を持つ環式化合物としては、メチルチオフェノール、ジメチルチオフェン、4−メルカプト安息香酸、ベンゼンスルホン酸、5−ホルムアミド−ベンゾチアゾール、1−ナフタレンスルホン酸、およびジベンジルチオフェン等がある。硫黄は、少なくとも触媒に必要な所望の化学量論とするのに充分な量で存在しなければならず、好ましくはこれより過剰な量で用いられる。好適には、反応のための炭化水素と硫黄両方を、硫黄含有炭化水素化合物、例えば複素環硫黄化合物又は化合物類を使用することにより供給することができる。そのような目的に適した複素環硫黄化合物の例示としては、チオフェン、ジベンゾチオフェン、テトラフェニルチオフェン、テトラメチルジベンゾチオフェン、テトラヒドロジベンゾチオフェン、チアントレン、およびテトラメチルチアントレン等がある。本発明の触媒を生成させるのに必要な水素は、純水素でも、水素の豊富なガス混合物でも、あるいはその場で水素を発生する化合物、例えば一酸化炭素と水の混合物などの水素発生ガス、または水素供与性溶媒でもよい。]
[0072] 以下の実施例は、本発明の特定の態様を説明するために提示するのであって、決して本発明の範囲を限定するものとみなすべきではない。]
[0073] [実施例1(比較例)]
MoOxSyとイソステアリン酸(ISA)/テトラエチレンペンタアミン(TEPA)ポリアミドとの塩
ISA/TEPA CMR=3.15:1
丸底フラスコに、イソステアリン酸とテトラエチレンペンタアミンのポリアミド(280g、ISA/TEPA CMR=3.15)、希釈油(エクソン(Exxon)100N、90g)、およびトルエン(100mL)を充填した。次いで、三酸化モリブデン(17.5g、0.12モル)、および水(25g)をフラスコに加えた。溶液を70−90℃で3−4時間加熱した。次に、硫黄(15g、0.46モル)を溶液に加え、混合物を100℃で更に2時間加熱した。水とトルエンを減圧して取り除いた。最終生成物の分析で次のことが判明した:Mo=2.9質量%、S=3.8質量%。]
[0074] [実施例2]
MoOxSyとイソステアリン酸(ISA)/テトラエチレンペンタアミン(TEPA)ポリアミドとの塩
ISA/TEPA CMR=1.3:1
丸底フラスコに、イソステアリン酸とテトラエチレンペンタアミンのポリアミド(10g、ISA/TEPA CMR=1.3)、希釈油(エクソン100N、6.6g)、およびトルエン(40mL)を充填した。次いで、三酸化モリブデン(1.3g、0.009モル)、および水(2g)をフラスコに加えた。溶液を70−90℃で3−4時間加熱した。次に、硫黄(0.55g、0.017モル)を溶液に加え、混合物を100℃で更に2時間加熱した。水とトルエンを減圧して取り除いた。最終生成物の分析で次のことが判明した:Mo=4.0質量%、S=3質量%。]
[0075] [実施例3]
MoOxSyとイソステアリン酸(ISA)/ジエチレントリアミン(DETA)ポリアミドとの塩
ISA/DETA CMR=1.7:1
丸底フラスコに、イソステアリン酸とジエチレントリアミンのポリアミド(250g、ISA/DETA CMR=1.7)、希釈油(エクソン100N、363g)、およびトルエン(200mL)を充填した。次いで、三酸化モリブデン(46.3g、0.32モル)、および水(25g)をフラスコに加えた。溶液を70−90℃で3−4時間加熱した。次に、硫化アンモニウム(42質量%水溶液54.85mL)を溶液に加え、混合物を100℃で更に2時間加熱した。水とトルエンを減圧して取り除いた。最終生成物の分析で次のことが判明した:Mo=3.56質量%、S=2.03質量%。]
[0076] [実施例4]
MoOxSyとイソステアリン酸(ISA)/ジエチレントリアミン(DETA)ポリアミドとの塩
ISA/DETA CMR=1.3:1
丸底フラスコに、イソステアリン酸とジエチレントリアミンのポリアミド(400g、ISA/DETA CMR=1.3)、希釈油(エクソン100N、385g)、およびトルエン(200mL)を充填した。次いで、三酸化モリブデン(52.1g、0.36モル)、および水(40g)をフラスコに加えた。溶液を70−90℃で3−4時間加熱した。次に、硫黄(23.2g、0.72モル)を溶液に加え、混合物を100℃で更に2時間加熱した。水とトルエンを減圧して取り除いた。最終生成物の分析で次のことが判明した:Mo=3.6質量%。]
