专利摘要:
アミロイド前駆体タンパク質(APP)コード配列のアミロイドベータタンパク質(AβP)部分の発現を調節するためのアンチセンス核酸、組成物、および方法を提供する。当該組成物は、アミロイド前駆体タンパク質をコードする核酸を標的としたアンチセンス核酸を含む。アミロイド前駆体タンパク質発現の調節、ならびにアミロイド前駆体タンパク質のアミロイドベータタンパク質部分の発現に関連する疾患および病状の治療のためのこれらの核酸を使用する方法を提供する。
公开号:JP2011514158A
申请号:JP2010547756
申请日:2009-02-19
公开日:2011-05-06
发明作者:ウィリアム・エイ・バンクス;スーザン・ファー;トーマス・ダーリン;ビジャヤ・ビー・クマー
申请人:エダン・バイオテクノロジー・インコーポレイテッドEdunn Biotechnology Inc.;
IPC主号:C12N15-09
专利说明:

[0001] 本出願は、2008年2月19日に出願された、米国特許仮出願第61/029,907号の優先権を主張し、その開示は、本明細書に引用するすべての資料とともに、その全体として、参照することにより組み込まれる。]
[0002] ヒトのアミロイド前駆体タンパク質の発現を調節するための組成物および方法を本明細書に記載する。具体的には、本発明は、アンチセンス化合物、特に、好ましい実施形態において、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、特に、APPのアミロイドベータタンパク質(AβP)部分をコード化する伝令リボ核酸(mRNA)またはデオキシリボ核酸(DNA)の合成に関与する核酸分子とハイブリダイズするオリゴヌクレオチド化合物に関する。そのような化合物は、本明細書において、APPのAβP部分の発現を調節することが分かっている。]
[0003] 当該化合物には、老人斑の蓄積が広まっている疾患に罹患する患者の治療において特に用途がある。疾患状態または病弊としては、アルツハイマー病、家族性アルツハイマー病、ダウン症、およびアポリポタンパク質E4対立遺伝子へのホモ接合体が挙げられるが、これらに限定されない。]
背景技術

[0004] 1907年、バイエルン人の精神科医であるアロイス・アルツハイマーによって、最初に説明されたアルツハイマー病(AD)は、短期記憶喪失から始まる進行性神経障害であり、認知機能および挙動の進行性の低下を特徴とする。疾患の進行は、失見当識、判断力、推論力、注意力、および会話力障害、ならびに、最終的に、認知症につながる。疾患の経過は、通常、発症後4年〜12年で、重度に衰弱し、寝たきり状態で死に至る。65歳以上の人口の5〜11%、および85歳以上の人口の47%がADに罹患していると推測されている。ADを管理するための社会的費用は、年間、$1000億以上であり、主に、AD患者に必要な広範な養護ケアに起因する。さらに、1940年代および1950年代のベビーブーム中に出生した成人がADがより広がりをみせる年齢に達すると、ADの制御および治療は、さらに深刻なヘルスケア問題になるであろう。ADの生理病理学を理解することを目的とした継続的な努力にもかかわらず、現在、有意に疾患の進行を遅延する治療はない。]
[0005] 病理学的に、アルツハイマー病は、罹患した個人の脳内における細胞外老人斑および細胞内神経原線維のもつれの存在を特徴とする、神経変性障害である(Masters,C.L.et al,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82:4245−4249(1985))。アルツハイマー病に罹患した脳細胞内で多量に見られる老人斑は、反応細胞および変性神経突起によって囲繞される細胞外AβP(当該技術分野において、ベータアミロイドタンパク質またはA4タンパク質とも称される)のコアから成る(Lenders,M.B.et al.,Acta Neurologica Belgica,89:279−285(1989)、およびPerry,G.et al.,Lancet,2:746(1988))。斑は、主に海馬等の脳の特定の部分に形成されるが、一部の症例において、それらは、脳および髄膜血管壁内においても見られる(Delacourt,A.et al.,Virchows Archiv.−A,Pathological Analomy&Histopathology,411:199−204(1987)、およびMasters,Cl.L.et al.,EMBO Journal,4:2757−2763(1985))。これらの斑の存在は、後期の疾患においてアミロイド斑形成につながる可能性がある凝集を含む、過剰なアミロイド生合成または代謝の予防がアルツハイマー病の発症を予防するという、アミロイド仮説を築く重要な所見である。アミロイド斑の形成およびアルツハイマー病関連の兆候もまた、中年層のダウン症患者によく見られる合併症である。アルツハイマー病の殆どの症例は、「自発的」であり、これは、疾患の家族歴がなく、したがって、ある人物にアルツハイマー病を発達させる素因となる、周知の遺伝子連鎖はないことを意味するが、早期発症型家族性アルツハイマー病は、アミロイド産生を加速させることが認められている、APP遺伝子のAβP部分における突然変異体において認められている。(Dingwall,J.Clin.Invest.;2001,108,1243−1246;Kienlen−Campard et al.,Exp.Gerontol.,2000,35,843−850)。]
[0006] 老人斑の主要サブユニットタンパク質である、AβPは、より大きなAPPの開裂産物である、4kD(39−43アミノ酸)タンパク質である。APPは、周知の有害な生理学的影響のない膜貫通タンパク質であるが、AβPは、高度に凝縮し、斑を沈着および形成し、アルツハイマー病、ダウン症、関連した疾患、および何人かの正常な高齢の個人の脳内において高いレベルで蓄積することが知られている(Verga,L.et al.,Neruroscience Letters,105:294−299(1989))。AβP沈着がアルツハイマー病の発症において重要な役割を担うという有力な証拠は、アルツハイマー病表現型がAPP遺伝子からの突然変異体と一緒に分離する、家族性アルツハイマー病の親族の特定に由来する(Younkin,S.G.,Tohuku J.of Exper.Med.,174:217−223(1994)、およびMatsumura,Y.et al.,Neurology,46:1721−1723(1996))。]
[0007] APP、AβP、および関連するタンパク質の核酸配列は、とりわけ、Ponteら(米国特許第5,220,013号)、およびGreenbergら(国際広報第WO88/03951号)によって報告されている。アミロイド前駆体タンパク質は、エクソン1−13、13a、および14−18から成る19−エクソン遺伝子の代替的スプライシングによって生じる、いくつかのアイソフォームを有する(Yoshikai et al.,Gene,87:257(1990))。主要転写産物は、APP695(13aではなく、エクソン1−6、9−18)、APP751(13aではなく、エクソン1−7、9−18)、およびAPP770(13aではなく、エクソン1−18)である。これらのすべては、単一膜貫通領域を有するマルチドメインタンパク質をコードする。APPのAβPセグメントは、APPアイソフォームの膜貫通ドメインのほぼ半分、および細胞外ドメインほぼ最初の28のアミノ酸を含む(米国特許第5,455,169号)。この構造では、ヒトAPPのAβPセグメントの42アミノ酸配列は、しばしば、左側にそのC末端を、右側にN−末端部分を有して示される。]
[0008] アミロイド前駆体タンパク質アイソフォームは、APP751およびAPP770のアイソフォームと異なるが、APP695ではなく、セリンプロテアーゼ阻害ドメインをコードするエクソン7を含有する。APP695は、神経組織において主要な形態であるが、APP751は、他の部分で主要な変異体である。AβPは、エクソン16および17の部分によってコードされたAPPの部分から派生する。]
[0009] 生体内のAPPプロセシングの2つの主な経路が説明されている。分泌経路におけるAPPの通常のプロセスは、APPのAβP配列内のタンパク質開裂によって生じ、タンパク質の大きな(約100kD)可溶性分泌型N−末端フラグメント(Oltersdorf,T.,Nature,14.341,144−147(1989)、およびde Sauvage,F.,and J.N.Octave,Science,11:245,651−653(1989))、およびより小さな(約9〜10kD)膜関連C末端フラグメント(Wolf,D.et al.,EMBO Journal,9:2079−2084(1990)、およびGhiso,J.et al.,Biochemical Journal,288:1053−1059(1992)の生成をもたらす。この種の開裂は、「α−セクレターゼ」として特定される位置で、またはその付近で生じると説明されている。開裂によって生じる2つのタンパク質フラグメントのいずれも、全AβPタンパク質を含まないため、それらのいずれも、アミロイド生成性ではない(つまり、老人斑を形成する傾向がある)。]
[0010] しかしながら、APP代謝の別の経路は、エンドソーム−リソソーム系に関与し、APPのアミロイド生成性C末端フラグメントの生成をもたらす。APPがエンドソーム−リソソーム系によって処理されるとき、一連の複雑なAPPの−COOH末端誘導体が産生され、それらのN−末端に、またはその付近に全AβPを有する潜在的にアミロイド生成性形態が含まれる。APPのこの異常な開裂の1つの形態は、「βおよびγセクレターゼ」として特定される位置で、またはその付近で生じ(Glenner and Wong,Biochem.Biophys.Res.Commun.,122:1131−1135(1984)、Volloch,FEBSLetters,390:124−128(1996))、斑を沈着させ、形成すると周知のAβPの生成をもたらす。斑は、アルツハイマー病の臨床的重症度に関連することが分かっている。アルツハイマー病患者の脳内におけるAβPの大量の沈着は、APP発現および代謝の調整が重要な病理学的事象であることを示唆している。いくらかの量のAβPは、絶えず脳内で産生されているが、継続的に除去されていることは公知である。明らかに、APP代謝の2つの代替的経路は、有害濃度のAβPの蓄積を回避するために、正確に均衡が取られなければならない。]
[0011] ヒトにおけるAPP遺伝子が染色体21上に配置されていることは公知である。21トリソミー(ダウン症、すなわちDS)に罹患する人々は、APPをコードする遺伝子を含む、過剰染色体を有し、したがって、上昇したβアミロイドレベルを有し、高齢期に必ずアルツハイマー病を発症する。いくつかの異なる研究は、アルツハイマー病におけるAPP遺伝子内のいくつかの特定部位の明らかな関与を示唆している。APP転写産物のコドン717において、3つの個別の突然変異体(val717−to−ile、val717−to−phe、およびval717−to−gly)が家族性アルツハイマー病で確認されている。Hardyらの米国特許第5,877,015号を参照されたい。これらの突然変異体、およびMullan(米国特許第5,455,169号)によって開示された二重突然変異体の位置は、アミロイド生成性である方法でAβPプロセスを変化させることによって、アルツハイマー病をもたらし得るという、Suzukiら(Science,264:1336−1340(1994))を示唆した。彼らは、APP717突然変異体が、生成された、より長いペプチドフラグメントの割合における1.5〜1.9倍の増加に一貫して関与しており、より長いペプチドフラグメントは、短いペプチドフラグメントよりも迅速に可溶性アミロイド線維を形成したことを発見した。単一APP遺伝子からの転写産物の代替的スプライシングは、遺伝子産物の少なくとも10のアイソフォームをもたらし(Sandbrink et al.,J.Biol.Chem.,269:1510−1517(1994))、そのうちのAPP695は、神経組織内で選択的に発現する。3つの突然変異体では、APP695の膜貫通ドメイン内のバリン−642は、優勢遺伝性の家族性アルツハイマー病に関連して、イソロイシン、フェニルアラニン、またはグリシンで置換される。順番に付番するシステムに従い、val642は、717と付番され、3つの突然変異体は、それぞれ、V7171、V717F、およびV717Gと付番された。Yamatsujiら(Embo J.15:498−509(1996))は、これらの3つの突然変異体は、染色体21関連のアルツハイマー病のほとんど、またはすべての主な原因であると述べた。遺伝子組み換えマウスでは、そのような変異体の過度の発現は、アルツハイマー病の神経病理学を模倣する。Yamatsujiら(Science,272:1349−1352(1996)は、正常なAPP695ではなく、これらの3つの変異タンパク質のいずれか1つの発現は、培養した神経細胞内のヌクレオソームDNAフラグメント化を誘導したことを証明した。DNAフラグメント化の誘導は、変異体の細胞質ドメインを必要とし、ヘテロ三量体グアノシン三リン酸結合タンパク質(Gタンパク質)によって媒介されると考えられた。]
[0012] mRNAの翻訳を抑制するための相補配列の使用は、1970代後半に説明された(例えば、Paterson et al,Proc.Natl.Acad.Sci.,74:4370−4374(1977)、Hastie,N.D.and W.A.Held,Proc Natl.Acad.Sci.,75:1217−1221(1978)、およびZamecnik,P.C.and M.L.Stephenson,Proc.Natl.Acad.Sci.,75:280−284(1978)参照)。しかしながら、特定のmRNAの選択的閉塞ためのアンチセンスオリゴヌクレオチドの使用は、最近始まった(例えば、Weintraub et al,TrendsGen.,1:22−25(1985)、Loke et al.,Prod.Natl.Acad.Sci,USA,86:3474−3478(1989)、Mulligan et al.,J.Med.Chem.,36:1923−1937(1993)、およびWagner,Nature,372:333−335(1994)参照)。細胞内のアンチセンス阻害の機構は、以前に分析されており、オリゴヌクレオチドに媒介されるmRNAレベルの減少は、いくつかのタンパク質の発現の減少に関与することが分かっている(Walder,R.Y.and J.A.Walder,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,85:5011−5015(1988)、Dolnick,B.J.,Cancer Invest.,9:185−194(1991)、Crooke S.and B.LeBleu,Antisense Research and Applications,CRCPress,Inc.,Boca Raton,Fla.(1993)、Chiang et al.,J.Biol.Chem.,266:18162−18171(1991)、およびBennett et al.,J.Immunol,152:3530−3540(1994)参照)。]
[0013] アンチセンスオリゴヌクレオチドの使用は、動物および人間における疾患の治療のための実行可能な選択肢として認識されている。例えば、米国特許第5,098,890号、第5,135,917号、第5,087,617号、第5,166,617号、第5,166,195号、第5,004,810号、第5,194,428号、第4,806,463号、第5,286,717号、第5,276,019号、第5,264,423号、第4,689,320号、第4,999,421号、および第5,242,906号を参照されたく、これらは、癌、HIV、単純ヘルペスウイルス、インフルエンザウイルスを含む、種々の疾患、HTLV−HI複製、細胞内の外来核酸の複製の予防、CMV特異性の抗ウイルス剤、および潜伏EBV感染の治療における、アンチセンスオリゴヌクレオチドの使用を教示する。]
