专利摘要:
本発明は、反応体CおよびDの複合体CDについての第2解離平衡定数Kd2と比較した、反応体AおよびBの複合体ABについての第1解離平衡定数Kd1を定量化する方法に関する。
公开号:JP2011514527A
申请号:JP2010549612
申请日:2009-03-05
公开日:2011-05-06
发明作者:カロリナ・エステルルンド;マッツ・インガネス;ヨセフィン・ボリク;ヨハン・エングストレム
申请人:ユィロス・パテント・アクチボラグGyros Patent AB;
IPC主号:G01N33-00
专利说明:

[0001] 本発明の分野
本発明は、解離定数またはアフィニティー定数および速度定数の決定方法に関する。2つの相互作用する分子間の相互作用におけるアフィニティー定数(Ka)を決定できる方法を開示する。該方法は、特に、固定化用試薬、例えばビオチンや、検出用試薬、例えば適当なフルオロフォアで標識され得る蛋白質反応体におけるアフィニティー定数(Ka)の決定に適用可能である。2つの相互作用する分子間の相互作用における会合速度定数(ka)の決定方法もまた記載する。実験的に決定されたKaおよびkaに基づいて、解離速度定数(kd)が決定できる。]
背景技術

[0002] 本発明の背景
バイオ治療学の分野において、治療用モノクローナル抗体を用いた近年の成功は、その適用性が、医学的要求が未だ満たされていない領域へ拡大し続けることを示唆している。現在炎症性および自己免疫性の疾患、腫瘍および感染に対する適用に焦点が合わせられている。新規治療用抗体について当局からの承認を得るために、多くの性質を試験しなければならない。これらは、有効性パラメーターまたは患者の処置中に発生し得る副作用の何れかに関係する。]
[0003] 有効性パラメーターは、治療用抗体の所望の作用に関する。これらは、標的分子と、選択された標的分子を認識する抗体が結合により発揮し得る作用を含む。標的分子エピトープ特異性における微細な差異は、所望の作用(アゴニスティック、アンタゴニスティック、ブロッキングなど)を生じる抗体候補物の選択に重要であり得る。標的分子と抗体の間の相互作用における親和性もまた最重要であり;親和性が高いほど所望の作用を起こすのに必要な抗体の量が少なくなる。結果的に、相互作用の強度を反映するパラメーターの評価は、抗体の開発、製造および製剤化において重要である。大部分の抗体をベースとする治療は、長期間(数週間から数ヶ月間)に亘って機能するよう設計されることを考えると、通常、標的分子(TM)と薬物分子(DM)の間の平衡を達成する時間がかかる。従って、溶液における親和性の決定が特に重要である。]
[0004] 他の重要なパラメーターは、循環におけるDMの半減期である。これは、免疫グロブリンのサブクラスおよび恐らくグリコシル化の程度およびタイプと関連する。有害反応に影響を及ぼすパラメーターは、グリコシル化、凝集状態および製剤化であり、これらは全て、免疫原性ならびに即時有害反応、例えば補体活性化および過敏症反応に影響を及ぼし、身体中の循環時における親和性を変化させ得る。]
[0005] 要約すると、成功するためには、治療用抗体は、多くの様々な要件を満たす必要があり、その要件の幾つかは、固有の抗原結合性、例えばアフィニティー定数および速度定数まで繋げることができる。]
[0006] 親和性相互作用を記載するための理論は、周知であり許容されている。分子の相互作用は、2つの反応として記載され得る:
会合反応(A+B→AB)および解離反応(AB→A+B)
ここで、
A=リガンド
B=受容体
AB=リガンドおよび受容体によって形成される複合体]
[0007] 2つの相互作用する分子間の相互作用についての解離定数(Kd)は、下記の通り反応体の濃度に関係する。
式1:Kd=[A][B]/[AB]
ここで、
[A]=リガンドAの濃度
[B]=受容体Bの濃度
[AB]=リガンドAおよび受容体Bによって形成される複合体の濃度]
[0008] 質量保存の法則より、リガンドの総量(A0)は一定であることが規定され、式1で示される反応において、リガンドの総量(A0)は、下記の式を使用して表され得る。
式2:A0=Af+ABf
ここで、
A0はリガンドAの総量であり
Afは、遊離のリガンドAの量であり
ABfはリガンドAおよび受容体Bによって形成される複合体の量である。]
[0009] これに対応して、受容体の総量(B0)は、下記の式を使用して表され得る。
式3:B0=Bf+ABf
ここで、
B0は、受容体Bの総量であり
Bfは、遊離の受容体Bの量であり
ABfは、リガンドAおよび受容体Bによって形成される複合体の量である。]
[0010] 従って、式1〜3を組み合わせることによって、遊離の受容体Bの量についての平衡式は、



として表され得る。]
[0011] Bについて測定されたシグナル(シグナルB測定値)の直線性を仮定して、下記の式によって表され得る:
式5:シグナルB測定値=(シグナルB100%−シグナルB0%)Bf/B0+シグナルB0%
ここで、
シグナルB測定値は、Bfについて測定されたシグナルであり
シグナルB100%は、全てのBが遊離であるときBfについて測定されたシグナルであり
シグナルB0%は、全てのBが複合体中で結合しているときBfについて測定されたシグナルである。]
[0012] 式4および式5の組み合わせにより、以下の式6が提供される:]
[0013] 2つの相互作用する分子間の相互作用におけるアフィニティー定数(Ka)および解離定数(Kd)は、以下の関係がある:
式7:Ka=1/Kd]
[0014] 2つの相互作用する分子間の相互作用における解離定数(Kd)は、会合反応および解離反応の反応速度定数と、以下の関係がある。
式8:Kd=kd/ka
ka=会合反応における反応速度定数
kd=解離反応における反応速度定数]
[0015] 相互作用する生体分子(生体分子反応体または反応体と称することもある)における親和性関連パラメーター(Ka、Kd、kaおよびkd)を決定するための、本質的に2つのアプローチがある。]
[0016] アプローチ1:Kdの決定
