![]() Gm−csfアンタゴニストを用いて骨減少障害を治療する方法
专利摘要:
本発明は、骨減少症などの骨減少障害の治療にGM-CSFアンタゴニストを使用できるという発見に基づく。したがって本発明は、GM-CSFアンタゴニスト、例えばGM-CSF抗体を骨減少障害を有する患者に投与する方法、およびそのようなアンタゴニストを含む薬学的組成物を提供する。 公开号:JP2011510015A 申请号:JP2010543250 申请日:2009-01-15 公开日:2011-03-31 发明作者:クリストファー;アール. ベビントン;ジェフリー;ティー. ヤラントン 申请人:カロバイオス ファーマシューティカルズ インコーポレイティッド; IPC主号:A61K45-00
专利说明:
[0001] 関連出願の相互参照 本出願は、2008年1月15日に出願された米国特許仮出願第61/021,218号の恩典を主張するものであり、該出願は参照により本明細書に組み入れられる。] 背景技術 [0002] 発明の背景 骨粗鬆症は高齢の男女においてよくみられる状態であり、骨の減少、骨の微小構造の崩壊、および骨内の非コラーゲン性タンパク質の変化は、高い骨折リスクへとつながる。米国における全白人女性の約25〜30%が症候性骨粗鬆症を発症している。45歳以上の女性において、股関節骨折、大腿骨骨折、頸部骨折、および転子間骨折の発生率と骨粗鬆症との間には、直接の関連性がある。50〜70歳の初老男性も症候性骨粗鬆症を発症するが、この疾患は主に女性が患う。] [0003] 骨粗鬆症の主な原因は骨リモデリングの不均衡であり、ここでは骨再吸収が優勢となっている。正常な骨では、骨基質のリモデリングが常時行われている。骨髄由来の破骨細胞により骨が再吸収され;骨芽細胞により新しい骨が沈着する。骨リモデリングは、様々なホルモン因子の影響を受ける。例えば、破骨細胞の活性化は、破骨細胞形成抑制因子(OPG)およびNFκB活性化受容体リガンド(RANKL)を含むいくつかの因子によって調節される。RANKLは、その受容体と結合すると骨再吸収を増大させる。RANKLに結合するOPGは、上記受容体への結合を阻害することによって、RANKLが骨再吸収を増大させる能力を抑制することができる。その他様々なサイトカインおよび因子が、骨細胞および骨細胞前駆体の増殖活性、成熟活性、および分泌活性に影響を与えることによって骨再吸収を調節する。これらのサイトカインおよび増殖因子には、IL-6、TNF-α、IL-1、およびM-CSFが含まれる。] [0004] GM-CSFが前駆体を樹状細胞へと変換することによって破骨細胞分化を阻害するという証拠が少なからず存在する(例えば、Khapli et al., J. Immunol. 171:142-151, 2003(非特許文献1); Miyamoto et al., Blood 98:2544-2554, 2001(非特許文献2); Myint et al., Am. J. Pathol. 154:553-566, 1999(非特許文献3); Shuto et al., Endocrinology 134:1121-1126, 1994(非特許文献4); およびKim et al., J. Biol. Chem. 280:16163-16169, 2005(非特許文献5)を参照されたい)。特定の条件下でGM-CSFがインビトロにおける骨破壊性の細胞の形成を促進しうること(例えば米国特許第6,331,562号(特許文献1))、およびコロニー刺激因子が特定の環境において治療標的となりうること(米国特許出願公開第20020141994号(特許文献2))も報告されている。このように、骨粗鬆症におけるGM-CSFの役割は明確に説明されていなかった。] [0005] 本発明は、GM-CSFを標的とする新たな骨粗鬆症治療法を提供することによって、骨粗鬆症および骨密度が低下するその他の障害に対するさらなる療法の必要性に対処するものである。] [0006] 米国特許第6,331,562号 米国特許出願公開第20020141994号] 先行技術 [0007] Khapli et al., J. Immunol. 171:142-151, 2003 Miyamoto et al., Blood 98:2544-2554, 2001 Myint et al., Am. J. Pathol. 154:553-566, 1999 Shuto et al., Endocrinology 134:1121-1126, 1994 Kim et al., J. Biol. Chem. 280:16163-16169, 2005] [0008] 発明の簡単な概要 本発明は、GM-CSFアンタゴニストを使用して骨減少症などの骨減少障害を治療することができるとの発見に基づくものである。したがって、本発明は、GM-CSFアンタゴニスト、例えば抗体を、骨減少症患者に投与する方法を提供する。いくつかの態様において、GM-CSFアンタゴニストは組換えによって産生されたものであり、例えば組換えモノクローナル抗体である。他の態様において、GM-CSFアンタゴニスト、例えばヒト血漿由来の精製抗GM-CSFは天然源から精製される。] [0009] 一局面において、本発明は、骨減少障害、例えば骨減少症を有する患者を治療するための方法を提供し、該方法は、治療的有効量の精製GM-CSFアンタゴニストを、骨減少の症状を低減するのに十分な量で患者に投与する段階を含む。GM-CSFアンタゴニストは、例えば、抗GM-CSF抗体、抗GM-CSF受容体抗体;可溶性GM-CSF受容体;シトクロムb562抗体模倣体;アドネクチン(adnectin)、リポカリン骨格抗体模倣体;カリックスアレーン抗体模倣体、または抗体様結合ペプチド模倣体であってよい。] [0010] いくつかの態様において、骨減少症患者は骨粗鬆症を有する。典型的な態様において、骨減少症はエストロゲン欠乏に起因する。いくつかの態様において、骨減少症、例えば骨粗鬆症、または骨減少を伴う別の障害と診断された患者であって、他の疾患、例えば関節リウマチなどの自己免疫疾患とも診断されている患者に、GM-CSFアンタゴニスト、例えばGM-CSF抗体を投与する。他の態様において、骨減少症、例えば骨粗鬆症と診断されているが関節リウマチとは診断されていない患者に、あるいは自己免疫疾患とは診断されていない患者に、GM-CSF抗体などのアンタゴニストを投与する。] [0011] 多くの態様において、GM-CSFアンタゴニストはGM-CSFに対する抗体、すなわち抗GM-CSF抗体である。種々の態様において、抗体はポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、またはナノボディもしくはラクダ科動物抗体などの抗体であってよい。いくつかの態様において、抗体は、Fab、Fab’、F(ab’)2、scFv、またはドメイン抗体(dAB)などの抗体断片である。抗体は、例えば安定性を向上させるために修飾することができる。したがって、いくつかの態様において、抗体をポリエチレングリコールに結合させる。] [0012] いくつかの態様において、抗体は、約100 pM〜約10 nM、例えば約100 pM、約200 pM、約300 pM、約400 pM、約500 pM、約600 pM、約700 pM、約800 pM、約900 pM、または約1 nM〜約10 nMの親和性を有する。さらなる態様において、抗体は、約1 pM〜約100 pMの親和性、例えば約1 pM、約5 pM、約10 pM、約15 pM、約20 pM、約25 pM、約30 pM、約40 pM、約50 pM、約60 pM、約70 pM、約80 pM、または約90 pM〜約100 pMの親和性を有する。いくつかの態様において、抗体は約10〜約30 pMの親和性を有する。] [0013] いくつかの態様において、抗体は中和抗体である。さらなる態様において、抗体は組換え抗体またはキメラ抗体である。いくつかの態様において、抗体はヒト抗体である。いくつかの態様において、抗体はヒト可変領域を含む。いくつかの態様において、抗体はヒト軽鎖定常領域を含む。いくつかの態様において、抗体は、γ鎖などのヒト重鎖定常領域を含む。] [0014] さらなる態様において、抗体は、キメラ19/2抗体と同じエピトープに結合する。抗体は、例えばキメラ19/2のVH領域およびVL領域を含み得る。抗体はまた、γ領域などのヒト重鎖定常領域を含み得る。いくつかの態様において、抗体は、キメラ19/2のVH領域のCDR1、CDR2、およびCDR3を含む。さらなる態様において、抗体は、キメラ19/2のVL領域のCDR1、CDR2、およびCDR3を含む。付加的な態様において、抗体は、キメラ19/2抗体のVH領域およびVL領域のCDR1、CDR2、およびCDR3を含む。いくつかの態様において、抗体は、キメラ19/2のVH領域CDR3およびVL領域CDR3を含む。] [0015] いくつかの態様において、抗体は約7〜約25日の半減期を有する。] [0016] 本発明の方法のいくつかの態様において、GM-CSFアンタゴニスト、例えば抗GM-CSF抗体を注射によりまたは注入により投与する。例えば、GM-CSFアンタゴニストを約15分〜約2時間かけて静脈内投与することができる。] [0017] 他の態様において、GM-CSFアンタゴニストをボーラス注射によって皮下投与する。] [0018] さらなる態様において、GM-CSFアンタゴニストを筋肉内投与する。] [0019] GM-CSF抗体は、例えば、約1 mg/kg体重〜約10 mg/kg体重の用量で投与することができる。] [0020] いくつかの態様において、GM-CSFアンタゴニストによる治療は、GM-CSFアンタゴニストの二次投与を含む。] [0021] いくつかの態様において、本発明の治療法は、骨減少を治療するための第二の治療剤、例えばアレンドロネート、エチドロネート、リセドロネート、もしくはイバンドロン酸などのビスホスホネート;またはラロキシフェン、テリパラチド、もしくはラネリック酸ストロンチウムなどの作用物質;またはフッ化物もしくはカルシウムなどの骨強化ミネラルを投与する段階を、さらに含む。その他の治療剤には、カルシトニン、ホルモン置換療法、破骨細胞形成抑制因子(OPG)などのRANKLアンタゴニスト、例えばOPG-Fc融合タンパク質、およびRANKLに対する抗体、例えばデノスマブが含まれる。GM-CSFアンタゴニスト、例えばGM-CSF抗体を、1つまたは複数の所望の追加の治療剤と同時にまたは連続して、投与することができる。いくつかの態様において、患者をまず、作用物質、例えばビスホスホネートで処置し、次に、ビスホスホネートによる処置を中止した後にGM-CSFアンタゴニストによる処置を行うことができる。いくつかの態様において、患者がGM-CSFアンタゴニスト、例えばGM-CSF抗体による処置も受けている場合、GM-CSFアンタゴニストによる処置を受けていない患者へ典型的に投与される治療剤、例えばビスホスホネートの量と比べて、より低い用量および/またはより低頻度の投与量である追加の治療剤、例えばビスホスホネートを用いることができる。] 図面の簡単な説明 [0022] 骨粗鬆症モデルマウスにおける骨減少に対するGM-CSF抗体の効果を評価する試験における処置群を示す。投与経路は、腹腔内(IP)または皮下(SC)である。(NA:適用せず) 海綿骨密度を解析したデータを示す。図2は、マウスにおける卵巣摘出誘導骨減少症の阻害を示す:海綿骨密度の組織形態計測分析。 図1に示すように処置したマウス由来の、ヘマトキシリン-エオシン(H&E)染色した脱灰脛骨の骨端部切片の顕微鏡写真を示す。卵巣摘出誘導骨減少症マウスおいて、対照処置マウス(第1群)は、骨梁のサイズ、数、および密度の低下を示した。 図1に示すように処置したマウス由来の、ヘマトキシリン-エオシン(H&E)染色した脱灰脛骨の骨端部切片の顕微鏡写真を示す。