专利摘要:
本発明は、例えば癌などの過剰増殖性疾患を備える患者における療法への応答を予測するp53バイオマーカープロファイルの同定、およびそのような患者を抗過剰増殖性疾患遺伝子療法により治療する方法におけるそれらの使用に関する。
公开号:JP2011512521A
申请号:JP2010544468
申请日:2009-01-26
公开日:2011-04-21
发明作者:ロバート;イー. ソボル;カースティン メナンダー
申请人:ピー53 インコーポレイテッド;
IPC主号:G01N33-574
专利说明:

[0001] 本発明は、一般に腫瘍学および癌療法の分野に関する。より詳細には、本発明は、抗過剰増殖性疾患療法の有効性を予測するための因子の評価に関する。]
背景技術

[0002] 関連技術の説明
癌は、大多数の国々における死亡、および世界中の医療費における数十億ドルという結果の主要原因である。現在では、様々な癌が、少なくとも一部には、「癌遺伝子」と呼ばれる発癌遺伝子の過剰発現を生じさせる、または「腫瘍サプレッサー」遺伝子と呼ばれることの多い保護遺伝子における機能消失の突然変異の結果として生じる、どちらかの遺伝子異常によって誘発されることは明確に確定されている。一つの例は、細胞増殖を制御する53kDの核リンタンパク質であるp53である。p53遺伝子への突然変異およびこの遺伝子が局在する染色体17p上の対立遺伝子消失は、ヒトの悪性腫瘍において同定された特に最も頻回な変化である。p53タンパク質は進化を通して高度に保存されており、低レベルではあるが、ほとんどの正常組織中で発現する。野生型p53は、細胞周期の制御(Mercer, 1992)、転写調節(Fieldsand Jang, 1990;Mietz et al., 1992)、DNA複製(Wilcock and Lane, 1991;Bargonetti et al., 1991)、およびアポトーシスの誘導(Yonish-Rouach et al., 1991;Shaw et al., 1992)に関係することが証明されている。]
[0003] 一塩基置換が高度に相違する増殖調節特性を有する、および最終的には悪性腫瘍を引き起こすタンパク質の合成を生じさせる様々な突然変異体p53対立遺伝子は公知である(Hollstein et al., 1991)。実際に、p53遺伝子は一般的なヒトの癌における最も頻回に突然変異した遺伝子であることが見出されており(Hollstein et al., 1991;Weinberg, 1991)、p53の突然変異は、詳細には喫煙と関連する癌と関連付けられている(Hollstein et al., 1991;Zakut-Houri et al., 1985)。乳癌におけるp53の過剰発現もまた実証されてきた(Casey et al., 1991)。しかし興味深いことに、p53の有益な作用は変異p53分子を含有する癌には限定されない。一連の論文において、Clayman et al.(1995)は、野生型p53分子を発現する癌細胞の増殖がウイルスベクター由来のp53の発現によっても阻害されることを証明した。]
[0004] これらの知見の結果として、相当に大きな努力がp53遺伝子療法に費やされてきた。ヒトへのレトロウイルスによるp53の送達は、しばらく前に報告された(Roth et al., 1996)。そこで、β-アクチンプロモーターの制御下での野生型p53遺伝子を含有するレトロウイルスベクターが、直接注射により非小細胞肺癌を備える9例のヒト患者への野生型p53の導入を媒介するために使用された。治療の5カ月後まで、臨床的に有意なベクター関連性毒性作用は認められなかった。インサイチュー・ハイブリダイゼーションおよびDNAポリメラーゼ連鎖反応は、治療後生検においてベクター-p53配列を証明した。アポトーシス(プログラムされた細胞死)は、治療前生検より治療後生検における方が頻回であった。患者3例では腫瘍寛解が認められ、他の患者3例では腫瘍増殖が安定化した。頭頸部扁平上皮癌(SCCHN)を備えるヒト患者にp53を送達するためにアデノウイルスを使用する類似の試験が実施されている(Clayman et al., 1998)。外科的および遺伝子導入関連性罹病率は最小であり、総合的結果は進行性SCCHNを備える患者における外科用アジュバントとしてのAd-p53遺伝子導入を使用することへの予備的支持を提供した。]
[0005] 腫瘍増殖および治療耐性において異常なp53機能が果たす極めて重要な役割に関する理解の進歩は、SCCHNおよびその他の癌に対するp53遺伝子療法を開発することの合理的理由を提供した(Hartwell and Kastan, 1994;Kastan et al., 1995;Edelman and Nemunaitis, 2003; Ahomadegbe et al., 1995;Ganly et al., 2000;Zhang et al., 1995;Clayman et al., 1995;Clayman et al., 1998;Clayman et al., 1999;Swisher et al., 1999;Nemunaitis et al., 2000;Peng, 2005)。例えば、Advexin(商標)(Ad5CMV-p53、INGN 201)は、その治療成分として正常p53腫瘍サプレッサー遺伝子を含有する複製能力のないアデノウイルス5型ベクターから構成される。]
[0006] しかし、遺伝子療法の成功にもかかわらず、現時点では、なぜ一部の患者はp53および他の療法に応答するのに他の患者は応答しないのかの理由は不明である。そこでこの治療から最も利益が得られる特定患者小集団を同定する必要がある。]
[0007] 再発性SCCHNを備える患者においては、療法への応答および生存期間に影響を及ぼす幾つかの臨床的予後因子が同定されている(Argiris et al., 2004;Pivot et al., 2001;Recondo et al., 1991)。より最近には、予後を予測するために分子バイオマーカーが使用されている。しかし、予後を予測するためにp53バイオマーカーを使用することに関しては、当分野は、p53バイオマーカーに転帰を予測する能力があることを示す一部の試験があるが(Recondo et al., 1991;Gallo et al., 1995;Mulder et al., 1995;Sarkis et al., 1995;Sauter et al., 1995;Stenmark-Askmalm et al., 1995;Matsumura et al., 1996;McKaig et al., 1998;Nemunaitis et al., 1991)、他の試験はp53バイオマーカーが患者の転帰を予測しないことを示す(Kyzas et al., 2005)という矛盾するデータによって特徴付けられている。実際に、3,388例の患者を対象とする42件の試験の結果を結合したメタ解析である頭頸部癌についての大規模試験の一つは、p53バイオマーカー状態と臨床転帰との間の統計的有意な相関を明らかにしなかった(Kyzas et al., 2005)。]
[0008] そこで、本療法の適切な使用を誘導し、新規治療の有効性を評価するために、患者転帰をより確実に予測できるp53バイオマーカーのプロファイルを適正に規定する必要がある。]
[0009] 本発明によれば、腫瘍を有するヒト被検体のためのp53遺伝子療法への好適な応答を予測する方法であって:(a)該腫瘍の腫瘍細胞が少なくとも一つの野生型p53対立遺伝子を含むかどうかを決定する工程;および/または(b)該腫瘍の腫瘍細胞が、正常p53発現非腫瘍細胞中で発現するより高いレベルでp53タンパク質を発現するかどうかを決定する工程を含む方法が提供される。]
[0010] 所定の局面では、本発明者らは、(i)少なくとも一つの野生型p53対立遺伝子を含む、および/または(ii)正常p53発現非腫瘍細胞中で発現するより高くないレベルのp53タンパク質を発現する、および/または(iii)正常p53発現非腫瘍細胞中で発現するより高いレベルであると規定された増加したレベルのp53タンパク質を発現する腫瘍細胞であって、該p53タンパク質は野生型p53の機能を阻害しない場合は、(i)から(iii)のいずれか一つは、そのような患者がp53遺伝子療法に対して好適な応答を有することを予測する腫瘍細胞を決定した。p53遺伝子療法は、p53遺伝子または、例えばAdvexin(商標)のようなp53経路に関係している遺伝子を用いる工程を含む遺伝子療法であってよい。]
[0011] 所定の態様では、腫瘍細胞が(1)少なくとも一つの野生型p53対立遺伝子を含有していない、および/または(2)2つの変異p53対立遺伝子を含有している、および/または(3)正常p53発現正常細胞によって発現されるより高いレベルで変異p53タンパク質を発現することが見出され、そのような変異p53、例えば、無傷四量体化領域を備えるDNA結合ドメイン内にミスセンス点変異を含む変異体が野生型p53の機能を阻害すると、そのような腫瘍細胞はp53遺伝子療法に対する不良な応答の指標である。他のタイプのドミナント・ネガティブ突然変異は当技術分野において公知であり、その他も機能的アッセイによって同定することができる(Resnick et al., 2003)。そのようなドミナント・ネガティブ突然変異の免疫組織学によって決定される高レベル発現もまた、療法への不良な応答の指標である。]
[0012] p53の増加したレベルの評価は、腫瘍細胞内でのp53の抗体検出(例えば、免疫組織化学検査(IHC)などのイムノアッセイ法を用いて検出可能である)によりp53タンパク質のレベルを測定する方法を含む様々な技術を使用して実施することができる。あるいは、p53転写産物は、例えば定量的PCRまたはRT-PCRを用いてp53の過剰発現もしくは増加したレベルを評価するために細胞内で増幅させて測定することができる。しかし、p53を分析するための実質的にあらゆる試験は、本発明とともに使用するためには十分な数のp53発現非腫瘍細胞中でのp53検出との比較によって、例えばELISA、イムノアッセイ、ラジオイムノアッセイ(RIA)、イムノラジオメトリックアッセイ、蛍光イムノアッセイ、化学発光アッセイ、生物発光アッセイ、ゲル電気泳動法、ウエスタンブロット分析またはインサイチュー・ハイブリダイゼーションアッセイによって較正することができると予測される。]
[0013] 野生型p53対立遺伝子および突然変異遺伝子の構造の存在は、インサイチュー・ハイブリダイゼーション、ノーザンブロッティングもしくはヌクレアーゼ保護法を用いて、または複数のプローブを用いたハイブリダイゼーションに基づく様々な遺伝子タイピング技術、例えばシーケンシング、遺伝子アレイもしくは遺伝子チップを用いて決定することができる。詳細には、ゲノム配列は、パラフィン包埋することのできる腫瘍の腫瘍細胞内で増幅させられる。]
[0014] 腫瘍は、良性腫瘍増殖(例えば、良性前立腺肥大、口腔白板症、大腸ポリープ、食道前癌性増殖、または良性病変)であってよい。腫瘍は、例えば口腔癌、口腔咽頭癌、鼻咽頭癌、呼吸器癌、泌尿生殖器癌、消化管癌、中枢もしくは末梢神経系組織癌、内分泌もしくは神経内分泌癌、造血系癌、神経膠腫、肉腫、癌腫、リンパ腫、黒色腫、線維腫、髄膜腫、脳腫瘍、口腔咽頭癌、鼻咽頭癌、腎臓癌、胆道癌、前立腺癌、褐色細胞腫、膵島細胞癌、リー・フラウメニ(Li-fraumeni)腫瘍、甲状腺癌、副甲状腺癌、下垂体部腫瘍、副腎腫瘍、骨肉腫、多発性神経内分泌I型およびII型腫瘍、乳癌、肺癌、頭頸部癌、前立腺癌、食道癌、気管癌、皮膚癌、脳腫瘍、肝臓癌、膀胱癌、胃癌、膵臓癌、卵巣癌、子宮癌、子宮頸癌、睾丸癌、大腸癌、直腸癌または皮膚癌などの癌であってよい。例えば、腫瘍は、扁平上皮癌(SCCHN)、より具体的には再発性SCCHNであってよい。]
[0015] 療法への好適な応答は、腫瘍サイズもしくは腫瘍組織量の減少、腫瘍増殖の遮断、腫瘍関連痛の減少、腫瘍関連病理の減少、腫瘍関連症状の減少、腫瘍の非進行、無病間隔の増加、無増悪期間の増加、寛解の誘導、転移の減少、または患者生存期間の増加を含むことができる。詳細には、「腫瘍応答」は、腫瘍増殖制御(完全寛解(CR)および>50%のサイズの部分減少(PR:部分寛解)もしくは安定状態(SD)によって規定される腫瘍増殖制御(TGC);TGC=CR+PR+SD)または>10%の腫瘍サイズの減少を意味することができる。]
[0016] 所定の態様では、(a)腫瘍細胞が2つの野生型p53対立遺伝子を含むかどうかを決定する工程;およびそうであれば、その後に(b)被検体にp53遺伝子療法を投与する工程を含むとさらに規定された方法もまた提供される。また別の態様では、本方法は、(a)腫瘍細胞が少なくとも一つの野生型p53対立遺伝子を含むかどうか、および腫瘍細胞がp53タンパク質を過剰発現しないかどうかを決定する工程;およびそうであれば、その後に(b)被検体にp53遺伝子療法を投与する工程を含むと規定することができる。さらに別の態様では、本方法は、(a)腫瘍細胞が変異p53対立遺伝子を含有しないかどうかを決定する工程;およびそうであれば、その後に(b)被検体にp53遺伝子療法を投与する工程を含むと規定することができる。さらになお別の態様では、本方法は、(a)腫瘍細胞が野生型p53の機能を阻害するp53変異タンパク質を過剰発現しないかどうかを決定する工程;およびそうであれば、その後に(b)被検体にp53遺伝子療法を投与する工程を含むと規定することができる。]
[0017] 一部の他の態様では、本方法は、(a)腫瘍細胞が野生型p53の機能を阻害しないp53タンパク質を過剰発現するかどうかを決定する工程;およびそうであれば、その後に(b)被検体にp53遺伝子療法を投与する工程を含むとさらに規定することができる。また別の態様では、本方法は、(a)腫瘍細胞が変異p53タンパク質を過剰発現し、そのような変異p53が野生型p53の機能を阻害するかどうかを決定する工程;およびそうであれば、その後に(b)被検体にp53療法以外の療法を投与する工程を含むとさらに規定することができる。別の態様では、本方法は、(a)腫瘍細胞が少なくとも一つの野生型p53対立遺伝子を含有しないかどうかを決定する工程;およびそうであれば、その後に(b)被検体にp53療法以外の療法を投与する工程を含むと規定することができる。さらになお別の態様では、本方法は、(a)腫瘍細胞が2つの変異p53対立遺伝子を含有するかどうかを決定する工程;およびそうであれば、その後に(b)被検体にp53療法以外の療法を投与する工程を含むと規定することができる。他の療法は、メトトレキセートであってよい。]
[0018] 所定の局面では、本方法は、二次抗腫瘍療法をさらに含んでいる。二次抗腫瘍療法は、外科療法、化学療法、放射線療法、凍結療法、ハイパーサーミア療法、光線療法、放射線アブレーション療法、ホルモン療法、免疫療法、小分子療法、受容体キナーゼ阻害剤療法、および例えばモノクローナル抗体、siRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、もしくは遺伝子療法などの生物学的療法であってよい。]
[0019] 生物学的療法は、例えば腫瘍サプレッサー遺伝子療法、細胞死タンパク質遺伝子療法、細胞周期調節因子遺伝子療法、サイトカイン遺伝子療法、トキシン遺伝子療法、免疫遺伝子療法、自殺遺伝子療法、プロドラッグ遺伝子療法、抗細胞増殖遺伝子療法、酵素遺伝子療法、または抗血管新生因子遺伝子療法などの遺伝子療法であってよい。]
[0020] 腫瘍サプレッサー療法は、APC、CYLD、HIN-1、KRAS2b、p16、p19、p21、p27、p27mt、p53、p57、p73、PTEN、FHIT、Rb、ウテログロビン、Skp2、BRCA-1、BRCA-2、CHK2、CDKN2A、DCC、DPC4、MADR2/JV18、MEN1、MEN2、MTS1、NF1、NF2、VHL、WRN、WT1、CFTR、C-CAM、CTS-1、zac1、ras、MMAC1、FCC、MCC、FUSl、遺伝子26(CACNA2D2)、PL6、β*(BLU)、Luca-1(HYAL1)、Luca-2(HYAL2)、123F2(RASSF1)、101F6、または遺伝子21(NPRL2)であってよい。プロアポトーシスタンパク質療法は、mda7、CD95、カスパーゼ-3、Bax、Bag-1、CRADD、TSSC3、bax、hid、Bak、MKP-7、PARP、bad、bcl-2、MSTl、bbc3、Sax、BIK、またはBIDであってよい。細胞周期調節因子療法は、アンチセンス癌遺伝子、癌遺伝子siRNA、癌遺伝子一本鎖抗体、または癌遺伝子リボザイムであってよい。サイトカイン療法は、GM-CSF、G-CSF、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IL-19、IL-20、IL-21、IL-22、IL-23、IL-24、IL-25、IL-26、IL-27、IL-28、IL-29、IL-30、IL-31、IL-32、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、MIP-1α、MIP-1β、TGF-β、TNF-α、TNF-β、またはPDGFであってよい。抗血管新生療法は、angiostain、endostain、アバスチンもしくはアンチセンス、siRNA、一本鎖抗体、またはプロ血管新生因子に対するリボザイムであってよい。]
[0021] 癌細胞は、正常p53遺伝子および/またはタンパク質構造または異常p53遺伝子および/またはタンパク質構造を有する場合がある。例えば、p53遺伝子は、野生型p53タンパク質と同一であるp53タンパク質を生成することができる。別の態様では、突然変異は、p53タンパク質中に存在することがある(例えば、切断、欠失、置換、トランスドミナント突然変異など)。p53遺伝子は、少なくとも一つの野生型p53対立遺伝子(すなわち、適正プロモーター、イントロン、エクソン、および配向が存在する)を有していてよい、またはp53遺伝子は変異対立遺伝子(例えば、ミスセンス、欠失、置換、再配列など)を有していてよい。]
[0022] 所定の態様では、遺伝子療法は、非ウイルスベクターによって送達できる。非ウイルスベクターは、脂質ビヒクル(例えば、リポソーム)内に封入されてよい。ビヒクルは、ナノ粒子であってよい。遺伝子療法は、ウイルスベクター(例えば、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ関連ウイルスベクター、ポックスウイルスベクター、ポリオーマウイルスベクター、レンチウイルスベクター、またはヘルペスウイルスベクター)によって送達することができる。]