第1のアプローチにおいて、Kdおよび会合速度定数(ka)は、以下に概略した実験の使用によって決定され、次いで、Kdとkaを組み合わせることによって、kdが計算できる(式8)。さらに、Kaが式7から計算される。]
[0017] Kdの決定のためには、一定量の一方の反応体(例えば式1〜6における反応体A)を、変化させた量の他方の反応体(例えば式1〜6における反応体B)と、平衡に達するまで混合する。親和性に依存して、平衡に達するまで数日を要してもよい(通常、親和性が高いほど、平衡に達するのに必要な時間は長くなる)。平衡に達した後、遊離のBの量を測定し得る。このBfの測定後、Kdを計算するために式6を用い得る。この実験で得られる典型的なデータを図1に示す。] 図1
[0018] 遊離反応体の量を測定するには多くの異なる選択肢があるが、反応の平衡化への影響を最小にするためには、遊離反応体は素早く測定されるべきである。]
[0019] アプローチ1:動力学的反応速度定数の決定
会合速度定数(ka)の決定のためには、一定量の両方の反応体を混合し、時間制限下(すなわち複合体形成を平衡に到達させない)で複合体形成を起こさせる。続いて分析して、遊離反応体の何れかを測定し得る。この手順は、混合と分析の間に経過した時間の厳密な制御を必要とし、相互作用の会合速度定数に関するデータをもたらす。従って、上記の会合反応および解離反応について、以下の速度式が示される。
式9a: d[A]/dt=kd*[AB]−ka*[A]*[B]
式9b: d[B]/dt=kd*[AB]−ka*[A]*[B]
式9c: d[AB]/dt=−kd*[AB]+ka*[A]*[B]
ここで、
[A]=リガンド濃度
[B]=受容体濃度
[AB]=リガンドおよび受容体によって形成される複合体の濃度
d[A]/dt=単位時間当たりのリガンドAの濃度変化
ka=会合反応における反応速度定数
kd=解離反応における反応速度定数]
[0020] 上記の反応における平衡化条件では、以下を適用する。
式10:d[A]/dt=d[B]/dt=d[AB]/dt=0]
[0021] 複合体形成のための時間を変えて厳密に制御した一連の実験から、会合速度定数(ka)が決定できる。]
[0022] 反応開始時は、[AB]=0である。従って、下記の境界条件を適用する。]
[0023] このような実験の典型的なデータを図2に示す。Kdとkaを組み合わせることによってkdが計算できる(式8)。] 図2
[0024] アプローチ2:kaおよびkdの直接測定
第2のアプローチにおいて、一方の反応体を固相に固定化する。リアルタイムでの相互作用をモニターしながら、他方の反応体をその表面に流す(Biacore X100およびそのアナログ)。このフォーマットにおいて、会合速度定数および解離速度定数(kaおよびkd)は実験的に決定され、親和性平衡定数(KaおよびKd)が計算される(式7〜8)。]
[0025] 今日、表面をベースとする方法は、Biacore systemの有用性のために、会合速度定数および解離速度定数を決定するための主要な方法として確立されている。しかしながら、親和性相互作用が高い(nMからpM)とき、解離速度定数は非常に小さくなり得る。下記の論文において、著者らは、解離速度定数が1.1×10−5であるモノクローナル抗体のKdは、4.0pMと計算されると記載している。]
[0026] Biacore X100において、解離相をモニターするために、実験は、kdの正確な決定のためのデータを集めるために、数時間またはそれより長い時間さえかけなければならない(例えば3〜4時間, A.W. Drake et al., Anal. Biochem. 328 (2004) 35-43に記載された通り)。他の周知の相互作用であるビオチン−SAは、この点において、Piran U, Riordan WJ., J Immunol Methods. 1990 Oct 4;133(1):141-3で調べられている。誘導体化されていないストレプトアビジンについての解離速度定数は2.4×10−6/秒であるか、あるいは、卵アビジンについて観察された値7.5×10−8/秒より約30倍大きい。要約すると、解離速度定数は10−8/秒のオーダーであり得る。これは、完全なデータセットを提供するための連続的な実験を行う際の系の占有率に明らかに関連を有している。]
[0027] 溶液における親和性およびkaの測定を行う可能性は、薬物分子候補物の親和性が通常nmからpMの範囲である場合に特に興味深い(以後薬物分子をDMと称する)。しかし、現在利用可能な装置(KinExA (Sapidyne), A.W. Drake et al., Anal. Biochem. 328 (2004) 35-43に記載)は、幾つかの限界に悩まされている:利用可能な装置を用いて、本質的に連続的なアッセイ手順のみが可能であり、これは分析学的手順を時間のかかるものとする。さらに、該手順は比較的大量の物質を消費する。Drake らによると、KD制御実験において5mlの容量のサンプルがフローセルを流れ、抗体制御実験において500μlの容量のサンプルが分析された。これらの両方の技術的不利益により、試験手順全体にかかる費用は著しく増額される。また、必要なサンプルが比較的大量なことは、反復試験を行うこと、および/またはカーブフィットの改善のためにデータ点をより多く取ることを難しくし、かつ高価にする。]
[0028] 本発明の概要
本発明は、複合体CDにおける第2解離平衡定数Kd2と比較した、複合体ABにおける第1解離平衡定数Kd1の定量化方法に関し、ここで、複合体ABは2つの反応体AおよびBの会合反応によって形成され、複合体ABは解離して反応体AおよびBを形成することができ、そして、複合体CDは2つの反応体CおよびDの会合反応によって形成され、複合体CDは解離して反応体CおよびDを形成することができ、
該方法は、
a) 複数のマイクロチャネル構造を含む微小流体デバイス(microfluidic device)を提供する工程であって、該デバイスにおいて、
i) 少なくとも1個のマイクロチャネル構造が固定化された第1キャプチャーを含み、第1キャプチャーは反応体AまたはBの一方と結合可能であり、
