![]() 硫酸塩による予防法および治療法
专利摘要:
高カルシウム濃度関連障害の発症を抑制するために、または高カルシウム濃度関連障害を治療するために、硫酸塩を用いる。 公开号:JP2011510020A 申请号:JP2010543293 申请日:2009-01-16 公开日:2011-03-31 发明作者:ジョン;エス. フォードトラン 申请人:ブレーントリー ラボラトリーズ インコーポレーティッド; IPC主号:A61K33-04
专利说明:
[0001] 資金援助 本研究は、サウスウェスト消化器病基金(Southwest Digestive Disease Foundation)およびBraintree Laboratoriesによる支援を受けた。] 背景技術 [0002] 発明の背景 リン酸塩瀉下(phosphate catharsis)は、リン酸カルシウムの腎尿細管沈着および腎不全を引き起こす恐れがある。結腸内視鏡検査の前に結腸を浄化するための既存の方法には、以下が含まれる:(1)ポリエチレングリコール(PEG 3350)を含む4リットルの溶液の経口摂取;または(2)脱水を軽減するための水を追加した、濃縮リン酸ナトリウム溶液の45mL用量の2回の経口摂取(10時間間隔で投与)。ほとんどの患者は容積の小さいリン酸塩溶液の方を好み、その方がコンプライアンスが良好である(Barkun, et al. (2006) Can. J. Gastroenterol. 20:699-710)(非特許文献1)。しかし、リン酸塩瀉下は時に、腎尿細管液中の高濃度のリン酸塩によって媒介される可能性が最も高い合併症である、遠位尿細管におけるリン酸カルシウム沈着を特徴とする腎不全を引き起こすことがある(Desmeules, et al. (2003) N. Eng. J. Med. 349:1006-1007(非特許文献2);Markowitz, et al. (2004) Hum..Pathol. 35:675-684(非特許文献3);Markowitz, et al. (2005) J. Amer. Soc. Nephrol. 16:3389-3396(非特許文献4);Gonlusen, et al. (2006) Arch. Pathol. Lab. Med. 130:101-106(非特許文献5))。この型のリン酸塩誘発性腎疾患についての最近の認識により、患者および臨床医にとっては、ジレンマ、すなわちリン酸塩瀉下薬による腎不全のリスクがわずかにあることと大容積のPEG溶液のコンプライアンス不良というリスクとのいずれを選ぶかというジレンマが生じている。] [0003] このジレンマに対して考えられる解決策は、リン酸塩と同程度に有効であるが腎障害を起こす可能性は低い、小容積のリン酸塩非含有瀉下薬を開発することである。しかし、経口摂取された硫酸塩およびリン酸塩が腎臓内部でカルシウム塩の沈殿を誘発する相対的傾向を評価するための実験的試験は全く行われていない。リン酸塩と同じく、硫酸塩は腸によって能動的に吸収され(Morris, et al. (2001) J. Membrane Biol. 181:1-9(非特許文献6))、濃縮溶液からの受動的な硫酸塩吸収もかなり多い可能性がある。さらに、実験動物では硫酸ナトリウムの静脈内注入に伴って尿中カルシウム排泄の増加がみられる(Walser, et al. (1959) J. Clin. Invest. 38:1404-1411(非特許文献7))。もし濃縮硫酸塩溶液の経口摂取後にかなり多くの量の硫酸塩が吸収され、しかもこのことが高カルシウム尿症を生じさせるならば、腎尿細管液中でのカルシウム沈殿のリスクが増大する可能性がある。] 先行技術 [0004] Barkun, et al. (2006) Can. J. Gastroenterol. 20:699-710) Desmeules, et al. (2003) N. Eng. J. Med. 349:1006-1007 Markowitz, et al. (2004) Hum..Pathol. 35:675-684 Markowitz, et al. (2005) J. Amer. Soc. Nephrol. 16:3389-3396 Gonlusen, et al. (2006) Arch. Pathol. Lab. Med. 130:101-106 Morris, et al. (2001) J. Membrane Biol. 181:1-9 Walser, et al. (1959) J. Clin. Invest. 38:1404-1411] [0005] 概要 本発明者らは、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムおよび硫酸マグネシウムによる対象の処置が、高カルシウム濃度関連障害を有する対象におけるカルシウム結石または沈殿の形成を抑制し、かつそれらを治療することができることを発見した。この発見を活用することにより、少なくとも一部には以下と関連している本発明が開発された。] [0006] 第1の局面において、本開示は、腎結石の傾向のある患者において洗浄液の摂取から生じる腎石灰沈着症のリスクを低下させる方法を提供する。本方法は、患者において硫酸ナトリウム、硫酸カリウムおよび硫酸マグネシウムからなる洗浄液を投与する段階を含む。いくつかの態様において、洗浄液は、約5g〜約30gの硫酸ナトリウム、約1g〜約5gの硫酸カリウムおよび約0.5g〜約5gの硫酸マグネシウムを含む。他の態様において、洗浄液の容積は約75ml〜125mlである。さらに別の態様においては、洗浄液の1回目の投与および洗浄液の2回目の投与がある。他の態様において、洗浄液は、約17gの硫酸ナトリウム、約3gの硫酸カリウムおよび約1.5gの硫酸マグネシウムを含む。他の態様においては、洗浄液の投与の直後に水の投与を行う。他の態様において、洗浄液の直後に投与される水の容積は約200ml〜300mlである。他の態様において、本方法はさらに、洗浄液の投与後の、容積200〜300mlの水の後の、さらなる水の投与からなる。