专利摘要:
NEMOタンパク質のCC2−LZドメインの結晶であって、その三次元構造が解像度約3.25ÅでのX線回折により決定されている。本発明は、また、CC2−LZドメインのための結晶化方法に関する。CC2−LZ結晶及びまたそれらの結晶構造に由来する情報を使用して、CC2−LZとの相互作用に入る化合物を同定及びデザインする。
公开号:JP2011516405A
申请号:JP2010545522
申请日:2009-02-05
公开日:2011-05-26
发明作者:アグ,ファブリス;ヴェロ,ミシェル;カミンスカ,モニカ・ドロタ;グルビシャ,オリヴェラ;コルディア,フローレンス;シャラヴァリ,ジャンヌ;デュケロイ,ステファン;フォンタン,エリザベス
申请人:インスティチュート・パスツールInstitut Pasteur;レ ラボラトワール セルヴィエ;
IPC主号:C07K1-32
专利说明:

[0001] 本発明は、構造データをX線回折結晶学により得ることを可能にするために十分なサイズ及び質のNEMOのCC2−LZドメインの結晶に関する。]
[0002] 本発明は、特に、NF−κBシグナル伝達経路を調節する化合物を同定、モデル化、及びデザインする際でのNEMOのCC2−LZドメインの結晶学的データ及び三次元構造の使用に関する。]
[0003] NF−κB経路は、種々の細胞外刺激、例えば細菌のLPSなど、炎症性サイトカイン、例えばIL−1及びTNFαなどに反応して活性化される(M. S. Hayden and S. Ghosh, Signaling to NF-kappaB, Genes Dev 18 (2004), no.18, 2195-2224)。シグナルは、一般的に、細胞受容体からIKK複合体(NF−κBシグナル伝達経路の中枢的な調節因子)に伝達される。IKK複合体は、2つのキナーゼ(IKKα及びIKKβ)、及び調節タンパク質NEMO(NF−κBの必須修飾因子)で構成される(S. Yamaoka et al., Complementation cloning of NEMO, a component of the IkappaB kinase complex essential for NF-kappaB activation, Cell 93 (1998), no. 7, 1231-1240)。NEMOは、種々の刺激から来るシグナルを統合する際、及び、IKK複合体の活性化をもたらす際に決定的な役割を果たす。]
[0004] NEMOタンパク質は、そのN末端部分のIKK複合体結合ドメイン及びそのC末端部分のオリゴマー化ドメインで構成される(図1)。マウス(配列番号1)及びヒト(配列番号2)NEMOタンパク質は、特定ドメインCC2の直ぐ上流のヒトタンパク質における7個のアミノ酸の挿入を除き、高度の配列相同性を有することに注目すべきである。] 図1
[0005] IKK複合体の活性化は、NEMOタンパク質が、IKKKキナーゼを介したトランス活性化により、又は、IKKキナーゼの二量体化を介したトランス自己活性化によりオリゴマー化する能力と関連する機構を経由して進む。]
[0006] 現在、NEMOを介したIKK複合体の活性化の機構は、完全には解明されていないが、多数の報告において、オリゴマー化、及び最小CC2−LZドメインを含むK−63ポリユビキチンへの結合が必須の役割を果たすことが示されている(J. L. Poyet et al., Activation of the IkappaB kinases byRIP via Ikkgamma/NEMO-mediated oligomerization, J Biol Chem 275 (2000), no.48, 37966-37977)(F. Agou et al., Inhibition of NF-kappab activation by peptides targeting NF-kappaB essential modulator (NEMO) oligomerization, J Biol Chem 279 (2004), no.52, 54248-54257)(C. K. Ea et al., Activation of IKK by TNFalpha requires site-specific ubiquitination of RIP1 and polyubiquitin binding by NEMO, Mol Cell 22 (2006), no.2, 245-257)(C. J. Wu, et al., Sensing of lys 63-linked polyubiquitination by NEMO is a key event in NF-kappaB activation, Nat Cell Biol 8 (2006), no.4, 398-406)。NEMOのオリゴマー化又はK−63ポリユビキチン鎖(polyUb K 63)への結合を破壊するCC2−LZ中に位置する全ての突然変異によって、サイトカインによる刺激に続くIKK活性が阻害される(E. Vinolo et al., A point mutation in NEMO associated with anhidrotic ectodermal dysplasia with immunodeficiency pathology results in destabilization of the oligomer and reduces lipopolysaccharide- and tumour necrosis factor-mediated NF-kappaB activation, J Biol Chem 281 (2006), no.10, 6334-6348)。]
[0007] NEMOの最小オリゴマー化ドメインCC2−LZ(マウスにおけるaa 251−337、ヒトにおけるaa 258−344)は、2つの連続モチーフ、コイルドコイルモチーフCC2(マウスにおけるaa 251−290、ヒトにおけるaa 258−297)及びロイシンジッパーモチーフLZ(マウスにおけるaa 293−337、ヒトにおけるaa 300−344)で構成される。1つ又は2つのアミノ酸のバリエーションが、CC2及びLZ構造の予測のために使用されるソフトウェアに依存して、CC2−LZドメインの末端で見ることができる。ひとたび活性化されると、IKK複合体はIκBタンパク質をリン酸化し、それにより、26Sプロテアソームによる後者の分解が誘発され、次に、NF−κB転写因子を遊離させ、それはIκBタンパク質により細胞質中に捕捉される。NF−κB転写因子は、次に、核中に移動し、炎症、免疫、アポトーシス、及び細胞生存に関与する遺伝子の発現を調節する。NF−κB経路の構成的活性化は、発癌に関与する。]