ii) 少なくとも1個のマイクロチャネル構造が固定化された第2キャプチャーを含み、第2キャプチャーは反応体CまたはDの一方と結合可能である
工程;
b) 一定量の反応体Aを、変化させた量の反応体Bと混合し、AおよびBを含む混合物をそれぞれ反応させて複合体ABを形成させ、第1キャプチャーを反応体AまたはBの一方と結合させるために、反応体A、反応体Bおよび複合体ABを含む混合物を第1キャプチャーと接触させる工程;
c) 一定量の反応体Cを変化させた量の反応体Dと混合し、CおよびDを含む混合物をそれぞれ反応させて複合体CDを形成させ、第2キャプチャーを反応体CまたはDの一方と結合させるために、反応体C、反応体Dおよび複合体CDを含む混合物を第2キャプチャーと接触させる工程;
d) 少なくとも一方の反応体AまたはB、または複合体ABの量を測定し、反応体Aおよび反応体Bの間の反応を特性決定する第1データセットを決定する工程;
e) 少なくとも一方の反応体CまたはD、または複合体CDの量を測定し、反応体Cおよび反応体Dの間の反応を特性決定する第2データセットを決定する工程;
f) Kd2と比較してKd1を定量化するために、第1データセットを第2データセットと比較する工程;
を含む。]
[0029] 本発明は、さらに、複合体CDにおける解離平衡定数Kd2と比較した、複合体ABにおける解離平衡定数Kd1の定量化方法に関し、ここで、複合体ABは2つの反応体AおよびBの間の会合反応によって形成され、複合体ABは解離して反応体AおよびBを形成することができ、そして、複合体CDは2つの反応体CおよびDの間の会合反応によって形成され、複合体CDは解離して反応体CおよびDを形成することができ、
該方法は、
a) 一定量の反応体Aを第1セットのマイクロチャネル構造中に固定化する工程;
b) 一定量の反応体Cを第2セットのマイクロチャネル構造中に固定化する工程;
c) 第1セットのマイクロチャネル構造中で、変化させた量の反応体Bを固定化反応体Aと接触させ、複合体ABが固定化されるように、反応させて複合体ABを形成させる工程;
d) 第2セットのマイクロチャネル構造中で、変化させた量の反応体Dを固定化反応体Cと接触させ、複合体CDが固定化されるように、反応させて複合体CDを形成させる工程;
e) 固定化反応体Aと接触させた反応体Bの量それぞれについて、固定化された複合体ABの量を測定し、反応体AとBの間の相互作用を特性決定する第1データセットを得る工程;
f) 固定化反応体Cと接触させた反応体Dの量それぞれについて、固定化された複合体CDの量を測定し、反応体CとDの間の相互作用を特性決定する第2データセットを得る工程;
g) Kd2と比較してKd1を定量化するために、第1データセットを第2データセットと比較する工程;
を含む。]
[0030] 本発明は、さらに、複合体ABを形成する2つの反応体AおよびBの間の会合反応における反応速度定数kaを決定する方法、および解離して反応体AおよびBを形成する複合体ABにおける解離平衡定数Kdを決定する方法に関し、
ここで、
a) 複合体ABにおける解離平衡定数Kdを、一定量の反応体Aを変化させた量の反応体Bと混合し、AおよびBを含む混合物をそれぞれ複合体ABを形成する反応について平衡に至らしめ、該反応について平衡に至った後反応体AおよびBの少なくとも一方の量あるいは複合体ABの量を第1分析法の使用によって測定し;
b) 複合体ABを形成する2つの反応体AおよびBの間の会合反応についての反応速度定数kaを、複合体ABを形成する反応を平衡に到達させないような制限された時間および時間制御条件下で予め定められた量の反応体AおよびBを混合し、反応体AおよびBを制御時間間隔で混合した後、反応体AおよびBの少なくとも一方あるいは複合体ABの量を第2分析方法の使用によって測定し;
第1分析法および第2分析法が、
i) 前処理したクロマトグラフィー粒子を有するクロマトグラフィーカラムにサンプルをアプライする工程であって、該クロマトグラフィーカラムが100nl未満の容積を有する工程;
ii) クロマトグラフィーカラム中に反応体の少なくとも一方を捕捉する工程;
を含む。]
[0031] 本発明は、さらに、第1および/または第2分析法が、SIA法またはIAA法またはBIA法である方法に関する。]
[0032] 本発明は、さらに、前処理したクロマトグラフィー粒子が、100μm未満の、好ましくは60μm未満の、より好ましくは30μm未満の、さらにより好ましくは20μm未満の、例えば15μmまたは10μm未満の、好ましくは5μm未満の、より好ましくは1μm未満の平均直径を有する方法に関する。]
[0033] 本発明は、さらに、第1分析法および第2分析法を行う前に、妨害成分(disturbing component)を除去する工程をさらに含む方法に関する。]
[0034] 本発明は、さらに、少なくとも一方の反応体AおよびBが、細胞膜に結合している分子を含む方法に関する。]
[0035] 本発明は、さらに、第1および/または第2分析法に用いられるクロマトグラフィーカラムが、複数のマイクロチャネル構造を含む微小流体デバイス中に組み込まれている方法に関する。]
[0036] 本発明は、さらに、本発明による方法で使用するための複数のマイクロチャネル構造を含む微小流体デバイスであって、当該マイクロチャネル構造が100nl未満の容積を有するクロマトグラフィーカラムを含む微小流体デバイスに関する。]
[0037] 本発明は、さらに、マイクロチャネル構造がクロマトグラフィーカラムの上流にさらに混合チャンバーを含む微小流体デバイスに関する。]
[0038] 本発明は、さらに、マイクロチャネル構造がクロマトグラフィーカラムの上流にさらに妨害成分を除去する手段を含む微小流体デバイスに関する。]
[0039] 本発明は、さらに、混合チャンバーが、5μl未満の、好ましくは1000nl未満の、より好ましくは200nl未満の、さらにより好ましくは20nl未満または10nl未満または1nl未満の容積を有する微小流体デバイスに関する。]
図面の簡単な説明

[0040] Kdの決定。x軸:添加されたBの量。y軸:蛍光シグナル測定値。
kaの決定。x軸:時間(秒)。y軸:Bの測定量。
