专利摘要:
スタチン誘発性ミオパチーに対する個体の感受性を検出する診断法を提供する。 本発明は、スタチン誘発性ミオパチーに対する個体の感受性を判定する方法であって、個体からの生体サンプル中のSLCO1B1遺伝子における1つまたは複数の多型の存在または非存在を検出し、1つまたは複数の多型の存在は、上記個体が、スタチン誘発性ミオパチーに対する変化した感受性を有することを示す、方法に関する。なし
公开号:JP2011512813A
申请号:JP2010548173
申请日:2009-02-27
公开日:2011-04-28
发明作者:ロリー コリンズ;サラ パリッシュ;マーク ラスロップ;エマ リンク
申请人:アイシス イノベーション リミテッド;
IPC主号:C12Q1-68
专利说明:

[0001] 本発明は、スタチン誘発性ミオパチーに対する個体の感受性を検出する診断法に関する。]
背景技術

[0002] スタチンは、酵素、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−コエンザイム−A(HMG−CoA)レダクターゼを阻害することで肝臓によるコレステロールの産生を抑制することによって、LDL(低比重リポタンパク)コレステロールを低下させる薬剤のうち広く使用されているクラスである。スタチン療法は、心臓発作、脳卒中、および血行再建の発生率を、1mmol/LのLDLコレステロール低下につき約5分の1まで低下させることが大規模なランダム化された証拠から分かっている。1スタチンの使用によって得られる利点は、主として、係る症例の個体の絶対リスク、そして、LDLコレステロール低下の絶対的なサイズに関するようである。より集中的なスタチン療法の場合に見られる付加的な利点のため、スタチンの投与量を増やす傾向にある。]
[0003] まれに、スタチンは、クレアチンキナーゼの血中濃度が高まることによって筋肉痛または筋衰弱(すなわち、ミオパチー)を引き起こす可能性があり、少数ケースであるが、これによって、筋破壊が引き起こされ、血液循環にミオグロビンが遊出することがある(すなわち、横紋筋融解症)。これには、腎不全や死の危険性が伴う。2スタチンがミオパチーを引き起こすメカニズムは未知であるが、当該メカニズムは、血中のスタチン濃度に関連しているようである。ミオパチーの発生率は、標準的なスタチン投与量(1日当たり、シンバスタチン20〜40mg等)の場合、患者数にして、年間約10000人中にたったの1人という具合である。3しかし、より多いスタチン投与量(1日当たり、シンバスタチン80mg4)等の場合、リスクは(おそらく、約10倍に)高まる。上記リスクは、互いに作用して血漿中スタチン濃度を増加させる一定の薬剤を併用することによっても高まる。例えば、併用して与えられるゲムフィブロジルは、スタチン抽出曲線(statin elimination curve)(AUC)下の面積をいくつかのスタチンと共に2〜4倍に増やし、ミオパチーリスクを何倍にも上昇させることが分かっている。5、6シクロスポリンおよびイトラコナゾール、並びにCYP3A4エンザイムを阻害する他の薬剤の併用は、血漿へのスタチンの放出(exposure)を増加させることも示されており、ミオパチーと関係がある。7、8これらの明らかな関係によって、特定のスタチン投与量および一定の他の薬剤(特に、ゲムフィブロジル、シクロスポリンおよびイトラコナゾール)に対する警告がスタチン薬剤ラベルに書かれている。2]
[0004] 係る相互作用は、スタチンと併用する薬剤とが共通の代謝経路を共有する場合に生じると考えられている。ゲムフィブロジルのスタチンとの相互作用は、UGTグルクロン酸化エンザイム遺伝子を介してまたはいくつかのCYP遺伝子を介して行われると想定されている。5、7いくつかのスタチン(ロバスタチン、シンバスタチンおよびアトルバスタチンを含む)は主にCYP3A4エンザイムを介して代謝されており、これらのスタチンによって生じる臨床的に重要な薬剤間相互作用の大半は、CYP3A4の強力な阻害剤または基質である薬剤の同時使用に寄与可能であることが結論付けられている。7プラバスタチンはCYP遺伝子を介して代謝されないが、その血漿レベルは、輸送による排泄に関与する遺伝子によって影響を受けることがある。ロスバスタチンの代謝は、CYP系に依存しているようには見えないが、臨床的な重要性を有するいくつかの薬剤相互作用が知られている。例えば、ロスバスタチンがシクロスポリンに組み合わされる場合、ロスバスタチンのAUCは7〜11倍に増え、有機アニオン輸送ポリペプチドCのシクロスポリン阻害によって、ロスバスタチンの肝取り込みが減少され得ることが示唆されている。9]
[0005] スタチンの薬物動態に対する20個を超える遺伝子の影響が調査されている。4、10少なくとも1つの小規模な試験によって、これらの遺伝子(SLCO1B1、CYP3A5、CYP2C9、ABCG2、ABCC2)のうちの5つに関して、血漿スタチンレベルとの関係性が報告されている。SLCO1B1遺伝子は、種々の薬剤の肝取り込みおよび胆汁中排泄に影響を及ぼすことが知られている有機アニオン輸送たんぱく質OATP1B1を符号化する。In vitro試験によって、大半のスタチンおよびスタチン酸はSLCO1B1輸送体の基質であることが示されているが、11肝取り込みに対するその寄与度は、主に受動注入によって取り出されると考えられている親油性スタチン(シンバスタチンおよびロバスタチン等)の場合にはより低いことが示唆されている。12本発明者らによって行われた文献調査によって、(主にプラバスタチンまたはロスバスタチンに関する)スタチン薬物動態に対するSLCO1B1遺伝子の影響に関する14個の別個の報告書が刊行されていることが分かっている。全ての試験が統計的に有意な結果をもたらしているわけではなく、また、これらを合わせた分析が過去に行われているわけでもないが、スタチン薬物動態の典型的な影響は、ゲムフィブロジルまたは強力なCYP3A4阻害子の併用によって引き起こされる数倍の増加よりもかなり小さかった。]
先行技術

[0006] Cholesterol Treatment Trialists' (CTT) Collaborators. Efficacy and safety of cholesterol-lowering treatment: prospective meta-analysis of data from 90,056 participants in 14 randomised trials of statins. Lancet 2005; 366:1267-78.
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発明が解決しようとする課題

[0007] 結果的に、スタチン血漿レベルの係る差異がスタチン関連ミオパチーのリスクに多分に関与しているかどうかは明確ではない。]
[0008] いくつかの小規模な試験によって、一定のスタチンの代謝に関与するCYP3A4、13ユビキノン(コエンザイムQ10)欠損に関与する遺伝子、14および有機アニオン輸送ポリペプチド(OATP)を符号化する遺伝子11等の種々の候補遺伝子のあり得るスタチン関連筋肉副作用に対する直接的な関連性が過去に検討されている。ミオパチー、筋肉痛またはスタチン不耐性の関係が、6個の遺伝子の場合にそれぞれ、「公称」p<0.05で(すなわち、検討された多数の候補遺伝子およびSNPsを考慮に入れる前に)報告されている。しかし、それらの小さいサイズおよび複数の比較を仮定すると、これらの小規模な試験は、スタチン関連ミオパチーとのあらゆる遺伝的な関連性に関して良好かつアプリオリな証拠を提示しなかった。さらに、これらの試験におけるミオパチー率の明白な差異がスタチン投与量および他の薬剤の併用における差異と混同されている可能性がある。3とりわけ、ミオパチーを有する10人の患者および26の対照群に関する或る試験15が、プラバスタチンまたはアトルバスタチンを摂取した患者間でのミオパチーとSLCO1BI*15ハプロタイプ(rs4149056 C対立遺伝子およびrs2306283 G対立遺伝子)との関連性を公称p値<0.01で報告した。この小規模な試験は、様々な遺伝子における152個のSNPs(並びにいくらかのハプロタイプ比較)および3個の別個のスタチン(並びにこれらのスタチンの種々の組合せ)との関係の調査を含んだ。この多数の比較の影響は、公称p値を解釈する際に考慮される必要がある:全ての試験が独立したものであったわけではないため、独立試験の有効数は300〜1000であった。したがって、ボンフェローニ法の適用は、0.01の公称p値を完全に無意味なものにし、各公称p値を少なくとも300倍にすることを含む。]
課題を解決するための手段

[0009] 一態様によれば、本発明は、スタチン誘発性ミオパチーに対する個体の感受性を判定する方法であって、個体からの生体サンプル中のSLCO1B1遺伝子における1つまたは複数の多型の存在または非存在を検出し、1つまたは複数の多型の存在は、個体が、スタチン誘発性ミオパチーに対する変化した感受性を有することを示す、方法を提供する。]
[0010] 別の態様では、本発明は、
スタチンを用いる治療中に個体のミオパチーリスクを低下させる方法であって、
i)個体からの生体サンプル中のSLCO1B1遺伝子における1つまたは複数の多型の存在または非存在を検出し、
ii)ステップi)によって検出された1つまたは複数の多型の存在または非存在を元に、スタチン誘発性ミオパチーに対する感受性によって個体を分類し、
iii)ステップii)によって判定されたスタチン誘発性ミオパチーに対する個体の感受性を元にスタチン治療に好適な投与量を算出する、
方法を提供する。]
[0011] 好ましくは、1つまたは複数の多型は、SNP rs4149056、および/またはrs4149056と密接した関連状態にある多型から選択され、これは、限定しないが、SNPs rs4363657、rs1871395、rs12317268、rs2900478、rs4149100、rs4149081、rs11045879、rs7969341、rs11045885、rs12369881、およびrs12366582を含む。]
[0012] 実施形態によっては、本発明の方法は、限定しないがrs2306283、rs11045819、およびrs34671512を含むSLCO1B1遺伝子における1つまたは複数の付加的な多型の存在または非存在を判定するステップも含んでもよい。]
[0013] 好ましくは、本発明の方法は、SLCO1B1遺伝子における1つまたは複数の多型に関して個体の遺伝子型がホモ接合であるかまたはヘテロ接合であるかを判定するステップを含む。]
[0014] 実施形態によっては、本発明の方法は、スタチン誘発性ミオパチーのリスクの増加に関係付けられる1つまたは複数の多型の「ハイリスク」対立遺伝子の存在または非存在を判定するステップを含む。]
[0015] 実施形態によっては、本発明の方法は、スタチン誘発性ミオパチーのリスクの低下に関係付けられる1つまたは複数の多型の「ローリスク」対立遺伝子の存在または非存在を判定するステップを含む。]
[0016] 好ましくは、本発明の方法は、個体の遺伝子がrs4149056においてシトシン(C)またはチミン(T)に関してホモ接合であるかまたはヘテロ接合であるかを判定するステップを含む。]
[0017] 他の実施形態では、本発明の方法は、代替的にまたは付加的に、rs1871395、rs12317268、rs7969341、rs11045885またはrs12366582においてグアニン(G)またはアデニン(A)に関して;rs4149081またはrs12369881においてAまたはGに関して;rs4363657またはrs11045879においてCまたはTに関して;rs2900478においてAまたはTに関して;または、rs4149100において配列からの塩基の欠失もしくはAに関して、個体の遺伝子型がホモ接合であるかまたはヘテロ接合であるかを判定するステップを含んでもよい。]
[0018] 実施形態によっては、本発明の方法は、rs2306283においてGまたはAに関して、rs11045819においてAまたはCに関して、またはrs34671512においてCまたはAに関して、個体の遺伝子型がホモ接合であるかまたはヘテロ接合であるかを判定するステップを含んでもよい。]
