专利摘要:
本発明は、カルシウム受容体活性化合物を使用して、GERDまたはNERDなどの胃酸過多障害を治療または予防する方法に関する。
公开号:JP2011514348A
申请号:JP2010549661
申请日:2009-03-03
公开日:2011-05-06
发明作者:ギーベル,ジヨン・ピーター;ヘバート,ステイーブン・チヤールズ;マーテイン,デイビツド
申请人:アムジエン・インコーポレーテツド;イエール・ユニバーシテイ;
IPC主号:A61K45-00
专利说明:

[0001] (発明の分野)
本発明は、一般的に医学の分野に関し、より具体的には、GERDまたはNERDなどの胃酸過多(hyperacidic)障害を治療または予防する方法に関する。]
背景技術

[0002] (発明の背景)
毎年3000万人が、酸に関連する疾患の症状を患い、この数は年々増えている。胃食道逆流症(GERD)は、通例、胸やけおよび酸逆流の症状を生じる一連の疾患である。非びらん性食道逆流症(NERD)を患う大部分の患者は、内視鏡検査の時点で目に見える粘膜損傷を有さないが、他の患者は、食道炎、消化性狭窄、バレット食道、または(胸痛、肺症状、もしくは耳、鼻、および咽頭症状などの)食道外疾患の証拠を有する。GERDは、制酸薬物療法用に年間40から50億ドルの米国の歳出の一因となっている多因子過程であり、最も一般的な疾患の1つである。]
[0003] GERDの罹患率は、分析が、疾患症状(例えば、胸やけ)に基づく、または徴候(すなわち、食道炎)に基づくかのいずれかによって異なる。症状に基づくと、GERDは、西洋諸国で一般的である。ミネソタ州、オルムステッド郡に在住する主に白人の集団に質問状を郵送したLockおよび同僚によって行われた研究(Locke G.R.ら(1997年)Gastroenterology 112巻:1448頁)によれば、過去12ヵ月における胸やけおよび酸逆流の罹患率は、それぞれ42%および45%であることが示された。頻繁な症状(少なくとも毎週)が、全ての世代にわたって等しい性別分布で、回答者の20%によって報告された。大多数が、胸やけは、中程度の重症度のものであり、5年以上の存続期間を有することを報告し、わずか5.4%が、前年内に逆流の病訴のための医師訪問を報告した。]
[0004] 加齢は、恐らく長期にわたる食道への累積的な酸損傷に起因する胃酸過多障害の合併症の罹患率における重要な要素である。対照的に、GERDおよびこの合併症の罹患率は、アフリカおよびアジアの居住者の間では相対的に低い。より低いGERD罹患率の考え得る理由には、低い食物脂肪、より低い肥満度指数、およびヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)の感染に関連したより低い最大酸分泌量が含まれる。しかし、GERDの罹患率は、西洋諸国において増加している。GERDは、まれにしか死因とはならないことが報告されている。Spechler S.J.(1992年)Digestion 51巻(補足1):24頁。しかし、GERDは、かなりの罹病率と関係があり、食道潰瘍、消化性狭窄およびバレット食道などの合併症と関係がある。さらに、慢性疾患としてのGERDは、生活の質を著しく損なう。他の慢性内科状態と比較して、GERDに起因する生活の質の低下は、関節炎、心筋梗塞、心不全、または高血圧に起因する生活の質の低下と類似しており、またはこれより大きくさえある。GERDの病態生理は、複雑であり、食道酸クリアランス、逆流防止バリアおよび組織抵抗などの食道を保護する防衛的要因、ならびに胃液酸度および体積などの胃内容物および十二指腸内容物からの侵襲的要因の間の不均衡に起因する。多くの患者における症状および食道炎の断続性によって、侵襲的要因および防衛的要因は、微妙に均衡を保っているシステムの一部であることが示唆されている。]
[0005] 種々の手法が、過酸分泌を防ぐ療法を立案する試みにおいて使用されている。例えば、制酸剤およびアルギネートは、依然として広く使用されている。これらは、作用の持続時間が短いが、安価で安全であると見られている。しかし、これらは、GERDの長期にわたる解決を提供しない。壁細胞の側底膜上のヒスタミン受容体を阻害するH2受容体アンタゴニストは、GERDに広く処方されている。これらの作用形態は、胃活動により強力でより長期の効果を提供し、症状緩和および治癒を与える。プロトンポンプ阻害薬、すなわちPPIは、H,K−ATPアーゼを標的にする。これらは、広く使用されており、特に逆流性食道炎に使用されている。H2受容体アンタゴニストおよびPPI、これらの治療法の両方とも、過酸分泌を患う患者にとっての生活の質を大いに改善した。しかし、依然として薬物投与を受けているのに、再発性疾患を経験した患者が増え続けている。Tytgat,G.N.J.(2004年)Best Practice & Research Clinical Gastroentereology 18巻(5号):67−72頁;Basu,K.K.ら(2002年)Eur.J.Gastroenterol.& Hepatol.14巻:1187−1192頁。例えば、GERD患者の約30%が、PPIの標準の用量で症候的なままであることが予想されている。Lu,M.ら(2007年)Dig.Dis.Sci.52巻:2813−2820頁;Pfman,J.J.(2003年)Am.J.Gastroenterol.98巻(3号)、補足;Becker,V.ら(2007)Aliment Phramacol.Ther.26巻:1355−1360頁;Geibel,J.P.(2005年)World J.Gastroenterol.11巻(34号):5259−5265頁。さらに、PPIは、夜間の酸の急増をしばしばもたらす短い血漿内半減期を有する。PPIの治療経口用量は、一般的な用量計画で4−5日後にやっと、定常状態に到達し、したがって、これらの最大有効濃度に達する。PPI薬の効果のこの緩慢な累積的な発生は、PPIが利用可能な場合、活性であるポンプのみを阻害するこれらの能力によるものである。PPIの投与後、部分的には酵素のデノボ合成による酸分泌の戻りがある。Shin,J.M.ら(2006年)Dig.Dis.Sci.51巻:823−833頁;Munson,K.(2005年)Biochem.44巻(14号);5267−5284頁;Sachs,G.ら(2007年)J.Clin.Gastroenterol.41巻、補足2。]
先行技術

[0006] Locke G.R.ら(1997年)Gastroenterology 112巻:1448頁
Spechler S.J.(1992年)Digestion 51巻(補足1):24頁
Tytgat,G.N.J.(2004年)Best Practice & Research Clinical Gastroentereology 18巻(5号):67−72頁
Basu,K.K.ら(2002年)Eur.J.Gastroenterol.& Hepatol.14巻:1187−1192頁
Lu,M.ら(2007年)Dig.Dis.Sci.52巻:2813−2820頁
Pfman,J.J.(2003年)Am.J.Gastroenterol.98巻(3号)、補足
Becker,V.ら(2007)Aliment Phramacol.Ther.26巻:1355−1360頁
Geibel,J.P.(2005年)World J.Gastroenterol.11巻(34号):5259−5265頁
Shin,J.M.ら(2006年)Dig.Dis.Sci.51巻:823−833頁
Munson,K.(2005年)Biochem.44巻(14号);5267−5284頁
Sachs,G.ら(2007年)J.Clin.Gastroenterol.41巻、補足2]
発明が解決しようとする課題

[0007] これらの高度の有効性および世界的な臨床用途にも関わらず、酸に関係する疾患の治療の失敗が報告されている。さらに、症状緩和の発生の程度および速度は、患者にとって非常に重要である。]
課題を解決するための手段

[0008] (発明の要旨)
本発明は、胃酸過多障害を治療または予防する方法を提供し、これらの方法は、有効量のカルシリティック(calcilytic)化合物または薬学的に許容されるこの塩を、これを必要とする対象に投与することを含む。一態様において、胃酸過多障害は、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)のコロニー形成、裂孔ヘルニア、胃炎、活動性十二指腸潰瘍、胃潰瘍、ゾリンジャー・エリソン症候群、消化不良、十二指腸胃逆流、または胃内容排出遅延によって引き起こされる。胃酸過多障害は、GERDまたはNERDであり得る。一態様において、GERDには、消化性食道狭窄、バレット食道、胃腺癌が含まれる。さらなる一態様において、GERDは、軽度であり、中程度であり、または重度であり得る。]
[0009] 本発明は、胃酸過多障害を治療または予防する方法を提供し、これらの方法は、有効量の胸やけ治療用化合物、酸逆流治療用化合物、嚥下障害治療用化合物、呑酸、嚥下痛、おくび、しゃっくり、悪心、もしくは嘔吐の治療用化合物、または非心臓性胸痛、喘息、後部咽頭炎(posterior laryngitis)、逆流咽頭炎(reflux laryngitis)、慢性咳嗽、再発性肺炎、もしくは歯牙浸食の治療用化合物を投与することをさらに含む。]
[0010] 一態様において、本発明の方法は、生活様式の修正をさらに含む。生活様式の修正には、ベッドの頭の方を高くすること、窮屈な衣服の回避、減量、アルコールの制限、喫煙の中止、食事療法、食後に横たわるのを控えること、就寝前の夜食の回避が含まれ得る。]
[0011] 一態様において、本発明の方法は、制酸剤を投与することをさらに含む。別の態様において、本発明の方法は、緩衝剤を投与することをさらに含む。さらなる一態様において、本発明の方法は、運動促進剤を投与することをさらに含む。別の態様において、本発明の方法は、H2受容体アンタゴニストを投与することをさらに含む。一態様において、本発明の方法は、プロトンポンプ阻害剤を投与することをさらに含む。一態様において、本発明の方法は、維持療法を施すことをさらに含む。別の態様において、本発明の方法は、カルシウム模倣(calcimimetic)化合物を投与することをさらに含む。]
[0012] 本発明は、胃酸過多障害の治療方法を提供し、これらの方法は、有効量のカルシウム模倣化合物または薬学的に許容されるこの塩を、PPIと一緒に、これらを必要とする対象に投与することを含む。]
[0013] 一態様において、カルシリティック化合物は、2−クロロ−6−(2−ヒドロキシ−3−(2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イルアミノ)プロポキシ)ベンゾニトリルである。本発明の方法において有用な他のカルシリティックおよびカルシウム模倣化合物は、以下の詳細な説明において詳しく記載されている。]
[0014] 一態様において、対象は、哺乳動物であり得る。一態様において、対象は、ヒトであり得る。さらなる一態様において、ヒト対象は、高齢であり得る。別の態様において、ヒト対象は、妊娠していることがある。]
図面の簡単な説明

[0015] カルシウム模倣化合物Aが、機能性カルシウム感知受容体を発現しているマウス(上パネル)またはラット(下パネル)から単離されたインビトロの腺中の胃壁細胞による酸分泌を増加させることを示す図である。化合物Aにより誘発された酸は、コリンアゴニストであるカルバコールにより誘発された酸と比較される。
化合物Aが、カルシウム感知受容体遺伝子が削除された(Casr−/−;Gcm2−/−)マウスの灌流胃腺による酸分泌を増加させることができないことを示す図である。しかし、ヒスタミンまたはカルバコールのような分泌促進物質は、これらのマウスからの胃腺による酸分泌を増加させることができる。
カルシリティック化合物Bが、機能性カルシウム感知受容体(Casr+/+;Gcm2−/−)を発現しているマウスから単離された灌流胃腺による酸分泌を用量依存的に減少させることを示す図である。
胃壁細胞による酸分泌を調節するカルシウム模倣物およびカルシリティックの効果を図解的に示す図である。カルシウム模倣物は、カルシウム感知受容体を活性化し、胃のH,K−ATPアーゼプロトンポンプによる酸分泌を刺激する。対照的に、カルシリティックは、カルシウム感知受容体を阻害し、ポンプが、プロトンを構成的に活性にするよう変えられた場合でさえ、胃のH,K−ATPアーゼプロトンポンプによる酸分泌を減少させる。
機能性カルシウム感知受容体を発現し、構成的に活性な胃のH,K−ATPアーゼプロトンポンプを有するマウスから単離された灌流胃腺による酸分泌を減少させるカルシリティック化合物Bの用量依存効果を示す図である。
