![]() 心臓手術のための心停止液
专利摘要:
本発明は、改善された心停止液に関する。本発明は、最小限の組織虚血で、容易に可逆的かつ急速な電気化学的な停止を生ずる、心停止液および組成物を提供する。心停止液および組成物は、開心術、移植、心血管診断、または治療的介入の最中に臓器、特に心臓を停止、保護、および/または保存するために使用される。 公开号:JP2011512351A 申请号:JP2010546772 申请日:2009-02-10 公开日:2011-04-21 发明作者:ヘマント タッテ 申请人:アメリカ合衆国;プレジデント・アンド・フェロウズ・オブ・ハーバード・カレッジ; IPC主号:A01N1-02
专利说明:
[0001] 関連出願 本出願は、2008年2月15日に提出された米国特許出願第61/065,952号の利益を主張するものであり、その全体は参照により本明細書に組み入れられる。] [0002] 発明の分野 本発明は、開心術、心血管診断、または治療的介入の最中に臓器、特に心臓を停止、保護、および/または保存するための組成物に関する。] 背景技術 [0003] 発明の背景 現在の心停止液は、心筋気絶、心室性不整脈、虚血傷害、内皮細胞腫大、微小血管障害、および細胞死に関連し得る。従って、最小限の組織虚血で、容易に可逆的かつ急速な電気化学的な停止を生ずる心停止液を開発する必要がある。] [0004] 本発明は、改善された心停止液に関する。本発明は、最小限の組織虚血で、容易に可逆的かつ急速な電気化学的な停止を生ずる、心停止液および組成物を提供する。心停止液および組成物は、開心術、移植、心血管診断、または治療的介入の最中に臓器、特に心臓を停止、保護、および/または保存するために使用される。該心停止液および組成物は、生理食塩水および任意で一つまたは複数の下記の組成物を含む:ATP生成のための基質、カルシウムチャネル遮断薬、血管弛緩薬、細胞内酸性度の緩衝剤、抗酸化剤、および/または抗生物質。] [0005] 本発明は、生理食塩水、およびβ-アラニンを含む心停止液を提供する。任意で、該心停止液は、生理食塩水、β-アラニン、ならびに、アナンダミド、ミノサイクリン、ラシジピン、塩化カリウム、塩化マグネシウム、およびD-グルコースからなる群より選択される一つまたは複数の成分を含む。] [0006] また、本発明は、生理食塩水、β-アラニン、アナンダミド、ラシジピン、タウリン、およびミノサイクリンを含む心停止液も提供する。本発明は、生理食塩水、β-アラニン、およびアナンダミドを含む心停止液も提供する。別の局面において、本発明は、生理食塩水、β-アラニン、およびミノサイクリンを含む心停止液も提供する。さらに別の局面において、本発明は、生理食塩水、β-アラニン、およびラシジピンを含む心停止液も提供する。] [0007] アナンダミド、ミノサイクリン、および/またはラシジピンは、外科医の判断に基づき溶液中に存在しても、存在しなくてもよい。] [0008] 本発明は、生理食塩水を含む心停止液であって、カルシウムチャネル遮断薬、血管弛緩薬、細胞内酸性度の緩衝剤、抗酸化剤、および抗生物質からなる群より選択される少なくとも一つ、少なくとも二つ、少なくとも三つ、少なくとも四つ、または少なくとも五つの組成物をさらに含む心停止液を提供する。] [0009] 一つの局面において、本発明は、生理食塩水およびカルシウムチャネル遮断薬を含む、心停止液を提供する。任意で、該カルシウムチャネル遮断薬はラシジピンである。] [0010] また、本発明は、生理食塩水および血管弛緩薬を含む心停止液も提供する。一つの局面において、血管弛緩薬はアナンダミドである。] [0011] 本発明は、さらに、生理食塩水および細胞内酸性度の緩衝剤を含む心停止液も提供する。好ましくは、細胞内酸性度の緩衝剤はβ-アラニンである。] [0012] また、別の局面において、本発明は、生理食塩水および抗酸化剤を含む心停止液を提供する。任意で、抗酸化剤はタウリンである。] [0013] 本発明は、生理食塩水および抗生物質を含む心停止液も提供する。該抗生物質は好ましくはミノサイクリンである。] [0014] 本発明の心停止液は、任意で塩化カリウム、塩化マグネシウム、および/またはD-グルコースを含んでいてもよい。] [0015] 一つの局面において、本発明の心停止液は、以下のものを含む: 0.01〜3.00Lの蒸留水; 0.1〜0.5gm/Lの塩化カルシウム; 0.1〜0.5gm/Lの塩化カリウム; 0.01〜0.25gm/Lのリン酸カリウム(一塩基); 0.05〜0.5gm/Lの塩化マグネシウム(六水和物); 0.05〜0.5gm/Lの硫酸マグネシウム(七水和物); 5〜10gm/Lの塩化ナトリウム; 0.25〜0.75gm/Lの炭酸水素ナトリウム; 0.01〜0.1gm/Lのリン酸ナトリウム(二塩基;七水和物); 0.5〜2.5gm/LのD-グルコース; 0.25〜2.5gm/Lのアデノシン; 1〜5gm/Lのグルタチオン(還元); 0.01〜0.5gm/Lのアスコルビン酸; 0.5〜2.5gm/LのL-アルギニン; 0.1〜1gm/LのL-タウリン; 0.1〜1gm/Lのβ-アラニン; L-ヒスチジン; 1〜5gm/LのL-カルノシン; 0.1〜0.5gm/Lのクレアチン一水和物; 0.0001〜0.005gm/Lのアナンダミド; 0.1〜1gm/Lのミノサイクリン;および 0.00001〜0.001gm/Lのラシジピン。] [0016] pHの調整にはトリス-ヒドロキシメチル・アミノメタン(THAM)が使用される。本発明の心停止液は、好ましくは、インスリンを含まない。また、本明細書に記載の心停止液を含むキットも本発明に含まれる。] [0017] 一つの局面において、本発明の心停止液は、ナノメートル範囲の大きさの水クラスターを含む。任意で、本発明の溶液をナノサイズ化することにより、細胞膜を横切る効率を高めた。