胃癌の診断、予後診断及び治療のためのマイクロrnaに基づいた方法及び組成物
专利摘要:
胃癌関連疾患の診断、予後診断及び/又は治療のための方法及び組成物を開示する。 なし 公开号:JP2011516032A 申请号:JP2010548899 申请日:2009-02-27 公开日:2011-05-26 发明作者:クロース,カーロ・エム;ベッキオネ,アンドレア;ペトロッカ,ファビオ 申请人:ジ・オハイオ・ステイト・ユニバーシティ・リサーチ・ファウンデイション; IPC主号:C12N15-09
专利说明:
[0001] 関連出願への相互参照 [00001]本出願は、2008年2月28日に出願の米国仮出願番号61/067,445の権益を主張し、その全ての開示は参照により本明細書に明確に組み入れられる。] [0002] 連邦政府支援の研究に関する宣言 [00002]本発明は、NCI助成金番号CA76259及びCA8134のもと、政府の支援により行われた。政府は本発明に一定の権利を有する。] [0003] 本発明の産業上の利用可能性 [00003]本発明は一般的には分子生物学の分野に関する。本発明のある側面は、胃癌関連障害の診断法、治療法及び予後診断法における応用を含む。] 背景技術 [0004] [00004]このセクションで開示された背景技術が合法的に先行技術を構成すると認められるものはない。 [00005]胃癌の発生は1940年代から1980年代にかけて西欧諸国においては低下しているが、世界的には重要な公衆衛生問題として残っており、世界的には二番目に多く診断される悪性腫瘍であり、毎年全ての癌関連死の12%の原因となっている(Uemura et al., 2001)。胃腫瘍の95%以上は、組織学的に腸型(intestinal type)あるいはびまん型(diffuse type)に分類される腺癌である(Lauren P, 1965)。腸腫瘍の進展は、多数の逐次的ステップを介した進行により特徴付けられている。中でも、二つのイベントが胃腫瘍発生で特徴的である:E2F1の上方調節(Suzuki et al., 1999)及びTGFE耐性の発生(Ju et al., 2003; Park et al., 1994)。] [0005] [00006]E2F1は、G1/S移行を促進する細胞周期の主レギュレーターであり、染色体DNA複製に関与する多様な遺伝子をトランス活性化し(transactivate)、それ自身のプロモーターを含む(DeGregori, 2002)。E2F1の過剰発現は、それ自体が発癌イベントであり、細胞を形質転換する素因となる一方(Pierce et al., 1999)、決定的閾値を超えて生じた場合、強力なアポトーシスシグナルでもある(Lazzerini Denchi et al., 2005)。] [0006] [00007]一方、トランスフォーミング増殖因子−ベータ(TGFβ)は、胃腸管細胞を増殖、分化又はアポトーシスに導く、上皮及び間質性コンパートメント間クロストークの複雑なシステム、いわゆる形態形成プログラムで主たる役割を果たしているサイトカインである(van den Brink and Offerhaus, 2007)。] 先行技術 [0007] Uemura, N., Okamoto, S., Yamamoto, S., Matsumura, N., Yamaguchi, S., Yamakido, M., Taniyama, K., Sasaki, N., and Schlemper, R. J. (2001). Helicobacter pylori infection and the development of gastric cancer. N Engl J Med 345, 784-789. Lauren P (1965) The two histological main types of gastric carcinoma: Diffuse and so-called intestinal-type carcinoma. An attempt at a histo-clnical classification. Acta Pathol Microbiol Scand 64: 31-49. Suzuki, T., Yasui, W., Yokozaki, H., Naka, K., Ishikawa, T., and Tahara, E. (1999). Expression of the E2F family in human gastrointestinal carcinomas. Int J Cancer 81, 535-538. Ju, H. R., Jung, U., Sonn, C. H., Yoon, S. R., Jeon, J. H., Yang, Y., Lee, K. N., and Choi, I. (2003). Aberrant signaling of TGF-beta1 by the mutant Smad4 in gastric cancer cells. Cancer Lett 196, 197-206. Park, K., Kim, S. J., Bang, Y. J., Park, J. G., Kim, N. K., Roberts, A. B., and Sporn, M. B. (1994). Genetic changes in the transforming growth factor beta (TGF-beta) type II receptor gene in human gastric cancer cells: correlation with sensitivity to growth inhibition by TGF-beta. Proc Natl Acad Sci U S A 91, 8772-8776. DeGregori, J. (2002). The genetics of the E2F family of transcription factors: shared functions and unique roles. Biochim Biophys Acta 1602, 131-150. Pierce, A. M., Schneider-Broussard, R., Gimenez-Conti, I. B., Russell, J. L., Conti, C. J., and Johnson, D. G. (1999). E2F1 has both oncogenic and tumor-suppressive properties in a transgenic model. Mol Cell Biol 19, 6408-6414. Lazzerini Denchi, E., and Helin, K. (2005). E2F1 is crucial for E2F-dependent apoptosis.EMBO Rep 6, 661-668. van den Brink, G. R., and Offerhaus, G. J. (2007). The morphogenetic code and colon cancer development. Cancer Cell 11, 109-117.] 発明が解決しようとする課題 [0008] [00008]これらの疾患を治療するための療法についてのかなりの研究にもかかわらず、現在でも効果的に診断する及び治療するのが困難であり、患者で観察された死亡率は、本疾患の診断、治療及び予防の改善が必要とされていることを示している。] 課題を解決するための手段 [0009] [00009]第一の側面において、対象が胃関連障害を有する、又は発症するリスクがあるかどうかを診断する、胃癌及び/又は関連障害を有する対象の予後を決定する、及び/又はこうした障害を有する対象を治療する方法が本明細書において提供され、該対象からの試験サンプル中の少なくとも一つのバイオマーカーのレベルを測定することを含み、ここで、対照サンプル中の対応するバイオマーカーと比較した、該試験サンプル中の該バイオマーカーのレベルの変化は、該対象が該障害を有するか、又は発症するリスクがあることを示す。] [0010] [00010]ある態様において、該試験サンプル中の該少なくとも一つのバイオマーカーのレベルは、該対照サンプル中の対応するバイオマーカーのレベルよりも低い。 [00011]ある態様において、該試験サンプル中の該少なくとも一つのバイオマーカーのレベルは、該対照サンプル中の対応するバイオマーカーのレベルよりも高い。] [0011] [00012]ある態様において、差次的に発現される該少なくとも一つのバイオマーカーは、図13−表1に列挙された群より選択される。 [00013]ある態様において、該障害は慢性胃炎を含み、そして少なくとも一つのバイオマーカーは、上方調節されているmiR−1及びmiR−155から成る群より選択される。] 図13 [0012] [00014]ある態様において、該障害は慢性胃炎を含み、そして少なくとも一つのバイオマーカーは下方調節されているmiR−205、miR−203、miR−202、miR−20及びmiR−26bから成る群より選択される。] [0013] [00015]ある態様において、差次的に発現される該少なくとも一つのバイオマーカーは、図14−表2に列挙された群より選択される。 [00016]ある態様において、該障害は胃腺癌を含み、そして少なくとも一つのバイオマーカーは、上方調節されているmiR−21、miR−223、miR−25、miR−17−5−p、miR−125b、miR−181b、miR−106a、miR−107、miR−92、miR−103、miR−221、miR−93、miR−100、miR−181、miR−106b、miR−191、miR−214、miR−130、miR−342、miR−222、miR−320及びmiR−99bから成る群より選択される。] 図14 [0014] [00017]ある態様において、該障害は胃腺癌を含み、そして少なくとも一つのバイオマーカーは、下方調節されているmiR−136、miR−218、miR−212、miR−96、miR−339及びmiR−130bから成る群より選択される。] [0015] [00018]ある態様において、該差次的に発現される少なくとも一つのバイオマーカーは、図16−表3に列挙された群:miR−21、miR−223、miR−25、miR−92、miR−107、miR−93、miR−106b、miR−17−5p、miR−181b及びmiR−106aから選択される。] 図16 [0016] [00019]ある態様において、該少なくとも一つのバイオマーカーはmiR−160b−25クラスター:miR−106b、miR−93及びmiR−25を含む。 [00020]別の側面において、図18−表6に列挙された遺伝子:PHLPPL、GM632、ALX4、PLEKHMl、JOSD1、ZFPM2、GATAD2B、ZNF238、ATXN1、NEUROD1、BCL2L11、KLF12、UBE2W、OSBPL5、SNF1LK、PCAF、PAPOLA、及びCFL2の一つ以上の発現の変調における、miR−160b−25クラスター:miR−106b、miR−93及びmiR−25を含む少なくとも一つのバイオマーカーの使用が本明細書において提供される。] 図18 [0017] [00021]別の側面において、E2F1発現を調節することを、それを必要とする対象において行う方法が本明細書に提供され、E2F1の発現を変調するのに十分な、miR−106b及び/又はmiR−93又はそれらの機能的変異体の有効量を投与することを含む。] [0018] [00022]別の側面において、E2F1発現を調節するための、それを必要とする対象におけるmiR−106b及びmiR−93の使用が本明細書に提供される。 [00023]別の側面において、CDKN1A(p21Waf1/Cip1)及び/又はBCL2L11(Bim)の発現を妨害するTGFE腫瘍抑制経路を変調する方法が本明細書に提供され、miR−106b、miR−93及びmiR−25の一つ以上を上方調節することを含む。] [0019] [00024]別の側面において、胃癌での、E2F1転写後調節及びTGFE抵抗性の発生の変調におけるmiR−106b−25クラスターの使用が本明細書に提供される。 [00025]別の側面において、E2F1発現を制御することを、それを必要とする対象において行う方法が本明細書に提供され、該対象においてmiR−106b及びmiR−93のレベルを変調することを含む。] [0020] [00026]別の側面において、Mcm7と並行してmiR−106b−25発現を調節するための、それを必要とする対象におけるE2F1の使用が、本明細書に提供される。 [00027]別の側面において、E2F1タンパク質合成の速度を制御し、その過剰な蓄積を防止することを、それを必要とする対象において行う方法が本明細書に提供され、該対象におけるmiR−106b−25クラスターのレベルを変調することを含む。] [0021] [00028]別の側面において、TGFE誘発細胞周期停止を害するための、それを必要とする対象におけるmiR−106b及びmiR−93の使用が本明細書に提供される。 [00029]別の側面において、転写後レベルでp21の発現を阻害することにより、TGFO誘発細胞周期停止を妨害するための、それを必要とする対象におけるmiR−106b及びmiR−93の使用が、本明細書に提供される。] [0022] [00030]別の側面において、TGFO誘発アポトーシスの開始を妨げることにおける、それを必要とする対象でのmiR−106b及びmiR−93と協同したmiR−25の使用が、本明細書に提供される。] [0023] [00031]別の側面において、アポトーシスからの胃癌細胞の保護を妨げるため、それを必要とする対象においてmiR−106b−25クラスターの発現を変調するための方法が本明細書に提供される。] [0024] [00032]別の側面において、胃癌において特有のマイクロRNA発現シグネチャーが本明細書に提供され、腫瘍マイクロRNAプロセッシングを調節する一つ以上のバイオマーカーの発現の変化を含む。] [0025] [00033]別の側面において、胃癌における標的mRNAの転写産物量及び/又はタンパク質発現に影響を及ぼす方法が本明細書に提供され、それを必要とする対象において一つ以上のマイクロRNAを調節解除することを含む。] [0026] [00034]ある態様において、該方法はさらに、癌関連遺伝子のタンパク質発現を抑制することを含む。 [00035]ある態様において、癌関連遺伝子のタンパク質発現を阻害するため、miR−106b、miR−93及びmiR−25の一つ以上の発現を変化させることをさらに含む。] [0027] [00036]別の側面において、ヒト胃癌で生じるマイクロRNA機能の変化を同定するための、マイクロRNA及びタンパク質コードRNAの両方の大規模遺伝子発現プロファイリングの使用が、本明細書に提供される。] [0028] [00037]胃癌を有する対象の予後を決定することを含む請求項1の方法は、該対象からの試験サンプル中の少なくとも一つのバイオマーカーのレベルを測定することを含み、ここで:i)該バイオマーカーは、こうした癌の予後不良に関連し;そしてii)対照サンプル中の対応するバイオマーカーのレベルと比較した、該試験サンプル中の該少なくとも一つのバイオマーカーのレベルの変化は、予後不良を示す。] [0029] [00038]ある態様において、該方法は対象が胃癌を有するか、又は発症するリスクがあるかどうかを診断することをさらに含み、1)対象から得られた試験サンプルからのRNAを逆転写して、標的オリゴデオキシヌクレオチドの組を提供し;2)該標的オリゴデオキシヌクレオチドを、miRNA特異的プローブオリゴヌクレオチドを含むマイクロアレイにハイブリダイズさせて該試験サンプルについてのハイブリダイゼーションプロファイルを提供し;及び、3)該試験サンプルハイブリダイゼーションプロファイルと対照サンプルから生成されたハイブリダイゼーションプロファイルを比較することを含み、ここで、少なくとも一つのmiRNAのシグナルの変化は、該対象がこうした癌を有する、又は発症するリスクがあることを示す。] [0030] [00039]ある態様において、該少なくとも一つのmiRNAのシグナルは、対照サンプルから発生されたシグナルと比較して下方調節されており、及び/又は該少なくとも一つのmiRNAのシグナルは、対照サンプルから発生されたシグナルと比較して上方調節されている。] [0031] [00040]ある態様において、表13、表14及び表16に列挙された群より選択される少なくとも一つのバイオマーカーのシグナルの変化は、該対象が予後不良のこうした癌を有する、又は発症するリスクがあることを示す。] [0032] [00041]別の側面において、miR−106b、miR−93及びmiR−25の一つ以上を含む、胃障害又は疾患のバイオマーカーが本明細書に提供される。 [00042]別の側面において、胃癌細胞中のmiR−106b、miR−93及びmiR−25の一つ以上の発現を変調することを含む、胃癌細胞中でタンパク質発現を調節するための方法が本明細書に提供される。] [0033] [00043]別の側面において、胃癌細胞中のE2F1、CDKNlA(p21Waf1Cip1)及びBCL2L11(Bim)の一つ以上の発現を変調するための組成物が本明細書に提供され、該組成物は、miR−106b、miR−93及びmiR−25、又はそれらの機能的変異体の一つ以上を含む。] [0034] [00044]別の側面において、E2F1及びp21/WAFlタンパク質レベルの一つ以上を調節することを、それを必要とする対象において行う方法が本明細書に提供され、miR−106b、miR−93及びmiR−25又はそれらの機能的変異体の一つ以上を使用することを含む。] [0035] [00045]別の側面において、胃癌細胞におけるp21/WAFl及び/又はE2F1タンパク質レベルを、それを必要とする対象において増加させるために有用なアンチセンスmiR−106bを含む組成物が、本明細書に提供される。] [0036] [00046]別の側面において、対照細胞と比較して、少なくとも一つのバイオマーカーが対象の癌細胞で下方調節又は上方調節されている胃癌を有する対象において、胃癌を治療する方法が本明細書に提供され、1)該癌細胞中で該少なくとも一つのバイオマーカーが下方調節されている場合、該対象における癌細胞の増殖が抑制されるように、少なくとも一つの単離されたバイオマーカー、又は単離された変異体又はそれらの生物学的に活性な断片の有効量を該対象に投与すること;又は2)該癌細胞中で該少なくとも一つのバイオマーカーが上方調節されている場合、該対象における癌細胞の増殖が抑制されるように、該少なくとも一つのバイオマーカーの発現を抑制するための少なくとも一つの化合物の有効量を該対象に投与することを含む。] [0037] [00047]別の側面において、対象の胃癌を治療する方法が本明細書に提供され:1)対照細胞と比較して、胃癌細胞中の少なくとも一つのバイオマーカーの量を決定すること:そして2)i)もし、該癌細胞中で発現されたバイオマーカーの量が、対照細胞中で発現されたバイオマーカーの量よりも少ないならば、少なくとも一つの単離されたバイオマーカーの有効量を該対象に投与することにより;又はii)もし、該癌細胞中で発現されたバイオマーカーの量が、対照細胞中で発現されたバイオマーカーの量よりも多いならば、該少なくとも一つのバイオマーカーの発現を抑制するための少なくとも一つの化合物の有効量を該対象に投与することにより、胃癌細胞中で発現されたバイオマーカーの量を変化させること;を含む。] [0038] [00048]別の側面において、少なくとも一つの単離されたバイオマーカー及び薬学的に許容できる担体を含む、胃癌を治療するための医薬組成物が本明細書に提供される。 [00049]ある態様において、該少なくとも一つの単離されたバイオマーカーは、対照細胞と比較して胃癌細胞中で下方調節されているバイオマーカーに対応する。] [0039] [00050]ある態様において、該医薬組成物は少なくとも一つのmiR発現阻害化合物及び薬学的に許容できる担体を含む。 [00051]別の側面において、抗胃癌剤を同定する方法が本明細書に提供され、細胞に試験剤を与えること、そして胃癌細胞中の減少した発現レベルに関連する少なくとも一つのバイオマーカーのレベルを測定することを含み、ここで、対照細胞と比較した、該細胞中のバイオマーカーのレベルの増加は、該試験剤が抗胃癌剤であることを示す。] [0040] [00052]別の側面において、抗胃癌剤を同定する方法が本明細書に提供され、細胞に試験剤を与えること、そして胃癌細胞中の増加した発現レベルに関連する少なくとも一つのバイオマーカーのレベルを測定することを含み、ここで、対照細胞と比較して、該細胞中のバイオマーカーのレベルの減少は、該試験剤が抗胃癌剤であることを示す。] [0041] [00053]別の側面において、胃癌関連疾患を予防する、診断する及び/又は治療するための療法の有効性を評価する方法が本明細書に提供され:i)その有効性が評価されている療法を動物に供すること;そしてii)表13、14及び16の一つ以上に列挙された少なくとも一つのバイオマーカーを評価することにより、該疾患を治療する又は予防することについて試験されている治療の有効性のレベルを決定すること;を含む。] [0042] [00054]該候補療法剤が、医薬組成物、栄養補助食品組成物及びホメオパシー組成物の一つ以上を含む、前記請求項の方法。 [00055]ある態様において、評価されている療法は、ヒト対象での使用のためである。] [0043] [00056]別の側面において、製品が本明細書に提供され:表13、14及び16の一つ以上に列挙された少なくとも一つのバイオマーカーを含む、胃癌関連疾患のためのマーカーに結合する少なくとも一つの捕捉試薬を含む。] [0044] [00057]別の側面において、胃癌関連疾患を治療する療法剤の候補化合物をスクリーニングするためのキットが本明細書に提供され、該キットは:表13、14及び16の一つ以上に列挙された少なくとも一つのバイオマーカーの一つ以上の試薬、及び少なくとも一つのバイオマーカーを発現している細胞を含む。] [0045] [00058]ある態様において、該バイオマーカーの存在は、少なくとも一つのバイオマーカーと特異的に結合する抗体又は抗体断片を含む試薬を使用して検出される。 [00059]別の側面において、個体における該疾患合併症を治療する、予防する、逆行させる、又は重症度を限定する医薬の製造のための、胃癌関連疾患応答シグナル伝達経路を妨害する剤の使用が本明細書に提供され、該剤は、表13、14及び16の一つ以上に列挙された少なくとも一つのバイオマーカーを含む。] [0046] [00060]別の側面において、胃癌関連疾患合併症を治療する、予防する、逆行させる、又は重症度を限定することを、それを必要とする個体で行う方法が本明細書において提供され:少なくとも胃癌関連疾患応答カスケードを妨害する剤を該個体に投与することを含み、該剤は、表13、14及び16の一つ以上に列挙された少なくとも一つのバイオマーカーを含む。] [0047] [00061]別の側面において、個体における胃癌関連疾患合併症を治療する、予防する、逆行させる、又は重症度を限定する医薬の製造のための、少なくとも胃癌関連疾患応答カスケードを妨害する剤の使用が、本明細書に提供され、該剤は、表13、14及び16の一つ以上に列挙された少なくとも一つのバイオマーカーを含む。] [0048] [00062]別の側面において、miR−106b、miR−93及びmiR−25の一つ以上のアンチセンス阻害剤を含む組成物が、本明細書に提供される。 [00063]別の側面において、胃障害を治療することを、それを必要とする対象において行う方法が本明細書に提供され、該組成物の療法的有効量を対象に投与することを含む。] [0049] [00064]ある態様において、該組成物は予防的に投与される。 [00065]ある態様において、該組成物の投与は、胃癌の一つ以上の症状の発症を遅延させる。] [0050] [00066]ある態様において、該組成物の投与は、胃癌の発生を抑制する。 [00067]ある態様において、該組成物の投与は、腫瘍の増殖を抑制する。 [00068]別の側面において、生物学的サンプル中の胃癌の存在を検出する方法が本明細書に提供され:i)胃癌を含有すると疑われる生物学的サンプルを、それらのためのマーカーに暴露すること;そしてii)もしあれば、該サンプル中の該マーカーの存在又は不存在を検出すること;を含む。] [0051] [00069]ある態様において、該マーカーは検出可能な標識を含む。 [00070]ある態様において、該方法は、該対象からの生物学的サンプル中の該マーカーの量と、正常対象からの対応する生物学的サンプル中の該マーカーの量を比較することをさらに含む。] [0052] [00071]ある態様において、該方法は、異なる時点で対象から複数の生物学的サンプルを集めること、及び各生物学的サンプル中の該マーカーの量を比較して、時間とともに該対象において該マーカーの量が増加している又は減少しているかどうかを決定することをさらに含む。] [0053] [00072]別の側面において、対象の胃癌を治療するための方法が本明細書に提供され、該方法は、胃癌レセプターアゴニストを含む。 [00073]ある態様において、該レセプターアゴニストは、miR−106b、miR−93及びmiR−25の一つ以上のアンチセンス阻害剤である。] [0054] [00074]別の側面において、胃癌の治療のための薬剤を製造するための、表13、14及び16に示したmiR、それらから派生する配列、こうしたmiRの相補的配列、及びこうした相補的配列から派生する配列の内から選択される核酸分子を含む使用が、本明細書に提供される。] [0055] [00075]ある態様において、該薬剤は、表13、14及び16に列挙されたmiR、こうしたmiRから派生する配列、こうしたmiRの相補的配列、及びこうした相補的配列から派生する配列の内から選択された配列を提示する核酸分子を含む。] [0056] [00076]別の側面において、胃癌細胞の分化を誘発するために有効な療法剤又は療法剤の組み合わせを同定するためのインビトロの方法が本明細書に提供され、該方法は:i)胃腫瘍に由来する細胞を培養すること、ii)該細胞株の培養培地に少なくとも一つの化合物を添加すること、iii)段階(i)及び(ii)間の少なくとも一つのmiRの発現レベルの漸進的変化を分析すること、及びiv)段階(i)及び(ii)間のmiRの発現レベルの変化を誘発する化合物又は化合物の組み合わせを同定する;段階を含む。] [0057] [00077]ある態様において、段階(iii)は、少なくとも一つのmiRの発現レベルの分析を含む。 [00078]ある態様において、段階(iv)は、少なくとも一つのmiRの発現レベルを変調する化合物又は化合物の組み合わせの同定を含む。] [0058] [00079]ある態様において、段階(iv)は、少なくとも一つのmiRの発現レベルを減少させる化合物又は化合物の組み合わせの同定を含む。 [00080]ある態様において、該化合物は癌の治療のための療法剤である。] [0059] [00081]本発明の種々の目的及び利点は、付随する図面を照らし合わせて読むことにより、好ましい態様の以下の詳細な説明から、当業者には明らかになるであろう。 [00082]本特許又は出願ファイルは一枚以上のカラーで仕上げられた図及び/又は一つ以上の写真を含む。カラーの図及び/又は写真を含むこの特許又は特許出願印刷物のコピーは、依頼及び必要な料金の支払い後、本特許庁により提供されるであろう。] 図面の簡単な説明 [0060] [00083]図1A−1E:慢性胃炎及び胃腺癌におけるmiRNA発現の変化。miRNAはSAM分析(FDR=0%、q=0)によると、慢性胃炎(図1A)あるいは胃腺癌(図1B)に有意に関連する。赤及び緑色は、それぞれ上方調節及び下方調節を示す。正常胃粘膜、慢性胃炎及び胃腺癌の代表的な組織学的特徴が示されている:ヘマトキシリン&エオシン(H&E)染色。 図1A−1E:慢性胃炎及び胃腺癌におけるmiRNA発現の変化。miRNAはSAM分析(FDR=0%、q=0)によると、慢性胃炎(図1A)あるいは胃腺癌(図1B)に有意に関連する。赤及び緑色は、それぞれ上方調節及び下方調節を示す。正常胃粘膜、慢性胃炎及び胃腺癌の代表的な組織学的特徴が示されている:ヘマトキシリン&エオシン(H&E)染色。 図1A−1E:慢性胃炎及び胃腺癌におけるmiRNA発現の変化。miRNAはSAM分析(FDR=0%、q=0)によると、慢性胃炎(図1A)あるいは胃腺癌(図1B)に有意に関連する。赤及び緑色は、それぞれ上方調節及び下方調節を示す。正常胃粘膜、慢性胃炎及び胃腺癌の代表的な組織学的特徴が示されている:ヘマトキシリン&エオシン(H&E)染色。 図1A−1E:慢性胃炎及び胃腺癌におけるmiRNA発現の変化。図1C:Mcm7のイントロン13中に存在するmiR−106b−25クラスターゲノム座位の略図。この遺伝子の一次転写産物は、プライマーの二つの異なった組(#1及び#2)を使用してSnu−16細胞から逆転写し、増幅し及び配列決定した独特の分子内に融合された、三つすべてのmiRNAを含む。 図1A−1E:慢性胃炎及び胃腺癌におけるmiRNA発現の変化。RNAiによるドローシャの下方調節(図1D)はこの転写体の劇的な蓄積を誘導して(図1E)活性な一次miRNAの存在を裏付けているので、この分子はMcm7転写の単なる副産物ではない。バーはU6+/−SDで正規化されたRNA発現を示す。このクラスターは、それぞれ第13番染色体及びX染色体に位置する、miR−17−92及びmiR−106a−92クラスターと高度の相同性を共有する。色は、同じファミリーのmiRNAを規定する。 図1A−1E:慢性胃炎及び胃腺癌におけるmiRNA発現の変化。RNAiによるドローシャの下方調節(図1D)はこの転写体の劇的な蓄積を誘導して(図1E)活性な一次miRNAの存在を裏付けているので、この分子はMcm7転写の単なる副産物ではない。バーはU6+/−SDで正規化されたRNA発現を示す。このクラスターは、それぞれ第13番染色体及びX染色体に位置する、miR−17−92及びmiR−106a−92クラスターと高度の相同性を共有する。色は、同じファミリーのmiRNAを規定する。 [00084]図2A−2G:E2F1はmiR−106b−25発現を調節する。図2A:12時間のノコダゾール処理、そして続いての新鮮培地への放出により有糸分裂が同期化されたAGS細胞のFACS解析。 図2A−2G:E2F1はmiR−106b−25発現を調節する。細胞を異なる時点で採取し、ウエスタンブロットによりE2F1タンパク質含有量(図2B)及びqRT−PCRによりMcm7、miR−106b、miR−93及びmiR−25前駆体RNAレベル(図2C)について分析した。各分析は、3重に実行した。バーはU6+/−SDで正規化されたRNA発現を示す。AGS細胞は90%コンフルエンスで播種し、0.5%FBS含有RPMI1640培地中、36時間飢餓状態にした。細胞は次ぎに、25のM.O.I.でアデノGFPあるいはアデノE2Flウイルスに感染させ、さらに21時間インキュベートした;この時点では、細胞は形態学、トリパンブルー染色及びサブディプロイドDNA含量の分析により決定されるアポトーシスの徴候は示さなかった(データは示していない)。 図2A−2G:E2F1はmiR−106b−25発現を調節する。細胞を異なる時点で採取し、ウエスタンブロットによりE2F1タンパク質含有量(図2B)及びqRT−PCRによりMcm7、miR−106b、miR−93及びmiR−25前駆体RNAレベル(図2C)について分析した。各分析は、3重に実行した。バーはU6+/−SDで正規化されたRNA発現を示す。AGS細胞は90%コンフルエンスで播種し、0.5%FBS含有RPMI1640培地中、36時間飢餓状態にした。細胞は次ぎに、25のM.O.I.でアデノGFPあるいはアデノE2Flウイルスに感染させ、さらに21時間インキュベートした;この時点では、細胞は形態学、トリパンブルー染色及びサブディプロイドDNA含量の分析により決定されるアポトーシスの徴候は示さなかった(データは示していない)。 図2A−2G:E2F1はmiR−106b−25発現を調節する。 図2A−2G:E2F1はmiR−106b−25発現を調節する。miR−106b、miR−93及びmiR−25前駆体は、上記qRT−PCRにより測定した。Snu16細胞を、E2F1に対するsiRNA(100nM)でトランスフェクトし、miR−106b−25前駆体(図2E)及び成熟(図2F)種の発現を、上記qRT−PCRにより72時間後に決定した。バーはU6+/−SDで正規化されたRNA発現を示す。 図2A−2G:E2F1はmiR−106b−25発現を調節する。miR−106b、miR−93及びmiR−25前駆体は、上記qRT−PCRにより測定した。Snu16細胞を、E2F1に対するsiRNA(100nM)でトランスフェクトし、miR−106b−25前駆体(図2E)及び成熟(図2F)種の発現を、上記qRT−PCRにより72時間後に決定した。バーはU6+/−SDで正規化されたRNA発現を示す。 図2A−2G:E2F1はmiR−106b−25発現を調節する。図2G:図9に示したものと同一の胃原発性腫瘍中のE2F1タンパク質の発現。赤丸はqRT−PCRによって決定された、対応する腫瘍中のMcm7及びmiR−106b−25前駆体RNAの過剰発現を示す。 [00085]図3A−3F:E2F1は、miR−106b及びmiR−93の標的である。図3A:ステムループqRT−PCRにより決定された、ヒト胃癌細胞株及び正常粘膜における成熟miR−106b、miR−93及びmiR−25の内因性発現;バーはU6+/−SDで正規化されたRNA発現を示す。Snu−1細胞は胃神経内分泌腫瘍(NET)に由来すると考えられており、一方、RF1及びRF48細胞は胃のB細胞リンパ腫からである。すべての他の細胞株は胃腺癌からである。 図3A−3F:E2F1は、miR−106b及びmiR−93の標的である。図3B:ASOトランスフェクションによるmiR−106b及びmiR−93の阻害又は(図3C)オリゴヌクレオチドトランスフェクションによる同一miRNAの過剰発現、又は(図3D)レンチウイルス形質導入、48時間後のSnu−16細胞のウエスタンブロット。スクランブルRNA又はLNAオリゴヌクレオチドを、陰性対照として使用した。タンパク質発現を定量し、GAPDHで正規化した。類似の結果がAGS及びMKN−74細胞において得られた(データは示していない)。 図3A−3F:E2F1は、miR−106b及びmiR−93の標的である。図3B:ASOトランスフェクションによるmiR−106b及びmiR−93の阻害又は(図3C)オリゴヌクレオチドトランスフェクションによる同一miRNAの過剰発現、又は(図3D)レンチウイルス形質導入、48時間後のSnu−16細胞のウエスタンブロット。スクランブルRNA又はLNAオリゴヌクレオチドを、陰性対照として使用した。タンパク質発現を定量し、GAPDHで正規化した。類似の結果がAGS及びMKN−74細胞において得られた(データは示していない)。 図3A−3F:E2F1は、miR−106b及びmiR−93の標的である。図3B:ASOトランスフェクションによるmiR−106b及びmiR−93の阻害又は(図3C)オリゴヌクレオチドトランスフェクションによる同一miRNAの過剰発現、又は(図3D)レンチウイルス形質導入、48時間後のSnu−16細胞のウエスタンブロット。スクランブルRNA又はLNAオリゴヌクレオチドを、陰性対照として使用した。タンパク質発現を定量し、GAPDHで正規化した。類似の結果がAGS及びMKN−74細胞において得られた(データは示していない)。 図3A−3F:E2F1は、miR−106b及びmiR−93の標的である。(図3E)pGL3−E2Fl−3’UTR及びmiR−106b又はmiR−93オリゴヌクレオチドで共トランスフェクトされた細胞において減少したルシフェラーゼ活性を示しているルシフェラーゼアッセイ。miRNAシード領域(seed region)と相補的な、三つの推定miR−106b/miR−93結合部位中の最初の三つの塩基の欠失は、この効果を取り消した(MUT)。バーは、ウミシイタケルシフェラーゼ活性+/−SDで正規化されたホタルルシフェラーゼ活性を示す。各レポータープラスミドは少なくとも2回トランスフェクトし(異なった日に)、そして各サンプルは3重にアッセイした。 図3A−3F:E2F1は、miR−106b及びmiR−93の標的である。図3F:図3Cに示したものと同一の細胞におけるE2F1mRNA下方制御を示しているqRT−PCR分析。バーはU6+/−SDで正規化されたRNA発現を示す。 [00086]図4A−4E:miR−106b及びmiR−93はp21タンパク質発現を抑圧する。図4A:miR−106b及びmiR−93のASO(図4A)又は模倣体(図4BA)によるトランスフェクション、又は同一miRNAのレンチウイルス形質導入(図4C)後に、0.5%FBS含有RPMI1640中で増殖させたSnu−16細胞におけるP21発現。 図4A−4E:miR−106b及びmiR−93はp21タンパク質発現を抑圧する。図4A:miR−106b及びmiR−93のASO(図4A)又は模倣体(図4BA)によるトランスフェクション、又は同一miRNAのレンチウイルス形質導入(図4C)後に、0.5%FBS含有RPMI1640中で増殖させたSnu−16細胞におけるP21発現。 図4A−4E:miR−106b及びmiR−93はp21タンパク質発現を抑圧する。図4A:miR−106b及びmiR−93のASO(図4A)又は模倣体(図4BA)によるトランスフェクション、又は同一miRNAのレンチウイルス形質導入(図4C)後に、0.5%FBS含有RPMI1640中で増殖させたSnu−16細胞におけるP21発現。 図4A−4E:miR−106b及びmiR−93はp21タンパク質発現を抑圧する。図4D:miR−106bあるいはmiR−93オリゴヌクレオチドでトランスフェクトしたSnu−16細胞中のp21 mRNAレベルに有意な差がないことを示しているqRT−PCR結果。バーはU6+/−SDで正規化されたRNA発現を示す。 図4A−4E:miR−106b及びmiR−93はp21タンパク質発現を抑圧する。図4E:pGL3−p21−3’UTR及びmiR−106b又はmiR−93オリゴヌクレオチドで共トランスフェクトされた細胞において減少したルシフェラーゼ活性を示しているレポーターアッセイ。miRNAシード領域と相補的な、miR−106b/miR−93予測結合部位の最初の3塩基の欠失は、この効果を取り消した(MUT)。バーは、ウミシイタケルシフェラーゼ活性+/−SDで正規化されたホタルルシフェラーゼ活性を示す。各レポータープラスミドは少なくとも2回トランスフェクトし(異なった日に)、そして各サンプルは3重にアッセイした。 [00087]図5A−5D:miR−106b及びmiR−93の過剰発現は、TGFE−依存性Gl/S細胞周期停止を妨げる。図5A:1ng/mlのTGFEに対するSnu−16細胞の生理応答:刺激の初期段階(16時間)において、細胞はGl/S細胞周期停止を行うが、一方、サブディプロイド(subdiploid)DNA含量により決定されるアポトーシスは未だ限定されている。アポトーシスを行っている細胞の数は、続いての時間において次第に増加する。 