細胞が最初にホルモン分泌促進物質によって活性化される場合、例えば、この分泌活性物質が、食後に放出される場合、カルシウム模倣物の添加は、Sprague−Dawleyラットから単離された灌流胃腺において示されたように、酸分泌を阻害し得ることを示す図である。]
[0016] (発明の詳細な記述)
I.定義
本明細書で使用される「対象」という用語は、治療を必要とする、ヒトまたは動物を意味するよう意図されている。この対象は、腸疾患、例えば、炎症性腸疾患または過敏性腸症候群を有し、または発症する危険性があり得る。]
[0017] 疾患の「治療すること(treating)」または「治療(treatment)」には、(1)疾患を防ぐこと、すなわち、疾患を生じ得る疾患もしくは状態であり得る、もしくはこれらにさらされた、または疾患にかかりやすいが、未だ経験していない、もしくは疾患の症状を示していない対象において、疾患の臨床症状が発症しないようにさせること、(2)疾患を阻害すること、すなわち、疾患の発症またはこの臨床症状のいずれかを停止することまたは低減すること、または(3)疾患を軽減すること、すなわち、疾患またはこの臨床症状のいずれかの退行を引き起こすことが含まれる。]
[0018] 1種以上のさらなる治療薬と「組み合わせての」または「一緒の」投与には、同時または併用投与および任意の順の連続投与が含まれる。]
[0019] 「治療有効量」という語句は、障害の重症度の改善および発生の頻度の目標を達成する本発明の化合物の量である。障害の重症度の改善には、疾患の逆転、および疾患の進行を遅らせることが含まれる。]
[0020] 本明細書で使用される「カルシウム感知受容体」または「CaSR」は、細胞外カルシウムおよび/またはマグネシウム濃度の変化に応答するGタンパク質共役受容体を意味する。CaSRの活性化は、タプシガルギンに感受性のある細胞内貯蔵からカルシウムを動員することによって、および細胞膜における電圧に感受性のないカルシウムチャネルを通したカルシウム流入を増加させることによって、細胞質カルシウム濃度における急速な、一時的な増加を生じる(Brownら、Nature 366巻:575−580頁、1993年;Yamaguchiら、Adv Pharmacol 47巻:209−253頁、2000年)。]
[0021] 「胃酸過多障害」という語句には、例えば、胃食道逆流症、非びらん性逆流症、十二指腸潰瘍疾患、胃腸潰瘍疾患、びらん性食道炎、低応答性症候性胃食道逆流症、病的な消化管過分泌疾患、ゾリンジャー・エリソン症候群、多酸性消化不良、胸やけ、慢性胃酸過多胃炎、および十二指腸胃逆流が含まれる。これらの疾患のそれぞれは、以下の治療方法の節においてより詳しく記載されている。]
[0022] II.カルシリティックおよびカルシウム模倣化合物およびこれらを含む医薬組成物、投与および用量]
[0023] A.カルシリティックおよびカルシウム模倣化合物、定義
本明細書で使用される「カルシリティック化合物」または「カルシリティック」という用語は、例えば、細胞外Ca2+によって引き起こされる1種以上のカルシウム受容体活性の減少を生じることによって、カルシウム感知受容体(CaSR)活性を阻害、遮断、または減少させる化合物を意味する。一態様において、カルシリティックは、(a)[Ca2+i]を増加し;(b)細胞内Ca2+を動員し;(c)イノシトール−1,4,5−三リン酸の形成を増加し;(d)ドーパミンまたはイソプロテレノールにより刺激された環状AMP形成を減少させる、細胞外Ca2+の濃度増加の能力を部分的または完全に遮断し得る。一態様において、カルシリティック化合物は、小分子であり得る。別の態様において、カルシリティックは、アンタゴニスト抗体であり得る。]
[0024] 本発明において有用なカルシリティック化合物には、例えば、欧州特許公開第637,237号、724,561号、901,459号、973,730号、1,258,471号、1,466,888号、1,509,518号;国際公開WO 97/37967号、WO 99/51569号、WO 01/08673号、WO 04/017908号、WO 04/041755号、WO 04/047751号、WO 05/030746号、WO 05/030749;WO 05077886号、WO 05077892号、WO 05108376号、WO 06041968号、WO 06042007号、WO 06066070号 WO 07062370号、WO 07044796号、米国特許第6,395,919号、6,432,656号、6,521,667号、6,750,255号、6,818,660号、6,864,267号、6,908,935号、6,916,956号、6,939,895号;7,084,167号;7,109,238号;7,157,498号;7,202,261号;7,205,322号;7,211,685号;7,265,145号、および米国特許出願公開第2002/0099220号、2004/0009980号、2004/0014723号、2004/0192741号、および2005/0032850号に開示されたものが含まれる。]
[0025] 本明細書で使用される「カルシウム模倣化合物」または「カルシウム模倣物」という用語は、カルシウム感知受容体に結合し、内在性リガンドCa2+によるカルシウム感知受容体活性化の閾値を減少させる立体構造の変化を誘導する化合物を意味する。これらのカルシウム模倣化合物は、カルシウム受容体のアロステリック調節因子と考えることもできる。]
[0026] 一態様において、カルシウム模倣物は、以下の活性の1つ以上を有し得る。これは、(例えば、内部カルシウムを動員することによって)30秒未満の期間を有する内部カルシウムの一時的な増加を引き起こし;これは、30秒以内に起こる[Ca2+i]の急速な増加を引き起こし;これは、(例えば、外部カルシウムの流入を引き起こすことによって)[Ca2+i]の(30秒を超える)持続性の増加を引き起こし;通常60秒未満でイノシトール−1,4,5−三リン酸またはジアシルグリセロール濃度増加を引き起こし;ドーパミンまたはイソプロテレノールにより刺激された環状AMP形成を阻害する。一態様において、[Ca2+i]における一時的な増加は、10mMフッ化ナトリウムまたはホスホリパーゼCの阻害剤による10分間の細胞の前処理によって止めることができ、またはこの一時的な増加は、タンパク質キナーゼCの活性剤、例えば、酢酸ミリスチン酸ホルボール(PMA)、メゼレインまたは(−)インドラクタムVによる細胞の(10分を上回らない)短い前処理によって減少させる。一態様において、カルシウム模倣化合物は、小分子であり得る。別の態様において、カルシウム模倣物は、CaSRに対するアゴニスト抗体であり得る。]
[0027] 本発明において有用なカルシウム模倣化合物には、例えば、欧州特許第637,237号、657,029号、724,561号、787,122号、907,631号、933,354号、1,203,761号、1,235797号、1,258,471号、1,275,635号、1,281,702号、1,284,963号、1,296,142号、1,308,436号、1,509,497号、1,509,518号、1,553,078号;国際公開WO 93/04373号、WO 94/18959号、WO 95/11221号、WO 96/12697号、WO 97/41090号、WO 01/34562号、WO 01/90069号、WO 02/14259号、WO 02/059102号、WO 03/099776号、WO 03/099814号、WO 04/017908;WO 04/094362号、WO 04/106280号、WO05115975;WO 06/117211;WO 06/123725;WO07060026;WO08006625;米国特許第5,688,938号、5,763,569号、5,962,314号、5,981,599号、6,001,884号、6,011,068号、6,031,003号、6,172,091号、6,211,244号、6,313,146号、6,342,532号、6,362,231号、6,432,656号、6,710,088号、6,750,255号、6,908,935号、7,084,167号;7,157,498号、7,176,322号;7,196,102号、および米国特許出願公開第2002/0107406号、2003/0008876号、2003/0144526号、2003/0176485号、2003/0199497号、2004/0006130号、2004/0077619号、2005/0032796号、2005/0107448号、2005/0143426号、2007/0225296号;欧州特許出願PCT/EP2006/004166号、EP1882684に開示されているものが含まれる。]
[0028] 特定の実施形態において、カルシウム模倣化合物は、式Iの化合物および薬学的に許容されるこれらの塩から選択される]
[0029] [式中、
X1およびX2は、同一であってまたは異なっていてよいが、それぞれ、CH3、CH3O、CH3CH2O、Br、Cl、F、CF3、CHF2、CH2F、CF3O、CH3S、OH、CH2OH、CONH2、CN、NO2、CH3CH2、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、アセトキシ、およびアセチル基から選択される基であり、またはX1の2つは、一緒になって、縮合脂環式環、縮合芳香族環、およびメチレンジオキシ基から選択される単位を形成してよく;またはX2の2つは、一緒になって、縮合脂環式環、縮合芳香族環、およびメチレンジオキシ基から選択される単位を形成してよく;但し、X2は、3−t−ブチル基ではなく;
nは、0から5の範囲にわたり;
mは、1から5の範囲にわたり;
該アルキル基は、C1−C3アルキル基から選択され、これらのC1−C3アルキル基は、飽和および不飽和の直鎖、分枝、および環状のC1−C9アルキル基、ジヒドロインドリルおよびチオジヒドロインドリル基、および2−、3−、および4−ピペリジ(ニ)ル基から選択される少なくとも1個の基で場合によって置換されている。]。]
[0030] カルシウム模倣化合物は、式II:]
[0031] の化合物および薬学的に許容されるこれらの塩から選択することもできる
[式中、
R1は、アリール、置換アリール、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
R2は、アルキルまたはハロアルキルであり;
R3は、H、アルキル、またはハロアルキルであり;
R4は、H、アルキル、またはハロアルキルであり;
存在する各R5は、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、ハロゲン、−C(=O)OH、−CN、−NRdS(=O)mRd、−NRdC(=O)NRdRd、−NRdS(=O)mNRdRd、または−NRdC(=O)Rdからなる群から独立に選択され;
R6は、アリール、置換アリール、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
各Raは、独立に、H、アルキルまたはハロアルキルであり;
各Rbは、独立に、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリルアルキルであり、これらのそれぞれは、置換されておらず、またはアルキル、ハロゲン、ハロアルキル、アルコキシ、シアノ、およびニトロからなる群から選択される3個までの置換基で置換されていてよく;
各Rcは、独立に、アルキル、ハロアルキル、フェニルまたはベンジルであり、これらのそれぞれは、置換されており、または置換されていなくてよく;
各Rdは、独立に、H、アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリルアルキルであり、ここで、該アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、およびヘテロシクリルアルキルは、アルキル、ハロゲン、ハロアルキル、アルコキシ、シアノ、ニトロ、Rb、−C(=O)Rc、−ORb、−NRaRa、−NRaRb、−C(=O)ORc、−C(=O)NRaRa、−OC(=O)Rc、−NRaC(=O)Rc、−NRaS(=O)nRcおよび−S(=O)nNRaRaから選択される0、1、2、3または4個の置換基で置換されており;
mは、1または2であり;
nは、0、1または2であり;
pは、0、1、2、3、または4であり;
但し、R2が、メチルであり、pが、0であり、R6が、非置換フェニルである場合、R1は、2,4−ジハロフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,4−ジエチルフェニル、2,4,6−トリハロフェニル、または2,3,4−トリハロフェニルではない。]。これらの化合物は、公開されている米国特許出願第20040082625号において詳細に記載されている。]