ナノサイズ化とは、粒径をサブミクロンの範囲の大きさに縮小させることを意味し、最終的な粒径は典型的には1〜10ηmである。粒径の縮小により、溶液が細胞膜を横切る効率は有意に上昇する。一つの局面において、この効率は上昇し、その結果少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、または少なくとも100%の溶液が細胞膜を横切る。] [0018] 本発明は、本明細書に記載の方法において本発明の溶液を使用する前にそれをナノサイズ化する工程を提供する。あるいは、本発明は、溶液の他の化合物/剤を加える前に水をナノサイズ化する工程を提供する。また、別の局面において、本発明は、溶液中で混合する前に、水をナノサイズ化し、溶液の各化合物/剤を別々にナノサイズ化する工程を提供する。] [0019] 一つの局面において、組成物は、ナノメートルの範囲の大きさの水の小胞または水クラスターを含む。任意で、水の小胞または水クラスターは、1〜10ηm、1〜25ηm、25〜50ηm、50〜75ηm、75〜100ηm、100〜200ηm、200〜500ηm、または500〜999ηmである。] [0020] 一つの局面において、本発明により提供される溶液は、順行性に投与される。あるいは、溶液は、逆行性に投与される。] [0021] また、別の局面において、上記溶液を使用前に血液と混合することにより、血液心停止液を形成する。任意で、血液:溶液の比率は、5:1、4:1、3:1、2:1、または1:1である。あるいは、血液:溶液の比率は、1:2、1:3、1:4、または1:5である。] [0022] 一つの例としては、本発明の成分は、粉末状であり、再構成してから使用される。好ましくは、成分は水中で再構成される。] [0023] 引用される刊行物は、本明細書に参考として組み入れられる。上記の概要ならびに以下の詳細な説明および実施例は、いずれも例示的なものに過ぎず、本発明の特許請求の範囲を限定するものではない。] 実施例 [0024] 発明の詳細な説明 毎年、米国では800,000件以上の開心術が実施され、ヨーロッパでは約1,000,000件実施されている。心臓血管手術および心臓弁手術(開心術として一般的に知られている)の最中には、心臓の麻痺を引き起こすことにより心臓のポンプ活動を停止させること、あるいは「心筋保護法」が必要となることが頻繁にある。心停止液は、心筋への損傷を最小限にしながら心臓の鼓動を中断させ、外科医が手術を行えるように心臓が動かないようにする。心臓は、開心術の最中、3時間まで停止させてもよい。40年以上にわたって、高カリウム心筋保護法(15〜20mMを超える)が心筋停止および保護の基準となってきた。現在、使用されている大多数の溶液が高濃度のカリウムを含有し、その例としては、広く使用されているSt Thomas No.2 Hospital Solutionがあり、これは一般的に110mM NaCl、16mM KCl、16mM MgCl2、1.2mM CaCl2、および10mM NaHCO3を含み、pHが約7.8である。高カリウム性の溶液は納得できる臨床結果を提供するものの、最近の証拠から、カリウムに誘発される進行性の脱分極は、再灌流期間中の心筋気絶、心室性不整脈、虚血傷害、内皮細胞腫大、微小血管障害、細胞死、およびポンプ機能の損失に関連し得るイオン性および代謝性不均衡をもたらすことが示唆されている。高いカリウム濃度に誘発された虚血が、平滑筋および内皮機能に損傷を与える場合もあることが報告されている。] [0025] 現在実施されているほぼ全ての主要な心臓外科手術において、心臓への血液の供給は局所的あるいは全体的に中断されており、従って、これは時間依存的な心筋虚血の発症のきっかけとなり、その重症度は、患者の術後結果の主要な決定因となる。心臓手術中の重篤で不可逆な心筋虚血障害を避けるために、様々な術中心筋保護手法が常に利用され、それには、長い期間全体的に血流を中断する間中ずっと、心臓へ心停止液を投与することが含まれる。心筋保護の分野においては多くの実験が行われているにも関わらず、手術前後の心筋傷害に対する不十分な保護が、心臓手術後の早期死亡および遅発性死亡の主要な原因の一つであり続けている。心筋組織pHのオンライン測定は、信頼できる形で心筋組織虚血の測定をリアルタイムで提供し、これは心臓手術を受ける特定の患者に施されている。心臓手術中に心筋pHを連続的に測定した約700名の患者から得られた経験は、心臓外科手術の最中に観察される心筋組織アシドーシスの度合いが、患者によってかなり違うことを明らかにした(Tantillo MB and KhuriSF, 1993, In Piper HM, Preusse CJ (eds): Ischemia-reperfusion in Cardiac Surgery, Netherlands, Kluwer Academic Publishers、Khuri SF et al., 1983, J Thorac Cardiovasc Surg, 86:667-78)。] [0026] 研究は、複数の系においてアシドーシスをアポトーシスの中心的要素として関係付けている(Webster KA et al., J Clin Invest, 104:239-252)。アシドーシスは低酸素状態にさらされた心筋細胞においてアポトーシスを惹起する実際のシグナルであり得る。アポトーシスによる心筋細胞死は、虚血および非虚血の両方に由来する心疾患を伴う。しかしながら、虚血性心疾患およびうっ血性心不全におけるアポトーシスの起因事象および機構についてはあまり知られていない。循環している、心房性ナトリウム利尿ペプチド、TNF-α、アンジオテンシンII、ノルエピネフリン、エンドセリン等の神経液性因子は、慢性うっ血性心不全において上昇しており、アポトーシスに寄与し得る。壁応力や伸縮等の機械的要因も関与し得るが、虚血再灌流中に発生する酸素フリーラジカルが直接的に関与しているという有力な証拠がある。