感染症を診断するための蛍光性化合物、方法及びこれらの適用
专利摘要:
本発明は、アルキルリン脂質に類似しており、その構造中に高光安定性の蛍光性基を含み、可視の範囲の波長領域において発光する、新規な蛍光性化合物について記載する。この化合物は、微生物に容易に取り込まれることによって、蛍光顕微鏡を用いてこれらの生物を検出及び同定することを可能にする。この新規な蛍光性化合物はまた、迅速かつ容易に、アルキルリン脂質による治療に耐性であることを特徴とする病原性微生物の存在を診断することができる。 公开号:JP2011516652A 申请号:JP2011502402 申请日:2009-03-30 公开日:2011-05-26 发明作者:フェルナンデス,ア.ウリセス アクーニャ;ゲルリ,フランシスコ アマット;ゴメス;レクエロ,ヴァレンティン オルニージョス;ガジェホ,エウヘニア カリージョ;クルス,ホセ;マリア サウガル;アグイラ;デ;ラ;プエンテ,カルメン デル;セレスティーノ,スザナ マルコス;ジョベス,ヘスース メラヨ;ロペス,ルイス;イグナシオ リヴァス;イシドロ,ホセ;マリア レケホ 申请人:ウニヴェルシダッド サン パブロ セエウUniversidad San Pablo Ceu;ウニヴェルシダッド デ ヴァリャドリードUniversidad De Valladolid;コンセホ・スペリオール・デ・インベスティガシオネス・シエンティフィカスConsejo Superior De Investigaciones Cientificas; IPC主号:C09B57-10
专利说明:
[0001] 〔技術分野〕 感染症、好ましくは眼球における感染症を臨床診断するための、及び微生物の存在を同定するための、医薬組成物。] [0002] 〔背景技術〕 目に影響する特定の疾患に対する正しい治療及び予防には、当該器官に感染部を形成し得る多種類の微生物を同定することが必要である。目の感染症の多くは、早期に診断及び治療をしなければ、患者の視力に深刻な結果を与え得る。このため、ときとして、感染を受けた組織の断片標本を目から抽出することにより(バイオプシー)、又はこの組織に直接接触する生理的な流体(この場合は、涙)を解析することにより、感染した器官において直接的に感染症の病原体を検出することが必要となる。前述のサンプルにおいて微生物を検出する通常の方法では、その後に容易に同定するために、まず潜在的な病原微生物の数を増やすための培養を行なうことが多い。これらの培養は、1〜4日の連続した期間を必要とし、その間に患者は、その感染症を引き起こしている病原体が不明であるため、その感染症に特有の医薬品を用いた治療を受けることができない。これらの連続した待機期間は、感染した器官に対して極めて深刻な結果をもたらし得るため、正確な診断を行なうために必要な時間を大きく短縮させる他の検出方法を見出すことが、非常に有益であろう。] [0003] また、このような感染症を予防するためには、最終的に長期間、目に密接に接触され得る要素、例えばコンタクトレンズ及びその対応する洗浄液を、無菌状態を保証する高い衛生的条件にて保存しかつ使用することが、非常に重要である。上述したように、義眼及びその保存手段(conservation means)における汚染の可能性に関する信頼性ある情報を得ることを可能にするためには、微生物の培養という困難な方法に頼ることが必要であることが多い。現在の細胞培養に基づく材料を用いた診断技術の困難性によって、これら診断技術の適用の頻度及び伸展の両方が、この場合に制限され、ユーザに対し感染のリスクをさらに増大させる。] [0004] 一方、感染性微生物を検出するための別の技術として、蛍光定量型の技術が発展してきている。この技術は、微生物の存在が疑われる培養液に直接加えて使用する蛍光性マーカー化合物に基づいている。蛍光性マーカー化合物が感染性微生物の中に取り込まれると、様々な蛍光表示装置、例えば顕微鏡又はフローサイトメーター(Kawamoto, F., Rapid diagnosis of malaria by fluorescence microscopy with light microscope and interference filter. Lancet 1991, 337, 200-202)を用いることにより、その存在及びその形態を検出することが可能になる。これら装置は、非常に微量な蛍光強度でも検出することができるため、非常に少ない細胞を用いて正確な診断を行なうことが原則として可能であり、この処理に要する時間を大きく短縮することができる。残念ながら、蛍光標識によるこの直接的な方法は、目の感染症を検出するために使用する場合、蛍光標識の特異性の欠如によって極めて制限される。この蛍光標識の特異性の欠如は、眼科学分野における多数の病原微生物に対する従来の蛍光標識の親和性が、健康な目の細胞及び組織に対する親和性に非常に類似しており、病原微生物に対応する蛍光との間の区別が困難になることにより引き起こされる。] [0005] 本発明の目的は、詳細には、感染性生物に対する蛍光性マーカーの親和性を増加させることを可能にする、簡易かつ経済的な新しい方法を使用することにある。この新しい方法は、正常であり健康な目の細胞より病原性生物に対して非常に高い親和性を示す、比較的単純な分子構造を有するタイプの化合物と結合している蛍光性マーカーの使用に基づいている。病原性生物内への蛍光性マーカーの選択的な取り込みのために、本発明において使用されるこれらの化合物は、例えばミルテホシン(MT)、エデルホシン(edelfosine)(ET)及びイルモホシン(ilmofosine)(IM)に見られるような、アルキルリン脂質群に属する(Croft, S. L.; Engel, J., Miltefosine--discovery of the antileishmanial activity of phospholipid derivatives. Trans R Soc Trop Med Hyg 2006, 100 Suppl 1, S4-8)。] [0006] ミルテホシン(MT)は、現在、皮膚性の乳癌転移の治療に用いられており、MILTEXの名称で販売されている。また、ミルテホシンは、強力な抗寄生虫活性を示し、この理由からヒトのリーシュマニア症の治療にも使用されており(Soto, J.; Soto, P., Miltefosine: oral treatment of leishmaniasis. Expert Rev Anti Infect Ther 2006, 4, (2), 177-85)、コロンビア、インド及びドイツでIMPAVIDO(Zentaris S. A.)の名称で取引されている。最近、イヌのリーシュマニア症の治療のために、市販の組成物であるMILTEFORAN(Virbac)をこの目的のために使用することによって、MTの使用がまた開始されている。同時に、MTにおける他の原虫にまで及ぶ細胞毒性の活性が観察されている。