[0023] 遺伝子療法は、局所領域遺伝子療法であってよい。局所領域遺伝子療法は、限局性遺伝子療法を含むことができる。限局性遺伝子療法は、腫瘍への直接注射、腫瘍血管系への注射、局所遺伝子療法、または腫瘍関連リンパ管内への投与を含むことができる。投与は、腹腔内、胸腔内、膀胱内、またはくも膜下投与を含むことができる。局所遺伝子療法は、腫瘍と関連する四肢の脈管系内への投与を含むことができる。]
[0024] 所定の態様は、腫瘍サンプル内のp53タンパク質の量を検出するためのp53抗体もしくはプローブ、およびp53遺伝子もしくは転写産物構造を決定するための複数のプローブを含むキットをさらに含んでいる。本キットは、腫瘍細胞が少なくとも一つの野生型p53対立遺伝子を含むかどうか、および同一腫瘍の腫瘍細胞がp53遺伝子療法への好適な応答を予測するために正常p53発現非腫瘍細胞中で発現するより高いレベルでp53タンパク質を発現するかどうかを決定するために使用される。]
[0025] 本明細書で使用する用語「p53」は、野生型または変異型(例えば、トランスドミナント、ミスセンスなど)p53タンパク質を意味する。]
[0026] 本明細書に記載した任意の方法もしくは組成物は、本明細書に記載した任意の他の方法もしくは組成物に対して実施できることが企図されている。]
[0027] 特許請求の範囲および/または明細書における用語「含む」と結び付けて使用される場合の用語「一つの」の使用は、「一つ」を意味することができるが、「一つまたは複数」または「少なくとも一つ」の意味とも一致している。用語「約」は、一般に表示値±5%を意味する。特許請求の範囲における用語「または」の使用は、代替物だけを意味すると明示的に指示されない限り、または代替物が相互排他的ではない限り「および/または」を意味するように使用されるが、本開示は、代替物だけを意味するという定義ならびに「および/または」を支持する。]
[0028] 本発明の他の目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明から明白になる。しかし、詳細な説明および特定の実施例は、本発明の特定の局面を示すが、本発明の精神および範囲内の様々な変更および修飾はこの詳細な説明から当業者には明白になるため、例示のためだけに与えられていることを理解されたい。]
図面の簡単な説明

[0029] 以下の図面は本明細書の一部を形成しており、本発明の所定の局面をさらに実証するために含まれている。本発明は、本明細書に提示した特定の態様の詳細な説明と組み合わせてこれらの図面の一つまたは複数を参照することによってより明確に理解することができる。
Advexin(登録商標)活性のメカニズム。
Advexin(登録商標)療法に対する抗腫瘍応答の範囲。
Advexin(登録商標)療法後のリー・フラウメニ腫瘍における老化/安定状態応答。腫瘍(矢印)に注射されたAdvexin(登録商標)療法後のリー・フラウメニ患者におけるPET(ポジトロン放出断層撮影法)スキャンによる骨盤腫瘍の完全寛解。併用CTスキャンは、腫瘍の減少を伴わない安定状態を明らかにした。臨床的には、腫瘍応答には骨盤痛および下肢の浮腫の減少が結び付いていた(Senzer, 2007)。
Advexin(登録商標)療法後の再発性頭頸部腫瘍におけるアポトーシス/腫瘍減少応答。腫瘍(矢印)に注射されたAdvexin(登録商標)療法後の再発性SCCHNにおけるCTスキャンによる完全寛解を伴う腫瘍サイズの減少。
Advexin(登録商標)単剤療法後の腫瘍増殖制御と増加した生存との相関-ITT集団T301。
Advexin(登録商標)単剤療法後の腫瘍増殖制御と増加した生存との相関-ITT集団T201。
Advexin(登録商標)単剤療法後の腫瘍増殖制御と増加した生存との相関-ITT集団T301+T201。
Advexin(登録商標)単剤療法後の≧10%の腫瘍減少と増加した生存との相関-ITT集団T301+T201。
Advexin(登録商標)単剤療法後の≧50%の腫瘍減少と増加した生存との相関-ITT集団T301+T201。
p53不活性化のメカニズムならびに対応するp53シーケンシングおよび免疫組織学的バイオマーカーのプロファイル。
mdm-2/4による野生型p53の不活性化はAdvexin(登録商標)治療によって無効にされる。野生型p53配列を備える腫瘍では、正常内因性p53はp53阻害剤であるmdm-2およびmdm-4のアップレギュレーションによって不活性化される。Advexin(登録商標)によって提供される増加したレベルの正常p53は、mdm-2/4の阻害を無効にすることができる。
p53突然変異の大多数は、DNA結合ドメイン内にある。
DNA結合ドメインの突然変異はDNAに結合しない四量体の形成によってp53を不活性化する。
変異p53の低レベル発現は、Advexin(登録商標)の有効性にとって好適なp53バイオマーカーのプロファイルである。
高レベルの変異p53の発現は、Advexin(登録商標)の有効性にとって不好適なドミナント・ネガティブp53バイオマーカーのプロファイルである。
遮断されたp53腫瘍抑制を備える患者集団。
Advexin(登録商標)の有効性にとって好適および不適なp53プロファイルは、再発性SCCHN癌(T301)におけるAdvexin(登録商標)余命効果を予測する。好適-高レベルの野生型p53;低レベルの変異p53;低レベルの野生型p53。不適-高レベルの変異p53。
Advexin(登録商標)の有効性にとって好適および不適なp53プロファイルは、再発性SCCHN癌(T301+T201)におけるAdvexin(登録商標)余命効果を予測する。好適-高レベルの野生型p53;低レベルの変異p53;低レベルの野生型p53。不適-高レベルの変異p53。
Advexin(登録商標)の有効性にとって好適および不適なp53プロファイルは、再発性SCCHN癌におけるメトトレキセートの転帰を予測しない。好適-高レベルの野生型p53;低レベルの変異p53;低レベルの野生型p53。不適-高レベルの変異p53。
Advexin(登録商標)の有効性にとって好適および不適なp53プロファイルは、再発性SCCHN癌(T301)におけるAdvexin(登録商標)余命効果を予測する。好適-高レベルの野生型p53;低レベルの変異p53;低レベルの野生型p53。不適-高レベルの変異p53。
メトトレキセートは、再発性SCCHN癌におけるAdvexin(登録商標)の有効性にとって不適なp53プロファイルを備える患者において有効である。好適-高レベルの野生型p53;低レベルの変異p53;低レベルの野生型p53。不適-高レベルの変異p53。]
[0030] 発明の詳細な説明
I.本発明
本明細書で考察するように、臨床レベルでの遺伝子療法は、多数の癌療法治験を含めて10年以上にわたって試験中である。総合すると、このアプローチの成功は、従来の治療アプローチを用いて見られる利益より増加した利益を生じるため前途有望と見られてきた。しかし、大多数の抗癌治療を用いた場合と同様に、遺伝子療法または他の治療の有効性から最良の利益を得ることができる患者集団の同定を改良しなければならないという実質的な必要が依然として残っている。]
[0031] p53バイオマーカープロファイルについての以前の評価は、治療応答または予後を十分に予測するには不適切であるが、それは予測および予後決定にとって重要である、機能的に正常なp53タンパク質を有する全ての場合を同定することができないからである。以前の適用の教示は、典型的には異常に増加したp53タンパク質もしくはp53遺伝子突然変異のいずれかの検出を考察するが、機能的に正常なp53タンパク質を予測もしくは予後マーカーとして含有しない点で本発明とは相違している。本発明者らは、予想外にも、p53遺伝子療法への治療応答を予測するための正常な機能的p53タンパク質の存在を同定するためにp53発現量および遺伝子突然変異状態の正確な組み合わせおよび適用が必要とされることを見出した。この予想外の結果は、p53免疫組織学検査もしくはシーケンシング分析を利用するための以前の試みが治療応答および予後をルーチン的に予測するためのこれらのp53バイオマーカープロファイルの能力に関して矛盾する結果をもたらしたことを示している。]
[0032] そこで、本発明者らは、癌療法からの患者への応答もしくは有益度を予測するためにp53バイオマーカープロファイルの組み合わせを使用する方法を提供する。特定の態様では、癌療法は、遺伝子療法、例えばAdvexin(登録商標)療法などのアデノウイルスp53遺伝子療法である。]
[0033] A.p53遺伝子療法への応答を予測するp53腫瘍バイオマーカープロファイル
本発明者らは、以下の腫瘍バイオマーカーの組み合わせが典型的には好適な有効性および予後転帰を予測することを見出した:(1)高レベルの正常p53タンパク質(例えば、野生型p53配列を備える免疫組織学的陽性);(2)一つの異常p53遺伝子配列を備える少なくとも一つの正常対立遺伝子の検出を伴う低レベルのp53タンパク質(免疫組織学的陰性)(免疫組織学的陰性は、Trkova et al.(2003)によって記載されたように、一つの正常p53対立遺伝子および一つの異常対立遺伝子が存在する場合に観察されることがある);または(3)低レベルの正常p53タンパク質(例えば、野生型p53配列を備える免疫組織学的陰性)。これらのバイオマーカープロファイル各々は、典型的には正常p53遺伝子が活性であると思われる場合の状態を規定している。これに関連して、正常p53遺伝子の増加した発現を生じさせるp53遺伝子療法は、以下で考察するように、治療有効性に寄与し、MDM2、MDM4のような阻害剤によって媒介されるp53不活性化またはドミナント・ネガティブp53変異タンパク質の低レベル発現を克服する。複製欠損性アデノウイルスベクター単独を用いた細胞の形質導入は、野生型p53遺伝子を含有する細胞内で野生型p53発現もまた誘導することができた(Mcpake et al., 1999)。]
[0034] 正常p53遺伝子構造は、p53発現非腫瘍正常細胞内と同一であるp53遺伝子構造であると規定されている。野生型p53対立遺伝子は、p53非腫瘍正常細胞内と同一のDNA配列を有している。p53タンパク質の増加したレベルもしくはp53の過剰発現は、正常p53発現非腫瘍細胞内で発現するより高いレベルであると規定されている。p53タンパク質の正常レベルは、正常p53非腫瘍細胞内で発現するより高くないレベルであると規定されている。]
[0035] 1.増加したp53レベルおよび正常p53遺伝子は好適な応答を予測する
正常p53遺伝子型(野生型p53対立遺伝子からなる)と結合したp53発現の高レベルは、高レベルの正常p53の存在を示している。これらの腫瘍の多数は、p53活性を阻害するMDM2またはMDM4の増加したレベルを有することが公知である(Valentin-Vega et al., 2007)。しかし、Valenitn-Vega et al.(2007)は、この状況が本発明においてのみ教示される任意の好適な予後効果と相関することは教示していない。本発明は、これらの腫瘍がさらなるp53発現のアップレギュレーションを伴うストレス応答を誘導する、またはAdvexin(登録商標)のような追加の野生型p53を送達する、またはnutlinのようなp53阻害剤をダウンレギュレートする治療薬に曝露させられると、この抑制が克服され、腫瘍サプレッサー経路は次に活性化され、治療有効性および治療応答、例えば腫瘍サイズの減少などを生じさせることを示している。]
[0036] 2.低p53レベルおよび正常p53遺伝子は好適な応答を予測する
類似の状況は、p53の免疫組織学的評価が正常p53遺伝子配列(野生型p53対立遺伝子からなる)を伴う低レベルの発現を明らかにした場合に発生する。これらの腫瘍のいずれかはp53欠損を有していない、またはそれらはMDM2もしくはMDM4のようなアップレギュレートしたp53阻害剤またはもしかするとp53を遮断する他の方法を有している可能性がある(Valentin-Vega et al., 2007)。しかし、Valenitn-Vega et al.(2007)は、この状況が本発明においてのみ教示される任意の好適な予後効果と相関することは教示していない。低レベルの正常p53タンパク質発現プロファイルを備える患者では、ストレス応答のp53アップレギュレーションを生じさせる、またはnutlinのようなp53阻害剤をダウンレギュレートする野生型p53および/またはp53遺伝子療法の投与は、そのサプレッサーに比較して正常p53の発現を増加させ、結果として生じる治療的腫瘍サプレッサー作用によりp53阻害剤を克服する。]
[0037] 3.低p53レベルおよび異常p53遺伝子は好適な応答を予測する
Poeta(2007)、Olivier(2006)およびSoussi(2006)は、正常p53の作用を阻害できる変異p53遺伝子の存在が不良な臨床転帰を予測する状況であることを教示している。これらの場合は一般に、正常p53に結合して不活性化する変異p53の能力を生じさせる、無傷四量体化ドメインを備えるDNA結合ドメイン内でのp53の突然変異を有している。そのような突然変異は、ドミナント・ネガティブp53突然変異または不活性化もしくはブロック化突然変異と呼ばれる。しかしこれらの存在単独(遺伝子シーケンシング法によって検出される)は、Poeta(2007)、Olivier(2006)およびSoussi(2006)によって記載されたように転帰を正確に予測するためには不十分であるが、それは存在する場合に第2正常p53対立遺伝子を不活性化する能力に作用を及ぼすような阻害性タンパク質のレベルを考察できないためである。そのような不活性化またはドミナント・ネガティブ突然変異の存在に加えて、その発現のレベルは、正常p53に及ぼす作用を決定するために重要である。本発明は、低レベルのp53タンパク質発現が存在する場合には、不活性化p53突然変異の存在がp53治療への不良な応答とは相関しないことを開示している。]
[0038] Trkova et al.(2003)は、免疫組織学的評価による変異p53配列および低p53レベルを備える患者は第2正常p53遺伝子を有することが多いと記載している。しかし、Trkova et al.(2003)は、この状況が本発明によってしか開示されない任意の好適な予後効果と相関することは教示していない。]
[0039] 4.高p53レベルおよび異常p53遺伝子
上述したように、変異p53遺伝子単独の存在は、癌療法に対する不良な臨床応答について予測するためには不十分である。本発明は、正常p53の機能を許容または防止する状態は、p53の量および遺伝子シーケンシング分析の組み合わせによるp53バイオマーカープロファイルの予測および予後適用のための重要な因子であることを開示している。これらのp53の突然変異が高レベルで発現し、野生型p53遺伝子が存在する場合でさえ正常p53の機能を阻害できる突然変異、例えば変異p53を正常p53に結合させて正常なp53を不活性化させる能力を生じさせる無傷四量体化ドメインを備えるDNA結合ドメイン内でのドミナント・ネガティブ突然変異をブロック化する場合は、これらの場合はp53遺伝子療法への不良な応答と関連している可能性が高い。これはこの療法によって導入もしくは誘導された正常p53機能が高レベルの破壊的p53突然変異体によって遮断されるからである。これらのタイプの突然変異は、約80%のp53突然変異(無傷四量体化能力を備えるDNA結合ドメイン内でのミスセンス突然変異)を含んでおり、それらはそのような変異p53遺伝子によってコードされるp53タンパク質が腫瘍細胞内において高レベルで発現する場合は治療への不良な応答と関連している。]
[0040] しかし、高p53および変異p53を発現する腫瘍細胞内では、これらの突然変異が野生型p53の機能を阻害しない突然変異、例えば生じた変異p53が正常p53に結合して不活性化することのできない切断四量体化ドメインを備える突然変異である場合は、これらの腫瘍細胞はp53遺伝子療法へ好適に応答することができる。]
[0041] これらをまとめると、上記のp53バイオマーカープロファイル分析と比較すると、p53バイオマーカー評価の以前の全ての方法(Kyzas et al., 2005;George et al., 2007;Olivier et al., 2006;Geisler et al., 2002;Poeta et al., 2007;Soussi et al., 2006)は、治療転帰を一様および具体的に予測するために必要とされる極めて重要な要素の部分的認識しか教示していない。免疫組織化学検査のみに(Geisler et al., 2002)または遺伝子シーケンシング分析のみに(Poeta et al., 2007;Soussi et al., 2006;Olivier et al., 2006)依拠する全ての方法には、正確な予後/予測的決定のために極めて重要である正常もしくは異常p53タンパク質の存在またはレベルいずれかに関する重要な情報が欠けている。p53免疫組織学検査および遺伝子シーケンシング評価(Kyzas et al., 2005;George et al., 2007)を結合する試験は、これらの評価の予測能力に関して間違った結論につながる情報を不適正に、不完全に、または不正確のいずれかで結合している。]
[0042] 例えば、George et al.(2007)は、p53免疫組織学検査およびp53シーケンシング分析の適用における機能的p53遺伝子/タンパク質の存在の重要性を教示できていない。彼らは、最善予後カテゴリー内にエクソン5 p53タンパク質突然変異の高レベルおよび低レベル発現を備える両方の患者を含んでいる。彼らは、変異エクソン5 p53タンパク質の発現レベルの重要性を無視しており、エクソン5 p53突然変異を備える患者が正常p53遺伝子構成を備える患者と同様に挙動すると主張している。変異エクソン5 p53タンパク質の高レベル発現を備える患者の不良な予後は、全てのエクソン5変異症例がp53の発現レベルとは無関係に良好な予後を有すると見なしているGeorge et al.(2007)の教示によっては予想も予測もされない。p53臨床試験では、これらの高レベルのエクソン5 p53変異タンパク質を発現する患者はいずれも治療への応答を有さず、彼らのメジアン生存期間は、他のDNA結合ドメインエクソン内のトランスドミナント・ネガティブp53突然変異を備える他の患者のメジアン生存期間と類似であった。George et al.(2007)試験におけるエクソン5突然変異を伴う症例の大多数は、低レベルの異常p53変異タンパク質を反映する場合に彼らが不正確に野生型と称するp53タンパク質の低レベル発現を有していた。彼らの試験では、これらの症例は、分類のためにより少数の高度に発現する変異エクソン5 p53タンパク質症例と結合されたが、これはこれらの症例全部を正常レベルの正常p53タンパク質を有するもっと多数の患者と結合することによって彼らが規定した好適予後群のメジアン生存期間を有意には変化させなかった。そこでGeorge et al.(2007)は、存在する場合は正常p53を不活性化する可能性があるエクソン5突然変異からの高レベルの不活性化p53トランスドミナント・ネガティブp53タンパク質の重要性を教示することに失敗したことによって、正常p53が機能的にはならない場合のプロファイルを認識することの重要性を教示していない。]
