![]() 分子の化学的特性をコンピュータによって決定するためのシステム、方法および媒体
专利摘要:
(分子などの)開放系の既約束および結合束を特定する方法について記載する。分子の化学的特性を決定する方法、コンピュータシステムおよびコンピュータ可読媒体も提供される。 公开号:JP2011514362A 申请号:JP2010550922 申请日:2009-03-16 公开日:2011-05-06 发明作者:マーク;イー エバーハート;トラヴィス;イー ジョーンズ 申请人:コロラド・スクール・オブ・マインズ; IPC主号:C07B61-00
专利说明:
[0001] 本願は、35USC§119(e)(米国特許法第119条(e)項)の下に、「Systems, Methodsand Media for Computationally Determining Chemical Properties of a Molecule」という名称の、2008年3月14日出願の米国特許出願第61/036,777号の優先権の利益を主張するものであり、その特許出願の開示全体を参照によって本明細書に援用する。 連邦政府による資金提供を受けた研究 本願は、少なくとも一部において、認可番号ONR FRS 442553およびDARPAFRS 442658による援助を受けたものである。米国政府は、本発明に一定の権利を有し得る。 本開示は一般に、化学構造をモデル化し、それらの化学的特性、およびそれらの個々の結合からの寄与への分配を決定するために用いられる方法、コンピュータシステムならびにコンピュータ可読媒体に関する。] 背景技術 [0002] 分子設計の分野は、分子および固体の化学的特性および物理的特性を操作できることに関わるものである。これは、まず分子または固体の特性を測定または計算し、次いで、こうした特性を分子の原子および結合の間でどのように分配するかを決定することによって実施される。特性は、分子の原子および結合の小さいサブセットによることがしばしばであり、その場合、この群は官能基と呼ばれる。設計は、最適な特性をもたらすように、官能基を体系的に変化させることによって実施される。したがって、分子をそれらの官能領域に分割できることが、分子設計の本質的で実現可能にする構成要素である。 分子の化学的特性および物理的特性は、直接的な測定または計算によって決定することが可能である。また、こうした計算を実施するために利用可能な多くのコンピュータ技術が存在する。しかしながら、分子をその官能領域に分割するということになると、数少ない方法しか存在しない。最も広く用いられ、受け入れられている方法論は、Bader, R. F. W., Atoms in Molecules: A Quantum Theory, Clarendon Press: Oxford, UK, 1990によって示される位相幾何学的な手法である。Barderは、分子内の原子の間の境界を特定することを可能にする分割法を構築した。こうした位相幾何学的な原子の特性は、分子特性に関する対応する値を得るのに明確かつ加法的である。例えば、原子領域のエネルギーを合計して、分子のエネルギーを得ることができる。原子の他の特性を決定することも可能であり、個々の原子または原子の群のこうした特性への寄与を算定することも可能である。] 発明が解決しようとする課題 [0003] しかしながら、Barderの分割法では、化学結合間で特性を分配することができない。化学的性質は原子ではなく結合の扱いに関係するため、各結合の間で特性を分配することができる方法を開発することは、発展途上の分子設計分野にとって極めて重要である。本開示は、この要求および他の要求に対処するものである。] 課題を解決するための手段 [0004] 本開示は、分子または固体の結合束(bond bundle)の特定に関連する方法を提供する。これは4ステップの処理によって行われ、すなわち、1)1つまたは複数の固有の電荷密度勾配経路を特定する、2)その固有の勾配経路を含む固有の勾配面を特定する、3)これらによって、既約束(irreducible bundle)として知られる多面体の面を画定する、4)こうした既約束を組み合わせて結合束を形成する。] [0005] まず、固有の電荷密度勾配経路を特定する。これは、分子内の定電荷等値面を画定することによって行われる。次いで、電荷密度勾配ベクトルの大きさを定電荷等値面上にマップする。次いで、等値面上の電荷密度勾配ベクトルの1つまたは複数の極小点、極大点および/または鞍点を特定する。極小点、極大点および/または鞍点を、勾配経路に沿って対応する臨界点に接続することにより、固有の電荷密度勾配経路を画定する。 次いで、固有の電荷密度勾配経路を組み合わせることによって、既約束を構成する。共通の結合臨界点を共有する既約束を合わせて、結合束を特定する。次いで、結合束から分子特性を決定することができる。 コンピュータシステム、コンピュータに実装可能な方法、およびその方法を実施するように構成されたコンピュータ可読媒体も提供される。] 図面の簡単な説明 [0006] ベンゼンにおける電荷密度の面プロットを示す図である。 複数の面がナフタレンの原子を囲む、等電荷の不連続な等値面を示す図である 図3Aの定電荷等値面にマップされた電荷密度勾配ベクトルの大きさを示す図である。 定電荷等値面にマップされた電荷密度の極大点、極小点および鞍点を示す図である。 マッピングの鞍点を特定することによって決定された、リング臨界点とナフタレンの炭素原子との間の固有の電荷密度勾配経路を示す図である。 ナフタレンの原子臨界点および結合臨界点を含む定電荷等値面を示す図である。 図3Aの定電荷等値面へのナフタレンの電荷密度勾配ベクトルのマッピングを示す図である。 結合CPとリングCPの間の固有の電荷密度勾配経路を示す図である。 エテンの分子平面における電荷密度の等高線プロットを示す図である。 炭素−炭素軸を含む垂直平面における電荷密度の等高線プロットを示す図である。 図4から既約束の縁部を形成する固有の勾配経路を示す図である。 既約束の縁部を含むゼロフラックス面を示す図である。 A)エタン、B)ベンゼン、C)エチレンおよびD)アセチレンの場合の炭素−炭素結合付近の結合束を示す図である。 ベンゼンの結合束の特定について示す図である。 本開示による、分子または固体の特性を決定するために用いることができるコンピュータシステムのブロック図である。 図8のコンピュータシステムのそれぞれの処理の流れ図である。 図8のコンピュータシステムのそれぞれの処理の流れ図である。 図8のコンピュータシステムのそれぞれの処理の流れ図である。 図8のコンピュータシステムのそれぞれの処理の流れ図である。 図8のコンピュータシステムのそれぞれの処理の流れ図である。] 