アレンドロネートで処置した卵巣摘出マウス(第2群)は、骨梁のサイズ、数、および密度の増大を示した 図1に示すように処置したマウス由来の、ヘマトキシリン-エオシン(H&E)染色した脱灰脛骨の骨端部切片の顕微鏡写真を示す。抗GM-CSF抗体で処置した卵巣摘出マウス(第3群)は、骨梁のサイズ、数、および密度の増大を示した 図1に示すように処置したマウス由来の、ヘマトキシリン-エオシン(H&E)染色した脱灰脛骨の骨端部切片の顕微鏡写真を示す。第4群のマウス(偽手術)は、骨梁の正常なサイズ、数、および密度を示した。 卵巣摘出マウスおよび偽手術マウス由来の脱灰骨切片における骨芽細胞および破骨細胞の形態および活性を表している、ヘマトキシリン-エオシン(H&E)染色した顕微鏡写真を示す。第1群由来のマウス(卵巣摘出;対照処置)における骨芽細胞および破骨細胞の形態および活性の例証。 卵巣摘出マウスおよび偽手術マウス由来の脱灰骨切片における骨芽細胞および破骨細胞の形態および活性を表している、ヘマトキシリン-エオシン(H&E)染色した顕微鏡写真を示す。第2群由来のマウス(卵巣摘出;アレンドロネート処置)における骨芽細胞および破骨細胞の形態および活性の例証。 卵巣摘出マウスおよび偽手術マウス由来の脱灰骨切片における骨芽細胞および破骨細胞の形態および活性を表している、ヘマトキシリン-エオシン(H&E)染色した顕微鏡写真を示す。第3群由来のマウス(卵巣摘出;抗GM-CSF抗体処置)における骨芽細胞および破骨細胞の形態および活性の例証。 卵巣摘出マウスおよび偽手術マウス由来の脱灰骨切片における骨芽細胞および破骨細胞の形態および活性を表している、ヘマトキシリン-エオシン(H&E)染色した顕微鏡写真を示す。第4群由来のマウス(偽手術)における骨芽細胞および破骨細胞の形態および活性の例証。 GM-CSF抗体で処置したマウスと、正常マウスおよび抗体を投与していない卵巣摘出マウスとの血液学的比較を示す。] [0023] 発明の詳細な説明 定義 本明細書にて使用する「骨減少障害」とは、限局性のまたは非特異的な骨密度の低下を指す。本発明の文脈における「骨減少症」とは、骨減少が部位特異的ではない、正常値を下回る全身的な骨密度低下を指す。「骨粗鬆症」とは、骨減少がより進行した骨減少症の一種であり、共通の臨床基準に基づいて診断される。] [0024] 本明細書で使用する「顆粒球マクロファージコロニー刺激因子」(GM-CSF)とは、分子量約23 kDaの、内部ジスルフィド結合を有する小さな天然糖タンパク質を指す。ヒトでは、これはヒト第5染色体上のサイトカインクラスター内に位置する遺伝子によってコードされる。ヒトの遺伝子およびタンパク質の配列は公知である。タンパク質は、N末端シグナル配列およびC末端受容体結合ドメインを有する(Rasko and Gough In: The Cytokine Handbook, A. Thomson, et al, Academic Press, New York (1994) pages 349-369)。その三次元構造はインターロイキンのものに類似しているが、アミノ酸配列は類似していない。GM-CSFは、造血環境および炎症の周辺部位に存在する間葉細胞により、いくつかの炎症性メディエータに応答して産生される。GM-CSFは、骨髄細胞からの好中性顆粒球、マクロファージ、および顆粒球-マクロファージ混合コロニーの産生を促進することができ、胎児肝前駆細胞からの好酸球コロニーの形成を促進することができる。GM-CSFは、成熟顆粒球およびマクロファージにおいて何らかの機能活性を促進することもできる。] [0025] 「顆粒球マクロファージコロニー刺激因子受容体」(GM-CSFR)という用語は、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)と結合した場合にシグナルを伝達する、細胞上に発現される膜結合型受容体を指す。GM-CSFRは、リガンド特異的低親和性結合鎖(GM-CSFRα)、および高親和性結合およびシグナル伝達に必要な第二の鎖からなる。第二の鎖は、インターロイキン3(IL-3)受容体およびIL-5受容体のリガンド特異的α鎖によって共有され、よってβ共通(βc)と称される。GM-CSFRαの細胞質領域は、α1およびα2アイソフォームによって共有される膜近位保存領域、ならびにα1とα2とで異なるC末端可変領域からなる。β-cの細胞質領域は、膜近位セリン、およびGM-CSFによって誘導される増殖応答に重要な酸性ドメインを含む。] [0026] 「可溶性顆粒球マクロファージコロニー刺激因子受容体」(sGM-CSFR)という用語は、GM-CSFと結合するが、リガンドと結合した場合にシグナルを伝達しない非膜結合型受容体を指す。] [0027] 本明細書で使用する「GM-CSFアンタゴニスト」とは、GM-CSFまたはその受容体と相互作用して、GM-CSFの、細胞上に発現されたその同族受容体への結合によって本来起こるシグナル伝達を(部分的または完全に)減少させるまたは遮断する分子または化合物を指す。GM-CSFアンタゴニストは、受容体との結合に利用可能なGM-CSFリガンドの量を減少させることによって作用し得るか(例えば、GM-CSFに一度結合した抗体は、GM-CSFのクリアランス速度を増加させる)、またはGM-CSFもしくは受容体に結合することによってリガンドがその受容体に結合するのを妨げ得る(例えば、中和抗体)。GM-CSFアンタゴニストには阻害物質も含まれてよく、これには、GM-CSFまたはその受容体と結合して、シグナル伝達を部分的または完全に阻害する化合物が含まれ得る。GM-CSFアンタゴニストには、抗体、天然または合成のリガンドもしくはその断片、ポリペプチド、低分子などが含まれてもよい。] [0028] 本明細書で使用する「精製」GM-CSFアンタゴニストとは、その天然状態において見出される通常それに付随する成分を実質的にまたは本質的に含まないGM-CSFアンタゴニストを指す。例えば、血液または血漿から精製された抗GM-CSF抗体などのGM-CSFアンタゴニストは、他の免疫グロブリン分子などの他の血液または血漿成分を実質的に含まない。純度および均一性は典型的に、ポリアクリルアミドゲル電気泳動または高速液体クロマトグラフィーなどの分析化学技法を用いて決定する。調製物中に存在する主な種であるタンパク質は、実質的に精製されている。典型的に、「精製された」とは、天然でタンパク質と共に存在する成分と比較して、タンパク質が少なくとも85%純粋、より好ましくは少なくとも95%純粋、最も好ましくは少なくとも99%純粋であることを意味する。] [0029] 本明細書で使用する「抗体」とは、結合タンパク質として機能的に定義され、抗体を産生する動物の免疫グロブリンコード遺伝子のフレームワーク領域に由来すると当業者によって認識されるアミノ酸配列を含むとして構造的に定義されるタンパク質である。抗体は、免疫グロブリン遺伝子または免疫グロブリン遺伝子の断片によって実質的にコードされる1つまたは複数のポリペプチドからなり得る。認識されている免疫グロブリン遺伝子にはκ、λ、α、γ、δ、ε、およびμ定常領域遺伝子、ならびに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子が含まれる。軽鎖はκまたはλのいずれかに分類される。重鎖はγ、μ、α、δ、またはεに分類され、これらはそれぞれ免疫グロブリンクラスIgG、IgM、IgA、IgD、およびIgEを規定する。] [0030] 典型的な免疫グロブリン(抗体)構造単位は、四量体を含むことが知られている。各四量体は2つの同じポリペプチド鎖対からなり、各対は1本の「軽」鎖(約25 kD)および1本の「重」鎖(約50 kD)を有する。各鎖のN末端は、主に抗原認識を担う約100〜110またはそれ以上のアミノ酸の可変領域を規定する。可変軽鎖(VL)および可変重鎖(VH)という用語は、それぞれこれらの軽鎖および重鎖を指す。] [0031] 本明細書で使用する抗体という用語は、結合特異性を保持する抗体断片も含む。例えば、いくつかの十分に特徴づけられた抗体断片が存在する。したがって、例えば、ペプシンはヒンジ領域内のジスルフィド結合のC末端側で抗体を消化して、それ自体ジスルフィド結合によりVH-CH1に結合している軽鎖であるFabの二量体であるF(ab)'2を生成する。F(ab)'2を穏和な条件下で還元してヒンジ領域のジスルフィド結合を切断し、それにより(Fab')2二量体からFab'単量体に変換することができる。Fab'単量体は、本質的にヒンジ領域の部分を伴うFabである(他の抗体断片のより詳細な説明については、Fundamental Immunology, W.E. Paul, ed., Raven Press, N.Y. (1993)を参照されたい)。無傷の抗体の消化に関して様々な抗体断片が規定されるが、当業者は、化学的にまたは組換えDNA方法論を用いることによりそのような断片を新規に合成できることを理解するであろう。したがって、抗体という用語はまた、全抗体の修飾によって生成される、または組換えDNA方法論を用いて合成される抗体断片を含む。] [0032] 抗体には、可変重鎖領域と可変軽鎖領域が共に結合して(直接またはペプチドリンカーを介して)、連続したポリペプチドを形成する一本鎖Fv抗体(sFvまたはscFv)のような一本鎖抗体(単一のポリペプチド鎖として存在する抗体)を含む、VH-VL二量体、VH二量体、またはVL二量体などの二量体が含まれる。一本鎖Fv抗体は、直接結合しているか、またはペプチドコードリンカーによって結合しているVHおよびVLコード配列を含む核酸から発現され得る、共有結合したVH-VLヘテロ二量体である(例えば、Huston, et al. Proc. Nat. Acad. Sci. USA, 85:5879-5883, 1988)。VHとVLは単一ポリペプチド鎖として互いに結合しているが、VHおよびVLドメインは非共有結合によって会合する。または、抗体は、ジスルフィド安定化Fv(dsFv)などの別の断片であってもよい。組換え技法の使用を含めて、他の断片を作製することもできる。自然に凝集するが化学的に分離している抗体V領域由来の軽鎖および重鎖ポリペプチド鎖を、抗原結合部位の構造と実質的に類似した三次元構造に折りたたまれる分子に変換する、scFv抗体およびいくつかの他の構造が当業者に公知である(例えば、米国特許第5,091,513号、第5,132,405号、および第4,956,778号を参照されたい)。いくつかの態様において、抗体には、ファージ上に提示されている、または鎖が可溶性タンパク質、例えばscFv、Fv、Fab、(Fab')2として分泌されるベクターを用いる組換え技術によって作製される、または鎖が可溶性タンパク質として分泌されるベクターを用いる組換え技術によって作製される抗体が含まれる。本発明において使用するための抗体には、二抗体(diantibody)およびミニ抗体も含まれ得る。] [0033] 本発明の抗体には、ラクダ科動物由来の抗体のような重鎖二量体も含まれる。ラクダ科動物における重鎖二量体IgGのVH領域は軽鎖と疎水性相互作用を形成する必要がないため、通常では軽鎖と接触する重鎖内の領域は、ラクダ科動物では親水性アミノ酸残基に変化している。重鎖二量体IgGのVHドメインはVHHドメインと称される。本発明において使用するための抗体には、単一ドメイン抗体(dAb)およびナノボティも含まれる(例えば、Cortez-Retamozo, et al., Cancer Res. 64:2853-2857, 2004を参照されたい)。] [0034] 本明細書で使用する「V領域」とは、B細胞分化の際の重鎖および軽鎖V領域遺伝子の再編成の結果としてVセグメントに付加されるセグメントであるCDR3およびフレームワーク4を含めた、フレームワーク1、CDR1、フレームワーク2、CDR2、およびフレームワーク3のセグメントを含む抗体可変領域ドメインを指す。] [0035] 本明細書で使用する「相補性決定領域(CDR)」とは、軽鎖および重鎖可変領域によって確立される4つの「フレームワーク」領域を中断する、各鎖における3つの超可変領域を指す。