[0043] これらの結論は、先行する試験が正確な組み合わせを利用もしくは規定することの失敗により証明されたように、現行の文献の結果を結び付けることからは知ることも推測することもできなかった。本発明は、p53バイオマーカープロファイルの予測的および予後的適用のための主要因子としての本明細書に記載した正常p53の機能を許容または防止するいずれかである条件に基づいて好適および不適なp53プロファイルを同定するための、正確で適正なタンパク質発現および遺伝子シーケンシングの組み合わせを解明した。]
[0044] B.p53遺伝子構造と発現レベルの組み合わせ解析によるp53バイオマーカープロファイルの評価
1.p53遺伝子構造の決定
最善の公知の腫瘍サプレッサーの一つであるp53は、5つのドメイン:転写因子を活性化するN末端転写活性化ドメイン(TAD);p53のアポトーシス活性のために重要なプロリンリッチドメイン;一つの亜鉛原子および幾つかのアルギニンアミノ酸(エクソン5〜8によってコードされる)を含有する中心DNA結合コアドメイン(DBD);ホモ-オリゴマー化(四量体化)ドメイン(OD)-四量体化はp53のインビボ活性のために必須である;中心ドメインのDNA結合のダウンレギュレーションに関係するC末端、に分割できる約390アミノ酸のリンタンパク質である。]
[0045] p53は、細胞の核内に局在し、極めて不安定である。DNAを損傷させる作用物質は、p53が翻訳後メカニズムによって極めて安定性になることを誘導し、核内での濃度が劇的に増加することを可能にする。p53は、DNA損傷に応答して細胞周期を通しての進行を抑制し、それによりゲノムを複製する前にDNA修復が発生するのを可能にする。そこで、p53は、細胞への損傷が重度である場合はアポトーシスを開始することによって一つの細胞世代から次世代への損傷した遺伝情報の伝達を防止する。]
[0046] 上記で考察したように、p53における突然変異は細胞が発癌性に形質転換することを誘発できるので、トランスフェクション試験は、p53が、インビトロでの癌性細胞へのあるレベルの正常増殖を回復させることのできる腫瘍サプレッサーとして作用することを証明している。p53は転写因子であり、いったん活性化されると、細胞周期制御に関係している他の遺伝子の発現を刺激しながら、細胞増殖を刺激することに関係している幾つかの遺伝子の転写を抑制する。]
[0047] 癌においてp53を無力化する突然変異は、通常はDNA結合ドメイン内で発生する。これらのDNA結合突然変異の大多数は、野生型p53分子とともに四量体化して異種四量体がその標的DNA配列に結合する能力を阻害できる四量体化ドメインを無傷で残すので、したがって下流遺伝子の転写活性化における正常p53の機能を遮断する。このため、正常p53とともにオリゴマー化できるDNA結合ドメイン突然変異を備えるp53は、p53の機能にドミナント・ネガティブ作用を及ぼす。ドミナント・ネガティブ作用を備える突然変異は、以下に記載するように機能的アッセイを用いてさらに確証することができる。]
[0048] 所定の局面では、増加したレベルのp53を有する細胞は、そこでp53の過剰発現もしくは減少した分解を引き起こすp53ミスセンス突然変異、トランスドミナント突然変異および機能的突然変異の利得(例えば、de Vries et al., 2002)を有する細胞である。本発明者らは、詳細には例えば無傷四量体化ドメインを備えるエクソン5〜8 DNA結合コアドメイン内にミスセンス突然変異もしくはトランスドミナント突然変異を備えるp53などの、野生型p53機能を阻害する変異p53タンパク質の高レベルの発現を備える患者においては、所定のp53を過剰発現する細胞は、アデノウイルスp53を用いて形質導入された場合は、機能的もしくはトランスドミナント対立遺伝子の内因性p53利得を過剰発現する作用を圧倒するために十分な野生型p53を生成する可能性は低いため、患者はP53遺伝子療法に対して不適な応答者である可能性が高くなると企図している。不適な応答についての類似の予測は、野生型p53対立遺伝子を含有していない、または2つの変異p53対立遺伝子を含有している腫瘍細胞に当てはまる。p53遺伝子療法への不適な応答を有すると予測された患者については、本発明は、例えばメトトレキセートなどのp53療法以外の療法を患者に投与する工程を含む方法を提供できる。]
[0049] 一部の他の局面では、少なくとも野生型p53対立遺伝子を有する細胞および/または高レベルのブロック化もしくは阻害化変異p53を有していない細胞は、p53バイオマーカープロファイルによって予測されるようにp53遺伝子療法へおそらく好適に応答する。内因性野生型p53の誘導にアデノウイルスベクターが及ぼす作用と結合した外因性野生型p53を導入するためのp53遺伝子療法は、細胞内の野生型p53産生を増加させ、それらの症例における欠損を克服する。]
[0050] 腫瘍組織内でp53遺伝子構造を検出するために、これらの組織内で存在する可能性がある正常細胞の存在を説明するために腫瘍サンプルを単離および評価することが有用である。腫瘍細胞のための組織標本を濃縮するための手段は、当技術分野において公知である。例えば、組織は、染色してパラフィン包埋またはクリオスタット切片から単離し、腫瘍細胞の優勢を決定するために顕微鏡によって評価することができる。癌細胞は、フローサイトメトリーによって正常細胞から分離することもできる。腫瘍を正常細胞から分離するためのこれらやその他の技術は、当技術分野において周知である。]
[0051] 腫瘍組織が正常細胞で高度に不純にされていても、突然変異の検出は、サンプル核酸配列のPCR増幅を利用するシーケンシング技術およびチップアレイによって依然として容易に達成される。サンプル中の正常細胞の存在は、腫瘍細胞内の正常p53対立遺伝子の検出を識別するのをより困難にする可能性がある。レーザー技術に基づく顕微解剖システムの最近の開発は、この重要な問題を大きく解決してきた。レーザー顕微解剖は特定細胞集団(もしくは単細胞)をホルマリン固定、パラフィン包埋および冷凍組織両方の染色切片から、細胞培養および中期細胞内の単一染色体さえから単離するための強力なツールである。結果として生じる物質は、例えばLOH(異型接合性の消失)試験、mRNAレベルでの遺伝子発現分析などの広範囲の下流アッセイならびに例えば2Dゲル分析、逆相タンパク質アレイおよびSELDIタンパク質プロファイリングなどの様々なプロテオームアプローチのために適合する。単細胞PCRの適用は、正常組織汚染を回避するためにも企図されている。]
[0052] 蛍光インサイチュー・ハイブリダイゼーション(FISH)および一塩基多型アレイは、腫瘍細胞と正常細胞の混合物を含有するサンプル中でさえ腫瘍細胞中の正常p53対立遺伝子の存在を検出できる追加の方法である(Yamamoto et al., 2007;Ross, et al., 2007, George et al., 2007;Flotho et al., 2007;Fitzgibbon et al., 2007;Melcher et al., 2007;Purdie et al., 2007;Kawamata et al., 2008;Lindbjerg et al., 2007;van Beers et al., 2006)。]
[0053] 点変異の検出は、腫瘍組織中に存在するp53対立遺伝子の分子クローニングおよび当技術分野において周知の技術を用いてその対立遺伝子をシーケンシングすることによって実施することができる。あるいは、ポリメラーゼ連鎖反応を使用すると、腫瘍組織由来のゲノムDNA調製物からp53遺伝子配列を直接的に増幅させることができる。増幅させた配列のDNA配列はその後に決定することができる。ポリメラーゼ連鎖反応自体は、当技術分野において周知である。例えば、Saiki et al.(1988);米国特許第4,683,202号および第4,683,195号を参照されたい。]
[0054] p53遺伝子の特定の欠失または切断もまた検出することができる。例えば、p53遺伝子または周囲マーカー遺伝子のための制限フラグメント長多形(RFLP)プローブを使用すると、p53対立遺伝子の消失または部分的消失をスコア付けすることができる。欠失または切断を検出するための他の技術は、当技術分野において公知であるように使用することができる。]
[0055] あるいは、ミスマッチ検出を使用すると、p53遺伝子もしくはそのmRNA産物中の点変異を検出することができる。これらの技術はシーケンシングほど感受性ではないが、多数の腫瘍に実施するにはより単純である。ミスマッチ開裂技術の一つの例は、Winter et al.(1985);Meyers et al.(1985)に詳細に記載されているRNase保護法である。]
[0056] 同様の方法で、DNAプローブを使用すると、酵素的または化学的開裂を通して、ミスマッチを検出することができる。例えば、Cotton et al.(1988);Shenk et al.(1975)を参照されたい。あるいは、ミスマッチは、マッチ二本鎖に比較したミスマッチ二本鎖の電気泳動度における変化によって検出できる。例えば、Cariello(1988)を参照されたい。リボプローブもしくはDNAプローブのいずれかを用いると、突然変異を含有している可能性がある細胞mRNAもしくはDNAはハイブリダイゼーションの前にPCRを用いて増幅させることができる。]
[0057] ポリメラーゼ連鎖反応の使用によって増幅させられている腫瘍組織由来のp53遺伝子のDNA配列は、対立遺伝子特異的プローブを用いてスクリーニングすることもできる。これらのプローブは、各々が公知の突然変異を有するp53遺伝子配列の領域を含有している核酸オリゴマーである。例えば、一つのオリゴマーは、p53遺伝子配列の一部分に対応して、長さが約30ヌクレオチドであってよい。p53遺伝子の第175コドンをコードする位置では、このオリゴマーは野生型コドンであるバリンではなくむしろアラニンをコードする。一連のそのような対立遺伝子特異的プローブの使用によって、PCR増幅産物は、p53遺伝子内で以前に同定された突然変異の存在を同定するためにスクリーニングすることができる。増幅したp53配列を備える対立遺伝子特異的プローブのハイブリダイゼーションは、例えば、ナイロンフィルター上で実施することができる。特定プローブへのハイブリダイゼーションは、腫瘍組織内に対立遺伝子特異的プローブ内と同一の突然変異が存在することを示す。]
[0058] 腫瘍細胞内のp53遺伝子構造的変化の同定は、様々なシリーズの高分解能、高スループットのマイクロアレイプラットフォームの開発および応用を通して促進されてきた。本質的には、2つのタイプのアレイ;クローン化核酸由来のPCR産物(例えば、cDNA、BAC、コスミド)を有するアレイおよびオリゴヌクレオチドを使用するアレイが存在する。各々は利点および不利点を有するが、現在ではゲノム規模でのDNAコピー数異常および同一サンプル中で過剰および過小発現する遺伝子を備える腫瘍細胞内での消失、利得および増幅間の相関を可能にするための発現レベルを調査することが可能である。腫瘍内でのmRNAレベルの推定値を提供する遺伝子発現アレイは、両方の遺伝子発現レベルである、代替スプライシング事象およびmRNAプロセッシング変化を同定できるエクソン特異的アレイを生じさせてきた。オリゴヌクレオチドアレイは、さらにまた連鎖解析および関連試験のためのゲノム全体の一塩基多型(SNP)をインテロゲートするためにも使用されているが、これらはコピー数異常および異型接合性事象の消失を定量するために適応されてきた。最後に、DNAシーケンシングアレイは、染色体領域および全ゲノムの再シーケンシングを許容する。]
[0059] 本発明では、SNPをベースとするアレイまたは他の遺伝子アレイもしくはチップは、野生型p53対立遺伝子の存在および突然変異の構造を決定することが企図されている。DNA内の単一部位での変化である一塩基多型(SNP)は、ゲノム内の変化の最も頻回なタイプである。例えば、ヒトゲノム内には推定5〜1,000万個のSNPが存在する。SNPは進化を通して、および集団内で高度に保存されており、SNPのマップは研究のためのすばらしい遺伝子型マーカーとして機能する。SNPアレイは、全ゲノムを試験するための有用なツールである。]
[0060] さらに、SNPアレイは、異型接合性の消失(LOH)を試験するために使用できる。LOHは、他に比較した、一つの対立遺伝子の完全消失または一つの対立遺伝子のコピー数の増加の結果として生じる可能性のある対立遺伝子不均衡の1形態である。その他のチップをベースとする方法(例えば、比較ゲノムハイブリダイゼーション)はゲノム利得または欠失しか検出できないが、SNPアレイは、片方の親ダイソミー(UPD)に起因するコピー数中立LOHを検出する追加の利点を有する。UPDでは、1人の親由来の一つの対立遺伝子もしくは全染色体が欠けていて、他の親の対立遺伝子の重複をもたらす(片方の親=1人の親に由来する、ダイソミー=重複している)。疾患状況では、この発生は野生型対立遺伝子(例えば、母親由来)が欠けていて、その代りに異型対立遺伝子(例えば、父親由来)の2つのコピーが存在する場合には病理的な可能性がある。SNPアレイのこの使用は、LOHが大多数のヒト癌に顕著な特徴であるので、癌診断学において膨大な可能性を有する。SNPアレイ技術に基づく最近の試験は、充実性腫瘍(例えば、胃癌、肝臓癌など)だけではなく血液学的悪性腫瘍(ALL、MDS、CMLなど)もまたゲノム欠失またはUPDおよびゲノム獲得に起因する高率のLOHを有することを証明している。本発明では、LOHを検出するために高密度SNPアレイを使用すると、野生型p53対立遺伝子の存在を決定するための対立遺伝子不均衡のパターンの同定を可能にする(Lips et al., 2005;Lai et al., 2007)。]
[0061] 現行p53遺伝子配列および一塩基多型アレイについての例には、p53遺伝子チップ(Affymetrix社、カリフォルニア州サンタクララ)、Roche p53増幅チップ(Roche Molecular Systems社、カリフォルニア州プレザントン)、GeneChipマッピングアレイ(Affymetrix社、カリフォルニア州サンタクララ)、SNPアレイ6.0(Affymetrix社、カリフォルニア州サンタクララ)、BeadArrays(Illumina社、カリフォルニア州サンディエゴ)などが含まれる。]
[0062] 野生型p53遺伝子の突然変異は、p53遺伝子内の野生型発現産物の突然変異に基づいて検出することもできる。そのような発現産物には、mRNAならびにp53タンパク質産物自体の両方が含まれる。点変異は、mRNAを直接的にシーケンシングすることによって、またはmRNAから作製されたcDNAの分子クローニングによって検出することができる。クローン化cDNAの配列は、当技術分野において周知であるDNAシーケンシング技術を用いて決定することができる。cDNAは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によってシーケンシングすることもできる。]
[0063] p53機能に関係するエピトープの各々がモノクローナル抗体によって提示される、一団のモノクローナル抗体を使用できる。上記パネル内のモノクローナル抗体の結合の消失または摂動は、p53タンパク質およびp53遺伝子自体の突然変異変化を示す。変異p53遺伝子または遺伝子産物は、例えば血清、大便、または例えば尿や痰などの他の体液の身体サンプル中で検出することもできる。組織中の変異p53遺伝子または遺伝子産物を検出するための上記で考察した同一技術は、他の身体サンプルに適用することができる。]
[0064] 2.p53タンパク質レベルの評価
患者/疾患履歴/特性ならびに分子特性(例えば、遺伝子構造分析と結合した癌性腫瘍中でのp53の過剰発現)を含む様々な患者パラメータは、本発明において教示されるように、患者が癌療法(例えば、アデノウイルスp53遺伝子療法)から得られる応答または利益度を予測するための予後因子として使用できる。]
[0065] 増加したp53タンパク質レベルの評価は、定量的免疫組織化学検査(IHC)もしくは他の抗体をベースとするアッセイ(ウエスタンブロット、FIA、ラジオイムノアッセイ(RIA)、RIP、ELISA、イムノアッセイ、イムノラジオメトリックアッセイ、蛍光イムノアッセイ、イムノアッセイ、化学発光アッセイ、生物発光アッセイ、ゲル電気泳動法)の使用におけるように直接的であってよい、またはこれらの遺伝子について転写産物を定量すること(インサイチュー・ハイブリダイゼーション、ヌクレアーゼ保護、ノーザンブロットもしくはRT-PCRを含むPCR)によって間接的であってよい。]
[0066] 免疫組織学検査に関しては、正常細胞は、光線顕微鏡によって視認した場合に小さなパーセンテージの細胞におけるかすかな染色しか示さない非存在を提供する低レベルでp53を発現する。より大きな比率の腫瘍細胞内での視認できる核染色の検出は、増加した、過剰発現している、または高レベルのp53タンパク質の状態を示している。]
[0067] 何ら特定の理論によって縛ることは意図していないが、本発明者らは、腫瘍細胞が正常体細胞中のレベルに比較して増加したレベルのp53タンパク質を示す場合は、そのような増加したレベルは、遺伝子突然変異への細胞アポトーシス応答を調節する主要経路であるp53腫瘍サプレッサー経路内の機能不全の指標であると提案する。本発明者らは、この経路内の一部の連結点に欠損が存在する場合は、そのような欠損は増加したp53レベルに自然に現れると想定している。例えば、p53タンパク質自体内に、詳細にはDNA結合ドメイン内に欠損があり(すなわち「変異」p53を生じさせる)、そしてそのような欠損が正常p53タンパク質と四量体化できるがDNAには結合できない機能不全p53タンパク質を生じさせる場合は、正常p53の機能が遮断されていることは公知である。細胞は、「正常」レベルのp53タンパク質機能を達成しようとするむなしい試みで、正常細胞内で見られるタンパク質に比較して機能不全タンパク質を過剰発現する。さらに、正常p53の機能を遮断できる高レベルの変異p53を備える腫瘍細胞は、腫瘍増殖を抑制する機能的レベルの正常p53を発現できる細胞に比較して選択的利点もまた有する。さらに、一部の場合には、変異p53タンパク質は、細胞の明白に増加したp53含量に寄与する、野生型p53よりも細胞からの分解もしくはクリアランスに従順ではない可能性がある。]