%遊離抗体vsTSH濃度。実施例1のデータ点およびカーブフィット。
実施例2の抗原および抗体の反応混合物中における、時間経過に従って固相上に捕捉された遊離抗体から生じた応答。
実施例3の結果。x軸:抗体濃度(ng/ml)。y軸:蛍光シグナル測定値。]
[0041] 本発明の詳細な説明
反応体の平衡化が溶液中で達成された後の親和性分析
本発明の一つの態様において、KaおよびKdを決定するために、一定量の一方の反応体(例えばDM)を、例えばマイクロタイタープレートウェル中で、変化させた量の他方の反応体(例えば標的分子、以後TMと称する)と、平衡に達するまで混合する。親和性に依存して、平衡に達するまで数日を要することもある(親和性が高いほど通常平衡に達するのに必要な時間が長い)。続く分析によって何れかの遊離反応体の量を測定する。得られたデータに基づいてKaおよびKdを計算することができる。遊離反応体の量を測定するための多くの異なる選択肢がある。]
[0042] 本発明の一つの態様において、Gyrolab Bioaffy(登録商標) CD (Gyros AB, Uppsala, Sweden)を用いて、サンプル間で反応体の割合が異なる多数のサンプルの複合平行分析(例えば112)を行うことができる。Gyrolab Bioaffy(登録商標) CDは、流体の輸送および混合に適当な1個以上のマイクロチャネル構造を含む、CD型を有するディスクである。流体が向心力(centripetal force)によってマイクロチャネル構造を通って伝播されるように、CDを回転させることができる。]
[0043] Gyrolab Bioaffy(登録商標) CDは、微小な量の反応体のみを利用し、他の手順と比較して反応体の消費を著しく減少させることを可能とする。他の本発明の態様において、サンプル容量は、5μl未満、好ましくは1000nl未満、より好ましくは200nl未満、さらにより好ましくは20nl未満であり得る。]
[0044] 相互作用の親和性を決定するための完全なデータセットを分析するための時間は、Gyrolab Bioaffy(登録商標) 反応のための通常の工程時間に従うと、60分未満である。これは、別の手順で公表されている時間よりも著しく短い時間である。]
[0045] 会合速度定数(ka)を決定するために、一定量の両方の反応体を混合し、時間制限条件下(すなわち複合体形成を平衡に到達させない)で複合体形成を行う。続く分析で、遊離反応体の何れかを測定する。この手順は、混合と分析の間に経過した時間の厳密な制御を必要とし、相互作用の会合速度定数(ka)についてのデータをもたらす。]
[0046] 複合体形成時間を変化させ厳密に制御した一連の実験より、会合速度定数(ka)を決定する。Kdおよびkaを組み合わせることによって、kdを計算する。]
[0047] 反応体(DMおよびTM)の測定
DMおよびTMを含むサンプルは、アッセイ条件を修飾することによって、遊離型の2つの反応体の何れかについて分析できる。従って、遊離型TMは、好ましくは、SIAアッセイ(サンドイッチ免疫アッセイ)で測定され、遊離型DMは、IAA(間接的抗体アッセイ)で測定される。分析方法は、これらの2つの反応体の何れかに焦点をあててもよく、あるいは、両方の反応体(DMおよびTM)を同じランで2つの異なるアッセイフォーマット(SIAおよびIAA)を用いて測定してもよい。本発明の一つの態様において、分析は、複合分析が可能な容器中で行われる。該容器は、例えばCD型容器であってもよく、これはCDとも呼ばれ、Gyrolab Bioaffy(登録商標) systemsで用いられる容器フォーマットであり、該容器では、サンプル構成成分、試薬、液体などを容器中のチャネルを通すために、向心力が用いられる。]
[0048] 2つのプロセスの何れかで得られた応答データは、バッチのランにおける適切な参照曲線に組み込むことによって、反応体の何れかの濃度に変換され得る。これにより、生データで生じうる技術的作為を除くことが可能となり、適切なアルゴリズムを用いたデータフィッティングに、より適したデータが得られる。本発明者らは、多くのアッセイにおいて、用量応答曲線が非線形であることを見出した。用量応答曲線がS字である場合もあることを見出した。非線形の用量応答曲線に良いフィットを得るために、較正のために多くのデータ点を用いることが必要であり、好ましくは、較正範囲に均等にデータを集めるべきである。]
[0049] 本発明の一つの態様において、幾つかの較正溶液を流すことによって、曲線にフィットさせた較正曲線を得る。幾つかの較正溶液を使用するために、少量のみのサンプルまたは較正溶液を消費する分析系を使用することが好ましい。従って、小型化された分析系を使用することが好ましい。本発明の一つの態様において、Gyrolab Bioaffy(登録商標) system は、サンプルおよび較正溶液の分析のために用いられる。好ましくは、分析時間を節約するために、較正溶液を、複合系で平行して流す。較正溶液の濃度は、サンプル中のアナライトの濃度範囲をカバーする。好ましくは、較正は、サンプル中のアナライトと同一の分子であるが、もしアナログが同様の用量応答曲線を提供するならば、サンプル中のアナライトのアナログであってもよい。]
[0050] 複合体ABを形成するリガンドAおよび受容体Bの間の親和性反応を考慮すると、伝統的に、Kd、Ka、kdおよびkaを概算するためにA、BまたはABの何れかの量を測定するので十分であるとされていた。しかし、所与のアナライトの測定に関して幾らかの不確実性が常に存在し、このような測定の不確実性は、しばしばサンプル中のアナライトの実際の量に関係する。通常、この測定の不確実性は、中間のアナライト濃度レベルで最も低い。従って、測定の不確実性は、非常に低いまたは非常に高いアナライト濃度レベルにおいて増大する傾向がある。そのため、反応A+B→ABにおいて、2つまたは3つ全てのアナライト(A、BおよびAB)を同時に測定して、全反応プロセスを通して測定の不確実性が低いデータ点を得ることが有益であり得る。実際的な理由から、これは1回のランで1個のチャネル中で達成することが難しい。このようなプロセスのための連続したランの使用は時間がかかり、連続した実験のために同じ実験条件を達成することもまた難しい(一般的に、反応温度は反応速度に大きな影響を有する)。しかし、このことは、各アナライトが別個のチャネル内で測定され、各チャネルが1個の系内で同時に操作される(複合)平行系で行うことが可能である。好ましくは、該系は、系全体で均一な温度条件が容易に得られるように小型化された系である。このような場合には、サーモスタットまたは他の温度制御努力を必要としないため、系は温度調節されなくてもよい。サーモスタット系は複雑になることがあり、温度調節用構成要素の追加は、このような系の費用を上げる。]