[0008] それは、種々の固形腫瘍及び白血病ならびに自己免疫疾患及び炎症性疾患においても観察されている(D. S. Basseres and A. S. Baldwin, Nuclear factor-kappaB and inhibitor of kappaB kinase pathways in oncogenic initiation and progression, Oncogene 25 (2006), no.51, 6817-6830)(M. S. Hayden et al., NF-kappaB and the immune response, Oncogene 25 (2006), no.51, 6758-6780)(J. Inoue et al., NF-kappaB activation in development and progression of cancer, Cancer Sci 98 (2007), no.3, 268-274)。従って、IKK複合体は、抗炎症化合物及び抗腫瘍化合物の開発のための、重要な目的となる標的と考えられてきた(M. A. Calzado et al., NF-kappaB inhibitors for the treatment of inflammatory diseases and cancer, Curr Med Chem 14 (2007), no.3, 367-376)(T. D. Gilmore and M. Herscovitch, Inhibitors of NF-kappaB signaling: 785 and counting, Oncogene 25 (2006), no.51, 6887-6899)(F. D’Acquisto et al., Inhibition of nuclear factor kappa B (NF-kB): An emerging theme in anti-inflammatory therapies, Mol Interv 2 (2002), no.1, 22-35)。キナーゼよりむしろNEMOを標的とする化合物をデザインすることによって、刺激依存性IKK活性を選択的に抑制し、それにより化合物の細胞毒性を低下させることが可能になる。]
[0009] NF−κBシグナル伝達経路の調節の基礎となる機構を解明する努力において、IKK複合体の、及び特に調節タンパク質NEMOの結晶構造が研究されている。三次元構造の知識は、さらに、実際のスクリーニングに起因するリガンドとの相互作用部位を立証する際に必須の利点となる。三次元構造は、また、仮想スクリーニング又はインシリコモデル化アプローチにおける情報の供給源である。NEMOの結晶化プロセスが研究されてきたが、成功していない(D.Gopaul et al., M. Delepierre及びF. Cordier(未発表))。特に、ジンクフィンガーモチーフ(NEMOのaa 251−412)を持つ又はそのモチーフ(NEMOのaa 251−388)を伴わないCC2−LZドメインの結晶化での無駄な試みが言及されうる。従って、NEMOタンパク質及び特にCC2−LZドメインの結晶を得ることを目指したそのような研究は、これまで不成功であった。]
[0010] 本発明は、従って、NEMOタンパク質のCC2−LZドメインの結晶化を得るための新たな戦略を提案することを目的とする。この代替戦略は、NEMOの最小オリゴマー化ドメインの硬性を増加させることに基づく。結晶構造は、解像度3.25Åを使用したX線回折による結晶学により解析された。続いて、結晶構造は、解像度2.9Åを使用したX線回折による結晶学により解析された。]
[0011] 本発明は、また、CC2−LZドメインの結晶化の方法に関する。CC2−LZ結晶及びそれに由来する情報は、CC2−LZとの相互作用に入る化合物を同定及びデザインする目的のために分析することができる。]
[0012] 本発明は、従って、哺乳動物NEMOのCC2−LZドメインの結晶、アミノ酸配列(配列番号3)を有するそのCC2−LZペプチドドメイン、及び該アミノ酸配列に由来するそのペプチド変異体に関する。]
[0013] 本発明に関連して、「結晶」、「CC2−LZドメインの結晶」、「CC2−LZ複合体の結晶」、及び「CC2−LZドメインの共結晶」という用語は、区別なしに使用され、少なくとも2つの別々の成分を含む複合体の結晶を指し、本発明の結晶の1つの成分がCC2−LZドメイン又はその変異体の1つである。]
[0014] 本発明は、また、哺乳動物NEMOのCC2−LZドメインの複合体の結晶、アミノ酸配列(配列番号4)を有するそのCC2−LZペプチドドメイン、及び該アミノ酸配列に由来するそのペプチド変異体に関する。]
[0015] 「アミノ酸配列」は、天然状況から単離されるペプチド配列として理解すべきである。それは、特に、単離され、化学合成され、及び/又は精製され、恐らくは遺伝子工学により改変された配列を含む。「変異体」は、前文に記載されるペプチドのアミノ酸配列を意味すると理解され、保存置換又は保存点突然変異を含み、配列(配列番号3及び配列番号4)によりそれぞれコード化されるペプチドと実質的に同じ特性、又は、即ち、オリゴマー化して、K−63ポリユビキチンに結合する能力を有する。]
[0016] 本発明は、さらに、哺乳動物NEMOのCC2−LZドメインの複合体の結晶に関し、その単位格子パラメーターは以下の通りである:
− a=b=63.5±5Å;
− c=437.5±5Å;及び
− α=β=γ=90°;
及び、結晶は空間群P43212を有する。]
[0017] 本発明に関連する共通の理解に従い、「単位格子パラメーター」という表現は、結晶の単位格子のパラメーターa、b、及びcを示し、同一平面上の基底ベクトルの長さ(a、b、c)及びベクトルの間に形成される角α、β、及びγ(a、b、c)に対応する。角αはベクトルbとcの間の角であり、βはベクトルaとcの間の角であり、γはベクトルaとcの間の角である。単位格子は、ベクトル(a、b、c)により構築される平行6面体であると理解される。]
