专利摘要:
Ehrlichia chaffeensisは、ヒトにおける新たに発見された命にかかわる疾病であるヒト単球性エールリヒア症(HME)の原因となるマダニ媒介性偏性細胞内寄生細菌であり、そして野犬および飼い犬における軽度から重度の疾患の原因にもなる。本発明は、E.chaffeensisについてのVLPT免疫反応性組成物、ならびにワクチン、抗体、ポリペプチド、ペプチドおよびポリヌクレオチドをはじめとするそれらに関連した組成物に関する。詳細には、E.chaffeensis VLPTについてのエピトープを開示する。
公开号:JP2011509935A
申请号:JP2010542360
申请日:2009-01-09
公开日:2011-03-31
发明作者:ジェレ;ダブリュー. マックブライド,;ティアン ルオ,
申请人:リサーチ ディベロップメント ファウンデーション;
IPC主号:C07K14-195
专利说明:

[0001] 本願は、2008年1月10日に出願された米国仮特許出願第61/020,379号に対する優先権を主張する。米国仮特許出願第61/020,379号は、その全体が本明細書中に参考により援用される。]
[0002] 本願は、国立衛生研究所の補助金第R01AI071145−01号からの資金により少なくともある程度がなされた。米国政府は、本発明における特定の権利を有する。]
[0003] 本発明は、分子生物学、細胞生物学、病理学、および医学(獣医学を含む)の分野に少なくとも関する。特定の態様において、本発明は、E.chaffeensisに関する免疫反応性VLPT組成物に関する。]
背景技術

[0004] Ehrlichia chaffeensisは、ヒトにおける新たに発見された命にかかわる疾病であるヒト単球性エールリヒア症(HME)の原因となるマダニ媒介性偏性細胞内寄生細菌であり、そして野犬および飼い犬における軽度から重度の疾患の原因にもなる。(非特許文献1)。E.canisおよびこの属の他の生物(E.chaffeensisおよびE.ruminantiumを含む)のゲノムは、高いゲノムシンテニー度、パラロガスタンパク質ファミリー、膜貫通ヘリックスおよび/またはシグナル配列を有するタンパク質の大きな比率、ならびにO−グリコシル化およびリン酸化の可能性に関連したユニークなセリン−トレオニンの偏り、ならびに宿主−病原体相互作用に関連したタンパク質内の縦列反復配列およびアンキリンドメインを示す(Collinsら,2005;Dunning Hotoppら,2006;Frutosら,2006;Mavromatisら,2006)。これらのゲノムのそれぞれによってコードされている900を超えるタンパク質の小さなサブセットが抗体によって認識される(Doyleら,2006;McBrideら,2003;McBrideら,2000)。同定されており分子的に特性づけされている幾つかの主要免疫反応性タンパク質は、分泌される高セリン糖タンパク質である。これらの糖タンパク質の多くは、縦列反復配列を有するが、あるものは、多数の真核細胞様アンキリンドメインを有する(Doyleら,2006;McBrideら,2003;McBrideら,2000;Netheryら,2005;Singuら,2005;Yuら,2000)。]
[0005] E.chaffeensisにおいて縦列反復配列を有する3つの免疫反応性タンパク質(gp120、gp47、およびVLPT)が、ならびにE.canisにおいて2つのオルソログ(それぞれ、gp140およびgp36)が、同定され、分子的に特性づけされている。E.chaffeensis gp120およびgp47は、表面デンスコア(dense−cored)エールリヒア上で特異的に発現され、分泌される、主要免疫反応性タンパク質である(Doyleら,2006;Popovら,2000)。E.chaffeensis免疫反応性タンパク質(gp120、pg47およびVLPT)ならびにE.canis gp36における縦列反復配列の数および/または配列の甚だしい可変性は、十分に文献に記載されている(Chenら,1997;Doyleら,2006;Sumnerら,1999)。gp120は、それぞれが80のアミノ酸を有する2から5のほぼ同一の高セリンTRを含有し、gp47は、それぞれの種の異なる単離物の間で数およびアミノ酸配列が異なるカルボキシ末端高セリンTRを有する。gp120とgp47の両方の主要抗体エピトープが、これらの高セリン酸性TRにマッピングされている。(Doyleら,2006;Yuら,1996;Yuら,1997)。類似して、VLPTは、3から6の非同一高セリンTR(30アミノ酸)を有するが、E.canisオルソログ(gp19)には、多数のTRがない。そのゲノムのコーディング配列と非コーディング配列の両方における縦列反復配列の存在は、エールリヒアゲノムの拡大および縮小の活性プロセスに結びつけられており(Frutosら,2006)、ゲノムの変化および不安定性の主な原因と考えられている(BzymekおよびLovett,2001)。E.chaffeensis vlpt遺伝子も、90bp縦列反復配列の数(2から6)の変動を示し、ならびに分子診断ターゲットとしておよび単離物の区別にも利用されている(Sumnerら,1999;Yabsleyら,2003)。]
[0006] 最近、E.chaffeensisにおけるVLPTタンパク質について以前に報告されているものと同じ相対染色体位置および実質的な相同性をC末端高システイン−チロシンドメインに有する、E.canisの強酸性19kDa主要免疫反応性タンパク質が同定された(gp19)。しかし、E.chaffeensis VLPTは、免疫反応性であるが、その細胞の位置、機能および防御免疫発現における役割は、殆どわかっていない。天然VLPTの分子量も不明である。E.chaffeensis Arkansas株は、44kDaであることは示唆されているが、その質量と一致する免疫反応性タンパク質は、報告されていない(Sumnerら,1999)。E.chaffeensis ArkansasのVLPTは、198アミノ酸タンパク質であり、これは、4つの反復配列(30アミノ酸)を有し、およびそのアミノ酸配列によって予測されたものの約2倍の分子量を有する(Sumnerら,1999)。E.chaffeensis VLPTタンパク質は、他の記載されているエールリヒア糖タンパク質と一致する翻訳後修飾を有するようだが、VLPT上の炭水化物の存在は、立証されていない。]
[0007] 感染中の体液免疫の惹起に関与するエールリヒア免疫決定因子の分子特性の定義づけは、Ehrlichia種の免疫の基礎の理解に重要である。本発明は、哺乳動物におけるエールリヒア(erhlichial)感染症に関する新規方法および組成物を提供することによって当該技術分野における要求を満たすものであり、詳細には、E.chaffeensis VLPTを利用する方法および組成物を提供する。]
先行技術

[0008] Paddock, C. D. and J. E. Childs. 2003.Ehrlichia chaffeensis: a prototypical emerging pathogen. Clin. Microbiol. Rev.16:37-64..]
課題を解決するための手段

[0009] ヒト単球性エールリヒア症(HME)は、偏性細胞内寄生細菌Ehrlichia chaffeensisによって引き起こされるマダニ媒介疾患である。一般に、本発明は、エールリヒア組成物およびそれらを製造および使用する方法に関する。特定の実施形態において、本発明は、例えば、エールリヒア症のためのワクチン、例えばサブユニットワクチンなど、のような免疫防御抗原を含む、免疫原性組成物に関する。前記免疫原性組成物は、例えばヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ブタ、ヤギまたはヒツジをはじめとする、任意の哺乳動物に利用することができる。]
[0010] Ehrlichia chaffeensisおよびE.canisは、縦列反復配列(TR)含有タンパク質の小さなサブセットを有し、これらのタンパク質は、強い宿主免疫応答を惹起し、および宿主−病原体相互作用に関係する。以前、E.canisの高保存19kDa主要免疫反応性タンパク質(gp19)が、特性づけされ、E.chaffeensisにおける対応するTR含有オルソログ可変長PCRターゲット(VLPT)タンパク質が同定された。本発明の実施形態では、天然32kDa VLPTタンパク質を同定し、その免疫決定因子を定義して、E.chaffeensisへの宿主免疫応答の分子的基礎をさらに定義する。VLPTの様々な領域に対応する合成および/または組換えポリペプチドを使用して、主要抗体エピトープをTR含有領域に局在定位した。E.chaffeensisに感染したイヌおよびHME患者からの血清中の抗体と強く反応する主要抗体エピトープを3つの非同一反復配列(R2、R3およびR4)において同定した。VLPT−R3およびVLPT−R2は、抗体と最も強く反応し、ならびにそのエピトープは、種特異的である、これらの反復配列間に共通するほぼ同一の隣接17アミノ酸領域に局在した。R4におけるエピトープは、R2およびR3のものとは異なり、配座的依存性を有することが判明した。感染細胞からの上清においてVLPTが検出された。これは、そのタンパク質が分泌されたことを示している。VLPTは、網状細胞とデンスコア細胞の両方に局在し、ならびに細胞外では桑実胚原線維基質において見つかり、桑実胚膜と会合していた。]
[0011] 本発明の一定の態様には、E.chaffeensisにおける主要免疫反応性糖タンパク質VLPT、E.canis gp19のオルソログの同定および特性づけがある。E.canis gp19には、E.chaffeensisのVLPT中に存在する縦列反復配列がないが、これら2つのタンパク質は、高システイン/チロシン・カルボキシル末端領域において実質的なアミノ酸類似性(59%)を示し、両方の遺伝子が、同じ相対染色体位置を有する。組換えエールリヒアTR含有タンパク質上の炭水化物が、それらの天然対応物に類似して予測質量より大きな質量を示すことが判明した。VLPTは、ゲル電気泳動による予測質量より大きい質量を示し、この発見は、天然および組換え、両方のVLPTタンパク質で観察される。セリンおよびトレオニン残基は、O−グリカンのための連結部位であり、これらのアミノ酸の一部は、VLPT上のグリカン結合部位であると予測された。しかし、他のエールリヒアタンパク質とは異なり、VLPT上で炭水化物は見つけられず、組換え2反復配列含有フラグメント(VLPT−R32;反復配列R3とR2の組み合わせ)の(MALDI−TOFによって判定した場合の)質量は、その予測質量と一致し、これは、その異常な移動がVLPT縦列反復配列の翻訳後修飾に起因しないことを裏付けた。しかし、代替実施形態において、VLPTは、翻訳後修飾される。VLPTは、高酸性タンパク質であり、これは、一定の実施形態では、電気泳動の移動性の増加に関係する。特定の実施形態において、VLPTの高い酸性アミノ酸含有率および低い総pI(3.8)は、その電気泳動挙動に関係し、特別な場合、他の高酸性TR含有エールリヒアタンパク質の異常挙動の一因となる。]