[0051] DMとTMの間のアフィニティー反応の分析において、小型化された系の使用は、幾つかの理由により好ましい。しばしば、DMとTMの利用可能な量には限度があり、そして、高価な傾向がある。さらに、血液や組織のような生物学的サンプルを含む適用において、利用可能なサンプルの量は極めて限定され得る。従って、慣用の系よりも、必要とされるサンプル容量が少ないか、またはサンプル量が少ない小型化された系を使用することは有益である。血液のような生物学的サンプルの場合において、このようなサンプルは、しばしば分析前に希釈され、従って、用いられる分析系は、極めて高い感度を有する必要がある。本発明の一つの態様において、クロマトグラフィー粒子は、アナライトを捕捉するために用いられ、本発明者らは、用いられるクロマトグラフィー粒子が、100μm未満、好ましくは60μm未満、より好ましくは30μm未満、さらにより好ましくは20μm未満、例えば15μmの平均直径を有するべきであることを見出した。本発明のさらなる態様において、粒子は、10μm未満、好ましくは5μm未満、より好ましくは1μm未満の平均直径を有していてもよい。]
[0052] 用語クロマトグラフィー粒子は、クロマトグラフィーにおける粒子の使用を示すために用いられ、クロマトグラフィーに使用するための既知の粒子のみに限定されない。実験では本質的に円形の粒子が用いられているが、他の幾何学的形状の粒子を本発明の使用も意図され得る。
該粒子は、多孔性であっても非多孔性であってもよい。]
[0053] 実施例ではクロマトグラフィーのカラムフォーマットを用いているが、粒子のスラリーもまた使用可能であると理解される。さらに、モノリスカラムも使用可能であると理解される。]
[0054] カラム中に存在する個別の分子における拡散距離が、起こる反応および有効なアナライト捕捉を制限しない反応制御系としてプロセスを行う。全ての実用的な目的において、利用可能な分子の99%以上が捕捉されると考えられている。これは、利用可能な分子のフラクションのみを捕捉する他の系と比べて異なっているかもしれない。このことは、分析手順の検出限界に影響を及ぼす。]
[0055] この理由は、おそらく、小さい粒子ほど間隙の距離が短く、そのために、小さい粒子が大きい粒子より効率よく分子を捕捉することであり、捕捉効率は制御された反応であると想定される。]
[0056] アッセイ・フォーマット(SIA、IAA、BIA)
所望により、予め形成された複合体の同時分析手順を、
(i) SIAを用いて、残存遊離TM
(ii) IAAを用いて、固定化TMと相互作用していないDMの少なくとも1個のTM結合アームを有する残存遊離DM
(iii)架橋免疫アッセイ(BIA)を用いて、固定化TMおよびフルオロフォア標識TMと相互作用していないDMの両方のDM結合アームを有する残存遊離DM
に基づいて行い得る。]
[0057] SIAはサンドイッチ免疫アッセイを意味すると理解される。IAAは間接的抗体アッセイを意味すると理解される。BIAは架橋免疫アッセイを意味すると理解される。]
[0058] 当技術分野で既知の他のタイプの免疫アッセイを本発明で使用することが企図できることがさらに理解される。当該免疫アッセイは、競合的であっても非競合的であってもよい。さらに、免疫アッセイは、不均一であっても均一であってもよい。]
[0059] CD中で同時に行われる異なる分析フォーマット(SIA、IAA、BIA)の設計は、例えば WO 2007/108755 (その全体の内容が言及することによって本明細書に組み込まれる)から導き出される。この手順は、3つのアッセイのタイプそれぞれにおいて、試薬の第一層を形成するストレプトアビジンカラムへのビオチン標識捕捉用試薬の好都合かつ有効な結合を利用する。]
[0060] 反応体の親和性を計算するために生データまたは濃度に変換したデータにフィッティングするのに適用可能な異なるアルゴリズムがある。]
[0061] 事実上、平衡に達した後に残存する遊離TMフラクションを測定するとき、DMが捕捉用試薬として用いられる。捕捉抗体が複合体中のDMと同じエピトープ特異性を有するため、これは、すでに形成され捕捉された複合体を妨害する。同様に、IAAまたはBIAを遊離抗体結合部位のフラクションの測定に用いるとき、TMは固相に固定化される。]
[0062] 残存遊離TMまたはDMの捕捉を行う捕捉カラム通過時の予め形成された複合体の解離を妨げるために、カラム中の複合体の滞留時間は最短とするべきである。本発明の一つの態様において、直径15ミクロンの固体粒子を約15nl(100×250×600μm)のカラム容積に充填するとき、充填捕捉床が利用可能なカラム容積の約60%を示すと仮定して、流速1nl/秒でサンプルの計算カラム滞留時間は<6秒である。流速の増大によって、サンプルのカラム滞留時間は調節され得る。本発明の一つの態様において、流速は、CDの回転数を調節することによって調節される。]
[0063] 反応体の相互作用のための時間を変化させることによる会合定数の分析
本発明の一つの態様において、例えばGyrolab(登録商標) Workstation (Gyros AB, Uppsala, Sweden)のようなサンプル処理デバイスは、時間通りに適切な容積の各反応体(全てのアリコートにおいて一定量の反応体)を、CD内で反応体を含む液体アリコートのペアを混合する機能を含むCDに吸引して分配するために用いられる。同一のCDで反応体の異なる混合時間を試験するために、CDマイクロ構造内での反応体の混合を、異なる時間点で開始する。この方法において、反応速度論を上記のように調べるために、TMとDM間の複合体形成について異なる反応時間を試験してもよい。]