さらに別の態様において、さらなる水の投与は、約1200ml〜約2000mlの容積からなる。特定の態様において、この水の容積は約1600mlである。いくつかの態様において、洗浄液の投与後のさらなる水の投与は、3時間にわたって30分毎の等用量に分割される。] [0007] もう1つの局面において、本開示は、高カルシウム濃度関連障害の治療を必要とする患者において高カルシウム濃度関連障害を治療する方法を提供する。本方法は、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムおよび硫酸マグネシウムを含む組成物の投与を含む。1つの態様において、組成物は硫酸ナトリウム、硫酸カリウムおよび硫酸マグネシウムを含む。もう1つの態様において、組成物は溶液の形態をしている。いくつかの態様において、該障害は、高カルシウム尿症、腎石灰化症、再発性カルシウム腎石症、リン酸カルシウム結石症、結石形成性疾患(stone forming disease)、スツルバイト形成、カルシウムリン酸再発性結石、吸収性高カルシウム尿症候群、血管石灰化、再発性カルシウム尿石症、持続的に高い尿pH、カルシフィラキシー、カルシファラキス(calciphalaxis)、慢性腎不全、末期腎疾患、尿毒症性細小動脈石灰化症(calcific uremic arteriolopathy)からなる群より選択される。] [0008] さらにもう1つの局面においては、腎結石の傾向のある対象において洗浄液の摂取から生じる腎石灰沈着症のリスクを低下させるための医薬の製造における、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムおよび硫酸マグネシウムの溶液の使用法が提供される。医薬は、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムおよび硫酸マグネシウムを含む溶液を含み、それが患者に投与される。1つの異なる局面においては、高カルシウム濃度関連障害の治療を必要とする対象における高カルシウム濃度関連障害の治療のための医薬における、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムおよび硫酸マグネシウムの使用法が提供される。] 図面の簡単な説明 [0009] 図1Aは、経口摂取した瀉下薬溶液からのリン酸塩および硫酸塩の吸収率のグラフ表示である。図1Bは、リン酸塩吸収率と、リン酸塩溶液の2回目の用量の摂取から3時間後に採取した血清中のリン酸塩濃度との間の相関のグラフ表示である。図1Cは、リン酸塩吸収率と、17時間の実験期間中の尿中リン酸排泄との間の相関のグラフ表示である。 図2Aは、個々の被験者における累積便重量と不溶性糞便比率との間の相関のグラフ表示であり、1回目の用量の後の結果は白抜き記号によって示されている。両方の用量の後の結果は黒塗り記号によって示されている。図2Bは、図2Aに示された結果との比較のための、下痢便の浄化の写真表示であり、図の下部にある下痢のリットル数は標本を遠心処理のために収集した時の累積便重量を指し、不溶性糞便で構成される下痢便の比率を各標本に関して算出している。] [0010] 発明の説明 本明細書で用いる場合、「(それ)を必要とする」対象または患者とは、高カルシウム濃度関連障害に罹患しているか、またはそれに罹患する傾向を有するもののことである。] [0011] これらの試験の1つの目的は、腸および腎に対する影響を、リン酸塩瀉下と硫酸塩瀉下との間で比較することである。大容積のPEGベースの洗浄液を対照として用いた。各瀉下薬/洗浄液の逐次的用量(10時間間隔)を正常被験者に投与した。安全性に関する最近の懸念を考慮して、リン酸塩の2回目の用量は45mLから30mLに減らした。この結果、リン酸塩および硫酸塩の総モル用量はほとんど同一となった。] [0012] A.下痢液に関する試験 硫酸塩およびリン酸塩の用量(ミリモル単位)はほぼ同一であったものの、硫酸塩の方が43%多い下痢便容積を生じさせた。少なくとも2つの要因が硫酸塩のより強い瀉下作用に寄与した。第1に、リン酸塩の吸収は硫酸塩のそれの2倍であった。リン酸塩の吸収がより高いほど、便中のオスモルを束縛する水の量が減少し、そのために便容積が減少する。第2に、硫酸塩の価数は2であるが、リン酸塩の価数はpHによって異なり、腸液内では一般に2未満である。このため、1ミリモルの吸収されなかったリン酸塩は、1ミリモルの吸収されなかった硫酸塩よりも、少ないミリモル数の非吸収カチオンと小さい容積の腔内液とを束縛すると考えられる。] [0013] 不溶性糞便の下痢液の浄化は、3種の瀉下薬/洗浄液によって生じる下痢の容積と高度に相関していた。おそらくは硫酸塩がリン酸塩よりも下痢を強く誘発したために、硫酸塩瀉下薬はリン酸塩瀉下薬よりも下痢液の優れた浄化をもたらした。] [0014] 本明細書で用いた単回用量の濃縮硫酸塩溶液を開発するための予備試験では、、ナトリウム、カリウムまたはマグネシウムの臨床的に有意な正味の吸収または正味の分泌をいずれも引き起こさない混合物が実現されるまで、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムおよび硫酸マグネシウムの相対的な量を調整した。本試験では、この硫酸塩溶液の2回分の用量は、正味のカチオン吸収または分泌をわずかしか生じさせなかった。この配合物および硫酸塩の用量の胃腸への影響は、この実験で与えたような水を伴った場合、カリウム、マグネシウムまたはナトリウムのいずれのバランスの障害も生じさせないと考えられる。] [0015] B.リン酸塩の摂取後の尿に関する試験 リン酸塩瀉下は、尿組成に3つの大きな変化を引き起こした:1)リン酸塩濃度の顕著な上昇;2)カルシウム濃度の顕著な降下;および3)pHの降下。リン酸塩摂取後の尿の低カルシウム濃度および低pHは、排泄された尿中でのリン酸カルシウムの沈殿を妨げるが、排泄された尿のカルシウム濃度およびpHは腎尿細管液中の条件を反映しないこと、ならびに尿細管腔液中でのブラシュ石の相対的飽和比(RSR-Br)は排泄された尿中におけるそれよりもはるかに高いことを認識することが重要である(Asplin, et al. (1996) Am. J. Physiol. 