図5A−5D:miR−106b及びmiR−93の過剰発現は、TGFE−依存性Gl/S細胞周期停止を妨げる。図5B:TGFE刺激16時間後の、E2F1タンパク質(図5C)及びMcm7、miR−106b、miR−93及びmiR25前駆体の下方調節。バーはU6+/−SDで正規化されたRNA発現を示す。 図5A−5D:miR−106b及びmiR−93の過剰発現は、TGFE−依存性Gl/S細胞周期停止を妨げる。図5B:TGFE刺激16時間後の、E2F1タンパク質(図5C)及びMcm7、miR−106b、miR−93及びmiR25前駆体の下方調節。バーはU6+/−SDで正規化されたRNA発現を示す。 図5A−5D:miR−106b及びmiR−93の過剰発現は、TGFE−依存性Gl/S細胞周期停止を妨げる。図5D:Snu−16細胞を、示されたオリゴヌクレオチドでトランスフェクトし、12時間後、1ng/mlのTGFEで処理した。上のパネル:p21タンパク質発現。下のパネル:FACS解析、対応のない(unpaired)t検定を使用する、偽及びmiRNAトランスフェクト細胞間のGl/S分画の比較。 図5A−5D:miR−106b及びmiR−93の過剰発現は、TGFE−依存性Gl/S細胞周期停止を妨げる。図5D:Snu−16細胞を、示されたオリゴヌクレオチドでトランスフェクトし、12時間後、1ng/mlのTGFEで処理した。上のパネル:p21タンパク質発現。下のパネル:FACS解析、対応のない(unpaired)t検定を使用する、偽及びmiRNAトランスフェクト細胞間のGl/S分画の比較。 [00088]図6A−6F:内因性miR−106b及びmiR−93発現の抑制は、TGFE−依存性Gl/S細胞周期停止を増強する。図6A:ASOトランスフェクションにより内因性miRNAを抑制後、TGFEで処理されたSnu−16細胞における細胞周期の分析。p値は、ASOトランスフェクト細胞と偽トランスフェクト細胞中のGl分画を比較して計算した(対応のないt検定)。 図6A−6F:内因性miR−106b及びmiR−93発現の抑制は、TGFE−依存性Gl/S細胞周期停止を増強する。(図6B)0.1〜5.0ng/mlの範囲の、TGFPの段階的用量で処理されたSnu−16の用量応答曲線。FACS解析により決定されるように、ASOトランスフェクションによる内因性miR−106b又はmiR−93の抑制は、さもなくば抵抗性であるTGFP用量である(0.1〜0.3ng/ml)に対してSnu−16細胞の感受性を回復する。*はP<0.0001を示す。 図6A−6F:内因性miR−106b及びmiR−93発現の抑制は、TGFE−依存性Gl/S細胞周期停止を増強する。それぞれウエスタンブロット及びqRT−PCRによる、p21タンパク質(図6C)及び(図6D)p21mRNA発現の分析。バーはU6+/−SDで正規化されたRNA発現を示す。内因性miR−106b及びmiR−93の抑制により誘発されるp21タンパク質上方調節の程度は、TGFPの存在により非常に増強され、おそらくp21 mRNAの増加した転写により支えられている。 図6A−6F:内因性miR−106b及びmiR−93発現の抑制は、TGFE−依存性Gl/S細胞周期停止を増強する。それぞれウエスタンブロット及びqRT−PCRによる、p21タンパク質(図6C)及び(図6D)p21mRNA発現の分析。バーはU6+/−SDで正規化されたRNA発現を示す。内因性miR−106b及びmiR−93の抑制により誘発されるp21タンパク質上方調節の程度は、TGFPの存在により非常に増強され、おそらくp21 mRNAの増加した転写により支えられている。 図6A−6F:内因性miR−106b及びmiR−93発現の抑制は、TGFE−依存性Gl/S細胞周期停止を増強する。(図6E)Snu−16細胞を、p21に対するsiRNA単独、又はmiR−106bあるいはmiR−93模倣体と組み合わせてトランスフェクトし、そして1ng/mlのTGFPで16時間処理した。p21サイレンシング後、miR−106bは細胞周期に対するその効果のすべてを失ったが、miR−93は残余効果を未だに維持していた。miR−106b及びmiR−93間のこの異なった応答は、統計的に有意であった(P=0.0272)。 図6A−6F:内因性miR−106b及びmiR−93発現の抑制は、TGFE−依存性Gl/S細胞周期停止を増強する。(図6F)TGFP刺激によるGl/Sチェックポイントに関与する種々のタンパク質のウエスタンブロットによる発現の分析。 [00089]図7A−7G:miR−25は、miRNA模倣体でトランスフェクトされたSnu−16細胞のTGFP誘発アポトーシスの発生を妨げることにおいて(CCK−8生存率アッセイ)、miR−106b及びmiR−93と協力する。 図7A−7G:miR−25は、miRNA模倣体でトランスフェクトされたSnu−16細胞のTGFP誘発アポトーシスの発生を妨げることにおいて(CCK−8生存率アッセイ)、miR−106b及びmiR−93と協力する。*は、miR−106b、miR−93、miR−25及び/又はmiR−106b−25でのトランスフェクション、続いての1ng/mlのTGFPで48時間の処理による、生存細胞数の有意差を示す(P<0.001)。 図7A−7G:miR−25は、miRNA模倣体でトランスフェクトされたSnu−16細胞のTGFP誘発アポトーシスの発生を妨げることにおいて(CCK−8生存率アッセイ)、miR−106b及びmiR−93と協力する。(図7B)逆に、miR−106b、miR−93及びmiR−25の阻害は、TGFPに対する応答を協力的に増大させる:三つのASOの混合物のトランスフェクションで統計的有意性(P<0.001)に達した。 図7A−7G:miR−25は、miRNA模倣体でトランスフェクトされたSnu−16細胞のTGFP誘発アポトーシスの発生を妨げることにおいて(CCK−8生存率アッセイ)、miR−106b及びmiR−93と協力する。(図7C)生存率の有意な喪失は、サブディプロイドDNA含量の分析により確認した。 図7A−7G:miR−25は、miRNA模倣体でトランスフェクトされたSnu−16細胞のTGFP誘発アポトーシスの発生を妨げることにおいて(CCK−8生存率アッセイ)、miR−106b及びmiR−93と協力する。(図7D)miRNA模倣体あるいはASOでのトランスフェクション後、又は同一のmiRNAのレンチウイルス形質導入後48時間でのSnu−16細胞のBimタンパク質発現。Bim発現に対する同じ効果がAGS及びMKN−74細胞で得られた(データは示していない)。 図7A−7G:miR−25は、miRNA模倣体でトランスフェクトされたSnu−16細胞のTGFP誘発アポトーシスの発生を妨げることにおいて(CCK−8生存率アッセイ)、miR−106b及びmiR−93と協力する。(図7E)pGL3−Bim−3’UTR及びmiR−25で共トランスフェクトされた細胞において減少したルシフェラーゼ活性を示しているルシフェラーゼアッセイ。miRNAシード領域と相補的な、miR−25予測結合部位の最初の3塩基の欠失は、この効果を取り消した(MUT)。バーは、ウミシイタケルシフェラーゼ活性+/−SDで正規化されたホタルルシフェラーゼ活性を示す。各レポータープラスミドは少なくとも2回トランスフェクトし(異なった日に)、そして各サンプルは3重にアッセイした。 図7A−7G:miR−25は、miRNA模倣体でトランスフェクトされたSnu−16細胞のTGFP誘発アポトーシスの発生を妨げることにおいて(CCK−8生存率アッセイ)、miR−106b及びmiR−93と協力する。(図7F)miR−25オリゴヌクレオチドでトランスフェクトしたSnu−16細胞におけるBim mRNA(二つの主なアイソフォームBim EL及びBim Lを認識するTaqManプローブ)において相違がないことを示しているqRT−PCR分析。バーはU6+/−SDで正規化されたRNA発現を示す。 図7A−7G:miR−25は、miRNA模倣体でトランスフェクトされたSnu−16細胞のTGFP誘発アポトーシスの発生を妨げることにおいて(CCK−8生存率アッセイ)、miR−106b及びmiR−93と協力する。(図7G)miR−25オリゴヌクレオチド、si−Bim、両方又はスクランブルオリゴヌクレオチドでトランスフェクトし、その後1ng/mlのTGFEOで24時間処理したSnu−16細胞中のサブディプロイドDNA含量のFACS分析。上記のように統計分析。 [00090]図8:E2Fl/miR−106b−25/p21経路。モデルは.本明細書に記載されたmiR−106、miR−93及びmiR−25の作用機構を要約している。 [00091]図9A−9D:胃癌におけるmiR−106b−25クラスターの発現。図9A:293T/17細胞は、示されたように、100nMのmiRNAオリゴヌクレオチド(Ambion)でトランスフェクトし、ステムループqRT−PCRによりmiRNA発現についてアッセイした。miR−106b、miR−93、miR−25プライマーは高い特異性を示し、一方、miR−17−5p及びmiR−92プライマーは、それぞれmiR−106a及びmiR−25と交差ハイブリダイズした。結果はU6で正規化し、同一のスケールに変換した。 図9A−9D:胃癌におけるmiR−106b−25クラスターの発現。10の胃原発性腫瘍及び10の非腫瘍対照の組における成熟(図9B)及び前駆体(図9C)miRNAの発現はqRT−PCRにより決定した。バーは、同じ患者からの腫瘍及び非腫瘍組織間の相対的変化倍率+/−SDを示す。各サンプルは3重に分析し、各々RNU49(成熟miRNAs)又はCAPN2(前駆体 miRNA及びMcm7)で正規化した:これらの遺伝子は、試験されたこれらのサンプルの12の異なった標準化物の中で最も少ない生存率(<0.4Ct値)を示した。 図9A−9D:胃癌におけるmiR−106b−25クラスターの発現。10の胃原発性腫瘍及び10の非腫瘍対照の組における成熟(図9B)及び前駆体(図9C)miRNAの発現はqRT−PCRにより決定した。バーは、同じ患者からの腫瘍及び非腫瘍組織間の相対的変化倍率+/−SDを示す。各サンプルは3重に分析し、各々RNU49(成熟miRNAs)又はCAPN2(前駆体 miRNA及びMcm7)で正規化した:これらの遺伝子は、試験されたこれらのサンプルの12の異なった標準化物の中で最も少ない生存率(<0.4Ct値)を示した。 図9A−9D:胃癌におけるmiR−106b−25クラスターの発現。(図9)Snu−16細胞に、miR−106b、miR−93、miR−25又はmiR−106b−25クラスターを運んでいるレンチウイルスベクターを形質導入し、72時間後、qRT−PCRにより成熟miRNAレベルを測定した。バーは、U6+/−SDで正規化され、同一のスケールに変換されたRNA発現を示す。>90%の導入効率を蛍光顕微鏡法により確認した。類似の結果がAGS細胞においても得られた(データは示していない)。 [00092]図10A〜l0G:高い/低いmiR−106b−25(基本条件)を有する細胞の増殖研究。それぞれmiRNA ASO又は模倣体でトランスフェクトしたSnu−16(図10A、図10C)及びAGS(図10B、図10D)細胞のFACS分析及び増殖曲線。 図10A〜l0G:高い/低いmiR−106b−25(基本条件)を有する細胞の増殖研究。それぞれmiRNA ASO又は模倣体でトランスフェクトしたSnu−16(図10A、図10C)及びAGS(図10B、図10D)細胞のFACS分析及び増殖曲線。 図10A〜l0G:高い/低いmiR−106b−25(基本条件)を有する細胞の増殖研究。それぞれmiRNA ASO又は模倣体でトランスフェクトしたSnu−16(図10A、図10C)及びAGS(図10B、図10D)細胞のFACS分析及び増殖曲線。 図10A〜l0G:高い/低いmiR−106b−25(基本条件)を有する細胞の増殖研究。それぞれmiRNA ASO又は模倣体でトランスフェクトしたSnu−16(図10A、図10C)及びAGS(図10B、図10D)細胞のFACS分析及び増殖曲線。 図10A〜l0G:高い/低いmiR−106b−25(基本条件)を有する細胞の増殖研究。(図10E)CMVプロモーター制御下のmiR−106b、miR−93、miR−25又はmiR−106b−25前駆体を運んでいる蛍光レンチウイルスベクターで安定的に形質導入されたAGS細胞の増殖曲線。>95%の感染効率は、蛍光顕微鏡法により決定した。 図10A〜l0G:高い/低いmiR−106b−25(基本条件)を有する細胞の増殖研究。(図10F)コロニー形成アッセイ:AGS細胞を、miR−106b、miR−93、miR−25又はmiR−106b−25前駆体又はスクランブル配列をコードするpRetroSuper-Puro構築物でトランスフェクトし、14日間、2ug/mlピューロマイシン中で増殖させた。これらすべての条件による効率的miRNA発現及びプロセッシングはノーザンブロット及びステムループqRT−PCRによりアッセイした(データは示していない)。 図10A〜l0G:高い/低いmiR−106b−25(基本条件)を有する細胞の増殖研究。(図10F)コロニー形成アッセイ:AGS細胞を、miR−106b、miR−93、miR−25又はmiR−106b−25前駆体又はスクランブル配列をコードするpRetroSuper-Puro構築物でトランスフェクトし、14日間、2ug/mlピューロマイシン中で増殖させた。これらすべての条件による効率的miRNA発現及びプロセッシングはノーザンブロット及びステムループqRT−PCRによりアッセイした(データは示していない)。 図10A〜l0G:高い/低いmiR−106b−25(基本条件)を有する細胞の増殖研究。(図10F)コロニー形成アッセイ:AGS細胞を、miR−106b、miR−93、miR−25又はmiR−106b−25前駆体又はスクランブル配列をコードするpRetroSuper-Puro構築物でトランスフェクトし、14日間、2ug/mlピューロマイシン中で増殖させた。これらすべての条件による効率的miRNA発現及びプロセッシングはノーザンブロット及びステムループqRT−PCRによりアッセイした(データは示していない)。 図10A〜l0G:高い/低いmiR−106b−25(基本条件)を有する細胞の増殖研究。(図10G)RNAiによりp21あるいはE2F1が選択的にサイレンシングされているSnu−16細胞の増殖曲線及び(H)FACS解析。p21発現の抑制は、細胞周期に影響を及ぼしたが、miR−93とは区別できなかった。 (図10G)RNAiによりp21あるいはE2F1が選択的にサイレンシングされているSnu−16細胞の増殖曲線及び(H)FACS解析。p21発現の抑制は、細胞周期に影響を及ぼしたが、miR−93とは区別できなかった。 [00093]図11:TGFE存在下におけるMKN−74細胞生存率アッセイ。MKN−74細胞を、示したLNAオリゴヌクレオチドでトランスフェクトして内因性miRNA発現をサイレンシングし、続いてTGFEで96時間処理した。細胞生存率は、CCK−8アッセイにより決定した。 [00094]図12:miR−25を過剰発現している細胞のアネキシンVアッセイ。図7Gに示した結果は、アネキシンV染色により確認した。 [00094]図12:miR−25を過剰発現している細胞のアネキシンVアッセイ。図7Gに示した結果は、アネキシンV染色により確認した。 [00094]図12:miR−25を過剰発現している細胞のアネキシンVアッセイ。図7Gに示した結果は、アネキシンV染色により確認した。 [00094]図12:miR−25を過剰発現している細胞のアネキシンVアッセイ。図7Gに示した結果は、アネキシンV染色により確認した。 [00095]図13:表1:慢性胃炎対正常胃粘膜において差次的に発現されたmiRNA。 [00096]図14−表2:胃腺癌対非腫瘍胃粘膜において差次的に発現されたmiRNA。 [00097]図15−表3:ヒト胃癌細胞株におけるマイクロRNA発現。 [00097]図15−表3:ヒト胃癌細胞株におけるマイクロRNA発現。 [00097]図15−表3:ヒト胃癌細胞株におけるマイクロRNA発現。 [00097]図15−表3:ヒト胃癌細胞株におけるマイクロRNA発現。 [00097]図15−表3:ヒト胃癌細胞株におけるマイクロRNA発現。 [00097]図15−表3:ヒト胃癌細胞株におけるマイクロRNA発現。 [00097]図15−表3:ヒト胃癌細胞株におけるマイクロRNA発現。 [00097]図15−表3:ヒト胃癌細胞株におけるマイクロRNA発現。 [00097]図15−表3:ヒト胃癌細胞株におけるマイクロRNA発現。 [00097]図15−表3:ヒト胃癌細胞株におけるマイクロRNA発現。 [00097]図15−表3:ヒト胃癌細胞株におけるマイクロRNA発現。 [00097]図15−表3:ヒト胃癌細胞株におけるマイクロRNA発現。 [00097]図15−表3:ヒト胃癌細胞株におけるマイクロRNA発現。 [00097]図15−表3:ヒト胃癌細胞株におけるマイクロRNA発現。 [00097]図15−表3:ヒト胃癌細胞株におけるマイクロRNA発現。 [00097]図15−表3:ヒト胃癌細胞株におけるマイクロRNA発現。 [00097]図15−表3:ヒト胃癌細胞株におけるマイクロRNA発現。 [00097]図15−表3:ヒト胃癌細胞株におけるマイクロRNA発現。 [00097]図15−表3:ヒト胃癌細胞株におけるマイクロRNA発現。 [00097]図15−表3:ヒト胃癌細胞株におけるマイクロRNA発現。 [00097]図15−表3:ヒト胃癌細胞株におけるマイクロRNA発現。 [00097]図15−表3:ヒト胃癌細胞株におけるマイクロRNA発現。 [00097]図15−表3:ヒト胃癌細胞株におけるマイクロRNA発現。 [00098]図16−表4:qRT−PCRによる、対にしたヒト原発性腫瘍対非腫瘍対照におけるマイクロアレイデータの検証。 [00099]図17:表5:10対の胃原発性腫瘍及び非腫瘍対照におけるMcm7 mRNA及びmiR−106b−25発現。 [000100]図18:表6:同一3’UTR上に推定miR−106b、miR−93及びmiR−25結合部位を有するヒト遺伝子。] 図10A 図10B 図10C 図10D 図10E 図10F-1 図10F-2 図10F-3 図10G 図10H [0061] 好ましい態様の詳細な説明 [000101]本開示を通して、種々の刊行物、特許及び公開された特許明細書は引用を特定することにより参照される。これらの刊行物、特許及び公開された特許明細書の開示は、本発明が関与する分野の状態をより完全に記述するために、本開示に引用文献として組み入れられる。] [0062] [000102]E2F1活性及びTGFEへの抵抗性の調節解除は、胃癌の顕著な特徴である。マイクロRNA(miRNA)は、ヒト悪性腫瘍でしばしば誤調節されている、短鎖非コードRNAである。] [0063] [000103]ここに我々は、ヒト胃腫瘍のサブセット中の上方調節されたmiR−106b−25クラスターが、その宿主遺伝子Mcm7と並行してE2F1により活性化されていることを示す。順に、miR−106b及びmiR−93はE2F1発現を調節し、miRNA依存性ネガティブフィードバックループを確立している。さらに、これらのmiRNAの上方調節は、CDKN1A(p21/WAF1/Cip1)及びBCL2L11(Bim)の発現を妨害している、TGFE腫瘍抑制経路を害する。一緒にすると、これらの結果は、miR−106b−25クラスターが、E2F1転写後調節に関与することを示し、胃癌におけるTGFE抵抗性の発生に鍵となる役割を果たすことができる。] [0064] [000104]マイクロRNA(miRNA)は、標的mRNA翻訳を抑制するか、又はその分解を誘発して、全ヒト遺伝子のおよそ30%の発現を調節することができる、短鎖非コードRNAである。