专利摘要:
分泌される可溶性酵素の、従来よりも大きい収率をもたらす精製カタラーゼのための改善された宿主発現系の必要が存在する。本発明は、トリコデルマ宿主細胞中でカタラーゼ酵素を発現する方法を提供する。1の実施態様では、アスペルギルスニガー由来のcatR遺伝子がトリコデルマリーゼイ中で発現されて、アスペルギルスニガー中でのcatRの発現と比較してカタラーゼ酵素の改善された収率をもたらす。
公开号:JP2011515079A
申请号:JP2010549874
申请日:2009-03-05
公开日:2011-05-19
发明作者:ドッジ、ティモシー・シー;ホフマン、キャサリン・マリー;ミアスニコフ、アンドレイ;ワード、マイケル
申请人:ダニスコ・ユーエス・インク;
IPC主号:C12N9-08
专利说明:

[0001] [関連出願の相互参照]
本出願は、2008年3月7日に出願された米国仮特許出願第61/034,788号の優先権を主張し、その内容はその全体が参照によって本明細書に取り込まれる。]
[0002] 本発明は、トリコデルマ(Tricoderma)宿主細胞中でのカタラーゼ酵素の発現、特にトリコデルマリーゼイ(Tricoderma reesei)中でのアスペルギルスニガー(Aspergillus niger)由来のCatR遺伝子の発現に関する。]
背景技術

[0003] カタラーゼ[過酸化水素:過酸化水素オキシドレダクターゼ(EC 1.11.1.6)]は、過酸化水素(H2O2)が酸素(O2)および水(H2O)へ転化する反応、すなわち
2H2O2 → 2H2O + O2
を触媒する酵素である。カタラーゼは、多数の動物組織、植物、および微生物から精製されている(非特許文献1および2)。これまでに特性解析されたほとんどのカタラーゼ酵素は、4のポリペプチドサブユニットを含み、各サブユニットは50,000〜60,000の分子量を有し、かつ1サブユニット当たり1のプロトヘミン補欠分子族を含んでいる(非特許文献3および4)。ウシ肝臓由来のカタラーゼは、もっとも広く研究されている酵素である(非特許文献5)。ウシ肝臓カタラーゼの全アミノ酸配列および3次元構造は公知である(非特許文献6および7)。]
[0004] 生化学および生物物理学の観点からは、ウシ肝臓カタラーゼほどにはよく研究されていないけれども、糸状菌由来のカタラーゼは哺乳類由来のカタラーゼとは区別される特性を有し、かつそれを超える利点を持つ。サブユニット数およびヘム含有量では類似しているけれども、糸状菌カタラーゼは、他の生物由来のものよりも実質的に大きい分子であり、80,000〜97,000の範囲にあるサブユニット分子量を有する(非特許文献8,9および10)。さらに重要なことは、糸状菌種、たとえばアスペルギルスニガー由来のカタラーゼは、タンパク質分解に対しておよびグルタルアルデヒドまたはSDSによる不活性化に対してウシ肝臓カタラーゼよりも安定であり、またカタラーゼ阻害因子、たとえばシアン化物、アジドおよびフッ化物とのより低い親和性を有する(上記非特許文献3)。さらに、アスペルギルスニガーカタラーゼは、極端なpH、過酸化水素濃度および温度下に置かれたときにウシ肝臓カタラーゼよりも有意に安定である(非特許文献11)。糸状菌カタラーゼは安定性の利点を提供するけれども、対応する哺乳類酵素、たとえばウシ肝臓カタラーゼは、より高い触媒活性を有するようである(非特許文献12および13)。しかし、酵素の安定性は、酵素の生命工学的利用における重要な因子であるから、糸状菌カタラーゼの利用、とりわけ高濃度の過酸化水素の中和に関係する用途には多大な関心が寄せられている。H2O2中での不活性化速度は、アスペルギルスニガーカタラーゼについてウシ肝臓カタラーゼよりも少なくとも1桁低いことが観察されている(非特許文献14)。これらの2の酵素間の安定性の差は、これらのタンパク質の構造上の特徴および組成の差に帰するものであろう(上記非特許文献14)。]
[0005] 従来、ウシ肝臓カタラーゼが、診断目的用におよび医薬品関連用途(たとえば、コンタクトレンズの洗浄、消毒、H2O2の中和)に好んで用いられる酵素であった。しかし、欧州畜牛における牛海綿状脳症への懸念および人がこの疾病にかかるかも知れないという恐怖(非特許文献15および16)が、カタラーゼ源の代替品への関心を引き起こした。]
[0006] アスペルギルスニガー由来のカタラーゼ製剤は、診断酵素キット用として、グルコースからのグルコン酸ナトリウムの酵素的生産用として、H2O2廃棄物の中和用として、ならびに食品および飲料におけるH2O2の除去および/またはO2の生成用として市販されている。アスペルギルスニガーからは、2のカタラーゼ遺伝子が単離されている。アスペルギルスニガーcatA遺伝子が、脂肪酸上での成長の間に主に誘発されペルオキシソーム内に配置されると考えられているカタラーゼ酵素をコードする。もう一つの遺伝子はcatRと呼ばれ、市販のアスペルギルスニガーカタラーゼ製剤において主要な活性を示す可溶性細胞質酵素をコードする。]
[0007] アスペルギルスニガーcatR遺伝子にはアスペルギルスニガーグルコアミラーゼ(glaA)遺伝子のプロモーター要素およびターミネーター要素が機能し得るように結合されており、このアスペルギルスニガーcatR遺伝子の組換え発現は、グルコースオキシダーゼ(goxA)の発現を排除するように遺伝子組換えされたアスペルギルスニガー株においてすでに開示されている(特許文献1)。しかし、この酵素の収率は最善ではない。何故ならば、発現されたカタラーゼ酵素の一部がアスペルギルスニガー宿主細胞の細胞壁中に局在して、この酵素の収率および回収率を減少させるからである。]
[0008] 米国特許第5,360,901号明細書]
先行技術

[0009] ChanceおよびMaehly、Methodsin Enzymology、1955年、第2巻、p.764−791
JonesおよびWilson、Metal Ions in Biological Systems(H.Sigel編)、1978年、第7巻、米国、ニューヨーク州、Marcel Dekker社
WassermanおよびHultin、Arch.Biochem.Biophys.、1981年、第212巻、p.385−392
HartigおよびRuis、Eur.J.Biochem.、1986年、第160巻、p.487−490
SchonbaumおよびChance、The Enzymes(P.D.Boyer編)、1976年、第3版、第13巻、p.363−408、米国、ニューヨーク州、Academic Press社
Schroederら、Arch.Biochem.Biophys.、1983年、第214巻、p.397−412
Murphyら、J.Mol.Biol.1981年、第152巻、p.465−499
Vainshteinら、J.Mol.Biol.、1986年、第188巻、p.63−72
JacobおよびOrme−Johnson、Biochem.、1979年、第18巻、p.2967−2975
Jonesら、Biochim.Biophys.Acta、1987年、第913巻、p.395−398
ScottおよびHammer、Enzymologia、1960年、第22巻、p.229−237
Gruftら、Can.J.Biochem.1978年、第56巻、第9号、p.916−919
キクチ−トリイら、J.Biochem.(Tokyo)、1982年、第92巻、第5号、p.1449−1456
VasudevanおよびWeiland、Biotechnol.Bioeng.、1990年、第36巻、p.783−789
DeallerおよびLacey、Neutr.Health(Bicester)、1991年、第7巻、p.117−134
DeallerおよびLacey、Food Microbiol.1990年、第7巻、p.253−280]
発明が解決しようとする課題

[0010] したがって、分泌される可溶性酵素の、従来よりも大きい収率をもたらす精製カタラーゼのための改善された宿主発現系の必要が存在する。]
課題を解決するための手段

[0011] 1の側面では、本発明は、過酸化水素から酸素および水への酵素的転化を触媒する能力のあるポリペプチドを産生する方法であって、トリコデルマ宿主細胞中で、該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドから該ポリペプチドを発現する工程を含む方法を提供する。1の実施態様では、該ポリペプチドはアスペルギルスニガー由来のカタラーゼ酵素である。1の実施態様では、該ポリヌクレオチドはアスペルギルスニガーcatR遺伝子を含む。1の実施態様では、ポリヌクレオチドは、配列番号1に記載されたアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする。1の実施態様では、トリコデルマ宿主細胞はトリコデルマリーゼイ細胞である。ある実施態様では、トリコデルマリーゼイ中での該ポリペプチドの発現は、アスペルギルスニガー中での同じポリペプチドの発現よりも少なくとも約20、30、40、50、60、70、80、90または100%のいずれかだけ大きい。ある実施態様では、トリコデルマリーゼイ宿主細胞から成長媒地中に分泌されるポリペプチドの量は、アスペルギルスニガー宿主細胞の場合に成長媒地中に分泌されるポリペプチドの量よりも少なくとも約20、30、40、50、60、70、80、90または100%のいずれかだけ大きい。]
[0012] 1の実施態様では、上記の方法は、(a)当該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを用いて、トリコデルマ宿主細胞を形質転換する工程、(b)当該ポリペプチドの発現に適した条件下の成長培地中で当該トリコデルマ宿主細胞を生育する工程、および(c)当該成長培地から当該ポリペプチドを単離する工程を含む。]
[0013] 他の側面では、本発明は、過酸化水素から酸素および水への酵素的転化を触媒する能力のあるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含むトリコデルマ宿主細胞を提供する。1の実施態様では、該ポリペプチドはアスペルギルスニガー由来のカタラーゼ酵素である。1の実施態様では、該ポリヌクレオチドはアスペルギルスニガーcatR遺伝子を含む。他の実施態様では、該ポリヌクレオチドは、配列番号1に記載されたアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする。1の実施態様では、該宿主細胞はトリコデルマリーゼイ細胞である。ある実施態様では、該トリコデルマ宿主細胞はエンド−T遺伝子の欠失を有している。1の実施態様では、該宿主細胞はエンド−T遺伝子の欠失を有するトリコデルマリーゼイ細胞である。]
[0014] 他の側面では、本発明は、過酸化水素から酸素および水への酵素的転化を触媒する能力のあるポリペプチドであって、該ポリペプチドが本明細書に記載されたようにトリコデルマ宿主細胞中で発現されるポリペプチドを提供する。]
