专利摘要:
本発明は、ナフサ分解のC5留分の多くを占めるジシクロペンタジエンを水添して容易且つ経済的に製造することが可能な単量体、またはシクロペンジエンの3分子をディールス・アルダー反応によって化学結合させた後で水添によって得られる単量体を用いて製造された環状オレフィン系共重合体、および水添方法を提供する。この共重合体は、非結晶性透明樹脂であって、多様な用途として使用可能である。
公开号:JP2011514406A
申请号:JP2010546694
申请日:2009-02-11
公开日:2011-05-06
发明作者:イク;キュン サン;ジュン;フーン セオ;サン;ジャエ ナ;サン;タク ユ;ブン;ヨル リー;ウーン;サン ワン
申请人:コーロン インダストリーズ インク;
IPC主号:C08F232-08
专利说明:

[0001] 本発明は、環状オレフィン系高分子化合物およびその製造方法に係り、さらに詳しくは、ナフサ分解のC5留分の多くを占めるジシクロペンタジエンを水添して容易且つ経済的に製造することが可能な単量体、またはシクロペンタジエンの3分子をディールス・アルダー反応によって化学結合させた後で水添によって得られる単量体を用いて製造された環状オレフィン系共重合体、および水添方法に関する。]
背景技術

[0002] ナフサ分解の生成物のうち、炭素数4以下のものは分離精製されて石油化学産業に有用に使用されるが、炭素数5のC5留分は大部分燃焼して燃料として使用され、一部のみが一部の業社で分離精製されて産業的に用いられている。このため、C5留分を分離精製して高付加価値の化学製品を製造しようとする努力が相当行われている。]
[0003] C5留分の多くを占めるものがシクロペタンジエンである。シクロペンタジエンは常温で自発的にディールス・アルダー反応が起こってジシクロペンタジエンに転換される。ジシクロペンタジエンからプラスチックを製造するために、これとエチレン、α−オレフィンまたはスチレンとの共重合に関する研究がたくさん行われている(反応式1参照)。ジシクロペンタジエンの2つのオレフィン基のうち、5−6位炭素のオレフィン基が2−3位炭素のオレフィン基よりさらに大きい反応性を示すものと知られている。重合触媒を用いてビニルモノマーと共重合反応させると、5−6位炭素のオレフィン基が先に反応して反応式1の中間構造の高分子が得られるが、通常、この段階で反応が止まらず、重合体の残っている2−3位炭素のオレフィン基がさらに重合反応に参加して、架橋された高分子が得られる(非特許文献1)。ところが、架橋された高分子は加工が難しくて用途の開発に限界がある。]
[0004] 第4族メタロセン触媒の場合、共重合体のジシクロペンタジエンの含量を10%未満に調節すれば、架橋されていない反応式1の中間段階の高分子を得ることができるものと報告された(非特許文献2;非特許文献3)。最近、第3族金属を根幹として製造された触媒の場合、5−6位炭素のオレフィン基のみが反応性を示し、2−3位炭素のオレフィン基は反応性を示さないため、高含量のジシクロペンタジエンを有する共重合体を製造することができるものと報告された(非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6)。ところが、このポリマーは、その分子構造に反応していないオレフィン基を含んでおり、直接商業的に使用するには問題がある。オレフィン基は、反応性が高くて溶融加工するときにレジンの変形が生じるおそれがあり、耐久性も劣る。このような理由により、高分子鎖にオレフィン基を含んでいるレジンを産業現場で使用する例は有り触れたことではない。]
[0005] 日本のZeon社では、下記反応式2に示すように、ジシクロペンタジエンの5−6位炭素のオレフィン基のROMP(開環メタセシス重合、ring−opening metathesis polymerization)反応によって線形ポリマーを製造し、これを水素化反応させたレジンを市販している(非特許文献7)。この場合も、レジンにある二重結合を水素化反応によって完全に除去することが必須的に要求される。オレフィン基を含む高分子化合物と水素化反応させて全ての二重結合を単一結合に変形させることは容易ではない。
(反応式1)



(反応式2)]
[0006] 一方、ジシクロペンタジエンを高温でシクロペンタジエンに転換した後、エチレンまたはα−オレフィンとディールス・アルダー反応させてノルボルネン系環状オレフィンを製造し、これをエチレンと共重合することができる(非特許文献8;Lee Si−Geun、Park Yeong−Hwan、Hong Seong−Don、Song Gwang−Ho、Jeong Bung−Gun;Nam Dae−U、Lee Bun−Yeoul、特許文献1(2004年11月16日);非特許文献9)。このように製造された共重合体を環状オレフィン共重合体(COC、cycloolefin copolymer)と呼ぶ(反応式3参照)。ノルボルネン系単量体は、反応式3の下端に示すように、ROMP反応の後、水素化反応によって樹脂を製造することができる(非特許文献7)。こうして得られた高分子を環状オレフィン重合体(COP、cycloolefin polymer)と呼ぶ。前述したように、高分子化合物の水素化反応は、容易ではないという理由から、環状オレフィン共重合体(COC)が環状オレフィン重合体(COP)に比べて製造方法の面でさらに魅力的である。COCは、エチレンとノルボルネンの比率を調節して樹脂のTgを調節することができるため、多様なグレードの製造が可能である。また、COCは、物性の面で透明度が高く、複屈折率が小さく、レジンの密度が低いという利点があって、食品および医薬品包装材、DVD素材、ディスプレイ用光学フィルムなどへの用途の開発が行われている。]
[0007] (反応式3)]
[0008] ところが、ノルボルネンを用いて製造されたCOC樹脂は、ノルボルネン単位体を多量含んでおり、Tgが高いグレードの場合、脆くて光学フィルムなどの用途として使用するにはちょっと足りない点がある。このような問題点だけでなく、全般的にノルボルネンを用いて製造されたCOC樹脂が見せる物性の欠点を補完するために、ノルボルネンにシクロペンタジエンをもう1回ディールス・アルダー反応させて得られる1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン(以下、「DMON」と略する。)などのバルキーな環状オレフィン化合物をCOC単量体として用いようとする努力が相当行われている(反応式4;非特許文献10)。COPの物性を補完するために、下記反応式4の下端に示すように、DMONをROMPおよび水素化反応させて樹脂を製造しようとする努力も相当である(非特許文献7)。COC合成の際に、バルキーな環状オレフィンをモノマーとして用いることにより、ノルボルネンでCOCを製造するときと比較して、相対的に多量のエチレンを含む高分子からも高いTgを示す樹脂を製造することができる。高分子鎖において環状オレフィン単位体よりフレキシブルなエチレン単位体を多量含むことにより、前述した「脆さ(brittle)」の問題を克服することが可能な方法を提供することができる。ところが、反応式4に示すように、DMONはジシクロペンタジエンから2段階によって製造され且つ製造工程が容易ではないため、高分子単量体として使用するには価格が相当高くて問題となる。よって、現在は、経済的にDMONを製造することが、DMONを根幹とした樹脂の商業化に当り重要な鍵である。]
[0009] (反応式4)]
[0010] 付け加えて言えば、前記反応式4の下端の高分子物質はZeon社によって商品化された。]
[0011] 一方、C5留分の多くを占めるものがシクロペンタジエンである。シクロペンタジエン(CPD)は、常温で自発的にディールス・アルダー反応が起こってジシクロペンタジエン(DCPD)に転換される。ジシクロペンタジエンをシクロペンタジエンとディールス・アルダー反応させてトリシクロペンタジエン(TCPD)を製造することができる。この反応は引き続き連続して起こることが可能なので、この反応を用いた樹脂製造方式が産業界で用いられている(反応式5、非特許文献11参照)。]
[0012] (反応式5)]
[0013] このようなシクロペンタジエン(CPD)のディールス・アルダー反応物は2つのオレフィン基を持っている。一つは、ノルボルネン化合物が持っている形態のものであり(以下、「ノルボルネン類型のオレフィン」という)、もう一つはシクロペンテンが持っている形態のもの(以下、「シクロペンテン類型のオレフィン」という)である。通常、2つのオレフィン基のうち、ノルボルネン類型のオレフィンがさらに大きい反応性を持つものと知られている。2つのオレフィン間の反応性の差異を用いて、ジシクロペンタジエンの2つのオレフィン基のうちノルボルネン類型のオレフィンのみを選択的に水素化反応させて5,6−ジヒドロジシクロペンタジエンを製造する方法が報告された。]
[0014] 例えば、特許文献2および文献(非特許文献12および非特許文献13)では、商業的に購入可能なPd/アルミナまたはPd/C触媒を用いたジシクロペンタジエンの選択的な水素化反応によって5,6−ジヒドロジシクロペンタジエンを合成することについて開示している。このような触媒の下で水素化反応の選択性を実現するためには、当量数の水素を投入することが必須的に要求される。2つのオレフィン基のうち、ノルボルネン類型のオレフィン基は前記触媒の下で反応速度が速くて先に水素化反応が起こり、水素を当量以上投入すると、反応速度の遅いシクロペンテン類型のオレフィン基も水素化反応が起こってテトラヒドロジシクロペンタジエンが副生成物として形成される。すなわち、選択性が反応速度によって調節されるので、選択性が反応条件に対して敏感であって、連続工程を開発して反応条件をよく調節したときにも反応していないジシクロペンタジエンがある程度(<0.3%)残っており、且つ副生成物としてのテトラヒドロジシクロペンタジエンが3%以上形成されることを回避することができなかった。]
[0015] また、文献(非特許文献14)では、酢酸ニッケルをNaBH4によって反応器内で還元させて得られたニッケル金属を触媒として用い、ジシクロペンタジエンを選択的に水素化反応させた結果について開示している。この場合も、選択性を実現するために1.1当量の水素を投入した。また、副生成物として生成されたテトラヒドロジシクロペンタジエンを除去するために、再結晶方法で反応生成物を精製した。また、文献(非特許文献15)では、酢酸ニッケルをNaBH4によって反応器内で還元させて得られたニッケル金属を触媒として用い、トリシクロペンタジエンを選択的に水素化反応させた結果を報告した。この場合も、選択性を実現するために、1当量の水素を投入した。また、1.5gのトリシクロペンタジエンを水添するために0.360gの酢酸ニッケルを使用するなど、商業化するには触媒活性が低調である。]
[0016] 韓国特許第10−0458600号明細書
米国特許第7078577号明細書]
先行技術