CDRは主に、抗原のエピトープに対する結合を担う。各鎖のCDRは典型的に、N末端から順に番号付けしてCDR1、CDR2、およびCDR3と称され、典型的に、特定のCDRが位置する鎖によっても特定される。したがって、例えば、VH CDR3はそれが見出される抗体の重鎖の可変ドメインに位置し、VL CDR1はそれが見出される抗体の軽鎖の可変ドメインに由来するCDR1である。] [0036] 異なる軽鎖または重鎖のフレームワーク領域の配列は、種内で比較的保存されている。抗体のフレームワーク領域は、構成成分である軽鎖および重鎖のフレームワーク領域が組み合わさったものであり、三次元空間にCDRを配置し、整列させるように働く。] [0037] CDRおよびフレームワーク領域のアミノ酸配列は、例えば、Kabat, Chothia, international ImMunoGeneTics database(IMGT)、およびAbM(例えば、Johnson et al.、前記;Chothia & Lesk, 1987, Canonical structures for the hypervariable regions of immunoglobulins. J. Mol. Biol. 196, 901-917;Chothia C. et al., 1989, Conformations of immunoglobulin hypervariable regions. Nature 342, 877-883;Chothia C. et al., 1992, structural repertoire of the human VH segments J. Mol. Biol. 227, 799-817;Al-Lazikani et al., J.Mol.Biol 1997, 273(4)を参照されたい)といった当技術分野で周知の種々の定義を用いて決定することができる。抗原結合部位の定義は、以下の文献にも記載されている:Ruiz et al., IMGT, the international ImMunoGeneTics database. Nucleic AcidsRes., 28, 219-221 (2000);およびLefranc,M.-P. IMGT, the international ImMunoGeneTics database. Nucleic Acids Res. Jan 1;29(1):207-9 (2001);MacCallum et al, Antibody-antigen interactions: Contact analysis and binding site topography, J. Mol. Biol., 262 (5), 732-745 (1996);およびMartin et al, Proc. Natl Acad. Sci. USA, 86, 9268-9272 (1989);Martin, et al, Methods Enzymol., 203, 121-153, (1991);Pedersen et al, Immunomethods, 1, 126, (1992);およびRees et al, In Sternberg M.J.E. (ed.), Protein Structure Prediction. Oxford University Press, Oxford, 141-172 1996)。] [0038] 「エピトープ」または「抗原決定基」とは、抗体が結合する抗原上の部位を指す。エピトープは、連続したアミノ酸から、またはタンパク質の三次折りたたみによって隣接した非連続アミノ酸から形成され得る。連続したアミノ酸から形成されるエピトープは典型的に、変性溶媒に曝露されても保持されるが、三次折りたたみによって形成されたエピトープは典型的に、変性溶媒による処理で失われる。エピトープは典型的に、独特の空間的高次構造中に少なくとも3アミノ酸、より一般的には少なくとも5または8〜10アミノ酸を含む。エピトープの空間的高次構造を決定する方法には、例えば、x線結晶解析および2次元核磁気共鳴が含まれる。例えば、Epitope MappingProtocols in Methodsin Molecular Biology, Vol. 66, Glenn E. Morris, Ed (1996)を参照されたい。] [0039] 本明細書で使用する「中和抗体」とは、GM-CSFに結合し、GM-CSF受容体によるシグナル伝達を妨げるか、またはGM-CSFのその受容体への結合を阻害する抗体を指す。] [0040] 本明細書で使用する「キメラ抗体」とは、(a)定常領域またはその一部が改変、置換、または交換され、その結果として抗原結合部位(可変領域)が、異なるもしくは改変したクラス、エフェクター機能、および/もしくは種の定常領域、または例えば酵素、毒素、ホルモン、増殖因子、薬剤等といったキメラ抗体に新たな特性を付与する完全に異なる分子に結合している、または(b) 可変領域またはその一部が、異なるもしくは改変した抗原特異性を有する可変領域もしくはその一部で;または別の種由来もしくは別の抗体クラスもしくはサブクラス由来の対応する配列で改変、置換、または交換された免疫グロブリン分子を指す。] [0041] 本明細書で使用する「ヒト化抗体」とは、ドナー抗体由来のCDRをヒトフレームワーク配列に接いだ免疫グロブリン分子を指す。ヒト化抗体はまた、フレームワーク配列内にドナー起源の残基を含み得る。ヒト化抗体はまた、ヒト免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部を含み得る。ヒト化抗体はまた、レシピエント抗体にも、移入されたCDRまたはフレームワーク配列にも見出されない残基を含む場合がある。ヒト化は、「超ヒト化(superhumanizing)」抗体(Tan et al., J. Immunol. 169: 1119, 2002)および「表面再処理(resurfacing)」(例えば、Staelens et al., Mol. Immunol. 43: 1243, 2006;およびRoguska et al., Proc. Natl. Acad. Sci USA 91: 969, 1994)などの技法を含む、当技術分野で公知の方法(例えば、Jones et al., Nature 321:522-525; 1986;Riechmann et al., Nature 332:323-327, 1988;Verhoeyen et al., Science 239:1534-1536, 1988);Presta, Curr. Op. Struct. Biol. 2:593-596, 1992;米国特許第4,816,567号)を用いて行うことができる。] [0042] 本発明との関連における「ヒューマニア化(humaneered)」抗体とは、参照抗体の結合特異性を有する操作されたヒト抗体を指す。本発明において使用するための「ヒューマニア化」抗体は、ドナー免疫グロブリン由来の最小配列を含む免疫グロブリン分子を有する。典型的に抗体は、参照抗体の重鎖のCDR3領域による結合特異性決定基(BSD)をコードするDNA配列をヒトVHセグメント配列に結合し、参照抗体由来の軽鎖CDR3 BSDをコードするDNA配列をヒトVLセグメント配列に結合することによって「ヒューマニア化」する。したがってCDR3に関して「BSD」とは、CDR3-FR4領域、または結合特異性を媒介するこの領域の一部を指し得る。したがって、結合特異性決定基は、CDR3-FR4、CDR3、CDR3の最小必須結合特異性決定基(これは、抗体のV領域に存在する場合に結合特異性を付与する、CDR3よりも小さな任意の領域を指す)、Dセグメント(重鎖領域に関する)、または参照抗体の結合特異性を付与するCDR3-FR4の他の領域であってよい。ヒューマニア化する方法は、米国特許出願公開第20050255552号および米国特許出願公開第20060134098号に提供されている。] [0043] 本発明の文脈にて使用する「結合特異性決定基」または「BSD」という用語は、抗体の結合特異性を判定するのに必須であるCDR領域内の連続または非連続の最小アミノ酸配列を指す。] [0044] 核酸の部分に関して使用する場合の「異種の」という用語は、核酸が、天然では相互にこれと同じ関係で通常見出されない2つまたはそれ以上のサブ配列を含むことを示す。例えば、そのような核酸は典型的に組換えにより生成され、例えば新たな機能的核酸を作製するように配置された無関係の遺伝子由来の2つまたはそれ以上の配列を有する。同様に、異種タンパク質とは、多くの場合、天然では相互にこれと同じ関係で見出されない2つまたはそれ以上のサブ配列を指す。] [0045] 例えば細胞、または核酸、タンパク質、もしくはベクターに関して使用する場合の「組換え体」という用語は、細胞、核酸、タンパク質、またはベクターが異種核酸もしくは異種タンパク質の導入または天然核酸もしく天然タンパク質の変更により改変されていること、または細胞がそのように改変された細胞に由来することを示す。したがって、例えば、組換え細胞は天然(非組換え)型の細胞内に見出されない遺伝子を発現するか、または天然遺伝子を発現するがこれが別の方法で異常に発現される、低発現される、もしくは全く発現されない。本明細書における「組換え核酸」という用語は、例えばポリメラーゼおよびエンドヌクレアーゼを用いて、一般に核酸の操作により最初にインビトロで形成された、天然に通常見出されない形態の核酸を意味する。このようにして、異なる配列の機能的な連結が達成される。したがって、通常は結合していないDNA分子を連結することによってインビトロで形成された線状形態の単離核酸または発現ベクターはいずれも、本発明の目的に関して組換え体とみなされる。組換え核酸を作製し、宿主細胞または生物体に再導入すると、これは非組換え的に、すなわちインビトロ操作ではなく宿主細胞のインビボ細胞機構を用いて複製する。しかし、このような核酸は、組換えにより生成すると続いて非組換え的に複製するが、それでもなお本発明の目的に関して組換え体とみなされることが理解される。同様に、「組換えタンパク質」とは、組換え技法を用いて、すなわち上記の組換え核酸の発現を通して作製されたタンパク質である。] [0046] タンパク質またはペプチドに言及する場合の、抗体に対して「特異的に(または選択的に)結合する」または「特異的に(または選択的に)免疫反応性である」という語句は、関心対象のタンパク質に抗体が結合する結合反応を指す。本発明の文脈において、抗体は典型的に、500 nM以下の親和性でタンパク質またはペプチドに結合し、他の抗原に対しては5000 nM以上の親和性を有する。] [0047] 本明細書で使用する「骨減少障害を治療するための治療剤」とは、骨粗鬆症などの骨減少障害を患う患者に治療的有効用量を投与した場合に、少なくとも部分的に、骨密度低下を停止させ、かつ該障害および該障害に伴う合併症の症状を低減または遅延させる作用物質を指す。] [0048] 2つ以上の核酸またはポリペプチド配列の文脈における「同一」またはパーセント「同一性」という用語は、以下に記載するデフォルトパラメータのBLASTもしくはBLAST 2.0配列比較アルゴリズムを用いてまたは手動アライメントおよび目視検査により測定した場合に、同一であるかまたは特定割合の同一のアミノ酸残基またはヌクレオチド(すなわち、比較領域または指定領域にわたって最大限の一致を得るために比較およびアライメントした場合の、特定領域にわたる約60%の同一性、好ましくは70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の同一性)を有する、2つ以上の配列またはサブ配列を指す(例えば、NCBIウェブサイトhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/等を参照されたい)。