[0015] 他の側面では、本発明は、過酸化水素を酸素および水に転化する方法であって、過酸化水素から酸素および水への酵素的転化を触媒する能力のあるポリペプチドに、該過酸化水素を接触させる工程を含み、該ポリペプチドが本明細書に記載されたようにトリコデルマ宿主細胞中で発現される方法を提供する。]
[0016] 他の側面では、本発明は、過酸化水素を酸素および水に転化するための組成物であって、過酸化水素から酸素および水への酵素的転化を触媒する能力のあるポリペプチドを含み、該ポリペプチドが本明細書に記載されたようにトリコデルマ宿主細胞中で発現される組成物を提供する。]
[0017] 他の側面では、本発明は、過酸化水素から酸素および水への酵素的転化を触媒する能力のあるポリペプチドを含むキットであって、該ポリペプチドが本明細書に記載されたようにトリコデルマ宿主細胞中で発現されるキットを提供する。]
図面の簡単な説明

[0018] アスペルギルスニガーcatRカタラーゼ酵素のアミノ酸配列(配列番号1)を示す図である。分泌を指示するシグナル配列がイタリック体で示される。
イントロンを含む、アスペルギルスニガーcatRカタラーゼ酵素をコードするヌクレオチド配列(配列番号2)を示す図である。
pTrex3gM発現ベクターの構造を示す図である。
pTrex3gM(CATE)発現ベクターの構造を示す図である。
アスペルギルスニガーまたはトリコデルマリーゼイ中で発現されたカタラーゼ酵素の融点へのpHの効果を示すグラフである。
アスペルギルスニガーまたはトリコデルマリーゼイ中で発現されたカタラーゼ酵素の融点へのH2O2の効果を示すグラフである。
実施例6に記載されたSDS−PAGEゲルを示す図である。
実施例7に記載されたカタラーゼサンプルの活性を示すグラフである。]
[0019] 本発明の実施には、他様に示されない限り、分子生物学(組換え技術を含む。)、微生物学、細胞生物学および生化学の慣用の技術が用いられ、これらは当業者の技能の範囲内である。かかる技術は文献、たとえばSambrookら、分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)、1989年、第2版;M.J.Gait編、オリゴヌクレオチド合成(Oligonucleotide Synthesis)、1984年;F.M.Ausubelら編、分子生物学の現行手法(Current Protocol in Molecular Biology)、1994年;Mullisら編、PCR:ポリメラーゼ連鎖反応(PCR:The Polymerase Chain Reaction)、1994年;およびKriegler、遺伝子の導入および発現:実験マニュアル(Gene Transfer and Expression:A Laboratory Manual)、1990年に十分に説明されている。]
[0020] 本明細書で他様に定義されない限り、本明細書で用いられるすべての技術的および科学的用語は、本発明の属する分野の当業者によって普通に理解されるのと同じ意味を有する。Singletonら、微生物学および分子生物学辞典(Dictionary of Microbiology and Molecular Biology)、1994年、第2版、米国、ニューヨーク州、John Wiley and Sons社、ならびにHaleおよびMarkham、ハーパーコリンズ生物学辞典(The Harper Collins Dictionary of Biology)、1991年、米国、ニューヨーク州、Harper Perennial社は、当業者に、本発明で用いられる用語の多くについての一般的辞書を提供する。本明細書に記載された方法および物質と類似のまたは同等の任意の方法および物質が、本発明の実施または試験に用いられることができる。]
[0021] 本明細書に示された数値範囲は、その範囲を規定する数値を包含する。]
[0022] 他様に示されない限り、核酸は左から右に5’から3’の方向に、アミノ酸配列は左から右にアミノ基からカルボキシ基の方向に、それぞれ書かれる。
定義]
[0023] 本明細書で用いられる「ポリヌクレオチド」の語は、任意の長さおよび任意の三次元構造の、ならびに一本鎖または複数鎖(たとえば、一本鎖、二本鎖、三本鎖等)のヌクレオチドのポリマー形態をいい、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、および/またはデオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチドの類似体もしくは修飾型、たとえば修飾ヌクレオチドもしくは塩基またはこれらの類似体を含む。遺伝子コードは縮重性なので、特定のアミノ酸をコードするために2以上のコドンが用いられることができ、したがって本発明は、特定のアミノ酸配列をコードする複数のポリヌクレオチドを包含する。ポリヌクレオチドが所望の機能性を使用条件下に保持する限り、たとえばヌクレアーゼ耐性を増加する修飾(たとえば、デオキシ、2’−OMe、ホスホロチオエート等)を含む、任意の種類の修飾をされたヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体が用いられることができる。標識、たとえば放射性もしくは非放射性標識またはアンカー、たとえばビオチンが、検出または捕捉の目的のために取り込まれることができる。ポリヌクレオチドの語はペプチド核酸(PNA)も包含する。ポリヌクレオチドは天然由来または非天然由来であることができる。「ポリヌクレオチド」および「核酸」および「オリゴヌクレオチド」の語は、本明細書では互換的に用いられる。本発明のポリヌクレオチドは、RNA、DNAもしくは双方、ならびに/またはこれらの修飾型および/もしくは類似体を包含することができる。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分によって中断されてもよい。1以上のホスホジエステル結合が代替連結基によって置換されてもよい。これらの代替結合基は、以下に記載されたものに限定されることなく、ホスフェートがP(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)、(O)NR2(「アミデート」)、P(O)R、P(O)OR’、COまたはCH2(「ホルムアセタール」)によって置換された実施態様を含み、ここで各RまたはR’は、独立にH、または置換もしくは非置換のアルキル(1〜20のC)であって、任意的にエーテル(−O−)結合、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニルもしくはアラルジルを含むアルキルである。ポリヌクレオチド中のすべてのホスホジエステル結合が同一である必要はない。ポリヌクレオチドは直鎖状もしくは環状であることができ、または直鎖状および環状部分の組み合わせを含むことができる。]
[0024] 本明細書で用いられる「ポリペプチド」とは、アミノ酸から成り、かつ当業者によってタンパク質と認識される任意の組成をいう。アミノ酸残基を表す慣用の一文字または三文字のコードが本明細書で用いられる。「ポリペプチド」および「タンパク質」の語は、本明細書では互換的に用いられ、任意の長さのアミノ酸のポリマーをいう。該ポリマーは直鎖状または分枝状であることができ、これは修飾アミノ酸を含んでいてもよく、また非アミノ酸によって中断されていてもよい。これらの語は、天然にまたは人の介入によって修飾を、たとえばジスルフィド結合形成、グルコシル化、脂質化、アセチル化、ホスホリル化または任意の他の操作もしくは修飾、たとえば標識成分との接合、をされたアミノ酸ポリマーも包含する。この定義内に同様に含まれるのは、たとえばアミノ酸の1以上の類似体(たとえば、非天然のアミノ酸等を含む。)ならびに従来技術で知られた他の修飾を含むポリペプチドである。]
[0025] 本明細書で用いられる「ベクター」とは、1以上の種類の細胞中に核酸を導入するように設計されたポリヌクレオチド配列をいう。ベクターはクローニングベクター、発現ベクター、シャトルベクター、プラスミド、ファージ粒子、カセット等を包含する。]
[0026] 本明細書で用いられる「発現」の語は、遺伝子の核酸配列に基づいてポリペプチドが産生される過程をいう。この過程は転写および翻訳の双方を含む。]
[0027] 本明細書で用いられる「発現ベクター」とは、宿主中にコード配列の発現を達成する能力のある1以上の適当な制御配列に、機能し得るように連結されたDNAコード配列(たとえば、遺伝子配列)を含むDNA構成体をいう。かかる制御配列は、転写を達成するプロモーター、かかる転写を制御する任意的なオペレーター配列、適当なmRNAリボソーム結合部位をコードする配列、ならびに転写および翻訳の停止を制御する配列を含む。ベクターは、プラスミド、ファージ粒子、または単に潜在的なゲノム挿入体であることができる。適当な宿主中にいったん形質転換されると、ベクターは、宿主遺伝子とは独立に複製しおよび機能することができ、またはある場合にはゲノム自体中に組み込まれるものであってもよい。プラスミドは、発現ベクターのもっとも普通に用いられる形態である。しかし、本発明は、同等の機能を果たす発現ベクターのこのような他の形態を包含することを意図しており、このような形態は従来技術ですでに知られており、またはここで知られる。]
[0028] 「プロモーター」とは、遺伝子の転写を開始するRNAポリメラーゼを結合することに関与する調節配列をいう。プロモーターは、誘導性プロモーターまたは構成性プロモーターであることができる。本発明に用いられることができる誘導性プロモーターの非限定的な例は、トリコデルマリーゼイcbh1であり、これは誘導性プロモーターである。]
[0029] 「機能し得るように連結され」の語は、複数の要素が機能的に関連することができる配置にある、このような複数の要素の併置をいう。たとえば、プロモーターがコード配列の転写を制御するならば、該プロモーターは該コード配列に機能し得るように連結されている。]
[0030] 「転写制御下に」とは、ポリヌクレオチド配列の転写が、転写の開始に寄与する、または転写の開始を促進する要素に、該ポリヌクレオチド配列が機能し得るように連結されていることに依存していることを表すと、当該技術分野においてよく理解されている用語である。]
[0031] 「翻訳制御下に」とは、mRNAが形成された後に生じる調節過程を表すと、当該技術分野においてよく理解されている用語である。]
[0032] 「遺伝子」とは、ポリペプチドを産生することに関与するDNAセグメントをいい、コード領域に先行するおよびそれに続く領域ならびに個々のコードセグメント(エキソン)の間に介在する配列(イントロン)を含む。]