270:F604-F613)。腎尿細管液がカルシウム塩沈殿物を形成する傾向を見積もるために、ヘンレ係蹄および遠位尿細管起始部の内部の液体の推定pHでインビトロ実験を行った。リン酸塩摂取後に排泄された尿では、リン酸カルシウムはpH 7.2およびpH 6.4のいずれにおいても極めて低いカルシウム濃度で沈殿したが、このことはこれらの尿が沈殿する顕著な傾向を指し示している。対照的に、PEGまたは硫酸塩の後では、沈殿を開始させるために用いられるカルシウム濃度ははるかに高かった。この劇的な違いはおそらく、リン酸塩の摂取後の尿中のリン酸塩濃度が極めて高いことに主に起因すると考えられる。] [0016] 正常な尿細管腔液は、ヘンレ係蹄の曲部で、pHが約7.4、カルシウム濃度が約14mg/dLであり、リン酸塩濃度が約4.5mg/dLである(Fine et al. (1998) Dig. Dis. Sciences 43:2708-2714)。被験者におけるヘンレ係蹄でのリン濃度を見積もるために、以下の仮定を行った:1)単位時間当たりに最終的な尿中に排泄されるリン酸塩の量は、単位時間当たりにヘンレ係蹄に送達されるリン酸塩の量に等しい(すなわち、リン再吸収は近位尿細管のみで起こる);および2)単位時間当たりにヘンレ係蹄に送達される液体の容積はGFRの40%に等しい(すなわち、近位尿細管容積の再吸収は60%である)。これに基づけば、ヘンレ係蹄でのリン酸塩濃度はリン酸塩の1回目の用量の前には5.9mg/dLであり、2回目の用量の後には17.4mg/dLであった。この区域におけるpHおよびカルシウム濃度は不変のままであり、それぞれpH 7.4および14mg/dLであると仮定した(Fine, et al. 同上)。このため、そのような尿細管腔液のRSR-Brはリン酸塩の摂取後には劇的に上昇し、それ故にこの液体がブラシュ石沈殿物を非常に生じやすいと考えられる。リン酸塩瀉下薬を摂取した正常な人々では、増強された遠位尿細管酸分泌とカルシウム再吸収の組み合わせがpHおよびカルシウム濃度を低下させると考えられ、それ故に下流でのリン酸カルシウム沈殿を限定させると考えられる。しかし、リン酸塩瀉下薬を摂取した一部の人々は尿細管カルシウム吸収および/または尿細管酸分泌において基礎をなす異常を有すると考えられ、これらは遠位尿細管腔液中でのpHおよびカルシウム濃度を高いままに保たせる可能性がある。したがって、ヘンレ係蹄で形成される可能性のあるリン酸カルシウム結晶は、下流へと遠位尿細管まで移行して正常条件下で溶解しうると考えられるが、または酸性化もしくはカルシウム再吸収が損なわれている場合には核形成部位として作用して強力な結晶化を促す可能性がある。尿細管カルシウム吸収において考えられる基礎をなす異常には、特発性または遺伝性のカルシウム輸送障害、およびループ利尿薬が含まれる。尿細管酸分泌における異常には、腎尿細管アシドーシスおよび炭酸脱水酵素阻害薬の摂取が含まれる。リン酸カルシウム沈着を強める他の要因には、以下が含まれる:1)リン酸塩の負荷の過剰吸収(ビタミンD補給剤、または神経筋疾患もしくはオピエートに起因する腸運動性の低下);2)高カルシウム尿性の病状;および3)クエン酸塩などの尿沈殿阻害薬の減少(全身性の酸負荷、低カリウム血症)。これらの異常のいくつかは臨床的に無症候性の形態として存在し、それ故に結腸内視鏡検査の前には気づかれない恐れがある。] [0017] 本試験では、濃縮リン酸塩溶液を摂取した被験者に積極的に水分補給をさせたところ、およそ2Lの下痢にもかかわらず、彼らは1リットルを上回る水の正味の吸収を有し、かつ彼らの尿容積は下痢便容積とほぼ同じ大きさであった。そのような水分補給にはいくつかの利点があり、これには以下が含まれる:1)GFRの急激な降下の緩和;2)近位尿細管容積の再吸収を増加させ、それによってヘンレ係蹄に送達される液体中の沈殿性溶質の濃度の上昇を緩和する、刺激の減少(ECF容積の収縮);ならびに3)遠位尿細管末部および集合管における水吸収の低下、これはそれによってこれらのネフロン区域における沈殿性溶質の濃度を低下させる(Jamison, et al. (1992) Handbook of Physiology, Section 8. Renal Physiology, Volume II. Edited by Windhager EE. Oxford University Press, New York, 1992:1219-1280)。外挿により、この試験における被験者はヘンレ係蹄でブラシュ石沈殿を生じるリスクが増大していることと、正常な遠位尿細管酸分泌およびカルシウム吸収がないことからこれらの被験者は遠位尿細管におけるリン酸カルシウムの沈殿のリスクが増大していると考えられることとが示唆される。結果的に、積極的な水分補給だけでは、リン酸塩の瀉下薬用量を摂取した感受性のある人々における腎不全を常に予防できるとは限らない。] [0018] リン酸塩誘発性腎不全の後ろ向き症例研究では、高齢、女性、高血圧、既存の腎疾患、および腎血流を低下させる薬物(ACE阻害薬およびNSAID)を含むいくつかの危険因子が強調されている。] [0019] C.濃縮硫酸塩溶液の摂取後の尿に関する研究 硫酸塩の経口摂取は硫酸塩の血清中濃度の上昇を引き起こしたが、大用量の硫酸塩を静脈内に注入した以前の研究とは異なり(Chakmakjian, et al. (1966) N. Eng. J. Med. 75:862-869)、血清カルシウム濃度は降下せず、尿中カルシウム排泄は増加しなかった。このため、高カルシウム尿症を原因とする、尿が沈殿する傾向の増加は起こらなかった。] [0020] pH 6.4またはpH 7.2で沈殿を誘発するために尿中カルシウム濃度を上昇させた場合、形成された沈殿物は、尿中リン酸塩濃度が正常でありかつ尿の硫酸塩濃度が高い場合であっても、1つの例外を除き、硫酸カルシウムではなくリン酸カルシウムであった。リン酸カルシウム沈殿に対するこの顕著な偏好性は、硫酸カルシウムがリン酸カルシウムよりもはるかに溶解性が高いため存在する。