[0068] p53の増加したレベルは、p53腫瘍サプレッサー経路の異常の表れであることは公知であり、SCCHN癌における不良な予後と関連付けられている(Geisler et al., 2002);しかし、本発明は、増加したp53タンパク質レベル単独では癌療法に対する応答を予測するには不十分であることを開示している。特定の態様では、正常野生型p53の機能を遮断できる高レベルの変異タンパク質に起因する、正常p53発現非腫瘍組織に比較して増加したレベルのp53の免疫組織化学的検出は、p53遺伝子療法へのより可能性の高い不適な応答の統合された予測を提供する。実際に、そのような相関は、遺伝子療法またはp53媒介性ストレス応答を誘導することが多い他の医薬品の場合と同様に明白であることが企図される。]
[0069] 本発明者らは、増加したp53タンパク質を備える腫瘍の小集団は好適な応答者である可能性が高いことも提案する。経路内のどこかで(例えば、経路内のp53タンパク質の上流または下流の遺伝子もしくは遺伝要素内で)欠損が発生する場合は、そのような欠損は経路の崩壊もまた生じさせることがあり、そこで同様におそらくは適正なp53経路活性の消失もしくは減少を補償しようとする細胞の試みに起因する、p53タンパク質増加をもたらす可能性がある。実際に、実質的に全部の正常体細胞はほぼ検出不能なレベル(例えば、RT-PCRなどの極めて感受性の技術によってのみ検出可能である)ではp53タンパク質を発現するが、規定可能な小集団の腫瘍は、野生型p53対立遺伝子もしくは正常p53遺伝子構造が存在する場合でさえ増加したp53タンパク質を有することが見出されている。この場合には、p53機能は、分子MDM2およびMDM4のようなp53阻害剤の増加した発現によって抑制されることが多い。増加した正常p53タンパク質を備えるそのような腫瘍細胞では、p53ストレス応答を刺激する治療は正常p53対p53阻害剤レベルの比率を好適に変化させ、正常p53活性の回復および療法への好適な応答を生じさせることができる。本発明に記載したように正常p53を伴わない、または変異p53がトランスドミナント作用を遮断している腫瘍では、正常p53機能は影響を受けず、これらの腫瘍は、p53依存性経路の活性化(p53依存性アポトーシス、老化もしくは細胞周期停止)を通して作用を発揮するp53遺伝子療法へ好適に応答する可能性は低い。]
[0070] 好適な応答者のまた別のケースは、切断四量体化ドメインを備える増加したp53タンパク質を備える腫瘍細胞によって例示される。それらの変異タンパク質は、野生型p53タンパク質と四量体化してそれらのDNA結合を妨害することができないので、これらの突然変異は野生型p53タンパク質の機能を阻害しない。これらの腫瘍は、第2正常p53対立遺伝子が存在する場合、または外部から投与された正常p53が腫瘍に送達される場合には、p53治療へ好適な応答を有する。]
[0071] p53などの腫瘍サプレッサーのそのような「増加したレベル」を検出する最も一般的で便宜的な方法は、癌細胞において一般に見られるタンパク質レベルを反映もしくは検出するために十分感受性であるが、それでも正常体細胞に一般的なそれらのレベルを検出するほど高感受性ではない技術を選択することである。免疫組織化学的(「IHC」)技術には、p53の「増加したレベル」を検出するために使用できるので、本発明に特に適合する一連の例示的な検出技術が含まれる(例えば、Ladner et al., 2000参照)。便宜的にも、IHC技術は一般に、例えば正常体細胞中で生成される小量のp53タンパク質を検出できるほど高感受性ではないので、その理由から、現在はp53タンパク質の増加したレベルを検出するために典型的に使用されている。本発明と結び付けて実施するための特定の利点は、p53タンパク質のIHC検出が野生型と変異もしくは異常p53タンパク質とを(特に本発明の場合には、突然変異であろうと正常であろうとほとんどのp53タンパク質を検出するための基礎的抗体を選択できるので)一般には識別しないことにある。これらの場合には、p53遺伝子配列とコピー数の同時検出が結合されて、患者がp53遺伝子療法への応答のために好適または不適なp53プロファイルを有するかどうかが決定される。]
[0072] さらにその上、本発明は、当然ながら、本発明がp53の正常および異常な発現を示す細胞間を識別する任意の技術の使用を企図しているので、増加したレベルのp53タンパク質を備える腫瘍、またはp53経路における他の測定可能な欠損を有する患者を同定して選択するためのIHC技術の使用には決して限定されない。例には、正常および異常レベルのp53mRNA発現および/またはp53タンパク質翻訳レベルの間を識別するために適正に較正されている検出技術が含まれる。そのような方法には、p53タンパク質の免疫学的検出に加えて、mRNAレベルにおける相違を検出するために使用される、そこでp53 mRNAレベルを識別するために使用できる遺伝子アレイおよびチップなどの核酸ハイブリダイゼーション技術が含まれる。典型的には正常および増加したレベルのp53タンパク質を有することが公知である例示的な正常および腫瘍細胞(細胞系の形状にある)には、例えばWI-38、CCD 16およびMRC-9などの細胞、ならびに例えばATCCおよびその他などの一般的供給者から入手可能な例えばSCC61、SCC 173およびSCC 179などの細胞系が含まれる。]
[0073] 本発明は、上記で述べたように、p53療法、および詳細にはアデノウイルスp53療法は、増加した野生型p53レベルおよび遮断活性を備えるp53突然変異の高レベル発現の非存在を備える癌患者のサブグループにおいて好適に機能できることを開示している。これとは対照的に、野生型p53タンパク質を遮断する増加したp53タンパク質を備える腫瘍細胞は、p53遺伝子療法へ不良に応答する。タンパク質レベル、遺伝子配列および遺伝子コピー数についての考察を結び付けるこの分類は、増加したタンパク質レベルもしくは突然変異分析単独に依存する不完全な予後診断単独よりも増加したタンパク質の存在下にある治療応答者についての正確な予測を提供する。]
[0074] 3.変異p53機能の特性解析
野生型p53遺伝子の機能を阻害できる突然変異は、野生型p53タンパク質機能の消失についてスクリーニングすることによって検出できる。p53タンパク質が明白に有する機能の全部は未だ解明されていないが、少なくともDNA結合機能は公知である。例えば、タンパク質p53はSV40大T抗原ならびにアデノウイルスE1B抗原もしくは他の公知の標的DNA配列に結合する。当業者であれば、従来法を使用して、野生型p53タンパク質の存在下でさえ、p53タンパク質がこれらの抗原または他の標的DNAの一方もしくは両方へ結合する能力の消失を検出することができるが、これはおそらくは野生型p53との四量体化を通して野生型p53の機能を遮断して標的DNAとの結合を妨害することができた遺伝子自体の突然変異変化を反映するタンパク質内での突然変異変化を示している。]
[0075] 過去10年間において、実験的機能的アッセイは、当業者には公知である酵母およびヒト細胞において、変異タンパク質がp53応答エレメントの制御下に置かれたレポーター遺伝子に及ぼす転写活性化活性;野生型タンパク質へのドミナント・ネガティブ作用;細胞周期停止もしくはアポトーシスの誘導;温度感受性;野生型タンパク質からは独立していて非関連性である変異タンパク質の活性、を含むp53変異タンパク質の様々な特性を測定するために実施されてきた。最近、これらの機能的アッセイからの結果は、ワールドワイドウェブのp53.iarc.fr/のアドレスを通して国際癌研究機関(IARC)TP53データベースの中に統合されてきた。このデータベースは、p53突然変異パターンを試験するための構造的データおよび分析ツールを提供する(Peitjean et al., 2007;Resnick and Inga, 2003)。これらの方法を使用すると、正常p53機能を阻害するドミナント・ネガティブ遮断作用を発揮する能力を有しているそれらのp53突然変異を同定することができる。そのようなトランスドミナント・ネガティブp53突然変異が高レベルで発現する場合、または細胞が正常p53を発現する能力がない、例えば正常p53対立遺伝子が存在しない場合は、そのような症例はp53遺伝子療法へ不適な転帰を有する。]
[0076] II.癌療法
本発明の所定の態様によると、本出願人らは、治療的癌治療への好適な応答を予測するため、および上述したようなp53バイオマーカープロファイルに基づいて療法を投与するための方法もまた提供する。より詳細には、本発明は、例えばp53遺伝子療法などの抗腫瘍療法を投与することによって過剰増殖性疾患を治療する方法に関する。]
[0077] A.過剰増殖性疾患
過剰増殖性疾患は、細胞の異常な増殖または増加に関連する疾患である。過剰増殖性疾患は、例えば腫瘍などの被検体における病変として現れる疾患であってよい。腫瘍は、良性の腫瘍増殖または癌であってよい。]
[0078] 本発明においてそれに対して治療が企図される例示的な腫瘍には、以下の:扁平上皮癌、基底細胞癌、腺腫、腺癌、形成性胃線維炎、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、ビポーマ、胆管癌、肝細胞癌、腺様嚢胞癌、カルチノイド腫瘍、プロラクチノーマ、膨大細胞腫、ヒュルトレ細胞腺腫、腎細胞癌、類子宮内膜腺腫、嚢胞腺腫、腹膜偽粘液腫、Warthin(ウォーシン)腫瘍、胸腺腫、莢膜細胞腫、顆粒膜細胞腫、卵巣男性化細胞腫、セルトリ・ライディッヒ(Sertoli-Leydig)細胞腫、パラガングリオーマ、クロム親和性細胞腫、グロムス腫瘍、黒色腫、軟組織肉腫、線維形成性小円形細胞腫、線維腫、線維肉腫、粘液腫、脂肪腫、脂肪肉腫、平滑筋腫、平滑筋肉腫、筋腫、筋肉腫、横紋筋腫、横紋筋肉腫、多形腺腫、腎芽細胞腫、ブレンナ-腫瘍、滑膜肉腫、中皮腫、未分化胚細胞腫、胚細胞腫瘍、胎児性癌、卵黄嚢腫瘍、奇形腫、皮様嚢腫、絨毛癌、中腎腫、血管腫、脈管腫、血管内皮腫、血管肉腫、悪性血管内皮腫、悪性血管内皮腫、カポジ(Kaposi)肉腫、血管周囲細胞腫、リンパ管腫、嚢胞性リンパ管腫、骨腫、骨肉腫、骨軟骨腫、軟骨性外骨腫、軟骨腫、軟骨肉腫、巨細胞腫、ユーイング(Ewing)肉腫、歯原性細胞腫、セメント芽細胞腫、エナメル上皮腫、頭蓋咽頭腫神経膠腫混合型乏突起星細胞腫、上衣腫、星状細胞腫、膠芽細胞腫、乏突起細胞腫、神経上皮腫性腫瘍、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、髄膜腫、神経線維腫、神経線維腫症、神経鞘腫、ノイリノーマ、神経腫、顆粒細胞腫、蜂窩性軟部肉腫、リンパ腫、非ホジキン(non-Hodgkin)リンパ腫、リンパ肉腫、ホジキン病、小リンパ球性リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、原発性滲出液リンパ腫、縦隔(胸腺)大細胞リンパ腫、び漫性大B細胞リンパ腫、血管内大B細胞リンパ腫、バーキット(Burkitt)リンパ腫、脾性辺縁帯リンパ腫、濾胞性リンパ腫、粘膜関連リンパ組織の節外性辺縁帯B細胞リンパ腫(MALTリンパ腫)、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、菌状息肉腫、セザリー(Sezary)症候群、末梢T細胞リンパ腫、血管性免疫芽球性T細胞リンパ腫、皮下脂肪組織炎様T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、肝脾T細胞リンパ腫、腸症型T細胞リンパ腫、リンパ腫様丘疹症、皮膚原発未分化大細胞リンパ腫、節外性NK/T細胞リンパ腫、芽球性NK細胞リンパ腫、形質細胞腫、多発性骨髄腫、肥満細胞腫、肥満細胞肉腫、肥満細胞症、肥満細胞性白血病、ランゲルハンス細胞組織球症、組織球肉腫、ランゲルハンス細胞肉腫、樹状細胞肉腫、濾胞樹状細胞肉腫、ワルデンシュトレーム(Waldenstrom)マクログロブリン血症、リンパ腫様肉芽腫症、急性白血病、リンパ球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性リンパ球性白血病、慢性リンパ球性白血病、成人T細胞白血病/リンパ腫、形質細胞白血病、T細胞大顆粒球リンパ球性白血病、B細胞前リンパ球性白血病、T細胞前リンパ球性白血病、前駆Bリンパ芽球性白血病、前駆Tリンパ芽球性白血病、急性赤白血病、リンパ肉腫細胞性白血病、骨髄様性白血病、骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性骨髄性単球性白血病、好塩基球性白血病、好酸球性白血病、急性好塩基球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、単球性白血病、急性単芽球性および単球性白血病、急性巨核芽球性白血病、急性骨髄性白血病および骨髄異形成症候群、緑色腫もしくは骨髄肉腫、骨髄線維症を伴う急性汎骨髄症、毛様細胞性白血病、若年性骨髄単球性白血病、進行性NK細胞白血病、真性赤血球増加症、骨髄増殖性疾患、慢性特発性骨髄線維症、本態性血小板血症、慢性好中球性白血病、慢性好酸球性白血病/好酸球増加症候群、移植後リンパ増殖性疾患、慢性骨髄増殖性疾患、骨髄異形成/骨髄増殖性疾患、慢性骨髄単球性白血病および骨髄異形成症候群が含まれる。]
[0079] 過剰増殖性疾患もしくは癌は、その初期診断後に、または引き続いて、治療的核酸もしくはその他の療法または2つ以上の療法の組み合わせによって治療することができる。過剰増殖性疾患もしくは癌の再発は、手術、放射線療法または化学療法の一つまたは複数を含む任意の治療後に任意の過剰増殖性疾患もしくは癌を有するという患者の再出現もしくは再診断であると規定できる。再発性疾患を備える患者は疾患を有していないと報告されていた必要はなく、単に一次療法によるある程度の臨床応答に続く再発した過剰増殖性疾患もしくは癌増殖を示したものである。臨床応答は、安定状態、腫瘍緩解、腫瘍壊死、証明可能な癌の非存在、腫瘍サイズもしくは腫瘍組織量の減少、腫瘍増殖の遮断、腫瘍関連痛の減少、腫瘍関連病理の減少、腫瘍関連症状の減少、腫瘍の非進行、無病期間の増加、無増悪期間の増加、寛解の誘導、転移の減少、または患者生存期間の増加であってよいが、それらに限定されない。]
[0080] B.扁平上皮癌
詳細には、腫瘍は、扁平上皮癌(SCCHN)、より詳細には再発性SCCHNであってよい。再発性SCCHNは、最も恐ろしい癌の一つである。これらの腫瘍は極めて高い死亡率を有しており、重篤な苦痛を引き起こす。再発性SCCHN腫瘍および標準療法は、結果として患者の外観を損なわせ、摂食、嚥下および呼吸のような基本的な機能を妨害する重大な病的状態を生じさせる。患者は、栄養摂取および呼吸をサポートするための栄養チューブおよび気管切開術のような侵襲性手段を必要することが多い。残念なことに、この疾患のための現行療法は非常に不適切であり、腫瘍の病的状態を増悪させることが多い相当に大きな毒性を生じさせる。患者の大多数は、標準療法には応答せず、メジアン生存期間は4〜6カ月間に過ぎない。治療に利用される化学療法薬の全部(メトトレキセート、シスプラチン、5FU、およびタキサン類)は、腫瘍の病的状態を増悪させる可能性がある口腔粘膜炎を生じさせることがある。モノクローナル抗体であるErbitux(登録商標)は口内炎を誘発しないが、皮膚発疹を引き起こし、放射線壊死の副作用を増加させる可能性がある。]
[0081] 従来治療の不良な安全性プロファイルに加えて、応答は、典型的には持続期間が短く、追加の療法に対する必要はほぼ一般的である。そこで、再発性SCCHNは明らかに、おそらく腫瘍の病的状態を悪化させる毒性を生成しない作用物質を用いた追加の療法を必要とする、悲惨な満たされていない必要を伴う医学的状態を表している。]
[0082] C.p53遺伝子療法
一つの態様では、p53遺伝子療法が企図されている。ヒトp53遺伝子療法は、1990年代半ば以降から文献に記載されてきた。Roth et al.(1996)はレトロウイルスをベースとする療法について報告しており、Clayman et al.(1998)はアデノウイルス送達について記載した。米国特許第5,747,469号;第6,017,524号;第6,143,290号;第6,410,010号;および第6,511,847号、米国特許出願第2002/0077313号および第2002/0006914号は、各々が患者をp53で治療する方法について記載しており、参照により本明細書に組み入れられる。]
[0083] 患者への発現構築物の局所、限局性(局所領域)または全身性送達が企図されている。このアプローチは以下の:原発腫瘍サイズを減少させる、転移の発生もしくはサイズを減少させる、腫瘍増殖を減少もしくは停止させる、寛解を誘導する、再発前の期間を増加させる、腫瘍関連疼痛を減少させる、腫瘍細胞分割を阻害する、腫瘍細胞を殺滅する、腫瘍細胞のアポトーシスを誘導する、腫瘍再発を減少もしくは排除する、および/または患者の生存期間を増加させることのいずれかであると広汎に規定された臨床的有益性を提供すると提案されている。]
[0084] 詳細には、p53遺伝子療法はAdvexin(登録商標)である。Advexin(登録商標)は単剤として有効であり、その抗腫瘍活性はAdvexin(登録商標)が送達したp53タンパク質の発現と相関しており、結果としてp53応答遺伝子の発現における変化を生じさせる。これらの遺伝子およびそれらの遺伝子産物は、広範囲の細胞プロセスに影響を及ぼして抗腫瘍作用をもたらす。これらのプロセスの性質について理解することは、Advexin(登録商標)治療後に観察される臨床応答のタイプを解釈するために極めて重要である。]
[0085] Advexin(登録商標)は、主要作用機序として細胞老化を誘導する最初の抗癌薬の一つである。細胞老化の誘導は「永続的細胞周期停止」を生じさせ、不活性化p53を備える腫瘍におけるp53活性の一過性回復後に観察される。臨床的には、永続的細胞周期停止の誘導は、腫瘍サイズの減少よりむしろ腫瘍増殖の安定化と関連付けられる。動物腫瘍モデルおよびヒト臨床試験は、Advexin(登録商標)療法後の細胞周期停止/老化の活性化を明白に確証してきた。p53もさらにまた、同様に腫瘍サイズにおける減少ではなくむしろ腫瘍増殖の安定化と関連付けられる抗血管新生メカニズムを活性化する。または、アポトーシスもしくは「プログラムされた細胞死」は、p53回復によって活性化されるまた別の重要な経路である。臨床的腫瘍応答に関して、アポトーシスの誘導は、Advexin(登録商標)療法後の腫瘍サイズの減少を生じさせると予想される。これらの重要なp53腫瘍抑制メカニズムおよびそれらの分子メディエータは、図1に図示した。]