[0032] 一態様において、カルシウム模倣化合物は、N−((6−(メチルオキシ)−4’−(トリフルオロメチル)−1,1’−ビフェニル−3−イル)メチル)−1−フェニルエタンアミン、または薬学的に許容されるこの塩であってよい。別の態様において、カルシウム模倣化合物は、(1R)−N−((6−クロロ−3’−フルオロ−3−ビフェニル)メチル)−1−(3−クロロフェニル)エタンアミン、または薬学的に許容されるこの塩であってよい。さらなる一態様において、カルシウム模倣化合物は、(1R)−1−(6−(メチルオキシ)−4’−(トリフルオロメチル)−3−ビフェニリル)−N−((1R)−1−フェニルエチル)エタンアミン、または薬学的に許容されるこの塩であってよい。]
[0033] 本発明の特定の実施形態において、カルシウム模倣化合物は、式III]
[0034] の化合物および薬学的に許容されるこれらの塩から選択することができる
[式中、]
[0035] は、二重または単結合を表し;
R1は、Rbであり;
R2は、C1−8アルキルまたはC1−4ハロアルキルであり;
R3は、H、C1−4ハロアルキルまたはC1−8アルキルであり;
R4は、H、C1−4ハロアルキルまたはC1−4アルキルであり;
R5は、独立に、どの場合にも、H、C1−8アルキル、C1−4ハロアルキル、ハロゲン、−OC1−6アルキル、−NRaRdまたはNRdC(=O)Rdであり;
Xは、−CRd=N−、−N=CRd−、O、Sまたは−NRd−であり;]
[0036] が、二重結合である場合、Yは、=CR6−または=N−であり、Zは、−CR7=または−N=であり;]
[0037] が、単結合である場合、Yは、−CRaR6−または−NRd−であり、Zは、−CRaR7−または−NRd−であり;
R6は、Rd、C1−4ハロアルキル、−C(=O)Rc、−OC1−6アルキル、−ORb、−NRaRa、−NRaRb、−C(=O)ORc、−C(=O)NRaRa、−OC(=O)Rc、−NRaC(=O)Rc、シアノ、ニトロ、−NRaS(=O)mRcまたは−S(=O)mNRaRaであり;
R7は、Rd、C1−4ハロアルキル、−C(=O)Rc、−OC1−6アルキル、−ORb、−NRaRa、−NRaRb、−C(=O)ORc、−C(=O)NRaRa、−OC(=O)Rc、−NRaC(=O)Rc、シアノ、ニトロ、−NRaS(=O)mRcもしくは−S(=O)mNRaRaであり;またはR6およびR7は、一緒になって、0、1、2もしくは3個のN原子ならびにSおよびOから選択される0、1もしくは2個の原子を含む3から6個の原子の飽和もしくは不飽和の架橋を形成し、ここで、該架橋は、R5から選択される0、1もしくは2個の置換基で置換されており、ここで、R6およびR7が、ベンゾ架橋を形成する場合、該ベンゾ架橋は、NおよびOから選択される1もしくは2個の原子を含む3もしくは4個の原子の架橋でさらに置換されていてよく、ここで、該架橋は、C1−4アルキルから選択される0もしくは1個の置換基で置換されており;
Raは、独立に、どの場合にも、H、C1−4ハロアルキルまたはC1−6アルキルであり;
Rbは、独立に、どの場合にも、フェニル、ベンジル、ナフチルまたは(2個を超えない原子がOおよびSから選択される、N、OおよびSから選択される1、2もしくは3個の原子を含む)飽和もしくは不飽和の5もしくは6員環複素環であり、ここで、該フェニル、ベンジルもしくは複素環は、C1−6アルキル、ハロゲン、C1−4ハロアルキル、−OC1−6アルキル、シアノおよびニトロから選択される0、1、2、もしくは3個の置換基で置換されており;
Rcは、独立に、どの場合にも、C1−6アルキル、C1−4ハロアルキル、フェニルまたはベンジルであり;
Rdは、独立に、どの場合にも、H、C1−6アルキル、フェニル、ベンジルまたは(2個を超えない原子がOおよびSから選択される、N、OおよびSから選択される1、2または3個の原子を含む)飽和または不飽和の5または6員環複素環であり、ここで、該C1−6アルキル、フェニル、ベンジル、ナフチルおよび複素環は、C1−6アルキル、ハロゲン、C1−4ハロアルキル、−OC1−6アルキル、シアノおよびニトロ、Rb、−C(=O)Rc、−ORb、−NRaRa、−NRaRb、−C(=O)ORc、−C(=O)NRaRa、−OC(=O)Rc、−NRaC(=O)Rc、−NRaS(=O)mRcおよび−S(=O)mNRaRaから選択される0、1、2、3または4個の置換基で置換されており;
mは、1または2である。]。]
[0038] 式IIIの化合物は、米国特許出願第20040077619号に詳しく記載されている。]
[0039] 一態様において、カルシウム模倣化合物は、N−(3−[2−クロロフェニル]−プロピル)−R−■−メチル−3−メトキシベンジルアミンHCl(化合物A)である。別の態様において、カルシウム模倣化合物は、N−((6−(メチルオキシ)−4’−(トリフルオロメチル)−1,1’−ビフェニル−3−イル)メチル)−1−フェニルエタンアミンである。]
[0040] 一態様において、本発明のカルシウム模倣化合物は、式IV]
[0041] の化合物から選択することができる
[式中、
Yは、酸素または硫黄であり;
R1およびR’1は、同一でありもしくは異なり、それぞれ、アリール基、ヘテロアリール基を表し、またはR1およびR’1は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、式:]
[0042] の縮合環構造を形成し;
ここで、Aは、単結合、メチレン基、ジメチレン基、酸素、窒素または硫黄を表し、前記硫黄は、場合によってスルホキシドまたはスルホン形態であり、ここで、R1およびR’1のそれぞれ、またはこれらによって形成された前記縮合環構造は、c群から選択される少なくとも1個の置換基で場合によって置換されており、
ここで、c群は、ハロゲン原子、ヒドロキシル、カルボキシル、直鎖および分枝アルキル、ヒドロキシアルキル、ハロアルキル、アルキルチオ、アルケニル、およびアルキニル基;直鎖および分枝アルコキシ基;直鎖および分枝チオアルキル基;ヒドロキシカルボニルアルキル;アルキルカルボニル;アルコキシカルボニルアルキル;アルコキシカルボニル;トリフルオロメチル;トリフルオロメトキシル;−CN;−NO2;場合によってスルホキシドまたはスルホン形態のアルキルスルホニル基からなり、ここで、任意のアルキル成分は、1から6個の炭素原子を有し、任意のアルケニルまたはアルキニル成分は、2から6個の炭素原子を有し、
ここで、2個以上の置換基がある場合、それぞれの前記置換基は、同一でありまたは異なり、
R2およびR’2は、同一であってもしくは異なっていてよいが、それぞれ、水素原子;1から6個の炭素原子を含み、少なくとも1個のハロゲン原子で場合によって置換されている直鎖もしくは分枝アルキル基、1から6個の炭素原子を含むヒドロキシもしくはアルコキシ基;各アルキル基が、1から6個の炭素原子を含む、アルキルアミノアルキルもしくはジアルキルアミノアルキル基を表し;
またはR2およびR’2は、これらが結合している窒素原子と一緒になって、0、1もしくは2個のさらなるヘテロ原子を含み、5、6もしくは7個の環原子を有する飽和もしくは不飽和の複素環を形成し、前記複素環は、上で定義された「c」群から選択される少なくとも1個の置換基で場合によって置換されており、
ここで、2個以上の置換基がある場合、前記置換基は、同一でありもしくは異なり、
R3は、式:]
[0043] の基を表し、ここで、Bは、酸素原子または硫黄原子を表し、xは、0、1、または2であり、yおよびy’は、同一でありまたは異なっており、それぞれは、0または1であり、ArおよびAr’は、同一でありまたは異なっており、それぞれは、アリールまたはヘテロアリール基を表し、nおよびn’は、同一でありまたは異なっており、これが関係するyまたはy’が、0である場合、それぞれは、1であり、前記yまたはy’が、1である場合、関係するArまたはAr’上で置換され得る位置の数と等しく、Nxを含む縮合環は、5または6員ヘテロアリール環であり、ここで、RおよびR’は、同一でありまたは異なっていてよいが、それぞれは、水素原子またはa群から選択される置換基を表し、
ここで、a群は、ハロゲン原子;ヒドロキシル;カルボキシル;アルデヒド基;直鎖および分枝アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルケニル、ヒドロキシアルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、およびハロアルキニル基;直鎖および分枝アルコキシル基;直鎖および分枝チオアルキル基;アラルコキシ基;アリールオキシ基;アルコキシカルボニル;アラルコキシカルボニル;アリールオキシカルボニル;ヒドロキシカルボニルアルキル;アルコキシカルボニルアルキル;アラルコキシカルボニルアルキル;アリールオキシカルボニルアルキル;ペルフルオロアルキル;ペルフルオロアルコキシ;−CN;アシル;アミノ、アルキルアミノ、アラルキルアミノ、アリールアミノ、ジアルキルアミノ、ジアラルキルアミノ、ジアリールアミノ、アシルアミノ、およびジアシルアミノ基;アルコキシカルボニルアミノ、アラルコキシカルボニルアミノ、アリールオキシカルボニルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、およびアリールカルボニルアミノ基;アルキルアミノカルボニルオキシ、アラルキルアミノカルボニルオキシ、およびアリールアミノカルボニルオキシ基;アミノ、アルキルアミノ、アラルキルアミノ、アリールアミノ、ジアルキルアミノ、ジアラルキルアミノ、ジアリールアミノ、アシルアミノ、トリフルオロメチルカルボニル−アミノ、フルオロアルキルカルボニルアミノ、またはジアシルアミノ基で置換されたアルキル基;CONH2;アルキル−、アラルキル−、およびアリール−アミド基;アルキルチオ、アリールチオおよびアラルキルチオおよびこれらの酸化スルホキシドおよびスルホン形態;スルホニル、アルキルスルホニル、ハロアルキルスルホニル、アリールスルホニルおよびアラルキルスルホニル基;スルホンアミド、アルキルスルホンアミド、ハロアルキルスルホンアミド、ジ(アルキルスルホニル)アミノ、アラルキルスルホンアミド、ジ(アラルキルスルホニル)アミノ、アリールスルホンアミド、およびジ(アリールスルホニル)アミノ;および飽和および不飽和ヘテロシクリル基からなり、前記ヘテロシクリル基は、単環式または二環式であり、b群から選択される同一であってまたは異なっていてよい1つ以上の置換基で場合によって置換されており、
ここで、b群は、ハロゲン原子;ヒドロキシル;カルボキシル;アルデヒド基;直鎖および分枝アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルケニル、ヒドロキシアルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、およびハロアルキニル基;直鎖および分枝アルコキシ基;直鎖および分枝チオアルキル基;アルコキシカルボニル;ヒドロキシカルボニルアルキル;アルコキシカルボニルアルキル;ペルフルオロアルキル;ペルフルオロアルコキシ;−CN;アシル;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、およびジアシルアミノ基;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、またはジアシルアミノ基で置換されたアルキル基;CONH2;アルキルアミド基;アルキルチオおよびこの酸化スルホキシドおよびスルホン形態;スルホニル、アルキルスルホニル基;およびスルホンアミド、アルキルスルホンアミド、およびジ(アルキルスルホニル)アミノ基からなり、
ここで、a群およびb群において、任意のアルキル成分は、1から6個の炭素原子を含み、任意のアルケニルまたはアルキニル成分は、2から6個の炭素原子を含み、少なくとも1個のハロゲン原子またはヒドロキシ基で場合によって置換されており、ここで、任意のアリール成分は、場合によってヘテロアリール基である。]。]
[0044] 一態様において、カルシウム模倣化合物は、3−(1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)−1−(3,3−ジフェニルプロピル)−1−(2−(4−モルホリニル)エチル)尿素または薬学的に許容されるこの塩であり得る。別の態様において、カルシウム模倣化合物は、N−(4−(2−((((3,3−ジフェニルプロピル)(2−(4−モルホリニル)エチル)アミノ)カルボニル)アミノ)−1,3−チアゾール−4−イル)フェニル)メタンスルホンアミドまたは薬学的に許容されるこの塩であり得る。]