例えば、標準的な平衡定数を用いると、CaSO4のCaHPO4に対する相対的溶解度はpH 5.5では2.9、pH 6.4では6.3であり、pH 7.2では8.6である。] [0021] 硫酸塩の摂取前に収集した尿と比較して、硫酸塩摂取後に生じた尿は、pH 6.4で沈殿を誘発させるはるかに高いカルシウム濃度を有しており、この差は統計学的に高度に有意であった。] [0022] イオン化カルシウム濃度を低下させる。しかし、平衡定数に関して発表されている値に基づく計算からは、硫酸塩-カルシウムの錯体形成は、pH 6.4で観察された硫酸塩の影響のかなりの割合を説明できないことが明らかになっている。カルシウムと錯体を形成し、硫酸塩と相乗的に作用してイオン化カルシウムを隔離させる種の尿中での硫酸塩生成、またはリン酸カルシウム結晶化に対する硫酸塩の直接的な抑制作用が関与している可能性がある。pH 7.2では、硫酸塩の影響はより小さく、統計学的に有意ではなかった。このことは、少なくとも一部には、pH 7.2ではより多くのリン酸塩がHPO4-2(主たる沈殿成分)の形態をしており、そのためにリン酸塩がイオン化カルシウムに関して硫酸塩または硫酸塩代替物と競合する能力が高まるという事実によって説明することができる。関与する機序とは無関係に、硫酸塩がpH 6.4でカルシウムの沈殿に対する抵抗性を誘発したことは、これが遠位尿細管起始部において予想されるpHであることから、当面の問題において重要である可能性がある。] [0023] この研究に基づいて、硫酸塩はリン酸塩よりも有効な瀉下薬であり、小容積の濃縮硫酸塩瀉下は、小容積の濃縮リン酸塩瀉下よりも腎尿細管液におけるカルシウム塩沈着を誘発する可能性が低いと考えられる。豊富な水分補給は、脱水による血管不安定性を予防するために、および腎尿細管液中での結晶化の尤度をさらに低下させるために、依然として硫酸塩瀉下薬レジメンの不可欠な部分であり続けると考えられる。そのような水分補給を確実に行うことは、特に2回目の用量が通常の睡眠時間中に摂取される場合には難題である。] [0024] D.治療法 本発明は、哺乳動物、より詳細にはヒトなどの対象における、高カルシウム濃度関連障害の治療または予防を提供する。高カルシウム濃度関連障害の治療および/または予防には、そのような障害に付随する症状を軽くすること、そのような障害の進行の抑制、およびそのような障害の消退の促進が非限定的に含まれる。治療溶液中の硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウムおよび硫酸カリウムに由来する硫酸塩全体の用量は、約0.01mg/ml〜約100mg/mlまたは0.1mg/ml〜約10mg/mlまたは1mg/ml〜約5mg/mlであることが想定される。] [0025] 本明細書に記載された硫酸塩による治療的処置を、これらの障害に対する他の種類の公知の治療と組み合わせて投与することができる。そのような他の治療は、高カルシウム濃度関連障害の予防または治療のために、対象に対する本開示による治療法の投与の前(例えば、1分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間、24時間、2日、または1週間前に)、その後(例えば、1分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間、24時間、2日、または1週間後)、またはそれと同時に、患者に投与することができる。] [0026] E.薬学的製剤および治療の方法 本発明は、高カルシウム濃度関連障害を有する対象を治療する予防的および治療的な方法の両方を提供する。本開示による予防的処置の投与は、高カルシウム濃度関連障害に特徴的な症状の発現の前に行うことができる。そのような治療法に関して、本開示による治療用組成物は、経口、肛門、全身性または局所的投与を含む、種々の投与負荷のために製剤化することができる。手法および製剤は、一般に、Remmington's Pharmaceutical Sciences, Meade Publishing Co., Easton, Paに記載がある。] [0027] 例えば、経口投与用の液体調製物は、洗浄液、シロップもしくは懸濁液の形態をとることができ、またはそれらを、使用前に水または他の適した媒体による再構成のための乾燥生成物として提示することもできる。そのような液体調製物は、懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体または硬化食用油);乳化剤(例えば、レシチンまたはアラビアゴム);非水性媒体(例えば、アチオンド油(ationd oil)、油性エステル、エチルアルコールまたは分画された植物油);および保存料(例えば、メチルもしくはプロピル-p-ヒドロキシベンゼン、またはソルビン酸)などの薬学的に許容される添加物を用いる従来の手段によって調製することができる。また、調製物に、香味剤、着色料および甘味料を適宜含めることもできる。] [0028] 当業者は、本明細書に記載された具体的な物質および手順の数多くの等価物を認識していると考えられ、または、定型的な範囲を超えない実験を用いてそれらを確かめることができると考えられる。そのような等価物は、以下の実施例の後に続く特許請求の範囲内に含まれるものとする。] [0029] 1.方法 A.被験者 十分に水分補給をさせた正常な被験者に、75mlのホスホ-ソーダ(phospho-soda)または等モル用量の硫酸塩を摂取させた。PEG洗浄液を対照とした。指定のpHで尿が沈殿する傾向を、沈殿を引き起こした最小カルシウム濃度を決定することによって評価した。] [0030] 5人の正常な被験者を、3種の瀉下薬/洗浄液のそれぞれを用いて試験した。平均年齢は27歳(23〜36歳の範囲)であった。被験者には参加に対する報酬を支払った。この研究はBaylor University Medical Centerの審査委員会による承認を受けており、インフォームドコンセントを得ている。] [0031] B.試験プロトコール 実験の準備時間および実験それ自体には合計36時間をかけた。