专利摘要:
硬化層(L)、干渉性多層(I)および両層に挟まれている硬質層(D)を含みポリマーに基づくレンズ、ならびに対応する製造方法。厚さが500nmを超える硬化層(L)と、それぞれの厚さが250nm未満である複数の副層で構成されている干渉性多層(I)とを含む、ポリマーに基づくレンズ。該レンズは、加えて、硬化層(L)と干渉性多層(I)に挟まれた硬質層(D)を含み、該硬質層(D)の厚さは300nmを超える。該レンズは軟質層(F)を有することもでき、該軟質層は、PECVDおよび/またはスパッタリングにより有機金属モノマーを重合することにより得られ、硬化層(L)と硬質層(D)の間に配置される。該製造方法は、硬質層(D)の形成工程の前に、硬化層(L)表面の高真空活性化段階を含む。
公开号:JP2011512553A
申请号:JP2010546223
申请日:2008-12-15
公开日:2011-04-21
发明作者:ヴィラジョアナイマス,アントニ;グティエレス・ベラサテギ,エヴァ;デュルステラー・ロペス,ジュアン・カルロス;フェルナンデス・セラノ,リカルド
申请人:インド インテルナシオナル, エス.エー.;
IPC主号:G02B1-10
专利说明:

[0001] 本発明は、耐摩耗性が高く、通常硬化層および干渉性多層を含む、ポリマーに基づくレンズであって、該硬化層の厚さが少なくとも500nm(ナノメートル)であり、該干渉性多層が複数の副層で構成されており、前記副層のそれぞれの厚さが250nm未満である、前記レンズに関する。本発明はまた、これらのレンズのいくつかの製造方法に関する。]
背景技術

[0002] レンズコーティング、とりわけ、耐摩耗性を改善するための硬化層を有しポリマーまたは有機的性質の眼科用レンズは周知である。このコーティング法は、このタイプのポリマーレンズの耐引っ掻き性が無機レンズより遙かに低いため実施される。この硬化コーティング(ラッカー)は、通常、(ポリ)シロキサン、アクリル、メタクリルまたはポリウレタン浴に浸漬した後、100℃〜130℃の温度のオーブンで硬化することにより施用される。この方法により、1ミクロン〜3ミクロンの硬化層が得られる。硬化コーティングを実施するために考えうる他の技術は、上記と同様の機械的特徴を伴うが各工程においてレンズ表面の一方のみがコーティングされる生産プロセスでスピニング技術を用いて、ラッカーを施用することによる。]
[0003] レンズにより反射される可視光の量を低下させることを可能にする反射防止(または干渉性)機能を有する層の堆積物か、前記反射光を増大させるための鏡機能を有する干渉性堆積物で、レンズを覆うことも知られている。これらの結果を得るために、通常、それぞれの厚さが10nm〜150nmである4〜6層の堆積物が用いられる。通常、これは電子銃を用いるPVD(物理的蒸着)技術または熱的蒸発を用いて行われるが、プラズマ化学気相成長法(PeCVD)またはスパッタリングのような他の技術もある。]
[0004] 高真空により付着させたこれらの層の機械的性質は、ラッカーを施用したポリマー有機ユニットに、より高い硬度ならびに向上した耐引っ掻き性および耐摩耗性をもたらす。産業界では通常、この耐摩耗性の測定を、Colts Laboratories社によるいわゆるBayer試験を用い、標準的L−11−10−06操作手順に関連して、耐摩耗性をCR39基材の耐摩耗性と比較して行う。したがって、BR=10の値は、処理したレンズがCR39レンズより摩耗に対し10倍高い耐性を有することを意味する。本発明ではこの試験を用いる。]
[0005] 圧力に基づく試験もレンズの耐摩耗性を測定するのに通常用いられており、これは、Colts Laboratories社によるスチールウールSW試験とよばれ、標準的L−11−12−08操作手順に関連している。本発明ではこの試験も用いているが、方法を修正している:レンズの耐摩耗性が高いことを考慮して、時間を10分間に延ばし、加える荷重を6kgに増大させた。]
[0006] Satis Vacuum Industries Vetriebs−AG名義での文書の欧州特許EP1655385号には、PeCVDで構成され、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)を前駆体として用いる、有機基材と干渉性多層の間に転移層を挟む手順が記載されている。]