[0045] 一態様において、本発明のカルシウム模倣化合物は、式V]
[0046] の化合物から選択することができる
[式中:
R1は、フェニル、ベンジル、ナフチルまたは(2個を超えない原子がOおよびSから選択される、N、OおよびSから選択される1、2もしくは3個の原子を含む)飽和もしくは不飽和の5もしくは6員複素環であり、ここで、該フェニル、ベンジル、ナフチルもしくは複素環は、C1−6アルキル、ハロゲン、C1−4ハロアルキル、−OC1−6アルキル、シアノおよびニトロから選択される0、1、2もしくは3個の置換基で置換されており;
R2は、C1−8アルキルまたはC1−4ハロアルキルであり;
R3は、H、C1−4ハロアルキルまたはC1−8アルキルであり;
R4は、H、C1−4ハロアルキルまたはC1−8アルキルであり;
R5は、独立に、どの場合にも、H、C1−8アルキル、C1−4ハロアルキル、ハロゲン、−OC1−6アルキル、−NRaRd、NRaC(=O)Rd、置換もしくは非置換のピロリジニル、置換もしくは非置換のアゼチジニル、または置換もしくは非置換のピペリジルであり、ここで、これらの置換基は、ハロゲン、−ORb、−NRaRd、−C(=O)ORc、−C(=O)NRaRd、−OC(=O)Rc、−NRaC(=O)Rc、シアノ、ニトロ、−NRaS(=O)nRcもしくは−S(=O)nNRaRdから選択することができ;
Lは、−O−、−OC1−6アルキル−、−C1−6アルキルO−、−N(Ra)(Rd)−、−NRaC(=O)−、−C(=O)−、−C(=O)NRdC1−6アルキル−、−C1−6アルキル−C(=O)NRd−、−NRdC(=O)NRd−、−NRdC(=O)NRdC1−6アルキル−、−NRaC(=O)Rc−、−NRaC(=O)ORc−、−OC1−6アルキル−C(=O)O−、−NRdC1−6アルキル−、−C1−6アルキルNRd−、−S−、−S(=O)n−、−NRaS(=O)n、または−S(=O)nN(Ra)−であり;
Cyは、部分的もしくは完全に飽和もしくは不飽和の5−8員単環式、6−12員二環式、または7−14員三環式の環系であり、炭素原子で形成されたこの環系は、単環式の場合は1−3個のヘテロ原子、二環式の場合は1−6個のヘテロ原子、または三環式の場合は、1−9個のヘテロ原子を場合によって含み、ここで、この環系の各環は、R6、C1−8アルキル、C1−4ハロアルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、−OC1−6アルキル、−NRaRd、NRaC(=O)Rd、−C(=O)ORc、−C(=O)NRaRd、−OC(=O)Rc、−NRaC(=O)Rc、−NRaS(=O)mRcまたは−S(=O)mNRaRdの1個以上の置換基で場合によって独立に置換されており;
R6は、部分的もしくは完全に飽和もしくは不飽和の5−8員単環式、6−12員二環式、または7−14員三環式の環系であり、炭素原子で形成されたこの環系は、単環式の場合は1−3個のヘテロ原子、二環式の場合は1−6個のヘテロ原子、または三環式の場合は1−9個のヘテロ原子を含み、ここで、この環系の各環は、C1−8アルキル、C1−4ハロアルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、−OC1−6アルキル、−NRaRd、NRdC(=O)Rd、−C(=O)ORc、−C(=O)NRaRd、−OC(=O)Rc、−NRaC(=O)Rc、−NRaS(=O)mRcまたは−S(=O)mNRaRdの1個以上の置換基で場合によって独立に置換されており;
Raは、独立に、どの場合にも、H、C1−4ハロアルキル、C1−6アルキル、C1−6アルケニル、C1−6アルキルアリールまたはアリールC1−6アルキルであり:
Rbは、独立に、どの場合にも、C1−8アルキル、C1−4ハロアルキル、フェニル、ベンジル、ナフチルまたは(2個を超えない原子がOおよびSから選択される、N、OおよびSから選択される1、2もしくは3個の原子を含む)飽和もしくは不飽和の5もしくは6員複素環であり、ここで、該フェニル、ベンジル、ナフチルもしくは複素環は、C1−6アルキル、ハロゲン、C1−4ハロアルキル、−OC1−6アルキル、シアノおよびニトロから選択される0、1、2もしくは3個の置換基で置換されており;
Rcは、独立に、どの場合にも、C1−6アルキル、C1−4ハロアルキル、フェニルまたはベンジルであり;
Rdは、独立に、どの場合にも、H、C1−6アルキル、C1−6アルケニル、フェニル、ベンジル、ナフチルまたは(2個を超えない原子がOおよびSから選択される、N、OおよびSから選択される1、2もしくは3個の原子を含む)飽和もしくは不飽和の5もしくは6員複素環であり、ここで、C1−6アルキル、フェニル、ベンジル、ナフチルおよび複素環は、C1−6アルキル、ハロゲン、C1−4ハロアルキル、−OC1−6アルキル、シアノおよびニトロ、Rb、−C(=O)Rc、−ORb、−NRaRb、−C(=O)ORc、−C(=O)NRaRb、−OC(=O)Rc、−NRaC(=O)Rc、−NRaS(=O)mRcおよび−S(=O)mNRaRaから選択される0、1、2、3もしくは4個の置換基で置換されており;
mは、1または2であり;
nは、1または2であり;
但し、Lが、−O−または−OC1−6アルキル−である場合、Cyは、フェニルではない。]。]
[0047] 一態様において、カルシウム模倣化合物は、N−(2−クロロ−5−((((1R)−1−フェニルエチル)アミノ)メチル)フェニル)−5−メチル−3−イソオキサゾールカルボキサミドまたは薬学的に許容されるこの塩であり得る。別の態様において、カルシウム模倣化合物は、N−(2−クロロ−5−((((1R)−1−フェニルエチル)アミノ)メチル)フェニル)−2−ピリジンカルボキサミドまたは薬学的に許容されるこの塩であり得る。]
[0048] 本発明の方法において有用なカルシウム模倣化合物には、上に記載されたカルシウム模倣化合物、ならびにこれらの立体異性体、鏡像異性体、多形体、水和物、および前述のいずれかの薬学的に許容される塩が含まれる。]
[0049] 本発明の方法において有用なカルシリティックおよびカルシウム模倣化合物には、上に記載されたカルシリティックおよびカルシウム模倣化合物、ならびにこれらの立体異性体、鏡像異性体、多形体、水和物、および前述のいずれかの薬学的に許容される塩が含まれる。さらに、以下に記載される方法によりカルシリティックおよびカルシウム模倣物として確認される化合物は、本発明の方法において使用することができる。]
[0050] B.カルシリティック活性の評価の方法
一態様において、CaSR活性調節部位に結合している化合物は、例えば、競合結合アッセイフォーマットにおいてこの部位に結合している標識化合物を使用して確認することができる。]
[0051] 化合物のカルシリティック活性は、国際公開WO 93/04373号、WO 94/18959号およびWO 95/11211号に記載されているものなどの技術を使用して求めることができる。]
[0052] 化合物のカルシリティック活性を評価するために使用し得る他の方法は、以下に記載される。]
[0053] カルシウム受容体阻害剤アッセイ
カルシリティック活性は、ヒトのカルシウム受容体を安定的に発現しているHEK 293 4.0 7細胞において細胞外Ca2+により誘発される細胞内Ca2+の増加を遮断するための試験化合物のIC50を求めることによって測定することができる。HEK 293 4.0 7細胞は、Rogersら、J.Bone Miner.Res.10巻補足1:S483頁、1995年によって記載されたように構成されている。細胞内Ca2+の増加は、細胞外Ca2+を1から1.75mMに増加させることによって誘発した。細胞内Ca2+を、蛍光カルシウム指示薬のfluo−3を使用して測定した。]
[0054] 細胞を、T−150フラスコ中で、選択培地(10%ウシ胎仔血清および200μg/mLハイグロマイシンBを補充したDMEM)中に、5% CO2:95%空気下で、37℃で維持し、90%の集密度に増殖させる。]
[0055] 培地をデカントし、細胞単層を、37℃に保ったリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄する。2回目の洗浄後、PBS中の0.02%EDTAの6mLを添加し、37℃で4分間温置する。温置後、ゆるやかな撹拌で、細胞を分散させる。2または3個のフラスコからの細胞をプールし、ペレットにする(100×g)。細胞のペレットを、15mLのSPF−PCB+に再懸濁し、遠心分離によって再度ペレットにする。この洗浄は2回行う。硫酸塩およびリン酸塩不含有副甲状腺細胞緩衝液(SPF−PCB)は、20mM Na−Hepes、pH7.4、126mM NaCl、5mM KCl、および1mM MgCl2を含む。SPF−PCBを作製し4℃で貯蔵する。使用する日に、SPF−PCBに、1mg/mLのD−グルコースおよび1mM CaCl2を補充し、次いで、2つの画分に分ける。1つの画分に、ウシ血清アルブミン(BSA;画分V、ICN)を、5mg/mLで添加する(SPF−PCB+)。この緩衝液を、洗浄、充填および細胞の維持のために使用する。BSA不含有画分を、蛍光の測定のためにキュベット中で細胞を希釈するために使用する。ペレットを、2.2μM fluo−3(Molecular Probes)を含むSPF−PCB+の10mL中に再懸濁し、室温で35分間温置する。温置期間後、細胞を遠心分離によってペレットにする。得られるペレットを、SPF−PCB+で洗浄する。洗浄後、12×106細胞/mLの密度でSPF−PCB+中に、細胞を再懸濁する。蛍光シグナルの記録のために、300μLの細胞懸濁液を、1mM CaCl2および1mg/mLのD−グルコースを含むSPF緩衝液の1.2mL中に希釈する。蛍光測定を、蛍光分光計を用いて、絶えず撹拌しながら、37℃で実施する。励起および発光波長は、それぞれ、485および535nmで測定される。蛍光シグナルを較正するために、ジギトニン(エタノール中の5mg/mL)を添加してFmaxを得、見かけのFminを、トリス−EGTA(2.5M トリス−塩基、0.3M EGTA)を添加することによって求める。細胞内カルシウムの濃度を、次の方程式を用いて算出する。細胞内カルシウム=(F−Fmin/Fmax)×Kd;ここで、Kd=400nMである。]
[0056] 試験化合物の潜在的なカルシリティック活性を求めるために、細胞外Ca2+の濃度を1から2mMに増加させる前に、細胞を、試験化合物(または対照としてのビヒクル)とともに90秒間温置する。カルシリティック化合物を、細胞外Ca2+により誘発された細胞内Ca2+の濃度における増加を、濃度依存的に遮断するこれらの能力によって検知する。]
[0057] 一般に、カルシウム受容体阻害剤アッセイにおけるより低いIC50値、例えば、1uM以下のIC50を有する化合物は、当該発明の方法において有用である。]
[0058] カルシウム受容体結合アッセイ
ヒトのカルシウム受容体を安定的に形質移入したHEK 293 4.0 7細胞を、T180組織培養フラスコ中で増殖する。原形質膜を、1μMロイペプチン、0.04μMペプスタチン、および1mMPMSFを含むプロテアーゼ阻害剤カクテルの存在下でのポリトロン均質化または緩衝液(50mMトリス−HCl pH7.4、1mMEDTA、3mM MgCl2)中のガラスダウンシング(glass douncing)によって得る。アリコートにした膜を、急速冷凍し、−80℃で貯蔵した。3H標識化合物を、44Ci/mmoleの放射性比活性に放射標識し、アリコートにし、放射化学的な安定性のために液体窒素中に貯蔵する。]
[0059] 典型的な反応混合物は、0.5mLの反応容量で0.1%ゼラチンおよび10% EtOHを含む均質化緩衝液中に2nMの3H標識化合物((R,R)−N−4’−メトキシ−t−3−3’−メチル−1’−エチルフェニル−1−(1−ナフチル)エチルアミン−)、または3H標識化合物(R)−N−[2−ヒドロキシ−3−(3−クロロ−2−シアノフェノキシ)プロピル]−1,1−ジメチル−2−(4−メトキシフェニル)エチルアミンの4 10μgの膜を含む。温置を、氷浴中の12×75ポリエチレン管中で行う。各管に、100% EtOH中の25μLの試験サンプルを添加し、次いで、400μLの冷温置緩衝液、および100% EtOH中の40nM 3H化合物の25μLを添加し、2nMの最終濃度にする。結合反応を、温置緩衝液中に希釈した80 200μg/mLHEK 293 4.0 7の膜の50μLの添加によって開始し、4℃で30分間温置する。洗浄緩衝液は、0.1% PEIを含む50mMトリス−HClである。非特異性結合は、100倍過剰の非標識相同性リガンドの添加によって求め、一般的に、全結合の20%である。結合反応を、Brandel Harvestorを用いる1% PEIで前処理したGF/Cフィルター上の急速濾過によって停止する。フィルターを、シンチレーション流体中に置き、放射能を、液体シンチレーション計数によって評価する。]