[0019] 好ましくは、検出ステップは、1つまたは複数の多型を含むSLCO1B1遺伝子を符号化する核酸配列の少なくとも一部を増幅し、当該増幅したDNAによって符号化される多型(複数可)の少なくとも1つの対立遺伝子に存在するヌクレオチドを同定するステップを含む。]
[0020] 好ましくは、検出ステップは、SNP rs4149056を含むSLCO1B1遺伝子のエクソン6を増幅し、より好ましくは、SLCO1B1遺伝子の位置521にヌクレオチドを含む核酸配列を増幅し、当該位置に存在するヌクレオチドを同定するステップを含む。]
[0021] 他の実施形態では、検出ステップは、代替的にまたは付加的に、SNPs rs1871395またはrs12317268を含むSLCO1B1遺伝子のイントロン8の少なくとも一部;SNPs rs4363657、rs2900478またはrs4149100を含むSLCO1B1遺伝子のイントロン11の少なくとも一部;または、SNPs rs4149081、rs11045879、rs7969341、rs11045885、rs12369881、またはrs12366582を含むSLCO1B1遺伝子のイントロン14の少なくとも一部を増幅し、当該増幅したDNAによって符号化される1つまたは複数の多型の少なくとも1つの対立遺伝子に存在するヌクレオチドを同定するステップを含んでもよい。]
[0022] 実施形態によっては、本発明の方法は、SNPs rs2306283、またはrs11045819を含むSLCO1B1遺伝子のエクソン5の少なくとも一部;またはSNP rs34671512を含むSLCO1B1遺伝子のエクソン15の少なくとも一部を増幅し、当該増幅したDNAによって符号化される1つまたは複数の多型の少なくとも1つの対立遺伝子に存在するヌクレオチドを同定するステップも含んでもよい。]
[0023] 好ましくは、本発明の方法は、1つまたは複数の多型の少なくとも1つの対立遺伝子に存在するヌクレオチドを増幅および/または同定するようになっている好適なプライマーを用いるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の使用を含む。]
[0024] 実施形態によっては、上記増幅および同定は、1つまたは複数の対立遺伝子特異的増幅プライマーを用いる単一ステップで行われてもよい。]
[0025] 本発明の方法の他の実施形態では、1つまたは複数の対立遺伝子特異的プローブは、検査核酸または上記増幅したDNAによって符号化される1つまたは複数の多型の少なくとも1つの対立遺伝子に存在するヌクレオチドを同定するのに用いられてもよい。]
[0026] さらなる態様では、本発明は、
スタチンでの治療が必要とされる個体に好適な投与量を算出する方法であって、
i)個体からの生体サンプル中のSLCO1B1遺伝子における1つまたは複数の多型に関して個体の遺伝子型がヘテロ接合であるかまたはホモ接合であるかを判定し、
ii)1つまたは複数の多型の遺伝子型を元にスタチン治療に好適な投与量を算出し、
スタチンの標準投与量はヘテロ接合またはホモ接合のハイリスク遺伝子型を有する個体に好適であり、より多い投与量がホモ接合のローリスク遺伝子型を有する個体には好適である、
方法を提供する。]
[0027] さらなる態様では、本発明は、
スタチンでの治療が必要とされる個体を治療する方法であって、
i)個体からの生体サンプル中のSLCO1B1遺伝子における1つまたは複数の多型に関して個体の遺伝子型がヘテロ接合であるかまたはホモ接合であるかを判定し、
ii)ステップi)において判定された1つまたは複数の多型における遺伝子型によって個体を分類し、
iii)或る投与量のスタチンを投与し、
スタチンの標準投与量はヘテロ接合またはホモ接合のハイリスク遺伝子型を有する個体に好適であり、より多い投与量がホモ接合のローリスク遺伝子型を有する個体には好適である、
方法を提供する。]
[0028] 好ましくは、本発明の方法は、好適なスタチンおよび特定の個体に対する当該スタチンの好適な投与量(すなわち、スタチンレジメン)を算出するステップを含む。好ましくは、本発明の方法は、SNP rs4149056において個体の遺伝子型を判定するステップを含む。この場合、ハイリスク遺伝子型がCC遺伝子型またはTC遺伝子型として確定され、ローリスク遺伝子型がTT遺伝子型として確定される。]
[0029] 他の実施形態では、本発明の方法は、代替的にまたは付加的に、SNPs rs1871395、rs12317268、rs7969341、rs11045885またはrs12366582において個体の遺伝子型を判定するステップを含んでもよい。この場合、ハイリスク遺伝子型がGG遺伝子型またはGA遺伝子型として確定され、ローリスク遺伝子型がAA遺伝子型として確定される。]
[0030] 他の実施形態では、本発明の方法は、代替的にまたは付加的に、SNPs rs4149081またはrs12369881において個体の遺伝子型を判定するステップを含んでもよい。この場合、ハイリスク遺伝子型がAA遺伝子型またはAG遺伝子型として確定され、ローリスク遺伝子型がGG遺伝子型として確定される。]
[0031] 他の実施形態では、本発明の方法は、代替的にまたは付加的に、SNPs rs4363657またはrs11045879において個体の遺伝子型を判定するステップを含んでもよい。この場合、ハイリスク遺伝子型がCC遺伝子型またはCT遺伝子型として確定され、ローリスク遺伝子型がTT遺伝子型として確定される。]
[0032] 他の実施形態では、本発明の方法は、代替的にまたは付加的に、SNP rs2900478において個体の遺伝子型を判定するステップを含んでもよい。この場合、ハイリスク遺伝子型がAA遺伝子型またはAT遺伝子型として確定され、ローリスク遺伝子型がTT遺伝子型として確定される。]
[0033] 他の実施形態では、本発明の方法は、代替的にまたは付加的に、SNP rs4149100において個体の遺伝子型を判定するステップを含んでもよい。この場合、ハイリスク遺伝子型が欠失のホモ接合または欠失のヘテロ接合である遺伝子型として確定され、ローリスク遺伝子型がAA遺伝子型として確定される。]
[0034] さらなる態様では、本発明は、
スタチンでの治療が必要とされる個体を治療する方法であって、
i)個体からの生体サンプル中のSLCO1B1遺伝子において個体の遺伝子型がSNP rs4149056においてシトシン(C)またはチミン(T)に関してヘテロ接合であるかまたはホモ接合であるかを判定し、
ii)ステップi)において判定されたrs4149056における遺伝子型によって個体を分類し、
iii)好適な投与量のスタチンを投与し、
スタチンの標準投与量はCC遺伝子型またはTC遺伝子型を有する個体に好適であり、より多い投与量がTT遺伝子型を有する個体には好適である、
方法を提供する。]
[0035] 本発明の方法は、さらに、ミオパチーのリスクが高い個体に対して好適なスタチンレジメン(すなわち、薬剤および投与量)を算出するか、または或る投与量のスタチンLDLコレステロール低下療法と組み合わせて用いられる。]
[0036] さらなる態様は、スタチンでの治療が必要とされる個体を治療するか、またはスタチンでの治療が必要とされる個体に対して好適なレジメン(すなわち、薬剤および投与量)を算出する類似の方法であって、個体からの生体サンプル中のSLCO1B1遺伝子における1つまたは複数の多型の存在または非存在を検出するステップを含む、方法を提供する。この場合、1つまたは複数の多型は、rs1871395、rs12317268、rs2900478、rs4149100、rs4149081、rs11045879、rs7969341、rs11045885、rs12369881、またはrs12366582を非限定的に含む、SNP rs4149056および/またはSNP rs4363657と密接した関連状態にあるSNPとすることができる]
[0037] 一実施形態では、スタチンは、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ピタバスタチンおよびロスバスタチンを含むリストから選択される。]
[0038] 好適な実施形態では、スタチンは、シンバスタチンであり、標準投与量は、1日当たり20または40mgであり、より多い投与量が1日当たり80mgである。]
[0039] 好適な実施形態では、本発明の方法は、スタチンでの治療が必要とされる個体に対して好適な投与量またはスタチンレジメンを算出するのに用いることができる。この場合、個体のミオパチーリスクは、例えば、スタチンクリアランスを低下させるアミオダロン、シクロスポリンまたはゲムフィブロジル等の薬剤の併用によって、または遺伝的変異または遺伝的疾患によるスタチンに対する肝取り込み低下もしくは腎クリアランス低下によって上昇する。]
[0040] さらなる態様では、本発明は、スタチン誘発性ミオパチーに対する個体の感受性に対してスクリーニングを行うin−vitro診断キットであって、個体からの生体サンプル中のSLCO1B1遺伝子における1つまたは複数の多型の存在または非存在を検出する1つまたは複数の試薬を具備する、キットを提供する。]
[0041] 好ましくは、1つまたは複数の試薬は、1つまたは複数の対立遺伝子特異的増幅プライマーまたは対立遺伝子特異的プローブを含む。]
[0042] 好ましくは、1つまたは複数の試薬は、個体の遺伝子型が上述した1つまたは複数の多型に関してヘテロ接合であるかまたはホモ接合であるかを判定することが可能である対立遺伝子特異的増幅プライマーおよび/または対立遺伝子特異的プローブを含む。]
[0043] 好ましくは、キットは、SLCO1B1遺伝子における1つまたは複数の多型の対立遺伝子の増幅および/または検出用の指示書を具備する。]
[0044] 好ましくは、キットは、個体の遺伝子型が1つまたは複数の多型に関してヘテロ接合であるかまたはホモ接合であるかを元にスタチン治療に好適な投与量を確定する指示書を具備し、スタチンの標準投与量はヘテロ接合またはホモ接合のハイリスク遺伝子型を有する個体に好適であり、より多い投与量がホモ接合のローリスク遺伝子型を有する個体には好適である。]
図面の簡単な説明

[0045] 85件のコーカソイド人種のミオパチー症例および1日当たり80mgのシンバスタチンを割り当てられた90個のコーカソイド人種対照群の初期ゲノムワイド関連試験において別々に測定された各SNPに関するp値を示す。解析は、Sentrix HumanHap300-Duo BeadChip(Illumina)上の318237個のSNPsのうちの316184個(99.4%)を含む。横軸の上の結果、個体のSNPをp値<5×10−7で(すなわち、関連性に関する強力な証拠)有する。矢印は、4×10−9のp値でSNP rs4363657を示す(測定されたSNPsの数の修正後の非常に重要なP=0.001)。
ゲノムワイド関連試験において各々測定されたSNP対ランク付けされた期待値(分位点分位点プロット)に関するカイ二乗値を示す。実線および破線は、任意の遺伝子座における無関連の帰無仮説下で期待分布および95%の信頼区間(CI)を示す。矢印は、染色体12上のSLCO1B1遺伝子のイントロン11内に位置するSNP rs4363657を示す。
被験者の異なるカテゴリー内において、SLCO1B1遺伝子におけるrs4149056 SNPと関連付けられるミオパチーに関するオッズ比を示す。黒塗りの四角は、各区分(subdivision)におけるオッズ比(領域は各区分における統計的な情報の量に比例する)を示し、横軸は95%のCIを示す(CI範囲外まで延びる場合は先に矢印が付けてある)。全オッズ比およびその95%のCIが白抜きの菱形で表されている。
1日当たり80mgのシンバスタチンを割り当てられた被験者のSLCO1B1のrs4149056遺伝子型による推定累積ミオパチーリスクを示す。]
[0046] [定義]
本明細書で用いる用語「マーカ」は、染色体の同定可能な物理的位置を有するDNA断片を指す。マーカは、遺伝子または、オープンリーディングフレーム、イントロンの一部、または遺伝子間ゲノムDNA断片等の他の同定可能な核酸配列とすることができる。好ましくは、マーカは、多形性部位、より好ましくは、一塩基多型である。]
[0047] 「多形性部位」は、多型が生じる核酸配列の位置を指す。多形性部位は、1つの塩基対と同じくらい小さくてもよい。]