[0007] Essilor International名義での文書の米国特許US6596368号には、干渉性多層のポリマー基材または硬化層(ラッカー)への密着性を改善するのを可能にするいくつかの具体的なスパッタリング法が記載されている。]
[0008] それにもかかわらず、ポリマーに基づくレンズの耐摩耗性を改善することがなお必要とされており、ポリマーに基づくレンズのさまざまな層、とりわけ干渉性多層をできるだけ密着させることも必要とされている。]
[0009] 本記載および請求項において、“レンズ”という用語は、少なくとも1つの表面で構成され、屈折性および/または反射性を有する、あらゆる光学系と理解しなければならない。言い換えれば、屈折現象(屈折系)または反射現象(反射系)に基づくあらゆる光学系である。両方の作用を組み合わせる光学系、例えば、第1の屈折表面と第2の反射表面を有する光学系、半透明表面を有する光学表面なども、レンズと考えなければならない。]
先行技術

[0010] 欧州特許EP1655385号
米国特許US6596368号]
[0011] 本発明の目的は、これらの欠点を克服することである。この目的は、最初に示したタイプのレンズであって、該レンズが、加えて、前記硬化層と前記干渉性多層に挟まれた硬質層を含み、前記硬質層が、300nmを超える厚さを有し、金属クロム、Cr2O3、金属ジルコニウム、ZrO、ZrO2、金属ケイ素、SiO、SiO2、金属チタン、TiO、TiO2、Ti3O5、金属アルミニウム、Al2O3、金属タンタル、Ta2O5、金属セリウム、CeO2、金属ハフニウム、HfO2、インジウムおよびスズ酸化物、金属イットリウム、Y2O3、マグネシウム、MgO、炭素、プラセオジム、PrO2、Pr2O3、タングステン、WO3、窒化ケイ素、ならびに酸窒化ケイ素により構成される群の材料から作成されることを特徴とする、前記レンズにより達成される。]
[0012] 実際、厚さが300nmを超えるこの硬質層を包含することにより、ユニットの機械的応答を改善することが可能になる。これは、ナノインデンテーション試験に対するユニットの機械的応答が、押込侵入値が干渉性多層の厚さの10%未満である場合、干渉性多層の応答であるという事実に起因する。押込侵入の値がより大きい場合、ユニットの機械的応答は、より下側の層および最終的には実際のポリマー基材の機械的性質の影響を受ける。したがって、実際は干渉性多層の副層のいずれかと同じ材料でできていることができるが、干渉性多層の副層のどれよりも遙かに厚い、この硬質層を加えることにより、ユニットの機械的性質、とりわけ耐摩耗性を顕著に改善することが可能になる。したがって、この硬質層が実際に果たすのは干渉的役割ではなく、むしろ機械的性質を改善する役割である。]
[0013] それにもかかわらず、この硬質層が包含されると干渉性多層の密着性が妨げられ、これが、ある種の場合、とりわけ非常に厚い硬質層が包含される場合に、問題を引き起こす可能性がある。したがって、レンズは軟質層を有すると有利であり、該軟質層は、PECVDおよび/またはスパッタリング法を用いて有機金属モノマーを重合することにより得ることができ、前記硬化層と前記硬質層の間に配置される。実際、この軟質層は、ユニットを柔軟にし、導入される残留応力の状態を硬質層および干渉性多層とともに調整するので、干渉性多層の密着性を改善する。このようにして得られた軟質層は、硬質層(および干渉性多層)と硬化層の中間の機械的性質を有する。このように、硬質層を軟質層と組み合わせることにより、厚い層と軟質層の厚さを選択して耐摩耗性の値を直接選択することが可能になる。レンズの製造条件にしたがって、ラッカーを施用したレンズの値の数十倍でさえある、より広範囲の耐摩耗性を得ることができるプロセスを有する可能性は、各特定用途の必要性に応じた(personalised to)プロセスの設計が可能であることを意味する。]