[0017] Naga,N.、J.Polym.Sci.,Part A:Polym.Chem.、2005年、第43巻、1285−1291頁
Simanke,A.G.;Mauler,R.S.;Galland,G.B.、J.Polym.Sci.,Part A:Polym.Chem.、2002年、第40巻、471−485頁
Suzuki,J.;Kino,Y.;Uozumi,T.;Sano,T.;Teranishi,T.;Jin,J.;Soga,K.;Shiono,T.、J.Appl.Polym.Sci.、1999年、第72巻、103−108頁
Journal of Organometallic Chemistry、2006年、第691巻、3114−3121頁
Xiaofang LiおよびZhaomin Hou、Macromolecules、2005年、第38巻、6767−6769頁
Xiaofang Li、Masayoshi Nishiura、Kyouichi Mori、Tomohiro MashikoおよびZhaomin Hou、Chem.Commun.、2007年、4137−4139頁
Masahiro Yamazaki、Journal of Molecular Catalysis A:Chemical、2004年、第213巻、81−87頁
Cho,E.S.;Joung,U.G.;Lee,B.Y.;Lee,H.;Park Y.−W.;Lee,C.H.;Shin,D.M.、Organometallics、2004年、第23巻、4693−4699頁
Incoronata Tritto、Laura Boggioni、Dino R.Ferro、Coordination Chemistry Reviews、2006年、第250巻、212−241頁
W.Kaminsky、Catalysis Today、2000年、第62巻、23−34頁
Chemical Engineering Science、2001年、第56巻、927−935頁
Inorg.Chem.、1999年、第38巻、2359頁
J.Org.Chem.、1991年、第56巻、6043頁
Tetrahedron Letters、2007年、第48巻、8331頁
J.C.S. Perkin I、1977年、19頁]
発明が解決しようとする課題

[0018] 本発明は、簡易な方法で得られる単量体を用いて、従来のDMONから得られる環状オレフィン系高分子化合物と対等な物性を実現することが可能な環状オレフィン系高分子化合物を提供することを目的とする。]
[0019] また、本発明は、簡易な方法で得られる単量体を用いてビニル重合によって環状オレフィン系高分子化合物を製造する方法を提供することを目的とする。]
[0020] 特に、本発明の一具現例では、高いガラス転移温度を有する環状オレフィン系高分子化合物を提供することを目的とする。]
[0021] 本発明の一具現例では、特定のパラジウム化合物触媒を用いて、ジシクロペタンジエン、トリシクロペンタジエンおよびこれと類似のシクロペンタジエン自体ディールス・アルダー反応体のノルボルネン類型のオレフィン基のみを選択的に水素化反応させる方法を提供することを目的とする。]
[0022] 本発明は、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエンおよびこれと類似のシクロペンタジエン自体ディールス・アルダー反応体などのように、互いに異なる反応性を示す2つのオレフィン基を有する化合物において、一つのオレフィン基には水素化反応性がなく、もう一つのオレフィン基にのみ水素化反応性を有する触媒を提供することを目的とする。]
課題を解決するための手段

[0023] 本発明では、下記化学式1で表される繰返し単位を含む環状オレフィン系高分子化合物を提供する。
化学式1



式中、aは0または1であり、x:yのモル比は99:1〜1:99であり、zは平均値が10〜20,000である。]
[0024] 具体的な一例として、環状オレフィン系高分子化合物は、下記化学式2で表される繰返し単位を含んでもよい。
化学式2]
[0025] 他の具体的な一例として、環状オレフィン系高分子化合物は、下記化学式7で表される繰返し単位を含んでもよい。
化学式7



本発明の一具現例に係る環状オレフィン系高分子化合物において、x:yのモル比は90:10〜50:50であり、zは平均値が500〜3000でありうる。]
[0026] 前記化学式2で表される繰返し単位を含む本発明の一具現例に係る環状オレフィン系高分子化合物は、下記化学式4で表される繰返し単位をさらに含み、x:(y+o)のモル比は10:90〜90:10でありうる。
化学式4



式中、Rは水素原子、または炭素原子数1〜6のアルキル基またはフェニル基である。この際、Rは水素原子であってもよい。]
[0027] 本発明の他の一具現例では、下記化学式6で表される化合物を、トリメチルアルミニウム単独またはトリイソブチルアルミニウムとの混合物を部分加水分解して得られる化合物としてのメチルアルミノキサン、Al(R3)3(ここで、R3は互いに同じでも異なってもよく、ハロゲンラジカル、炭素数1〜20のヒドロカルビルラジカルである)、B(Arf)3(ここで、Arfはフッ素原子で置換されたアリール基)および[L]+[B(Arf)4]−(ここで、Arfは前記定義と同様であり、[L]+はカルボカチオンまたは3級アンモニウム)の中から選ばれた単独または2種以上の組み合わせを助触媒として用いて活性化させた触媒の存在下に、下記化学式3で表される化合物または化学式8で表される化合物をエチレンと共にビニル重合することにより、下記化学式1で表される繰返し単位を含む環状オレフィン系高分子化合物を製造する方法を提供する。
化学式1



式中、aは0または1であり、x:yのモル比は99:1〜1:99であり、zは平均値が10〜20,000である。]
[0028] 化学式3]
[0029] 化学式6



式中、MはTi、Zr、Hfであり;Xはハロゲン、または炭素数1〜20のアルキル基であり;R1は互いに同じでも異なってもよく、水素ラジカル、炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基であり;R2は互いに同じでも異なってもよく、水素ラジカル、炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基である。]
[0030] 化学式8]
[0031] 本発明の一具現例に係る方法において、化学式3で表される化合物および下記化学式5で表される化合物をエチレンと反応させることができる。
化学式5



式中、Rは水素原子、または炭素原子数1〜6のアルキル基またはフェニル基である。]
[0032] 本発明の一具現例に係る方法では、化学式6で表される化合物における、MはTi、Xはメチル基または塩素ラジカル、R1とR2は全てメチル基をそれぞれ示し;Al(R3)3におけるR3はメチル基、エチル基またはイソブチル基を示し;B(Arf)3におけるArfはペンタフルオロフェニル(C6F5)基を示し;[L]+[B(Arf)4]−における、Arfはペンタフルオロフェニル(C6F5)基、[L]+は[Ph3C]+または[PhNMe2H]+をそれぞれ示す。]
[0033] 本発明の一具現例に係る方法において、化学式3で表される化合物または化学式8で表される化合物は、N−複素環カルベンによって配位されたパラジウム化合物を触媒として用い、下記化学式9で表される化合物のオレフィン基を選択的に水素化して得られる。]
[0034] 化学式9



(ここで、n=0または1である。)]
[0035] 本発明の一具現例に係る方法において、N−複素環カルベンによって配位されたパラジウム化合物は、下記化学式10で表される化合物の中から選択されてもよい。
化学式10



式中、R1とR4は、独立に、N、O、Sなどのヘテロ原子で置換された或いは置換されていない炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜30のアリール基から選択され;R2とR3は、独立に、N、O、Sなどのヘテロ原子で置換された或いは置換されていない炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜30のアリール基または水素原子から選択され;X1とX2は、独立に、ハロゲンリガンド、置換もしくは無置換のアリルリガンドまたはカルボキシレートリガンドから選択されるか、或いはオレフィンリガンドまたは溶媒リガンドから選択され;2つの化合物がダイマーとして存在しうる。]
[0036] 特に、本発明の一具現例に係る方法では、化学式10で表される化合物において、R1とR4は全て2,6−ジイソプロピルフェニル(2,6−iPr2C6H3−)であり;R2およびR3は全て水素原子であり;X1およびX2は全て塩素またはアセテートであり、この場合、2つの化合物がダイマーとして存在してもよく、或いは一つは塩素、もう一つはアリルである化合物であってもよい。]
[0037] 本発明の他の一具現例では、N−複素環カルベンによって配位されたパラジウム化合物を触媒として用いて、下記化学式11で表される化合物のオレフィン基を選択的に水素化することにより、下記化学式12で表される化合物を製造する方法を提供する。]
[0038] 化学式11



(ここで、n=0〜10である。)]
[0039] 化学式12



(ここで、n=0〜10である。)]
[0040] 具体的な一具現例によれば、化学式11で表される化合物と化学式12で表される化合物はn=0または1の化合物でありうる。]
[0041] 本発明の一具現例に係る製造方法において、N−複素環カルベンによって配位されたパラジウム化合物は下記化学式10で表される化合物の中から選択されてもよい。
化学式10



式中、R1とR4は、独立に、N、O、Sなどのヘテロ原子で置換された或いは置換されていない炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜30のアリール基から選択され;R2とR3は、独立に、N、O、Sなどのヘテロ原子で置換された或いは置換されていない炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜30のアリール基または水素原子から選択され;X1とX2は、独立に、ハロゲンリガンド、置換もしくは無置換のアリルリガンドまたはカルボキシレートリガンドから選択されるか、或いはオレフィンリガンドまたは溶媒リガンドから選択され;2つの化合物がダイマーとして存在しうる。]
[0042] 本発明の一具現例に係る製造方法では、化学式10で表される化合物において、 R1とR4は全て2,6−ジイソプロピルフェニル(2,6−iPr2C6H3−)であり;R2とR3は全て水素原子であり;X1とX2は全て塩素またはアセテートであり、この場合、2つの化合物がダイマーとして存在してもよく、或いは一つは塩素、もう一つはアリルである化合物であってもよい。]
[0043] 本発明の他の一具現例では、N−複素環カルベンによって配位されたパラジウム化合物からなる、反応性が互いに異なる2つのオレフィン基を持っている化合物において一つのオレフィン基のみを選択的に水素化するための触媒を提供する。ここで、反応性が互いに異なる2つのオレフィン基を持っている化合物は、下記化学式11で表されるものであってもよい。
化学式11