[0012] 本発明の特定の態様には、以下の特性の1つ以上を有するエールリヒアVLPTポリペプチド組成物(またはそれらのすべてもしくは一部をコードするポリヌクレオチド組成物)がある:1)特定の実施形態では、エピトープ決定因子の一部を含む、1つ以上の部分を含む;2)免疫原的に種特異的である1つ以上の部分、例えばエピトープ、を含む;3)細胞外的に、例えば分泌により、放出される;4)主要B細胞エピトープを含む;5)表面が露出されている;6)例えばその表面などで、感染性デンスコア形態のエールリヒアと会合している;および7)桑実胚原線維(多数の個々のエールリヒアを保有する細胞空胞(桑実胚)内部の微小コロニーからのエールリヒア)と会合している。さらなる態様では、本発明の組換えポリペプチド組成物を、例えばワクチンをはじめとする、免疫原性組成物として利用することができる。]
[0013] 本発明の特定の実施形態には、免疫原性であるアミノ酸配列を含むE.chaffeensis VLPT免疫原性組成物があり、およびさらなる特定の実施形態において、この免疫原性は、エピトープの少なくとも一部であることを特徴とする。さらなる実施形態において、前記アミノ酸配列は、エールリヒア属生物、例えばE.chaffeensis、に対するワクチン組成物の少なくとも一つを構成する。特定の実施形態において、前記アミノ酸配列は、セリン、トレオニン、および/または場合によってはアラニン、プロリン、バリン、および/またはグルタミン酸を含む。]
[0014] さらなる特定の実施形態において、本発明のアミノ酸配列、例えば、免疫原性アミノ酸配列は、以下の]
[0015] の一部またはすべてを含む。追加の実施形態において、前記アミノ酸配列は、医薬的に許容される賦形剤の中に含まれており、前記賦形剤は、本発明の一部の態様ではアジュバントを含む。本発明の一定の態様には、配列番号1のペプチド配列]
[0016] をコードする配列番号16]
[0017] を含むポリヌクレオチドがある。]
[0018] 本発明の一定の実施形態には、免疫原性VLPT E.chaffeensis組成物があり、このVLPT組成物の特定の配列が、その免疫原性を付与することができ、例えば、このVLPT組成物の一領域は、エピトープを含むことがある。]
[0019] 本発明の一部の態様において、多数の異なるE.chaffeensis株が、免疫原性VLPT組成物を含み、およびエピトープを含むVLPT組成物の領域には株間で(例えば、約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%を超えるような)有意な配列同一性がある。しかし、一部の実施形態では、エピトープを含まないVLPT組成物の領域に株間での有意な配列同一性が存在する場合もある。本発明の特定の態様には、1つより多くのE.chaffeensis株に対して免疫原性であるVLPT組成物があり、特定の態様において、それらの株のうちの1つのエピトープは、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号8、配列番号9、配列番号10または配列番号11、である、またはを含む、またはから本質的に成る、またはから成るが、他のエピトープも同定されることがある。代替VLPT E.chaffeensisエピトープが同定される実施形態では、例えば、配列番号3;配列番号4;配列番号5;配列番号8;配列番号9;配列番号10;または配列番号11を含む混合物などの、VLPT E.chaffeensisエピトープの混合物を含む免疫原性組成物を提供することができる。]
[0020] 本発明の実施形態には、免疫原性VLPT E.chaffeensis糖タンパク質がある。本発明の追加の実施形態には、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号8、配列番号9、配列番号10;または配列番号11を含むE.chaffeensis組成物がある。本発明の特定の態様において、前記組成物は、医薬的に許容される賦形剤をさらに含む。前記組成物は、1つ以上の炭水化物部分を含むと、エピトープの一部もしくはすべてを含むと、および/またはサブユニットワクチンなどのワクチンとして、さらに定義することができる。]
[0021] 本発明のもう1つの実施形態には、配列番号16のポリヌクレオチドの少なくとも一部によってコードされたポリペプチドを含むE.chaffenisis組成物および/または配列番号1のポリペプチドを含むE.chaffeensis組成物がある。本発明の1つの実施形態には、(a)配列番号3;配列番号4;配列番号5;配列番号8;配列番号9;配列番号10;もしくは配列番号11から成る群より選択される配列;または(b)(a)における1つ以上の配列と少なくとも約70%同一である配列を含む、Ehrlichia VLPT糖タンパク質を含む単離された組成物がある。前記組成物は、(a)における1つ以上の配列と少なくとも約75%、約80%、約85%、約90%または約95%同一である配列と、さらに定義することができる。前記組成物は、医薬的に許容される賦形剤に含まれていると、1つ以上の炭水化物部分を含むと、および/またはワクチンとして適する医薬組成物に含まれていると、さらに定義することもできる。]
[0022] 特定の実施形態には、SEQ配列番号3;配列番号4;配列番号5;配列番号8;配列番号9;配列番号10;もしくは配列番号11、またはそれらの混合物をコードする、単離されたポリヌクレオチドがある。]
[0023] 特定の実施形態には、a)配列番号3;配列番号4;配列番号5;配列番号8;配列番号9;配列番号10;もしくは配列番号11をコードするポリヌクレオチド;またはb)a)のポリヌクレオチドと少なくとも約90%同一であり、および免疫反応性E.chaffeensis VLPTポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、単離されたポリヌクレオチドがある。]
[0024] 本発明の追加の実施形態には、a)配列番号3;配列番号4;配列番号5;配列番号8;配列番号9;配列番号10;もしくは配列番号11、またはb)配列番号3;配列番号4;配列番号5;配列番号8;配列番号9;配列番号10;もしくは配列番号11と少なくとも約70%同一であり、および免疫原活性を含むVLPTポリペプチドを含む、単離されたポリペプチドがある。特定の実施形態において、前記ポリペプチドは、医薬的に許容される賦形剤に含まれており、および/または、ワクチンとして適する医薬組成物に含まれていると、さらに定義することができる。]
[0025] 本発明の一定の態様には、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、または配列番号22の例示的プライマーのうちの1つ以上によって増幅することができるポリヌクレオチドがある(表4)。]
[0026] 本発明のもう1つの態様には、本発明の1つ以上のポリペプチドを結合する、単離された抗体がある。抗体は、例えば、モノクローナルである場合もあり、ポリクローナルである場合もあり、または抗体フラグメントである場合もある。特定の実施形態において、前記抗体は、VLPT、例えば配列番号3;配列番号4;配列番号5;配列番号8;配列番号9;配列番号10;もしくは配列番号11を含むもの、のエピトープに選択的に結合する。特定の実施形態において、前記抗体は、本発明の1つ以上のポリペプチドと免疫学的に反応すると言われることがある。]
[0027] 本発明の追加の実施形態には、E.chaffeensis感染症に対する耐性をもたらす方法があり、この方法は、本発明の組成物、例えばVLPT抗体、ポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチド、の治療有効量を個体に送達する工程を含む。]
[0028] もう1つの実施形態には、個体において免疫応答を誘導する方法があり、この方法は、治療有効量の本発明のVLPTポリペプチドをその個体に送達する工程を含む。本発明の追加の実施形態には、被験体におけるE.chaffeensis感染症を抑制または予防する方法があり、この方法は、E.chaffeensisに曝露する前のまたは曝露若しくは感染している疑いがある被験体を同定する工程、ならびに本発明のポリペプチド、抗体および/またはポリヌクレオチドをE.chaffeensis感染症の抑制に有効な量で投与する工程を含む。]
[0029] 本発明のポリヌクレオチドは、ウイルスベクターまたは非ウイルスベクターなどのベクターに含まれていることがあり、この場合、前記ウイルスベクターは、アデノウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノ関連ベクター、ヘルペスウイルスベクター、またはワクシニアウイルスベクターであり得、および前記非ウイルスベクターは、プラスミドであり得る。本発明のさらなる態様において、前記ベクターは、前記ポリヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーターを含み、この場合、前記プロモーターは、原核細胞、真核細胞、または両方において作動可能である。本発明のポリヌクレオチドは、リポソームに含まれていることがあり、および/または医薬的に許容される賦形剤に含まれていることがある。]
[0030] 本発明の一定の態様には、本発明のポリペプチドと免疫反応する、単離された抗体があり、前記抗体は、例えば、モノクローナル抗体である場合があり、ポリクローナル抗血清に含まれている場合があり、または抗体フラグメントである場合がある。]
[0031] 本発明の他の実施形態には、個体において免疫応答を誘導する方法があり、この方法は、本発明の組成物、例えばポリペプチド、抗体および/またはポリヌクレオチド、の治療有効量をその個体に送達する工程を含む。]
[0032] 本発明の追加の実施形態には、被験体におけるE.chaffeensis感染症を抑制する方法があり、この方法は、E.chaffeensisに曝露する前のまたは曝露若しくは感染している疑いがある被験体を同定する工程;ならびに本発明のポリペプチドをE.chaffeensis感染症の抑制に有効な量で投与する工程を含む。本発明のさらなる実施形態には、個体におけるE.chaffeensis感染症を同定する方法があり、この方法は、その個体からのサンプルを本発明の抗体、ポリペプチド、および/またはポリヌクレオチドについてアッセイする工程を含む。]
[0033] 本発明の特定の態様において、ポリペプチドは、長さが10から11アミノ酸である、長さが10から12アミノ酸である、長さが10から13アミノ酸である、長さが10から14アミノ酸である、長さが10から15アミノ酸である、長さが10から17アミノ酸である、長さが10から20アミノ酸である、長さが10から25アミノ酸である、長さが14から20アミノ酸である、長さが14から25アミノ酸である、長さが14から27アミノ酸である、長さが14から30アミノ酸である、長さが15から30アミノ酸である、長さが16から20アミノ酸である、長さが16から25アミノ酸である、長さが16から30アミノ酸である、長さが17から20アミノ酸である、長さが17から25アミノ酸である、長さが17から30アミノ酸である、長さが20から25アミノ酸である、長さが20から27アミノ酸である、長さが20から30アミノ酸である、長さが24から30アミノ酸である、長さが24から35アミノ酸である、長さが24から40アミノ酸である、長さが24から45アミノ酸である、長さが24から50アミノ酸である、長さが24から55アミノ酸である、長さが24から60アミノ酸である、長さが24から65アミノ酸である、長さが24から70アミノ酸である、長さが24から75アミノ酸である、長さが24から80アミノ酸である、長さが24から85アミノ酸である、長さが24から90アミノ酸である、長さが24から95アミノ酸である、長さが24から100アミノ酸である、長さが30から50アミノ酸である、長さが30から45アミノ酸である、または長さが30から55アミノ酸である、とさらに定義される。]