その他の研究は、一部の細胞型において細胞内の酸性化がしばしばアポトーシスと結び付けられることを示しているが、これら二つの関係は、明らかでない。すべての虚血状態は、代謝廃棄物の洗い流しの減少が関わっていて、結果的にアシドーシスは、虚血組織に共通する特徴である。虚血性心筋組織において、細胞外における酸の蓄積は、他のイオンチャネル活性に影響を及ぼし、[Ca2+]I、[pH]I、および収縮性に大きな影響を与え得る。] [0027] 心停止液の一般的目的 心肺バイパス(CPB)または体外循環は、心臓血管手術において人工的手段により開始される極めて精巧な生命維持システムである。このシステムは、心臓血管外科手技の間、心臓(血液の循環)および肺(ガス交換)の機能を行う。血液を抗凝固剤処理し、右心房内の静脈カニューレを介して排出し、次に体外循環路にポンプで通す最中に、血液は酸素化、濾過、冷却、または加温され、動脈カニューレを利用して体循環に戻される。その結果、重要な臓器および体組織は灌流され、従ってそれらは心臓および肺の機能が一時的に中断されていても生存可能に保たれる。多くのCPB手順において、上行大動脈は鉗子で挟むことにより遮断され、その結果、体外循環路から冠動脈が排除される。心臓の鼓動を停止させるために、手術中には高カリウム心停止液を使用し心臓を一時的に弛緩状態で麻痺させる。溶液を血液と混合し、冠循環に注入することにより手術中に心停止を誘発し維持する。これはオンポンプCPBの間、心臓を管理するための一つの選択肢である。様々な種類の入手可能な心停止液が存在し、これらは筋細胞膜の膜内外にわたるカリウム濃度勾配を破壊し、その結果、再分極を阻害することにより作用する、過剰な細胞外カリウムイオンを含む。その結果、心臓は、電気的または機械的活性の無い、拡張期停止状態で弛緩したままとなる。手術終了まで心停止液を利用し長期間に渡り停止状態に保持しない限り、この不活性状態は、細胞内に存在する通常の代謝機構により時間とともに(約15〜20分で)逆転する。しかしながら、心臓が不自然に停止した状態が続くと、この間に起こる生化学的および生理学的工程および組織生存能への影響は、最終的に心臓の回復および患者の長期予後を決定する。しかしながら、臨床および研究からの証拠は、現在入手可能な心停止液がいずれも、虚血再灌流およびアシドーシスによってもたらされるアポトーシス性および/または壊死性の傷害から、心臓を保護できないことを明らかにしている。外植された臓器の生化学的および生理学的機能および組織生存能を長期間にわたり保護する本発明の溶液の極めて優れた能力から、本発明の溶液が心保護薬、心筋保護液、およびCPBポンププライミング液として機能できるという仮説に至る。本発明の心停止液は、心臓組織、冠血管の心臓内皮、および心筋細胞を、虚血再灌流およびアシドーシスにより誘発されるアポトーシス性傷害から保護することができるという点において、この仮説は正しいことが結果により示された。] [0028] 心筋細胞および内皮の保護 本発明の溶液は、還元剤やフリーラジカル消去剤としてアスコルビン酸およびグルタチオン、ならびにeNOS活性の基質としてL-アルギニンを含む生理食塩水である。抗酸化剤であるアスコルビン酸は、活性酸素種を除去することが知られており、従って、細胞膜内の細胞グルタチオンおよびαトコフェロールに対して節約作用を示す。これはさらに、スーパーオキシドアニオンを除去することにより内皮由来の一酸化窒素の生物活性を保存し、おそらくeNOS補助因子であるテトラヒドロビオプテリンの酸化の阻止によりeNOS活性を増加させる。アスコルビン酸は、アスコルビン酸を介したコラーゲン合成により、血小板活性化および白血球粘着を減少させ、内皮層の透過性を低下させる。同様に、アスコルビン酸は、平滑筋細胞の増殖を減少させ、プロスタサイクリンの産生を増加させ、脂質の過酸化を減少させる。同様に、活性酸素種を除去するグルタチオンの細胞還元剤および抗酸化剤としての役割は十分に確立されている。グルタチオンは、内皮細胞においてL-アルギニン輸送を増加させることも示されており、eNOS活性、NOの発生、および冠動脈拡張を増加させる。グルタチオンはさらにNOに貢献できる生物活性を有するS-ニトロソグルタチオンの形成を増加させ、ニトログリセリンの血管拡張性効果を増強することが知られている。抗酸化治療におけるL-アルギニンの役割は、十分に確立されていないが、NO合成酵素の基質としての役割はよく知られている。L-アルギニンの経口投与は、さらに、炎症を起こした血管において好中球-内皮細胞相互作用を減少させることが示されている。従って、アスコルビン酸、グルタチオン、および、おそらくL-アルギニンの多面的な効果は、心筋細胞および冠状血管の構造および機能を保護し、虚血再灌流およびアシドーシスによって誘発されるアポトーシスを減弱することが期待される。一つの局面において、本発明の心停止液は、アシドーシス/虚血および再灌流に誘発される心筋細胞および冠状脈管構造における悪影響を予防および/または逆転させるために、血液と4:1の比率で混合される(4部の血液:1部の溶液)。] [0029] 心臓手術の最中、心筋灌流は、比較的安全に短い期間(15〜20分)中断することができる。これは、エネルギー生産のために嫌気性経路を利用する心筋細胞特有の能力によるものである。アデノシン三リン酸(ATP)貯蔵量は心収縮を維持するには不十分なため、嫌気性代謝により生産される高エネルギーリン酸が細胞の生存能力を持続させることができる。心臓を一時的に麻痺させるために軽度に低温の(25℃)心停止液で灌流を行わなかった場合、外科手術中に収縮や心室細動が変動周期で続き、その結果、貯蔵エネルギーが枯渇する。従って、動脈を鉗子で挟むことにより遮断した後に心停止液を投与し、心臓を停止させることにより、貯蔵されたATPが保存され、心筋内におけるアシドーシスの発生と二酸化炭素の生産が減少する。心筋保護液の複数回投与は、おそらく洗い流された代謝産物とエネルギー源を持続的に補充することにより、より効果的な嫌気性代謝を許可し、それにより組織の安全な保存に必要な最小ATP貯蔵量の維持に役立つ。