专利摘要:
水素透過障壁を製造するための方法は、a)少なくとも1つの層(L1、L2、L3)を含む層系(LS)を基材(SUB)上に堆積するステップを含み;ステップa)は、b)少なくとも3元酸化物を含んだ少なくとも1つの水素障壁層(HPBL)を堆積するステップを含むことを特徴とする。装置は、密閉可能なボリュームと、前記ボリュームを限定する境界の少なくとも一部を形成する壁面とを含み、前記壁面は、少なくとも1つの層を含んだ層系(LS)を含む水素透過障壁を含んでおり、前記層系は、少なくとも3元酸化物を含んでいる少なくとも1つの水素障壁層(HPBL)を含む。好ましくは、前記少なくとも3元酸化物は、実質的にAl、Cr、およびOからなり、前記少なくとも1つの水素障壁層(HPBL)を堆積する前記ステップは、物理気相成長法、特にカソードアーク蒸着法を使用して実施される。
公开号:JP2011514437A
申请号:JP2010543519
申请日:2009-01-26
公开日:2011-05-06
发明作者:ユルゲン・ラム
申请人:エーリコン・トレイディング・アーゲー・トリューバッハ;
IPC主号:C23C14-08
专利说明:

[0001] 本発明は、一般に、ある材料に付着させたときに、ある物質に対するこの材料の透過性を低下させることが可能な層である障壁層の分野に関する。より詳細には、本発明は、基材の水素透過性を強力に低下させる水素透過障壁がこの基材に付着されている、水素透過障壁に関する。さらにより詳細には、本発明は、特にエネルギーが生成され、変換され、利用され、または貯蔵される適用例での、水素の貯蔵および輸送に関する。]
[0002] 定義
本明細書で使用される「水素」という用語は、水素の3種の同位体:1H、2D(重水素)、および3T(トリチウム)のいずれかを含む。]
[0003] 「水素障壁層」または「水素透過障壁層」は、それ自体を通した水素の輸送を防止しまたは強力に妨げる層である。]
背景技術

[0004] 水素の拡散は、水素の生成および利用に関する適用の可能性のある全ての分野において、深刻な問題である。原子炉では、高温の存在により、および反応器の運転では避けられない液体ナトリウムまたはその他の腐食性材料との接触から深刻な問題が生じるので、特に厳しい条件が存在する。高温および腐食耐性は、水素を利用する燃焼機関でも考慮しなければならない。耐薬品性(不活性)も、水素の生成および貯蔵に関連した電気化学的プロセスで必要である。]
[0005] 水素透過障壁を生成するための、1つの公知の方法では、独国特許第03130906号明細書で論じられるように、水素を水素化物に結合する。水素化物は主に、水素化物を形成する希土類(例えば、イットリウム)またはカルシウムやマグネシウムなどのアルカリ土類金属をベースにしている。これらの材料は、存在する容器または壁面材料と合金を形成する。]
[0006] 原子炉の様々な構成要素の壁面を通した水素の透過は、反応器の運転における潜在的な問題である。米国特許第4,314,880号明細書では、溶融アルミナ中に浸漬し、800℃に加熱することによる、反応器材料の金属間層の形成が、提示されている。この方法によって達成された金属間化合物は、水素障壁を形成する。]
[0007] 米国特許出願公開第2007/0089764号明細書には、異なる利用温度範囲に関して異なっている金属水素化物をやはり使用する、気密貯蔵および輸送タンクが記載されている。]
[0008] 米国特許出願公開第2007/0089764号明細書には、さらに、水素化物を含有する熱可塑性ポリマーが、水素の拡散障壁として開示されている。]
[0009] 米国特許第6787007号明細書は、電源によって作動させた、アノード層、カソード層、電解層、および触媒層の完全体系からなる、電気化学的に活性な水素障壁を開示している。]
[0010] 国際公開第04057051号は、パルスプラズマ窒化物形成によって得られた、水素障壁について記述している。]
[0011] さらに、かつより密接に本発明に関連して、薄膜の形、特に酸化アルミニウムのα−相(α−アルミナ、α−Al2O3)などのセラミック酸化物をベースにした被膜の形をした透過障壁の適用が、提示されている[1〜4]。そのような被膜は、水素輸送の抑制において高い効率を有する。これらの障壁は、材料中の水素の拡散および保持が課題となっている多くの領域で使用することができる。そのような被膜は、熱サイクルを切り抜ける耐食性層としても働き、高熱および中性子束に耐え、さらに侵襲性媒体と接触する可能性を有するので、多機能性にすることができる[5]。これら要件のほとんどを満足させる可能性が最も高いのは、その独自の高温熱および機械特性により、α−アルミナである。]
[0012] 独国特許第03130906号明細書
米国特許第4,314,880号明細書
米国特許出願公開第2007/0089764号明細書
米国特許第6787007号明細書
国際公開第04057051号]
先行技術

[0013] M.I.Eremets、I.A.Trojan、S.A.Medvedev、J.S.Tse、Y.Yaoの論文「Superconductivity in Hydrogen Dominant Materials: Silane」]
発明が解決しようとする課題

[0014] ポリマーおよびプラスチック拡散障壁を基にした解決策の全ては、比較的低い温度に限定される。]
[0015] 金属水素化物を用いた手法は、2つの固有の問題を示す。水素化物の形成は、通常、基材材料と水素化物形成材料との間の合金の形成に結び付いている。多くの場合、これは、高温で(例えば、US4,314,880では800℃で)行わなければならず、大きな基材でそのように行うことは非常に複雑であり、さらに、合金形成が行われるべき基材材料の選択の自由は、限られている。水素化物の形成温度は、水素化物形成材料の選択により影響を受ける可能性がある。しかし通常は、より低い形成温度であると、それほど温度安定性のない水素化物が得られる。]
[0016] プラズマ窒化層は、透過障壁に関して経済的に関心を集める手法であるが、この手法は、核融合炉または燃焼機関の高温拡散障壁に使用できることが示されておらず、これらの層の透過障壁挙動は、最も良く知られている最新技術に比べて不十分である。]
[0017] 電気化学的に活性な拡散障壁は、洗練されているが、費用のかかる解決策である。この解決策は、電気コンタクトと組み合わせた比較的複雑な層設計を基にしており、高温適用例の要件を満足させることができない。さらに、腐食環境で利用した場合には、さらなる保護が必要である。]
[0018] 非常に興味深くかつ費用効果のある水素障壁生成方法は、水素に接触する構成要素(基材;通常は金属またはセラミックスで作製されている)上への薄膜層の堆積を基にしている。上述のように、アルミナのコランダム構造であるα−Al2O3は、その高温安定性および傑出した機械的性質により、非常に将来性のある候補である。しかし、工業規模でのα−Al2O3の合成では、高い堆積温度(約1000℃)が必要とされ、またはこのプロセス手法は、大きく複雑な表面をコーティングするためにさらに規模拡大しなければならない[6〜9]。それぞれ600℃よりも低くまた500℃でもある温度でのPECVD[10]およびマグネトロンスパッタリング[11]によるアルミナの堆積を用いて実現された最近の結果は、将来性があるものである。しかし、これらの実験室での研究は、依然として工業での適用からは程遠いものである。]
[0019] したがって、本発明の一目的は、公知の水素透過障壁の代替例、特に上述の問題のない、または少なくともこれらの問題の多くを持たない障壁をもたらすことである。さらに、水素透過障壁を含む装置と、水素透過障壁を製造するための方法が提供される。さらに、層系の使用が提供される。]