[0014] 当業者なら、有機金属モノマーの重合による層の形成技術を知っており、この技術を用いて特定の層を形成する場合がわかる。しかしながら、このタイプの層を物理的性質により定義するのは困難であり、したがって、それらが得られた方法によりそれらを定義することが必要である。しかしながら、層を生産するために用いた方法にかかわりなく、軟質層が本質的に有利であることは明らかなはずである。したがって、“得ることができる”という用語は、層を得るために用いた方法に関わりなく、層それ自体がどのようなものであるかを定義することを意図していることが明らかなはずである。]
[0015] レンズは、前記硬化層と前記軟質層に挟まれた厚さ10nm未満の密着層を有することが好ましくし、ここにおいて、前記密着層は、金属クロム、Cr2O3、金属ジルコニウム、ZrO、ZrO2、金属ケイ素、SiO、SiO2、金属チタン、TiO、TiO2、Ti3O5、金属アルミニウム、Al2O3、金属タンタル、Ta2O5、金属セリウム、CeO2、金属ハフニウム、HfO2、インジウムおよびスズ酸化物、金属イットリウム、Y2O3、マグネシウム、MgO、炭素、プラセオジム、PrO2、Pr2O3、タングステン、WO3、窒化ケイ素、ならびに酸窒化ケイ素で構成される群の材料から作成される。これによりユニットの密着性はさらに改善される。]
[0016] 軟質層は、硬質層と干渉性多層で構成されるユニットより厚いと有利である。とりわけ、硬質層の厚さと干渉性多層の厚さの合計が軟質層の厚さの70%〜100%であると有利である。]
[0017] 本発明に従ったレンズの好ましい態様は、軟質層と硬質層に挟まれた第2の硬質層と第2の軟質層を加えることにより得られ、ここにおいて、第2の硬質層は3nm〜20nmの厚さを有し、金属クロム、Cr2O3、金属ジルコニウム、ZrO、ZrO2、金属ケイ素、SiO、SiO2、金属チタン、TiO、TiO2、Ti3O5、金属アルミニウム、Al2O3、金属タンタル、Ta2O5、金属セリウム、CeO2、金属ハフニウム、HfO2、インジウムおよびスズ酸化物、金属イットリウム、Y2O3、マグネシウム、MgO、炭素、プラセオジム、PrO2、Pr2O3、タングステン、WO3、窒化ケイ素、ならびに酸窒化ケイ素で構成される群の材料から作成される。]
[0018] 干渉性多層は、各層の厚さが10nm〜220nmである複数の層または副層、好ましくは4〜6の層を含むと有利である。
硬化層は、ポリシロキサン、アクリル、メタクリルまたはポリウレタンベースであることが好ましい。]
[0019] 本発明に従ったレンズは、最終撥水層、好ましくは、過フッ化物であり厚さが5nm〜40nmである層を有すると有利である。
軟質層および/または第2の軟質層は、ケイ素ファミリー、ジルコニウムファミリー、チタンファミリーおよびタンタルファミリーで構成されるファミリー群の有機金属モノマーのファミリーからの有機金属モノマーから作成されていることが好ましい。とりわけ、軟質層および/または第2の軟質層は、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)、チタン(IV)イソプロポキシドおよびテトラキス(ジメチルアミド)ジルコニウム(IV)で構成される群からの有機金属モノマーから作成されていることが好ましい。]
[0020] 干渉性多層ならびに/または第1の硬質層および/もしくは第2の硬質層は、ZrO2、SiO2、Si3N4およびTa2O5で構成される群からの材料から作成されていると有利である。]
[0021] 本発明の他の目的は、Bayer試験に従ってBR単位で測定して20を超える耐摩耗性の値を有する、ポリマーに基づくレンズである。実際、20BRを超える耐摩耗性の値を有しポリマーに基づくレンズは知られておらず、本発明に記載する方法が、そのように高い耐摩耗性を有しポリマーに基づくレンズを得ることができる唯一の方法である。同様に、0000メッシュでの6kgで10分間のスチールウール試験に従ってヘイズ単位で測定して0.35%未満の耐摩耗性の値を有しポリマーに基づくレンズも、本発明の目的である。先の場合と同様に、0.35%ヘイズ未満の耐摩耗性の値を有しポリマーに基づくレンズは、前記試験条件では知られていない。]