図8 実施例 [0007] 本開示は、化学構造をモデル化し、分子の化学的特性を決定するために用いられる方法、コンピュータに実装可能な方法、コンピュータシステム、コンピュータ可読媒体および図形処理を提供する。これらには、電荷密度の固有の勾配経路を特定する方法が含まれる。固有の勾配経路は空間を既約束に分割し、既約束を組み合わせて結合束を生成することができる。次いで、これらを用いて開放系、例えば分子および面などの系の特性を予測することができる。出力は、固有の電荷密度勾配経路、既約束、結合束および分子特性の図形表示を含む。] [0008] I.電荷密度と分子構造および結合の関連付け 基底状態の分子特性が電荷密度、すなわちρ(r)として表されるスカラー場によることが、ホーヘンベルグ−コーン(Hohenberg−Kohn)の定理によって知られている。電荷密度は分子の構造の本質も包含するはずであり、そのことは、例えば、Bader, R. F. W., Atoms in Molecules: A Quantum Theory, Clarendon Press: Oxford, UK, 1990、 Zou, P. F., Bader, R. F. W., A Topological Definition of a Wigner-Seitz Cell and the Atomic Scattering Factor, Acta Crystallographica A 1994, 50, 714-725、およびBader, R. F. W.; Nguyen-Dang, T. T.; TaI, Y., Quantum Topology of Molecular Charge Distributions II: Molecular Structure and its Charge, The Journal of Chemical Physics 1979, 70, (9), 4316-4329に示されるように、その臨界点(CP)、すなわちこの場の勾配のゼロ点に関して位相幾何学的に記述することができる。] [0009] 3次元空間には4種類のCP、すなわち極小点、極大点、および2種類の鞍点が存在する。これらのCPは、正の曲率の数から負の曲率の数を引いた指標によって表される。例えば、極小CPは3つの直交方向において正の曲率を有し、(3,3)CPとして表される。最初の数は単に空間の次元数であり、2番目の数は正の曲率の正味の数である。極大点は3つの曲率すべてが負であるため、(3,−3)によって表される。3つの曲率のうちの2つが負である鞍点は(3,−1)と表され、他方の鞍点は(3,1)CPである。 電荷密度の位相幾何学的な特性を、分子構造および結合の各要素と関連付けることが可能である。結合経路は、この経路に沿った密度が近くの経路のいずれに対しても極大点になるような、2つの原子核を結ぶ極大の電荷密度の稜線と関連している。そうした稜線が存在することは、原子核間の(3,−1)CPの存在によって保証される。したがって、2つの原子核間の稜線のCPは結合CP(bond CP)と呼ばれる。他のタイプのCPは、分子構造の他の特徴と関連付けられてきた。(3,1)CPは、位相幾何学的には、例えばベンゼンなどの環状構造の中心に必要とされる。それに応じて、それはリングCP(ring CP)と呼ばれる。ケージ構造はただ1つの(3,3)CPを特徴とし、やはりケージCP(cage CP)という記述的な名称が与えられている。原子核は常に、極大点、すなわち(3,−3)CPと一致することが見出され、したがって原子CP(atom CP)と呼ばれる。] [0010] 図1は、ベンゼンにおける電荷密度の面プロットを示している。6つの大きい極大点(1つが無地の黒い円でラベル付けされている)は炭素原子に対応し、6つのより小さい極大点(そのうちの5つしか見えていない)は水素原子に対応する。隣接する原子CP間の結合経路は、極大点を結ぶ極大の電荷密度の稜線として現れる。1つの炭素−炭素結合の経路に沿った結合CPが、灰色の点でラベル付けされている。最後に、6員炭素環の中心における極小点はリングCPである。 ただ1つの原子核を含む領域が存在し、特性はその領域について、対応する分子特性の値を得るのに明確かつ加法的である。例えば、こうした領域のエネルギーを合計して、分子のエネルギーを得ることができる。これらの領域は、「分子内原子」または「Barder原子」と呼ばれる。Barder原子の境界を描くのに十分な条件は、電荷密度の勾配におけるゼロフラックス面(ZFS、zero flux surface)としても知られ、この提案では単にゼロフラックス面(zero−flux surface)と呼ぶゼロフラックスの面によって、Barder原子の境界が定められることである。] 図1 [0011] すべての分子または固体は、それぞれが面Sによって境界を定められるようなボリュームΩjに分割することが可能であり、この場合、S上のすべてのrについて、▽ρ(r)・n(r)=0であり、nはrにおけるSに対する法線である。Ω全体にわたって観察可能な の値は、 として定義される。 ここで、ρA(r)は の特性の密度、すなわち、 である。] [0012] Nは系内の電子の数であり、τ’はこれらのうちのN−1のスピンおよび空間座標である。ボリュームがゼロフラックス面によって境界を定められる条件下でのみ、観察可能なものに関する分子の値がそれぞれのΩjからのその寄与の合計によって与えられること、換言すれば、 であることが見出される。] [0013] Bader原子に加えて、ただ1つの電荷密度の極小値、すなわちケージ臨界点を囲むゼロフラックス面によって境界を定められるボリュームを、例えばPendas, A. M.; Costales, A., Luana, A., Ions in crystals: The Topology of the Electron Density in Ionic Materials I: Fundamental, Physical Review B 1997, 55, (7), 4275-4284に記載されるように構成することもできる。] [0014] こうした分割に加えて、Eberhartは、空間を既約束としてゼロフラックス面によって境界が定められるボリュームに分割する、極めて細く化学的に意味のある分割について記載しており、Eberhart, M., A Quantum Description of the Chemical Bond, Philosophical Magazine B 2001, 81, (8), 721-729を参照されたい。] [0015] 各既約束は、リングCP、結合CP、ケージCPおよび原子CPと一致する4つの頂点を有する4面体に位相同形である。4面体の6つの縁部は、勾配経路(GP)に対応する(表1参照)。こうした勾配経路の一部は、例えば原子CPと結合CPを結ぶものなどユニークである。