[0014] 近年、APP遺伝子の発現の調整は、AβP部分の沈着に関連した疾患の検出および治療に有用であり得ると認識されている。例えば、Salbaumら(米国特許第5,853,985号)は、APP遺伝子の発現を調整する薬物をスクリーニングする方法における、ヒトAPPのプロモータの使用を報告した。Moniaら(米国特許第5,837,449号)は、APP770アイソフォームのコドン717、670、および671において突然変異を有するAPP遺伝子に選択的にハイブリダイズし、AβPの発現の検出ならびに調節に役立つことが可能なオリゴヌクレオチドプローブを説明した。APP770のコドン717、670、および671における突然変異以外に、Moniaらは、より短いアイソフォームであるAPP695のコドン642、595、および596における同一の突然変異は、同様の効果を提供すると予想し得ることを示唆した。それにもかかわらず、そのようなオリゴヌクレオチドの使用は、未だに、AβPの発現を伴う疾患の有効な治療になることが証明されていない。]
[0015] 現在、AβP前駆体の合成を有効に阻害する公知の治療薬剤はなく、今日まで、AβP前駆体のレベルを調節することを目的とした調査戦略には、遺伝子組み換えおよびノックアウトマウス、ならびにアンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、およびベクター発現アンチセンスAβP先駆体の使用が関与する。]
[0016] GenBank受入番号NM_000484を有する、ヒトAβP前駆体に対するいくつかのアンチセンスオリゴヌクレオチドとしては、当該技術分野において報告されており、138位〜157位を標的とし、かつ5′および3′末端においてホスホロチオエート化するオリゴヌクレオチド(Hoffmann et al,Eur J.Cell Biol.,2000,79,905−914)、148位〜167位を標的とするホスホロチオエート化されたオリゴヌクレオチド(Chang et al.,J.Mol.Neurosci.,1999,12,69−74)、20ヌクレオチドの長さおよびAUGコドン、クニッツ型プロテアーゼ阻害(KPI)ドメイン、およびβ/A4ドメインを標的とする3つのホスホロチオエート化されたオリゴヌクレオチドおよび3つの正常のオリゴヌクレオチド(Suh et al.,Ann.N.Y.Acad.Sci.,1996,786,169−183)、ならびに138位〜160位を標的とするスホロチオエート化されたオリゴヌクレオチド(Majocha et al.,Cell.Mol.Neurobiol.,1994,14,425−437)が挙げられる。米国特許第6,310,048号、およびPCT公開第WO01/42266号に請求されているものは、APPのアミノ酸をコードし、APPの一部分の発現を可能にするAPPのβアミロイド部分の発現を阻害する核酸配列に相補的な核酸配列を含む、アンチセンス化合物である(Kumar 2001)。]
[0017] 多くの神経治療薬剤剤による治療への障害は、人体の血液脳関門である。血液脳関門は、血液内の毒性物質から脳を保護し、脳組織に栄養を供給し、脳から有害な化合物をろ過して血流に戻す、特殊な微小血管内皮細胞系であり、すべては、中枢神経系の恒常性環境を維持するためである(Persidsky et al.,J.Neuroimmune Pharmacol.,2006,1,223−236)。]
[0018] 血液脳関門を横切る輸送は、物理的および代謝障壁の両方にわたって厳しく制限されている。毛細血管の壁が可溶性化学物質がそこを通って血管から組織へ、またはその逆に通過することができる有窓内皮細胞から成る、脳の外側の残りの身体とは異なり、血液を脳に供給する毛細血管は、毛細管内皮細胞膜を通るほとんどの分子の通過を阻害する、密着結合を有する。これらの膜は、酸素、二酸化炭素、エタノール、およびステロイドホルモン等の脂肪性可溶性材料の通過を可能にするが、グルコース、タンパク質、およびアミノ酸等の可水溶性材料は、血液脳関門を通過しない。荷電含有で、大きい、または親水性分子は、血液脳関門を通る通過を促進するために、ゲート型制御チャネル、ATPタンパク質、および/または受容体を必要とする(Roney et al,J.of Controlled Release,2005,208,193−214)。]
[0019] 制限された透過性の結果、血液脳関門は、中枢神経系への治療薬剤の送達のための制限因子である(Persidsky et al.,J Neuroimmune Pharmacol.,2006,1,223−236)。血液脳関門貫通の悪さは、アルツハイマー病等の右脳疾患を標的とする薬物において深刻な問題であり、潜在的な治療薬剤である、小分子の約98%、および巨大分子のほぼ100%に影響を及ぼす(de Boer,A.G.and Gaillard,P.J.,Annu.Rev.Pharmacol.Toxicol.,2007,47,323−55)。脳の特定の領域への治療薬剤の送達の困難さを克服することは、殆どの脳障害の治療にとって主な課題となっている。]
[0020] したがって、アルツハイマー病および関連疾患の病理学の理解における著しい進歩にもかかわらず、AβPの発現を制御するための方法、特に、脳内のAβPの沈着に関連した疾患に罹患する、または罹患するリスクのあるヒトおよび動物の取得および維持能力を向上させることが可能な治療への必要性が依然として存在する。脳内で治療的に作用するのに十分な量の、血液脳関門を横断することが可能なそのような組成物への必要性も存在する。]
[0021] 本発明は、一部、中枢神経系内に血液脳関門を横断するオリゴヌクレオチドの発見に基づく。したがって、一実施形態では、本発明は、配列番号1と少なくとも90%同一である配列を有する核酸を含む。別の実施形態では、本発明は、本発明の核酸および薬学的に許容される賦形剤、担体、または希釈剤を含む、組成物を含む。本発明の核酸は、血液脳関門を横断することが可能であり、経口、非経口、皮下、腹腔内、皮内、筋肉内、静脈内、関節内、頭蓋内、髄腔内、髄内、脳室内、鼻腔内、肺内、吸入、送気、経粘膜、経皮(transdermal)、直腸、局所、経皮(dermal)、口腔、舌下、または眼内投与を介して投与され得る。一実施形態では、それらは、静脈内的、皮下的、経口的、鼻腔内的、または筋肉内的に投与される。]
[0022] さらに別の実施形態では、本発明は、細胞または組織内のアミロイド前駆体タンパク質の発現を阻害するための方法を含む。該方法は、APPの発現が阻害されるように、本発明の核酸または組成物を細胞または組織に投与するステップを含む。さらに別の実施形態では、本発明は、細胞または組織内のアミロイドベータタンパク質の発現を調節する方法を含む。該方法は、アミロイドベータタンパク質の発現が調節されるように、本発明の核酸または組成物を細胞または組織に投与するステップを含む。]
[0023] さらなる実施形態では、本発明は、アミロイドベータタンパク質前駆体またはアミロイドベータタンパク質に関連した疾患または病状を有する対象を治療する方法を含む。該方法は、APPの発現が阻害されるように、治療的または予防的有効量の本発明の核酸を対象に投与するステップを含む。本発明は、以前にAD、MCI、認知症、または前段階の認知症と診断されていない患者の予防治療の方法をも含み、その患者は、脳内の上昇したレベルのAβPを呈する。該方法は、AD、MCI、認知症、または前段階の認知症の発症を予防または遅延するのに有効な量の本発明の核酸を患者に投与するステップを含む。本発明は、認知機能を強化する方法をも含む。該方法は、認知機能を強化させるのに有効な量の本発明の核酸を対象に投与するステップを含む。]
[0024] その神経保護の役割において、血液脳関門は、多くの潜在的に重要な診断および治療薬剤の脳への送達を妨害する機能をする。したがって、本発明の核酸が中枢神経系内の血液脳関門を横断することは驚きである。したがって、本発明の核酸は、直接的送達技術を必要とせず、脳内の細胞および組織に治療的に作用することが可能である。直接技術は、脳脊髄液への薬物の脳内−心室内、または髄腔内注入または注射、脳内への直接注入、対流増加薬物送達、または脳インプラントを含む。しかしながら、直接技術でさえ、完全または一貫して脳内への薬物の網羅的浸透に影響を及ぼすことが可能ではない(de Boer,A.G.and Gaillard,P.J.,Annu.Rev.Pharmacol.Toxicol.,2007,47,323−55)。したがって、本発明の方法、核酸および組成物は、血液脳関門が化合物の送達を妨害し得る、中枢神経形に影響を及ぼす、任意の状態における治療法に必要な化合物の中枢神経系への送達のために提供される。本発明の方法、核酸、および組成物は、現在使用可能な血液脳関門を通る中枢神経系への化合物の送達手段に勝る改善されたものである。]
[0025] 当然ながら、本明細書に開示するオリゴヌクレオチドが役立つ別の患者群は、ダウン症(DS)患者であり、40歳前後でアルツハイマー病に屈し始めることになる。薬物設計に影響を及ぼす、その実施形態のうちの1つのOL−1hで最終的にDS患者を治療することが可能である。]
[0026] 本明細書に開示する核酸、組成物、および方法は、ADの早期診断、または前段階のアルツハイマー病状態を有する患者にも役立ち得る。過去数年間の間、科学者達は、ADおよび通常の加齢関連の記憶変化の両方とは異なる、軽度認識障害(MCI)と称される、ある種の記憶変化に焦点を置いていた。MCIを有する者は、進行中の記憶障害を有するが、精神錯乱、注意問題、および言語障害等の喪失は有しない。しかしながら、MCIは、ADに進行し、今日まで、その転帰を変えた治療介入は存在しない。国立老化研究所(The National Institute of Aging(NIA))の資金による記憶障害研究(Memory Impairment Study)は、参加者におけるドネペジル(Aricept)、ビタミンE、またはプラセボをMCIと比較して、薬物がADへの進行を遅延または予防し得るかどうかを調べた。該研究は、薬物ドネペジルを摂取したMCIの群では、プラセボの対照群と比較して、3年間の研究のうちの最初の18ヶ月でADへ進行するリスクが低減されたことを発見した。ドネペジルの参加者の中で、MCIからADへの診断への進行のリスクの低減は、18ヵ月後に消失し、研究の最後には、2つの群においてADへの進行の可能性は、同じであった。ビタミンEは、プラセボと比較したときに、研究中のどの時点においても、効果はなかった。]
[0027] 前段階の認知症に罹患する人々に、しばしば、いわゆる「承認適応症外」ベースで処方される、軽度から中度のADを治療するために現在処方されているコリンエステラーゼ阻害剤でのMCI患者の治療についての結論は、同様である。医師は、これらの薬剤のいずれも、MCIから認知症への進行速度を著しく低減させなかった、6つの臨床試験からの結果等の結果により、それらの有効性について対立しているが、数人の専門家および患者群は、そのような抗コリンエステラーゼ薬剤が軽度の認知障害MCIの人々へ投与されることを求めている。満たされていない医学の必要性は、MCIおよび他の初期段階のアルツハイマー病状態を治療するための有効な薬剤に対して明らかに存在する。]
[0028] したがって、MCI患者には、本明細書に開示する化合物および組成物による治療は有益であり得る。特定の実施形態では、化合物は、OL−1、または関連した配列の1つ以上の分子であり得る。不可避の進行は、脳細胞へのさらなる損傷を予防することによって、通常の学習力および記憶力を保護するのに十分早期に中断することが可能である。]
図面の簡単な説明

[0029] 実施例1で参照する、OL−1hの製造説明のフローチャートを示す。
ダウン症のマウスモデルにおけるOL−1の効果を示す。
静脈内(IV)投与によって、マウス内へのヒトOL−1hの送達の効果、および脳対血清内の濃度を示す。
皮下(subQ)投与によるマウス内へのマウスのOL−1hの送達の効果、および脳対血清内の濃度を示す。
経口投与後の血清(図5a)または脳(図5b)内の放射標識されたオリゴヌクレオチドの濃度を示す。
マウス内へのOL−1mの鼻腔内投与が3つの脳領域内への進入をもたらすことを示す。
SAMP8マウス内へのOL−1mの鼻腔内投与がT字型迷路フットショック回避試験において有効であることを示す。
図8aは、種々の時点における鼻腔内またはIV投与後のマウスの血中のOL−1hのレベルを比較する。図8bは、種々の時点における鼻腔内またはIV投与後のマウスの脳内のOL−1hのレベルを比較する。] 図5a 図5b 図8a 図8b
[0030] [詳細な説明]
アンチセンス化合物、特に、核酸および核酸様オリゴマーを本明細書に説明し、それは、アミロイド前駆体タンパク質(APP)のアミロイドベータタンパク質(AβP)部分をコードする核酸を標的とし、APPのAβP部分の発現を調節する。本発明の特定のオリゴヌクレオチドは、APPの選択したDNA部分から、またはそこに転写されたmRNAを直接結合するように設計され、それによって、それぞれ、APP mRNAから翻訳されたAβPの量、またはAPP遺伝子から転写されたmRNAの量を調節する。]
[0031] 本発明の一実施形態は、ヒトAPPの発現を調節する、ヒトAPPをコードする核酸分子を標的とする、42ヌクレオ塩基の長さのアンチセンス化合物である。好ましくは、アンチセンス化合物は、アンチセンスオリゴヌクレオチドである。この実施形態では、本発明は、新規のオリゴヌクレオチド、特に、配列TGCACCTTTGTTTGA ACC CACATCTTCTGC AAA GAA CAC CAA(配列番号1)を対象とし、それは、APPのAβP部分のアミノ酸17−30、Leu Val Phe Phe Ala Glu Asp Val Gly Ser Asn Lys Gly Ala(配列番号2)をコードするヌクレオチドと相補的である。特定の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒトAPPのAβP部分のアミノ酸17−30(配列番号2)をコードするヌクレオチドと相補的である。特定の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、1つの修飾ヌクレオシド間連結を含む。]
[0032] これらの化合物を含む、医薬組成物および他の組成物も提供する。異常な量のAPPのAβP部分の産生に関連した疾患または病状を有するか、またはそれに罹患しやすいことが疑われている、動物、特に、ヒトを治療する方法も、本明細書に説明する。そのような方法は、治療的または予防的に有効量の1つ以上の化合物または組成物を治療を必要とするヒトに投与するステップを含む。本発明の別の実施形態は、APPの発現が阻害されるように、細胞または組織を上述のアンチセンス化合物と接触させるステップを含む、ヒトの細胞または組織内のAPPの発現を阻害する方法である。]
[0033] 本発明の別の実施形態は、上述のアンチセンス化合物および薬学的に許容される担体または希釈剤を含む、医薬組成物も提供する。好ましくは、アンチセンス化合物は、アンチセンスオリゴヌクレオチドである。この好ましい実施形態の一態様では、アンチセンス化合物は、エンドソーム−リソソーム系を介して代謝されるAPPの部分を標的とし、「βおよびγセレクターゼ」として特定される位置、またはその付近におけるAPPの異常開裂から生じる潜在的にアミロイド生成性の形態をもたらす。アンチセンス化合物は、選択的にAPPの発現を阻害する。]
[0034] βおよびγセクレターゼ開裂位置、およびその付近におけるAPPの開裂によって産生されるAPPのアミロイド生成性AβP部分の産生を、調節することを特に目的とする、APPの発現に対処する新技術への必要性が存在する。アンチセンスオリゴヌクレオチド技術は、特定の遺伝子産物の発現を低減させるための効果的な手段であり、したがって、APP発現の調節のための多くの治療的、診断的、および研究的用途において有用である。]