[0022] さらに、本発明の目的は、硬化層を形成する工程[a]、硬質層を形成する工程[b]、干渉性多層を形成するための工程[c]、および硬化層の表面を高真空により活性化する工程[a’]を含むことを特徴とする、本発明に従ったポリマーに基づくレンズの製造方法であって、工程[a’]を前記工程[b]の前に行う、前記製造方法である。実際、硬化層の表面を活性化するためのプロセスを実施すると、その表面エネルギーが増大し、続いて高真空技術を用いて付着させる層の密着性が上昇する。硬化層の化学的性質を考慮すると、物理的性質および審美的外観を損なうことなく表面エネルギーを増大させることができる考えうる化学的処理の範囲は、非常に限定的である。それにもかかわらず、高真空プロセス、例えばプラズマなどは、ラッカーの物理的および化学的性質またはその審美的外観を損なうことのない多くの表面作用を可能にする。さらに、該プロセスは後続層を付着させる直前に高真空技術を用いて実施されるので、真空を中断する必要がなく、これにより、表面は、いったん活性化した雰囲気からの生成物で確実に汚染されなくなる。]
[0023] 活性化工程は、50kHzを超える周波数でプラズマ活性化プロセスを用いて実施することが好ましい。プラズマがAr/O2/N2またはその混合物であり、圧力が10−2〜10−5mbarであると、とりわけ有利である。]
[0024] 高周波インパルスによるプラズマ(radio frequency impulsed plasma)を用い、印加電力は50W〜1000Wで、30V〜500Vの電圧を生じさせることが好ましい。
該方法は、厚さ10nm未満の密着層を形成する工程[a’’]を含むと有利であり、ここにおいて、工程[a’’]は工程[a’]の後に行い、工程[a’’]は、酸素存在下で不活性ガス、好ましくはアルゴンを用い、1500Wを超える電力で400Vを超える電圧を生じさせる、好ましくは、2000Wを超える電力で650Vを超える電圧を生じさせるスパッタリングにより実施する。]
[0025] 該方法は、軟質層を形成する工程[a’’’]を含むことが好ましく、ここにおいて、工程[a’’’]は工程[b]の前に実施し、工程[a’’’]では有機金属モノマーを重合させ、工程[a’’’]ではスパッタリング法とPeCVD高周波法を同時に実施し、ここにおいて、スパッタリングでは、酸素存在下で不活性雰囲気ガス、好ましくはアルゴンを用い、1000Wを超える電力で300Vを超える電圧を生じさせ、好ましくは、1500Wを超える電力で400Vを超える電圧を生じさせ、そして、PeCVD法では、高周波プラズマを用い、有機金属モノマーを注入し、圧力を10−2〜10−5mbarにし、印加電力を500W〜3000Wにする。]
[0026] 工程[b]は、酸素または窒素存在下で不活性雰囲気ガス、好ましくはアルゴンを用い、500W〜3000Wの電力で300V〜800Vの電圧を生じさせるスパッタリング工程であると有利である。]
[0027] 工程[c]は、酸素または窒素の交互での存在下で不活性雰囲気ガス、好ましくはアルゴンを用い、500W〜3000Wの電力で300V〜800Vの電圧を生じさせるスパッタリング工程であることが好ましい。]
[0028] 該方法は、最終撥水層を生産する工程[d]を含むと有利であり、該工程[d]は工程[c]の後に行う。
本発明の他の利点および特徴は、添付図面を参照して、本発明のいくつかの好ましい態様の非限定的例である以下の説明から理解されるであろう。]
図面の簡単な説明

[0029] 本発明のさまざまな態様に従ってレンズのポリマー基材上に配置された層の横断面の線図である。
本発明のさまざまな態様に従ってレンズのポリマー基材上に配置された層の横断面の線図である。
本発明のさまざまな態様に従ってレンズのポリマー基材上に配置された層の横断面の線図である。
本発明のさまざまな態様に従ってレンズのポリマー基材上に配置された層の横断面の線図である。
本発明のさまざまな態様に従ってレンズのポリマー基材上に配置された層の横断面の線図である。
本発明に従ったレンズのBayer試験に従った耐摩耗性を、硬質層と干渉性多層で構成されるユニットの厚さに応じて示すグラフであり、耐摩耗性をBR単位で示している。
本発明に従ったレンズのスチールウール試験に従った耐摩耗性を、硬質層と干渉性多層で構成されるユニットの厚さに応じて示すグラフであり、耐摩耗性をヘイズ単位(%での)で示している。]