他の原虫とは、例えばトリコモナス属(Blaha, C.; Duchene, M.; Aspock, H.; Walochnik, J., In vitro activity of hexadecylphosphocholine (miltefosine) against metronidazoleresistant and -susceptible strains of Trichomonas vaginalis. J Antimicrob Chemother2006, 57, (2), 273-8)、赤痢アメーバ(Seifert, K.; Duchene, M.; Wernsdorfer, W. H.; Kollaritsch, H.; Scheiner, O.; Wiedermann, G.; Hottkowitz, T.; Eibl, H., Effects of miltefosine and other alkylphosphocholines on human intestinal parasite Entamoeba histolytica. Antimicrob Agents Chemother 2001, 45, (5), 1505-10)、人間に対し病原性のある自由生活アメーバ、例えばアカントアメーバ属又はネグレリア属(Schuster, F. L.; Guglielmo, B. J.; Visvesvara, G. S., In-vitro activity of miltefosine and voriconazole on clinical isolates of free-living amoebas: Balamuthia mandrillaris, Acanthamoeba spp., and Naegleria fowleri. J Eukaryot Microbiol 2006, 53, (2), 121-6; Walochnik, J.; Duchene, M.; Seifert, K.; Obwaller, A.; Hottkowitz, T.; Wiedermann, G.; Eibl, H.; Aspock, H., Cytotoxic activities of alkylphosphocholines against clinical isolates of Acanthamoeba spp. Antimicrob Agents Chemother 2002, 46, (3), 695-701)、及び他のヒト病原性微生物である。このヒト病原性微生物は、真菌、酵母(Obando, D.; Widmer, F.; Wright, L. C.; Sorrell, T. C.; Jolliffe, K. A., Synthesis, antifungal and antimicrobial activity of alkyl phospholipids. Bioorg Med Chem 2007, 15, (15), 5158-65; Widmer, F.; Wright, L. C.; Obando, D.; Handke, R.; Ganendren, R.; Ellis, D. H.; Sorrell, T. C., Hexadecylphosphocholine (miltefosine) has broad-spectrum fungicidal activity and is efficacious in a mouse model of cryptococcosis. Antimicrob Agents Chemother 2006, 50, (2), 414-21)及び肺炎球菌(Llull, D., Rivas, L., Garcia, E. In vitro bactericidal activity of the antiprotozoal drug miltefosine against Streptococcus pneumoniae and other pathogenic streptococci. Antimicrob Agents Chemother. 2007, 51, (5):1844-8)を含む。] [0007] ミルテホシンが上述した生物に対して細胞毒性効果を生成する詳細なメカニズムについては、殆ど知られていない。或る特定の寄生虫に関する直近の研究では、MTの細胞内濃度が非常に高く、リーシュマニア属においてミリモル単位の値にまで達することを考慮し、このメカニズムがおそらく複数標的型(multi-target type)のメカニズムであることが示されている(Luque-Ortega, J. R.; Rivas, L., Miltefosine (hexadecylphosphocholine) inhibits cytochrome c oxidase in Leishmania donovani promastigotes. Antimicrob Agents Chemother2007, 51, (4), 1327-32; Saugar, J. M.; Delgado, J.; Hornillos, V.; Luque-Ortega, J. R.; Amat-Guerri, F.; Acuna, A. U.; Rivas, L., Synthesis and Biological Evaluation of Fluorescent Leishmanicidal Analogues of Hexadecylphosphocholine (Miltefosine) as Probes of Antiparasite Mechanisms. J Med Chem 2007, 50, (24), 5994-6003)。この仮説は、寄生虫内の薬剤の特異的な輸送体(translocators)が単に機能的に欠如したことによって生じるという特徴を有する、リーシュマニアのMT耐性系統の出現によっても支持される(Seifert, K.; Perez-Victoria, F. J.; Stettler, M.; Sanchez-Canete, M. P.; Castanys, S.; Gamarro, F.; Croft, S. L., Inactivation of the miltefosine transporter, LdMT, causes miltefosine resistance that is conferred to the amastigote stage of Leishmania donovani and persists in vivo Int J Antimicrob Agents 2007, 30, (3), 229-35; Perez-Victoria, F. J.; Sanchez-Canete, M. P.; Seifert, K.; Croft, S. L.; Sundar, S.; Castanys, S.; Gamarro, F., Mechanisms of experimental resistance of Leishmania to miltefosine: Implications for clinical use. Drug Resist Updat 2006, 9, (1-2), 26-39; Perez-Victoria, F. J.; Sanchez-Canete, M. P.; Castanys, S.; Gamarro, F., Phospholipid translocation and miltefosine potency require both L. donovani miltefosine transporter and the new protein LdRos3 in Leishmania parasites. J Biol Chem 2006, 281, (33), 23766-75; Perez-Victoria, F. J.; Gamarro, F.; Ouellette, M.; Castanys, S., Functional cloning of the miltefosine transporter. A novel P-type phospholipid translocase from Leishmania involved in drug resistance. J Biol Chem 2003, 278, (50), 49965-71)。