[0048] 用語「多型」は、遺伝的変異、または、個体群における単一遺伝子座における2つ以上の遺伝的に決定された選択的配列の発生を指す。多形性部位に関する配列の各バージョンは、多形性部位の「対立遺伝子」と称される。好ましい多型は、2つの対立遺伝子を有し、選択された個体群の1%より高い、より好ましくは、5%または10%より高い頻度でマイナーな対立遺伝子が発生する。選択された個体群において生じる頻度が最も高い対立形質は、「野生型」形質と称される場合がある。選択された個体群において生じる頻度がより低い対立形質は、「変異」形質と称される場合がある。2倍体生物は、対立形質に関してホモ接合またはヘテロ接合であり得る。2対立遺伝子多型は2つの形質を有する。3対立遺伝子多型は3つの形質を有する。多型の例は、制限断片長多型(RFLPs)、VNTR配列(VNTRs)、一塩基変異多型(SNPs)、ジヌクレオチド反復、トリヌクレオチド反復、テトラヌクレオチド反復、単純配列反復、およびAlu等の挿入因子を含む。]
[0049] 用語「SNP」または「一塩基多型」は、単一ヌクレオチドによって占められる多形性部位において生じる多型である。SNPの部位は通常、高度に保存された配列(例えば、個体群の1/100または1/1000未満のメンバーにおいて変化する配列)の前後にある。本明細書で用いる場合、「SNPs」は、SNPの複数形である。SNPsは、最も高い頻度で、2対立遺伝子である。SNPの最も一般的な対立遺伝子は、「メジャーな」または「野生型」対立遺伝子と呼ばれ、上記SNPの選択的対立遺伝子は、「マイナーな」または「変異型」対立遺伝子と呼ばれる。SNPは通常、多形性部位において1つのヌクレオチドの別のヌクレオチドに対する置換に起因して生じる。転移は、1つのプリンの別のプリンとの、または1つのピリミジンと別のピリミジンとの交代である。トランスバージョンは、プリンのピリミジンとの、またはその逆の交代である。SNPsは、基準対立遺伝子に関するヌクレオチドの欠失またはヌクレオチドの挿入から生じることもできる。]
[0050] SNPsは、世代を通して進化的に安定している傾向があるため、個体群にわたって固有の遺伝的異常を研究するのに用いることができる。SNPsがタンパク質コード領域において生じる場合、遺伝的疾患の進行を招き得るたんぱく質の変異、場合によっては欠陥形状の発現を招く可能性がある。係るSNPsは、遺伝的疾患の効果的な指標としての役割を果たすことができる。一部のSNPsは、非コード領域に生じることがあるが、その場合も、特異的スプライシングもしくは異常スプライシング、または異なったたんぱく質発現レベルを結果としてもたらす可能性がある。したがって、SNPsは、一定の疾病傾向を有する個体を識別し、当該状態の根底にある遺伝的な原因に関して当該疾病を患う個体の遺伝子型を決定し、発症プロセス中に標的たんぱく質の役割に関して明らかにされた見識に基づいて薬剤開発を容易にする診断ツールとして用いることができる。]
[0051] 「SNP配置」または「SNP遺伝子座」は、SNPが生じる多形性部位である。]
[0052] 本明細書で用いる用語「関連(linkage)」は、2つ以上の多形性部位における対立遺伝子の非ランダムな関連性(association)を指す。用語「密接した関連(close linkage)」は、r2>0.8の二乗相関係数を有する連鎖不均衡の尺度を指す。]
[0053] 本明細書で用いる用語「核酸」は、任意の長さの一本鎖または二本鎖デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドポリマーを意味し、非限定的な例として、遺伝子のコード配列および非コード配列、センス配列およびアンチセンス配列、エクソン、イントロン、ゲノムDNA、cDNA、pre−mRNA、mRNA、rRNA、siRNA、miRNA、tRNA、リボザイム、組換えポリヌクレオチド、単離したおよび精製された自然発生DNA配列またはRNA配列、合成RNA配列およびDNA配列、核酸プローブ、プライマー、ならびにこれらの断片。ポリヌクレオチド(複数可)についても同様に理解されたい。]
[0054] 本明細書で提示するポリヌクレオチド配列の「断片」という用語は、関心対象に対して特定のハイブリダイズを行うことができる隣接ヌクレオチドの配列である。例えば、少なくとも10個のヌクレオチドが並ぶ配列である。断片は、ポリヌクレオチドの隣接ヌクレオチドのうち、10個、好ましくは、15個のヌクレオチド、好ましくは、少なくとも20個のヌクレオチド、より好ましくは、少なくとも30個のヌクレオチド、より好ましくは、少なくとも40個のヌクレオチド、より好ましくは、少なくとも50個のヌクレオチド、最も好ましくは、少なくとも60個のヌクレオチドを含んでもよい。ポリヌクレオチド配列のプラグメントは、マイクロアレイを含め、プライマー、プローブとして用いることができるか、またはポリヌクレオチドをベースとした同定方法に用いることができる。]
[0055] 用語「オリゴヌクレオチド(複数可)」は、通常、5〜100個の隣接塩基、多くの場合5〜10、5〜20、10〜20、10〜50、15〜50、15〜100、20〜50または20〜100個の隣接塩基である核酸である。約20個の隣接塩基よりも長いオリゴヌクレオチドは、ポリヌクレオチドと称することができる。多形性部位(多型)は、オリゴヌクレオチド内の任意の位置に生じ得る。]
[0056] 用語「プライマー」は、通常、3’OH基を有するポリヌクレオチドを指す。これは、テンプレートにハイブリダイズされ、標的に対して相補的であるポリヌクレオチドの重合をプライミングするために用いられる。]
[0057] 用語「プローブ」は、ハイブリダイズベースの解析においてプローブに相補的であるヌクレオチド配列を検出するのに用いられるポリヌクレオチドを指す。プローブは、本明細書で定義されるようなポリヌクレオチドの「断片」から成ってもよい。]
[0058] 用語「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」、および文法的にこれと等価のものは、温度および塩濃度の規定の条件下で、標的のポリヌクレオチド分子(サザンブロットまたはノーザンブロット等のDNAまたはRNAブロットに固定された標的のポリヌクレオチド分子等)に対してハイブリダイズする、ポリヌクレオチド分子の能力を指す。ストリンジェントなハイブリダイズ条件下でハイブリダイズする能力は、緩い条件下でのハイブリダイズから始めて、所望の厳しさまでハイブリダイズ条件を上げていくことによって判定することができる。]
[0059] 長さが約100個の塩基よりも長いポリヌクレオチド分子に関して、通常の厳しさのハイブリダイズ条件は、天然二本鎖の融解温度(Tm)より低い25〜30°C(例えば、10°C)でしかない(一般的に、Sambrook et al, Eds, 1987, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2nd Ed. Cold Spring Harbor Press; Ausubel et al, 1987, Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishingを参照)。約100個の塩基よりも長いポリヌクレオチド分子のTmは、式Tm=81 .5+0.41%(G+C−log(Na+)によって計算することができる(Sambrook et. al, Eds, 1987, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2nd Ed. Cold Spring Harbor Press; Bolton and McCarthy, 1962, PNAS 84:1390)。長さが約100個の塩基よりも長いポリヌクレオチド分子に対する通常の厳しさのハイブリダイズ条件は、例えば、以下のハイブリダイズ条件である:6XSSC、0.2%SDSの溶液にて予備洗浄し、65°C、6XSSC、0.2%SDSで一晩ハイブリダイズし、その後、それぞれ1XSSC、0.1%SDS 、65°Cで30分間の洗浄を2回行い、それぞれ0.2XSSC、0.1%SDS、65°Cで30分間の洗浄を2回行う。]
[0060] 一実施形態では、ストリンジェントな条件は、50%ホルムアミド、5×SSC、50mMリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%ピロリン酸ナトリウム、5×デンハート液、sonicated salmon sperm DNA(50μg/ml)、0.1%SDS、および10%硫酸デキストラン(42°C)を使用する。ここで、0.2×SSCにおいて42°Cで洗浄を行い、また、55°Cで50%ホルムアミドの洗浄を行い、その後、EDTAを含む0.1×SSC(55°C)から成る洗浄を行う。]
[0061] 100個の塩基より短い長さを有するポリヌクレオチド分子に関して、例示的なストリンジェントなハイブリダイズ条件は、Tmより低い5〜10°Cである。平均すると、100bpより短い長さのポリヌクレオチド分子のTmは、概ね(500/オリゴヌクレオチド長)°C減る。]
[0062] 用語「感受性」は、スタチン誘発性ミオパチー、または「傾向」または「素質」等の任意の同様の語句に関連して用いられる場合は、一定の対立遺伝子が、スタチン療法によって誘発されるミオパチーと関連付けられるかまたは当該ミオパチーの前兆となることが発見されていることを意味する。これらの「ハイリスク」対立遺伝子は、マイナーな(または変異型)対立遺伝子、またはメジャーな(または野生型)対立遺伝子であり得る。したがって、これらの対立遺伝子は、スタチン誘発性ミオパチーの疑いの無い個体に比したスタチン誘発性ミオパチーを発現するリスクがある個体に頻度または保有率において過剰発現する(over-represented)。したがって、用語「スタチン誘発性ミオパチーに対する個体の感受性」は、特定の多型対立遺伝子または遺伝子型(すなわち、対立遺伝子または多型パターン)を有する個体の、特定の多型対立遺伝子または遺伝子型を有しない個体群のメンバーの頻度に比して統計学的に高いかまたは低いスタチン誘発性ミオパチー頻度を指す。]
[0063] 多形性部位において1つまたは2つのハイリスク対立遺伝子を有する個体は、当該特定の多形性部位に関してヘテロ接合またはホモ接合の「ハイリスク」遺伝子型をそれぞれ有すると言える。特定のハイリスク対立遺伝子を有しない個体は、ホモ接合の「ローリスク」遺伝子型を有すると言える。]
[0064] 本明細書で用いる用語「ミオパチー」は、血清クレアチンキナーゼ濃度の増加が伴う、痛み、衰弱または圧痛等の任意の筋肉症状を指し、筋肉痛、筋炎、ミオパチーおよび横紋筋融解症を含む。]
[0065] 本明細書で用いる用語「生体サンプル」は、スクリーニングされる患者由来の生体サンプルを意味する。生体サンプルは、選択されたマーカの発現が検出され得る、従来技術で既知の任意の好適なサンプルとすることができる。身体組織または体液から取得される個々の細胞および細胞集団が含まれる。検査される好適な体液の例は、血漿、血液、リンパ液、および尿である。]
[0066] 本明細書および特許請求の範囲で用いる用語「具備する(comprising:有する、含む)」は、「〜の少なくとも一部を具備する」ことを意味する。すなわち、本明細書および特許請求の範囲における記載(当該用語、各記載において当該用語から始まる特徴を含む)を解釈する際に、必要なものは全て提示しているが、他の特徴も存在し得ると言える。「具備する(comprise)」および「具備された(comprised)」等の関連する用語も同様に解釈されたい。]
実施例

[0067] 本発明は、限定しないがrs4363657を含む、SLCO1B1遺伝子における多型、特に、一塩基多型(SNP)rs4149056、またはrs4149056と密接した関連状態にある1つまたは複数の多型がミオパチーと深い関係がある(未調整p=4×10−9)という識別に基づく。したがって、SLCO1B1遺伝子の変異が起因であり得る、スタチン誘発性ミオパチーに対する個体の感受性は、SLCO1B1遺伝子における多型の影響の組合せによって引き起こされる累積危険度である。]
[0068] したがって、第1の態様では、本発明は、スタチン誘発性ミオパチーに対する個体の感受性を判定する方法であって、個体からの生体サンプル中のSLCO1B1遺伝子における1つまたは複数の多型の存在または非存在を検出し、1つまたは複数の多型の存在は、個体が、スタチン誘発性ミオパチーに対する変化した感受性を有することを示す、方法を提供する。]