[0033] 本明細書で用いられる「宿主細胞」の語は、ポリペプチドを産生するための組換え発現ベクターが、該ポリペプチドの発現のためにその中に導入されることができる細胞または細胞株をいう。宿主細胞は、1の宿主細胞の子孫を含み、該子孫は元の親細胞と、天然の、偶発的な、または意図的な変異の故に、必ずしも完全に(形態(モルフォロジー)においてまたは全ゲノムDNA相補体において)同一でなくてもよい。宿主細胞は、発現ベクターを生体内で(in vivo)導入された、または形質転換された細胞を含む。「宿主細胞」とは、糸状菌株、とりわけトリコデルマ種の株の細胞から産生された細胞およびプロトプラストの双方をいう。]
[0034] 「組換え体」の語は、細胞、核酸、タンパク質またはベクターに関して用いられるときは、その細胞、核酸、タンパク質またはベクターが、非相同の核酸もしくはタンパク質、もしくは天然の核酸もしくはタンパク質の変更物によって修飾されていることを、またはその細胞がそのように修飾された細胞に由来することを示している。したがって、たとえば、組換え細胞は、その細胞の天然(非組換え)型の中で見出されない遺伝子を発現し、またはそれとは別様に異常に発現された、不十分に発現された、もしくはまったく発現されない天然の遺伝子を発現する。]
[0035] 「シグナル配列」(「プレ配列」、「シグナルペプチド」、「リ−ダー配列」または「リ−ダーペプチド」とも呼ばれる。)とは、タンパク質のN末端部分に結合されたアミノ酸の配列をいい、これは細胞からの成熟型タンパク質の分泌を促進する。シグナル配列は分泌経路へのポリペプチドを標的とし、新生ポリペプチドが小胞体膜内にいったん移行してしまうとそれから分離される。成熟型の細胞外タンパク質は、分泌過程の間にシグナル配列を切り離され、それを欠いている。]
[0036] 「選択マーカー」または「選択可能マーカー」の語は、導入された核酸またはベクターを含んでいる宿主の選別を容易にすることを可能にする、宿主細胞中で発現する能力のある遺伝子をいう。選択可能マーカーの例は、以下のものに限定されることなく、抗生物質(たとえば、ハイグロマイシン、ブレオマイシンまたはクロラムフェニコール)および/または代謝上の利益、たとえば栄養的利益を宿主細胞に与える遺伝子を含む。]
[0037] 「に由来する」の語は、「を源とする」、「から得られた」、「から得られ得る」、「から単離された」および「から生成された」の語を包含する。]
[0038] 「糸状菌」とは、ユーミコチナ(Eumycotina)亜門のすべての糸状体をいう(Alexopoulos,C.J.、「菌類学入門(Introductory Mycology)」、1962年、米国、ニューヨーク州、Wiley社参照)。これらの真菌は、キチン、セルロースおよび他の複合多糖からなる細胞壁を有する栄養菌糸によって特性付けられる。本発明の糸状菌は酵母菌とは形態学的に、生理学的におよび遺伝学的にはっきり区別される。糸状菌による栄養増殖は菌糸の伸長によるものであり、炭素異化作用は偏性好気性である。本発明では、糸状菌親細胞は、トリコデルマ、たとえばトリコデルマリーゼイ(従来はトリコデルマロンギブラキアタム(Trichoderma longibrachiatum)として分類され、現在はハイポクレアジェコリーナ(Hypocrea jecorina)として知られている。)、トリコデルマビリデ(Trichoderma viride)、トリコデルマコニンギ(Trichoderma koningii)またはトリコデルマハルジアナム(Trichoderma harzianum)の種の細胞であることができる。]
[0039] 本明細書で用いられる「トリコデルマ」または「トリコデルマ種」の語は、従来および現在トリコデルマとして分類された任意の糸状菌属をいう。]
[0040] 「培養」の語は、液状または固形培地中で、成長に適した条件下に微生物細胞の集団を生育することをいう。]
[0041] ポリヌクレオチドまたはタンパク質に関する「非相同」の語は、宿主細胞中に天然には生じないポリヌクレオチドまたはタンパク質をいう。ある実施態様では、このタンパク質は商業的に重要な工業用タンパク質である。「非相同」の語は、天然遺伝子、突然変異遺伝子および/または合成遺伝子によってコードされたタンパク質を包含することが意図されている。ポリヌクレオチドまたはタンパク質に関する「相同」の語は、宿主細胞中に天然に生じるポリヌクレオチドまたはタンパク質をいう。]
[0042] 核酸配列を細胞中に挿入する文脈における「導入され」の語は、「核酸導入」、「形質転換」または「形質導入」を包含し、核酸配列を真核細胞または原核細胞中に導入することをいい、その場合、該核酸配列は該細胞のゲノム(たとえば、染色体、プラスミド、色素体またはミトコンドリアのDNA)中に導入され、自律レプリコンに転換され、または一時的に発現されることができる。]
[0043] 本明細書で用いられる「形質転換され」、「安定に形質転換され」および「トランスジェニックの」の語は、非天然(すなわち、非相同)の核酸配列を、自身のゲノム中に取り込んで、または複数世代を通して保持されているエピソームプラスミドとして、有する細胞をいう。]
[0044] 本明細書で用いられる「回収され」、「単離され」、「精製され」および「分離され」の語は、その物質が自然に結び付けられている少なくとも1の成分から分離された物質(たとえば、タンパク質、核酸または細胞)をいう。たとえば、これらの語は、その物質の自然な状態において見られる、その物質に通常付随する成分から、実質的にまたは本質的に自由になっている物質、たとえば人の手の加えられていない生体系をいうということができる。]
[0045] 本明細書で用いられる「カタラーゼ」とは、過酸化水素から水素および酸素への分解を触媒する酵素(たとえば、触媒活性を有するポリペプチド)をいう。]
[0046] 「ATCC」とは、米国、20108、バージニア州、Manassasを本拠とするアメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection)(www.atcc.org)をいう。]
[0047] 「NRRL」とは、米国、イリノイ州、Peoriaの米国立農業利用研究センター(米国農務省北部地域研究所(USDA Northern Regional Research Laboratory)として従来知られていた。)、農事研究事業団カルチャーコレクション(Agricultural Research Service Culture Collection,National Center for Agricultural Utilization Research)をいう。]
[0048] 「1の(a、an)」および「その(the)」とは、文脈が明白に他様に指示しない限り、複数のものへの言及を包含する。
トリコデルマ宿主細胞]
[0049] 本発明は、カタラーゼ酵素をコードする非相同のポリヌクレオチドを発現することができる宿主細胞を提供する。該宿主細胞は、トリコデルマ種、たとえばトリコデルマリーゼイ、トリコデルマビリデ、トリコデルマコニンギまたはトリコデルマハルジアナムの糸状菌細胞である。ある実施態様では、宿主細胞はトリコデルマリーゼイ菌株である。トリコデルマリーゼイの菌株は公知であり、非限定的な例はATCC番号13631、ATCC番号26921、ATCC番号56764、ATCC番号56765、ATCC番号56767およびNRRL番号15709を含む。ある実施態様では、宿主細胞はRL−P37トリコデルマリーゼイ菌株(Sheir−Neissら、Appl.Microbiol.Biotechnology、1984年、第20巻、p.46〜53に記載されている。)に由来する。1の実施態様では、宿主細胞はMorph 1.1(pyr+)トリコデルマリーゼイ菌株、すなわち4遺伝子欠失のRL−P37トリコデルマリーゼイ菌株の自然復帰変異株pyr4である(国際公開第05/001036号に記載されている)。]
[0050] 宿主株は、遺伝子工学によってすでに遺伝子組換えされたものであってもよい。ある実施態様では、糸状菌宿主細胞の各種の天然遺伝子がこれまでに不活性化されている。これらの遺伝子は、たとえばセルロース分解酵素、たとえばエンドグルカナーゼ(EG)およびエキソセロビオヒドロラーゼ(CBH)(たとえば、cbh1、cbh2、egl1およびegl3)をコードする遺伝子を含む。米国特許第5,650,322号は、cbh1遺伝子およびcbh2遺伝子の欠失を有するRL−P37の誘導体株を開示している。ある実施態様では、トリコデルマ宿主細胞はエンド−T遺伝子の欠失を有しており、発現されたカタラーゼ酵素の脱グリコシル化(糖鎖の除去)が低減されまたは阻害される。ある実施態様では、宿主細胞は、エンド−T遺伝子の欠失を有するトリコデルマリーゼイである。]
[0051] 本発明のポリペプチドをコードする発現ベクターは、標準的な手法を用いて宿主細胞中に核酸導入されることができる。「核酸導入」または「形質転換」とは、外因性ポリヌクレオチドを宿主細胞中に挿入することをいう。外因性ポリヌクレオチドは、非組み込みベクター、たとえばプラスミドとして保持されることができ、あるいは宿主細胞ゲノム中に取り込まれてもよい。「核酸導入する」または「核酸導入」の語は、核酸を宿主細胞中に導入するためのすべての慣用の手法を包含することが意図される。核酸導入の手法の例は、以下のものに限定されることなく、リン酸カルシウム沈降法、DEAEデキストリン媒介性核酸導入、リポフェクション、エレクトロポレーションおよびマイクロインジェクションを含む。宿主細胞中に核酸導入する好適な方法は、Sambrookら、分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)、1989年、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory press刊および他の実験教科書に見出されることができる。核酸をin vivoに細胞中に導入するのに適した送達機構によって、たとえばレトロウイルスベクター法(たとえば、Ferryら、Proc.Natl.Acad.Sci.,USA、1991年、第88巻、p.8377〜8381;およびKayら、Human Gene Therapy、1992年、第3巻、p.641〜647参照)、アデノウイルスベクター法(たとえば、Rosenfeld、Cell、1992年、第68巻、p.143〜155;ならびにHerzおよびGerard、Proc.Natl.Acad.Sci.,USA、1993年、第90巻、p.2813〜2816参照)、受容体媒介性DNA組み込み法(たとえば、WuおよびWu、J.Biol.Chem.、1988年、第263巻、p.14621;Wilsonら、J.Biol.Chem.、1992年、第267巻、p.963−967;ならびに米国特許第5,166,320号参照)、DNAの直接注入法(たとえば、Acsadiら、Nature、1991年、第332巻、p.815−818;およびWolffら、Science、1990年、第247巻、p.1465−1468参照)、または粒子ボンバードメント(微粒子銃)法(たとえば、Chengら、Proc.Natl.Acad.Sci.,USA、1993年、第90巻、p.4455〜4459;およびZeleninら、FEBSLetts.、1993年、第315巻、p.29〜32参照)によって、核酸は細胞中に導入されることもできる。]