これら特異的なトランスポーターは、アミノリン脂質輸送体ファミリーに属する;しかしながら、このトランスポーターの詳細な同定は、ドノバンリーシュマニア(Leishmania donovani)のLdMT3(Perez-Victoria, F. J.; Gamarro, F.; Ouellette, M.; Castanys, S., Functional cloning of the miltefosine transporter. A novel P-type phospholipid translocase from Leishmania involved in drug resistance. J Biol Chem 2003, 278, (50), 49965-71)、及び出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)のLem3(Hanson, P. K.; Malone, L.; Birchmore, J. L.; Nichols, J. W., Lem3p is essential for the uptake and potency of alkylphosphocholine drugs, edelfosine and miltefosine. J Biol Chem 2003, 278, (38), 36041-50)に関して行なわれているのみである。リーシュマニアにおいて、このトランスポーターの変異は、ミルテホシン及びエデルホシンに対する耐性の表現型を引き起こし、この耐性は、放射性のミルテホシンの寄生虫への取り込みの阻害とともに進行する;しかしながら、出芽酵母におけるLem3の機能欠失の場合には、蛍光性リン脂質NBD−PCの取り込みの阻害が見られ、この阻害が、薬剤の取り込みの欠失によってエデルホシン耐性の表現型と結びつくと見られるが、この効果は実験的には観測されていない(Hanson, P. K.; Malone, L.; Birchmore, J. L.; Nichols, J. W., Lem3p is essential for the uptake and potency of alkylphosphocholine drugs, edelfosine and miltefosine. J Biol Chem 2003, 278, (38), 36041-50)。] [0008] 先の研究の結果として生じ、かつ本発明に関連する結論は、概略すれば以下の通りである: i)MT及び他のアルキルリン脂質は、下位の真核生物及び形質転換細胞に選択的に取り込まれる; ii)これらの化合物の致死作用は、上述した薬剤の大規模な細胞内取り込みと結びついている; iii)種々のタイプの寄生虫において今日同定されているMT耐性のメカニズムは、もっぱらこれら生物におけるこの薬剤の蓄積の欠失に関連している。] [0009] 近年、インド及びネパールにおいて、内臓リーシュマニア症に感染された患者に対し、特にアンチモンの薬剤の治療に対する耐性系統に感染した患者に対し、MTが大量に使用され始めている(Sundar, S.; Chatterjee, M., Visceral leishmaniasis - current therapeutic modalities. Indian J Med Res 2006, 123, (3), 345-52);南アメリカの種々の国においても、皮膚リーシュマニア症の治療において、同じ手法が使用されている(Soto, J.; Soto, P., Miltefosine: oral treatment of leishmaniasis. Expert Rev Anti Infect Ther 2006, 4, (2), 177-85)。これらの環境において病院が治療を正しく制御することは困難であるため、寄生虫のMT耐性系統が早期に出現することが予測できる。動物モデルにおける実験によって、MTの輸送体の欠失による耐性の寄生虫の病原性が、薬剤感受性の寄生虫の病原性と同じであることが示されている(Seifert, K.; Perez-Victoria, F. J.; Stettler, M.; Sanchez-Canete, M. P.; Castanys, S.; Gamarro, F.; Croft, S. L., Inactivation of the miltefosine transporter, LdMT, causes miltefosine resistance that is conferred to the amastigote stage of Leishmania donovani and persists in vivo. Int J Antimicrob Agents 2007, 30, (3), 229-35)。例えば本発明の1つのような、試薬及び迅速かつ簡単な取り扱い方法を手に入れることによって、耐性系統の出現を早く検出し、かつ妨害することができるであろう。] [0010] また、衛生的習慣の悪いコンタクトレンズのユーザの中において特に高い確率で発生するアメーバ性感染症をもたらす、アカントアメーバの目における存在の早期の診断は、現在は、まず真菌及びヘルペスの感染症の可能性を排除した後に行なわれるため、この遅れによって、ときには不可逆性の失明をもたらすような次の損傷が引き起こされてしまう(Hammersmith, K. M., Diagnosis and management of Acanthamoeba keratitis. Curr Opin Ophthalmol 2006, 17, (4), 327-31)。] [0011] コンタクトレンズの保存液及び洗浄液、並びに移植角膜のための保存方法における品質管理に対する、本発明に記載の化合物のさらなる適用は、同じ原理に基づいている。近年、レンズの保存液におけるフザリウム属による汚染が、多数の患者に深刻な影響を与えており、製造業者の財政上の損失をもたらしている(Chang, D. C.; Grant, G. B.; O'Donnell, K.; Wannemuehler, K. A.; Noble-Wang, J.; Rao, C. Y.; Jacobson, L. M.; Crowell, C. S.; Sneed, R. S.; Lewis, F. M.; Schaffzin, J. K.; Kainer, M. A.; Genese, C. A.; Alfonso, E. C.; Jones, D. B.; Srinivasan, A.; Fridkin, S. K.; Park, B. J., Multistate outbreak of Fusarium keratitis associated with use of a contact lens solution. JAMA 2006, 296, (8), 953-63; Centers for Disease Control and Prevention (CDC), Update: Fusarium keratitis--United States, 2005-2006. MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2006, 55, (20), 563-4)。] [0012] 自由生活原虫の数は、水質及び環境汚染の歩哨生物を構成し(Martin-Cereceda, M.; Perez-Uz, B.; Serrano, S.; Guinea, A., Dynamics of protozoan and metazoan communities in a full scale wastewater treatment plant by rotating biological contactors. Microbiol Res 2001, 156, (3), 225-38)、本発明の化合物を用いたこれらの微生物の検出及び表示が、以下のこれらの濃度および蛍光性アナログの取り込みによって、容易に行なわれ得ることを意味する。] [0013] アルキルリン脂質の蛍光性アナログを合成し、かつ使用した先の研究がある: 1.