[0086] 典型的には、これら3つの治療経路(細胞周期停止-アポトーシス-抗血管新生)は、p53活性の回復後に腫瘍内で誘導される。個別腫瘍細胞は、細胞周期停止/老化もしくはアポトーシス経路のいずれかを活性化することができ、どの経路が特定細胞に対して始動させられるのかを決定する因子は、現時点では明確ではない。これらのメカニズムのうちのいずれが主として腫瘍細胞内に誘導されるのかに依存して、Advexin(登録商標)療法後に観察される臨床応答の性質が決定される。図2に図示したように、抗腫瘍応答の範囲は、細胞老化またはアポトーシス経路のいずれかを活性化する細胞の相対比率に依存して、老化/安定状態(図3)およびアポトーシス/腫瘍減少(図4)を含む腫瘍増殖の安定化から完全腫瘍根絶までの範囲に及ぶと予想される。]
[0087] 治療メカニズムに関するこれらの考察に一致して、完全(CR)およびサイズの≧50%の部分(PR)減少に基づく従来型の腫瘍応答基準は、増加した生存期間と関連付けられる臨床的に重要な応答を最適には同定しないことを示すデータが増加しつつある(Lara et al., 2008)。Lara et al.(2008)は最近、CR、PRまたは安定状態によって規定される腫瘍増殖制御(TGC)は生存期間を予測することに従来型のCR+PR定義より有意に優れていることを示している、肺癌患者984例を対象としたSouthwest Oncology Groupの3件の無作為化割付け対照臨床試験の結果を報告した。同様に、Choiおよび同僚ら(2007)は、コンピュータ断層撮影法(CT)による腫瘍サイズの≧10%減少がポジトロン放出断層撮影法(PET)による腫瘍応答と高度に相関しており、イマチニブで治療された消化器間質腫瘍における標準応答基準より高感受性の延命効果の予測因子であることを証明した(Choi, 2007;Benjamin, 2007)。]
[0088] そこで、重要な作用機序として細胞周期停止/老化を誘導することが公知であるAdvexin(登録商標)のような物質については、腫瘍増殖制御(TGC=CR+PR+SD)または腫瘍サイズの≧10%の減少に基づく腫瘍応答の定義は、治療後の増加した生存期間を予測する腫瘍応答を規定するためにより適切である。]
[0089] III.治療用遺伝子
本発明の所定の態様では、患者のp53バイオマーカープロファイルに基づいてp53遺伝子療法、p53遺伝子療法以外の療法または二次抗腫瘍療法を患者に投与する方法が提供される。本方法は、所定の局面では治療用核酸、およびp53遺伝子療法における特定p53遺伝子を使用することができる。]
[0090] A.治療用核酸
「治療用核酸」は、本明細書では疾患を治療または予防するために、被検体に投与できる核酸を意味すると規定されている。本明細書の核酸は、過剰増殖性疾患の治療において有益であることが公知である、または有益であると思われる核酸である。治療有益性は、例えば、核酸による特定遺伝子の発現の変化の結果として生じる可能性がある。特定遺伝子の発現の変化は、特定遺伝子の発現の阻害または強化であってよい。本発明の所定の態様は、治療用核酸の投与に関係する。]
[0091] 本明細書で使用する「核酸」は、DNA、RNA、またはヌクレオチド塩基を含むそれらの誘導体もしくはアナログの1分子(すなわち、ストランド)を一般には意味する。ヌクレオチド塩基には、例えば、DNA(例えば、アデニン「A」、グアニン「G」、チミン「T」またはシトシン「C」)内またはRNA(例えば、A、G、ウラシル「U」またはC)内で見出される天然のプリンもしくはピリミジン塩基が含まれる。用語「核酸」は、各々が用語「核酸」の亜属である用語「オリゴヌクレオチド」および「ポリヌクレオチド」を含んでいる。用語「オリゴヌクレオチド」は、長さが約8〜約100ヌクレオチド塩基の分子を意味する。用語「ポリヌクレオチド」は、長さが約100ヌクレオチド塩基より長い少なくとも一つの分子を意味する。]
[0092] 所定の態様では、「遺伝子」は、転写される核酸を意味する。所定の局面では、遺伝子は、転写またはメッセージ産生に関係する調節配列を含んでいる。特定の態様では、遺伝子は、タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドをコードする転写された配列を含んでいる。当業者には理解されるように、この機能的用語「遺伝子」には、ゲノム配列、RNAもしくはcDNA配列または遺伝子の非転写プロモーターもしくはエンハンサー領域を含むがそれらに限定されない遺伝子の非転写部の核酸セグメントを含む小さな遺伝子組換え核酸セグメントが含まれる。小さな遺伝子組換え核酸セグメントは、タンパク質、ポリペプチド、ポリペプチドドメイン、ペプチド、融合タンパク質、変異ポリペプチドなどを発現できる、または発現するように適応させることができる。]
[0093] 「他のコーディング配列から実質的に単離された」は、当該の遺伝子が核酸セグメントのコーディング領域の一部を形成すること、およびセグメントが例えば大きな染色体フラグメントもしくは他の機能的遺伝子もしくはcDNAコーディング領域などの天然のコーディング核酸の大きな部分を含有しないことを意味する。当然ながら、これは、核酸が最初から単離されていることを意味しており、ヒトの手によって核酸へ後に加えられた遺伝子またはコーディング領域を排除しない。]
[0094] 特定の態様では、治療用核酸は、核酸「発現構築物」の形態にある。本出願を通して、用語「発現構築物」は、核酸の全部または一部が転写され得るあらゆるタイプの核酸を含むことが意味されている。転写された部分は、例えばタンパク質などの治療用遺伝子産物に翻訳することのできる治療用遺伝子をコードすることができるが、そうする必要はない。他の態様では、転写された部分は、特定遺伝子の発現を阻害または増強するために単純に作用できる。]
[0095] 本発明の所定の態様では、治療用核酸は「治療用遺伝子」をコードする。当業者には理解されるように、用語「治療用遺伝子」には、それらの全部が過剰増殖性疾患に苦しむ患者へ臨床的有益性を提供できる、タンパク質、ポリペプチド、ドメイン、ペプチド、融合タンパク質、および変異体を発現する、または発現するように適応させることができるゲノム配列、cDNA配列、および小さな遺伝子組換え遺伝子セグメントが含まれる。治療用遺伝子をコードする治療用核酸は、約5〜約20,000個以上のヌクレオチド、ヌクレオシド、または塩基対の連続核酸配列を含むことができる。]
[0096] 切除不能な腫瘍を備える患者は、本発明によって治療することができる。結果として、腫瘍のサイズが減少する可能性がある、または腫瘍血管構造は腫瘍が切除可能になるように変化する可能性がある。そうであれば、標準外科的切除が可能になる。手術と結び付けて使用できるまた別の特定投与様式は、手術による腫瘍床の治療である。そこで、一次遺伝子療法治療、またはその後の治療のいずれかで、手術中に、および術後に任意で手術部位にカテーテルを挿入することによって、切除された腫瘍床にベクターを潅流させることができる。]
[0097] B.核酸の精製および発現
核酸は、ポリアクリルアミドゲル上で、塩化セシウム密度勾配遠心法、カラムクロマトグラフィまたは当業者には公知の任意の他の手段によって精製することができる(例えば、参照により本明細書に組み入れられるSambrook et al., 2001を参照)。所定の局面では、本発明は、単離核酸である核酸に関する。本明細書で使用する用語「単離核酸」は、大部分の細胞成分もしくはインビトロ反応成分、および/または1個以上の細胞の全ゲノム核酸および転写核酸の大部分がない状態に単離されている、さもなければそれらがない状態である核酸分子(例えば、RNAもしくはDNA分子)を意味する。核酸を単離するための方法(例えば、平衡密度遠心法、電気泳動分離法、カラムクロマトグラフィ)は、当業者には周知である。]
[0098] 本発明によると、標的細胞中で治療用タンパク質を生成することが望ましい。発現は、適切なシグナルがベクター内もしくは、宿主細胞内の当該遺伝子の発現を駆動するウイルスおよび/または哺乳動物起源由来のエンハンサー/プロモーターなどの様々な調節エレメントを含む発現カセット内で提供されることを典型的には必要とする。宿主細胞内でのメッセンジャーRNAの安定性および翻訳可能性を最適化するためのエレメントもまた含まれてよい。永続的で安定性の細胞クローンを確立するためには、薬物選択マーカーを組み入れることができる。]
[0099] ウイルスベクターは、選択された真核細胞発現系である。これに含まれるのは、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、レトロウイルス、ヘルペスウイルス、レンチウイルス、ワクシニアウイルスを含むポックスウイルス、およびSV40を含むパピローマウイルスである。ウイルスベクターは、複製欠損性、条件欠損性、または複製可能であってよい。同様に企図されるのは、脂質をベースとするビヒクルを含む非ウイルス送達系である。]
[0100] C.ベクターおよび発現構築物
用語「ベクター」は、そこで複製および/または発現できる細胞内に導入するためにその中に核酸配列を挿入できる担体核酸分子を意味する。核酸配列は、その中にベクターが導入される細胞にとって異種である、またはその配列が細胞内の配列とは同種であるが宿主細胞核酸内のその配列がもともとは見出されない位置にあることを意味する「外因性」または「異種」であってよい。ベクターには、プラスミド、コスミド、ウイルス(バクテリオファージ、動物ウイルス、および植物ウイルス)、ならびに人工染色体(例えば、YAC)が含まれる。当業者であれば、標準組み換え技術を通してベクターを構築する備えができている(例えば、どちらも参照により本明細書に組み入れられるSambrook et al., 2001およびAusubel et al., 1996を参照)。]
[0101] 用語「発現ベクター」は、転写されることが可能なRNAをコードする核酸を含む任意のタイプの遺伝子構築物を意味する。一部の場合には、RNA分子は次にタンパク質、ポリペプチド、またはペプチドに翻訳される。発現ベクターは、特定宿主細胞内の機能的に連結されたコーディング配列の転写および場合により翻訳のために必要な核酸配列を意味する、様々な「制御配列」を含むことができる。転写および翻訳を支配する制御配列に加えて、ベクターおよび発現ベクターは、他の機能、ならびに以下に記載する機能に役立つ核酸配列を含有することができる。]
[0102] p53またはp53以外の治療用遺伝子を発現させるためには、発現ベクターを用意することが不可欠である。適切な核酸は、標準サブクローニング技術によって発現ベクター内に挿入することができる。これらのベクターの操作は、当技術分野において周知である。融合タンパク質発現系の例は、グルタチオンS-トランスフェラーゼ系(Pharmacia社、ニュージャージー州ピスカタウェイ)、マルトース結合タンパク質系(NEB社、マサチューセッツ州ベバリー)、FLAG系(IBI社、コネチカット州ニューヘブン)、および6xHis系(Qiagen社、カリフォルニア州キャッツワース)である。]
[0103] さらにまた別の態様では、使用される発現系は、バキュロウイルス・ポリへドロンプロモーターによって駆動される発現系である。タンパク質をコードする遺伝子は、バキュロウイルスベクター内へのクローニングを促進するために標準技術によって操作することができる。特定のバキュロウイルスベクターは、pBlueBacベクター(Invitrogen社、カリフォルニア州ソレント)である。当該の遺伝子を運ぶベクターは、標準プロトコルによってヨウトガ(Spodoptera frugiperda)(Sf9)細胞内にトランスフェクトされ、この細胞は組換えタンパク質を生成するために培養および処理される。バキュロウイルスに曝露させられた哺乳動物細胞は感染させられ、異種遺伝子だけを発現することができる。このようにして、用量依存性方法で全細胞を形質転換させ、この遺伝子を発現させることができる。]
[0104] その中で組換えポリペプチドを生成できる適切なビヒクルを提供する様々な真核細胞ベクターもまた存在する。HSVは、組織培養中で極めて多数の外来遺伝子を発現させるため、ならびにその内在性遺伝子の高レベル発現のために使用されてきた。例えば、ニワトリオブアルブミン遺伝子は、αプロモーターを用いてHSVから発現させられてきた(Herz and Roizman(1983))。lacZ遺伝子はさらにまた、様々なHSVプロモーター下で発現させられてきた。]
[0105] 本出願を通して、用語「発現構築物」は、核酸コーディング配列の一部または全部が転写され得る遺伝子産物をコードする核酸を含有するあらゆるタイプの遺伝子構築物を含むことを意味している。転写産物は、タンパク質に翻訳することができるが、そうする必要はない。そこで所定の態様では、発現は遺伝子の転写および遺伝子産物へのRNAの翻訳の両方を含んでいる。他の態様では、発現は、核酸の転写だけを含んでいる。]
[0106] 特定の態様では、核酸は、プロモーターの転写制御下にある。「プロモーター」が遺伝子の特異的転写を開始するために必要とされる、細胞の合成機構によって認識される、または合成機構に導入されるDNA配列を意味する。語句「転写制御下」は、プロモーターは、遺伝子のRNAポリメラーゼの開始および発現を制御するために核酸に関連する正確な場所および方向付けにあることを意味する。]
[0107] 用語プロモーターは、本明細書では、RNAポリメラーゼIIのための開始部位の周囲で集団になっている一群の転写制御モジュールを意味する。プロモーターが組織化される方法についての考察の多くは、HSVチミジンキナーゼ(tk)およびSV40初期転写単位のためのウイルスプロモーターを含む数種のウイルスプロモーターの分析から引き出される。より最近の研究によって増強されるこれらの試験は、各々が約7〜20bpのDNAからなり、転写活性化因子もしくはレプレッサータンパク質のための一つまたは複数の認識部位を含有する離散的機能モジュールからプロモーターが構成されることを示す。]
[0108] 各プロモーター内の少なくとも一つのモジュールは、RNA合成のための開始位置をポジショニングするために機能する。これの最も公知の例はTATAボックスであるが、例えば哺乳動物末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ遺伝子のためのプロモーターおよびSV40後期遺伝子のためのプロモーターなどのTATAボックスが欠如している一部のプロモーターでは、開始部位の上にある離散エレメント自体が開始の場所を固定するために役立つ。]
[0109] 追加のプロモーターエレメントは、転写開始の頻度を調節する。典型的には、これらは開始部位の30〜110bp上流の領域に局在するが、多数のプロモーターは、最近、同様に開始部位の下流に機能的エレメントを含有することが証明されている。プロモーターエレメント間の間隔は柔軟性であることが多いので、プロモーター機能はエレメントが相互に対して反転または移動させられている場合でも保存されている。tkプロモーターでは、プロモーターエレメント間の間隔は活性が低下し始める前に50bp離れるように増加させることができる。プロモーターに依存して、個別エレメントは、転写を活性化するために協働して、または独立してのいずれかで機能できると思われる。]
[0110] 核酸の発現を制御するために使用される特定プロモーターは、標的細胞内で上記核酸を発現することができる限り、重要であるとは考えられない。そこで、ヒト細胞が標的とされる場合は、特別にはヒト細胞内で発現させることのできるプロモーターに隣接させて、およびプロモーターの制御下に核酸コーディング領域をポジショニングするためである。一般に言うと、そのようなプロモーターは、ヒトまたはウイルスプロモーターのいずれかを含むことができる。]
[0111] 様々な他の態様では、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)前初期遺伝子プロモーター、SV40初期プロモーターおよびルース(Rous)肉腫のウイルス長い末端反復を使用すると、導入遺伝子の高レベル発現を得ることができる。導入遺伝子の発現を達成するために当技術分野において周知である他のウイルスもしくは哺乳動物細胞もしくは細菌ファージプロモーターの使用は、発現レベルが所定の目的に十分であることを前提に、同様に企図されている。]
[0112] エンハンサーは、DNAの同一分子上の遠く離れた位置に局在するプロモーターからの転写を増加させた遺伝子エレメントとして最初に検出された。大きな距離にわたって作用するこの能力は、原核細胞転写調節の伝統的試験においてはほとんど前例がなかった。その後の研究は、エンハンサー活性を備えるDNAの領域が多数の同様のプロモーターから組織されることを証明した。つまり、それらは、各々が一つまたは複数の転写タンパク質に結合する多数の個別エレメントから構成される。]
[0113] エンハンサーとプロモーターとの間の基本的識別は操作可能である。全体としてのエンハンサー領域は、ある間隔をあけて転写を刺激することができなければならない。これはプロモーター領域またはその構成エレメントについて当てはまる必要はない。他方では、プロモーターは特定部位、および特定方向付けでRNA合成の開始を支持する一つまたは複数のエレメントを有していなければならないが、他方エンハンサーはこれらの特異性に欠けている。プロモーターおよびエンハンサーは、重複および連続していることが多く、極めて類似のモジュール構造化を有するように見えることが多い。]
[0114] さらに、任意のプロモーター/エンハンサーの組み合わせ(Eukaryotic Promoter Data Base:EPDBによる)は、さらにまた導入遺伝子の発現を駆動するためにも使用できる。T3、T7またはSP6細胞質発現系は、また別の可能性のある態様である。真核細胞は、適切な細菌ポリメラーゼが、送達複合体の一部または追加の遺伝子発現構築物のいずれかとして提供される場合は、所定の細菌プロモーターからの細胞質転写を支持することができる。]
[0115] 当業者は、転写産物の適正なポリアデニル化を実施するために典型的にはポリアデニル化シグナルを含める。ポリアデニル化シグナルの性質は、本発明の実施に成功するために重要であるとは考えられず、任意のそのような配列が使用されてよい。特定の態様には、便宜的で様々な標的細胞内で良好に機能することが公知であるSV40ポリアデニル化シグナルおよびウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナルを含んでいる。発現カセットの1エレメントとして同様に企図されるのは、ターミネーターである。これらのエレメントは、メッセージレベルを増強し、カセットから他の配列内への読過し(read through)を最小限に抑えるために機能できる。]
