ジクロロヒドリン類の効率的回収のための方法及び装置
专利摘要:
ジクロロヒドリン類、ジクロロヒドリン類のエステル類、モノクロロヒドリン類及び/若しくはそのエステル(類)並びにマルチヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物類及び/若しくはそのエステル類から選ばれた、1種若しくはそれ以上の化合物及び、任意的に、水、塩素化剤類、触媒類及び/若しくは触媒類のエステル類を含む1種若しくはそれ以上の物質を含む塩化水素化反応器流出物流からジクロロヒドリン類を回収する方法及び装置を開示する。反応器流出物流を蒸留して、高ジクロロヒドリン蒸気相流出物流を生成させる。前記高ジクロロヒドリン蒸気相流出物流を、2つの異なる温度で実施される2つのユニット操作において冷却及び凝縮させ、第1の単位操作によって生成された液相流出物流の一部を、還流のために蒸留工程に循還させる。前記の方法及び装置によって生成される生成物流は、脱塩化水素化のような更なる単位操作における更なる処理に適当である。利点としては、高純度のジクロロヒドリン類の回収、ジクロロヒドリン類のより効率的な回収及び回収装置への資本投資の削減が挙げられる。 公开号:JP2011516552A 申请号:JP2011504041 申请日:2009-03-18 公开日:2011-05-26 发明作者:メータ,アニル 申请人:ダウ グローバル テクノロジーズ リミティド ライアビリティ カンパニー; IPC主号:C07C29-80
专利说明:
[0001] 本発明は、マルチヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物(類)及び/又はそのエステル(類)からクロロヒドリン類への転化プロセスによって発生する流出物のような、ジクロロヒドリン類を含む混合物からジクロロヒドリン類を回収する方法及び装置に関する。] 背景技術 [0002] ジクロロヒドリン類は、エピクロロヒドリン類のようなエポキシドの製造に有用である。エピクロロヒドリンはエポキシ樹脂の前駆体として広く用いられている。エピクロロヒドリンはパラ−ビスフェノールAのアルキル化によく用いられるモノマーである。得られるジエポキシドは、遊離モノマー又はオリゴマージエポキシドのいずれであっても、例えば電気用積層板、缶用コーティング、自動車トップコート及びクリアコートに使用する高分子量樹脂へと増成できる。] [0003] グリセリンは、燃料を製造するためのバイオディーゼルプロセスの副産物である低コストの再生可能原料と考えられている。フルクトース、グルコース及びソルビトールのような他の再生可能原料を水素化分解することによって、グリセリン、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコールなどのようなビシナルジオール及びトリオールの混合物を生成できることが知られている。豊富で低コストのグリセリン又は混合グリコールを用いて、前記方法によって生じる流出物からジクロロヒドリン類を回収する経済的に魅力的な方法が望まれている。] [0004] 下記図式1に示すような、グリセロール(本明細書中では「グリセリン」とも称する)をジクロロプロパノール類、化合物I及びIIの混合物に転化する方法が知られている。この反応は、無水HCl及び酢酸(HOAc)触媒の存在下で水を除去しながら実施する。化合物I及びIIは、次に苛性アルカリ又は石灰で処理することによって、エピクロロヒドリンに転化することができる。] [0005] ] [0006] 図式1の前記化学反応を用いる種々の方法が先行技術において報告されている。例えばエピクロロヒドリンは2,3−ジクロロ−1−プロパノール又は1,3−ジクロロ−2−プロパノールのようなジクロロプロパノールを塩基と反応させることによって製造できる。ここでジクロロプロパノールは大気圧においてグリセロール、無水塩酸及び酸触媒から製造できる。反応過程において形成される水の共沸除去を促進するために、大過剰の塩化水素(HCl)が推奨された。] [0007] 特許文献1は、有機酸触媒の存在下でマルチヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物、マルチヒドロキシル化脂肪族炭化水素のエステル又はそれらの混合物を過大気圧分圧の塩化水素の供給源と接触させて、クロロヒドリン類、クロロヒドリン類のエステル又はそれらの混合物を生成する工程を含んでなる、グリセロール若しくはそのエステル又はそれらの混合物の、クロロヒドリンへの転化方法を記載している。この方法は乾燥塩化水素を使用し且つこの方法における水供給源は、本質的には、反応において発生する水のみであるので、この方法をここでは「乾式プロセス」と称する。この乾式プロセスにおいては、クロロヒドリン類を高収率で得るのに、大過剰の塩化水素による水の共沸除去が必要ない。特許文献1は更に、反応混合物からの生成物流の分離を、1つ又はそれ以上の蒸留カラム、フラッシュ容器又は抽出カラムのような適当な分離容器を用いて実施できることを更に教示している。特許文献1はジクロロヒドリン類を効率的に回収するための具体的な方法及び装置を記載していない。] [0008] 特許文献2は、大気圧分圧の塩化水素、触媒としての酢酸及びループ、好ましくは3つのループのカスケード(各ループは反応器と、反応流出物から反応水、残留塩化水素及びジクロロプロパノールを除去する蒸留カラムからなる)を用いる方法を記載している。反応器/蒸留ループのカスケードを必要とする反応及び蒸留のためのこの方法は、方法にいくつかの反応器/カラムループを必要とするので、非常に費用がかかる。更に、蒸留中に留出物と共に貴重な酢酸が失われ、その結果、方法における酢酸消費率が大きくなり、プロセス操作に費用がかかる。] [0009] 特許文献3及び4は、グリセロールと塩化水素水溶液とを反応させてジクロロヒドリン類を生成させることによる、クロロヒドリンの別の製造方法を開示している。特許文献3及び4に開示された方法は、反応によって水を生成するだけでなく、塩化水素反応体水溶液によってこの方法に多量の水を加えるので、ここでは「湿式プロセス」と称する。上記先行技術に記載された湿式法は、3つの分離カラム、即ちこの方法において塩化水素を保持しながら反応媒体から大過剰の水を除去する、反応器の気相を蒸留する蒸留カラム;反応器の液相から水及び塩化水素をストリップするストリッパーカラム;ストリッパーから出た液相からジクロロプロパノールを回収する更に別の蒸留又はストリッピングカラムを必要とする。ジクロロプロパノール、水及び塩化水素の間に擬共沸混合物が存在するため、一部のジクロロプロパノールは第1及び第2の分離カラムにおいて反応媒体から除去される。ジクロロプロパノールの主フラクションは蒸留又はストリッピングカラムである第3のカラムの上部から収集される。カラム残留物は反応器に循還される。この方法は、この方法から多量の水を蒸発させる必要があるため、エネルギー消費が非常に大きい。この方法は、乾式プロセスの反応流出物からジクロロヒドリン類を効率的に回収するには不適当である。] [0010] 特許文献5は、直列の2つの反応器(第1の反応器として管型反応器を用い、第2の反応器として発泡槽型反応器を用いる)を用いて湿式プロセスと乾式プロセスを組合せる別の方法を記載している。塩化水素水溶液を管型反応器に供給し、気体状塩化水素を発泡槽型反応器に供給する。発泡槽型反応器中における反応混合物からの水のストリップ効率を改善するために、気体状塩化水素に不活性不純物を加える。この方法は、反応に必要とされるよりもはるかに多量のHClの使用を必要とし、ジクロロヒドリンの収率が比較的低い。] 先行技術 [0011] WO2006/020234A1 WO2005/021476A1 EP1752435A1(WO2005/054167としても公開) EP1762556A1 CN101007751A] 発明が解決しようとする課題 [0012] 例えばエピクロロヒドリンへの転化のような、その後の転化に使用できる形態での、ジクロロヒドリン類含有流からのジクロロヒドリン類の回収を更に改善する可能性がまだ残されている。従って、マルチヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物類の塩化水素化の反応流出物から生成物ジクロロヒドリンを分離する特定の工程を含む、改善された方法及び装置を提供するのが望ましい。グリセリン塩化水素化プロセス及びグリセリンからエピクロロヒドリンのプロセスに一体化できるジクロロヒドリンの回収方法の資本コスト及び運転コストを大幅に削減することも望ましい。ジクロロヒドリン類含有流からのジクロロヒドリン類の回収に蒸留カラムを1つだけ使用し且つ高純度のジクロロヒドリン流を提供できる方法を提供するのが更に望ましい。] 課題を解決するための手段 [0013] 本発明は、先行技術の方法の欠点を有さない、ジクロロヒドリン類含有流からのジクロロヒドリン類の改善された回収に望ましい方法を提供する。] [0014] 本発明の一面は、ジクロロヒドリン(単数又は複数、以下同じ)、水、モノクロロヒドリン(単数又は複数、以下同じ)、クロロヒドリン(単数又は複数、以下同じ)のエステル(単数又は複数、以下同じ)並びにマルチヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物(単数又は複数、以下同じ)及び/又はそのエステル(単数又は複数、以下同じ)から選ばれた、1種若しくはそれ以上の化合物並びに、任意的に、塩素化剤(単数又は複数、以下同じ)、触媒(単数又は複数、以下同じ)、触媒(単数又は複数、以下同じ)のエステル(単数又は複数、以下同じ)及び/又は重質副生成物(類)から選ばれた1種若しくはそれ以上の物質を含む混合物からジクロロヒドリンを回収するための方法であり、この方法は、 (a)前記混合物を還流条件下で蒸留又は分留して、当該混合物から第1の温度を有し、少なくともジクロロヒドリン(類)及び水を含む第1の蒸気相流出物流を分離させ; (b)工程(a)の第1の蒸気相流出物流を工程(a)の前記第1の温度より低い第2の温度まで非断熱的に冷却することによって工程(a)の第1の蒸気相流出物流のフラクションを凝縮させて、第1の凝縮液相流出物流及び第2の温度を有する第2の蒸気相流出物流を生成させ; (c)工程(b)の第1の凝縮液相流を第1のフラクションと第2のフラクションとに分離させ; (d)工程(c)の第1のフラクションを、工程(a)の還流として工程(a)に循還させ;そして (e)工程(b)の第2の蒸気相流出物流を、第2の蒸気相流出物流の第2の温度よりも低い第3の温度まで非断熱的に冷却することによって少なくとも工程(b)の第2の蒸気相流出物流のフラクションを凝縮させて、第2の凝縮液相流出物流及び、任意的に、第3の温度を有する第3の蒸気相流出物流を生成させる ことを含んでなり、工程(b)の第2の温度を、50重量%超のジクロロヒドリンを含む第1の凝縮液相流出物流を生成するように選択する。] [0015] 本発明の別の面は、マルチヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物(単数又は複数個の、以下同じ)及び/又はそのエステル(単数又は複数個の、以下同じ)からジクロロヒドリン(類)を製造するのに適した装置であって、 (1)マルチヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物(単数又は複数個の、以下同じ)及び/又はそのエステル(単数又は複数個の、以下同じ)の塩化水素化を実施するのに適当な、直列又は並列に接続された1つ又はそれ以上の反応器を含む反応器システム; (2)反応器システム(30)から得られる反応器流出物流の蒸留及び/又は分留に適した少なくとも1つの気液接触装置(41)及び、任意的に、少なくとも1つのフラッシュ容器を含む分離システム; (3)第1の冷却装置(51)及び、任意的に、前記第1の冷却装置(51)に接続された、前記第1の冷却装置(51)からの凝縮物を集積する第1のリザーバー(52)を含む第1の凝縮システム;更に (4)第2の冷却装置(61)並びに、任意的に、(a)前記第2の冷却装置(61)に接続された、前記第2の冷却装置(61)からの凝縮物を集積する第2のリザーバー(62)及び/又は(b)前記第2の冷却装置(61)に接続された、水性成分及び有機成分を含む液相を水性相と前記水性相から分離した有機相とに分離させる液液相分離装置(66)を含む第2の凝縮システム を含んでなり、 前記反応器システム(30)は前記分離システム(40)に接続されることによって反応器流出物流(34)が前記反応器システム(30)から前記分離システム(40)に通流されて、反応器流出物流(34)が蒸留及び/又は分留され、 前記分離システム(40)は前記第1の凝縮システム(50)に接続されて、第1の蒸気相蒸留及び/又は分留流出物流(47)が前記分離システム(40)から前記第1の凝縮システム(50)に通流され、 前記第1の凝縮システム(50)は前記第2の凝縮システム(60)に接続されて、第2の蒸気相流出物流(57)が前記第1の凝縮システム(50)から前記第2の凝縮システム(60)に通流され、 前記第1の凝縮システム(50)は前記分離システム(40)に接続されて、第1の凝縮液相流出物流(53)のフラクション(54,55)が前記第1の凝縮システム(50)から前記分離システム(40)に通流される。] 図面の簡単な説明 [0016] 本発明を説明する目的で、図面は、現在好ましい本発明の態様を示す。しかし、本発明は図面中に示したその配置及び手段に限定されないことを理解すべきである。添付した図面において、いくつかの図面で同様な部分を示すのに同様な参照番号を用いてある。] [0017] 図1は、本発明の第1の態様を示すプロセス図である。 図2は、本発明の第2の態様を示すプロセス図である。] 図1 図2 [0018] 定義 本明細書中で使用する用語「マルチヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物」(以下「MAHC」と略す)は、2つの別のビシナル(隣接)炭素原子に共有結合した少なくとも2つのヒドロキシル基を含むがエーテル結合基を含まない化合物を意味する。これらは、それぞれがOH基を有する少なくとも2つのsp3混成炭素を含む。MAHC類は、より高次の近接又はビシナル反復単位を含む、任意のビシナル−ジオール(1,2−ジオール)又はトリオール(1,2,3−トリオール)含有炭化水素を含む。MAHCの定義は、例えば1種又はそれ以上の1,3−、1,4−、1,5−及び1,6−ジオール官能基類も同様に含む。例えばジェミナル−ジオール類は、この種のMAHC類からは除外される。] [0019] MAHC類は、炭素数が少なくとも2、好ましくは少なくとも3であって、約60以下、好ましくは20以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは4以下、更に好ましくは3以下であり、脂肪族炭化水素の他に、芳香族部分又はヘテロ原子、例えばハライド、イオウ、リン、窒素、酸素、珪素及びホウ素ヘテロ原子並びにそれらの混合物を含むことができる。MAHC類はポリビニルアルコールのようなポリマーであることもできる。] [0020] 用語「グリセリン(glycerin)」、「グリセロール」及び「グリセリン(glycerine)」並びそのエステル類は化合物1,2,3−トリヒドロキシプロパン及びそのエステル類と同義語として使用できる。] [0021] 本明細書中で使用する用語「クロロヒドリン」は、2つの別のビシナル脂肪族炭素原子に共有結合した少なくとも1つのヒドロキシル基及び少なくとも1つの塩素原子を含むがエーテル結合基を含まない化合物を意味する。クロロヒドリン類は、MAHC類の1つ又はそれ以上のヒドロキシル基を塩化水素化によって共有結合塩素原子と置き換えることによって得ることができる。クロロヒドリン類は、炭素数が少なくとも2、好ましくは少なくとも3であって、約60以下、好ましくは20以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは4以下、更に好ましくは3以下であり、脂肪族炭化水素の他に、芳香族部分又はヘテロ原子、例えばハライド、イオウ、リン、窒素、酸素、珪素及びホウ素ヘテロ原子並びにそれらの混合物を含むことができる。少なくとも2つのヒドロキシル基を含むクロロヒドリンもMAHCである。] [0022] 本明細書中で使用する用語「モノクロロヒドリン」は、1つの塩素原子及び少なくとも2つのヒドロキシル基を有し且つその塩素原子及び少なくとも1つのヒドロキシル基が2つの別のビシナル脂肪族炭素原子に共有結合しているクロロヒドリンを意味する(以下において略語「MCH」で言及する)。グリセリン又はグリセリンエステル類の塩化水素化によって生成されるMCHには、例えば3−クロロ−1,2−プロパンジオール及び2−クロロ−1,3−プロパンジオールがある。] [0023] 本明細書中で使用する用語「ジクロロヒドリン」は、2つの塩素原子及び少なくとも1つのヒドロキシル基を有し且つ少なくとも1つの塩素原子及び少なくとも1つのヒドロキシル基が2つの別のビシナル脂肪族炭素原子に共有結合しているクロロヒドリンを意味する(以下、略語「DCH」と言及する)。グリセリン又はグリセリンエステル類の塩化水素化によって生成されるジクロロヒドリン類には、1,3−ジクロロ−2−プロパノール及び2,3−ジクロロ−1−プロパノールがある。] [0024] 本明細書中で使用する表現「塩化水素化条件下において」は、混合物及び/又は供給流中に存在する、MAHC類、MCH類並びにMAHC類のエステル類及びMCH類のエステル類の少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも5重量%、より好ましくは少なくとも10重量%をDCH(類)及び/又はそのエステル(類)に転化できる条件を意味する。] [0025] 本明細書中で使用する用語「副生成物(類)」は、クロロヒドリン(類)及び/若しくはそのエステル(類)並びに/又は塩素化剤(類)ではなく、且つ本発明に従って選択された塩化水素化条件下においてクロロヒドリン(類)及び/又はそのエステル(類)を形成しない化合物(類)を意味する。] [0026] 「重質副生成物(類)」は、混合物(a)成分のオリゴマー類、例えばMAHC類及び/若しくはそのエステル類のオリゴマー類並びにクロロヒドリン類及び/若しくはそのエステル類のオリゴマー類、更にこのようなオリゴマー類の誘導体類、例えばそのエステル類、塩素化オリゴマー類及び/若しくはその塩素化エステル類であって、塩素化オリゴマー類のような、オリゴマーの数平均分子量に等しいか又はそれ以上の数平均分子量を有するものを意味する。用語クロロヒドリン(類)、MCH(類)及びDCH(類)並びそれらのエステル(類)は、重質副生成物類を含むものを意図するものではない。] [0027] 用語「エポキシド」は、炭素−炭素結合上に少なくとも1つの酸素ブリッジを含む化合物を意味する。一般に、炭素−炭素結合の炭素原子は隣接しており、この化合物は、例えば水素及びハロゲンのような、炭素原子及び酸素原子以外の原子を含むことができる。好ましいエポキシドはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、グリシドール及びエピクロロヒドリンである。] [0028] 本明細書中で使用する用語「液相」は、微量の気体及び/又は固体不連続相を、任意的に、含むことができる気相と固相の間の連続中間相を意味する。液相は1つ又はそれ以上の非混和性液相を含むことができ、1種又はそれ以上の酸類、塩基類又は塩類のような、1種又はそれ以上の溶解固体類を含むことができる。] [0029] 本明細書中で使用する用語「蒸気相」(vapor phase)は、微量の液体及び/又は固体不連続相を任意的に、含むことができる連続ガス相(gaseous phase)(例えばエアロゾル)を意味する。蒸気相は単一の気体或いは2種若しくはそれ以上の気体、2種若しくはそれ以上の液体不連続相及び/又は2種若しくはそれ以上の固体不連続相の混合物のような混合物であることができる。] [0030] 本明細書中で使用する用語「気液接触装置」は、装置内における液体と蒸気との間の少なくとも1つの界面の接触及び形成を可能にする働きをする装置を意味する。気液接触装置が供給流の成分の蒸留及び/又は分留を目的とする場合には、気液接触装置(41)は、好ましくはカラム内において物質に下端から上端への漸減温度勾配を適用するのに適当な下端(一般に数字(42)で示される)及び上端(一般に数字(43)で示される)を有する。気液接触装置の例としては、プレートカラム、充填カラム、濡れ壁(流下膜式)カラム、噴霧室、熱交換器又はそれらの任意の組合せが挙げられる。プレートカラム及び充填カラムを含む装置の例としては蒸留カラム、分留カラム及びストリッピングカラムが挙げられる。] [0031] 本明細書中で使用する用語「液体分配器(liquid distributor)」は、充填床カラム中の充填物の上部全体に均一に液体を散布する装置を意味する。効率的なカラム操作には、充填床上部における液体の均一な分配が重要である。] [0032] 本明細書中で使用する用語「冷却装置」は、プロセス流体から物理的に離隔された二次流体によってプロセス流体から熱を除去するためのシステム、例えば凝縮器を意味する。プロセス流体及び二次流体はいずれも蒸気、液体又は液体と蒸気の組合せであることができる。冷却は、蒸留カラム外部の単位操作であることもできるし、蒸留カラム内部の単位操作であることもできる。物理的離隔は管の形態であることができ、凝縮は管の内側又は外側で実施できる。冷却は好ましくは非断熱冷却を含み、従って、冷却装置は好ましくは非断熱冷却装置である。] [0033] 工程(a)において処理される混合物 工程(a)において処理される混合物は、当業界でよく知られた任意の塩化水素化プロセスによって、直接的又は間接的に得ることができる。例えばドイツ国特許第197308号は無水塩化水素を用いたグリセリンの触媒的塩化水素化によるクロロヒドリンの製造方法を教示している。WO2005/021476は、カルボン酸の触媒作用を用いた気体状塩化水素によるグリセリン及び/又はモノクロロプロパンジオール類の塩化水素化による、ジクロロプロパノール類の連続的製造方法を開示している。WO2006/020234 A1は、水を実質的に除去せずに有機酸触媒の存在下でMAHC、MAHCのエステル又はそれらの混合物を過圧分圧の塩化水素の供給源と接触させてクロロヒドリン、クロロヒドリンのエステル又はそれらの混合物を生成させる工程を含んでなる、グリセロール若しくはそのエステル又はそれらの混合物のクロロヒドリンへの転化方法を記載している。前記参考文献を、前記開示に関して引用することによって本明細書中に組み入れる。] [0034] 例示的な塩化水素化プロセスにおいては、MAHC及び塩化水素化触媒を塩化水素化反応器に装入する。次いで、塩化水素のような塩素化剤を反応器に加える。