他方では、例えば原子とケージなど、他のCPを結ぶ無数のGPが存在する。そのような場合、既約束の縁部を画定するのに利用されるのは、最小長さの勾配経路である。次いでその4つの面が、その縁部を含む極小領域のZFSとして画定される。既約束に含まれるすべての勾配経路は、同じケージCPから始まり、同じ原子CPで終わる。] [0016] 既約束を様々に束ね、任意の電荷密度の位相を生じさせることができる。Bader原子は、同じ原子CPを共有するすべての既約束の結合体である。結合束は、共通の結合CPを共有する既約束の結合体(組み合わせ)として定義される。この定義では、分子を、それぞれがただ1つの結合臨界点および結合経路を含む空間充填領域(space−filling region)に分割することができる。この領域の特性は結合の特性であり、合計して分子特性を得ることが可能である。] [0017] II.開放系における結合の特定 前述の既約束を記述する従来の方法は、既約束の1つの頂点がケージCP、もう1つの頂点がリングCPでなければならず、かつそのどちらも分子などの開放系内に存在する必要がないために不利である。例えば、ベンゼンの既約束を特定する従来の方法は、4つの臨界点の特定を必要とする。しかし、唯一のケージ点は漸近的な極小点である。したがって、このケージ点をリング点、結合点および原子点につなぐ最短長さのGPは、従来の手法によって位置を特定することができない。したがって、既約束を構成することができない。 本明細書に開示される方法は、開放系におけるすべての臨界点を特定する必要を省くことによって、この問題を解決する。これは、ここでは固有の勾配経路と呼ぶ、電荷密度における固有の勾配経路を特定することによって実施される。最も急ではない降下、最も急な降下および鞍形の降下であるこれらの経路が、既約束の縁部になる。これらは、電荷密度について位相幾何学的に必要な特徴であるため、ケージCPおよびリングCPがなくても画定することができる。] [0018] A.固有の電荷密度勾配経路の特定 本明細書に開示される方法は、まず分子内に3次元的な定電荷等値面を画定することによって、電荷密度における固有の勾配経路の特定を処理する。次いで、電荷の勾配の大きさを定電荷等値面にマップするが、ここではマッピングと呼ぶ。等値面上に、電荷密度勾配ベクトルの1つまたは複数の極小点、極大点および/または鞍点が特定される。マッピングでは、ただ1つの勾配経路がこれらの臨界点のそれぞれを通過する。これらを固有の勾配経路と呼ぶ。したがって固有の勾配経路は、電荷の等値面内に含まれる臨界点を、定電荷等値面上の電荷密度の勾配の大きさにおける極小点、極大点または鞍点とつなぐ経路である。] [0019] 以下では、こうしたステップのそれぞれについてさらに詳しく論じる。 1.定電荷等値面 最初のステップでは、分子のまわりの定電荷等値面が選択される。一般に、等値面は1つまたは複数の閉じた2次元の面を形成する。したがって様々な実施形態において、定電荷等値面は、それぞれが別々のCPを囲む複数の不連続面、CPの群を囲む複数の電荷密度面、または分子のすべてのCPを囲むただ1つの定電荷等値面を含むことができる。 定義により、定電荷等値面上のすべての点は同じ電荷を有する。等値面の値が、特定の固有の勾配経路を構成するのに用いられる臨界点での電荷密度の値より小さければ、等値面の選択は重要ではない。特定の実施形態では、定電荷等値面の電荷の大きさは任意の値として選択される。他の実施形態では、等電荷の大きさは、分子内のすべての原子CP、分子内のすべての結合CP、分子内のすべてのリングCP、または分子内のすべてのCP(漸近的な極小点を除く)を含むようにあらかじめ選択される。 定電荷等値面は、既知の分子の電荷分布から求められる。電荷分布は、コンピュータによる方法および実験による方法を含む、当技術分野で知られている任意の方法によって求めることができる。 様々なコンピュータに実装可能な方法では、分子のポテンシャル、電荷密度場および他の特性を、当技術分野で知られている任意の座標系を用いて数学的に表すことができる。] [0020] 2.電荷密度ベクトルの大きさのマッピング 本明細書に開示される方法では、電荷密度勾配ベクトルの大きさ|▽ρ|Ωが決定され、定電荷等値面にマップされる。|▽ρ|Ωはスカラー場であり、したがって、この2次元の面上において、|▽ρ|Ωは極大点、極小点および鞍点を伴うその独自の位相を有する。 電荷密度は、当技術分野で知られている任意のコンピュータによる方法または実験による方法によって決定することができる。コンピュータによる計算は、Levin Quantum Chemisty 2008 (Prentice Hall; 6 edition)に記載されるハートリー−フォック(Hartree−Fock)法または密度汎関数法を用いるものなど、当技術分野で知られている非経験的計算を含むことができる。あるいは電荷密度を、当技術分野で知られているX線回折測定によって決定することができる。 コンピュータに実装可能な方法では、コンピュータのサブルーチンを用いて、電荷密度勾配場の大きさを定電荷等値面にマップすることができる。等値面上の電荷密度勾配場の大きさは、電荷密度から計算することができる。] [0021] 3.固有の電荷密度勾配経路を特定するための、電荷密度の等値面上の1つまたは複数の極大点、極小点および/または鞍点の特定 次いで、定電荷面上の1つまたは複数の極小点、極大点および/または鞍点が特定される。極大点および極小点は、極大点または最大点および極小点または最小点とすることができる。特定された極大点、極小点および/または鞍点のそれぞれを、最も急な降下、最も急ではない降下または鞍形の降下の固有の勾配経路がそれぞれ通過する。固有の勾配経路を、図形表示として表すことができる。 代表的な分子であるナフタレンについて、固有の経路を特定するためのコンピュータに実装可能な方法の例を図2および3に示す。ナフタレンは、共通の芳香族結合を共有する2つのシクロヘキシル芳香環を有する。固有の勾配経路、これらの経路から形成される既約束、および最終的に既約束から形成される結合束を決定することができる。 図2Aでは、まず定電荷等値面が、分子内の原子CPのみを囲む電荷密度を含むように選択される。したがって、定電荷等値面は分子内に、それぞれの炭素原子および水素原子を囲む空間的につながっていない複数の面を含む。 次いで、電荷密度勾配ベクトルの大きさが、図2Aで選択された定電荷等値面にマップされる。図2Bは、電荷密度勾配ベクトルをナフタレンの定電荷等値面にマッピングした状態を示している。 次いで、定電荷等値面にマップされた電荷密度勾配ベクトルの大きさの極小点、極大点および/または鞍点を特定する。図2Cは、ナフタレンについて、一定の電荷密度の等値面にマップされた電荷密度勾配の大きさを示している。