[0020] 本発明の別の目的は、α−Al2O3と少なくとも同等な水素透過障壁品質を有する、薄膜水素透過障壁を提供することである。]
[0021] 本発明の別の目的は、1000℃よりも低い、好ましくは600℃よりも低い、より好ましくは500℃よりも低い、さらになお好ましくは400℃よりも低い、形成温度または堆積温度または必要とされる基材温度を有する水素透過障壁を提供することである。]
[0022] 本発明の別の目的は、α−Al2O3の硬度と同等の硬度を有する水素透過障壁を提供することである。]
[0023] 本発明の別の目的は、1種または複数の異なる相、特に非晶質からコランダム型構造に至る相を含んで形成することができる、水素透過障壁を提供することである。コランダム型構造は、非常に将来性のある水素透過障壁挙動を示す。コランダム型構造が存在するか否かをどのように決定するかは、薄膜および/または結晶学の当業者に周知である。]
[0024] 本発明の別の目的は、少なくとも1つの高温相、即ち1000℃超でのみ熱平衡にある少なくとも1つの相を含む、水素透過障壁を提供することである。]
[0025] 本発明の別の目的は、その性質をさらに複雑ではない方法で調整することができる、水素透過障壁を提供することである。特に、層系の硬度を調整することができる。]
[0026] 本発明の別の目的は、様々な適用例に合わせて、特に多目的な適用例に合わせて、即ち、様々な異なる性質の組合せを必要とする適用例に向けて調整することができる、水素透過障壁を提供することである。]
[0027] 本発明の別の目的は、一方で水素の損失を大幅に妨げることが可能であり、また他方では水素を貯蔵することが可能である、水素透過障壁を提供することである。]
[0028] 本発明の別の目的は、工業的規模で生成することができる水素透過障壁、即ち、良好な再現性および均質性(水素透過障壁でコーティングされた表面の性質に対して)で、適度な努力/適度はコストで大量に生成することができる水素透過障壁、特に、前記手法で少なくとも100cm2、さらに少なくとも1000cm2、または少なくとも5000cm2にわたり堆積することができる水素透過障壁を提供することである。]
[0029] 本発明の別の目的は、少なくとも1つの水素透過障壁層と、水素化物を形成することが可能な材料の少なくとも1つの層との組合せを形成することである。]
[0030] 本発明の別の目的は、特に耐摩耗性である水素透過障壁を提供することである。]
[0031] 本発明の別の目的は、特に耐熱性である水素透過障壁を提供することである。]
[0032] 本発明の別の目的は、特に化学的に不活性な水素透過障壁を提供することである。]
[0033] 本発明の別の目的は、通常なら水素透過障壁を設けることができずまたは少なくとも同等の性質の水素透過障壁が設けられない基材に、水素透過障壁をもたらす方法を提供することである。]
[0034] 本発明の対応する目的は、それぞれ対応する装置、方法、および使用に関する。]
[0035] これらの目的の少なくとも1つは、特許請求の範囲に記載されている装置、方法、および使用によって、少なくとも部分的に達成される。]
課題を解決するための手段

[0036] 水素透過障壁を製造するための方法は、
a)少なくとも1つの層を含む層系を、基材上に堆積するステップ
を含み;
ステップa)は、
b)少なくとも3元酸化物を含む少なくとも1つの水素障壁層を堆積するステップ
を含むことを特徴とする。]
[0037] やや異なる観点から考えると、この方法は、上述のステップa)およびb)を含む、基材の水素透過性を低下させるための方法である。]
[0038] この装置は、密閉可能なボリュームと、前記ボリュームを限定する境界の少なくとも一部を形成する壁面とを含む。前記壁面は、少なくとも1つの層を含む層系を含む、水素透過障壁を含む。前記層系は、少なくとも3元酸化物を含む、少なくとも1つの水素障壁層を含む。]
[0039] 特定の観点から見ると、本発明は、第1および第2のボリュームと、前記第1のボリュームを前記第2のボリュームから分離する水素透過障壁とを含む系を含む。前記第1のボリュームの水素密度は、第2のボリュームの水素密度とは異なっており、特に実質的に異なっている。前記水素透過障壁は、少なくとも1つの層を含む層系を含み、前記層系は、少なくとも3元酸化物を含む少なくとも1つの水素障壁層を含む。前記系は、水素を含む系と見なすことができる。]
[0040] 本発明は、さらに、本発明による装置を製造するための方法を含み、前記方法は、
B)前記水素障壁層を前記壁面に堆積するステップ
を含む。]
[0041] 本発明による使用は、水素透過障壁として、特に水素透過障壁層またはコーティングとして少なくとも3元酸化物を含む、少なくとも1つの層を含む層系の使用である。]
[0042] やや異なる角度から見ると、この使用は、基材の水素透過性を低下させるために、特に実質的に低下させるために少なくとも3元酸化物を含む、少なくとも1つの層を含む層系の使用である。]
[0043] 本発明による水素透過障壁は、少なくとも1つの層を含む層系を含み、前記層系は、少なくとも3元酸化物を含む少なくとも1つの水素障壁層を含む。]
[0044] 本発明を通して、代替例、特に改善された水素透過障壁を提供することができ、同様に改善された水素透過障壁製造方法も提供することができる。本発明により、水素透過障壁、特に高品質の優れた性質を有する水素透過障壁を備えた、多くのタイプの基材を提供することが可能になる。]
[0045] 水素障壁層は、それ自体を通した水素の輸送を防止しまたは強力に妨げる層である。したがって、基材上に堆積した場合、水素障壁層は、少なくともかなりの程度まで、水素によって基材の透過性を低下させることになる。基材は、コーティングによって補完された後であっても、依然として基材であると見なされることに留意されたい。]
[0046] 水素障壁層が堆積される基材は、例えば、
− それ自体を、水素(水素障壁層が堆積される基材の面に存在する)と接触しないように保護することができ(かなりの程度まで);
− 基材によって取り囲まれた(少なくとも部分的に)ボリューム内に存在する水素が、前記ボリュームから離れるのを避けることができ(かなりの程度まで)、即ち、前記ボリュームの外側を、前記ボリューム内に存在する水素から保護することができ;
− 基材によって取り囲まれた(少なくとも部分的に)ボリュームの外側に存在する水素が、前記ボリュームに進入するのを避けることができ(かなりの程度まで)、即ち、前記ボリュームの内側を、前記ボリュームの外側に存在する水素から保護することができる。]
[0047] 少なくとも3元酸化物は、3元酸化物、即ちO(酸素)の他にさらに少なくとも2種の化学元素を含む酸化物であり、または4元酸化物、即ちO(酸素)の他にさらに少なくとも3種の化学元素を含む酸化物であり、またはO(酸素)の他に4種以上の化学元素を含む酸化物である。]
[0048] 一実施形態では、前記少なくとも1つの水素障壁層は、少なくとも50原子%の程度まで、より詳細には少なくとも70原子%の程度まで、より詳細には少なくとも80原子%の程度までの、前記少なくとも3元酸化物からなる。]
[0049] 一実施形態では、前記少なくとも1つの水素障壁層は、実質的に前記少なくとも3元酸化物からなり、詳細には、前記少なくとも1つの水素障壁層は、少なくとも90原子%の程度まで、より詳細には少なくとも95原子%の程度までの、前記少なくとも3元酸化物からなる。]
[0050] 前記対処された実施形態の1つまたは複数と組み合わせてもよい一実施形態では、水素透過障壁が、実質的に前記層系からなる。]
