专利摘要:
1つ以上の弁等のプロセス制御装置の動作を制御するためのプロセス制御ループに関連付けられたパラメータの区間固有の推定値を決定する方法は、プロセス制御ループから信号に対応する信号データを受信するステップと、信号データを記憶するステップと、記憶された信号データを複数のデータ区間に区画するステップと、第1の区間固有のパラメータ推定値を生成するために複数のデータ区間から選んだ複数のデータ区間の第1の区間に対して統計的分析を実行するステップと、を含む。
公开号:JP2011513729A
申请号:JP2010548753
申请日:2009-01-16
公开日:2011-04-28
发明作者:アネット;エル. ラトヴェーゼン,
申请人:フィッシャー コントロールズ インターナショナル リミテッド ライアビリティー カンパニー;
IPC主号:G01M99-00
专利说明:

[0001] 本発明は、概してプロセス制御ネットワークに関し、特に所定の移動または動作の区間にわたるプロセス制御ループパラメータの推定値を統計的に決定する方法に関する。]
背景技術

[0002] 大規模な商用製造工程や精製工程は、1つ以上の弁等のプロセス制御装置の動作を制御するために、位置センサ、流量センサ、温度センサまたはその他のタイプのセンサなど、1つ以上のセンサからのフィードバックに基づくプロセス制御システムを一般的に使用する。このようなプロセス制御装置、弁並びにセンサ装置の各組は、一般にプロセス制御ループと呼ばれるものを構成する。更に、各々の弁またはその他の装置は内部ループを含むこともあり、その内部ループでは、例えば、弁ポジショナが制御信号に応じて弁アクチュエータを制御して弁体のような制御体を移動させ、位置センサ等のセンサからフィードバックを受けることで弁体の動きを制御する。この内部ループはサーボループと呼ばれることもある。どの場合においても、プロセス制御装置の制御体はバネに付勢された膜上の変化する流体圧に応じて、またはシャフトの回転に応じて移動する場合があり、いずれの移動も指令信号の変化により生じる場合がある。1つの標準的な弁機構では、その大きさが4〜20mA(ミリアンペア)の範囲で変化する指令信号がポジショナにより、圧力室内において指令信号の大きさに比例して、流体量、ひいては流体圧を変化させる。圧力室内の流体圧を変化することにより、付勢バネに抗して膜を移動させ、それにより弁体が動かされる。]
[0003] プロセス制御装置は、通常、指令信号に対する装置の応答を表すフィードバック信号を生成または発生させ、このフィードバック信号(即ち、応答表示)をプロセスまたは弁の制御に使用すべくプロセス制御システムまたは弁アクチュエータに与える。例えば、弁機構は通常、弁体の位置(例えば、移動距離)、弁の流体室内の圧力、または弁体の実際の位置に関連する何れか他の現象の値を示すフィードバック信号を発生させる。]
先行技術

[0004] 米国特許第5,687,098号明細書
米国特許第5,966,679号明細書
米国特許第6,466,893号明細書]
発明が解決しようとする課題

[0005] プロセス制御システムは、一般的にプロセスの統括制御を行う高度に調整された集中制御アルゴリズムへの入力としてこれらのフィードバック信号をその他の信号と共に用いるが、プロセス制御ループ内の不安定性などを含む制御ループ内で接続された各制御装置の作動状態が悪い場合、制御ループ性能の不良が起こることもあるということが分かった。作動中平衡点に到達できないとき、システムは「不安定状態」に陥る。工場要員は、屡々これらの不安定状態をシステムが平衡点または「ラインアウト」に到達した正常運転と比較してサイクリング、ハンチング、或いはスインギングと言うことがある。]
[0006] 多くの場合、1つ以上の各プロセス制御装置に付随する問題はプロセス制御システムによって制御ループから調整することはできず、その結果、動作が不調な制御ループは手動に移されるか、手動制御で効果的となる点まで調整の精度を下げる。或る場合には、工場要員はサイクリングしている個々のループ突き止めることができ、関連するコントローラを調整の精度を下げるか不調ループを手動に移すであろう。システムが正常になれば、彼等はそれがハードウェアの問題ではなく調整の問題であることを知ることになる。同様に、プロセスが良く知られた(流れループのような)高速動特性を有している場合、オペレータはコントローラ出力をプロセス変数と関連づけるであろう。コントローラの出力が三角波でプロセス変数が方形波の場合、オペレータは屡々、制御弁がべたついているものと結論づけるであろう。これらの場当たり的な手順は多くの工場要員が用いるものであるが、幾つかの限界を内包している。例えば、第1の手順は、オペレータがシステムを手動制御にすることを要求するものであるが、これは許されない場合もあり、特に設定から外れていくプロセスにおいては許されない。第2の手順は、プロセス制御ループにより惹き起こされる制限するサイクルを特定するのにはよいが、サーボループにおける不安定状態を突き止めることはできない。更に、指令信号とプロセス変数間の相関は、複合したプロセス動特性、非線形プロセス動特性、相互連関したプロセス動特性並びにプロセス外乱等の複雑さのため、常に単純だというわけではない。工場要員は制御弁の内部状態変数にアクセスできないため、サーボループにおける不安定状態は認識することが特に困難である。不安定状態がプロセス流体の影響を受けるときは、負の勾配の場合と同じく、更なる問題が発生する。これらの場合においては、弁が作動中に発振することがあるが、ラインから取り外せば正常になる。]
[0007] 制御ループ性能の不調は、通常、制御ループ内で接続された各プロセス制御装置の作動状態、若しくは「健全性」、または少なくともループ内で接続された最も重要なプロセス制御装置を監視して、動作不良のプロセス制御装置を修理または交換することにより克服することができる。プロセス制御装置の健全性は、プロセス制御装置が関連する1つ以上のパラメータを測定し、該1つ以上のパラメータが許容範囲から外れているか否かを判定することにより判断できる。監視の対象となり得る問題の1つとして、プロセスループまたは制御装置における不安定状態の検出が挙げられる。]
[0008] 過去には、技術員がシステムを検証し診断しなければプロセス制御ループ内の不安定性の源や原因を判定するのは容易ではなく、時間を要し費用が掛かるものであった。場合によっては、当該要員は制御ループからプロセス制御装置のベンチテストのために装置を取り外さなければならないか、またはその代わりに、特定のプロセス制御装置をバイバスして、それによりプロセス動作中に装置をテストできるように、制御ループ自体がバイパス弁と余分なプロセス制御装置を備えていた。その代わりに、オペレータは、不安定状態の元である可能性があるプロセス内の個々のプロセス制御装置をテストするため、プロセスが停止するか、所定の運転終了になるまで待たなければならなかった。これらのオプションは、それぞれ時間を要するとともに費用の掛かるものであり、システム内の不安定性の断続的な判定を許容するに過ぎない。そのうえ更に、これらの方法のいずれも、プロセスがオンラインで作動中に、即ち、プロセスに外乱を与えたり停止させたりすることなく、不安定性の源や原因を判定するのに格別適しているわけではない。]
[0009] プロセス制御装置からオンラインでデータを収集し、そこから装置の特性の兆候を得ようという幾つかの試みがなされてきた。例えば、Grumstrup等の米国特許第5,687,098号には、装置データを収集し、装置の応答特性を構成・表示するシステムが開示されている。同様に、"Method of and Apparatus for Nonobtrusively Obtaining On-Line Measurements of a Process Control Device Parameter"と題されたLatwesen等の米国特許第5,966,679号には、オンラインで装置データを収集し、そのデータを不感帯域やむだ時間等、特定の装置パラメータを直接算出するのに使用するシステムが開示されている。第5,966,679号特許の開示全体は、参照することにより明示的に本明細書に含まれる。]
[0010] また、"Statistical Determination of Estimates of Process Control Loop Parameters"と題された米国特許第6,466,893号の開示の全体も、参照することにより明示的に本明細書に含まれる。第6,466,893号特許は、プロセス制御装置の摩擦、不感帯域、むだ時間、発振、シャフトワインドアップまたはバックラッシュ等、1つ以上のプロセスループパラメータの推定値を統計的に確定する方法を開示している。特に、この方法は、出力パラメータ並びに入力パラメータに関連する信号データを収集し、信号データを一連の離散点として記憶し、その一連の中の幾つかの点を所定のアルゴリズムに従って消去し、そして1つ以上のプロセス制御パラメータの平均値を得るべく、簡略化した列の統計的分析を実施することを含んでいる。当該方法により、例えば、スライドステム弁の平均アクチュエータ摩擦を推定できる。]