[0116] 特異的な開始シグナルは、コーディング配列の十分な翻訳のためにもまた必要とされることがある。これらのシグナルには、ATG開始コドンおよび隣接配列が含まれる。ATG開始コドンを含む外因性翻訳制御シグナルは、提供される必要がある。当業者であれば、これを容易に決定して、必要なシグナルを提供することができる。開始コドンが、全インサートの翻訳を保証するために所望のコーディング配列のリーディングフレームと「インフレーム」でなければならないことは周知である。外因性翻訳制御シグナルおよび開始コドンは、天然または合成のいずれかであってよい。発現の有効性は、適切な転写エンハンサーエレメントの包含によって増強することができる(Bittner et al., 1987)。]
[0117] 本発明の様々な態様では、発現構築物は、ウイルスゲノムに由来するウイルスまたは遺伝子組換え構築物を含むことができる。所定のウイルスがレポーター媒介性エンドサイトーシスを介して細胞内に浸入し、宿主細胞ゲノム内に統合されてウイルス遺伝子を安定性および効率的に発現する能力は、それらを哺乳動物細胞内へ外来遺伝子を導入するための魅力的候補にしてきた(Ridgeway, 1988;Nicolas and Rubenstein, 1988;Baichwal and Sugden, 1986;Temin, 1986)。ベクターとして使用される第1ウイルスは、パポバウイルス(シミアンウイルス40、ウシパピローマウイルス、およびポリオーマ)(Ridgeway, 1988;Baichwal and Sugden, 1986)およびアデノウイルス(Ridgeway, 1988;Baichwal and Sugden, 1986)およびアデノ関連ウイルスを含むDNAウイルスであった。レトロウイルスもまた、ワクシニアウイルス(Ridgeway, 1988)およびアデノ関連ウイルス(Ridgeway, 1988)と同様に、魅力的な遺伝子導入ビヒクル(Nicolas and Rubenstein, 1988;Temin, 1986)である。そのようなベクターは、(i)当該のタンパク質を発現させるためにインビトロで細胞系を形質転換させるため、または(ii)遺伝子療法シナリオにおいて治療用ポリペプチドを提供するためにインビトロもしくはインビボで細胞を形質転換させるために使用できる。]
[0118] a.ウイルスベクター
ウイルスベクターは、核酸および場合によりタンパク質を細胞内に導入するためにウイルス配列を利用する1種の発現構築物である。所定のウイルスがレポーター媒介性エンドサイトーシスを介して細胞を感染させる、もしくは細胞内に浸入する、およびウイルス遺伝子を安定性および効率的に発現する能力は、それらを細胞(例えば、哺乳動物細胞)内へ外来核酸を導入するための魅力的な候補にしてきた。本発明のベクター成分は、一つまたは複数の候補物質または例えば免疫調節剤もしくは候補物質のためのアジュバントなどの他の成分をコードするウイルスベクターであってよい。以下では、本発明の核酸を引き出すために使用できるウイルスベクターの非限定的な例について記載する。]
[0119] アデノウイルスは、非エンベロープ二本鎖DNAウイルスである。ビリオンは、タンパク質カプシド内のDNA-タンパク質コアからなる。ビリオンが特定の細胞レポーターに結合して取り込まれる(エンドサイトーシスされる)と、ゲノムがエンドソームから押し出され、核へ輸送される。ゲノムは、約36遺伝子をコードする、36kbである。核内では「前初期」E1Aタンパク質が最初に発現され、これらのタンパク質はE1B、E2、E3、およびE4転写単位によってコードされる「遅延初期」タンパク質の発現を誘導する。ビリオンは感染後(p.i.)約1日に核内で集合し、2〜3日後に細胞は溶解し、子孫ウイルスを放出する。細胞溶解は、「アデノウイルス死タンパク質"adenovirus death protein"」(ADP)と改名されているE3 11.6Kタンパク質によって媒介される。]
[0120] アデノウイルスは、その中サイズのゲノム、操作の容易さ、高力価、広い標的細胞範囲および高感染性のために遺伝子導入ベクターとして使用するために特に適合する。ウイルスゲノムの両端はウイルスDNA複製およびパッケージングのために必要なシスエレメントである、100〜200塩基対の逆方向反復(ITR)を含有している。ゲノムの初期(E)および後期(L)領域は、ウイルスDNA複製の開始によって分割される相違する転写単位を含有している。E1領域(E1AおよびE1B)は、ウイルスゲノムおよび少数の細胞遺伝子の転写調節の責任を負うタンパク質をコードする。E2領域(E2AおよびE2B)の発現は、ウイルスDNA複製のためのタンパク質の合成を生じさせる。これらのタンパク質は、DNA複製、後期遺伝子発現および宿主細胞遮断に関係している(Renan, 1990)。ウイルスカプシドタンパク質の大多数を含む後期遺伝子の産物は、主要後期プロモーター(MLP)によって出される単一の一次転写産物の有意なプロセッシング後にのみ発現させられる。MLP(16.8 m.u.に所在する)は、感染の後期中に特に効率的であり、このプロモーターに由来する全mRNAは、それらを翻訳のために特定mRNAにさせる5'-トリパータイトリーダー(TPL)配列を有する。]
[0121] アデノウイルスは、51種の公知の血清型またはサブグループA〜Fのいずれかであってよい。サブグループCのアデノウイルス5型は、それについてほとんどの生化学的および遺伝的情報が公知であるヒトアデノウイルスであり、これは従来ベクターとしてアデノウイルスを使用する大多数の構築のために使用されてきた。組換えアデノウイルスは、シャトルベクターとプロウイルスベクターとの間の相同組換えから生成されることが多い。2つのプロウイルスベクター間の可能性のある組換えに起因して、このプロセスから野生型アデノウイルスを生成することができる。このため、個別プラーク由来のウイルスの単一クローンを単離してそのゲノム構造を試験することが極めて重要である。]
[0122] 遺伝子療法に使用されるウイルスは、複製可能または複製欠損のいずれであってもよい。複製欠損性であるアデノウイルスベクターの生成および繁殖は、Ad5DNAフラグメントを用いてヒト胚腎細胞によって調製される293細胞になるプロトタイプであるヘルパー細胞系に依存する;この細胞系は、E1タンパク質を構成的に発現する(Graham et al., 1977)。しかし、ヘルパー細胞系は、例えばヒト胚腎細胞、筋細胞、造血細胞またはヒト胚間葉もしくは上皮細胞などのヒト細胞由来であってよい。または、ヘルパー細胞は、ヒトアデノウイルスのために許容状態にある他の哺乳動物細胞腫の細胞に由来してよい。そのような細胞には、例えば、ベロ細胞または他のサル胚間葉もしくは上皮細胞が含まれる。上述したように、特定のヘルパー細胞系は、293である。]
[0123] Racher et al.(1995)は、293細胞を培養してアデノウイルスを繁殖させるための改良された方法を開示している。一つのフォーマットでは、天然細胞凝集体は、100〜200mLの培地を含有する1リットルのシリコン処理スピナーフラスコ(Techne社、英国ケンブリッジ)内に個別細胞を接種することによって成長させられる。40rpmで攪拌した後、トリパンブルーを用いて細胞生存性を推定する。また別のフォーマットでは、以下のようにFibra-Celマイクロキャリア(Bibby Sterlin社、英国ストーン)(5g/L)を使用する。5mLの培地中に再懸濁させた細胞接種材料を250mLのエルレンマイヤーフラスコ内のキャリア(50mL)に加え、1〜4時間にわたり、時たま攪拌しながら静止させて放置した。この培地を次に50mLの新鮮培地と取り替え、振とうを開始した。ウイルス産生のため、細胞は約80%コンフルエンスまで増殖させ、その時間の経過後に培地を(最終量の25%まで)取り替え、0.05のMOIでアデノウイルスを加えた。培養を一晩は静止させて放置し、その後に容量を100%へ増加させ、さらに72時間にわたり振とうを開始した。]
[0124] アデノウイルスの増殖および操作は当業者には公知であり、インビトロおよびインビボの広汎な宿主範囲を示す。このウイルス群は、109〜1013pfu(プラーク形成単位)/mLの高力価で入手することができ、それらは高度に感染性である。アデノウイルスの生活環は、宿主細胞ゲノム内への統合を必要としない。アデノウイルスベクター由来の外来遺伝子はエピソーム性であり、このため、宿主細胞には低遺伝毒性を有する。野生型アデノウイルスを用いたワクチン接種に関する試験では副作用は報告されておらず(Couch et al., 1963;Top et al., 1971)、インビボ遺伝子導入ベクターとしてのそれらの安全性および治療可能性を証明している。]
[0125] アデノウイルスベクターは、真核細胞遺伝子発現(Levrero et al., 1991;Gomez-Foix et al., 1992)およびワクチン開発(Grunhaus and Horwitz, 1992;Graham and Prevec, 1992)において使用されてきた。動物試験は、組換えアデノウイルスを遺伝子療法のために使用できることを示唆してきた(Stratford-Perricaudet and Perricaudet, 1991;Stratford-Perricaudet et al., 1990;Rich et al., 1993)。様々な組織へ組換えアデノウイルスを投与する試験には、気管点滴(Rosenfeld et al., 1991;Rosenfeld et al., 1992)、筋肉注射(Ragot et al., 1993)、末梢静脈注射(Herz and Gerard, 1993)および脳内への定位接種(Le Gal La Salle et al., 1993)が含まれる。]
[0126] 上述したように、アデノウイルスベクターは、複製欠損または複製可能のいずれかである組換えアデノウイルスをベースとしている。典型的な複製欠損アデノウイルスベクターはE1AおよびE1B遺伝子(集合的にE1として公知である)が欠如しており、それらの場所に外来遺伝子の発現を駆動するプロモーターおよびプレ-mRNAプロセッシングシグナルからなる発現カセットを含有している。これらのベクターは、Ad遺伝子発現およびDNA複製を誘導するために必要とされるE1A遺伝子が欠如するために、複製することができない。さらに、E3遺伝子は、それらが培養細胞内でのウイルス複製のために必須ではないために欠失していてよい。当技術分野においては、複製欠損アデノウイルスベクターが療法に使用するためにそれらを準最適にさせる幾つかの特性を有することは認識されている。例えば、複製欠損アデノウイルスベクターの産生は、それらがE1Aタンパク質をトランスで提供する相補的細胞系上で増殖させることを必要とする。]
[0127] 幾つかのグループは、治療使用するために複製可能アデノウイルスベクターを使用することもまた提案している。複製可能ベクターは複製のために必須のアデノウイルス遺伝子を保持しているので、このため複製のために相補的細胞系を必要としない。複製可能アデノウイルスベクターは、ベクターの生活環の自然な一部として細胞を溶解する。複製可能アデノウイルスベクターの一つの利点は、上記ベクターが外来タンパク質をコードして発現するように組換えられている場合に発生する。そのようなベクターは、ベクターが複製するにつれてコードされたタンパク質の合成を大きく増幅させると予測される。抗癌剤として使用するためには、複製可能ウイルスベクターは、理論的には、それらが複製欠損ベクターを用いた場合と同様に初期感染細胞においてだけではなく、腫瘍全体を通して複製して広がる点で有益である。]
[0128] さらに別のアプローチは、条件により複製可能であるウイルスを作製することである。Onyx Pharmaceuticals社は最近、非腫瘍性細胞内で複製欠損性であるが、機能的p53および/または網膜芽細胞腫(pRB)腫瘍サプレッサータンパク質が欠如している腫瘍細胞内での複製表現型を示すアデノウイルスをベースとする抗癌ベクターについて報告した(米国特許第5,677,178号)。この表現型は、報告によれば、E1B-55Kタンパク質をp53に結合することを不可能にさせるE1B領域内での突然変異および/またはコードされたE1Aタンパク質(p289Rまたはp243R)をpRBおよび/またはp300および/またはp107へ結合することを不可能にさせるE1A領域内での突然変異を含有する組換えアデノウイルスを用いることによって実施される。E1B-55Kは、少なくとも2つの独立した機能を有している;E1B-55Kは、腫瘍サプレッサータンパク質p53に結合して不活性化し、核からのAdmRNAの効率的輸送のために必要とされる。これらのE1BおよびE1Aウイルスタンパク質は、アデノウイルスDNAの複製のために必要とされるS期に細胞を推し進めることに関係しているために、そしてp53およびpRBタンパク質は細胞周期進行を遮断するので、Onyx社によって記載された組換えアデノウイルスベクターは、多数の癌細胞については該当するp53および/またはpRBが欠損性の細胞内では複製するはずであるが、野生型p53および/またはpRBを備える細胞内では複製しない。]
[0129] また別の複製可能アデノウイルスベクターは、単純ヘルペスウイルス・チミジンキナーゼ遺伝子と置換されたE1B-55Kに対する遺伝子を有している(Wilder et al., 1999a)。このベクターを構築したグループは、ベクターとガンシクロビルとの組み合わせがヌードマウスモデルにおいてヒト大腸癌に及ぼす治療作用を示すと報告した(Wilder et al., 1999b)。しかし、このベクターにはADPに対する遺伝子が欠如しているので、したがって、このベクターは、ADPを発現する同等のベクターより非効率的に、細胞を溶解させて細胞から細胞に広がる。]
[0130] また、p53を過剰発現するアデノウイルスベクターを作製するために様々なプロモーター系を利用することができる。ベクターはまた、複製可能または条件により複製性であってよい。遺伝子組換えアデノウイルスの他のバージョンには、p300および/またはRbファミリーメンバーのメンバーにE1Aが結合する能力を崩壊させること、または6.7K、gp19K、RIDα(10.4Kとしても公知である);RIDβ(14.5Kとしても公知である)および14.7Kからなる群より選択される少なくとも一つのE3タンパク質の発現が欠如するアデノウイルスベクターが含まれる。野生型E3タンパク質は免疫媒介性炎症および/またはアデノウイルス感染細胞のアポトーシスを阻害するので、これらのE3タンパク質の一つまたは複数が欠如する組換えアデノウイルスは、アデノウイルスで治療された腫瘍内への炎症および免疫細胞の浸潤を刺激することができ、この宿主免疫応答は腫瘍ならびに転移している腫瘍の破壊に役立つ。E3領域内での突然変異はその野生型機能を損傷させ、ウイルス感染細胞を宿主の免疫系による攻撃に感受性にさせる。これらのウイルスは、米国特許第6,627,190号に記載されている。]
[0131] その他のアデノウイルスベクターは、米国特許第5,670,488号;第5,747,869号;第5,932,210号;第5,981,225号;第6,069,134号;第6,136,594号;第6,143,290号;第6,210,939号;第6,296,845号;第6,410,010号;および第6,511,184号;米国特許出願公開第2002/0028785号に記載されている。]
[0132] 腫瘍崩壊性ウイルスもまた、本発明におけるベクターとして企図されている。腫瘍崩壊性ウイルスは、本明細書ではそれらが正常細胞を殺滅するよりはるかに頻回に腫瘍または癌細胞を殺滅するウイルスを一般に意味すると規定されている。例示的な腫瘍崩壊性ウイルスには、ADPを過剰発現するアデノウイルスが含まれる。これらのウイルスは、各々が本出願のこのセクションおよび本出願の全ての他のセクションに全体として参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願公開第20040213764号、米国特許出願公開第20020028785号、および米国特許出願第09/351,778号の中で詳細に考察されている。例示的な腫瘍崩壊性ウイルスは、本明細書のどこかの場所で考察されている。当業者であれば、本発明の薬学的組成物および方法において適用できる他の腫瘍崩壊性ウイルスについて精通している。]
[0133] アデノ関連ウイルス(AAV)は、高い統合回数を有し、非分裂細胞を感染させることができ、そこで例えば組織培養中(Muzyczka, 1992)またはインビボで哺乳動物細胞内への遺伝子送達のために有用であるので、本発明の方法において使用するために魅力的なベクター系である。AAVは、感染性について広汎な宿主範囲を有する(Tratschin et al., 1984;Laughlin et al., 1986;Lebkowski et al., 1988;McLaughlin et al., 1988)。rAAVベクターの生成および使用に関する詳細は、各々が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,139,941号および第4,797,368号に記載されている。]
[0134] レトロウイルスは、それらの遺伝子を宿主ゲノム内に統合し、大量の外来遺伝子材料を移動させ、広域スペクトルの種および細胞タイプに感染させ、特殊細胞系内にパッケージングされるそれらの能力に起因して治療用ベクターとしての前途を有している(Miller, 1992)。]
[0135] レトロウイルスベクターを構築するために、核酸は、複製欠損であるウイルスを生成するために所定のウイルス配列の代わりにウイルスゲノム内に挿入される。ビリオンを生成するために、gag、pol、およびenv遺伝子を含有するが、LTRおよびパッケージング成分を伴わないパッケージング細胞系が構築される(Mann et al., 1983)。レトロウイルスLTRおよびパッケージング配列と一緒にcDNAを含有する組換えプラスミドが特殊細胞系内に(例えば、リン酸カルシウム沈降法によって)導入されると、パッケージング配列は、組換えプラスミドのRNA転写産物がウイルス粒子内にパッケージングされることを可能にし、それらは次に培養培地中へ分泌される(Nicolas and Rubenstein, 1988;Temin, 1986;Mann et al., 1983)。次に組換えレトロウイルスを含有する培地が収集され、任意で濃縮させられ、遺伝子導入のために使用される。レトロウイルスベクターは、極めて様々な細胞タイプを感染させることができる。しかし、統合および安定性発現は、宿主細胞の分裂を必要とする(Paskind et al., 1975)。]