[0018] 結晶を実質的に不変のままにし、結晶が有限モチーフの反復により形成される無限オブジェクトである対照操作は群である。結晶が三次元である場合、これらは「空間群」と称される。]
[0019] 本発明のCC2−LZドメインの複合体の結晶が、天然CC2−LZドメインに限定されないことを理解すべきである。本発明の複合体の結晶は、実際に、天然CC2−LZの突然変異体を含む。そのような突然変異体は、天然CC2−LZのポリペプチド配列における少なくとも1つのアミノ酸の付加、欠失、又は置換により得られ、天然CC2−LZドメインの三次元構造と実質的に同じ三次元構造を有する。「実質的に同じ三次元構造を有する」とは、5Å、好ましくは2Å未満又はそれと等しい平均偏差を有する結晶から得られる一組の原子構造座標を有すること(それらを突然変異体が由来した天然CC2−LZの原子構造座標に重ね合わせた場合、天然CC2−LZのアルファ炭素原子の少なくとも50%〜約100%が重ね合わせに含まれる場合)を意味すると理解される。]
[0020] 本発明は、好ましくは、哺乳動物NEMOのCC2−LZドメイン、及びCC2−LZドメインと形成される複合体を安定化することが可能である少なくとも1つのアンキリン又はその断片を含む共結晶に関し、その単位格子パラメーターは以下の通りである:
− a=b=63.5±5Å;
− c=437.5±5Å;及び
− α=β=γ=90;
及び、その共結晶は空間群P43212を有する。]
[0021] 「アンキリン」は、多数のタンパク質間相互作用に関与する種々のサイズの調節タンパク質を指すと理解される。アンキリンは遺伝的に保存されたタンパク質である。なぜなら、それらは細菌、植物、真菌、及び動物において見出され、それらの構造は約33のアミノ酸の反復構造単位に基づくからである。本発明の「アンキリン断片」は、NEMOのCC2−LZドメインと形成される複合体に結合し、それを安定化することが可能である。]
[0022] 本発明は、好ましくは、哺乳動物NEMOタンパク質のCC2−LZドメイン及びアンキリン1D5(配列番号5)の結晶に関する。本発明は、また、哺乳動物NEMOタンパク質のCC2−LZドメイン及びアンキリン2A1又は2F6の結晶(Wyler et al., Inhibition of NF-kappaB activation with designed ankyrin-repeat proteins targeting the ubiquitin-binding/oligomerization domain of NEMO, Protein Sci 16 (2007), no.9, 2013-2022により記載される)に関する。]
[0023] 結晶生成を促進させるために、CC2−LZドメインは、実際に、アンキリン1D5と複合体を形成し、それは強い親和性でCC2−LZに結合し、ペプチドドメインを硬直化させる。アンキリン1D5と複合体を形成したCC2−LZの結晶から得られる回折プロファイルを使用して、分子置換によりCC2−LZの三次元構造を決定する。アンキリン又はアンキリン断片は、より具体的にはそれを安定化させるために、好ましくは、CC2−LZドメインのLZモチーフと複合体を形成する。LZモチーフは、実際に、CC2−LZドメインのCC2モチーフよりも柔軟で、熱力学的に不安定である。]
[0024] NEMOのCC2−LZドメインとアンキリンタンパク質との共結晶は、以下の工程:
− 少なくとも1つのアンキリン又はアンキリン断片及びCC2−LZドメインのインキュベーション;
−蒸気拡散により結晶を成長させることによるアンキリン又はアンキリン断片/CC2−LZタンパク質複合体の共結晶化;
を含む結晶化方法により得ることができる。
好ましい実施態様において、CC2−LZ結晶化方法は、実施例1に記載される方法に対応する。]
[0025] 本発明は、好ましくは、NEMOのCC2−LZドメインの複合体の結晶、又は、表1に記載される結晶学的配置を有するCC2−LZの共結晶に関する。]
[0026] 好ましくは、本発明のCC2−LZドメインの結晶及び共結晶は、各々の場合において、X線回折により得られるそれらの三次元構造により定義され、それを図2及び3において示す。] 図2
[0027] CC2−LZの三次元構造は、互いに会合してコイルドコイル構造を形成する2つの並行αヘリックスで構成される伸長した二量体を形成する(図2)(図3)。CC2−LZ二量体は、2つのアンキリン1D5分子と相互作用し、各々のアンキリンが2つのLZ鎖上のαヘリックスとの接触を形成する。CC2モチーフとLZモチーフの間に位置する3つ残基(aa 291−293、マウスナンバリング)は、疑似コイルドコイルを形成する。K−63ポリユビキチン鎖への結合ドメインは、Ea et al.において記載されており、CC2のC末端領域及びLZのN末端領域に対応する67のアミノ酸(259−325ヒトナンバリング、252−318マウスナンバリング)で構成される。三次元構造から、定方向突然変異誘発から、及びCC2−LZ配列アラインメントから得られた相互参照データにより、ユビキチンへの結合部位を形成する領域が、NEMOのマウスポリペプチド配列中のアミノ酸293と323の間(aa 300−330ヒトナンバリング)として決定された。] 図2 図3
[0028] 本発明のCC2−LZ結晶及び共結晶の三次元構造は、以下の工程:
− CC2−LZタンパク質の結晶又は共結晶を得ること;
−X線への結晶の暴露;
− X線回折データの回収;
− 結晶の電子密度マップを算出するためのデータの使用;
− 電子密度マップから開始するモデルの構築及び精密化
を含む方法により得られる。]
[0029] 有利に、CC2−LZの三次元構造を決定する方法は、実施例1において記載する方法に対応する。]
[0030] 本発明は、また、一方で、突然変異Ala316Pro(A316P)及び/又は突然変異Phe305Ala(F305A)を含むマウスCC2−LZタンパク質の結晶に、及び、他方で、突然変異Ala323Pro(A323P)及び/又は突然変異Phe312Ala(F312A)を同様に含むヒトCC2−LZタンパク質の結晶に関する。]