[0035] APPの発現を調節することによってAβPの発現を調節するための組成物および方法を本明細書に説明し、それらの開裂産物のうちの1つは、AβPである。これは、APPをコードする1つ以上の核酸分子と特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを提供することによって達成される。特定の実施形態では、単一オリゴヌクレオチドを使用してAPPを標的とし得る。]
[0036] 本発明は、APPタンパク質をコードするRNAおよびDNAの機能のアンチセンス阻害に使用するオリゴヌクレオチドを使用する。本発明は、そのようなタンパク質をコードするDNAまたはmRNAにハイブリダイズ可能であり、それらのそれぞれの遺伝子から転写される、そのようなタンパク質の量を最終的に調節するように設計されるオリゴヌクレオチドも使用する。そのようなmRNAとのハイブリダイゼーションは、mRNAの通常の役割を干渉し、細胞内のその機能の調節をもたらす。干渉されるmRNAの機能には、タンパク質翻訳用の部位へのRNAの転座、RNAからのタンパク質の実際の翻訳、1つ以上のmRNA種を得るためのRNAのスプライシング、およびRNAと関与するか、またはそれによって促進され得る触媒活性または錯体形成等のすべての生体機能が含まれる。mRNA機能とのそのような干渉の全体の影響は、APPタンパク質の一部分または全部のうちのいずれかの発現の調節であり、「調節」は、APPタンパク質の一部分または全部の発現における増加(刺激)または減少(阻害)のいずれかを意味する。本発明の内容では、阻害は、遺伝子発現の調節の好ましい形態であり、mRNAは、しばしば、好ましい標的核酸である。]
[0037] 本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドとしては、アルツハイマー病、軽度の認知機能障害、ダウン症、パーキンソン病、家族性アルツハイマー病、アポリポタンパク質E4対立遺伝子へのホモ接合体、ボクサー認知症(頭部外傷を含む)、オランダ型アミロイドーシスを有する遺伝性脳出血(HCHWA−D)、アミロイド血管症を有する血管性認知症、MCI、認知症、前段階の認知症、またはβおよびγセレクターゼ開裂位置もしくはその付近におけるAPPの開裂によって産生されるAβPタンパク質の不適切または過剰な発現によって生じる、任意の他の疾患状態の任意の変異型が挙げられるが、これらに限定されない、疾患または病状を治療する上で有用である。]
[0038] 本明細書に使用する、以下の用語は、示された意味を有する。]
[0039] 本明細書に使用する、「標的核酸」および「APPをコードする核酸分子」という用語は、APPの少なくとも一部分をコードするDNA、そのようなDNAから転写されたRNA(プレmRNAおよびmRNAまたはそれらの部分を含む)、およびそのようなRNAから派生するcDNAを含むように便宜上使用されている。化合物のその標的核酸とのハイブリダイゼーションは、一般的に、「アンチセンス」と称される。したがって、いくつかの実施形態の実践に含まれると考えられる好ましい機構は、本明細書において、「アンチセンス阻害」と称される。そのようなアンチセンス阻害は、少なくとも1つの鎖またはセグメントが、開裂、分解、または操作不可能にされるように、典型的に、オリゴヌクレオチド鎖またはセグメントの水素結合ベースのハイブリダイゼーションに基づく。これに関し、そのようなアンチセンス阻害のために特定の核酸分子およびそれらの機能を標的とすることが、現在好ましいとされる。]
[0040] 本明細書に使用する、アンチセンス化合物は、アンチセンスオリゴマー化合物、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、外部誘導配列(EGS)オリゴヌクレオチド、代替的スプライサー、プライマー、プローブ、および標的核酸の少なくとも一部分にハイブリダイズする他のオリゴマー化合物を含む。そのように、これらの化合物は、単鎖、二重鎖、円形、またはヘアピンの形状のオリゴマー化合物に導入され得、内部または末端バルジまたはループ等の構造要素を含み得る。系に導入されると、化合物は、1つ以上の酵素または構造タンパク質の作用を誘発して、標的核酸の修飾をもたらし得る。]
[0041] アンチセンス化合物は、異なる塩基が化合物内の1つ以上のヌクレオチド位で存在する、修飾化合物も含む。例えば、第1のヌクレオチドがアデニンである場合、修飾化合物は、産生され得、それは、この位置にチミン、グアニン、またはシトシンを含む。これは、アンチセンス化合物の任意の位置で行い得る。次いで、これらの化合物は、本明細書に説明する方法を使用して試験され、APPmRNAの発現を阻害する能力が判断される。]
[0042] 本明細書に使用する、「オリゴマー化合物」という用語は、複数のモノマー単位を有するポリマーまたはオリゴマーを指す。オリゴヌクレオチドは、アンチセンス化合物の好ましい形態であるが、本明細書に説明するもの等のオリゴヌクレオチドアナログおよび模倣薬が挙げられるが、これらに限定されない、他の族のアンチセンス化合物も検討される。]
[0043] 1つの好ましい実施形態では、アンチセンス化合物は、30〜50ヌクレオ塩基の長さである。当業者は、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50ヌクレオ塩基の長さの化合物を統合することを理解するであろう。]
[0044] 特に好ましい化合物は、約40〜約45ヌクレオ塩基のオリゴヌクレオチドであり、より好ましくは、約42ヌクレオ塩基を含むオリゴヌクレオチドである。]
[0045] 図示したアンチセンス化合物から選択される少なくとも8つの連続ヌクレオ塩基を含む、8〜80ヌクレオ塩基の長さのアンチセンス化合物は、好適なアンチセンス化合物になるとも考えられる。]
[0046] 本明細書に図示した好ましいアンチセンス化合物を熟知した当業者は、必要以上の実験を行うことなく、さらに好ましいアンチセンス化合物を特定することが可能であろう。]
[0047] 本明細書に使用する、「オリゴヌクレオチド」という用語は、リボ核酸(RNA)またはデオキシリボ核酸(DNA)、もしくは模倣薬のオリゴマーまたはポリマー、キメラ、アナログ、およびそれらのホモログを指す。この用語は、自然発生のヌクレオ塩基、糖、および共有ヌクレオチド間(骨格)連結から成るオリゴヌクレオチド、ならびに同様に機能する非自然発生の部分を有するオリゴヌクレオチドを含む。そのような修飾または置換オリゴヌクレオチドは、例えば、強化された細胞取り込み、強化された標的核酸への親和性、およびヌクレアーゼ存在下で増大した安定性等の所望の特性のため、しばしば、天然形態よりも好ましいとされる。]
[0048] 本発明に従うオリゴヌクレオチドは、好ましくは、約30〜約50ヌクレオチドを含む。そのようなオリゴヌクレオチドが、約40〜45ヌクレオチドを含むことがさらに好ましいとされる。当該技術分野において既知のとおり、ヌクレオチドは、ホスホジエステル、ホスホロチオエート、または他の共有結合を介して、隣接するヌクレオチドに適切に結合した塩基−糖の組み合わせである。]
[0049] 本発明に従い使用されるオリゴヌクレオチドは、固相合成の周知の技術により便宜的かつ定期的に作製される。そのような合成のための装置は、例えば、Agilent Technologies社(Santa Clara,California)を含む、種々の業者から販売されている。当該技術分野において既知のそのような合成のための任意の他の手段は、付加的または代替的に使用され得る。同様の技術を使用して、ホスホロチオエートおよびアルキル化誘導体等の他のオリゴヌクレオチドを調製することも既知である。]
[0050] オリゴヌクレオチドは、特定の拡散との特異的なハイブリダイゼーションをもたらすのに十分な同一性および数のヌクレオチド配列を含み得る。遺伝子のセンス鎖の一部分と特異的にハイブリダイズする、そのようなオリゴヌクレオチドは、一般に、「アンチセンスオリゴヌクレオチド」として説明される。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、研究試薬、診断補助薬、および治療薬剤として一般に使用される。例えば、優れた特異性を有する遺伝子発現を阻害することが可能なアンチセンスオリゴヌクレオチドは、しばしば、特定の遺伝子の機能を解明する、例えば、種々の数の生物学的経路の機能と区別するために、当業者によって使用される。したがって、この特異的阻害効果は、研究用途のために、当業者によって利用されている。]
[0051] オリゴヌクレオチドの特異性および感受性も、治療用途のために、当業者によって利用されている。例えば、以下の米国特許は、アンチセンスオリゴヌクレオチドを使用する、苦痛緩和方法、治療法、および他の方法を示す。米国特許第5,135,917号は、ヒトインターロイキン−1受容体の発現を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。米国特許第5,098,890号は、c−myb癌遺伝子に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチド、および特定の癌の状態に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド療法を対象とする。米国特許第5,087,617号は、癌患者をアンチセンスオリゴヌクレオチドで治療するための方法を提供する。米国特許第5,166,195号は、HIVのオリゴヌクレオチド阻害剤を提供する。米国特許第5,004,810号は、単純ヘルペスウイルスVmw65mRNAにハイブリダイズし、かつ複製を阻害することが可能なオリゴマーを提供する。米国特許第5,194,428号は、インフルエンザウイルスに対する抗ウイルス活性を有するアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。米国特許第4,806,463号は、アンチセンスオリゴヌクレオチドおよびそれらを使用して、HTLV−III複製を阻害する方法を提供する。米国特許第5,286,717号は、癌遺伝子の一部分に相補的な塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを提供する。米国特許第5,276,019号および米国特許第5,264,423号は、細胞内の外来核酸の複製を防止するために使用される、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドアナログを対象とする。米国特許第4,689,320号は、CMVに特異的な抗ウイルス剤としてのアンチセンスオリゴヌクレオチドを対象とする。米国特許第5,098,890号は、ヒトc−myb遺伝子のmRNA転写産物の少なくとも一部分に相補的なオリゴヌクレオチドを提供する。米国特許第5,242,906号は、潜伏EBV感染の治療において有用なアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。]
[0052] アンチセンス攻撃に対する特定の遺伝子を標的とすることが好ましい。本発明の内容において、関連した核酸に対してオリゴヌクレオチドを「標的とする」ことは、多段階プロセスである。プロセスは、通常、その機能が調節される核酸配列の特定で開始される。これは、例えば、その発現が特定の障害または疾患、もしくは、感染性病原体からの外来核酸と関連する、細胞遺伝子(または、遺伝子から転写されたmRNA)であり得る。本発明では、標的は、種々の免疫系障害および疾患(炎症および自己免疫疾患等)、ならびに一見「正常」な免疫反応(宿主動物の移植組織の拒絶等)と関連し、特定の例において、調節が望ましい、細胞遺伝子である。標的プロセスは、タンパク質の発現の検出または調節のいずれかの好適な効果が得られるように、オリゴヌクレオチド相互作用が生じるように、この遺伝子内の領域(または、複数の領域)の決定も含む。標的領域が特定されると、標的と十分に相補的である、つまり、十分にハイブリダイズし、所望の効果を与えるのに十分特異性である、オリゴヌクレオチドが選択される。]
[0053] 本明細書に使用する、「相補的」は、オリゴマー化合物の2つのヌクレオ塩基間の正確に対合する能力を指す。例えば、オリゴヌクレオチドの特定位のヌクレオ塩基が、標的核酸の特定位のヌクレオ塩基と水素結合することが可能な場合、該標的核酸は、DNA、RNA、またはオリゴヌクレオチド分子になり、次いで、オリゴヌクレオチドと標的核酸との間の水素結合の位置は、相補的な位置になると考えられる。オリゴヌクレオチドおよびさらなるDNA、RNA、またはオリゴヌクレオチド分子は、それぞれの分子内の十分な数の相補的位置が、相互に水素結合することが可能なヌクレオ塩基で占有されるときに、相互に相補的である。したがって、「特異的にハイブリダイズ可能」および「相補的」は、オリゴヌクレオチドと標的核酸との間で生じるように、十分な数のヌクレオ塩基よりも正確な対合、または相補性の十分な程度を指すために使用される用語である。]
[0054] アンチセンス化合物の配列は、特定的にハイブリダイズ可能になるために、その標的核酸の配列と100%相補的である必要がないことは、当該技術分野において理解される。オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの標的DNAまたはRNA分子との結合が、標的DNAまたはRNAの正常な機能で阻害され、機能の低下または喪失が生じ、かつ特異的結合が望ましい条件下、つまり、生体内アッセイまたは治療療法の場合の生理学的条件、または生体外アッセイの場合のアッセイが実施される条件下でオリゴヌクレオチドの非標的配列との非特異的結合を回避するのに十分な程度の相補性があるときに、特異的にハイブリダイズ可能である。]
[0055] さらに、オリゴヌクレオチドは、介在または隣接セグメントがハイブリダイゼーション事象(例えば、ループ構造またはヘアピン構造)に関与しないように、1つ以上のセグメントとハイブリダイズし得る。本明細書に説明するアンチセンス化合物は、標的核酸内の標的領域と少なくとも70%、または少なくとも75%、または少なくとも80%、または少なくとも85%の配列相補性を含み、より好ましくは、それらは、標的とされる標的核酸配列内の標的領域と少なくとも90%の配列相補性、およびさらにより好ましくは、少なくとも95%、または少なくとも99%の配列相補性を含むことが好ましい。例えば、アンチセンス化合物の20ヌクレオ塩基のうちの18が、標的領域と相補的であり、したがって、特異的にハイブリダイズし得るアンチセンス化合物は、90%の相補性を示し得る。この例では、残りの非相補的ヌクレオ塩基は、相補的ヌクレオ塩基でクラスタ化または散在され得、相互または相補的ヌクレオ塩基に隣接する必要はない。そのように、標的核酸と完全に相補的である2つの領域によって隣接される、4つの非相補的ヌクレオ塩基を有する、18ヌクレオ塩基の長さであるアンチセンス化合物は、標的核酸と77.8%の全体の相補性を有し得、したがって、説明する実施形態の範囲に含まれ得る。アンチセンス化合物の標的核酸の領域との相補性の割合は、当該技術分野において既知のBLASTプログラム(基本的な局所配列サーチツール)、およびPowerBLASTプログラムを使用して、通常、決定することが可能である(Altschul et al,J.Mol.Biol.,1990,215,403 410、Zhang and Madden,Genome Res.,1997,7,649 656)。]