フェニルテトラエン基(phenyl tetraene groups)で標識された同様の化合物(エデルホシン)の、従来のアナログを準備し、このマーカーがオリジナルの薬剤の生物活性を実質的に変更しないことを観察した(Quesada, E.; Delgado, J.; Gajate, C.; Mollinedo, F.; Acuna, A. U.; Amat-Guerri, F., Fluorescent phenylpolyene analogues of the ether phospholipid edelfosine for the selective labelling of cancer cells. J Med Chem 2004, 47, (22), 5333-5)。 2.上述したフェニルテトラエンまたはフェニルトリエン(phenyl triene)のマーカー基を用いて、オリジナルの薬剤における駆虫性の特性を維持し、さらに、この薬剤に感受性のリーシュマニア系統由来の寄生虫には特異的に取り込まれるが、耐性系統由来の寄生虫には取り込まれないMTアナログを準備した(Saugar, J. M.; Delgado, J.; Hornillos, V.; Luque-Ortega, J. R.; Amat-Guerri, F.; Acuna, A. U.; Rivas, L., Synthesis and Biological Evaluation of Fluorescent Leishmanicidal Analogues of Hexadecylphosphocholine (Miltefosine) as Probes of Antiparasite Mechanisms. J Med Chem 2007, 50, (24), 5994-6003)。 3.ペンタミジンDB−99の蛍光性アナログは、砒素の薬剤を用いたアフリカトリパノソーマ症の治療に対して耐性の微生物の早期の検出のために使用されている(Stewart, M. L.; Krishna, S.; Burchmore, R. J.; Brun, R.; de Koning, H. P.; Boykin, D. W.; Tidwell, R. R.; Hall, J. E.; Barrett, M. P., Detection of arsenical drug resistance in Trypanosoma brucei with a simple fluorescence test. Lancet 2005, 366, (9484), 486-7)。この感染症を引き起こす微生物であるブルセイトリパノソーマ(Trypanosoma brucei)においては、寄生虫の中へのペンタミジン及びDB−99の導入が、砒素の薬剤と同じトランスポーターを介して行なわれる。したがって、このトランスポーターの欠失または機能障害によって、ペンタミジン及びDB−99の吸収の阻害が引き起こされ、その結果、その蛍光性標識が阻害されるとともに、砒素の薬剤に対する耐性の表現型が現れる。] [0014] 〔本発明の説明〕 (簡単な説明) 本発明の一側面は、微生物の差別的同定に有用な蛍光性化合物(以下、「本発明に係る化合物」と称する)により構成される。この化合物は、可視の範囲の波長領域において発光する高光安定性の蛍光性基を有するアルキルリン脂質のアナログを含む。] [0015] 本発明において使用される場合、用語「アルキルリン脂質のアナログ」とは、合成によって得られ、かつアルキルリン脂質に似た構造の化合物を指す。本発明において使用される場合、用語「アルキルリン脂質」とは、その構造中に、炭素原子及び水素原子の線状又は環状の組み合わせによって形成された脂肪親和性の残基(アルキル部分)を含んでおり、この脂肪親和性の残基は、エステル化された、又はフリーのリン酸基により形成された親水性基(リン脂質)に結合されている、化合物を指す。例示する目的であって本発明の範囲を限定するものではないが、アルキルリン脂質は、特に以下に見出され得る:ヘキサデシルホスホコリン(hexadecylphosphocholine)(ミルテホシン、MT)、1−O−オクタデシル−2−O−メチル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(1-O-octadecyl-2-O-methyl-sn-glycero-3-phosphocholine)(エデルホシン、EF)及び1−S−ヘキサデシル−2−メトキシメチル−ラック−グリセロ−3−ホスホコリン(1-S-hexadecyl-2-methoxymethyl-rac-glycero-3-phosphocholine)(イルモホシン、IM)。例示する目的であって本発明の範囲を限定するものではないが、アルキルリン脂質のアナログの具体例は、全て−(E)−13−フェニルトリデカ−6,8,10,12−テトラエニルホスホコリン(everything-(E)-13-phenyltrideca-6,8,10,12-tetraenylphosphocholine)及び全て−(E)−13−フェニルトリデカ−8,10,12−トリエン−6−イニルホスホコリン(everything-(E)-13-phenyltrideca-8,10,12-triene-6-inilphosphocholine)である。] [0016] 本発明において使用される場合、用語「微生物」とは、原虫、アメーバ、真菌類、酵母及び細菌を指し、例示する目的であって本発明の範囲を限定するものではないが、以下の群に属する:リーシュマニア属、ブルセイトリパノソーマ、クルーズトリパノソーマ、トリコモナス属、赤痢アメーバ、アカントアメーバ属、ネグレリア属、肺炎球菌、フザリウム属、テトラヒメナ・ピリフォルミス、バラムチア(Balamuthia)。] [0017] 本発明において使用される場合、用語「蛍光性基」とは、可視の範囲の波長領域において発光する高光安定性の蛍光性基を指し、例示する目的であって本発明の範囲を限定するものではないが、特に以下に見出され得る:置換基を有するか又は有さない、ボロンジピロメテン(boron dipyrromethenes)、キサンテン、ローダミン、シアニン、オキサジン、ポルフィリン(porfirins)、クマリン、及び多環式炭化水素。] [0018] 本発明のより好ましい一側面は、本発明に係る化合物により構成され、アルキルリン脂質のアナログが、ミルテホシン(MT)、エデルホシン(EF)又はイルモホシン(IM)である。] [0019] 本発明のより好ましい一側面は、本発明に係る化合物により構成され、アルキルリン脂質のアナログが、ミルテホシン(MT)、エデルホシン(EF)又はイルモホシン(IM)のアナログである。] [0020] 本発明のより好ましい一側面は、本発明に係る化合物により構成され、蛍光性基がフリーの、又は置換されているボロンジピロメテン(BDP)である。] [0021] 本発明の好ましい一側面は、本発明に係る化合物により構成され、アルキルリン脂質の誘導体がミルテホシンであり、かつ蛍光性基がフリーの、又は置換されているBDPである。] [0022] 本発明のより好ましい一側面は、本発明に係る化合物、BDP−MT又はEt−BDP−MTにより構成される。] [0023] 本発明の好ましい一側面は、本発明に係る化合物を取得する方法により構成され、以下の工程を含む: i)ジセテルアルコール(dicetel alcohol)及びエチルアセトアセテートにより置換されているα−H−ピロールに相当するものを取得する工程、 ii)α−H−ピロールを適切なα−ホルミルピロールと縮合させる工程、 iii)形成したジピロメタンを三フッ化ホウ素エーテル化合物(boron trifluoride etherate)と反応させる工程、ホスホコリン基を導入する工程。] [0024] 本発明の好ましい他の側面は、微生物を同定する方法に有用な医薬組成物の製造における、本発明に係る化合物の使用により構成される。] [0025] 本発明の好ましい他の側面は、本発明に係る化合物を含む診断用医薬組成物(以下、「本発明に係る診断用医薬組成物」と称する)により構成される。