[0011] しかしながら、米国特許第6,466,893号に記載された方法は、利用可能なデータによりカバーされる全範囲にわたるプロセス制御パラメータの平均値を確定することに限定されている。当該方法は、例えば、可動部材の全移動範囲に対する摩擦値全体を生成することができる。ところで、摩擦が他の区域より著しく大きいか小さい区域、サブレンジまたは移動の区間が存在し得る。当業者は認識していることだが、特定の区域で摩擦が大きいということは、弁が「べたついて」いて制御信号への応答が良くないか、適切に作動停止することができないことを示しているのかも知れない。一方、摩擦が小さいということは、弁棒と弁の壁面間の密封材として用いられることがある弁のパッキンが劣化していることを示しているのかも知れない。いずれの場合であっても、摩擦が標準からまたは隣接する区域から著しくずれている場合は、保守、交換、または最低限詳しい検査が必要かも知れない。残念ながら、平均摩擦値は、問題の恐れがある区域の異常摩擦値を効果的に隠してしまう。理解できることではあるが、移動が問題領域より相当大きな範囲におよぶ場合、異常に高い値や低い値は平均値により取り除かれることもある。このため、平均値によって1つ以上の区間が不良であることを反映することはできないこともあり得る。]
[0012] その上、問題があることを平均値が適切に示していたとしても、この値だけでは注意を要する特定の移動区間または動作範囲を特定することはできない。例えば、スライドステム弁の摩擦の不適切な平均値に基づいて、弁の部品全体(または弁全体)の交換を要すると決定されることもある。ところで多くの場合、問題の正確なまたは比較的正確な位置を知ることが望ましい。この情報は、部分的修理を実施する上で、或いは少なくともどの部品が最も信頼できないかを判別し、できれば将来それらの部品の設計を改善すべく障害に関連する統計的データを収集する上で役立つであろう。]
課題を解決するための手段

[0013] 装置の可動構成部材の移動区間にわたり装置のプロセス制御パラメータを推定する方法は、該可動部がその全動作範囲内の1つ以上の区域において不適切に作動していないかをオペレータや技術者が判定することを許容するものである。特に、本方法は、プロセス制御ループ内部の信号の測定値を取得し、取得した信号を信号データとして記憶し、信号データを各種の移動または動作の区間に対応する幾つかの区域に区画し、1つ以上の区間のパラメータ推定値を決定するために信号データの区域の幾つかまたは全てに対して分析を実施する。一態様においては、区間間の視覚的比較および統計的比較を容易にするために、データの区域は、重なり合っていない等サイズの区間に対応する。別の態様においては、該信号データは、指定された移動距離百分率、所望の区間数、または個々の区間に含まれる既定のデータ量に従って区間に区画されていてもよい。]
[0014] 1実施形態においては、本方法は、プロセス制御ループがプロセス環境内でオンライン接続されているとき、プロセス制御ループ内で邪魔にならないように信号を測定する。実施形態の少なくとも幾つかにおいては、本方法はデータをプロセス制御ループから収集中にリアルタイムで適用できる。それに加えてまたはその代わりに、本方法はオフラインデータにも適用できる。]
[0015] 1実施形態においては、各区間に対応するパラメータ推定値はディスプレイ上にグラフィック表示される。他の実施形態においては、プロセス制御ループの内部または外部の装置上で走るソフトウェアが、区間の幾つかまたは全てのパラメータ推定値を自動的に処理して異常なパラメータ値を検出する。他の態様においては、本方法は弁動作に関するパラメータを構成、監視、表示するための米国アイオワ州マーシャルタウンのFisher Controls InternationalLLCから販売されているAMSValveLink (登録商標)のようなソフトウェア・パッケージに実装できる。他の実施形態においては、本方法を、オンラインプロセス制御データを収集する装置上で実行してもよい。別の態様においては、本方法を、オフラインで記憶される信号データに適用してもよい。本方法は、選択したプロセスパラメータのトレンドを、時間を追って測定するように、同一区間のヒストリカルデータを比較することも含んでいてもよい。特に、或るパラメータは、1つ以上の選択された区間について、例えば一週間に一回というような予め定めた間隔で推定してもよい。この実施形態によると、時間を追った値の変化を検出するため、週毎の推定値を単一のグラフに示したり、自動的に処理したりしてもよい。他の態様においては、本方法は、全移動範囲における標準偏差、平均、平均値、および個々の移動区間を他の区間または全移動範囲と比較するのに有用な他のパラメータを計算するというような統計手法を利用してもよい。]
[0016] パラメータ推定値は、アクチュエータ圧力に応じて動くアクチュエータ(装置の如何なる可動部品であってもよい)を有した装置(弁や他の装置)の摩擦の推定値であってもよい。この場合、本方法は、アクチュエータ圧力を表す第1の信号を測定し、アクチュエータ位置を表す第2の信号を測定し、そしてそれぞれアクチュエータ圧力信号から得られたアクチュエータ圧力成分とアクチュエータ位置信号から得られたアクチュエータ位置成分とを各データ点が有する一連のデータ点を記憶する。本方法は、各区間について一連のデータ点の対応する区域から簡略化したデータセットを生成し、該簡略化したデータセットから摩擦推定値を決定してもよい。簡略化したデータセットを生成するには、区域内の一連のデータ点を分析してデータ点が装置の摩擦域外にあるかを判定し、その点が摩擦域外にあれば、各列は簡略化したデータセット内に入れられる。或るデータ点が摩擦域の外にあるか判定するには、2つのデータ点のアクチュエータ位置成分の差を閾値と比較しても、2つのデータ点のアクチュエータ圧力成分の差を閾値と比較しても、データ点における傾きを、傾きの閾値と比較してもよい。その後、摩擦推定値を決定するために、線形トレンドを除去するために簡略化したデータセットを傾向除去してもよく、傾向除去したデータセットのアクチュエータ圧力成分をヒストグラムに示してもよく、また、ヒストグラムの結果に基づく圧力差を用いてもよい。]
[0017] パラメータ推定値は、特定の区間の摩擦推定値とプロセス制御ループに関する開ループゲインから決定できる不感帯域推定値であってもよい。同様に、パラメータ推定値は、特定の区間の記憶された信号データに相互相関分析または二乗和誤差分析を実行し、相互相関分析または二乗和誤差分析に付随する時間遅れをむだ時間推定値として選択することにより生成できるむだ時間推定値であってもよい。]
[0018] パラメータ推定値は、アクチュエータを有する装置の区間固有のシャフトワインドアップ推定値であってもよい。この場合、記憶された信号はアクチュエータ位置の指示値であってよく、各区間のシャフトワインドアップ推定値は特定の位置のシャフトワインドアップ範囲内に存在する複数の連続するデータ点を特定し、複数の連続するデータ点の終了点のアクチュエータ位置間の差に基づいてシャフトワインドアップを演算し、そして同じ移動区間内の次の位置で該手順を反復し、そして区間内の全ての位置のシャフトワインドアップ測定値を平均することで特定の区間のシャフトワインドアップ値を計算することによって決定してもよい。所望に応じ、シャフトワインドアップ範囲内に存在する複数の連続するデータ点は、連続するデータ点の各々における傾きを演算し、演算した傾きを傾きの閾値と比較することによって決定してもよい。]
図面の簡単な説明

[0019] 本発明に従って1つ以上のループパラメータについて区間固有の推定値を統計的に決定する装置を含むプロセス制御ループを示すブロック図である。
代表的なスライドステム弁のアクチュエータ移動距離百分率に対するアクチュエータ圧力のプロットを示す図である。
代表的なスライドステム弁のアクチュエータ移動距離百分率に対するアクチュエータ圧力の複数の測定値に対応するプロットを示す図である。
代表的な回転弁のアクチュエータ移動距離百分率に対するアクチュエータ圧力の複数の測定値に対応するプロットを示す図である。
図3に示したプロットに対応するデータを区間基準のヒストグラムで示す図である。
代表的な回転弁の2つの移動区間におけるアクチュエータ位置に対するアクチュエータ圧力のプロットを示す図である。
図4に示したプロットに対応するサブセットを含むデータセットを区間基準のヒストグラムで示す図である。