[0060] C.カルシウム模倣活性の評価方法
HEK 293細胞アッセイ
ヒトCaSR(HEK 293 4.0−7)を発現するよう遺伝子組み換えされたHEK 293細胞は、先に詳しく記載されている(Nemeth EFら(1998年)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95巻:4040−4045頁)。このクローン細胞系は、CaSRのアゴニスト、アロステリック調節因子、およびアンタゴニストを選別するために広範囲に使用されている(Nemeth EFら(2001年)J.Pharmacol.Exp.Ther.299巻:323−331頁)。]
[0061] 細胞質カルシウム濃度の測定のために、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の0.02%エチレンジアミン四酢酸(EDTA)による短時間の処理によって、細胞を組織培養フラスコから回収し、洗浄し、0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)および1mg/mlのD−グルコースを補充した緩衝液A(126mM NaCl、4mM KCl、1mM CaCl2、1mM MgSO4、0.7mM K2HPO4/KH2PO4、20mM Na−Hepes、pH7.4)に再懸濁する。緩衝液Aおよび2μM fura−2アセトキシメチルエステル中における37℃での30分間の温置によって、細胞にfura−2を充填する。細胞を、緩衝液B(緩衝液Bは、硫酸塩およびリン酸塩を欠き、5mM KCl、1mM MgCl2、0.5mM CaCl2を含み、0.5% BSAおよび1mg/ml D−グルコースを補充した緩衝液Aである。)で洗浄し、室温で4から5×106細胞/mlの密度に再懸濁する。蛍光シグナルを記録するために、細胞を、予め温めた(37℃)緩衝液B中に、絶えず撹拌しながら5倍に希釈する。励起および発光波長は、それぞれ、340および510nmである。蛍光シグナルを、ストリップチャートレコーダーを使用してリアルタイムで記録する。]
[0062] 蛍光イメージングプレートリーダー(FLIPR)分析のために、HEK 293細胞を、10%ウシ胎仔血清(FBS)および200μg/mlハイグロマイシンを含むダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)中で維持する。分析の24時間前に、細胞をトリプシン処理し、上記培地中に、ブラック側、クリアボトム、コラーゲン1コート、96ウェルプレートに1.2×105細胞/ウェルでプレーティングする。プレートを、1,000rpmで2分間遠心分離にかけ、5%CO2下、37℃で終夜温置する。次いで、細胞に、室温で60分間、6μM fluo−3アセトキシメチルエステルを充填する。全てのアッセイを、1.0mg/ml D−グルコースおよび1.0mg/ml BSA画分IVを補充した126mM NaCl、5mM KCl、1mM MgCl2、20mM Na−Hepes(pH7.4)を含む緩衝液中で実施する。]
[0063] 一態様において、CaSR活性化合物のEC50は、1mM Ca2+の存在下で求めることができる。細胞質カルシウム濃度のEC50は、0.5mMの細胞外Ca2+濃度で開始して求めることができる。FLIPR実験は、0.8Wのレーザー値および0.4秒のCCDカメラのシャッター速度を用いて行う。細胞を、カルシウム、CaSR活性化合物またはビヒクル(20μl)に曝露し、蛍光を1秒間隔で50秒間モニターする。次いで、カルシウム、CaSR活性化合物またはビヒクルの2回目の曝露(50μl)を行うことができ、蛍光シグナルをモニターする。蛍光シグナルを、サンプル期間内の応答のピークの高さとして測定する。各応答を、プレート中に観察された最大ピークに標準化し、最大蛍光(百分率)を求める。]
[0064] ウシ副甲状腺細胞
PTH分泌のCaSR依存調節に対するカルシウム模倣化合物の効果は、分離されたウシ副甲状腺細胞の初代培養を用いて評価し得る。分離された細胞は、コラゲナーゼ消化によって得、プールし、次いで、Percoll精製緩衝液に懸濁し、14,500×g、20分間、4℃における遠心分離によって精製することができる。分離された副甲状腺細胞を取り出し、Ham’s F−12および0.5%BSA、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン、および20μg/mlゲンタマイシンを補充したDMEM(F−12/DMEM)の1:1混合物中で洗浄する。細胞を、最終的に、10U/ml ペニシリン、10μg/ml ストレプトマイシン、および4μg/ml ゲンタマイシンを含むF−12/DMEMに再懸濁し、BSAを、ITS+(インスリン、トランスフェリン、亜セレン酸、BSA、およびリノール酸;Collaborative Research、Bedford、MA)で置換した。細胞を、T−75フラスコ中に培養し、空気中の5% CO2の加湿雰囲気中で37℃において増殖する。]
[0065] 終夜の培養に続いて、細胞を、デカントによってフラスコから取り出し、0.1%BSAおよび0.5mM CaCl2を含む副甲状腺細胞緩衝液(126mM NaCl、4mM KCl、1mM MgSO4、0.7mM K2HPO4/KH2PO4、20mM Na−Hepes、20;pH7.45および指定された様々な量のCaCl2)で洗浄する。細胞を、この同じ緩衝液に再懸濁し、一部(0.3ml)を、好適な対照、CaSR活性化合物、および/または様々な濃度のCaCl2を含むポリスチレン管に添加する。各実験条件を、3回実施する。37℃における温置は、20分間であり、管を氷上に置くことによって停止することができる。細胞を、遠心分離(4℃で5分間、1500×g)によってペレット化し、0.1mlの上清を、即座に評価する。細胞の一部を、温置期間中、氷上に残し、次いで、他のサンプルと並行して処理する。氷上に維持された管からの上清中のPTHの量は、「基礎放出」として定義され、他のサンプルから差し引く。PTHを、ラットPTH免疫放射定量測定法キット(Immunotopics、San Clemente、CA)を使用して供給元の指示に従って測定する。]
[0066] MTC6−23細胞カルシトニン放出
ATCC(Manassas、VA)から購入したラットMTC6−23細胞(クローン6)を、3から4日毎に取り替えられる増殖培地(カルシウムを含むDMEM高グルコース/15% HIHS)中に維持する。培養物は、1:4の分割比で毎週継代する。処方された増殖培地中のカルシウム濃度は、3.2mMと計算される。細胞を、37℃で、90% O2/10% CO2の雰囲気中で温置する。実験に先立ち、サブコンフルエント培養物からの培地を、吸引し、細胞を、トリプシン溶液で1回すすぐ。トリプシンすすぎ水を除去し、新鮮なトリプシン溶液を添加し、室温で5−10分間温置し、細胞を分離する。分離された細胞を、増殖培地に3.0×105細胞/mLの密度で懸濁し、コラーゲンコート48ウェルプレート(Becton Dickinson Labware、Bedford、MA)に、1.5×105細胞/ウェルの密度(0.5mL細胞懸濁液)で播種する。細胞を、播種後56時間、付着させておき、この後、増殖培地を、吸引し、0.5mLのアッセイ培地(2% FBSを含まないDMEM高グルコース)と取り替える。次いで、カルシウムに刺激性されたカルシトニン放出の測定に先立ち、細胞を16時間温置する。この培地中の実際のカルシウム濃度は、0.07mM未満であると計算される。カルシトニン放出を測定するために、アッセイ培地中の0.35mLの試験試薬を、各ウェルに添加し、培地中のカルシトニン含有量の測定の前に、4時間温置する。カルシトニン濃度を、ラットカルシトニン免疫放射定量測定法キット(Immutopics、San Clemente、CA)を使用して、供給元の指示に従って定量する。]
[0067] イノシトールリン酸アッセイ
化合物のカルシウム模倣特性は、ラットの脳からのクローンされたCaSRを含む[CHO(CaSR)]または含まない[CHO(WT)]発現ベクターを形質移入したチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)に実施される生化学アッセイにおいても評価することできる(Ruat M.、Snowman AM.、J.Biol.Chem 271巻、1996年、5972頁)。CHO(CaSR)は、Ca2+および他の二価カチオンおよびR−568によるCaSRの活性化によってトリチウム標識イノシトールリン酸([3H]IP)の蓄積を刺激することが示されている(Ruatら、J.Biol.Chem 271巻、1996年)。したがって、2mMの細胞外カルシウムの存在下の10μMの各CaSR活性化合物により生じる[3H]IP蓄積を、測定することができ、最大のCaSR活性化を誘発する濃度である10mMの細胞外カルシウムにより生じる効果と比較することができる(Dauban P.ら、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters、10巻、2000年、2001頁)。]
[0068] D.医薬組成物および投与
本発明において有用なカルシリティック化合物は、無機または有機酸から誘導される薬学的に許容される塩の形態で使用することができる。塩には、それだけには限らないが、次のもの:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、ジグルコン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パロモエート(palmoate)、ペクチン酸塩、過硫酸塩、2−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩、メシル酸塩、およびウンデカン酸塩が含まれる。本発明の化合物が、カルボキシ基などの酸性官能基を含む場合、カルボキシ基に適する薬学的に許容される塩は、当業者によく知られており、例えば、アルカリ、アルカリ土類、アンモニウム、四級アンモニウムカチオンなどが含まれる。「薬学的に許容される塩」のさらなる例について、Bergeら J.Pharm.Sci.66巻:1頁、1977年を参照されたい。本発明の特定の実施形態において、塩酸塩およびメタンスルホン酸の塩を使用し得る。]
[0069] 投与について、本発明において有用な化合物は、通常、投与の指示された経路に適する1種以上のアジュバントと組み合わされる。化合物は、乳糖、ショ糖、デンプン粉末、アルカン酸のセルロースエステル、ステアリン酸、タルク、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸および硫酸のナトリウムおよびカルシウム塩、アカシア、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニル−ピロリドン、および/またはポリビニルアルコールと混合することができ、従来の投与用に錠剤化またはカプセル化することができる。別法として、本発明において有用な化合物は、生理食塩水、水、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エタノール、トウモロコシ油、ラッカセイ油、綿実油、ゴマ油、トラガカントガム、および/または種々の緩衝液に溶解することができる。他のアジュバントおよび投与様式は、製薬技術分野でよく知られている。担体または賦形剤には、単体のもしくはワックスを含むモノステアリン酸グリセリルもしくはジステアリン酸グリセリル、または当技術分野でよく知られている他の物質などの時間遅延物質が含まれ得る。]
[0070] 医薬組成物は、(顆粒、粉末もしくは坐剤を含めた)固体形態に、または液体形態(例えば、溶液、懸濁液、もしくは乳濁液)に作製することができる。医薬組成物は、殺菌などの従来の製薬操作にかけることができ、および/または保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、緩衝剤などの従来のアジュバントを含むことができる。]
[0071] 経口投与用の固体剤形には、カプセル、錠剤、丸剤、粉末、坐剤、および顆粒が含まれ得る。このような剤形において、活性化合物は、ショ糖、乳糖、またはデンプンなどの少なくとも1種の不活性賦形剤と混合することができる。このような剤形は、通常の慣行におけるように、不活性賦形剤以外の追加の物質、例えば、ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤も含むことができる。カプセル、錠剤、および丸剤の場合、剤形は、緩衝剤も含むことができる。錠剤および丸剤は、さらに、腸溶コーティングを用いて調製することができる。]