[0031] ヒトCC2−LZタンパク質における定方向突然変異誘発により得られる種々の突然変異を図4において示す。突然変異Glu296Ala(E296A、マウスにおける位置289)は、CC2のC末端に位置付けられ、ユビキチンとの相互作用部位の外側である(位置aa 259−325、ヒトナンバリング、及びaa 252−318、マウスナンバリング)。突然変異Phe312Ala(F312A、マウスにおける位置305)及びGlu315Ala(E315A、マウスにおける位置308)は、ユビキチンへの結合部位内に位置付けられる。突然変異Glu315Ala及びAla323Pro(A323P、マウスにおける位置316)は、2つのヒトの病理、免疫不全を伴う無汗性外胚葉形成不全症(AED−ID)(R. Doffinger et al., Genetic heterogeneity of mendelian susceptibility to mycobacterial infection, Microbes Infect 2 (2000), no.13, 1553-1557)及び色素失調症(IP)(A. Smahi et al., Genomic rearrangement in nemo impairs NF-kappaB activation and is a cause of incontinentia pigmenti.The international incontinentia pigmenti (IP) consortium, Nature 405 (2000), no.6785, 466-472)にそれぞれ関与する。二重突然変異Leu329Ala Leu336Ala(L329A L336A、マウスにおけるそれぞれ位置322及び329)は、CC2−LZのロイシンジッパードメイン中に位置付けられる。] 図4
[0032] 炎症性サイトカインTNF−αに応答してNF−κB経路の活性化を回復する際の野生型NEMOタンパク質及び上で定義する突然変異NEMOタンパク質の能力を、図5において比較及び例証する。その目的のために、NEMO欠損マウス胚線維芽細胞(MEF)を、一方ではIgκルシフェラーゼレポーター遺伝子をコードするプラスミド、及び他方では種々のタンパク質をコードするプラスミドを一過性にコトランスフェクトし、次にTNFαで24時間刺激する。野生型タンパク質によってNF−κB経路が完全に回復されるのに対し、NF−κB経路のTNFα依存的活性化は、突然変異タンパク質により異なる程度で影響を受ける。突然変異A323P及びF312Aによって、2つの最も強い阻害、即ち、95%及び78%の阻害がそれぞれ生じる。突然変異A323Pについて、それは重症型の色素失調症の原因であり、NEMO二量体化の欠陥が、NF−κB経路の不活化の原因であり、Sebban-Benin et al.(Identification of TRAF6-dependent NEMO polyubiquitination sites through analysis of a new NEMO mutation causing incontinentia pigmenti, Hum Mol Genet 16 (2007), no.23, 2805-2815)により得られた結果と類似の結果である。位置F312Aで突然変異したNEMOのCC2−LZドメインのタンパク質は、ゲルろ過上で野生型CC2−LZタンパク質の溶出プロファイルと同じ溶出プロファイルを示し、この突然変異が二量体の安定化に影響を与えないが、しかし、NF−κB経路の活性化を修飾することを示す(図5)。この突然変異体の試験によって、初めて、活性化の欠陥が、ユビキチンとの相互作用部位での二量体化における欠陥ではなく、むしろ、K63ポリユビキチン鎖との相互作用における欠陥に起因することが実証されている(Ea et al.により示された通り)。結果的に、これらの結果によって、NEMOの二量体化を修飾することにより、又は、NEMOのポリユビキチン鎖との相互作用を阻害することにより、NF−κB経路を阻害する可能性が強調される。] 図5
[0033] 本発明によって、一方では、定方向突然変異誘発によるNEMOの活性立体構造の構造的な検証、及び、他方では、タンパク質のオリゴマー化のため、及びその結果としての、IKK複合体の活性化のために決定的である残基ならびにK−63ポリユビキチンへの結合に関与する残基の決定が可能になる。]
[0034] 本発明は、好ましくは、NEMOのCC2−LZドメインに結合することが可能な化合物を、本発明において得られる結晶学的データに基づき同定する方法に関する。CC2又はLZ配列を模倣するペプチドを、NEMOのオリゴマー化を破壊し、それにより培養中の細胞におけるNF−κB経路の活性化を抑制することが可能であるとして示される。有利には、本発明は、CC2−LZドメインのオリゴマー化を妨げる化合物の合成及び同定に関し、それはドメインのK−63ポリユビキチンへの結合を阻害する。]
[0035] 本発明に関連して、「化合物」は、NEMOのCC2−LZドメインの二量体化を阻害し、又はNEMOのCC2−LZドメインのポリユビキチン鎖との相互作用を阻害する全ての化学分子であると理解される。NEMOのドメインの結晶学的データによって、従って、このタンパク質に高い親和性を有するペプチドをデザインすることが可能になっている。インビボでNEMOの活性複合体を形成することを可能にするCC2−LZ:CC2−LZ相互作用は、多数の非共有結合を含む。小分子によるそれらの複合体の不安定化は、ハイスループットスクリーニングの状況において実証することが非常に困難であるため、ペプチドの還元部分にわたる相互作用を模倣し、より高い親和性を有するペプチドプローブを同定することが必要である。そのようなペプチドプローブを次に蛍光基で標識することができ、CC2−LZとのその会合は蛍光偏光測定により実証することができる。このシステムによって、続いてハイスループットスクリーニングキャンペーンを準備することが可能になる。このペプチドプローブを作製するための合理的で効果的なアプローチを有するためには、CC2−LZドメインの三次元構造の知識が絶対的に不可欠である。既に2つのペプチド(P8RD及びPH4と称される)が、この原理を使用してデザインされている(図11)。] 図11
[0036] 本発明のペプチドプローブは、好ましくは、ペプチドPH4及びペプチドP8RDであり、それらはアミノ酸配列(配列番号6及び配列番号7)をそれぞれ有する。]