反応器の圧力を所望の圧力に調整し、反応器の内容物を所望の温度に所望の時間加熱する。塩化水素化反応の完了後又は塩化水素化反応を実施しながら、反応器内容物を反応流出物流として反応器から排出し、直接的に又は別の反応器若しくは他の介在工程を経て間接的に、本発明に係るDCH回収システムを含み且つ、任意的に、他の分離システム又は装置(フラッシュ容器及び/又はリボイラー)を含む分離システムに供給する。] [0035] 前記塩化水素化反応は、1つ又はそれ以上の塩化水素化反応器、例えば単一若しくは複数の連続撹拌槽型反応器(以下において略語「CSTR」と言及する)、単一若しくは複数の管型反応器、プラグフロー型反応器(以下において略語「PFR」と言及する)又はそれらの組合せで実施することができる。塩化水素化反応器は、例えば1つの反応器又は互いに直列若しくは並列に接続された複数の反応器、例えば1つ若しくはそれ以上のCSTR、1つ若しくはそれ以上の管型反応器、1つ若しくはそれ以上のPFR、1つ若しくはそれ以上のバブルカラム(気泡塔)反応器及びそれらの組合せであることができる。] [0036] 好ましい態様においては、塩化水素化流出物流の一部又は全てが、PFRからの供給流である。PFRは、長さ/直径(L/D)比が大きく且つ反応器の長手方向に組成プロファイルを有する型の反応器である。PFR中に供給されている反応体の濃度はPFRの流路に沿って入口から出口に向かって減少し、生成物又は中間生成物の濃度はPFRの流路に沿って入口から出口に向かって増加する。グリセロールの塩化水素化の場合には、HCl及びグリセロールの濃度はPFRの入口から出口に向かって減少し、クロロヒドリン類の総濃度はPFRの入口から出口に向かって増加する。] [0037] 塩化水素化反応の実施に有用な装置は、当業界でよく知られた任意の装置であることができ、塩化水素化条件において反応混合物を収容できるものでなければならない。適当な装置は、プロセス成分による腐蝕に対して抵抗性の材料から製造でき、例えばタンタルのような金属、適当な金属合金(特にニッケル−モリブデン合金、例えばHastalloy C(登録商標))又はガラス内張装置などであることができる。] [0038] DCH(類)の他に、1種又はそれ以上の未反応MAHC(類)及び/又は塩素化剤(類)、反応中間体(例えばMCH(類)、MCHエステル(類)、及び/又はDCHエステル(類))、触媒(類)、触媒(類)のエステル(類)、水及び/又は重質副生成物(類)も混合物(a)中に存在することができる。1種又はそれ以上の未反応MAHC(類)、MAHC(類)のエステル(類)及び/又は塩素化剤(類)、反応中間体(例えばMCH(類)、MCHエステル(類)、DCHエステル(類))及び他の物質(例えば触媒(類)、触媒(類)のエステル(類))を、好ましくはこの方法の前の工程に、例えば少なくとも1つの塩化水素化反応器に更なる塩化水素化のために循還させる循還法が好ましい。特に、1種又はそれ以上のMAHC(類)、MCH(類)、触媒(類)並びに/又は1種若しくはそれ以上のMAHC(類)、MCH(類)、DCH(類)及び/若しくは触媒(類)のエステル(類)、好ましくはそれらの2種又はそれ以上の組合せを含む蒸留又は分留工程残留物を含む液体の高沸点フラクションを、例えば1つ又はそれ以上の反応器にこの高沸点フラクションを循還させることよって、塩化水素化工程に循還させる。このような循還法は好ましくは連続的である。このようにして、原料効率を最大にし且つ/又は触媒を再利用する。] [0039] このような方法の方式で触媒類を再利用する場合には、単一パス(single-pass)方法で用いるよりも高濃度で触媒を使用するのが望ましいかもしれない。これにより、より速い反応が可能になるか又はより小さいプロセス装置を使用でき、結果として、使用する装置に対する資本コストがより少なくて済む。] [0040] 連続循還法においては、不所望な不純物及び/又は反応副生成物が方法において蓄積し得る。従って、このような不純物を、例えば1つ若しくはそれ以上のパージ出口を経て、又は分離工程によって、プロセスから除去する手段を設けるのが望ましい。それに加えて、パージ流の有用な部分を回収するために、パージ流を更に処理することができる。] [0041] 本発明に従って処理される混合物中に、任意的に、存在させることができる塩素化剤は、好ましくは塩化水素又は塩化水素供給源であり、気体、液体若しくは溶液又はそれらの混合物であることができる。塩化水素は好ましくは気体の状態で導入し、塩化水素化反応混合物が液相にある場合には、塩化水素ガスの少なくとも一部が好ましくは液体反応混合物中に溶解されている。しかし、塩化水素は、所望ならば、アルコール(例えばメタノール)のような溶媒中で、又は窒素のようなキャリヤガス中で、稀釈することができる。] [0042] 本発明の塩化水素化工程は、過大気圧条件下で実施するのが好ましい。本明細書中で、「過大気圧(superatmospheric pressure)」は、塩化水素(HCl)分圧が大気圧より高い、即ち15psia(103kPa)又はそれ以上であることを意味する。一般に、塩化水素化プロセスで使用する塩化水素分圧は少なくとも約15psia(103kPa)又はそれ以上である。好ましくは塩化水素化プロセスで使用する塩化水素分圧は、約25psia(172kPa)以上、より好ましくは約35psia(241kPa)以上、最も好ましくは約55psia(379kPa)以上であって、好ましくは約1000psia(6.9MPa)以下、より好ましくは約600psia(4.1MPa)以下、最も好ましくは約150psia(1.0MPa)以下である。] [0043] 塩化水素化工程は、工程(b)及び(c)において回収される反応混合物の液相中で塩化水素化の間、クロロヒドリン(類)が生成及び転化され続けるように、塩化水素化工程中の所定の圧力条件の場合に最も低い沸点を有する反応混合物中のクロロヒドリン(類)の沸点よりも低い、塩化水素化に充分な温度において、実施するのも好ましい。この好ましい温度範囲の上限は、圧力条件の調整によって調整することができる。塩化水素化において、より高い圧力を選択することによって反応混合物中のクロロヒドリン(類)の沸点温度を増加させることができるので、圧力条件を増加させることによってDCH(類)を液相に保持するのに好ましい温度範囲を増加させることができる。] [0044] 塩化水素化流出物中に存在するDCHの好ましくは50%未満、より好ましくは10%未満、更に好ましくは5%未満、更に好ましくは1%未満を、工程(b)の前に塩化水素化流出物から除去する。] [0045] 塩化水素化流出物は、1種又はそれ以上のDCH(類)、1種又はそれ以上の化合物(DCH(類)のエステル(類)、MCH(類)及び/若しくはそのエステル(類)並びにMAHC(類)及び/若しくはそのエステル(類)を含む)並びに、任意的に、1種又はそれ以上の物質(水、塩素化剤(類)、触媒(類)及び/又は触媒(類)のエステル(類)を含む)を含む。本発明によれば、出発原料、反応条件及び塩化水素化反応とDCHの回収の間に介在する任意のプロセス工程によっては、更なる任意成分も流出物流中に存在できる。塩化水素化流出物は、好ましくは塩化水素化工程及び/又は反応器から取り出される際に液相に存在し、工程(a)において供給される混合物は塩化水素化工程の液相流出物の少なくとも一部を含む。] [0046] 好ましい態様においては、少なくとも1種のMAHC及び/又はそのエステルは、工程(a)において供給される混合物中に存在する。MAHC(類)及び/又はそのエステル(類)が工程(a)において供給される混合物中に存在する場合には、同じMAHC(類)及び/又はそのエステル(類)が工程(b)の高沸点フラクション中にも存在し得る。] [0047] 本発明に従って処理される流出物中に含まれるMAHC類には、例えば1,2−エタンジオール;1,2−プロパンジオール;1,3−プロパンジオール;3−クロロ−1,2−プロパンジオール;2−クロロ−1,3−プロパンジオール;1,4−ブタンジオール;1,5−ペンタンジオール;シクロヘキサンジオール類;1,2−ブタンジオール;1,2−シクロヘキサンジメタノール;1,2,3−プロパントリオール(「グリセリン」又は「グリセロール」としても知られ、本明細書中ではそれらと同義で用いる);及びそれらの混合物などがある。好ましくは、本発明に従って処理される流出物中のMAHC類は、例えば1,2−エタンジオール;1,2−プロパンジオール;1,3−プロパンジオール;及び1,2,3−プロパントリオールであり、1,2,3−プロパントリオールが最も好ましい。] [0048] 本発明に従って処理される流出物中に含まれるMAHC類のエステル類の例には、例えばエチレングリコールモノアセテート、プロパンジオールモノアセテート類、グリセリンモノアセテート類、グリセリンモノステアレート類、グリセリンジアセテート類及びそれらの混合物がある。一態様において、このようなエステルは、MAHCと完全にエステル化されたMAHCとの混合物、例えばグリセロールトリアセテートとグリセロールとの混合物から生成されることができる。] [0049] 同じ又は別の好ましい態様において、少なくとも1種のMCH及び/又はそのエステルが、工程(a)において供給される混合物中に存在する。MCH(類)及び/又はそのエステル(類)が工程(a)において供給される混合物中に存在する場合には、同じMCH(類)及び/又はそのエステル(類)が工程(b)の高沸点フラクション中にも存在し得る。] [0050] MCH類は、一般に、2つの別のビシナル炭素原子に共有結合した1対のヒドロキシル基の一方が共有結合塩素原子で置き換えられた塩化水素化MAHC類に相当する。MCHのエステル(類)は、例えばMAHCエステル(類)の塩化水素化又は酸触媒との反応の結果として得られる可能性がある。] [0051] DCH類は、一般に、2つの別の炭素原子(少なくともその一方はヒドロキシル基を有する第3の炭素原子に隣接している)に共有結合した2つのヒドロキシル基がいずれも共有結合塩素原子で置き換えられた塩化水素化MAHC類に相当する。DCH類のエステル(類)は、例えばMAHCエステル(類)、MCHエステル(類)の塩化水素化又は酸触媒(類)との反応の結果として得られる可能性がある。] [0052] MAHC(類)のエステル(類)又はMAHC(類)とそのエステル(類)との混合物を出発原料とするのではなく、MAHC(類)がプロセスに供給される出発原料である本発明の一態様においては、クロロヒドリンの形成は1種又はそれ以上の触媒(類)及び/又はそのエステル(類)の存在によって促進するのが一般に好ましい。MAHC(類)のエステル(類)又はMHAC(類)とそのエステル(類)との混合物が出発原料である場合には、塩化水素化反応を更に加速するために触媒(類)及び/又はそのエステル(類)も存在できる。] [0053] カルボン酸RCOOHは、MAHC類のクロロヒドリン類への塩化水素化を触媒する。具体的なカルボン酸触媒は、例えば触媒としてのその効力、そのコスト、反応条件に対するその安定性及びその物理的性質を含む多数の要因に基づいて選択されることができる。触媒を使用すべき個々の方法及び方法の方式も個々の触媒の選択における要因と考えられる。カルボン酸の「R」基は水素又はアルキル、アリール、アラルキル及びアルカリールを含むヒドロカルビル基から独立して選ぶことができる。ヒドロカルビル基は直鎖、分岐鎖又は環状であることができ、置換されていても非置換であってもよい。許容される置換基は、触媒の性能をひどく妨害しない任意の官能基であり、ヘテロ原子を含むことができる。