[0034] 特定の実施形態において、本発明のポリペプチドは、長さが少なくとも10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、または75アミノ酸以上である。本発明の一定の態様において、本発明のポリペプチドは、長さが11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、または75アミノ酸以下である。]
[0035] 配列番号3;配列番号4;配列番号5;配列番号8;配列番号9;配列番号10;または配列番号11を含むポリペプチドの変異体は、配列番号3;配列番号4;配列番号5;配列番号8;配列番号9;配列番号10;もしくは配列番号11と少なくとも80%同一であると;配列番号3;配列番号4;配列番号5;配列番号8;配列番号9;配列番号10;もしくは配列番号11と少なくとも85%同一であると;配列番号3;配列番号4;配列番号5;配列番号8;配列番号9;配列番号10;もしくは配列番号11と少なくとも90%(もしくは91%、もしくは92%、もしくは93%、もしくは94%)同一であると;配列番号3;配列番号4;配列番号5;配列番号8;配列番号9;配列番号10;もしくは配列番号11と少なくとも95%(もしくは96%、もしくは97%、もしくは98%、もしくは99%)同一であると定義することができる。]
[0036] 追加の実施形態には、(a)配列番号3;配列番号4;配列番号5;配列番号8;配列番号9;配列番号10;もしくは配列番号11を有するペプチド;または(b)(a)のペプチドの変異体を含む組成物があり、この場合、前記変異体は、配列番号3;配列番号4;配列番号5;配列番号8;配列番号9;配列番号10;または配列番号11と少なくとも75%同一であり、前記組成物は、個体の免疫応答を惹起することができる。特定の実施形態には、長さが14から30アミノ酸であるペプチドがある。特定の実施形態には、配列番号3;配列番号4;配列番号5;配列番号8;配列番号9;配列番号10;または配列番号11と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一であると、さらに定義される変異体がある。]
[0037] 本発明の組成物は、個体にEhrlichia chaffeensisに対する免疫を備えさせる活性を有すると定義することができる。本発明の組成物は、個体についてのEhrlichia chaffeensisに対する免疫反応を誘導する活性を有すると定義することができる。本発明の組成物は、本明細書において提供する任意のポリペプチド、ペプチド、ポリヌクレオチド、および/または抗体を含む。]
[0038] ウイルスベクターまたは非ウイルスベクターなどのベクターに含まれていると核酸分子をさらに定義することができ、この場合、前記ウイルスベクターは、アデノウイルスベクター、レトロウイルスベクター、またはアデノ関連ウイルスベクターを含み得る。前記核酸は、リポソームに含まれていることがある。]
[0039] 特定の実施形態には、配列番号3;配列番号4;配列番号5;配列番号8;配列番号9;配列番号10;および配列番号11から成る群より選択されるアミノ酸配列のうちの1つ以上と免疫反応する、単離された抗体がある。さらなる特定の実施形態において、前記抗体は、モノクローナル抗体であり、ポリクローナル抗血清に含まれており、または抗体フラグメントである。]
[0040] 追加の実施形態には、ポリペプチドを生産する方法があり、この方法は、本発明のポリヌクレオチドを含む宿主細胞を提供すること、その宿主細胞がそのポリヌクレオチドを発現するために適する条件下でその細胞を培養して、コードされたポリペプチドを生産することを含む。前記方法は、前記ポリペプチドの単離を含むことがある。]
[0041] 本発明の追加の実施形態には、個体において免疫応答を誘導する方法があり、この方法は、治療有効量の本発明の組成物をその個体に送達する工程を含む。]
[0042] 本発明のさらなる実施形態には、被験体におけるE.chaffeensis感染症を抑制する方法があり、この方法は、E.chaffeensisに曝露する前のまたは曝露若しくは感染している疑いがある被験体に有効量の本発明の組成物を投与する工程を含む。]
[0043] 本発明の追加の実施形態には、個体におけるE.chaffeensis感染症を同定する方法があり、この方法は、その個体からのサンプルを次のものの一方または両方についてアッセイする工程を含む:(a)配列番号3;配列番号4;配列番号5;配列番号8;配列番号9;配列番号10;もしくは配列番号11のポリペプチド、またはその混合物;あるいは(b)配列番号3;配列番号4;配列番号5;配列番号8;配列番号9;配列番号10;もしくは配列番号11から成る群より選択されるアミノ酸配列と免疫反応する抗体。特定の実施形態において、前記(b)の抗体は、配列番号3;配列番号4;配列番号5;配列番号8;配列番号9;配列番号10;または配列番号11のアミノ酸配列と免疫反応する。特定の態様において、サンプルの抗体についてのアッセイは、ELISAによる、例えば前記(b)の抗体以外の1つ以上のE.chaffeensis抗体についてのアッセイを可能にするものによる、抗体についてのアッセイと、さらに定義される。]
[0044] 本発明の実施形態には、次の組成物の1つ以上を含むキットがある:(a)配列番号3;配列番号4;配列番号5;配列番号8;配列番号9;配列番号10;または配列番号11を含む単離されたポリペプチド;(b)(a)のポリペプチドと少なくとも70%同一である単離されたポリペプチド;(c)配列番号3;配列番号4;配列番号5;配列番号8;配列番号9;配列番号10;または配列番号11を含む単離されたポリペプチド;(d)配列番号3;配列番号4;配列番号5;配列番号8;配列番号9;配列番号10;または配列番号11と少なくとも70%同一である単離されたポリペプチド;(e)配列番号3;配列番号4;配列番号5;配列番号8;配列番号9;配列番号10;または配列番号11から成る群より選択されるアミノ酸配列のうちの1つ以上と免疫反応する単離された抗体。特定の実施形態において、前記キットは、前記組成物のうちの2つ以上を含むと、さらに定義される。]
[0045] 本発明の1つの実施形態には、次のものの1つ以上を含むポリペプチド組成物がある:(a)配列番号3;配列番号4;配列番号5;配列番号8;配列番号9;配列番号10;および配列番号11から成る群より選択される1つ以上のアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチド;または(b)(a)のポリペプチドと少なくとも95%同一である単離されたポリペプチド。特定の実施形態において、前記単離されたポリペプチドは、医薬的に許容される希釈剤に分散している。もう1つの特定の実施形態において、前記(a)のポリペプチドは、配列番号3、配列番号4、および配列番号5から成る群より選択されるアミノ酸配列を含む。追加の特定の実施形態において、前記(a)のポリペプチドは、配列番号8;配列番号9;配列番号10;または配列番号11から成る群より選択されるアミノ酸配列を含む。]
[0046] 本発明の追加の実施形態には、配列番号3;配列番号4;配列番号5;配列番号8;配列番号9;配列番号10;および配列番号11から成る群より選択されるアミノ酸配列の1つ以上と免疫反応する単離された抗体がある。特定の実施形態において、前記抗体は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体である。]
[0047] 本発明のもう1つの実施形態には、個体において免疫応答を誘導する方法があり、この方法は、治療有効量の本発明の組成物をその個体に送達する工程を含む。本発明の1つの実施形態には、被験体におけるE.chaffeensis感染症を抑制する方法があり、この方法は、有効量の本発明の組成物をその被験体に投与する工程を含む。]
[0048] 本発明の一定の態様には、個体におけるE.chaffeensis感染症を同定する方法があり、この方法は、その個体からのサンプルを、次のものの1つ以上についてアッセイする工程を含む:(a)配列番号3;配列番号4;配列番号5;配列番号8;配列番号9;配列番号10;および配列番号11から成る群より選択される1つ以上のアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチド;または(b)(a)のポリペプチドから成る群より選択されるアミノ酸配列と免疫反応する抗体。本発明の1つの実施形態では、前記サンプルを、配列番号17および配列番号19のアミノ酸配列を有するポリペプチドについてアッセイする。特定の実施形態において、前記アッセイは、前記(b)の抗体についてのELISAによるアッセイである。本発明のもう1つの実施形態において、前記方法は、前記個体からのサンプルを得ることをさらに含む。]
[0049] 本発明の追加の実施形態には、本発明のポリペプチド組成物を含む、適する容器に収容された、キットがある。一部の実施形態において、前記キットは、本発明の2つ以上のポリペプチド組成物を含む。特定の実施形態において、前記ポリペプチドは、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号3、配列番号4、および/または配列番号5のアミノ酸配列を含む。]
[0050] 上述の事項は、後続の発明を実施するための形態をよりよく理解するために、本発明の特徴および技術的利点をどちらかといえば広く概説したものである。本発明のクレームの主題を構成する本発明の追加の特徴および利点を下で説明することとする。開示する概念および特定の実施形態を、本発明の同目的を実施するために他の構造を修飾または設計するための基礎として容易に利用できることは、当業者には理解されるはずである。そのような等価の構築が、添付のクレームに示すような本発明の精神および範囲を逸脱しないことも、当業者にはわかるはずである。さらなる目的および利点と共に、本発明に特有であると考えられる新規の特徴は、その構成に関しても、操作方法に関しても、添付の図面と共に考えると以下の説明からよりよく理解されるであろう。しかし、これらの図面のそれぞれが、例証および説明のみを目的として提供するものであり、本発明の範囲の定義と解釈されないことを、明確に理解しなければならない。]
図面の簡単な説明

[0051] 本発明のより完全な理解のために、添付の図面と合わせて以下の説明を参照する。
図1Aは、4つのTRのすべてのドメインおよび位置を示すVLPTタンパク質のアミノ酸配列(括弧内にアミノ酸の数;R=反復配列)を提供する。図1Bは、4つのE.chaffeensis VLPT反復配列の関係を示す系統発生樹を提供する。目盛は、アミノ酸同一率を表す。
図2Aは、抗VLPT−R3ペプチド抗体と反応した、E.chaffeensis全細胞溶解産物中の天然VLPT(レーン1)、E.chaffeensis感染細胞から採取した上清中の天然VLPT(レーン2)、およびE.canis全細胞溶解産物中の天然VLPT(レーン3)の同定を示す。図2Bは、同じだが、抗E.chaffeensisイヌ血清と反応したものを示す。予備免疫ウサギ血清またはイヌ血清対照は、E.chaffeensis全細胞溶解産物または上清を認識しなかった(データは示さない)。
図3は、VLPTエピトープをマッピングするために使用した合成および組換えペプチドの略図を提供する。