[0030] 図1は、本発明の基本的態様を示している。出発点は、ポリマーに基づくレンズであって、上部に硬化層Lが付着しているポリマー基材Sを有するものからなる。硬質層Dは硬化層L上に付着しており、干渉性層Iは硬質層D上に付着している。] 図1
[0031] 図2は、軟質層Fが硬化層Lと硬質層Dの間に加えられている場合を示している。
図3は、層の構造が、硬化層Lと軟質層Fに挟まれた密着層ADも包含していることを示している。] 図2 図3
[0032] 図4は、層の構造が、軟質層Fと硬質層Dに挟まれた第2の硬質層D2と第2の軟質層F2も包含している場合を示している。
最後に、図5は、最終撥水層Hで完了している層構造を示している。硬化層Lの活性化表面ACも縞で示している。] 図4 図5
[0033] 以下に、一例として、耐摩耗性の高い有機レンズを得るための一般的方法の説明を記載する。
レンズユニットは、ポリシロキサン、アクリル、メタクリルまたは硬化ポリウレタンラッカーの浸漬またはスピニングにより覆われていて、Bayer試験において少なくとも4の耐摩耗性をもたらす。それは、ダストおよび他の汚染原因物質の存在により引き起こされるあらゆる考えうる表面欠陥を除去するために従来法で洗浄されており、洗浄プロセス中に吸着した水を除去するために、好ましくは80℃のオーブンに2時間置かれている。]
[0034] つぎに、レンズ+ラッカーユニットの表面の活性化プロセスを実施し、以下の構造で構成される層の堆積物を高真空装置内で作り出す。
構造物の他のものの密着に好都合な条件にあり、ラッカーを施用した(言い換えれば、硬化層を有する)レンズ上に高真空により付着させた、厚さ10nm未満のSiO2層。この層は、できるだけ高い電力(>1500W)、好ましくは2200Wで、したがって少なくとも500V、好ましくは700Vの電圧を生じさせて、ケイ素またはSiO2カソードを酸素存在下でアルゴンでスパッタリングすることにより形成される。]
[0035] 軟質層は、スパッタリングとPeCVD高周波インパルスによるプラズマプロセスを組み合わせてレンズ表面上でモノマーを重合させて、上記密着層の上を覆って付着させる。この軟質層をもたらすために、有機金属揮発性ケイ素前駆体、好ましくはHMDSOを、酸素存在下でAr/He/Neを用いるケイ素またはSiO2カソードのスパッタリングプロセス中に、チャンバーに導入する。チャンバーへ入るアルゴン、酸素およびHMDSOの3成分の流量は、10−2mbar〜10−5mbarの全圧で0sccm〜50sccmであり、印加電力は500W〜3000W、得られる電圧は300V〜1000Vである。]
[0036] この軟質層を、3nm〜20nmのSi3N4の硬質無機層により2つの部分に分割する。これは、先に第2の硬質層とよんだものである。このように軟質層を2つに分割し、こうして先に軟質層および第2の軟質層とよんだものを形成する。]
[0037] その後、厚さが300nmを超えるスパッタリング層を付着させることが好ましい(SiO2でなくてもよい)。これは、先に硬質層とよんだ層である。付着条件は、500W〜3000Wの電力で300V〜1000Vの電圧を生じさせ、3sccm〜50sccmの酸素または窒素存在下、1〜20sccmのアルゴン流量である。このSiO2層の厚さは、続く干渉性堆積物を加えて全体が、プラズマ重合軟質層の厚さと同様であるようにしなければならない(第一近似で軟質層の70%〜100%)。]
[0038] PeCVD/スパッタリングおよびスパッタリングにより付着させたこれら2層の厚さを増大させると、ユニットの耐引っ掻き性および耐摩耗性が、一例として図6に示すように、BR=5〜10の典型的な値からBR=100以上に上昇する。] 図6
[0039] その後、干渉性層の構造物を、酸素存在下でアルゴンを用いてケイ素カソードをスパッタリングすることにより施用し付着させて、反射防止または鏡特性を実現する。付着条件は、500W〜3000Wの電力で300V〜1000Vの電圧を生じさせ、3sccm〜50sccmの酸素または窒素の交互での存在下、1〜20sccmのアルゴン流量である。]