[0072] 経口投与用の液体剤形には、水などの当技術分野で一般に使用されている不活性賦形剤を含む薬学的に許容される乳濁液、溶液、懸濁液、シロップ剤、およびエリキシル剤が含まれ得る。このような組成物は、湿潤剤、甘味剤、調味料、および香料などのアジュバントも含むことができる。]
[0073] 本発明において有用な組成物中のカルシウム受容体活性化合物の治療有効量は、1対象当たり、約0.1mgから約180mg、例えば、約5mgから約180mg、または約1mgから約100mgのカルシウム模倣化合物の範囲に及び得る。いくつかの態様において、組成物中のカルシウム受容体活性化合物の治療有効量は、約0.1mg、約1mg、5mg、約15mg、約20mg、約30mg、約50mg、約60mg、約75mg、約90mg、約120mg、約150mg、約180mgから選択することができる。]
[0074] カルシウム受容体活性化合物を単体で対象に投与することは、可能であり得るが、投与される化合物は、通常、医薬組成物中に活性成分として存在する。したがって、本発明の医薬組成物は、少なくとも1種のカルシウム模倣化合物の治療有効量、または少なくとも1種のカルシウム模倣化合物の有効用量を含むことができる。]
[0075] 本明細書で使用される「有効用量」は、単回投与として、複数回投与で、または部分投与として与えられる場合、カルシウム受容体活性化合物の治療有効量を与える量である。したがって、本発明のカルシウム受容体活性化合物の有効用量には、化合物、例えば、錠剤、カプセルなどの2つ以上の単位用量が、化合物の有効量を投与するために必要とされる医薬組成物、または、カルシウム模倣化合物の有効量が、組成物の一部を投与することによって投与される、粉末、液体などの複数回投与医薬組成物の有効量より少ない量、これと等しい量またはこれより多い量が含まれる。]
[0076] 別法として、錠剤、カプセルなどの2つ以上の単位剤形が、カルシウム受容体活性化合物の有効量を投与するために必要である医薬組成物は、例えば、個々の対象の有効用量を確かめるために、個々の対象の潜在的な副作用に対しての過敏性を減ずるために、個々の対象に投与される1種以上の他の治療薬の有効な投与再調節または減少を可能にするためなどに、1期間以上について有効量より少ない量(例えば、1日に1回の投与、および1日に2回の投与)で投与することができる。]
[0077] 本発明において有用な医薬組成物の有効用量は、単位剤形からの約1mgから約360mg、例えば、単位剤形からの約5mg、約15mg、約30mg、約50mg、約60mg、約75mg、約90mg、約120mg、約150mg、約180mg、約210mg、約240mg、約300mg、または約360mgの範囲に及び得る。]
[0078] 本発明のいくつかの態様において、本明細書で開示された組成物は、胃酸過多障害の治療または予防のための、カルシウム受容体活性化合物の治療有効量を含む。例えば、特定の実施形態において、カルシリティック化合物は、組成物の総重量に対して、約5重量%から約40重量%、約10重量%から約30重量%、または約15重量%から約20重量%などの、約1重量%から約70重量%の範囲の量で存在し得る。]
[0079] 本発明において有用な組成物は、カルシウム感知受容体活性化合物に加えて、1種以上の活性成分を含み得る。追加の活性成分は、別のカルシリティック化合物、もしくは別のカルシウム模倣化合物であってよく、または、これは、異なる治療活性を有する活性成分であってよい。このような追加の活性成分の例には、抗生物質、炭酸ランタン、抗炎症剤(ステロイド性および非ステロイド性)および炎症性サイトカインの阻害剤(ENBREL(登録商標)、KINERET(登録商標))などのビタミンおよびこれらの類似体が含まれる。組合せとして投与される場合、治療薬は、同時もしくは異なる時間に与えられる別々の組成物として処方することができ、または、治療薬は、一つの組成物として与えることができる。]
[0080] 一態様において、本発明の方法に有用な医薬組成物は、以下により詳しく記載される追加の化合物を含むことができる。本明細書で使用される「併用療法」という用語は、有効量の少なくとも2種の活性化合物が、同時に1つ以上の疾患状態または状態を治療するために使用される療法である。「共投与」という用語は、個々の化合物の有効量が、患者において同時に存在する場合に2種以上の活性化合物の該患者への投与を表す。一態様において、化合物は、同時に投与することができる。本発明において有用な活性化合物には、それらの化合物が一般的に使用される疾患もしくは状態のための有効量における、カルシリティック化合物およびカルシウム模倣化合物、プロトンポンプ阻害剤、H2遮断薬、抗生物質/抗菌剤、細胞保護剤または他の化合物などの追加の化合物が含まれる。これらの化合物は、以下の「治療の方法」の節においてより詳しく記載されている。]
[0081] 別の態様において、当該発明の方法を実行するために使用される化合物は、生物活性成分を放出する経口投与用に製剤化することができる。摂取すると、最も酸に不安定な薬剤化合物は、これらの薬剤活性を保つために酸性胃分泌との接触から保護されなければならない。「酸に不安定な」化合物または薬剤という用語は、酸触媒分解しやすい任意の薬理学的に活性な薬物に本明細書で使用される。]
[0082] 一態様において、当該発明の組成物は、特定のpHにおいて溶解するために腸溶コーティングを有することができる。本明細書で使用される「腸溶コーティング」は、胃で実質的に無傷なままであるが、小腸に到達すると溶解し薬物を放出する物質を意味する。一般的に、腸溶コーティングは、低pHにおいて放出を防ぐが、わずかに高いpHにおいてイオン化し、したがって、小腸において十分に溶解し、活性薬剤を徐々に放出するポリマー物質を含む。一態様において、本発明の化合物は、小腸の基部(十二指腸)において放出することができる。]
[0083] 別の態様において、本発明の化合物は、腸溶コーティングしていない医薬組成物に製剤化することができる。これらの組成物は、本発明の化合物の、薬剤として活性な成分の即時放出を可能にさせる1種以上の緩衝剤と一緒の投与を含む。緩衝剤は、pHを上げることによって、胃の酸性環境において医薬品の実質的な分解を防ぐよう意図されている。例えば、米国特許第5,840,737号;6,489,346号;6,645,988号および6,699,885号を参照されたい。]
[0084] 本発明のさらなる態様において、本発明において有用な化合物は、浮遊薬物送達系(floating drug delivery system)(FDDS)を使用して胃に送達することができる。FDDSは、胃液より低いかさ密度を有し、したがって、長時間、胃内容物排出速度に影響することなく、胃中で浮いたままでいる。この系が、胃内容物上に浮いている間、本発明の化合物は、所望の速度でゆっくりと放出される。薬物の放出後、残っている系は、胃から排出され、したがって、胃貯留時間(GRT)増加および血漿薬物濃度の変動の良好な制御がもたらされる。当該発明において有用なFDDSは、発泡系および非発泡性系にさらに分けることができる。]
[0085] 発泡系は、メトセルのような膨潤性ポリマー、キトサンなどの多糖、重炭酸ナトリウムなどの発泡成分、クエン酸および酒石酸または体温でガス化する液体を収容しているチャンバーで調製されたマトリックスを使用する。発泡のために最適なクエン酸および重炭酸ナトリウムの化学量論比は、0.76:1である。これらの系を調製するための一般的な手法は、重炭酸塩が充填されエチルセルロースで被覆された樹脂ビーズを含む。不溶性コーティングは、水の浸透を可能にし、二酸化炭素を放出させ、ビーズを胃中に浮かせる。他の手法は、高度に膨潤性の親水コロイドおよび軽油、アルギン酸ナトリウムおよび重炭酸ナトリウムの混合物、摂取されると二酸化炭素を発生する複数回単位浮揚丸剤、重炭酸ナトリウムのコアを有する浮遊ミニカプセル、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むラコーツ(lacotes)およびポリビニルピロリドンコート、ならびにイオン交換技術に基づく浮遊系の使用を含む。]
[0086] 膨潤後の本発明において有用な非発泡薬物送達系は、これが、胃からのこれらの排出を妨げる程度まで、胃液の吸収により無制限に膨潤する。これらの系は、これらが、幽門括約筋の近くに留まる傾向を有するので、「プラグ型」系ともしばしば称される。正確な用量を送達するために、本発明において有用な化合物は、ゲルと混合することができ、このゲルは、経口投与後に胃液と接触して膨潤し、外側のゼラチンバリアの中で、相対的に完全な形状および1未満のかさ密度を維持する。膨潤したポリマーにより閉じ込められた空気は、この系に浮力を付与する。本発明において有用な他の流体力学的に均衡のとれた系は、本発明の化合物および親水コロイドの混合物、デンプンのようなセルロース誘導体および高級脂肪アルコールまたは脂肪酸グリセリドを含む持続放出カプセル、二層圧縮カプセル、多層軟質シート様薬剤デバイス、アクリル樹脂の中空ミクロスフェア、ポリスチレン浮揚性シェル、浮揚チャンバーおよび微孔性コンパートメントを有する単回および複数回単位デバイスならびに浮揚性制御放出粉末製剤を含む。他の開発には、水中に浸すと、劇的(数秒内でこれらの脱水形態の数百倍)に膨張する超多孔性ヒドロゲルの使用が含まれる。ゲルから作られた経口薬物送達製剤は、胃で急速に膨潤し、薬剤を胃から腸へよりゆっくりと動かし、より効率的に体に吸収させる。]
[0087] 本発明の一態様において、本発明において有用なカルシリティック化合物は、送達デバイスを内腔に局在させ、部位特異的に薬物吸収を増強するために使用される生体接着性薬物送達系(bioadhesive drug delivery system)(BDDS)を使用して送達することができる。この手法は、胃の上皮表面に接着し得る生体接着ポリマーの使用を含む。Chickering,D.E.ら(1995年)Reactive Polymers 25巻、189−206頁を参照されたい。これらの系に使用し得る添加剤には、消化管への付着を提供し、これによって、通過時間を延長するために薬物と組み合わされる、ポリカルボフィル、カルボポール、レクチン、キトサン、CMCおよびグリアジン、ならびにフィムブリアエ(fimbriae)菌または合成類似体から誘導される新規の接着物質が含まれる。カルシリティック化合物およびカードランなどの粘度生成剤(viscogenic agent)として作用する物質および/または低置換ヒドロキシプロピルセルロースを含む組成物も、本発明において有用である。]
[0088] 本発明の別の態様において、カルシリティック化合物は、幽門部近くの胃の粘膜皺または粘膜ひだ中に保持されるのに十分小さいペレットの保持機構としての沈殿作用を使用して送達することができる。粘膜皺中に捕捉された稠密なペレット(約3g/cm3)は、胃壁の蠕動運動に耐える傾向がある。ペレットを用いることで、胃腸通過時間は、ペレットの直径に依存するよりも密度に依存して、平均5.8時間から25時間に延長することができる。硫酸バリウム、酸化亜鉛、二酸化チタンおよび鉄粉などの添加剤は、密度を1.5−2.4g/cm3にまで増加させる。]
[0089] 本発明において有用なカルシリティック化合物は、加水分解ゼラチンからなる外部遮へい層で両側を覆われた、内層としての薬物含有セラックマトリックスに基づく展開する多層ポリマーフィルムなどのサイズ増加薬物送達系(size−increasing drug delivery system)を使用して送達することができる。Klausner E.A.ら(2002年)Pharm.Res.19巻:1516−1523頁を参照されたい。医薬剤形を胃中に保持するこの手法は、このサイズを幽門の直径より大きく増加させることに基づく。本発明の別の態様は、アルブミンで架橋されたポリビニルピロリドンからなる酵素消化性ヒドロゲル中の本発明の方法において有用なカルシリティック化合物を投与することに関係する。Shalaby WSWら(1992年)J Control Release 19巻:131−144頁。これらのヒドロゲルは、かなりの程度膨潤し、これは、アルブミン含有量およびアルブミンアルキル化の程度の関数である。ポリマーは、バルクまたは表面の浸食によりペプシンの存在下で分解される。アルブミンアルキル化増加とともに、ペプシン消化は減少し、バルク浸食が優勢になる。]
[0090] III.治療の方法