[0069] 別の態様では、本発明は、
スタチンを用いる治療中に個体のミオパチーリスクを低下させる方法であって、
i)個体からの生体サンプル中のSLCO1B1遺伝子における1つまたは複数の多型の存在または非存在を検出し、
ii)ステップi)によって検出された1つまたは複数の多型の存在または非存在を元に、スタチン誘発性ミオパチーに対する感受性によって個体を分類し、
iii)ステップii)によって判定されたスタチン誘発性ミオパチーに対する個体の感受性を元にスタチン治療に好適な投与量を算出する、
方法を提供する。]
[0070] 好ましくは、1つまたは複数の多型は、SNP rs4149056および/または、rs4149056と密接した関連状態にある多型から選択される。これは、限定しないが、SNPs rs4363657、rs1871395、rs12317268、rs2900478、rs4149100、rs4149081、rs11045879、rs7969341、rs11045885、rs12369881、およびrs12366582を含む。]
[0071] 実施形態によっては、本発明の方法は、限定しないがrs2306283、rs11045819、およびrs34671512を含む、SLCO1B1遺伝子における1つまたは複数の付加的な多型の存在または非存在を判定するステップも含んでいてもよい。他の多型は、rs11045818およびrs2291075を含む。]
[0072] 好ましくは、本発明の方法は、SLCO1B1遺伝子において1つまたは複数の多型に関して個体の遺伝子型がホモ接合であるかまたはヘテロ接合であるかを判定するステップを含む。]
[0073] 実施形態によっては、本発明の方法は、スタチン誘発性ミオパチーのリスクの増加に関係付けられる1つまたは複数の多型の「ハイリスク」対立遺伝子の存在または非存在を判定するステップを含む。]
[0074] 実施形態によっては、本発明の方法は、スタチン誘発性ミオパチーのリスクの低下に関係付けられる1つまたは複数の多型の「ローリスク」対立遺伝子の存在または非存在を判定するステップを含む。]
[0075] 多形性部位において1つのまたは両方のハイリスク対立遺伝子を有している個体は、特定の多形性部位に関してヘテロ接合またはホモ接合の「ハイリスク」遺伝子型を有しているとして分類することができる。特定のハイリスク対立遺伝子を有しない個体は、ホモ接合の「ローリスク」遺伝子型を有しているとして分類することができる。]
[0076] 好ましくは、本発明の方法は、個体の遺伝子がrs4149056においてシトシン(C)またはチミン(T)に関してホモ接合であるかまたはヘテロ接合であるかを判定するステップを含む。]
[0077] 本発明の方法は、代替的にまたは付加的に、rs1871395、rs12317268、rs7969341、rs11045885またはrs12366582においてグアニン(G)またはアデニン(A)に関して;rs4149081またはrs12369881においてAまたはGに関して;rs4363657またはrs11045879においてCまたはTに関して;rs2900478においてAまたはTに関して;または、rs4149100において欠失もしくはAに関して、個体の遺伝子型がホモ接合であるかまたはヘテロ接合であるかを判定するステップを含んでもよい]
[0078] 実施形態によっては、本発明の方法は、rs2306283においてGまたはAに関して、rs11045819においてAまたはCに関して、またはrs34671512においてCまたはAに関して、個体の遺伝子型がホモ接合であるかまたはヘテロ接合であるかを判定するステップも含んでもよい。]
[0079] 全ての対立遺伝子コーディングは、前方方向(プラス鎖)に関して変異型(マイナーな)または野生型(メジャーな)対立遺伝子として示される。]
[0080] 生体サンプル中の特定の対立遺伝子の存在または非存在を判定する技法は、当該技術分野において既知であり、限定しないが、増幅、核酸シークエンシング、または核酸ハイブリダイズ等の、配列に基づく変異判別技法を含む。対立遺伝子変異の検出のための多くの現行の方法が以下の文献に概説されている:Nollau et al, Clin. Chem. 43:1114-1120, 1997; and in standard textbooks, for example "Laboratory Protocols for Mutation Detection", Ed. by U. Landegren, Oxford University Press, 1996 and "PCR", 2nd Edition by Newton & Graham, BIOS Scientific Publishers Limited, 1997。]
[0081] 好適な実施形態では、本発明は、検出される1つまたは複数の多型を含む核酸を単離するステップを含む。]
[0082] 検査される核酸は、当該技術分野で既知の多様な技法を用いて生体サンプルから単離することができる。例として、係る核酸は、分析前に核酸を増幅することによって単離することができる。増幅技法は、当業者には既知であり、限定しないが、クローニング、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、特異対立遺伝子のポリメラーゼ連鎖反応(PASA)、ポリメラーゼ連鎖反応ライゲーション、ネステッドポリメラーゼ連鎖反応等を含む。]
[0083] ラベル付きポリヌクレオチドプローブを、ニトロセルロースフィルタまたはナイロン膜等の個体基板上に固定されているポリヌクレオチドに対してハイブリダイズする技法は、遺伝子サンプルまたはcDNAサンプルをスクリーニングするのに用いることもできる。同様に、プローブは、ビーズに結合して、標的配列にハイブリダイズしてもよい。単離は、磁気分離等、当該技術分野で既知のプロトコルを用いて行うことができる。例示的なストリンジェントなハイブリダイズおよび洗浄条件は既に述べている。]
[0084] 好ましくは、検出ステップは、1つまたは複数の多型を含むSLCO1B1遺伝子を符号化する核酸配列の少なくとも一部を増幅し、当該増幅したDNAによって符号化される多型(複数可)の少なくとも1つの対立遺伝子に存在するヌクレオチドを同定するステップを含む。好ましくは、検出ステップは、SNP rs4149056を含むSLCO1B1遺伝子のエクソン6を増幅し、より好ましくは、SLCO1B1遺伝子の位置521にヌクレオチドを含む核酸配列を増幅し、当該位置で少なくとも1つの対立遺伝子に存在するヌクレオチドを同定するステップを含む。]
[0085] 他の実施形態では、検出ステップは、代替的にまたは付加的に、SNPs rs1871395またはrs12317268を含むSLCO1B1遺伝子のイントロン8の少なくとも一部;SNPs rs4363657、rs2900478またはrs4149100を含むSLCO1B1遺伝子のイントロン11の少なくとも一部;または、SNPs rs4149081、rs11045879、rs7969341、rs11045885、rs12369881、rs12366582を含むSLCO1B1遺伝子のイントロン14の少なくとも一部を非限定的に含む、SNP rs4149056と密接した関連状態にある1つまたは複数の多型を含むSLCO1B1遺伝子を符号化する核酸配列の少なくとも一部を増幅し、当該増幅したDNAによって符号化される1つまたは複数の多型の少なくとも1つの対立遺伝子に存在するヌクレオチドを同定するステップを含んでもよい。]
[0086] 実施形態によっては、本発明は、SNPs rs2306283、またはrs11045819を含むSLCO1B1遺伝子のエクソン5;または、SNP rs34671512を含むSLCO1B1遺伝子のエクソン15の少なくとも一部を非限定的に含む、ミオパチーに関する独立した情報を提供し得る1つまたは複数の付加的なSNPsを含む個体からの生体サンプル中の核酸配列を増幅するステップも含んでもよい。]
[0087] 基本的な増幅プロトコルの多くのバリエーションが当業者によく知られている。PCRベースの検出手段は、複数のマーカの多重増幅を同時に含んでもよい。例えば、PCRプライマーは、サイズが重複しないPCR産物を生成するように選択することができ、かつ同時に分析することが可能である。代替的には、別様にラベル付けされているため、同じ反応において別々に検出することができるプライマーを有する、異なる遺伝子マーカを増幅することが可能である。複数のマーカの多重分析を可能にする他の技法が、当該技術分野において既知である。]
[0088] 検査核酸または増幅産物における多型の少なくとも1つの対立遺伝子に存在するヌクレオチドは、種々の方法で検出または分析することができる。この種々の方法には、限定はしないが、サイズ分析、反応生成物における特異的な、タグ付きオリゴヌクレオチドプライマーの検出、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO)ハイブリダイズ、対立遺伝子特異的S1エクソヌクレアーゼ検出、シークエンシング、核酸ハイブリダイズ等が含まれる。例えば、係る検出は、対立遺伝子が1つ存在するかまたは複数存在するかを判定するために、多型を符号化する核酸をシークエンシングすることを含んでもよい。代替的には、検出ステップは、遺伝的多型の対立遺伝子の1つに接着するようになっているプローブを有する増幅ステップの産物をハイブリダイズするステップを含んでもよい。]
[0089] 好ましくは、ハイブリダイズプローブは、検出可能にラベル付けされたプローブである。検出を容易にするために、ラジオアイソトープ、酵素ラベル、蛍光ラベル、化学発光ラベル、および生物発光ラベル等の検出可能ラベルを用いてもよい。]
[0090] 便宜上、ハイブリダイズプローブは、樹脂(ポリアクリルアミド等)、炭水化物(セファロース等)、プラスチック(ポリカーボネート等)、およびラテックスビーズを含む固体相基板に固定化してもよい。]
[0091] 本発明の好適な実施形態では、対立遺伝子多型に特異的にハイブリダイズすることができるいくつかのプローブは、固体相基板に付着させてもよい。オリゴヌクレオチドは、リソグラフィを含む種々の手法によって固体基板に接着させることができる。例えば、チップは、少なくとも250000個のオリゴヌクレオチドを保持することができる(GeneChip、Affymetrix)。「DNAプローブ配列」とも称されるオリゴヌクレオチドを有するこれらのチップを用いる変異検出分析について、例えば、Cronin et al. (1996) Human Mutation 7:244 and in Kozal et al. (1996) Nature Medicine 2:753に記載がある。一実施形態では、チップは、遺伝子の少なくとも1つの多型領域の全ての対立遺伝子多型を有する。次いで、固体相基板は、検査核酸に接触させられ、特異的なプローブに対するハイブリダイゼーションが検出される。したがって、1つまたは複数の遺伝子の多数の対立遺伝子多型のアイデンティティを、単純なハイブリダイゼーション試験にて同定することができる。例えば、SNP rs4149056におけるヌクレオチドの多型の対立遺伝子多型、および/またはrs4149056と密接した関連状態にある1つまたは複数の多型またはSLCO1B1遺伝子の他のあり得る多型領域のアイデンティティを、単一のハイブリダイゼーション試験にて決定することができる。]
[0092] SLCO1B1遺子の特異的エクソンおよびイントロンを増幅およびシークエンシングするのに好適なオリゴヌクレオチドを、下記の表4に示しており、配列ID番号として1〜51が付されている。]
[0093] 実施形態によっては、検出は、遺伝的多型の対立遺伝子の1つに接着するようになっている第1のプローブを有する増幅ステップの検査核酸または産物を精査する、好ましくは、遺伝的多型の対立遺伝子の他方に接着するようになっている第2のプローブを有する増幅ステップの検査核酸または産物を精査するステップを含んでもよい。プローブは好ましくは、対立遺伝子の1つに接着するようになっている核酸配列である。プローブの1つが増幅産物に接着する場合、被験体は、対立遺伝子に関してホモ接合である。しかし、両方のプローブが増幅産物に接着する場合、被験体は、各対立遺伝子に関してヘテロ接合である。]