[0040] 酸化または窒化しなければならないターゲットまたはケイ素カソードについて述べたこれまでの段階のすべてにおいて、これを、酸化物カソード、例えば(SiO2、Ta2O5など)多重ターゲットなどで置き換えることができる。その場合、適した化学量論値を得るための酸素の寄与はより小さく、プロセス制御はより大きくなる。]
[0041] 最後に、高真空電子銃または浸漬技術を用いて、撥水機能を有する層、好ましくは、5〜40nmの過フッ化物層を付着させる。該層は摩擦係数を低下させ、レンズを清浄にするのを容易にする。]
[0042] a)厚さ2ミクロンの(ポリ)シロキサンのラッカーを施用したMR7レンズ上に干渉性多層を包含する、BR=47のプロセスの実施
好ましくは、レンズを(ポリ)シロキサンラッカーに浸漬することにより覆い、110℃で硬化して、BR=4/4.5の耐摩耗性を得る。ラッカーを施用し硬化したこのレンズを、超音波の存在下、中性石鹸で洗浄して、ダストおよび他の汚染原因物質の存在に起因するあらゆる考えうる表面欠陥を除去し、それを、少なくとも2時間、12時間を超えない時間にわたり80℃のオーブンに導入して、ユニットにより吸着された水を除去する。]
[0043] その後、高真空装置を用いて、ラッカーを施用したレンズユニットの表面の活性化プロセスを実施し、続いて、プロセス終了までつねに真空を中断することなく、SiO2の層を、酸素(9sccm)存在下で6sccmのアルゴンを用い、2200Wの電力で約700Vの電圧を生じさせて、純粋なシリコーンカソードをスパッタリングすることにより付着させる。]
[0044] 軟質層をこの密着層上に付着させる。この付着では、揮発性ケイ素前駆体、好ましくはHMDSOを、(酸素存在下でアルゴンを用いてのケイ素カソードの)スパッタリングプロセス中にチャンバーに導入することにより、スパッタリングおよびPeCVD高周波プロセスを調和させる。アルゴン、酸素およびHMDSOの3成分の希釈は以下のとおりである:
−40sccmのアルゴン。
−12sccmの酸素。
−8sccmのHMDSO。]
[0045] 全圧は理想的には8.0×10−4mbarであり、1750Wの電力および約420Vの電圧を加える。
軟質層の全体的厚さは約900nmでなければならない。電圧を調整するために、この層をプロセスのさまざまな部分で塗布することが可能である。]
[0046] つづいて、厚さ約530nmの硬質SiO2層を、ケイ素カソードをアルゴンでスパッタリングすることにより付着させる。付着条件は、1750Wの電力で、約12sccmの酸素存在下、9sccmのアルゴン流量である。得られる電圧は550Vである。]
[0047] その後、ケイ素カソードを酸素/窒素の交互での存在下でアルゴンでスパッタリングすることにより付着させる干渉性多層を構築して反射防止特性を得るために、干渉性層(好ましくは4層)の構造物を施用する。付着条件は、すべての場合において、2000Wの電力で、約12sccmの酸素または窒素の交互での存在下、9sccmのアルゴン流量である。SiO2層の電圧は550Vであり、Si3N4層の電圧は450Vである。干渉性多層の全体的厚さは220nmである。]
[0048] 上記付着条件でプラズマにより重合した層の厚さが900ナノメートルで、SiO2層の厚さが530nmであるため、得られたユニットの耐摩耗性の値はMR7基材上で約BR=47である。]
[0049] 最後に、撥水機能を有する層、好ましくは約15nmの過フッ化物層を、EBPVDを用いて付着させる。
表:
(流量の値をsccmで示す)]
[0050] ]
[0051] ]
[0052] ]
[0053] ]
[0054] ]
実施例

[0055] b)図6および7はそれぞれ、Bayer試験およびメッシュ0000での6kgで10分間のスチールウール試験に従った耐摩耗性の結果を示している。結果は、MR7レンズを以下のプロセスに付した後得られたものである:
−どちらの場合も、0と同等の厚さに相当するグラフの点は、硬化層(ラッカー層)のみを有するレンズの耐摩耗性であり、220nmと同等の厚さに相当する点は、硬化層と厚さ220nmの干渉性多層を有するレンズの耐摩耗性である。言い換えれば、両方の場合は、現況技術ですでに公知の場合である。