[0052] ある種のベクターは、低い頻度で宿主細胞中に組み込まれる。これらの組み込み体を特定するために、ある実施態様では、選択可能マーカー(たとえば、薬剤耐性を与えるもの)を含む遺伝子が、関心の対象である核酸とともに宿主細胞中に導入される。選択可能マーカーの例は、ある種の薬剤に対する耐性を与えるもの、たとえばG418およびハイグロマイシンを含む。選択可能マーカーは、関心の対象である核酸とは別のベクター上に、または同じベクター上に導入されることができる。核酸導入された宿主細胞はそうすると、選択可能マーカーを用いて細胞を選別することによって、特定されることができる。たとえば、選択可能マーカーがネオマイシン耐性を与える遺伝子をコードするならば、核酸を組み込んだ宿主細胞は、G418の存在下においてもそれが成長することによって特定されることができる。選択可能マーカー遺伝子を取り込んだ細胞は生き延び、そうでない細胞は死ぬ。]
[0053] いったん発現されると、本発明のポリペプチドは、当該技術分野の標準的方法、たとえば、以下のものに限定されることなく、親和性精製法、硫酸アンモニウム沈降法、イオン交換クロマトグラフィーまたはゲル電気泳動法(一般的に、R.Scopes、「タンパク質の精製(Protein Purification)」、1982年、米国、ニューヨーク州、Springer−Verlag社;Deutscher、Methodsin Enzymology、第182巻:「タンパク質精製法の解説(Guide to Protein Purification)」、1990年、米国、ニューヨーク州、Academic Press社を参照)を含む方法に従って精製されることができる。
カタラーゼ酵素]
[0054] 本発明の文脈では、カタラーゼは、過酸化水素から酸素および水への転化を触媒する酵素である。本明細書に記載されたトリコデルマ宿主細胞中で発現されたカタラーゼ酵素は、宿主の種とは非相同である。すなわち、これらのカタラーゼ酵素は、その中でこれらのカタラーゼ酵素が発現されたトリコデルマの種とは別の種に由来する。]
[0055] 1の実施態様では、カタラーゼは、アスペルギルスニガーのcatRカタラーゼである。ある実施態様では、カタラーゼは、配列番号1に記載されたアミノ酸配列を含み、同配列からなり、または同配列から本質的になる。ある実施態様では、カタラーゼは、配列番号1に記載された配列と約70、75、80、85、90、95、97、98、99または99.5%のいずれかの同一性を有するアミノ酸配列を含み、同配列からなり、または同配列から本質的になり、この酵素は過酸化水素から酸素および水への転化を触媒する能力がある。]
[0056] ある実施態様では、カタラーゼは、配列番号1に記載されたアミノ酸配列に由来する成熟型の、処理された配列である。ある実施態様では、配列番号1に記載されたアミノ酸配列に由来する成熟型の、処理された配列は、配列番号1のN末端から1〜約25個のアミノ酸残基の欠失、たとえば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25個のN末端アミノ酸の欠失を有する。]
[0057] 1の実施態様では、カタラーゼは、アスペルギルスニガーのcatR遺伝子によってコードされる。ある実施態様では、カタラーゼは、配列番号2に記載されたポリヌクレオチド配列を含み、同配列からなり、または同配列から本質的になるポリヌクレオチドによってコードされる。ある実施態様では、カタラーゼは、配列番号2に記載されたポリヌクレオチド配列と約70、75、80、85、90、95、97、98、99または99.5%のいずれかの同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされ、このポリヌクレオチドによってコードされた酵素は過酸化水素から酸素および水への転化を触媒する能力がある。
ベクター]
[0058] 本発明に従って、カタラーゼ酵素をコードするポリヌクレオチド配列を含むベクターは、トリコデルマ宿主細胞中に導入される。典型的には、カタラーゼ活性を含むポリペプチドは、該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含みかつカタラーゼコード配列に機能し得るように連結された1または複数の調節配列を含む発現ベクターから発現される。]
[0059] ベクターは、トリコデルマ細胞中に導入されその中で複製されることができる任意のベクターであることができる。好適なベクターの例は、たとえばSambrookら、上記、1989年;Ausubel、上記、1994年;van den Hondelら、「真菌中でのより多くの遺伝子操作(More Gene Manipulations in Fungi)(BennetおよびLasure編)」、1991年、p.396−428、米国、サンジエゴ、Academic Press社:および米国特許第5,874,276号の中に見出されることができる。有用なベクターの例は、以下のものに限定されることなく、pFB6、pBR322、PUC18およびpENTR/Dを含む。]
[0060] 典型的には、カタラーゼ酵素をコードするポリヌクレオチドは、トリコデルマ宿主細胞中で転写活性を示す適当なプロモーターに機能し得るように連結されている。このプロモーターは、宿主細胞と相同か、あるいは非相同であるタンパク質をコードする遺伝子に由来することができる。プロモーターの好適な非限定的な例は、cbh1、cbh2、egl1およびegl2を含む。ある実施態様では、プロモーターは宿主細胞生来である。たとえば、トリコデルマリーゼイが宿主細胞であるときは、プロモーターは天然のトリコデルマリーゼイプロモーターであることができる。1の実施態様では、プロモーターはトリコデルマリーゼイcbh1であり、これは誘導性プロモーターであり、受託番号D86235の下にジェンバンク(GenBank)に寄託されている。「誘導性プロモーター」とは、環境的または発生的調節条件下に活性であるプロモーターである。他の実施態様では、プロモーターは宿主細胞と非相同である。]
[0061] ある実施態様では、カタラーゼをコードする配列は、シグナル配列をコードするポリヌクレオチド配列と機能し得るように連結されている。ある実施態様では、シグナル配列は、発現されるべきカタラーゼ遺伝子と天然に結合されている配列である。ある実施態様では、シグナル配列は、配列番号1の1〜16の残基に示されたアミノ酸配列を含み、同配列からなり、または同配列から本質的になる。ある実施態様では、シグナル配列は、配列番号1の1〜16のアミノ酸残基に示されたシグナル配列と少なくとも約80、85、90%、95%、97%、98%または99%の配列同一性を有する。ある実施態様では、シグナル配列は、トリコデルマリーゼイのcbh1またはnsp24のシグナル配列である。1の実施態様では、シグナル配列は、cbh1核酸配列ATGTATCGGAAGTTGGCCGTCATCTCGGCCTTCTTGGCCACAGCTCGTGCT(配列番号3)によってコードされたアミノ酸配列である。1の実施態様では、シグナル配列は、nsp24核酸配列ATGCAGACCTTTGGAGCTTTTCTCGTTTCCTTCCTCGCCGCCAGCGGCCTGGCCGCGGCC(配列番号4)によってコードされたアミノ酸配列である。ある実施態様では、トリコデルマ宿主細胞中に導入されるべきベクターは、同じ源に由来するシグナル配列およびプロモーター配列を含む。ある実施態様では、シグナル配列およびプロモーター配列は異なった源に由来する。]
[0062] ある実施態様では、ベクターは終止配列も含む。ある実施態様では、トリコデルマ宿主細胞中に導入されるべきベクターは、同じ源に由来する終止配列およびプロモーター配列を含む。ある実施態様では、終止配列およびプロモーター配列は異なった源に由来する。好適な終止配列の1の非限定的な例は、トリコデルマ株、たとえばトリコデルマリーゼイ株に由来するcbh1の終止配列である。]
[0063] ある実施態様では、ベクターは選択可能マーカーを含む。好適な選択可能マーカーの例は、以下のものに限定されることなく、抗生物質化合物、たとえばハイグロマイシン、フレオマイシンに対する耐性を与える遺伝子を含む。栄養要求性選択可能マーカー、たとえばamdS、argB、pyr4も用いられることができる。トリコデルマの形質転換のためのベクター系に有用なマーカーは、従来技術で知られている(たとえば、Finkelstein、「糸状菌のバイオテクノロジー(Biotechnology of Filamentous Fungi)(Finkelsteinら編)」、1992年、第6章、米国、マサチューセッツ州、ボストン、Butterworth−Heinemann社;Kinghornら、「糸状菌の応用分子遺伝学(Applied Molecular Genetics of Filamentous Fungi)」、1992年、英国、ロンドン、Chapmann and Hall社、Blackie Academic and Professional部門参照)。1の実施態様では、選択可能マーカーはamdS遺伝子であり、これはアセトアミダーゼ酵素をコードし、形質転換された細胞が窒素源としてのアセトアミド上で成長することを可能にする。アスペルギルスニジュランス(Aspergillus nidulans)amdS遺伝子の選択可能マーカーとしての使用は、Kellyら、EMBO J.、1985年、第4巻、p.475−497およびPenttilaら、Gene、1987年、第61巻、p.155−164に記載されている。]
[0064] カタラーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含んでいる発現ベクターは、トリコデルマ宿主細胞中で自律的に複製する能力がある、または該宿主細胞のDNA中に組み込まれる能力がある任意のベクターであることができる。ある実施態様では、発現ベクターはプラスミドである。]
[0065] カタラーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチドおよび他の配列、たとえばプロモーターおよびターミネーターを含んでいるDNA構成体を作る方法、ならびにこれらを適当なベクター中に挿入する方法は、従来技術で周知である。ポリヌクレオチド配列の連結は、一般に都合のよい制限酵素認識部位での結合によって達成される。かかる部位が存在しない場合は、合成オリゴヌクレオチドリンカーが従来の慣行に従って用いられる(たとえば、Sambrook、上記、1989年;BennettおよびLasure、上記、1991年、p.70−76参照)。