[0051] 前記対処された実施形態の1つまたは複数と組み合わせてもよい一実施形態では、水素透過障壁が、少なくとも5nm、詳細には少なくとも10nm、または少なくとも1μmの厚さを有する。]
[0052] 前記対処された実施形態の1つまたは複数と組み合わせてもよい一実施形態では、水素透過障壁が、最大で50μm、詳細には最大で10μm、または最大で1μmの厚さを有する。]
[0053] 前記対処された実施形態の1つまたは複数と組み合わせてもよい一実施形態では、前記少なくとも3元酸化物が、少なくとも1種の金属化学元素を含む。その中で、金属には、金属、半金属、および遷移金属が含まれる。]
[0054] 前記対処された実施形態の1つまたは複数と組み合わせてもよい一実施形態では、前記少なくとも3元酸化物が、3元酸化物である。]
[0055] 前記対処された実施形態の1つまたは複数と組み合わせてもよい一実施形態では、最後に述べた1つを除き、前記少なくとも3元酸化物が4元酸化物である。]
[0056] 前記対処された実施形態の1つまたは複数と組み合わせてもよい一実施形態では、前記少なくとも3元酸化物が、実質的にコランダム型構造を有する。]
[0057] 前記対処された実施形態の1つまたは複数と組み合わせてもよい一実施形態では、前記少なくとも3元酸化物が、固溶体を含み、または実質的に固溶体である。固溶体は、1種または複数の溶質を溶媒に溶かした固体状態の溶液であり、1種または複数の溶質を溶媒に添加した後に溶媒の結晶構造が変化しないままのものであり(結晶格子は歪む可能性がある)、その混合物が、少なくとも実質的に単一の均質な相のままのものである。]
[0058] 前記対処された実施形態の1つまたは複数と組み合わせてもよい一実施形態では、前記少なくとも3元酸化物がアルミニウムを含む。]
[0059] 前記対処された実施形態の1つまたは複数と組み合わせてもよい一実施形態では、前記少なくとも3元酸化物がクロムを含む。]
[0060] 前記対処された実施形態の1つまたは複数と組み合わせてもよい一実施形態では、前記少なくとも3元酸化物が、実質的にAl、Cr、およびOからなり、具体的にはAlが16から34原子%、Crが6から24原子%、およびOが50から70原子%である。]
[0061] 前記対処された実施形態の1つまたは複数と組み合わせてもよい一実施形態では、最後に述べた3つの形態を除き、前記少なくとも3元酸化物が実質的に、AlおよびOと、
− Au(具体的には20から30原子%)
− B(具体的には3原子%未満)
− Be(具体的には20から30原子%)
− C(具体的には3原子%未満)
− Cr(具体的には10原子%超または25原子%超)
− Fe(具体的には2から15原子%)
− Hf(具体的には5から10原子%)
− Ir(具体的には10から15原子%)
− La(具体的には10から15原子%)
− Mo(具体的には2から5原子%)
− Nb(具体的には1から3原子%)
− Ta(具体的には1から3原子%)
− Ti(具体的には2から6原子%)
− V(具体的には3から8原子%)
− W(具体的には5から8原子%)
− Y(具体的には12から16原子%)
− Zr(具体的には2から4原子%)
からなる群の少なくとも1種とからなり、
または前記少なくとも3元酸化物は、実質的に、
− Fe、Va、およびO;
− Fe、Cr、およびO;または
− Va、およびCr、およびO
からなる。]
[0062] 前記対処された実施形態の1つまたは複数と組み合わせてもよい一実施形態では、前記少なくとも3元酸化物が、酸素に関してやや化学量論量を下回り、化学量論的酸素含量の、具体的には20%まで、より具体的には5%までである。]
[0063] 前記対処された実施形態の1つまたは複数と組み合わせてもよい、方法の一実施形態では、ステップb)を、800℃よりも低い、具体的には600℃よりも低い、より具体的には500℃よりも低い基材温度で実施する。これにより、いくつかのその他の公知の水素透過障壁で必要とされるような600℃よりも高い温度に加熱しなくてもよい水素透過障壁を、基材に設けることが可能になる。]
[0064] 前記対処された実施形態の1つまたは複数と組み合わせてもよい、方法の一実施形態では、前記少なくとも1つの水素障壁相を体積する前記ステップを、物理的気相成長法を使用して実施する。]
[0065] 前記対処された実施形態の1つまたは複数と組み合わせてもよい、方法の一実施形態では、前記少なくとも1つの水素障壁層を堆積する前記ステップを、カソードアーク蒸着法を使用して、特にフィルタなしカソードアーク蒸着法を使用して実施する。]
[0066] 前記対処された実施形態の1つまたは複数と組み合わせてもよい、方法の一実施形態では、前記層系の少なくとも2層が、前記2層の第1の層の堆積と前記2層の第2の層の堆積との間に真空処理チャンバの外に前記基材を移動させることなく堆積される。これは、水素透過障壁の生成を非常に単純化し加速させる。]
[0067] 前記対処された実施形態の1つまたは複数と組み合わせてもよい、方法の一実施形態では、ステップa)を、前記真空処理チャンバの外に前記基材を移動させることなくこの真空処理チャンバ内で実施する。これは、水素透過障壁の生成を非常に単純化し加速させる。]
[0068] 前記対処された実施形態の1つまたは複数と組み合わせてもよい、方法の一実施形態では、ステップa)は、ステップb)の前に、
c)前記基材上の前記少なくとも1つの水素障壁層の接着を増強させるため、接着層を前記基材上に堆積するステップ
を含む。特に、前記接着層は、別の層を堆積する前に、即ち「裸の」基材上に直接堆積される。]
[0069] 前記対処された実施形態の1つまたは複数と組み合わせてもよい一実施形態では、接着層が堆積され、前記接着層は、
− 金属;
−水素化物形成金属;
−合金;
− 少なくとも1種の水素化物形成金属を含む合金;
− 窒化物;
−金属窒化物;
− 特に金属と金属窒化物との組合せ
からなる群の少なくとも1種を含む。明らかに、水素化物形成金属または合金は、水素透過障壁挙動を高めることができ、したがって、2倍のプラスの効果を発揮することができる。]
[0070] 前記対処された実施形態の1つまたは複数と組み合わせてもよい一実施形態では、接着層が堆積され、前記接着層を堆積する前記ステップは、物理的気相成長法を使用して実施される。]
[0071] 前記対処された実施形態の1つまたは複数と組み合わせてもよい一実施形態では、接着層が堆積され、前記接着層を堆積する前記ステップは、カソードアーク蒸着法を使用して実施される。]
[0072] 前記対処された実施形態の1つまたは複数と組み合わせてもよい一実施形態では、接着層が堆積され、前記接着層を堆積する前記ステップは、前記水素障壁層の堆積で使用したものと同じタイプの方法を使用して実施される。これは、堆積プロセスを単純化する。]
[0073] 前記対処された実施形態の1つまたは複数と組み合わせてもよい一実施形態では、接着層が堆積され、前記接着層は、前記基材にも含まれかつ/または前記水素障壁層にも含まれる少なくとも1種の化学元素を含む。これは、下にある基材への水素透過障壁の接着を高めることができる。]
[0074] 前記対処された実施形態の1つまたは複数と組み合わせてもよい、方法の一実施形態では、ステップa)が、
e)水素を貯蔵し放出することが可能な水素貯蔵層を、前記基材上に堆積するステップ
を含む。特に、前記水素貯蔵層は、水素化物を形成することが可能な材料を含みまたはそのような材料から実質的になる。]
[0075] 前記対処された実施形態の1つまたは複数と組み合わせてもよい、方法の一実施形態では、ステップa)が、