本発明に係る化合物とは例えば、BDP−MT化合物又はEt−BDP−MT化合物である。] [0026] 最後に、本発明の好ましい他の側面は、微生物を同定する方法における、本発明に係る診断用医薬組成物の使用(以下、「本発明に係る医薬組成物の使用」と称する)である。] [0027] 本発明の好ましい他の側面は、感染症疾患を患っているヒト又は家畜の生物学的試料から、生体外において診断する方法における、本発明に係る診断用医薬組成物の使用により構成される。この感染症疾患は、例示する目的であって本発明の範囲を限定するものではないが、以下の群に属する:眼球の角膜炎、リーシュマニア症、アフリカトリパノソーマ症及びアメリカトリパノソーマ症、肺炎球菌による肺炎、アメーバ症、トリコモナス症並びに真菌症。] [0028] 本発明のより好ましい他の実施形態は、本発明に係る医薬組成物の使用により構成される。感染症疾患は、微生物によって引き起こされる。この微生物は、例示する目的であって本発明の範囲を限定するものではないが、以下の群に属する:リーシュマニア属、ブルセイトリパノソーマ、クルーズトリパノソーマ、トリコモナス属、赤痢アメーバ、アカントアメーバ属、ネグレリア属、肺炎球菌、フザリウム属、テトラヒメナ・ピリフォルミス、バラムチア(Balamuthia)。] [0029] 本発明の好ましい他の実施形態は、本発明に係る診断用医薬組成物の使用により構成され、この診断の手順は、目に由来の生物学的試料、例えば角膜を掻くことにより得られる生物学的試料、に対して行なわれる。] [0030] 本発明のより好ましい他の実施形態は、本発明に係る診断用医薬組成物の使用により構成される。その手順は、非ヒト及び非動物の試料を用いた微生物の同定と一致する。この非ヒト及び非動物の試料は、例えば水、義眼、コンタクトレンズ、コンタクトレンズの洗浄液、又は角膜保存培地である。] [0031] (詳細な説明) 本発明は、アルキルリン脂質の生物活性アナログが微生物内に容易に取り込まれること、そしてこの取り込みが従来の蛍光顕微鏡によって検出可能であることを本発明者らが見出したことに基づいている。このアルキルリン脂質の生物活性アナログとは、例えば化合物BDP−MT又はEt−BDP−MTであり、その構造中に、400−700nmの可視領域において発光する高光安定性の蛍光性基を含む(Slavik, J., Fluorescent Probes in Cellular and Molecular Biology 1ed.,CRCPress: Boca Raton,FL, 2004, p 320)。したがって、視覚的な診断の専門家であれば、これら化合物を取り込むことができる微生物の存在を容易に同定することができる。この微生物とは、例えば真菌、原虫、及びさらにいくつかの細菌、例えば肺炎球菌等である。さらに、ひとたび種属が同定されれば、アルキルリン脂質の取り込みの欠如とその細胞毒性作用に対する耐性の表現型とが直接的に関連するため、専門家であれば、この化合物を用いた治療に対する耐性の可能性を推論することができる。この目的のためには、微生物の存在が疑われる培地又は組織に蛍光性アナログを加えれば十分である。例えば、この化合物を含む医薬組成物を角膜に対して直接適用することによってである。肯定的な場合には、これらの生物は、この蛍光性アナログによってすぐに標識され、顕微鏡観察を用いた従来の方法により視覚的に同定することが可能となる。さらに、生物がオリジナルのMT薬剤の特異的なキャリアを含有している場合、その内部に蛍光が迅速に出現することが観察される。反対に、同じ条件下で生物がMT薬剤に対して耐性である場合、寄生虫の内部に全く蛍光が観察されない。これにより、これらの微生物の存在および/またはそれらのMT薬剤に対する耐性についての、迅速かつ簡易な診断方法が提供される。] [0032] より特異的に、本発明の実施例として、MTの一連の蛍光性アナログが生物学的に合成され、かつ試験された;これらは、蛍光性基のボロンジピロメタン(boron dipyrromethane)(BDP)をこの化合物の脂肪族の鎖に取り込むことを特徴としていた(実施例を参照)。このような発光するアナログが、アカントアメーバ栄養体並びに真菌の菌糸及び分生子が存在する生理的環境に加えられたとき、アナログはいずれのタイプの生物体にも迅速に取り込まれ、正確な観察の後に形態的な特徴に基づいて個々の同定をすることを可能とする。この方法は、点眼形態によりこれらの化合物を身体に供給し、直接観察することが可能なため、目の中の微生物の差別的診断を容易にする。この概要を説明した方法は、生物学的組織または流体由来の試料における、これら微生物の存在を診断する場合にも適用することができる。この試料とは、例えば、角膜を掻いたもの、又は移植角膜の保存液、又はコンタクトレンズ用の保存液及び洗浄液である。] [0033] ここに示したものは、現在まで行なわれ、かつ概要を述べられた最先端技術の研究に基づく、これらの化合物の可能性ある適用である: 1.目の疾患、真菌またはアメーバ性(アカントアメーバ属)の感染によって引き起こされる眼球の角膜炎、における迅速かつ信頼性ある診断。 2.義眼(コンタクトレンズなど)、コンタクトレンズの洗浄液又は角膜の保存培地を用いた、この培地中の病原性生物の存在を検出することに基づく、汚染の可能性についての迅速かつ信頼性ある診断。 3.末梢血を含む生理的流体並びに患者由来の試料及び組織バイオプシーの両方において、耐性の寄生虫を検出することに基づく、ミルテホシン抗寄生虫薬に耐性のリーシュマニア系統に感染された患者及び動物(イヌ)の迅速な診断。 4.環境に関連する水培地における自由生活原虫の同定に基づく、環境衛生の程度についての迅速な診断。 5.細胞研究及び動物実験の両方において、薬理学的及び生物学的な性質が似ているミルテホシン及びアルキルリン脂質を使用した、実験動物の異なる臓器及び組織におけるこれらのアナログの蛍光性の差別的同定に基づく、バイオイメージング技術を用いた顕微鏡レベル及び分子レベルの研究。] [0034] したがって、本発明の一側面は、可視の範囲の波長領域において発光する高光安定性を有する蛍光性基を持つアルキルリン脂質のアナログを含む、微生物の差別的同定に有用な蛍光性化合物(以下、「本発明に係る化合物」と称する)により構成される。] [0035] 本明細書において使用される場合、用語「アルキルリン脂質のアナログ」は、合成により得られる化合物であって、その構造がアルキルリン脂質の構造に似ているものを指す。本明細書において使用される場合、用語「アルキルリン脂質」は、その構造中に、炭素原子及び水素原子の線状又は環状の組み合わせによって構成された脂肪親和性の残基(アルキル部分)を含んでおり、この脂肪親和性の残基は、エステル化された、又はフリーのリン酸基を含む親水性残基(リン脂質)に結合されている、化合物を指す。