宿主細胞中へのベクターの導入]
[0066] カタラーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含むベクターのトリコデルマ宿主細胞中への導入は、従来技術で周知の多数の手法のいずれか、たとえば形質転換、エレクトロポレーション、核マイクロインジェクション、形質導入、核酸導入(たとえば、リポフェクション、DEAEデキストリン媒介性核酸導入)、リン酸カルシウムDNA沈殿による培養、DNA被覆マイクロプロジェクタイルによる高速度ボンバードメントまたはプロトプラスト融合を用いて実施されることができる。]
[0067] ある実施態様では、安定な形質転換体が生成され、それによってカタラーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが、宿主細胞染色体中に安定に組み込まれる。形質転換体は次に公知の手法によって精製される。]
[0068] 1の実施態様では、amdSマーカーを含む安定な形質転換体は、そのより急速な成長速度と、アセトアミドを含有する固形培地上に不規則でなくて滑らかな輪郭を有する円形のコロニーを形成することとによって、不安定な形質転換体から識別可能である。その上、場合によっては、固形非選択培地(すなわち、アセトアミドを含んでいない培地)上で形質転換体を成長させ、この培地から胞子を収穫し、そしてアセトアミドを含有する選択培地上でその後に発芽し成長するような胞子の割合を測定することによるさらなる安定性試験が実施される。あるいは、従来技術で知られた他の方法が、形質転換体を選別するために用いられることができる。]
[0069] 1の実施態様では、形質転換のためのトリコデルマ宿主細胞の調製は、真菌の菌糸体からのプロトプラストの調製を含む(たとえば、Campbellら、Curr.Genet.、1989年、第16巻、p.53−56参照)。ある実施態様では、発芽した栄養胞子から菌糸体が得られる。この菌糸体は細胞壁を消化する酵素で処理されて、プロトプラストとなる。このプロトプラストは、懸濁培地中で浸透圧安定剤の存在によって保護される。かかる安定剤は、たとえばソルビトール、マンニトール、塩化カルシウムおよび硫酸マグネシウムを含む。典型的には、安定剤の濃度は約0.8M〜約1.2Mの範囲にある。1の実施態様では、ソルビトールは懸濁培地中に約1.2Mの濃度で存在する。]
[0070] 典型的には、宿主のトリコデルマ細胞中へのDNAの組み込みは、組み込み溶液中のカルシウムイオン濃度に依存する。一般に、約10mM〜約50mMのCaCl2が組み込み溶液中に含まれている。その上、組み込み溶液は、典型的には緩衝系(たとえば、TE緩衝液(10mMのトリス(Tris)、pH7.4;1mMのEDTA))または10mMのモルホリンプロパンスルホン酸(MOPS)、pH6.0)およびポリエチレングリコール(PEG)も含んでいる。理論に束縛されることを望むわけではないが、PEGは、細胞膜を溶解する役割を果たすことができ、このようにして培地中の内容物がトリコデルマ細胞の細胞質中に送達されること、およびプラスミドDNAが核中に導入されることを可能にする。この融合は典型的には、プラスミドDNAの複数のコピーが宿主染色体中に組み込まれる結果をもたらす。]
[0071] しばしば、約105/ml〜約107/ml、典型的には約2×106/mlの細胞密度での透過性処理に付されたトリコデルマのプロトプラストまたは細胞を含む懸濁体が形質転換に用いられる。これらのプロトプラストまたは細胞の適当な溶液(たとえば、1.2Mのソルビトール、50mMのCaCl2を含んでいる溶液)100μlの量が、DNAと混合される。一般に、高濃度のPEGが組み込み溶液に添加される。たとえば、約0.1〜約1倍量の25%PEG 4000が、プロトプラスト懸濁体に添加されることができる。1の実施態様では、約0.25倍量の25%PEG 4000が添加される。添加剤、たとえば以下のものに限定されないが、ジメチルスルホキシド、ヘパリン、スペルミジンおよび塩化カリウムが組み込み溶液に添加され、形質転換を補助する。]
[0072] 典型的には、組み込み混合物は次に0℃で約10〜約30分間温置される。追加のPEGがそれからこの混合物に添加されて、所望の遺伝子またはポリヌクレオチド配列の組み込みを促進することができる。たとえば、約5〜約15倍量の25%PEG 4000が添加されることができる。しかし、これよりも多いまたは少ない量が適当であることもある。添加される25%PEG 4000の量は、しばしば形質転換混合物の10倍量である。PEGの添加後、形質転換混合物は次に室温であるいは氷上に温置され、引き続いてソルビトールおよび塩化カルシウム溶液が添加される。プロトプラスト懸濁体は、次に成長培地、たとえば溶解した成長培地のアリコートに添加され、該成長培地は形質転換体の成長のみを許す。
カタラーゼの産生]
[0073] トリコデルマ中の非相同タンパク質の発現は、たとえば米国特許第6,022,725号および6,268,328号;Harkkiら、Enzyme Microb.Technol.、1991年、第13巻、p.227−233;Harkkiら、Bio Technol.、1989年、第7巻、p.596−603;欧州特許第244,234号;欧州特許第215,594号;およびNevalainenら、Molecular Industrial Mycology(LeongおよびBerka編)中の「トリコデルマならびに相同および非相同の双方の遺伝子の発現へのその利用の分子生物学(The Molecular Biology of Trichoderma and its Application to the Expression of Both Homologous and Heterologous Genes)」、1992年、p.129−148、米国、ニューヨーク州、Marcel Dekker社に記載されている。]
[0074] 一般に、トリコデルマ宿主細胞は、生理的塩類および栄養素を含む標準培地中で培養される。通常の商業的に調製された培地(たとえば、酵母・麦芽抽出物(YM)ブロス;ルリアベルタニ(LB)ブロス;サブローデキストロース(SD)ブロス)が用いられることができる。典型的には、細胞は、振とう培養機または発酵槽中約28℃で、所望のレベルのカタラーゼの発現が達成されるまで培養される。しばしば、誘導糖、たとえばラクトースまたはグルコース/ソホロースが培地中に含められる。]
[0075] アスペルギルスニガー中でカタラーゼが産生されるときは、シュウ酸が副生成物として約30g/lのレベルで生成される。カタラーゼ産物中への制御されない沈降を避けるために、ほとんどのシュウ酸を除くことが必要である。したがって、シュウ酸は、CaCl2を用いてシュウ化カルシウムとしてアスペルギルスニガー発酵培地から沈降される。トリコデルマリーゼイ中のカタラーゼの産生は、これよりもはるかに低いレベルのシュウ酸をもたらす。4回の異なったトリコデルマリーゼイの発酵後の平均シュウ酸濃度は、わずか1.24±0.15g/lであった。好都合なことに、このレベルはシュウ酸塩による沈降の必要をなくしてくれる。
使用方法]
[0076] 本発明は、過酸化水素を酸素および水に転化する方法であって、過酸化水素を、本明細書に記載されたトリコデルマ宿主細胞中で産生されたカタラーゼ酵素に接触させる工程を含む方法を提供する。本発明の方法が用いられることができる用途は、以下のものに限定されることなく、布地の漂白後、パルプもしくは紙の漂白後、または殺菌剤としての使用後に過酸化水素を除去する用途を含む。本明細書に記載されたカタラーゼ酵素のための好適なプロセス条件の非限定的な例は、pH3〜9、20〜80℃および5000ppmまでの過酸化水素を含む。
組成物]
[0077] 本発明は、本明細書に記載されたトリコデルマ宿主細胞中で産生されたカタラーゼ酵素を含む酵素組成物も提供する。かかる組成物は、過酸化水素を酸素および水に転化する方法に用いられることができる。]
[0078] 様々な実施態様において、カタラーゼ酵素は、液状、固形状、全ブロス液状または全ブロス固形状の配合物で提供されることができる。]
[0079] ある実施態様では、精製カタラーゼは、約800〜20,000U/gの範囲の活性濃度を持ち、pH約3〜9で提供されることができる。液状配合物は、ポリオール、たとえば5〜40%のソルビトールもしくはグリセロール、塩類、たとえば5〜20%の塩化ナトリウム、緩衝液、たとえばクエン酸塩、リン酸塩もしくは酢酸塩、ならびに他の成分、たとえば0.01〜2%のギ酸塩および/もしくは0.01〜2%の亜硝酸ナトリウム、および/もしくは抗生物質、たとえばソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、パラベンおよび/もしくはプロキセル(1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン)を含むことができる。
キット]
[0080] 本発明はキットも提供する。1の実施態様では、キットは、本明細書に記載されたトリコデルマ宿主細胞中で産生されたカタラーゼ酵素を提供し、任意的に、カタラーゼ酵素を、たとえば布地の漂白後、パルプもしくは紙の漂白後、または殺菌剤としての使用後の過酸化水素を除去する方法または用途に使用するための説明書が添付される。好適な包装が提供される。本明細書で用いられる「包装」とは、系において習慣的に用いられ、本明細書に記載されたキットの成分、たとえばカタラーゼ酵素を一定の限度量内に保持することのできる固形の母体または物質をいう。]
[0081] 説明書は、印刷体で、または電子媒体、たとえばフロッピーディスク、CDもしくはDVDの形で、またはかかる説明書が取得されることができるウェブサイトアドレスの形で提供される。]
[0082] 以下の実施例は、本発明を例示することを意図しているが、限定することは意図していない。]
[0083] pTrex3gM(CATE)発現ベクターの構築
プラスミドpTrex3gMが、(国際公開第05/001036号に記載された)pTrex3gの修飾によって産生され、前者はサイズが後者よりも小さい。pTrex3gMは、細菌中でのプラスミドの複製に関与する配列において主としてpTrex3gと異なる。pTrex3gMは、2のプライマー対、すなわち
oMOB5(GGTTCTAGAGGCCTAAATGGCCATGAGACAATAACCCTGATAAATGC)(配列番号5)プラス
oMOB31(AAGGCCTGCAGGGCCGATTTTGGTCATGAGATTATC)(配列番号6)、および
oMOB51(TCGGCCCTGCAGGCCTTAACGTGAGTTTTCGTTCC)(配列番号7)プラス