図4Aは、E.chaffeensis VLPTの合成および組換えペプチドと抗E.chaffeensisイヌ(番号2251)血清との免疫反応性を示す。精製された組換えペプチドのSDS−PAGEおよび全タンパク質染色(上)ならびに抗E.chaffeensisイヌ血清でプローブした対応する免疫ブロット(下)。M、精度タンパク質標準物質(Bio−Rad);Ctrl、精製された組換えチオレドキシン。図4Bは、小さな組換えおよび対応する合成VLPTポリペプチド(N[合成のみ]、R1、R2、R3、およびR4)ならびに大きなVLPTタンパク質フラグメント(組換えのみ;C、R4321−C、およびR32)のELISAによる免疫反応性を提供する。OD読み取り値は、バッファのみのウエルのODを引いた、3つのウエルについての平均値(±標準偏差)を表す。
図5Aは、VLPT−R3を代表するオーバーラッピングペプチド(7ペプチド)の配列および配向を提供する。図5Bは、ELISAによるVLPT−R3オーバーラッピングペプチドと抗E.chaffeensisイヌ血清との免疫反応性を示す。
図6は、ELISAによる合成および組換えE.chaffeensis VLPT反復配列(R2、R3、およびR4)と3つのHME患者血清との免疫反応性を示す(図6A、6B、6C;Ctrl、精製組換えチオレドキシン)。合成E.chaffeensis VLPT−R3は、ELISAにより、14のHME患者血清(レーン1〜14)、抗E.chaffeensisイヌ血清(レーン15)および正常ヒト血清(レーン16)と反応した(図6D)。正常ヒト血清は、他のペプチドおよびまたタンパク質を認識しなかった(データは示さない)。
図7は、抗VLPT−R3ペプチド抗体でプローブしたE.chaffeensisのDH82細胞培養上清のウエスタン免疫ブロット(感染後0から6日、それぞれレーン1から7)。M、精度タンパク質標準物質(Bio−Rad)。
図8Aは、網状およびデンスコア・エールリヒアにおけるE.chaffeensis VLPTの局在を明示する、E.chaffeensis感染DH82の超薄切片の電子顕微鏡写真を提供する。図8Bは、未感染DH82細胞を含有する対応する超薄切片(陰性対照)を提供する。両方のパネルにおける細胞をウサギ抗VLPT−R3ペプチド抗体と反応させた(1:10,000)。バー=1μm] 図1A 図1B 図2A 図2B 図3 図4A 図4B 図5A 図5B 図6
[0052] 本出願は、2007年8月7日出願のPCT/US2007/75343、および2006年8月31日出願の米国特許仮出願第60/841,465号、それら全体を、参照により援用している。]
[0053] I.定義
長年の特許法慣習に従って、語「1つ(a)」および「1つ(an)」は、クレームを含めて、本明細書においてこの語が構成するものと一緒に用いるとき、「1つ以上」を示す。本発明の一部の実施形態は、本発明の1つ以上の要素、方法工程、および/または方法から成り得る、または本質的に成り得る。本明細書に記載する任意の方法または組成物を、本明細書に記載する任意の他の方法または組成物について実施することができると考えられる。]
[0054] 本明細書において用いる場合の用語「炭水化物」は、炭素、水素および酸素から、特に2H:1C:1Oの比で、成る組成物を指す。この用語は、例えば、糖、デンプン、およびセルロースを含む。]
[0055] 本明細書において用いる場合の用語「エピトープ」は、特定の抗体が結合する組成物の部位を指す。]
[0056] 本明細書において用いる場合、「多糖類」と呼ばれることもある、用語「グリカン」は、加水分解によって2つ以上の単糖類に分解され得る炭水化物を指す。言い換えると、それを単純糖鎖(多価アルコールのアルデヒドまたはケトン誘導体)と呼ぶことができる。]
[0057] 用語「同一性」は、当該技術分野において公知であるように、配列を比較することによって決定されるような2つ以上のポリペプチド分子または2つ以上の核酸分子の配列間の関係を指す。当該技術分野において、「同一性」は、場合によっては、二つ以上のヌクレオチド残基または二つ以上のアミノ酸残基間のマッチ数によって決定されるような、核酸分子間またはポリペプチド分子間の配列関連度も意味する。「同一性」は、特定の数理モデルまたはコンピュータプログラム(すなわち、「アルゴリズム」)によって取り組まれる、ギャップアラインメント(もしあれば)を伴う、2つ以上の配列のより小さいものの間の同一マッチ率の尺度となる。]
[0058] 本明細書において用いる場合の用語「免疫原性」は、それに対して免疫応答を誘発することができる組成物を指す。]
[0059] 本明細書において用いる場合の用語「免疫応答」は、抗原に対する抗体を作ることによる、抗原の存在に対する免疫系の反応を指す。さらなる特定の実施形態では、抗原に対する免疫が全身によって細胞レベルで発現されることがあり、抗原に対する過敏症が発現されることがあり、および/または耐性が、例えばその後の攻撃から、発現されることがある。特定の実施形態において、免疫応答は、抗原分子を異物として識別し、抗原の形成を誘導するリンパ球、およびそれと反応し、それをあまり有害でなくすることができるリンパ球を含意する。]
[0060] 本明細書において用いる場合の用語「免疫反応性」は、個体の血清からの抗体と反応性である組成物を指す。特定の実施形態において、組成物は、抗体が、例えば、それに結合することおよび/またはそれと免疫反応することによって、それを認識する場合、免疫反応性である。]
[0061] 本明細書において用いる場合の用語「ムチン」は、N−アセチルガラクトサミン(GalNAc)を伴う1つ以上の高グリコシル化糖タンパク質を指す。]
[0062] 本明細書において用いる場合の用語「オルソログ」は、ある種からの、別の種におけるポリヌクレオチドに対応する、ポリヌクレオチドを指し、これら2つのポリヌクレオチドは、共通祖先種(相同ポリヌクレオチド)によって関連している。しかし、そのある種からのポリヌクレオチドは、進化して、その他の種のポリヌクレオチドとは違うものになっている。]
[0063] 用語「類似性」は、関連概念であるが、「同一性」とは対照的に、同一マッチと保存的置換マッチの両方を含む配列関係を指す。2つのポリペプチド配列が、例えば、{分数(10/20)}同一のアミノ酸を有し、残りが、すべて非保存的置換である場合には、同一率および類似率は、両方とも50%であろう。同じ例で、保存的置換がある位置が5箇所以上ある場合には、その同一率は、50%のままであるが、類似率は、75%({分数(15/20)})になるであろう。従って、保存的置換がある場合、2つのポリペプチド間の類似度は、それら2つのポリペプチド間の同一率より高くなるであろう。]
[0064] 本明細書において用いる場合の用語「サブユニットワクチン」は、生物全体とは対照的に、ポリペプチドまたはそのフラグメントを利用するワクチンを指す。]
[0065] 本明細書において用いる場合の用語「ワクチン」は、攻撃により個体に免疫をもたらす組成物を指す。]
[0066] 本明細書において用いる場合の用語「ビルレンス因子」は、特定の宿主種上または内で微生物がそれ自体を樹立できるようにする、従って、その病原性を増強することができる、1つ以上の遺伝子産物を指す。例示的ビルレンス因子としては、例えば、細菌付着を媒介する細胞表面タンパク質、細菌を保護する細胞表面炭水化物およびタンパク質、細菌毒素、ならびに細菌の病原性の一因となり得る加水分解酵素が挙げられる。]
[0067] 本発明の実施は、別の指示がない限り、分子生物学、微生物学、組換えDNA、および当業者の範囲内であるその他のものについての従来の技術を利用するであろう。そのような技術は、文献において十分に説明されている。例えば、Sambrook,Fritsch,and Maniatis,MOLECULAR CLONING:A LABORATORYMANUAL,Second Edition(1989),OLIGONUCLEOTIDESYNTHESIS(M.J.Gait Ed.,1984),ANIMAL CELLCULTURE(R.I.Freshney,Ed.,1987),the series METHODS IN ENZYMOLOGY(Academic Press,Inc.);GENE TRANSFERVECTORS FOR MAMMALIAN CELLS(J.M.Miller and M.P.Calos eds.1987),HANDBOOK OF EXPERIMENTAL IMMUNOLOGY,(D.M.Weir and C. C. Blackwell,Eds.),CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY(F.M.Ausubel,R.Brent,R.E.Kingston,D.D.Moore,J.G.Siedman,J.A.Smith,and K.Struhl,eds.,1987),CURRENT PROTOCOLS IN IMMUNOLOGY(J.E.coligan,A.M.Kruisbeek,D.H.Margulies,E.M.Shevach and W.Strober,eds.,1991);ANNUAL REVIEW OF IMMUNOLOGY;ならびにADVANCESIN IMMUNOLOGYなどのジャーナルにおけるモノグラフを参照のこと。本明細書において上で言及したおよび下で言及するすべての特許、特許出願、および出版物は、参照により本明細書に援用されている。]
[0068] II.本発明の実施形態
本発明は、Ehrlichia種タンパク質、それらをコードするポリヌクレオチドならびにそれらのフラグメントおよび関連分子に関連した組成物および方法に関する。本発明の特定の態様には、グリコシル化縦列反復配列上のエピトープへの初期抗体応答を惹起するE.canisおよびE.chaffeensisの特異的に発現されるおよび分泌される主要免疫反応性タンパク質オルソログがある。具体的には、特定の実施形態において、本発明は、Ehrlichia種からの1つ以上の糖タンパク質に関する。さらなる実施形態において、本発明は、VLPTタンパク質である、Ehrlichia種からの糖タンパク質に関する。追加の実施形態において、前記VLPTタンパク質は、E.chaffeensisからのものである。]
[0069] Ehrlichia chaffeensisは、感染したイヌにおいて初期エールリヒア特異的抗体応答を惹起する19kDaタンパク質を含む、主要免疫反応性タンパク質の小さなサブセットを有する。本発明は、E.chaffeensis可変長PCRターゲット(VLPT)タンパク質の同定および分子的特性づけに関する。]
[0070] 本発明の一部の実施形態は、被験体におけるE.chaffeensis感染症を抑制する方法に関し、この方法は、E.chaffeensisに曝露する前のまたは曝露若しくは感染している疑いがある被験体を同定する工程、およびE.chaffeensisの抗原を含む組成物を、E.chaffeensis感染症を抑制するために有効な量で投与する工程を含む。前記抑制は、任意の手段、例えば被験体の体液もしくは細胞免疫応答の刺激などによって、または他の手段によって、例えば、抗原の正常機能を阻害することによって、もしくはその被験体の体内の何らかの物質との相互作用について抗原と競合させることによっても、または例えばこれらの組み合わせによって、行うことができる。]
[0071] 本発明は、個体に化合物を投与する工程を含む、個体へのターゲット療法の方法にも関し、この場合、前記化合物は、ターゲッティング部分および治療部分を有し、そのターゲッティング部分は、VLPTタンパク質に特異的である。一定の態様において、前記ターゲッティング部分は、VLPTにまたはリガンドにまたはVLPTを結合するリガンド結合ドメインに特異的な抗体である。同様に、前記治療部分は、例えば、放射性同位元素、毒素、化学療法薬、免疫刺激剤、細胞傷害剤、または抗体を含むことがある。]