停止した心臓は心筋保護により弛緩したままであり、その結果冠動脈や環状脈洞内に血流が無いため、低温による代謝の低下に加えて安定した手術野が得られるため、手術方法は理想的となる。さらに、大動脈基部からの排出は途切れないため、心停止液を投与した後は、冠血流は起きるべきでは無い。それは、溶液が洗い流され、電子的または機械的活性さえも復活させてしまうからである。現在市場ではMelrose液、L-グルタミン酸ナトリウム(MSG)およびL-アスパラギン酸ナトリウム(MSA)を含むアミノ酸添加された溶液、5%デキストロース、50%デキストロース、Tham、およびクエン酸塩・リン酸・デキストロース(CPD)を含む手術用心停止液、Plegisol液、St. Thomas’液、Bretsschneider液、Buckberg液、および血液心臓保護液等、様々な心停止液が入手可能である。しかしながら、これらの溶液はいずれも心筋細胞および冠状動脈内皮を虚血再灌流傷害から保護し、吻合された移植片の機能を完全に保存することができない。] [0030] 再灌流 外科手技が終了した後、大動脈遮断の解除後の冠循環再灌流における早期の時点は、特に急性虚血性心筋の血行再建後において、重要な時期である。心筋障害の予防のためには、再酸素負荷の最中の物理的、生化学的、および生理学的工程、ならびに再灌流の早期における過剰な圧力の増加を慎重に標準化することが重要である。] [0031] 本発明の心停止液には、いくつかの利点が関連している。この溶液はフリーラジカル消去剤、還元剤、およびミノサイクリンを心筋細胞および冠血管系に送達する。これらの化合物は、過酸素化、フリーラジカルによる弊害(障害)、およびアポトーシスの誘導に対抗するものであり、その例としては、動大動脈遮断の解除および虚血性組織の再灌流の後のカルシウム過負荷およびミトコンドリアの孔の移行によるアポトーシスが挙げられる。] [0032] 心停止液 本発明は、最小限の組織虚血で、容易に可逆的かつ急速な電気化学的な停止を生ずる、改善された心停止液および組成物を提供する。心停止液および組成物は、開心術、心血管診断、または治療的介入の最中に臓器、特に心臓を停止、保護、および/または保存するために使用される。心停止液および組成物は、生理食塩水および任意で一つまたは複数の下記の組成物を含む:ATP生成のための基質、カルシウムチャネル遮断薬、血管弛緩薬、抗酸化剤、抗生物質、および/または細胞内酸性度の緩衝剤。] [0033] 一つの局面において、心停止液および組成物は、生理食塩水およびATP生成のための基質を含む。任意で、ATP生成のための基質は、ホスホクレアチン、クレアチンエチルエステル、リンゴ酸ジクレアチン、グルコン酸クレアチン、フルクトース、ショ糖、リボース、ヘキソース、またはペントースである。あるいは、ATP生成のための基質は、オロト酸クレアチン、クレアチン一水和物、アデノシン、またはデキストロース/グルコースである。] [0034] また別の局面において、該心停止液および組成物は、生理食塩水および細胞内酸性度の緩衝剤を含む。一つの局面において、細胞内酸性度の緩衝剤は、ヒスチジン、グルタミン、トリプトファン、リジン、またはL-タウリンである。酸性度は、炭酸水素ナトリウム、トリス-ヒドロキシメチルアミノメタン(THAM)、L-カルノシン(細胞内酸性度)、およびβ-アラニンによっても緩衝される。L-カルニチンは、心筋乳酸産生の減少を促し、従って酸性度を減少させる。あるいは、細胞内酸性度の緩衝剤は、カルノシンの促進された合成を介したオロト酸クレアチンである。クレアチン一水和物は、エネルギー産生を増加させ、乳酸の蓄積を減少させることにより酸性度を緩衝する。] [0035] 任意で、心停止液および組成物は、生理食塩および活性酸素種の失活剤を含む。一つの局面において、活性酸素種の失活剤は、ジチオスレイトール(DTT)、β-メルカプトエタノール、アセチルシステイン、αリポ酸、タウリン、レスベラトロール、ルテイン、セレニウム、メチオニン、またはトコフェロール類/ビタミンEである。] [0036] 心停止液および組成物は、虚血障害を予防する。この機能は、アスコルビン酸、グルタチオン(還元剤)、カルニチン(フリーラジカル虚血性再灌流傷害の発生につながる長鎖アシル-CoAの蓄積を予防することによる)、フリーラジカル(ヒドロキシラジカル、一重項酸素、ペルオキシラジカル、およびスーパーオキシド)消去剤であるカルノシンおよびαリポ酸によって媒介される。] [0037] 心停止液および組成物は、βアラニンを含む。βアラニンは、ストリキーネ感受性抑制性グリシン受容体(GlyRs)に対して同族のリガンドであるグリシンの次にアゴニスト活性を有するアミノ酸である(アゴニストの順番:グリシン>>b-アラニン>タウリン>>l-アラニン、l-セリン>プロリン)。βアラニンは、細胞内酸性度およびpHを緩衝し、筋肉収縮を改善し、有酸素性作業閾値を上昇させる。] [0038] 脊椎動物の筋肉の細胞内非炭酸水素緩衝能は、主にタンパク質内のヒスチジン残基のイミダゾール基、一部の魚種においては遊離L-ヒスチジン、ならびにカルノシン、アンセリン、およびバレニン(オフィジン)等のヒスチジン含有ジペプチドにより支えられている(Abe H, 2000 Biochemistry (Mosc), 65(7):757-65)。アスリートにおける筋力の能力に対してクレアチンおよびβ-アラニンは効力を示す結果が得られている(Hoffman J et al., 2006 Int J Sport Nutr Exerc Metab, 16(4):430-46)。] [0039] 心停止液および組成物は、L-タウリンを含む。L-タウリンは、硫黄含有βアミノ酸であり、心拍の制御、浸透圧調整、膜安定化、好気性代謝の保存、乳酸アシドーシスの予防、抑制性神経伝達、線条体/海馬における長期増強、好中球/マクロファージの呼吸性バーストのフィードバック抑制、脂肪組織の制御、およびカルシウム恒常性等の多様な生理現象に関わっている。