例示する目的であって本発明の範囲を限定するものではないが、アルキルリン脂質は以下を含む:ヘキサデシルホスホコリン(ミルテホシン、MT)、1−O−オクタデシル−2−O−メチル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(エデルホシン、EF)及び1−S−ヘキサデシル−2−メトキシメチル−ラック−グリセロ−3−ホスホコリン(イルモホシン、IM)。例示する目的であって本発明の範囲を限定するものではないが、アルキルリン脂質のアナログの具体例は、全て−(E)−13−フェニルトリデカ−6,8,10,12−テトラエニルホスホコリン(all-(E)-13-phenyltridec-6,8,10,12-tetraenilphosphocholine)及び全て−(E)−13−フェニルトリデカ−8,10,12−トリエン−6−イニルホスホコリン(all-(E)-13-phenyltridec 8,10,12-trien-6- inilphosphocholine)である。] [0036] 本明細書において使用される場合、用語「微生物」は、原虫、アメーバ、真菌類、酵母及び細菌を指し、例示する目的であって本発明の範囲を限定するものではないが、以下の群に属する:リーシュマニア属、ブルセイトリパノソーマ、クルーズトリパノソーマ、トリコモナス属、赤痢アメーバ、アカントアメーバ属、ネグレリア属、肺炎球菌、フザリウム属、テトラヒメナ・ピリフォルミス、バラムチア(Balamuthia)。] [0037] 本明細書において使用される場合、用語「蛍光性基」は、可視の範囲の波長領域において発光する高光安定性を有する蛍光性基を指し、例示する目的であって本発明の範囲を限定するものではないが、以下を含む:置換基を有するか又は有さない、ボロンジピロメタン(boron dipyrromethanes)、キサンテン、ローダミン、シアニン、オキサジン、ポルフィリン(porphyrins)、及び多環のクマリン、並びに炭化水素。] [0038] 本発明のより好ましい一側面は、本発明に係る化合物により構成され、アルキルリン脂質のアナログが、ミルテホシン(MT)、エデルホシン(EF)又はイルモホシン(IM)である。] [0039] 本発明のより好ましい一側面は、本発明に係る化合物により構成され、アルキルリン脂質のアナログが、ミルテホシン(MT)、エデルホシン(EF)又はイルモホシン(IM)のアナログである。] [0040] 本発明の好ましい一側面は、本発明に係る化合物により構成され、蛍光性基がフリーの、又は置換されているボロンジピロメタン(BDP)である。] [0041] 本発明の好ましい一側面は、本発明に係る化合物により構成され、アルキルリン脂質の誘導体がミルテホシンであり、かつ蛍光性基がフリーの、又は置換されているBDPである。] [0042] 本発明のより好ましい一側面は、本発明に係る化合物、BDP−MT又はEt−BDP−MTにより構成される。] [0043] 本発明の好ましい一側面は、本発明に係る化合物を取得する方法により構成され、以下の工程を含む: i)ジセテルアルコール(dicetel alcohol)及びエチルアセトアセテートにより置換されているα−H−ピロールに相当するものを取得する工程、 ii)α−H−ピロールを適切なα−ホルミルピロールと縮合させる工程、 iii)形成したジピロメタンを三フッ化ホウ素エーテル化合物(boron trifluoride etherate)と反応させる工程、 iv)ホスホコリン基を導入する工程。] [0044] 本発明の好ましい他の側面は、微生物を同定する方法に有用な医薬組成物の製造における、本発明に係る化合物の使用により構成される。] [0045] 本発明の好ましい他の側面は、本発明に係る化合物を含む診断用医薬組成物(以下、「本発明に係る診断用医薬組成物」と称する)により構成される。本発明に係る化合物とは例えば、BDP−MT化合物又はEt−BDP−MT化合物である。] [0046] 最後に、本発明の好ましい一側面は、微生物を同定する方法における、本発明に係る診断用医薬組成物の使用(以下、「本発明に係る医薬組成物の使用」と称する)により構成される。] [0047] 本発明のより好ましい他の側面は、感染症疾患を患っているヒト又は家畜の生物学的試料から、生体外において診断する方法における、本発明に係る診断用医薬組成物の使用である。この感染症疾患は、例示する目的であって本発明の範囲を限定するものではないが、以下の群に属する:眼球の角膜炎、リーシュマニア症、アフリカトリパノソーマ症及びアメリカトリパノソーマ症、肺炎球菌による肺炎、アメーバ症、トリコモナス症並びに真菌症。] [0048] より好ましい他の実施形態は、本発明に係る医薬組成物の使用により構成される。感染症疾患は、微生物によって引き起こされる。この微生物は、例示する目的であって本発明の範囲を限定するものではないが、以下の群に属する:リーシュマニア属、ブルセイトリパノソーマ、クルーズトリパノソーマ、トリコモナス属、赤痢アメーバ、アカントアメーバ属、ネグレリア属、肺炎球菌、フザリウム属、テトラヒメナ・ピリフォルミス、バラムチア(Balamuthia)。] [0049] 本発明のより好ましい他の実施形態は、本発明に係る診断用医薬組成物の使用により構成され、この診断の手順は、目に由来の生物学的試料、例えば角膜を掻くことにより得られる生物学的試料、に対して行なわれる。] [0050] 本発明のより好ましい他の側面は、本発明に係る診断用医薬組成物の使用により構成される。その手順は、非ヒト及び非動物の試料を用いた微生物の同定と一致する。この非ヒト及び非動物の試料は、例えば水、義眼、コンタクトレンズ、コンタクトレンズの洗浄液、又は角膜保存培地である。] [0051] 〔図面の説明〕 (図1.中間体1〜5を介した、BDP−MT及びET−BDP−MTの蛍光性アナログの合成) (図2.ドノバンリーシュマニア(L.donovani)(MHOM/ET/67/L82系統)の前鞭毛虫におけるミルテホシンに対する耐性についての差別的検出) MT(R40)に対して感受性(WT)(上の列)又は耐性(下の列)であるドノバンリーシュマニアの前鞭毛虫を、7.5μM BDP−MTとともに2時間、26℃でインキュベートした。その後、ウシ血清アルブミン(BSA)を用いて3回洗浄し、そして488nmの長さの励起、及び502〜555nmの発光の読み取り環境を用いて共焦点顕微鏡により調べた。] 図1 図2 [0052] (図3.BDP−MTによる、カステラーニアメーバ(Acanthamoeba castellanii)における2つの差別的な形態の分染) カステラーニアメーバの嚢胞(a)及び栄養体(b)を5μM BDP−MTとともに32℃、15分でインキュベートした。その後、BSA(10mg/mL)溶液で洗浄し、488nmの励起波長を用い、502−555nmの間隔の発光を検出することにより、共焦点顕微鏡下で観察した。] 図3 [0053] (図4.フザリウムにおける、及びカステラーニアメーバの2つの形態における、BDP−MTによる同時分染) カステラーニアメーバの栄養体(a)及び嚢胞(b)と、フザリウム属の菌糸(c)との組み合わせを5μM BDP−MTとともに15分インキュベートし、BSAで洗浄した。これらを、488nmの励起波長を用い、502−555nmの間隔の発光を検出することにより、共焦点顕微鏡下で観察した。] 図4 [0054] (図5.