許容される官能基の非限定的例としては、塩化物、臭化物、ヨウ化物、ヒドロキシル、フェノール、エーテル、アミド、第一アミン、第二アミン、第三アミン、第四アンモニウム、スルホネート、スルホン酸、ホスホネート及びホスホン酸が挙げられる。] [0054] 塩化水素化触媒類として有用なカルボン酸類は、一塩基酸、例えば酢酸、蟻酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ヘキサン酸、4−メチル吉草酸、ヘプタン酸、オレイン酸若しくはステアリン酸;又は多塩基酸、例えばコハク酸、アジピン酸若しくはテレフタル酸であることができる。アラルキルカルボン酸の例としては、フェニル酢酸及び4−アミノフェニル酢酸が挙げられる。置換カルボン酸の例としては、4−アミノ酪酸、4−ジメチルアミノ酪酸、6−アミノカプロン酸、6−ヒドロキシヘキサン酸、6−クロロヘキサン酸、6−アミノヘキサン酸、4−アミノフェニル酢酸、4−ヒドロキシフェニル酢酸、乳酸、グリコール酸、4−ジメチルアミノ酪酸及び4−トリメチルアンモニウム酪酸が挙げられる。更に、反応条件下でカルボン酸に転化することができる材料、例えばカルボン酸ハロゲン化物(例えば塩化アセチル、塩化6−クロロヘキサノイル、塩化6−ヒドロキシヘキサノイル、6−ヒドロキシヘキサン酸及び4−トリメチルアンモニウム酪酸塩化物);カルボン酸無水物(例えば無水酢酸及び無水マレイン酸);カルボン酸エステル(例えば酢酸メチル、プロピオン酸メチル、ピバル酸メチル、酪酸メチル、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールジアセテート、プロパンジオールモノアセテート類、プロパンジオールジアセテート類、グリセリンモノアセテート類、グリセリンジアセテート類、グリセリントリアセテート及びカルボン酸のグリセリンエステル類(グリセリンモノ−、ジ−及びトリ−エステルを含む);MAHCアセテート類(例えばグリセロール1,2−ジアセテート);カルボン酸アミド類(例えばε−カプロラクタム及びγ−ブチロラクタム);並びにカルボン酸ラクトン類(例えばγ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン及びε−カプロラクトン)も本発明において使用できる。酢酸亜鉛は金属有機化合物の一例である。前記触媒及び前記触媒前駆体の混合物も使用できる。] [0055] 触媒を過大気圧プロセスで用いる場合には、触媒は、例えばカルボン酸;無水物;酸塩化物;エステル;ラクトン;ラクタム;アミド;金属有機化合物(例えば酢酸ナトリウム);又はそれらの組合せであることができる。塩化水素化反応条件下でカルボン酸又は官能基化カルボン酸に転化し得る任意の化合物も使用できる。過大気圧プロセスに好ましいカルボン酸はハロゲン、アミン、アルコール、アルキル化アミン、スルフヒドリル、アリール基若しくはアルキル基又はそれらの組合せからなる官能基(この部分はカルボン酸基に立体障害を与えない)を有する酸である。] [0056] 一部の触媒は、過大気圧、大気圧又は減圧(sub-atmospheric pressure)において、特に、本発明に従ってDCH(類)を回収する場合に状況に応じて望ましいより高いレベルまで転化を駆動するために反応混合物から連続的に又は定期的に水を除去する環境においても有利に使用できる。例えばMAHC(類)の塩化水素化反応は、塩化水素ガスを導入して、MAHC(類)と触媒(類)との混合物と接触させることによって、例えば塩化水素ガスを液相反応混合物を通してスパージすることによって実施できる。このようなプロセスにおいては、揮発しにくい触媒、例えば6−ヒドロキシヘキサン酸、4−アミノ酪酸;ジメチル4−アミノ酪酸;6−クロロヘキサン酸;カプロラクトン;カルボン酸アミド、例えばε−カプロラクタム及びγ−カプロラクタム;カルボン酸ラクトン、例えばγ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン及びε−カプロラクトン;カプロラクタム;4−ヒドロキシフェニル酢酸:6−アミノ−カプロン酸;4−アミノフェニル酢酸;乳酸;グリコール酸;4−ジメチルアミノ−酪酸;4−トリメチルアンモニウム酪酸;並びにそれらの組合せなどの使用が好ましいと考えられる。これらの大気圧又は減圧条件下では、生成及び回収されるDCH(類)よりも揮発しにくい触媒を使用するのが最も望ましい。] [0057] 本発明において使用する好ましい触媒としては、カルボン酸、カルボン酸のエステル類及びそれらの組合せ、特に、触媒を除去せずにDCH(類)を除去できるように反応混合物において形成される、目的とする最高沸点のDCHよりも高い沸点を有するエステル類及び酸類(即ち触媒(類)は好ましくは混合物中のDCH(類)よりも揮発しにくい)が挙げられる。この定義に適合し且つ本発明において有用な触媒としては、例えばポリアクリル酸、カルボン酸のグリセリンエステル(グリセリンモノ−、ジ−及びトリ−エステルを含む)、アクリル酸でグラフトされたポリエチレン、ジビニルベンゼン/メタクリル酸コポリマー、6−クロロヘキサン酸、4−クロロブタン酸、カプロラクトン、ヘプタン酸、4−ヒドロキシフェニル酢酸、4−アミノフェニル酢酸、6−ヒドロキシヘキサン酸、4−アミノ酪酸、4−ジメチルアミノ酪酸、4−トリメチル−アンモニウム酪酸塩化物、ステアリン酸、5−クロロ吉草酸、6−ヒドロキシヘキサン酸、4−アミノフェニル酢酸及びそれらの混合物が挙げられる。カルボン酸基の周囲において立体障害を与えないカルボン酸が一般に好ましい。] [0058] 更に、触媒(類)は使用するMAHC(類)と混和性であるのが好ましい。このため、触媒(類)は、反応混合物中において触媒をMAHC(類)(例えばグリセロール)と混和性にする、ヒドロキシル、アミノ若しくは置換アミノ又はハロゲン化物基のような極性ヘテロ原子置換基を含むことができる。] [0059] 存在できる触媒の一態様は、一般に、下記式(a):] [0060] ] [0061] [式中、官能基R’はアミン、アルコール、ハロゲン、スルフヒドリル、エーテル;又は前記官能基を含む炭素数1〜約20のアルキル、アリール若しくはアルカリール基;或いはそれらの組合せを含み;官能基Rは水素、アルカリ、アルカリ土類金属若しくは遷移金属又は炭化水素官能基を含むことができる] で表される。] [0062] 触媒を循還させて、繰り返し使用する場合には、このような循還触媒は、存在するMAHCの量(モル)に基づき、約0.1モル%から、好ましくは約1モル%から、より好ましくは約5モル%から、約99.9モル%以下、好ましくは70モル%以下、より好ましくは50モル%以下の量で存在できる。反応時間を短縮し且つプロセス装置の大きさを最小化するためには、より高い触媒濃度を用いるのが望ましいと考えられる。] [0063] 好ましい態様において、工程(a)において蒸留又は分留される混合物は、水、例えば塩化水素化反応の副産物として生成される水、塩化水素化反応の出発原料中に存在する水及び/又はストリッピング剤として導入される水を含む。混合物は水を、少なくとも1重量%、より好ましくは少なくとも5重量%であるが、蒸留圧力におけるジクロロヒドリン−水混合物又はジクロロヒドリン−水−塩化水素混合物の共沸組成における水の重量%未満、好ましくは50重量%以下、より好ましくは20重量%以下、最も好ましくは10重量%以下の量で含むことができる。] [0064] 工程(a)において蒸留又は分留される混合物は、液相又は液相と蒸気相との組合せであることができる。一態様において、工程(a)において蒸留又は分留される混合物は、工程(a)の前に塩化水素化反応流出物流を蒸気相流出物流と液相流出物流に分離し、そして液相流出物流を、又は蒸気相流出物流と液相流出物流の両者を別々に若しくは合して、工程(a)に導入することによって、工程(a)に供給する。方法の工程(a)における反応流出物流の分離は、例えば気液接触装置及び、任意的に、気液接触装置とは別個の又は気液接触装置と一体化されたフラッシュ容器を含む分離システム中で、実施できる。] [0065] 混合物からのDCHの回収 蒸留/分留工程(A) 混合物からのDCH(類)の回収は、還流条件下で混合物を蒸留又は分留して、第1の蒸気相流出物の圧力において、混合物中に存在する1種又はそれ以上の前記DCH(類)及び水の沸点に等しいか又はそれより高い第1の温度を有する前記DCH(類)及び水を含む第1の蒸気相流出物を、前記混合物から分離させる。前記のDCH(類)は好ましくは1,3−ジクロロ−2−プロパノール及び/又は2,3−ジクロロ−1−プロパノールを含む。] [0066] 第1の蒸気相流出物流は1種若しくはそれ以上の前記MCH(類)、例えば2−クロロ−1,3−プロパンジオール及び/若しくは3−クロロ−1,2−プロパンジオール並びにそのエステル(類);1種又はそれ以上の前記MHAC(類);更に/又は1種若しくはそれ以上の前記物質類(塩素化剤(類)、触媒(類)及び/又は触媒(類)のエステル(類)を含む)を含むことができる。蒸留又は分留工程(a)は、蒸留又は分留工程に供給される混合物に比較して、第1の蒸気相流出物流中のDCH(類)の濃度を高める。] [0067] 蒸留又は分留工程(a)は、好ましくは少なくとも25℃、より好ましくは少なくとも50℃、更に好ましくは少なくとも80℃、更に好ましくは少なくとも100℃、更に好ましくは少なくとも110℃であって、160℃以下、好ましくは150℃以下、より好ましくは140℃以下、更に好ましくは130℃以下、最も好ましくは120℃以下の温度(蒸留残液中で測定)で実施するのが好ましい。より低い温度は、プロセスにおいて、重質物と呼ばれるより高い分子量の化合物の形成速度を最小限に抑えるのに役立ち、逆に、より高い温度は重質物の形成速度を増加させる。より低い塔底温度も、真空度低下又はプラントへの電力供給の欠如のようなプロセスの混乱の場合に暴走反応のリスクを低下させる。] [0068] カラム底部において低温を達成する方法の1つは、カラム頂部の圧力が100kPa未満、好ましくは50kPa未満、より好ましくは10kPa未満、最も好ましくは5kPa未満であって、0.1kPa超、好ましくは0.5kPa超、最も好ましくは1kPa超に保持されるように、カラムを真空条件下で操作することである。カラム中の圧力が低いほど、カラム底部においてより低い温度が得られるが、これは、カラムサイズの増大及びより低い圧力において必要とされる運転コストの増加とバランスを取らなければならない。カラムサイズを増大させると、カラム及びカラム内部構造の資本コストが増大する。] [0069] 本発明の方法の一態様においては、工程(a)は0.1〜100kPaの範囲、好ましくは1〜20kPaの範囲、より好ましくは1〜10kPaの範囲の圧力において実施する。] [0070] 好ましい減圧条件を、工程(a)において蒸留又は分留されている混合物に直接的又は間接的に真空を適用することによって作り出して、第1の蒸気相流出物流を生成させることができる。真空は、好ましくは第2の冷却工程(e)の下流の第3の蒸気相流出物流に適用する。真空は、好ましくは真空を発生させるのに適切な任意の手段、例えば真空ポンプ又はスチームエジェクターを用いて適用する。] [0071] 工程(a)に供給された混合物から回収されるDCH(類)の割合は、一般に、選択される温度条件と圧力条件の組合せによって異なる。工程(a)において所定のDCH回収率を得るためには、温度低下は一般に操作圧力の低下を必要とし、逆に操作圧力の増加は一般に操作温度の上昇を必要とする。