[0037] P8RDが60nMの親和性を有するのに対し、ペプチドPH4は170nMの親和性を有する。これらの測定は、pH7で、外界温度で、20mM Tris−酢酸−MES(200mM塩化カリウム及び0.5% Tween 20含有)に対応するストリンジェントなバッファー中で行う。それらは、蛍光偏光により、N末端でフルオロフォアフルオレセイン又はCy5と共役させたペプチドを活用して行う。本発明のペプチドプローブを形成するために、ペプチドを任意の種類のフルオロフォアに共役させることができる。]
[0038] 最終的に、本発明は、NEMOの二量体化の、又は、NEMOとポリユビキチン鎖との、本発明のペプチドプローブとNEMOのCC2−LZドメインの間での相互作用の化合物を同定する方法に関する。このHTS(ハイスループットスクリーニング)方法は、以下の工程:
−ペプチドとNEMOのCC2−LZドメインを接触させること;
−試験中の化合物を加えること;
− 試験中の化合物の存在下において蛍光偏光を測定すること;
− 試験中の化合物の非存在下において測定値を比較すること
を含む。]
[0039] これらのペプチドの構造−活性関係及びまたNEMOのCC2−LZ標的の三次元構造によって、ユビキチン及び/又は任意の種類の側鎖(K63、K48、K6、N末端)を有するポリユビキチン鎖についてのNEMOの相互作用ゾーンを支持することにより、nMオーダーの大きさの親和性を有する他のペプチドをデザインすることが可能になる。]
[0040] NEMOのCC2−LZドメイン/ユビキチン複合体のモデルを図7、8、及び10において示す。「・・・複合体のモデル」は、CC2−LZ/ユビキチン複合体の三次元構造を意味すると理解される。NEMOのCC2−LZ/ユビキチン複合体のモデルが、使用されるRabex−5 IUIM/ユビキチン複合体から得られる構造情報に基づき構築された(Lee S. et al. Structural basis for ubiquitin recognition and autoubiquitination by Rabex-5. Nat Struct Mol Biol 13, 264-271, 2006)。CC2−LZ/ユビキチン複合体のモデルを、ユビキチンとNEMOのCC2−LZドメインの間での相互作用のNMRにより観察される化学シフトを用いて実験的に立証した(図9)。NEMOのCC2−LZドメインの三次元構造を、CC2−LZ/ユビキチン複合体のモデルから推定する。CC2−LZのこの三次元構造を、NEMOのCC2−LZドメインに結合することが可能な化合物のインシリコデザイン又はインシリコスクリーニングのために使用することができる。本発明は、従って、本発明の結晶の結晶学的配置から得られるCC2−LZドメインの三次元構造を使用して、NEMOのCC2−LZドメインに結合することが可能である化合物をデザインする方法に関する。] 図7 図9
[0041] 最終的に、本発明は、上の同定及びデザイン方法により同定される化合物に関する。好ましくは、これらの化合物によって、NEMOのCC2−LZドメインの二量体化が阻害され、又は、NEMOのCC2−LZドメインとポリユビキチン鎖との相互作用が阻害される。]
図面の簡単な説明

[0042] 本発明は、結果として限定はされないが、続く図面及び実施例により例証される:
NEMOタンパク質の描写。
2つのアンキリン分子と複合体を形成したNEMOのCC2−LZドメインの三次元構造。CC2−LZの2つのサブユニットが濃い灰色であり、アンキリンは薄い灰色である。
アンキリン1D5と複合体を形成したNEMOのCC2−LZドメインの構造。側面図における複合体のリボンダイアグラム。NEMOヘリックスを、ドメインに依存して灰色のレベルで示す:CC2、NOA、又はLZ。アンキリン1D5鎖は、側面の位置において濃い灰色である。
ヒトCC2−LZドメイン内における、定方向突然変異誘発により得られる種々の突然変異の位置。ポリユビキチンへの結合ドメインを白色で示す。アミノ酸について使用されるナンバリングは、ヒトタンパク質でのナンバリングに対応する。
NF−κB経路の活性化に対する種々の突然変異の効果。突然変異のナンバリングは、ヒトCC2−LZタンパク質でのナンバリングに対応する。
NEMOのCC2−LZドメイン/ユビキチン複合体のモデル。Rabex−5(MIU/IUIM)(第1ライン)とNEMO(NOAモチーフ)(第2ライン)の間のアラインメント配列(以下にNOA(a−g)の構造モチーフの位置を伴う)。垂直の実線及び垂直の破線は、同一の又は類似の残基をそれぞれ示す。斜めの線は、本発明の構造モデルの観点から、空間的に類似の残基を示す。NOAモチーフ中の厳密に保存された残基を*で示す。
NEMOのCC2−LZ/ユビキチン複合体の側面図。NEMOヘリックスには図3の通りに色を付けている。ユビキチン分子は、側面に対する位置において灰色であり、共結晶のアンキリン1D5分子は、同じく側面に対する位置において半透明の薄い灰色である。
NOA/ユビキチン界面のクローズアップ写真。相互作用に関与する残基を「球棒」タイプの描写において描き、炭素原子は灰色(ユビキチン)及び白色(NEMO)である。
NEMOのCC2−LZドメインに結合したユビキチンのNMRにより観察された化学シフト。化学残基の機能としての化学シフトΔδavにおける平均変動。対応する二次構造のエレメントを、化学シフトのグラフ上に示す。
ユビキチンとCC2−LZドメインのNOA領域の間での相互作用の描写。濃い灰色が、強い相互作用に関与する残基について使用される。ユビキチンの残基が、薄い灰色で、0.05<Δδav<0.085ppmについて示される。
CC2−LZドメインの結晶学的構造を考慮に入れてデザインされたペプチド配列PH4及びP8RD。Nキャップ又はCキャップに属する下線を引いた残基は、N末端及びC末端でαヘリックスを熱力学的に安定化させる効果を有する。] 図3
[0043] 実施例1:CC2−LZドメインの結晶学的構造
1.1アンキリン1D5及びCC2−LZタンパク質のプラスミドの構築、発現、及び精製