これらの遺伝子は、ヒト悪性腫瘍において異常に発現されており、それらの生物学的重要性をますます明らかなものにしている。胃癌は、毎年、全癌関連死の12%の原因となっており、この疾患の発症の基礎をなす分子機構のより深い理解に基づいたより良い治療が必要とされている。] [0065] [000105]ここに、miR−106b−25クラスターの過剰発現が、G1/Sチェックポイントを破壊し及びTGFE依存性アポトーシスに対する抵抗性を付与する、TGFEエフェクターp21/WAF1/Cip1及びBimのような重要な癌関連遺伝子の調節解除を導くことが示される。] [0066] [000106]マイクロRNA(miRNA)が胃腫瘍発生に関与できることも示される。miRNAは、mRNAの翻訳を抑制するか、又はその分解を誘発して、ヒト遺伝子の30%までの発現を調節すると考えられている、非タンパク質コード遺伝子である(Lewis et al.2005)。細胞分化及び生物体発生における重要な役割(Kloosterman and Plasterk, 2006)のほかにも、miRNAはヒト癌においてしばしば誤調節されており(Lu et al., 2005; Volinia et al., 2006)、そしてそれらは強力な癌遺伝子かあるいは腫瘍抑制遺伝子として働き得る(Esquela-Kersher et al. 2006)。] [0067] [000107]ここに、E2F1が、Mcm7遺伝子に含まれるイントロン性miRNAのクラスター、miR−106b、miR−93及びmiR−25を調節し、胃原発性腫瘍においてそれらの蓄積を誘発することが示される。逆に、miR−106b及びmiR−93はE2F1発現を制御し、E2F1自己活性化そして、おそらくアポトーシスを防止することにおいて重要であることができる、ネガティブフィードバックループを確立している。] [0068] [000108]一方、miR−106b、miR−93及びmiR−25過剰発現が、それぞれTGFE依存性細胞周期停止及びアポトーシスの二つの最も重要な下流エフェクター、p21及びBimの合成を妨げる、TGFEに対する胃癌細胞の減少した応答を引き起こしていることを発見した。] [0069] [000109]これらのmiRNAは、癌細胞におけるTGFE抵抗性の発生に寄与しており、胃癌治療の新規の治療標的であると発明者は現在考えている。 [000110]本発明は以下の実施例でさらに説明され、特に記載しない限り、すべての部分及びパーセンテージは重量によるものであり、度は摂氏である。これらの実施例は、本発明の好ましい態様を示しているが、例示のためにのみ与えられていることを理解すべきである。上記の議論及びこれらの実施例から、当業者は本発明の本質的特徴を確かめることができ、そしてそれらの精神及び範囲から離れることなく、多様な使用及び条件に適合させるために本発明の多様な変形及び修正を行うことができる。本明細書で言及された、特許及び非特許文献を含む全ての出版物は、本明細書において特別に援用される。] [0070] [000111]実施例1 [000112]ヒト胃癌におけるmiRNA発現の調節解除 [000113]ほとんどの胃腺癌は、慢性炎症性バックグラウンドとの関連において生じ、しばしば、ヘリコバクターピロリ(HP)感染に関連する(Uemura et al., 2001)。それにもかかわらず、Th1免疫応答が胃の萎縮症及び腸上皮化生のような前癌病変部の発生に決定的であるようであるが、HP発癌性の原因となる分子機構には不明の点が多い(Houghton et al., 2002; Fox et al., 2000)。] [0071] [000114]胃腫瘍発生に関与する可能性があるmiRNAの探索において、特別注文のmiRNAマイクロアレイを使用し、腸型の20の胃原発性腫瘍(各々が同一患者からの隣接する非腫瘍胃組織と対になっている)及び6の胃癌細胞株の広範囲のmiRNA発現を分析した。炎症及び/又は前癌病変部に関連した特異的変化を同定するため、最初に、慢性胃炎の組織学的兆候を有する非腫瘍組織(n=13)と他の正常粘膜(n=7)を比較した。対応のないマイクロアレイの有意性分析(SAM)により、7のmiRNAが慢性炎症と関連しており、癌の素因である(Costinean et al., 2006)及び免疫応答の調節に主な役割を果たす(Rodriguez et al., 2007; Thai et al., 2007) ことが知られているmiR−155が含まれていた(図1A、図13−表1)。] 図13 図1A [0072] [000115]次に、胃原発性腫瘍及び癌細胞株のmiRNA発現プロファイルを試験した:対応のあるSAMにより、非腫瘍対照と比較して原発性腫瘍においては総計で14のmiRNAが2倍又はそれ以上の中央値の過剰発現を示した(図1B、図14−表2)。これらの内、発現されなかったmiR−223を除き、発現の観点から全ての胃癌細胞株において、14の内の13が80パーセンタイル以上に位置付けられた(図15−表3)。5つのmiRNAのみが癌において下方調節された(図1B、図14−表2)。試験されたmiRNAの10の内の9についてはステムループqRT−PCRによりマイクロアレイデータを確認した(図16−表4)。誤調節されたmiRNAの内、miR−21、miR−223、miR−25及びmiR−17−5pは、それぞれ4.5、4.2、3.7及び3.7の中央値変化倍率を有し、腫瘍中で最も高い過剰発現を示した。] 図14 図16 [0073] [000116]腫瘍発生の最も早期の段階は、miR−21(Meng et al., 2006)及びmiR−17−5p(He et al., 2005)のような既知の発癌特性を有するmiRNAを伴うので、これらの結果は、miRNA発現パターンの特異的な改変がヒト胃癌に特徴的であることを示している。] [0074] [000117]miR−106b−25クラスターは胃癌において過剰発現されている [000118]過剰発現されたmiRNAの中で、miR−25が、特に有用であり、胃腫瘍発生において役割を果たしている魅力的な候補であることが発見された。実際、これは原発性胃腫瘍において3番目に最も強く上方制御されており(中央値の変化倍率:3.7;1.0〜26.8の範囲)、そして全てのヒト胃癌細胞株で最も高く発現されたmiRNAに位置付けられている(97パーセンタイル以上)。miR−106b(中央値変化倍率:2.0;1.0〜6.5の範囲)及びmiR−93(中央値変化倍率:2.3;1.0〜7.7の範囲)も原発性腫瘍において上方制御されており、そして全ての胃癌細胞株において高く発現されている(それぞれ82及び89パーセンタイル以上)。] [0075] [000119]これら3つのmiRNA(以後miR−106b−25)は、染色体7q22上のMcm7のイントロン13にクラスター化しており、Mcm7一次RNA転写産物との関連で活発に共転写される(Kim et al., 2007、及び図1C〜E)。いくつかの研究は、胃腫瘍におけるこの領域の増幅を報告している(Weiss et al., 2004; Peng et al., 2003; Takada et al., 2005)。しかしながら我々は、我々のサンプルにおいて、miR−106b−25座位の何の増幅も検出できず(データは示していない)、胃癌におけるmiR−106b−25過剰発現に他の機構が寄与しなければならないことを示唆している。] 図10A 図10B 図10C 図10D 図10E 図10F-1 図10F-2 図10F-3 図10G 図10H [0076] [000120]Mcm7は、G1/S期移行で中心的役割を果たし、染色体DNAの複製フォークの正しい組み立てを組織化し、そして各細胞周期で二回以上ではなく一回のみ全ゲノムが複製されることを確実にしている(Blow and Hodgson, 2002)。Mcm7の過剰発現は、前立腺及び子宮内膜癌における予後不良に関係してきているので(Ren et al., 2006; Li et al., 2005)、我々は、Mcm7発癌性を、少なくとも一部は、含まれているmiRNAの過剰発現に結び付けることができるということを仮定した。さらに、miR−106b−25クラスターは、miR−17−92クラスターと高度に相同性を共有し(図1C)、そのことは発癌に役割を有しているようである(He et al., 2005;O’Donnell et al., 2005; Dews et al., 2006)。] 図1C [0077] [000121]我々は次ぎに、miR−106b−25クラスターを調べた。我々はステムループqRT−PCRの特異性を最初に決定した。miR−106b、miR−93及びmiR−25のためのプライマーは高度に特異的であるが、一方、miR−17−5p及びmiR−92プローブは、それぞれmiR−106a及びmiR−25と交差ハイブリダイズした(図9A)。次ぎに、同一患者からの非腫瘍胃粘膜と対になった10の胃原発性腫瘍の独立した組における、成熟miRNA種の発現をアッセイするために、ステムループqRT−PCRを使用した。] 図9A [0078] [000122]成熟miR−106b、miR−93及びmiR−25は、それぞれ、これらの腫瘍の6/10、6/10及び5/10において過剰発現されたけれども、それらの発現レベルに相互相関はなかった(図9B)。] 図9B [0079] [000123]慣用的qRT−PCRにより、同一の腫瘍中のmiRNA前駆体レベルを試験し(図9C)、miR−106b、miR−93及びmiR−25前駆体種が腫瘍中で一致して発現されていることを発見した[r(106b/93)=0.93;r(106b/25)=0.78;r(93/25)=0.88、図17−表5]。] 図17 図9C [0080] [000124]miR−106b−25前駆体を過剰発現している5腫瘍の内、3腫瘍は成熟miR−106b、miR−93及びmiR−25も高レベルで発現していたが、一方、残りの腫瘍は各成熟miRNAの不定発現を示し、個々のmiRNAを制御している転写後調節の追加のレベルを示している。] [0081] [000125]Mcm7mRNAは、5/10腫瘍においても過剰発現されており、miR−106b、miR−93及びmiR−25前駆体レベルとのほとんど完全な相関(それぞれ、r=0.98、0.92、0.72、図9C及び図17−表5)を示している。] 図17 図9C [0082] [000126]これらのデータは、miR−106b−25前駆体が、Mcm7mRNAと並行して胃原発性腫瘍のサブセットにおいて特異的に過剰発現されていることを示す。miR−106b−25独立プロモーターの可能性を排除することができないけれども、我々の結果は、胃腫瘍におけるmiR−106b−25転写が、宿主遺伝子Mcm7により駆動されていることを示している。さらに、最近他のmiRNAについて提案されたように(Thomson et al., 2006)、転写後機構も成熟miR−106b−25のレベルの決定に主要な役割を果たしている。] [0083] [000127]ネガティブフィードバックループはE2F1及びmiR−106b−25発現を制御する [000128]E2F1は、Mcm7(Suzuki et al., 1998; Arata et al., 2000)を含む染色体DNA複製に関与する、多様な遺伝子をトランス活性化する転写因子である(Johnson and DeGregori, 2006)。発明者は現在、miR−106b−25転写が同様 にE2F1により調節されるであろうと考えている。このことを試験するため、我々は最初に、E2F1タンパク質レベルの内因性変動が、Mcm7及びmiR−106b−25発現の同様の変化に一致するかどうかを決定した。興味深いことに、12時間のノコダゾール処理により有糸分裂が停止されているAGS胃癌細胞は、E2F1タンパク質を発現せず、そして対数増殖期細胞と比較して、Mcm7転写体(2倍)及び、miR−106b、miR−93及びmiR−25前駆体(それぞれ4.0、5.2及び12.0倍)の減少を示した。細胞を解放すると、G1期に再び入り、E2F1発現はMcm7、miR−106b、miR−93及びmiR−25前駆体RNA再蓄積と並行していた(図2A〜C)。] 図10A 図10B 図10C 図10D 図10E 図10F-1 図10F-2 図10F-3 図10G 図10H [0084] [000129]このプロセスは、E2F1発現と直接的に関連しており、なぜなら、アデノウイルス形質導入によるその特異的過剰発現(図2D)又はRNA干渉によるサイレンシング(図2E)も、miR−106b−25前駆体レベルの一致した変化を誘導するからである。その上、E2F1の機能喪失は、72時間後に成熟miRNAの発現に影響を与える(図2F)。] 図2D 図2E 図2F [0085] [000130]インビボでのデータをさらに検証するため、ウエスタンブロットにより10の原発性胃腫瘍におけるE2F1タンパク質発現を分析し、E2F1タンパク質とMcm7/miR−106b−25前駆体発現間に正の相関を見出した(図2G)。実際、E2F1を過剰発現している5腫瘍の内の4が、Mcm7及びmiR−106b−25前駆体のより高いレベルを示した(図9C)。これらの内、3腫瘍は成熟miR−106b、miR−93及びmiR−25も過剰発現した(図9B)。しかしながら、1腫瘍は、E2F1の検出可能なレベルなしに、Mcm7及びmiR−106b−25前駆体上方調節を示し、他の転写因子も、miR−106b−25の調節に関与することを示している。] 図2G 図9B 図9C [0086] [000131]これらの結果は、E2F1がMcm7と並行してmiR−106b−25発現を調節することを示し、胃癌におけるこれらのmiRNAの過剰発現は、少なくとも一部は、E2F1上方調節によるものであることを示している。] [0087] [000132]最近、miR−17−5pが、E2F1の新規転写後調節因子として提案された(O’ Donnell et al., 2005)。miR−17−5p、miR−106b及びmiR−93配列間の類似性を考え、miR−106b及びmiR−93がE2F1発現の調節に関与することができる可能性を調べた。なぜなら、これらのmiRNAは、qRT−PCRにより分析された12の胃癌細胞株の一団において散在的に発現されており(図3A)、miR−106b−25に拮抗するための機能の喪失アプローチを採用した。miR−106b及びmiR−93に対するLNAアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)のトランスフェクションは、Snu−16細胞においてE2F1タンパク質の蓄積を誘発し、これらのmiRNAの内因性レベルがその発現を制御していることを示している(図3B)。] 図3A 図3B [0088] [000133]また、オリゴヌクレオチドトランスフェクションあるいはレンチウイルス形質導入によるこれらのmiRNAの過剰発現(図9D)は、Snu−16及びAGS胃癌細胞株においてE2F1タンパク質レベルを明瞭に減少させ(図3C及び図3D)、そしてE2F1 3’UTRを含有するレポーターベクターの発現を抑制した。レポーターベクター中の推定miRNA結合部位の突然変異はこの効果を取り消し、miR−106b及びmiR−93がE2F1 3’UTRと直接的に相互作用することを示している(図3E)。しかしながら、miR−106b及びmiR−93トランスフェクションによりE2F1mRNAは2倍減少し、恐らく部分的mRNA分解又はE2F1転写活性化因子の下方変調のためであろう(図3F)。] 図3C 図3D 図3E 図3F 図9D [0089] [000134]miR−17−5pが、実際にE2F1転写を活性化し、miR−17−5p標的でもあるAIB−1タンパク質を抑制することにより、E2F1発現を二次的に抑制できることが議論されてきた(Hossain et al., 2006)。miRNAが同一経路内の異なった標的に作用することは非常に道理にあっているが、我々はAGS及びSnu−16細胞におけるAIB−1タンパク質レベルを分析し、miR−106bあるいはmiR−93でトランスフェクトした細胞中では、それぞれ、非常にわずかな減少か、又は少しも相違しておらず、AIB−1はmiR−106bの真に低親和性標的であり、部分的にのみE2F1下方制御に寄与することができることを示している(図3C)。] 図3C [0090] [000135]これらの結果を一緒にすると、E2F1はmiR−106b−25発現を調節するが、miR−106b及びmiR−93の標的でもあり、胃癌細胞におけるネガティブフィードバックループを確立していることを示す。E2F1は、ポジティブフィードバックループを介してそれ自身のプロモーターを自己活性化することが知られており、これらのmiRNAは、相同体miR−17−5p及びmiR−20aについて最近提案されたように(Sylvestre et al., 2007; Woodset al., 2007)、E2F1タンパク質合成の速度を調節することができ、その過剰な蓄積を防止している。] [0091] [000136]miR−106b及びmiR−93はTGFE誘発細胞周期停止を害する [000137]これらの結果は、細胞が有糸分裂を示し、そしてG1期に再び入ると、miR−106b−25転写が迅速に誘導されることを示している。これに基づいて、理想的にはE2F1と協同して、G0/G1関連活性を抑制することにおけるmiR−106b−25の可能な役割が仮定された。それ故、TargetScanデータベースを調べ、E2F1により負に制御されることが知られている遺伝子を探し、miR−106b及びmiR−93の推定標的としてCDKN1A(p21)を同定した。ヒト癌において高頻度に機能不全に陥るこの遺伝子は、細胞周期の鍵となる阻害因子である(Mattioli et al, 2007)。興味深いことに、Snu−16細胞において内因的に発現されたmiR−106b及びmiR−93が、p21を転写後に調節することが確認された。実際、ASOによるそれらの阻害は、p21タンパク質の発現を増強した(図4A)。逆に、オリゴヌクレオチドトランスフェクション(図4B)あるいはレンチウイルス形質導入(図4C)により達成されたmiR−106b及びmiR−93の上方調節は、p21mRNAレベルの有意な変化なしに、p21タンパク質発現を抑制した(図4D)。さらに、miR−106b及びmiR−93模倣体は、p21 3’UTRを含有するレポーターベクターの発現を阻害したが、一方、推定miRNA結合部位の突然変異はこの効果を抑止した(図4E)。] 図4A 図4B 図4C 図4D 図4E [0092] [000138]細胞周期の調節におけるp21の重要性を考慮し、胃癌細胞の増殖を調節することにおけるmiR106b−25の役割を追求することが決定された。予期せぬことに、ASOトランスフェクションにより誘発されたmiR−106b、miR−93及び/又はmiR−25機能の喪失は、Snu−16細胞の細胞周期及び増殖に有意な変化をもたらさなかった(図10A及び図10C)。同様に、オリゴヌクレオチドトランスフェクションあるいはレンチウイルス形質導入による三つのmiRNAの過剰発現は、AGS細胞の増殖速度及びコロニー形成効率を有意に改変しなかったが、miR−93過剰発現による限定されているがしかし再現性のある細胞周期摂動が注目された(S期の細胞が+8%、図10B、10D及び10E)。] 図10A 図10B 図10C [0093] [000139]GTL−16及びMKN−74胃癌細胞株を使用して類似の結果が得られており(データは示していない)、miR−106b−25機能が、インビトロでの胃癌細胞の生存及び増殖に必須ではないことを示している。