oMOS3(GGTTCTAGAGGCCATTTAGGCCGTTGCTGGCGTTTTTCCATAGG)(配列番号8)
を用いるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって、pUC19からの複製開始遺伝子およびアンピシリン耐性遺伝子を増幅することによって構築された。]
[0084] 2の得られたPCR産物は、PstIおよびXbaIによって消化され、pTrex3gの6.17kbのXbaI−XbaI断片で結合されて、pTrex3gM発現ベクターを生成した。pTrex3gMの構造が図3に示される。] 図3
[0085] アスペルギルスニガー株FS1(GICC 20047)由来のcatR遺伝子の全体のコード領域(イントロンを含む)(配列番号2)が、プライマー対、すなわち
oCAT51(CACCAAACAATAACAACAACAACAAACAACAACAACAACAACAACATGCGTCATTTCTGGCTTTTGCCAG)(配列番号9)および
oCAT3(CGTGATACCCTTACTCATCCAGCGC)(配列番号10)
とともに高忠実度DNAポリメラーゼPfuUltra II(Stratagene社)を用いて増幅された。]
[0086] catR遺伝子の完全なコード領域の他に、得られたPCR産物は、マイコウイルスPcVに由来するACの多い5’非翻訳領域を含んでいた。この領域の考えられる機能が、「翻訳エンハンサー」として提案されている(Jiangら、J.Gen.Virol.、2004年、第85巻、p.2111−2121)。このPCR産物は、pENTRベクター(Stratagene社)中にクローニングされ、その後Invitrogen社のGateway(商標)クローニング系を用いてpTrex3gMに導入されて、図4に示されたpTrex3gM(CATE)ベクターになった。] 図4
[0087] トリコデルマリーゼイの形質転換および該形質転換株のスクリーニング
トリコデルマリーゼイ株Morph 1.1(pyr+)は、4遺伝子欠失のRL−P37株の自然復帰変異体pyr4である(国際公開第05/001036号に記載されている)。この株から新たに収穫された胞子が、氷冷された1.2Mのソルビトール中に懸濁され、同じ溶液で2回洗浄され、そしてpTrex3gM(CATE)プラスミド由来の精製された7.04kbのcatR含有SfiI−SfiI断片を用いるエレクトロポレーションに付された。エレクトロポレーションのパラメーターは以下の通りであった。すなわち電圧−16kV/cm、静電容量−25μFおよび抵抗値−50Ω。]
[0088] エレクトロポレーションに引き続いて、胞子は、1Mのソルビトール、0.3%グルコース、0.3%Bactoペプトンおよび0.15%酵母エキスを含む培地中でロータリーシェーカー(30℃、200rpm)にかけられて一晩温置された。発芽胞子は、アセトアミドを唯一の窒素源として含有する選択培地(アセトアミド0.6g/l、塩化セシウム1.68g/l、グルコース20g/l、リン酸二水素カリウム15g/l、硫酸マグネシウム七水和物0.6g/l、塩化カルシウム二水和物0.6g/l、硫酸鉄(II)5mg/l、硫酸亜鉛1.4mg/l、塩化コバルト(II)1mg/l、硫酸マグネシウム(II)1.6mg/l、寒天20g/l、pH4.25)上で平板培養された。形質転換されたコロニーが約1週間後に出現した。個別の形質転換体が新鮮なアセトアミド選択プレート上に移され、2〜4日間放置され生育された。]
[0089] 選択培地上で安定な成長を示す分離株が、ウェルの底にマイクロフィルター(Millipore Multiscreen−GV(商標))を備えたマイクロタイタープレートのウェル中の0.17mlのラクトース規定量培地(国際公開第05/001036号、p.60)((NH4)2SO4 5g/l、PIPPS緩衝液33g/l、Bactoカザミノ酸9g/l、KH2PO4 4.5g/l、CaCl2・2H2O 1.32g/l、MgSO4・7H2O 1g/l、MazuDF204 5ml/l、400×微量元素溶液2.5ml/l、pH5.5、(別途に滅菌された)ラクトース16g/l。400×微量元素溶液の組成は、クエン酸(無水)175g/l、FeSO4・7H2O 200g/l、ZnSO4・7H2O 16g/l、CuSO4・5H2O 3.2g/l、MnSO4・4H2O 1.4g/l、H3BO3 0.8g/lであった。)に、植え付けされるのに用いられた。このプレートは、純酸素の雰囲気中25〜28℃で4〜5日間温置された。培地がろ過によって分離され、ドデシル硫酸ナトリウムの存在下におけるポリアクリルアミドゲル電気泳動法(SDS−PADE)によって分析された。成熟カタラーゼポリペプチドの計算された分子量よりもわずかに高い分子量を持つ新しいタンパク質のバンドが観察された。この相違はグリコシル化によるものと考えられる。このカタラーゼのバンド中のタンパク質の量は、クローン間の大きい変動を示した。最も高いカタラーゼ発現を有するクローンが選択され、ポテト−デキストロース寒天培地上に放置されて胞子形成をさせ、そして単一胞子サブクローンの単離によって精製された。]
[0090] 形質転換されたトリコデルマリーゼイ中で産生されたカタラーゼは、触媒活性を有していた。たとえば、(上記のように生育された)クローン329からの培養ブロスの少量(10μl)のアリコートを、200μlの1%H2O2と混合すると、視認できるH2O2の分解が直ちに生じ、分子状酸素の激しい発生(気泡として視認可能)を伴った。親株であるMorph 1.1(pyr+)からの培養ブロスでは、このような反応は観察されなかった。]
[0091] トリコデルマリーゼイおよびアスペルギルスニガー中で発現されたカタラーゼの発現および分布の比較
サンプルの調製
カタラーゼ(アスペルギルスニガーcatR)が、実施例2に記載されたようにトリコデルマリーゼイ中で、ならびに米国特許第5,360,732号および5,360,901号に記載されたようにアスペルギルスニガー中で、それぞれ産生された。30mlのサンプルが4000rpm(3210×g)で15分間遠心分離された。上清がデカンテーションされ、ペレット(沈殿物)が50mlの脱イオン水で洗われた。洗われた細胞は次に4000rpmで15分間遠心分離され、上清がデカンテーションされ、そしてペレットが50mlの脱イオン水で洗われた。洗われた細胞はもう一度4000rpmで15分間遠心分離され、上清がデカンテーションされた。細胞ペレットはドライアイス上で冷凍された。アスペルギルスニガーの場合の平均細胞質量(乾燥細胞重量)は43.3g/kgであり、トリコデルマリーゼイの場合の平均細胞質量は43.9g/kgであった。
化学的抽出]
[0092] 細胞ペレットは試料瓶中に移され、40mlの脱イオン水中に懸濁された。細胞ペレットは、次に磁気スターラーで穏やかに混合されながら30℃の水浴中で温置された。25mlの抽出ストック(50g/lのNaCl、6g/lのソルビン酸カリウム、12g/lのギ酸ナトリウム、12g/lの酢酸、pHを4.8〜5.0に調整するために添加された約6g/lの水酸化ナトリウム、0.1g/lのプロテアーゼC)が試料瓶に添加され、それからpHが4.8〜5.2に調整された。試料瓶の蓋が緩く閉じられ、それから温置が72〜84時間続行された。得られたサンプル溶液は100mlのビーカー中に移され、その体積が測定された。カタラーゼの活性が、次にベーカー(Baker)カタラーゼ分析方法を用いて測定された。
ベーカーカタラーゼ分析法]
[0093] ベーカーカタラーゼ分析法は、過酸化水素によるカタラーゼの不活性化およびカタラーゼによる過酸化水素の分解の同時発生に基づく「二重消費」分析法である。実際には、カタラーゼをpH7.0および25℃で60分間温置した後の反応混合物中の残留過酸化水素が分析される。1ベーカー単位は、この分析法の条件下に264mgの過酸化水素を分解するカタラーゼの量と定義される。
試薬の調製]
[0094] 0.2Mのリン酸塩緩衝液、pH7.0の調製:10.76gのNaH2PO4および17.32gのNa2HPO4が800mlの蒸留水中に希釈され、十分に混合された。このpHが検査され、次に溶液は蒸留水で1000mlの最終量に調整された。]
[0095] 緩衝化された基質の調製:0.2Mのリン酸塩緩衝液500ml、pH 7.0が450mlの脱イオン水と混合された。44〜46mlの30%過酸化水素が添加された。この溶液は4℃で1週間安定であった。]
[0096] 1M硫酸の調製:55.6mlの濃H2SO4が900mlの蒸留水中に希釈され、十分に混合され、そして放置冷却された。最終量が、蒸留水で1000mlの最終量に調整された。]
[0097] 40(重量/体積)%ヨウ化カリウム溶液の調製:200gのヨウ化カリウムが250mlの蒸留水に加えられ、十分に混合された。量が、蒸留水で500mlに調整された。この溶液は冷蔵(4℃)下にコハク色瓶中に保存され、1週間後に廃棄された。]
[0098] 1(重量/体積)%モリブデン酸アンモニウム溶液の調製:1.0gの(NH4)6Mo7O24・4H2Oが90mlの蒸留水に添加され、十分に混合された。量が、蒸留水で100mlに調整された。]
[0099] 0.25Mのチオ硫酸ナトリウム溶液の調製:62gのNa2S2O3・5H2Oが900mlの蒸留水に添加され、十分に混合された。量が、蒸留水で1000mlに調整された。この溶液は1週間よりも長く保存されなかった。
分析方法]
[0100] サンプルは以下のようにして正副3回分析された。
1. 1.0M硫酸5mlをピペットで採取し、100mlの三角フラスコ中に入れる。
2.緩衝化された基質4.0mlをピペットで採取し、上記硫酸中に入れ、そして40%ヨウ化カリウム溶液5mlを添加する。回転させて混合する。
3. 1%モリブデン酸アンモニウム溶液2滴を添加し、0.25Mのチオ硫酸ナトリウム溶液で直ちに滴定する。
4.遊離のヨウ素の色が完全に消失したときに、滴定終点に達する。色は数分後に戻るかもしれないが、無視する。
5. 14〜16mlの滴定量が得られるはずである。この滴定量を得るために、緩衝化された基質溶液中の過酸化水素の濃度を必要であれば調整する。
6. 緩衝化された基質の50mlのアリコートを、軽く栓をした100mlの三角フラスコ中に分取し、25℃に設定された水浴中で15分間、前温置する。
7. 0.2Mのリン酸塩緩衝液で5〜9ベーカー単位/mlになるまで、カタラーゼサンプルを希釈する。
8. 希釈されたカタラーゼサンプル200μlをピペットで採取し、前温置された100mlの三角フラスコ中に3分間の間隔を空けて入れ、直ちに回転によって混合する。
9. 25℃で60分間温置する。時々振って、反応混合物から酸素を放出させる。
10. 温置期間の最後に、酸素がすべて除かれてしまうまで、反応混合物を振る。