d)前記基材上に保護層を堆積するステップであって、前記層系の少なくとも1つの層、特に、前記層系のその他全ての層、または前記層系の1つまたは複数の層であって前記基材と前記保護層との間に配置されたものを、外部の影響から保護するための保護層を前記基材上に堆積するステップ
を含む。前記外部の影響は、対処された保護層の外のどの部分からも受ける影響であってよいことに留意されたい。多くの場合、層系の外側から、特にコーティングされた基材の外側から、より好ましくは基材のコーティング面からの影響となるが、層系の別の層からまたは基材からの影響であってもよい。多くの場合、前記保護層は、層系の最外層(基材から最も遠くに離れている)を形成する。]
[0076] 上述の実施形態の一実施形態では、前記保護層が、
− 熱の影響から保護される前記少なくとも1つの層を保護するための、熱障壁層であって、特に、前記層系の少なくとも1つのその他の層の熱伝導率よりも実質的に小さく、または少なくとも1.3倍もしくは少なくとも2倍小さい熱伝導率を有する熱障壁層;
− 前記層系の内部での、内側への、または外側への材料の輸送を低減させるための拡散障壁層であって、層系の少なくとも1つのその他の層よりも、それ自体を横断して材料を輸送するのに強力な妨害、特に、実質的に強力なまたは少なくとも1.3倍もしくは少なくとも2倍強力な妨害をもたらす拡散障壁層;
− 保護される前記少なくとも1つの層を酸素から保護する酸化障壁層であって、前記層系の少なくとも1つのその他の層よりも、それ自体を横断して酸素を輸送するのに強力な妨害、特に、実質的に強力なまたは少なくとも1.3倍もしくは少なくとも2倍強力な妨害をもたらす酸化障壁層;
− 保護される前記少なくとも1つの層を化学的に反応することから保護するための化学障壁層であって、少なくとも1つの反応性物質に対し、前記層系の少なくとも1つのその他の層の化学的不活性よりも高い化学的不活性を有する化学障壁層;
− 保護される前記少なくとも1つの層の耐摩耗性を増大させるための耐摩耗層であって、前記層系の少なくとも1つのその他の層よりも高い耐摩耗性、特に、実質的に高い耐摩耗性または少なくとも1.3倍もしくは少なくとも2倍高い耐摩耗性を有する耐摩耗層
からなる群の少なくとも1つである。前記熱障壁層は、それ自体を横断する熱伝達を低下させ、特に強力に低下させる。前記拡散障壁層は、それ自体を横断する材料の輸送を防止しまたは低下させ、特に強力に低下させる。前記酸化障壁層は、それ自体を横断する酸素の輸送を防止しまたは低下させ、特に強力に低下させ、したがって、その下にある材料が酸化から(少なくともその面から)保護される。前記化学障壁層は、この層の直前にある材料(特に、環境から)とこの層の下にある材料(層系の少なくとも1つの層など)との化学反応を防止しまたは低下させ、特に強力に低下させる。前記耐摩耗性層は、層系の機械的摩耗および/または劣化を予防しまたは低下させ、特に強力に低下させる。]
[0077] 前記対処された実施形態の1つまたは複数と組み合わせてもよい一実施形態では、前記基材が、
− 金属;
−合金;
−セラミックス
を含み、または実質的にこれらからなる群の少なくとも1種である。]
[0078] 前記対処された実施形態の1つまたは複数と組み合わせてもよい、方法の一実施形態では、この方法は、前記水素透過障壁を用いることによって、第1および第2のボリュームの間に境界を形成するステップを含み、但し前記第1のボリューム中の水素密度は、前記第2のボリューム中の水素密度とは異なるものである。]
[0079] 前記対処された実施形態の1つまたは複数と組み合わせてもよい一実施形態では、装置が、
−水素貯蔵容器;
−水素輸送容器;
−核融合炉;
−燃料電池;
−バッテリー;
−燃焼機関;
−超電導配電網;
−送電ケーブル;
−燃料タンク
からなる群の少なくとも1種でありまたはその少なくとも1種を含む。超電導配電網および送電ケーブルでの水素透過障壁の適用例に関し、水素および/または特定の水素化合物(特に、Siを含む化合物;特定のシラン)は、十分に低い温度および十分に高い圧力で、低抵抗または超電導導体になる可能性があることを示していることに留意されたい。例えば、M.I.Eremets、I.A.Trojan、S.A.Medvedev、J.S.Tse、Y.Yaoの論文「Superconductivity in Hydrogen Dominant Materials: Silane」を参照されたい。対応する水素含有導体では、水素の漏洩を、本発明による水素透過障壁を用いることによって低下させまたは回避することができ、そのような導体中の水素密度を増加させることができる。]
[0080] 本発明は、本発明による対応する方法の特徴を有する装置および使用を含み、また逆の場合も含む。装置および使用の利点は、対応する方法の利点に対応し、またその逆も同様である。]
[0081] 他の実施形態および利点は、従属クレームおよび図から得られる。]
[0082] 以下に、本発明について、実施例および含まれる図面を用いてより詳細に記述する。]
図面の簡単な説明

[0083] 1000sccm酸素を用いて堆積されたAl−Cr−O層のコーティング形態を示す、断面走査電子顕微鏡写真であり;図1aの下部において、走査電子顕微鏡写真は、小滴が存在する場所に垂直ハッチングを用い、かつカラム状構造が存在する場所に水平ハッチングを用いて再現されている。
300sccm酸素流を用いて堆積されたAl−Cr−O層のコーティング形態を示す、断面走査電子顕微鏡写真である。
1000sccmの酸素流を用いて堆積されたサンプル(図1a参照)の、RBS(ラザフォード後方散乱分光分析)スペクトルを示す図である。
300sccmの酸素流を用いて堆積されたサンプル(図1b参照)の、RBS(ラザフォード後方散乱分光分析)スペクトルを示す図である。
1000sccmの酸素流を用いて堆積されたサンプルに関する、XRD(X線回折)測定を示す図である。
300sccmの酸素流を用いて堆積されたサンプルに関する、XRD(X線回折)測定を示す図である。
多機能層系を実現する水素透過障壁のコーティング構造を、概略的に示す図である。
密閉可能なボリュームと、層系の形をした水素透過障壁とを含む装置を、概略的に示す図である。] 図1a 図1b
実施例

[0084] 図に使用される参照符号およびそれらの意味を、参照符号のリストにまとめる。記述される実施形態は、例と見なし、本発明を限定するものではない。]
[0085] 以下に、物理的気相成長(PVD)によって、より詳細にはカソードアーク蒸着によって、鋼製基材上に堆積された層系(単層、または少なくとも2つの層の積層体)を含む、またはより詳細にはこれらの層系である、水素透過障壁について示す。層系は、1つの層が金属Crであり他の1つの層が金属Al/Cr合金である2つの副層からなる接着層(界面)を利用して、鋼基材上に堆積されたAl−Cr−O層、即ち化学元素Al、Cr、およびOからなる層を含む。しかし、基材材料の選択肢は鋼に限定されず;金属や合金、セラミックスなど、多くのその他の材料を基材に使用することができる。驚くべきことに、この積層体は、水素に対する優れた透過障壁であり、即ちこの積層体は、水素に対し、コーティングされた基材の透過性を強力に阻害する。さらに積層体は、この性質を、優れた酸化障壁挙動を組み合わせ、即ち下にある基材の酸化を防止する。]
[0086] Al−Cr−Oがコランダム型構造を形成し得ること、およびこれら構造が高温で実に安定であることは、文献[11]から公知である。しかし、アーク蒸着層の形態は、通常、層内に分布された異なるサイズの小滴を示し、カソードアーク蒸着を用いて結果的にAl−Cr−O層のような効率的な水素透過障壁を形成可能であることは、全く予期しなかった。これは、α−Al2O3の合成における1つの主な努力が小滴フリー堆積法の探求にあるという理由によっても、予期しなかったことであり、これは例えば、滑らかで小滴フリーのコーティングを実現するためのフィルタアーク蒸着の利用に反映されている[9]。]