[0077] [実施例5]
MoOxSyとイソステアリン酸(ISA)/エチレンジアミン(EDA)ポリアミドとの塩
ISA/EDA CMR=1.0:1
丸底フラスコに、エチレンジアミンとイソステアリン酸のポリアミド(118g、ISA/EDA CMR=1.0)、希釈油(エクソン100N、272g)、およびトルエン(360mL)を充填した。次いで、三酸化モリブデン(18.9g、0.13モル)、および水(12g)をフラスコに加えた。溶液を70−90℃で3−4時間加熱した。次に、硫黄(8.4g、0.26モル)を溶液に加え、混合物を100℃で更に2時間加熱した。水とトルエンを減圧して取り除いた。最終生成物の分析で次のことが判明した:Mo=3.0質量%。]
[0078] [潤滑油組成物]
実施例1乃至5から下記の配合に従って、MoOxSyとイソステアリン酸/ポリアミンアミドとの塩を含む潤滑油組成物を製造した。
(1)MoOxSyとイソステアリン酸/ポリアミンアミドの塩(各配合物でMo含量=500ppm)
(2)無灰分散剤、4質量%
(3)アルカリ土類金属カルボキシレート清浄剤、3.01質量%
(4)アルカリ土類金属スルホネート清浄剤、0.60質量%
(5)ジアルキルジチオリン酸亜鉛、0.62質量%
(6)酸化防止剤、1.2質量%
(7)非分散型粘度指数向上剤、4.3質量%
(8)消泡剤、5ppm
(9)潤滑油、残量]
[0079] [実施例6(比較例)]
モリブデンジチオカルバメートを含む潤滑油組成物
モリブデンジチオカルバメート(「サクラルーベ(Sakura Lube)505」、アデカUSAコーポレーション(AdekaUSA Corporation、ニュージャージー州サドルリバー)製)0.82質量%が、この潤滑油組成物の唯一のモリブデン源になったこと以外は、上記の配合に従って潤滑油組成物を製造した。]
[0080] [実施例7(比較例)]
酸硫化モリブデン/モノコハク酸イミド錯体を含む潤滑油組成物
米国特許第4263152号明細書(キング、外)に記載されているようにして、ポリイソブテニル(分子量約1000)から誘導した酸硫化モリブデン・モノコハク酸イミド錯体500ppmが、この潤滑油組成物の唯一のモリブデン源になったこと以外は、上記の配合に従って潤滑油組成物を製造した。]
[0081] 上述した組成物について、ミニトラクション・マシン(MTM)台上試験にて摩擦性能の試験を行った。MTMは、PCSインスツルメンツ(PCS Instruments)社が製造したものであり、ステンレス鋼球(6mm)が回転ディスク(32100鋼)に載置されたピン・オン・ディスク構成で作動する。条件として荷重10ニュートン、速度500mm/s、温度120℃を用い、運転時間は60分である。結果は、最後10分間の平均をとったものであり、第1表にまとめて示す。]
[0082] 第 1 表
─────────────────────────────────────
実施例種別CMR摩擦係数(COF)
(ISA:ポリアミン) (最後10分平均)
─────────────────────────────────────
1 MoOxSy/ISA/ 3.15 0.069
TEPAポリアミド
2 MoOxSy/ISA/ 1.3 0.045
TEPAポリアミド
3 MoOxSy/ISA/ 1.7 0.049
DETAポリアミド
4 MoOxSy/ISA/ 1.3 0.044
DETAポリアミド
5 MoOxSy/ISA/ 1.0 0.042
EDAアミド
6 MoDTC − 0.044
7 MoOxSy・コハク酸− 0.104
イミド
─────────────────────────────────────]
実施例