−ここで、後続する2点は、さまざまな厚さの硬質層が挟まれていて、干渉性多層の厚さは一定で220nmと同等であり続ける場合に相当する。具体的には、厚さ750nmに相当するグラフの点は、上記実施例a)のレンズの場合である。
c)(ポリ)シロキサンラッカーのラッカーを施用した厚さ2ミクロンのMR8レンズ上の干渉性多層を包含する、BR=100のプロセスの性能
MR8レンズで開始し、これを上記実施例a)と同じ方法に付すと、Bayer試験に従ってBR=100の耐摩耗性が得られる。] 図6
[0056] Sポリマー基材
L硬化層
D硬質層
I干渉性層
F軟質層
AD密着層
H撥水層
AC活性化表面]
权利要求:

請求項1
硬化層(L)および干渉性層(I)を含み、前記硬化層(L)の厚さが少なくとも500nmであり、前記干渉性多層(I)が複数の副層で構成されており、前記副層のそれぞれの厚さが250nm未満である、ポリマーに基づくレンズであって、該レンズが、加えて、前記硬化層(L)と前記干渉性多層(I)に挟まれた硬質層(D)を含み、前記硬質層(D)が、300nmを超える厚さを有し、金属クロム、Cr2O3、金属ジルコニウム、ZrO、ZrO2、金属ケイ素、SiO、SiO2、金属チタン、TiO、TiO2、Ti3O5、金属アルミニウム、Al2O3、金属タンタル、Ta2O5、金属セリウム、CeO2、金属ハフニウム、HfO2、インジウムおよびスズ酸化物、金属イットリウム、Y2O3、マグネシウム、MgO、炭素、プラセオジム、PrO2、Pr2O3、タングステン、WO3、窒化ケイ素、ならびに酸窒化ケイ素で構成される群からの材料から作成されることを特徴とする、前記レンズ。
請求項2
前記硬化層(L)と前記硬質層(D)の間に配置された軟質層(F)を有することを特徴とする請求項1に記載のレンズであって、該軟質層を、PECVDおよび/またはスパッタリング法を用いて有機金属モノマーを重合することにより得ることができる、前記レンズ。
請求項3
前記硬化層(L)と前記軟質層(F)に挟まれた厚さ10nm未満の密着層(AD)を有することを特徴とする、請求項2に記載のレンズであって、前記密着層(AD)が、金属クロム、Cr2O3、金属ジルコニウム、ZrO、ZrO2、金属ケイ素、SiO、SiO2、金属チタン、TiO、TiO2、Ti3O5、金属アルミニウム、Al2O3、金属タンタル、Ta2O5、金属セリウム、CeO2、金属ハフニウム、HfO2、インジウムおよびスズ酸化物、金属イットリウム、Y2O3、マグネシウム、MgO、炭素、プラセオジム、PrO2、Pr2O3、タングステン、WO3、窒化ケイ素、ならびに酸窒化ケイ素で構成される群からの材料から作成される、前記レンズ。
請求項4
前記硬質層(D)の厚さと前記干渉性多層の厚さの合計が前記軟質層(F)の厚さの70%〜100%であることを特徴とする、請求項2に記載のレンズ。
請求項5
前記軟質層(F)と前記硬質層(D)に挟まれた第2の硬質層(D2)および第2の軟質層(F2)を有することを特徴とする、請求項2〜4のいずれか一項に記載のレンズであって、前記第2の硬質層(D2)が、3nm〜20nmの厚さを有し、金属クロム、Cr2O3、金属ジルコニウム、ZrO、ZrO2、金属ケイ素、SiO、SiO2、金属チタン、TiO、TiO2、Ti3O5、金属アルミニウム、Al2O3、金属タンタル、Ta2O5、金属セリウム、CeO2、金属ハフニウム、HfO2、インジウムおよびスズ酸化物、金属イットリウム、Y2O3、マグネシウム、MgO、炭素、プラセオジム、PrO2、Pr2O3、タングステン、WO3、窒化ケイ素、ならびに酸窒化ケイ素で構成される群からの材料から作成される、前記レンズ。
請求項6
干渉性多層(I)が、各層の厚さが10nm〜220nmである複数の層、好ましくは4〜6の層を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のレンズ。
請求項7
硬化層(L)が、ポリシロキサン、アクリル、メタクリルまたはポリウレタンベースを有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のレンズ。
請求項8
最終撥水層(H)、好ましくは、過フッ化物であり厚さが5nm〜40nmである層を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のレンズ。