[0087] 驚くべきことに、層系は、Al−Cr−O層の明らかなコランダム型構造でならびにAl−Cr−O層のXRD非晶質構造で、少なくとも800℃(単に実験で利用可能な最高温度である)まで温度安定性があった。したがって、Al−Cr−O材料のいくつかの相が同時に存在する場合も、驚くほど大きな水素透過障壁挙動が存在することを想定しなければならない。]
[0088] 以下に、堆積プロセスおよびサンプル調製に関する短い説明をする。アーク蒸着プロセスに関するより詳細な記述は、参考文献[12]に見出すことができる。したがって参考文献[12]を、参照により本特許出願に組み込む。]
[0089] Al−Cr−O層(被膜)の堆積は、標準的なPVD窒化物コーティングの典型的な生成能力と、酸化物層の堆積に関する追加の新しい特徴とを組み合わせたOC Oerlikon Balzers Innovaシステムで行った。酸化物層は、パルス増強電子放出(P3e(商標))と名付けられたカソードアーク蒸着の新しい手法により合成した。この手法により、純粋な酸素環境でのカソードアーク源の連続操作が可能になる[12]。]
[0090] 堆積システムに投入する前に、サンプルを、湿式で化学的に清浄化した。サンプル材料は、融合用途のために開発された、いわゆる低放射化フェライトマルテンサイト鋼EUROFER97であった。この鋼は、Crを9原子%含有し、将来の核融合炉の構造材料として利用することが予測される[13]。]
[0091] システム(堆積チャンバ)を空にした後、標準的な熱エッチング前処理を行い、基材温度550℃を確立した。この後、全厚が約200nmのCr−Al/Crからなる界面を堆積した(最初にCrを100nm、次いでCrおよびAlを100nm)。その中で、Crアーク源に関しては140Aのアーク電流を使用し、その後、200Aのアーク電流を用いてAl/Cr合金ターゲットの操作を行った。この界面の選択の際、当初、基材にAl−Cr−O層の適度な接着を行うこと、また界面(接着層)およびAl−Cr−O層(水素障壁層)に同じターゲットを利用すること以外の動機はなかった。しかし、特に、水素化物形成金属を含むまたはこの金属からなる水素化物形成金属および/または合金の金属層は、層系全体の透過障壁特性を支援する可能性があることが考えられ、さらにそのことが本明細書で実証される。単に良好な接着を実現するという理由で、窒化物や酸化物などの多くのその他の材料も同様に使用し(接着層として);そのような窒化物または酸化物層は、PVD技術により公知である。]
[0092] 接着層(Cr−Al/Cr)と酸化物(Al−Cr−O)との間の突然の遷移は、酸素ガス流を開始することによって実現した。金属接着層の堆積とは対照的に、Al−Cr−O層を、純粋な酸素ガス中にかつアルゴンなしで堆積した。Al/Cr源の場合、200Aのアーク電流を、Al−Cr−O水素障壁層の堆積中に使用した。それぞれ300sccmおよび1000sccmの酸素流を、この実験ではAl−Cr−O層用に選択した。名目上の組成がAl 70原子%およびCr 30原子%である合金化アルミニウム−クロムターゲットを、アーク蒸着で利用した。しかし、その他の合金組成物も同様に選択することができ、これは、ターゲットの場合のようにほぼ同じ組成の層の金属組成物に反映されることになる。AlおよびCrの含量は共に、1から99原子%の間、より具体的には5から95原子%の間、または10から90原子%の間、またはさらに15から85原子%の間のいずれかに達する可能性がある。]
[0093] 単なる比較の理由で、少なくとも1つのサンプルに、堆積後に追加の酸素プラズマ処理を行って、この処理が障壁挙動を改善し得るか否かチェックした。]
[0094] 300sccmおよび1000sccmの酸素流を用いたコーティングをそれぞれ、異なる分析方法によって特徴付けた:
層の形態およびコーティングのミクロ構造は、LEO 1530走査電子顕微鏡法(SEM)によって調査した。断面SEM顕微鏡写真(X−SEM)を、EUROFER97基材上に堆積された層から得た。室温でのEUROFER97基材の高い柔軟度により、サンプルを、破断を可能にするために液体窒素温度まで冷却しなければならなかった。]
[0095] 生成されたままの層の組成を、ラザフォード後方散乱分光分析(RBS)によって分析した。測定は、2MeVの4Heビームとシリコン表面障壁検出器とを使用して、165℃未満で行った。収集されたデータを、RUMPプログラムとして知られているプログラムを使用して評価した[14]。]
[0096] 室温での層の硬度を、ISO14577−1の指針に従って、マルテンス硬度測定(Fisherscope H100c)によって決定した[15]。測定された圧入硬度(HIT)に加え、特定のユニバーサルプラスチック硬度(HUpl)も測定し、プラスチックビッカース硬度(HVpl)に換算した。]
[0097] 合成されたコーティングの結晶化度を、X線回折(XRD)により調査した。測定は、θ〜2θモードで、Cu Kα−放射線を使用して、Gobel−Mirrorおよびエネルギー分散型検出器を備えたBruker−AXS D8回折装置で行った。]
[0098] 水素透過試験は、融合的用例でサンプルを試験するための、典型的な実験装置を利用して行った。しかし、この調査は、対処される水素透過障壁の適用分野に関していかなる制限も課すことなく、また対処された水素透過障壁の適用例は、本特許出願で記述される適用例にも限定されるものではないことに、言及すべきである。]
[0099] 2個の金のOリングで密閉された、直径20mmの薄く丸いサンプルは、測定チャンバを2つの部分に分割し:即ち上流と下流のボリュームに分割する。サンプルは、電気炉を用いて800℃まで加熱することができる。作動ガスは、水の汚染を低減させるように液体窒素トラップを通して上流ボリュームに導入された重水素である。このボリューム内の圧力は、圧力計を使用して制御される。透過した重水素の記録は、下流のボリュームを連続的にポンプ送出したときに、4重極子質量分析計を使用して実施する。実験中、上流部分の重水素の圧力は、段階的に上昇する。透過速度の定常状態レベルが達成されたときに、次の部分を加える。各実験操作の後、サンプルをアニールして、バルク内に蓄積された重水素を放出する。サンプル(片面がコーティングされている)を、加えられた重水素の圧力に向けてコーティングが面するように、設置する。]
[0100] 水素透過障壁としての層の、予期せぬ高い効率により、および試験をしたサンプルに関して結果的に行われた長い実験操作により、作動温度範囲は、600から700℃の狭いウィンドウに限定されている。より低い温度であると、検出するのに不十分となるほど低い透過水素束が得られ、800℃では、実験の所要時間が依然として長いので、この試験は、実験装置の温度性能の限界に達した。]
[0101] 下記において、層の分析および水素透過実験の結果について論じる。]
[0102] 層の形態は、一般に、拡散障壁としての利用、特に水素透過障壁としての利用を考える場合、決定的な役割を演ずると予測される。厚さ数マイクロメートルの薄層では、カラム状の成長および小滴によって障壁効率が急激に低下する。これは、この堆積技法では小滴の形成がスパッタリングまたは従来の熱蒸着よりも生じやすくなることが周知であるので、カソードアーク蒸着を利用する層形成に特に重要である。これは、アーク蒸着では高いイオン化度が望ましいが小滴の生成は回避されなければならない極めて重要な最新技術の適用例において、フィルタアーク堆積がなぜ選択されるかという理由でもある[16、17]。]