そしてそのような配列は「実質的に同一である」と称される。この定義はまた試験配列の相補体も指しており、適用可能である。この定義には、欠失および/または付加を有する配列、ならびに置換を有する配列、ならびに天然の、例えば多型または対立遺伝子変種、および人為的変種も含まれる。後述のように、好ましいアルゴリズムによってギャップ等を明らかにすることができる。好ましくは、少なくとも約25アミノ酸長またはヌクレオチド長である領域にわたって、あるいはより好ましくは、50〜100アミノ酸長またはヌクレオチド長である領域にわたって、同一性が存在する。] [0049] 配列比較については、典型的には1つの配列を参照配列とし、それに対して試験配列を比較する。配列比較アルゴリズムを用いる場合、試験配列および参照配列をコンピューターへ入力し、必要な場合には部分配列座標を指定して、配列アルゴリズムプログラムパラメータを指定する。デフォルトプログラムパラメータが使用可能であるか、または代替パラメータが指定可能であることが、好ましい。その後、配列比較アルゴリズムが、プログラムパラメータに基づいて、参照配列に対する試験配列のパーセント配列同一性を算出する。] [0050] 本明細書で使用する「比較領域」には、2つの配列を最適にアライメントした後に、同じ数の連続位置の参照配列に対して1つの配列を比較することができる、典型的に20〜600、一般的には約50〜約200、より一般的には約100〜約150からなる群より選択される数の連続位置のうちの1つのセグメントに対する言及が含まれる。比較のための配列のアライメント方法は、当技術分野で周知である。比較のための配列の最適なアライメントは、例えば、Smith & Waterman, Adv. Appl. Math. 2:482 (1981)の局所的相同性アルゴリズムにより、Needleman & Wunsch, J. Mol. Biol. 48:443 (1970)の相同性アライメントアルゴリズムにより、Pearson & Lipman, Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 85:2444 (1988)の類似性検索方法により、これらのアルゴリズムのコンピューターによる実行(Wisconsin Genetics Software Package中のGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA、Genetics Computer Group、575 Science Dr., Madison, WI)により、または手動アライメントおよび目視検査(例えば、Current Protocols in Molecular Biology (Ausubel et al., eds. 1995 supplement)を参照されたい)によって行うことができる。] [0051] パーセント配列同一性および配列類似性を決定するのに適したアルゴリズムの好ましい例には、Altschul et al., Nuc. AcidsRes. 25:3389-3402 (1977)、およびAltschul et al., J. Mol. Biol. 215:403-410 (1990)に記載されているBLASTおよびBLAST 2.0アルゴリズムが含まれる。本発明の核酸およびタンパク質のパーセント配列同一性を決定するには、BLASTおよびBLAST 2.0を本明細書に記載されるパラメータで使用する。BLAST解析を実施するためのソフトウェアは、国立バイオテクノロジー情報センター(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)により公に入手可能である。このアルゴリズムは、データベース配列内の同じ長さのワードと整列させた場合に一定の正の数の閾値スコアTに適合するかまたは満たすかのいずれかである、問い合わせ配列における長さWの短いワードを同定することにより、高スコア配列ペア(HSP)をまず同定する工程を必要とする。Tは、隣接ワードスコア閾値と呼ばれる(Altschul et al.、前記)。これらの初期隣接ワードヒットは、それらを含むより長いHSPを見出すための検索を開始するための種として役立つ。ワードヒットは、累積アラインメントスコアが増加できる限り、各配列に沿って両方向に延長される。例えばヌクレオチド配列に関して、累積スコアは、パラメータM(適合残基のペアに対する報酬スコア;常に>0)およびN(不適合残基に対するペナルティスコア;常に<0)を用いて算出される。アミノ酸配列に関しては、スコアリングマトリックスを用いて累積スコアを算出する。各方向へのワードヒットの伸長は以下の場合に停止される:累積アラインメントスコアがその最大到達値から量Xだけ低下する場合;1つまたは複数のネガティブスコアリング残基アラインメントの蓄積によって、累積スコアがゼロ以下になる場合;あるいは、いずれかの配列の末端に達する場合。BLASTアルゴリズムパラメータであるW、T、およびXは、アラインメントの感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列用)は、デフォルトとしてワード長(W) 11、期待値(E) 10、M=5、N=-4、および両鎖の比較を使用する。アミノ酸配列用のBLASTPプログラムは、デフォルトとして、ワード長3、期待値(E)10、およびBLOSUM62スコアリングマトリックス(Henikoff&Henikoff、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915(1989)を参照されたい)、アラインメント(B)50、期待値(E)10、M=5、N=-4、および両鎖の比較を使用する。] [0052] BLASTアルゴリズムは、2つの配列間の類似性の統計学的解析も実行する(例えば、Karlin & Altschul, Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 90:5873-5787 (1993)を参照されたい)。BLASTアルゴリズムにより提供される類似性の1つの尺度は最小合計確率(P(N))であり、これは、2つのヌクレオチド配列間またはアミノ酸配列間の適合が偶然に起こる確率の指標を提供するものである。例えば、参照核酸と試験核酸の比較における最小合計確率が約0.2未満、より好ましくは約0.01未満、最も好ましくは約0.001未満である場合に、この核酸は参照配列と類似しているとみなされる。log値は、負の大きな数字、例えば5、10、20、30、40、40、70、90、110、150、170等でありうる。] [0053] 2つの核酸配列またはポリペプチドが実質的に同一であるという指標は、下記のように、第一の核酸によりコードされるポリペプチドが、第二の核酸によりコードされるポリペプチドに対して産生される抗体と免疫学的に交差反応性であることである。したがって、例えば2つのペプチドが保存的置換によってのみ異なる場合、ポリペプチドは通常、第二のポリペプチドと実質的に同一である。2つの核酸配列が実質的に同一であるというもう一つの指標は、下記のように、2つの分子またはそれらの相補体がストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズすることである。2つの核酸配列が実質的に同一であるというさらにもう一つの指標は、同一のプライマーを用いて配列を増幅できることである。] [0054] 「単離された」、「精製された」、または「生物学的に純粋な」という用語は、その天然状態において見出される通常それに付随する成分を実質的にまたは本質的に含まない物質を指す。純度および均一性は典型的に、ポリアクリルアミド電気泳動または高速液体クロマトグラフィーなどの分析化学技法により決定する。調製物中に存在する主な種であるタンパク質は、実質的に精製されている。いくつかの態様における「精製された」という用語は、タンパク質が電気泳動ゲルで本質的に1本のバンドを生じることを表す。好ましくは、これは、タンパク質が少なくとも85%純粋、より好ましくは少なくとも95%純粋、最も好ましくは少なくとも99%純粋であることを意味する。] [0055] 「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」という用語は本明細書で互換的に用いられ、アミノ酸残基のポリマーを指す。この用語は、天然アミノ酸ポリマー、修飾残基を含むもの、および非天然アミノ酸ポリマーばかりでなく、1つまたは複数のアミノ酸残基が対応する天然アミノ酸の人工的な化学模倣体であるアミノ酸ポリマーにも適用される。] [0056] 「アミノ酸」という用語は、天然アミノ酸および合成アミノ酸、ならびに天然アミノ酸と同様に機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸模倣体を指す。天然アミノ酸とは、遺伝暗号によってコードされるアミノ酸、ならびに後に修飾されたアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタミン酸、およびO-ホスホセリンである。アミノ酸類似体とは、例えば、α炭素に水素、カルボキシル基、アミノ基、およびR基が結合している、天然アミノ酸と同じ基本化学構造を有する化合物、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを指す。このような類似体は、修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)または修飾されたペプチド骨格を有するが、天然アミノ酸と同じ基本化学構造を保持する。アミノ酸模倣体とは、アミノ酸の一般化学構造とは異なる構造を有するが、天然アミノ酸と同様に機能する化合物を指す。] [0057] アミノ酸は、本明細書中では、IUPAC-IUB生化学命名委員会により推奨されている一般に知られている3文字記号または1文字記号により参照され得る。ヌクレオチドも同様に、一般に是認されている1文字コードにより参照され得る。] [0058] 「保存的修飾変種」は、アミノ酸配列および核酸配列の両方に適用される。特定の核酸配列に関する保存的修飾変種とは、同一または本質的に同一であるアミノ酸配列をコードする核酸を指すが、核酸がアミノ酸配列をコードしない場合には、本質的に同一のまたは関連する配列、例えば天然の連続した配列を指す。遺伝暗号の縮重により、数多くの機能的に同一である核酸が大部分のタンパク質をコードする。例えば、コドンGCA、GCC、GCG、およびGCUはすべて、アミノ酸アラニンをコードする。したがって、コドンによりアラニンが指定されるすべての位置において、コードされるポリペプチドを変化させることなく、コドンを上記の対応するコドンの別のものに変更することができる。そのような核酸の変化は「サイレント変化」であり、これは保存的修飾変種の1種である。ポリペプチドをコードする本明細書内のすべての核酸配列は、核酸のサイレント変化も表す。当業者は、特定の状況において、核酸内の各コドン(通常メチオニンに対する唯一のコドンであるAUGおよび通常トリプトファンに対する唯一のコドンであるTGGを除く)を修飾して、機能的に同一である分子を生成できることを認識するであろう。したがって、多くの場合、発現産物に関して記載された配列では、ポリペプチドをコードする核酸のサイレント変化が暗に意味されるが、実際のプローブ配列に関してはそのようなことはない。] [0059] アミノ酸配列に関して、コードされる配列内の単一アミノ酸またはほんの小数のアミノ酸を変化、付加、または欠失させる、核酸、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質配列に対する個々の置換、欠失、または付加が、その変化によって化学的に類似したアミノ酸によるアミノ酸の置換を生じる場合に「保存的修飾変種」であることを、当業者は認識するであろう。