請求項9
前記軟質層(F)および/または前記第2の軟質層(F2)が、ケイ素ファミリー、ジルコニウムファミリー、チタンファミリーおよびタンタルファミリーで構成されるファミリー群に包含される有機金属モノマーのファミリーからの有機金属モノマーから生産されていることを特徴とする、請求項2〜8のいずれか一項に記載のレンズ。
請求項10
前記軟質層(F)および/または前記第2の軟質層(F2)が、ヘキサメチルジシロキサン、テトラエチルオルトシリケート、チタンイソプロポキシド(IV)およびテトラキス(ジメチルアミド)ジルコニウム(IV)で構成される群からの有機金属モノマーから生産されていることを特徴とする、請求項9に記載のレンズ。
請求項11
前記干渉性多層(I)ならびに/または前記第1の硬質層(D)および/もしくは前記第2の硬質層(D2)が、ZrO2、SiO2、Si3N4およびTa2O5で構成される群からの材料から作成されていることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載のレンズ。
請求項12
Bayer試験に従ってBR単位で測定して20を超える耐摩耗性の値を有する、ポリマーに基づくレンズ。
請求項13
メッシュ0000での6kgで10分間のスチールウール試験に従ってヘイズ単位で測定して0.35%未満の耐摩耗性の値を有する、ポリマーに基づくレンズ。
請求項14
前記硬化層(L)を形成する工程[a]、前記硬質層(D)を形成する工程[b]、前記干渉性多層(I)を形成する工程[c]、および硬化層(L)の表面を高真空により活性化する工程[a’]を含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載のポリマーに基づくレンズの製造方法であって、前記工程[a’]を前記工程[b]の前に行う、前記方法。
請求項15
前記活性化工程を、50kHzを超える周波数でプラズマ活性化プロセスにより実施することを特徴とする、請求項14に記載の方法。
請求項16
厚さ10nm未満の前記密着層(AD)を形成する工程[a’’]を含むことを特徴とする、請求項14または15の一項に記載の方法であって、前記工程[a’’]を前記工程[a’]の後に行い、前記工程[a’’]を、酸素存在下で不活性ガス、好ましくはアルゴンを用い、1500Wを超える電力で400Vを超える電圧を生じさせる、好ましくは、2000Wを超える電力で650Vを超える電圧を生じさせるスパッタリングにより実施する、前記方法。
請求項17
前記軟質層(F)を形成する工程[a’’’]を含むことを特徴とする、請求項14〜16のいずれか一項に記載の方法であって、前記工程[a’’’]が前記工程[b]の前にあり、前記工程[a’’’]では有機金属モノマーを重合させ、前記工程[a’’’]ではスパッタリング法と高周波PeCVD法を同時に実施し、ここにおいて、前記スパッタリングでは、酸素存在下で不活性ガス雰囲気、好ましくはアルゴンを用い、1000Wを超える電力で300Vを超える電圧を生じさせ、好ましくは、1500Wを超える電力で400Vを超える電圧を生じさせ、そして、前記PeCVDでは、高周波プラズマを用い、有機金属モノマーを注入し、圧力を10−2〜10−5mbarにし、印加電力を500W〜3000Wにする、前記方法。
請求項18
前記工程[b]が、酸素または窒素存在下で不活性ガス雰囲気、好ましくはアルゴンを用い、500W〜3000Wの電力で300V〜800Vの電圧を生じさせるスパッタリング工程であることを特徴とする、請求項14〜17のいずれか一項に記載の方法。
請求項19
前記工程[c]が、酸素または窒素の交互での存在下で不活性ガス雰囲気、好ましくはアルゴンを用い、500W〜3000Wの電力で300V〜800Vの電圧を生じさせるスパッタリング工程であることを特徴とする、請求項14〜18に記載の方法。
請求項20
最終撥水層(H)を生産する工程[d]を含むことを特徴とする、請求項14〜19のいずれか一項に記載の方法であって、前記工程[d]を前記工程[c]の後に行う、前記方法。
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