[0072] 本発明の他の実施形態は、哺乳動物におけるエールリヒア感染症の診断に関し、この診断は、例えば血液または血清などの哺乳動物からのサンプルを、(E.chaffeensisについての)VLPT組成物に対する抗体についてアッセイすることによる。]
[0073] III.E.chaffeensis VLPTアミノ酸組成物
本発明は、E.chaffeensis VLPTを含むポリペプチドまたはペプチドに関する。簡素のために、以下のセクションは、ポリペプチドおよびペプチドをはじめとする、本発明の任意のE.chaffeensis VLPTアミノ酸組成物について述べることにする。]
[0074] 特定の実施形態において、ポリペプチドは、組換えポリペプチドである場合もあり、または例えば、自然から単離および/もしくは精製されたものである場合もある。特定の態様において、前記アミノ酸配列は、核酸配列によってコードされる。特定の実施形態において、前記ポリペプチドは、抗原として有用である。他の特定の実施形態において、ペプチドは、例えば、合成的に生成される場合もあり、またはオリゴヌクレオチドによってコードされる場合もある。特定の実施形態において、前記ペプチドは、抗原として有用である。]
[0075] 本発明は、組換えポリペプチドを産生する方法にも関し、この方法は、プロモーターに機能するように連結されたアミノ酸配列をコードする配列を含む発現構築物を含むベクターを得る工程;そのベクターを細胞に移入する工程;およびその発現構築物の発現に有効な条件下でその細胞を培養する工程を含む。代替実施形態では、前記アミノ酸配列を合成的に生成することができる。]
[0076] 「実質的に純粋なタンパク質」とは、自然にそれを伴う成分の少なくとも一部から分離されたタンパク質を意味する。実質的に純粋な免疫反応性組成物は、例えば、天然源からの抽出によって;免疫反応性組成物をコードする組換え核酸の発現によって;またはそのタンパク質を化学合成することによって、例えば得ることができる。従って、実質的に純粋なタンパク質は、E.coli、他の原核生物、または任意の他の生物において合成された、天然に存在しないタンパク質を含む。]
[0077] 従って、一定の実施形態において、本発明は、少なくとも1つのタンパク質様分子を含む新規組成物に関する。本明細書において用いる場合「タンパク質様分子」、「タンパク質様組成物」、「タンパク質様化合物」、「タンパク質様鎖」または「タンパク質様材料」は、約130アミノ酸より大きいタンパク質もしくは遺伝子から翻訳された完全長内因性配列;約100アミノ酸より大きいポリペプチド;および/または約3から約100アミノ酸のペプチドを一般には指すが、これらに限定されない。上に記載したすべての「タンパク質様」用語は、本明細書では、交換可能に用いることができる。]
[0078] 一定の実施形態において、前記少なくとも1つのタンパク質様分子のサイズは、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、約52、約53、約54、約55、約56、約57、約58、約59、約60、約61、約62、約63、約64、約65、約66、約67、約68、約69、約70、約71、約72、約73、約74、約75、約76、約77、約78、約79、約80、約81、約82、約83、約84、約85、約86、約87、約88、約89、約90、約91、約92、約93、約94、約95、約96、約97、約98、約99、約100、約110、約120、約130、またはより多い数のアミノ酸残基、およびこれらから導出可能な任意の範囲を含むことができるが、それらに限定されない。]
[0079] 本明細書において用いる場合、「アミノ酸分子」は、通常の当業者に公知であろうような任意のポリペプチド、ポリペプチド誘導体、またはポリペプチドミメティックを指す。一定の実施形態において、タンパク質様分子の残基は、連続的であり、そのアミノ酸分子残基の配列に割り込んでいる非アミノ酸分子が一切ない。他の実施形態において、前記配列は、1つ以上の非アミノ分子部分を含むことがある。特定の実施形態において、前記タンパク質様分子の残基の配列には1つ以上の非アミノ分子部分が割り込んでいることがある。]
[0080] 従って、用語「タンパク質様組成物」は、天然合成タンパク質中の20の共通アミノ酸の少なくとも1個、または下の表1に示すものをはじめとする(しかしこれらに限定されない)少なくとも1つの修飾または非通常アミノ酸を含む、アミノ分子配列を包含する。]
[0081] 一定の実施形態において、前記タンパク質様組成物は、少なくとも1つのタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドを含む。さらなる実施形態において、前記タンパク質様組成物は、生体適合性タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドを含む。本明細書において用いる場合、用語「生体適合性」は、本明細書に記載する方法および量に従って所与の生物に適用されたとき、または投与されたとき、有意に不適当な作用を生じさせない物質を指す。そのような不適当なまたは望ましくない効果は、例えば、有意な毒性または有害免疫反応である。]
[0082] タンパク質様組成物は、例えば、標準的な分子生物学技術によるタンパク質、ポリペプチドもしくはペプチドの発現、天然源からのタンパク質様化合物の単離、またはタンパク質様材料の化学合成をはじめとする、当業者に公知の任意の技術によって作ることができる。様々な遺伝子についてのヌクレオチドおよびタンパク質、ポリペプチドおよびペプチド配列は、以前に記載されており、通常の当業者に公知のコンピュータデータベースにおいて見つけることができる。2つのそのようなデータベースは、例えば、米国国立生物工学情報センター(The National Center for Biotechnology Information)のGenBank(登録商標)およびGenPeptデータベースである。これらの公知遺伝子についてのコーディング領域を、本明細書に開示する技術または通常の当業者に公知であろうような技術を用いて、増幅および/または発現させることができる。あるいは、タンパク質、ポリペプチドおよびペプチドの様々な市販調製品が当業者に公知である。]
[0083] 一定の実施形態において、タンパク質様化合物を精製することができる。一般に、「精製された」は、分画に付して様々な他のタンパク質、ポリペプチドもしくはペプチドを除去した特定のまたはタンパク質、ポリペプチドもしくはペプチド組成物を指し、この組成物は、その活性を実質的に保持しており、例えば、その特定のまたは所望のタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドについて通常の当業者に公知であろうようなタンパク質アッセイにより評価することができる。精製されたタンパク質様組成物における保持について評価することができる例示的活性は、鉄結合活性および免疫反応性である。]
[0084] 本発明の特定の実施形態では、ポリペプチドは標識され、そして任意の検出可能な標識が本発明において適する。前記標識は、例えば、ポリペプチドのN末端、C末端、またはアミノ酸残基の側鎖に連結することができる。1つ以上の標識を利用することもできる。例示的標識としては、放射性標識、蛍光標識、比色標識などが挙げられた。特定の実施形態では、前記標識をポリペプチドに共有結合で連結する。]
[0085] IV.E.chaffeensis VLPT核酸組成物
本発明の一定の実施形態は、E.canis gp19核酸に関する。簡素のために、以下のセクションは、本発明の任意のE.canis gp19核酸組成物に付いて述べることにする。]
[0086] 一定の態様において、核酸は、野生型または突然変異核酸を含む。特定の態様において、核酸は、転写核酸をコードする、または含む。他の態様において、核酸は、核酸セグメント、またはその生体機能的等価物を含む。特定の態様において、核酸は、タンパク質、ポリペプチド、ペプチドをコードする。]
[0087] 用語「核酸」は、当該技術分野において公知であり、本明細書では、「ポリヌクレオチド」と交換可能に用いることができる。本明細書において用いる場合の「核酸」は、核酸塩基を含む、DNA、RNAまたはそれらの類似体もしくは誘導体の分子(すなわち、鎖)を一般に指すものとする。核酸塩基としては、例えば、DNA中で見つけられる天然に存在するプリンもしくはピリミジン塩基(例えば、アデニン「A」、グアニン「G」、チミン「T」もしくはシトシン「C」)またはRNA中で見つけられる天然に存在するプリンもしくはピリミジン塩基(例えば、A、G、ウラシル「U」もしくはC)が挙げられる。用語「核酸」は、用語「オリゴヌクレオチド」および「ポリヌクレオチド」を、それぞれ用語「核酸」の亜属として包含する。用語「オリゴヌクレオチド」は、長さが約3核酸塩基と約100核酸塩基の間の分子を指す。用語「ポリヌクレオチド」は、長さが約100核酸塩基より長い少なくとも1つの分子を指す。]
[0088] これらの定義は、一般に、1本鎖分子を指すが、特定の実施形態では、その1本鎖分子に、部分的に、実質的にまたは完全に相補的である追加の鎖も含むであろう。したがって、核酸は、分子を含む特定の配列の1つ以上の相補鎖(単数もしくは複数)または「補体」(単数もしくは複数)を含む、2本鎖分子または3本鎖分子を包含し得る。本明細書において用いる場合、1本鎖核酸を接頭語「ss」によって、2本鎖核酸を接頭語「ds」によって、および3本鎖核酸を接頭語「ts」によって示すことがある。
A.核酸塩基
本明細書において用いる場合、「核酸塩基」は、複素環式塩基、例えば、少なくとも1つの天然に存在する核酸(すなわち、DNAおよびRNA)において見つけられる天然に存在する核酸塩基(すなわち、A、T、G、CもしくはU)、ならびにそのような核酸塩基の天然に存在するまたは天然に存在しない誘導体(単数または複数)および類似体などを指す。核酸塩基は、天然に存在する核酸塩基対合(例えば、AとT、GとC、およびAとUの間の水素結合)と置き換わり得る様式で、少なくとも1つの天然に存在する核酸塩基と1つ以上の水素結合を形成する(「アニールする」または「ハイブリダイズする」)ことが一般にできる。]
[0089] 「プリン」および/または「ピリミジン」核酸塩基(単数または複数)は、天然に存在するプリンおよび/またはピリミジン核酸塩基を包含し、ならびにアルキル、カルボキシアルキル、アミノ、ヒドロキシル、ハロゲン(すなわち、フルオロ、クロロ、ブロモもしくはヨード)、チオールまたはアルキルチオ部分のうちの1つ以上によって置換されているプリンまたはピリミジンをはじめとする(しかしこれらに限定されない)、それらの誘導体(単数もしくは複数)および類似体(単数もしくは複数)も包含する。好ましいアルキル(例えば、アルキル、カルボキシアルキルなど)部分は、約1、約2、約3、約4、約5から、約6の炭素原子から成る。プリンまたはピリミジンの他の非限定的な例としては、デアザプリン、2,6−ジアミノプリン、5−フルオロウラシル、キサンチン、ヒポキサンチン、8−ブロモグアニン、8−クロログアニン、ブロモチミン、8−アミノグアニン、8−ヒドロキシグアニン、8−メチルグアニン、8−チオグアニン、アザグアニン、2−アミノプリン、5−エチルシトシン、5−メチルシトシン、5−ブロモウラシル、5−エチルウラシル、5−ヨードウラシル、5−クロロウラシル、5−プロピルウラシル、チオウラシル、2−メチルアデニン、メチルチオアデニン、N,N−ジメチルアデニン(N,N−diemethyladenine)、アザアデニン、8−ブロモアデニン、8−ヒドロキシアデニン、6−ヒドロキシアミノプリン、6−チオプリン、4−(6−アミノヘキシル/シトシン)、およびこれらに類するものが挙げられる。]