11. 上記の工程1〜4の方法を用いることによって、残留過酸化水素を分析する。(試験溶液4.0mlをピペットで採取し、上記硫酸中に入れ、そして工程2〜4を追行する。)
12. 工程8の希釈されたカタラーゼサンプルの代わりに0.2Mのリン酸塩緩衝液200μlを用いたブランクの基質を、同じように温置し分析しなければならない。(該ブランクは14〜16mlの滴定量を要するはずである。)
活性の計算]
[0101] ベーカー単位でのカタラーゼ活性(U/ml)=(B−S)×DF
Bはブランクの滴定量である(ml)。
Sはサンプルの滴定量である(ml)。
DFはサンプルの希釈倍数である。
最大の精度を得るために、差(B−S)は5〜10mlでなければならない。
結果]
[0102] 結果が表1に示される。]
[0103] アスペルギルスニガーおよびトリコデルマリーゼイ中で発現されたカタラーゼのTmの比較
カタラーゼ(アスペルギルスニガーcatR)が、実施例2に記載されたようにトリコデルマリーゼイ中で、ならびに米国特許第5,360,732号および5,360,901号に記載されたようにアスペルギルスニガー中で、それぞれ産生された。
融点へのpHの効果]
[0104] アスペルギルスニガーまたはトリコデルマリーゼイ中で発現されたカタラーゼが、pH3〜8に1pH単位づつ増加させて調整された緩衝液中に約0.5mg/mlの濃度で懸濁された。緩衝液は、250mMのクエン酸pH3、250mMの酢酸ナトリウム三水和物pH4、250mMのクエン酸ナトリウムpH5、25mMのビストリスプロパンpH6、7および8であった。サンプルは、MicroCal VP−CapillaryDSC(米国、マサチュ−セッツ州、Northampton、MicroCal有限責任会社)を用いて、200℃/時の速度で30℃〜120℃の温度走査で操作される示差走査熱量計法(DSC)によって分析された。カタラーゼタンパク質が加えられていない同じ緩衝液が、参照溶液として用いられた。Cp(cal/℃)対温度のプロットの最大ピーク高さを観察することによって、融点(Tm)が測定された。この測定についてのDSCの誤差は約±1℃であった。結果が図5に示される。
H2O2の前処理の効果] 図5
[0105] アスペルギルスニガーまたはトリコデルマリーゼイ中で発現されたカタラーゼが、25℃、50℃または70℃まで予熱された緩衝液(50mMのリン酸カリウム、pH7)中に約0.5mg/mlの濃度で懸濁された。H2O2が次に約3%の濃度で添加された。サンプルは、それぞれの温度に15分間保持され、それから4℃まで冷却され、そしてDSCによって上記と同じ方法を用いて分析された。H2O2に曝露されなかった他は同じに処理された並行する一組
のサンプルが実験対照とされた。この測定についてのDSCの誤差は約±1℃であった。結果が図6に示される。] 図6
[0106] エンド−T欠失を有するトリコデルマリーゼイ宿主細胞中のアスペルギルスニガーカタラーゼの発現
トリコデルマリーゼイのエンド−T遺伝子の破壊用カセットの構築
国際公開第2006/050584号中に提供された情報を用いて、トリコデルマリーゼイの遺伝子配列中のエンド−T遺伝子が同定された(http://genome.jgi−psf.org/Trire2/Trire2.home.html)。その5’フランキング領域(1.9kb)が、プライマーSK915(5’−CTGATATCCTGGCATGGTGAATCTCCGTG−3’)(配列番号11)およびSK916(5’−CATGGCGCGCCGAGGCAGATAGGCGGACGAAG−3’)(配列番号12)を用いるPCRによって増幅された。その3’フランキング領域(1.7kb)は、プライマーSK917(5’−CATGGCGCGCCGTGTAAGTGCGTGGCTGCAG−3’)(配列番号13)およびSK918(5’−CTGATATCGATCGAGTCGAACTGTCGCTTC−3’)(配列番号14)を用いるPCRによって増幅された。すべてのPCR反応において、PfuII Ultra(Stratagene社)がポリメラーゼとして用いられた。]
[0107] PCR反応の産物は、QIAquickPCR精製キット(Qiagen社)を用いて、取扱説明書に示された手順に従って精製された。増幅された両方のDNA断片が、制限エンドヌクレアーゼAscIによって消化され、引き続いてQIAquickキットを用いて、消化されたDNAが精製された。この2のDNA断片は混合され、プライマーSK915およびSK918を用いる融合PCR反応のテンプレートとして使用された。この反応の産物である3.6kbのDNA断片が、Zero Blunt TOPO PCRクローニングキット(Invitrogen社)を用いて、pCR−BluntII TOPOベクター中にクローニングされた。得られたプラスミド(pCR−BluntII−TOPO(5’−3’フランク))の構造は制限解析によって確認された。]
[0108] クロリムロンエチル(国際公開第2008/039370号)に対する耐性を与えるトリコデルマリーゼイアセト乳酸シンターゼ(ALS)遺伝子の変異型が、PCRプライマーSK949(5’−GTTTCGCATGGCGCGCCTGAGACAATGG−3’)(配列番号15)およびSK946(5’−CACAGGCGCGGCGATCGCCATCCCGTCGCGTC−3’)(配列番号16)ならびにテンプレートとしてのpTrexグルコアミラーゼベクター(国際公開第2008/039370号、実施例2)を用いて増幅された。PCR反応の産物がQIAquickキットを用いて精製され、AscIによって消化され、再び精製され、そして同じ酵素によって消化され同じように精製されたpCR−BluntII−TOPO(5’−3’フランク)と結合された。得られたプラスミドpCR−BluntII−TOPO(5’フランク−ALSマーカー−3’フランク)中の挿入断片の方向は、制限解析によって確証された。]
[0109] トリコデルマリーゼイ染色体配列のさらなる断片(「3’リピート」と呼ばれる。)が、同じ手法ならびにプライマーMC40(5’−CTATGACATGCCCTGAGGCGATGCTGGCCAGGTACGAGCTG−3’)(配列番号17)およびMC41(5’−CAGCCTCGCGGTCACAGTGAGAGGAACGGGGTGAAGTCGTATAAG−3’)(配列番号18)を用いて増幅された。この配列は、トリコデルマリーゼイ染色体上の、pCR−BluntII−TOPO(5’−3’フランク)内に含まれている3’フランク領域のさらに下流に位置していた。このPCRの0.46kbの産物(3’リピート)が、In−Fusion Dry−Down PCRクローニングキット(Clontech社)を用いて、pCR−BluntII−TOPO(5’フランク−ALSマーカー−3’フランク)中のALS遺伝子の上流にクローニングされた。pCR−BluntII−TOPO(5’フランク−ALSマーカー−3’フランク)は、3’−リピート中にクローニングするためのベクターとして用いるためにPas IおよびBstEIIによって消化された。得られた構成体pCR−BluntII−TOPO(5’フランク−ALSマーカー−3’リピート−3’フランク)は、プライマーSK1008(CTAGCGATCGCGTGTGCACATAGGTGAGTTCTCC)(配列番号19)およびSK1009(CTAGCGATCGCGCAGACTGGCATGCCTCAATCAC)(配列番号20)によるPCRのためのテンプレートとして用いられた。]
[0110] 7.5kbのDNA産物が、pCR−BluntII−TOPOベクター中にIntrogen社の対応するキットを用いてクローニングされた。得られたプラスミドはAsiSIによって消化され、そして7.5kbのDNA断片(エンド−T欠失カセット)が前処理アガロースゲル電気泳動法によって精製された。完全なヌクレオチド配列が以下の配列番号21に示される。





トリコデルマリーゼイ中のエンド−T遺伝子の破壊]
[0111] トリコデルマリーゼイの4遺伝子欠失株(Δcbh1、Δcbh2、Δegl1、Δegl2)は、国際公開第05/001036号に記載されている。この株が、Penttilaらによって記載された形質転換法(Penttila M.ら、「セルロース分解性糸状菌トリコデルマリーゼイの多目的形質転換系(A versatile transformation system for the cellulytic filamentous fungus Trichoderma reesei)」、Gene、1987年、第61巻、p.155−164)を使用して、配列番号21として示された欠失カセットを用いて形質転換された。200ppmのクロリムロンエチル(国際公開第2008/039370号)を含有する、修正Vogel培地上で、形質転換体は選別された。形質転換体は液状培地中で培養され、培養物上清がSDSゲル電気泳動法によって分析された。]
[0112] ゲル上のほとんどのタンパク質バンドの移動度において上方移動を示す2のクローン(#11および#74)が特定された。トリコデルマリーゼイの親4遺伝子欠失株とともにこれらの2の株から、染色体DNAが単離された。これらのDNA調製物についてMC42プラスMC48(5’−CTCGCCATCTGACAACCTACAAATC−3’(配列番号22)および5’−CTAGTACCCTGAGTTGTCTCGCCTCC−3’(配列番号23))、ならびにMC45プラスMC50(5’−CCTCTACCATAACAGGATCCATCTG−3’(配列番号24)および5’−CGTGAGCTGATGAAGGAGAGAACAAAGG−3’(配列番号25))の一対のプライマーを用いて、PCR分析が実施された。]
[0113] クローン#74から単離されたDNAを持つ、予想されたサイズ(2.9kbおよび2.3kb)の産物が得られた。このクローンは、連続する2回の一連の(単一胞子の子孫の単離による)精製に付された。精製された形質転換体#74からDNAが単離された。PCR分析が繰り返されて、エンド−T遺伝子の欠失に成功したことを確認した。
カタラーゼ発現ベクターを用いるトリコデルマリーゼイのエンド−T欠失株の形質転換]
[0114] トリコデルマリーゼイのエンド−T欠失株の新たに収穫された胞子が、氷冷された1.2Mのソルビトール中に懸濁され、同じ溶液で2回洗われ、そしてプラスミドpTrex3gM(CATE)の精製された7.04kbのSfiI−SfiI断片を用いるエレクトロポレーションに付された。形質転換および形質転換体のスクリーニングが本質的に上記の通りに行われた。高い量のカタラーゼを発現するクローン#26が特定され、2回の一連の胞子精製に付された。このクローンの精製された分離株によって産生されたカタラーゼが、組換え酵素の特性に対するエンド−T欠失の効果についてのすべての検討に用いられた。]
[0115] アスペルギルスニガー、トリコデルマリーゼイ、およびエンド−T欠失を有するトリコデルマリーゼイ中で発現されたカタラーゼの比較