特定の実施形態では、極小点、極大点および/または鞍点は、マッピング関数の勾配のゼロ点を特定することによって求められる。] [0022] マッピングの極小点、極大点および/または鞍点を通る勾配経路が、固有の勾配経路である。図2Dは、ナフタレンの鞍点と炭素の原子臨界点との間の接続を示している。結合CPから原子CPへのもう1つの鞍点を構成することができる。したがって、a)それぞれの結合CPと原子CP、b)リングCPと原子CP、およびc)ケージCPと原子CPの間にある固有の勾配経路が決定される。 次いで、a)リングCPと結合CP、b)ケージCPと結合CP、およびc)ケージCPとリングCPの間の固有の勾配経路が、別の定電荷等値面を選択することによって決定される。図3Aでは、炭素の原子CP、ならびにナフタレンの炭素原子間の結合CPを含む別の定電荷等値面が選択されている。図3Bは、定電荷等値面へのマッピングを示している。次いで極大点、極小点および鞍点が特定される。] [0023] マッピングの極小点を通り、結合CPで終わる勾配経路が、無限遠にあるケージCPを結合CPにつなぐ固有の勾配経路である。したがって、固有の電荷密度勾配経路を決定するために、無限遠にあるCPの位置を特定する必要はない。 異なる固有の電荷密度勾配経路を決定する際に、別々の定電荷等値面を画定することができるが、他の実施形態では、ただ1つの電荷密度勾配経路を選択することが可能であることが当業者には理解されるであろう。] [0024] B.既約束および結合束の構成 次いで、固有の電荷勾配経路を用いて既約束を形成することができる。既約束は、共通の起点および終点を有する勾配経路の「束」から形成される多面体である。既約束の頂点は臨界点であり、縁部は臨界点をつなぐ勾配経路である。本方法では、既約束の縁部は固有の勾配経路に一致しており、したがって、最初に既約束の頂点すべての位置を特定することなく既約束の縁部を特定することが可能である。既約束の面は、固有の勾配経路によって境界を定められる、電荷密度の勾配におけるゼロフラックスの極小領域の面である。 コンピュータに実装可能な既約束を構成するための方法では、コンピュータのサブルーチンを用いて既約束を組み合わせることができる。既約束は、コンピュータ出力の図形表示など、明確な出力として表現することができる。次いで、共通の結合CPを共有する既約束の組み合わせから、結合束が構成される。 図6は、一連のエタン、ベンゼン、エテンおよびアセチレンによる炭素−炭素の結合束の違いを示している。A)エタン、B)ベンゼン、C)エチレンおよびD)アセチレンの場合、結合束はそれぞれのC−C結合の経路に近付く。示した結合束はすべて無限の広がりを有しているが、見やすくするために先端が切られている。エタンは、交差する球について先端が切られている。ベンゼンおよびエチレンは±z方向に先端が切られ、アセチレンは交差する円筒に対して先端が切られている。 既約束および結合束の特定について説明するために、図4および図6Cに示す平坦なエテン分子を考える。図4Aおよび4Bを参照すると、炭素の原子CPおよび炭素−炭素の結合CPのまわりの固有の勾配経路が、実線および点線として示されている。図4Aには、炭素の原子CPで終わる分子平面内の6つの固有の勾配経路が存在する。これらのうちの3つは、炭素−炭素結合、および炭素−水素結合のそれぞれの間に位置する結合経路(降下が最も急ではない勾配経路)である。無限遠で始まる3つの経路は、鞍形の降下のものである。図4Bにおいて、炭素の原子CPで終わり、垂直平面に含まれる残りの2つの固有の勾配経路は、最も急な降下の勾配経路である。] [0025] その対称性により、固有の勾配経路は、炭素の原子核を含む分子平面または垂直平面の中に位置する。それぞれの炭素の位置にある原子CPのまわりの分子平面内には、6つの固有の勾配経路、すなわち、それぞれ3つの鞍形の降下および最も急ではない降下が存在する。最も急ではない降下は、この平面内の結合経路、すなわち、2つの炭素−水素結合および1つの炭素−炭素結合に対応する。垂直平面内には、さらに2つの最も急な勾配の勾配経路が見出される。炭素−炭素の結合CPのまわりには、6つの固有の勾配経路、すなわち分子平面内の2つの鞍形の降下、垂直平面内の2つの最も急ではない降下、および結合点から炭素の原子CPへ延び、炭素−炭素の結合経路を形成する2つの経路が見出される。 実線として示す固有の勾配経路は、ただ1つの既約束の縁部である。図5Aに示すように、これらの固有の勾配経路は既約束の縁部に沿って存在する。これらの縁部を含むゼロフラックス面を図5Bに示すが、ゼロフラックス面は共に既約束の境界を形成する。対称性によって、炭素−炭素の結合CPを共有する8つの既約束が存在する必要があることに留意されたい。炭素−炭素の結合CPをその頂点の1つとして共有する8つの既約束が存在する。全体として考えると、これらが図6Cに示すエテンの炭素−炭素の結合束を構成する。] [0026] もう1つの例として図6Bのベンゼンを取り上げると、結合束は、ベンゼン環の1つの炭素−炭素結合のまわりの8つの既約束の結合体から作られる。既約束はそれぞれ、頂点として4つの臨界点、すなわち原子CP、結合CP、リングCPおよびケージCPを有する。固有の電荷密度勾配経路がCPをつなぐ。第1の既約結合束は、固有の電荷密度勾配経路を原子CPから中心の経路に沿って、環の中心まで延ばすことによって求められる。第2の固有の電荷密度勾配経路は、結合CPの中点から隣接する炭素の原子CPの1つまで延ばすことによって求められる。第3の固有の電荷密度勾配経路は、リングCPから結合CPまで延びる。これは既約束の基本である。既約結合束のボリュームは、それぞれの原子CP、結合CPおよびリングCPから、ベンゼン環の平面の上を無限遠にあるケージCPに向かって広がる。] [0027] 第2の既約束の基部は、同じリングCPおよび結合CPから結合内の別の原子CPまで形成される。既約束のボリュームは、ベンゼン環の平面の上をケージCPに向かって広がる。第3および第4の既約束は、ベンゼン環の平面の下をベンゼン環のケージ点に向かって広がる。] [0028] C.結合特性の計算 前述の構成を用いて、分子を、それぞれがただ1つの結合を含む重複しない空間充填領域に分割することができる。これらの領域のそれぞれは、電荷密度の勾配におけるゼロフラックスの非任意の面によって境界が定められる。したがって、結合のエネルギー(または他の広範な特性)は、結合束全体にわたる適切な積分を評価することによって決定することができる、すなわち、量子力学的に観察可能な によって与えられる特性の場合、結合特性Aの値は、 によって与えられる。 ここで、Ωは結合束に一致する空間の領域であり、ρA(r)は の特性の密度、すなわち、 である。 Nは系内の電子の数であり、τ’はこれらのうちのN−1のスピンおよび空間座標である。] [0029] 当業者には、任意の量子演算子について与えられる特性を計算することが可能である。