フザリウムにおける、及びカステラーニアメーバの2つの形態における、Et−BDP−MTによる同時分染) カステラーニアメーバの栄養体(a)及び嚢胞(b)を、フザリウム属の菌糸(c)とともに5μM Et−BDP−MTにおいて15分、30℃でインキュベートし、これらをBSAで洗浄した。CCDカメラを有する落射蛍光顕微鏡と、480−520nmの発光フィルターとを用いて、蛍光を観察した。] 図5 [0055] (図6.自由生活原虫であるテトラヒメナ・ピリフォルミスにおけるBDP−MTによる染色) テトラヒメナ・ピリフォルミスを、5μM BDP−MTを用いて4時間インキュベートし、画像取得工程の間の移動を避けるために2%パラホルムアルデヒドを用いてこれを洗浄及び固定した。488nmの励起波長を用い、502−555nmの間隔の発光を検出することにより、共焦点顕微鏡でこの細胞を観察した。] 図6 [0056] 〔実施例〕 (実施例1.化合物の構造中に、可視領域における蛍光性基を組み入れた、ミルテホシンに類似する2つの化合物の取得:BDP−MT及びEt−BDP−MT) 発色団ボロジピロメタン(borodipyrromethane)(BDP)を有するこれら2つの蛍光性アナログを、ピロール類に相当するものから開始する、類似する2段階の工程によって取得する(図1)。このように、α−Hピロール3を、オキシ塩化リンの存在下、2−ホルミル−3,5−ジメチル−1 l−l−ピロール又は2−ホルミル−3,5−ジメチル−4−エチル−1 H−ピロールと縮合させる(マクドナルド反応)。形成させたジピロメタンに相当するものを、原位置で、三フッ化ホウ素エーテル化合物を用いてトリエチルアミン存在下で反応させることにより、4位及び5位が置換されているそれぞれのBDP染料に変換する。最後の合成段階において、トリメチルアミン存在下で2−クロロ−1,3,2−ジオキサフォスファレン−2−オキサイド(2-chloro-1,3,2-dioxaphosphalene-2-oxide)と反応させることにより、ホスホコリン基を導入する。前駆体を以下のように取得する:炭酸カリウム及び18−クラウン−6エーテルの存在下、アセトン中の11−ブロモ−1−アンデカノールとともにアセチルアセトンをモノアルキル化することにより、1のジケトアルコールを得る;2段階で、2のエトキシカルボニルピロールを調製する:1)エチルアセトアセテートを硝酸ナトリウムとともに処理する、そして、2)得られたヒドロキシ−イミン化合物を、1の存在下、亜鉛/酢酸とともに還元する(ジョンソン−クノール合成)。水/エタノール中で、水酸化ナトリウムとともに処理することによって2をデカルボキシル化することにより、3のα−H ピロールを得る。2−ホルミル−3,5−ジメチル−1 l−l−ピロールは、市販の製品であるが、そのホモログである2−ホルミル−4−エチル−3,5−ジメチル−1 l−l−ピロールは、2,5−ジメチル−3−エチル−1 H−ピロール(クリプトピロール(kryptopyrrole))をジメチルホルムアミド中でオキシ塩化リンとともにホルミル化することにより得る。] 図1 [0057] (実施例2.蛍光性アナログBDP−MTの取り込みを用いた、薬剤のミルテホシンに対して感受性又は耐性のリーシュマニア属の寄生虫の存在の診断) ドノバンリーシュマニアの前鞭毛虫、MHOM/ET/67/L82系統、及びそのミルテホシン耐性系統は、サイモン・クロフト教授(ロンドン大学熱帯衛生・医学部、ロンドン、UK)により提供された。これらを通常の方法にしたがって培養した:10%の不活性化されたウシ胎仔血清、ゲンタマイシン、ペニシリン及び2mMグルタミンが添加されたRPMI中で26℃。MT耐性系統は、40μMのMTを培養液に加えた場合を除き、MT感受性の親系統と同様に成育した。定常期において両タイプの寄生虫を回収し、これらをフェノールレッドが欠如したRPMI1640培地で洗浄し、これらを、7.5μMのBDP−MTを添加した上述した培地で2時間、261℃で、2×106 寄生虫/mLにてインキュベートした。これらを、10mg/mLの脂肪酸フリーのBSA存在下、上述した培養液で3回洗浄し、最後にインビボで、488nmの励起波長及び502−555nmの発光読み取りレンジを用いて、ライカのTCS−SP2−AOBS−UV共焦点顕微鏡にて検出した。] [0058] 図2において、耐性系統の寄生虫がBDP−MTマーカーアナログの弱い蛍光発光を示す一方、感受性系統の寄生虫が強い細胞内蛍光発光を示すことが観察され得る。] 図2 [0059] (実施例3.BDP−MTによる眼球の寄生虫の差別的診断) [3.1.カステラーニアメーバの栄養体及び嚢胞] カステラーニアメーバの栄養体及び嚢胞は、マドリッドのサンパブロCEU大学(Universidad San Pablo CEU)のカルメン・デル・アギラ博士より提供された。この栄養体を、ウシ胎仔血清が添加されたCDC培地中で生育させ、そして7×105 の濃度の栄養体を、同じ培地中で5μMのBDP−MTとともに32℃で15分間インキュベートした。このインキュベーションの後、これらの栄養体を、10mg/mLのBSAを含む同じ培地で洗浄し、インビボで、488nmの励起波長及び502−555nmの発光読み取りレンジを用いて、ライカのTCS−SP2−AOBS−UV共焦点顕微鏡にて観察した。] [0060] 図3において、代謝的に活性型の寄生虫からなるカステラーニアメーバの栄養体が、BDP−MTの高い取り込みにより、強い細胞内蛍光発光を示すことが観察され得る。嚢胞の場合には、上述した図によって、蛍光染色が表面に集中していることが示される。この実験は生きている生物体について行なわれたため、栄養体の移動性によって、連続透過画像と蛍光画像とで、位置が少し異なっている。] 図3 [0061] [3.2.カステラーニアメーバの嚢胞及び栄養体並びにフザリウムの菌糸における、同時蛍光標識] 真菌であるフザリウムの菌糸を、サボラウド(Saboroud)培地を含むアガロース中で保持した。抗生物質を含み、かつウシ胎仔血清が添加されていないRPMI1640培地中で、32℃で細胞を増大させた。洗浄後、フェノールレッドを含まない同じ培地で、5μMのBDP−MTの存在下、32℃で15分間、菌糸を再懸濁した。次に、これらをBSAで3回洗浄し、インビボで、488nmの励起波長及び502−555nmの発光読み取りレンジを用いて、ライカのTCS−SP2−AOBS−UV共焦点顕微鏡にて観察した。BDP−MT取り込み後に観察される蛍光画像は、3つの形態:菌糸、栄養体及び嚢胞によって、大きく異なる。菌糸の場合には、その特徴的な長い形態がはっきりと認識され、一方、相当に小さいサイズのカステラーニアメーバの場合には、異常な形態が観察された;アメーバの場合には蛍光性アナログの細胞内取り込みが観察された。カステラーニアメーバにおける原則的に球形状である嚢胞の場合には、すでに前述の実施例で述べたように、蛍光性標識は生物体の表面にのみ観察された。] [0062] (実施例4.蛍光性アナログEt−BDP−MTを用いた、病原性微生物の存在についての診断) 上述した、BDP−MT化合物を用いた病原性生物の蛍光性標識の方法は、蛍光性基の構造を代えることにより、波長を励起させ、及び可視の範囲における他の異なる領域での発光を生じさせることを達成した、他のアナログを用いても行なうことができる。本実施例において、この拡張部分を示すために、BDP−MTアナログと比較して、赤色に向かって移動した波長において励起及び発光が生じる、Et−BDP−MTアナログを使用する。図5の3つのパネルは、Et−BDP−MTで染色された生物体の代表的な例を含み、カステラーニアメーバの栄養体(A)、カステラーニアメーバの嚢胞(B)、及びフザリウムの菌糸(C)を示す。