一態様において、本発明は、胃酸過多障害の治療方法を提供する。胃酸過剰疾患または障害を患う対象の初期治療は、上に示された用量で開始し得る。治療は、一般的に、疾患または障害が、制御または除去されるまで、必要に応じて、数時間、数日、数週から数ヵ月または数年の期間にわたって継続される。本明細書で開示された化合物および組成物による治療を受けている対象は、療法の有効性を決定するために、当技術分野でよく知られている方法のいずれかによって日常的に監視することができる。これらの方法のいくつかは、以下により詳しく記載されている。このようなデータの継続的な分析は、当該発明の化合物の最適な有効量が、任意の時点で投与されるように、および治療の期間も決定できるように、治療の間の治療計画の修正を可能にする。この目標に向けて、カルシリティック化合物の最低量が投与され、疾患または障害を首尾良く治療するために必要な長さだけ投与が続けられるように、治療計画および投薬スケジュールを、治療の期間を通して合理的に修正することができる。]
[0091] 胃酸過多胃腸障害には、例えば、胃食道逆流症、非びらん性逆流症、十二指腸潰瘍疾患、胃腸潰瘍疾患、びらん性食道炎、低応答性症候性胃食道逆流症、病的な消化管過分泌疾患、ゾリンジャー・エリソン症候群、多酸性消化不良、胸やけ、慢性胃酸過多胃炎、および十二指腸胃逆流が含まれる。]
[0092] 本発明は、様々な対象におけるGERDの治療方法を提供する。特定の内科的および外科的状態は、人をGERDにかかりやすくすることがある。最もよくあるのは、妊娠であり、妊婦の30から50%が、特に最初のトリメスターにおいて、胸やけを訴える。強皮症の患者の90%までが、低いLES(下部食道括約筋)圧および弱い蠕動または無蠕動を生じる平滑筋線維症の結果としてのGERDを有する。さらに、本明細書に記載の方法は、ゾリンジャー・エリソン症候群の患者における胃酸過多障害の治療のために有用である。これらの患者において、酸の分泌過多および胃容積増加は、GERDを引き起こす主要な要因である。Heller筋切開術後、患者の10から20%が、GERDを発症し得る。最終的に、長時間の鼻腔栄養チューブの挿管は、一部には酸がチューブに沿って攻撃し、チューブが、LESバリア機能を機械的に妨げるので、逆流性食道炎の発症の一因となり得る。]
[0093] ヒトの治療のために使用されるのに加えて、本発明は、霊長類、イヌ、ブタ、ウマ、ネコ、および(ラット、マウス、またはテンジクネズミを含む)齧歯類などの哺乳動物を含む家畜、外来動物および農場動物を含む他の対象にも有用である。]
[0094] 一態様において、本発明の方法により治療される胃酸過多障害には、胃食道逆流症(GERD、または酸逆流)が含まれる。GERDという用語は、食道および胃の間の筋肉(下部食道括約筋)が、弱くなり、または弱く、またはそうすべきではないときに緩み、胃内容物の食道への持続的な戻りをもたらし、胃酸による食道の炎症の症状である胸やけをしばしば生ずる場合に起こる状態である。GERDは、頻繁な異常な量の胃食道逆流(GER)、すなわち、胃から食道への胃内容物の楽な動きを防ぐ正常な逆流防止機構の機能不全に起因する。GERDは、通常、胸やけまたは酸逆流の症状を生じる一連の疾患である。大部分の患者は、内視鏡検査の時点で目に見える粘膜損傷を有さないが(非びらん性GERD)、他は、食道炎、消化性狭窄、バレット食道、または(胸痛、肺症状、もしくは耳、鼻、および咽頭症状などの)食道外疾患の徴候を有する。GERDの病態生理は、複雑であり、逆流防止バリア、食道酸クリアランス、組織抵抗などの食道を保護する防衛的要因、ならびに胃液酸度および体積および十二指腸内容物などの胃内容物からの侵襲的要因の間の不均衡に起因する。侵襲的要因および防衛的要因は、微妙に均衡を保っているシステムの一部である。]
[0095] GERDの古典的症状の一つは、胸やけであり、患者は、一般的に、胃または下胸部から上がり、頸部、咽頭および時々背部に向かって広がる灼熱感を報告する。通常、これは、食後、特に、分量の多い食事の後、または香辛料の入った料理、柑橘類、脂肪、チョコレート、およびアルコールの消費の後に起こる。GERDの診断は、通常、1週間に2日以上の胸やけの発症に基づき、より頻度の少ない症状も、この疾患を排除しない。しかし、胸やけの頻度および重症度によって、食道損傷の程度は予想されない。GERDの他の一般的な症状は、酸逆流および嚥下障害である。前屈みまたはもたれ掛かりにより悪化させられた、特に食後の酸性流体の楽な逆流は、GERDを非常に連想させる。毎日逆流を訴える患者の中で、LES圧は、通常低く、多くは、関連する胃不全麻痺を有し、食道炎は、多く見られる。嚥下障害は、GERDの患者の30%超によって報告されている。これは、通常、長期にわたる胸やけを背景にして、主に固体についての緩慢な進行性の嚥下障害で起こる。より一般的ではない逆流に関連した症状には、呑酸(わずかに酸っぱいまたは塩辛い体液の口中の突発的な出現)、嚥下痛(嚥下時の痛み)、おくび、しゃっくり、悪心、および嘔吐が含まれる。さらに、GERDの何人かの患者は、無症候性であり、特に高齢の患者は、逆流物質の酸性度低下または疼痛知覚低下のために無症候性である。GERDの食道外の症状には、(胸骨下に位置し、背部、頸部、顎、または腕に広がっていく絞るようなまたは焼けるようなとして表される)非心臓性胸痛、喘息、後部咽頭炎、慢性咳嗽、再発性肺炎、および歯牙浸食が含まれ得る。]
[0096] 胸やけおよび酸逆流の古典的な症状は、逆流症を確認し医療を開始するのに十分に特異的であるが、臨床医は、GERDが疑われる患者を評価するための信頼でき対費用効果の高い試験を使用し得る。一態様において、酸抑制の経験的試験を使用し得る。プロトンポンプ阻害剤すなわちPPIの初期用量(例えば、オメプラゾール40から80mg/日)は、少なくとも14日間、与えることができる。症状が治療とともに消失し、次いで、投薬を停止すると再発する場合、GERDを想定することができる。上部内視鏡は、食道の粘膜損傷のタイプおよび程度を記録するための現在の標準である。これは、食道炎の存在を確認し、患者の訴えの他の原因を排除する。しかし、pH試験による異常な食道逆流の患者の40から60%だけが、食道炎の内視鏡的証拠を有する。酸逆流の最も初期の内視鏡的徴候には、浮腫および紅斑が含まれる。他の所見には、破砕性(出血しやすい)、粒状および赤いすじが含まれる。進行性の酸損傷とともに、びらんが生ずる。GERDの内視鏡的格付けは、これらの視像の内視鏡検査者の解釈によって決まる。アメリカ合衆国で使用されている最も有名な格付けシステムの1つは、ロサンジェルスシステムであり、ここで、粘膜の裂け目の数、長さ、および位置が、食道炎の程度を決定する(表1)。]
[0097] ]
[0098] 食道の生検は、逆流損傷を確認し、他の食道疾患を排除し、合併症、特にバレット食道の存在を確かめるのに役立つ。逆流を示す顕微鏡的変化は、粘膜が内視鏡的に正常に見える場合でも起こり得る。GERDの最も感度の高い組織学的マーカーは、上皮の厚さの15%を超える基底細胞層の増加または上皮の上部3分の1への乳頭の伸長によって特徴付けられる反応性上皮変化である。これらの変化は、鱗状粘膜の上皮代謝回転の増加を表す。好中球および好酸球の存在によって特徴付けられる急性炎症は、食道炎に極めて特異的である。]
[0099] 携帯型の食道内pH監視は、現在、病的逆流を明らかにするための標準である。経鼻的に通し、圧力計で決定したLESの5cm上に位置するpHプローブを用いて、試験を行う。監視は、通常、18から24時間実施する。逆流の発症は、4未満のpHの降下によって検知される。一般的に測定されるパラメーターには、pHが4未満である合計時間の百分率、pHが4未満である立位および仰臥位の時間の百分率、逆流発症の合計回数、最長の逆流発症の期間、5分より長い発症の回数が含まれる。pHが4未満である時間の合計百分率は、GERDの最も再現性のある測定値であり、正常値の報告された上限は、4%から5.5%の範囲にわたる。Kahrilas P.J.ら(1996年)Gastroenterology 110巻:1982。]
[0100] 患者におけるGERDなどの胃酸過多障害の存在を確立するために役立つ別の安価で非侵襲性の試験は、バリウム食道造影である。これは、食道の構造的な狭まりを明らかにすること、および裂孔ヘルニアの存在および縮小可能性を評価することにおいて非常に有用である。この試験は、これが、かすかな狭窄および環を明らかにし、さらに運動性を評価することができるので、初発の嚥下障害のGERDの患者を評価するのに使用される。]
[0101] 食道検圧法は、LES圧および弛緩、さらに収縮の大きさ、期間および速度を含む蠕動運動の正確な評価を可能にする。放射性標識テクネチウム−99m硫黄コロイドシンチスキャニングは、GERを検知するための半定量的試験として有用である。酸灌流(Bernstein)試験は、症状の食道酸性化との関係を検出するために有用である。胆汁逆流は、携帯型食道ビリルビンモニターを使用して測定することができる。]
[0102] 本発明に記載の方法を用いて治療し得る他の胃酸過多障害には、非びらん性逆流症、びらん性逆流症および以下に記載の障害の種々の合併症が含まれる。本発明は、有効量のカルシリティック化合物を、単独で、または以下により詳しく記載される、当技術分野で知られている伝統的な治療モダリティの少なくとも1つの他のものと組み合わせて投与することによって、患者におけるこれらの障害を治療するために使用することができる。]
[0103] 非びらん性GERD、非びらん性逆流症、すなわちNERDは、内視鏡検査で目に見える食道粘膜損傷の非存在下の、食道内の酸によるGERDの典型的な症状の存在によって特徴付けられる逆流症の特定の形態を表すために使用される。NERDは、通常の内視鏡検査による典型的な逆流症状の存在によって疑われ、抗分泌性治療への患者の応答によって確認される。全体的にみて、非びらん性逆流症の患者は、逆流防止治療に応答せず、同様にびらん性GERDの患者も応答しない。Fass R.ら(2001年)Am.J.Gastroenterol.96巻:303頁。]
[0104] ゾリンジャー・エリソンすなわちZE症候群は、ホルモンのガストリンの異常な産生によって引き起こされる状態である。この障害において、膵臓または小腸における小さな腫瘍(ガストリノーマ)は、血中に高濃度のガストリンを産生し、これは、胃酸の過剰生成を引き起こす。同様に、高い胃酸濃度は、胃および小腸における多発性潰瘍をもたらす。]
[0105] 本発明の方法は、潰瘍を治療するために使用し得る。「潰瘍」は、特に、胃(消化性潰瘍)、食道または小腸(十二指腸潰瘍)などの胃腸管の内層の組織びらんの領域を意味する。潰瘍は、常に、周囲の組織の高さを下回って押し下げられている。これらは、様々な原因を有し得るが、GI管において、これらは、主として細菌のH.ピロリダズ(H.pyloridus)(h.ピロリ(h.pylori))による感染によるものと考えられている。本発明は、有効量のカルシリティック化合物を、単独で、または当技術分野で知られている伝統的な治療モダリティの少なくとも1つの他のものと組み合わせて投与することによって、患者におけるH.ピロリダズ感染を治療するために使用することができる。]
[0106] 本明細書に記載の本発明の方法は、胃酸過多障害の種々の合併症の治療において有用であり得る。例えば、出血および食道せん孔は、逆流性食道炎の合併症であり、一般的に、深い食道潰瘍または重いびまん性食道炎と関係がある。食道せん孔は、非常に珍しく、これらは、縦隔炎をもたらすことがあり、これらが迅速に認識され治療されない場合に致命的になることがある。消化性食道狭窄は、治療されていない逆流性食道炎の患者において、特に年配男性において起こる。これらは、一般的に、長年かけてゆっくりと進み、非ステロイド性抗炎症薬の長期使用と関係があり得る。GERDの何人かの患者において、食道下部の扁平上皮は、特殊な円柱上皮に取って代わられており、腸のものに似ており、杯細胞を含んでいる。バレット食道と称される障害の患者は、低LES圧、乏しい食道運動、大きな裂孔ヘルニア、ならびに大量の酸および胆汁の逆流を有する重いGERDを有し、ここで、大部分の患者は、少なくとも10年間、慢性の逆流症状を有している。]
[0107] 本発明の方法は、当技術分野で知られている伝統的なモダリティの1つ以上と組み合わせて使用することができる。例えば、食道炎を有さない患者において、治療上の目標は、酸に関連した症状を緩和すること、および頻繁な症候の再発を防ぐことであり得る。食道炎の患者において、目標は、さらなる再発および合併症の発症を防ぐ試みをしつつ、症状を緩和すること、および食道炎を治癒することである。]
[0108] 一態様において、本発明の方法は、生活様式の修正と一緒に実行することができる。これらには、ベッドの頭の方を高くすること、窮屈な衣服の回避、減量、アルコールの制限、喫煙の中止、食事療法、食後に横たわるのを控えること、および就寝前の夜食の回避が含まれる。これらの変更は、夜間のGERD症状または咽頭の病訴を有する患者に特に推奨することができる。]