Levin Quantum Chemistry 2008 (Prentice Hall; 6th edition)に記載されるように、多数の分子特性を計算することができる。例えば、Aがハミルトニアン演算子であるときには、結合エネルギーを求めることができる。Aを恒等演算子に置き換えると、結合内の電子の数が得られる。こうした積分を評価するための数値的方法が当業者には知られており、例えばNumerical Recipes (W. H.; Teukolsky, S. A.; Vetterling, W. T.; Flannery, B. A., Numerical Recipes: The Art of Scientific Computing, Third Edition (2007), 1256 pp. Cambridge University Press, ISBN-10: 0521880688)を参照されたい。] [0030] 例えば、参照によってその全体を本明細書に援用する、Press, W. H.; Teukolsky, S. A.; Vetterling, W. T.; Flannery, B. A., Numerical Recipes: The Art of Scientific Computing, Third Edition (2007), 1256 pp. Cambridge University Press, ISBN-10: 0521880688に記載される数値的方法を用いて、多数の特性を計算することが可能である。これらには、前述のNumerical Recipesに記載されるボリューム全体にわたる積分が含まれ、それだけに限らないが、電子密度、Rhoのラプラシアン、ラグランジュの運動エネルギー密度、ハミルトニアンの運動エネルギー密度、ビリアルフィールド関数(Virial Field Function)、束のエネルギー、損失情報関数(Missing Information Function)、Rho/rの平均値、Rho*rの平均値、Rho*(r2)の平均値、Rho*(r4)の平均値、Grad(Rho)*(ベクトルR)/rの平均値、Grad(Rho)*(ベクトルR)の平均値、Grad(Rho)*(ベクトルR)*rの平均値、Grad(Rho)*(ベクトルR)*(r2)の平均値、電子双極子(x)、電子双極子(y)、電子双極子(z)、原子核Aによる密度Aの引力、原子核Aによる密度Aの引力(補正)、すべての原子核による密度Aの引力、すべての原子核による密度Aの引力(補正)、ハートリー−フォックエネルギー、斥力のポテンシャルエネルギー(補正)、束の全ポテンシャルエネルギー、原子4重極モーメントテンソル(xx)、原子4重極モーメントテンソル(xy)、原子4重極モーメントテンソル(xz)、原子4重極モーメントテンソル(yy)、原子4重極モーメントテンソル(yz)、原子4重極モーメントテンソル(zz)、A(x)の密度によって原子核Aに加えられる力、A(y)の密度によって原子核Aに加えられる力、A(z)の密度によって原子核Aに加えられる力、A(x)の密度によってすべての原子核に加えられる力、A(y)の密度によってすべての原子核に加えられる力、A(z)の密度によってすべての原子核に加えられる力、Rho*ラプラシアン、(一部の等値面の値「x」において)積分された全ボリューム、(一部の等値面の値「x」において)積分されたボリュームに対する電子密度、積分されたボリュームに対する電子密度(0.002auの等値面)、ベーシンビリアル(Basin Virial)、表面ビリアル、エーレンフェスト(Ehrenfest)力(x)、エーレンフェスト力(y)、エーレンフェスト力(z)、オーバーラップ、および原子のオーバーラップマトリクス(0.5*n*(n+1)の特性、ただしnは分子軌道の数)が含まれる。] [0031] これらには、前述のNumerical Recipesに記載される、面に対する積分も含まれ、それだけに限らないが、Rhoのラプラシアン、ラグランジュの運動エネルギー密度、ハミルトニアンの運動エネルギー密度、Rho*面法線のx勾配、束Aの超ビリアル勾配関数(Hypervirial Gradient Function)(n=−1)、束Bの超ビリアル勾配関数(n=−1)、束Aの超ビリアル勾配関数(n=0)、束Bの超ビリアル勾配関数(n=0)、束Aの超ビリアル勾配関数(n=1)、束Bの超ビリアル勾配関数(n=1)、束Aの超ビリアル勾配関数(n=2)、束Bの超ビリアル勾配関数(n=2)、全体の超ビリアル勾配関数(n=−1)、全体の超ビリアル勾配関数(n=0)、全体の超ビリアル勾配関数(n=1)、全体の超ビリアル勾配関数(n=2)、束Bの超ビリアル勾配関数(n=−1)、Aの面に加えられた力のビリアル、Bの面に加えられた力のビリアル、面に加えられた力の全ビリアル、束A(x)の電子に加えられた全体の力、束A(y)の電子に加えられた全体の力、束A(z)の電子に加えられた全体の力、束Aの電子に加えられた力の勾配、および積分された全領域が含まれる。] [0032] III.コンピュータに実装可能な方法 開示される実施形態は特定の用語によって記載されているが、本発明の原理を包含する他の実施形態も可能である。さらに、操作が特定の順序で示されることがある。しかしながら、その順序は操作を行うことができる方法の1つの例にすぎない。任意の特定の実装形態において、依然として本発明の態様に従いながら操作を再構成する、変更するまたは省くことが可能である。] [0033] 固有の電荷密度勾配経路を特定する、コンピュータに実装可能な方法では、コンピュータのサブルーチンを用いて定電荷等値面を選択することができる。前述のように、複数の定電荷等値面を選択することが可能である。例えば、定電荷等値面を選択するように設計されたサブルーチンは、個々の原子、原子および結合、または原子、結合およびリング点を選択するように設計することができる。与えられた分子の非無限遠のCPは既知の位置を有しているため、原子CP、結合CP、リングCPおよび/または非無限遠のケージCPを囲む等値面を、与えられた分子内で任意の組み合わせとして画定することができる。選択された定電荷等値面が選択されたCPを囲まない場合には、CPを囲むように等値面を再設定することができる。 一実施形態では、1つまたは複数の固有の電荷密度勾配経路を特定するためのコンピュータに実装可能な方法は、本明細書に記載される方法に従って、1つまたは複数の固有の電荷密度勾配経路を特定することを含む。いくつかの実施形態において、コンピュータに実装可能な方法は、その図形表示を生成することをさらに含むことができる。] [0034] IV.