[0094] さらなる態様では、本発明は、
スタチンでの治療が必要とされる個体に好適な投与量を算出する方法であって、
i)個体からの生体サンプル中のSLCO1B1遺伝子における1つまたは複数の多型に関して個体の遺伝子型がヘテロ接合であるかまたはホモ接合であるかを判定し、
ii)1つまたは複数の多型の遺伝子型を元にスタチン治療に好適な投与量を算出し、
スタチンの標準投与量はヘテロ接合またはホモ接合のハイリスク遺伝子型を有する個体に好適であり、より多い投与量がホモ接合のローリスク遺伝子型を有する個体には好適である、
方法を提供する。]
[0095] さらなる態様では、本発明は、
スタチンでの治療が必要とされる個体を治療する方法であって、
i)個体からの生体サンプル中のSLCO1B1遺伝子における1つまたは複数の多型に関して個体の遺伝子型がヘテロ接合であるかまたはホモ接合であるかを判定し、
ii)ステップi)において判定された1つまたは複数の多型における遺伝子型によって個体を分類し、
iii)好適な投与量のスタチンを投与し、
スタチンの標準投与量はハイリスク遺伝子型を有する個体に好適であり、より多い投与量がホモ接合のローリスク遺伝子型を有する個体には好適である、
方法を提供する。]
[0096] 好ましくは、本発明の方法は、好適なスタチンおよび特定の個体に対する当該スタチンの好適な投与量(すなわち、スタチンレジメン)を算出するステップを含む。例えば、平均的なミオパチーリスクの上昇にもかかわらず、1日当たり80mgのシンバスタチン等のより多いスタチン投与量の常用が保健機関によって推奨される。係るスタチンレジメンは、スタチン誘発性ミオパチーと関係があるSNP rs4149056の「ハイリスク」C対立遺伝子を有しない個体に好適であり得る。「ハイリスク」C対立遺伝子を有する個体には、標準投与量のより強力なスタチンをから成るスタチンレジメンが、より多いスタチン投与量に関係付けられるミオパチーリスクの上昇を伴うことなく同レベルのLDLコレステロール低下をもたらし得る。]
[0097] 好適な実施形態では、本発明の方法は、SNP rs4149056において個体の遺伝子型を判定するステップを含む。この場合、ハイリスク遺伝子型がCC遺伝子型またはTC遺伝子型として確定され、ローリスク遺伝子型がTT遺伝子型として確定される。]
[0098] 他の実施形態では、本発明の方法は、代替的にまたは付加的に、SNPs rs1871395、rs12317268、rs7969341、rs11045885またはrs12366582において個体の遺伝子型を判定するステップを含んでもよい。この場合、ハイリスク遺伝子型がGG遺伝子型またはGA遺伝子型として確定され、ローリスク遺伝子型がAA遺伝子型として確定される。]
[0099] 他の実施形態では、本発明の方法は、代替的にまたは付加的に、SNPs rs4149081またはrs12369881において個体の遺伝子型を判定するステップを含んでもよい。この場合、ハイリスク遺伝子型がAA遺伝子型またはAG遺伝子型として確定され、ローリスク遺伝子型がGG遺伝子型として確定される。]
[0100] 他の実施形態では、本発明の方法は、代替的にまたは付加的に、SNPs rs4363657またはrs11045879において個体の遺伝子型を判定するステップを含んでもよい。この場合、ハイリスク遺伝子型がCC遺伝子型またはCT遺伝子型として確定され、ローリスク遺伝子型がTT遺伝子型として確定される。]
[0101] 他の実施形態では、本発明の方法は、代替的にまたは付加的に、SNP rs2900478において個体の遺伝子型を判定するステップを含んでもよい。この場合、ハイリスク遺伝子型がAA遺伝子型またはAT遺伝子型として確定され、ローリスク遺伝子型がTT遺伝子型として確定される。]
[0102] 他の実施形態では、本発明の方法は、代替的にまたは付加的に、SNP rs4149100において個体の遺伝子型を判定するステップを含んでもよい。この場合、ハイリスク遺伝子型が欠失のホモ接合または欠失のヘテロ接合である遺伝子型として確定され、ローリスク遺伝子型がAA遺伝子型として確定される。]
[0103] さらなる態様では、本発明は、
スタチンでの治療が必要とされる個体を治療する方法であって、
i)個体からの生体サンプル中のSLCO1B1遺伝子において個体の遺伝子型がSNP rs4149056においてシトシン(C)またはチミン(T)に関してヘテロ接合であるかまたはホモ接合であるかを判定し、
ii)ステップi)において判定されたrs4149056における遺伝子型によって個体を分類し、
iii)好適な投与量のスタチンを投与し、
スタチンの標準投与量はCC遺伝子型またはTC遺伝子型を有する個体に好適であり、より多い投与量がTT遺伝子型を有する個体には好適である、
方法を提供する。]
[0104] 本発明の方法は、さらに、ミオパチーのリスクが高い個体に対して好適なスタチンレジメン(すなわち、薬剤および投与量)を算出するか、または或る投与量のスタチンを投与するステップを含んでもよい。この場合、スタチンは、1つまたは複数の代替的なLDLコレステロール低下療法と組み合わせて用いられる。]
[0105] 好ましくは、本発明の方法を実施するのにキットを用いる。]
[0106] したがって、さらなる態様において、本発明は、
スタチン誘発性ミオパチーに対する個体の感受性に対してスクリーニングを行うin−vitro診断キットであって、
個体からの生体サンプル中のSLCO1B1遺伝子における1つまたは複数の多型の存在または非存在を検出する1つまたは複数の試薬
を具備する、キットを提供する。]
[0107] 好ましくは、
本発明のキットは、
スタチン誘発性ミオパチーのリスクの増加に関係付けられる1つまたは複数の多型の「ハイリスク」対立遺伝子の存在または非存在および/またはスタチン誘発性ミオパチーのリスクの低下に関係付けられる1つまたは複数の多型の「ローリスク」対立遺伝子の存在または非存在を判定する1つまたは複数の試薬を具備する。]
[0108] 好ましくは、キットは、DNAサンプリング試薬、好ましくはPCR増幅試薬を具備する。好ましくは、PCR増幅試薬はTaqポリメラーゼを含む。]
[0109] 好ましくは、1つまたは複数の試薬は、1つまたは複数の対立遺伝子特異的増幅プライマーまたは対立遺伝子特異的プローブを含む。]
[0110] 好ましくは、1つまたは複数の試薬は、上記で詳述した1つまたは複数の多型に関して、より好ましくは、SNP rs4149056においてシトシン(C)またはチミン(T)に関して、個体の遺伝子型がヘテロ接合であるかまたはホモ接合であるかを判定することが可能である対立遺伝子特異的増幅プライマーまたは対立遺伝子特異的プローブを具備する。]
[0111] キットは、便宜上、コントロール試薬(陽性および/または陰性)および/または核酸を検出する手段も具備するであろう。最も典型的には、キットは、当該技術分野で既知である試験に、より典型的には、当該技術分野で既知であるPCR、ノーザンハイブリダイズまたはサザンELISAアッセイにフォーマット化されるであろう。]
[0112] 好ましくは、キットは、増幅ステップの産物を精査して検査中の個体の遺伝子型を判定する手段を具備する。好ましくは、キットは、遺伝的多型の対立遺伝子の1つに接着するようになっている第1のプローブ、好ましくは、遺伝的多型の対立遺伝子の他方に接着するようになっている第2のプローブを具備する。プローブは、好ましくは、対立遺伝子の1つに接着するようになっている核酸配列である。好ましくは、プローブは、上述したように、検出可能にラベル付けされたプローブである。]
[0113] プローブは、上述したような固体基質に接着させてもよいか、またはプローブを当該基質に接着する試薬と共に詰め込んでもよい。固体基質または固体基板は、ビーズ、プレート、管、ディップスティック、細長片またはバイオチップの形態とすることができる。アドレス可能な配置を有するバイオチップまたはプレート、ならびに別個のマイクロタイタープレートが特に実用的である。]
[0114] キットは、1つまたは複数の容器から成り、試験器具、例えば、瓶、袋(点滴流体バッグ等)、バイアル、シリンジ、および試験管を有することもできる。他の構成要素には、針、希釈液、洗浄試薬および緩衝液が含まれ得る。通常、キットは、リン酸緩衝生理食塩水等の薬学的に許容される緩衝液、リンガー溶液、およびデキストロース溶液を含む容器を少なくとも1つ具備し得る。]
[0115] 好ましくは、キットは、SLCO1B1遺伝子における1つまたは複数の多型の対立遺伝子の増幅および/または検出用の指示書を具備する。]
[0116] 好ましくは、キットは、個体の遺伝子型が1つまたは複数の多型に関してヘテロ接合であるかまたはホモ接合であるかを元にスタチン治療に好適な投与量を確定する指示書を具備し、スタチンの標準投与量はヘテロ接合またはホモ接合のハイリスク遺伝子型を有する個体に好適であり、より多い投与量がホモ接合のローリスク遺伝子型を有する個体には好適である。]
[0117] 好適な実施形態では、本発明の方法は、個体からの生体サンプルを取得する付加的なステップを含む。]
[0118] 本発明の方法は、スタチンでの治療が必要とされる個体に対して好適なスタチンレジメン(すなわち、薬剤および投与量)を算出するのに用いることができる。この場合、個体のミオパチーリスクは、例えば、より多い投与量のスタチンの使用を後押しするLDLコレステロールの大幅な削減に対する必要性によって、スタチンクリアランスを低下させるアミオダロン、シクロスポリンまたはゲムフィブロジル等の一定の薬剤の併用によって、または遺伝的変異または遺伝的疾患によるスタチンに対する肝取り込み低下もしくは腎クリアランス低下によって上昇する。係る状況では、SLCO1B1遺伝子における変異体の遺伝子型を決定することによって、ミオパチーリスクの上昇に起因して特定の投与量の特定のスタチンが不適切であることが示され得る。例えば、ミオパチーリスクの上昇に関係付けられる上記SNPsに関してヘテロ接合またはホモ接合の遺伝子型を有する個体の場合、多量のレジメンの特定のスタチンを用いることが適切ではない可能性がある。そこで、異なるスタチンおよび/またはスタチン投与量の選択、および/または他のLDLコレステロール低下療法の追加、および/またはミオパチーリスクを最小化しつつ心血管系のリスクを低下させる他の介入が行われ得る。]
[0119] したがって、遺伝的変異体のスクリーニングによって、より安全に獲得されるスタチン療法の最大限の利点が引き出される。上記遺伝的変異体の検出は、SLCO1B1によって輸送されるスタチン以外のクラスの薬剤(経口血糖降下薬レパグリニド)の効果にも関連があり得る。]
[0120] 一実施形態では、スタチンは、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ピタバスタチンおよびロスバスタチンを含むリストから選択される。好適な実施形態では、スタチンは、シンバスタチンであり、標準投与量は、1日当たり20または40mgであり、より多い投与量が1日当たり80mgである。]
[0121] 標準投与量は、LDLコレステロールを30〜45%低下させるのに必要とされる1日当たりのスタチン投与量として確定してもよい。他のスタチンの標準投与量は通常、アトルバスタチンが約10〜20mg、フルバスタチンが40〜80mg、ロバスタチンが40mg、プラバスタチンが40mg、ピタバスタチンが2mg、そして、ロスバスタチンが10mgである。より多い投与量は、1日当たりのスタチンの標準投与量の2倍以上として確定してもよい。]
[0122] 一部の民族の患者群において、LDLコレステロールを30〜45%低下させるのに必要とされる1日当たりの各スタチン投与量、すなわち、「標準投与量」は、上述した標準投与量よりも低いことが予期される。「より多い投与量」も、これに対応して低くなる。例えば、アメリカ合衆国で行われた薬物動態研究は、白人(コーカソイド人種)対照群と比べて、アジア圏(フィリピン、中国、日本、韓国、ベトナム、またはアジア系インド出自)の被験者のロスバスタチンの平均放出は約2倍であることを示している。16係る患者の個体群において、特定のスタチンの「標準」および「より多い」投与量は、上述した1日当たりのスタチン投与量の1/2以下であり得る。]