タウリンは抗酸化剤としても作用し、グリシン受容体の内因性アゴニストである。心停止液および組成物中の許容されるタウリン濃度は1〜10mMである。] [0040] 硫黄含有アミノ酸タウリンは、哺乳類の脳における抑制性神経調節物質であると共に、細胞体積の制御において重要な物質である。細胞外のタウリン濃度に対するCa2+の効果は、タウリン放出の制御機構との関連で特に興味深いものである。データは、Ca2+欠乏における輸送体を介したタウリンの放出の制御に、電位感受性のカルシウムチャネルからのCa2+の流入の減少およびNa+の非特異的流入の増加の両方が関与していることを示唆している(MolchanovaSMet al., 2005 Neurochem Int, 47(5):343-9)。さらに、タウリンは、ペルオキシナイトライト(ONOO-)の抗酸化剤として作用することにより、脂質の過酸化を減少させ、その結果、肝臓細胞膜Na+、K+-ATPアーゼの活性を回復させ、影響を及ぼすことが観察されている(Kocak-Toker N et al., 2005 World J Gastroenterol, 11(23):3554-7)。] [0041] 心停止液液および組成物は、任意でラシジピンを含む。ラシジピンは、血管弛緩薬およびカルシウムチャネル遮断薬であり、一酸化窒素/エンドセリン系を介して心臓および血管に作用する。心停止液において許容できる範囲のラシジピンは、1pM〜1mMである。一方、ベラパミルおよびニフェジピン等、その他のカルシウムチャネル遮断薬は10μM〜1mMで有効である。ラシジピンは血管を広げる効果があり、細胞内のカルシウムの移動を遅くし、心拍の速度を遅くし、結果的に血圧を下げる。ラシジピンは、冠動脈疾患(CAD)の患者において、比較的短期間(6ヶ月)で、総頸動脈のIMT(内中膜複合体厚)の著しい減少、ならびに炎症マーカーの減少をもたらす(Bae JH et al., 2005 Int J Cardiol, 101(3):377-83)。アムロジピンおよびラシジピンは、体液性制御および交感神経自律神経系の活性の影響を減少させる(Zaliunas R et al., 2005 Int J Cardiol, 101(3):347-53)。親油性1,4-ジヒドロピリジン(DHP)であるラシジピンも動物モデルにおいて治療量でアテロームプラークの形成を減少させることができる。これは強力であり持続性の降圧性特性を有し、重篤であり、かつ複数の危険因子を有する動物モデルまたは対象の動脈壁を動脈硬化病変の発生から保護する(Crespi F, 2005 Curr Vasc Pharmacol, 3(2):195-205)。] [0042] 心停止液および組成物は、任意で、血管弛緩薬であるアナンダミドを含む。アナンダミド(C22H37O2N)は、アラキドノイルエタノールアミド、アラキドノイルエタノールアミン、またはAEAとしても知られ、動物およびヒトの臓器、特に脳に存在する内在性カンナビノイド神経伝達物質である。心停止液において許容できる範囲のアナンダミドは、1nM〜1mMである。中脳水道周囲灰白質における協調されたsn-2アラキドニルグリセロール(2-AG)およびアナンダミド(二つの内在性カンナビノイド)の放出は、オピオイド非依存性ストレス誘発性鎮痛を媒介し得るという結果が示されている(Hohmann AG et al., 2005 Nature, 435(7045):1108-12)。また、アナンダミドは、伸びた立体構造で一つの膜リーフレット内に外側から拡散することにより、それの結合部位に接近し、カンナビノイド受容体CB1の第3および第6らせんにより形成される疎水性の溝と相互作用し、その間その末端の炭素が第6らせん中の主要なシステイン残基の近くに配置し、それにより受容体が活性化する、という仮説にその他の結果は一致する(Tian X et al., 2005 J Biol Chem, 280(33):29788-95)。ホールセルパッチクランプ記録を用いた結果は、糖質コルチコイドが、視床下部視索上核および室傍核の大細胞性ニューロンへのシナプスにおけるグルタミン酸およびγアミノ酪酸(GABA)放出に対する急速な反対作用を誘発し、推定膜受容体を活性化することによりグルタミン酸放出を抑制し、GABA放出を促進することを示す。デキサメタゾン処理された視床下部切片の生化学的解析は、糖質コルチコイドに誘発された内在性カンナビノイド・アナンダミド(AEA)量および2-アラキドニルグリセロール(2-AG)量の急速な上昇を示した(Di S et al., 2005 Endocrinology, 146(10):4292-301)。さらに、最近の結果は、内在性カンナビノイド2-AGがアナンダミドよりもラットにおける肝臓虚血再灌流障害を増加させることを示唆している(Kurabayashi M, et al., 2005 J Invest Surg, 18(1):25-31)。2-AGは、閉鎖性頭部外傷(CHI)後に、少なくとも部分的に、細胞内炎症シグナル経路の阻害が関与するCB1受容体を介した機構により、神経保護作用を発揮することが提唱されている(Panikashvili D et al., 2005 J Cereb Blood Flow Metab, 25(4):477-84)。] [0043] 従って、ラシジピンおよびアナンダミドはいずれも、内皮細胞、ニューロンおよびその他の細胞におけるeNOS/nNOSを活性化することにより、カンナビノイド受容体CB1(およびCB2;CB1拮抗物質SR141716A)を介して作用する。NOは、神経からのノルエピネフリン放出を抑制することにより交感神経系と相互作用し、それにより血管拡張が引き起こされる。] [0044] 心停止液および組成物は、任意でミノサイクリンを含む。