準備段階では、被験者に第1日の深夜12時から固形食を摂らせなかった。午前7時から午後7時までは、被験者に、良好な水分補給を維持するために透明な液体食を摂らせ、与えられたジャグ(jug)の中にすべての尿を収集するように指示した。午後6時45分に、被験者に検査室に報告させた。午後7時に、彼らに予備的な尿収集を完了させるために排泄させ、実験期間に入らせ、17時間後に実験が完了するまで本発明者らの直接の観察下に置き続けることとした。午後7時に、彼らに以下に記載された溶液の1つを摂取させるか、またはそれを飲み始めさせた。その後に彼らにすべての便および尿を別々の容器に集めさせた。第2日の午前5時に血液試料を採取し、被験者には続いて、彼らに割り当てられた溶液の2回目の用量を摂取させた。尿および便の収集は継続した。午前8時に、別の血液試料を採取した。正午12時に、最後の尿収集の後に、実験を終えた。] [0032] 午後7時から午前5時までの便をプールし、この期間中の下痢は瀉下薬の1回目の用量によるものとみなした。午前5時から正午12時までの便をプールし、この期間中の下痢は瀉下薬の2回目の用量によるものとみなした。尿収集物は以下の別個の3つとした:a)1回目の用量以前の12時間の期間;b)午後7時から午前5時まで(10時間);およびc)午前5時から正午12時まで(7時間)。実験期間全体を通じて、血圧および脈拍数は、臥位で、および立位の後で、2時間間隔で測定した。] [0033] C.濃縮硫酸塩溶液の組成および摂取 無水硫酸ナトリウムおよび硫酸カリウムは、Mallinckrodt Baker, Inc, Paris, Kentuckyから購入した。無水硫酸マグネシウムは、Fisher Scientific, Fairlawn, New Jerseyから購入した。単回用量に関して、3種の塩の重量およびモル量は以下とした:Na2SO4、17.51グラム(硫酸塩123.3ミリモル);K2SO4、3.13グラム(硫酸塩18.0ミリモル);MgSO4、1.6グラム(硫酸塩13.3ミリモル)。2回分の用量における硫酸塩の量は309ミリモルであった。] [0034] 各用量に関して、100mLの溶液を作るのに十分な量で塩を水中に溶解させた。この溶液を嚥下させ、その直後に250mLの水を嚥下させた。次の3時間中は、1630mLのさらなる水を30分間隔での分割用量として摂取させた。したがって、硫酸塩の両方の用量の摂取とともに、およびその後に、被験者は3960mLの水を摂取した。これには200mLの硫酸塩溶液が含まれた。予備的な実験(提示せず)により、この硫酸塩溶液の2回分の用量は約2600グラムの下痢便を生じさせることが示唆された。このため、摂取させた3960mLの水は、予想される便水分損失を約1360ml上回った。] [0035] D.濃縮リン酸塩溶液の組成および摂取 Fleet(登録商標)ホスホ-ソーダ(Phospho-soda)EZ-Prep腸管浄化システム(Fleet Laboratories, Lynchburg, Virginia)を用いた。添付文書によれば、この溶液15mLは、7.2グラムのリン酸二水素ナトリウム(NaH2PO4・H2O)および2.7グラムのリン酸水素二ナトリウム(Na2HPO4・7H2O)を含む。したがって、1mL毎に128.6mgのリン(4.15ミリモルのリンまたはリン酸塩)を含む。1回目の用量に関しては、45mLのホスホ-ソーダ(186.8ミリモルのリン酸塩を含む)を360mLの水に添加した。2回目の用量に関しては、30mLのホスホ-ソーダ(124.5ミリモルのリン酸塩)を360mLの水に添加した。この2回分の用量におけるリン酸塩の総用量は311ミリモルであった。午後7時の1回目の用量の後に、午後7時30分(120mL)、および以後は午後10時まで30分間隔(30分毎に250mL)でさらなる水を摂取させた。したがって、45mLのホスホ-ソーダに加えて、被験者はホスホ-ソーダの1回目の用量の後に合計1730mLの水を投与された。2回目の用量の後に、さらなる水を以下のスケジュールに従って摂取させた:午前5時(120mL)において、および以後は午前7時まで30分間隔において(30分毎に250mL)。したがって、30mLのホスホ-ソーダに加えて、被験者は2回目の用量の後に1230mLの水を投与された。リン酸塩の2回分の用量とともに、およびその後に摂取した水の総量は3035mLであった。これには75mLのホスホ-ソーダ溶液が含まれた。75mLのホスホ-ソーダの後に予想される便の水分損失は約2000mLであった[合計90mLのホスホ-ソーダを摂取させた以前の試験の結果からの外挿(Patel, V, et al. (2007) Hum. Path., 38:193-194)。このため、これらの被験者によって摂取された3035mLの水は、予想される便の水分損失を約1035mL上回った。] [0036] E.PEGベースの洗浄液の組成および摂取 PEG洗浄液はNulytely(登録商標)(Braintree Laboratories, Inc, Braintree, Massachusetts)とし、これはPEG 3350、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウムおよび塩化カリウムを含むジャグの中に分配されている。これらの成分を、4リットルの溶液を作るのに十分な水に溶解させた。第1日の午後7時から、2リットルの洗浄液を2時間かけて摂取させた(8回分の用量について15分毎に250mLずつ)。さらに2リットルを、第2日の午前5時から同じ様式で摂取させた。正味の水分損失または水の獲得は洗浄液の直接的な結果としては予期されなかったが、感知されない損失を相殺するために、さらなる水を以下のスケジュールに従って投与した:午後11時、午前1時、午前3時、午前9時および午前11時に125mL。この結果、17時間の実験期間にわたって625mLの水が摂取された。] [0037] E.下痢液の浄化の評価 単回の排便によって生じたすべての下痢便を撹拌によって十分に混合し、14mLを目盛り付きコニカル遠心管に注ぎ入れ、それに蓋をして、3000rpmで30分間遠心処理した。