[0056] 相同性、配列特定、または相補性の割合は、例えば、Smith and Watermanのアルゴリズムを使用する、初期設定を使用するGapプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package,Version 8 for Unix,Genetics Computer Group,University Research Park,Madison Wis.)を使用して、判断することが可能である(Adv.Appl.Math.,1981,2,482 489)。いくつかの好ましい実施形態では、オリゴマーと標的との間の相同性、配列特定、または相補性は、約50%〜約60%である。いくつかの実施形態では、相同性、配列特定、または相補性は、約60%〜約70%である。好ましい実施形態では、相同性、配列特定、または相補性は、約70%〜約80%である。より好ましい実施形態では、相同性、配列特定、または相補性は、約80%〜約90%である。いくつかの好ましい実施形態では、相同性、配列特定、または相補性は、約90%、約92%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約100%である。]
[0057] 本明細書に使用する、「ハイブリダイゼーション」は、オリゴマー化合物の相補的鎖の対合を意味する。本明細書に説明する実施形態では、対合の好ましい機構は、オリゴマー化合物の鎖の相補的ヌクレオシドとヌクレオチド塩基(ヌクレオ塩基)との間の、ワトソン−クリック(Watson−Crick)型、フーグスティーン(Hoogsteen)型、または逆フーグスティーン型水素結合であり得る、水素結合を伴う。例えば、アデニンおよびチミンは、水素結合の形成を介して対合する相補的ヌクレオ塩基である。ハイブリダイゼーションは様々な環境下で起り得る。]
[0058] アンチセンス化合物は、化合物の標的核酸への結合が、標的核酸の正常な機能により阻害され、活性の喪失がもたらされ、かつ、特異的結合が望ましい条件下、つまり、生体内アッセイまたは治療療法で生理学的条件、および生体外アッセイの場合にアッセイが実行される条件下で、アンチセンスの非標的核酸配列への非特異的結合を回避するのに十分な程度の相補性があるときに、特異的にハイブリダイズ可能である。]
[0059] 本明細書に使用する、「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」または「ストリンジェントな条件」という節は、化合物が最小数の他の配列ではなく、その標的配列にハイブリダイズする条件を指す。ストリンジェントな条件は、配列依存性であり、本明細書に説明するとおり、異なる状況において異なる。オリゴマー化合物が標的配列にハイブリダイズする「ストリンジェントな条件」は、オリゴマー化合物の性質および組成物、ならびにそれらが調査されるアッセイによって決定される。]
[0060] 修飾体
当該技術分野において既知のとおり、ヌクレオシドは、塩基−塩の組み合わせである。ヌクレオシドの塩基部分は、通常、複素環塩基であり、時々、「ヌクレオ塩基」または単純に「塩基」と称される。そのような複素環塩基の2つの最も一般的なクラスは、プリンおよびピラミジンである。ヌクレオチドは、ヌクレオシドの糖部分に共有結合したホスフェート基をさらに含む、ヌクレオシドである。ペントフラノシル糖を含む、これらのヌクレオシドでは、ホスフェート基は、糖の2′、3′または5′ヒドロキシル部分のいずれかに連結することができる。オリゴヌクレオチドを形成する上で、ホスフェート基は、隣接するヌクレオシドを相互に共有結合して、線状ポリマー化合物を形成する。同様に、この線状ポリマー化合物のそれぞれの端部は、さらに接合して円形化合物を形成することが可能であるが、線状化合物が一般的に好ましい。また、線状化合物は、内部ヌクレオ塩基相補性を有し得、したがって、完全または部分的に二重鎖化合物を産生するような方法で折り曲げ得る。オリゴヌクレオチド内のホスフェート基は、一般に、オリゴヌクレオチドのヌクレオシド間骨格を形成すると言われる。RNAおよびDNAの通常の連結または骨格は、3′〜5′リン酸ジエステル連結である。]
[0061] アンチセンス用途の目的で、天然RNAまたはDNAヌクレオ塩基から作製されるオリゴマーは、生体外条件と比較すると、生体内で低減した有効性を有することが可能であることは当該技術分野において既知である。この有効性の喪失は、細胞浸透度および構造的安定性を含む、多くの要因の結果である。これらの問題を回避するために、多くの作業は、構造的に安定したままで、オリゴマーがそれらの標的能力および動作機構を保持するように、オリゴマーの修飾体を作製することに焦点を置いた。修飾体の標的は、分子のリン酸ジエステル骨格、糖環、もしくはプリンまたはピリミジン塩基構造を含む。細胞浸透度の喪失は、脂質二重層からの拡散によって通過を防止する、中性pHのDNAまたはRNAオリゴマーの自然荷電に起因する。正味荷電を低減するオリゴマー化合物への修飾は、細胞浸透度に有益である。これは、しばしば、例えば、分子のリン酸ジエステル骨格の修飾を介して達成される。構造的安定性の喪失は、リン酸ジエステル結合を内部で、またはオリゴマーの5′または3′末端のいずれかから開裂する内因性エンドヌクレアーゼおよびエクソヌクレアーゼの作用に起因する。この開裂は、DNAまたはRNAオリゴヌクレオチドをその標的に対して不活性にさせることが可能である。]
[0062] オリゴヌクレオチドの種々の構成要素の共通の修飾体は、Galloら(2003)の「Design and applications of modified oligonucleotides」(Brazilian Journal of Medical and Biological Research 36:143−151)に要約されている。例えば、ホスホラミデート、ホスホロチオエート、メチルホスホナート、およびN3′〜P5′ホスホラミデート修飾体は、分子の骨格に組み込むことが可能である。糖構造では、水素、フッ素、アミン、o−アルキル(2′−Oメトキシエチル等)およびアルキル基の両方は、自然発生の原子の代わりに組み込まれている。2′−Oメトキシエチルリボフラノシルヌクレオチドは、3′末端での修飾体の追加、および別の実施形態での、同一分子の3′および5′末端の両方での修飾体の追加によって、さらなるヌクレアーゼ耐性をもたらす。修飾体は、ホスホロチオエート配列を残し、リボヌクレアーゼH活性を支持し得る。また、1つの炭素によってペントース糖環を拡大させることによって、改善した特性を有するヘキシトール核酸クラス(Kang et al,2004「Inhibition of MDR1 gene expression by chimeric HNA antisense oligonucleotides」Nucleic AcidsResearch 32:4411−4419)がもたらされる。修飾体の別のクラスは、プリンまたはピリミジン塩基がメチルカルボニルリンカーを介して付着する反復N−(2−アミノエチル)グリシンでのリン酸ジエステル骨格の置換を伴う(Pellestor et al.,「The use of peptide nucleic acids for in situ identification of human chromosomes」Journal of Histochemistry&Cytochemistry 53:395−400において概説される)。]
[0063] これらの種類の修飾体の組み合わせは、所望特性を有する分子を設計する上で有用であることを当業者は理解する。例えば、ホスホロチオエート骨格修飾体は、エクソヌクレアーゼに対する安定性を増大させるためにオリゴマーの5′および/または3′末端で作製され得るが、他の糖修飾は、強化された標的、エンドヌクレアーゼ保護、および機構等の他の特性に有益であり得る、分子の中心で作製され得る(Antisense Nucleic Acid Drug dev.1997,Aug;7(4):345−50内のUhlmann E,Ryte A,Peyman A,「Studies on the mechanism of stabilization of partially phosphorotioated oligonucleotides against nucleolytic degradation」)。上述の分子のような異なるクラスの修飾体から成るそのような分子は、しばしば、キメラ分子またはギャップマーと呼ばれる。]
[0064] ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは、良好な臨床安全性の認識された記録を有するが、まだ慢性投与におけるデータは存在しない。アルツハイマーの治療を修飾する疾患の重症度および不足を考慮すると、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドでの治療は、卓越したリスク/便益プロファイルを有することを主張することが可能である。若年患者、例えば、ダウン症患者を治療するために使用するオリゴマーでは、化学物質の任意の修飾は、それが何らかの修飾オリゴヌクレオチドへの曝露を低減する場合に、有益であると考えることが可能である。したがって、より短い配列、5ヌクレオチドでさえ、オリゴヌクレオチドの5′の半分でヒトの特異的配列を保持しながら、>10%ほど分子の長さを短縮する。]
[0065] 以下のオリゴマーを含むオリゴヌクレオチドを本明細書に開示する:ヒトOL−1:
5′TGCACCTTTGTTTGA ACC CACATCTTCTGC AAA GAA CAC CAA 3′(配列番号1)および3′末端からの5ヌクレオチドによって短縮されたOL−1に等価のヒトOL−101、37−mer:5′ TGC ACC TTT GTT TGA ACC CAC ATC TTC TGC AAA GAA C 3′(配列番号3)。]
[0066] 特定の実施形態では、本明細書に提供するオリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエート骨格修飾体を有し得る。さらなる実施形態では、OL−1またはOL−101のいずれかは、ホスホロチオエート骨格修飾体を有し得る。]
[0067] さらなる実施形態では、5′末端および3′末端の両方における5ヌクレオチドのためのホスホロチオエート骨格、およびホスホロチオエート化学物質を内部に有するピラミジンを有するOL−1ヌクレオ塩基配列である、OL−120を提供する。別のさらなる実施形態では、5′末端および3′末端の両方における5ヌクレオチドのためのホスホロチオエート骨格、およびホスホロチオエート化学物質を内部に有するピラミジンを有するOL−101ヌクレオ塩基配列であるOL−1011を提供する。]
[0068] 例えば、さらなる実施形態では、本明細書に提供するオリゴヌクレオチドは、ヒト
5′TpsGpsCps ApsCpsCTTTGTTTGAACCCACATCTTCTGCAAA GAA CpsApsC psCpsApsA 3′およびヒト
5′TpsGpsCps ApsCpsC TTT GTT TGA ACC CAC ATC TTC TGC A ApsA psGpsApsApsC 3′、から選択された配列を有し得、
それぞれの「ps」は、ホスホロチオエートヌクレオシド結合を示し、該配列のうちのいずれかは、ホスホロチオエート化学物質を内部に有するピラミジンを有し得る。]
[0069] 上記のオリゴマーに加えて、ホスホロチオエート骨格およびオリゴヌクレオチドの3′末端上に合計5つの2−O−メトキシエチル修飾リボフラノシルヌクレオチドを有するヒトOL−1およびヒトOL−101ヌクレオ塩基配列、ならびに、ホスホロチオエート骨格およびオリゴヌクレオチドのそれぞれの末端に、しばしば、合計5つの2−O−メトキシエチル修飾リボフラノシルヌクレオチドを有する、ヒトOL−1およびヒトOL−101ヌクレオ塩基配列を本明細書に提供する。]
[0070] 本明細書に説明する例示的修飾に加えて、本明細書に開示するとおり、オリゴヌクレオチドは、以下にさらに詳細に説明する任意の以下の修飾体を有し得る。]
[0071] 修飾ヌクレオシド間連結
好ましいアンチセンス化合物の具体的な例には、修飾骨格または非自然的ヌクレオシド間連結を含む、オリゴヌクレオチドが含まれる。本明細書に定義するとおり、修飾骨格を有するオリゴヌクレオチドには、骨格内にリン原子を保持するオリゴヌクレオチド、および骨格内にリン原子を有しないオリゴヌクレオチドが含まれる。本明細書のため、また、当該技術分野において時折参照されるとおり、ヌクレオシド間骨格内にリン原子を有しない修飾オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオシドになると考えることも可能である。]
[0072] その中にリン原子を含む好ましい修飾オリゴヌクレオチド骨格としては、例えば、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリアミノアルキルホスホトリエステル、メチルおよび他のアルキルホスホナート(3′−アルキレンホスホナート、5′−アルキレンホスホナート、およびキラルホスホナートを含む)、ホスフィナート、ホスホラミデート(3′−アミノホスホラミデートおよびアミノアルキルホスホラミデートを含む)、チオノホスホラミデート、チオノアルキルホスホナート、チオノアルキルホスホトリエステル、通常の3′5′連結を有するセレノホスフェートおよびボラノホスフェート、2′5′連結したこれらのアナログ、および1つ以上のヌクレオチド間連結が、3′と3′、5′と5′、または2′と2′との連結である、反転極性を有する修飾オリゴヌクレオチド骨格が挙げられる。反転極性を有する好ましいオリゴヌクレオチドは、ほとんどのヌクレオチド間結合の3′での3′と3′との単一結合、つまり、脱塩基であり得る(ヌクレオ塩基が不足する、またはその代わりにヒドロキシル基を有する)単一の逆転ヌクレオシドヌクレオシド残基である。種々の塩、混合塩、および遊離酸形体も含まれる。]
[0073] 上記のリン含有連結の調製を教示する代表的な米国特許としては、米国特許第3,687,808号、第4,469,863号、第4,476,301号、第5,023,243号、第5,177,196号、第5,188,897号、第5,264,423号、第5,276,019号、第5,278,302号、第5,286,717号、第5,321,131号、第5,399,676号、第5,405,939号、第5,453,496号、第5,455,233号、第5,466,677号、第5,476,925号、第5,519,126号、第5,536,821号、第5,541,306号、第5,550,111号、第5,563,253号、第5,571,799号、第5,587,361号、第5,194,599号、第5,565,555号、第5,527,899号、第5,721,218号、第5,672,697号、および第5,625,050が挙げられるが、これらに限定されず、これらの一部は、本出願と共同所有され、これらのそれぞれは、参照することにより本明細書に組み込まれる。]
[0074] その中にリン原子を含まない好ましい修飾オリゴヌクレオチド骨格は、短鎖アルキルまたはシクロアルキルヌクレオシド間連結、混合ヘテロ原子とアルキルまたはシクロアルキルヌクレオシド間連結、もしくは1つ以上の短鎖ヘテロ原子または複素環ヌクレオシド間連結によって形成された骨格である。これらは、モルホリノ連結(ヌクレオシドの糖部分から部分的に形成された)を有する骨格、シロキサン骨格、スルフィド、スルホキシド、およびスルホン骨格、ホルムアセチルおよびチオホルムアセチル骨格、メチレンホルムアセチルおよびチオホルムアセチル骨格、リボアセチル骨格、アルケン含有骨格、スルファマート骨格、メチレンイミドおよびメチレンヒドラジノ骨格、スルホナートおよびスルホンアミド骨格、アミド骨格、および混合N、O、SおよびCH2構成要素部分を有する他の骨格を含む。]
[0075] 上記のオリゴヌクレオシドの調製を教示する代表的な米国特許としては、米国特許第5,034,506号、第5,166,315号、第5,185,444号、第5,214,134号、第5,216,141号、第5,235,033号、第5,264,562号、第5,264,564号、第5,405,938号、第5,434,257号、第5,466,677号、第5,470,967号、第5,489,677号、第5,541,307号、第5,561,225号、第5,596,086号、第5,602,240号、第5,610,289号、第5,602,240号、第5,608,046号、第5,610,289号、第5,618,704号、第5,623,070号、第5,663,312号、第5,633,360号、第5,677,437号、第5,792,608号、第5,646,269号、および第5,677,439号が挙げられるが、これらに限定されず、これらの一部は、本出願と共同所有され、これらのそれぞれは、参照することにより本明細書に組み込まれる。]