[0064] 本発明の一つの態様において、好ましくは入口ポートと混合チャンバーの間に容量規定ユニットを含む、少なくとも2つの別個の入口ポートを備えたCDを用いる。2つの液体の混合を達成するのに必要な回転条件下で、混合液体が下流の捕捉カラムへ移動するのを妨げるのに十分なほど強力なバルブによって、混合チャンバーの出口をマイクロ構造の下流部分から隔てる。このようなCDデバイスを用いて、2つの反応体の混合から遊離TMまたはDMの分析開始時間までの経過時間を、制御ソフトウェアの使用によって制御し得る。]
[0065] 本発明の一つの態様において、遊離形のTMまたはDMの何れかを平行分析手順で、上記と同様の方法(SIA、IAA、BIA)で決定する。]
[0066] 反応体の会合速度定数(ka)を計算するための、生データまたは濃度に変換したデータにフィッティングするのに適用可能な異なるアルゴリズムがある。]
[0067] 2つの反応体を一旦混合すると、反応は継続し、ますます複合体が形成される。このプロセスは停止させることができず、どの程度の大きさの容積が処理されるか、反応体会合の性質、流速などに依存して、親和性測定の総括的な結果に影響を及ぼす可能性があり、サンプルの最初の部分と比較して、サンプルの最後の部分で少し長く複合体形成が行われる。このタイプの影響を避けるために、分析に用いられるサンプル容積は最少であるべきである。他の本発明の態様において、サンプル容積は、5μl未満、好ましくは1000nl未満、より好ましくは200nl未満、いっそう好ましくは20nlであってもよい。]
[0068] 会合速度定数を測定するために、CDの混合チャンバーは、平衡化条件を適用する前に測定可能とするのに必要な程速い混合を行うために、小さい容積を有するべきである。本発明の一つの態様において、混合チャンバーの容積は5μlである。本発明の他の態様において、混合チャンバーの容積は5μl未満、好ましくは1000nl未満、より好ましくは200nl未満、さらにより好ましくは20nl未満または10nl未満または1nl未満であってもよい。第1容積の反応体Aを第2容積の反応体Bと混合するために、混合チャンバーは、第1容積と第2容積の和の100倍未満であるべきである。]
[0069] 同じCDで、および同じ分離チャネルで連続して多重分離モードを用い得ると理解される。この目的は、例えば、反応体の測定を妨げるサンプル成分を除去することであり得る。例えば、サンプルをさらにCD上で処理する前に、血液サンプルから非常に豊富な蛋白質(例えばアルブミン)を除去する第1分離工程として親和性クロマトグラフィーを用い得ると理解される。]
[0070] 本発明の一つの態様において、細胞受容体とアナライトの間の相互作用について、会合速度定数を測定する。従って、反応体の一方が細胞受容体である。本発明は、結合力(avidity)を測定するために用いられ得ると理解される。結合力は、多重結合相互作用の結合強度を記載するために用いられる用語である。従って、結合力は、結合親和性の合わせた相乗的強度である。]
[0071] 実施例1
2つのhTSH(ヒト甲状腺刺激ホルモン)抗体についての解離平衡定数(Kd)の決定
アッセイ手順:
一連のTSH希釈液をTSHに対して親和性を有する抗体と混合した。2つの異なる抗体を同じ混合濃度を用いて試験した。この混合物をマイクロタイタープレート中で平衡状態に達するよう24時間混合した。試薬と共に混合物をGyrolab(登録商標) Workstation (Gyros AB, Uppsala, Sweden)に負荷し、緩衝液で洗浄した。standard Bioaffy(登録商標) 200 CD (Gyros AB, Uppsala, Sweden)を、下記の工程を含むサンドイッチアッセイ方法と共に用いた:
CDの再調整(reconditioning)のための洗浄緩衝液を添加する
ビオチン化TSHをストレプトアビジンカラムに負荷する
カラムに洗浄緩衝液をアプライする
TSHと抗体の混合物を平衡に至らしめ、混合物をカラムにアプライする
混合物中の遊離抗体をカラムに捕捉する
洗浄緩衝液をカラムにアプライする
カラム上に捕捉された抗体の検出を可能にするために、Alexa(登録商標) Fluor 647標識ラット抗マウスIgGモノクローナル抗体をカラムにアプライする
カラムに洗浄緩衝液をアプライする
Gyrolab(登録商標) Workstationにおける検出装置を、カラム上に捕捉された抗体の検出に利用する。]
[0072] TSHと抗体の平衡化混合物についてそれぞれ3回分析した。平衡混合物中の遊離抗体の%応答をTSHの濃度に対してプロットした。図1を参照のこと。アフィニティー定数Kdを見積もるために、データ点を反応を記載するモデルにフィットさせた。] 図1
[0073] データ点を下記の式f(x)にフィットさせた。



ここで、
xはTSHの濃度であり
Btotは抗体の濃度である。
Sig100%は混合物中にTSHがない場合に測定されたシグナルであり
Sig0%は、遊離抗体がない場合に測定されたシグナルである。]
[0074] 試薬:
ヒトTSH, hTSH (Immunometrics (UK) Ltd, London, UK)
Mab抗ヒトTSH(クローン5401, 5404および5407, Medix Biochemica, Joensuu, Finland)
EZ−リンクスルホ−NHS−LC−ビオチン,カタログ番号21335 (Pierce, Rockford,IL)
AffiPureヤギ抗マウスIgG(Jacksson Immunoresearch Laboratory Inc., West Grove, PA)
Alexa(登録商標) Fluor 647 (A-20186, Invitrogen, Taeby, Sweden)
EZ−リンク スルホ−NHS−LC−ビオチン, カタログ番号21335 (Pierce, Rockford, IL)]
[0075] 試薬濃度:
ビオチン化TSH濃度 100μg/ml
抗TSH抗体濃度 TSH結合部位について256pMまたは512pM
hTSH濃度 0、4、8、16、32、128、256、1024、2048、16384、65536、262144pM
Alexa標識ヤギ抗マウスIgG濃度 25nM]
[0076] 結果:
実験データ点を上記の式f(x)にフィットさせる(図3を参照のこと)ことによって、TSHの3つの抗体における親和性を決定した。] 図3
[0077] 3つの抗体について、以下の結果が得られた。
表1]
[0078] 実施例2
会合速度定数(ka)の決定
アッセイ手順:
或る濃度のTSHをTSHに対して親和性を有する或る濃度の抗体と混合した。この混合物をマイクロタイタープレート中で異なる時間反応させた。試薬と共に混合物をGyrolab(登録商標) Workstation (Gyros AB, Uppsala, Sweden)に負荷し、緩衝液で洗浄した。標準Bioaffy(登録商標) 200 CD を、下記の工程を含むサンドイッチアッセイについて標準的な方法と共に用いた:
CDの再調整のための洗浄緩衝液を添加する
ビオチン化TSHをストレプトアビジンカラムに負荷する
カラムに洗浄緩衝液をアプライする
TSHと抗体の混合物をカラムにアプライし、混合物中の遊離抗体を捕捉する
洗浄緩衝液をカラムにアプライする
カラム上に捕捉された抗体の検出を可能にするために、Alexa(登録商標)標識ヤギ抗マウスIgGをカラムにアプライする
カラムに洗浄緩衝液をアプライする
Gyrolab(登録商標) Workstationにおける検出装置を、カラム上に捕捉された抗体の検出に利用する。]
[0079] 各反応混合物について3回分析した。混合物中の遊離抗体の応答を反応時間に対してプロットした。図4を参照のこと。速度定数kaを求めるために、各インキュベーション時間における3回の平均値を単純化モデルにフィットさせた。この単純化モデルでは、形成されたTSH−抗体複合体の解離の影響はないと仮定されている。他の仮定は、TSH濃度が時間経過であまり変化しないほどTSHが過剰であることである。これらの限定がないさらに複雑なモデルを用いて、より正確な定数が得られる。] 図4
[0080] データ点を下記の式f(t)にフィットさせた。



ここで、
kは、観察された崩壊速度定数であり
kaは、生成物の会合速度定数であり
[TSHtot]は、リガンドTSHの出発濃度である。]
[0081] 試薬濃度:
ビオチン化TSH濃度 100μg/ml
抗TSH抗体濃度 TSH結合部位について256pMまたは512pM
hTSH濃度 2048pM
Alexa(登録商標)標識ヤギ抗マウスIgG濃度 25nM]
[0082] 結果:
実験データ点を上記の式f(t)にフィットさせる(図4を参照のこと)ことによって、TSH抗体5407における会合速度定数(ka)を決定した。] 図4
[0083] 以下の結果が得られた。
k=0.0012s−1
ka=5.86×106M−1s−1
線形相関係数r2は0,966である。]
[0084] 実施例3
固相上の結合アッセイ
アッセイ手順:
制限的な量のビオチン化標的抗原を、粒子表面上をストレプトアビジンで機能化した直径15μmの固体ポリスチレン粒子(98%ポリスチレンおよび2%ジビニルベンゼン)を含む捕捉カラムに結合させ、続いて標的抗原に指向性の抗体を変化させた量で添加した。従って、各実験で異なる量の抗体を加える幾つかの実験を行う。洗浄手順後、結合させた標的抗原に指向性の抗体を、過剰量の検出可能なAlexa(登録商標)標識ラット抗マウスIgGモノクローナルと接触させる。さらなる洗浄手順後、Gyrolab(登録商標) Workstationの検出装置を用いて、カラムに捕捉された抗体の検出を行う(標識抗マウスIgGモノクローナルによる)。結果については図5を参照のこと。] 図5
[0085] 試薬
標準的な手順に従って、EZ−リンクスルホ−NHS−LC−ビオチン,カタログ番号21335 (Pierce, Rockford,IL)を用いて、ヒトTSH(Immunometrics (UK) Ltd, London, UK)をビオチン化した。ビオチン化TSHをPBS−Tween中で25μg/mlまで希釈し、Bioaffy(登録商標) 200 CD中の16捕捉カラムに結合させた。ヒトTSHに指向性の3種のマウスのモノクローナル抗体(クローン5401、5404および5407, Medix Biochemica, Joensuu, Finland)を、標準的な希釈剤中0.3から5000ng/mlに変化させた濃度で加え、続いてAlexa(登録商標) Fluor 647 (A-20186, Invitrogen, Taeby, Sweden)で標識したラット抗マウスIgG(重鎖特異的,クローン番号3H2296, US Biological, Swampscott, MA)を用いて検出した。]
[0086] 結果
結果は、3種の異なる抗体についての親和性を示している。図5を参照のこと。この実験は、反応物のアフィニティー定数を決定しないが、曲線の相対的な位置が、抗体親和性に関する情報を提供する。より高い親和性(すなわちKdの値がより小さい)を有する抗体の曲線は左にシフトする。図5を参照のこと。調べられた反応のグラフ表示は可視化の目的において実用的であるが、異なる抗体の親和性を比較するために、曲線の数学的表現を使用できると理解される。例えば、カーブフィッティングを用いて、3種の結合剤についてEC50値を決定することができる。低いEC50値は、より高い親和性(すなわち、より低いKd値)に対応する。] 図5
[0087] EC50の定義:用語EC50(半数有効濃度)は、シグナルのベースラインとシグナル最大値の間の中央値の応答を引き起こす反応体(例えば薬物または抗体)の濃度を言う。]
[0088] EC50値は異なる抗体の親和性を比較するのに適当であるが、原理的にはシグナルのベースラインとシグナル最大値の間に位置するフィットさせた曲線の何れの点も同じ目的のために利用可能であると理解される。また、原理的には、シグナルのベースラインとシグナル最大値の間の領域に位置する何れのデータ点も同じ目的のために利用可能であると理解される。]