しかしながら、RNAiによるp21あるいはE2F1の特異的サイレンシングは、同様に増殖には有意な変化を生み出さず(図10G及び10H)、これらの癌細胞株はp21基礎レベルに応答せず、そしてE2F1発現の喪失をうまく埋め合わせることが確認される。] 図10G [0094] [000140]次ぎに、TGFO存在下でのmiR−106b−25の役割を追求した:このサイトカインはp21及び他の抗増殖性分子の発現を誘導することにより、時宜を得た協調的な細胞周期停止及び消化管における成熟細胞のアポトーシスを確かにし、上皮細胞の生理学的回転を制御している(van den Brink and Offerhaus, 2007)。この極めて重要な腫瘍抑制経路の機能障害は、胃癌の顕著な特徴である(Ju et al., 2003; Park et al., 1994)。しかしながら、数少ない胃癌細胞株の中でも、Snu−16細胞はそれでもインビトロで比較的高用量のTGFOに応答して、G1/S停止及び続けての広範なアポトーシスを起こしている(Ohgushi et al., 2005 及び図5A)。それにもかかわらず、細胞の生存は24時間後に減少しており、このことはTGFOに付随する早期の分子変化を研究するための窓を開けている。] 図5A [0095] [000141]興味深いことに、TGFOによる刺激は、細胞が生理学的にG1/S停止を起こしている16時間後に、E2F1タンパク質、Mcm7mRNA及びmiR−106b−25前駆体の著しい下方調節を誘発し、これらのmiRNAの下方変調が、TGFOに対する生理学的応答の一部であることを示唆している(図5B及び5C)。このプロセスの重要性を確立するため、TGFO存在下、Snu−16細胞にmiR−106b、miR−93及び/又はmiR−25模倣体を導入することにより、miR−106b−25下方調節に対抗させた。とりわけ、miR−93の過剰発現はTGFO誘発細胞周期停止を完全に抑止し、一方、miR−106bはそれを部分的に減少させ(P<0.0002)、これらのmiRNAにより誘発されたp21の下方調節の程度と一致する(図5D)。] 図5B [0096] [000142]逆に、ASOにより内因性miR−106b及びmiR−93の発現を拮抗させると、TGFO依存性細胞周期停止を起こしているSnu−16細胞の数が有意に増加し(P<0.0013)、さもなければこれらの細胞が抵抗性である、TGFOの最適以下での投与量に対する感受性を回復した(P<0.0001)(図6a及び6B)。] [0097] [000143]従って、TGFO存在下、内因性miR106b及びmiR−93を抑制することにより達成されたp21上方調節の程度は(図6C)、基礎的条件の2倍であり(図4A)、おそらく活性なp21mRNAの転写により支えられているのであろう(図6D)。] 図4A 図6C 図6D [0098] [000144]miR−106b及びmiR−93の機能の獲得/欠失に関連する表現型を誘導することにおけるp21の役割を確立するため、TGFPで処理したSnu−16細胞において、RNAi(si−p21)によりp21を特異的にサイレンシングした。このことは、細胞周期分布に対するmiR−106b及びmiR−93過剰発現の効果をほぼ完全に再現し(図5D)、一方、si−p21とmiR−106b及びmiR−93のコトランスフェクションは、TGFO誘発細胞周期停止に対するこれらのmiRNAの効果を劇的に減少させ、この生物学的状況において、p21が一次標的であることを示唆している(図6E)。しかしながら、miR−93によるTGFO依存性細胞周期停止に対する小さいけれども統計学的に有意な効果が、p21の不存在下でそれでも観察可能であり(P=0.0272)、他の直接的又は間接的標的がp21と協同していることを暗示している。G1/Sチェックポイントに関与する遺伝子についての発現の分析から、p27がmiR−93の可能な間接的標的である(図6F)。] 図6E 図6F [0099] [000145]これらのデータは、miR−106b及びmiR−93が、転写後レベルでp21の発現を主として抑制してTGFO誘発細胞周期停止を妨げていることを示している。しかしながら、p21非依存性経路も、細胞周期制御に対するmiR−93の完全な効果を送達することに関与することができる。] [0100] [000146]miR−25は、TGFO誘発アポトーシスの開始を防止することにおいてmiR−106b及びmiR−93と協同する [000147]これらの結果は、TGFP刺激の初期段階に細胞周期停止を変調することにおけるmiR−106b及びmiR−93の役割を示している。最終的にはアポトーシスをもたらす、TGFPへの長期の暴露でのmiR−106b−25機能を分析した(Ohgushi et al., 2005、及び図5B)。] 図5B [0101] [000148]テトラゾリウム還元アッセイにより、TGFPで24〜48時間刺激したSnu−16細胞の生存率を試験した。これらの細胞へのmiR−106b、miR−93及び/又はmiR−25模倣体の導入はTGFPに対する著しい抵抗性を誘発した(図7A)。逆に、ASOトランスフェクションは、三つすべてのmiRNAが同時に抑制された場合、統計的有意性(P=0.003)に達する細胞数の負の傾向を誘発した(図7B)。三つのmiRNAのサイレンシングでサブディプロイド細胞数の有意な増加を示す(P<0.001)FACS分析により、この結果が確認された。さらに、このアッセイのより高い感度は、miR−106b、miR−93又はmiR−25の個々の抑制による、サブディプロイド細胞のパーセンテージのより小さいけれども有意な変化(P<0.001)の検出を可能にする(図7C)。最後に、miR−106b−25のサイレンシングは、さもなくば抵抗性のMKN−74細胞において、TGFEへの感受性を部分的に回復した(図11)。一緒にすると、これらの結果は、内因性miR−106b、miR−93及びmiR−25が、一つ以上の標的仲介TGFE依存的アポトーシスの発現を変調することにおいて協同するモデルと一致する。] 図11 図7A 図7B 図7C [0102] [000149]アポトーシスのエフェクターを探すためにTargetScanデータベースを検索し、miR−106b、miR−93及びmiR−25の推定結合部位を同時に含む18のヒト遺伝子の内、唯一の有力な候補としてBCL2L11(Bim)が同定された(図18−表6)。Bimは、Box及びBadのようなアポトーシス促進性分子を活性化することにより、及びBcl2及びBillのような抗アポトーシス分子に拮抗することにより、さまざまな組織においてアポトーシスを決定的に調節する、単BH3タンパク質である(Gross et al., 1999)。Bim及びそのパートナータンパク質の細胞内濃度の微妙なバランスが、アポトーシスを適切に調節するために極めて重要である。Bimはハプロ不全であり、単一アレルの不活性化でさえ、他のアレルの喪失なしに、マウスにおいて腫瘍のMyc誘発発生を促進する(Egle et al., 2004)。特に、BimはTGFE経路の最も下流のアポトーシスエフェクターであり、その下方変調はSnu−16細胞においてTGFE依存性アポトーシスを抑止する(Ohgushi et al., 2005)。] 図18 [0103] [000150]BimがmiR−106b−25の直接標的であったかどうかを決定した。Snu−16細胞はBimの三つの主なアイソフォーム、即ち、Bim EL、Bim L及びBim Sを発現する。興味深いことに、ASOにより内因性miR−25に拮抗することは、Snu−16細胞において三つすべてのアイソフォームの蓄積を誘発し、一方、オリゴヌクレオチドトランスフェクションあるいはレンチウイルス形質導入によるmiR−25過剰発現はこれらの発現を減少させた。これに反して、miR−106b及びmiR−93は、三つの試験された胃癌細胞株の内の三つにおいて、Bim発現に影響を及ぼさなかった(図7D)。] 図7D [0104] [000151]他の組織でのBim発現を調節することにおいて、miR−106b及びmiR−93がmiR−25と協同することはまだ可能であるが、これは胃癌において、三つのmiRNAの各々によりアポトーシスの複数のエフェクターが抑制されているモデルを支持する。] [0105] [000152]これらのアポトーシスエフェクターの一つとしてBimに焦点を当て、その3’UTR上のmiR−25予測結合部位が標的認識、及び引き続いての翻訳の阻害を仲介することを、ルシフェラーゼアッセイにより決定した(図7E)。さらに、Bim ELびBim LmRNAレベルは、Snu−16細胞においてmiR−25過剰発現によっても変化せず、転写後調節機構を示している(図7F)。] 図7E 図7F [0106] [000153]miR−25特異的抗アポトーシス機能に関連したBim下方制御の重要性を確立するため、三つの主なアイソフォームに対するsiRNAを使用してSnu−16細胞中のBimタンパク質を抑制し(si−Bim、図7D)、そして引き続いて、これらの細胞をTGFEで24時間処理した。特に、si−Bim及びmiR−25によりもたらされるアポトーシスからの保護は、サブディプロイドDNA含量及びアネキシンV染色により決定されるように、非常に類似していた。さらに、Bim及びmiR−25のコトランスフェクションは、有意な相加効果を有しておらず(P=0.6328)、Bim下方調節が、miR−25過剰発現細胞におけるTGFE誘発アポトーシスに対する抵抗性の主たる機構であることを示唆している(図7G及び図12)。] 図7D 図7G [0107] [000154]E2F1により活性化され、そしてヒト胃腺癌において上方制御されているmiR−106b−25クラスターが、細胞周期停止及びアポトーシスの両方に影響するTGFEに対する胃癌細胞の生理学的応答を変化させることが示された(図8)。] 図8 [0108] [000155]これらの発見は、TGFE腫瘍抑制経路の機能障害が胃腫瘍の発生決定的段階であるという胃癌モデルに特に関係している。 [000156]考察 [000157]胃癌発生の異なった段階において、miRNA発現の全ゲノム分析を実行した。胃腫瘍の大部分は慢性炎症性バックグラウンドを起源としており(Uemura et al., 2001)、前腫瘍及び腫瘍特異的変化間を区別する特定の関係性を考察した。] [0109] [000158]最初に、これまで無視されてきた、ヒト腫瘍中のmiRNAクラスターの特異的過剰発現を同定した。我々は胃癌に焦点を合わせたけれども、癌の他のタイプにおけるmiR−106b、miR−93及びmiR−25の過剰発現は一般的であるが、いまだ過小評価されているイベントである。] [0110] [000159]実際、miR−106b−25発現は、細胞増殖の基礎的機構に関与するE2F1及びMcm7の発現に密接に関連している。例えば、Mcm7は前立腺癌において高頻度に過剰発現されており(Ren et al., 2006)、実際、癌のこのタイプの大規模miRNA研究においてmiR−25上方調節が以前に記述されている(Volinia et al., 2006)。さらに、ステムループqRT−PCRプローブが、miR−25と交差ハイブリダイズし、ほとんどのヒト腫瘍において過剰発現されているmiR−92の発現のアッセイで普通に使用されることが示されている(Volinia et al., 2006)。しかしながら、ほとんど同一の配列と仮定すると、miR−106b−25及びmiR−17−92が、類似の(同一でなくとも)機能を発揮することにおいて協同することも非常にありそうであり、実際、miR−17−5p、miR−18a及びmiR−20aが同様にp21発現を阻害し、一方、miR−92はBim発現を抑制する(F.P. 及び A. V.,未発表データ)。さらに、miR−106b−25及びmiR−17−92の両方がE2F1により調節されている。けれども、これらのクラスターはいくつかの相違も示す。例えば、miR−106bはmiR−17−5pに似ているが、3ヌクレオチド短い:3’末端中の特異的配列がmiRNAの細胞内局在性を規定し得ることが報告されている(Hwang et al., 2007)。さらに、miR−19ファミリーは、miR−106b−25クラスターに示されていない(図2A)。] 図2A [0111] [000160]一方、miR−93はmiR−372及びmiR−373と同一のファミリーに属している:これらのmiRNAは、精巣性胚細胞腫瘍中で過剰発現され、そこでそれらはLATS2発現を害し、細胞を高p21レベルに対して非感受性にしている(Voorhoeve et al., 2006)。] [0112] [000161]本明細書で示したように、miR−93は同一経路内で作用し、直接的にp21発現を標的としている。それ故、miRNAのこのファミリーは、細胞周期の制御のための極めて重要なハブの調節に関与していると現在信じられており、そして癌に特定の関連性を有することができる。] [0113] [000162]さらに、miR−93はmiR−291−3p、miR−294及びmiR−295と高い配列相同性を共有する:これらのmiRNAは多能性ES細胞において特異的に発現され、そしてそれらは分化によりサイレンシングされるか、又は下方調節される(Houbaviy et al., 2003)。理論に縛られるわけではないが、本発明者は、これらのmiRNAはp21の調節に同様に関与することができることを本明細書において考えている。] [0114] [000163]本発明者は、miRNAが異なった機構を介して、細胞周期の調節に役割を果たしていることを示した。E2F1の場合、miRNAは調節性、重複フィードバックループとの関連において主として作用するように思われる。実際、別々のmiRNAクラスター上に位置するmiR−106b、miR−93、miR−17−5p及びmiR−20aは、E2F1によって制御され、おそらくその翻訳を阻害することにおいて協同している。] [0115] [000164]同時に、我々は、これらのmiRNAがp21発現の調節及びTGFEに対する早期応答に関与していることを発見した。本発明者は、これらがp21に収束する他の腫瘍抑制経路をも調節すると考えている。突然変異、欠失、過剰メチル化、ユビキチン化又は誤った局在化によるp21機能の喪失は頻繁なイベントであり、そしてヒト胃癌における負の予後因子である(Mattioli et al., 2007)。しかしながら、p21調節におけるmiRNAの役割は、従来探索されたことがない。研究された胃原発性腫瘍の80%は検出可能レベルでp21タンパク質を発現しないので、miRNA及びp21タンパク質発現間の逆の相関を確立することができなかった。しかしながら、原発性腫瘍におけるp21mRNAレベルは、しばしば正常組織に匹敵し、胃癌におけるp21下方調節の高頻度の原因としての翻訳後調節を示している(F.P及びA.V.、未発表データ)。] [0116] [000165]興味深いことに、p21発現の誘導は、TGFE刺激の初期段階においてmiR−106b/miR−93関連応答を惹起するための必要条件であるようである。逆に、RNAiによるp21のサイレンシングは、細胞周期に対するこれらのmiRNAの効果を劇的に減少させた。コンピューターによる方法により各miRNAについて数百の異なった標的が予測されるけれども、「一次miRNA標的」が特異的生物学的機能に重要であろうという証拠が増加している。例えば、miR−10bは乳癌細胞の細胞運動性及び侵襲性を増強し、このmiRNAについて百を超える標的が予測されるけれども、この表現型はその標的HOXD10の構成的発現で完全に元に戻る(Ma and Weinberg, 2007)。もちろん、これらの観察は、単一のmiRNAによる複数の標的の並行した調節が特異的機能を発揮するために必要であるという他の状況を排除するものではない。さらに、複数のmiRNAが、同一の機能を発揮することにおいて協同することができる。] [0117] [000166]これは、miR−106b−25クラスターが胃癌細胞をアポトーシスから保護する事例である。こうした効果は、異なったアポトーシス促進性分子の発現を抑制することにおいて協同する三つのmiRNA間で分配されている。我々は、miR−25の鍵となる標的として、TGFE経路の最も下流のアポトーシスエフェクター、Bim(Ohgushi et al., 2005)を同定した。これは胃癌モデルと特に関連性を有する。実際、TGFEは、胃恒常性維持の主な調節因子の一つであり、アポトーシスを介した上皮細胞の生理学的回転の調節において必須である(van den Brink and Offerhaus, 2007)。miR−106b及びmiR−93アポトーシス促進性標的の同一性は不明瞭なまま残っているが、miR−106b、miR−93及び/又はmiR−25過剰発現及び阻害にそれぞれ関連する抗アポトーシス及びアポトーシス促進性応答は明瞭に検出できる;これらの特性は、細胞周期停止が撤回される場合、TGFE刺激の後期段階で出現し、アポトーシスがTGFEへの胃細胞の応答を特徴付ける優位なプロセスとなる。サブディプロイドDNA含量の分析により容易に検出できる、単一miRNAの阻害で観察された小さいがしかし有意な変化は、三つのASOが一緒に送達された場合に生物学的一貫性を獲得し、これらのクラスター化miRNA間の協同的関係を裏付けている。] [0118] [000167]テトラゾリウム還元アッセイ及びサブディプロイドDNA含量の分析の両方により、単一ASOでトランスフェクトしたTGFE刺激細胞において反対の傾向が観察されたけれども、テトラゾリウム還元アッセイにおいては統計的有意性には達していなかった。これは、より小さな相違を除外するこのアッセイに付随する5〜10%の標準誤差のためである。これに反して、サブディプロイドDNA含量の分析における標準誤差は、我々が行って2%未満であった。] [0119] [000168]原発性腫瘍におけるBim発現を検討した場合、正常組織と比較して普遍的過剰発現が注目された(F.P.and A.V.未発表データ)。このことは、Bimが異常増殖を防ぐための自己防御機構として、発癌ストレスにより誘導されることを示している先行研究と一致している。具体的には、BimはMycトランスジェニックマウスにおいて過剰発現され、正常細胞の広範なアポトーシスを決定している。しかしながら、これらのマウスにおける腫瘍の発生は、不十分になる一つのBimアレルの喪失と一致する。さらに、Bimは、発癌ストレスを受けていない健常組織と比較して、腫瘍においては確かに過剰発現されたままである(Egle et al., 2004)。それ故、それ未満ではBimが不十分にしか生じない閾値を規定するのは難しく、インビボでのmiR−25上方調節の重要性を規定するための別の戦略が必要とされている。] [0120] [000169]転写調節からタンパク質分解まで、癌においてBim下方調節を導くいくつかの機構が記述されてきた(Yano et al., 2006; Tan et al., 2005)。これらの機構のすべてが明白にBimサイレンシングに寄与するが、我々は、胃癌におけるBim転写後調節の新規機構としてmiR−25干渉を提案する。] [0121] [000170]miRNAは単なる微調整分子であるのか、又はそれらは鍵となる遺伝子スイッチとして作用するのかどうかが、広範囲に論争されてきた。最近の研究は、特定の生物学的状況に依存して、両方の仮説がおそらく正しいことを示唆している。この視点から、癌におけるmiRNAの療法的可能性は、特定のmiRNA依存性機能変化の発生と厳密に関連していてもよい。