[0103] しかし、本明細書で論じられる全ての実験において、層は、そのようなフィルタなしで生成した。言い換えれば、堆積条件は、小滴低減のために最適化されなかった。大規模な堆積を行う能力を有するプロセスを利用すること、および得られたままの層を小滴形成にも関わらず透過障壁として作用する適切性について試験することが、より強調されている。したがって、SEM断面顕微鏡写真(図1aおよび1b)の全ては、フィルタなしカソードアーク蒸着プロセスに典型的な、周知の小滴を示す。] 図1a
[0104] 図1aおよび1bに示されるX−SEM顕微鏡写真では、1000sccm酸素(図1a)および300sccm酸素流(図1b)をそれぞれ用いて堆積されたAl−Cr−O層(「水素透過障壁層」を省略してHPBLと記載されている)のコーティング形態が、比較されている。その他のプロセス条件の全ては、これらのサンプルに関して等しく保った。両方の層は、X−SEMで小滴を示している。しかし、層形態は、全く異なる。図1aの下の写真では、X−SEMは、小滴が存在する場所を垂直ハッチングで、またカラム状構造が存在する場所を水平ハッチングで再現している。形態の著しい相違を見ることができる。より高い酸素流(1000sccm;図1a)は、明確な粒界を持つかなりカラム状の成長をもたらし(水平ハッチング)、多数の小滴(垂直ハッチング)が層全体に拡がっている。図1b(より低い酸素流300sccm)では、層内の粒界が抑圧され、層の稠密化が目に見える。より低い酸素流(図1b)は、形態を「稠密化する」強い傾向を示し、カラム状の成長は減少し、より少ない小滴が断面図に見られる。] 図1a 図1b
[0105] 追加の層を、わずか1μmという薄いAl−Cr−O層厚で堆積したが、これは、300sccmならびに1000sccm酸素流で改善された形態を示し、最終的に、酸化物の厚さはわずか100nmに減少した。これらの層の全てでは、非常に良好な水素透過障壁挙動が測定された。したがって、Al−Cr−O層の厚さは、水素透過障壁挙動に極めて重要なものではないと結論付けた。したがって、Al−Cr−O層の厚さは、むしろ、耐酸化性、耐腐食性、および/または機械的および/または電気的および/または光学的性質などの追加の性質を、最適化/調節するために調節することができる。]
[0106] 図2aおよび2bには、それぞれ1000sccm(図2a)および300sccm(図2b)でのサンプルのRBS(ラザフォード後方散乱分光分析)スペクトルが示されている。測定は、それぞれAl1.42Cr0.58O2.95(図2a)およびAl1.42Cr0.58O2.90(図2b)の組成物を示唆しており、利用した合金ターゲット(70%Alおよび30%Cr)中の金属比と全く一致している。酸素含量のわずかな欠如(3の代わりにそれぞれ2.90および2.95)は、少なくとも部分的に、層内に金属小滴が存在することに起因する。測定誤差内では、それぞれ図2aおよび2bの層の酸素含量に著しい差はない。少なくとも1つのサンプルで行った上述の追加の酸素プラズマ後処理は、RBSスペクトルに変化はなく(即ち、組成の変化はない)かつ透過障壁としての挙動にも変化はなかった。] 図2a 図2b
[0107] 水素透過障壁コーティングの高温安定性は、融合関連の適用例で特に必要とされる。これも、障壁コーティングとしてコランダム(α−Al2O3)にかなりの関心が持たれていることの理由である。]
[0108] 本明細書で利用されるP3e(商標)技術によって、PVDに典型的な基材温度550℃で、即ちこの構造の熱平衡からはるかに離れた温度で(1000℃よりも高い)でコランダム型構造の固溶体を合成できるという可能性は、他の文献で調査されている[11、12]。]
[0109] 図3aおよび3bではそれぞれ、酸素流1000sccm(図3a)および酸素流300sccm(図3b)でそれぞれ堆積させたサンプルで行ったXRD(X線回折)測定が示されている。これらの測定では、セメント結合された炭化物基材に、同じバッチで同じ層(約100nm Crおよび約100nm AlCrの金属接着層、その後、約3μm厚のAl−Cr−O層)を上記のようにコーティングした。] 図3a 図3b
[0110] 固溶体のコランダム型成長は、固溶体層の少なくとも5個のブラッグピークが、エスコライトクロミアピーク(星印でマークされた2θ位置)とコランダムアルミナピーク(ドットでマークされた2θ位置)との間に位置決めされている場合、想定される。1000sccm酸素流(図3a)を使用して堆積したサンプルのXRDパターンを、300sccm酸素流(図3b)を使用して堆積したサンプルのパターンと比較することができる。矢印でマークされた線は、基材から生じたブラッグピークである。1000sccm酸素流(図3a)によるサンプルでは、ピーク位置が、エスコライト(ICDDデータベースのPDFNo.38−1479)とコーティングのコランダム型構造を示すα−アルミナ(ICDDデータベースのPDF−No.46−1212)との間にある。300sccm酸素を使用してコーティングされたサンプルは、コランダム構造を示す位置で、ブラッグピークを示さない。しかしこれは、XRDにより分解することができない、また層のより稠密な形態によって既に示されている、より小さい微結晶サイズに起因すると考えられる。しかし、2つの追加のピークは、層内のその他の相を示すことができるスペクトルで、より明瞭に現れる(破線でマークされている)。] 図3a 図3b
[0111] サンプルの層硬度HVplを測定し、α−Al2O3の硬度と同様でありかつコランダム型固溶体に関して[12]で与えられた値に十分一致する、2000から2400の範囲内にあることがわかった。]
[0112] コーティングされたサンプルの透過測定は、2000から4000の範囲内の透過低減因子(PRF;コーティングされていないサンプルを通した透過性とコーティングされたサンプルを通した透過性との比)示し、コランドおよびエルビウム酸化物に関する文献[4]での最良の値と比較して著しく改善されている。さらに、本特許出願で提示されている堆積技術は、最新の堆積技術(α−Al2O3の堆積に関して文献で利用されている)とは対照的に、適切な温度で大きな基材をコーティングするための生成技術である。さらに、先に対処された接着層上に堆積されかつやはり「裸の」基材に直接付着されたようなAl−Cr−O被膜は、鋼およびその他の金属基材に対して非常に良好な接着性を示し、基材を曲げた場合に層剥離が生じなかった。高い層硬度は、さらに、コーティングされた基材表面の摩耗特性の改善をもたらす。多様なPVD堆積技術によって、いくつかの異なる層からなる1つのコーティング内で異なる材料特性と組み合わせたが1つの単一堆積プロセスで堆積させた、即ち層系の堆積中に堆積チャンバの外にサンプルを移動させる必要なく堆積させた、多機能層系(積層体)の形成が可能になる。]
[0113] 本発明について、図4を参照しながらさらに説明する。図4は、水素透過障壁を表す層系LSの、コーティング構造(層の配列)の例を示す。この層の組合せは、多機能コーティング積層体を実現するための、様々な可能性を提供する。図4に示される層の、種々の可能性のあるタイプの割当てにより、多くの異なる層の組合せが可能である。これらのごく一部について、より詳細に以下に論じる。この組合せは、通常、層系が実現される所望の適用例に左右されることになる。] 図4