機能的に類似したアミノ酸を提供する保存的置換表は、当技術分野で周知である。そのような保存的修飾変種は、本発明の多型変種、種間相同体、および対立遺伝子に付加されるものであり、これらを排除するものではない。典型的には、相互の保存的置換には以下のものが含まれる:1)アラニン(A)、グリシン(G);2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);4)アルギニン(R)、リジン(K);5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);7)セリン(S)、スレオニン(T);および8)システイン(C)、メチオニン(M)(例えば、Creighton, Proteins (1984)を参照されたい)。] [0060] I. 序論 本発明は、骨密度が低下する骨障害、例えば骨減少症を有する患者を治療するためにGM-CSFアンタゴニストを投与する方法に関する。GM-CSFアンタゴニストには、抗GM-CSF抗体、抗GM-CSF受容体抗体、または、GM-CSFとその同族受容体との結合によって通常生じるシグナル伝達を妨害もしくは低減する他の阻害物質が含まれ得る。多くの種類のGM-CSFアンタゴニストが公知である(例えば、William, in New Drugs for Asthma, Allergy andCOPD, Prog. Repir. Res.; Hansel & Barnes, eds, Basel, Karger, 2001 vol 31:251-255;および該文献で引用された参考文献を参照されたい)。] [0061] 本発明との使用に適した抗体、例えば抗GM-CSF抗体または抗GM-CSF受容体抗体は、モノクローナル、ポリクローナル、キメラ、ヒト化、ヒューマニア化、またはヒトであってよい。本発明との使用に適した他のGM-CSFアンタゴニストには、受容体への結合においてGM-CSFと競合するが、受容体に結合した場合にシグナル伝達を生じない天然リガンドまたは合成リガンド(またはそれらの断片)が含まれ得る。さらなる非限定的なGM-CSFアンタゴニストには、GM-CSFアンタゴニストの非存在下においてGM-CSFのその受容体への結合によって天然で生じるシグナル伝達を部分的にまたは完全に遮断するポリペプチド、核酸、小分子等が含まれ得る。] [0062] II.骨密度低下障害を有する患者 骨減少障害とは、正常レベルを下回る何らかの骨量低下に関する状態を指す。そのような状態は、骨合成速度の低下および/または骨破壊速度の増大に起因して起こり得る。骨減少症とは、部位特異的ではない、全身的な骨量低下を指す。骨減少症の最も一般的な型が、原発性骨粗鬆症である。この型の骨粗鬆症は、加齢に伴う一般的な骨減少によるものであり、通常は、骨形成速度が正常である一方で骨吸収が増加した結果である。女性における原発性骨粗鬆症は、加齢性の閉経によって起こるエストロゲン減少の結果であることが多い。しかし、骨粗鬆症は、遺伝現象、疾病、または医療処置の結果として早発閉経を生じた女性においても起こり得る。] [0063] 本発明に関連して治療可能である他の型の骨減少には、以下が含まれる:(例えば甲状腺機能亢進症、上皮小体機能亢進症、クッシング症候群、または先端巨大症による)内分泌性骨粗鬆症;遺伝性および先天性の型の骨粗鬆症(骨形成不全症、ホモシスチン尿症、メンケス症候群、およびライリー-デイ症候群);成人および若年の骨パジェット病(変形性骨炎);骨減少につながる、骨髄炎すなわち骨における感染性病変;ならびに、四肢の不動化による骨減少。] [0064] 骨減少はまた、ステロイド投与によっても誘発される可能性があり、かつ、小腸および大腸の障害ならびに慢性の肝臓病および腎臓病にも関連し得る。骨壊死、すなわち骨細胞死は、外傷性障害または、ゴーシェ病、鎌状赤血球貧血、全身性エリテマトーデス、およびその他の状態に関連する非外傷性壊死に関連する。] [0065] いくつかの態様において、本発明によって治療される骨減少障害は限局性であってもよく、例えば外科手術に起因する。他の型の部位特異的骨減少は、歯周部の骨減少、下顎骨減少、および骨溶解性転移による骨減少である。] [0066] 例えば骨粗鬆症における骨密度低下は、標準試験、例えば骨密度測定法などのX線撮影技術を用いて診断することができる。例えば、骨ミネラル密度が、2.5未満またはそれに等しい標準偏差で若年成人参照集団を下回る場合に、骨粗鬆症と診断される。この比はTスコアとして報告される。世界保健機構により、以下の診断基準が確立されている: Tスコア-1.0以上は「正常」 Tスコア-1.0〜-2.5は「骨量減少」(すなわち「骨減少症」) Tスコア-2.5以下は骨粗鬆症 骨量減少すなわち骨減少症の患者、または骨粗鬆症の上記基準を満たす患者に、GM-CSFアンタゴニスト、例えば抗体を投与することができる。] [0067] いくつかの態様において、骨減少症もしくは骨粗鬆症または骨減少を伴う別の障害と診断された患者に、GM-CSFアンタゴニスト、例えばGM-CSF抗体を投与する。アンタゴニスト投与を受ける患者はまた、他の疾患、例えば関節リウマチなどの自己免疫疾患と診断されていてもよい。他の態様において、関節リウマチとは診断されていない患者に、あるいは自己免疫疾患とは診断されていない患者に、GM-CSF抗体などのアンタゴニストを投与する。] [0068] GM-CSFアンタゴニスト処置に対する患者の反応は、骨密度をモニタリングすることによって評価可能である。処置に対して治療反応を示す患者は、非処置対照患者における典型的な骨減少速度と比較して、骨密度低下の緩徐化を示す。] [0069] III.GM-CSFアンタゴニスト 上記の通り、本発明は、患者にGM-CSFアンタゴニストを投与することによって、骨密度低下、例えば骨粗鬆症を治療する方法を提供する。本発明における使用に適したGM-CSFアンタゴニストは、GM-CSFのGM-CSF受容体への結合を減少させることによって、該受容体によるシグナル伝達の誘導を選択的に妨げる。そのようなアンタゴニストには、GM-CSF受容体と結合する抗体、GM-CSFと結合する抗体、およびGM-CSFのその受容体への結合において競合するか、またはリガンドの受容体への結合によって通常生じるシグナル伝達を阻害する他のタンパク質または小分子が含まれる。] [0070] 多くの態様において、本発明で使用するGM-CSFアンタゴニストは、タンパク質、例えば抗GM-CSF抗体、抗GM-CSF受容体抗体、可溶性GM-CSF受容体、または受容体への結合においてGM-CSFと競合するが、不活性である改変GM-CSFポリペプチドである。そのようなタンパク質は、多くの場合、組換え発現技術を用いて産生させる。そのような方法は当技術分野で広く知られている。発現方法を含む一般的な分子生物学方法は、例えば、Sambrook and Russell (2001) Molecular Cloning: A laboratory manual 3rd ed. Cold Spring Harbor Laboratory Press; Current Protocols in Molecular Biology (2006) John Wiley and Sons ISBN: 0-471-50338-Xなどの説明書中に見出すことができる。] [0071] 種々の原核生物および/または真核生物ベースのタンパク質発現系を使用して、GM-CSFアンタゴニストタンパク質を産生させることができる。多くのそのような系は、商業的供給業者から広く入手可能である。これらには、原核生物発現系および真核生物発現系が含まれる。] [0072] GM-CSF抗体 いくつかの態様において、GM-CSFアンタゴニストは、GM-CSFと結合する抗体、またはGM-CSF受容体αもしくはβサブユニットに結合する抗体である。抗体はGM-CSF(またはGM-CSF受容体)タンパク質もしくは断片に対して産生させることができ、または組換えにより産生させることもできる。本発明において使用するためのGM-CSFに対する抗体は中和抗体であってよく、またはGM-CSFと結合し、循環中のGM-CSFレベルが低下するようにGM-CSFのインビボクリアランス速度を増加させる非中和抗体であってもよい。多くの場合、GM-CSF抗体は中和抗体である。] [0073] ポリクローナル抗体の調製方法は当業者に公知である(例えば、Harlow & Lane, Antibodies, A Laboratory manual (1988); Methodsin Immunology)。ポリクローナル抗体は、免疫剤および必要に応じてアジュバントを1回または複数回注射することによって、哺乳動物において産生させることができる。免疫剤には、GM-CSFもしくはGM-CSF受容体のタンパク質、またはそれらの断片が含まれる。] [0074] いくつかの態様において、本発明において使用するためのGM-CSF抗体はヒト血漿から精製する。そのような態様において、GM-CSF抗体は典型的に、ヒト血漿中に存在する他の抗体から単離されたポリクローナル抗体である。例えば、アフィニティークロマトグラフィーなどの公知の技法を用いて、そのような単離手順を行うことができる。] [0075] いくつかの態様において、GM-CSFアンタゴニストはモノクローナル抗体である。モノクローナル抗体は、Kohler & Milstein, Nature 256:495 (1975)によって記載されているようなハイブリドーマ法を用いて調製することができる。ハイブリドーマ法では、免疫剤に特異的に結合する抗体を産生するまたは産生し得るリンパ球を誘発するために、マウス、ハムスター、または他の適切な宿主動物に典型的にヒトGM-CSFなどの免疫剤を免疫化する。または、リンパ球をインビトロで免疫化してもよい。免疫剤には好ましくは、ヒトGM-CSFタンパク質、その断片、またはその融合タンパク質が含まれる。] [0076] ヒトモノクローナル抗体は、ファージディスプレイライブラリー(Hoogenboom & Winter, J. Mol. Biol. 227:381 (1991);Marks et al., J. Mol. Biol. 222:581 (1991))を含む、当技術分野で公知の種々の技法を用いて生成することができる。ヒトモノクローナル抗体の調製には、ColeらおよびBoernerらの技法も利用できる(Cole et al., Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, p. 77 (1985)、およびBoerner et al., J. Immunol. 147(1):86-95 (1991))。同様に、内因性免疫グロブリン遺伝子が部分的にまたは完全に不活化されているトランスジェニック動物、例えばマウスにヒト免疫グロブリン遺伝子座を導入することによって、ヒト抗体を作製することもできる。抗原投与するとヒト抗体の産生が認められるが、これは、遺伝子再編成、構築、抗体レパートリーを含め、すべての点でヒトに見られるものとよく似ている。このアプローチは、例えば、米国特許第5,545,807号;第5,545,806号;第5,569,825号;第5,625,126号;第5,633,425号;第5,661,016号、および以下の科学論文:Marks et al., Bio/Technology 10:779-783 (1992);Lonberg et al., Nature 368:856-859 (1994);Morrison, Nature 368:812-13 (1994);Fishwild et al., Nature Biotechnology 14:845-51 (1996);Neuberger, Nature Biotechnology 14:826 (1996);Lonberg & Huszar, Intern. Rev. Immunol. 