管の底に溜まった不溶性糞便の比率を、下痢液が浄化された度合いの尺度として用いた。] [0038] G.体液の化学分析 電解質および他の血漿構成要素の血清中濃度を自動分析によって測定した。便および尿の溶質は、以前の記載の通りに、BaylorGIResearch Laboratoryで分析された(Fine, et al. (1998) Dig. Dis. Sci. 43:2708-2714)。リン酸塩濃度は、FiskeとSubbarowの比色法(Fiske, et al. (1925) J. Biol. Chem. 66:374-400)によって測定し、リンのmg数として、またはリンもしくはリン酸塩のミリモル数として表した。硫酸塩濃度は、塩化バリウム添加後の濁度によってアッセイした。下痢便の水含有率は、凍結乾燥の前後に標本を秤量することによって決定した。] [0039] 尿もまた、腎結石の発生に影響を及ぼすと考えられている溶質の分析のために、Litholink Corporation, Chicago, Illinoisに翌日速達便(overnight express)で送った(Asplin, et al. (1998) J. Urol. 159:1821-1825)。] [0040] H.[Ca]濃度はインビトロで尿中の沈殿を誘発する この実験には、尿結晶化の傾向を評価するために、Nicarらによって以前に記載された手順を用いた(Nicar, et al. (1983) Met. 32:906-910)。尿はチモールを加えた上で収集した。いずれの標本も、目視検査および顕微鏡検査によれば沈殿物を含まなかった。12時間の予備期間からの尿、および瀉下薬/洗浄液の2回目の用量から7時間後に収集した尿を試験した。] [0041] 尿の26個分の10mLアリコートを試験管にピペットで入れ、37℃水浴の中に入れて定常的に撹拌した。13本からなる管の1つのセットでは、0.1N HClまたはNaOHの手作業での添加により、3時間のインキュベーション期間全体を通してpHを6.4±0.1に維持した。別の13本の管のセットではpHを7.2±0.1に維持した。各pHの管の1本を対照として利用した。他の管には、カルシウム濃度が徐々に上昇するように、種々の容積の塩化カルシウム濃縮溶液を添加した。添加した溶液の総容積は0.45mLを超えないようにしたため、希釈効果は回避された。] [0042] 管を光の前に保持することにより、および沈殿した材料または結晶化凝集物が明らかになるように穏やかに振盪することにより、3時間のインキュベーション期間後の沈殿を視覚的に同定した。沈殿物を含む中でカルシウム濃度が最も低かった管を同定した。尿のそのアリコート中のカルシウム濃度は、10mLの本来の尿(原子吸収分光法により決定)中のカルシウムの量と、沈殿を生じさせるために添加したカルシウムの量とを加えることによって導き出した。続いて、沈殿した時点でのアリコート中のカルシウム濃度をmg/dL単位で算出した。] [0043] i.統計分析 一元配置分散分析(ANOVA)を、3つの投与群間の差の統計学的有意性を検定するために用いた。リン酸塩の摂取後のリン酸塩吸収と、硫酸塩の摂取後の硫酸塩吸収との対比のように、比較を行うのが2群しかない場合には、群間t検定を用いた。治療前の値および治療後の値(特定の治療の前および後の血圧または尿中値など)が各被験者に関して入手可能な場合には、治療効果の統計学的有意性を対応t検定によって評価した。相関係数はピアソンの積率(Pearson Product Moment)を用いて計算した。] [0044] II.結果 腸は摂取したリン酸塩の35%および摂取した硫酸塩の17%を吸収し、便容積はリン酸塩の後では2.0L、硫酸塩の後では2.9Lであり、PEGの後では3.0Lであった。リン酸塩の摂取後に、尿中[PO4]は44mg/dLから220mg/dLに増加し;硫酸塩の摂取後に、尿中[SO4]は38mg/dLから103mg/dLに増加した。瀉下薬レジメンの前および後の、pH 6.4で尿沈殿を誘発させるためのカルシウム濃度(mg/dL単位)は以下の通りであった:PEG、26.6から42.5まで、p=0.181;PO4、28.2から7.4まで、p=<0.001;SO4、31.2から211.1まで、p=0.024。] [0045] A.血中値および生命徴候 血清中の無機リン酸塩濃度は、リン酸塩溶液を摂取した後に上昇した:ベースライン、1.05±0.03mmol/L(3.4mg/dL);1回目の用量から10時間後、1.73±0.03mmol/L(5.6mg/dL);および、2回目の用量から3時間後、2.04±0.22mmol/L(6.6mg/dL)、p=0.007。硫酸塩溶液の摂取の前および後の血清中の硫酸塩に関する対応するmmol/L値は、0.31±0.07、0.60±0.06および0.97±0.05、p<0.001であった。測定された血清化学または血液学パラメーターに統計学的に有意な変化または差はみられなかった。血圧および脈拍数に基づけば、3種の瀉下薬/洗浄液のいずれかを摂取した5人の被験者において、体液量減少に関する統計学的に有意な証拠はなかった。] [0046] B.17時間の実験期間中の経口摂取量および便排出量 PEG 3350の分子サイズが大きいため、4リットルのPEG洗浄液は平均で3471mLの水しか含まなかった。同様に、PEG洗浄によって生成された下痢液は、リン酸塩または硫酸塩によって生じた下痢液よりも単位容積当たりに含む水がより少なかった。このため、便容積および便水を表1に別々に示している。] [0047] (表1)瀉下薬/洗浄液+脱水を緩和するためのさらなる水を2回分の用量摂取した後の、水および溶質の摂取量ならびに便排出量 *正味の吸収(プラス記号で表示)または正味の分泌(マイナス記号で表示) ‡ANOVAによるP値] [0048] 下痢便の容積はPEG洗浄後に最も大きかったが、便中の水の排出量は硫酸塩の後が最も多かった。硫酸塩瀉下はリン酸塩瀉下よりも43%多い便容積を生じさせた。