選択される具体的な温度条件及び圧力条件は、低温でより高い圧力での操作に関連する各利益の実現が望まれる程度によって異なるであろう。] [0072] 工程(a)は、工程(a)の高沸点フラクション中の重質副生成物類の量が工程(a)に供給される混合物中の重質副生成物類の量の120%以下、より好ましくは110%以下、更に好ましくは105%以下、最も好ましくは102%以下となるような条件下で実施するのが望ましい。方法において重質副生成物類及び不所望の副生成物類の形成を最小限に抑えることにより、方法を連続的循還法として実施する場合に方法において重質副生成物類の蓄積を防ぐのに必要なプロセスパージを減少させることができる。パージ流は、方法において使用可能な成分、例えばジクロロヒドリン類、モノクロロヒドリン類、MAHC類、触媒及び/又はそれらのエステル類を含む場合がある。従って、パージを最小限に抑えることによって、ジクロロヒドリン類の収率が増加する。] [0073] 塩素化剤が、例えば塩化水素である場合には、塩化水素は工程(1)に供給される供給流の水、クロロヒドリン(類)、重質物類などよりも軽い(即ちより低い沸点を有するか又はより高い蒸気圧を有する)ので、塩化水素のほとんどは工程(a)の間に混合物から除去される。] [0074] 工程(a)において供給する供給流は、混合物の蒸留及び/又は分留の前に、介在フラッシュ容器を用いるなどして、減圧工程に通して、流れの圧力を低下させ且つ蒸留及び/又は分留中のフラッシュ傾向を低下させることができる。フラッシュ容器は蒸留及び/又は分留工程の上流の流量変動又はサージの影響を減少させるためのサージ又は緩衝容器の役割を果たすこともでき、蒸留及び/又は分留工程への混合物の流れを比較的一定の速度に調節するのを助けることができる。] [0075] 蒸留又は分留工程(a)は、好ましくは気液接触装置の下端の熱源及び気液接触装置の上端に真空を適用するための手段を有する少なくとも1つの気液接触装置、例えば少なくとも1つの蒸留又は分留カラム(好ましくは1つの分別蒸留カラム及び/又は充填カラム)中で実施するのが好ましい。気液接触装置としての使用に適当な蒸留カラムの例としては、プレート又はトレイカラム、バブルキャップカラム及び充填カラムが挙げられる。気液接触装置は還流条件下で操作する。] [0076] 一態様において、追加のMAHC(類)及び/又はそのエステル(類)を、反応蒸留/分留のために工程(a)に導入することができる。追加のMAHC(類)及び/又はそのエステル(類)は塩素化剤と反応して、更なるMCH(類)及び/又はそのエステル(類)を生成できる。追加のMAHC(類)は、DCH(類)及びMCH(類)のエステル(類)と反応することによってそれらを非エステル(類)に転化させて、DCH(類)の回収も促進できる。追加のMAHC(類)及び/又はそのエステル(類)を好ましくは液相として還流に導入して、還流のための追加の液相を供給する。] [0077] 工程(a)に供給された混合物は、工程(a)において蒸留又は分留して、工程(a)の液相混合物から少なくともDCH(類)及び水を含む第1の蒸気相流出物を分離させる。工程(a)に供給された混合物の他の低沸点成分又は共沸成分(例えば塩素化剤)も含む場合がある工程(a)の第1の蒸気相流出物を、工程(b)に従って凝縮させて、少なくともDCH(類)を含む第1の凝縮液相流出物流を形成する。第1の凝縮液相流出物流を第1のフラクション及び第2のフラクションに分離させる。第1の凝縮液相流出物流の第1のフラクションは、工程(d)に従って蒸留又は分留工程(a)に循還させる。工程(d)による工程(c)の第1のフラクションの循還により、工程(a)による蒸留又は分留中に還流のための液体を供給する。] [0078] 第1の蒸気相流出物の分縮 工程(a)に従って還流条件下で前記混合物の蒸留又は分留によって生成されたDCHを高濃度で含む第1の蒸気相流出物を、工程(a)の第1の温度よりも低い第2の温度まで非断熱的に冷却することによって工程(a)の第1の蒸気相流出物流のフラクションを凝縮させて、第1の凝縮液相流出物流及び第2の温度を有する第2の蒸気相流出物流を生成させる。] [0079] 工程(b)の第2の温度は、工程(b)の操作圧力における第1の蒸気相流出物流の露点未満であって、好ましくは工程(b)の操作圧力における水の露点より高く、より好ましくは工程(b)の操作圧力における水の露点より少なくとも1℃高い。第2の温度は、工程(a)の第1の温度よりも好ましくは少なくとも5℃低い、より好ましくは少なくとも10℃低い、最も好ましくは少なくとも20℃低く、且つ工程(a)の第1の温度よりも最大で60℃低い、より好ましくは最大で50℃低い、更に好ましくは最大で40℃低い温度である。] [0080] 一態様において、工程(b)の凝縮は、第1の非断熱冷却装置(例えば蒸発凝縮器又は水冷凝縮器)を使用して、冷却用の池からの水及び/又は第2の冷却工程(e)において流体冷却媒体として上流で用いられる流体冷却媒体(例えば水)を用いて行う。第2の温度は、冷却された水を用いる代りに、冷却用の池又は冷却用の塔からの水によって非断熱冷却を行えるように、選択するのが有利である。これにより、冷却された水の使用時に冷蔵に必要とされるのとは別のエネルギーが節約され、最小のエネルギー使用によって冷却が行われる。] [0081] 第1の蒸気相流出物流は有機化合物及び水並びに場合によっては塩素化剤を含む。] [0082] 第1の凝縮液相流出物流は、50重量%超、好ましくは60重量%超、より好ましくは70重量%超、更に好ましくは80重量%超、更に好ましくは90重量%超、最も好ましくは95重量%超、それより更に好ましくは99重量%超のDCH(類)を含む。得られる高純度DCH(類)、例えば99重量%のDCH(類)は、高純度DCH(類)が好ましいか又は必要な方法において、更なる精製を必要とせずに使用できる。高純度DCHは、ビスフェノールのエポキシ化に直接用いて(即ち好ましくはいかなる精製単位操作も介在させずに、より好ましくはいかなる単位操作も介在させずに)、液体エポキシ樹脂を生成させることができるので有利である。] [0083] 工程(d)において、工程(b)において生成される第1の凝縮液相流出物流の第1のフラクションは、工程(a)への還流として工程(a)に循還させる。[工程(a)への還流として工程(a)に循還される第1の凝縮液相流出物流の第1のフラクションの質量流量]対[工程(b)の間に凝縮される総第1の凝縮液相流出物流の質量流量]の比は、好ましくは少なくとも0.1:1であって、0.8:1以下、好ましくは0.5:1以下、より好ましくは0.4:1以下、更に好ましくは0.3:1以下である。一態様において、この比は、0.1:1〜0.4:1の範囲である。この比は、カラムに関する還流比を決定する。] [0084] 充填カラム及び低速の還流速度をもたらす低い還流比を用いる場合には、低液体装填量に適した液体分配器を用いるのが望ましい。液体装填量は、蒸留又は分留カラムの単位断面積当たりの液体質量流量と定義する。DCH類は、水に比べて気化熱がはるかに低い。従って、蒸留カラム中における還流に富DCH有機液体の代わりに富水性液体を用いるとしたら、還流比は更に小さくなり、結果として、前記液体分配器からの液体流量が更に少なくなり、このような低液体装填量に適した特別な液体分配器が必要となるであろう。従って、本発明に従って富DCH液体を還流に用いることにより、適切な液体分配器の設計及び選択における選択の自由度がより高くなるであろう。このように選択の自由度がより高いことは、この方法のような腐蝕性プロセスにおいて特に有利である。] [0085] 第1の凝縮液相流出物流は好ましくは集積させてから工程(a)へ循還させて、経時的な還流流量の良好な制御/最適化を容易にし、それによって工程(a)の操作条件及び/又は第1の蒸気相流出物のアウトプットの変動を減少させる。この集積は好ましくは、例示的な図面を参照して以下に更に詳述する、工程(b)と工程(c)の間のリザーバーを用いることによって行う。] [0086] 第2の蒸気相流出物流の分縮 工程(b)の第2の蒸気相流出物流を、第2の蒸気相流出物流の第2の温度より低い第3の温度まで、好ましくは非断熱的に、冷却することによって工程(b)の少なくとも第2の蒸気相流出物流のフラクションを凝縮させて、第2の凝縮液相流出物流及び第3の温度を有する第3の蒸気相流出物流を生成させる。] [0087] 本発明に係るDCH(類)の回収方法において、冷却工程(e)の第3の温度は、冷却工程(e)の操作圧力における水の露点よりも好ましくは低い、より好ましくは少なくとも1℃低い、更に好ましくは少なくとも5℃低い。第3の温度は、冷却工程(b)の第2の温度よりも好ましくは少なくとも10℃低い、より好ましくは少なくとも20℃低い、更に好ましくは少なくとも30℃低い。第3の温度は、第2の蒸気相流出物流の少なくとも80質量%、より好ましくは少なくとも90質量%、更に好ましくは少なくとも95質量%、最も好ましくは少なくとも99質量%が凝縮されてDCH(類)の最高総回収率が達成されるように選択するのが望ましい。] [0088] 一態様において、工程(e)は、工程(b)に使用するのに適当であるとして前述した冷却装置のような冷却装置を用いて実施する。流体冷却媒体は、冷却用の池からの水(充分に低い温度で水を入手できる場合)及び/又は冷蔵された流体冷却媒体、例えば冷却された水若しくは冷却されたグリコール、又は冷媒(refrigerant)自体であることができる。好ましい態様においては、冷却された水若しくは冷却されたグリコール又はこのような低温冷却剤(coolant)を用いて、DCH(類)が高回収率で得られる。] [0089] [工程(b)において生成される第1の凝縮液相]対「工程(e)において生成される第2の凝縮液相]の容積比は、好ましくは少なくとも1:1、より好ましくは少なくとも3:1、更に好ましくは少なくとも5:1であって、100:1以下、より好ましくは50:1以下、更に好ましくは40:1以下である。] [0090] 一態様において、[工程(b)において第1の蒸気相流出物流が凝縮される質量流量]対[工程(e)において第2の蒸気相流出物流が凝縮される質量流量]の比は、1:1〜100:1の範囲、好ましくは1:1〜10:1の範囲、より好ましくは1:1〜2:1の範囲である。] [0091] 凝縮液相流出物流の下流処理 工程(b)において生成され、工程(c)で分離された第1の凝縮液相流出物流の第2のフラクションは更なる処理工程に供することができる。前記の更なる処理工程によっては、更なる処理を行わずにDCH(類)を他の化合物に化学転化するDCH(類)の供給に、第2のフラクションを用いることができる。液相は、DCH(類)を他の工業的に有用な化学製品に転化するための方法に使用できる。] [0092] 工程(c)において分離された第2のフラクションは、例えばジクロロヒドリン(類)を更に精製することなく、エポキシ化に供してエピクロロヒドリンを形成できる。DCH(類)を含む1つ又はそれ以上の流出物流をアルカリ金属水酸化物(例えば水酸化ナトリウム)又はアルカリ土類金属水酸化物(例えば水酸化カルシウム又は炭酸カルシウム)のような塩基と接触させることによってエポキシ化を実施して、エピクロロヒドリン(類)並びにアルカリ金属塩化物塩(類)又はアルカリ土類金属塩化物塩(類)をそれぞれ形成することができる。] [0093] 一態様において、第2の凝縮液相流出物流は水性相と有機相を含む。液体の相分離による富水性相及び富有機相の形成は、液体中のHClの濃度、温度及び液体の全体組成に左右される。