腫瘍関連miRNAの作用機構を知ることは、miRNA依存性腫瘍の分子診断を確立することにおいて有用であり、miRNAに基づいた療法に最終的に応答する患者の合理的選択を可能にする。] [0122] [000171]実験手順 [000172]細胞培養及び処理: [000173]全ての細胞株は、ATCCから得、10%ウシ胎仔血清、ペニシリン及びストレプトマイシンを補給したRPMI1640培地中で培養した。細胞は100nMマイクロRNA前駆体(Ambion)、100nM si−p21(Santa Cruz)、100nM si−Bim(Cell Signaring)又は100nM LNAマイクロRNAアンチセンスオリゴヌクレオチド(Exiqon)を使用し、リポフェクタミン2000(Invitrogen)でトランスフェクトした。タンパク質可溶化液及び全RNAは示した時点に採取した。miRNAプロセッシング及び発現はノーザンブロット及びステムループqRT−PCRにより検証した。すべての細胞株について、BLOCK-IT Fluorescent Oligo(Invitrogen)を使用してトランスフェクション効率(>95%)を確認した。] [0123] [000174]同期化実験のためには、AGS細胞を0.03Pg/mlノコダゾール含有10%FBSRPMI1640中で12時間増殖させ、その後新鮮培地に放出する。細胞周期の進行を8時間までFACS分析により追跡し、その後、細胞は迅速に同期を失った。] [0124] [000175]TGFE実験のため、6ウェルプレート中、5ulリポフェクタミン2000及び100nM miRNA前駆体(Ambion)又はLNAアンチセンスオリゴヌクレオチド(Exiqon)を使用し、2x106Snu−16細胞をOptimem(GIBCO)及びRPMI1640 10%FBS(Sigma)の1:1混合物中でトランスフェクトした。12時間後、培地を1ng/mlヒト組み換えTGFE1(Sigma)含有RPMI1640 10%FBSに交換した。生存細胞の数は、製造元の説明書の通りWSTテトラゾリウム塩(CCK-8, Dojindo)を使用してアッセイした。すべての実験は3重に実施した。結果は平均±SDで表されている。] [0125] [000176]qRT−PCR: [000177]成熟miRNA及び他のmRNAは、それぞれ、製造元の説明書(Applied Biosystems, FosterCity, CA)に従った単一チューブTaqman MicroRNA Assays及びGene Expression Assaysを使用してアッセイした。非鋳型対照及びRTマイナス対照を含む全てのRT反応は、GeneAmp PCR 9700 Thermocycler(Applied Biosystems)中で実行した。RNA濃度はNanoDrop(NanoDrop Technologies, Inc.)で決定した。サンプルは、示されているようにRNU49又はCAPN2(Applied Biosystems)で正規化した。遺伝子発現レベルは、ABIPrism 7900HTSequence 検出システム(Applied Biosystems)を使用して決定した。比較リアルタイムPCRは3重に実施し、非鋳型対照を含んでいた。相対的発現は比較Ct法を使用して計算した。] [0126] [000178]ルシフェラーゼアッセイ [000179]MKN−74胃癌細胞は、6ウェルプレート中、リポフェクタミン2000(Invitrogen)を使用し、1ugのpGL3ホタルルシフェラーゼレポーターベクター(補足実験手順参照されたい)、0.1ugのphRLSV40対照ベクトル(Promega)及び100nMマイクロRNA前駆体(Ambion)で共トランスフェクトした。ホタル及びウミシイタケルシフェラーゼ活性は、トランスフェクション24時間後、Dual Luciferase Assay(Promega)を使用することにより連続して測定した。各レポータープラスミドで、少なくとも2回トランスフェクトし(異なった日に)、及び各サンプルは3重にアッセイした。] [0127] [000180]フローサイトメトリー [000181]細胞周期分析のため、2x106細胞を冷メタノール中で固定し、リボヌクレアーゼで処理し、そしてヨウ化プロピジウム(Sigma)で染色した。二重識別ゲートを使用するEPICS-XLスキャン(Beckman Coulter)により、細胞のDNA含量を分析した。全ての分析は3重に実施し、20,000ゲートイベント/サンプルを計数した。アポトーシス分析については、細胞を冷PBS中で洗浄し、アネキシンV−FITC(BD Biopharmingen)及びPI(Sigma)と暗所で15分インキュベートし、1時間以内に分析した。] [0128] [000182]統計分析 [000183]実験の結果は、平均±SDで表されている。対応のないスチューデンt検定を、試験及び対照サンプルの値を比較するために使用した。P<0.05は有意差を示す。] [0129] [000184]実施例II [000185]組織サンプル: [000186]原発性胃腫瘍サンプルは、Department of Histopathology(Sant’Andrea Hospital, University of Rome “La Sapienza”, Italy)から得た。全てのサンプルは、患者のインフォームドコンセントを有し、組織学的に確認された。組織採取のためのプロトコルは、Sant’Andrea Hospital Bioethical Committee により承認された。各腫瘍は、同じ患者からの非腫瘍胃粘膜対照と対をなしている。] [0130] [000187]マイクロアレイ: [000188]マイクロアレイ分析は、記述されているように(Liu et al., 2004)実行した。簡単には、全RNAの5ugを、二次発生miRNAマイクロアレイチップ(V2)上でのハイブリダイゼーションに使用した。これらのチップは、接触技術によりスポットされ、ポリマーマトリックスに共有結合で結合された、250のヒトmiRNAのための遺伝子特異的40−merオリゴヌクレオチドプローブを含有する。マイクロアレイは、6XSSPE(0.9M NaCl_60mM NaH2PO4_H2O_8mMEDTA、pH7.4)、30%ホルムアミド中、25℃で18時間ハイブリダイズさせ、37℃で40分、0.75XTNT(トリス/HCl/NaCl/トウィーン20)で洗浄し、ストレプトアビジン−Alexa Fluor 647コンジュゲートによるビオチン含有転写体の直接的検出法を使用することにより処理した。処理したスライドは、635nmに設定されたレーザー、固定されたPMT設定、及び10mmのスキャン分解能を有するマイクロアレイスキャナーを使用することによりスキャンした。アレイデータはGlobal Median 、重み付き局所回帰(Lowess)又はクオンタイル(Quantile)法を使用して正規化し、類似の結果を得た。本研究で公表されたデータは、クオンタイル正規化により導き出された。miRNAの発現差異は、マイクロアレイの有意性分析(SAM)内のt検定法を使用することにより同定した。] [0131] [000189]ウエスタンブロット: [000190]免疫ブロットのための抗体は以下の通りであった:E2F1(Santa Cruz、マウスモノクローナル、1:500)、AIB−1(Cell Signalling、マウスモノクロナール、1:1000)、p21(Cell Signalling、マウスモノクロナール、1:1000)、p27(Santa Cruz、マウスモノクロナール、1:500)、CDK2(Cell Signalling、マウスモノクロナール、1:1000)、CDK4(Cell Signalling、マウスモノクロナール、1:1000)、サイクリンD1(Cell Signalling、マウスモノクロナール、1:1000)、サイクリンE(Santa Cruz、ウサギポリクロナール、1:500)、pl5(Cell Signalling、ウサギポリクロナール、1:1000)、Bim(Cell Signalling、ウサギポリクロナール、1:1000)、ビンキュリン(Santa Cruz、マウスモノクロナール、1:500)、GAPDH(Calbiochem、マウスモノクロナール、1:3000)。バンドはGelDocソフトウェア(Biorad)を使用して定量した。] [0132] [000191]アデノウイルス及びレンチウイルス感染: [000192]アデノE2F1は、G. Leoneより親切にも提供され、感染は記述されているように(Leone et al., 1998)実行した。miR−106b、miR−93、miR−25及びmiR−106b−25前駆体cDNAは、293T/17細胞ゲノムDNAからPCR増幅し、レポーターGFP及びmiRNAの両方を同時に形質導入するように、CMVプロモーター下、Tweenと称される変異体第三世代レンチウイルスベクター、pRRL−CMV−PGK−GFP−WPRE内にクローン化した。レンチウイルス上清調製及び感染は記述されているように(Bonci et al., 2003)実施した。レンチウイルス形質導入は、qRT−PCRにより決定されるように、miRNA発現に710倍の変化を生み出した。導入効率>90%は、蛍光顕微鏡法により検証した。] [0133] [000193]qRT−PCR(miRNA前駆体): [000194]マイクロRNA前駆体qRT−PCRについては、TRIzol試薬(Invitrogen)で分離した全RNAは、cDNAへの直接的DNase処理(Ambion)後、ThermoScriptキット(Invitrogen)を使用する逆転写により処理した。標的配列は、Power Syb-Green PCR Master Mix(Applied Biosystems)を使用するqPCRにより増幅した。サンプルはU6に対して正規化した。プライマー配列は要請があれば入手可能である。] [0134] [000195]センサープラスミド: [000196]E2F1、p21及びBim3’UTR含有推定miRNA結合部位は、ゲノムDNA(293T/17細胞)からPCRにより増幅し、ホタルルシフェラーゼの終止コドンのすぐ下流のXba−I部位を使用することにより、pGL3制御ベクター(Promega)内に挿入した。miRNAシード領域相補領域部位中の最初の3ヌクレオチドの欠失を、製造業者のプロトコルに従い、QuikChange部位特異的突然変異導入キット(Stratagene)を使用して突然変異体構築物に挿入した。プライマー配列は要請があれば入手可能である。] [0135] [000197]それらの使用及び定義の例 [000198]本発明の実施は、特に示されない限り、当業者が習得している薬理学、化学、生化学、組み換えDNA技術及び免疫学の従来の方法を用いるであろう。こうした技術は文献に十分に説明されている。例えば、Handbook of Experimental Immunology, Vols. I-IV (D. M. Weir and C. C. Blackwell eds., Blackwell Scientific Publications); A. L. Lehninger, Biochemistry (Worth Publishers, Inc., current addition); Sambrook, et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2nd Edition, 1989); Methods In Enzymology (S. Colowick and N. Kaplan eds., Academic Press, Inc.)を参照されたい。] [0136] [000199]そのようであるので、本明細書の定義はさらなる説明のために提供されており、限定と解釈してはならない。 [000200]本明細書で使用される冠詞「a」及び「an」は、冠詞の文法的目的語の一つ又は一つより多く(即ち、少なくとも一つ)を指す。例として、「an element」は一つの要素又は一つより多くの要素を意味する。] [0137] [000201]「マーカー」及び「バイオマーカー」は、遺伝子及び/又はタンパク質又はそれらの機能的変異体であり、正常又は健康な組織又は細胞における発現レベルから変化した、組織又は細胞におけるその発現のレベルは、障害及び/又は疾患状態に関連する。] [0138] [000202]マーカーの発現の「正常」レベルとは、障害及び/又は疾患状態に罹患していないヒト対象又は患者の細胞におけるマーカーの発現のレベルである。 [000203] マーカーの「過剰発現」又は「有意により高いレベルの発現」とは、発現を評価するために用いられたアッセイの標準誤差よりも大きく、及びある態様では、対照サンプル(例えば、マーカー関連障害及び/又は疾患状態を有していない健康な対象からのサンプル)中のマーカーの発現レベルの少なくとも2倍、他の態様では、3、4、5又は10倍、及びある態様においては、いくつかの対照サンプル中のマーカーの平均発現レベルである、試験サンプル中の発現レベルを指す。] [0139] [000204]マーカーの「有意により低いレベルの発現」とは、対照サンプル(例えば、マーカー関連障害及び/又は疾患状態を有していない健康な対象からのサンプル)中のマーカーの発現レベルの少なくとも2分の1、及びある態様では、3、4、5又は10分の1、及びある態様においては、いくつかの対照サンプル中のマーカーの平均発現レベルである、試験サンプル中の発現レベルを指す。] [0140] [000205]キットは、マーカーの発現を特異的に検出するための少なくとも一つの試薬、例えば、プローブを含むいずれかの製品(例えば、パッケージ又は容器)である。該キットは、本発明の方法を実施するためのユニットとして、宣伝し、流通させ、又は販売することができる。] [0141] [000206]「タンパク質」は、マーカータンパク質及びそれらの断片;変異体マーカータンパク質及びそれらの断片;マーカー又は変異体マーカータンパク質の少なくとも15アミノ酸セグメントを含むペプチド及びポリペプチド;マーカー又は変異体マーカータンパク質、又はマーカー又は変異体マーカータンパク質の少なくとも15アミノ酸セグメントを含む融合タンパク質を包含する。] [0142] [000207] 本明細書に記載された組成物、キット及び方法は中でも以下の非制限的使用を有する: 1)対象が、障害及び/又は疾患状態を患っているかどうかを評価すること; 2)対象の障害及び/又は疾患状態のステージを評価すること; 3)対象の障害及び/又は疾患状態のグレードを評価すること; 4)対象の障害及び/又は疾患状態の性質を評価すること; 5)対象が障害及び/又は疾患状態を発生する可能性を評価すること; 6)対象の障害及び/又は疾患状態に関連する細胞の組織学的タイプを評価すること; 7)対象の障害及び/又は疾患状態を治療するために有用である抗体、抗体断片又は抗体誘導体を作製すること; 8)対象の細胞における障害及び/又は疾患状態の存在を評価すること; 9)対象の障害及び/又は疾患状態を抑制するための一つ以上の試験化合物の有効性を評価すること; 10)対象の障害及び/又は疾患状態を抑制するための療法の有効性を評価すること; 11)対象の障害及び/又は疾患状態の進行をモニターすること; 12)対象の障害及び/又は疾患状態を抑制するための組成物又は療法を選択すること; 13)障害及び/又は疾患状態を患った対象を治療すること; 14)対象の障害及び/又は疾患状態を抑制すること; 15)試験化合物が有害である可能性を評価すること;及び 16)障害及び/又は疾患状態の発症のリスクを有する対象においてそれらを予防すること。] [0143] [000208]スクリーニング法 [000209]動物モデルを作り出すことができ、対象の障害及び/又は疾患状態を治療する又は予防するために有用な療法剤のスクリーニングを可能にするであろう。従って、本方法は対象の障害及び/又は疾患状態を治療する又は予防するための療法剤を同定するために有用である。本方法は、本明細書に記載された方法により作製された動物モデルに候補剤を投与し、候補剤が投与されていない対照動物モデルと比較し、該動物モデルにおける少なくとも一つの応答を評価すること含む。もし、少なくとも一つの応答が症状を軽減し又は発症が遅延したならば、該候補剤は該疾患を治療する又は予防する剤である。] [0144] [000210]該候補剤は、当該技術分野ですでに公知である薬理的剤であってもよく、又は何らかの薬理学的活性を有する以前には知られていなかった剤でもよい。該剤は、天然に生じたものでも又は実験室で設計されたものでもよい。それらは、微生物、動物又は植物から単離されたものでもよく、又は組換え的に産生された、又は適した化学合成法により合成されてもよい。それらは、小分子、核酸、タンパク質、ペプチド又はペプチド模倣物であることができる。ある態様において、候補剤は、50以上及び約2,500ダルトン未満の分子量を有する小有機化合物である。候補剤は、タンパク質との構造的相互作用に必要な官能基も含む。候補剤は、限定されるわけではないが:ペプチド、サッカリド、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、誘導体、構造類似体又はそれらの組み合わせを含む生体分子の中でも発見されている。] [0145] [000211]候補剤は、合成又は天然化合物のライブラリーを含む広範囲の起源から得られる。例えば、ランダム化オリゴヌクレオチド及びオリゴペプチドの発現を含む、広範囲の有機化合物及び生体分子の無作為及び方向付けられた合成に、多数の手段が利用可能である。もしくは、細菌、真菌、植物及び動物抽出物の形態の天然化合物のライブラリーが利用可能であるか、又は容易に産生される。加えて、天然に又は合成的に産生されたライブラリー及び化合物群は、慣用的な化学的、物理的及び生化学的手段を介して容易に修飾され、コンビナトリアルライブラリーを産生するために使用することができる。ある態様において、該候補剤は、非制限例として:生物学的ライブラリー;空間的にアドレス可能な並行固相又は液相ライブラリー;デコンボリューションを必要とする合成ライブラリー法;「一ビーズ一化合物」ライブラリー法;及びアフィニティークロマトグラフィー選択を使用する合成ライブラリー法によるものを含む、コンビナトリアルライブラリー法分野における多数のアプローチのいずれかを使用して得ることが可能である。] [0146] [000212]さらなるある態様において、ある種の薬理学的剤を、アシル化、アルキル化、エステル化、アミド化のような方向付けられた又は無作為の化学修飾にかけることができ、構造類似体が生成される。] [0147] [000213]対象の障害及び/又は疾患状態を治療するための療法剤を同定するためと同じ方法を、インビトロ研究から生じたリード化合物/剤を検証するためにも使用し得る。 [000214]該候補剤は、対象の一つ以上の障害及び/又は疾患状態応答経路を上方又は下方調節する剤であることができる。ある態様において、該候補剤は、こうした経路に影響するアンタゴニストであることができる。] [0148] [000215]障害及び/又は疾患状態を治療するための方法 [000216]本明細書において障害及び/又は疾患状態応答を治療する、抑制する、寛解する又は逆行させるための方法が提供される。本明細書に記載された方法において、シグナル伝達カスケードを妨害する剤が、限定されるわけではないが、こうした合併症がまだ明白ではない、及びすでに少なくとも一つのこうした応答を有する対象のような、それを必要とする個体に投与される。] [0149] [000217]前の例において、こうした治療は、こうした応答の発生を予防するため及び/又はそれらが生じる程度を軽減するために有用である。後の例において、こうした治療は、こうした応答の発生の程度を軽減する、それらのさらなる発生を予防する、又は該応答を逆行させるために有用である。] [0150] [000218]ある態様において、該応答カスケードを妨害する剤は、こうした応答に特異的な抗体であることができる。 [000219]バイオマーカー(単数又は複数)の発現 [000220]マーカーの発現は、多くの方法で抑制することが可能であり、非制限例として、マーカー(単数又は複数)の転写、翻訳又は両方を抑制するため、疾患細胞にアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供し得ることを含む。もしくは、マーカータンパク質に特異的に結合する抗体、抗体誘導体又は抗体断片をコードし、適切なプロモーター/調節因子領域と機能可能なように連結されたポリヌクレオチドを、該タンパク質の機能又は活性を抑制するであろう細胞内抗体を発生させるために細胞に提供し得る。マーカーの発現及び/又は機能は、マーカータンパク質に特異的に結合する抗体、抗体誘導体又は抗体断片で該疾患細胞を治療することによっても抑制することができる。本明細書に記載された方法を使用し、多様な分子(特に、細胞膜を通過可能な十分に小さい分子を含む)を、マーカーの発現を抑制する又はマーカータンパク質の機能を抑制する分子を同定するためにスクリーニングすることが可能である。そうのように同定された化合物を、対象の疾患細胞を抑制するために該対象に提供し得る。] [0151] [000221]いずれのマーカー又はマーカーの組み合わせ、ならびに該マーカーと組み合わされたいずれのマーカーも、本明細書に記載された組成物、キット及び方法で使用することができる。一般に、疾患細胞中のマーカーの発現のレベル及び正常結腸系細胞中の同じマーカーの発現のレベル間の相違が可能な限り大きなマーカーを使用するのが望ましい。この相違はマーカーの発現を評価するための方法の検出限界ほど小さくすることができるけれども、相違は少なくとも評価法の標準誤差よりも大きく、及びある態様において、正常組織中の同一マーカーの発現のレベルよりも少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、100、500、1000倍またはそれ以上の相違が望ましい。] [0152] [000222]ある種のマーカータンパク質が細胞を取り巻く細胞外空間に分泌されることが認められている。こうしたマーカータンパク質は、組織バイオプシサンプルよりもヒト対象からより容易に集めることができる体液サンプル中で検出することができるので、これらのマーカーが、組成物、キット及び方法のある態様において使用された。加えて、マーカータンパク質の検出のためのインビボ技術には、該タンパク質に対して方向付けられた標識抗体を対象内へ導入することが含まれる。例えば、該抗体を放射性マーカーで標識することができ、対象中でのその存在及び位置を標準イメージング技術により検出し得る。] [0153] [000223]どの特定のタンパク質が分泌されたタンパク質であるかを決定するため、マーカータンパク質が、例えば、ヒト細胞株のような哺乳類細胞中で発現され、細胞外液を集め、細胞外液中のタンパク質の存在又は不存在を評価する(例えば、該タンパク質に特異的に結合する標識抗体を使用する)。] [0154] [000224]こうした細胞を含んでいる対象のサンプルを、本明細書に記載された方法において使用できることが理解されるであろう。これらの態様において、該マーカーの発現のレベルは、サンプル中の量(例えば、絶対量又は濃度)を評価することにより評価し得る。該細胞サンプルは、もちろん、サンプル中のマーカー量を評価することに先立って、多様な採取後調製及び保存技術(例えば、核酸及び/又はタンパク質抽出、固定、保存、凍結、限外濾過、濃縮、蒸発、遠心分離など)にかけることができる。] [0155] [000225]該マーカーは、細胞から、例えば、呼吸器系、消化器系、血流及び/又は間質腔内へ排出することもできることも理解されるであろう。該排出マーカーは、例えば、痰、BAL、血清、血漿、尿、便などを試験することにより試験し得る。] [0156] [000226]本組成物、キット及び方法は、発現する細胞の表面上に提示された少なくとも一つの部分を有する、マーカータンパク質の発現を検出するために使用し得る。例えば、全細胞上のこうしたタンパク質を検出するために免疫学的方法を使用することができ、少なくとも一つの細胞外ドメインの存在を予測するために、コンピューター支援配列分析法を使用することができる(即ち、分泌されたタンパク質及び少なくとも一つの細胞表面ドメインを有するタンパク質の両方を含む)。細胞の表面上に提示されている少なくとも一つのタンパク質を有するマーカータンパク質の発現は、細胞を溶解する必要なく検出することができる(例えば、該タンパク質の細胞表面ドメインに特異的に結合する標識抗体を使用して)。] [0157] [000227]マーカーの発現は、転写された核酸又はタンパク質の発現を検出するための多種多様な方法のいずれかにより評価することができる。こうした方法の非制限例には、分泌された、細胞表面、細胞質又は核タンパク質の検出のための免疫学的方法、タンパク質精製法、タンパク質機能又は活性アッセイ、核酸ハイブリダイゼーション法、核酸逆転写法及び核酸増幅法が含まれる。] [0158] [000228]特定の態様において、マーカーの発現は、その正常翻訳後修飾を全て又は一部を受けたマーカータンパク質を含むマーカータンパク質又はそれらの断片と特異的に結合する、抗体(例えば、放射標識された、発色団標識された、フルオロフォア標識された又は酵素標識された抗体)、抗体誘導体(例えば、基質又はタンパク質リガンド対のタンパク質又はリガンドとコンジュゲートされた抗体)又は抗体断片(例えば、一本鎖抗体、単離された抗体高頻度可変ドメインなど)を使用して評価される。] [0159] [000229]別の特定の態様において、マーカーの発現は、対象サンプル中の細胞からmRNA/cDNA(即ち、転写されたポリヌクレオチド)を調製することにより、及びmRNA/cDNAとマーカー核酸又はそれらの断片と相補的である参照ポリヌクレオチドをハイブリダイズすることにより評価される。cDNAは、参照ポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションに先立って、多様なポリメラーゼ連鎖反応法のいずれかを使用して増幅されていてもよい;好ましくは、増幅されない。一つ以上のマーカーの発現も同様に、定量的PCRを使用して検出することが可能であり、マーカー(単数又は複数)の発現のレベルが評価される。もしくは、マーカーの突然変異又は変異体(一塩基多型性、欠失など)を検出する任意の多くの方法を対象におけるマーカーの出現を検出するために使用することができる。] [0160] [000230]関連する態様において、サンプルから得られた転写されたポリヌクレオチドの混合物を、マーカー核酸の少なくとも一部(例えば、少なくとも7、10、15、20、25、30、40、50、100、500、又はそれ以上のヌクレオチド残基)と相補的又は相同的ポリヌクレオチドが固定された支持体と接触させる。もし、相補的又は相同的ポリヌクレオチドが支持体上で別個に検出可能ならば(例えば、異なる発色団又はフルオロフォアを使用して、又は異なって選択された位置に固定されて検出可能)、複数のマーカーの発現のレベルを、単一支持体(例えば、選択された位置に固定されたポリヌクレオチドの「遺伝子チップ」マイクロアレイ)を使用して同時に評価し得る。一つの核酸と別の核酸のハイブリダイゼーションを含んだマーカー発現の評価方法が使用された場合、ハイブリダイゼーションはストリンジェントハイブリダイゼーション条件下で実施されることが望ましい。] [0161] [000231]ある態様において、バイオマーカーアッセイは、質量分析法又は表面プラズモン共鳴法を使用して実施される。多様な態様において、対象の障害及び/又は疾患状態に対して活性な剤を同定する方法は: a)一つ以上のマーカー又はそれらの誘導体を含んでいる細胞のサンプルを提供すること; b)こうした細胞から抽出物を調製すること; c)該抽出物と、マーカー結合を含有する標識核酸プローブを混合すること;及び d)試験剤の存在又は不存在下でマーカー及び核酸プローブ間の複合体の形成を決定すること; の一つ以上を含み得る。決定工程は、前記抽出物/核酸プローブ混合物を電気泳動移動度シフトアッセイにかけることを含み得る。] [0162] [000232]ある態様において、該決定工程は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、蛍光に基づいたアッセイ及び超高スループットアッセイ、例えば、表面プラズモン共鳴法(SPR)又は蛍光相関分光法(FCS)アッセイから選択されるアッセイを含む。こうした態様において、SPRは金属誘電性表面での小さな屈折率変化に敏感であるので、SPRセンサーは生体分子相互作用の直接リアルタイム観察に有用である。SPRは、およそ200nmのSPRセンサー/サンプルインターフェース内の105〜10−6屈折率(RI)単位の変化に感受性である表面技術である。従って、SPR分光法は、センシング層上に堆積された薄い有機フィルムの成長のモニタリングのために有用である。] [0163] [000233]本組成物、キット及び方法は、一つ以上のマーカーの発現レベルの相違の検出に依存しているので、マーカーの発現のレベルは、少なくとも一つの正常細胞及び結腸癌におかされた細胞中での発現を評価するために使用される方法の最小検出限界よりも有意に大きいことが望まれる。] [0164] [000234]一つ以上のマーカーを使用する追加の対象サンプルのルーチンスクリーニングにより、ある種のマーカーが、対象の特定の障害及び/又は疾患状態を含む、多様なタイプの細胞中で過剰発現されていることに気付くであろうことが理解される。] [0165] [000235]加えて、非常に多くの対象サンプルがマーカーの発現について評価され、及びサンプルが得られた個々の対象の結果が関連付けられるので、ある種のマーカーの変化した発現が対象の障害及び/又は疾患状態と強く関連付けられること、及び他のマーカーの変化した発現が他の疾患と強く関連付けられることも確認されるであろう。本組成物、キット、及び方法はそれ故、対象の障害及び/又は疾患状態のステージ、グレード、組織学的型、及び性質の一つ以上を特徴付けるために有用である。] [0166] [000236]本組成物、キット、及び方法が、対象の障害及び/又は疾患状態のステージ、グレード、組織学的型、及び性質の一つ以上を特徴付けるために使用される場合、マーカー又はマーカーのパネルは、対応するステージ、グレード、組織学的型、又は性質の障害及び/又は疾患状態を患っている少なくとも約20%、及びある態様においては、少なくとも約40%、60%又は80%、及び実質的にすべての対象において陽性結果が得られるように選択される。本発明のマーカー又はマーカーのパネルは、一般集団については約10%より大きな陽性予測値が得られるように選択される(非制限例において、80%より大きなアッセイ特異性と組み合わされる)。] [0167] [000237]複数のマーカーが本組成物、キット及び方法で使用される場合、対象サンプル中の各マーカーの発現レベルは、単一反応混合物(即ち、各マーカーについて異なった蛍光プローブのような試薬を使用して)か、あるいは一つ以上のマーカーに対応する個々の反応混合物中で、同一タイプの非障害及び/又は非疾患サンプル中の複数のマーカーの各々の発現の正常レベルと比較し得る。一つの態様において、対応する正常レベルと比べ、サンプルにおける複数のマーカーの一つより多くの発現の有意に増加したレベルは、該対象が障害及び/又は疾患状態を患らっていることの指標である。複数のマーカーが使用される場合、2、3、4、5、8、10、12、15、20、30又は50又はそれ以上の個々のマーカーを使用し得る;ある態様において、より少ないマーカーの使用が望ましいであろう。] [0168] [000238]本組成物、キット及び方法の感度を最大にするため(即ち、対象サンプル中の系起源の細胞に起因する妨害による)、本明細書で使用されるマーカーは、限定された組織分布を有する、例えば、非系組織では通常発現されないマーカーであることが望ましい。] [0169] [000239]本組成物、キット及び方法は、対象において障害及び/又は疾患状態を発症する増強されたリスクを有する対象及びその医学的アドバイザーに対して特に役に立つであろうことが認められる。障害及び/又は疾患を発症する増強されたリスクを有すると認められる対象には、例えば、こうした障害又は疾患の家族歴を持つ対象が含まれる。] [0170] [000240]正常ヒト系組織中のマーカーの発現レベルは、多様な方法で評価し得る。一つの態様において、この発現の正常レベルは、正常と思われる系細胞の一部におけるマーカーの発現のレベルを評価することにより、及びこの発現の正常レベルを、異常であると疑われている系細胞の一部における発現のレベルと比較することにより評価される。もしくは、及び特に、さらなる情報が本明細書に記載されたルーチン検査の結果として入手可能であるので、該マーカーの正常発現についての集団平均値を使用することができる。他の態様において、マーカーの発現の「正常」レベルは、非罹患対象から得られた対象サンプル、対象に障害及び/又は疾患状態の発症が疑われる以前の患者サンプル、保存された対象サンプルなどのマーカーの発現を評価することにより決定することができる。] [0171] [000241]本明細書において、サンプル(例えば、保存された組織サンプル又は対象から得られたサンプル)中の障害及び/又は疾患状態細胞の存在を評価するための組成物、キット及び方法も提供される。これらの組成物、キット及び方法は、上記のものと実質的に同一であるが、但し必要な場合、該組成物、キット及び方法は、対象サンプル以外のサンプルでの使用に適用される。例えば、使用されるべきサンプルがパラフィン処理された保存ヒト組織サンプルである場合、該サンプル中でのマーカー発現のレベルを評価するため、組成物中、キット中、又は方法において化合物の比を調節する必要があろう。] [0172] [000242]キット及び試薬 [000243]該キットは、疾患細胞(例えば、対象サンプルのようなサンプル中の)の存在を評価するために有用である。該キットは、複数の試薬を含み、その各々は、マーカー核酸又はタンパク質と特異的に結合することが可能である。マーカータンパク質との結合に適した試薬には、抗体、抗体誘導体、抗体断片などが含まれる。マーカー核酸(例えば、ゲノムDNA、mRNA、スプライスされたmRNA、cDNAなど)との結合に適した試薬には、相補的核酸が含まれる。例えば、該核酸試薬は、支持体に固定化されたオリゴヌクレオチド(標識又は非標識)、支持体と結合されていない標識オリゴヌクレオチド、PCRプライマーの対、分子指標プローブなどを含むことができる。] [0173] [000244]該キットは、本明細書に記載の方法を実行するために有用な追加の成分を場合により含んでいてもよい。例としては、該キットは、相補的核酸のアニーリングのため、抗体とそれが特異的に結合するタンパク質との結合のために適した液体(例えば、SSC緩衝液)、一つ以上のサンプル区画、該方法の実施を記述している使用説明書、正常結腸システム細胞のサンプル、結腸癌関連疾患細胞のサンプルなどを含むことができる。] [0174] [000245]抗体を産生する方法 [000246]対象が障害及び/又は疾患状態を患らっているかどうかを評価するために有用な抗体を産生する、単離されたハイブリドーマを作製する方法も本明細書において提供される。この方法において、マーカータンパク質の全体又はセグメントを含むタンパク質又はペプチドが合成され又は単離される(例えば、それが発現される細胞からの精製により、又はインビボ又はインビトロでの、該タンパク質ペプチドをコードする核酸の転写及び翻訳により)。脊椎動物、例えば、マウス、ラット、ウサギ又はヒツジのような哺乳類を、該タンパク質又はペプチドを使用して免疫化する。該脊椎動物が該タンパク質又はペプチドに対して強い免疫応答を示すように、少なくとも追加の一回、場合により(及び好ましくは)免疫化してもよい。免疫化された脊椎動物の脾臓細胞を単離し、多様な方法のいずれかを使用して、不死化細胞株と融合させてハイブリドーマを形成させる。このようにして形成されたハイブリドーマは、標準法を使用してスクリーニングし、該マーカータンパク質又はそれらの断片と特異的に結合する抗体を産生する、一つ以上のハイブリドーマを同定する。この方法により作製されたハイブリドーマ、及びこうしたハイブリドーマを使用して作製された抗体も本明細書で提供される。] [0175] [000247]有効性評価の方法 [000248]疾患細胞を抑制するための試験化合物の効力を評価する方法も本明細書において提供される。上記のように、該マーカーの発現のレベルの相違は、対象細胞の異常状態と相関する。ある種のマーカーの、発現のレベルの変化はこうした細胞の異常状態により生じたようであるが、他のマーカーの、発現のレベルにおける変化が、これらの細胞の異常状態を誘導し、維持し及び促進することも同様に認められている。それ故、対象の障害及び/又は疾患状態を抑制する化合物は、一つ以上の該マーカーの発現のレベルを、そのマーカー発現の正常レベルにより近いレベル(即ち、正常細胞におけるマーカの発現レベル)への変化を起こすであろう。] [0176] [000249]この方法は従って、試験化合物の存在下で維持された第一の細胞サンプルにおけるマーカーの発現、及び試験化合物の不存在下で維持された第二の結腸細胞サンプルにおけるマーカーの発現を比較することを含む。試験化合物の存在下におけるマーカーの有意に減少した発現は、試験化合物が関連疾患を抑制することの指標である。該細胞サンプルは例えば、対象から得られた正常細胞の単一サンプルの一部、対象から得られた正常細胞のプールされたサンプル、正常細胞株の細胞、対象から得られた関連疾患細胞の単一サンプルの一部、対象から得られた関連疾患細胞のプールされたサンプル、関連疾患細胞株の細胞などであることができる。] [0177] [000250]一つの態様において、該サンプルは対象から得られた癌関連疾患細胞であり、多様な癌関連疾患を抑制することについて有効であると信じられている複数の化合物を、対象の癌関連疾患を最もよく抑制するであろう化合物を同定するために試験した。] [0178] [000251]この方法は同様に、対象の関連疾患を抑制するための療法の効力を評価するために使用することができる。この方法において、対(一方は療法を受けさせ、他方は療法を受けさせなかった)のサンプル中の一つ以上のマーカーの発現のレベルを評価した。試験化合物の効力を評価する方法として、もし該療法がマーカーの発現の有意に低いレベルを誘導すれば、該療法は癌関連疾患を抑制について有効である。上記のように、選択された対象からのサンプルがこの方法で使用されるなら、該対象の癌関連疾患を抑制するために最も有効であるらしい療法を選択するため、代替療法をインビトロで評価することが可能である。] [0179] [000252]上記のように、ヒト細胞の異常状態は、該マーカーの発現のレベルの変化と相関する。試験化合物が有害な可能性を評価する方法も提供される。この方法は、試験化合物の存在下又は不存在下で、ヒト細胞の分離した一定分量を維持することを含む。各一定分量中のマーカーの発現が比較される。試験化合物の存在下で維持された一定分量におけるマーカー発現の有意に高いレベル(試験化合物の不存在下で維持された一定分量と比べて)は、試験化合物が有害である可能性を有する指標である。多様な試験化合物の相対的有害可能性は、発現のレベルが増強された又は抑制されたマーカーの数を比較することにより、関連マーカーの発現レベルの増強又は抑制の程度を比較することにより、又は両方を比較することにより、評価し得る。多様な側面が、以下の副節により詳細に説明されている。] [0180] [000253]単離されたタンパク質及び抗体 [000254]一つの側面は、単離されたマーカータンパク質及びそれらの生物学的に活性な部分、ならびに、マーカータンパク質又はそれらの断片に対して方向付けられた抗体を上昇させるための免疫原として使用するのに適したポリペプチド断片に関する。一つの態様において、天然のマーカータンパク質は、標準タンパク質精製技術を使用する、適切な精製スキームにより、細胞又は組織源から単離し得る。別の態様において、マーカータンパク質の全体又はセグメントを含むタンパク質又はペプチドが、組換えDNA技術により産生される。組換え発現の代わりに、こうしたタンパク質又はペプチドは、標準ペプチド合成技術を使用して化学的に合成し得る。] [0181] [000255]「単離された」又は「精製された」タンパク質又はそれらの生物学的に活性な部分とは、タンパク質が由来する細胞又は組織源からの細胞材料又は他の夾雑タンパク質を含んでいないか、又は化学的に合成された場合、化学的前駆体又は他の化学物質を実質的に含んでいない。用語「実質的に細胞材料を含んでいない」には、該タンパク質が単離された又は組換え的に産生された細胞の細胞性成分から分離されたタンパク質の調製物が含まれる。従って、実質的に細胞材料を含んでいないタンパク質には、約30%、20%、10%、又は5%(乾燥重量による)未満の異種タンパク質(本明細書において夾雑タンパク質とも称される)を有するタンパク質の調製試料が含まれる。] [0182] [000256]タンパク質又はそれらの生物学的に活性な部分が組換え的に産生される場合、培養培地を実質的に含んでいないのも好ましい、即ち、培養培地は、タンパク質調製試料の約20%、10%、又は5%未満の量に相当する。タンパク質が化学合成により生成される場合、化学的前駆体又は他の化学物質を実質的に含んでいないのが好ましく、即ち、それは、該タンパク質の合成に関与した化学的前駆体又は他の化学物質から分離されている。従って、こうしたタンパク質の調製試料は、約30%、20%、10%、5%(乾燥重量)未満の、化学的前駆体又は目的のポリペプチド以外の化合物しか含んでいない。]