[0123] 上述したように、本発明は、限定しないがrs4363657を含む、SLCO1B1遺伝子における多型、特に、一塩基多型(SNP)rs4149056、またはrs4149056と密接した関連状態にある1つまたは複数の多型がミオパチーと深い関係がある(未調整p=4×10−9)という識別に基づく。rs4363657 SNP変異体での変異は、遺伝子の符号化に影響を及ぼさないが、符号化されるたんぱく質は、SNP rs4363657(r2=0.97)とほぼ完全な関連状態にあるrs4149056(Val174Ala) SNPによって変更される。]
[0124] 下記の実施例においてより詳細に説明するように、非コードrs4363657 SNPのC対立遺伝子の対照群間頻度は0.13であり、ミオパチーのオッズ比は、C対立遺伝子毎に4.3(95%のCI2.5−7.2)であり、CCホモ接合体対TTホモ接合体に関しては17.4(4.8−62.9)であった。対照群間のコードrs4149056 SNP(Val174Ala)のC対立遺伝子頻度は0.13であり、ミオパチーのオッズ比は、C対立遺伝子毎に4.5(95%のCI 2.6−7.7)であり、CCホモ接合体対TTホモ接合体に関しては16.9(4.7−61.1)であった。]
[0125] 1日当たり80mgのシンバスタチンを割り当てられた被験者のrs4149056遺伝子型による推定累積ミオパチーリスクを図4に示す。CCホモ接合体が18%のミオパチー累積危険度を有する一方、CT遺伝子型は約3%の累積危険度と関係付けられ、かつTTホモ接合体は0.6%の累積危険度しか有しなかった。これは、1年目のミオパチー症例の63%および全てのミオパチー症例の60%がSLCO1B1遺伝子におけるrs4149056 C変異体を原因として生じ得ることを示す。] 図4
[0126] 符号化されるたんぱく質を変更する、SLCO1B1遺伝子における他の変異体を研究した。独立した情報を提供することを示しながら、3つが、比較的共通していて、rs4149056と中程度の連鎖不均衡状態にあるのみであることが分かった。rs4149056の影響を考慮した後、rs2306283およびrs34671512の機能性SNPのより共通した変異体が、rs2306283に関して統計的に有意であるスタチン誘発性ミオパチーと、rs34671512に関して統計的に有意である標準に満たないより高いレートと関連付けられた。SLCO1B1のSNPsの一部(限定しないがrs4149056を含む)もスタチン療法のコレステロール低下効果に変更をもたらした。したがって、SLCO1B1遺伝子の変異が起因であり得るスタチン誘発性ミオパチーに対する個体の感受性は、SLCO1B1遺伝子における多型の影響の組合せによって生じる累積危険度である。]
[0127] 上述したように、いくつかの小規模な試験は既に、一定のスタチンの代謝に関与するCYP3A4等の種々の候補遺伝子、ユビキノン欠陥に関与する遺伝子(コエンザイムQ10)、14有機アニオン輸送ポリペプチド(OATP)を符号化する遺伝子11の起こり得るスタチン−関連筋肉副作用との直接的な関連性について検討している。ミオパチー、筋肉痛、またはスタチン不耐性の関連性は、6個の遺伝子の場合それぞれ「公称」p<0.05(すなわち、検討した多数の候補遺伝子およびSNPsを考慮する前)で報告されている。このアプリケーションに基づくSEARCH試験では、発明者らの大規模な試験では、ゲノムスクリーンによって十分にカバーされなかった5番目の遺伝子、CYP2D6(補足表2、表4および表54)に加え、統計的な信頼性を有する推定関連性を認められなかった4つの遺伝子(ABCB1/MDR1、COQ2、HTR3BおよびHTR7)が存在した。]
[0128] 対照的に、SEARCH試験において多量のシンバスタチンを摂取した患者と、良好にマッチングされた同じ個体群からの対照群との比較的多くのスタチン関連ミオパチー症例によって、別個の大規模なHeart Protection試験(HPS)個体群における独立した複製と共に(本明細書に参照によって援用される4に刊行されているように)、単一の遺伝子(SLCO1B1におけるrs4149056)における変異が大半のスタチン誘発性ミオパチー症例の主な原因であることが実証された。]
[0129] 臨床試験に関する既に刊行されている報告書におけるrs4149056遺伝子型とスタチン薬物動態との関連性は、本発明者らによってまとめられており(補足表64)、下記の表1においてスタチンのタイプによって示されている。関連性は、フルバスタチンの例外(これに関しては試験が1つしかない)はあるが、別個に各スタチンに関して統計的に有意である。]
[0130] SLCO1B1のrs4149056 C対立遺伝子が、異なるスタチンの血漿レベルの中程度の増加をもたらすことを示す先行の研究の証拠によって、rs4149056がシンバスタチンでのミオパチーリスクだけではなく、いくつかの他のスタチンでのミオパチーリスクにも影響を及ぼし得るという外挿が裏付けられる。]
[0131] ]
[0132] 次に、本発明を、以下の実施例を参照して非限定的な方法で示す。]
[0133] 実施例
SEARCH(コレステロールおよびホモシステインのさらなる低下に対する有効性に関する試験(Study of the Effectiveness of Additional Reductions in Cholesterol and Homocysteine))の、心筋梗塞の病歴を有する12064人の被験者を対象としたトライアルは、約7年間、1日当たり80mgのシンバスタチンを割り当てることによって、1日当たり20mgのシンバスタチンの標準レジメンを割り当てる場合と比べて心血管リスクが大幅に低下するかを示すことを目的とした。17]
[0134] SEARCHにおいて1日当たり80mgのシンバスタチンを割り当てられた6031人の被験者の約6年の平均的な継続調査期間中、49件の明確なミオパチー症例が生じ、さらなる49人の被験者が初期ミオパチーを有するとして識別された(方法を参照)。上記明確なまたは初期の98件のミオパチー症例の半分以上が継続調査開始から1年以内に起こった。スタチンがミオパチーを引き起こすメカニズムは未知であるが、当該メカニズムは、血中のスタチン濃度に関連しているようである。SEARCHでの暫定的な安全に関する分析は、従来では認識されていなかった、アミオダロンの使用と、1日当たり80mgのシンバスタチンを割り当てられた被験者(10近い、ミオパチーに関する相対リスクを有する)間でのミオパチーとの強固な関連性を明らかにした。結果的に、SEARCHにおいてアミオダロンを摂取した全ての被験者には、(当初の割り当てとは関係なく)1日当たり20mgのシンバスタチンが与えられた。また、今やアミオダロンの併用は、より多いシンバスタチン投与量の禁忌である。多量のスタチンによる療法でのスタチン誘発性ミオパチーと、とりわけスタチンの血中レベルに影響を及ぼす遺伝的変異体との間に同様に強固な関連性が存在すると仮定した。]
[0135] 方法
SEARCHにおける被験者およびサンプル
SEARCHにおいて、18歳〜80歳までの12064人の心筋梗塞経験者を、1日当たり80mgのシンバスタチンまたは1日当たり20mgのシンバスタチンを投与されるようにランダムに割り当てた。17スクリーニング臨検における除外基準は、coordinating centre laboratoryに関して3×標準的な上限(ULN;250IU/L)を超える血中クレアチンキナーゼ(CK)レベルと、1.5×ULNを超える血中アラニントランスアミナーゼ(ALT)レベルと、ミオパチーリスクを上昇させる薬剤(すなわち、フィブラート、多量のナイアシン、シクロスポリン、ネファゾドン、メトトレキサート、および全身のアゾール系抗真菌薬またはマクロライド抗生物質)の併用とを含んだ。ランダム化後、被験者の継続調査を2ヶ月後、4ヶ月後、8ヶ月後および12ヶ月後に行い、以後、6ヶ月間隔でこれを行うように予定を組んだ。起こり得る全ての心筋梗塞、狭心症のための入院、脳卒中、血管手術、肺動脈塞栓、癌または他の深刻な有害症例に関しての情報を探した。さらに、あらゆる新しくて不明な筋肉痛または筋衰弱を明確に調査および記録した。CKおよびALTに関する中央研究所アッセイ用に各継続調査の臨検において血液サンプルを採取した。]
[0136] 継続調査から平均して6年後に、1日当たり80mgのシンバスタチンを割り当てられた6031人の被験者のうち49人が、(CK>10×ULNの筋肉症状として確定される)「明確な」ミオパチーを発症した。さらなる49人の被験者が、筋肉症状が報告されたか否かにかかわらず、安全な血液像に基づいて「初期」ミオパチーを有していると見なされた(すなわち、CK>両方の3×ULNおよび5×スクリーニング値+ALT>1.7×スクリーニング値であるが、増加したALTが単独で観察されなかった)。診断を行った際に、49件の明確な症例の全てと、49件の初期症例のうちの48件とは、被験者に割り当てられた1日当たり80mgのシンバスタチンに準拠している。対照的に、1日当たり20mgのシンバスタチンを割り当てられた6033人の被験者のうち、ミオパチーの2件の明確な症例および6件の初期症例しか特定されなかった。]
[0137] ゲノムワイド関連試験を、1日当たり80mgのシンバスタチンを摂取して明確なまたは初期のミオパチーを有すると診断された、軟層サンプルが入手可能である96人の被験者に限定した。1日当たり80mgのシンバスタチンを摂取するように割り当てられた残りの被験者のうち、軟層サンプルを有する96個の対照群が性別、年齢、推定、糸球体濾過率、基準値のアミオダロン使用に関するマッチングによって選択された。これらの症例および対照群は、関連があるとは分かっておらず、(主分析から除外された)1つの症例を除いて全ての症例によって、被験者がコーカソイド人種であると分類された。]
[0138] SEARCHにおける遺伝子型決定、シークエンシングおよびインピュテーション(imputation:補完)
凍結軟層サンプルをオックスフォードのcoordinating centreからフランス、パリ市のCentre National de Genotypage(CNG)へ送った。CNGでは、DNAを抽出し、その濃度を蛍光発光(Picogreen法)によって測定し、その性質をゲルおよび2個のマイクロサテライトマーカのPCR増幅によって調べた。96件の症例のうちの85件(90%)および96個の対照群のうちの90個(94%)に関して遺伝子型決定に適切なDNAを取得した。SNP遺伝子型決定は、ゲノムにおける共通の変異(>5%)を捕捉することを意図した国際ハップマップリソースデータから導出された318237個のタグSNPsのパネルを有する市販のSentrix HumanHap300-Duo BeadChip(Illumina)18を用いて行った。19遺伝子型は、全症例および対照群のSNPsの>95%に関して評価することができた。つまり、主分析から除外された症例または対照群はなかった。多次元尺度法20を用いて異なる祖先を有する個体または他の部外者を検出した:異なる祖先を有するであろうことを示し、残りの症例および対照群から5件の症例が集まった(データは図示していない)。被験者が少数であることおよび推定関連性の強度を仮定すると、上記被験者(コーカソイド出自と認められていない被験者を除いて:上記参照)は、主分析に保持された(しかし、感度分析は彼らを除いて行った)。]
[0139] 主分析は、任意のサンプルにおいて遺伝子型決定が上手くいかなかった1098個のSNPsを除いて、Illuminaパネルにおける318237個のSNPsのうちの316184個(99.4%)、この個体群において単形性であった139個、被験者の>10%において不明であった813個、および対照群のうちハーディ・ワインベルグ平衡(HWE p<1.6×10−7;ボンフェローニによる修正p<0.05)から導出された3個を含んだ。ゲノム対照群のために上記SNPsのミオパチーとの関連性を調整する必要はないようであった。よって、試験の統計上の余分な差異は分集団構造(population substructure)が原因となっている:21各SNPの観察値の比較に関するカイ二乗値対ランク付けされたその期待値が期待分布に従っており、ゼロSNPsにおける期待平均カイ二乗値によって割った316184のカイ二乗試験統計の平均は、統計上1.0であった(結果を参照)。]