コンピュータシステム 本発明の範囲内の実施形態は、本明細書に開示された方法を実施するように構成されたコンピュータシステムを含み、いくつかの実施形態では、その図形表示を生成する。一実施形態では、1つまたは複数の固有の電荷密度勾配経路を特定するためのコンピュータシステムは、本明細書に開示される方法に従って、1つまたは複数の固有の電荷密度勾配経路を特定することを含む。いくつかの実施形態において、コンピュータに実装可能な方法は、その図形表示を生成することをさらに含むことができる。] [0035] コンピュータシステムは、当技術分野において一般によく知られている。本発明の態様は、パーソナルコンピュータ、手持ち式デバイス、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースのまたはプログラム可能な大衆消費電子製品、ネットワークPC、マイクロコンピュータ、メインフレームコンピュータなどを含む、多くのタイプのコンピュータシステム構成を有するコンピューティング環境またはネットワークコンピューティング環境において実施可能であることが、当業者には理解されるであろう。セットトップボックスに送達される衛星信号もしくはケーブル信号、テレビジョンシステムのプロセッサなど、ならびにIPTV用に使用されるような、いくつかの形態のマルチメディア処理構成に送達されるデジタルデータ信号、または他の同様の構成を必要とする実施形態を含む、本明細書において論じられる様々な実施形態は、ネットワークコンピューティング環境内のものと考えることができる。さらに、無線接続式の携帯電話、あるタイプの手持ち式デバイスは、ネットワークコンピューティング環境内のものと考えられる。例えば携帯電話は、プロセッサ、メモリ、ディスプレイ、および(デジタル式であろうとアナログ式であろうと)ある形態の無線接続、およびキーボード、タッチスクリーンなどのいくつかの形態の入力媒体を含む。] [0036] 手持ち式のコンピューティングプラットフォームは、ビデオオンデマンド型の選択能力を含むこともできる。様々な移動式の実施形態に適用可能な無線接続技術の例には、それだけに限らないが、無線周波数、AM、FM、セルラー方式、テレビジョン、衛星、マイクロ波、WiFi、ブルートゥース、赤外線などが含まれる。手持ち式のコンピューティングプラットフォームは、必ずしも無線接続を必要としない。例えば手持ち式のデバイスは、いくつかの形態のメモリからマルチメディアにアクセスすることが可能であり、そのメモリは、デバイス上での再生用の集積メモリ(例えばRAM、フラッシュなど)ならびにリムーバブルメモリ(例えば光記憶媒体、メモリスティック、フラッシュメモリカードなど)の両方を含むことができる。本発明の態様は、通信ネットワークを経由して(手で配線されたリンク、無線リンク、または手で配線されたリンクもしくは無線リンクの組み合わせによって)リンクされたローカルおよびリモートの処理デバイスによってタスクが実施される、分散コンピューティング環境で実施することもできる。分散コンピューティング環境では、プログラムモジュールをローカルとリモートの両方のメモリ記憶デバイスに置くことができる。] [0037] 図8は、本明細書に開示される方法を実施するように構成可能なコンピュータシステム10の構成要素を示している。コンピュータシステム10は、ユーザインターフェース12、メモリ14、プロセッサ16、電荷密度データ20および原子位置データ22などの未加工データ、特定処理24、接続処理26、固有の電荷密度勾配経路の組み合わせ処理28、既約束の組み合わせ処理30および定義処理32を含むことができる。出力は、本明細書に記載される方法による(1つまたは複数の)固有の電荷密度勾配経路[ブロック36]、既約束[ブロック38]、結合束[ブロック40]および分子特性[ブロック42]の図形出力34、決定、計算または特定を含むことができる。] 図8 [0038] 特定の実施形態では、図8から理解することができるように、コンピュータシステム10は、本明細書に開示される方法を実施するように構成され、かつプログラムの命令を実行することができるプロセッサ12を含む。それに応じて、プロセッサ16は、アプリケーションのプログラミングを実行するために、任意の汎用のプログラム可能なプロセッサまたはコントローラを含むことができる。あるいは、プロセッサ16は、特別に構成された特定用途向け集積回路(ASIC)を備えることができる。プロセッサ16は一般に、処理24、26、28、30、32または実装されている他のシステムの構成要素によって実施される、様々な機能を実行するプログラミングコードを走らせるように機能する。例えば、そうした機能は、プログラミングコードまたは他のアプリケーションの命令を実行することによって使用可能になる機能を含むことができる。] 図8 [0039] コンピュータシステム10はさらに、プロセッサ16によるプログラミングの実行と共に用い、かつ一時的にまたは長期間データまたはプログラム命令を記憶するためのメモリ14を含むことができる。例えば、メモリをアプリケーションの操作と共に用いることができる。メモリ14は、DRAMおよびSDRAMなどの、また前述のような、実際には常駐、リムーバブルまたはリモートのソリッドステートメモリを含むことができる。メモリ14に記憶することができる特定のアプリケーションの例は、特定処理24、接続処理26、固有の電荷密度勾配経路の組み合わせ処理28、既約束の組み合わせ処理30および定義処理32である。システムに入力することができる未加工データは、電荷密度データ20および原子位置データ22を含む。そうした未加工データは、未加工データのデータセットを含むこと、および実際の分子または分子の組の特徴を記述するデータを含むことができる。そうしたデータの例は、分子の空間的な関係(例えば、原子の位置を表すデータポイントなどの分子の原子間の空間的な関係)、または分子を囲む電荷(例えば、電荷密度を表すデータポイント)を表すデータを含むことができる。データは手動で入力するか、またはコンピュータシステムのメモリに記憶することができる。データポイントは実験的に得ること、またはコンピュータソフトウェアによって計算することができる。] [0040] コンピュータシステム10は、例えば特定処理24および接続処理26によって、これまでに本明細書に記載されたように、1つまたは複数の化学結合の固有の電荷密度勾配経路を特定するように構成することが可能である。図9Aに示すように、特定処理24は、電荷密度データ、原子位置データまたは他の未加工データを受け取ること[ブロック100]、分子に関する電荷密度データに基づいて分子内の定電荷等値面を画定すること[ブロック105]、電荷密度の電荷密度勾配ベクトルの大きさを定電荷等値面上にマップすること[ブロック110]、ならびに等値面上の電荷密度勾配ベクトルの1つまたは複数の極小点、極大点および/または鞍点を特定すること[ブロック115]を含むことができる。