大容積の下痢液を排泄したにもかかわらず、すべての群における被験者が17時間の実験期間中に水を吸収し、平均1101ml〜1532mLであった。] [0049] 表1および図1Aに示されているように、リン酸塩溶液の摂取後の正味のリン酸塩吸収は平均108ミリモルであり、これは硫酸塩溶液の摂取後の正味の硫酸塩吸収の平均のおよそ2倍であった(p=0.014)。リン酸塩溶液を投与された5人の被験者において、リン酸塩の吸収率は午前8時(リン酸塩溶液の2回目の用量の3時間後)の血清リン酸塩濃度および尿中リン酸塩排泄と相関した(図1Bおよび1C)。おそらくは硫酸塩瀉下後の硫酸塩吸収の変動が相対的に少なかったために、硫酸塩吸収と血清中の硫酸塩濃度または尿中の硫酸塩排泄との間には相関は認められなかった。] [0050] C.便重量および下痢液の浄化 図2Aに示されているように、下痢便重量の増加に伴って不溶性糞便の比率の漸減がみられた。1回目の用量の後に、下痢液中の糞便の平均比率は、PEGでは8.5±3.7%、硫酸塩では6.4±3.8%であり、リン酸塩では16.4±4.0%であった(p=0.203)。2回目の用量の後に、下痢液中の糞便の平均比率は、PEGでは1.1±0.1%、硫酸塩では1.6±0.4%であり、リン酸塩では4.1±0.4%であった(p=<0.001)。図2Bは、2Aに示された結果との比較のために、下痢液浄化のさまざまな段階で遠心処理した下痢便の外観を示している。] [0051] D.尿容積および溶質の尿中排出量 15件のすべての試験に関する予備的な12時間の期間中の平均尿容積は、1798±230mLであった。17時間の実験期間中の平均尿容積は1624〜2006mlの範囲であった(表2)。] [0052] (表2)17時間の実験期間中の尿の容積および溶質排出量] [0053] ここに示したクエン酸塩およびシュウ酸塩の測定は、Litholink Corporationによって行われた。他のすべての測定は、BaylorGIResearch Laboratoryで行われた。] [0054] 表1に以前に示したように、311ミリモルのリン酸塩の摂取は、108ミリモルのリン酸塩の正味の吸収をもたらした。リン酸塩の摂取後には75ミリモルのリン酸塩が尿中に排泄された(表2)。PEG洗浄液(これはリン酸塩を含まない)の摂取後には16ミリモルのリン酸塩が尿中に排泄されたため、吸収されたリン酸塩108ミリモルのうち推定59ミリモル(55%)が、17時間の尿収集期間中に尿中に排泄された。同様の計算により、硫酸塩の摂取後には、吸収された硫酸塩の76%(54ミリモルのうち41ミリモル)が、17時間の尿収集期間中に尿中に排泄された。] [0055] 尿中カルシウム排泄は、硫酸塩溶液およびPEG溶液の摂取後には同程度であったが、リン酸塩の摂取後には実質的に減少した(表2)。尿中マグネシウム排泄は硫酸塩の摂取後に増加した。尿中の正味の酸分泌は、リン酸塩および硫酸塩の後の方がPEGの後よりも多かった。] [0056] E.尿中のブラシュ石に関する相対的飽和比(RSR-Br) 表3におけるデータはLitholink Corporationによって測定され、同社はRSR-Brを算出するためにEQUIL2対話型コンピュータプログラムによる結果の解析も行った(Asplin, et al. (1997), Kidney Int. 52:1602-1608;Werness, et al. (1985) J. Urol. 134:1242-1244)。ブラシュ石は、尿または腎尿細管液などの生体溶液中に生じる初期のリン酸カルシウム沈殿物である。そのCa:Pモル比は1.0である。この沈殿物は、Ca:P比がより高い他の型のリン酸カルシウムに変換されうるが、生体液中のリン酸カルシウムの沈殿に関してはブラシュ石に関するBSRが主たる関心の対象(principle interest)である(Pak (1969) J. Clin. Invest. 1914-1922)。] [0057] (表3)尿中の溶質濃度、ならびにブラシュ石に関する相対的飽和比(RSR-Br)およびクレアチニンクリアランスの算出] [0058] 予備期間中に収集された尿は1.0に近いRSR-Br値を有し、このことはブラシュ石に関して飽和または飽和に近い条件であることを指し示している(表3)。予備的な尿と比較して、3種の瀉下薬/洗浄液の後に収集された尿はいずれもRSR-Brが実質的に1未満に降下した。例えば、リン酸塩の摂取後に、尿中リン酸塩濃度の急激な上昇にもかかわらず、RSR-Brは1.18から0.25に降下した。これは、尿中カルシウム濃度の顕著な低下および尿pHの降下のために起こった。] [0059] F.クレアチニンクリアランス 12時間の予備期間中に得られた値と比較して、平均クレアチニンクリアランスは、いずれの瀉下薬/洗浄液の後にも幾分降下した(表3)が、これらの変化は統計学的に有意ではなかった。リン酸塩および硫酸塩の1回目および2回目の用量の後のクレアチニンクリアランスは、PEG溶液の後のクリアランスと同程度であった。] [0060] G.[Ca]はインビトロでpH 6.4および7.2で尿中の沈殿を誘発する 表4は、ベースライン期間からの尿を、瀉下薬/洗浄液の2回目の用量の後に収集した尿と比較している。] [0061] (表4)pH 6.4および7.2で尿中に沈殿を誘発するために必要なカルシウム濃度に対する3種の瀉下薬/洗浄レジメンの影響 濃度をmg/dL単位で、平均±SEMとして表している。 *ここに示したp値は、瀉下薬/洗浄液を摂取する前および後の各被験者からの尿標本に関する結果を比較する対応t検定によって決定した。ANOVAによる別の分析では、異なる瀉下薬/洗浄液を後ほど投与しようとする被験者の3群に関する結果について有意差はなかった。瀉下薬/洗浄液の2回目の用量の後、差に関するp値はpH 6.4では0.003であり、pH 7.2では0.004であった。] [0062] pH 6.4で、PEGは尿沈殿を生じさせるほどにはカルシウム濃度を変化させなかった。