ミノサイクリンは、広域スペクトル性のテトラサイクリン系抗生物質の一員である静菌性抗生物質である。半減期が長いため、一般的に、他の大多数のテトラサイクリンよりも2倍から4倍の血清中濃度を有する(150mgのミノサイクリンは、24〜48時間の時点で、250mgのテトラサイクリンの活性レベルの16倍をもたらす)。抗生物質の用量は、典型的には1日当たり200mgまでである。心停止液中のミノサイクリンは、抗生物質としての用量以下で存在する。ミノサイクリンは、ミトコンドリア膜透過性遷移(mPT)を介するミトコンドリアからのチトクロムC放出を阻害する。鉗子で挟むことによる動脈遮断中における心停止液へのミノサイクリンの添加は、心臓をアシドーシス誘発アポトーシスから保護する。] [0045] ミトコンドリアが単離された懸濁液において、ミノサイクリンは、スーパーオキシドにより誘導される腫脹を阻止することができなかったが、カルシウムに誘導されるミトコンドリアの腫脹の阻止に対しては効果的であった。この後者の効果は、ミトコンドリアの膜電位差の散逸およびミトコンドリアのカルシウム取り込みの遮断に媒介され得る(Fernandez-Gomez FJ et al., 2005 Neuroscience, 133(4):959-67)。第2世代テトラサイクリン誘導体であるミノサイクリンの全身投与が、ミクログリアの活性化の阻害に関連し得る機構により、軸索切断した網膜神経節細胞(RGC)の死を遅延することが結果から示された。視神経の軸索切断後のミノサイクリンの神経保護の有効性は、テトラサイクリンのそれよりも優れていた(Baptiste DC et al., 2005 Neuroscience, 134(2):575-82)。ミノサイクリンがTNF-α、IL-1β、およびNOの発現および放出を阻害することにより、その抗炎症効果をミクログリアに対して発揮し得ることが証拠より示唆される(Wang AL et al., 2005 Neurochem Int, 47(1-2):152-8)。] [0046] 心停止液は任意で塩化カリウムを含む。心停止液中のカリウム濃度は、望まれる範囲で(0.298gm/L+/-24〜90mM)心停止液の希釈度やその他の成分の濃度に変化を与えず、外科医の判断により変更される。あるいは、カリウムおよび/または他のものの濃度を変更しながら、独立に心停止液の希釈度および患者の心臓への総流量を変化させる。心停止液中のカリウム濃度を変化させることにより、灌流技師は操作中に患者の血液に加えるカリウムの総量を最小限に抑えることができる。一つの局面において、高い初期カリウム濃度は心臓を急速に停止させることができ、より低いカリウム濃度は停止を保持させることができる。カリウムの量は、操作の期間を通じての患者の血清カリウム量の増加と釣り合いが取れるように調節される。任意で、心停止液のカリウム濃度は、手術中に心臓の活動が復活した場合に調節される。] [0047] 任意で、心停止液はD-グルコースを含む。心停止液中のD-グルコースの存在は、外科医の判断による。一つの局面において、患者が糖尿病を患っている場合、D-グルコースは心停止液に含まれない。あるいは、患者が糖尿病を患っていない場合、D-グルコースは心停止液に含まれる。D-グルコースは血管拡張剤および睡眠導入剤として作用する。] [0048] 心停止液および組成物は、開心術、心血管診断、または治療的介入の最中に臓器、特に心臓を停止、保護、および/または保存するために使用される。一つの局面において、該組成物は、塩化カルシウム、リン酸カリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、アデノシン、グルタチオン、アスコルビン酸、L-アルギニン、L-タウリン、L-ヒスチジン、L-カルノシン、クレアチン一水和物、およびβ-アラニンを含む。任意で、該溶液は、塩化カリウム、塩化マグネシウム、D-グルコース、アナンダミド、ミノサイクリン、およびラシジピンの内の一つまたは複数も含む。] [0049] pHは、約6.8〜約8.0または約7.2〜約7.6に調整される。より好ましくは、THAM(トロメタミン;トリス-ヒドロキシメチルアミノメタン)を用いてpHを約7.4に調整し、温度を4℃に保持する。モル浸透圧濃度は、290〜300mOsMに保持する。上記組成物は、好ましくは、下記の化合物および濃度を含む: 蒸留水1.00L 塩化カルシウム(1.3mM) 0.191gm/L 塩化カリウム(4.0mM) 0.298gm/L +/-24〜90mM リン酸カリウム(一塩基;0.5mM) 0.068gm/L 塩化マグネシウム(六水和物;0.5mM) 0.101gm/L +/-10〜20mM MgCl2 硫酸マグネシウム(七水和物;0.5 mM) 0.123gm/L 塩化ナトリウム(130mM) 7.597gm/L 炭酸水素ナトリウム(5.0mM) 0.420gm/L リン酸ナトリウム(二塩基;七水和物;0.19mM) 0.050gm/L D-グルコース(7mM) 1.260gm/L * アデノシン(2mM) 0.534gm/L グルタチオン(還元;10.0mM) 3.073gm/L アスコルビン酸(1mM) 0.176gm/L L-アルギニン(5mM) 1.073gm/L L-タウリン(5mM) 0.625gm/L βアラニン(5mM) 0.500gm/L L-ヒスチジン(5mM) L-カルノシン(10mM) 2.260gm/L クレアチン一水和物(2mM) 0.298gm/L アナンダミド(0.01mM) 0.003gm/L * ミノサイクリン(1.0mM) 0.457gm/L * ラシジピン0.0005gm/L *] [0050] 「*」という記号は、外科医の判断および患者の要求に基づき、溶液中にD-グルコース、アナンダミド、ミノサイクリン、および/またはラシジピンが存在してもしなくてもよいことを表す。