[0089] 固相上の異なる濃度のリガンドを用いて同じタイプの曲線が測定されるならば、速度と親和性を計算可能である。]
[0090] 実施例4:
異なる方法で得られた親和性の比較
実施例1では、3種の異なる抗体の溶液において、アフィニティー定数を決定した。実施例3では、固相結合法で同じ3種の抗体で、親和性ランキングをつけた。実施例1のアフィニティー定数(Kd値)と実施例3のEC50値を表2に示した。2つの方法における3種の抗体の親和性ランキングは相関している。]
実施例

[0091] 表2:3種の異なる抗体における親和性]
权利要求:

請求項1
複合体CDにおける第2解離平衡定数Kd2と比較した、複合体ABにおける第1解離平衡定数Kd1の定量化方法であって、複合体ABは2つの反応体AおよびBの会合反応によって形成され、複合体ABは解離して反応体AおよびBを形成することができ、そして、複合体CDは2つの反応体CおよびDの会合反応によって形成され、複合体CDは解離して反応体CおよびDを形成することができ、そしてa) 複数のマイクロチャネル構造を含む微小流体デバイスを提供する工程であって、該デバイスにおいてi) 少なくとも1個のマイクロチャネル構造が固定化された第1キャプチャーを含み、第1キャプチャーは反応体AまたはBの一方と結合可能であり、ii) 少なくとも1個のマイクロチャネル構造が固定化された第2キャプチャーを含み、第2キャプチャーは反応体CまたはDの一方と結合可能である工程;b) 一定量の反応体Aを、変化させた量の反応体Bと混合し、AおよびBを含む混合物をそれぞれ反応させて複合体ABを形成させ、第1キャプチャーを反応体AまたはBの一方と結合させるために、反応体A、反応体Bおよび複合体ABを含む混合物を第1キャプチャーと接触させる工程;c) 一定量の反応体Cを変化させた量の反応体Dと混合し、CおよびDを含む混合物をそれぞれ反応させて複合体CDを形成させ、第2キャプチャーを反応体CまたはDの一方と結合させるために、反応体C、反応体Dおよび複合体CDを含む混合物を第2キャプチャーと接触させる工程;d) 少なくとも一方の反応体AまたはB、または複合体ABの量を測定し、反応体Aおよび反応体Bの間の反応を特性決定する第1データセットを決定する工程;e) 少なくとも一方の反応体CまたはD、または複合体CDの量を測定し、反応体Cおよび反応体Dの間の反応を特性決定する第2データセットを決定する工程;f) Kd2と比較してKd1を定量化するために、第1データセットを第2データセットと比較する工程;を含む方法。
請求項2
複合体CDにおける解離平衡定数Kd2と比較した、複合体ABにおける解離平衡定数Kd1の定量化方法であって、複合体ABは2つの反応体AおよびBの間の会合反応によって形成され、複合体ABは解離して反応体AおよびBを形成することができ、そして、複合体CDは2つの反応体CおよびDの間の会合反応によって形成され、複合体CDは解離して反応体CおよびDを形成することができ、そしてa) 一定量の反応体Aを第1セットのマイクロチャネル構造中に固定化する工程;b) 一定量の反応体Cを第2セットのマイクロチャネル構造中に固定化する工程;c) 第1セットのマイクロチャネル構造中で、変化させた量の反応体Bを固定化反応体Aと接触させ、複合体ABが固定化されるように、反応させて複合体ABを形成させる工程;d) 第2セットのマイクロチャネル構造中で、変化させた量の反応体Dを固定化反応体Cと接触させ、複合体CDが固定化されるように、反応させて複合体CDを形成させる工程;e) 固定化反応体Aと接触させた反応体Bの量それぞれについて、固定化された複合体ABの量を測定し、反応体AとBの間の相互作用を特性決定する第1データセットを得る工程;f) 固定化反応体Cと接触させた反応体Dの量それぞれについて、固定化された複合体CDの量を測定し、反応体CとDの間の相互作用を特性決定する第2データセットを得る工程;g) Kd2と比較してKd1を定量化するために、第1データセットを第2データセットと比較する工程;を含む方法。
請求項3
第1セットおよび第2セットのマイクロチャネル構造が、複数のマイクロチャネル構造を含む微小流体デバイス中に提供されている、請求項2に記載された方法。
請求項4
固定化反応体Aの量が、用いられる全てのマイクロチャネル構造中で同一である、請求項2または3に記載された方法。
請求項5
反応体Aが反応体Cと同一である、請求項1から4の何れか1項に記載された方法。
請求項6
第1キャプチャーおよび第2キャプチャーが、マイクロチャネル構造中に提供される捕捉カラム中に固定化されている、請求項1に記載された方法。
請求項7
捕捉カラムがクロマトグラフィー粒子を含む、請求項6に記載された方法。
請求項8
クロマトグラフィー粒子がマイクロチャネル構造中に予め配列されている、請求項7に記載された方法。
請求項9
クロマトグラフィー粒子が、100μm未満、好ましくは60μm未満、より好ましくは30μm未満、さらにより好ましくは20μm未満、例えば15μmまたは10μm未満、好ましくは5μm未満、より好ましくは1μm未満の平均直径を有する、請求項7または8に記載された方法。
請求項10
反応体AまたはBおよび/または反応体CまたはDの少なくとも一方が、細胞膜に結合している分子を含む、請求項1から9の何れか1項に記載された方法。
請求項11
反応体の量または複合体の量の測定が、SIA法またはIAA法またはBIA法の使用によって行われる、請求項1から10の何れか1項に記載された方法。
請求項12
反応体の量または複合体の量の測定を行う前に、妨害成分を除去する工程をさらに含む、請求項11に記載された方法。
請求項13
微小流体デバイスがサーモスタットを有しない、請求項1および3〜12の何れか1項に記載された方法。
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WO2009110846A1|2009-09-11|
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