[0109] 別の態様において、本発明のカルシリティック化合物は、他の治療化合物と共投与することができる。活性組成物は、それらの化合物が一般的に使用される胃酸過多疾患または障害についての有効量における、1種以上のカルシリティック化合物および追加の化合物または組成物、例えば、制酸剤、Gaviscon、運動促進剤、H2受容体アンタゴニスト、プロトンポンプ阻害剤、抗生物質/抗菌剤、細胞保護剤または併用薬剤を含むことができる。例えば、本発明のカルシリティック化合物は、Mylanta、Maalox、またはRiopanなどの制酸剤と組み合わせて使用することができる。制酸剤は、LED圧を増加するが、主として、比較的短期間に食道および胃における胃酸を緩衝することによって作用する。別の例において、本発明の化合物は、Gavisconと共投与することができ、これは、唾液と混ざって、胃のプール(gastric pool)の表面上に浮いて機械的障壁として作用する高粘性溶液を形成する。別の態様において、本発明の化合物および組成物は、運動促進剤と共投与することができ、この運動促進剤は、LES圧、酸クリアランス、または胃内容排出を増加することによって逆流症状を改善する。運動促進剤の例には、ベタニコール(Urecholine)、メトクロプラミド(Reglan)、ドンペリドンおよびセロトニン受容体アゴニストであるシサプリドが含まれる。さらなる一態様において、本発明の化合物および組成物は、ヒスタミン2(H2)受容体アンタゴニストと共投与することができる。これらは、食事に関連した酸分泌と比較して夜間の制御において最も有効である。H2受容体アンタゴニストには、シメチジン(Tagamet)、ラニチジン(Zantac)、ファモチジン(Pepcid)、およびニザチジン(Axid)が含まれる。別の態様において、本発明の化合物および組成物は、プロトンポンプ阻害剤(PPI)と共投与することができ、このプロトンポンプ阻害剤は、酸分泌の最終的な一般的経路である、H+、K+−ATPアーゼポンプを阻害することによって、胃酸分泌を減少させる。PPIの例には、オメラプラゾール(Prilosec)、ランソプラゾール(Prevacid)、ラベプラゾール(Aciphex)、パントプラゾール(Protonix)、およびエソメプラゾール(Nexium)が含まれる。]
[0110] 一態様において、本発明の方法は、外科治療、または内視鏡的縫合システムなどの内視鏡的治療、胃食道接合部への高周波エネルギー送達、LESの周りの粘膜下層への非吸収性ポリマーの注入と組み合わせて実行することができる。]
[0111] 本明細書に引用された全ての刊行物、特許および特許出願は、あたかも各個別の刊行物または特許出願が、参照により組み込むよう明確に個別に指示されていたかのように、参照により本明細書に組み込む。前述の発明は、理解の明瞭さのために例示および実例の目的でいくらか詳細に記載されているが、添付の特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなく、特定の変更および修正が、これに対して行われ得ることは、本発明の教示に照らして当業者には容易に明らかである。]
[0112] 以下の実施例は、本発明をより完全に例示するために提供されるが、この範囲を制限するものと解釈されるべきではない。]
[0113] 本実施例は、本発明において使用される方法および技術の概略を述べる。]
[0114] 動物
22−27グラムの体重の雄の(Casr+/+;Gcm2−/−)もしくはCaSRノックアウト(Casr−/−;Gcm2−/−)マウス(上パネル)または220−275グラムの体重の雄のSprague−Dawleyラット(下パネル)を、実験前18時間、水を自由に摂取できるようにして絶食させた。動物をイソフルオランの過量にさらし、胃を胃全摘術により切除した。体を胃から除去し、4℃において切断した。全てのマウスは、繁殖コロニーからYale Universityで生成された。雄のSprague−Dawleyラットは、Charles River Laboratories Inc.(Wilmington、MA)から購入した。全ての動物は、Yale University Animal Care and Use Committeeの標準プロトコールに従って世話した。]
[0115] 化学試薬
HEPES−リンガー溶液は、以下を含んだ(mmol/Lで表して)。NaCl 125;KCl 5;MgCl2 0.5;HEPES 22、CaCl2 0.1または1.6;ブドウ糖10、pH=7.4。この溶液に100%O2を通気した。Invitrogen(Seattle、WA、USA)製の2’,7’−ビス’(カルボキシエチル)−5−(6’)−カルボキシフルオレセイン(BCECF)および原液をジメチルスルホキシド(DMSO)中に調製した。]
[0116] カルシウム模倣溶液(化合物A、3−(2−クロロフェニル)−N−(1−(3−(メチルオキシ)フェニル)エチル)−1−プロパンアミン、およびカルシリティック溶液、化合物B、2−クロロ−6−(2−ヒドロキシ−3−(2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イルアミノ)プロポキシ)ベンゾニトリルをDMSO中に溶解した。DMSOの最終濃度は、0.1%(v/v)を上回ることはなかった。予備実験によって、ビヒクルは、ベースライン電気生理学的パラメーターを変化させないことが示された。]
[0117] 腺切開およびpH感受性色素充填
個々の胃腺を手で切開し、倒立顕微鏡のステージに移し、ここで、これらに、細胞内pHマーカーBCECFを充填した。色素を充填次第、腺に、37℃で、7.4のpHにおいて、5分間、正常HEPESリンガー溶液を灌流した。次いで、腺を、20mM NH4Clおよび0mM Naに曝露して細胞内に酸充填を誘発した。次いで、回復率を、10または100nM濃度のいずれかで、カルシウム模倣化合物Aの存在下または非存在下で算出した。]
[0118] 統計的分析
Naの非存在下の回復率を、各壁細胞について記録し、次いで、合計し、各腺の、次いで各動物のデータの平均±SEMを求めた。最終的な回復率は、動物1匹当たり5腺および1腺当たり5−7細胞の最小値を有する動物の数を示している。回復率を、酸充填後の回復率として求める。この率は、いかに早く、細胞が、プロトンを出し、胃のH,K−ATPアーゼプロトンポンプの活性の尺度を与えるかを決定する。]
[0119] この実験(図1)は、対照のCasr+/+;Gcm2−/−マウス(上パネル)またはSprague−Dawleyラット(下パネル)のいずれかから単離された灌流胃腺による酸分泌を誘発するカルシウム模倣化合物の添加の能力を示している。回復率を、胃腺による胃酸分泌を最大に刺激するために使用されたコリン作用性、カルバコール、分泌促進物質の100μM濃度と比較した。カルシウム模倣化合物Aは、マウスおよびラットの両方からの胃腺による酸分泌を増加した。化合物Aの効果は、濃度依存性であり、S鏡像異性体は、R鏡像異性体より強力ではなかった。データは、胃酸分泌を刺激するカルシウム模倣物の能力を示している。] 図1
[0120] この実験(図2)は、胃酸分泌を刺激するカルシウム模倣物の効果は、胃壁細胞中の機能性CaSRの発現を必要とすることを示している。胃酸分泌を、機能性CaSRを欠いたCasr−/−;Gcm2−/−マウスにおいて測定する。100μMヒスタミンまたは100μMカルバコールは、酸分泌を増加し、機能性CaSRを欠いたマウスは、天然の分泌促進物質によって刺激された場合、酸を分泌する正常な能力を示すことを示している。これは、CaSRノックアウトマウスは、酸分泌を刺激する古典的な分泌促進物質経路の細胞機構を有することを示す。対照的に、化合物AのRまたはS鏡像異性体のいずれも、これらのCaSRノックアウトマウスにおいて基礎酸分泌に対する効果を有しておらず、胃酸分泌を増加するカルシウム模倣物の作用は、機能性CaSRの存在を必要とすることを示している。] 図2
[0121] この実験(図3)は、分泌促進物質により誘発された酸分泌を阻害するカルシリティック化合物Bの効果を示している。マウスの胃腺を、細胞内に酸充填を誘発するための20mM NH4Clおよび0mM Naでの酸曝露の前およびこの間に、酸分泌の強力な活性剤である100μMアセチルコリン(AcH)にさらした。次いで、回復率を、10または100nM濃度のいずれかにおいてカルシリティック化合物Bの存在下または非存在下で算出した。機能性CaSRを有する動物へのカルシリティックの添加は、濃度依存的に酸分泌の阻害をもたらした。] 図3
[0122] この実験(図4)は、構成的に活性なH,K−ATPアーゼを有するマウスにおける酸分泌を阻害するカルシリティック化合物Bの効果を示している。これらのマウスは、ポンプを構成的に活性にする胃のH,K−ATPアーゼプロトンポンプにおける変異を有する。これらのマウスへのカルシリティックの添加は、濃度依存的に胃酸分泌を抑制する。] 図4
[0123] 図5は、機能性カルシウム感知受容体を発現し、構成的に活性な胃のH,K−ATPアーゼプロトンポンプを有するマウスから単離された灌流胃腺による酸分泌を減少するカルシリティック化合物Bの用量依存効果を示している。] 図5
[0124] この実験(図6)は、細胞が、食後に放出されるものなどのホルモン分泌促進物質によって最初に活性化される場合、カルシウム模倣物の添加は、Sprague−Dawleyラットから単離された灌流胃腺において示されたように、酸分泌を阻害し得ることを示している。] 図6
実施例

[0125] 回復率を、胃腺による胃酸分泌を最大に刺激するために使用されたホルモン分泌促進物質ヒスタミン(バーA)の200μM濃度と比較した。ヒスタミンを単独で添加した場合(バーA)、酸分泌の活性化があった。カルシウム模倣化合物Aは、分泌促進物質(バーB、C、D)で処理したラットからの胃腺における酸分泌を減少させた。カルシウム模倣化合物Aの効果は、分泌促進物質の非存在下で添加された場合、酸分泌を誘発した(バーE、F)。5匹のラット、1匹のラット当たり4つの腺、および1つの腺当たり10細胞からの集計データは、分泌促進物質により誘発された酸分泌を減少させるカルシウム模倣物の能力を示している。]
权利要求:

請求項1
有効量のカルシリティック化合物または薬学的に許容されるこの塩を、治療を必要とする対象に投与することを含む、胃酸過多疾患または障害の治療方法。
請求項2
胃酸過多障害が、GERDである、請求項1の方法。
請求項3
胃酸過多障害が、NERDである、請求項1の方法。
請求項4
胃酸過多疾患が、消化性食道狭窄、バレット食道、胃腺癌である、請求項3の方法。
請求項5
GERDが、軽度、中程度または重度である、請求項1の方法。
請求項6
胃酸過多障害が、ヘリコバクター・ピロリのコロニー形成、裂孔ヘルニア、胃炎、活動性十二指腸潰瘍、胃潰瘍、ゾリンジャー・エリソン症候群、消化不良、十二指腸胃逆流、または胃内容排出遅延によって引き起こされる、請求項1の方法。
請求項7
胸やけ治療用化合物を投与することをさらに含む、請求項1の方法。
請求項8
酸逆流治療用化合物を投与することをさらに含む、請求項1の方法。
請求項9
嚥下障害治療用化合物を投与することをさらに含む、請求項1の方法。
請求項10
呑酸、嚥下痛、おくび、しゃっくり、悪心、または嘔吐の治療用化合物を投与することをさらに含む、請求項1の方法。
請求項11
非心臓性胸痛、喘息、後部咽頭炎、逆流咽頭炎、慢性咳嗽、再発性肺炎、または歯牙浸食の治療用化合物を投与することをさらに含む、請求項1の方法。
請求項12
制酸剤を投与することをさらに含む、請求項1の方法。
請求項13
運動促進剤を投与することをさらに含む、請求項1の方法。
請求項14
H2受容体アンタゴニストを投与することをさらに含む、請求項1の方法。
請求項15
プロトンポンプ阻害剤を投与することをさらに含む、請求項1の方法。
請求項16
維持療法をさらに含む、請求項1に記載の方法。
請求項17
カルシウム模倣化合物を投与することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
請求項18
対象が、ヒトである、請求項1に記載の方法。
請求項19
対象が、高齢であるまたは妊娠している、請求項18の方法。
請求項20
カルシリティック化合物が、2−クロロ−6−(2−ヒドロキシ−3−(2−メチル−1−(ナフタレン−2−イル)プロパン−2−イルアミノ)プロポキシ)ベンゾニトリルである、請求項1に記載の方法。
請求項21
有効量のカルシウム模倣化合物または薬学的に許容されるこの塩を、PPIと一緒に、治療を必要とする対象に投与することを含む、胃酸過多障害の治療方法。
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