[0090] 本明細書に記載するまたは通常の当業者に公知の任意の化学合成または天然合成法を用いて、ヌクレオシドまたはヌクレオチドに核酸塩基を含めることができる。
B.ヌクレオシド
本明細書において用いる場合、「ヌクレオシド」は、核酸塩基リンカー部分に共有結合で連結された核酸塩基を含む個々の化学単位を指す。「核酸塩基リンカー部分」の非限定的な例は、デオキシリボース、リボース、アラビノース、または5炭素糖の誘導体もしくは類似体をはじめとする(しかしこれらに限定されない)、5個の炭素原子を含む糖(すなわち、「5炭素糖」)である。5炭素糖の誘導体または類似体の非限定的な例としては、2’−フルオロ−2’−デオキシリボース、または糖環内の酸素が炭素で置換されている炭素環式の糖が挙げられる。]
[0091] 核酸塩基リンカーへの核酸塩基の共有結合での連結の種々のタイプが当該技術分野において公知である。非限定的な例として、プリン(すなわち、AもしくはG)または7−デアザプリン核酸塩基を含むヌクレオシドは、概して、プリンまたは7−デアザプリン9位を5炭素糖の1’位に共有結合で連結する。もう1つの非限定的な例において、ピリミジン核酸塩基(すなわち、C、TまたはU)を含むヌクレオシドは、概して、ピリミジンの1位を5炭素糖の1’位に共有結合で連結する(Kornberg and Baker,1992)。
C.ヌクレオチド
本明細書において用いる場合、「ヌクレオチド」は、「骨格部分」をさらに含むヌクレオシドを指す。骨格部分は、一般に、ヌクレオチドを、ヌクレオチドを含む別の分子に共有結合で連結する、またはヌクレオチドを別のヌクレオチドに共有結合で連結して核酸を形成する。天然に存在するヌクレオチドにおける「骨格部分」は、5炭素糖に共有結合で連結されているリン部分を概して含む。骨格部分の連結は、5炭素糖の3’または5’位のいずれかで生じる。しかし、特に、ヌクレオチドが天然に存在する5炭素糖またはリン部分の誘導体または変異体を含むとき、他のタイプの連結が当該技術分野において公知である。
D.核酸類似体
核酸は、天然に存在する核酸中に存在し得る、核酸塩基の誘導体もしくは類似体、核酸塩基リンカー部分および/または骨格部分、を含むことがある、またはからもっぱら成ることがある。本明細書において用いる場合、「誘導体」は、天然に存在する分子の化学的修飾もしくは改変形態を指し、一方、用語「ミミック」または「類似体」は、天然に存在する分子または部分に構造的に似ていることもあり、似ていないこともあるが、同様の機能を有する分子を指す。本明細書において用いる場合、「部分」は、より大きな化学または分子構造のより小さな化学または分子成分を一般に指す。核酸塩基、ヌクレオシドおよびヌクレオチド類似体または誘導体は、当該技術分野において周知であり、記載されている(例えば、参照により本明細書に援用されている、Scheit,1980を参照のこと)。]
[0092] 5炭素糖を含むヌクレオシド、ヌクレオチドもしくは核酸および/または骨格部分誘導体もしくは類似体のさらなる非限定的な例としては、dsDNAと三重ヘリックスを形成するおよび/またはdsDNAの発現を防止するプリン誘導体を含むオリゴヌクレオチドを記載している米国特許第5,681,947号;DNAまたはRNAにおいて見つけられるヌクレオシドの蛍光類似体を組み込んだ核酸、特に、蛍光核酸プローブとして使用するためのものを記載している米国特許第5,652,099号および同第5,763,167号;向上されたヌクレアーゼ安定性を有する、ピリミジン環上に置換を伴うオリゴヌクレオチド類似体を記載している米国特許第5,614,617号;核酸検出において使用される修飾5炭素糖(すなわち、修飾2’−デオキシフラノシル部分)を有するオリゴヌクレオチドを記載している米国特許第5,670,663号、同第5,872,232号および同第5,859,221号;ハイブリダイゼーションアッセイにおいて使用することができる水素以外の置換基で4’位が置換されている少なくとも1つの5炭素糖部分を含むオリゴヌクレオチドを記載している米国特許第5,446,137号;3’−5’ヌクレオチド間結合を有するデオキシリボヌクレオチドと2’−5’ヌクレオチド間結合を有するリボヌクレオチドの両方を有するオリゴヌクレオチドを記載している米国特許第5,886,165号;ヌクレオチド間結合の3’位酸素を炭素によって置換して核酸のヌクレアーゼ耐性を向上させる、修飾ヌクレオチド間結合を記載している米国特許第5,714,606号;ヌクレアーゼ耐性を向上させる1つ以上の5’メチレンリン酸ヌクレオチド間結合を含有するオリゴヌクレオチドを記載している米国特許第5,672,697号;向上されたヌクレアーゼ安定性および薬物または検出部分を送達する能力をもたらすための、薬物または標識を含み得る置換基部分のオリゴヌクレオチドの2’炭素への結合を記載している米国特許第5,466,786号および同第5,792,847号;細胞取り込み、ヌクレアーゼに対する耐性およびターゲットRNAへのハイブリダイゼーションを向上させるために隣接5炭素糖骨格の4’位および3’位を連結する2または3炭素骨格結合を有するオリゴヌクレオチドを記載している米国特許第5,223,618号;核酸ハイブリダイゼーションプローブとして有用である少なくとも1つのスルファマートまたはスルファミドヌクレオチド間結合を含むオリゴヌクレオチドを記載している米国特許5,470,967号;向上したヌクレアーゼ耐性、細胞取り込みおよびRNA調節のために用いられるホスホジエステル骨格部分を置換する3または4原子リンカー部分を有するオリゴヌクレオチドを記載している米国特許第5,378,825号、同第5,777,092号、同第5,623,070号、同第5,610,289号および同第5,602,240号;オリゴヌクレオチドの2’−O位に、それらの膜透過性または安定性を向上させるために、連結される疎水性担体物質を記載している米国特許第5,858,988号;DNAまたはRNAへの向上されたハイブリダイゼーション;ヌクレアーゼに対する向上された安定性を有する、5’末端のアントラキノンにコンジュゲートしたオリゴヌクレオチドを記載している米国特許第5,214,136号;DNAが、向上されたヌクレアーゼ耐性、結合親和性、およびRNアーゼHを活性化する能力のために2’−デオキシ−エリスロ−ペントフラノシルヌクレオチドを含む、PNA−DNA−PNAキメラを記載している米国特許第5,700,922号;ならびにDNA−RNAハイブリッドを形成するためにDNAに連結されたRNAを記載している米国特許第5,708,154号におけるものが挙げられる。
E.ポリエーテルおよびペプチド核酸
一定の実施形態では、ヌクレオシドまたはヌクレオチドの誘導体または類似体を含む核酸を、本発明の方法および組成物において使用することができると考えられる。非限定的な例は、参照により本明細書に援用されている、米国特許第5,908,845号に記載されている「ポリエーテル核酸」である。ポリエーテル核酸では、1つ以上の核酸塩基が、ポリエーテル骨格内のキラル炭素原子に連結している。]
[0093] もう1つの非限定的な例は、「ペプチド核酸」であり、これは、「PNA」、「ペプチド系核酸類似体」または「PENAM」としても公知であり、米国特許第5,786,461号、同第5891,625号、同第5,773,571号、同第5,766,855号、同第5,736,336号、同第5,719,262号、同第5,714,331号、同第5,539,082号、およびWO 92/20702に記載されており、これらのそれぞれが、参照により本明細書に援用されている。ペプチド核酸は、一般に、DNAおよびRNAなどの分子と比較して向上された配列特異性、結合特性、および酵素的分解に対する耐性を有する(Egholmら,1993;PCT/EP/01219)。ペプチド核酸は、核酸塩基部分、5炭素糖でない核酸塩基リンカー部分、および/またはリン酸骨格部分でない骨格部分を含む、1つ以上のヌクレオチドまたはヌクレオシドを一般に含む。PNAについて記載されている核酸塩基リンカー部分の例としては、アザ窒素原子、アミドおよび/またはウレイドテーサーが挙げられる(例えば、米国特許第5,539,082号を参照のこと)。PNAについて記載されている骨格部分の例としては、アミノエチルグリシン、ポリアミド、ポリエチル、ポリチオアミド、ポリスルフィンアミドまたはポリスルホンアミド骨格部分が挙げられる。]
[0094] 一定の実施形態において、ペプチド核酸などの核酸類似体は、米国特許番号5891,625に記載されているように、PCRにおけるものなどの核酸増幅を抑制するために、偽陽性を減少させるために、単一塩基突然変異体間の識別のために、使用することができる。核酸類似体の他の修飾および使用は、当該技術分野において公知であり、およびgp36ポリヌクレオチドに包含される。非限定的な例では、米国特許第5,786,461号には、アミノ酸側鎖をPNA骨格に連結させてその分子の溶解度を向上させたPNAが記載されている。もう1つの例では、PNAの細胞取り込み特性が、親油性基の連結によって増大される。米国特許出願番号117,363には、PNAの細胞取り込みを向上させるために用いられる幾つかのアルキルアミノ部分が記載されている。もう1つの例は、米国特許第5,766,855号、同第5,719,262号、同第5,714,331号および同第5,736,336号に記載されており、これらには、天然に存在する核酸に比べて配列特異性、溶解度および/または結合親和性の向上をもたらす、天然に存在するおよび天然に存在しない核酸塩基とアルキルアミン側鎖とを含むPNAが記載されている。
F.核酸の調製
核酸は、例えば化学合成、酵素的生産または生物学的生産などの、通常の当業者に公知の任意の技術によって作ることができる。合成核酸(例えば、合成オリゴヌクレオチド)の非限定的な例としては、EP 266,032(参照により本明細書に援用されている)に記載されているものなどの、ホスホトリエステル、ホスファイトもしくはホスホルアミド化学および固相技術を使用するインビトロ化学合成によって作られる核酸、またはFroehlerら,1986および米国特許番号5,705,629(それぞれ、参照により本明細書に援用されている)によって記載されているようなデオキシヌクレオシドH−ホスホン酸中間体経由で作られる核酸が挙げられる。本発明の方法において、1つ以上のオリゴヌクレオチドを使用することがある。様々な異なるオリゴヌクレオチド合成メカニズムが、例えば、米国特許第4,659,774号、同第4,816,571号、同第5,141,813号、同第5,264,566号、同第4,959,463号、同第5,428,148号、同第5,554,744号、同第5,574,146号、同第5,602,244号に開示されており、これらのそれぞれが参照により本明細書に援用されている。]
[0095] 酵素的に生産される核酸の非限定的な例としては、PCR(商標)などの増幅反応において酵素によって生産されるもの(例えば、米国特許第4,683,202号および米国特許第4,682,195号(それぞれ、参照により本明細書に援用されている)を参照のこと)または米国特許第5,645,897号(参照により本明細書に援用されている)に記載されているオリゴヌクレオチドの合成において酵素によって生産されるものが挙げられる。生物学的に生産される核酸の非限定的な例としては、細菌において複製された組換えDNAベクターなどの、生細胞において生産された(すなわち複製された)組換え核酸が挙げられる(例えば、参照により本明細書に援用されている、Sambrookら,1989を参照のこと)。]