[0083] 第1表の実施例2〜5は、モリブデン成分とカルボン酸/ポリアミン成分との塩が、カルボン酸:ポリアミンCMR約2:1乃至約1:1であるとき、本発明の潤滑油組成物の摩擦係数(COFが低いほど、摩擦低減性が良い)が、よく知られた減摩剤であるモリブデンジチオカルバメートの摩擦係数に匹敵することを明らかにしている。また、実施例2−5は、モリブデン・コハク酸イミド錯体(例えば実施例7)に比べて非常に優れた摩擦低減性を示している。さらに、実施例2−5は、ISA:TEPAのCMRが3.15:1の潤滑油添加剤を含有する実施例1(比較)よりも、優れた摩擦低減性を示している。第1表のデータが証明するように、イソステアリン酸対ポリアルキレンポリアミンのCMRを下げると、摩擦低減性が向上する。]
权利要求:

請求項1
下記の成分の塩を含む油溶性添加剤組成物:(1)一般式:MoOxSy、ただし、x≧0、y≧0、かつ12≧(x+y)≧2である、を有する酸化、硫化又は酸硫化モリブデンであるモリブデン成分、および(2)カルボン酸成分とポリアミン成分の充填モル比が約2:1乃至1:1である、カルボン酸成分とポリアミン成分との反応生成物を含むアミド。
請求項2
アミドが少なくとも一個の塩基性窒素を含む請求項1に記載の油溶性添加剤組成物。
請求項3
カルボン酸成分とポリアミン成分の充填モル比が、約1.7:1乃至1:1である請求項1に記載の油溶性添加剤組成物。
請求項4
ポリアミン成分が、下記一般式のポリアルキレンポリアミンである請求項1に記載の油溶性添加剤組成物:H2N(−R−NH)n−H式中、Rは炭素原子数2〜3のアルキレン基であり、そしてnは1乃至11の整数である。
請求項5
モリブデン成分が硫化されている請求項1に記載の油溶性添加剤組成物。
請求項6
下記の物質を含む潤滑油組成物:(1)潤滑粘度の油、および(2)下記の成分の塩を含む油溶性添加剤組成物:(a)一般式:MoOxSy、ただし、x≧0、y≧0、かつ12≧(x+y)≧2である、を有する酸化、硫化又は酸硫化モリブデンであるモリブデン成分、および(b)カルボン酸成分とポリアミン成分の充填モル比が約2:1乃至1:1である、カルボン酸成分とポリアミン成分との反応生成物を含むアミド。
請求項7
潤滑油組成物が、モリブデン成分を約50ppm乃至5000ppm含む請求項6に記載の潤滑油組成物。
請求項8
油溶性添加剤組成物の含有量が0.05から15質量%の間にある請求項15に記載の潤滑油組成物。
請求項9
油溶性添加剤組成物を製造する方法であって、下記の成分を反応させてモリブデン含有反応生成物にすることを含む方法:(1)酸化、硫化もしくは酸硫化モリブデンであるか、あるいはそれを生成させることができるモリブデン成分、および(2)カルボン酸成分とポリアミン成分の充填モル比が約2:1乃至1:1である、カルボン酸成分とポリアミン成分との反応生成物を含むアミド。
請求項10
モリブデン含有反応生成物を、モリブデン原子当り硫黄0.01乃至12原子とするのに充分な量で硫化する請求項9に記載の方法。
請求項11
該モリブデン成分と該アミドとの該反応に、極性促進剤を存在させる請求項9に記載の方法。
請求項12
硫黄、硫化水素、五硫化リン、R2Sx、ただし、Rは炭化水素基であり、そしてxは少なくとも2である、無機硫化物又は無機多硫化物、チオアセトアミド、チオ尿素、式:RSH、ただし、Rは炭化水素基である、のメルカプタン類、または硫黄含有酸化防止剤から選ばれた硫黄源を用いて、硫化を行う請求項10に記載の方法。
請求項13
ポリアミン成分が、下記一般式で表されるポリアルキレンポリアミンを含む請求項9に記載の方法:H2N(−R−NH)n−H式中、Rは炭素原子数2〜3のアルキレン基であり、そしてnは1乃至11の整数である。
請求項14
請求項9に記載の方法により製造された生成物。
請求項15
下記の成分の反応生成物を含む油溶性添加剤組成物:(1)一般式:MoOxSy、ただし、x≧0、y≧0、かつ12≧(x+y)≧2である、を有する酸化、硫化もしくは酸硫化モリブデンであるか、あるいはそれを生成させることができるモリブデン成分、および(2)カルボン酸成分とポリアミン成分の充填モル比が約2:1乃至1:1である、カルボン酸成分とポリアミン成分との反応生成物を含むアミド。
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