図9Bに示すように、接続処理26は、電荷密度データおよび/または原子位置データからデータを受け取ること[ブロック200]、特定処理からデータを受け取ること[ブロック205]、ならびに1つまたは複数の極小点、極大点および/または鞍点を、勾配経路に沿って対応する臨界点に接続して固有の電荷密度勾配経路を画定すること[ブロック210]を含むことができる。] 図9A 図9B [0041] コンピュータシステム10および/またはプロセッサ16はさらに、固有の電荷密度勾配経路の組み合わせ処理28によって、本明細書に記載されるように、CPに対応する固有の電荷勾配経路を組み合わせて既約束を形成するように構成することができる。図9Cに示すように、固有の電荷密度勾配経路の組み合わせ処理28は、電荷密度データおよび/または原子位置データからデータを受け取ること[ブロック300]、接続処理からデータを受け取ること[ブロック305]、特定処理によって臨界点の(1つまたは複数の)固有の電荷密度勾配経路を特定すること[ブロック310]、および固有の電荷密度勾配経路を組み合わせて既約束を構成すること[ブロック315]を含むことができる。 次いで、コンピュータシステム10および/またはプロセッサ16は、既約束の組み合わせ処理30により、本明細書に記載されるように、同じ結合点を共有する既約束の組を組み合わせることによって結合束を特定する。図9Dに示すように、既約束の組み合わせ処理30は、電荷密度データおよび/または原子位置データからデータを受け取ること[ブロック400]、固有の電荷密度勾配経路の組み合わせ処理からデータを受け取ること[ブロック405]、固有の電荷密度勾配経路の組み合わせ処理によって、臨界点(CP)に対応する既約束の組を構成すること[ブロック410]、同じ結合臨界点を共有する既約束の組を組み合わせて結合束を特定すること[ブロック415]を含むことができる。まず、CPに対応する既約束の組が決定される。CPに対応する既約束の群が結合束を形成する。] 図9C 図9D [0042] 他の変形形態では、本明細書に記載されるコンピュータシステムは、定義処理32などによって、化合物の分子特性を計算するように構成されたプロセッサを備えることができる。図9Eに示すように、定義処理32は、電荷密度データおよび/または原子位置データからデータを受け取ること[ブロック500]、既約束の組み合わせ処理からデータを受け取ること[ブロック505]、既約束の組み合わせ処理に従って1つまたは複数の結合束を特定すること[ブロック510]、ならびに分子特性を計算するまたは定義すること[ブロック515]を含むことができる。 コンピュータシステム10は、図1〜7Bに示すものなど、図形表示または図形出力28を生成することもできる。] 図1 図2a 図2b 図2c 図2d 図3a 図3b 図3c 図4a 図4b [0043] V.コンピュータ可読媒体 本発明の範囲内の実施形態は、それに記憶されたコンピュータで実行可能な命令またはデータ構造を保持するまたは有するために、コンピュータ可読媒体を含むこともできる。そうしたコンピュータ可読媒体は、汎用もしくは専用のコンピュータによってアクセスすることができる任意の入手可能な媒体とすることができる。限定するものではなく例として、そうしたコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、DVD、CDROM、または他の光学ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置もしくは他の磁気記憶デバイス、または所望のプログラムコード手段を、コンピュータで実行可能な命令もしくはデータ構造の形で保持または記憶するために用いることができ、かつ汎用もしくは専用のコンピュータによってアクセスすることができる任意の他の媒体を含むことができる。ネットワークまたは他の通信リンクもしくは接続(手による配線、無線、または手による配線もしくは無線の組み合わせ)によって、情報をコンピュータに伝えるまたは提供するとき、コンピュータは適切にその接続をコンピュータ可読媒体とみなす。したがって、任意のそうした接続は適切にコンピュータ可読媒体と呼ばれる。] [0044] 前述のものの組み合わせも、コンピュータ可読媒体の範囲に含まれるべきである。コンピュータで実行可能な命令は、例えば汎用コンピュータ、専用コンピュータまたは専用処理デバイスに、ある特定の機能または機能群を実施させる命令およびデータを含む。一実施形態では、コンピュータ可読媒体は、実装されたとき、1つまたは複数の固有の電荷密度勾配経路を特定するための方法など、本明細書に記載される方法を実施するコンピュータで実行可能な命令を含む。] [0045] VI.例 以下の非限定的な例は、本発明の一実施形態を記載するものである。本開示の範囲から逸脱することなく、多くの変更を行うことが可能であることが当業者には明らかであろう。 図7は、結合束を特定するためのアルゴリズムを示している。最初のステップとして、分子のCPを特定する(全部で12の極大点、12の結合CPおよび1つのリングCP)。この場合、結合束の特定には、リングCPおよび原子CPで終わる固有の勾配経路の位置が必要であった。これらの第1の組を特定するために、リングCPにおけるρより値が小さい電荷密度の等値面を選択した。図7Aは、ρ=0.01電子/bohr3である適切な等値面上のマッピングを示している。極大点は、最も急な降下の経路が等値面と交わるところに現れる。それらは無限遠で始まり、水素の原子CPで終わる。2つのタイプの極小点も見ることができる。最も急ではない降下のGPと等値面との交点が存在する。yz平面内のものは結合CPで終わり、リングCPで終わる唯一の経路がx軸上に存在する。この経路は、図6Bに示すベンゼンの結合束の1つの縁部を構成する。] [0046] 残りの固有の勾配経路は原子CPで終わる。これらの位置を特定するために、新しい等値面を選択した。その値は原子CPにおけるρの値より小さく、結合CPにおけるρの値より大きかった。そうでない場合には、結合CPで終わる固有の勾配経路が、原子CPで終わるものの特定を困難にする。図7Bは、ρ=0.31電子/bohr3の等値面の値を有する同じベンゼン分子を示している。図を観察すると、yz平面内にある炭素原子で終わる、鞍形の降下経路が明らかになる。これらの経路は、図6Bに見られる結合束の残りの縁部である。] [0047] 同じ全体的な手順を繰り返し、任意の分子について結合束を特定することができる。一連のエタン、ベンゼン、エテンおよびアセチレンによる結合束を図6に示す。次いで、結合内の(価)電子の数(特性)を結合束に対する前述の積分を評価することによって決定し、エタン、ベンゼン、エテンおよびアセチレンについて、それぞれ2、3、4および6個の電子(±0.25の精度)を得た。] [0048] 本明細書に開示されるすべての参考文献は、参照によってそれらの全体を本明細書に援用する。]