或る期間にわたって代表的な弁の2つの別個の移動区間で測定した摩擦値の傾向を示すグラフである。
区間固有の摩擦値を推定する1つの可能な一般化されたアルゴリズムを示すフローチャートである。] 図3 図4
実施例

[0020] 図1を参照すると、単一入力単一出力形プロセス制御ループ10は、例えば4〜20mAの指令信号を制御弁組品のようなプロセス制御装置13に送出するプロセス制御システム12を含むものとして示されている。該プロセス制御装置13は、(通常)3〜15psigの圧力信号を圧力信号(空気)により空気圧で弁18を制御する空気圧ポジショナとアクチュエータまたは空気圧リレーおよび/またはアクチュエータのような弁空気圧段15に送出する電流/圧力変換器(I/P)14を含むものとして示されている。弁18の動作がその内部に備えられた可動弁部材(不図示)の関節部を制御し、それによりプロセス20内のプロセス変数を制御する。標準的なことであるが、トランスミッタ22はプロセス20のプロセス変数を測定し、測定したプロセス変数の指示値をサミングジャンクション24に送信する。サミングジャンクション24はプロセス変数の測定値(正規化百分率に変換されている)を設定点と比較して両者の差を示す誤差信号を生成する。そして、サミングジャンクション24は算出した誤差信号をプロセス制御システム12に与える。ユーザ、オペレータまたはその他の制御器が生成することができる該設定点は、通常0から100%の間になるよう正規化されていてプロセス変数の望ましい値を示す。プロセス制御システム12は、何れか望ましい技術によって指令信号を生成するために誤差信号を利用し、指令信号をプロセス制御装置13に送って、それによりプロセス変数の制御を実行する。] 図1
[0021] プロセス制御装置13は別々のI/Pユニット14、空気圧段15および弁18を含むものとして図示されているが、該プロセス制御装置13は、例えばI/Pユニットを内蔵した電子空気圧ポジショナを含む図1に示したものの代わりにまたはそれらに加えて、何れか他の種類の弁機構または弁体を含んでいてもよい。また、電子空気圧ポジショナは、1つ以上のセンサのアレイ、および/またはメモリ、および/またはパラメータ推定ユニットをその中に内蔵していてもよい。更に、プロセス制御装置13は、プロセス変数を何れか他の所望のまたは既知の態様で制御する何れか他の種類の装置(弁制御装置に加えて)であってもよいことを理解されたい。例えば、プロセス制御装置13はダンパ等であってもよい。] 図1
[0022] パラメータ推定ユニット30は、既知のセンサを用いてプロセス制御装置13またはプロセス制御ループ10の何れか他の部分に結合されている。該パラメータ推定ユニット30は、メモリとプロセッサを内部に有したマイクロコンピュータのようなコンピュータであってもよいが、プロセス制御ループ10内の装置の状態に関するデータを収集し、収集したデータから例えばコンピュータプログラムやアルゴリズムを用いて摩擦、むだ時間、不感帯域等、1つ以上のプロセス制御ループパラメータを統計的に決定する。例えば図1に示すように、測定ユニット30は、電流センサ32を用いてI/Pユニット14に送られる1つ以上の指令信号を検出し、圧力センサ34を用いてI/Pユニット14から出力される圧力を検出し、圧力センサ36を用いて空気圧段15が出力するアクチュエータ指令信号を検出し、位置センサ37を用いて弁18の出力における弁位置を検出してもよい。所望に応じ、推定ユニット30は、その他にまたはその代わりに、設定点信号、サミングジャンクション24の出力における誤差信号、プロセス変数、トランスミッタ22の出力、若しくはプロセス制御装置13またはプロセス制御ループ10の移動または動作を惹き起こすか指示する何れか他の信号または現象を検出してもよい。また、その他の種類のプロセス制御装置は、それに関するその他の信号または現象であってパラメータ推定ユニット30が用いる信号または現象を有していてもよいという点に留意すべきである。] 図1
[0023] 明らかなことであるが、プロセス制御装置13がコントローラ指令信号、圧力信号、アクチュエータ指令信号または弁位置の指示値を伝送するように構成されている場合、パラメータ推定ユニット30は、これらの測定値を読み取ってもよい。同様に、推定ユニット30は、プロセス制御装置13内に既に備えられているその他のセンサが生成した位置センサ37が指示する弁位置等の信号を検出してもよい。勿論、推定ユニット30が使用するセンサはどのような既知のセンサであってもよく、アナログまたはデジタルセンサのいずれであってもよい。例えば、位置センサ37は、如何なる所望の動き測定装置または位置測定装置であってもよく、それには、例えば、ポテンシオメータ、線形可変差動変圧器(LVDT)、回転可変差動変圧器(RVDT)、ホール効果モーションセンサ、磁気抵抗形モーションセンサ、可変コンデンサ形モーションセンサ等が含まれる。センサがアナログセンサの場合、推定ユニット30は、アナログ信号をサンプリングして推定ユニット30内のメモリにサンプリングした信号を記憶する1つ以上のA/D変換器を含むものであってもよいということが理解できるであろう。しかし、センサがデジタルセンサの場合、それらのセンサは推定ユニット30にデジタル信号を直接に供給し、推定ユニット30はそれらの信号を何らかの所望の様態でメモリに記憶することになる。更に、2つ以上の信号を収集する場合、推定ユニット30はこれらの信号を何らかの特定の時間に付随するデータ点の成分として記憶してもよい。例えば、時間T1、T2、・・・Tnにおける各データ点は、入力指令信号成分、圧力信号成分、アクチュエータ移動信号成分等を有していてもよい。勿論、これらのデータ点またはそれらの成分は、何らかの所望のまたは既知の態様でメモリに記憶してもよい。]
[0024] 更に、推定ユニット30をプロセス制御装置13とは別体のもの(例えば、ホスト装置内に配置されたもの)として示したが、それに代えて、このユニットはプロセス制御装置13またはプロセス制御ネットワーク内の何れか他のプロセス制御装置(例えば、現場の装置)に内蔵されたものであってもよい。プロセス制御装置13がマイクロプロセッサを用いた装置の場合、推定ユニット30はプロセス制御装置13内に既に存在するプロセッサとメモリを共有することができる。その代わりに、推定ユニット30はそれ自身のプロセッサとメモリを有していてもよい。従って、統計的分析は測定が行われる装置内で(任意の現場の装置内などで)実施され、その結果がユーザ表示部またはそれを利用するホスト装置に送出されるようになっていてもよく、或いはその代わりに、信号の測定がこうした測定を伴う装置(現場の装置など)により実行され、その測定結果を、統計的分析が実施される離れた場所(ホスト装置など)に送出されるようになっていてもよいことが想起される。]
[0025] 1実施形態において、パラメータ推定装置30は、プロセス制御装置13がプロセス環境中においてオンラインで作動中に得た測定値に基づく統計的分析を用いて、プロセス制御装置13(またはプロセス制御ループ10内の他の装置)の1つ以上の移動区間における摩擦、不感帯域、むだ時間またはその他のプロセス制御ループパラメータを決定する。一般的に、パラメータ推定値を生成するには、推定ユニット30は、例えばプロセス制御装置13内の1つ以上の信号をサンプリングし、サンプリングされたデータをメモリ44に記憶する。所望に応じ、推定ユニット30は、不要なデータや外れ値等を除去するため、収集したデータをメモリに記憶する前または後でデータを操作してもよい。推定ユニット30は、少なくとも2つの移動区間について所望のプロセスパラメータの統計的推定値を決定可能とするに十分なデータを収集した後で統計的分析ルーチンを用いるが、該ルーチンは、推定ユニット30に関連付けられたメモリ44に記憶され、推定ユニット30内のマイクロプロセッサにより実行されることにより各区間のプロセスパラメータの推定値を演算するようになっていればよい。勿論、推定ユニット30は、如何なる所望の統計的分析ルーチンまたは手順を用いてもよい。適切に記述されたコンピュータプログラムまたは推定ユニット30内に記憶されそれにより実行されるアルゴリズムを用いて実行される或るパラメータのための幾つかの例示的な統計的分析ルーチンを、以下詳細に説明する。]
[0026] 推定ユニット30は、一連のパラメータ推定値を演算後、表示装置38に推定値を表示することができるが、同表示装置38は、例えば、CRTスクリーン、プリンタ、音声発生器、アラームまたは何れか他の所望の通信装置であっても構わない。勿論、推定ユニット30は、何らかの望ましいその他の様態で推定値の値に対してユーザに警報を与えてもよい。推定ユニット30には、ユーザ入力ユニット40が有線または無線で接続されていてもよい。ユーザ入力ユニット40は、当該技術で既知の、完全な、または限定的なキーボード、マウス等のポインティングデバイス、またはその他の任意のデータ入力手段であってよい。オペレータまたは技術員は、入力ユニット40を用いることにより、移動区間の個数、区間のサイズ、周期的な信号取得の時間間隔、およびパラメータ推定ユニット30により信号データが収集される期間の長さ等のパラメータを指定してもよい。]