(ここで、n=0〜10である。)]
[0044] また、反応性が互いに異なる2つのオレフィン基を持っている化合物は、化学式11におけるnが0または1の化合物であってもよい。]
[0045] 具体的な一具現例において、N−複素環カルベンによって配位されたパラジウム化合物は下記化学式10で表される化合物の中から選択されてもよい。
化学式10



式中、R1とR4は、独立に、N、O、Sなどのヘテロ原子で置換された或いは置換されていない炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜30のアリール基から選択され;R2とR3は、独立に、N、O、Sなどのヘテロ原子で置換された或いは置換されていない炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜30のアリール基または水素原子から選択され;X1とX2は、独立に、ハロゲンリガンド、置換もしくは無置換のアリルリガンドまたはカルボキシレートリガンドから選択されるか、或いはオレフィンリガンドまたは溶媒リガンドから選択され;2つの化合物がダイマーとして存在しうる。]
[0046] この際、化学式10で表される化合物は、R1とR4は全て2,6−ジイソプロピルフェニル(2,6−iPr2C6H3−)であり;R2とR3は全て水素原子であり;X1とX2は全て塩素またはアセテートであり、この場合、2つの化合物がダイマーとして存在してもよく、或いは一つは塩素、もう一つはアリルである化合物であってもよい。]
発明の効果

[0047] 本発明の一具現例によれば、ナフサ分解のC5留分の多くを占めるジシクロペンタジエンを水添して容易且つ経済的に製造することが可能な5,6−ジヒドロジシクロペンタジエンを用いて、新しい構造の環状オレフィン共重合体としての5,6−ジヒドロジシクロペンタジエン−エチレン共重合体、5,6−ジヒドロジシクロペンタジエン−(ノルボルネン系環状オレフィンまたはシクロペンテン)−エチレン三元重合体、およびその製造方法を提供することにより、従来の公知の環状オレフィン系高分子化合物の製造方法に比べて簡易な方法で優れた物性の環状オレフィン系高分子化合物を提供することができ、得られた環状オレフィン系高分子化合物を食品および医薬品包装材やDVD素材、ディスプレイ用光学フィルムなどに有用に活用することができるものと期待される。]
[0048] また、本発明の一具現例によれば、ジヒドロトリシクロペンタジエンを新しい環状オレフィン単量体として導入してエチレンと共重合を具現することにより、代表的な環状オレフィン共重合体としてのノルボルネン−エチレン共重合体と比較して相対的に少ない量のジヒドロトリシクロペンタジエン単位体(または相対的に多い量のエチレン単位体)を高分子鎖が含んでも同一水準のガラス転移温度を実現することができ、高いガラス転移温度を示す高分子鎖が相対的に多い量のエチレン単位体を含むことにより、高分子鎖がさらに柔軟であって既存のノルボルネン−エチレン共重合体の欠点を補完することができる。]
[0049] また、本発明では、N−複素環カルベンによって配位されたパラジウム化合物を水素化反応触媒として用いると、特にジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエンおよびこれと類似のシクロペンタジエン自体ディールス・アルダー反応体が持っているノルボルネン類型のオレフィン基とシクロペンテン類型のオレフィン基のうち、シクロペンテン類型のオレフィン基には反応性を全く示さず、ノルボルネン類型のオレフィン基にのみ水素化反応性を示すから、水素化反応時の水素の過量投入またはその圧力を問わず、多様な溶媒で水素化された化合物を、副反応物を精製することなく高収率および高純度で製造することができる。]
図面の簡単な説明

[0050] 図1は5,6−ジヒドロジシクロペンタジエン/エチレン共重合体の1HNMRスペクトル(20psig(約138kPa)のエチレン圧力で得られた共重合体)を示す。
図2は5,6−ジヒドロジシクロペンタジエン/エチレン共重合体の13C NMR(DEPT)スペクトル(20psig(約138kPa)のエチレン圧力で得られた共重合体)を示す。
図3は5,6−ジヒドロジシクロペンタジエン/エチレン共重合体のHMQCNMRスペクトルおよびその構造解釈(20psig(約138kPa)のエチレン圧力で得られた共重合体)を示す。
図4は5,6−ジヒドロジシクロペンタジエン/エチレン共重合体のCOSY NMRスペクトルおよびその構造解釈(20psig(約138kPa)のエチレン圧力で得られた共重合体)を示す。
図5は5,6−ジヒドロジシクロペンタジエン−ノルボルネン−エチレン三元重合体の1HNMRデータを示す。
図6は5,6−ジヒドロジシクロペンタジエン−シクロペンテン−エチレン三元重合体の1H NMRデータを示す。
図7は実施例15で得られたジヒドロトリシクロペンタジエン/エチレン共重合体の1H NMRスペクトルを示す。
図8は環状オレフィンのモル比による3種の共重合体に対するガラス転移温度の推移を示すグラフである。
図9は水素化反応前のトリシクロペンタジエンの1H NMRスペクトルを示す。
図10は実施例16で得られる水素化反応結果物の1H NMRスペクトルを示す。
図11は実施例16で得られる水素化反応結果物の13C NMRスペクトルを示す。
図12は水素化反応前のジシクロペンタジエンの1H NMRスペクトルを示す。
図13は実施例20で得られる水素化反応結果物の1H NMRスペクトルを示す。
図14は実施例20で得られる水素化反応結果物の13C NMRスペクトルを示す。
図15は比較例1で得られる水素化反応進行物の1H NMRスペクトルを示す。
図16は比較例4で得られる水素化反応結果物の1H NMRスペクトルを示す。H NMRスペクトルを示す。] 図1 図10 図11 図12 図13 図14 図15 図16 図2 図3
[0051] 以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の第1具現例に係る環状オレフィン系高分子化合物は、下記化学式2で表される、繰返し単位を含む環状オレフィン系高分子化合物である。]
[0052] 化学式2



式中、x:yのモル比は99:1〜1:99であり、zは平均値が10〜20,000である。]
[0053] このような化学式2で表される繰返し単位を含む環状オレフィン系高分子化合物は、下記化学式3で表される5,6−ジヒドロジシクロペンタジエンとビニル基含有モノマーと共にビニル重合して得られるもので、ここで、5,6−ジヒドロジシクロペンタジエンはジシクロペンタジエンの水素化反応によって容易に製造することができる(反応式6参照;Francisco Alonso,Iosaki Osante and Miguel Yus, Tetrahedron,2006,63,93−102;米国特許出願公開第2005038303号、2005年2月17日)。]
[0054] 化学式3]
[0055] (反応式6)]
[0056] ジシクロペンタジエンの5−6位オレフィン基は、2−3位オレフィン基に比べて反応性が大きいため、触媒および1当量の水素を投入すると、2−3位オレフィン基は残っており、5−6位オレフィン基にのみ水素が添加されることにより、5,6−ジヒドロジシクロペンタジエン単量体を製造することができる。ジシクロペンタジエンなどの小さい分子に水素添加反応させることは、ROMPによって得られた高分子物質に水素を添加する反応より工程の面で容易である。
特に後述のN−複素環カルベンによって配位されたパラジウム化合物を触媒として用いて、オレフィン基を選択的に水素化して得られるものであってもよい。]
[0057] 本発明では、このように簡易な方法で得られる5,6−ジヒドロジシクロペンタジエンを用いてエチレンと共重合して環状オレフィン系共重合体を製造したもので、5,6−ジヒドロジシクロペンタジエンは、単量体がバルキーな構造を持つため、従来のノルボルネンとシクロペンタジエンとの反応によって得られたDMONを用いて製造された環状オレフィン系高分子化合物の物性を実現することができる。]
[0058] また、5,6−ジヒドロジシクロペンタジエンを用いて得られた高分子の分子構造は、DMONをROMPした後、水素を添加して得られた高分子の分子構造(前記反応物4の下端の高分子構造)と類似しているので、同様の物性を期待することができる。]
[0059] 何よりも5,6−ジヒドロジシクロペンタジエン単量体の製造は、DMON単量体の製造に比べて一層容易であるという利点を持つ。]
[0060] 前述したように、5,6−ジヒドロジシクロペンタジエンが含む2−3オレフィン基は反応性が低いという理由から、5,6−ジヒドロジシクロペンタジエンを単量体として用いた環状オレフィン共重合体は未だ報告された例がない。]
[0061] Nagaが2005年に報告した論文によれば、バルキーなモノマーの重合体に対して卓越した触媒反応性を示すものと知られているCGC(幾何拘束型触媒、Constrained−Geometry−Catalyst)を用いて5,6−ジヒドロジシクロペンタジエンとエチレンとの共重合を試みると、5,6−ジヒドロジシクロペンタジエンは重合反応に全く参加せず、純粋なポリエチレンのみが得られる(J.Polym.Sci.,Part A:Polym.Chem. 2005.43.1285−1291)。]
[0062] 一方、1996年、Wagernerは、メタセシス触媒として知られているWCl3−Et2AlClの組み合わせを5,6−ジヒドロジシクロペンタジエンに投入したときに二重結合が無くなることをNMR分光法によって確認し、この触媒が5,6−ジヒドロジシクロペンタジエンのオレフィン重合反応を誘発すると報告している(T.A.Davidson, K.B.Wagerner, D.B.Priddy, Macromolecules 1996,29,786−788)。ところが、このときに得られた化合物は、分子量が大きくないオリゴマー形態であって、本発明が提供する5,6−ジヒドロジシクロペタンジエンを用いた共重合体とは関係ない。]
[0063] 前記化学式3で表示される化合物はendo−異性体とexo−異性体が存在可能である。ナフサ分解のC5留分から得られるジシクロペンタジエン化合物は、endo−異性体とexo−異性体との混合物の形で得られる。通常、endo−異性体が90mol%以上に過量入っている。上述したように、化学式3の化合物はナフサ分解のC5留分から得られるジシクロペンタジエン化合物の水添反応によって得られるが、水添反応によってendo−異性体とexo−異性体との混合比が変わらない。よって、通常製造される化学式3の化合物はendo−異性体が過量入っている化合物である。]
[0064] 本発明の一具現例に係る化合物2で表される繰返し単位を含む環状オレフィン系高分子化合物は、化学式3の化合物とエチレンをビニル共重合反応させて得られる環状オレフィン系共重合体でありうるが、化学式1において、x:yのモル比は99:1〜1:99である。透明な非結晶質樹脂の製造という側面からみて、好ましくはx:yのモル比は90:10〜10:90であり、さらに好ましくは90:10〜50:50である。高分子鎖内におけるx:yのモル比の調節は、反応器に投入される2単量体のモル比を調節することにより行うことができる。重合度を示すzの平均値は10〜20,000が可能であり、適当な機械的強度を有するためには、好ましくは500〜3000である。]
[0065] 本発明の第1具現例に係る環状オレフィン系高分子化合物は、前記化学式3で表される化合物以外に、下記化学式5で表される化合物およびシクロペンテンの中から選ばれた一つの環状オレフィンと混合してエチレンと共にビニル共重合して得られる高分子化合物であってもよい。
化学式5