[0076] 修飾糖およびヌクレオシド間連結:模倣薬
他の好ましいアンチセンス化合物、例えば、オリゴヌクレオチド模倣薬では、ヌクレオチド単位の糖およびヌクレオシド間連結(つまり、骨格)は、新規基で置換される。ヌクレオ塩基単位は、適切な標的核酸でのハイブリダイゼーションのために維持される。そのような化合物の1つである、最良のハイブリダイゼーション特性を有することが分かっているオリゴヌクレオチド模倣薬は、ペプチド核酸(PNA)と称される。PNA化合物では、オリゴヌクレオチドの糖−骨格は、アミド含有骨格、特に、アミノエチルグリシン骨格で置換される。ヌクレオ塩基は、保持され、骨格のアミド部分のアザ窒素原子に直接または間接的に結合する。PNA化合物の調製を教示する代表的な米国特許には、米国特許第5,539,082号、第5,714,331号、および第5,719,262号が挙げられるが、これらに限定されず、これらのそれぞれは、参照することにより本明細書に組み込まれる。PNA化合物のさらなる教示は、NielsenらのScience,1991,254,1497 1500で確認することが可能である。]
[0077] いくつかの実施形態は、ホスホロチオエート骨格を有するオリゴヌクレオチド、およびヘテロ原子骨格を有するオリゴヌクレオシド、特に、上記に参照した米国特許第5,489,677号の−CH2−NH−O−CH2−、−CH2−N(CH3)−O−CH2−[メチレン(メチルイミノ)またはMMI骨格として既知]、−CH2−O−N(CH3)−CH2−、−CH2−N(CH3)−N(CH3)−CH2−、および−O−N(CH3)−CH2−CH2−[式中、天然リン酸ジエステル骨格は、−O−P−O−CH2−として示される]、および上記に参照した米国特許第5,602,240号のアミド骨格である。上記に参照した米国特許第5,034,506号のモルホリノ骨格構造を有するオリゴヌクレオチドも好ましい。]
[0078] 修飾糖
修飾アンチセンス化合物は、1つ以上の置換糖部分も含み得る。アンチセンス化合物、好ましくは、2′位において以下のOH、F,O−、S−、またはN−アルキル、O−、S−、またはN−アルケニル、O−、S−、またはN−アルキニル、またはO−アルキル−O−アルキルうちの1つを含む、アンチセンスオリゴヌクレオチドが好ましく、アルキル、アルケニル、およびアルキニルは、C1からCl0アルキル、またはC2からCl0アルケニルおよびアルキニルに置換または非置換され得る。O[(CH2)nO]mCH3、O(CH2)nOCH3、O(CH2)nNH2、O(CH2)nCH3、O(CH2)nONH2、およびO(CH2)nON[(CH2)nCH3]2が特に好ましく、式中、nおよびmは、1〜約10である。他の好ましいオリゴヌクレオチドは、2′位において、以下のC1〜C10低アルキル、置換された低アルキル、アルケニル、アルキニル、アルカリル、アラルキル、O−アルカリル、またはO−アラルキル、SH、SCH3、OCN、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、SOCH3、SO2CH3、ONO2、NO2、N3、NH2、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA開裂基、レポータ基、インターカレータ、オリゴヌクレオチドの薬物動態特性を向上させる基またはオリゴヌクレオチドの薬力学的特性を向上させる基、および同様の特性を有する置換基のうちの1つを含む。好ましい修飾には、2′−メトキシエトキシ(2′−O−(2−メトキシエチル)または2′−MOEとしても知られる、2′−O−CH2CH2OCH3、)(Martin et al,Helv.Chim.Acta,1995,78,486 504)、つまり、アルコキシアルコキシ基が含まれる。さらに好ましい修飾には、以下の実施例に説明する、2′−DMAOEとしても知られる、2′−ジメチルアミノオキシエトキシ、つまり、O(CH2)2ON(CH3)2基、および以下の実施例にも説明する、2′−ジメチルアミノエトキシエトキシ(当該技術分野において、2′−O−ジメチル−アミノ−エトキシ−エチル、または2′−DMAEOEとしても知られる)、つまり、2′−O−CH2−O−CH2−N(CH3)2が含まれる。]
[0079] 他の好ましい修飾には、2′−メトキシ(2′−O−CH3)、2′−アミノプロポキシ(2′−OCH2CH2CH2NH2)、2′−アリル(2′−CH2−CH=CH2)、2′−O−アリル(2′−O−CH2−CH=CH2)、および2′−フルオロ(2′−F)が含まれる。2′−修飾は、アラビノ(上)位置またはリボ(下)位置内であり得る。好ましい2′−アラビノ修飾は、2′−Fである。同様の修飾は、オリゴヌクレオチド上の他の位置、特に、3′終端ヌクレオチド上、または2′5′連結したオリゴヌクレオチド内の糖の3′位、および5′終端ヌクレオチドの5′位でも作製し得る。アンチセンス化合物は、ペントフラノシル糖の代わりに、シクロブチル等の糖模倣薬も有し得る。そのような修飾糖構造の調製を教示する代表的な米国特許としては、米国特許第4,981,957号、第5,118,800号、第5,319,080号、第5,359,044号、第5,393,878号、第5,446,137号、第5,466,786号、第5,514,785号、第5,519,134号、第5,567,811号、第5,576,427号、第5,591,722号、第5,597,909号、第5,610,300号、第5,627,053号、第5,639,873号、第5,646,265号、第5,658,873号、第5,670,633号、第5,792,747号、および第5,700,920号が挙げられるが、これらに限定されず、これらの一部は、本出願と共同所有され、これらのそれぞれは、その全体として、参照することにより、本明細書に組み込まれる。]
[0080] 糖のさらに好ましい修飾には、2′−ヒドロキシル基が糖環の3′または4′炭素原子に連結して、それによって、二環式糖部分を形成する固定核酸(LNA)が含まれる。連結は、好ましくは、2′酸素原子および4′炭素原子を架橋するメチレン(−CH2−)n基であり、式中、nは、1または2である。LNAおよびその調製は、国際公開第WO98/39352号、および国際公開第WO99/14226号に説明されている。]
[0081] 天然および修飾ヌクレオ塩基
アンチセンス化合物は、ヌクレオ塩基(当該技術分野において、しばしば、ヘテロシクロ基または単純に「塩基」と称される)修飾または置換も含み得る。本明細書に使用する、「非修飾」または「天然」ヌクレオ塩基には、プリン基アデニン(A)およびグアニン(G)、ならびにピリミジン基チミン(T)、シトシン(C)、およびウラシル(U)が挙げられる。修飾ヌクレオ塩基には、5−メチルシトシン(5−me−C)、5−ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2−アミノアデニン、アデニンおよびグアニンの6−メチルおよび他のアルキル誘導体、アデニンおよびグアニンの2−プロピルおよび他のアルキル誘導体、2−チオウラシル、2−チオチミンおよび2−チオシトシン、5−ハロウラシルおよびシトシン、5−プロピニルウラシルおよびシトシンならびにピリミジン基の他のアルキニル誘導体、6−アゾウラシル、シトシンおよびチミン、5−ウラシル(擬似ウラシル)、4−チオウラシル、8−ハロ、8−アミノ、8−チオール、8−チオアルキル、8−ヒドロキシルならびに他の8−置換アデニンおよびグアニン、5−ハロ、特に、5−ブロモ、5−トリフルオロメチルならびに他の5−置換ウラシルおよびシトシン、7−メチルグアニンおよび7−メチルアデニン、2−F−アデニン、2−アミノアデニン、8−アザグアニンおよび8−アザアデニン、7−デアザグアニンおよび7−デアザアデニン、ならびに3−デアザグアニンおよび3−デアザアデニン等の他の合成および天然ヌクレオ塩基が含まれる。さらなる修飾ヌクレオ塩基には、フェノキサジンシチジン(1H−ピリミド[5,4−b][1,4]ベンゾオキサジン−2(3H)−オン)、フェノチアジンシチジン(1H−ピリミド[5,4−b][1,4]ベンゾチアジン−2(3H)−オン)、置換フェノキサジンシチジン等のG−クランプ(例えば、9−(2−アミノエトキシ)−H−ピリミド[5,4−b][1,4]ベンゾオキサジン−2(3H)−オン)、カルバゾールシチジン(2H−ピリミド[4,5−b]インドール−2−オン)、ピリドインドールシチジン(H−ピリド[3′、2′:4,5]ピロロ[2,3−d]ピリミジン−2−オン)等の三環式ピラミジンが含まれる。修飾ヌクレオ塩基は、プリンまたはピリミジン塩基が他の複素環、例えば、7−デアザ−アデニン、7−デアザグアノシン、2−アミノピリジン、および2−ピリドンで置換される修飾ヌクレオ塩基も含み得る。さらなるヌクレオ塩基には、米国特許第3,687,808号に開示されるヌクレオ塩基、およびThe Concise Encyclopedia Of Polymer Science And Engineering,pages 858 859,Kroschwitz,J.L,ed.John Wiley&Sons,1990に開示されるヌクレオ塩基、Englisch et al.,Angewandte Chemie,International Edition,1991,30,613に開示されるヌクレオ塩基、およびSanghvi,Y.S.,Chapter 15,Antisense Research and Application,pages 289 302,Crooke,S.T.and Lebleu,B.,ed.,CRCPress,1993に開示されるヌクレオ塩基が含まれる。特定のこれらのヌクレオ塩基は、本明細書に説明する化合物の結合親和性を増大させる上で特に有用である。これらには、5−置換ピラミジン、6−アザピラミジン、ならびに、2−アミノプロピルアデニン、5−プロピニルウラシル、および5−プロピニルシトシンを含む、N−2,N−6およびO−6置換プリンが含まれる。5−メチルシトシン置換は、核酸二本鎖の安定性を0.6〜1.2℃ほど増加させることが分かっており、現在、好ましい塩基置換であり、2′−O−メトキシエチル糖修飾と組み合わせたときに、よりさらに特に好ましい。]
[0082] 特定の上述の修飾ヌクレオ塩基ならびに他の修飾ヌクレオ塩基の調製を教示する代表的な米国特許としては、上述の米国特許第3,687,808号、ならびに米国特許第4,845,205号、第5,130,302号、第5,134,066号、第5,175,273号、第5,367,066号、第5,432,272号、第5,457,187号、第5,459,255号、第5,484,908号、第5,502,177号、第5,525,711号、第5,552,540号、第5,587,469号、第5,594,121号、第5,596,091号、第5,614,617号、第5,645,985号、第5,830,653号、第5,763,588号、第6,005,096号、および第5,681,941が挙げられるが、これらに限定されず、これらの一部は、本出願と共同所有され、これらのそれぞれは、参照することにより本明細書に組み込まれ、本出願と共同所有される米国特許第5,750,692号も参照することにより本明細書に組み込まれる。]
[0083] 共役体(conjugate)
アンチセンス化合物の別の修飾は、オリゴヌクレオチドの活性、細胞分布、または細胞の取り込みを強化させる、アンチセンス化合物、1つ以上の部分、または共役体への化学的連結を伴う。これらの部分または共役体は、第1級または第2級ヒドロキシル基等の官能基に共有結合した共役基を含むことが可能である。共役基には、インターカレータ、レポータ分子、ポリアミン、ポリアミド、ポリエチレングリコール、ポリエーテル、オリゴマーの薬力学的特性を強化する基、およびオリゴマーの薬物動態特性を強化する基が挙げられる。典型的な共役基には、コレステロール、脂質、リン脂質、ビオチン、フェナジン、葉酸、フェナントリジン、アントラキノン、アクリジン、フルオレセイン、ローダミン、クマリン、および染料が挙げられる。薬力学的特性を強化する基には、取り込みを向上させ、分解への耐性を強化し、および/または標的核酸との配列特異性ハイブリダイゼーションを強化する基が含まれる。薬物動態特性を強化する基には、本明細書に説明する化合物の取り込み、分布、代謝、または排出を向上させる基が含まれる。代表的な共役基は、1992年10月23日に出願された、国際特許第PCT/US92/09196号、および米国特許第6,287,860号に開示されており、これらの全体の開示は、参照することにより本明細書に組み込まれる。共役部分としては、コレステロール部分等の脂質部分、コール酸、チオエーテル(例えば、ヘキシル−S−トリチルチオール)、チオコレステロール、脂肪族鎖(例えば、ドデカンジオールまたはウンデシル残基)、リン脂質(例えば、ジ−ヘキサデシル−ラック−グリセロールまたはトリエチルアンモニウム1,2−ジ−O−ヘキサデシル−ラック−グリセロ−3−H−ホスホナート)、ポリアミンまたはポリエチレングリコール鎖、もしくは、アダマンタン酢酸、パルミチル部分、または、オクタデシルアミンもしくはヘキシルアミノ−カルボニル−オキシコレステロール部分が挙げられるが、これらに限定されない。アンチセンス化合物は、共役され、薬物物質、例えば、アスピリン、ワルファリン、フェニルブタゾン、イブプロフェン、スプロフェン、フェンブフェン、ケトプロフェン、(S)−(+)−プラノプロフェン、カープロフェン、ダンシルサルコシン、2,3,5−3ヨード安息酸、フルフェナム酸、フォリン酸、ベンゾサイアジアザイド、クロロチアジド、ジアゼピン、インドメチシン、バルビツール、セファロスポリン、サルファ剤、抗糖尿病薬、抗細菌性または抗菌オリゴヌクレオチド−薬物共役体を活性化し得、それらの調製は、米国特許第09/334/130号(1999年6月15日に出願)に説明されており、それは、その全体として、参照することにより本明細書に組み込まれる。]
[0084] そのようなオリゴヌクレオチド共役体の調製を教示する代表的な米国特許としては、米国特許第4,828,979号、第4,948,882号、第5,218,105号、第5,525,465号、第5,541,313号、第5,545,730号、第5,552,538号、第5,578,717号、第5,580,731号、第5,580,731号、第5,591,584号、第5,109,124号、第5,118,802号、第5,138,045号、第5,414,077号、第5,486,603号、第5,512,439号、第5,578,718号、第5,608,046号、第4,587,044号、第4,605,735号、第4,667,025号、第4,762,779号、第4,789,737号、第4,824,941号、第4,835,263号、第4,876,335号、第4,904,582号、第4,958,013号、第5,082,830号、第5,112,963号、第5,214,136号、第5,082,830号、第5,112,963号、第5,214,136号、第5,245,022号、第5,254,469号、第5,258,506号、第5,262,536号、第5,272,250号、第5,292,873号、第5,317,098号、第5,371,241号、第5,391,723号、第5,416,203号、第5,451,463号、第5,510,475号、第5,512,667号、第5,514,785号、第5,565,552号、第5,567,810号、第5,574,142号、第5,585,481号、第5,587,371号、第5,595,726号、第5,597,696号、第5,599,923号、第5,599,928号、および第5,688,941号が挙げられるが、これらに限定されず、これらのうちの一部は、本出願と共同所有され、これらのそれぞれは、参照することにより本明細書に組み込まれる。]