13:65-93 (1995)に記載されている。] [0077] いくつかの態様において、抗GM-CSF抗体はキメラまたはヒト化モノクローナル抗体である。前記の通り、ヒト化型の抗体は、ヒト抗体の相補性決定領域(CDR)由来残基が、所望の特異性、親和性、および能力を有するマウス、ラット、またはウサギなどの非ヒト種のCDR由来残基によって置換されているキメラ免疫グロブリンである。] [0078] 本発明において使用する抗体は任意の形式であってよい。例えば、いくつかの態様において、抗体は、定常領域、例えばヒト定常領域を含む完全抗体であってもよいし、完全抗体の断片または誘導体、例えばFd、Fab、Fab’、F(ab’)2、scFv、Fv断片、またはナノボディもしくはラクダ科動物抗体などの単一ドメイン抗体であってもよい。そのような抗体はさらに、当業者に周知の方法によって組換えにより操作することができる。上記の通り、そのような抗体は公知の技法を用いて生成することができる。] [0079] 本発明のいくつかの態様において、例えば抗体が反復投与に適するように、抗体をさらに操作して免疫原性を低減させる。免疫原性が低減した抗体を作製する方法には、ヒト化/ヒューマニア化手順、および例えば1つまたは複数のフレームワーク領域において抗体をさらに操作して、T細胞エピトープを除去する脱免疫化などの改変技法が含まれる。] [0080] いくつかの態様において、抗体はヒューマニア化抗体である。ヒューマニア化抗体は、参照抗体の重鎖のCDR、例えばCDR3領域に由来する結合特異性決定基(BSD)をコードするDNA配列をヒトVHセグメント配列に結合し、参照抗体由来の軽鎖CDR、例えばCDR3領域のBSDをコードするDNA配列をヒトVLセグメント配列に結合することによって得られる、参照抗体の結合特異性を有する操作されたヒト抗体である。ヒューマニア化の方法は、米国特許出願公開第2005025552号および米国特許出願公開第20060134098号に提供されている。] [0081] 抗体をさらに脱免疫化して、抗体のV領域から1つまたは複数の予測されるT細胞エピトープを除去することができる。そのような手順は、例えばWO 00/34317に記載されている。] [0082] いくつかの態様において、可変領域はヒトV遺伝子配列からなる。例えば、可変領域配列は、ヒト生殖系列V遺伝子配列と少なくとも80%の同一性、もしくは少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性、少なくとも96%の同一性、少なくとも97%の同一性、少なくとも98%の同一性、もしくは少なくとも99%の同一性、またはそれ以上を有し得る。] [0083] 本発明において使用する抗体は、ヒト定常領域を含み得る。軽鎖の定常領域は、ヒトκまたはλ定常領域であってよい。重鎖定常領域は多くの場合γ鎖定常領域、例えばγ1、γ2、γ3、またはγ4定常領域である。] [0084] 例えば抗体が断片であるいくつかの態様において、例えばインビボでの半減期の延長をもたらすために、ポリエチレングリコール(ペグ化)または血清アルブミンなどの別の分子に抗体を結合させることができる。抗体断片のペグ化の例は、Knight et al (2004) Platelets 15: 409(アブシキシマブについて);Pedley et al (1994) Br. J. Cancer 70: 1126(抗CEA抗体について) Chapman et al (1999) Nature Biotech. 17: 780に提供されている。] [0085] 抗体特異性 本発明において使用するための抗体は、GM-CSFまたはGM-CSF受容体に結合する。数多くの技法を用いて、抗体結合特異性を決定することができる。例えば、抗体の特異的免疫反応性を決定するために使用できる免疫測定法の形式および条件については、Harlow & Lane, Antibodies, A Laboratory Manual (1988)を参照されたい。] [0086] 本発明との使用に適した例示的な抗体はc19/2である。いくつかの態様において、c19/2と同じエピトープへの結合において競合するか、またはc19/2と同じエピトープに結合するモノクローナル抗体を使用する。特定の抗体が別の抗体と同じエピトープを認識する能力は典型的に、抗原に対する第二の抗体の結合を競合的に阻害する第一の抗体の能力により決定する。いくつの競合結合アッセイ法のいずれかを用いて、同じ抗原に対する2つの抗体間の競合を測定することができる。例えば、この目的にサンドイッチELISAアッセイ法を用いることができる。これは、ウェルの表面にコーティングするための捕獲抗体を使用することによって行う。次に、飽和濃度未満のタグ化抗原を捕獲表面に添加する。このタンパク質は、特異的な抗体:エピトープ相互作用を介して抗体に結合する。洗浄後、検出可能部分(例えばHRP、標識抗体は検出抗体と定義される)に共有結合した第二の抗体をELISAに添加する。この抗体が捕獲抗体と同一のエピトープを認識するのであれば、特定のエピトープはもはや結合に利用できないため、この抗体は標的タンパク質に結合できない。しかしながら、この第二の抗体が標的タンパク質上の異なるエピトープを認識するのであれば、この抗体は結合することができ、この結合は、関連基質を用いて活性(よって、結合した抗体)のレベルを定量することによって検出することができる。バックグラウンドは、捕獲抗体および検出抗体双方として単一の抗体を用いることによって規定され、最大シグナルは、抗原特異的抗体で捕獲し、抗原上のタグに対する抗体で検出することによって確立することができる。参照としてバックグラウンドおよび最大シグナルを用いることによって、抗体をペアワイズ様式で評価して、エピトープ特異性を決定することができる。] [0087] 上記のアッセイ法のいずれかを用いて、第一の抗体の存在下で、抗原に対する第二の抗体の結合が少なくとも30%、通常少なくとも約40%、50%、60%、または75%、多くの場合少なくとも約90%減少する場合に、第一の抗体は第二の抗体の結合を競合的に阻害するとみなされる。] [0088] エピトープマッピング 本発明のいくつかの態様において、公知の抗体、例えばc19/2と同じエピトープに結合する抗体を使用する。エピトープをマッピングする方法は当技術分野で周知である。例えば、ヒト顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(hGM-CSF)の機能的活性領域を位置確認するための1つのアプローチは、中和抗hGM-CSFモノクローナル抗体によって認識されるエピトープをマッピングすることである。例えば、c19/2(中和抗体LMM102と同じ可変領域を有する)が結合するエピトープは、細菌で合成されたhGM-CSFの酵素消化によって得られたタンパク質分解断片を使用して規定された(Dempsey, et al., Hybridoma 9:545-558, 1990)。トリプシン消化物のRP-HPLC分画により、66アミノ酸(タンパク質の52%)を含む免疫反応性「トリプシンコア」ペプチドが同定された。この「トリプシンコア」を黄色ブドウ球菌(S. aureus) V8プロテアーゼでさらに消化したところ、残基88と121との間のジスルフィド結合によって結合している2つのペプチド、残基86〜93および112〜127を含む独特の免疫反応性hGM-CSF産物が生成された。個々のペプチドは、この抗体によって認識されなかった。] [0089] 結合親和性の決定 いくつかの態様において、本発明との使用に適した抗体は、ヒトGM-CSFまたはGM-CSF受容体に対して高親和性結合を有する。抗体の解離定数(KD)が<1 nM、好ましくは<100 pMである場合に、抗体と抗原との間に高親和性結合が存在する。当業者に周知のように、表面プラズモン共鳴アッセイ法、飽和アッセイ法、またはELISAもしくはRIAなどの免疫測定法などの種々の方法を用いて、抗体のその標的抗原に対する結合親和性を決定することができる。結合親和性を決定するための例示的な方法は、Krinner et al., (2007) Mol. Immunol. Feb;44(5):916-25. (Epub 2006 May 11)に記載されているように、CM5センサーチップを使用するBIAcore(商標) 2000装置(Biacore AB、ドイツ、フライブルク)での表面プラズモン共鳴解析によるものである。] [0090] 中和抗体を同定するための細胞増殖アッセイ法 いくつかの態様において、GM-CSFアンタゴニストは、GM-CSFの結合を妨げる様式で結合する、GM-CSFまたはその受容体に対する中和抗体である。中和抗体は、GM-CSF機能を評価する数多くのアッセイ法を用いて同定することができる。例えば、限定量のGM-CSFに応答したGM-CSF依存性細胞株の増殖速度を決定するアッセイ法など、GM-CSF受容体シグナル伝達に関する細胞ベースのアッセイ法を都合よく使用する。ヒトTF-1細胞株は、そのようなアッセイで使用するのに適している。Krinner et al., (2007) Mol. Immunolを参照されたい。いくつかの態様において、本発明の中和抗体は、90%最大TF-1細胞増殖を促進するGM-CSF濃度を使用した場合に、GM-CSFによって促進されるTF-1細胞増殖を少なくとも50%阻害する。他の態様において、中和抗体は、GM-CSFによって促進される増殖を少なくとも90%阻害する。本発明との使用に適した中和抗体を同定する際に使用するのに適しているさらなるアッセイ法は、当業者に周知である。] [0091] 例示的な抗体 本発明において使用するための抗体は当技術分野で公知であり、日常的技法を用いて生成することができる。例示的な抗体を記載してある。当技術分野で公知であり本明細書に要約した手順に従って例示的な抗体が調製され、化学的または組換え技術によって抗体断片、キメラ等を生成することができることが理解される。] [0092] GM-CSFアンタゴニストとして使用するのに適している例示的なキメラ抗体はc19/2である。c/19/2抗体は、表面プラズモン共鳴解析により決定して、約10 pMの一価結合親和性でGM-CSFと結合する。SEQID NO 1および2は、c19/2の重鎖および軽鎖可変領域配列を示す(例えば、WO03/068920)。Kabatに従って規定されるCDRは: CDRH1 DYNIH CDRH2 YIAPYSGGTGYNQEFKN CDRH3 RDRFPYYFDY CDRL1 KASQNVGSNVA CDRL2SASYRSG CDRL3 QQFNRSPLT である。CDRは、当技術分野における他の周知の定義、例えば、Chothia, international ImMunoGeneTics database(IMGT)およびAbMを用いて決定することもできる。] [0093] c19/2によって認識されるGM-CSFエピトープは、残基88と121との間のジスルフィド結合によって結合している2つのペプチド、残基86〜93および残基112〜127を有する産物として同定されている。0.5 ng/ml GM-CSFで細胞を刺激した場合、c19/2抗体は、30 pMのEC50でヒトTF-1白血病細胞株のGM-CSF依存性増殖を阻害する。] [0094] c19/2などの投与用の抗体は、さらにヒューマニア化することができる。例えば、c19/2抗体を、ヒトV遺伝子セグメントを含むようにさらに操作することができる。] [0095] 別の例示的な中和抗GM-CSF抗体は、Li et al., (2006) PNAS 103(10):3557-3562に記載されているE10抗体である。E10は、GM-CSFに対して870 pMの結合親和性を有するIgGクラスの抗体である。この抗体は、ELISAアッセイで示されるようにヒトGM-CSFに対する結合に関して特異的であり、TF1細胞増殖アッセイにより評価して強力な中和活性を示す。] [0096] さらなる例示的な中和抗GM-CSF抗体は、Krinner et al., (Mol Immunol. 