式中、Rは水素原子、または炭素原子数1〜6のアルキル基またはフェニル基である。この際、好ましくは、RがHの化合物、すなわちノルボルネンであってもよい。]
[0066] このような高分子化合物は、前記化学式2で表される繰返し単位以外に、下記化学式4で表される繰返し単位をさらに含む高分子化合物であってもよい。
化学式4



式中、Rは水素原子、または炭素数原子1〜6のアルキル基またはフェニル基である。]
[0067] この際、x:(y+o)のモル比は99:1〜1:99であり、透明な非結晶性樹脂を得るためには、好ましくは90:10〜10:90である。ここで、y:oのモル比は2つの環状オレフィンの投入比によって調節可能な変数であって、yとoは0ではなくいずれの変数も可能である。]
[0068] 前述したように、化学式3の化合物が持っているオレフィン基は反応性が小さいため、既存のバルキーな単量体に対しても共重合性が高いと知られているCGC触媒を用いても、エチレンとの共重合反応を実現させることができなかった。]
[0069] 本発明では、下記化学式6で表される化合物を触媒前駆体として用いて、化学式3の化合物とビニル系モノマーとのオレフィン重合を誘導した。具体的に、本発明の製造方法における触媒は、化学式6で表される化合物をメチルアルミノキサン、Al(R3)3、B(Arf)3、および[L]+[B(Arf)4]−の中から選ばれた単独または混合物を助触媒として用いて活性化させたもので、これを用いて溶媒の存在下或いは不在下で前記化学式3の化合物とビニル系モノマーとのオレフィン重合を行うことにより、本発明に係る環状オレフィン系高分子化合物を得ることができる。]
[0070] 化学式6



式中、MはTi、ZrまたはHfであり;Xはハロゲン、または炭素数1〜20のアルキル基であり;R1は互いに同じでも異なってもよく、水素ラジカル、炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基であり;R2は互いに同じでも異なってもよく、水素ラジカル、炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基である。好ましくは、MはTiであり;Xはメチル基または塩素ラジカルであり;R1とR2は全てメチル基である。]
[0071] 化学式6で表される化合物は、本発明者によって公知になった化合物であって、公知の方法によって製造することができる(Wu,C.J.;Lee,S.H.;Yun,H.;Lee,B.Y. Organometallics 2007,26,6685−6687)。]
[0072] メチルアルミノキサンは、トリメチルアルミニウム単独でまたはトリイソブチルアルミニウムと混合して部分加水分解することにより得られる化合物であって、市中で購入することができる。その構造は線形、円形または網状形の−[Al(MeまたはiBu)−O]aの構造であろうと予測されている。]
[0073] Al(R3)3において、R3はハロゲンラジカル、炭素数1〜20のヒドロカルビルラジカルであり、それぞれのR3が互いに同じでも異なってもよい。好ましくは、メチル、エチルまたはイソブチルである。]
[0074] B(Arf)3において、Arfはフッ素原子で置換されたアリール基である。好ましくは、ペンタフルオロフェニル基(C6F5)である。]
[0075] [L]+[B(Arf)4]−において、Arfは前記定義と同様であり、[L]+はカルボカチオンまたは3級アンモニウムである。Arfの好ましい形態はペンタフルオロフェニル(C6F5)であり、[L]+の好ましい形態は[Ph3C]+または[PhNMe2H]+である。]
[0076] このような触媒の存在下でオレフィン重合を行うに際して、溶媒の存在下または不在下で行われ得るが、この際、溶媒としてはトルエンやヘキサン、シクロヘキサン、塩化メチレン、クロロベンゼンなどが使用可能であり、特にトルエンを使用することが好ましい。]
[0077] 次に、本発明の第2具現例に係る環状オレフィン系高分子化合物は、下記化学式7で表される。
化学式7



式中、x:yのモル比は99:1〜1:99であり、zは平均値が10〜20,000である。
このような化学式7で表される繰返し単位を含む環状オレフィン系高分子化合物は、下記化学式8で表されるジヒドロトリシクロペンタジエンビニル基含有モノマーとエチレンを共にビニル重合して得られる。ここで、ジヒドロトリシクロペンタジエンは、下記反応式7に示すように、トリシクロペンタジエンの水素化反応によって製造することができる。]
[0078] 化学式8]
[0079] (反応式7)]
[0080] トリシクロペンタジエンは、ジシクロペンタジエンとシクロペンタジエンをディールス・アルダー反応させて製造することができる。反応条件によるトリシクロペンタジエンの形成収率に関する研究は報告されているが(Zhongqiang Xiong, Zhentao Mi and Xiangwen Zhang, React.Kinet.Catal.Lett. Vol.85,89−97(2005))、副生成物からトリシクロペンタジエンの主要異性体のみを純粋に分離する方法は未だ報告されていない。]
[0081] 好ましくは、本発明では、副生成物からトリシクロペンタジエンの主要異性体のみを純粋に分離するために、副生成物をエタノールに溶かした後、温度による溶解度の差異によって分離する再結晶方法を導入することができる。]
[0082] 一方、こうして得られるトリシクロペンタジエンの2つのオレフィンのうちノルボルネン類型のオレフィンのみを選択的に水素化する方法としては、多様な方法が考えられる。]
[0083] 例えば、Athelstan L.J.BeckwithとMartin L.Gilpinによって報告された論文(J.C.S. Perkin I, 1977,pp19−27)によれば、酢酸ニッケルをエタノール中でNaBH4によって還元させて得られたニッケル化合物を触媒として用いて1当量の水素を投入することにより、選択的水素化反応を実現した。ジシクロペンタジエンの場合も、ノルボルネン類型のオレフィン基が大きい反応性を示すため、触媒および1当量の水素を投入して選択的に水素化反応を実現した例が報告されている(Brunel,J.M. Tetrahedron 2007,63,3899.;Alonso,F.;Osante,I.;Yus,M.Tetrahedron 2007,63,93;Bartlett,P.D.;Banavali,R. J.Org.Chem. 1991,56,6043)。ところが、この場合、いずれも1当量の水素を投入して選択性を実現した。反応中に水素の量が調節できなければ、2つのオレフィン基が全て還元された化合物、および2つのオレフィン基が全て還元されていない化合物が不純物として生成され、問題を引き起こすおそれがある。また、高選択性を実現するためには触媒の状態および反応条件を敏感に調節しなければならない。]
[0084] このような理由から、トリシクロペンタジエンのノルボルネン類型のオレフィン基のみが選択的に水素化反応するようにする触媒を使用することが好ましいが、その一例を挙げると、後述のN−複素環カルベンによって配位されたパラジウム化合物を触媒として用いることができる。]
[0085] 本発明では、このような方法で得られるジヒドロトリシクロペンタジエンを用いてエチレンと共重合して環状オレフィン系共重合体を製造したもので、ジヒドロトリシクロペンタジエンは、単量体がバルキーな構造を持つため、少量の環状オレフィンのみを高分子鎖が含んでいても、ガラス転移温度が高くて高分子鎖の柔軟性を与えることができるという利点がある。]
[0086] 前記化学式8で表される化合物は、endo、exo方向性によって4つの異性体が存在可能である。出発物質としてのジシクロペンタジエン化合物は、通常、endo−異性体とexo−異性体が9:1以上に混ぜられている混合物である。ここにノルボルネン類型のオレフィン基とシクロペンタジエンがディールス・アルダー反応をするときもendo化合物とexo化合物が形成できる。論文(Zhongqiang Xiong, Zhentao Mi and Xiangwen Zhang, React.Kinet.Catal.Lett. Vol.85,89−97(2005))では、それらの中でも2つの化合物のみが約5:1の比率で形成されると報告した。本発明に使用した単量体は、この混合物の中でも少ない比率の化合物は再結晶法によって除去し、純粋な一つの異性体のみを得、これを水添して製造された純粋なジヒドロトリシクロペンタジエン化合物である。これは新しく製造された高分子化合物を綿密に分析するためのもので、異性体を分離することなく混合物として用いて高分子体を製造することができる。]
[0087] 本発明の第2具現例に係る化学式7で表される繰返し単位を含む環状オレフィン系高分子化合物は、化学式8の化合物とエチレンをビニル共重合反応させて得られる環状オレフィン系共重合体でありうるが、化学式7において、x:yのモル比は99:1〜1:99の範囲である。透明な非結晶質樹脂の製造という側面からみて、好ましくはx:yのモル比は90:10〜10:90であり、さらに好ましくは90:10〜50:50である。高分子鎖内におけるx:yのモル比の調節は、反応器に投入する2単量体のモル比を調節することにより行うことができる。重合度を示すzの平均値は10〜20,000が可能であり、適当な機械的強度を有するためには、好ましくは500〜3000である。]
[0088] 重合反応に使用する触媒システムおよび溶媒などは、前記第1具現例で上述したのと同様である。]
[0089] 本発明の第2具現例に係る前記化学式7で表される環状オレフィン系共重合体の場合、前記第1具現例による化学式2で表される5,6−ジヒドロジシクロペンタジエンとエチレンとの共重合体に比べてガラス転移温度がさらに高く、5,6−ジヒドロトリシクロペンタジエンを高含量(最大45%)で含む共重合体を製造することができる。よって、さらに利用範囲を広めた環状オレフィン系共重合体を提供することができる。]
[0090] 本発明の第1具現例および第2具現例に係る環状オレフィン系共重合体の製造において、環状のモノマーの一例は、下記化学式12で表されるような化合物であって、これは、下記化学式11で表されるように反応性が互いに異なる2つのオレフィン基を持っている化合物の一つのオレフィン基のみを選択的に水素化する方法によって得られる。]
[0091] 化学式11