权利要求:
請求項1 対象が胃関連障害を有する、又は発症するリスクがあるかどうかを診断する、胃癌及び/又は関連障害を有する対象の予後を決定する、及び/又はこうした障害を有する対象を治療する方法であって、ここで、該対象からの試験サンプル中の少なくとも一つのバイオマーカーのレベルを測定することを含み、対照サンプル中の対応するバイオマーカーのレベルと比較した、該試験サンプル中の該バイオマーカーのレベルの変化は、該対象が該障害を有するか、又は発症するリスクがあることを示す、前記方法。 請求項2 該試験サンプル中の該少なくとも一つのバイオマーカーのレベルが、該対照サンプル中の対応するバイオマーカーのレベルよりも低い、請求項1に記載の方法。 請求項3 該試験サンプル中の該少なくとも一つのバイオマーカーのレベルが、該対照サンプル中の対応するバイオマーカーのレベルよりも高い、請求項1に記載の方法。 請求項4 差次的に発現される該少なくとも一つのバイオマーカーが、図13−表1に列挙された群より選択される、請求項1に記載の方法。 請求項5 該障害が慢性胃炎を含み、そして少なくとも一つのバイオマーカーが、上方調節されているmiR−1及びmiR−155から成る群より選択される、請求項4に記載の方法。 請求項6 該障害が慢性胃炎を含み、そして少なくとも一つのバイオマーカーが下方調節されているmiR−205、miR−203、miR−202、miR−20及びmiR−26bから成る群より選択される、請求項4に記載の方法。 請求項7 差次的に発現される該少なくとも一つのバイオマーカーが、図14−表2に列挙された群より選択される、請求項1に記載の方法。 請求項8 該障害が胃腺癌を含み、そして少なくとも一つのバイオマーカーが、上方調節されているmiR−21、miR−223、miR−25、miR−17−5−p、miR−125b、miR−181b、miR−106a、miR−107、miR−92、miR−103、miR−221、miR−93、miR−100、miR−181、miR−106b、miR−191、miR−214、miR−130、miR−342、miR−222、miR−320及びmiR−99bから成る群より選択される、請求項7に記載の方法。 請求項9 該障害が胃腺癌を含み、そして少なくとも一つのバイオマーカーが、下方調節されているmiR−136、miR−218、miR−212、miR−96、miR−339及びmiR−130bから成る群より選択される、請求項7に記載の方法。 請求項10 差次的に発現される該少なくとも一つのバイオマーカーが、図16−表3に列挙された群:miR−21、miR−223、miR−25、miR−92、miR−107、miR−93、miR−106b、miR−17−5p、miR−181b及びmiR−106aより選択される、請求項1に記載の方法。 請求項11 該少なくとも一つのバイオマーカーがmiR−160b−25クラスター:miR−106b、miR−93及びmiR−25を含む、請求項1に記載の方法。 請求項12 図18−表6に列挙された遺伝子:PHLPPL、GM632、ALX4、PLEKHMl、JOSD1、ZFPM2、GATAD2B、ZNF238、ATXN1、NEUROD1、BCL2L11、KLF12、UBE2W、OSBPL5、SNF1LK、PCAF、PAPOLA、及びCFL2の一つ以上の発現の変調における、miR−160b−25クラスター:miR−106b、miR−93及びmiR−25を含む少なくとも一つのバイオマーカーの使用。 請求項13 E2F1発現を、それを必要とする対象において、調節するための方法であって、E2F1の発現を変調するのに十分な、miR−106b及び/又はmiR−93又はそれらの機能的変異体の有効量を投与することを含む、前記方法。 請求項14 E2F1発現を、それを必要とする対象において調節するための、miR−106b及びmiR−93の使用。 請求項15 CDKN1A(p21Waf1/Cip1)及び/又はBCL2L11(Bim)の発現を妨害するTGFE腫瘍抑制経路を変調する方法であって、miR−106b、miR−93及びmiR−25の一つ以上を上方調節することを含む、前記方法。 請求項16 胃癌でのE2F1転写後調節及びTGFE抵抗性の発生の変調におけるmiR−106b−25クラスターの使用。 請求項17 E2F1発現を、それを必要とする対象において制御する方法であって、該対象においてmiR−106b及びmiR−93のレベルを変調することを含む、前記方法。 請求項18 Mcm7と並行してmiR−106b−25発現を調節するための、それを必要とする対象におけるE2F1の使用。 請求項19 E2F1タンパク質合成の速度を制御し、それを必要とする対象において、その過剰な蓄積を防止する方法であって、該対象におけるmiR−106b−25クラスターのレベルを変調することを含む、前記方法。 請求項20 TGFE誘発細胞周期停止を害するための、それを必要とする対象におけるmiR−106b及びmiR−93の使用。 請求項21 転写後レベルでp21の発現を阻害することにより、TGFO誘発細胞周期停止を妨害するための、それを必要とする対象におけるmiR−106b及びmiR−93の使用。 請求項22 TGFO誘発アポトーシスの開始を防げることにおける、それを必要とする対象でのmiR−106b及びmiR−93と協同したmiR−25の使用。 請求項23 アポトーシスからの胃癌細胞の保護を妨げるため、それを必要とする対象においてmiR−106b−25クラスターの発現を変調するための方法。 請求項24 胃癌において特有のマイクロRNA発現シグネチャーであって、腫瘍マイクロRNAプロセッシングを調節する一つ以上のバイオマーカーの発現の変化を含む、前記シグネチャー。 請求項25 胃癌における標的mRNAの転写産物量及び/又はタンパク質発現に影響を及ぼす方法であって、それを必要とする対象において一つ以上のマイクロRNAを調節解除することを含む、前記方法。 請求項26 癌関連遺伝子のタンパク質発現を抑制することを含む、前記請求項に記載の方法。 請求項27 癌関連遺伝子のタンパク質発現を阻害するため、miR−106b、miR−93及びmiR−25の一つ以上の発現を変化させることを含む、前記請求項に記載の方法。 請求項28 ヒト胃癌で生じるマイクロRNA機能の変化を同定するための、マイクロRNA及びタンパク質コードRNA両方の大規模遺伝子発現プロファイリングの使用。 請求項29 胃癌を有する対象の予後を決定することを含む請求項1に記載の方法であって、該対象からの試験サンプル中の少なくとも一つのバイオマーカーのレベルを測定することを含み、ここで:i)該バイオマーカーが、こうした癌の予後不良に関連し;そしてii)対照サンプル中の対応するバイオマーカーのレベルと比較した、該試験サンプル中の該少なくとも一つのバイオマーカーのレベルの変化が、予後不良を示す、前記方法。 請求項30 対象が胃癌を有するか、又は発症するリスクがあるかどうかを診断することを含む請求項1に記載の方法であって、1)対象から得られた試験サンプルからのRNAを逆転写して、標的オリゴデオキシヌクレオチドの組を提供し;2)該標的オリゴデオキシヌクレオチドを、miRNA特異的プローブオリゴヌクレオチドを含むマイクロアレイにハイブリダイズさせて該試験サンプルについてのハイブリダイゼーションプロファイルを提供し;及び3)該試験サンプルハイブリダイゼーションプロファイルと対照サンプルから生成されたハイブリダイゼーションプロファイルを比較することを含み、ここで少なくとも一つのmiRNAのシグナルの変化が、該対象がこうした癌を有するか、又は発症するリスクがあることを示す、前記方法。 請求項31 該少なくとも一つのmiRNAのシグナルが、対照サンプルから発生されたシグナルと比較して下方調節されており、及び/又は該少なくとも一つのmiRNAのシグナルが、対照サンプルから発生されたシグナルと比較して上方調節されている、前記請求項に記載の方法。 請求項32 表13、表14及び表16に列挙された群より選択される少なくとも一つのバイオマーカーのシグナルの変化が、該対象が予後不良のこうした癌を有するか、又は発症するリスクがあることを示す、前記請求項に記載の方法。 請求項33 miR−106b、miR−93及びmiR−25の一つ以上を含む、胃障害又は疾患のバイオマーカー。 請求項34 胃癌細胞中で、タンパク質発現を調節するための方法であって、胃癌細胞中のmiR−106b、miR−93及びmiR−25の一つ以上の発現を変調することを含む、前記方法。 請求項35 胃癌細胞中のE2F1、CDKNlA(p21Waf1Cip1)及びBCL2L11(Bim)の一つ以上の発現を変調するための組成物であって、miR−106b、miR−93及びmiR−25又はそれらの機能的変異体の一つ以上を含む、前記組成物。 請求項36 E2F1及びp21/WAFlタンパク質レベルの一つ以上を、それを必要とする対象において調節する方法であって、miR−106b、miR−93及びmiR−25又はそれらの機能的変異体の一つ以上を使用することを含む、前記方法。 請求項37 胃癌細胞におけるp21/WAFl及び/又はE2F1タンパク質レベルを、それを必要とする対象において増加させるために有用なアンチセンスmiR−106bを含む組成物。 請求項38 胃癌を有する対象の胃癌を治療する方法であって、対照細胞と比較して、少なくとも一つのバイオマーカーが該対象の癌細胞では下方調節又は上方調節されており:1)該癌細胞中で該少なくとも一つのバイオマーカーが下方調節されている場合、該対象における癌細胞の増殖が抑制されるように、少なくとも一つの単離されたバイオマーカー、又は単離された変異体又はそれらの生物学的に活性な断片の有効量を該対象に投与すること;又は2)該癌細胞中で該少なくとも一つのバイオマーカーが上方調節されている場合、該対象における癌細胞の増殖が抑制されるように、該少なくとも一つのバイオマーカーの発現を抑制するための少なくとも一つの化合物の有効量を該対象に投与することを含む、前記方法。 請求項39 対象の胃癌を治療する方法であって:1)対照細胞と比較して、胃癌細胞中の少なくとも一つのバイオマーカーの量を決定すること;そして2)i)もし、該癌細胞中で発現されたバイオマーカーの量が、対照細胞中で発現されたバイオマーカーの量よりも少ないならば、少なくとも一つの単離されたバイオマーカーの有効量を該対象に投与することにより;又はii)もし、該癌細胞中で発現されたバイオマーカーの量が、対照細胞中で発現されたバイオマーカーの量よりも多いならば、該少なくとも一つのバイオマーカーの発現を抑制するための少なくとも一つの化合物の有効量を該対象に投与することにより、胃癌細胞中で発現されたバイオマーカーの量を変化させること;を含む、前記方法。 請求項40 胃癌を治療するための医薬組成物であって、少なくとも一つの単離されたバイオマーカー及び薬学的に許容できる担体を含む、前記医薬組成物。 請求項41 該少なくとも一つの単離されたバイオマーカーが、対照細胞と比較して胃癌細胞中で下方調節されているバイオマーカーに対応する、前記請求項に記載の医薬組成物。 請求項42 少なくとも一つのmiR発現阻害化合物及び薬学的に許容できる担体を含む、前記請求項に記載の医薬組成物。 請求項43 抗胃癌剤を同定する方法であって、細胞に試験剤を与えること、そして胃癌細胞中の減少した発現レベルに関連する少なくとも一つのバイオマーカーのレベルを測定することを含み、対照細胞と比較した、該細胞中のバイオマーカーのレベルの増加は、該試験剤が抗胃癌剤であることを示す、前記方法。 請求項44 抗胃癌剤を同定する方法であって、細胞に試験剤を与えること、そして胃癌細胞中の増加した発現レベルに関連する少なくとも一つのバイオマーカーのレベルを測定することを含み、対照細胞と比較して、該細胞中のバイオマーカーのレベルの減少は、該試験剤が抗胃癌剤であることを示す、前記方法。 請求項45 胃癌関連疾患を予防する、診断する及び/又は治療するための療法の有効性を評価する方法であって:i)その有効性が評価されている療法を動物に供すること;そしてii)表13、14及び16の一つ以上に列挙された少なくとも一つのバイオマーカーを評価することにより、該疾患を治療する又は予防することにおいて試験されている治療の有効性のレベルを決定することを含む、前記方法。 請求項46 該候補療法剤が、医薬組成物、栄養補助食品組成物及びホメオパシー組成物の一つ以上を含む、前記請求項に記載の方法。 請求項47 評価されている療法が、ヒト対象での使用のためである、前記請求項に記載の方法。 請求項48 製品であって、表13、14及び16の一つ以上に列挙された少なくとも一つのバイオマーカーを含む、胃癌関連疾患のためのマーカーに結合する少なくとも一つの捕捉試薬を含む、前記製品。 請求項49 胃癌関連疾患を治療する療法剤の候補化合物をスクリーニングするためのキットであって、表13、14及び16の一つ以上に列挙された少なくとも一つのバイオマーカーの一つ以上の試薬、及び少なくとも一つのバイオマーカーを発現している細胞を含む、前記キット。 請求項50 該バイオマーカーの存在が、少なくとも一つのバイオマーカーと特異的に結合する抗体又は抗体断片を含む試薬を使用して検出される、前記請求項に記載のキット。 請求項51 個体における該疾患合併症を治療する、予防する、逆行させる、又は重症度を限定する医薬の製造のための、胃癌関連疾患応答シグナル伝達経路を妨害する剤の使用であって、該剤が、表13、14及び16の一つ以上に列挙された少なくとも一つのバイオマーカーを含む、前記使用。 請求項52 胃癌関連疾患合併症を治療する、予防する、逆行させる、又は重症度を限定することを、それを必要とする個体で行う方法であって、少なくとも胃癌関連疾患応答カスケードを妨害する剤を該個体に投与することを含み、該剤は、表13、14及び16の一つ以上に列挙された少なくとも一つのバイオマーカーを含む、前記方法。 請求項53 個体における胃癌関連疾患合併症を治療する、予防する、逆行させる、又は重症度を限定する医薬の製造のための、少なくとも胃癌関連疾患応答カスケードを妨害する剤の使用であって、該剤は、表13、14及び16の一つ以上に列挙された少なくとも一つのバイオマーカーを含む、前記使用。 請求項54 miR−106b、miR−93及びmiR−25の一つ以上のアンチセンス阻害剤を含む組成物。 請求項55 胃障害を、それを必要とする対象において治療する方法であって、前記請求項の組成物の療法的有効量を対象に投与することを含む、前記方法。 請求項56 該組成物が予防的に投与される、前記請求項に記載の方法。 請求項57 該組成物の投与が、胃癌の一つ以上の症状の発症を遅延させる、前記請求項に記載の方法。 請求項58 該組成物の投与が、胃癌の発生を抑制する、前記請求項に記載の方法。 請求項59 該組成物の投与が、腫瘍の増殖を抑制する、前記請求項に記載の方法。 請求項60 生物学的サンプル中の胃癌の存在を検出する方法であって:i)胃癌を含有すると疑われる生物学的サンプルを、それらのためのマーカーに暴露すること;そしてii)もしあれば、該サンプル中の該マーカーの存在又は不存在を検出すること;を含む、前記方法。 請求項61 該マーカーが検出可能な標識を含む、前記請求項に記載の方法。 請求項62 該対象からの生物学的サンプル中の該マーカーの量と、正常対象からの対応する生物学的サンプル中の該マーカーの量を比較することをさらに含む、前記請求項に記載の方法。 請求項63 異なる時点で対象から複数の生物学的サンプルを集めること、及び各生物学的サンプル中の該マーカーの量を比較して、時間とともに該対象において該マーカーの量が増加している又は減少しているかどうかを決定することをさらに含む、前記請求項に記載の方法。 請求項64 対象の胃癌を治療するための方法であって、胃癌レセプターアゴニストを含む、前記方法。 請求項65 該レセプターアゴニストが、miR−106b、miR−93及びmiR−25の一つ以上のアンチセンス阻害剤である、前記請求項に記載の方法。 請求項66 胃癌の治療のための薬剤を製造するための、表13、14及び16に示したmiR、それらから派生する配列、こうしたmiRの相補的配列、及びこうした相補的配列から派生する配列の内から選択される核酸分子を含む使用。 請求項67 該薬剤が、表13、14及び16に列挙されたmiR、こうしたmiRから派生する配列、こうしたmiRの相補的配列、及びこうした相補的配列から派生する配列の内から選択された配列を提示する核酸分子を含む、前記請求項に記載の使用。 請求項68 胃癌細胞の分化を誘発するために有効な療法剤又は療法剤の組み合わせを同定するためのインビトロの方法であって、i)胃腫瘍に由来する細胞を培養すること、ii)該細胞株の培養培地に少なくとも一つの化合物を添加すること、iii)段階(i)及び(ii)間の少なくとも一つのmiRの発現レベルの進展を分析すること、及びiv)段階(i)及び(ii)間のmiRの発現レベルの変化を誘発する化合物又は化合物の組み合わせを同定する;段階を含む、インビトロ法。 請求項69 段階(iii)が、少なくとも一つのmiRの発現レベルの分析を含む、前記請求項に記載の方法。 請求項70 段階(iv)が、少なくとも一つのmiRの発現レベルを変調する化合物又は化合物の組み合わせの同定を含む、前記請求項に記載の方法。 請求項71 段階(iv)が、少なくとも一つのmiRの発現レベルを減少させる化合物又は化合物の組み合わせの同定を含む、前記請求項に記載の方法。 請求項72 該化合物が、癌の治療のための療法剤である、前記請求項に記載の方法。
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