[0136] レンチウイルスは、一般的レトロウイルス遺伝子であるgag、pol、およびenvに加えて調節もしくは構造機能を備える他の遺伝子を含有している複合レトロウイルスである。レンチウイルスベクターは、当技術分野において周知である(例えば、Naldini et al., 1996;Zufferey et al., 1997;Blomer et al., 1997;米国特許第6,013,516号および第5,994,136号参照)。]
[0137] 組換えレンチウイルスベクターは、非分裂細胞を感染させることができ、インビボおよびエックスビボ遺伝子導入ならびに核酸配列の発現の両方のために使用できる。例えば、非分裂細胞を感染させることができる組換えレンチウイルスであって、適切な宿主細胞がパッケージング機能を有する2つ以上のベクター、つまりgag、polおよびenv、ならびにrevおよびtatを用いてトランスフェクトされる組換えレンチウイルスについては、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,994,136号に記載されている。組換えウイルスは、特定細胞タイプの受容体へターゲティングするために、エンベロープタンパク質と抗体または特定リガンドとの連結によって標的とすることができる。当該の配列(調節領域を含む)を、例えば特定標的細胞上の受容体のためのリガンドをコードするまた別の遺伝子と一緒に、ウイルスベクター内に挿入することによって、これでベクターは標的特異的である。]
[0138] 単純ヘルペスウイルス(HSV)はニューロン細胞に対する向性に起因する神経系障害を治療することに相当に大きな関心を生み出したが、このベクターはその広い宿主範囲を前提にすると他の組織に対して利用することもできる。HSVを魅力的なベクターにさせるまた別の因子は、ゲノムのサイズおよび組織である。HSVは大きいので、同義遺伝子または発現カセットの組み込みは、他の小さなウイルス系より問題が少ない。さらに、様々な性能(時間的、強度など)を備える様々なウイルス制御配列の利用可能性は、他の系におけるより大きな程度まで発現を制御することを可能にする。ウイルスがほとんどスプライスされていないメッセージを有しており、遺伝子操作をさらに容易にすることもまた一つの利点である。]
[0139] HSVもまた操作が相当に容易であり、高力価へ増殖させることができる。そこで、送達は十分なMOIを達成するために必要とされる容量および反復投与に対する必要の縮小の両方に関して問題が少ない。遺伝子療法ベクターとしてのHSVのレビューに関しては、Glorioso et al.(1995)を参照されたい。]
[0140] サブタイプ1および2を付けて指名されるHSVは、世界中で数百万人のヒト被検体を感染させる、人が遭遇する最も一般的な感染物質であるエンベロープウイルスである。大きな複合二本鎖DNAゲノムは、それらの一部はスプライスされた転写産物に由来する、たくさんの相違する遺伝子産物をコードする。ビリオンおよびエンベロープ構造成分に加えて、ウイルスはプロテアーゼ、リボヌクレオチドレダクターゼ、DNAポリメラーゼ、ssDNA結合タンパク質、ヘリカーゼ/プリマーゼ、DNA依存性ATPase、dUTPaseなどを含む極めて多数の他のタンパク質をコードする。]
[0141] HSV遺伝子は、それらの発現が協調的に調節され、カスケード法で連続的に順序付けられる幾つかのグループを形成する(Honess and Roizman, 1974;Honess and Roizman 1975)。感染後に発現させられる第1セットの遺伝子であるα遺伝子の発現は、ビリオンタンパク質16番、またはαトランス誘導因子によって増強される(Post et al., 1981;Batterson and Roizman, 1983)。β遺伝子の発現は、機能的α遺伝子産物、最も著明にはα4遺伝子によってコードされるICP4を必要とする(DeLuca et al., 1985)。ビリオン構造タンパク質の大部分をコードする遺伝子の混成群であるγ遺伝子は、最適な発現のためにはウイルスDNA合成の開始を必要とする(Holland et al., 1980)。]
[0142] ゲノムの複雑さと一致して、HSVの生活環が極めて関係している。ウイルス粒子の合成、および最終的には細胞死を生じさせる溶菌サイクルに加えて、ウイルスは、現時点には未だ規定されていないシグナルの一部が溶菌サイクルの再発を誘発するまでゲノムが神経節内で維持される潜伏状態に入る能力を有している。HSVの非病原性変異体が開発されており、遺伝子療法の状況において使用するために容易に利用することができる(米国特許第5,672,344号)。]
[0143] ワクシニアウイルスベクターは、それらの構築の容易さ、入手される相当に高レベルの発現、広い宿主範囲およびDNAを運搬する大きな能力のために広範囲に使用されてきた。ワクシニアは、顕著な「A-T」優先傾向を示す約186kbの直鎖状二本鎖DNAゲノムを含有している。約10.5kbの逆方向末端反復はゲノムをフランキングする。必須遺伝子の大多数は、ポックスウイルス間でも最も高度に保存されている中央領域内に位置すると思われる。ワクシニアウイルスにおける推定オープンリーディングフレームの数は、150〜200に達する。どちらの鎖もコーディングではあるが、リーディングフレームの広汎な重複は一般的ではない。]
[0144] ワクシニアウイルスゲノム内には、少なくとも25kbを挿入することができる(Smith and Moss, 1983)。プロトタイプのワクシニアベクターは、同種組換えを介してウイルス・チミジンキナーゼ遺伝子内に挿入された導入遺伝子を含有している。ベクターは、tk-表現型に基づいて選択される。脳心筋炎ウイルスの未翻訳リーダー配列を包含すると、発現レベルは従来型ベクターの発現レベルより高く、24時間で感染細胞のタンパク質の10%以上に導入遺伝子が蓄積する(Elroy-Stein et al., 1989)。]
[0145] 送達すべき核酸は、特異的結合リガンドを発現するように遺伝子組み換えされている感染性ウイルス内に収容することができる。そこでウイルス粒子は、標的細胞の同種受容体へ特異的に結合して細胞へ内容物を送達する。レトロウイルスベクターの特異的ターゲティングを可能にするように設計された新規なアプローチは、ウイルスエンベロープへラクトース残基の化学的添加によるレトロウイルスの化学修飾に基づいて開発された。この修飾は、シアロ糖タンパク質受容体を介しての肝細胞の特異的感染を可能にできる。]
[0146] レトロウイルス・エンベロープタンパク質および特異的細胞受容体に対するビオチン化抗体が使用される、組換えレトロウイルスをターゲティングするためのまた別のアプローチが設計された。抗体は、ストレプトアビジンを用いることによるビオチン成分を介して結合された(Roux et al., 1989)。主要組織適合性複合体クラスIおよびクラスII抗原に対する抗体を用いて、彼らは、インビトロでエコトロピックウイルスを用いてそれらの表面抗原を穿通する様々なヒト細胞の感染を証明した(Roux et al., 1989)。]
[0147] b.非ウイルス送達
脂質をベースとする非ウイルス調製物は、ウイルス遺伝子療法の代替法を提供する。多数の細胞培養試験は脂質をベースとする非ウイルス遺伝子導入を証明してきたが、脂質をベースとする調製物を介した全身性遺伝子療法は限定されてきた。非ウイルス性脂質をベースとする遺伝子送達の主要な限界は、非ウイルス送達ビヒクルを含むカチオン性脂質の毒性である。リポソームのインビボ毒性は、インビトロおよびインビボ遺伝子導入結果間の矛盾を部分的には説明する。この矛盾するデータの原因となるまた別の因子は、血清タンパク質の存在および非存在下でのリポソーム安定性における相違である。リポソームと血清タンパク質との間の相互作用は、リポソームの安定性特性に劇的な衝撃を及ぼす(Yang and Huang, 1997)。カチオン性リポソームは、負荷電血清タンパク質を誘引して結合する。血清タンパク質により被覆されたリポソームは、マクロファージによって溶解されるか取り込まれるかして、循環中からのリポソームの除去が導かれる。現在のインビボリポソーム送達法は、循環中のカチオン性脂質に関連する毒性および安全性の問題を回避するために、エアロゾル化、皮下、皮内、腫瘍内、または頭蓋内注射を使用する。リポソームと血漿タンパク質との相互作用は、インビトロ(Felgner et al., 1987)およびインビボ遺伝子導入(Zhu et al., 1993;Philip et al., 1993;Solodin et al., 1995;Thierry et al., 1995;Tsukamoto et al., 1995;Aksentijevich et al., 1996)との間の相違に大きく責任を担っている。]
[0148] リポソーム調製物における最近の進歩は、インビボでの遺伝子導入の効率を向上させた(参照により本明細書に組み入れられるTempleton et al. 1997;国際公開公報第98/07408号参照)。等モル比の1,2-ビス(オレオイルオキシ)-3-(トリメチルアンモニオ)プロパン(DOTAP)およびコレステロールから構成される新規なリポソーム調製物は、全身性インビボ遺伝子導入を有意に、約150倍増強する。DOTAP:コレステロール脂質調製物は、「サンドイッチリポソーム」と呼ばれる固有の構造を形成すると言われている。この調製物は、陥入二重層または「花瓶(vase)」構造間にDNAを「サンドイッチする」と報告されている。これらのリポソームの有益な特性には、正から負荷電もしくはρ、コレステロールによるコロイド安定化、二次元DNAパッキングおよび増加した血清安定性が含まれる。]
[0149] 脂質調製物の製造は、(I)逆相蒸発、(II)脱水-再水和、(III)界面活性剤透析、および(IV)薄膜水和後のリポソーム混合物の超音波処理または連続抽出によって実施されることが多い。製造されると、脂質構造は、循環中にあるときは毒性(化学療法薬)または不安定(核酸)である化合物を封入するために使用できる。リポソームによる封入は、そのような化合物のための低毒性およびより長い血清半減期を生じさせた(Gabizon et al., 1990)。多数の疾患の治療は、特別には過剰増殖性疾患を治療するための療法である従来型もしく療法を増強または新規療法を確立するために、脂質をベースとする遺伝子導入戦略を使用している。]
[0150] リポソームは、脂質二重層および内部水性媒体を特徴とする多孔質構造である。多重膜リポソームは、水性媒体によって分離された複数の脂質層を有している。それらは、脂質が過剰の水溶液中に懸濁させられた場合に自然に形成される。脂質成分は、脂質二重層間に水および溶解溶質を取り込んでいる構造の形成前に、自己再配列を経験する(Ghosh and Bachhawat, 1991)。脂肪親和性分子または脂肪親和性領域を備える分子は、脂質二重層内に溶解する、または脂質二重層と連結することもできる。]
[0151] リポソームは、核酸が完全に隔離されるように、生物活性核酸を運搬することができる。リポソームは、一つまたは複数の核酸を含有することができ、標的細胞へその内容物を効率的に送達するために哺乳動物宿主に投与される。リポソームは、DOTAPおよびコレステロールもしくはコレステロール誘導体を含むことができる。所定の態様では、DOTAP対コレステロール、コレステロール誘導体もしくはコレステロール混合物の比率は、約10:1〜約1:10、約9:1〜約1:9、約8:1〜約1:8、約7:1〜約1:7、約6:1〜約1:6、約5:1〜約1:5、約4:1〜約1:4、約3:1〜1:3、2:1〜1:2、および1:1である。別の態様では、DOTAPおよび/またはコレステロール濃度は、約1mM、2mM、3mM、4mM、5mM、6mM、7mM、8mM、9mM、10mM、11mM、12mM、13mM、14mM、15mM、16mM、17mM、18mM、19mM、20mM、25mM、または30mMである。DOTAPおよび/またはコレステロール濃度は、約1mM〜約20mM、1mM〜約18mM、1mM〜約16mM、約1mM〜約14mM、約1mM〜約12mM、約1mM〜約10mM、1〜8mM、2〜7mM、3〜6mMおよび4〜5mMであってよい。コレステロール誘導体は、本発明においては、コレステロールと容易に置換することができる、またはコレステロールと混合することができる。多数のコレステロール誘導体は、当業者には公知である。例には、酢酸コレステロールおよびオレイン酸コレステロールが含まれるが、それには限定されない。コレステロール混合物は、少なくとも一つのコレステロールもしくはコレステロール誘導体を含有する組成物を意味する。]
[0152] 本調製物は、膜もしくはフィルターを用いて押し出すこともでき、これは複数回実施することができる。そのような技術は、当業者には周知であり、例えばMartin(1990)に記載されている。押出は、本調製物を均質化する、またはそのサイズを制限するために実施できる。所定の態様においてリポソームを調製するための企図された方法は、それにより小さな安定性リポソーム構造の形成を生じさせる、孔径が減少するフィルターを通して脂質を加熱する、超音波処理する、および連続押出する工程である。この調製は、構造的に安定性で最大活性を生成する、適切で一様なサイズのみのリポソーム複合体もしくはリポソームを製造する。]
[0153] 例えば、本発明の所定の態様では、DOTAP:コレステロールリポソームがTempletonら(1997;参照により本明細書に組み入れられる)の方法によって調製されることが企図されている。そこで、一つの態様では、DOTAP(カチオン性脂質)は等モル濃度でコレステロール(中性脂質)と混合される。粉末状脂質のこの混合物は次にクロロホルムを用いて溶解させられ、その溶液は薄膜へ乾燥され、そのフィルムは20mM DOTAPおよび20mMコレステロールの最終濃度を得るために5(w/v)%デキストロースを含有する水溶液中で水和させられる。水和した脂質フィルムは45分間にわたり50℃、次にさらに10分間にわたり35℃での水浴中で回転させられ、室温で一晩放置される。翌日、この混合物は50℃で5分間にわたり超音波処理される。音波処理混合物は、チューブへ移され、50℃で10分間にわたり加熱される。この混合物は、孔径が減少する(1μm、0.45μm、0.2μm、0.1μm)シリンジフィルターに通して連続的に押し出される。]
权利要求:

請求項1
(a)腫瘍の腫瘍細胞が少なくとも一つの野生型p53対立遺伝子を含むかどうかを決定する工程、および/または(b)前記腫瘍の腫瘍細胞が、正常p53発現非腫瘍細胞中で発現するより高いレベルでp53タンパク質を発現するかどうかを決定する工程を含む、腫瘍を有するヒト被検体のためのp53遺伝子療法への好適な応答を予測する方法であって、前記細胞が:(i)少なくとも一つの野生型p53対立遺伝子を含む、および/または(ii)正常p53発現非腫瘍細胞中で発現するより高くないレベルのp53タンパク質を発現する、および/または(iii)正常p53発現非腫瘍細胞中で発現するより高いレベルであると規定された増加したレベルのp53タンパク質を発現し、該p53タンパク質が野生型p53の機能を阻害しないことが認められる場合は、(i)から(iii)のいずれか一つにより、被験体が該療法に対して好適な応答を有することを予測する工程を含む、前記方法。
請求項2
腫瘍細胞が、a)少なくとも一つの野生型p53対立遺伝子を含有していない場合、および/またはb)2つの変異p53対立遺伝子を含有している場合、および/またはc)正常p53発現正常細胞によって発現されるより高いレベルで変異p53タンパク質を発現し、そのような変異p53が野生型p53の機能を阻害することが認められる場合は、療法に対する不良な応答の指標である、請求項1記載の方法。
請求項3
他の療法が、メトトレキセートである、請求項46〜48のいずれか一項記載の方法。
請求項4
工程(a)が、p53の抗体検出を含む、請求項1記載の方法。
請求項5
工程(a)が、免疫組織化学検査を含む、請求項1記載の方法。
請求項6
工程(a)が、ELISA、イムノアッセイ、ラジオイムノアッセイ(RIA)、イムノラジオメトリックアッセイ、蛍光イムノアッセイ、化学発光アッセイ、生物発光アッセイ、ゲル電気泳動法、ウエスタンブロット分析またはインサイチュー・ハイブリダイゼーションアッセイを含む、請求項1記載の方法。
請求項7
工程(a)が、p53転写産物の増幅を含む、請求項1記載の方法。
請求項8
増幅が、PCRまたはRT-PCRを含む、請求項7記載の方法。
請求項9
工程(a)が、インサイチュー・ハイブリダイゼーション、ノーザンブロッティングまたはヌクレアーゼ保護を含む、請求項1記載の方法。
請求項10
工程(b)が、シーケンシング、遺伝子アレイまたは遺伝子チップを含む、請求項1記載の方法。
請求項11
ゲノム配列が、腫瘍の腫瘍細胞中で増幅される、請求項10記載の方法。
請求項12
腫瘍細胞が、パラフィン包埋される、請求項11記載の方法。
請求項13
変異p53が、DNA結合突然変異を含む、請求項2記載の方法。
請求項14
p53遺伝子療法が、Advexin(商標)である、請求項1および41〜45のいずれか一項記載の方法。
請求項15
腫瘍が、良性腫瘍増殖である、請求項1記載の方法。
請求項16
良性腫瘍増殖が、良性前立腺肥大、口腔白板症、大腸ポリープ、食道前癌性増殖または良性病変である、請求項15記載の方法。
請求項17
腫瘍が、癌である、請求項1記載の方法。
請求項18
癌が、口腔癌、口腔咽頭癌、鼻咽頭癌、呼吸器癌、泌尿生殖器癌、消化管癌、中枢もしくは末梢神経系組織癌、内分泌もしくは神経内分泌癌もしくは造血系癌、神経膠腫、肉腫、癌腫、リンパ腫、黒色腫、線維腫、髄膜腫、脳腫瘍、口腔咽頭癌、鼻咽頭癌、腎臓癌、胆道癌、褐色細胞腫、膵島細胞癌、リー・フラウメニ(Li-Fraumeni)腫瘍、甲状腺癌、副甲状腺癌、下垂体部腫瘍、副腎腫瘍、骨肉腫、多発性神経内分泌I型およびII型腫瘍、乳癌、肺癌、頭頸部癌、前立腺癌、食道癌、気管癌、肝臓癌、膀胱癌、胃癌、膵臓癌、卵巣癌、子宮癌、子宮頸癌、睾丸癌、大腸癌、直腸癌または皮膚癌などの癌である、請求項17記載の方法。
請求項19
癌が、扁平上皮癌(SCCHN)である、請求項18記載の方法。
請求項20
二次抗腫瘍療法をさらに含む、請求項1記載の方法。
請求項21
二次抗腫瘍療法が、遺伝子療法である、請求項20記載の方法。