相分離は、液相中のHCl濃度がより低い場合に最も起こりやすい。相分離の場合は、第2の凝縮液相流出物流の有機相及び水性相が好ましくは互いに分離され、その結果、下流プロセスへのこれら2相の流れ及び組成を比較的一定の値に制御して下流プロセスにおける制御をより良好にすることができ、或いはそれらを下流において別々に用いることができる。具体的には、分離された水性相をエポキシ化工程に使用して、分離された水性相中に残っているDCH(類)を回収及び転化し、且つエポキシ化工程における塩濃度を飽和条件未満に保持するための追加の水を供給することができる。] [0094] 第2の凝縮液相流出物流から得られた分離された有機相は、下流のエポキシ化プロセスにおける第1の凝縮液相流出物流の第2のフラクションの使用とは独立して、又は好ましくはそれと組合せて、下流のエポキシ化プロセスに使用して、1種又はそれ以上の追加の回収DCH(類)を提供できる。一態様において、第2の凝縮液相流出物流から得られた有機相は、第1の凝縮液相流出物流の第2のフラクションと合するか又は混合し、合した流出物流を前述のようなエポキシ化に供する。] [0095] 水性相と有機相の分離は、当業界において常用されるような液液分離装置を用いて実施できる。液液分離装置の一例はデカンターである。] [0096] 変形形態及び利点 前記プロセス工程は互いに独立して又は同時に実施できる。好ましい態様においては、前記プロセス工程の1つ又はそれ以上を互いに同時に実施する。] [0097] 前記プロセス工程の1つ又はそれ以上は連続的又は不連続的に実施できる。前記プロセス工程の1つ又はそれ以上は好ましくは連続的に(即ち中断せずに)実施する。好ましくは、前記プロセス工程は全て連続的に実施する。前記プロセスは、一定時間、例えば約1時間又はそれ以上、実施できる。] [0098] 本発明に係る方法は、塩化水素化の間に生成されるDCH(類)の少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、更に好ましくは少なくとも95%、更に好ましくは少なくとも99%、更に好ましくは少なくとも99.9%を回収することができる。] [0099] このような高い回収率が、最新技術の方法を用いて得られるよりも高い効率で得られる。この方法は、第1の凝縮器が冷却用水を使用でき且つ第2の凝縮器のみが冷却された水若しくは冷却されたグリコール又はこのような他の適切な冷却剤を必要とする可能性があるので、この方法はエネルギー効率がより優れている。従って、2つの分縮器のうち第1の分縮器における凝縮を最大にするのが好ましい。] [0100] 富水性液体の代りに富DCH液体を還流に用いると、還流流量が少なくないので、液体分配器の設計及び選択がより簡単になる。還流流量が非常に少ない場合には、蒸留カラム中に特別に設計された液体分配器が必要である。このような非常に腐蝕性のプロセスにおいては液体分配器は非常に特殊な構成材を必要とするので、非常に費用がかかる可能性がある。還流に富DCH液体を用いることによる還流質量流量の増加は、DCH(類)の蒸留により多くのエネルギーを必要とすることなく、達成される。] [0101] 装置 前記方法は、本発明に係る装置を用いて実施できる。この装置について、図1を参照して以下により詳細に説明する。] 図1 [0102] 図1は、使用できる例示的な装置及び各供給流の主な構成を示す概略図である。DCHを製造するための図1の装置(数字(10)で一般的に示される)は、直列又は並列に接続された1つ又はそれ以上の反応器(31)を含む反応器システム(数字(30)で一般的に示される)を含む。反応器は種々の既知の反応器、例えばCSTR、管型反応器及びPFR並びにそれらの組合せから選ばれることができる。複数の反応器が存在する場合には、反応器は互いに直列又は並列に接続されることができる。反応器システム(30)は、MAHC(類)を含む第1の供給流(32)及び塩素化剤を含む第2の供給流(33)に直接的又は間接的に接続される。] 図1 [0103] 反応器システム(30)は直接的又は間接的に分離システム(数字(40)で一般的に示される)に接続され、液相反応器流出物供給流(34)の少なくとも一部が反応器システム(30)から分離システム(40)に通流される。] [0104] 分離システム(40)は、反応器流出物供給流(34)の蒸留及び/又は分留のための少なくとも1つの気液接触装置(41)並びに、任意的に、1つ又はそれ以上のフラッシュ容器(図示せず)を含む。] [0105] 気液接触装置(41)は、好ましくは気液接触装置内において物質に底部端(42)から頂部端(43)への漸減温度勾配を適用するための底部端(数字(42)で一般的に示される)及び頂部端(数字(43)で一般的に示される)を有する。少なくとも1つの分離システム(40)の少なくとも1つの気液接触装置(41)は好ましくは蒸留又は分留カラム、例えば充填蒸留カラム及び/又は還流を実施するための還流ゾーンを有する、還流条件下における分別蒸留の実施に適合させた蒸留カラムである。] [0106] 分離システム(40)は、分離システム(40)から蒸気相を除去するための蒸気相流出物出口(好ましくは、少なくとも1つの気液接触装置(41)の頂部端(43)の近くに配置される)及び分離システム(40)から液相を除去するための液相流出物出口(好ましくは、少なくとも1つの気液接触装置(41)の底部端(42)の近くに配置される)を有する。] [0107] 分離システム(40)は、1つ又はそれ以上のフラッシュ容器(図示せず)を含むことができる。反応器システム(30)は、好ましくは前記の少なくとも1つのフラッシュ容器によって、少なくとも1つの分離装置(40)の少なくとも1つの気液接触装置(41)に接続され、それによって反応器流出物供給流(34)がフラッシュ容器中で、液相に対する圧力を低下させることによって、蒸気相と液相に分離される。分離された液相及び蒸気相は、蒸留又は分留のために、分離システム(40)の少なくとも1つの気液接触装置(41)中に導入されることができる。] [0108] 分離システム(40)は、好ましくは、分離システム(40)の少なくとも1つの気液接触装置(41)の底部端(42)に接続されたリボイラー(図示せず)も含み、分離システム(40)の少なくとも1つの気液接触装置(41)の底部端(42)において液相が加熱される。] [0109] 分離システム(40)の少なくとも1つの気液接触装置(41)は、任意的に、少なくとも1つのストリッピング剤供給源に直接的又は間接的に接続されて、1種又はそれ以上のストリッピング剤が分離システム(40)の少なくとも1つの気液接触装置(41)の底部端(42)に導入される。] [0110] 分離システム(40)は、好ましくは反応器システム(30)に接続されて、蒸留残留物流(44)を含む蒸留残留物循還流(44,45)が分離システム(40)から反応器システム(30)に通流される。循還材料供給流(44,45)は、好ましくは蒸留残留物循還材料供給流(44,45)から重質副生成物を除去するための蒸留残留物循還材料パージ(46)を有する。] [0111] 気液接触装置(41)の頂部端(43)は、第1の冷却装置(51)を含む第1の凝縮システム(数字(50)によって一般的に示される)に接続されて、蒸気相流出物流(47)が分離システム(40)から第1の凝縮システム(51)に通流される。] [0112] 第1の凝縮システム(50)は、第1の冷却装置(51)及び、任意的に、第1の冷却装置(51)からの凝縮物を集積するための第1の冷却装置(51)に接続された第1のリザーバー(52)を含む。] [0113] 第1の冷却装置(51)は、第1の蒸気相流出物流(47)の露点又はそれ以上の第1の温度から、第1の蒸気相流出物流(47)の露点未満であって且つ冷却装置(51)の操作圧力における水の露点より高い第2の温度まで、蒸気相流出物流(47)を冷却するのに適した冷却装置である。第1の冷却装置(51)は好ましくは非断熱冷却装置である。] [0114] 冷却装置(51)は、好ましくは1つ又はそれ以上の凝縮器である。凝縮器は、好ましくは前記第2の温度又はそれ以下の温度を有する、水性液体のような流体を通流させるための、熱伝導性材料から作られた1つ又はそれ以上の冷却剤流路を含む。任意的な第1のリザーバー(52)は、好ましくは冷却装置(51)の1つ又はそれ以上の凝縮器からの凝縮物を受けるように適合される。] [0115] 第1の凝縮システム(50)は分離システム(40)に接続されて、凝縮液相流出物流(53)のフラクションが凝縮液相循還流(54,55)によって第1の凝縮システム(50)から分離システム(40)に循還される。凝縮液相循還流(54,55)は、好ましくは蒸留及び/又は分留のために少なくとも1つの気液接触装置に通流される。具体的には、凝縮液相循還流(54,55)が、好ましくは少なくとも1つの蒸留及び/又は分留カラムのような少なくとも1つの気液接触装置の還流に通流される。凝縮液相流出物流(53’)のフラクションを凝縮システム(50)から分離システム(40)に循還させるための接続は、好ましくは少なくとも1つの気液接触装置(41)の頂部端(43)の近くで終端する。] [0116] 少なくとも1つの気液接触装置(51)は、好ましくは少なくとも1つの気液接触装置(51)内において凝縮液相流出物流(53)を分配させるための液体分配器(図示せず)を含む。液体分配器は、好ましくは少なくとも1つの気液接触装置(51)中への循還流(53)の導入点の位置の近くに配置され、好ましくは気液接触装置(51)の一体部分である。] [0117] 第1の冷却装置(51)は、好ましくは第1の冷却装置(51)によって生成された凝縮液相を集積するための第1のリザーバー(52)によって分離装置(41)に接続される。第1のリザーバー(52)は、好ましくは分離装置(40)の少なくとも1つの気液接触装置(41)に接続されて、凝縮液相循還流(53)が第1の冷却装置(51)から分離装置(40)に直接通流される代わりに、循還流(54,55)が第1のリザーバー(52)から分離装置(40)の少なくとも1つの気液接触装置(41)に通流される。] [0118] 第1のリザーバー(52)は、循還流(54,55)の流量を、少なくとも1つの冷却装置(51)によって生成される凝縮物流出物流(53)の流量と分断するための手段を提供する。分断は、循還流(54,55)中の流量の変動を減少させるか又は排除するのに使用でき、その結果、循還流(54,55)は、凝縮液相流出物流(53)の流量と比べて相対的に一定な速度で分離装置(40)中に導入されることができる。第1のリザーバーは第1の冷却装置から生じる液体と蒸気との分離を増進するための気液分離器の役割をすることもできる。] [0119] 分離装置(40)に循還される凝縮液相流出物流(53)のフラクションを上回る凝縮液相流出物流(53)のフラクションが、第1の生成物流(54,56)として、第1の凝縮システム(50)から貯蔵容器、別のリザーバー又は更なる処理のための反応容器に通流される。一態様において、第1の生成物流(54,56)は、DCHをエピクロロヒドリンに転化させるのに適当な脱塩化水素化反応容器に直接的又は間接的に通流される。