[0140] ゲノムワイド分析に続き、SLCO1B1遺伝子内のエクソンを83件の症例および89個の対照群において十分なDNAとリシークエンシングした:非ゼロのマイナーな対立遺伝子頻度を有する付加的な38個の遺伝子型決定された変異体および141個のインピュートした21変異体(HapMap CEUを基準個体群として用いて)を症例−対照群分析に含めた。Illuminaパネルは、スタチン誘発性ミオパチーに妥当な候補である、CYP3A4遺伝子の変異をカバーしないため、それも、54件の症例および62個の対照群において十分なDNAとリシークエンシングした:同定された30個の変異体のうち20個(67%)は、症例−対照群分析のための品質管理試験対象患者基準を満たしており、
11個のさらなるインピュートされたSNPsも含まれた。エクソンおよびイントロンの一部の全体のセット(SLCO1B1の15個の断片およびCYP3A4の18個の断片)をカバーするようにPRIMER3によって生成されるPCR単位複製配列を用いてSLCO1B1およびCYP3A4遺伝子のリシークエンシングを行った。SLCO1B1遺伝子を増幅およびシークエンシングするために用いられるオリゴヌクレオチドを下記の表4に示す。PCRは、TaqDNAポリメラーゼ(Abgene、Epsom、UK)およびゲノムDNAの1ユニットを用いて8−uLの体積反応において行った。PCR産物を、Bio−gel(登録商標)P100ゲル(Bio−Rad Inc、Hercules、カリフォルニア州、アメリカ合衆国)を用いて精製し、Bigbye Terminator cycleシークエンシング化学法(Applied Biosystems、Palo Alto、カリフォルニア州、アメリカ合衆国)を用いてシークエンシングした。産物をABI3730 DNA解析器にかける前に、反応物をSephadexTmG−50 Superfine(Amersham Biosciences、Uppsala、スウェーデン)を用いて精製した。遺伝的変異体の検出は、社内ソフトウェア(Genalys program;http://www.cng.frにおいて入手可能)によって行った。]
[0141] Heart Protection試験における複製
1994年7月から1997年5月まで、Heart Protection試験(HPS)22の一環として、以前から血管閉塞性疾患または糖尿病を有する英国の計20536人の患者を、1日当たり40mgのシンバスタチンまたはプラシーボを摂取するようにランダム化した。各継続調査評価(4ヶ月、8ヶ月および12ヶ月、以後、6ヶ月おき)において、説明不可能な何らかの新たな筋肉痛または筋衰弱に関して被験者を問診し、CKおよびALTに関する中央研究所アッセイ用に各継続調査の臨検において採血を行った。5年の平均継続調査の間、1日当たり40mgのシンバスタチンを割り当てられた10269人の被験者において24件のミオパチー症例(10件の明確な症例および14件の初期症例;23件についてはスタチンを摂取)が特定され、これに対して、プラシーボを割り当てられた10267人においては12件の症例(4件の明確な症例および8件の初期症例;3件についてはスタチンを摂取)が特定された。19856人(97%)の被験者から抽出したDNAを用いて、SLCO1B1におけるrs4149056およびrs2306283 SNPsが、コーカサス人種として分類された16664人の被験者において遺伝子型決定された。次いで、上記遺伝子型のミオパチーリスクおよびLDLコレステロール低下に対する影響を評価した。]
[0142] 統計的分析およびソフトウェア
ロジスティック回帰からのミオパチーに関する遺伝子型との関連性および症例−対照群のオッズ比の標準1 d.f.(傾向)検定および2 d.f.(遺伝子型)検定をSASおよびPLINK(v.1.00)を用いて計算した。23ゲノムワイド比較に関して、5×10−7より小さい、各別個のSNPに関する無修正のp値を、関連性に関する強い証拠であると見なし、5×10−5〜5×10−7のp値は中程度の証拠をもたらすと見なした(Wellcome Trust Case-Control Consortiumの論理的根拠に関する報告書24を参照)。Haploview v4.0リリース候補版225を用いて、連鎖不均衡、および遺伝子型決定されるSNPsに関するプロット関連結果を推定した。R(v2.6.1)27におけるhaplo.stats(v1.3.1)パッケージ26におけるツールを用いて、ハプロタイプ頻度および関係付けられるリスクを推定した。物理位置はヒトゲノムのNCBI build−36を指し、対立遺伝子は、基準ヒトゲノム(NCBI build−36)の順方向に表される。Ensembl version 46およびNCBI dbSNP build 127および刊行されている報告書11、28、29を用いてSNPsを同義または非同義として分類し、かつイントロンまたはエクソン内のそれらの配置を同定した。1日当たり80mgのシンバスタチンによる、寄与ミオパチーリスクを生命表分析によって推定した。ここで、ミオパチー以前の死亡または試験シンバスタチン処方の終わりによる打ち切りは、遺伝子型とは独立していると捉えた。基準値のアミオダロンの被験者は、彼らのシンバスタチンを高度なミオパチーリスクに起因してトライアルの早期に(主として継続調査の1年目のうちに)減らしたため、この分析から除外した。]
[0143] 結果
被験者の特徴
SEARCH試験で過去に観察されているように30、アミオダロンの併用を、1日当たり80mgのシンバスタチンを割り当てられた被験者の間で増やした。継続調査の1年目において、8.8(95%のCI4.2〜18.4)の相対的なリスクであった。トライアルの初期にこの関連性を検出した後、アミオダロンを摂取している全ての被験者に、(彼らの当初の割り当てに関係なく)1日当たり20mgのシンバスタチンを与えた。これによって、その後観察されるより低い極相対リスクを説明することができる。1日当たり80mgのシンバスタチンによるミオパチーリスクの中程度の増加が比較的高年齢の女性の被験者(心筋梗塞の経験が必要とされる試験の適正によって比較的高齢である傾向がある)、腎機能が低下した証拠を有する被験者、および基準値でのカルシウムチャネル遮断薬を摂取している被験者の間で観察された。]
[0144] ゲノムワイド関連試験
ゲノムワイド関連試験は85件の疑わしいミオパチー症例および90個の対照群を含み、全員がSEARCHにおいて1日当たり80mgのシンバスタチンを摂取している。単一のSNP分析は、染色体12上のSLCO1B1遺伝子のイントロン11−12に位置する非コードrs4363657 SNPに関してミオパシーとの1つの強い関連性(無修正p=4×10−9;ボンフェローニ法による修正p<0.001)をもたらした(無修正p<10−5をもたらす任意の他の領域においてSNPsは存在しない:図1)。rs4363657 C対立遺伝子発生率は、対照群のうち0.13であった。ここで、ミオパチーオッズ比は、C対立遺伝子毎に4.3(95%のCI2.5−7.2)であり、CC対TTホモ接合体に関して17.4(4.8−62.9)であった。] 図1
[0145] ハーディ・ワインベルグ平衡からの偏差の証拠はわずかしかなかった。また、結果が、分集団構造または他の体系的な偏差の原因によって実質的に影響を受けているようでもなかった:rs4363657に関するカイ二乗値は、十分に分位点分位点プロットの95%信頼区間外であった。遺伝子型決定される他のSNPsの全てに関する値がこの信頼区間内であった(図2)。] 図2
[0146] 候補遺伝子型決定およびハプロタイプ分析
rs4363657とのミオパチーのこの強い関連性を鑑みると、SLCO1B1(+/−10kb)以内の付加的なSNPsは、リシークエンシングによって遺伝子型決定したか、または遺伝子型決定されるSNPsからインピュートした。これらのうち、2個の遺伝子型決定した(および9個のインピュートした)SNPsは、rs4363657とほぼ完全な連鎖不均衡状態にあった(各々r2>0.95)。しかし、これらのうち、エクソン6におけるrs4149056(Val174Ala)のみが、「非同義」であった(すなわち、符号化されるたんぱく質を変更した):そのC対立遺伝子の発生率は、対照群間で0.13であった。ミオパチーオッズ比は、C対立遺伝子毎に4.5(2.6−7.7)であり、CC対TTホモ接合体に関して16.9(4.7−61.1)であった(p=2×10−9;インピュートした4つの不明な結果)。これらのデータを下記の表2に要約する。]
[0147] ]
[0148] 5個の他の非同義な変形体がSLCO1B1内に発見された。そのうちの3個は比較的共通であった:rs2306283(対照群中44%のG対立遺伝子頻度)、rs11045819(18%のA対立遺伝子頻度)およびrs34671512(8%のC対立遺伝子頻度)。rs4149056および上記3個の変異体との間には中程度の連鎖不均衡しか存在しなかった(各対r2<0.20)。rs4149056を有するハプロタイプにおいて、両方のrs2306283 G対立遺伝子およびrs34671512 C対立遺伝子が、基準値の有意な(各々p=0.03およびp=0.06)より低いミオパチーリスクに関連していたため、これらは、ミオパチーリスクに関する独立した情報を提供し得る。他方、rs11045819がリスクに影響している様子はなかった。]
[0149] rs4149056のサブグループの調査結果
図3は、rs4149056に関連付けられるミオパチーに関するオッズ比が、明確なミオパチー症例対初期ミオパチー症例間で、基準値の年齢、性別、推定糸球体機能またはアミオダロン使用というサブグループにおいて有意な差異がなかったことを示している(中程度の差異を検出する力には限りがあるが)。これが当てはまる場合、ミオパチーリスクに対する遺伝子型の影響および上記他の因子の影響(特にアミオダロンの使用)が、倍数式に増えることをこれは暗示している(例えば、rs4149056に関するヘテロ接合体の4倍の増加およびアミオダロン使用による10倍の増加が40倍のミオパチーリスク上昇に転換される)。多次元尺度法を用いて異なる祖先を有する個体または他の部外者を検出した20:残りの症例および対照群から集まったように思われる4人の被験者を除けば、rs4149056に関するp値は、2.4×10−9から2.0×10−9にしか変わらなかった(また、かなり有意として分類されるゲノム領域を変更しなかった)。] 図3
[0150] 寄与ミオパチーリスク
対照群は、ミオパチーを発現しなかったことに基づいて選択したため、より高いリスクのrs4149056対立遺伝子を有していた可能性は低い。この選択バイアスを考慮した上で、C対立遺伝子の個体群発生率を0.146と推定した(これは、コーカサス人種間で既に発見されている0.14〜0.22の範囲と一致する28)。この発生率を基に、生命表分析を用いて、1日当たり80mgのシンバスタチンを摂取している被験者間の累積ミオパチーリスクを彼らのrs4149056遺伝子型によって推定した(図4)。CCホモ接合体は、18%の累積危険度(主として1年目のうちに生じる)を有した一方、CT遺伝子型は約3%の累積危険度と関係付けられた。対照的に、ミオパチーの累積危険度は、80mgのシンバスタチンを摂取したTTホモ接合体のうち0.6%でしかなかった。総じて、これらのミオパチー症例のうち60%を超える症例は、SLCO1B1遺伝子のrs4149056 C変異体が原因となり得る。これらのデータを下記の表3に要約する。] 図4
[0151] ]
[0152] Heart Protection試験における複製
HPS22において16664人の遺伝子型決定された被験者のうち、rs4149056およびrs2306283変異体は、事前治療LDLコレステロールレベルの有意な差異と関連が無かった。ランダム化の前に、上記被験者全員は、1日当たり40mgのシンバスタチンを4〜6週間摂取し、LDLコレステロールの平均低下率は40.57%(SE 0.12)であった。両方の変異体は共に検討されたときに、低下率が、rs4149056 C対立遺伝子毎に1.28%(0.25)と、より低く(p<0.0001)、rs2306283 G 対立遺伝子毎に0.62%(0.18)と、より高かった(p<0.0001)。HPSにおいて、総じて、1日当たり40mgのシンバスタチンを割り当てられて摂取した被験者間では23件の明確なまたは初期のミオパチー症例があり、これに対し、プラシーボを割り当てられたためスタチンを摂取しなかった被験者間では、9件の症例があった。結果的に、SEARCH試験とは対照的に、HPSにおいてスタチン誘発性であるようなものはシンバスタチンを摂取したミオパチー症例の約半分だけであった。そうだとしても、HPS(コーカサス人種に限る)における、40mgのシンバスタチンに関する21件のミオパチー症例とミオパチーなしの16643個の遺伝子型決定された対照群との比較によって、C対立遺伝子毎に2.6(1.3−5.0)というより低い極相対リスクではあるが、rs4149056 SNPがミオパチーに関係付けられることが認められた。ミオパチーなしのこれら17000人の遺伝子型決定された被験者は、rs4149056 C対立遺伝子毎の4.7(3.5−6.4)のオッズ比と、3×10−28のより強いp値をもたらす、SEARCH症例に関する代替的な対照群をも提供する。]