請求項22
二次抗腫瘍療法が、化学療法である、請求項20記載の方法。
請求項23
二次抗腫瘍療法が、放射線療法である、請求項20記載の方法。
請求項24
二次抗腫瘍療法が、サイトカイン療法である、請求項20記載の方法。
請求項25
二次抗腫瘍療法が、抗血管新生療法である、請求項20記載の方法。
請求項26
p53遺伝子療法が、非ウイルスベクターによって送達される、請求項1記載の方法。
請求項27
非ウイルスベクターが、脂質ビヒクル内に封入される、請求項26記載の方法。
請求項28
脂質ビヒクルが、リポソームである、請求項27記載の方法。
請求項29
ビヒクルが、ナノ粒子である、請求項28記載の方法。
請求項30
p53遺伝子療法が、ウイルスベクターによって送達される、請求項1記載の方法。
請求項31
ウイルスベクターが、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ関連ウイルスベクター、ポックスウイルスベクター、ポリオーマウイルスベクター、レンチウイルスベクター、またはヘルペスウイルスベクターである、請求項30記載の方法。
請求項32
p53遺伝子療法が、局所領域遺伝子療法である、請求項1記載の方法。
請求項33
局所領域遺伝子療法が、限局性遺伝子療法を含む、請求項32記載の方法。
請求項34
限局性遺伝子療法が、腫瘍への直接注射を含む、請求項33記載の方法。
請求項35
限局性遺伝子療法が、腫瘍血管構造への注射を含む、請求項34記載の方法。
請求項36
局所領域遺伝子療法が、局所性遺伝子療法を含む、請求項32記載の方法。
請求項37
局所性遺伝子療法が、腫瘍関連リンパ管内への投与を含む、請求項36記載の方法。
請求項38
投与が、腹腔内、胸腔内、膀胱内、またはくも膜下投与を含む、請求項37記載の方法。
請求項39
局所性遺伝子療法が、腫瘍と関連する四肢の脈管系内への投与を含む、請求項36記載の方法。
請求項40
療法への好適な応答が、腫瘍サイズもしくは腫瘍組織量の減少、腫瘍増殖の遮断、腫瘍関連痛の減少、腫瘍関連病理の減少、腫瘍関連症状の減少、腫瘍の非進行、無病期間の増加、無増悪期間の増加、寛解の誘導、転移の減少、または患者生存期間の増加を含む、請求項1記載の方法。
請求項41
(a)腫瘍細胞が2つの野生型p53対立遺伝子を含むかどうかを決定する工程;およびそうであれば、その後に(b)被検体にp53遺伝子療法を投与する工程を含むとさらに規定された、請求項1記載の方法。
請求項42
(a)腫瘍細胞が少なくとも一つの野生型p53対立遺伝子を含むかどうか、および該腫瘍細胞がp53タンパク質を過剰発現しないかどうかを決定する工程;およびそうであれば、その後に(b)被検体にp53遺伝子療法を投与する工程を含むとさらに規定された、請求項1記載の方法。
請求項43
(a)腫瘍細胞がp53変異対立遺伝子を含まないかどうかを決定する工程;およびそうであれば、その後に(c)被検体にp53遺伝子療法を投与する工程を含むとさらに規定された、請求項1記載の方法。
請求項44
(a)腫瘍細胞が野生型p53の機能を阻害するp53変異タンパク質を過剰発現しないかどうかを決定する工程;ならびに、そうであれば、その後に(b)被検体にp53遺伝子療法を投与する工程を含むとさらに規定された、請求項1記載の方法。
請求項45
(a)腫瘍細胞が野生型p53の機能を阻害しないp53タンパク質を過剰発現するかどうかを決定する工程;ならびに、そうであれば、その後に(b)被検体にp53遺伝子療法を投与する工程を含むとさらに規定された、請求項1記載の方法。
請求項46
(a)腫瘍細胞が変異p53タンパク質を過剰発現するかどうか、およびそのような変異p53が野生型p53の機能を阻害するかどうかを決定する工程;ならびに、そうであれば、その後に(b)被検体にp53療法以外の療法を投与する工程を含むとさらに規定された、請求項1記載の方法。
請求項47
(a)腫瘍細胞が少なくとも一つの野生型p53対立遺伝子を含まないかどうかを決定する工程;ならびに、そうであれば、その後に(b)被検体にp53療法以外の療法を投与する工程を含むとさらに規定された、請求項1記載の方法。
請求項48
(a)腫瘍細胞が2つの変異p53対立遺伝子を含有するかどうかを決定する工程;ならびに、そうであれば、その後に(b)被検体にp53療法以外の療法を投与する工程を含むとさらに規定された、請求項1記載の方法。
請求項49
患者から腫瘍細胞を含む生物学的サンプルを入手する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
請求項50
(a)腫瘍サンプル中でp53タンパク質の量を検出するためのp53抗体又はプローブと;(b)p53遺伝子又は転写産物の構造を決定するための複数のプローブとを含む、キット。
类似技术:
公开号 | 公开日 | 专利标题
JP6419107B2|2018-11-07|治療タンパク質を条件的に発現するベクター、該ベクターを含む宿主細胞およびそれらの使用
Pernas et al.2014|Toxoplasma effector MAF1 mediates recruitment of host mitochondria and impacts the host response
US20190269744A1|2019-09-05|Biomarkers and combination therapies using oncolytic virus and immunomodulation
Pott et al.2018|Intestinal epithelial cell autophagy is required to protect against TNF-induced apoptosis during chronic colitis in mice
Maelfait et al.2017|Sensing of viral and endogenous RNA by ZBP 1/DAI induces necroptosis
US20200299775A1|2020-09-24|Novel ntrk1 fusion molecules and uses thereof
Yamamoto et al.2012|A cluster of interferon-γ-inducible p65 GTPases plays a critical role in host defense against Toxoplasma gondii
He et al.2015|Hepatitis D virus infection of mice expressing human sodium taurocholate co-transporting polypeptide
US20160206690A1|2016-07-21|Use of toll-like receptor agonist for treating cancer
Roz et al.2002|Restoration of fragile histidine triad | expression induces apoptosis and suppresses tumorigenicity in lung and cervical cancer cell lines
Garrett et al.2009|Colitis-associated colorectal cancer driven by T-bet deficiency in dendritic cells
Zhang et al.2002|Receptor‐mediated delivery of an antisense gene to human brain cancer cells
Muthana et al.2011|Use of macrophages to target therapeutic adenovirus to human prostate tumors
Zabarovsky et al.2002|Tumor suppressor genes on chromosome 3p involved in the pathogenesis of lung and other cancers
Strunze et al.2011|Kinesin-1-mediated capsid disassembly and disruption of the nuclear pore complex promote virus infection
Otake et al.2007|Overexpression of nucleolin in chronic lymphocytic leukemia cells induces stabilization of bcl2 mRNA
US20150306160A1|2015-10-29|Oncolytic adenovirus armed with therapeutic genes
DE69521994T3|2008-06-26|Zusammensetzungen welche dna zerstoerende agentien und p53 enthalten
Zhu et al.2002|A Kaposi's sarcoma-associated herpesviral protein inhibits virus-mediated induction of type I interferon by blocking IRF-7 phosphorylation and nuclear accumulation
Cox et al.1998|Identification of the mouse neuromuscular degeneration gene and mapping of a second site suppressor allele
Meng et al.2000|The TRAIL decoy receptor TRUNDD | is induced by adenovirus-p53 overexpression and can delay TRAIL-, p53-, and KILLER/DR5-dependent colon cancer apoptosis
Nemunaitis et al.2010|A phase I study of telomerase-specific replication competent oncolytic adenovirus | for various solid tumors
Seldin et al.1995|Casein kinase II alpha transgene-induced murine lymphoma: relation to theileriosis in cattle
DK2859120T3|2019-01-14|Method for diagnosis and prognosis of lung cancer metastasis
Guerra et al.2008|Vaccinia virus E3 protein prevents the antiviral action of ISG15
同族专利:
公开号 | 公开日
BRPI0907637A8|2017-10-31|
EP2245464A4|2011-06-29|
WO2009094647A3|2009-10-08|
JP2014222225A|2014-11-27|
EP2245464A2|2010-11-03|
AU2009206225B2|2015-04-23|
US20180156803A1|2018-06-07|
PL2245464T3|2017-08-31|
MX2010008168A|2011-02-24|
CA2713232C|2020-05-05|
DK2245464T3|2017-02-20|
CA2713232A1|2009-07-30|
CN102066937A|2011-05-18|
AU2009206225A1|2009-07-30|
HUE031940T2|2017-08-28|
CN106841616B|2019-06-04|
EP3159696A1|2017-04-26|
EP2245464B1|2016-12-14|
JP5674476B2|2015-02-25|
WO2009094647A2|2009-07-30|
CN106841616A|2017-06-13|
ES2617598T3|2017-06-19|
US9746471B2|2017-08-29|
US20110097389A1|2011-04-28|
JP5763809B2|2015-08-12|
MX356866B|2018-06-18|
BRPI0907637A2|2015-07-21|
引用文献:
公开号 | 申请日 | 公开日 | 申请人 | 专利标题
法律状态:
2012-01-26| A521| Written amendment|Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120125 |
2012-01-26| A621| Written request for application examination|Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20120125 |
2012-10-24| A977| Report on retrieval|Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20121024 |
2012-11-01| A131| Notification of reasons for refusal|Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20121031 |
2013-01-22| A601| Written request for extension of time|Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20130121 |
2013-01-29| A602| Written permission of extension of time|Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602 Effective date: 20130128 |
2013-04-24| A521| Written amendment|Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20130423 |
2014-02-06| A131| Notification of reasons for refusal|Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20140205 |
2014-05-08| A601| Written request for extension of time|Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20140507 |
2014-05-15| A602| Written permission of extension of time|Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602 Effective date: 20140514 |
2014-05-24| A521| Written amendment|Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20140523 |
2014-11-19| TRDD| Decision of grant or rejection written|
2014-11-27| A01| Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)|Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20141126 |
2015-01-08| A61| First payment of annual fees (during grant procedure)|Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20141222 |
2015-01-09| R150| Certificate of patent or registration of utility model|Ref document number: 5674476 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
2017-04-13| S533| Written request for registration of change of name|Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
2017-04-13| S531| Written request for registration of change of domicile|Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
2017-04-21| R350| Written notification of registration of transfer|Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
2018-01-16| R250| Receipt of annual fees|Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
2019-01-15| R250| Receipt of annual fees|Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
2020-01-14| R250| Receipt of annual fees|Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
2021-01-08| R250| Receipt of annual fees|Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
2022-01-07| R250| Receipt of annual fees|Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
优先权:
申请号 | 申请日 | 专利标题
[返回顶部]