(ここで、n=0〜10である。)]
[0092] 化学式12



(ここで、n=0〜10である。)]
[0093] 化学式11で表される化合物におけるn=0の化合物である、ナフサ分解のC5留分から得られるジシクロペンタジエン化合物は、endo−異性体とexo−異性体との混合物を使用することが可能であるが、通常、endo−異性体が90mol%以上に過量入っている。本発明によれば、このendo−異性体とexo−異性体が混ぜられている状態で、または互いに分離されて純粋な状態で共に適用可能である。]
[0094] 化学式11で表される化合物におけるn=1の化合物であるトリシクロペンタジエンは、ジシクロペンタジエンとシクロペンタジエンとをディールス・アルダー反応させて製造することができる(Zhongqiang Xiong, Zhentao Mi and Xiangwen Zhang, React.Kinet.Catal.Lett. Vol.85,89−97(2005);Athelstan L.J. Beckwith and Martin L.Gilpin, J.C.S. Perkin I,1977,pp19−27)。トリシクロペンタジエンもendo、exo方向性によって4つの異性体が存在可能であるが、論文(Zhongqiang Xiong, Zhentao Mi and Xiangwen Zhang, React.Kinet.Catal.Lett. Vol.85,89−97(2005))では、それらの中でも2つの化合物のみが約5:1の比率で形成されると報告した。本発明によれば、このendo−異性体とexo−異性体が混ぜられている状態で、或いは互いに分離されて純粋な状態で共に適用可能である。]
[0095] その他に、化学式11で表される化合物におけるn=2以上の化合物は、それぞれ分離されて報告されたことはないが、ジシクロペンタジエンと熱化反応させると、n=1の化合物と共に混合物として得られるものと報告された(Chemical Engineering Science 56(2001) 927−935参照)。こうして得られた混合物を前記触媒を用いて水素化反応させることにより、前記化学式2の混合物を製造することができる。]
[0096] N−複素環カルベンによって配位されたパラジウム化合物は、一例として、最近、文献(Sebastian W and Frank Glorius, Acc. Chem. Res., 2008, 41, 1523−1533)によくまとめられて報告されており、パラジウムの酸化状態は0価と2価が共に可能である。]
[0097] 本発明の一具現例では、このようなN−複素環カルベンによって配位されたパラジウム化合物を水素化反応の触媒として使用した。特に、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエンおよびこれと類似のシクロペンタジエン自体ディールス・アルダー反応体においてオレフィン基の選択的水素化のための触媒として使用した。]
[0098] N−複素環カルベンによって配位されたパラジウム化合物の具体的な例としては、下記化学式10の化合物を挙げるとができる。]
[0099] 化学式10