[0027] それに加えてまたはその代わりに、オペレータ、技術員またはその他資格を持つユーザは、上に挙げた1つ以上のパラメータ(区間数、区間サイズ等)を入力するため、コンピュータ・ワークステーション42を使用することができる。コンピュータ・ワークステーションは推定ユニット30に接続されていてもよく、キーボード等の入力手段並びにディスプレイを備えていてもよい。データの分析並びにセンサ32〜37、センサ22およびプロセス20から収集されたデータの処理に関連するその他の作業は、ワークステーション42に関連付けられたパラメータ推定ユニット30により実行されてもよく、パラメータ推定ユニット30とワークステーション42の一方により実行されてもよいことが理解されるであろう。]
[0028] プロセス制御装置13がオンラインで作動中に推定ユニット30が必要なデータの測定を行う実施形態においては、推定ユニット30は、プロセス制御装置13をオフラインにしたり、通常の動作環境から外したりすることを必要としない。これらの実施形態においては、推定ユニット30はプロセス制御ループ10に接続されており、プロセス制御ループ10の通常動作中に或るプロセスパラメータの統計的推定を行うのに必要な信号を測定するため、推定ユニット30は、プロセス20或いはプロセス制御ループ10の動作と干渉することなくプロセス制御装置パラメータを継続的に決定する。その代わりに、推定ユニット30は、オンラインデータを事後に処理することにより、またはオフラインデータを処理することにより、区間固有のプロセスパラメータを推定してもよい。例えば、推定ユニット30は、或る期間にわたり収集されメモリに記憶された1つまたは幾つかの制御ループ10のパラメータの測定値に対応するデータを処理してもよい。この目的のため、推定ユニット30の幾つかの実施形態は、推定ユニット30がオフラインデータに効率的にアクセスできるようにするため、例えばCD/DVDドライブのような周辺装置との付加的インターフェースを含んでいてもよい。更に、推定ユニット30は、メモリユニット44のような永続的記憶装置と関連付けられてもよい。推定ユニット30の考えられる実施形態の幾つかは内部メモリを殆どまたは全く備えていないため、メモリユニット44が制御ループ10の動作に関係するリアルタイムデータおよび/またはヒストリアルデータを記憶してもよい。]
[0029] 他の実施形態においては、パラメータ推定ユニット30は設置形または可搬形ワークステーション等のホストコンピュータ内に存在するものであってもよく、そのホストコンピュータは単一出力形プロセス制御ループ10の内部または外部に配置されているものであってよい。例えば、パラメータ推定ユニット30は、トランスミッタ22および少なくともセンサ32〜37の幾つかから、当該技術において公知のものを含む任意の適当な通信手段経由で測定データを受信するワークステーションのメモリに格納されたアプリケーションソフトウェアであってもよい。より具体的には、トランスミッタ22およびセンサ32〜37の幾つかまたは全ては、プロセス制御ループ10の動作に関連する測定をデジタルバス、無線リンク、またはそれらの組合せを経由してレポートしてもよい。幾つかの実施形態においては、パラメータ推定ユニット30は、例えば専用のプロセッサやメモリなど、ソフトウェアとハードウェアの両方の要素を含んでいてもよい。更に他の実施形態においては、パラメータ推定ユニット30は、幾つかのハードウェア要素に分散されたアプリケーションソフトウェアであってもよい。]
[0030] パラメータ推定ユニット30は、任意の望ましい統計的分析を用いて任意の所望のプロセスパラメータまたは装置パラメータを決定するようにプログラムされていても構成されていてもよいが、本明細書では、摩擦推定値、不感帯域推定値、むだ時間推定値およびシャフトワインドアップ推定値を決定するのに特に有用な統計的手法を詳しく説明する。しかしながら、本発明はこれらの手法の何れかを用いることに限定されず、更に、これら特定のパラメータのみの区間固有の推定値の決定に限定されるものではなく、本発明によりこれらのまたはその他の装置パラメータまたはプロセスパラメータを決定するため、その他の統計的手法を用いることができると理解される。]
[0031] スライドステム弁や回転弁のようなプロセス制御装置の摩擦推定値を決定する1つの手法は、推定ユニット30により、或る期間にわたって弁についてアクチュエータの移動距離または位置(例えば、図1の位置センサ37で検出される)およびアクチュエータの圧力(例えば、図1の圧力センサ34または36で検出される)に関するデータを収集することである。通常、収集されたデータは一連のデータ点としてメモリに記憶されるが、各データ点は、測定されたアクチュエータ圧力信号から得られたアクチュエータ圧力成分と測定されたアクチュエータ位置信号または移動信号から得られたアクチュエータ位置成分を有している。勿論、どのデータ点のアクチュエータ圧力成分並びにアクチュエータ位置成分は同じ時間に関するものであるということが理解されるであろう。従って、2つ以上の測定信号を用いる場合、これらの信号を同時にサンプリングし、それにより時間的に相関性のあるデータを生成することが好ましい。] 図1
[0032] 図2は、代表的なスライドステム弁のアクチュエータ位置に対するアクチュエータ圧力のプロット100を示している。特に、プロット100の各点は、同時に得られたアクチュエータ圧力とアクチュエータ位置の測定結果に対応している。プロット100は、アクチュエータが摩擦域を通過する単一の動作サイクルに対応している。当業者は、弁の可動部材が方向を反転する際に、該可動弁部材が殆どまたは全く移動することなく、加えられた圧力が相当量増加または減少するような摩擦域を通過して作動することを理解するであろう。弁内部の摩擦により生じるこの摩擦域は、より多くの垂直な線110により図2に概略示されている。摩擦域を離れると、可動弁部材は、加えられた圧力が比較的少量変化することで相当量移動する。この動作は、より多くの水平な線114により図2に概略示されている。勿論、アクチュエータ圧力とアクチュエータ位置の関係を表現する他の方法も存在する。例えば、アクチュエータ圧力とアクチュエータ位置を時間に対して別々にプロットすることもできる。そのようにして作成された2つのプロットを同じ時間線に沿って揃えることで、アクチュエータを移動させるのに必要な圧力の大きさを検出するため、プロットを同時に分析することができる。従って、当業者は、ここで論じられるプロット例は単に例示的なものとして示されているということを理解するであろう。] 図2
[0033] 当業者は、一般的に単一の動作サイクルではスライドステム弁が如何に良く動作するかを十分に示すことはできないということもさらに理解するであろう。特に、弁の摩擦域の位置は部材の動作範囲に関して可動弁部材の位置に依存する。図3を参照すると、プロット120は複数のサイクル間の動作範囲の80%にわたる可動弁部材の動作を表している。図2と同様、プロット120は複数の垂直線を含み、その各々が特定の動作サイクルの摩擦域に対応している。同じく図2と同様、プロット120のより多くの水平な線は、弁棒が比較的小さな圧力変化によって動く移動領域に対応している。] 図2 図3
[0034] 上述のように、プロセス変数を推定する公知の方法では、この弁の摺動弁棒は異なる区間で同じ摩擦力を受けないということを示すことはできない。例えば、図3に示された0%〜80%の移動範囲全体について平均的摩擦を推定することで、0〜10%の移動範囲での摩擦と10%〜20%の範囲での摩擦との差が効果的に取り除かれる。換言すると、既知の手段により図3に示されるデータに基づいて平均摩擦値を推定することによっては、単一の値を生成することしかできない。この単一の値では、1つ以上の局所的問題の存在を反映することはできず、ましてこれらの問題が取り得る移動範囲内のどこにあるかを反映することはできない。] 図3