灌流技師、外科医、および/または看護師の判断および患者の要求に基づき、カリウムおよびマグネシウムの濃度は操作されてもよい。] [0051] 好ましい心停止液は、望ましい組成物の比率を達成するために、下記の範囲の量の化合物を含む: 蒸留水0.01〜3.00L 塩化カルシウム(1.3mM) 0.1〜0.5gm/L 塩化カリウム(4.0mM) 0.1〜0.5gm/L +/-24〜90mM リン酸カリウム(一塩基;0.5mM) 0.01〜0.25gm/L 塩化マグネシウム(六水和物;0.5mM) 0.05〜0.5gm/L +/-10〜20mM MgCl2 硫酸マグネシウム(七水和物;0.5 mM) 0.05〜0.5gm/L 塩化ナトリウム(130mM) 5〜10gm/L 炭酸水素ナトリウム(5.0mM) 0.25〜0.75gm/L リン酸ナトリウム(二塩基;七水和物;0.19mM) 0.01〜0.1gm/L D-グルコース(7mM) 0.5〜2.5gm/L * アデノシン(2mM) 0.25〜2.5gm/L グルタチオン(還元;10.0mM) 1〜5gm/L アスコルビン酸(1mM) 0.01〜0.5gm/L L-アルギニン(5mM) 0.5〜2.5gm/L L-タウリン(5mM) 0.1〜1gm/L βアラニン(5mM) 0.1〜1gm/L L-ヒスチジン(5mM) L-カルノシン(10mM) 1〜5gm/L クレアチン一水和物(2mM) 0.1〜0.5gm/L アナンダミド(0.01mM) 0.0001〜0.005gm/L * ミノサイクリン(1.0mM) 0.1〜1gm/L * ラシジピン0.00001〜0.001gm/L *。] [0052] 「*」という記号は、外科医の判断および患者の要求に基づき、溶液中にD-グルコース、アナンダミド、ミノサイクリン、および/またはラシジピンが存在してもしなくてもよいことを表す。pHは、約6.8〜約8.0または約7.2〜約7.6に調整される。好ましくは、THAMを用いてpHを約7.4に調節し、温度を4℃に保持する。モル浸透圧濃度は、290〜300mOsMに保持する。] [0053] 外科医の判断に基づき、アナンダミド、ミノサイクリン、および/またはラシジピンは溶液中に存在してもしなくてもよい。灌流技師、外科医、および/または看護師は、個人の選択に基づきカリウムおよびマグネシウムの濃度を操作できる。] [0054] 心停止液を製造するための組成物は、下記の成分/量またはその倍数で、即ちスケールアップし、2、3、5、10、および20倍の量の溶液を製造できるように、任意でキット内に収められている。例示的なキットは下記を含む: 蒸留水0.01〜3.00L 塩化カルシウム(1.3mM) 0.1〜0.5gm/L 塩化カリウム(4.0mM) 0.1〜0.5gm/L +/-24〜90mM リン酸カリウム(一塩基;0.5mM) 0.01〜0.25gm/L 塩化マグネシウム(六水和物;0.5mM) 0.05〜0.5gm/L +/-10〜20mM MgCl2 硫酸マグネシウム(七水和物;0.5 mM) 0.05〜0.5gm/L 塩化ナトリウム(130mM) 5〜10gm/L 炭酸水素ナトリウム(5.0mM) 0.25〜0.75gm/L リン酸ナトリウム(二塩基;七水和物;0.19mM) 0.01〜0.1gm/L D-グルコース(7mM) 0.5〜2.5gm/L * アデノシン(2mM) 0.25〜2.5gm/L グルタチオン(還元;10.0mM) 1〜5gm/L アスコルビン酸(1mM) 0.01〜0.5gm/L L-アルギニン(5mM) 0.5〜2.5gm/L L-タウリン(5mM) 0.1〜1gm/L βアラニン(5mM) 0.1〜1gm/L L-ヒスチジン(5mM) L-カルノシン(10mM) 1〜5gm/L クレアチン一水和物(2mM) 0.1〜0.5gm/L アナンダミド(0.01mM) 0.0001〜0.005gm/L * ミノサイクリン(1.0mM) 0.1〜1gm/L * ラシジピン0.00001〜0.001gm/L *。] [0055] 「*」という記号は、外科医の判断および患者の要求に基づき、溶液中にD-グルコース、アナンダミド、ミノサイクリン、および/またはラシジピンが存在してもしなくてもよいことを表す。pHは、約6.8〜約8.0または約7.2〜約7.6に調整される。好ましくは、THAMを用いてpHを約7.4に調節し、温度を4℃に保持する。モル浸透圧濃度は、290〜300mOsMに保持する。] [0056] 外科医の判断に基づき、アナンダミド、ミノサイクリン、および/またはラシジピンは溶液中に存在してもしなくてもよい。灌流技師、外科医、および/または看護師は、個人の選択に基づきカリウムおよびマグネシウムの濃度を操作できる。] [0057] これらの成分は使用説明書と共にパッケージされ、0.01〜2.0Lの蒸留水中に混合される。キットは滅菌水成分を含まない状態でパッケージされるか、または販売される。例えば、このキットは以下を含む: 蒸留水 1.00L 塩化カルシウム(1.3mM) 0.191gm/L 塩化カリウム(4.0mM) 0.298gm/L +/-24〜90mM リン酸カリウム(一塩基;0.5mM) 0.068gm/L 塩化マグネシウム(六水和物;0.5mM) 0.101gm/L +/-10〜20mM MgCl2 硫酸マグネシウム(七水和物;0.5 mM) 0.123gm/L 塩化ナトリウム(130mM) 7.597gm/L 炭酸水素ナトリウム(5.0mM) 0.420gm/L リン酸ナトリウム(二塩基;七水和物;0.19mM) 0.050gm/L D-グルコース(7mM) 1.260gm/L * アデノシン(2mM) 0.534gm/L グルタチオン(還元;10.0mM) 3.073gm/L アスコルビン酸(1mM) 0.176gm/L L-アルギニン(5mM) 1.073gm/L L-タウリン(5mM) 0.625gm/L βアラニン(5mM) 0.500gm/L L-ヒスチジン(5mM) L-カルノシン(10mM) 2.260gm/L クレアチン一水和物(2mM) 0.298gm/L アナンダミド(0.01mM) 0.003gm/L * ミノサイクリン(1.0mM) 0.457gm/L * ラシジピン0.0005gm/L *] [0058] 「*」という記号は、外科医の判断および患者の要求に基づき、溶液中にD-グルコース、アナンダミド、ミノサイクリン、および/またはラシジピンが存在してもしなくてもよいことを表す。