[0153] 従来の試験との比較
遺伝的変異の、スタチン誘発性ミオパチーとの関連性の統計的に結論付けられた証拠を提供する試験は過去に刊行されていない。10件のミオパチー症例および26個の対照群における8個の候補遺伝子に関する試験では、SLCO1B1 SNPsとの関連性が報告されているが15、これらの結果は、複数の比較のための調整後は統計的にロバストではなかった。本試験では、ミオパチーまたはスタチン薬物動態と関係があると既に報告されている他の遺伝子のいずれかにおけるSNPsに関して有意な関連性は発見されなかった(補足表2、表4および表54)。とりわけ、(シンバスタチン排泄13に関与する)CYP3A4 遺伝子の20個の遺伝子型決定されたSNPsおよび11個のインピュートされたSNPsは、ミオパチーと有意に関連してはいなかった(補足表2b4)。遺伝子検査に関して言及されたスタチン誘発性ミオパチー症例の10%が3つの遺伝性の代謝ミオパチーのうちの1つ(マッカードル病、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ2型欠損症、またはミオアデニル酸デアミナーゼ欠損症)を有したか、またはこのキャリアであったことが報告されている。31しかし、本試験では、上記遺伝子のSNPsとのミオパチーの有意な関連性は存在しなかった。]
[0154] 議論
SEARCHおよびHPS試験によって、SLCO1B1の少なくとも1つの共通遺伝的変異体が実質的にスタチン誘発性ミオパチーリスクを変化させるという非常に強い証拠が提供される。1日当たり20〜40mgのシンバスタチン(または標準投与量の他のスタチン)を摂取している患者のうち、ミオパチーの発症率は通常、患者の数にして年間10000人中1人のみといったもので、3遺伝子変異体がミオパチー絶対リスクに及ぼす影響は小さい可能性が高い(HPSの被験者間で我々の調査によって示されたように)。対照的に、ミオパチーリスクは、一定の薬剤の併用31(シクロスポリン、ゲムフィブロジル、および、SEARCHにおいて見られるように、アミオダロン30等)を含め、1日当たり80mgのシンバスタチンまたは他の投与量のスタチンレジメンによって10倍に上昇する可能性がある。したがって、rs4149056の多型のC対立遺伝子を有する多量のスタチンレジメンを投与される個体群における係る薬剤の使用は、(図3のrs4149056の遺伝子型およびアミオダロン使用に関する概ね倍数式に増える影響によって示唆されるように)特に高いミオパチー絶対リスクをもたらし得る。] 図3
[0155] SLCO1B1は、大半のスタチンおよびスタチン酸を含む種々の薬剤に対する肝取り込みを仲介する有機アニオン輸送ポリペプチドOATP1B1を符号化する。幾つかの小規模な臨床試験によって、rs4149056 SLCO1B1遺伝子型と、スタチン排泄の薬物動態との関連性が調査された(典型的には、一定の一回量の投与後24時間の血中スタチンレベルを測定することを含む)。11上記試験の全てが統計的に有意な結果をもたらしたわけではないが、集められた証拠から、スタチンレベルがこの多型のC対立遺伝子を有する個体群において高くなることが示されている。上記研究のうち5つは、rs4149056およびrs2306283のハプロタイプも調べている。要約すると、上記研究は、rs2306283G変異体がより低いスタチン濃度に関係付けられることを示唆している(データは図示しない)。これは、SEARCH試験において観察されたより低いミオパチーリスクと一致する。肝取り込みを低下させる遺伝的変異体はまた、スタチンレジメンのコレステロール低下効果を減少させることを予期される。Heart Protection試験における被験者から採った我々のデータによって、上記変異体が、シンバスタチンによって引き起こされるLDLコレステロール低下に若干の差異をもたらすことが認められた。22]
[0156] Illumina HumanHap300-Duoパネルは、HapMap CEUサンプルから、コーカサス人種において共通のSNPs(r2≧0.8)に関して75%のゲノムカバレッジをもたらすように推定されている。症例および対照群の数を考慮すると、本ゲノムワイド関連試験は、5×10−7の「かなり有意な」p値における共通変異体に関して約4のオッズ比を検出するのに50%のパワーしか有しない。したがって、2〜4倍の高いミオパチーリスクをもたらす変異体の存在をこの分析によって否定することはできない。ミオパチーまたはスタチン薬物動態との繋がりに関して先行の証拠を有する遺伝子は、関連性に関する良好な証拠をもたらすのに、無修正のより低い極p値を必要とする「候補」として見なされるであろう。補足表54は、約100個の係るSNPsを列挙しており、これは、ゲノムスクリーンの約1/3000を表し;したがって、1.5×10−3(すなわち、3000倍の5×10−7)のp値がこれらの候補に関して「有意である」と見なされるであろう。しかし、係るp値は、これらの領域において試験したSNPsの全てに関しては得られなかった。]
[0157] 結論として、このゲノムワイド関連試験は、シムバスタチン誘発性ミオパチーのリスクの実質的な変更と関連付けられるSLCO1B1遺伝子の共通の遺伝的変異体を同定することに成功した。ミオパチーはクラス単位の影響であり、SLCO1B1の多型がいくつかのスタチンの血中レベルに影響するように示されたため、上記発見は他のスタチンにも当てはまる可能性が高い。さらに、上記変異体は、SLCO1B1によって輸送される他のクラスの薬剤(経口血糖降下薬レパグリニド)の影響に関連があり得る。SLCO1B1の多型の遺伝子型決定によって、将来、より安全かつ効果的にスタチンの利益を得るために、スタチン投与量を調整する範囲がもたらされ、監視が安全に行われる(特に、ミオパチーの絶対リスクが最大である場合、治療の1年目のうちに)。]
[0158] ]
权利要求:

請求項1
スタチン誘発性ミオパチーに対する個体の感受性を判定する方法であって、個体からの生体サンプル中のSLCO1B1遺伝子における1つまたは複数の多型の存在または非存在を検出し、1つまたは複数の多型の存在は、前記個体が、スタチン誘発性ミオパチーに対する変化した感受性を有することを示す、方法。
請求項2
スタチンを用いる治療中に個体のミオパチーの危険性を低下させる方法であって、i)個体からの生体サンプル中のSLCO1B1遺伝子における1つまたは複数の多型の存在または非存在を検出し、ii)ステップi)によって検出された1つまたは複数の多型の存在または非存在を元に、スタチン誘発性ミオパチーに対する感受性によって前記個体を分類し、iii)ステップii)によって判定されたスタチン誘発性ミオパチーに対する前記個体の感受性を元にスタチン治療に好適な投与量を算出する、方法。
請求項3
請求項1または2に記載の方法であって、前記1つまたは複数の多型は、SNPrs4149056、および/またはrs4149056と密接した関連状態にある多型から選択される、方法。
請求項4
請求項3に記載の方法であって、さらに、個体がrs4149056においてシトシン(C)またはチミン(T)に関してホモ接合の遺伝子型を有しているかまたはヘテロ接合の遺伝子型を有しているかを判定するステップを含む、方法。
請求項5
請求項3に記載の方法であって、前記rs4149056と密接した関連状態にある1つまたは複数の多型は、rs4363657、rs1871395、rs12317268、rs2900478、rs4149100、rs4149081、rs11045879、rs7969341、rs11045885、rs12369881、およびrs12366582から成る群から選択される、方法。
請求項6
スタチンでの治療が必要とされる個体に好適な投与量を算出する方法であって、i)個体からの生体サンプル中のSLCO1B1遺伝子における1つまたは複数の多型に関して個体の遺伝子型がヘテロ接合であるかまたはホモ接合であるかを判定し、ii)1つまたは複数の多型の遺伝子型を元にスタチン治療に好適な投与量を算出し、スタチンの標準投与量はヘテロ接合またはホモ接合のハイリスク遺伝子型を有する個体に好適であり、より多い投与量がホモ接合のローリスク遺伝子型を有する個体には好適である、方法。
請求項7
スタチンでの治療が必要とされる個体を治療する方法であって、i)個体からの生体サンプル中のSLCO1B1遺伝子における1つまたは複数の多型に関して個体の遺伝子型がヘテロ接合であるかまたはホモ接合であるかを判定し、ii)ステップi)において判定された1つまたは複数の多型における遺伝子型によって個体を分類し、iii)或る投与量のスタチンを投与し、スタチンの標準投与量はヘテロ接合またはホモ接合のハイリスク遺伝子型を有する個体に好適であり、より多い投与量がホモ接合のローリスク遺伝子型を有する個体には好適である、方法。
請求項8
請求項6または7に記載の方法であって、前記1つまたは複数の多型は、SNPrs4149056、および/またはrs4149056と密接した関連状態にある多型から選択される、方法。
請求項9
請求項8に記載の方法であって、さらに、個体がrs4149056においてシトシン(C)またはチミン(T)に関してホモ接合の遺伝子型を有しているかまたはヘテロ接合の遺伝子型を有しているかを判定するステップを含む、方法。
請求項10
請求項8に記載の方法であって、前記rs4149056と密接した関連状態にある1つまたは複数の多型は、rs4363657、rs1871395、rs12317268、rs2900478、rs4149100、rs4149081、rs11045879、rs7969341、rs11045885、rs12369881、およびrs12366582から成る群から選択される、方法。
請求項11
請求項6〜9のいずれか一項に記載の方法であって、前記1つまたは複数の多型はSNPrs4149056であり、スタチンの標準投与量はCC遺伝子型またはTC遺伝子型を有する個体に好適であり、より多い投与量がTT遺伝子型を有する個体に好適である、方法。
請求項12
請求項11に記載の方法であって、前記スタチンは、シンバスタチンであり、標準投与量は、1日当たり20または40mgであり、より多い投与量が1日当たり80mgである。
請求項13
請求項6または12のいずれか一項に記載の方法であって、前記個体のミオパチーリスクは、スタチンクリアランスを低下させる薬剤の併用に起因して、または遺伝的変異または遺伝的疾患によるスタチンの肝取り込み低下もしくは腎クリアランス低下に起因して上昇する方法。
請求項14
スタチン誘発性ミオパチーに対する個体の感受性に対してスクリーニングを行うin−vitro診断キットであって、個体からの生体サンプル中のSLCO1B1遺伝子における1つまたは複数の多型の存在または非存在を検出する1つまたは複数の試薬を具備する、キット。
請求項15
請求項14に記載のキットであって、1つまたは複数の試薬は、個体の遺伝子型がSNPrs4149056においてシトシン(C)またはチミン(T)に関してヘテロ接合であるかまたはホモ接合であるかを判定することが可能である対立遺伝子特異的増幅プライマーおよび/または対立遺伝子特異的プローブを含む、キット。
請求項16
請求項15に記載のキットであって、前記キットは、前記個体のrs4149056遺伝子型を元にスタチン治療に好適な投与量を確定する使用指示書を具備し、スタチンの標準投与量はCC遺伝子型またはTC遺伝子型を有する個体に好適であり、より多い投与量がTT遺伝子型を有する個体に好適である、キット。
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