[0035] 開示された実施例の1つにおいては、これらの欠点は移動範囲を論理的に幾つかの領域に分割することにより克服されるが、ここで各領域は特定のサイズを有している。1領域のサイズは、領域に属するデータ点の数、領域に関連付けられた移動距離百分率、領域に関連付けられた絶対測定(例えば回転角度)、特定の領域においてプロセス測定値が収集された時間の長さ、並びに移動範囲を分割する当該技術において公知の他の方法であってよいということも更に理解されるであろう。図3に示すように、プロット例120は領域121〜128を含んでいる。特にこの例においては、0%〜80%の移動範囲は8個の重なり合っていない等サイズの区間に分割されている。しかしながら、可能な実施形態の幾つかにおいては、サイズが異なる領域が含まれることもあり得る。例えば、いくつかの用途においては、或る移動範囲はより高い障害の確率と関連付けられる可能性があることが考えられる。例えば、オペレータまたは製造業者は、理論的または経験上のデータの何れかに基づいて、或る摺動弁棒は長期に使用すると40〜50%の移動範囲でより破損しやすいことを見出すかも知れない。そのときオペレータは、40〜50%の移動範囲は他の全ての範囲よりも多くの区間を有しているというように区間を定義することを決定してもよい。それ故、オペレータは、30〜40%の移動範囲に対して1領域のみを定義し、一方40〜50%の移動範囲を5つの別々の領域に区画してもよい。更に、オペレータは、例えば或る推定結果の信頼性を改善するため、少なくとも部分的に重なり合った区間を定義してもよい。以下に議論する例は重なり合っていない等サイズの区間に基づく実施形態について述べるものであるが、或る用途においては、移動範囲は重なり合った区間、サイズが変化する区間、またはその両者を含むかも知れないということが考えられる。] 図3
[0036] ところで、代表的な回転弁の移動範囲は、固定または可変の度数に基づいて複数の領域に分割してもよい。図4は、代表的な回転弁のアクチュエータ位置に対するアクチュエータ圧力のプロット150を示している。スライドステム弁と同様に、回転弁の可動部材は、方向を反転する際に、該可動弁部材が殆どまたは全く移動することなく、加えられた圧力が相当量増加または減少するような摩擦域を通過する。スライドステム弁の場合と同様に、アクチュエータの径方向位置に対するアクチュエータ圧力のプロットは、幾つかの実質的に垂直な線を含んでいる。これらの線は、アクチュエータに加えられる圧力の変化に応じてアクチュエータの動きが殆どまたは全く起きない摩擦域に対応している。平均的摩擦を推定するため、弁の摩擦の測定に利用可能な方法に従って、取り得る移動範囲全体に関連付けられたデータ点が処理される。しかし、図4に領域152として示すように、回転弁は10度と12度の間の範囲で摩擦を受けるかも知れないが、この摩擦は、例えば14度と16度の間の範囲で受ける摩擦とは著しく異なっている。更に、領域152〜158の各領域は、プロット150に関する平均摩擦値から大きく異なる摩擦値を有していてもよい。例えば、領域156での摩擦は高すぎる場合がある一方、領域152での摩擦は低すぎる場合がある。ところで、単一の分割されていない一連のデータとして見たプロット150から得られた回転弁の平均摩擦値は、弁の健全な状態を示す値に等しいか、許容し得る程度に近くてもよい。] 図4
[0037] 局所的問題を適切に探知し、いろいろな移動区間間の差を演算し、弁動作のその他の指示値を得るため、パラメータ推定ユニット30は、区間121〜128または152〜158の幾つかまたは全てについて、摩擦、不感帯域、シャフトワインドアップ等のパラメータを別々に演算してもよい。幾つかの実施形態においては、資格を持つユーザは、パラメータ推定ユニット30を取り得る移動範囲と関連付けられた区間の数を持つように構成してもよい。任意選択で、ユーザは、各区間のサイズと境界を指定してもよい。幾つかの実施形態においては、ユーザは、演算が1つ以上の区間に限定されるべきか否かを指定してもよい。しかしながら、殆どのオペレータは、問題が生じた移動区間または移動サブレンジを誤って見落とす確率を低減するため、一般的に利用可能なデータセット全体を処理することを好むと考えられる。]
[0038] パラメータ推定ユニット30は、摩擦、不感帯域、むだ時間、シャフトワインドアップ等の区間固有の各値を検出するため、区間121〜128または152〜158の各々に対応するデータを繰り返し処理してもよい。改めてプロット100および120を構成するデータ点を見ると、これらプロットのより多くの垂直な区域は、アクチュエータ圧力の実質的変化に応じてアクチュエータの動きが殆どまたは全く起きない領域を表している。従って、与えられた移動区間について、摩擦域内のデータ点は廃棄し、それにより、概略摩擦域の境界を画するまたは摩擦域外にあるものに対応するデータが残るようにしている。簡略化したデータセットを選択する手法は、値がスライドステム弁であるか回転弁であるかによって少し異なる。スライドステム弁においては、摺動弁棒は通常は摩擦域内で静止している。その結果、この種の弁においては、アクチュエータの動きが実際に発生する点のみを含むことによって、簡略化したデータセットを形成し得る。或る点は、例えば、その点でのアクチュエータ位置と過去の点でのアクチュエータ位置の差が予め定めた閾値を越える場合に、この集合に含めてもよい。例えば、連続する点のアクチュエータ位置間の差が全移動距離の0.01%を越えるときは、第2の点を簡略化したデータセット内の点として選択してもよい(即ち、この場合アクチュエータが実際に動いている)。勿論、簡略化したデータセットを生成するために、代わりに何れか他の所望の閾値を適用したり、アクチュエータの動きを判定する何れか他の方法を用いたりしてもよい。]
[0039] 回転弁においては、摩擦域の外枠や境界を画すデータは、1つ以上の条件を評価することにより決定すればよい。初めに、アクチュエータ位置に対するアクチュエータ圧力の傾きを各点で算出し、閾値と比較すればよい。或る点における傾きは、与えられた点における点と点の間の傾き(即ち、問題の点と前のまたは次の点との間に引いた線の傾き)を決定することにより、または問題の点と2つ以上の周囲の点から最良適合線(例えば、最小二乗誤差分析法を用いて生成した線)の傾きを採ることにより、或いは何れか他の所望の様態によって算出すればよい。或る点において算出した傾きが閾値未満である場合、その点は摩擦域の外にあるため、それを簡略化したデータセットに対して選択してもよい。一方、傾きが傾きの閾値より大きい場合、データ点は摩擦域内にあり、廃棄してもよい。所望に応じ、傾きの閾値は収集された全てのデータにわたり(例えばオペレータにより)予め決定または定義されていてもよく、最良適合線(例えば最小二乗誤差法による線)の傾きの関数として定義してもよい。]
[0040] 次に、連続する点間の圧力変化を算出してもよく、圧力変化が予め定めた例えば0.05%の閾値より大きい場合は、その点は摩擦域内にあると見倣される。或る点が摩擦域内にあるか否かを判定するに当たり、これらの条件の一方または両方を用いてもよい。従って、例えば或る点の傾きの閾値または圧力の閾値を越えた場合、その点は摩擦域内にあると見倣して廃棄してもよい。その代わりに、傾きと圧力の閾値の両方を越えた場合のみ、或る点が摩擦域内にあると見倣してもよい。更に、所望に応じ、スライドステム弁についてはこれらの手法の一方または両方を用いてもよい。]
[0041] 上述のように簡略化したデータセットを生成した後、通常、残余のデータ点は弁装置の摩擦域の境界を画す2つのクラスタの一方に属す。簡略化したデータセットを形成後は、データの傾向除去、即ち、例えばアクチュエータのバネ力(アクチュエータの動きの範囲にわたり変動する)に起因する線形トレンドを除去することが有益である。データの傾向除去のためにデータの最良適合線を推定する多くの手法がある。例えば、1つの手法は、簡略化したデータセット内の全データについて最良適合線を算出することである。他の場合には、摩擦域のそれぞれの側のデータに別々の線をフィットさせる、即ち、各クラスタ毎に分離線適合ルーチンを用いることが好ましい。当業者は、データを分析するために、データセットの簡略化、データの傾向除去、最良適合線の算出、並びにその他の統計手法の様々な代替的な方法を用いてよいことをも理解するであろう。]
[0042] 1つ以上の区間に関連付けられたデータが簡略化および/または傾向除去された後、パラメータ推定ユニット30は、プロセスパラメータの区間固有の値を推定してもよい。例えば、推定ユニット30は、米国特許第6,466,893号に開示された方法または任意の他の方法を完全な、または簡略化したデータセットに適用して、20%〜30%の移動範囲でのスライドステム弁の摩擦を取得してもよい。推定ユニット30は、それから1つまたは区間固有の推定値を計算した結果をディスプレイ38またはその他の出力装置に送信してもよい。図5は、バー201〜208を含むヒストグラム200を示す。バー201〜208の各々は、図3に示したプロット150の区間151〜158の1つに対応している。特に、各バーの高さは移動区間の1つに関連付けられた摩擦の値を表している。このヒストグラム200は区間151〜158の区間固有の摩擦を明瞭で分かり易い形で視覚的に伝えているということが理解されるであろう。ヒストグラム200にざっと目を通すことで、オペレータは、弁18が区間204でべたついているのではないか、または弁18のパッキンが領域201〜203および208で劣化しているのではないかということを瞬時に疑うかも知れない。オペレータはその後、弁を物理的に点検したり、不良の可能性がある区間の各々を既定値と比較したり、或いは疑いを確認するか打ち消すための適切な行動をとることができる。] 図3 図5