[0085] 別の実施形態は、ペプチド核酸(PNA)化学物質を使用して、OL−1hおよび本明細書に請求する他のアンチセンスオリゴヌクレオチドの配列をヌクレアーゼに対して安定化させ、他の誘引特性を付与することである。PNAは、リン酸ジエステル骨格が、プリンおよびピリジン基がメチルカルボニルリンカーを介して付着するJN−(2−アミノエチル)グリシンの反復単位によって置換される、合成DNAアナログである。この独自の化学的組成は、独自のハイブリダイゼーション特徴を有するPNAを提供する。DNAおよびRNAとは異なり、PNA骨格は、荷電されない。したがって、PNAがその標的核酸配列にハイブリダイズするときに、静電反発力はなく、PNA−DNAまたはPNA−RNA二本鎖に天然ホモまたはヘテロ二本鎖よりも高い安定性を提供する。このより高い安定性は、DNA−DNAまたはDNA−RNA二本鎖で認められた熱融解温度よりも、高い熱融解温度(Tm)をもたらす(Jensen et al.1997)。ポリアミド骨格のさらなる結果は、PNAが事実上、塩濃度とは無関係にハイブリダイズすることである。したがって、PNA−DNA二本鎖のTmは、低イオン強度にわずかに影響される。これは、PNAのハイブリダイゼーションを有意に促進する。PNAの非天然骨格は、PNAがプロテアーゼおよびヌクレアーゼに特に耐性であることも意味する(Demidov et al.1993)。この酵素分解への耐性のため、PNAの寿命は、生体内および生体外の両方で延長される。PNAは、ワトソン−クリック(Watson−Crick)水素結合スキームに従い、配列依存方法で、cDNAまたはRNAにハイブリダイズする。DNAとは対照的に、PNAは、平行または逆平行のいずれかで結合することが可能であり、単鎖または二重鎖DNAのいずれかとハイブリダイズすることが可能である。ホモピリミジンPNA、ならびに高比率のピリミジン残基を有するPNAは、cDNA配列に結合して、高いTmを示す、高度に安定した(PNA)2−DNA三重鎖らせんを形成する。これらの三重鎖では、1つのPNA鎖は、標準的なワトソン−クリック塩基対合規則によりDNAにハイブリダイズし、他方のPNA鎖は、フーグスティーン水素結合を介してDNAに結合する。得られた構造は、P−ループと称される(Nielsen 2001)。また、PNA−DNAハイブリダイゼーションは、DNA−DNAハイブリダイゼーションよりも塩基ミスマッチによって有意に影響される。混合PNA−DNA 15−mer二本鎖における単一のミスマッチは、Tmを最大15℃減少させ、対応するDNA−DNA錯体では、単一のミスマッチは、Tmを11℃だけ減少させる(Giesen et al.1998)。単一塩基レベルにおけるこの高いレベルの識別は、短いPNAプローブが高い特異性を提供し、したがって、分子調査および診断のためのいくつかの効率的なPNAベース戦略のさらなる発展を可能にしたことを示した。]
[0086] その導入以来、増加しているPNA技術の用途が説明されており、分子生物学調査のための効果的なツールとしてのペプチド核酸の高い潜在性を裏付けている。]
[0087] PNA分子を、まず、抗原およびアンチセンスアッセイに使用した。いくつかの生体外研究は、真核生物の翻訳および転写の両方を阻害するPNAの能力を証明した(Hanvey et al.1992、Vickers et al.1995、Boffa et al.1996)。]
[0088] キメラ化合物
所与の化合物におけるすべての位置が均一に修飾されることが必然であり、実際、1つ以上の前述の修飾は、単一化合物内に、またはオリゴヌクレオチド内の単一ヌクレオシドにおいても組み込まれ得る。]
[0089] 他の実施形態には、キメラ化合物であるアンチセンス化合物も含まれる。「キメラ」アンチセンス化合物、または「キメラ(複数形)」は、アンチセンス化合物、特に、2つ以上の化学的に異なる領域を含む、オリゴヌクレオチドであり、それぞれは、少なくとも1つのモノマー単位、つまり、オリゴヌクレオチド化合物の場合では、ヌクレオチドから成る。したがって、キメラアンチセンスオリゴヌクレオチドは、アンチセンス化合物の形態である。これらのオリゴヌクレオチドは、典型的に、ヌクレアーゼ分解へのオリゴヌクレオチドの増加した耐性、増加した細胞取り込み、増加した安定性、および/または増加した標的核酸への結合親和性を付与するように、オリゴヌクレオチドが修飾される少なくとも1つの領域を含む。オリゴヌクレオチドのさらなる領域は、RNA:DNAまたはRNA:RNAハイブリッドを開裂することが可能な酵素基質としての機能を果たし得る。例として、RNaseHは、RNA:DNA二本鎖のRNA鎖を開裂する細胞エンドヌクレアーゼである。したがって、RNase Hの活性化は、RNA標的の開裂をもたらし、それによって、遺伝子発現のオリゴヌクレオチド媒介阻害の効率を大いに高める。RNA:RNAハイブリッドの開裂は、同様に、細胞およびウイルスのRNAの両方を開裂するRNase L等のエンドリボヌクレアーゼの作用を介して達成することが可能である。RNA標的の開裂は、ゲル電気泳動、および必要に応じて、当該技術分野において周知の関連した核酸ハイブリダイゼーション技術によって定期的に検出することが可能である。]
[0090] キメラアンチセンス化合物は、上述の2つ以上のオリゴヌクレオチド、修飾オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオシド、および/またはオリゴヌクレオチド模倣薬の複合構造として形成し得る。そのような化合物は、当該技術分野において、ハイブリッドまたはギャップマーとも称されている。そのようなハイブリッド構造の調製を教示する代表的な米国特許としては、米国特許第5,013,830号、第5,149,797号、第5,220,007号、第5,256,775号、第5,366,878号、第5,403,711号、第5,491,133号、第5,565,350号、第5,623,065号、第5,652,355号、第5,652,356号、および第5,700,922号が挙げられるが、これらに限定されず、これらの一部は、本出願と共同所有され、これらのそれぞれは、その全体として、参照することにより、本明細書に組み込まれる。]
[0091] 本明細書に説明する化合物は、また、取り込み、分布、および/または吸収を補助するために、他の分子、分子構造、または例えば、リポソーム、受容体標的分子、経口、直腸、局所、または他の製剤等の化合物の混合物と、混合、カプセル化、共役、または関連し得る。そのような取り込み、分布、および/または吸収を補助する製剤の調製を教示する代表的な米国特許としては、米国特許第5,108,921号、第5,354,844号、第5,416,016号、第5,459,127号、第5,521,291号、第5,543,158号、第5,547,932号、第5,583,020号、第5,591,721号、第4,426,330号、第4,534,899号、第5,013,556号、第5,108,921号、第5,213,804号、第5,227,170号、第5,264,221号、第5,356,633号、第5,395,619号、第5,416,016号、第5,417,978号、第5,462,854号、第5,469,854号、第5,512,295号、第5,527,528号、第5,534,259号、第5,543,152号、第5,556,948号、第5,580,575号、および第5,595,756号が挙げられるが、これらに限定されず、これらのそれぞれは、参照することにより本明細書に組み込まれる。]
[0092] アンチセンス化合物は、ヒトを含む動物への投与の際に、生物学的活性代謝物またはその残基を(直接または間接的に)提供することが可能である、任意の薬学的に許容される塩、エステル、またはそのようなエステルの塩、もしくは、任意の他の化合物を含む。]
[0093] 「薬学的に許容される塩」という用語は、本明細書に説明する化合物の生理学的および薬学的に許容される塩、つまり、親化合物の所望の生物学的活性を保持し、そこに望ましくない毒物的影響を与えない塩を指す。オリゴヌクレオチドでは、薬学的に許容される塩およびそれらの使用の好ましい例は、米国特許第6,287,860号にさらに説明され、それは、その全体として本明細書に組み込まれる。]
[0094] 製剤は、他の化合物および塩の有無で、pH7〜pH9に調節されたpHを有する1nM〜50mMの範囲の防腐剤として、EDTAまたはその塩を含み得る。EDTAを添加して、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチド部分の酸化を減少させ、より具体的には、生物学的活性のホスホロチオエートオリゴヌクレオチドの脱プリン化を減少させる。EDTAは、塩化ナトリウムならびにホスフェート緩衝生理食塩水と一般に称される、ナトリウムおよびポタシウムホスフェートを含有する注射用の、最も好ましい水製剤内に含有される。]
[0095] 本発明のオリゴヌクレオチドは、治療用化合物、診断ツールとして、かつ研究試薬およびキットとして使用することが可能である。「治療用途」という用語は、治療的、苦痛緩和、および治療的用途を含むことを意図し、本発明のオリゴヌクレオチドは、生体内または生体外のいずれかで動物の細胞と接触する。本明細書において、「動物」はヒトを含むがこれに限定されない。]
[0096] アンチセンス化合物は、診断のため、かつ研究試薬およびキットとして使用することが可能である。その上、優れた特性性を有する遺伝子の発現を阻害することが可能なアンチセンスオリゴヌクレオチドは、特定の遺伝子の機能を解明するか、または生物学的経路の種々の成員の機能を識別するために、しばしば、当業者によって使用される。]
[0097] キットおよび診断用途では、単独または他の化合物または治療薬剤との組み合わせのいずれかの本明細書に説明する化合物は、ツールとして使用することが可能である。示差分析および/または組み合わせ分析において、ツールとして使用し、細胞および組織内に発現した遺伝子の全体の相補体の一部分の発現パターンを解明することが可能である。]
[0098] 1つの制限されない実施例として、1つ以上のアンチセンス化合物で処理された細胞または組織内の発現パターンは、アンチセンス化合物で処理されていない対照細胞または組織と比較され、産生されたパターンは、それらが、例えば、検査された遺伝子の疾患関連性、信号経路、細胞局在、発現レベル、大きさ、構造、または機能に関連するため、遺伝子の発現の異なるレベルで分析される。これらの分析は、刺激または非刺激細胞上で、および発現パターンに影響を及ぼす他の化合物の有無で実施することが可能である。]
[0099] 当該技術分野において周知の遺伝子発現分析の方法の例としては、DNAアレイまたはマイクロアレイ(Brazma and Vilo,FEBSLett.,2000,480,17 24、Celis,et al,FEBS Lett.,2000,480,2 16)、SAGE(遺伝子発現の連続分析)(Madden,et al.,Drug Discov.Today,2000,5,415 425)、READS(消化cDNAの制限酵素増幅)(Prashar and Weissman,MethodsEnzymol.,1999,303,258 72)、TOGA(総遺伝子発現分析)(Sutcliffe,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,2000,97,1976 81)、タンパク質アレイおよびプロテオーム(Celis,et al.,FEBS Lett.,2000,480,2 16、Jungblut,et al.,Electrophoresis,1999,20,2100 10)、発現配列タグ(EST)シークエンシング(Celis,et al,FEBS Lett.,2000,480,2 16、Larsson,et al.,J.Biotechnol.,2000,80,143 57)、減法RNA指紋法(SuRF)(Fuchs,et al.,Anal.Biochem.,2000,286,91 98、Larson,et al.,Cytometry,2000,41,203 208)、減法クローニング、差次的発現(DD)(Jurecic and Belmont,Curr.Opin.Microbiol.,2000,3,316 21)、比較ゲノムハイブリダイゼーション(Carulli,et al.,J.Cell Biochem.Suppl.,1998,31,286 96)、FISH(蛍光原位置ハイブリダイゼーション)技術(Going and Gusterson,Eur.J.Cancer,1999,35,1895 904)、および質量分析法(To,Comb.Chem.High Throughput Screen,2000,3,235 41)が挙げられる。]
[0100] 本明細書に説明するアンチセンス化合物は、これらの化合物がAPPの一部分をコードする核酸にハイブリダイズするため、研究および診断上で有用である。例えば、そのような効率を有し、本明細書に開示する条件下でハイブリダイズし、有効なAPP阻害剤になることが分かっているオリゴヌクレオチドは、遺伝子増幅または検出に好都合な条件下で、それぞれ、有効なプライマーまたはプローブにもなるであろう。これらのプライマーおよびプローブは、APPをコードする核酸分子の特異的検出を必要とする方法、およびAPPのさらなる研究において検出または使用するための該核酸分子の増幅において有用である。アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に、本明細書に説明するプライマーおよびプローブのAPPの少なくとも一部分をコードする核酸とのハイブリダイゼーションは、当該技術分野において公知の手段によって検出することが可能である。そのような手段には、酵素のオリゴヌクレオチドとの共役、オリゴヌクレオチドの放射標識、または任意の他の好適な検出手段が含まれ得る。APPの一部分または試料内の全体のAPPのいずれかのレベルを検出するためのそのような検出手段を使用するキットも調製し得る。]
[0101] 本発明のオリゴヌクレオチドをさらに使用して、細胞または組織試料内のAPP特異的核酸の存在を検出することが可能である。例えば、放射標識されたオリゴヌクレオチドは、5′末端においてポリヌクレオチドキナーゼでの32P標識によって調製することが可能である(Sambrook et al.,Molecular Cloning.A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989,Volume 2,pg10.59)。次いで、放射標識されたオリゴヌクレオチドを、APPmRNA(および、したがってAPPタンパク質)を含有することが疑われる細胞または組織試料と接触させ、試料を洗浄して、非結合オリゴヌクレオチドを除去する。試料内に残存する放射能は、オリゴヌクレオチドの存在を示し、それは、同様に、オリゴヌクレオチドに相補的な核酸の存在を示し、シンチレーションカウンタまたは他の通常の手段を使用して定量化することが可能である。したがって、これらのタンパク質をコードする核酸の発現が検出される。]
[0102] 本発明の放射標識されたオリゴヌクレオチドは、研究、診断、または治療目的のために、組織のオートラジオグラフィを実行して、APP、それらの開裂産物、または他のAPP誘導体の局所化、分布、および定量化を決定するためにも使用することが可能である。そのような研究では、組織切片を放射標識されたオリゴヌクレオチドで処理し、上述のとおり洗浄し、次いで、通常のオートラジオグラフィ手順に従って写真乳剤に曝露する。現像したとき、乳剤は、APP遺伝子を発現する領域にわたって銀粒子の画像を生み出す。銀粒子の定量化は、これらのタンパク質をコードするmRNA分子の発現の検出を可能にし、これらの領域へのオリゴヌクレオチドの標的を可能にする。]