脱塩化水素化反応容器は、好ましくはそれぞれ、水(好ましくは液体状態)の存在下でDCHを塩基、例えばアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩基(例えば水酸化ナトリウム又は水酸化カルシウム若しくは炭酸カルシウム)と接触させるのに適当である。] [0120] 第2の凝縮システム(数字(60)で一般的に示される)は第1の凝縮システム(50)に接続されて、蒸気相流出物流(57)が第1の凝縮システム(50)から第2の凝縮システム(60)に通流され、第2の凝縮液相生成物流(61)が形成される。] [0121] 第2の凝縮システム(60)は第2の冷却装置(61)及び、任意的に、第2の冷却装置(61)からの凝縮物を集積するための、第2の冷却装置(61)に接続された第2のリザーバー(62)を含む。第2のリザーバーは、第2の冷却装置によって生じた液体と蒸気との分離を増進するための気液分離器としての役割をすることもできる。] [0122] 第2の冷却装置(61)は、蒸気相流出物流(57)を、第2の蒸気相流出物流の第2の温度よりも低い、好ましくは第2の凝縮システム(60)の操作圧力における水の露点よりも低い第3の温度まで冷却するのに適当である。第2の冷却装置(61)は好ましくは非断熱冷却装置である。] [0123] 第2の冷却装置(61)は好ましくは1つ又はそれ以上の凝縮器である。凝縮器は、好ましくは前記第3の温度又はそれ以下の温度を有する、水性液相又はグリコール液相のような流体冷却媒体を通流させるための熱伝導性材料から作られた1つ又はそれ以上の冷却剤流路を含む。任意的な第2リザーバー(62)は、好ましくは冷却装置(61)の1つ又はそれ以上の凝縮器からの凝縮物を受けるように適合される。] [0124] 任意的な一態様において、第2の冷却装置(61)は第1の冷却装置(51)に接続されて、水のような流体冷却媒体が第2の冷却装置(61)から第1の冷却装置(51)に通流され、その結果、第2の非断熱冷却装置(61)によって加熱された流体冷却媒体が第1の冷却装置(51)において流体冷却媒体として使用されて、冷却媒体の必要性が減少する。] [0125] 第2の凝縮液相生成物流(63)は第2の生成物流(63)として第2の冷却装置(61)から貯蔵容器、別のリザーバー又は更なる処理のための反応容器に通流される。一態様において、第2の凝縮液相生成物流(63)は、DCHをエピクロロヒドリンに転化させるのに適当な脱塩化水素化反応容器に直接的又は間接的に通流される。脱塩化水素化反応容器は、好ましくは水(好ましくは液体状態)の存在下でDCHを塩基、例えばアルカリ金属水酸化物(例えば水酸化ナトリウム)又はアルカリ土類金属水酸化物若しくは炭酸塩(例えば水酸化カルシウム)と接触させるのに適当である。] [0126] 脱塩化水素化反応容器は、第1の液相生成物流(54,56)によって第1の凝縮システム(50)に接続されることができる脱塩化水素化反応容器と同じ脱塩化水素化反応容器であることができ、好ましくはそうである。] [0127] 第2の冷却装置(61)は好ましくは第2のリザーバー(62)に接続されて、第2の凝縮液相生成物流(63)が第2の冷却装置(61)から第2のリザーバー(62)に通流される。第2のリザーバー(62)は、第2の液相生成物流(65)の流量を第2の凝縮液相生成物流(63)の流量の変動から分断させる手段を提供して、第2の凝縮液相生成物流(65)が反応器のような次の単位操作に、第1のリザーバー(52)の機能と類似した方法で、凝縮液相流出物流(63)の流量に比較して制御された又は一定の速度で導入される。] [0128] 第3の蒸気相流出物流(64)は、塩素化剤(例えば塩化水素ガス及び/又は塩酸)の除去及び/又は循還のために、第2の冷却装置(61)から別の単位操作、例えば気液接触装置(例えばスクラバー)に通流させることができる。] [0129] DCHを製造するための本発明の装置の第2の態様を図2に示し、数字(20)で一般的に示す。図2に示した装置の態様は、装置(20)においては第2の凝縮システム(60)が液液相分離器(66)に接続される以外は、図1と同じである。液液相分離装置(66)は、液体水性相(68)を液体有機相(67)から分離する。液液相分離器(66)は、例えばデカンターであることができる。] 図1 図2 [0130] 液液相分離器(66)からの液体有機相流出物流(67)は、貯蔵するか又は別の単位操作、例えば脱塩化水素化反応器に通流させることができ、且つ/或いは液相生成物流(56)に関して前述したように貯蔵若しくは更なる処理のために液相生成物流(56)と合することができる。] [0131] 液液相分離器(66)からの液体水性相流出物流(68)は下流の脱塩化水素化反応器中で使用して、分離された水相中に残留するDCH(類)を回収及び転化すること、並びにDCHとアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属塩基との反応によって生成された塩化物塩(例えばアルカリ金属塩化物塩(類)若しくはアルカリ土類金属塩化物塩(類))を液体中でそれらの飽和限界未満に保持して塩類の沈殿を防ぐために前記脱塩化水素化反応器にプロセス水を供給することができる。] [0132] 図2の残りの部分は、装置の構成要素及び流れの定義を含めて、図1の場合と実質的に同じである。] 図1 図2 [0133] 図1及び2のいずれにおいても、蒸気相流(64)は、好ましくは装置内の蒸気相の圧力を大気圧未満に低下させるために、下流の真空発生装置(図示せず)に直接的又は間接的に接続される。真空発生装置は、好ましくは前述のスクラバーとして使用される前述の気液接触装置のような、塩素化剤を除去するための任意の単位操作の下流である。] 図1 [0134] 前記装置の構成要素が腐蝕性材料に暴露される限り、このような構成要素は、好ましくはプロセス成分による腐蝕に対して抵抗性の材料から製造される。Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,2ndEdition(John Wiley and Sons,1966),volume 11,pages 323-327は、塩酸及び塩化水素供給に使用できる金属及び非金属の耐蝕性に関する広範囲にわたる解説を示している。適当な材料の具体例は、WO2006/020234に開示されている。具体例としては、タンタルのような金属、適当な金属合金(特にニッケル−モリブデン合金、例えばHastalloy C(登録商標))、又はガラス内張装置、プラスチック内張装置若しくはグラファイト装置が挙げられる。] [0135] 以下の実施例は、説明のためのみに記載するのであって、本発明の範囲を限定することを目的としない。] [0136] 実施例中で使用する装置 実施例1 2つの充填床区画を含む、6mmセラミックインターロック(Intalox)サドルが充填されたガラス蒸留カラムを用いて、蒸留を実施する。カラムへの供給は、2つの充填床区画の間で行われる。カラムは、ガラスリボイラーと、カラムから出た蒸気流を冷却するための、直列の2つの分縮器(これもガラス製である)を具備する。第1の凝縮器はカラムのすぐ上部に配置され、冷却されたグリコールで冷却される。第1の凝縮器からの凝縮物の一部は、還流としてカラムに戻され、残りの凝縮物は生成物として収集される。] [0137] 第1の凝縮器からの非凝縮蒸気は、より低温で操作され且つ冷却されたグリコールで冷却される第2の凝縮器中で凝縮される。第2の凝縮器から出た非凝縮蒸気は、一組の冷却トラップを通ってから、システム全体に真空をもたらす真空ポンプに入る。第2の凝縮器からの第2の凝縮液相流出物は液液分離器に入る。この実施例において用いるプロセス条件下では、ごく少量の液体有機相が、実質的に水性の第2の凝縮液相流出物から分離されることがある。] [0138] この実施例においては、DCH回収プロセスを、本発明に従って、下記表Iに示す蒸留カラムプロセス条件に基づいて実施する:] [0139] ] [0140] 蒸留データを表IIに示す。] [0141] ] [0142] 表II単独及び以後の表において、 「供給材料」は図1の流れ(34)を意味し; 「第1の凝縮器生成物」は図1の流れ(56)を意味し; 「第2の凝縮器生成物」は図1の流れ(63)を意味し; 「ベント」は図1の第3の蒸気相流(64)を意味し; 「塔底液」は図1の蒸留残留物流(44)を意味し; ハイフン(「−」)は重量%値が0.01未満であることを示す。] 図1 [0143] 前記表IIは、ジクロロヒドリン類を含む蒸留カラムへの供給流が、主にジクロロヒドリン類を含む上部生成物流と、供給流中のより重質の成分、例えばMCH、グリセロール及び他の成分(触媒及びそのエステル類、エーテル類及びしばしば重質分と称する、より高分子量の化合物を含む)を含む底部生成物流とに分離されることを示している。第1の凝縮器からの第1の生成物流は、前記例中に示されるように主にDCH類を含み、第2の凝縮器からの第2の生成物流は高含水水性流である。前記表IIに示した測定値は、相対誤差約+/−3%の実験測定誤差内である。] [0144] 実施例2 2つの充填床区画を含む、グラファイト充填物が充填されたガラス内張蒸留カラムを用いて、蒸留を実施する。カラムへの供給は、2つの充填床区画の間で行われる。カラムは、リボイラーと、カラムから出た蒸気流を冷却するための、直列の2つの分縮器(グラファイト製)を具備する。第1の凝縮器は冷却用水で冷却される。第1の凝縮器からの凝縮物の一部は、還流としてカラムに戻され、残りの凝縮物は生成物として収集される。] [0145] 第1の凝縮器からの非凝縮蒸気は、より低温で操作され且つ冷却されたグリコールで冷却される第2の凝縮器中で凝縮される。第2の凝縮器から出た非凝縮蒸気は、システム全体に真空をもたらすスチームエジェクター真空ポンプに送られる。第2の凝縮器からの第2の凝縮液相流出物は生成物として中間容器中に収集される。前記表IIに示した測定値は相対誤差約+/−5%の実験測定誤差内である。] [0146] 下記表IIIは装置中における主要な操作条件の一部を示す:] [0147] ] [0148] 蒸留データを表IVに示す。] [0149] ] [0150] 前記表IVは、ジクロロヒドリン類を含む蒸留カラムへの供給流が、主にジクロロヒドリン類を含む上部生成物流と、供給流中のより重質の成分、例えばMCH類、グリセロール及び他の成分(触媒及びそのエステル類、エーテル類及びしばしば重質分と称する、より高分子量の化合物を含む)を含む底部生成物流とに分離されることを示している。第1の凝縮器からの第1の生成物流は、前記例中に示されるように95重量%超のDCH類を含み、第2の凝縮器からの第2の生成物流は高濃度のDCH類と水の両方を含む。] [0151] 実施例3 この例は、市販のソフトウェア並びに主成分の物理的性質及び熱力学的モデルを用いた本発明の方法のコンピューター・シミュレーションに基づく。表Vは装置の主要なプロセス条件を示し、表VIは供給流及び生成物流に関する質量流量及び組成を示す。] [0152] ] [0153] コンピューターモデルによって作成された蒸留結果を表VIに示す。] [0154] ] 実施例 [0155] 表VIの結果(コンピューター・シミュレーションによる)は、表IVに示した実験による結果と同様である。表VIにおける第1の凝縮器からの第1の生成物流は、99重量%超のジクロロヒドリン類を含む。]
权利要求:
請求項1 ジクロロヒドリン(類)、水、モノクロロヒドリン(類)、クロロヒドリン(類)のエステル(類)並びにマルチヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物(類)及び/又はそのエステル(類)から選ばれた、1種若しくはそれ以上の化合物並びに、任意的に、塩素化剤(類)、触媒(類)、触媒(類)のエステル(類)及び/又は重質副生成物を含む1種若しくはそれ以上の物質を含む混合物からジクロロヒドリン(類)を回収する方法であって、(a)前記混合物を還流条件下で蒸留又は分留して、当該混合物から少なくとも1種のジクロロヒドリン(類)及び水を含む、第1の温度を有する第1の蒸気相流出物流を分離させ;(b)工程(a)の第1の蒸気相流出物流を工程(a)の前記第1の温度より低い第2の温度まで非断熱的に冷却することによって工程(a)の第1の蒸気相流出物流のフラクションを凝縮させて、第1の凝縮液相流出物流及び第2の温度を有する第2の蒸気相流出物流を生成させ;(c)工程(b)の第1の凝縮液相流を第1のフラクションと第2のフラクションとに分離させ;(d)工程(c)の第1のフラクションを、工程(a)の還流として工程(a)に循還させ;そして(e)工程(b)の第2の蒸気相流出物流を、第2の蒸気相流出物流の第2の温度よりも低い第3の温度まで非断熱的に冷却することによって少なくとも工程(b)の第2の蒸気相流出物流のフラクションを凝縮させて、第2の凝縮液相流出物流及び、任意的に、第3の温度を有する第3の蒸気相流出物流を生成させることを含んでなり、工程(b)の第2の温度を、50重量%超のジクロロヒドリンを含む第1の凝縮液相流出物流を生成するように選択する方法。 請求項2 前記第1の凝縮液相流出物流が主に有機液相であり、且つ前記第1の凝縮液相流出物流が70重量%超のジクロロヒドリンを含む請求項1に記載の方法。 請求項3 [工程(a)への還流として工程(a)に循還される第1の凝縮液相流出物流の第1のフラクションの質量流量]対[工程(b)において凝縮される第1の凝縮液相流出物流すべての質量流量]の比が0.1:1〜0.8:1の範囲である請求項1に記載の方法。 請求項4 第1の凝縮液相流出物流を工程(d)に従って工程(a)に循還させる前に、前記第1の凝縮液相流出物流を集積させるか、又は工程(c)の前に、第1の凝縮液相流出物流を集積させる請求項1に記載の方法。 請求項5 前記第2の温度が、工程(b)の圧力における水の露点よりも少なくとも1℃高い請求項1に記載の方法。 請求項6 [工程(b)において第1の蒸気相流出物流が凝縮される質量流量]対[工程(e)において第2の蒸気相流出物流が凝縮される質量流量]の比が1:1〜100:1の範囲である請求項1に記載の方法。 請求項7 前記ジクロロヒドリン(類)が1,3−ジクロロ−2−プロパノール及び/又は2,3−ジクロロ−1−プロパノールを含む請求項1に記載の方法。 請求項8 少なくとも1種のモノクロロヒドリン(類)が、工程(a)において蒸留又は分留される混合物中に存在し且つ前記モノクロロヒドリン(類)が2−クロロ−1,3−プロパンジオール及び/又は3−クロロ−1,2−プロパンジオールを含み;クロロヒドリン(類)のエステル(類)が、工程(a)において蒸留又は分留される混合物中に存在し且つクロロヒドリン(類)のエステル(類)が、1,3−ジクロロ−2−プロパノール、2,3−ジクロロ−1−プロパノール、2−クロロ−1,3−プロパンジオール及び/又は3−クロロ−1,2−プロパンジオールの1種又はそれ以上のエステル(類)を含み;少なくとも1種のマルチヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物及び/又はそのエステルが、工程(a)において蒸留又は分留される混合物中に存在し且つ前記マルチヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物(類)及び/又はそのエステル(類)がグリセリン及び/又はそのエステル(類)を含む請求項1に記載の方法。 請求項9 工程(a)を0.1〜100kPaの範囲の圧力において実施する請求項1に記載の方法。 請求項10 工程(c)において生成された第1の凝縮液相流出物流の第2のフラクションを、第1の凝縮液相流出物流の第2のフラクションとアルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物を接触させることよってエポキシ化に供して、エピクロロヒドリン及び塩化物塩(類)を形成させるか;或いは第1の凝縮液相流出物流の第2のフラクションを、工程(c)後に更なる精製を行わずに、アルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物と接触させる請求項1に記載の方法。 請求項11 前記方法が、工程(e)において生成された第2の凝縮液相流出物流と、工程(c)において生成された第1の凝縮液相流出物流の第2のフラクションとを合して、混合流出物流を生成させ、且つ前記混合流出物流をアルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物と接触させてエピクロロヒドリン及び塩化物塩(類)を形成させることを含む請求項1に記載の方法。 請求項12 前記第2の凝縮液相流出物流が有機相及び水性相を含み且つ前記方法が第2の凝縮液相流出物流を液体有機相流出物流と液体有機相流出物流から分離された液体水性相流出物流とに分離させ;前記第2の凝縮液相流出物流から分離された前記液体有機相流出物流を、前記液体有機相流出物流をアルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物と接触させることによってエポキシ化に供して、エピクロロヒドリン及び塩化物塩(類)を形成し:或いは前記方法が、第2の凝縮液相流出物流から分離された液体有機相流出物流を第1の凝縮液相流出物流の第2のフラクションと合して、混合液体有機相流出物流を形成し、そして混合液体有機相流出物流を、混合液体有機相流出物流とアルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物を接触させることによってエポキシ化に供して、エピクロロヒドリン及び塩化物塩(類)を形成することを含む請求項1に記載の方法。 請求項13 工程(a)において蒸留又は分留される混合物が、モノクロロヒドリン(類)及び/もしくはそのエステル(類)並びに/又はマルチヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物(類)及び/もしくはそのエステル(類)の、塩素化剤による塩化水素化によって生成されるか、或いはそれに由来する請求項1に記載の方法。 請求項14 前記塩化水素化工程が液相において実施され、且つ工程(a)に供給される混合物が塩化水素化工程の液相を含む請求項13に記載の方法。 請求項15 前記方法の工程の全てを互いに同時に実施し、且つ前記方法を連続的に実施する請求項13に記載の方法。 請求項16 工程(a)による蒸留及び/又は分留の間に生成された蒸留/分留混合物の液体残留物を塩化水素化工程に循還させる請求項13に記載の方法。 請求項17 塩化水素化の間に生成されたジクロロヒドリン(類)の少なくとも95%を回収する請求項13に記載の方法。 請求項18 マルチヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物(類)及び/又はそのエステル(類)からジクロロヒドリン(類)を製造するのに適した装置であって、(1)マルチヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物(類)及び/又はそのエステル(類)の塩化水素化を実施するのに適した、直列又は並列に接続された1つ又はそれ以上の反応器を含む反応器システム(30);(2)反応器システム(30)から得られる反応器流出物流の蒸留に適した少なくとも1つの気液接触装置(41)及び、任意的に、少なくとも1つのフラッシュ容器を含む分離システム;(3)第1の冷却装置(51)及び、任意的に、前記冷却装置(51)に接続された、前記第1の冷却装置(51)からの凝縮物を集積するための第1のリザーバー(52)を含む第1の凝縮システム;更に(4)第2の冷却装置(61)並びに、任意的に、(a)前記第2の冷却装置(61)に接続された、前記第2の冷却装置(61)からの凝縮物を集積するための第2のリザーバー(62)を含む第2の凝縮システム及び/又は(b)前記第2の冷却装置(61)に接続された、水性成分及び有機成分を含む液相を、水性相と前記水性相から分離した有機相とに分離させる液液相分離装置(66)を含む第2の凝縮システムを含んでなり、前記少なくとも1つの反応器システム(30)が前記分離システム(40)に接続されることによって反応器流出物流(34)が前記反応器システム(30)から前記分離システム(40)に通流されて、反応器流出物流(34)が蒸留及び/又は分留され;前記分離システム(40)が前記第1の凝縮システム(50)に接続されて、第1の蒸気相蒸留及び/又は分留流出物流(47)が前記分離システム(40)から前記第1の凝縮システム(50)に通流され;前記第1の凝縮システム(50)が前記第2の凝縮システム(60)に接続されて、第2の蒸気相流出物流(57)が前記第1の凝縮システム(50)から前記第2の凝縮システム(60)に通流され;前記第1の凝縮システム(50)が前記分離システム(40)に接続されて、第1の凝縮液相流出物流(53)のフラクション(54,55)が前記第1の凝縮システム(50)から前記分離システム(40)に通流される装置。 請求項19 前記第1の凝縮システム(50)の第1の冷却装置(51)が、前記分離装置(40)の少なくとも1つの気液接触装置(41)の上部に配置されるか、又は第1の冷却装置(51)が少なくとも1つの気液接触装置(41)の一体部分である請求項18に記載の装置。 請求項20 前記気液接触装置(40)中の圧力を大気圧未満に低下させるために、前記の少なくとも1つの気液接触装置(41)に直接的又は間接的に真空を適用する手段を更に含み、且つ前記真空適用手段が前記の第2の凝縮システム(60)の下流に配置される請求項18に記載の装置。 請求項21 前記の少なくとも1つの気液接触装置(41)が充填蒸留カラムであるか、又は前記の少なくとも1つの気液接触装置(41)が、還流条件下で分別蒸留を実施するのに適した蒸留カラムである請求項18に記載の装置。 請求項22 前記の少なくとも1つの気液接触装置(41)が反応器システム(30)に接続されて、循還流(44,45)が少なくとも1つの気液接触装置(41)の下端(41)から反応器システム(30)に通流される請求項18に記載の装置。 請求項23 前記反応器システム(30)の1つ又はそれ以上の反応器がプラグフロー型反応器を含む請求項18に記載の装置。 請求項24 前記第1の凝縮システム(50)が脱塩化水素化の実施に適した第2の反応器に接続されて、第1の凝縮液相流出物流が第1の凝縮システム(50)から前記第2の反応器に通流され;前記第2の凝縮システム(60)が脱塩化水素化の実施に適した前記第2の反応器に接続されて、第2の凝縮液相流出物流が第2の凝縮システム(60)から前記第2の反応器に通流され;前記第2の凝縮システム(60)が、液体有機相から液体水性相を分離させる液液相分離装置(66)を含み且つ前記第2の凝縮システム(60)の第2の冷却装置(61)が前記液液相分離装置(66)に接続されて、凝縮された液相が前記第2の冷却装置(61)から前記液液相分離装置(66)に通流され;前記液液相分離装置(66)が脱塩化水素化の実施に適した前記第2の反応器に接続されて、有機液相流出物流及び/又は水性液相流出物流が前記液液相分離装置(66)から前記第2の反応器に通流される請求項21に記載の装置。
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