[0043] また、オペレータが特に高いか低いヒストグラムのバーに気付くことにより彼または彼女が得る予備的な結果を視覚的に確認できるように、表示ユニット38はプロット120をヒストグラム200と一緒に表示してもよい。上述の例について続けて述べると、オペレータまたは技術者は、ヒストグラムのバー204がグラフのより多くの水平な区域を構成するデータ点のクラスタが他の区間より離間しているプロット150の部分に実際に対応していることを確認したいと望むかも知れない。勿論、プロット150は、摩擦域に関連付けられたより多くの点を除外する前の、またデータセットを傾向除去する前のデータセット全体を示している。しかし、プロット150の全体形状から明らかなように、オペレータはそれでも垂直次元に伸びているように見える点のクラスタは高い摩擦値を示す傾向がある(圧力に縦座標軸が選択され、移動距離に横座標が選択されるとき)ということを認識するかも知れない。]
[0044] 別の実施形態においては、推定ユニット30は、摩擦、不感帯域、むだ時間またはシャフトワインドアップの幾つかまたは全てに関連付けられた閾値を記憶している。好ましくは、推定ユニット30は、これらのプロセスパラメータの極端なおよび不十分な値を検出するため低い閾値と高い閾値を記憶する。例えば、推定ユニット30は、1100lbfという高い摩擦閾値と300lbfという低い摩擦閾値を記憶していてもよい。動作中、推定ユニット30は、300〜1100lbfの範囲外の高さを有するヒストグラムのバー201〜208を各々特定してもよい。図5に示す本例のヒストグラム200を分析することにより、推定ユニット30はバー201、202、204および207に対応する領域が許容できない摩擦値を有していると判断してもよい。1つ以上のこのような値を検出することに応じて、推定ユニット30はアラームを発生させたり、イーブンログに記入したり、オペレータにメッセージを発したり、または同様の動作を行ってもよい。] 図5
[0045] 幾つかの実施形態においては、推定ユニット30は更に、スライドステム弁の全ての区間121〜128と回転弁の全ての区間152〜158を含む移動範囲に関する全体平均を算出してもよい。いくつかの用途においては、可動部が存在する場合、そのいずれの移動区域が全体平均から例えば或る数の標準偏差分だけ異なるかを確かめることが望ましいかも知れないと考えられる。この目的のため、推定ユニット30は該当する移動範囲の平均摩擦値を取得し、標準偏差を演算するため各区間の摩擦を平均摩擦値と比較し、平均値からも残りの区間からも著しく異なるような区間を確定してよい。この手法は、例えば装置の損傷特性を調べる上で有用かも知れない。]
[0046] 更に別の実施形態においては、表示ユニット38は、最も高いヒストグラムと最も低いヒストグラムをヒストグラム200の他の部分とは異なる色で表してもよい。そうすることにより、表示ユニット38は、オペレータの注意をヒストグラムの関連する(つまり、問題になる可能性がある)区域に向けることができ得る。従って、多数の制御ループ10、弁18、または可動構成部材を有したその他の装置に責任を持つオペレータは、コンソールのモニタにそれほど注意していないときであっても、起こりうる問題に迅速に気付くことができ得る。勿論、推定ユニット30、表示ユニット38並びにそれ以外の構成要素は、予め定めた標準からまたは特定の装置に関連付けられた平均値から著しくずれた値に人の注意を向かせる他の視認または音声手段も備えていてよい。]
[0047] 先に示したように、摩擦の推定に関する上述の方法は、例えばシャフトワインドアップのような他のプロセス変数の演算にも適用してよい。図6は、摩擦域の1サイクル全体にわたる回転弁の動きにおけるアクチュエータ移動距離に対するアクチュエータ圧力の2つのプロットを示している。特に、プロット230は、或る回転弁の約10.2〜10.7度の移動距離に対応するデータ点を含んでいる。一方、プロット250は、同じ弁の約11.2と11.7度の間の移動距離を示している。図6に示すように、シャフトワインドアップは、アクチュエータ圧力が弁部材の連続的な動きを生じさせる最大(または最小)値に達する前に起こる弁部材の動きである。図6をざっと調べて容易に気付くことであるが、プロット230および250は、異なる幾何学形状を呈している。具体的には、プロット250は、シャフトワインドアップが発生する区域のより急峻なスロープを含んでいる。それ故、オペレータは、水平次元により伸びているように見える形状はより大きなワインドアップに対応しているということを認識することができる。勿論、図4に示すように、推定ユニット30は、好ましくは、複数の動作サイクルについてデータを収集するか、別のやり方で取得する。] 図4 図6
[0048] 従って、弁についてアクチュエータ移動距離対アクチュエータ圧力データを収集後、推定ユニット30は何らかの特定の出来事が発生時にシャフトワインドアップを演算して、特定の移動区間に関するシャフトワインドアップをこの区間内のすべてのシャフトワインドアップの発生の平均値または中央値として推定すればよい。何らかの特定の事態におけるシャフトワインドアップを決定するには、推定ユニット30はアクチュエータ移動距離対アクチュエータ圧力曲線の傾きを監視すればよい。シャフトワインドアップは、一般的に、傾きの大きさが著しく増加する(または或る量より大きくなる)ときに始まり、傾きの大きさが著しく減少する(または或る量より小さくなる)ときに終了する。理解できることであるが、その開始点と終了点間のアクチュエータが移動する動き(通常、全移動距離の百分率で表す)が特定の出来事におけるシャフトワインドアップである。]
[0049] 1つ以上の移動区間についてシャフトワインドアップ値を推定後、その結果を表示ユニット38、コンピュータ・ワークステーション42、またはディスプレイを有した他のユニットに、例えばヒストグラム270(図7)のような形でグラフィック表示すればよい。バー272〜278の各々が、或る量の移動距離に対応していてもよい。図7に示す例では、バー276は、バー272、274および278より相当低い。ヒストグラム270を調べることにより、オペレータは、少なくとも回転弁のシャフトワインドアップは各移動区域において同じではないということを瞬時に判断することになろう。そこでオペレータは、バー272が14度と16度の間の移動区域における受容しがたいほどに低いワインドアップを指向しているのか、或いはバー272、274および278が極端に高いワインドアップ値を示しているのかを手動で点検してもよい。] 図7
[0050] 同様のやり方で、該方法をスライドステム弁、回転弁、または予め定めた移動範囲にわたって動く構成部材を有した他の装置のむだ時間および不感帯域推定値に適用してもよい。例えば、推定ユニット30は、不感帯域は殆ど摩擦に起因することを想定して区間の摩擦推定値を装置の開ループゲインで割って、特定の移動区域に関連付けられた不感帯域を算出してもよい。装置の不感帯域の区間固有の推定値もヒストグラム形式で同様に表示し、1つ以上の閾値と自動的に比較し、および/または平均値と標準偏差を決定するため統計的に処理してもよい。更に、推定ユニット30は、既定値からまたは算出された平均値から大きくずれている1つ以上の区間に対してアラームを発してもよい。]
[0051] また、推定ユニット30は、弁18または制御ループ10内で動作する装置のその他の可動構成部材における区間固有のむだ時間推定値を生成してもよい。この目的のため、推定ユニット30は、入力信号(コントローラ12により生成され図1の電流センサ32により測定された信号)とアクチュエータ移動距離または位置信号(図1の位置センサ37により測定された信号)の相互相関分析を行ってもよい。推定ユニット30は、出力および入力信号間の時間シフトを判定するため、移動の与えられた区間移動に対して、このまたは他の種類の統計的相関分析を行ってもよい。] 図1