[0114] 基材SUB上に最初に堆積される層L1は、通常、基材または構成要素SUBと水素透過障壁層HPBLとの間に配置された接着層AdhLである。この接着層AdhLは、例えばSUBとHPBLとの間の異なる熱膨張係数を調節することによって、基材SUBに対する水素透過障壁層HPBLの良好な接着を確実にする。したがって、接着層AdhLは、勾配層と見なすことができ;接着層AdhLの組成を、基材表面に垂直に、徐々に変化させることが(多少なりとも円滑に、またはより細かいもしくはより大きなステップで)さらに可能であり;「勾配層」という用語に別の意味を与える。前述の、2つの副層Cr−Al/Alの接着層は、そのような勾配変化を示すと見なすことができる。または、例えば接着層AdhLは、高靭性の材料であり、それによって、基材SUBに対する水素透過障壁層HPBLの良好な接着が確実になる。]
[0115] 接着層AdhLは、最新技術のPVD堆積で周知のような窒化物層にすることができる。接着層AdhL用の材料としては、少なくとも1種の水素化物形成金属からなるまたはこれらの金属を含む金属または金属合金、または、Cr−Al/Crに関して本発明でより詳細に述べたような水素化物形成金属がドープされた金属もしくは金属合金が、特に好ましい。この層は、通常は接着層L1の上面に第2の層L2として堆積される水素透過障壁層HPBLの、水素透過障壁挙動を支持することになる。第3の層L3は、保護機能を有することができる(保護層ProtL)。特に、例えば酸化に対する耐腐食層CRL(酸化障壁層OxBL)、熱障壁層ThBL、化学障壁層ChBL、または耐摩耗層WRL、または水素貯蔵機能のための水素化物形成層HyfLにすることができる。]
[0116] 最も単純な手法では、例えば上述の3元または4元酸化物からなる水素透過障壁層HPBLのみを、基材表面で堆積する(層L1のみ)。]
[0117] より求められている適用例では、層L1としての接着層は、基材SUBと水素透過障壁層HPBL(層L2)との間に形成される。]
[0118] より綿密な形態では、接着層AdhL(層L1として)を、水素透過障壁層HPBL(層L2として)および上面の追加の層3 L3と組み合わせることができ、これらは例えば、耐腐食層CRLとして、耐摩耗層WRLとして、または熱障壁層ThBLとして働くことができるものである。既に述べたように、これらの層L1、L2、L3の1つは、水素貯蔵機能も有することができる(水素貯蔵層HStL)。例えば、層L1およびL2として、またはL2およびL3として、またはL1およびL3として、水素透過障壁層HPBLおよび水素貯蔵層HStLをそれぞれ堆積することが可能である。このように、基材SUBを通したまたはこのSUBへの水素の漏洩を大幅に回避しながら、水素を貯蔵することが可能とすべきである。それにも関わらず、その他の適用例では、例えば水素が基材を通して水素貯蔵層HStLに進入しかつ/またはこのHStLから漏れる場合には、水素透過障壁層HPBLおよび水素貯蔵層HStLの前述の位置を正確に交換することが好ましいと考えられる。]
[0119] ある実施例では、水素貯蔵層HStLが、前記接着層AdhLと前記水素透過障壁層HPBLとの間に配置される。]
[0120] 別の実施例では、水素貯蔵層HStLが、水素透過障壁層HPBLと保護層ProtLとの間に代替としてまたは追加として配置される。]
[0121] 別の実施例では、水素貯蔵層が、前記保護層ProtLの上面に代替としてまたは追加として配置される。]
[0122] 別の実施例では、層系は、水素透過障壁層HPBLと水素貯蔵層HStLとの少なくとも1つの配列を含む。]
[0123] 別の実施例では、層系は、水素透過障壁層HPBL、水素貯蔵層HStL、および保護層ProtLの、少なくとも1つの配列を含む。]
[0124] 1つの(物理的)層(L1、L2、L3など)は、複数の機能を有していてもよく、例えば、同時に、水素透過障壁層HPBL、熱障壁層ThBL、および化学障壁層ChBLにすることができることに留意されたい。]
[0125] 図5は、密閉可能なボリュームVと、前記ボリュームVを限定する境界の少なくとも一部を形成する壁面Wとを含む装置を概略的に示す。前記壁面Wは、層系LSの形をした水素透過障壁を含み;したがって壁面Wは、上述の基材SUB(および層系LSを加えたもの)に実質的に相当する。層系LSは、上述の種類の1つである。封止材Sが示されており;その代わりに、弁を設けてもよい。ボリュームVの外側には、別のボリュームV’があり、これら2つのボリュームV、V’は、壁面Wによって互いに切り離されている。2つのボリュームV、V’の水素密度は、通常、異なることになる。例えば、液体水素または高圧での水素は、装置AのボリュームVに含有され、一方、外側のボリュームV’は、ごく微量の水素しか含有せず、装置AからボリュームV’への水素の漏洩は、層系LSによって最小限に抑えられる。装置Aがなり得る様々な例は、本特許出願で既に示してある。本発明は、水素の任意の態様に関する適用例に関連あるものであり、特に水素の生成および利用の任意の態様に関連あるものであることに留意されたい。] 図5
[0126] まとめると、本発明は、下記の利点の少なくとも1つを有することができる:
− ほとんどの金属およびセラミック基材上にも、薄い水素透過障壁を形成することが可能になる。
−層系は、透過障壁特性、耐機械摩耗特性、電気特性を有する層と、水素を貯蔵し放出する能力またはその他の性質(上記参照)を有する層とを組み合わせることができる。
− 層系は、広く様々な基材のサイズおよび材料を使用する、ある単一堆積プロセスで堆積することができる。
− 層系は、例えば500cm2超の大きな基材上に堆積することができる。
− 層系は、高い再現性および均質性(厚さに関し)で堆積することができる。
− 1000よりも高いPRFが容易に実現される。
− 効率的な水素透過障壁が、10nmから10μmの間の、少なくとも3元酸化物のコーティングの厚さに関して実証されている。
− 水素透過障壁は、200℃よりも高い、好ましくは400℃よりも高い、好ましくは600℃よりも高い温度で熱的に安定である。
− 本発明の透過障壁の機械的性質は、その硬度に関して調整することができる。
− 水素透過障壁の形態は、堆積プロセスのプロセスパラメータによって、特に酸素流によって、調整することができる。
− Al−Cr−O材料系の相(XRD非晶質からコランダム型まで)の全ては、際立った透過障壁特性を示す。
−PVD堆積技法、特にアーク蒸着の柔軟性により、薄層系を、核融合炉にだけではなく上記その他の適用例にも適用することが可能になる。
− 層系は、過酷な環境、即ち高温でかつ/または侵襲性のある化学的環境での適用に特に十分適したものにすることができる。そのような環境では、層系は、水素透過障壁として、化学障壁として、酸化障壁として、および拡散障壁として効果的に機能することができる。
− 層系は、融合技術で十分に適用することができ、毒性のある材料に関する、特にトリチウムに関する障壁特性は、特に関心が持たれるものである。]
[0127] 公知の最新技術に比べ、本発明は、下記の利益の1つまたは複数を有することができる:
− 任意のポリマーベースの手法よりも、さらに高い温度安定性。
−基材と水素化物形成ドーパントとの合金形成であり、合金形成プロセスの複雑な手順(1000℃よりも高い高温で)を必要としない。
− 複雑な層設計を有する複雑な電気化学的手法が回避される。
− 高い基材温度およびα−Al2O3を堆積するための複雑な技術が回避される。
− 工業的PVD生成技術による、多目的積層体(透過障壁、水素貯蔵、耐摩耗性、酸化障壁、拡散障壁、熱障壁、...)の、複雑でない合成。
−プラズマ窒化物形成に比べてさらに良好な水素透過障壁特性。]
[0128] (参考文献)]
[0129] A 装置