权利要求:
請求項1 分子の1つまたは複数の固有の電荷密度勾配経路を特定する方法であって、前記分子に関する電荷密度データに基づいて前記分子内の定電荷等値面を画定すること、前記電荷密度データの電荷密度勾配ベクトルの大きさを、前記定電荷等値面上にマップすること、前記等値面上の前記電荷密度勾配ベクトルの1つまたは複数の極小点、極大点および/または鞍点を特定すること、ならびに前記1つまたは複数の極小点、極大点および/または鞍点を、勾配経路に沿って対応する臨界点に接続して固有の電荷密度勾配経路を構成することを含む方法。 請求項2 既約束を構成する方法であって、請求項1に記載の方法に従って、臨界点の前記固有の電荷密度勾配経路を特定すること、および前記固有の電荷勾配経路を組み合わせて前記既約束を構成することを含む方法。 請求項3 前記臨界点が、結合臨界点、リング臨界点、ケージ臨界点または原子臨界点である請求項1に記載の方法。 請求項4 前記極大点および/または極小点が、局所的な極大点および/または極小点である請求項1に記載の方法。 請求項5 結合束を特定する方法であって、請求項2に従って臨界点に対応する既約束の組を構成すること、および同じ結合臨界点を共有する既約束の組を組み合わせて前記結合束を特定することを含む方法。 請求項6 結合の特性を決定する方法であって、請求項5に記載の方法に従って、1つまたは複数の結合束を特定すること、および前記分子の特性を計算することを含む方法。 請求項7 請求項1に記載の方法に従って、1つまたは複数の固有の電荷密度勾配経路を特定し、その図形表示を生成することを含む、1つまたは複数の固有の電荷密度勾配経路を特定するためのコンピュータシステム。 請求項8 請求項1に記載の方法に従って、1つまたは複数の固有の電荷密度勾配経路を特定し、その図形表示を生成することを含む、1つまたは複数の固有の電荷密度勾配経路を特定するためのコンピュータに実装可能な方法。 請求項9 分子の1つまたは複数の固有の電荷密度勾配経路を特定するシステムであって、コンピュータ可読コードを記憶するためのメモリと、前記メモリに動作可能に結合されたプロセッサであって、前記分子に関する電荷密度データに基づいて前記分子内の定電荷等値面を画定し、前記電荷密度データの電荷密度勾配ベクトルの大きさを、前記定電荷等値面上にマップし、前記等値面上の前記電荷密度勾配ベクトルの1つまたは複数の極小点、極大点および/または鞍点を特定し、前記1つまたは複数の極小点、極大点および/または鞍点を、勾配経路に沿って対応する臨界点に接続して固有の電荷密度勾配経路を画定するように構成されたプロセッサとを備えるシステム。 請求項10 既約束を構成するためのシステムであって、前記プロセッサが、前記固有の電荷勾配経路を組み合わせて前記既約束を構成するようにさらに構成された、請求項9に記載のシステムを含むシステム。 請求項11 前記臨界点が、結合臨界点、リング臨界点、ケージ臨界点または原子臨界点である請求項9に記載のシステム。 請求項12 前記極大点および/または極小点が、局所的な極大点および/または極小点である請求項9に記載のシステム。 請求項13 結合束を特定するためのシステムであって、前記プロセッサが、同じ結合臨界点を共有する既約束の組を組み合わせて前記結合束を特定するようにさらに構成された、請求項10に記載のシステムを含むシステム。 請求項14 結合の特性を決定するシステムであって、前記プロセッサが、前記分子の特性を計算するようにさらに構成された、請求項13に記載のシステムを含むシステム。 請求項15 分子の1つまたは複数の固有の電荷密度勾配経路を特定するシステムであって、前記分子内の等値面上の前記電荷密度勾配のベクトルの1つまたは複数の極小点、極大点および/または鞍点を特定するための手段と、前記1つまたは複数の極小点、極大点および/または鞍点を、勾配経路に沿って対応する臨界点に接続して固有の電荷密度勾配経路を画定するための手段とを備えるシステム。 請求項16 前記特定するための手段が、前記分子に関する電荷密度データに基づいて前記分子内の前記定電荷等値面を画定し、前記電荷密度データの電荷密度勾配ベクトルの大きさを前記定電荷等値面上にマップするように動作可能である請求項15に記載のシステム。 請求項17 既約束を構成するためのシステムであって、請求項15に記載のシステムと、前記固有の電荷密度勾配経路を組み合わせて前記既約束を構成するための手段とを備えるシステム。 請求項18 結合束を特定するシステムであって、請求項17に記載のシステムと、同じ結合臨界点を共有する既約束の組を組み合わせて前記結合束を特定する手段とを備えるシステム。 請求項19 結合の特性を決定するシステムであって、請求項18に記載のシステムと、前記分子の特性を計算するための手段とを備えるシステム。 請求項20 分子の1つまたは複数の固有の電荷密度勾配経路を特定するための製造物品であって、前記分子に関する電荷密度データに基づいて前記分子内の定電荷等値面を画定する操作と、前記電荷密度データの電荷密度勾配ベクトルの大きさを、前記定電荷等値面上にマップする操作と、前記等値面上の前記電荷密度勾配ベクトルの1つまたは複数の極小点、極大点および/または鞍点を特定する操作と、前記1つまたは複数の極小点、極大点および/または鞍点を、勾配経路に沿って対応する臨界点に接続して固有の電荷密度勾配経路を画定する操作とを含むコンピュータ可読コード用に、有形のコンピュータ可読媒体を備える製造物品。 請求項21 既約束を構成するための製造物品であって、前記コンピュータ可読コードが、前記固有の電荷勾配経路を組み合わせて前記既約束を構成する操作をさらに含む、請求項20に記載の製造物品を含む製造物品。 請求項22 前記臨界点が、結合臨界点、リング臨界点、ケージ臨界点または原子臨界点である請求項20に記載の製造物品。 請求項23 前記極大点および/または極小点が、局所的な極大点および/または極小点である請求項20に記載の製造物品。 請求項24 結合束を特定するための製造物品であって、前記コンピュータ可読コードが、同じ結合臨界点を共有する既約束の組を組み合わせて前記結合束を特定する操作をさらに含む、請求項21に記載の製造物品を含む製造物品。 請求項25 結合特性を決定するための製造物品であって、前記コンピュータ可読コードが、前記分子の特性を計算する操作をさらに含む、請求項24に記載の製造物品を含む製造物品。
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引用文献:
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