アスペルギルスニガーカタラーゼが、アスペルギルスニガー、トリコデルマリーゼイおよびエンド−T遺伝子欠失を有するトリコデルマリーゼイ中で発現された。各カタラーゼのサンプルが、エンドH酵素によって消化されて、脱グリコシル化が行われた。脱グリコシル化ありおよびなしのサンプルが、SDS−PAGEゲル上を泳動された。結果が図7に示される。] 図7
[0116] 脱グリコシル化(糖鎖の除去)を行うエンドH処理の前および後の分子量の変化は、アスペルギルスニガー、およびエンド−T欠失を有するトリコデルマリーゼイ由来のサンプルの場合に、より大きいようである。したがって、これらのカタラーゼ酵素は、エンド−T欠失のないトリコデルマリーゼイ由来のカタラーゼよりも高いレベルのグリコシル化を有するようである。]
[0117] アスペルギルスニガー、およびエンド−T欠失を有するトリコデルマリーゼイ由来のカタラーゼ酵素の出発分子量は、エンド−T欠失のないトリコデルマリーゼイ由来のカタラーゼの出発分子量よりもわずかに高いようである。したがって、これらのカタラーゼは、エンド−T欠失のないトリコデルマリーゼイ由来のカタラーゼよりも高い程度のグリコシル化を有するようである。この差は、あるいは、または追加的に、配列の差による可能性があるが、詳細には検討されていない。]
[0118] アスペルギルスニガー、トリコデルマリーゼイ、およびエンド−T欠失を有するトリコデルマリーゼイ中で産生されたアスペルギルスニガーカタラーゼの活性の比較
カタラーゼの評価は、相異するカタラーゼは相異する性能を示すという観察結果に基づくものであった。この相異は、「ストレス条件」(高温度および高濃度の過酸化水素)下においてもっとも顕著であった。この評価では各カタラーゼは、同一合計量の活性単位で施量された。施量される合計活性は、過酸化水素が約20分間で分解されるように選択された。
カタラーゼ活性の測定]
[0119] 酵素の活性は、以下の方法を用いて測定された。
試薬]
[0120] 基質溶液:
− 25mlの0.2Mリン酸塩緩衝液、pH7.0、および
− 130μlの30%H2O2
を混合し、脱イオン水で量を100mlに合わせる。]
[0121] 基質溶液の吸光度は0.52〜0.55でなければならない。必要により、過酸化物の量を調整する。]
[0122] 緩衝溶液:25mlの0.2Mリン酸塩緩衝液、pH7.0を脱イオン水で100mlまで希釈する。
カタラーゼサンプルの調製:]
[0123] 約1グラムのカタラーゼ産物を10.00mlの容量フラスコ中に(小数点以下4桁まで)正確な重量を秤量して入れ、体積を100mlの印に合わせ、そして混合する。この溶液から更に希釈をすることができる。
酵素活性の測定:]
[0124] − 2.9mlの基質溶液、および
− 100μlの(希釈された)カタラーゼサンプル
を石英角セルに入れそして混合する。]
[0125] 240nmの吸光度が0.450から0.400までに下がる(秒単位の)時間を測定する。この時間は35〜50秒間の範囲に入らなければならない。時間がこの範囲から外れるならば、異なった希釈量を(試行錯誤で)試して、正しい希釈量を見つける。
カタラーゼ活性の計算:]
[0126] カタラーゼ産物の活性は、以下の式によって計算されることができる。



F=希釈倍率
V=容量フラスコの体積
t=時間(秒)
w=カタラーゼ産物の重量(g)
カタラーゼ性能の評価
試薬]
[0127] 基質溶液(1000ppmH2O2):
− 250mlの0.2Mリン酸塩緩衝液、pH7.0、および
− 3mlの30%H2O2
を混合し、脱イオン水で量を1リットルに合わせる。]
[0128] 緩衝溶液:250mlの0.2Mリン酸塩緩衝液、pH7.0を脱イオン水で1リットルまで希釈する。
サンプルの希釈]
[0129] カタラーゼの希釈は緩衝液で行われることが必要である。目標は過酸化水素を約20分間で分解することである。参照として用いられたアスペルギルスニガーカタラーゼについて約400単位が用いられた。他のカタラーゼについても同じ単位量が施量された。
手順]
[0130] 温置は、250ml容量のショット瓶(Schott bottle)中で実施された。100mlの基質がショット瓶に加えられ、これは70℃の水浴に入れられた。基質の温度が70℃になったときに、少量(1ml以下)の(希釈された)カタラーゼをこの瓶に添加することによって反応が開始され、同時にタイマーがスタートした。溶液は時々混合された。1〜2分間の間隔で3mlが、反応を停止するための10%硫酸溶液500μlを含む試験管中に瓶から採取された。サンプル採取は、15〜30分間までのサンプルを取るまで続けられた。t=0の測定については、10%硫酸溶液500μlを含む試験管中に3mlの基質が移された。(試験条件下での過酸化物溶液の安定性を試験するための)ブランク試験については、(カタラーゼの試験におけるのと同じ量の)緩衝液が、基質を含む瓶に添加され、同じ手順が追行された。溶液の吸光度は240nmで測定された。
アスペルギルスニガーカタラーゼ、およびトリコデルマリーゼイ中で発現されたアスペルギルスニガーカタラーゼの性能の評価
サンプル]
[0131] アスペルギルスニガーおよびトリコデルマリーゼイ中で発現されたアスペルギルスニガーカタラーゼが、上記の活性分析の試験をされた。
サンプル調製]
[0132] 1gのカタラーゼが、100.00ml容量の容量フラスコ中に重量を秤量されて入れられ、50mMリン酸塩緩衝液を用いて100.00mlに合わされた。1.2mlがアスペルギルスニガーサンプルについて用いられ、1.39mlがトリコデルマリーゼイサンプルについて用いられた。カタラーゼ分析(240nmにおける吸光度)の結果が表2に示される。



アスペルギルスニガー、トリコデルマリーゼイ、およびエンド−T欠失を有するトリコデルマリーゼイ中で発現されたアスペルギルスニガーカタラーゼの性能の評価]
[0133] カタラーゼ活性が、表3に示されたサンプルについて測定された。]
[0134] 結果が表4(240nmにおける吸光度)および図8に示される。] 図8
[0135] 上述の本発明は、理解の明確さを目的として例示および実施例によってある程度詳しく記載されたけれども、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、ある程度の変化および変更が実施されることができることは当業者には明らかであろう。したがって、本明細書の記載は本発明の範囲を限定するものとみなされてはならない。]
実施例

[0136] 本明細書に引用されたすべての刊行物、特許および特許出願は、本明細書にそれぞれの個々の刊行物、特許または特許出願が参照によって取り込まれることを具体的にかつ個別に示されているかのように、すべての目的のためにかつ同じ程度にまで、その全体が参照によって本明細書に取り込まれる。]
权利要求:

請求項1
過酸化水素から酸素および水への酵素的転化を触媒する能力のあるポリペプチドを産生する方法であって、トリコデルマ宿主細胞中で、当該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドから当該ポリペプチドを発現する工程を含む方法。
請求項2
当該ポリペプチドが、アスペルギルスニガー由来のカタラーゼ酵素である、請求項1に記載の方法。
請求項3
当該ポリヌクレオチドが、アスペルギルスニガーcatR遺伝子を含む、請求項1に記載の方法。
請求項4
当該ポリヌクレオチドが、配列番号1に記載されたアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする、請求項1に記載の方法。
請求項5
当該トリコデルマ宿主細胞が、トリコデルマリーゼイ細胞である、請求項4に記載の方法。
請求項6
トリコデルマリーゼイ中での当該ポリペプチドの発現が、アスペルギルスニガー中での同じポリペプチドの発現よりも少なくとも約50%大きい、請求項5に記載の方法。
請求項7
当該トリコデルマリーゼイ宿主細胞から成長媒地中に分泌される当該ポリペプチドの量が、アスペルギルスニガー宿主細胞から成長媒地中に分泌される当該ポリペプチドの量よりも少なくとも約80%大きい、請求項5に記載の方法。
請求項8
トリコデルマ宿主細胞が、エンド−T遺伝子の欠失を含む、請求項1に記載の方法。
請求項9
過酸化水素から酸素および水への酵素的転化を触媒する能力のあるポリペプチドを産生する方法であって、(a)当該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを用いて、トリコデルマ宿主細胞を形質転換する工程、(b)当該ポリペプチドの発現に適した条件下の成長培地中で当該トリコデルマ宿主細胞を生育する工程、および(c)当該成長培地から当該ポリペプチドを単離する工程を含む方法。
請求項10
当該ポリペプチドが、アスペルギルスニガー由来のカタラーゼ酵素である、請求項9に記載の方法。
請求項11
当該ポリヌクレオチドが、アスペルギルスニガーcatR遺伝子を含む、請求項9に記載の方法。
請求項12
当該ポリヌクレオチドが、配列番号1に記載されたアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする、請求項9に記載の方法。
請求項13
当該トリコデルマ宿主細胞が、トリコデルマリーゼイ細胞である、請求項12に記載の方法。
請求項14
トリコデルマリーゼイ中での当該ポリペプチドの発現が、アスペルギルスニガー中での同じポリペプチドの発現よりも少なくとも約50%大きい、請求項13に記載の方法。
請求項15
当該トリコデルマリーゼイ宿主細胞から成長媒地中に分泌される当該ポリペプチドの量が、アスペルギルスニガー宿主細胞から成長媒地中に分泌される当該ポリペプチドの量よりも少なくとも約80%大きい、請求項14に記載の方法。
請求項16
トリコデルマ宿主細胞が、エンド−T遺伝子の欠失を含む、請求項9に記載の方法。
請求項17
過酸化水素から酸素および水への酵素的転化を触媒する能力のあるポリペプチドであって、当該ポリペプチドが請求項1に記載の方法によって産生されるポリペプチド。
請求項18
トリコデルマ宿主細胞が、エンド−T遺伝子の欠失を含む、請求項17に記載のポリペプチド。
請求項19
過酸化水素から酸素および水への酵素的転化を触媒する能力のあるポリペプチドであって、当該ポリペプチドが請求項9に記載の方法によって産生されるポリペプチド。
請求項20
トリコデルマ宿主細胞が、エンド−T遺伝子の欠失を含む、請求項19に記載のポリペプチド。
請求項21
過酸化水素を酸素および水に転化する方法であって、当該過酸化水素を請求項17に記載のポリペプチドに接触させる工程を含む方法。
請求項22
請求項19に記載のポリペプチドを含む、過酸化水素を酸素および水に転化するための組成物。
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