[0103] APP核酸の発現の蛍光検出のための類似アッセイは、放射標識の代わりに、フルオロセインまたは他の蛍光タグで共役される本発明のオリゴヌクレオチドを使用して開発することが可能である。そのような共役は、通常、蛍光標識アミダイトまたは制御孔ガラス(CPG)カラムを使用して、固相合成中に達成される。蛍光標識アミダイト、CPGは、例えば、Glen Research,Sterling Va.から入手可能である。]
[0104] アンチセンス化合物は、創薬および標的確定の領域において適用することも可能である。APPと疾患状態、表現型、または病状との間に存在する関係を解明しようとする創薬における、本明細書に特定される化合物および好ましい標的セグメントの使用も検証する。これらの方法には、接触する試料、組織、細胞、または有機体を、本明細書に説明する化合物に接触させるステップを含む、APPを検出または調節するステップと、治療後のある時点において、核酸またはAPPのタンパク質レベルまたはその一部分、および/または関連した表現型または化学的エンドポイントを測定するステップと、測定した値を未処理の試料またはさらなる化合物で処理した試料と任意に比較するステップが含まれる。これらの方法は、他の実験と平行、または組み合わせて実施して、標的確定のプロセスのための未知の遺伝子の機能を決定するか、または、特定の疾患、病状、もしくは表現型の治療または予防のための標的としての特定の遺伝子産物の有効性を決定することも可能である。]
[0105] アンチセンスの特異性および感受性は、治療用途のために、当業者によって利用される。アンチセンス化合物は、ヒトを含む動物における疾患状態の治療において、治療部分として使用されている。リボザイムを含む、アンチセンスオリゴヌクレオチド薬物は、安全かつ効果的にヒトに投与されており、多くの臨床試験が現在進行中である。したがって、アンチセンス化合物が、細胞、組織、および動物、特に、ヒトの治療のための治療計画において有用であるように構成することが可能な、有用な治療モダリティである可能性があることが確立されている。]
[0106] 治療用途では、APPの少なくとも一部分の発現または活性を調節することによって治療または予防することが可能な疾患または障害に罹患することが疑われる動物は、例えば、本発明に従い、オリゴヌクレオチドを投与することによって治療される。本発明のオリゴヌクレオチドは、有効量のオリゴヌクレオチドを好適な薬学的に許容される希釈剤または担体に添加して医薬組成物に使用することが可能である。この分野の従事者は、ウイルス、真菌、および代謝疾患に関与する遺伝子の発現を調節することが可能なアンチセンス、三重鎖、および他オリゴヌクレオチド組成物を特定した。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、安全にヒトに投与されており、種々の臨床試験が現在進行中である。したがって、オリゴヌクレオチドは、細胞、組織、および動物、特に、ヒトの治療のための治療計画において有用であるように構成することが可能な有用な治療計画である可能性があることが確立されている。]
[0107] 治療のために、APPのAβP開裂産物を含む、APPの少なくとも一部分の発現を調節することによって治療することが可能な疾患または障害に罹患することが疑われる動物、特に、ヒトは、本明細書に説明するアンチセンス化合物を投与されて治療される。例えば、1つの制限されない実施形態では、該方法には、治療を必要とする動物に治療的有効量のAPP阻害剤を投与するステップが含まれる。APP阻害剤は、APPまたはAβPの発現を効果的に阻害する。一実施形態では、動物におけるAPPの活性または発現は、約10%阻害される。好ましくは、動物におけるAPPの活性または発現は、約30%〜約70%阻害される。したがって、オリゴマーアンチセンス化合物は、APPmRNAの発現を少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、または少なくとも70%調節する。]
[0108] 本明細書に説明するアンチセンス化合物は、医薬組成物においても、治療的および予防的に使用し得る。便宜上、単位用量形態で提供し得る医薬製剤は、医薬業界において公知の従来の技術に従い調製し得る(例えば、Remington’s Pharmaceutical Science参照)。そのような技術には、活性材料を1つ以上の医薬担体(複数)または賦形剤(複数)と関連させるステップが含まれる。担体(複数)は、製剤の他の材料と適合可能であるという意味で「許容可能」であり、その受容体に有害であってはならない。]
[0109] 治療のための組成物の製剤および投薬、ならびにそれらのその後の投与は、当業者の技術の範囲内であると考えられている。一般的に、治療のために、そのような療法を必要とする患者は、本発明に従い、薬学的に許容される担体、患者の年齢および治療される障害または疾患状態の重症度によって異なる、体重1kg当たり0.01μg〜100gの範囲の投与量のオリゴヌクレオチドが投与される。特定の実施形態では、投与量は、20mg/週であり得る。さらに、治療計画は、患者の特定の疾患または障害の性質、その重症度、および全体の病状によって異なる期間持続し得、連続的投与から、1日に数回の投与から20年毎に1回と幅があり得る。]
[0110] 治療後、患者は、患者の病状における変化、および障害または疾患状態の症状の緩和において監視される。オリゴヌクレオチドの用量は、患者が現在の用量レベルに有意に反応しない事象において増加し得るか、または障害または疾患状態の症状の緩和が認められた場合もしくは障害または疾患が減少している場合に減少し得る。いずれの場合でも、最適用量は、治療される疾患において治療的に有効である。「治療的に有効」という節は、疾患または障害の治療に使用する活性材料の量を定量することを意図する。この量は、疾患または障害を低減させる目的を達成する。]
[0111] 成功的治療後、患者が疾患状態の再発を予防するための維持療法を受けることが望ましく、体重1kg当たり0.01μg〜100gの範囲の維持用量のオリゴヌクレオチドが、1日に1回以上〜20年毎に1回投与される。アルツハイマー病またはダウン症等のAβPの蓄積による疾患状態に罹患しやすいことが分かっている、またはその疑いのある個人の場合では、予防効果は、1日に1回以上〜20年毎に1回、体重1kg当たり0.01μg〜100gの範囲の予防用量の投与によって達成し得る。同様に、個人は、脳の部分内のAβP′の蓄積による認知機能障害に影響されにくくなり得る。]
[0112] 本発明の医薬組成物は、便宜、患者のコンプライアンス、および/または投与経路の好ましい有効性によって異なる多くの方法で投与され得る。経路は、経口、非経口(皮下、腹腔内、皮内、筋肉内、静脈内、および関節内を含み、これらのいずれも注射または注入による)、頭蓋内、髄腔内(髄内および脳室内、これらのいずれも注射または注入による)、鼻腔内、肺内(粉末またはエアロゾルの吸入または注入もしくは、ネブライザーを含む)、経粘膜、経皮(transdermal)、直腸または局所(経皮(dermal)、口腔、舌下、および眼内を含む)投与であり得るが、最も好適な経路は、例えば、受容者の病状および障害によって異なり得る。製剤は、単位用量形態で好都合に提供され得、薬学の技術分野において公知の方法のいずれかによって調製し得る。]
[0113] 経口投与に好適な本明細書に開示する化合物の製剤は、それぞれが所定量の活性材料を含有するカプセル、サシェ、または錠剤等の個別単位として、粉末または顆粒として、水性液体または非水性液体の溶液または懸濁液として、または水中油型乳剤として提供され得る。活性材料は、ボーラス、舐剤、またはペーストとしても提供され得る。]
[0114] 経口的に使用することが可能な医薬調製には、錠剤、ゼラチンから作製される押し込み型カプセル、ならびにグリセロールまたはソルビトール等のゼラチンおよび可塑剤から作製される柔らかい密封カプセルが含まれる。錠剤は、随意に1つ以上の副材料で、圧縮または鋳型によって作製し得る。圧縮錠は、随意に、結合剤、不活性希釈剤、もしくは、潤滑剤、表面活性剤、または分散剤で混合された、粉末または顆粒等のフリーフロー形態の活性材料を好適な機械で圧縮することによって調製し得る。鋳型錠は、好適な機械で不活性液体希釈剤で湿潤された粉末化合物の混合物を成形することによって形成され得る。錠剤は、随意に、被覆または分割され得、その中の活性材料の持続放出または制御放出を提供するように製剤され得る。経口投与のためのすべての製剤は、そのような投与に好適な用量でなければならない。押し込み型カプセルは、ラクトース等の充填剤、スターチ等の結合剤、および/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウム等の潤滑剤、ならびに随意に安定剤との混和剤内に活性材料を含むことが可能である。軟カプセルでは、活性化合物は、脂肪油、液体パラフィン、または液体ポリエチレングリコール等の好適な液体内で溶解または懸濁され得る。また、安定剤を添加し得る。糖衣丸を好適なコーティングで提供する。この目的では、濃縮糖溶液を使用し得、それは、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポルゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、ならびに好適な有機溶媒もしくは溶媒混合物を随意に含み得る。染料または顔料を、活性化合物投与量の異なる組み合わせの特定またはそれを特徴付けるために錠剤または糖衣錠コーティングに添加し得る。]
[0115] 非経口、髄腔内、または脳室内投与のための組成物としては、緩衝剤、希釈剤、他の好適な添加剤をも含み得る、滅菌水溶液を含み得る活性化合物の水性および非水性(油性)滅菌注射液、乳剤、および発泡体、ならびにリポソーム含有製剤、浸透促進剤、担体化合物、懸濁化剤および増粘剤を含み得る水性および非水性滅菌懸濁液、ならびに他の薬学的に許容される担体、または賦形剤等が挙げられるが、これらに限定されない。水性注射懸濁液は、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストラン等の懸濁液の粘度を増大させる基質を含み得る。随意に、懸濁液は、化合物の溶解度を増大させて、高度に濃縮された溶液の調製を可能にする、好適な安定剤または薬剤も含み得る。好適な親油性溶媒または媒体には、ゴマ油等の脂肪油、またはエチルオレイン酸またはトリグリセリド等の合成脂肪油エステル、もしくはリポソームが含まれる。]
[0116] 乳剤は、典型的に、通常、直径0.1μmを超える液滴の形態の、別に分散した1つの液体の不均一系である。乳剤は、分散相に加えて、さらなる構成要素、および水相、油相、または個別の相のそれ自体のいずれかの溶液として存在し得る、活性薬物を含み得る。マイクロエミュルジョンも検討する。乳剤およびそれらの用途は、当該技術分野において公知であり、米国特許第6,287,860号にさらに説明されており、それは、その全体として、本明細書に組み込まれる。]
[0117] 製剤には、リポソーム製剤が含まれる。本明細書に使用する、「リポソーム」という用語は、球状二重層または二重層に配列された両親媒性脂質から成る小胞を意味する。リポソームは、親油性材料から形成された膜、および送達される組成物を含む水性内部を有する、単層または多重層の小胞である。カチオンリポソームは、負荷電DNA分子と接触して、安定した錯体を形成すると考えられている、正荷電リポソームである。pH感受性または負荷電されたリポソームは、それを有する錯体よりもDNAを封入すると考えられている。カチオンおよび非カチオンリポソームの療法は、DNAを細胞に送達するために使用されている。]
[0118] リポソームには、「立体的に安定化した」リポソームも含まれ、本明細書に使用する、その用語は、リボソームに取り込まれたときに、そのような特殊脂質が欠乏するリポソームに対して強化された循環寿命をもたらす、1つ以上の特殊脂質を含むリポソームを指す。立体的に安定化したリポソームの例は、リポソームの小胞形成脂質部分の一部が1つ以上の糖脂質を含むか、またはポリエチレン(PEG)部分等の1つ以上の親水性ポリマーで誘導体化されたリポソームである。リポソームおよびそれらの用途は、米国特許第6,287,860号にさらに説明されており、それは、その全体として、本明細書に組み込まれる。]
[0119] 医薬製剤および組成物には、界面活性剤も含まれ得る。界面活性剤の薬物製品、製剤、および乳剤上の使用は、当該技術分野において公知である。界面活性剤およびそれらの用途は、米国特許第6,287,860号にさらに説明されており、それは、その全体として、本明細書に組み込まれる。]
[0120] 一実施形態では、種々の浸透促進剤を使用して、核酸、特に、オリゴヌクレオチドの効果的な送達をもたらす。非親油性薬物の細胞膜上の分散を手助けする他に、浸透促進剤も親油性薬物の透過性を強化させる。浸透促進剤は、5つの広域なカテゴリー、つまり、界面活性剤、脂肪酸、胆汁酸塩、キレート剤、および非キレート非界面活性剤のうちの1つに属するとして分類し得る。浸透促進剤およびそれらの用途は、米国特許第6,287,860号にさらに説明されており、それは、その全体として、本明細書に組み込まれる。]
[0121] 注射用製剤は、添加した防腐剤を有する、単位用量形態、例えば、アンプル内または多用量容器内で提供し得る。組成物は、油性または水性媒体における懸濁液、溶液、または乳剤として、そのような形態を採り得、濁液化、安定化、および/または分散化剤等の調合薬剤を含み得る。製剤は、単位用量または多用量容器、例えば、密封されたアンプルおよびバイアルで提供され得、使用直前に、滅菌液体担体、例えば、生理食塩水または滅菌ピロゲンを含有しない水の添加のみを必要とする、粉末形態またはフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保管し得る。即時注射溶液および懸濁液は、前述の種類の滅菌された粉末、顆粒、および錠剤から調製し得る。]
[0122] アンチセンス化合物は、デポー製剤としても製剤し得る。そのような長時間作用型製剤は、注入(implantation)(例えば、皮下的または筋肉内的)、または筋肉内注射によって投与し得る。したがって、例えば、化合物は、好適なポリマーまたは疎水性材料(例えば、許容される油内の乳剤として)、もしくは、イオン交換樹脂で調製、またはやや可溶性の誘導体として調製し得る。]
[0123] 口腔または舌下投与では、組成物は、従来の方法で製剤された、錠剤、ロゼンジ剤、トローチ、またはゲルの形態を取り得る。そのような組成物は、スクロースおよびアカシアまたはトラガカント等の着香された主成分内の活性材料を含み得る。]
[0124] アンチセンス化合物は、例えば、ココアバター、ポリエチレングリコール、または他のグリセリド等の従来の座薬主成分を含む、座薬または停留浣腸等の直腸組成物内にも製剤し得る。]
[0125] 本明細書に開示するアンチセンス化合物は、局所的、つまり、非全身投与によって投与し得る。これには、化合物が有意に血流に進入しないように、本明細書に開示する化合物の表皮または口腔への外用塗布、ならびにそのような化合物の耳、目、および鼻への点滴注入が含まれる。対照的に、全身投与は、経口、静脈内、腹腔内、筋肉内投与を指す。]
[0126] 用量は、数日〜数ヶ月、または治癒が達成されるか、疾患状態の減少が達成されるまで続く治療過程で、治療される疾患状態の重症度および反応度によって異なる。最適な投薬スケジュールは、患者の体内の薬物の蓄積の測定値から算出することが可能である。当業者は、最適用量、投薬方法、および繰り返し率を容易に決定することが可能である。好適用量は、個別のオリゴヌクレオチドの相対効力によって異なり得、一般的に、生体内および生体外動物モデルにおいて有効であることが分かっているEC50Sに基づき、推測することが可能である。一般的に、用量は、体重1kg当たり0.01μg〜100gであり、日毎、週毎、月毎、または年毎、さらには2年〜20年毎に1回またはそれ以上、投与され得る。]
[0127] 当業者は、製剤がそれらの使用、つまり、投薬経路に従い、定期的に設計されることを認識するであろう。]