44:916-25, 2007; Epub 2006 May 112006)に記載されているMT203抗体である。MT203は、ピコモル親和性でGM-CSFと結合するIgG1クラスの抗体である。この抗体は、TF-1細胞増殖アッセイにより評価される強力な阻害活性を示し、またU937細胞におけるIL-8産生を遮断する能力を示す。さらなるGM-CSF抗体は、例えば、Steidl et al.によってWO2006122797に記載されている。] [0097] 本発明との使用に適したさらなる抗体は、当業者に周知であろう。] [0098] 抗GM-CSF受容体抗体であるGM-CSFアンタゴニストも、本発明において使用することができる。そのようなGM-CSFアンタゴニストには、GM-CSF受容体α鎖またはβ鎖に対する抗体が含まれる。いくつかの態様において、本発明における使用のためのGM-CSF受容体抗体はα鎖に対するものである。本発明において使用する抗GM-CSF受容体抗体は、上記の通り任意の抗体形式であってよく、例えば無傷、キメラ、モノクローナル、ポリクローナル、抗体断片、ヒト化、ヒューマニア化等であってよい。本発明における使用に適した抗GM-CSF受容体抗体、例えば中和高親和性抗体の例は公知である(例えば、米国特許第5,747,032号、およびNicola et al., Blood 82: 1724, 1993を参照されたい)。] [0099] 非抗体GM-CSFアンタゴニスト GM-CSFとその受容体との生産的相互作用を妨げ得る他のタンパク質には、変異体GM-CSFタンパク質、およびGM-CSFに結合し、細胞表面受容体への結合と競合する、GM-CSF受容体鎖の一方または両方の細胞外部分の少なくとも一部を含む分泌タンパク質が含まれる。例えば、sGM-CSFRαのコード領域をマウスIgG2aのCH2-CH3領域と融合させることによって、可溶性GM-CSFRアンタゴニストを調製することができる。例示的な可溶性GM-CSF受容体は、Raines et al. (1991) Proc. Natl. Acad. Sci USA 88: 8203によって記載されている。GM-CSFRα-Fc融合タンパク質の例は、例えば、Brown et al., Blood 85: 1488, 1995; Monfardini et al., J. Biol. Chem 273:7657-7667, 1998;およびSayani et al., Blood 95:461-469, 2000に提供されている。いくつかの態様において、そのような融合物のFc成分を操作して、結合を調節する、例えばFc受容体への結合を高めることができる。] [0100] 他のGM-CSFアンタゴニストにはGM-CSF変異体が含まれる。例えば、Hercus et al., Proc. Natl. Acad. Sci USA 91:5838, 1994によって記載される、GM-CSFのアミノ酸残基21のアルギニンまたはリジンへの変異(E21RまたはE221K)を有するGM-CSFは、マウス異種移植モデルにおいて、GM-CSF依存性白血病細胞の播種を妨げるインビボ活性を有することが示されている(Iversen et al. Blood 90:4910, 1997)。当業者によって理解されるように、そのようなアンタゴニストには、アミノ酸残基21に示される置換などの置換を有するGM-CSFの保存的改変変種、または例えば半減期を延長するためのアミノ酸類似体を有するGM-CSF変種も含まれ得る。] [0101] 他のGM-CSFペプチド阻害物質、例えば環状ペプチド、例えばMonfardini et al, J. Biol. Chem 271:1966-1971, 1996も公知である。] [0102] 他の態様において、GM-CSFアンタゴニストは、抗体と類似の様式で抗原を標的化しこれに結合する「抗体模倣体」である。一部のこれらの「抗体模倣体」は、抗体の可変領域のための代替タンパク質フレームワークとして非免疫グロブリンタンパク質骨格を使用する。例えば、Ku et al. (Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 92(14):6552-6556 (1995))は、シトクロムb562のループのうちの2つを無作為化し、ウシ血清アルブミンに対する結合について選択した、シトクロムb562に基づく抗体の代替物を開示している。個々の変異体は、抗BSA抗体と同様にBSAと選択的に結合することが見出された。] [0103] 米国特許第6,818,418号および第7,115,396号は、フィブロネクチンまたはフィブロネクチン様タンパク質骨格および少なくとも1つの可変ループを特色とする抗体模倣体を開示している。アドネクチンとして知られるこれらのフィブロネクチンベースの抗体模倣体は、任意の標的化リガンドに対する高い親和性および特異性を含めて、天然抗体または改変抗体と同じ特徴の多くを示す。これらのフィブロネクチンベースの抗体模倣体の構造は、IgG重鎖の可変領域の構造と類似している。したがって、これらの模倣体は、天然抗体と性質および親和性が類似している抗原結合特性を示す。さらに、これらのフィブロネクチンベースの抗体模倣体は、抗体および抗体断片を上回るある種の利点を示す。例えば、これらの抗体模倣体は、天然折りたたみの安定性をジスルフィド結合に依存せず、よって通常では抗体を分解する条件下で安定している。加えて、これらのフィブロネクチンベースの抗体模倣体の構造はIgG重鎖の構造と類似しているため、インビボでの抗体の親和性成熟の過程に類似したループの無作為化およびシャフリングの過程をインビトロで利用することができる。] [0104] Beste et al. (Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 96(5):1898-1903 (1999))は、リポカリン骨格に基づく抗体模倣体(Anticalin(登録商標))を開示している。リポカリンは、βバレルとタンパク質の末端における4つの超可変ループから構成される。ループがランダム突然変異誘発に供され、例えばフルオレセインとの結合について選択された。変種3つがフルオレセインとの特異的結合を示し、変種1つが抗フルオレセイン抗体と類似の結合を示した。さらなる解析から、無作為化の位置はすべて異なることが明らかになり、Anticalin(登録商標)が抗体の代替物として使用するのに適していることが示された。したがって、Anticalin(登録商標)は典型的に160〜180残基の小さな一本鎖ペプチドであり、生成コストの削減、貯蔵安定性の増加、および免疫学的反応の低下を含め、抗体を上回るいくつかの利点を提供する。] [0105] 米国特許第5,770,380号は、カリックスアレーンの強固な非ペプチド有機骨格を、結合部位として用いる複数の可変ペプチドループと付着させて使用する合成抗体模倣体を開示している。ペプチドループはすべて、互いに、カリックスアレーンの幾何学的に同じ側から突出している。この幾何学的高次構造のために、すべてのループが結合に利用でき、リガンドに対する結合親和性が増加する。しかし、他の抗体模倣体と比較して、カリックスアレーンベースの抗体模倣体は全くペプチドだけからなるわけではなく、したがってプロテアーゼ酵素による攻撃に強い。この骨格は純粋にペプチド、DNA、またはRNAからなるわけではなく、この抗体模倣体が極端な環境条件において比較的安定であり、寿命が長いことを意味している。さらに、カリックスアレーンベースの抗体模倣体は比較的小さいため、免疫原性反応を生じる可能性が低い。] [0106] Murali et al. (Cell Mol Biol 49(2):209-216 (2003))は、抗体を縮小してより小さなペプチド模倣体にする方法論を記載しており、この模倣体は「抗体様結合ペプチド模倣体」(ABiP)と命名され、これもまた抗体の代替物として有用であり得る。] [0107] 非免疫グロブリンタンパク質フレームワークに加えて、RNA分子および非天然オリゴマーを含む化合物においても抗体特性が模倣されている(例えば、プロテアーゼ阻害物質、ベンゾジアゼピン、プリン誘導体、およびβターン模倣体)。したがって、非抗体GM-CSFアンタゴニストにはそのような化合物も含まれ得る。] [0108] IV.治療的投与 本発明の方法は、疾患の治療に適した投与計画を用いて、骨密度低下を有する患者、例えば骨粗鬆症患者に、薬学的組成物としてGM-CSFアンタゴニスト(例えば、抗GM-CSF抗体)を治療的有効量で投与する段階を含む。様々な薬物送達系で使用するために、組成物を製剤化することができる。適切な製剤のために、1つまたは複数の生理的に許容される賦形剤または担体も組成物中に含めることができる。本発明において使用するのに適した製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Philadelphia, PA, 17th ed. (1985)に見出される。薬物送達の方法の簡潔な総説については、Langer, Science 249: 1527-1533 (1990)を参照されたい。] [0109] 本発明の方法において使用するためのGM-CSFアンタゴニストは、注射用滅菌等張水溶液など、患者への注射に適した溶液として提供する。許容される担体に、GM-CSFアンタゴニストを適切な濃度で溶解または懸濁する。いくつかの態様において、担体は水性であり、例えば水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水等である。組成物は、pH調製剤および緩衝剤、浸透圧調整剤等のような、おおよその生理的状態に必要とされる補助的な薬学的物質を含み得る。] [0110] 本発明のGM-CSFアンタゴニスト薬学的組成物は、骨減少ならびに/または骨減少およびその合併症の症状を少なくとも部分的に停止させるのに十分な量で、骨減少の患者に投与される。これを達成するのに適した量を「治療的有効用量」と定義する。治療的有効用量は、療法に対する患者の反応をモニターすることにより決定する。典型的なベンチマークは、例えば骨減少症に対する治療を受けていない患者と比較した、骨減少の低減または骨減少速度の低下である。この用途のために有効な投与量は、年齢、体重、性別、投与経路等の他の要素を含め、疾患の重症度および患者の全身的な健康状態に左右されると考えられる。単独でまたは別の治療剤と組み合わせて投与した場合に好中球減少症を誘発しない量で、GM-CSFアンタゴニストを投与することが好ましい。患者が必要としかつ許容する投与量および頻度に応じて、アンタゴニストの単回投与または複数回投与を施与することができる。いずれにしても、本方法は、患者を効果的に治療するために十分量のGM-CSFアンタゴニストを提供する。] [0111] 本発明のいくつかの態様において、骨密度低下を示す患者を治療するために使用するGM-CSFアンタゴニストは、別の作用物質、例えばビスホスホネート、またはフッ化物もしくはカルシウムなどの骨強化ミネラル;カルシトニン、ホルモン置換療法、または骨減少を治療するのに使用される他の治療剤などを用いる療法と組み合わせて提供する。その他の治療剤には、天然RANKLアンタゴニストである破骨細胞形成抑制因子(OPG)などのRANKLアンタゴニスト、例えばOPG-Fc融合タンパク質、およびRANKLに対する抗体、例えばデノスマブが含まれる。] [0112] 患者は、GM-CSFアンタゴニストおよび1つまたは複数の追加の別の治療剤による治療を、同時にまたは連続して受けてもよい。いくつかの態様において、患者をまず作用物質、例えばビスホスホネートで処置し、次に、ビスホスホネートによる処置を中止した後にGM-CSFアンタゴニストによる処置を行うことができる。