アンキリン1D5の進化は、選択のためのN2C DARPin(デザインされたアンキリンリピートタンパク質)ライブラリー(H. K. Binz et al., High-affinity binders selected from designed ankyrin repeat protein libraries, Nat Biotechnol 22 (2004), no.5, 575-582)を使用したリボソームディスプレイにより行われる。本試験の結果及びまた最初のモデルとは異なるアンキリン1D5のアミノ酸が、Wyler et al.の論文において記載されている。アンキリン1D5のcDNAを、N末端に位置するヒスチジンタグと共にベクターpQE30(Qiagen)中にクローニングする。pQE30−1D5プラスミドをE. coli XL−1 blue株中に導入し、1D5タンパク質の発現を、IPTG 1mMを培養液に3〜3.5時間にわたり37℃で加えることにより誘導する。細菌を沈降により回収し、Tris/HClバッファー50mM、pH8中で洗浄し、Tris/HClバッファー50mM、pH8、NaCl 0.5M(バッファーA)中で、プロテアーゼインヒビター(Complete freeEDTA, Roche)の存在下において超音波処理により溶解させる。可溶性抽出物を遠心後に回収し、バッファーAで事前に平衡化させたニッケルカラム上に添加する。1D5タンパク質を、直線勾配のイミダゾールを使用して溶出する。タンパク質を含む分画を回収し、次に、カットオフ閾値6〜8kDaを有する透析バッグ(Spectra/Por)を使用して20mM Tris/HCl pH7.6、50mM KClのバッファーに対して透析する。タンパク質を、カットオフ閾値5kDaを有するAmiconチューブ(Millipore)中での限外ろ過により濃縮する。]
[0044] CC2−LZ(配列番号3)(マウスNEMOのaa 251−337)を、N末端に位置するヒスチジンタグと共にプラスミドpET28中にクローニングする。このドメインは、ヒトNEMO(配列番号4)の残基258〜344に対応する。タンパク質を、E. coli、BL21−gold(DE3)株中で発現させ、アンキリン1D5の精製について記載される通りにニッケルカラム上で精製する。CC2−LZタンパク質を、次に、陽イオン交換Poros 20-HSカラム(Perseptive Biosystem)上で精製する。カラムを、50mM MESpH7.1、50mM KClのバッファー中で事前に平衡化させ、タンパク質を直線勾配のKClにより溶出させる。目的の分画を回収し、20mM Tris/HCl pH8.0、100mM KClのバッファーに対して透析し、次に限外ろ過により濃縮する。タンパク質の純度は、変性条件下での電気泳動及びクマシーブルーでの染色による分析に従って98%超として決定される。タンパク質濃度は、ブラッドフォードの方法により、及び、吸収係数2312M-1cm-1(CC2−LZ)及び1490M-1cm-1(1D5)を使用して280nmでの吸光度の測定により決定する。]
[0045] 1D5及びCC2−LZタンパク質を一緒に30分間にわたり氷上でインキュベートし、複合体を、20mM Tris/HCl pH8、100mM KClのバッファー中で平衡化したSuperdex 200 HRカラム(Pharmacia)上で精製する。複合体における結合化学量論は1:1である。複合体を限外ろ過により濃縮し、タンパク質濃度10〜13mg/mlを得る。]
[0046] 1.2アンキリン1D5/CC2−LZタンパク質複合体のための結晶化条件
結晶は、再現可能な様式で、2つの異なる条件(Jena Bioscience ref:3A4及び8B5)下で成長した。リザーバー溶液3A4は、10% PEG 40000、5%イソプロパノール、100mM Na Hepes pH7.5を含み、溶液8B5は、5% MPD(2−メチル−2,4−ペンタジオール)、5%エタノール、100mM Na Hepes pH7.5を含む。結晶は、蒸気拡散下で、微結晶とシードされた(マイクロシーディング)懸濁液滴中で成長した。1μlのタンパク質複合体を1μlのリザーバー溶液に加えて、蒸気拡散下で、18〜20℃で36時間以上にわたり平衡化する。結晶の断片から開始して得られる微結晶(0.1μl)を液滴中に導入する。シーディング後、結晶が数日間で成長し、300×150×20μmに達する。低温保存のために、結晶を、PEG 4000及び20%Cグリセロール(3A4)又は30% MPD(8B5)を追加で含むリザーバー溶液中に30秒間にわたりプランジする。結晶をナイロンループ中に乗せて、データ収集前に非常に迅速に凍結する。]
[0047] 1.3アンキリン1D5/CC2−LZタンパク質複合体の分析
X線回折データ(l=0.9794Å)を、SLS(Swiss Synchrotron Light Source)でのPX06SAビームライン及びPilatus 6Mハイブリッドピクセル検出器(結晶‐検出器の距離:640mm及び0.5°振動/工程100°K)を使用して記録する。データセットを、XDSプログラムパッケージを使用して処理する。全ての結晶は、以下の結晶単位格子パラメーター:
a=b=63.5Å及びc=437.5Å。
を伴う同じ空間群(P43212)に属する。]
[0048] 1.4 NEMOのCC2−LZドメインの結晶学的構造の決定及び精密化
構造を、アンキリン2JABの原子モデル(Zhand et al.、発表予定)及びNENOヘリックスについての理論モデルを使用したAmoReプログラムを使用して、分子置換により解析した。15〜3.5Å解像度のデータをこれらの計算において使用した。電子密度マップの分析後、モデルの手動構築を、Oを使用して行った。TLSを用いた精密化を、Refmacプログラムを使用して実施した。モデルを、アンキリン(鎖C及びD)について及びNEMOヘリックス(残基251〜290、N末端領域、及び残基294〜337、C末端領域)についての非結晶学的対称制約を維持しながら精密化した。最終モデルは、溶媒の26分子及びグリセロールの1分子を含み、解像度は3.5ÅでRcryst/Rfree=20.8%/26.1%である。立体化学的データ及びR因子を表1に示す。モデルの立体化学的な質をPRO CHECKを使用して分析した。]
[0049] 1.5 NEMOのCC2−LZドメイン/ユビキチン複合体のモデルの取得