全ての場合において、5μMのEt−BDP−MTアナログの存在下、30分間、これらの微生物を維持して標識した。その後、これらを、10mg/mLのBSAを含む培地を用いて洗浄し、そして480−520nmの発光フィルターを備えたツァイスの落射蛍光顕微鏡に取り付けられたCCDデジタルライカDFC350FXカメラを用いて撮影した。] 図5 [0063] 全ての場合において、BDP−MTで得られる蛍光パターンと類似した蛍光パターンを観察した;細胞内標識されたカステラーニアメーバの栄養体、かすかに表面標識された損傷を受けていない同じ微生物の嚢胞、そして標識されたフザリウムの菌糸。これらの蛍光パターンによって、BDP−MTによって得られたデータが、他の構造的に類似した化合物に対して容易に推定されることが示される。] [0064] (実施例5.自由生活原虫のテトラヒメナ・ピリフォルミスについての蛍光性標識) プロテアーゼペプトングルコース培地中で、テトラヒメナ・ピリフォルミス原虫の細胞を増殖させ、104 細胞/mLの濃度に遠心分離することによって回収した。次に、これらの細胞を、5μMのBDP−MTとともに4時間インキュベートし、洗浄し、そして2%パラホルムアルデヒドで30分間固定した。そしてこれらの細胞を、ライカTCS−SP2−AOBS−UV共焦点顕微鏡にて、488nmの励起波長及び502−555nmの発光読み取りレンジを用いて観察した。] [0065] 図6において観察され得るように、微生物は、細胞濃度が非常に低い場合でも、その同定及び所在確認を可能にする、大量の蛍光性化合物を取り込む。] 図6 図面の簡単な説明 [0066] 中間体1〜5を介した、BDP−MT及びET−BDP−MTの蛍光性アナログの合成。 ドノバンリーシュマニア(MHOM/ET/67/L82系統)の前鞭毛虫におけるミルテホシンに対する耐性についての差別的検出。 BDP−MTによる、カステラーニアメーバにおける2つの差別的な形態の分染。 フザリウムにおける、及びカステラーニアメーバの2つの形態における、BDP−MTによる同時分染。 フザリウムにおける、及びカステラーニアメーバの2つの形態における、Et−BDP−MTによる同時分染。 自由生活原虫であるテトラヒメナ・ピリフォルミスにおけるBDP−MTによる染色。]
权利要求:
請求項1 アルキルリン脂質の誘導体、及び可視の範囲の波長領域において発光する高光安定性の蛍光性基を含むことを特徴とする微生物の差別的同定に有用な蛍光性化合物。 請求項2 上記アルキルリン脂質のアナログが、ミルテホシン(MT)、エデルホシン(EF)又はイルモホシン(IM)であることを特徴とする請求項1に記載の蛍光性化合物。 請求項3 上記アルキルリン脂質のアナログが、ミルテホシン(MT)、エデルホシン(EF)又はイルモホシン(IM)のアナログであることを特徴とする請求項1に記載の蛍光性化合物。 請求項4 上記蛍光性基は、例示する目的であって本発明の範囲を限定するものではないが、ボロジピロメタン(borodipyrromethanes)、キサンテン、ローダミン、シアニン、オキサジン、ポルフィリン、クマリン、及び多環式炭化水素であって、置換基を有するもの又は有さないものを含んでいる、可視の範囲の波長領域において発光する高光安定性の蛍光性基であることを特徴とする請求項1に記載の蛍光性化合物。 請求項5 上記蛍光性基は、フリーの、又は置換されているボロジピロメタン(BDP)であることを特徴とし、下記一般式を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の蛍光性化合物:(上記式中、R1 は、H、アルキル基(直鎖の、非直鎖の、フリーの、又は置換されている)、アリール基又はヘテロアリール基(フリーの、又は置換されている)であり、R2 は、アルキル基、アルケニル基又はアルキニルリン脂質である)。 請求項6 上記R1 が水素又はエチル基であることを特徴とする請求項5に記載の蛍光性化合物。 請求項7 上記アルキルリン脂質のアナログがミルテホシンであり、かつ、上記蛍光性基がフリーの又は置換されているBDPであることを特徴とし、下記一般式を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の蛍光性化合物:(上記式中、R1 は、H、アルキル基(直鎖の、非直鎖の、フリーの、又は置換されている)、アリール基又はヘテロアリール基(フリーの、又は置換されている)である)。 請求項8 上記R1 が水素(BDP−MT)又は遊離基のエチル基(Et−BDP−MT化合物)であることを特徴とする請求項7に記載の蛍光性化合物。 請求項9 下記工程を含むことを特徴とする蛍光性化合物の取得方法:i)ジケトアルコール及びエチルアセトアセテートにより置換されているα−H−ピロールに相当するものを取得する工程、ii)α−H−ピロールを適切なα−ホルミルピロールと縮合させる工程、iii)形成したジピロメタンを三フッ化ホウ素エーテル化合物(boron trifluoride etherate)と反応させる工程、iv)ホスホコリン基を導入する工程。 請求項10 微生物を同定するプロセスに有用な医薬組成物を製造するための、請求項1〜8のいずれか1項に記載の蛍光性化合物の使用。 請求項11 請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物を含むことを特徴とする診断用医薬組成物。 請求項12 下記化合物のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項11に記載の診断用医薬組成物:BDP−MT及びEt−BDP−MT。 請求項13 微生物を同定するプロセスにおける、請求項11又は12に記載の診断用医薬組成物の使用。 請求項14 感染症を患っているヒト又は家畜の個体の生物試料を用いて、生体外において診断するプロセスにおける使用であって、上記感染症は、例示する目的であって本発明の範囲を限定するものではないが、下記群に属する、請求項13に記載の診断用医薬組成物の使用:眼球の角膜炎、リーシュマニア症、アフリカトリパノソーマ症及びアメリカトリパノソーマ症、肺炎球菌による肺炎、アメーバ症、トリコモナス症並びに真菌症。 請求項15 上記感染症は、下記群に属する微生物により引き起こされることを特徴とする請求項14に記載の診断用医薬組成物の使用:リーシュマニア属、ブルセイトリパノソーマ、クルーズトリパノソーマ、トリコモナス属、赤痢アメーバ、アカントアメーバ属、ネグレリア属、肺炎球菌、フザリウム属、テトラヒメナ・ピリフォルミス、バラムチア(Balamuthia)。 請求項16 目に由来の試料、例えば角膜を掻くことにより得られる試料、に対して診断するプロセスにおける、請求項14に記載の診断用医薬組成物の使用。 請求項17 非ヒト及び非動物の試料、例えば、水、義眼、コンタクトレンズ、コンタクトレンズの洗浄液、又は角膜保存手段、を用いて微生物を同定するプロセスにおける請求項13に記載の診断用医薬組成物の使用。
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公开号 | 公开日 WO2009121993A1|2009-10-08| CN102124076A|2011-07-13| ES2326458A1|2009-10-09| US20110086369A1|2011-04-14| EP2280052A4|2012-10-24| ES2326458B1|2010-07-26| EP2280052A1|2011-02-02|
引用文献:
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