対照的に、リン酸塩の摂取はカルシウム濃度を顕著に低下させて沈殿を惹起し、一方、硫酸塩は顕著にカルシウム濃度を増加させて沈殿を誘発した。] [0063] リン酸カルシウムの沈殿は、より高いpH値における方が、より低いpH値におけるよりもはるかに容易に起こり、そのため、pH 7.2では、pH 6.4での結果と比較してはるかに低いカルシウム濃度で沈殿物が生じたことは驚くには当たらない。このことは、pH 7.2でなぜ硫酸塩が、沈殿を誘発するほどにカルシウム濃度を有意には上昇させなかったかを説明しうる可能性がある。一方、リン酸塩は、pH 7.2で、pH 6.4での場合と同じく、カルシウム濃度の統計学的に有意な低下を引き起こして沈殿を惹起した(表4)。] [0064] カルシウムの添加後に発生した沈殿物の量は、pH 6.4または7.2のいずれかで実施した60件の実験のうち44件で、さらなる分析を行うのに十分であった。乾燥させた沈殿物を、赤外分光法による分析のために、Mayo Medical Laboratories(Rochester, MN)に搬送した。44個の沈殿物のうち43個がリン酸カルシウムを含んでいた。通常はこれが唯一の沈殿物であった。場合によっては、少量のシュウ酸カルシウムまたはマグネシウム含有塩も見いだされた。pH 7.2で見いだされた最終的なリン酸カルシウム塩は、主としてカルシウムハイドロキシアパタイトであり、一方、pH 6.4ではカルシウムハイドロキシアパタイトおよびブラシュ石の両方が認められた。硫酸塩溶液の摂取後に、5人の被験者のうち1人の尿中にpH 6.4で形成された沈殿物は硫酸カルシウムであった(沈殿時のカルシウム濃度は32mg/dLであった)。pH 7.2では、この尿中の沈殿物はリン酸カルシウムであった(沈殿時のカルシウム濃度は12mg/dLであった)。] [0065] III.結論 1)等モル用量において、硫酸塩はリン酸塩よりも有効な瀉下薬である。2)リン酸塩瀉下はpH 6.4(遠位尿細管腔液のpH)での尿中のカルシウム塩沈殿の傾向を高め、一方、硫酸塩瀉下はそのような沈殿の尤度を低下させる。3)これらの観察所見は、硫酸塩がリン酸塩よりも腎尿細管液中のカルシウム塩沈着を誘発する可能性が低いと考えられることを示唆する。] 実施例 [0066] 等価物 当業者は、本明細書に記載された具体的な物質および手順の数多くの等価物を認識していると考えられ、または、定型的な範囲を超えない実験を用いてそれらを確かめることができると考えられる。そのような等価物は、以下の実施例の後に続く特許請求の範囲内に含まれるものとする。]
权利要求:
請求項1 高カルシウム濃度関連障害の治療を必要とする患者において高カルシウム濃度関連障害を治療する方法であって、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムおよび硫酸マグネシウムを含む治療用組成物を投与する段階を含む、方法。 請求項2 前記治療用組成物が溶液の形態をしている、請求項1記載の方法。 請求項3 前記障害が、高カルシウム尿症、腎石灰化症、再発性カルシウム腎石症、リン酸カルシウム結石症、結石形成性疾患(stone forming disease)、スツルバイト形成、カルシウムリン酸再発性結石、吸収性高カルシウム尿症候群、血管石灰化、再発性カルシウム尿石症、持続的に高い尿pH、カルシフィラキシー、カルシファラキス(calciphalaxis)、慢性腎不全、末期腎疾患、尿毒症性細小動脈石灰化症(calcific uremic arteriolopathy)からなる群より選択される、請求項1記載の方法。 請求項4 腎結石の傾向のある患者において洗浄液の摂取から生じる腎石灰沈着症のリスクを低下させる方法であって、該患者において硫酸ナトリウム、硫酸カリウムおよび硫酸マグネシウムからなる洗浄液の治療的有効量を投与する段階を含む、方法。 請求項5 前記洗浄液が、約5g〜約30gの硫酸ナトリウム、約1g〜約5gの硫酸カリウムおよび約0.5g〜約5gの硫酸マグネシウムを含む、請求項4記載の方法。 請求項6 前記洗浄液の容積が約75ml〜125mlである、請求項4記載の方法。 請求項7 前記洗浄液の1回目の投与および該洗浄液の2回目の投与がある、請求項4記載の方法。 請求項8 前記洗浄液が約17gの硫酸ナトリウム、約3gの硫酸カリウムおよび約1.5gの硫酸マグネシウムを含む、請求項5記載の方法。 請求項9 洗浄液の投与の直後に水の投与を行う、請求項1記載の方法。 請求項10 前記洗浄液の直後に投与される水の容積が約200ml〜300mlである、請求項9記載の方法。 請求項11 さらなる水の投与をさらに含む、請求項10記載の方法。 請求項12 投与される水の容積が約1200ml〜約2000mlである、請求項11記載の方法。 請求項13 前記投与される水の容積が約1600mlである、請求項12記載の方法。 請求項14 前記洗浄液の投与後の前記さらなる水の投与が、3時間にわたって30分毎に投与される等用量に分割される、請求項11記載の方法。 請求項15 腎結石の傾向のある患者において洗浄液の摂取から生じる腎石灰沈着症のリスクを低下させるための医薬の製造における、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムおよび硫酸マグネシウムの使用法であって、該患者において硫酸ナトリウム、硫酸カリウムおよび硫酸マグネシウムを含む治療剤を該患者に投与する段階を含む、使用法。 請求項16 高カルシウム濃度関連障害の治療を必要とする患者において高カルシウム濃度関連障害を治療するための医薬の製造における、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムおよび硫酸マグネシウムの使用法。
类似技术:
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同族专利:
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引用文献:
公开号 | 申请日 | 公开日 | 申请人 | 专利标题
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