[0128] 1つの関連した実施形態では、動物の療法治療には、治療計画の有効性を増強するために、他の治療モダリティと併用して、本発明のオリゴヌクレオチドでの患者の治療が含まれる。他の治療モダリティは、ADまたはDS等の脳内のAβPの蓄積による疾患状態を治療する当業者に公知であり、これらの疾患に関連した低下した認知機能を緩和または改善するように設計された他の療法が含まれ得る。本発明の内容では、「治療計画」という用語は、治療的、苦痛緩和的、および予防的モダリティを含むことを意味する。]
[0129] 別の関連した実施形態では、組成物は、第1の核酸を標的とする1つ以上のアンチセンス化合物、特に、オリゴヌクレオチド、および第2の核酸標的を標的とする1つ以上のさらなるアンチセンス化合物を含み得る。あるいは、組成物は、同一の核酸標的の異なる領域を標的とする2つ以上のアンチセンス化合物を含み得る。アンチセンス化合物の多くの例は、当該技術分野において既知である。2つ以上の複合化合物は、共に、または順番に使用され得る。]
[0130] 以下の実施例は、本発明を図示し、本発明を制限することを意図しない。当業者は、通常の実験、特異的物質との多くの等価物、および本明細書に説明する手順を介して認識するか、または確認することが可能であろう。そのような等価物は、本発明の範囲内であると考えられる。]
[0131] 本発明を以下の実施例によってさらに図示する。]
[0132] オリゴヌクレオチドの合成および精製
オリゴヌクレオチドは、当該技術分野において公知の方法によって作製し得る。また、それらは、図1のフロー図に示すとおり、OL−1を作製した方法で合成および精製し得る。そのような手順は、以下の特徴を有する基質を産生するべきである:
・外見−白い粉末、視覚的に不純物がない
・HPLC=97%、およびpH1% w/v溶液=7.8を介して特定された純度] 図1
[0133] ダウン症のマウスモデル
この実施例は、本発明に従う、部分的トリソミー16(Ts65Dn)マウスにおける取得および維持を向上させる、アンチセンスオリゴヌクレオチドの有効性を図示する。Ts65Dnマウスは、ヒト染色体21の末端部にシンテニーである、マウス染色体16の三重重複部分で操作されている。この鎖は、ヒトのダウン症、染色体21の少なくとも一部分の三重重複を特徴とする遺伝子障害、ならびにアルツハイマー病に認められたのと同様の学習および記憶障害のためのマウスモデルになり得る。Ts65Dnマウスは、ダウン症にみられる表現型異常に似た表現型異常を呈し、短期および長期的空間記憶障害を有することが分かっている(Demas et al,Behav.Brain Res.,1996,82,85−92)。図2を参照されたい。] 図2
[0134] Ts65Dnマウスにおいて、アルツハイマー病といくつかの加齢の生理学的兆候との種々の共通点が報告されている(Salehi et al,Neuron,2006,51,29−42)。兆候のうちの1つは、Ts65Dnマウスでは、マウスAPP遺伝子の第3の複製、ヒトAPPのマウスオルソログ、APPをコードする遺伝子と含む、マウス染色体16の部分的トリソミーによる、増加した遺伝子量およびAPPの発現である。APPにおける突然変異は、APPの増加した発現および家族性アルツハイマー病(FAD)に関連している(Goates et al,Nature,1991,349,704−706)。したがって、APPの過剰発現が、これらのマウスにおける兆候および記憶喪失、ならびに取得の原因のうちの1つであり得ると推定することが可能である。]
[0135] Ts65Dnマウスにおいて増加したAPP遺伝子量は、APPmRNAおよびAPPの増加したレベルを引き起こすことが分かっている(Salehi et al,Neuron 51:29−42(2006))。同様に、アルツハイマー病に見られる認知障害に関連する、APP遺伝子の過剰発現が脳内のβアミロイド斑における増加に関連しているため、APP遺伝子産物のアンチセンス阻害は、認識機能障害の予防、またはそれを覆すのに好ましい効果を有するべきであると仮定されている。]
[0136] マウスOL−1またはランダムオリゴヌクレオチドは、静脈内(IV)投与によって、対照(AC)またはダウン症(AD)マウスに送達され、挙動試験を行って、マウスがタスクを学習または記憶するのに何回試みたか、またはどれだけの時間を必要としたかを判断し、それを「基準までに要した試行数の平均値(Mean Trials to Criterion」として報告した。使用したそのような試験は、ADの学習、記憶、および病理学に関与すると知られる脳の領域を必要とすることを示している。結果を図2に示す。] 図2
[0137] OL−1hの血清対脳内濃度の決定
放射標識されたOL−1hを、静脈内的(IV)にマウスに送達し、脳対血清内濃度を分単位で測定した。以下の図3では、第1のパネルは、放射標識したOL−1がマウス内にIV注入されたときに、次いで、1時間以内にOL−1が血液循環から除去され、より低い血中濃度に達したことを示す。第2の右上のパネルは、注射後100〜300分で停滞期に達する経時変化で、OL−1が脳に進入したことを示す。下の2つのパネルは、2つの異なる時間スケールで示す、脳内のOL−1が血液中の量と比較して着実に増加することを示す。これらのグラフは、上部パネルのデータを再度示すが、Bまたは脳/Sまたは血清の比率としてである。] 図3
[0138] ヒトOL−1hの皮下(subQ)送達を介するマウスへの送達
放射標識されたOL−1hを皮下的(subQ)にマウスに送達し、脳対血清内濃度を分単位で測定した。以下の図4では、第1のパネルは、1時間以内にOL−1が大循環に進入し、次いで、ピークに達し、次いで、減少したことを示す。下のパネルでは、OL−1は、大循環から脳に進入して、血液脳関門を通過した。脳内に残留する少量のOL−1は、アミロイド前駆体タンパク質の産生を阻害するのに十分であると予測される。皮下注射は、IV注射に代わって実用的であり、院外の治療により適している。] 図4
[0139] ヒトOL−1のマウスへの経口送達
マウスは、32Pで標識された1,000,000cpmのヒトアンチセンスが経口投与によって投与された。種々の時点(10〜480分)で、動脈血清を摘出した頸動脈および脳から採取した。血液を4000xgで10分間、遠心分離し、50マイクロリットルの血清を除去し、ガンマ線測定器で測定した。松果体および下垂体を除去し、脳を過剰な血液で洗浄し、髄膜を除去し、脳を計量して、ガンマ線測定器で測定した。結果を、それぞれ、経口的に投与され、100で乗じたcpmで割った、1ミリリットル(ml)またはグラム(g)の血液または脳に存在するcpmとして表した。これは、1mlまたは1gの血清または脳内に存在した、投与された用量の割合を生じた。結果は、2つの個別の放射性標識で、3回の個別の日に行った、n=4/時点の結果の組み合わせである。結果は、放射能が血液および脳内に存在したことを示す。表1は、投与後の種々の時点における血清内の%cpmを示す。]
[0140] ]
[0141] 経口投与開始の割合として、脳内の放射能の量を表2に一覧する。血液レベルは、多少低かったが、脳内レベルは、静脈内投与後に見られたレベルと同様であった。血清または脳内の平均cpm対時間を、それぞれ、図5aおよび5bに示す。放射能レベルは、GI吸収中に生じ得た任意の分解に修正されなかった。] 図5a
[0142] ]
[0143] アンチセンスオリゴヌクレオチドの鼻腔内投与および脳の領域内の分布
生理学的食塩水内の2マイクロリットルの32Pの放射活性物質で標識されたOL−1mを、成体のCD−1マウスの篩状プレートの底に沈着させた。指定した時点で、脳を解剖し、前述のとおり、開始するcpmの割合を決定した。それぞれの時点は、n=6匹のマウスを有する。図6に示した結果(ログスケールの縦座標)は、OL−1mが、鼻腔内投与後に、脳の3つの領域のそれぞれに侵入し、存続することを示す。3つの領域のADの病理学への関与のため、かつ、以前のデータが、OL−1mがこれらの領域に侵入し、存続することを示したため、3つの領域を選択した。脳の領域である、小脳、海馬、および嗅球を検査した。] 図6
[0144] OL−1mの鼻腔内(IN)投与は、学習(取得)および記憶(維持)を修復する
2週間間隔で3回のOL−1mの鼻腔内投与(6μg)は、3回目の投与後2週間試験したときに、生理食塩水で処理された対照(N=群毎に6匹)と比較して、生後12カ月のSAMP8マウスにおける、T字型迷路フットショック回避の取得および維持を向上させる。結果を図7に示す。] 図7
[0145] IVまたは鼻腔内投与後の血清および脳内のアンチセンスオリゴヌクレオチドレベルの比較
生物学的生理食塩水中の2マイクロリットルの32Pの放射標識されたOL−1hを、成体のCD−1マウスの篩状プレートの底に沈着させるか、または生理食塩水中で希釈し、IV投与した。それぞれの時点は、鼻腔内投与では、n=2匹のマウス、IVでは、n=1匹を有する。種々の時点で、血清および脳内に見られた本来の流入量の%を決定した。結果を図8に示す。] 図8
[0146] 図8aは、鼻腔内投与後のOL−1hの血液レベルが、IV投与によって達成された血液レベルよりも約100倍少ないことを示す。縦座標のログスケールに留意されたい。] 図8a
权利要求:

請求項1
配列番号1と少なくとも90%同一である配列を有する核酸。
請求項2
前記核酸配列は、配列番号1と少なくとも95%同一である、請求項1に記載の核酸。
請求項3
前記核酸配列は、配列番号1である、請求項1に記載の核酸配列。
請求項4
前記核酸配列は、配列番号2のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドに相補的であり、前記核酸配列は、アミロイド前駆体タンパク質のアミロイドベータタンパク質(AβP)部分の発現を阻害する、請求項1または2に記載の核酸。
請求項5
前記核酸は、アンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の核酸。
請求項6
前記核酸は、10〜80ヌクレオ塩基の長さである、請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の核酸。
請求項7
前記核酸は、35〜45ヌクレオ塩基の長さである、請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の核酸。
請求項8
前記核酸は、37、38、39、40、41、42、または43ヌクレオ塩基の長さである、請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の核酸。
請求項9
前記核酸は、少なくとも1つの修飾ヌクレオシド間結合を含む、請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の核酸。
請求項10
前記修飾ヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエート結合である、請求項9に記載の核酸。
請求項11
前記核酸は、少なくとも1つの修飾糖部分を含む、請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の核酸。
請求項12
前記修飾糖部分は、2′−O−メトキシエチル糖部分である、請求項11に記載の核酸。
請求項13
前記核酸は、少なくとも1つの修飾ヌクレオ塩基を含む、請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の核酸。
請求項14
前記修飾ヌクレオ塩基は、5−メチルシトシンである、請求項13に記載の核酸。
請求項15
前記核酸は、キメラオリゴヌクレオチドである、請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の核酸。
請求項16
前記核酸は、血液脳関門を通過することが可能である、請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の核酸。
請求項17
請求項1〜16のうちのいずれか1項に記載の核酸、および薬学的に許容される賦形剤、担体、または希釈剤を含む組成物。
請求項18
コロイド分散系をさらに含む、請求項17に記載の組成物。
請求項19
前記核酸は、アンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項17に記載の組成物。
請求項20
前記核酸または組成物は、経口、非経口、皮下、腹腔内、皮内、筋肉内、静脈内、関節内、頭蓋内、髄腔内、髄内、脳室内、鼻腔内、肺内、経粘膜、経皮(transdermal)、直腸、局所、経皮(dermal)、口腔、舌下、または眼内投与を介して投与され得る、請求項1〜16のうちのいずれか1項に記載の核酸、または請求項17〜19のうちのいずれか1項に記載の組成物。
請求項21
前記核酸または組成物は、静脈内、皮下、経口、鼻腔内、または筋肉内投与され得る、請求項1〜16のうちのいずれか1項に記載の核酸、または請求項17〜19のうちのいずれか1項に記載の組成物。
請求項22
細胞または組織内のアミロイド前駆体タンパク質の発現を阻害する方法であって、前記アミロイド前駆体タンパク質の発現が阻害されるように、請求項1〜16のうちのいずれか1項に記載の核酸、または請求項17〜19のうちのいずれか1項に記載の組成物を前記細胞または組織に投与するステップを含む、方法。
請求項23
細胞または組織内のアミロイドベータタンパク質の発現を調節する方法であって、アミロイドベータタンパク質の発現が調節されるように、請求項1〜16のうちのいずれか1項に記載の核酸、または請求項17〜19のうちのいずれか1項に記載の組成物を前記細胞または組織に投与するステップを含む、方法。
請求項24
アミロイドベータタンパク質前駆体またはアミロイドベータタンパク質に関連する疾患または病状に罹患する対象を治療する方法であって、アミロイド前駆体タンパク質の発現が阻害されるように、治療的または予防的に有効量の請求項1〜16のうちのいずれか1項に記載の核酸、または請求項17〜19のうちのいずれか1項に記載の組成物を前記対象に投与するステップを含む、方法。
請求項25
前記疾患または病状は、アミロイド代謝が阻害されるものである、請求項24に記載の方法。
請求項26
前記疾患または病状は、アルツハイマー病、軽度の認知機能障害、ダウン症、パーキンソン病、家族性アルツハイマー病、アポリポタンパク質E4対立遺伝子へのホモ接合体、ボクサー認知症(頭部外傷を含む)、オランダ型アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(HCHWA−D)、またはアミロイド血管症を伴う血管性認知症の任意の変異型である、請求項24に記載の方法。
請求項27
脳内のAβPの上昇値を呈する、以前にAD、パーキンソン病、MCI、認知症、または前段階の認知症と診断されていない患者の予防治療の方法であって、AD、パーキンソン病、MCI、認知症、または前段階の認知症の発達を予防もしくは遅延するのに有効な量の請求項1〜16のうちのいずれか1項に記載の核酸、または請求項17〜19のうちのいずれか1項に記載の組成物を前記患者に投与するステップを含む、方法。
請求項28
認知機能を強化する方法であって、認知機能を強化するのに有効な量の請求項1〜16のうちのいずれか1項に記載の核酸、または請求項17〜19のうちのいずれか1項に記載の組成物を対象に投与するステップを含む、方法。
請求項29
前記投与は、経口、非経口、皮下、腹腔内、皮内、筋肉内、静脈内、関節内、頭蓋内、髄腔内、髄内、脳室内、鼻腔内、肺内、経粘膜、経皮(transdermal)、直腸、局所、経皮(dermal)、口腔、舌下、または眼内である、請求項22〜28のうちのいずれか1項に記載の方法。
請求項30
前記投与は、静脈内、皮下、経口、鼻腔内、または筋肉内である、請求項22〜28のうちのいずれか1項に記載の方法。
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