[0096] G.核酸の精製
ポリアクリルアミドゲル、塩化セシウム遠心分離勾配を用いて、または通常の当業者に公知の任意の他の手段(例えば、参照により本明細書に援用されている、Sambrookら,1989を参照のこと)によって、核酸を精製することができる。]
[0097] 一定の態様において、本発明は、単離された核酸である核酸に関する。本明細書において用いる場合、用語「単離された核酸」は、1つ以上の細胞の全ゲノムおよび転写核酸の大部分がない単離された、またはそれらが別様にない、核酸分子(例えば、RNAまたはDNA分子)を指す。一定の実施形態において、「単離された核酸」は、細胞成分またはインビトロ反応成分、例えば脂質またはタンパク質などの高分子、小さな生体分子、およびこれらに類するもの、の大部分がない単離された、またはそれらが別様にない、核酸を指す。]
[0098] H.核酸セグメント
一定の実施形態において、前記核酸は、核酸セグメントである。本明細書において用いる場合、用語「核酸セグメント」は、核酸のより小さなフラグメント、例えば非限定的な例として、ペプチドまたはポリペプチド配列の一部分のみをコードするものである。従って、「核酸セグメント」は、ペプチドまたはポリペプチドコーディング領域の2ヌクレオチドから完全長の、遺伝子配列の任意の部分を含むことができる。]
[0099] 様々な核酸セグメントを特定の核酸配列に基づいて設計することができ、それらは、いずれの長さのものであってもよい。例えば、第一残基は1である、第二残基は2であるなどと、配列に数値を割り当てることにより、すべての核酸セグメントを定義するアルゴリズムを生成することができた:
nからn+y
この式中、nは、1からその配列の最後の数までの整数であり、yは、その核酸セグメントの長さマイナス1であり、この場合、n+yはその配列の最後の数を超えない。従って、10量体の場合、核酸セグメントは、塩基1から10、2から11、3から12...などに対応する。15量体の場合、核酸セグメントは、塩基1から15、2から16、3から17...などに対応する。20量体の場合、核セグメント(nucleic seguments)は、塩基1から20、2から21、3から22...などに対応する。一定の実施形態において、前記核酸セグメントは、プローブまたはプライマーであり得る。本明細書において用いる場合、「プローブ」は、検出方法または組成の中で用いられる核酸を一般に指す。本明細書において用いる場合、「プライマー」は、伸長もしくは増幅法または組成の中で用いられる核酸を指す。]
[0100] I.核酸補体
本発明は、1つ以上の他の核酸に相補的である核酸も包含する。特定の実施形態において、例えば、核酸は、アンチセンスまたはsiRNAのために、例えば、ポリヌクレオチドの少なくとも部分的な発現を阻害するために、利用される。]
[0101] 特定の実施形態において、本発明は、例えば、本明細書において述べる配列に相補的な、核酸または核酸セグメントを包含する。核酸は、標準的なWatson−Crick型、Hoogsteen型または逆Hoogsteen型結合相補則に従って別の核酸と塩基対合することができるとき、別の核酸に対する「補体(単数もしくは複数)」である、または別の核酸に「相補的」である。本明細書において用いる場合、「別の核酸」は、異なる分子を指すこともあり、または同じ分子の空間的に離れた配列を指すこともある。
本明細書において用いる場合、用語「相補的な」または「補体(単数もしくは複数)」は、すべてに満たない核酸塩基が、対応する核酸塩基と塩基対合しない場合であっても、別の核酸または2本鎖にハイブリダイズすることができる、連続核酸塩基または半連続核酸塩基(例えば、1つ以上の核酸塩基がその分子中に存在しない)の配列を含む核酸も指す。一定の実施形態において、「相補的」核酸は、核酸塩基の約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%から約100%、およびこれらから導出可能な任意の範囲が、ハイブリダイゼーション中に1本鎖または2本鎖核酸分子と塩基対合することができる配列を含む。一定の実施形態において、用語「相補的」は、通常の当業者によって理解されているであろうような、ストリンジェントな条件で別の核酸鎖または2本鎖にハイブリダイズすることができる核酸を指す。]
[0102] 一定の実施形態において、「部分的に相補的な」核酸は、低ストリンジェント条件下で1本もしくは2本鎖核酸にハイブリダイズすることができる配列を含む、または核酸塩基配列の約70%未満がハイブリダイゼーション中に1本もしくは2本鎖核酸分子と塩基対合することができる配列を含有する。]
[0103] J.ハイブリダイゼーション
本明細書において用いる場合、「ハイブリダイゼーション」、「ハイブリダイズする」または「ハイブリダイズすることができる」は、2本もしくは3本鎖分子、部分的2本もしくは3本鎖特性を有する分子を形成することを意味すると解釈される。本明細書において用いる場合の用語「アニールする」は、「ハイブリダイズする」と同義である。用語「ハイブリダイゼーション」、「ハイブリダイズする(一人称、二人称、三人称現在形)」または「ハイブリダイズすることができる」は、用語「ストリンジェントな条件(単数もしくは複数)」または「高ストリンジェンシー」および用語「低ストリンジェンシー」または「低ストリンジェントな条件(単数もしくは複数)」を包含する。]
[0104] 本明細書において用いる場合、「ストリンジェントな条件(単数もしくは複数)」または「高ストリンジェンシー」は、相補的配列(単数または複数)を含有する1つ以上の核酸鎖(単数または複数)間または内でのハイブリダイゼーションを可能にするが、ランダム配列のハイブリダイゼーションを妨げる条件である。ストリンジェントな条件は、核酸とターゲット鎖の間のミスマッチを、あったとしても、ほとんど許容しない。そのような条件は、当業者に周知であり、および高い選択性を必要とする用途に好まれる。非限定的な用途としては、核酸、例えば遺伝子もしくはその核酸セグメントの単離、または少なくとも1つの特定のmRNA転写産物もしくはその核酸セグメントの検出、およびこれらに類するものが挙げられる。]
[0105] ストリンジェントな条件は、約50℃から約70℃の温度で例えば約0.02Mから約0.15M NaClによって既定されるもの、または例えば、前記ストリンジェントな条件が、50〜65℃、5XSSPC、50%ホルムアミドでのハイブリダイゼーション;50〜65℃、5X SSPCでの洗浄;もしくは60℃、0.5X SSC、0.1%SDSでの洗浄であるものなどの、低塩および/または高温条件を含み得る。望ましいストリンジェンシーの温度およびイオン強度が、一部は、特定の核酸(単数または複数)の長さ、ターゲット配列(単数または複数)の長さおよび核酸塩基含有量、核酸(単数または複数)の電荷組成、ならびにハイブリダイゼーション混合物中のホルムアミド、塩化テトラメチルアンモニウムまたは他の溶媒(単数もしくは複数)の存在または濃度によって決まることは理解される。]
[0106] ハイブリダイゼーションについてのこれらの範囲、組成および条件を単に非限定的な例として述べていること、および特定のハイブリダイゼーション反応についての望ましいストリンジェンシーが、多くの場合、1つ以上の陽性または陰性対照との比較によって経験的に決定されることも理解される。考えられる用途に依存して、ターゲット配列に対する核酸の様々な選択度を達成するために様々なハイブリダイゼーション条件を用いることが好ましい。非限定的な例では、ストリンジェントな条件下で核酸にハイブリダイズしない関連ターゲット核酸の同定または単離を、低温および/または高イオン強度でのハイブリダイゼーションによって達成することができる。そのような条件は、「低ストリンジェンシー」または「低ストリンジェンシー条件」と呼ばれ、低ストリンジェンシーの非限定的な例としては、約0.15Mから約0.9M NaClで、約20℃から約50℃の温度範囲で行われるハイブリダイゼーションが挙げられる。勿論、特定の用途に合うように前記低または高ストリンジェンシーをさらに変更することは、当業者の範囲内である。]
[0107] V.核酸に基づく発現系
特定の実施形態において、本発明は、免疫反応性エールリヒアポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに関し、ならびにその必要がある個体、例えばErhlichiaに感染している個体および/またはErhlichiaに感染しやすい個体、に前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、またはそのコードされた産物を送達することも含む。簡素のために、以下のセクションでは、本発明の任意のE.chaffeensis VLPT核酸組成物および/または核酸に基づく発現系について述べることにする。]
[0108] 本発明は、免疫反応性Ehrlichia組成物をコードする実質的に純粋なおよび/または単離されたDNA配列に関する。一般に、前記コードされたタンパク質は、成熟タンパク質を生産する結果となる翻訳後修飾後に切断することができるN末端配列を含む。]
[0109] 遺伝子コードの縮重(すなわち、大部分のアミノ酸に関して、単一のアミノ酸についての1つより多くのヌクレオチドトリプレット(コドン)コード)のため、異なるヌクレオチド配列が、ある特定のアミノ酸をコードする場合があることは、当該技術分野において周知である。従って、本発明のポリヌクレオチド配列は、例えば、提供する例示的配列またはそのような配列の縮重変異体のいずれかを含む。本発明の特定の態様において、縮重変異体は、本発明の配列と同一でないが、本発明の配列の1つ以上の特性を尚保持する配列を含む。]
[0110] 本明細書において用いる場合、「実質的に純粋なDNA」は、その環境の分子の一部もしくは全部の分離(部分的もしくは完全精製)のため、または主張するDNAに隣接する配列の変更のため、そのDNAが天然に存在する環境の一部ではないDNAを意味する。従って、この用語は、例えば、ベクターに、自律複製プラスミドもしくはウイルスに、または原核生物もしくは真核生物のゲノムDNAに組み込まれている;あるいは他の配列から独立して別個の分子(例えば、cDNA、またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)もしくは制限エンドヌクレアーゼ消化によって生産されたゲノムもしくはcDNAフラグメント)として存在する、組換えDNAを含む。追加のポリペプチド配列、例えば融合タンパク質、をコードするハイブリッド遺伝子の一部である、組換えDNAも含む。]
[0111] 本発明は、免疫反応性Ehrlichia組成物をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターであって、そのベクターが細胞に導入されるとそのポリヌクレオチドを発現することができる該発現ベクターにさらに関する。特定の実施形態において、前記ベクターは、作動可能な連結で、次のものを含む:a)複製起点;b)プロモーター;およびc)前記タンパク質をコードするDNA配列。]