[0052] 特定の集合の測定値に対して制御ループ10の区間固有のプロセスパラメータを算出するのに加えて、推定ユニット30は、これらのパラメータの1つまたはそれ以上に関するトレンドデータも生成してよい。より具体的には、推定ユニット30は、かなり長期間(日、月、年等)にわたって摩擦、シャフトワインドアップ、不感時間および不感帯域の1つ以上に関する測定を記憶してもよい。考えられる幾つかの実施形態においては、推定ユニット30は、メモリユニット44のような永続的メモリを含むか、そのようなメモリと関連付けられる。区間固有の測定値を取得後、推定ユニット30は、その推定値をタイムスタンプと一緒に永続的メモリに記憶してもよい。その代わりに、推定ユニット30は、算出された区間固有のプロセスパラメータの幾つかまたは全ての「スナップショット」を周期的に生成し記憶してもよい。好ましくは、推定ユニット30は、時間にわたる複数の区間の傾向化ができるように、各移動区間について摩擦とその他のパラメータを記憶する。]
[0053] 推定ユニット30は、その後例えば入力ユニット40を通してオペレータからの要求を受信するのに呼応して1つ以上の区間についてトレンドデータをプロットしてもよい。その代わりに、推定ユニット30は、タイマの時間切れの際に、および予め定めたスケジュールに従って、トレンドデータをプロットしてもよい。特定の区間の平均値データは、例えば、予め定めた期間にわたる劣化の平均速度や或る期間にわたる予期しないほど小さいまたは大きい変化等の弁アクチュエータまたは何れか他の可動部に関する非自明な情報をもたらすことがあるということが理解されるであろう。また、幾つかの区間におけるトレンドデータを、残りの区間よりまたは予め定めた目標速度より速い速度で劣化する1つの区間を特定するために利用してもよい。図8を参照すると、プロット300は、6ヶ月の期間にわたって傾向化したアクチュエータ移動距離の2つの区間での摩擦の測定値を示している。この例では、シンボル302が或るスライドステム弁における30%と40%の間の移動区間に対応する平均測定値を示し、シンボル304が20%〜30%間の移動区間に対応する平均測定値を表している。] 図8
[0054] 本例のプロット300は30%〜40%の移動区間における摩擦が早く減少することを示しているということが理解されるであろう。図8に示すように、この区間における摩擦の最初の測定値は20%〜30%の移動区間における摩擦よりかなり高く見える。しかしながら、この区間の摩擦は1月の約1900lbfから7月の約500lbfに低下しているが、一方、20%〜30%の移動区間に関する摩擦は約1500lbfから約700lbfに低下している。プロット300で示されるトレンドを観察することにより、オペレータまたは技術者は、例えば、可動構成部材の(または可動構成部材と相互に作用する静止構成部材の)摩耗が30%〜40%の移動区間において、より顕著であると結論づけることができる。当業者は、技術者がこのデータを装置のまたは装置に用いられる可動構成部材の将来の設計を改善するために適用してもよいということも理解するであろう。] 図8
[0055] 一方、単一の移動区間について収集しプロットしたトレンドデータは、装置のパラメータの時間にわたるに変化する速度の大まかな測定値のような重要な情報をもたらすここともある。図8に示す摩擦の測定値の例について続けて述べると、推定ユニット30は、図8にシンボル302で示す全測定値の最良適合線(不図示)を計算してもよい。最良適合線の傾きは、30%〜40%の移動区間に関連付けられた摩擦減少の速度の推定値を与えるであろう。勿論、推定ユニット30は、対応するトレンドの変化速度並びにその他の特性を決定する上で、各区間に関連付けられたトレンドデータに他の統計的方法を適用してもよい。] 図8
[0056] 図9は、弁アクチュエータの幾つかの移動区間の各々における摩擦を推定するため推定ユニット30上で実行されるソフトウェアルーチン330のブロック図を示している。当業者は、ソフトウェアルーチン330は、ワークステーション42上で、制御ループ10に通信可能に接続されたコンピュータ上で、或いはメモリドライブ経由、有線または無線式モデム経由、または当該技術において公知の他の任意の通信または記憶手段経由でプロセス測定データを受信可能な独立型コンピュータまたは他のインテリジェントな装置上で実行してもよいということを理解するであろう。上に示したように、ソフトウェアルーチン330は、制御ループ10または弁18のその他の制御および保守機能を担うソフトウェア・パッケージの一部であってもよい。例えば、Emerson Process Managementから入手可能なAMSValveLink(登録商標)ソフトウェア・パッケージは、その構成要素としてソフトウェアルーチン330を含んでいる。ソフトウェアルーチン330は、制御ループ10から送られるデータを実質的にリアルタイムで処理してもよいということ、或いはその代わりに、例えばセンサ32〜37から受信されメモリユニット44に記憶されたデータの事後処理を行ってもよいということも更に理解されるであろう。更に、ソフトウェアルーチン330は、測定データを得るため、動作中に外部記憶装置と相互に作用してもよい。] 図9
[0057] 一般的に、ソフトウェアルーチン330は、アクチュエータ圧力および位置データを配列、または連結リストから受け取ってもよい。考えられる1つの実施形態においては、推定ユニット30またはメモリユニット44は、このデータを相対的または絶対的タイムカウンタで索引付けされた2次元配列に格納してもよい。例えば、この配列は、各々同じ時点に収集されたアクチュエータ圧力とアクチュエータ位置の測定値を含む複数の組を格納することができる。図9に示すように、ソフトウェアルーチン330は、この配列を通して進み、対応する区間固有の摩擦推定値を現在の配列要素に記憶された情報で更新することができる。特に、ソフトウェアルーチン330は、ブロック332で配列カウンタ、kを初期化することができる。次に、ソフトウェアルーチンは、位置データに圧力を格納している配列中の要素数の回数、ブロック334〜348の幾つかまたは全てを反復して実行することになる。] 図9
[0058] ブロック334では、ルーチン330はカウンタkの現在値が配列のサイズを超えたか判定することができる。次にブロック若しくはステップ336において、ルーチン330は、単一または複数の配列から圧力/位置の組を読み取ることになる。図9に示す本例のルーチンでは、アクチュエータ位置データは、移動距離の配列に記憶され、アクチュエータ圧力データは同様に索引付けされた差圧の配列に記憶される。しかしながら、圧力およびアクチュエータデータの両データとも単一の2次元配列に格納することもできる。好ましくは、ステップ336で得られた組はステップ336で得られた前の組に対して一定の間隔後に測定したアクチュエータ位置およびアクチュエータ圧力に対応するものであるが、必ずしもその必要はない。換言すると、推定ユニット30は、好ましくは、位置および圧力データを一定の速さでサンプリングする。] 図9
[0059] ブロック338では、ルーチン330は区間カウンタsを0に初期化する。手順300は、その後、kの現在値で索引付けされた配列要素がどの区間に属しているかを判定するため、区間を通して進む(ブロック340〜344)。手順330の1つの可能な実施形態においては、各区間は同数の圧力/位置の組を含んでいる。その代わりに、ルーチン330は、構成データの一部として区間数および/または各区間の境界を含む区間の定義を永続的または揮発性メモリから受け取ってもよい。更にその代わりに、ルーチン330は、区間の定義を入力パラメータとして受け取ってもよい。ユーザはこれらのパラメータを入力装置40またはワークステーション42経由で入力してもよい。]
[0060] ルーチン330が圧力/位置の組を区間の1つと対応すると、ルーチン330は、区間固有の平均摩擦値を組に含まれるデータで更新することができる(ブロック346)。手順330は、例えば図2〜5を参照して上述した方法を適用することができる。ルーチン330は、その後、ブロック348でkの値を増加させて、次の繰り返し処理のためにブロック334に戻る。カウンタkが配列のサイズを超えるか、区間数が予め定義若しくは決定されたかまたは指定された限界点を越えたときは、ルーチン330は終了する(ブロック350および352)。] 図2 図3 図4 図5
[0061] 推定ユニット30はルーチン330に類似した論理を実行することによって不感帯域、むだ時間およびシャフトワインドアップの区間固有の値を算出してもよいということも理解されるであろう。この目的のため、推定ユニット30は追加ルーチンを含んでいても、または不感帯域、むだ時間およびシャフトワインドアップを推定するための論理をルーチン330の一部として含んでいてもよい。]
[0062] 本発明を具体例を参照しつつ説明したが、それらの具体例は単に例示的なものを意図するものであって発明を限定するものではなく、当業者には、発明の精神および範囲を逸脱することなく開示した実施形態に変更、追加および/または削除を行うことができるということが明らかであろう。]
权利要求:

請求項1
プロセス制御ループに関連付けられたパラメータの区間固有の推定値を決定する方法であって、入力パラメータを示す入力信号を測定して出力パラメータを示す出力信号を測定することによって、前記プロセス制御ループがプロセス制御環境内でオンライン接続されているときの前記プロセス制御ループ内の信号を測定するステップであって、入力パラメータを示す入力信号を測定するステップ、および出力パラメータを示す出力信号を測定するステップを含むステップと、前記測定された信号を、各々のデータ点が入力信号から得られた第1の成分と出力信号から得られた第2の成分を有する一連のデータ点として記憶するステップと、前記記憶された信号データを複数のデータ区間に区画し、前記複数のデータ区間の少なくとも幾つかに対して統計的分析を実施し、前記実施した統計的分析に基づいて区間固有の推定値の集合を生成するステップと、を含む方法。
請求項2
前記記憶された信号データを複数のデータ区間に区画するステップは、重なり合っていない等サイズの区間を定義するステップを含む請求項1に記載の方法。
請求項3
前記区間固有の摩擦推定値の各々を閾値と比較するステップと、特定の区間固有の摩擦推定値が前記閾値を越えたことを検出したことに呼応して問題指示を生成するステップと、を更に含む請求項2に記載の方法。
請求項4
前記区間固有の推定値の集合の平均を計算するステップと、前記区間固有の推定値の集合の各々を前記区間固有の推定値の集合の平均と比較するステップと、前記区間固有の推定値の集合の少なくとも一つが前記区間固有の推定値の集合の平均から或る量より多く異なることを検出したことに呼応して問題指示を生成するステップと、を更に含む請求項2に記載の方法。
請求項5
プロセス制御ループに関連付けられた前記パラメータは、前記アクチュエータの前記移動範囲の一部に関連付けられた摩擦、むだ時間、不感帯域またはシャフトワインドアップのうちのひとつである請求項2に記載の方法。
請求項6
前記プロセス制御ループ内の信号を測定し、前記信号データを記憶し、前記記憶された信号データを区画し、区間固有の推定値の第2の集合を生成するため後の時点で統計的分析を実施するという動作を繰り返すステップと、前記区間固有の推定値の集合を前記区間固有の推定値の第2の集合と比較してトレンドデータを生成するステップと、を更に含む請求項2に記載の方法。
請求項7
トレンドデータを生成するため前記第1の部分集合を前記第2の部分集合と比較するステップは、区間固有のトレンドデータを生成するステップを含む請求項6に記載の方法。
請求項8
プロセス制御ループに関連付けられたパラメータの区間固有の推定値を決定する方法であって、プロセス制御ループから信号に対応する信号データを受信するステップと、前記信号データを記憶するステップと、前記記憶された信号データを複数のデータ区間に区画するステップと、前記複数のデータ区間から選択された前記複数のデータ区間の第1の区間に対して統計的分析を実施するステップと、前記複数のデータ区間の前記第1の区間の前記実施した統計的分析に基づいて第1の区間固有のパラメータ推定値を生成するステップと、を含む方法。
請求項9
前記記憶された信号データを複数のデータ区間に区画するステップは、前記記憶された信号データを複数の実質的に等サイズの重なり合っていない区間に区画するステップを含む請求項8に記載の方法。
請求項10
第2の区間固有のパラメータ推定値を生成するため、前記複数のデータ区間の第2の区間に対して統計的分析を実施するステップを更に含む請求項8に記載の方法。
請求項11
前記第1および第2の区間固有のパラメータ推定値を、表示ユニットを介してユーザに提供するステップを更に含む請求項10に記載の方法。
請求項12
表示ユニットを介してユーザに提供される前記第1および第2の区間固有のパラメータ推定値はヒストグラムを表示するステップを含み、前記ヒストグラム中の各バーは前記区間固有のパラメータの1つに関連付けられている請求項11に記載の方法。
請求項13
プロセス制御ループから信号に対応する信号データを受信するステップは、前記プロセス制御ループがプロセス制御環境内でオンライン接続されているときに前記プロセス制御ループ内の前記信号を測定するステップを含む請求項8に記載の方法。
請求項14
プロセス制御ループから信号に対応する信号データを受信するステップは、アクチュエータ圧力に応じて動き、かつ移動範囲を持つアクチュエータを有する装置のアクチュエータ圧力信号とアクチュエータ位置信号の測定値を受信するステップを含み、前記信号データを記憶するステップは、各々前記アクチュエータ圧力信号から得られたアクチュエータ圧力値と前記アクチュエータ位置信号から得られたアクチュエータ位置値を含む一連の組を記憶するステップを含む請求項8に記載の方法。
請求項15
前記第1の区間固有の推定値は、前記アクチュエータの前記移動範囲の一部に関連づけられた摩擦、むだ時間、不感帯域、またはシャフトワインドアップうちの1つである請求項14に記載の方法。
請求項16
条件付きで問題指示を生成するため前記第1の区間固有の推定値を閾値と比較するステップをさらに含み、前記問題指示は前記第1の区間固有の推定値が前記閾値より相当大きいか相当小さい場合に生成される請求項15に記載の方法。
請求項17
プロセス制御ループから信号に対応する信号データを受信するステップは、第1の時点および第2の時点に作成された前記信号に対応する信号データを受信するステップを含み、前記複数のデータ区間の第1の区間に対して統計的分析を実施するステップは、前記第1の時点に前記第1の区間固有のパラメータ推定値に対応する第1の値を生成するステップと、前記第2の時点に前記第1の区間固有のパラメータ推定値に対応する第2の値を生成するステップと、前記区間固有のパラメータにおける第1のトレンドを判定するため、前記第1および前記第2の値を比較するステップと、を含む請求項8に記載の方法。
請求項18
前記第1および前記第2の時点は前記プロセス制御ループの保守サイクルに従って選ばれる請求項17に記載の方法。
請求項19
前記保守サイクルが30日以下である請求項18に記載の方法。
請求項20
第2の区間固有のパラメータ推定値を生成するため、前記複数のデータ区間の第2の区間に対して統計的分析を実施するステップと、前記第1の時点に前記第2の区間固有のパラメータ推定値に対応する第3の値を生成するステップと、前記第2の時点に前記第2の区間固有のパラメータ推定値に対応する第4の値を生成するステップと、前記第2の固有のパラメータにおける第2のトレンドを判定するため、前記第1および前記第2の値を比較するステップをさらに含む請求項17に記載の方法。
請求項21
プロセッサに関連付けられたメモリに記憶されたデータに基づいて前記プロセッサを制御するために用いるためのコンピュータ読取り可能な媒体に格納されたコンピュータプログラムであって、プロセス制御環境内で動作するプロセス制御ループに付随する信号を示すデータセットをメモリから読取るステップと、前記プロセス制御ループ内で動作する装置の動作範囲の1区間にそれぞれ対応する複数の区域に前記データセットを分割するステップと、前記プロセス制御ループに関連付けられたパラメータの第1の区間固有の推定値を生成するため、前記複数の区域の第1の区域に関連付けられたデータに対して統計的分析を実施するステップと、を実行するプログラム。
請求項22
前記パラメータの第2の区間固有の推定値を生成するため、前記複数の区域の第2の区域に対して統計的分析を実施するステップを更に含む請求項21に記載のコンピュータプログラム。
請求項23
前記パラメータの前記第1の区間固有の推定値と前記パラメータの前記第2の区間固有の推定値を閾値とを比較するステップを更に含む請求項22に記載のコンピュータプログラム。
請求項24
前記パラメータの前記第1の区間固有の推定値と前記パラメータの前記第2の区間固有の推定値とを前記全データセットに関連付けられた前記パラメータの平均値と比較するステップを更に含む請求項22に記載のコンピュータプログラム。
請求項25
前記複数の区域の第1の区域に対して統計的分析を実施する前記ステップは、第1の時点に前記第1の区間固有のパラメータ推定値に対応する第1の値を生成するステップと、第2の時点に前記第1の区間固有のパラメータ推定値に対応する第2の値を生成するステップと、前記区間固有のパラメータにおけるトレンドを判定するため、前記第1および前記第2の値を比較するステップと、を含む請求項21に記載のコンピュータプログラム。
請求項26
前記プロセス制御ループは可動アクチュエータを有する弁を含み、且つ前記パラメータは摩擦、むだ時間、不感帯域またはシャフトワインドアップの1つである請求項21のコンピュータプログラム。
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