pHは、約6.8〜約8.0または約7.2〜約7.6に調整される。好ましくは、THAMを用いてpHを約7.4に調節し、温度を4℃に保持する。モル浸透圧濃度は、290〜300mOsMに保持する。] [0059] 外科医の判断に基づき、アナンダミド、ミノサイクリン、および/またはラシジピンは溶液中に存在してもしなくてもよい。灌流技師、外科医、および/または看護師は、個人の選択に基づきカリウムおよびマグネシウムの濃度を操作できる。] [0060] 任意で、当技術分野において公知の任意の方法、例えば米国特許第6,521,248号および第7,198,254号に記載の方法により、溶液をナノサイズ化して、溶液が細胞膜を横切る効率を高めてもよく、これらの特許は、その全体が参考として本明細書に組み入れられる。ナノサイズ化とは、粒径をサブミクロンの範囲の大きさに縮小することを意味し、最終的な粒径は典型的には1〜10ηmである。粒径の縮小により、溶液が細胞膜を横切る効率は有意に上昇する。一つの局面において、この効率は上昇するため、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、または少なくとも100%の溶液が細胞膜を横切る。] [0061] 本発明は、本明細書に記載の方法において本発明の溶液を使用する前にそれをナノサイズ化する工程を提供する。あるいは、本発明は、溶液の他の化合物/剤を加える前に水をナノサイズ化する工程を提供する。また、別の局面において、本発明は、溶液中で混合する前に、水をナノサイズ化し、溶液の各化合物/剤を別々にナノサイズ化する工程を提供する。] [0062] 一つの局面において、組成物は、ナノメートルの範囲の大きさの水の小胞または水クラスターを含む。任意で、水の小胞または水クラスターは、1〜10ηm、1〜25ηm、25〜50ηm、50〜75ηm、75〜100ηm、100〜200ηm、200〜500ηm、または500〜999ηmである。] [0063] 一つの局面において、本発明により提供される溶液は、順行性に投与される。あるいは、溶液は逆行性に投与される。] [0064] また、別の局面においては、上記溶液を使用前に血液と混合することにより血液心停止溶液を作る。任意で、血液:溶液の比率は、5:1、4:1、3:1、2:1、または1:1である。あるいは、血液:溶液の比率は、1:2、1:3、1:4、または1:5である。]
权利要求:
請求項1 生理食塩水を含む心停止液であって、カルシウムチャネル遮断薬、血管弛緩薬、細胞内酸性度の緩衝剤、抗酸化剤、および抗生物質からなる群より選択される少なくとも一つの組成物をさらに含む、心停止液。 請求項2 生理食塩水およびカルシウムチャネル遮断薬を含む、心停止液。 請求項3 カルシウムチャネル遮断薬がラシジピンである、請求項2記載の心停止液。 請求項4 生理食塩水および血管弛緩薬を含む、心停止液。 請求項5 血管弛緩薬がアナンダミドである、請求項4記載の心停止液。 請求項6 生理食塩水および細胞内酸性度の緩衝剤を含む、心停止液。 請求項7 細胞内酸性度の緩衝剤がβアラニンである、請求項6記載の心停止液。 請求項8 生理食塩水および抗酸化剤を含む、心停止液。 請求項9 抗酸化剤がタウリンである、請求項8記載の心停止液。 請求項10 生理食塩水および抗生物質を含む、心停止液。 請求項11 抗生物質がミノサイクリンである、請求項10記載の心停止液。 請求項12 塩化カリウムをさらに含む、請求項1記載の心停止液。 請求項13 塩化マグネシウムをさらに含む、請求項1記載の心停止液。 請求項14 D-グルコースをさらに含む、請求項1記載の心停止液。 請求項15 前記組成物が0.01〜3.00Lの蒸留水;0.1〜0.5gm/Lの塩化カルシウム;0.1〜0.5gm/Lの塩化カリウム;0.01〜0.25gm/Lのリン酸カリウム;0.05〜0.5gm/Lの塩化マグネシウム;0.05〜0.5gm/Lの硫酸マグネシウム;5〜10gm/Lの塩化ナトリウム;0.25〜0.75gm/Lの炭酸水素ナトリウム;0.01〜0.1gm/Lのリン酸ナトリウム;0.25〜2.5gm/Lのアデノシン;1〜5gm/Lのグルタチオン;0.01〜0.5gm/Lのアスコルビン酸;0.5〜2.5gm/LのL-アルギニン;0.1〜1gm/LのL-タウリン;0.1〜1gm/Lのβアラニン;L-ヒスチジン;1〜5gm/LのL-カルノシン;0.1〜0.5gm/Lのクレアチン一水和物を含む、請求項1記載の心停止液。 請求項16 インスリンを含まない、請求項1記載の心停止液。 請求項17 請求項1記載の心停止液を含む、キット。 請求項18 ナノメートル範囲の大きさの水クラスターを含む、請求項1記載の心停止液。 請求項19 ナノメートル範囲の大きさの水クラスターを含む、請求項15記載の心停止液。 請求項20 1〜10ηmの大きさの水クラスターを含む、請求項19記載の心停止液。 請求項21 前記組成物が0.5〜2.5gm/LのD-グルコースをさらに含む、請求項15記載の心停止液。 請求項22 前記組成物が0.0001〜0.005gm/Lのアナンダミドをさらに含む、請求項15記載の心停止液。 請求項23 前記組成物が0.1〜1gm/Lのミノサイクリンをさらに含む、請求項15記載の心停止液。 請求項24 前記組成物が0.00001〜0.001gm/Lのラシジピンをさらに含む、請求項15記載の心停止液。
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