式中、R1とR4は、独立に、N、O、Sなどのヘテロ原子で置換された或いは置換されていない炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜30のアリール基から選択され;R2とR3は、独立に、N、O、Sなどのヘテロ原子で置換されたまたは置換されていない炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜30のアリール基または水素原子から選択され;X1とX2は、独立に、ハロゲンリガンド、置換もしくは無置換のアリルリガンド、およびカルボキシレートリガンドから選択されるか、或いはオレフィンリガンドおよび溶媒リガンドから選択され;2つの化合物がダイマーとして存在しうる。]
[0100] 化学式10で表される化合物の具体的な例としては、R1とR4は全て2,6−ジイソプロピルフェニル(2,6−iPr2C6H3−)であり;R2とR3は全て水素原子であり;X1とX2は全て塩素またはアセテートである。この場合、2つの化合物がダイマーとして存在してもよく、或いは一つは塩素、もう一つはアリルである化合物であってもよい。これらの化合物は市中(例えば、Strem社)で購入可能である。]
[0101] 前記触媒の存在下で、前記化学式11で表される化合物の選択的水素化反応を行う際に、触媒量は特に限定されないが、水素化反応の経済性を考慮するとき、重量を基準として[オレフィン]/[Pd]の比が1000〜100000であることが好ましい。]
[0102] また、水素化反応は溶媒の存在下または不在下で行われ得るが、この際、溶媒としてはトルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、塩化メチレン、THF、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、酢酸エチル、ジエチルエーテルなどが使用可能である。]
[0103] 水素化反応において、水素原子源としては、水素ガス(H2)、または文献(Angew.Chem.Int.Ed. 2008,47,3223)に開示されているように蟻酸を使用することができる。水素ガス(H2)を使用した方が経済的に好ましく、この際、水素圧力は常圧〜100bar(10MPa)とすることができるが、反応器の安定性および反応速度を考慮するとき、好ましくは5〜30bar(0.5〜3MPa)とする。]
[0104] 反応温度は常温〜200℃とすることができるが、反応の経済性を考慮するとき、好ましくは常温とする。]
[0105] 水素化反応の後、生成物が入っている溶液を短いシリカゲルパッドを通過させて触媒を除去することにより、純粋な化合物を得ることができる。濾された触媒からパラジウム化合物またはパラジウム金属を回収して再び使用することもできる。]
[0106] このような方法によれば、ノルボルネン類型のオレフィン基のみが選択的に水素化された、化学式12で表される化合物を得ることができるが、特に化学式12におけるn=0の化合物、すなわち化学式3の化合物、または化学式12におけるn=1の化合物、すなわち化学式8の化合物を得ることができる。本発明の一具現例に係るN−複素環カルベンによって配位されたパラジウム化合物を触媒とする場合、水素化の選択性は少なくとも90%、実質的には100%の選択性を示すことができる。]
[0107] また、本発明の一具現例に係るN−複素環カルベンによって配位されたパラジウム化合物を触媒として用いる場合、触媒活性(turnover number、TON)は1000以上であって、少量の触媒でも高収率の水素化を可能にする。]
[0108] このようにジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエンおよびこれと類似のシクロペンタジエン自体ディールス・アルダー反応体などのように互いに異なる反応性を示す2つのオレフィン基を持つ化合物において、一つのオレフィン基のみを選択的に水素化して得られる生成物は、上述した第1具現例または第2具現例で例示したように、他のオレフィン化合物との共重合体の製造に有用に使用できる。]
[0109] 例えば、ジシクロペンタジエンの2つのオレフィン基のうち、大きい反応性を示すノルボルネン類型のオレフィン基を選択的に用いたビニル重合および開環メタセシス重合(ROMP(Ring Opening Metathesis Polymerization))は多く開発されて報告されている(Journal of Organometallic Chemistry 691(2006) 31143121;Xiaofang Li and Zhaomin Hou, Macromolecules 2005,38,6767−6769;Xiaofang Li, Masayoshi Nishiura, Kyouichi Mori, Tomohiro Mashiko and Zhaomin Hou, Chem. Commun., 2007,41374139;Masahiro Yamazaki, Journal of Molecular Catalysis A:Chemical 213(2004) 8187参照)。この場合、生成されたポリマーがオレフィン基を含んでおり、直接商業的に使用するには問題がある。オレフィン基は反応性が高くて溶融加工するとき、レジンの変形が生ずるおそれがあるうえ、耐久性も劣る。このような理由から、産業現場で高分子鎖にオレフィン基を含んでいるレジンを使用する例は有り触れたことではない。この場合、高分子鎖が含む二重結合を水素化反応によって完全に除去することが必須的に要求される。オレフィン基を含む高分子化合物に水素化反応させて全ての二重結合を単一結合に変化させることは容易ではない。]
[0110] このような理由から、ジシクロペンタジエンの2つのオレフィン基のうち、まずノルボルネン類型のオレフィン基のみを選択的に水素化反応させて得られた5,6−ジヒドロジシクロペンタジエンを単量体として用いてエチレンと共重合を行うことができる。その一例としては、前記反応式5〜6で示したような本発明の一具現例に係る共重合方法を挙げることができる。]
[0111] 本発明で提供する触媒は、このような方法で共重合体を製造する際に緊要に使用できる環状オレフィン単量体の選択的製造を可能にし、これにより本発明の第1具現例または第2具現例に係る方法を用いた共重合体の商業的製造をより効率的に行うことができるようにするものと期待される。]
[0112] 以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。ところが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。]
[0113] 実施例1〜4:5,6−ジヒドロジシクロペンタジエン−エチレン共重合
窒素雰囲気下で重合反応器に5,6−ジヒドロジシクロペンタジエン(5.37g、40mmol)とマグネチックバーを仕込み、総量が28mLとなるようにトルエンをさらに仕込んだ。この重合反応器を70℃で加熱しながら攪拌した。前記化学式6で表される化合物(0.7mg、2μmol)、[Ph3C]+[B(C6F5)4]−(7.4mg、8.0μmol)およびトリイソブチルアルミニウム(160mg、800μmol)を2.0mLのトルエンとドライボックス内で混合し、これをシリンジに入れて70℃の攪拌中の反応器に投入し、エチレンガスを40psig(約276kPa)の圧力で注入した。3分後にエチレン圧力を除去し、反応器を開封してメタノール30mL入りの容器に反応物を投入して沈殿させた。濾過して沈殿物を得た。100℃で真空減圧し、沈殿物に含まれた残余溶媒を除去することにより、1.8gの高分子物質を得た。]
[0114] 一方、エチレン圧力を40psig(約276kPa)、20psig(約138kPa)、10psig(約69kPa)に減らしながら重合時間は7.0分、8.0分、6.0分に調節して粘性溶液を得た。この粘性溶液からそれぞれ1.8g、1.9g、0.4gの高分子物質を得た。こうして得られた高分子物質の構造分析をNMR分析によって明らかにした(図1〜図4参照)。図1〜図4にはエチレン圧力20psig(約138kPa)で得られた共重合体を究明したが、その他のエチレン圧力で得られた共重合体も明確に5,6−ジヒドロジシクロペンタジエン−エチレン共重合体として得られたのは勿論である。] 図1 図2 図3 図4
[0115] 反応に参加した5,6−ジヒドロジシクロペンタジエン(HDCPD)の含量は、図1のNMR構造分析に基づいて1HNMRスペクトルの積分値から下記関係式によって求めた。
A=2.5〜1.8ppmの積分値
B=1.8〜0.8ppmの積分値
HDCPD含量=(A/5)/[(A/5)+(B−9)/4]] 図1
[0116] ガラス転移温度(Tg)はDSCを用いて測定した。分子量および分子量分布はGPCを用いてポリスチレンをスタンダードとして測定したものである。その結果を下記表1に示した。]
[0117] 実施例5:5,6−ジヒドロジシクロペンタジエン−ノルボルネン−エチレン三元重合(terpolymerization)
窒素雰囲気下で重合反応器に5,6−ジヒドロジシクロペンタジエン(2.7g、20mmol)、ノルボルネン(1.9g、20mmol)およびマグネチックバーを仕込み、総量が28mLとなるようにトルエンをさらに仕込んだ。この重合反応器を70℃で加熱しながら攪拌した。化学式6で表される化合物(0.7mg、2μmol)、[Ph3C]+[B(C6F5)4]−(7.4mg、8.0μmol)およびトリイソブチルアルミニウム(160mg、800μmol)を2mLのトルエンとドライボックス内で混合し、これをシリンジに入れて70℃の攪拌中の反応器に投入し、エチレンガスを40psig(約276kPa)の圧力で注入した。7分後にエチレン圧力を除去し、反応器を開封してメタノール30mL入りの容器に反応物を投入して沈殿させた。濾過してパウダーを得、これを100℃で真空減圧し、沈殿物に含まれている残余溶媒を除去することにより、1.8gの高分子物質を得た。]
[0118] 得られた高分子のガラス転移温度は100.4℃であり、その重量平均分子量は96,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.47であった。]
[0119] 図5は得られた1H NMRを示す。このスペクトルの積分値を分析して3つの単量体の含量を求めることができる。その含量は、下記の解析によれば、エチレン:ノルボルネン:5,6−ジヒドロジシクロペンタジエンの比が10:4.0:1.0である。
最左側、2.3〜2.4ppmのシグナル:HDCPD→積分値1.0
1.9〜2.3ppmのシグナル:HDCPDの4つの水素シグナル+ノルボルネンの2つの水素シグナル
0.8〜1.9のシグナル:HDCPDの9つの水素シグナル+ノルボルネンの8つの水素シグナル+エチレンの4つの水素シグナル] 図5
[0120] 実施例6:5,6−ジヒドロジシクロペンタジエン−シクロペンテン−エチレン三元重合
窒素雰囲気下で重合反応器に5,6−ジヒドロジシクロペンタジエン(2.7g、20mmol)、シクロペンテン(1.4g、20mmol)、およびマグネチックバーを仕込み、総量が28mLとなるようにトルエンをさらに仕込んだ。この重合反応器を70℃で加熱しながら攪拌した。化学式6で表される触媒(0.69mg、2μmol)、[Ph3C]+[B(C6F5)4]−(7.4mg、8.0μmol)およびトリイソブチルアルミニウム(160mg、800μmol)を2mLのトルエンとドライボックス内で混合し、これをシリンジに入れて70℃の攪拌中の反応器に投入し、エチレンガスを20psig(約138kPa)の圧力で注入した。6分30秒後にエチレンガスを除去し、反応器を開封して反応を終結した。30mLのメタノールを投入して沈殿させた。濾過してパウダーを得、これを100℃で真空減圧し、沈殿物に含まれている残余溶媒を除去することにより、0.73gの高分子物質を得た。得られた高分子のガラス転移温度は18.4℃であり、重量平均分子量は76,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.6である。]
[0121] 図6は得られた高分子化合物の1HNMRスペクトルを示す。このスペクトルの積分値を分析して3つの単量体の含量を求めることができる。その含量は、下記の解析によれば、エチレン:シクロペンテン:5,6−ジヒドロジシクロペンタジエンの比が5.5:4.5:1.0である。
最左側、2.3〜2.4ppmのシグナル:HDCPD→積分値1.0
1.7〜1.9ppmのシグナル:シクロペンテンの2つの水素シグナル
0.8〜1.7のシグナル:HDCPDの9つの水素シグナル+シクロペンテンの6つの水素シグナル+エチレンの4つの水素シグナル] 図6
[0122] 合成例:ジヒドロトリシクロペンタジエン化合物の合成および精製
ジシクロペンタジエンを170℃で加熱しながら蒸留してシクロペンタジエンを得る。得られたシクロペンタジエン160gとジシクロペンタジエン320gを高圧反応器に入れ、150℃で20bar(2MPa)の窒素圧力を加えた状態で300rpmにて12時間攪拌する。反応の後、先ず70℃で真空蒸留によって、反応していないシクロペンタジエンとジシクロペンタジエンを除去した(380g)。900mLのエタノールを加えた後、80℃で還流加熱し、残っている固形の物質を溶かした後、冷蔵庫に保管して再結晶し、しかる後に、フィルターを介して純粋なトリシクロペンタジエン67gを得た。]
[0123] 得られたトリシクロペンタジエン(63g、0.318mol)と化学式10におけるR1、R4=2,6−ジイソプロピルフェニル;R2、R3=H;X1=アリル;X2=Clの化合物(18mg、0.0318mmol)、塩化メチレン(204mL)を共に高圧反応器に仕込み、25℃で20bar(2MPa)の水素圧力を加え、300rpmにて12時間攪拌する。シリカゲルを通過させて触媒を除去した後、溶媒を真空減圧して除去することにより、純粋な化合物63gを得た(収率99%)。]
[0124] 実施例7〜15:ジヒドロトリシクロペンタジエン−エチレン共重合