AdhL接着層
ChBL化学障壁層
CRL耐腐食層
HPBL水素透過障壁層、水素障壁層
HyfL水素化物形成層
HStL水素貯蔵層
L1、L2、L3 層
LS層系
OxBL酸化障壁層
ProtL 保護層
S封止材
SUB反応器、燃焼機関、燃料電池の基材、壁面、一部
ThBL熱障壁層
V、V’ボリューム
W 壁面
WRL 耐摩耗層]
权利要求:

請求項1
a)少なくとも1つの層(L1;L2;L3)を含む層系(LS)を、基材上に堆積するステップを含み;ステップa)は、b)少なくとも3元酸化物を含む、少なくとも1つの水素障壁層(HPBL)を堆積するステップを含むことを特徴とする、水素透過障壁を製造するための方法。
請求項2
前記少なくとも1つの水素障壁層(HPBL)が、実質的に前記少なくとも3元酸化物からなる、請求項1に記載の方法。
請求項3
前記少なくとも3元酸化物が、少なくとも1種の金属化学元素を含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
請求項4
前記少なくとも3元酸化物が、実質的にコランダム型構造を有する、請求項1から3の何れか一項に記載の方法。
請求項5
前記少なくとも3元酸化物が、実質的に固溶体である、請求項1から4の何れか一項に記載の方法。
請求項6
前記少なくとも3元酸化物が、実質的にAl、Cr、およびOからなる、請求項1から5の何れか一項に記載の方法。
請求項7
ステップb)が、600℃よりも低い基材温度で実施される、請求項1から6の何れか一項に記載の方法。
請求項8
前記少なくとも1つの水素障壁層(HPBL)を堆積する前記ステップが、物理気相成長法を使用して実施される、請求項1から7の何れか一項に記載の方法。
請求項9
前記少なくとも1つの水素障壁層を堆積する前記ステップが、カソードアーク蒸着法を使用して実施される、請求項1から8の何れか一項に記載の方法。
請求項10
ステップa)が、真空処理チャンバ内で、前記真空処理チャンバの外に前記基材を移動させることなく実施される、請求項1から9の何れか一項に記載の方法。
請求項11
ステップa)が、ステップb)の前に、c)前記基材(SUB)上の前記少なくとも1つの水素障壁層(HPBL)の接着を増大させるため、接着層(AdhL)を前記基材(SUB)上に堆積するステップを含む、請求項1から10の何れか一項に記載の方法。
請求項12
ステップa)が、e)水素を貯蔵し放出することが可能な水素貯蔵層(HStL)を、前記基材(SUB)上に堆積するステップを含む、請求項1から11の何れか一項に記載の方法。
請求項13
ステップa)が、d)外部の影響から前記層系(LS)の少なくとも1つの層(L1;L2;L3)を保護するために、保護層(ProtL)を前記基材(SUB)上に堆積するステップを含む、請求項1から12の何れか一項に記載の方法。
請求項14
前記保護層(ProtL)が、−熱の影響から前記層系(LS)の前記少なくとも1つの層(L1;L2;L3)を保護するための熱障壁層(ThBL)であって、前記層系(LS)の少なくとも1つのその他の層(L1;L2;L3)の熱伝導率よりも小さい熱伝導率を有する熱障壁層(ThBL);−前記層系(LS)の内部での、内側への、または外側への材料の輸送を低減させるための拡散障壁層であって、層系(LS)の少なくとも1つのその他の層(L1;L2;L3)よりも、それ自体を横断して材料を輸送するのに強力な妨害をもたらす拡散障壁層;−酸素から前記層系(LS)の前記少なくとも1つの層(L1;L2;L3)を保護するための酸化障壁層(OxBL)であって、前記層系(LS)の少なくとも1つのその他の層(L1;L2;L3)よりも、それ自体を横断して酸素を輸送するのに強力な妨害をもたらす酸化障壁層(OxBL);−化学的に反応することから前記層系(LS)の前記少なくとも1つの層(L1;L2;L3)を保護するための化学障壁層(ChBL)であって、前記層系(LS)の少なくとも1つのその他の層の化学的不活性よりも高い化学的不活性を有する化学障壁層(ChBL);−前記層系(LS)の前記少なくとも1つの層(L1;L2;L3)の耐摩耗性を増大させるための耐摩耗層(WRL)であって、前記層系(LS)の少なくとも1つのその他の層(L1;L2;L3)よりも高い耐摩耗性を有する耐摩耗層(WRL)からなる群の少なくとも1つである、請求項13に記載の方法。
請求項15
前記水素透過障壁を用いて、第1(V)および第2(V’)のボリュームの間に境界を形成するステップを含み、前記第1のボリューム(V)中の水素密度が前記第2のボリューム(V’)中の水素密度とは異なっている、請求項1から14の何れか一項に記載の方法。
請求項16
密閉可能なボリューム(V)と、前記ボリューム(V)を限定する境界の少なくとも一部を形成する壁面(W)とを含み、前記壁面(W)は、少なくとも1つの層(L1;L2;L3)を含んだ層系(LS)を含む、水素透過障壁を含むものであり、前記層系(LS)は、少なくとも3元酸化物を含んだ少なくとも1つの水素障壁層(HPBL)を含むことを特徴とする装置(A)。
請求項17
前記少なくとも3元酸化物が、実質的にAl、Cr、およびOからなる、請求項16に記載の装置(A)。
請求項18
前記層系(LS)が、−前記基材(SUB)への前記少なくとも1つの水素障壁層(HPBL)の接着を増大させるための接着層(AdhL);−水素を貯蔵し放出することが可能な水素貯蔵層(HStL);−外部の影響から前記層系(LS)の少なくとも1つの層(L1;L2;L3)を保護するための保護層(ProtL)からなる群の少なくとも1つを含む、請求項16または請求項17に記載の装置(A)。
請求項19
−水素貯蔵容器;−水素輸送容器;−核融合炉;−燃料電池;−バッテリー;−燃焼機関;−超電導配電網;−送電ケーブル;−燃料タンクからなる群の少なくとも1つであるかまたは前記群の少なくとも1つを含む、請求項16から18の何れか一項に記載の装置(A)。
請求項20
水素透過障壁として少なくとも3元酸化物を含んだ少なくとも1つの層(L1;L2;L3)を含む、層系(LS)の使用。
請求項21
前記少なくとも3元酸化物が、実質的にAl、Cr、およびOからなる、請求項20に記載の使用。
請求項22
前記層系(LS)が、−前記基材(SUB)への前記少なくとも1つの水素障壁層(HPBL)の接着を増大させるための接着層(AdhL);−水素を貯蔵し放出することが可能な水素貯蔵層(HStL);−外部の影響から前記層系(LS)の少なくとも1つの層を保護するための保護層(ProtL)からなる群の少なくとも1つを含む、請求項20または請求項21に記載の使用。
請求項23
B)前記壁面(W)上に前記水素障壁層(HPBL)を堆積するステップを含むことを特徴とする、請求項16から19の何れか一項に記載の装置(A)を製造するための方法。
請求項24
少なくとも1つの層(L1;L2;L3)を含んだ層系(LS)を含み、前記層系(LS)が、少なくとも3元酸化物を含んだ少なくとも1つの水素障壁層(HPBL)を含んでいる、水素透過障壁。
請求項25
前記少なくとも3元酸化物が、実質的にAl、Cr、およびOからなる、請求項24に記載の水素透過障壁。
請求項26
前記層系(LS)が、−前記基材(SUB)への前記少なくとも1つの水素障壁層(HPBL)の接着を増大させるための接着層(AdhL);−水素を貯蔵し放出することが可能な水素貯蔵層(HStL);−外部の影響から前記層系(LS)の少なくとも1つの層(L1;L2;L3)を保護するための保護層(ProtL)からなる群の少なくとも1つを含む、請求項24または請求項25に記載の水素透過障壁。
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