CC2−LZ/ユビキチン複合体をモデル化するための最善の候補は、単純αヘリックスを含む構造、例えばUIM(ユビキチン相互作用モチーフ)及びRabex−5から得られる逆UIM(IUIM又はMIU)などである。配列の比較後、CC2−LZドメインのNOAモチーフとRabex−5のIUIMの間での約20%の配列同一性が観察された(図6)。Rabex−5のIUIMモチーフは、残基Ile 44を中心とするユビキチンの疎水性領域に結合する。また、この同じ残基Ile 44は、NEMOとポリユビキチンK63の間の相互作用において必要であることが示されており(Bloor S. et al., Signal processing by its coil zipper domain activates IKK gamma, Proc Natl Acad Sci USA 105, 1279-84, 2008)、ユビキチンが、等価な様式で、NEMOのNOAモチーフ及びRabex−5 IUIMに結合することを明確に示唆する。結果的に、Rabex−5 IUIM/ユビキチン複合体の公知の三次元構造合成を、CC2−LZ/ユビキチン複合体のモデルの合成におけるガイドとして使用した。対称を尊重するために、ユビキチンの2分子をNEMOヘリックスに結合させる。CC2−LZ/ユビキチン複合体についての相補性指数は0.69であり、CC2−LZ/アンキリン1D5複合体の相補性指数(SC=0.65)よりも高い。ユビキチンの分子はNOAの疎水性領域(その結合部位は、アンキリン1D5と部分的に重複する)に結合する。NOAの残基D304は、CC2−LZ/ユビキチン界面の中心に埋め込まれ、ユビキチンのH68残基とH結合を形成する。他の主な相互作用は、非極性残基(Ala 307を含む)を含み、IUIMモチーフ中に見出される不変Ala残基及びNEMO/ポリユビキチンK63相互作用に関与する残基F305に対応する。これらの相互作用は、NOAの疎水性表面をマスクし、それは溶媒からのエネルギー項において支持されず、この領域の安定化に寄与する。CC2−LZ/ユビキチンモデルの三次元構造は、種々の実験、例えば定方向突然変異誘発又はNMRにより観察される化学シフトなどを用いてさらに立証される(図9)。] 図6 図9
[0050] ]
[0051] 実施例2:NEMOの活性立体構造での定方向突然変異誘発による構造検証
2.1プラスミドの構築及び定方向突然変異誘発
NEMOのヒトCC2−LZドメインをコードするcDNAは、Tax CC2−LZと命名され、Met 215からGlu 362(ヒトナンバリング)まで伸長し、以下の2つのヌクレオチドプライマーを使用したPCRにより得られる:NEMO 1配列番号8(5’−CCCCATATGGAGCGCCAGGCCGCCTC)及びNEMO 2配列番号9(5’−TGAGGAAGCGGATGTCGAGTAGCTCGAGGGG)。このcDNAを、細菌発現ベクターpET 28b(Novagen)のNdeIとXhoIの制限酵素部位の間に導入し、ベクターpET−NEMOを生成する。
配列DYKDDDDKに対応するFLAGタグを、哺乳動物ベクターpcDNA3中に、HindIIIとEcoRIの制限酵素部位の間に導入し、プラスミドpcFLAGを作製する。
ヒト型のNEMOをコードするcDNAを、以下の2つのヌクレオチドプライマーを使用したPCRにより増幅させる:NEMO 3配列番号10(5’−GGGGAATTCTAATAGGCACCTCTGGAAGAG)及びNEMO 4配列番号11(5’−CATGGAGTGCATTGAGTAGCTCGAGGGG)。そして、次に、pcFLAGプラスミド中に、EcoRIとXhoIの制限酵素部位の間に導入し、プラスミドpcNEMO−WTを作製する。
点突然変異Glu296Ala、Phe312Ala、Glu315Ala、Ala323Pro及び二重突然変異体Leu329Ala Leu336Alaを、一方で、細菌ベクターpET−NEMO−WT中に、他方で、哺乳動物ベクターpcDNA3/NEMO−WT中に、定方向突然変異誘発(プロトコールがStratageneからのキット「Quikchange II Site-Directed Mutagenesis」において記載されている)を使用して導入する。]
[0052] 2.2マウス胚線維芽細胞における機能的相補性
NEMO欠損マウス胚線維芽細胞(MEF)を細胞培養ジャー中で培養し、βガラクトシダーゼをコードする0.2μgのプラスミドpEF1、Igkルシフェラーゼレポーター遺伝子を含む0.5μgのプラスミド、及びNEMOの異なる変異体を発現する2μgのプラスミドを含む混合物で一過性にトランスフェクトする。トランスフェクションから24時間後、細胞をTNFα(20ng/ml)で24時間にわたり活性化する。細胞を次に回収し、次にプロテアーゼのカクテルを加えた110μlのバッファー(25mM Tris/リン酸pH7.8、8mM MgCl2、1% Triton、1mMジチオスレイトール、15%グリセロール)(Roche)中で溶解させる。細胞ライセートを13 000rpmで20分間にわたり4℃で遠心する。レポーター遺伝子の活性を測定する。]
[0053] 2.3野生型タンパク質及び突然変異体F312Aの発現及び精製
精製は、AKTA Purifier 100装置(Amersham Pharmacia Biotech)を使用して行う。種々のタンパク質の精製を、種々のpET 28プラスミドを用いて、カナマイシン(50μg/ml)の存在下において形質転換されたBL21−Gold D3細菌(Stratagene)の3リットルの培養物から開始して、実施する。タンパク質の発現は、1mMIPTGを使用して、37℃で4時間にわたり誘導させる。6000g、4℃で20分間にわたる遠心後、細菌を、10mM MgCl2を含むTris/HCl 100mM pH8のバッファー中で洗浄する。細菌沈降物を−20℃で凍結させる。沈降物を、次に、2ml/g(細菌)の濃度でプロテアーゼインヒビターの混合物(CompleteEDTA-free, Roche)を含む抽出バッファー(Tris/HCl 50mM pH8、KCl 20mM、及びグリセロール5%)中に再懸濁し、フレンチプレスを使用して圧力1500psi下で粉砕させる。細菌ライセートを3回、10秒間の超音波処理(90W)に供して、それにより、DNAの断片化により培地の粘性を低下させることが可能になる。ライセートを、次に、Tris/HCl 50mM pH8、NaCl 1Mのバッファー中で2.5倍希釈し、次に10 000gで30分間にわたり4℃で遠心する。上清を、次に、前述のバッファー中で先に平衡化させた20ml Ni-NTA Superflowアフィニティーカラム(Qiagen)上に置く。