窒素雰囲気下で重合反応器に、前記合成例から得られるジヒドロトリシクロペンタジエン(8.01g、40mmol)を仕込み、総量が28mLとなるようにトルエンを添加した。この重合反応器を70℃の恒温槽に浸した後、熱的平衡に到達するようにし、しかる後に、前記化学式6で表される化合物(1.4mg、4μmol)、[Ph3C]+[B(C6F5)4]−(14.7mg、16.0μmol)およびトリイソブチルアルミニウム(160mg、800μmol)を2.0mLのトルエンに溶かし、活性化された触媒を注射器を用いて反応器に投入した。エチレンガスを60psig(約414kPa)の圧力で注入した後、8分間攪拌した。エチレン圧力を除去し、反応器を開封して、メタノール30mL入りの容器に反応物を投入して生成された高分子を沈殿させた。濾過して沈殿物を得、これを100℃で真空減圧し、沈殿物に含まれている残余溶媒を除去することにより、2.2gの高分子物質を得た。]
[0125] 下記表2に示すように、上述した方法においてジヒドロトリシクロペンタジエンの量は8.01g(濃度1.4mmol/mL)と固定し、エチレン圧力を60psig(約414kPa)、40psig(約276kPa)、30psig(約207kPa)、20psig(約138kPa)、10psig(約69kPa)に変化させながら、粘液性の溶液が得られる時点まで(それぞれ8.0分、5.0分、6.0分、6.0分、9.0分)重合を行うことにより、それぞれ2.2g、1.8g、1.2g、1.6g、0.6gの高分子物質を得た。]
[0126] また、エチレン圧力を20psig(約138kPa)に固定した後、ジヒドロトリシクロペンタジエン単量体の濃度を1.4、1.8、2.1、2.8、3.2mmol/mLに変化させながら、同一の方法で、粘液性の溶液が得られる時点まで(それぞれ6.0分、8.0分、6.0分、7.0分、7.0分)重合を行うことにより、それぞれ1.6g、2.3g、1.3g、1.4g、2.2gの高分子物質を得た。]
[0127] こうして得られた高分子物質の構造分析を1HNMRスペクトルによって行い、高分子内のジヒドロトリシクロペンタジエンの含量を求めた。]
[0128] 例えば、図7はエチレン圧力20psig(約138kPa)、ジヒドロトリシクロペンタジエン3.2mmol/mLの濃度で得られたジヒドロトリシクロペンタジエン/エチレン共重合体(実施例15)の1HNMRスペクトルを示す。ジヒドロトリシクロペンタジエン(HTCPD)の含量は1H NMRスペクトルの積分値から下記関係式によって求めた。
A=2.45〜1.75ppmの積分値
B=1.65〜0.75ppmの積分値
HTCPD含量=(A/10)/[(A/10)+(B−10)/4]] 図7
[0129] ガラス転移温度(Tg)は、Thermal Analysis社で製造されたmodel−Q10のDSCを用いて15℃/分の速度で昇温しながら2回スキャンして測定した。分子量および分子量分布は、Waters社で製造されたModel 150−C+のGPCによって30℃でTHF溶媒を用いてポリスチレンをスタンダードとして測定したものである。]
[0130] 下記表2は重合結果を総合して示す。]
[0131] 表2の結果より、ジヒドロトリシクロペンタジエン化合物を用いた環状オレフィン系共重合体は高いガラス転移温度を示すことが分かる。これにより、本発明の一具現例に係るジヒドロトリシクロペンタジエン化合物−エチレン共重合体は、熱的安定性に優れて広範囲な分野に利用できるものと期待される。]
[0132] 一方、本発明の一具現例でのように、ジヒドロトリシクロペンタジエン化合物(HTCPD)−エチレン共重合体が他の環状オレフィン共重合体に比べてガラス転移温度が向上したことをより容易に見せるために、参考として他のシクロペンタジエン類(ジヒドロジシクロペンタジエン化合物(HDCPD)およびノルボルネン化合物)から得られる環状オレフィン共重合体とガラス転移温度を比較して図8に示した。] 図8
[0133] 図8は環状オレフィンのモル比を異にして得られる3種の環状オレフィン共重合体(HTCPD)/エチレン共重合体、ノルボルネン/エチレン共重合体、HDCPD/エチレン共重合体のガラス転移温度の推移を示す。図8より、熱的安定性の面でHTCPD/エチレン共重合体がより優れることが分かる。] 図8
[0134] 製造例1:R1=R4=2,6−ジイソプロピルフェニル;R2=R3=H;X1=アリル;X2=Clの化学式10で表される化合物の製造
下記反応式8は前記標題化合物の製造方法をまとめて示したものである。]
[0135] 2,6−ジイソプロピルアニリン(15g、84.7mmol)を67mLの1−プロパノールと15mLの水に溶かした後、グリオキサール(40%水溶液、5.6g、38.5mmol)を添加した。70℃で1時間反応させ、常温まで降温した後、濾過した。残った固体を塩化メチレンに溶かし、無水硫酸マグネシウムを添加して濾過した後、濾過された溶液を真空減圧して溶媒を除去した。こうして得られた化合物(5.048g、12.73mmol)とパラホルムアルデヒド(0.458g、15.27mmol)を83mLのトルエンに溶かして100℃で2時間攪拌した。その後、40℃まで降温し、塩化水素酸(4N、d=1.05g/mlジオキサン溶液、4.01g、15.27mmol)を添加した後、得られた沈殿物を濾過した。得た固体化合物を塩化メチレンに溶かして無水硫酸マグネシウムで水気を除去し、濾過された溶液を真空減圧して溶媒を除去した。こうして得られた化合物(1.753g、4.124mmol)とカリウム第三ブトキシド(0.508g、4.537mmol)を24mLのテトラヒドロフランに溶かして4時間攪拌させることにより反応させた。真空減圧して溶媒を除去した後、トルエンに溶かしてセライトを用いて濾過した。濾過された溶液を真空減圧して溶媒を除去した。こうして得られた化合物(1.335g、3.435mmol)と塩化アリルパラジウム(0.629g、3.435mmol)を8mLのテトラヒドフランに溶かして4時間攪拌した。シリカゲルを通過させて濾過した後、溶液を真空減圧して溶媒を除去することにより、前記標題のR1=R4=2,6−ジイソプロピルフェニル;R2=R3=H;X1=アリル;X2=Clの化学式10で表示される化合物を得た。]
[0136] (反応式8)]
[0137] 製造例2:R1=R4=2,6−ジイソプロピルフェニル;R2=R3=H;X1=X2=Clの化学式10で表される化合物の製造
製造例1の化合物(0.508g、0.889mmol)に6.5mLの塩化水素酸(1Mエーテル溶液)を加えた後、3時間攪拌した。沈殿物を濾過によって得、これをペンタンで洗浄して固体化合物を得、これを真空減圧して残余溶媒を除去することにより、前記標題のR1=R4=2,6−ジイソプロピルフェニル;R2=R3=H;X1=X2=Clの化学式10で表される化合物を得た。]
[0138] 製造例3:R1=R4=2,6−ジイソプロピルフェニル;R2=R3=H;X1=X2=OC(O)CH3の化学式10で表される化合物の製造
製造例2で得られた化合物(0.564g、0.498mmol)と酢酸銀(0.332g、1.992mmol)を30mLのテトラヒドロフランで1時間攪拌した。セライトを用いて濾過した後、濾過された溶液を真空減圧して溶媒を除去することにより、前記標題のR1=R4=2,6−ジイソプロピルフェニル;R2=R3=H;X1=X2= OC(O)CH3の化学式10で表される化合物を得た。]
[0139] 実施例16
トリシクロペンタジエン(77g、0.388mol)、前記製造例1から得られる化合物(22mg、0.0385mmol)および塩化メチレン(250mL)を一緒に高圧反応器に仕込み、−78℃で減圧して空気を除去した。25℃に昇温した後、20bar(2MPa)の水素圧力を加え、300rpmにて12時間攪拌した。反応器を開いて反応溶液をシリカゲルに通過させて触媒を除去した後、溶媒を真空減圧して除去することにより、純粋な化合物77gを得た(収率100%、選択性100%)。]
[0140] 図9は純粋に分離されたトリシクロペンタジエン化合物の1HNMRスペクトル、図10は水素化反応して得られた化合物の1H NMRスペクトル、図11は13C NMRスペクトルをそれぞれ示す。図10を参照すると、図9と比較したとき、ノルボルネン類型のオレフィン基を示す6ppm部分の1つのピークが消えたこと、およびシクロルペンテン類型のオレフィン基を示す5.4〜5.7ppm部分の2つのピークが依然として残っていることを確認することができる。また、図11の13C NMRを参照すると、シクロペンテン類型のオレフィン基の炭素を示す132ppm部分の2つのピークと、ノルボルネン類型のオレフィン基が水素化反応された炭素を含む脂肪族炭素を示す20ppm〜50ppm部分の13つのピークを確認することができる。これはノルボルネン類型のオレフィン基のみが100%選択的に水素化反応したことを示唆する。] 図10 図11 図9
[0141] 実施例17
トリシクロペンタジエン(3.2g、0.016mol)、製造例1から得られる化合物(9.1mg、0.016mmol)およびトルエン(10mL)を一緒に高圧反応器に仕込み、−78℃で減圧して空気を除去した。25℃に昇温した後、水素圧力10bar(1MPa)を加えて12時間攪拌した。反応器を開いて反応溶液をシリカゲルに通過させて触媒を除去した後、溶媒を真空減圧して除去することにより、純粋な化合物3.2gを得た(収率100%、選択性100%)。1Hと13CNMR分析の結果、図10および図11と同一のスペクトルが得られた。] 図10 図11
[0142] 実施例18
トリシクロペンタジエン(70mg、0.353mmol)、製造例2から得られる化合物(2.0mg、3.53μmol)、および重水素化ベンゼン(0.3mL)を共にNMRチューブに仕込み、−78℃で減圧して空気を除去した。25℃に昇温した後、水素を常圧で加え、12時間後にNMRによって反応結果を確認した。1Hと13CNMR分析の結果、図10および図11と同一のスペクトルが得られた。] 図10 図11
[0143] 実施例19
トリシクロペンタジエン(63mg、0.318mmol)、製造例3から得られる化合物(2.0mg、3.17μmol)、および重水素化ベンゼン(0.3mL)を共にNMRチューブに仕込み、−78℃で減圧して空気を除去した。25℃に昇温した後、水素を常圧で加え、12時間後にNMRによって反応結果を確認した。1Hと13CNMR分析の結果、図10および図11と同一のスペクトルが得られた。] 図10 図11
[0144] 実施例20
ジシクロペンタジエン(4.6g、34.99mmol)、前記製造例1から得られる化合物(2mg、0.0035mmol)、および塩化メチレン(20mL)を共に高圧反応器に仕込み、−78℃で減圧して空気を除去した。25℃に昇温した後、水素圧力20bar(2MPa)を加えて6時間攪拌した。反応器を開いて反応溶液をシリカゲルに通過させて触媒を除去した後、溶媒を真空減圧して除去することにより、純粋な化合物4.6gを得た(収率100%、選択性100%)。]
[0145] 図12は市中で購入したジシクロペンタジエンの1HNMRスペクトル、図13は水素化反応して得られた化合物の1H NMRスペクトル、図14は13C NMRスペクトルをそれぞれ示す。図13を参照すると、図12と比較したとき、ノルボルネン類型のオレフィン基を示す5.5ppm部分の1つのピークが消え、シクロペンテン類型のオレフィン基のみが5.4〜5.8ppm残っていることを確認することができる。また、図14の13C NMRを参照すると、シクロペンテン類型のオレフィン基の炭素を示す132ppm部分の2つのピークとノルボルネン類型のオレフィン基が水素化反応された炭素を含む脂肪族炭素を示す20ppm〜50ppm部分の8つのピークを確認することができる。これはノルボルネン類型のオレフィン基のみが100%選択的に水素化反応したことを示唆する。] 図12 図13 図14
[0146] 比較例1
窒素雰囲気下でNMRチューブにCp2TiCl2(1.1mg、4.5μmmol)、ブチルリチウム(2.5Mヘキサン溶液)(12.4mg、45μmol)およびトリシクロペンタジエン(30mg、0.15mmol)を仕込み、重水素化ベンゼンに溶かした後、−78℃で減圧し、しかる後に、常温および常圧で水素を充填する。5時間の後、ノルボルネン類型のオレフィン基が全て水素化反応する前にシクロペンテン類型のオレフィンも水素化反応し始めることをNMRによって確認した。]
[0147] その結果、反応初期から2つのオレフィン基が同時に水素化反応に参加することを確認することができたとともに、10時間後にはいずれのオレフィン基も全て還元されたことを確認することができた。図15は2つのオレフィン基が全て還元された化合物の1HNMRスペクトルを示す。] 図15
[0148] 比較例2
窒素雰囲気下でNMRチューブにRh/Al(16mg)とトリシクロペンタジエン(30mg、0.15mmol)を仕込み、重水素化ベンゼンに溶かした後、−78℃で減圧し、しかる後に、常温および常圧で水素を充填する。1時間の後、ノルボルネン類型のオレフィン基が全て水素化反応する前に、シクロペンテン類型のオレフィンも水素化反応し始めることをNMRによって確認した。]
[0149] その結果、反応初期から2つのオレフィン基が同時に水素化反応に参加することを確認することができた。また、5時間後にはいずれのオレフィン基も全て還元され、図15の1HNMRスペクトルと同一のスペクトルが得られた。] 図15
[0150] 比較例3
窒素雰囲気下でNMRチューブにPd/C(8mg、0.08mmol)とトリシクロペンタジエン(30mg、0.15mmol)を仕込み、重水素化ベンゼンに溶かした後、−78℃で減圧し、しかる後に常温、常圧で水素を充填する。1時間の後、ノルボルネン類型のオレフィン基が全て水添される前に、シクロペンテン類型のオレフィンも水素化反応し始めることをNMRによって確認した。]
[0151] その結果、反応初期から2つのオレフィン基が同時に水素化反応に参加することを確認することができた。また、6時間後にはいずれのオレフィン基も全て還元され、図15の1HNMRスペクトルと同一のスペクトルが得られた。] 図15
[0152] 比較例4
ジシクロペンタンジエン(4.6g、34.99mmol)、Pd/C(500mg、4.70mmol)、および塩化メチレン(20ml)を共に高圧反応器に仕込み、−78℃で減圧して空気を除去した。25℃に昇温した後、水素圧力20bar(2MPa)を加え、2時間攪拌した。反応器を開いて反応溶液をシリカゲルに通過させ、触媒を除去した後、溶媒を真空減圧して除去することにより、純粋な化合物を得た。]
実施例