いくつかの態様において、患者がGM-CSFアンタゴニスト、例えばGM-CSF抗体による処置も受けている場合、患者へ典型的に投与される治療剤、例えばビスホスホネートの量と比較して、より少ない用量および/またはより低頻度の投与量で、追加の治療剤、例えばビスホスホネートを用いることができる。当技術分野で理解されるように、別の骨減少治療剤と組み合わせて用いる場合、GM-CSFアンタゴニストの投与量および投与頻度を調整することができる。] [0113] A.投与 いくつかの態様において、GM-CSFアンタゴニストは、これらに限定されないが静脈内、皮下、筋肉内、または腹腔内経路を含む任意の適切な経路を介した注射または注入により投与される抗体である。いくつかの態様において、アンタゴニスト、例えばGM-CSF抗体を、限局性骨減少の部位に、例えば下顎骨または歯周病によって部位特異的骨減少がもたらされている歯肉領域に、直接投与してもよい。] [0114] 例示的態様において、抗体を4℃の注射用の滅菌等張生理食塩水溶液中に10 mg/mlで保存し、注射用の0.9%塩化ナトリウム100 mlまたは200 mlで希釈してから、患者に投与する。抗体は、用量0.2〜10 mg/kgで、1時間にわたる静脈内注入によって投与する。その他の態様において、抗体は、例えば、15分間〜2時間にわたる静脈内注入により投与する。さらに他の態様において、投与手技は、皮下ボーラス注射を介する。] [0115] B.投薬 患者に対して効果的な療法を提供するためにアンタゴニストの用量が選択され、これは、体重1 kgあたり0.1mg未満〜25 mgの範囲内であるか、または患者1人あたり1 mg〜2 gの範囲内である。好ましくは、用量は1〜10 mg/kgまたは患者1人あたり約50 mg〜1000 mgである。用量は、アンタゴニストの薬物動態(例えば、循環における抗体の半減期)および薬力学的反応(例えば、抗体の治療効果の期間)に応じて、1日1回〜3ヵ月に1回の範囲内であり得る適切な頻度で繰り返すことができる。アンタゴニストが抗体または改変抗体断片であるいくつかの態様においては、インビボ半減期は約7日〜約25日とし、抗体の投薬を週1回〜3ヵ月に1回の間で繰り返す。他の態様において、抗体を約1ヵ月に1回投与する。] [0116] 実施例1.卵巣摘出モデルマウスにおいて骨減少症を減少させるGM-CSF抗体 GM-CSFを中和するマウス抗GM-CSF抗体が骨粗鬆症に与える効果を、モデルマウスを用いて試験した。卵巣摘出術により、C3Hマウスにおいて実験的骨粗鬆症を誘発した。それぞれマウス8匹からなる4つの群を、臨床疾患経過の初期に評価した。図1は4つの群を示す。第3群が、抗GM-CSF抗体投与群に相当する。第2群および第3群において、1 kgあたり抗GM-CSF 0.3 mgまたはアレンドロネート0.1 mgによる処置を外科手術の4日後に開始し、これを週3回、8週間行った。] [0117] 図2は、海綿骨密度の組織形態計測分析の結果を示す。第3群の(抗GM-CSF抗体処置)マウスは、リン酸緩衝生理食塩水を投与した第1群の対照卵巣摘出マウスよりもずっと高い骨密度を示した。] [0118] 図3は、脱灰脛骨の骨端部切片の顕微鏡写真を示す。パネル1〜4はそれぞれ第1〜4群由来の脛骨を示す。第3群のマウスは、第1群のマウスと比較して骨梁のサイズ、数、および密度の増大を示した。] [0119] 図4は、各群の骨芽細胞および破骨細胞の形態および活性を示す。マウスが偽手術を受けた第4群においては、破骨細胞の数および活性は正常であった。GM-CSF抗体で処置した第3群マウスは破骨細胞が有意に少ないようであり、これらは組織学的に不活性形態を示した。第2群においては、破骨細胞数が大量であり、高活性であるように見られた。第1群において、破骨細胞数は減少したようであり、活性はわずかに低いように見られた。] [0120] 血液学的測定、臨床化学、臓器重量、体重に対して正規化した臓器重量、および脳重量に対して正規化した臓器重量は、処置群において実質的な違いを有さなかった。図5は血液学的データを示す。GM-CSF抗体の投与により好中球数の低下を生じなかったことは、注目に値する。] [0121] 実施例2‐GM-CSFに対する例示的なヒューマニア化抗体 米国特許出願第20060134098号に記載されている通りに、エピトープに焦点を当てたヒトVセグメントライブラリーから、c19/2の特異性を有する一連のヒューマニア化Fab’分子を作製した。] [0122] Fab’断片を大腸菌(E. coli)から発現させた。OD600が0.6になるまで、細胞を2×YT培地で培養した。IPTGを用いて、発現を33℃で3時間誘導した。構築されたFab’をペリプラズム画分から取得し、標準的な方法に従って、連鎖球菌プロテインGを使用するアフィニティークロマトグラフィー(HiTrap Protein G HPカラム;GE Healthcare)により精製した。Fab’をpH 2.0緩衝液で溶出し、ただちにこれをpH 7.0に調整して、PBSpH 7.4に対して透析した。] [0123] Biacore 3000表面プラズモン共鳴(SPR)により、結合動態を解析した。組換えヒトGM-CSF抗原をビオチン化し、ストレプトアビジンCM5センサーチップ上に固定化した。Fab試料を3 nMの開始濃度に希釈し、3倍希釈系列で流した。アッセイは、10 mMHEPES、150 mM NaCl、0.1 mg/mLBSA、および0.005% p20、pH 7.4中で37℃にて実行した。各濃度を2回試験した。Fab’結合アッセイは2つの抗原密度表面で実行し、2つ組のデータセットを提供した。1:1ラングミュア結合モデルを用いて計算した、6つのヒューマニア化抗GM-CSF Fabクローンそれぞれの平均親和性(KD)を表1に示す。] [0124] TF-1細胞増殖アッセイ法を用いて、FabをGM-CSF中和について試験した。生細胞を決定するためにMTSアッセイ法(Cell titer 96、Promega)を用いて、0.5 ng/ml GM-CSFと共に4日間インキュベートした後に、ヒトTF-1細胞のGM-CSF依存性増殖を測定した。このアッセイにおいてすべてのFabが細胞増殖を阻害し、これらが中和抗体であることが示された。抗GM-CSF Fabの相対的親和性と細胞ベースのアッセイにおけるEC50との間に、良好な相関関係が存在する。18 pM〜104 pMの範囲の一価親和性を有する抗GM-CSF抗体は、細胞ベースのアッセイにおいてGM-CSFの効果的な中和を実証する。] [0125] (表1)GM-CSF依存性TF-1細胞増殖アッセイにおける活性(EC50)と比較した、表面プラズモン共鳴解析によって決定された抗GM-CSFFabの親和性] [0126] 実施例3‐抗GM-CSF抗体を送達するための臨床手順 注射用の滅菌等張生理食塩水溶液中、抗GM-CSF抗体を10 mg/mlとして4℃で保存し、注射用の0.9%塩化ナトリウム100 mlまたは200 mlに希釈してから、患者に投与する。0.2〜10 mg/kgの用量で、静脈内注入により1時間かけて、抗体を骨粗鬆症患者に投与する。] [0127] 上記の実施例は、説明のためのみに提供するものであって、限定のために提供するものではない。当業者は、本質的に同様の結果を得るために、重要ではない種々のパラメータを変更または修正できることを容易に理解すると考えられる。] [0128] 本明細書において引用した出版物、特許出願、アクセッション番号、および他の参考文献はすべて、個々の出版物または特許出願が詳細にかつ個別に参照により組み入れられることが示されるがごとく、参照により本明細書に組み入れられる。] 実施例 [0129] 例示的な配列 SEQID NO 1:マウス19/2重鎖可変領域のアミノ酸配列 SEQ ID NO 2:マウス19/2軽鎖可変領域のアミノ酸配列]
权利要求:
請求項1 治療的有効量のGM-CSFアンタゴニストを、骨減少の症状を低減するのに十分な量で患者に投与する段階を含む、骨減少障害を有する患者を治療するための方法。 請求項2 骨減少障害が骨減少症である、請求項1記載の方法。 請求項3 骨減少症がエストロゲン欠乏に起因する、請求項2記載の方法。 請求項4 GM-CSFアンタゴニストが抗GM-CSF抗体である、前記請求項のいずれか一項記載の方法。 請求項5 抗体がポリクローナル抗体である、請求項4記載の方法。 請求項6 抗体がモノクローナル抗体である、請求項4記載の方法。 請求項7 抗体が、Fab、Fab'、F(ab')2、scFv、またはdABである抗体断片である、請求項4記載の方法。 請求項8 抗体断片がポリエチレングリコールに結合している、請求項7記載の方法。 請求項9 抗体が約5 pM〜約50 pMの範囲の親和性を有する、請求項4記載の方法。 請求項10 抗体が中和抗体である、請求項4記載の方法。 請求項11 抗体が組換え抗体またはキメラ抗体である、請求項4記載の方法。 請求項12 抗体がヒト抗体である、請求項4記載の方法。 請求項13 抗体がヒト可変領域を含む、請求項4記載の方法。 請求項14 抗体がヒト軽鎖定常領域を含む、請求項4記載の方法。 請求項15 抗体がヒト重鎖定常領域を含む、請求項4記載の方法。 請求項16 ヒト重鎖定常領域がγ鎖である、請求項4記載の方法。 請求項17 抗体がキメラ19/2と同じエピトープに結合する、請求項4記載の方法。 請求項18 抗体がキメラ19/2のVH領域およびVL領域を含む、請求項4記載の方法。 請求項19 抗体がヒト重鎖定常領域を含む、請求項18記載の方法。 請求項20 ヒト重鎖定常領域がγ領域である、請求項19記載の方法。 請求項21 抗体がキメラ19/2のVH領域およびVL領域のCDR1、CDR2、およびCDR3を含む、請求項4記載の方法。 請求項22 抗体がキメラ19/2のVH領域のCDR3およびVL領域のCDR3を含む、請求項4記載の方法。 請求項23 ビスホスホネート、ラロキシフェン、テリパラチド、およびラネリック酸ストロンチウム、RANKLアンタゴニスト、ならびに破骨細胞形成抑制因子(OPG)-Fc融合タンパク質からなる群より選択される治療剤を投与する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。 請求項24 ビスホスホネートがアレンドロネート、エチドロネート、リセドロネート、およびイバンドロン酸からなる群より選択される、請求項23記載の方法。 請求項25 GM-CSFアンタゴニストが、抗GM-CSF受容体抗体;可溶性GM-CSF受容体; GM-CSFペプチド変異体、環状GM-CSFペプチド、シトクロムb562抗体模倣体;アドネクチン(adnectin);リポカリン骨格抗体模倣体;カリックスアレーン抗体模倣体;および抗体様結合ペプチド模倣体からなる群より選択される、請求項1記載の方法。 請求項26 治療的有効量の抗GM-CSF抗体を投与する段階を含む、骨減少症の患者を治療するための方法であって、抗GM-CSF抗体が、キメラ19/2の結合特異性を有するヒューマニア化(humaneered)Fab'を含み、かつ約5〜約50 pMの範囲の親和性を有する方法。 請求項27 骨減少症がエストロゲン欠乏に起因する、請求項26記載の方法。
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引用文献:
公开号 | 申请日 | 公开日 | 申请人 | 专利标题
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2012-04-03| A300| Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed|Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20120403 |
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