カラムを一晩にわたり洗浄し、全ての非吸着タンパク質及びまたDNAを除去した後、タンパク質をカラムの平衡化バッファー中の直線勾配(0〜500mM)のイミダゾール(ACS, Merck)により溶出する。目的のタンパク質を含む分画を回収し、HEPES20mM pH7.5、KCl 50mM、EDTA 1mMのバッファーに対して透析する。透析液は、そのpHがMES 1Mを使用して6にされており、MES 50mM pH6、KCl 50mMのバッファー中で事前に平衡化したPoros 20-HS陽イオン交換カラム(Perseptive Biosystem)上に添加する。溶出は、直線勾配のKCl(50mM−1M)を用いて行う。タンパク質分画を合わせて、次に限外ろ過(Amicon-Ultra、カットオフ閾値10 000)により濃縮し、Tris/HCl 20mM pH8、KCl 100mMのバッファーに対して透析する。タンパク質を少量で、−80℃で保存する。種々のタンパク質の純度は、変性条件下での電気泳動及びクマシーブルーでの染色による分析に従って>98%として決定される。タンパク質濃度は、モル減衰係数5960M-1cm-1を使用して、280nmでの吸光度の測定により決定する。]
[0054] 2.4野生型タンパク質及び突然変異体F312Aのゲルろ過
ゲルろ過実験は、Superdex 75 HR 10/30カラム(Amersham Biosciences)上で、4℃で行う。カラムは、Tris/HCl 50mM pH7.5、NaCl 200mM、DTE0.2mMのバッファー中で、4℃、流速0.5ml/分で平衡化する。一定容積(200μl)のサンプル(濃度0.3μM)を、カラム上に速度0.5ml/分で注入する。タンパク質をカラムの平衡化バッファー中で希釈し、平衡化を可能にするために、注入前に4℃で2時間にわたり静置させる。タンパク質の溶出を検出するために、RF-10 AXL分光蛍光光度計(Shimadzu)をオンラインでAKTA装置に接続する。内在性の蛍光を記録し、280nmでの励起後、310nmでのチロシン残基の蛍光放出を測定する。]
[0055] ]
权利要求:

請求項1
CC2−LZドメインのアミノ酸配列(配列番号3)又は該アミノ酸配列の変異体を特徴とする、哺乳動物NEMOのCC2−LZドメインの結晶。
請求項2
CC2−LZドメインのアミノ酸配列(配列番号4)又は該アミノ酸配列の変異体を特徴とする、哺乳動物NEMOのCC2−LZドメインの結晶。
請求項3
請求項1又は請求項2のいずれかに記載の哺乳動物NEMOのCC2−LZドメインの結晶であって、結晶が以下の単位格子パラメーター:−a=b=63.5±5Å;−c=437.5±5Å;及び−α=β=γ=90;を有すること、及び結晶が空間群P43212を有することを特徴とする結晶。
請求項4
表1に記載する結晶学的配置を有することを特徴とする、請求項3記載の結晶。
請求項5
哺乳動物NEMOのCC2−LZドメイン及び複合体を安定化することが可能である少なくとも1つのアンキリン又はその断片を含むことを特徴とする、請求項3記載の結晶。
請求項6
アンキリン1D5を含むことを特徴とする、請求項5記載の結晶。
請求項7
X線回折により得られるその三次元構造を特徴とし、該三次元構造が図2及び3において示される、請求項1〜6のいずれか一項記載の結晶。
請求項8
CC2−LZタンパク質が突然変異Ala316Pro(A316P)及び/又は突然変異Phe305Ala(F305A)を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項記載の結晶。
請求項9
CC2−LZタンパク質が突然変異Ala323Pro(A323P)及び/又は突然変異Phe312Ala(F312A)を含むことを特徴とする、請求項2〜7のいずれか一項記載の結晶。
請求項10
哺乳動物NEMOのCC2−LZドメインの結晶化の方法であって、以下の工程:−少なくとも1つのアンキリン又はアンキリン断片及びCC2−LZドメインのインキュベーション;−蒸気拡散により結晶を成長させることによるアンキリン又はアンキリン断片/CC2−LZタンパク質複合体の共結晶化を含むことを特徴とする、方法。
請求項11
請求項10記載の方法により産生される結晶。
請求項12
表1の結晶学的配置を有する哺乳動物NEMOのCC2−LZドメインの三次元構。
請求項13
請求項1〜9のいずれか一項記載のNEMOのCC2−LZドメインの結晶の三次元構造を決定する方法であって、以下の工程:−CC2−LZタンパク質の結晶を得ること;−X線への結晶の暴露;−X線回折データの回収;−該結晶の電子密度マップを算出するためのデータの使用;−電子密度マップから開始するモデルの構築及び精密化を含むことを特徴とする、方法。
請求項14
請求項1〜9のいずれか一項記載の結晶から開始して得られる結晶学的配置を使用することを特徴とする、NEMOのCC2−LZドメインに結合することが可能な化合物を同定する方法。
請求項15
NEMOのCC2−LZドメインに結合することを特徴とする、請求項14記載の方法により同定されるペプチド。
請求項16
アミノ酸配列(配列番号6)により特徴付けられる、請求項14記載の方法により同定されるペプチドPH4。
請求項17
アミノ酸配列(配列番号7)により特徴付けられる、請求項14記載の方法により同定されるペプチドP8RD。
請求項18
NEMOの二量体化、又は、NEMOとポリユビキチン鎖との、請求項15〜17のいずれか一項記載のペプチドとNEMOのCC2−LZドメインの間での相互作用に関与する化合物を同定する方法であって、以下の工程:−ペプチドとNEMOのCC2−LZドメインを接触させること;−試験中の化合物を加えること;−試験中の化合物の存在下において蛍光偏光を測定すること;−試験中の化合物の非存在下において測定値を比較することを含むことを特徴とする、方法。
請求項19
請求項1〜9のいずれか一項記載の結晶の結晶学的配置から開始して得られるNEMOのCC2−LZドメインの三次元構造を使用することを特徴とする、NEMOのCC2−LZドメインに結合することが可能な化合物をデザインする方法。
請求項20
NEMOのCC2−LZドメインの二量体化を阻害し、又は、NEMOのCC2−LZドメインとポリユビキチン鎖との相互作用を阻害することを特徴とする、請求項18又は請求項19のいずれかに記載の方法により同定される化合物。
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