[0153] 図16は2つのオレフィン基が全て還元された化合物の1HNMRスペクトルを示す。] 図16
权利要求:

請求項1
下記化学式1で表される繰返し単位を含む環状オレフィン系高分子化合物。化学式1(式中、aは0または1であり、x:yのモル比は99:1〜1:99であり、zは平均値が10〜20,000である。)
請求項2
下記化学式2で表される繰返し単位を含むことを特徴とする、請求項1に記載の環状オレフィン系高分子化合物。化学式2
請求項3
下記化学式7で表される繰返し単位を含むことを特徴とする、請求項1に記載の環状オレフィン系高分子化合物。化学式7
請求項4
x:yのモル比は90:10〜50:50であり、zは平均値が500〜3000であることを特徴とする、請求項1に記載の環状オレフィン系高分子化合物。
請求項5
下記化学式4で表される繰返し単位をさらに含み、x:(y+o)のモル比は10:90〜90:10であることを特徴とする、請求項2に記載の環状オレフィン系高分子化合物。化学式4(式中、Rは水素原子、または炭素原子数1〜6のアルキル基またはフェニル基である。)
請求項6
Rは水素原子であることを特徴とする、請求項5に記載の環状オレフィン系高分子化合物。
請求項7
下記化学式6で表される化合物を、トリメチルアルミニウム単独でまたはトリイソブチルアルミニウムとの化合物を部分加水分解して得られる化合物としてのメチルアルミノキサン、Al(R3)3(ここで、R3は互いに同じでも異なってもよく、ハロゲンラジカル、炭素数1〜20のヒドロカルビルラジカルである)、B(Arf)3(ここで、Arfはフッ素原子で置換されたアリール基である)、および[L]+[B(Arf)4]−(ここで、Arfは前記定義と同様であり、[L]+はカルボカチオンまたは3級アンモニウムである)の中から選ばれた単独または2種以上の組み合わせを助触媒として用いて活性化させた触媒の存在下に、下記化学式3で表される化合物または化学式8で表される化合物をエチレンと共にビニル重合することにより、下記化学式1で表される繰返し単位を含む環状オレフィン系高分子化合物を製造する方法。化学式1(式中、aは0または1であり、x:yのモル比は99:1〜1:99であり、zは平均値が10〜20,000である。)化学式3化学式6(式中、MはTi、ZrまたはHfであり;Xはハロゲン、または炭素数1〜20のアルキル基であり;R1は互いに同じでも異なってもよく、水素ラジカル、炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基であり;R2は互いに同じでも異なってもよく、水素ラジカル、炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基である。)化学式8
請求項8
化学式3で表される化合物および下記化学式5で表される化合物をエチレンと反応させることを特徴とする、請求項7に記載の方法。化学式5(式中、Rは水素原子、または炭素原子数1〜6のアルキル基またはフェニル基である。)
請求項9
化学式6で表される化合物における、MはTi、Xはメチル基または塩素ラジカル、R1およびR2は全てメチル基をそれぞれ示し;Al(R3)3におけるR3はメチル基、エチル基またはイソブチル基を示し;B(Arf)3におけるArfはペンタフルオロフェニル(C6F5)基を示し;[L]+[B(Arf)4]−における、Arfはペンタフルオロフェニル(C6F5)基、[L]+は[Ph3C]+または[PhNMe2H]+をそれぞれ示すことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
請求項10
化学式3で表される化合物または化学式8で表される化合物は、N−複素環カルベンによって配位されたパラジウム化合物を触媒として用いて、下記化学式9で表される化合物のオレフィン基を選択的に水素化して得られることを特徴とする、請求項7に記載の方法。化学式9(ここで、n=0または1である。)
請求項11
N−複素環カルベンによって配位されたパラジウム化合物は下記化学式10で表される化合物の中から選択されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。化学式10(式中、R1とR4は、独立に、N、O、Sなどのヘテロ原子で置換された或いは置換されていない炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜30のアリール基から選択され;R2とR3は、独立に、N、O、Sなどのヘテロ原子で置換された或いは置換されていない炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜30のアリール基または水素原子から選択され;X1とX2は、独立に、ハロゲンリガンド、置換もしくは無置換のアリルリガンド、およびカルボキシレートリガンドから選択されるか、或いはオレフィンリガンドおよび溶媒リガンドから選択され;2つの化合物がダイマーとして存在しうる。)
請求項12
化学式10で表される化合物において、R1とR4は全て2,6−ジイソプロピルフェニル(2,6−iPr2C6H3−)であり;R2とR3は全て水素原子であり;X1とX2は全て塩素またはアセテートであってもよく、この場合、2つの化合物がダイマーとして存在し、或いは一つは塩素、もう一つはアリルである化合物であることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
請求項13
N−複素環カルベンによって配位されたパラジウム化合物を触媒として用いて、下記化学式11で表される化合物のオレフィン基を選択的に水素化することにより、下記化学式12で表される化合物を製造する方法。化学式11(ここで、n=0〜10である。)化学式12(ここで、n=0〜10である。)
請求項14
化学式11で表される化合物と化学式12で表される化合物はnが0または1の化合物であることを特徴とする、請求項13に記載の製造方法。
請求項15
N−複素環カルベンによって配位されたパラジウム化合物は下記化学式10で表される化合物の中から選択されることを特徴とする、請求項13に記載の製造方法。化学式10(式中、R1とR4は、独立に、N、O、Sなどのヘテロ原子で置換された或いは置換されていない炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜30のアリール基から選択され;R2とR3は、独立に、N、O、Sなどのヘテロ原子で置換された或いは置換されていない炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜30のアリール基または水素原子から選択され;X1とX2は、独立に、ハロゲンリガンド、置換もしくは無置換のアリルリガンド、およびカルボキシレートリガンドから選択されるか、或いはオレフィンリガンドおよび溶媒リガンドから選択され;2つの化合物がダイマーとして存在しうる。)
請求項16
化学式10で表される化合物において、R1とR4は全て2,6−ジイソプロピルフェニル(2,6−iPr2C6H3−)であり;R2とR3は全て水素原子であり;X1とX2は全て塩素またはアセテートであってもよく、この場合、2つの化合物がダイマーとして存在し、或いは一つは塩素、もう一つはアリルである化合物であることを特徴とする、請求項15に記載の製造方法。
請求項17
N−複素環カルベンによって配位されたパラジウム化合物からなる、反応性が互いに異なる2つのオレフィン基を持っている化合物において一つのオレフィン基のみを選択的に水素化するための触媒。
請求項18
反応性が互いに異なる2つのオレフィン基を持っている化合物は下記化学式11で表されることを特徴とする、請求項17に記載の触媒。化学式11(ここで、n=0〜10である。)
請求項19
反応性が互いに異なる2つのオレフィン基を持っている化合物は、化学式11においてnが0または1の化合物であることを特徴とする、請求項18に記載の触媒。
請求項20
下記化学式10で表される化合物の中から選択されることを特徴とする、触媒。化学式10(式中、R1とR4は、独立に、N、O、Sなどのヘテロ原子で置換された或いは置換されていない炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜30のアリール基から選択され;R2とR3は、独立に、N、O、Sなどのヘテロ原子で置換された或いは置換されていない炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜30のアリール基または水素原子から選択され;X1とX2は、独立に、ハロゲンリガンド、置換もしくは無置換のアリルリガンド、およびカルボキシレートリガンドから選択されるか、或いはオレフィンリガンドおよび溶媒リガンドから選択され;2つの化合物がダイマーとして存在しうる。)
請求項21
化学式10で表される化合物は、R1とR4は全て2,6−ジイソプロピルフェニル(2,6−iPr2C6H3−)であり;R2とR3は全て水素原子であり;X1とX2は全て塩素またはアセテートであってもよく、この場合、2つの化合物がダイマーとして存在し、或いは一つは塩素、もう一つはアリルである化合物であることを特徴とする、請求項20に記載の触媒。
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