[0112] 本明細書において用いる場合、「ベクター」は、複製可能な核酸構築物、例えばプラスミドまたはウイルス核酸、と定義することができる。ベクターは、Ehrlichiaの免疫反応性組成物をコードする核酸を増幅するおよび/または発現させるために使用することができる。発現ベクターは、ポリペプチドをコードする核酸配列が、細胞においてそのポリペプチドの発現を果たすことができる適する制御配列に作動可能に連結されている、複製可能な構築物である。そのような制御配列の必要性は、選択される細胞および選択される形質転換方法に依存して変わるであろう。一般に、制御配列としては、例えば、転写プロモーターおよび/またはエンハンサー、適するmRNAリボソーム結合部位、ならびに転写および翻訳の終結を制御する配列が挙げられる。当業者に周知である方法を用いて、適切な転写および翻訳制御シグナルを含む発現ベクターを構築することができる。例えば、Sambrookら,1989,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(2nd Ed.),Cold Spring Harbor Press,N.Y.に記載されている技術を参照のこと。発現されるポリヌクレオチド配列およびその転写制御配列は、その転写制御配列が、そのポリヌクレオチド配列の転写を有効に制御する場合、「作動可能に連結されている」と定義される。本発明のベクターとしては、プラスミドベクターおよびウイルスベクターが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の好ましいウイルスベクターは、例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、SV40ウイルス、またはヘルペスウイルスから誘導されたものである。]
[0113] 一般に、発現ベクターは、発現されるポリヌクレオチドの効率的な転写を助長する、宿主細胞と共に用いられる、プロモーター配列を含む。本明細書において用いる場合、用語「宿主」は、原核細胞ばかりでなく、真核細胞、例えば酵母、植物および動物細胞を含むものとする。本発明のEhrlichiaの免疫反応性組成物をコードする組換えポリヌクレオチドは、通常の当業者に一般に知られている技術のいずれかを用いて宿主を形質転換させるために使用することができる。原核宿主としては、E.coli、S.tymphimurium、Serratia marcescensおよびBacillus subtilisが挙げられる。原核宿主としては、酵母、例えばPichia pastoris、哺乳動物細胞および昆虫細胞が挙げられる。]
[0114] 以下の説明は、例示的要素、試薬、ならびにEhrlichiaポリヌクレオチドのポリヌクレオチドおよび核酸送達方法に関する。]
[0115] A.ベクター
用語「ベクター」は、核酸配列を、それを複製することができる細胞への導入のために、挿入することができる担体核酸分子を指すために用いる。核酸配列は、「外因性」であり得、これは、ベクターが導入されることとなる細胞にとって異物であること、または当該配列が、前記細胞内の配列だが、この配列が本来見つからないその宿主細胞の核酸内の位置にある配列と相同性であることを意味する。ベクターとしては、プラスミド、コスミド、ウイルス(バキュロウイルス、動物ウイルス、および植物ウイルス)、および人工染色体(例えば、YAC)が挙げられる。当業者には、標準的な組換え技術によってベクターを構築する素養が十分にあるであろう(例えば、Maniatisら,1988およびAusubelら,1994を参照のこと。両方とも参照により本明細書に援用されている)。]
[0116] 用語「発現ベクター」は、転写され得るRNAをコードする核酸を含む任意のタイプの遺伝子構築物を指す。ある場合、その後、RNA分子は、タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドに翻訳される。他の場合、例えば、アンチセンス分子またはリボザイムの生産の際、これらの配列は、翻訳されない。発現ベクターは、様々な「制御配列」を含有することがあり、この制御配列は、特定の宿主細胞における動作可能に連結されたコーディング配列の転写およびことによると翻訳に必要な核酸配列を指す。転写および翻訳を支配する制御配列に加えて、ベクターおよび発現ベクターは、他の機能にも役立つ、下で説明する核酸配列を含有することがある。]
[0117] 1.プロモーターおよびエンハンサー
「プロモーター」は、核酸配列の一領域である制御配列であり、そこで転写の開始および速度が制御される。それは、核酸配列の特定の転写を開始させるために調節タンパク質および分子、例えばRNAポリメラーゼおよび他の転写因子、が結合する遺伝子要素を含有することもある。「機能するように配置された」、「機能するように連結された」、「制御下」、および「転写制御下」というフレーズは、プロモーターが、核酸配列の開始および/または発現を制御するためにその核酸配列に対して正しい機能を果たせる位置および/または配向にあることを意味する。]
[0118] プロモーターは、一般に、RNA合成の開始部位の位置を定めるように機能する配列を含む。これについての最もよく知られている例は、TATAボックスであるが、例えば哺乳動物末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ遺伝子についてのプロモーターおよびSV40後期遺伝子についてのプロモーターなどの一部のプロモーターにはTATAボックスがなく、その開始部位の上にある別の要素、それ自体が、開始位置の固定に役立つ。追加のプロモーター要素は、転写開始の頻度を調節する。概して、これらは、開始位置の上流30 110bp領域に位置するが、多数のプロモーターが、開始位置の下流にも機能性要素を含有することが証明されている。プロモーター「の制御下」にコーディング配列を置くために、転写リーディングフレームの転写開始部位の5’末端を、選択されたプロモーター「の下流」(すなわち、の3’)に配置する。「上流の」プロモーターが、DNAの転写を刺激し、コードされたRNAの発現を促進する。]
[0119] プロモーター要素間の間隔は、多くの場合、順応性があり、そのため、要素を互いに対して逆転または移動してもプロモーター機能は保存される。tkプロモーターの場合、活性が低下し始める前に50bp離れるようにプロモーター要素間の間隔を増加させることができる。プロモーターに依存して、個々のプロモーターが協力して機能して転写を活性化する場合もあり、または独立して機能して転写を活性化する場合もあるようである。プロモーターは、「エンハンサー」と併用されることもあり、またはされないこともあり、このエンハンサーは、核酸配列の転写活性に関与するシス作用性調節配列を指す。]
[0120] プロモーターは、コーディングセグメントおよび/またはエキソンの上流に位置する5’非コーディング配列を単離することによって得ることができるような、核酸配列と自然に会合しているものである場合がある。そのようなプロモーターを「内因性」と呼ぶことができる。同様に、エンハンサーは、その配列の下流または上流のいずれかに位置する核酸配列と自然に会合しているものである場合がある。あるいは、組換えまたは異種プロモーター(これは、その天然の環境で核酸配列と通常は会合していないプロモーターを指す)の制御下にコーディング核酸セグメントを置くことによって、一定の利点が得られるであろう。組換えまたは異種エンハンサーは、同様に、その天然の環境では核酸配列と通常は会合していないエンハンサーを指す。そのようなプロモーターまたはエンハンサーとしては、他の遺伝子のプロモーターまたはエンハンサー、ならびに任意の他のウイルスまたは原核もしくは真核細胞から単離されたプロモーターまたはエンハンサー、ならびに「天然に存在する」のではない、すなわち、異なる転写調節領域の異なる要素、および/または発現を改変する突然変異を含有する、プロモーターまたはエンハンサーを挙げることができる。例えば、組換えDNA構築に最も一般的に使用されるプロモーターとしては、ベータラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)、ラクトースおよびトリプトファン(trp)プロモーター系が挙げられる。プロモーターおよびエンハンサーの核酸配列の合成的生産に加えて、本明細書に開示する組成物と共に組換えクローニングおよび/または核酸増幅技術(PCR(商標)を含む)を用いて配列を生産することができる(例えば、米国特許第4,683,202号および同第5,928,906号を参照のこと。これらは、それぞれ、参照により本明細書に援用されている)。さらに、ミトコンドリア、葉緑体、およびこれらに類するものなどの無核細胞小器官内での配列転写および/または発現を指図する制御配列も利用することができると考えられる。]
[0121] 当然、例えば選択された細胞、細胞小器官、細胞タイプ、組織、器官、または生物においてDNAセグメントの発現を有効に指図するプロモーターおよび/またはエンハンサーを利用することは重量であろう。分子生物学技術分野の技術者には、タンパク質発現のためのプロモーター、エンハンサーおよび細胞タイプの組み合わせの使用は公知である(例えば、参照により本明細書に援用されている、Sambrookら,1989を参照のこと)。利用されるプロモーターは、構成的である場合もあり、組織特異的である場合もあり、誘導性である場合もあり、および/または適切な条件下、導入されたDNAセグメントの高レベル発現の指図に有用である場合もあり、例えば、組換えタンパク質および/またはペプチドの大規模生産の際に有利である。前記プロモーターは、異種である場合もあり、または内因性である場合もある。]
[0122] 前記プロモーターは、原核細胞、真核細胞、または両方での使用に適するものであり得る。加えて、(例えば、the Eukaryotic Promoter Data Base EPDBに従って)任意のプロモーター/エンハンサーの組み合わせを用いて発現を誘導することもできよう。T3、T7またはSP6細胞質発現系の使用は、1つの可能な実施形態である。]
[0123] 2.開始シグナルおよび内部リボソーム結合部位
特定の開始シグナルが、コーディング配列の効率的な翻訳に必要とされることもある。これらのシグナルとしては、ATG開始コドンまたは隣接配列が挙げられる。ATG開始コドンをはじめとする外因性翻訳制御シグナルを与える必要がある場合がある。通常の当業者は、これを決定することおよび必要シグナルを容易に与えることができるであろう。所望のコーディング配列のリーディングフレームが、確実に挿入物全体を転写するために、開始コドンが「インフレーム」にあらねばならないことは、周知である。前記外因性翻訳制御シグナルおよび開始コドンは、天然のものである場合もあり、合成のものである場合もある。発現効率は、適切な転写エンハンサー要素を含めることによって向上させることができる。]
[0124] 本発明の一定の実施形態では、内部リボソーム進入部位(IRES)要素の使用を用いて、多重遺伝子、すなわちポリシストロン、メッセージを作る。IRES要素は、5’メチル化Cap依存性転写のリボソーム走査モデルを迂回することおよび内部位置で転写を開始することができる(Pelletier and Sonenberg,1988)。ピコルナウイルスファミリーの2つのメンバー(ポリオおよび脳心筋炎ウイルス)からのIRES要素が記載されており(Pelletier and Sonenberg,1988)、哺乳動物メッセージからのIRESも記載されている(Macejak and Sarnow,1991)。IRES要素を異種オープンリーディングフレームに連結させることができる。IRESによって互いに隔てられた多数のオープンリーディングフレームを一緒に転写して、ポリシストロンメッセージを作ることができる。IRES要素によって、リボソームは効率的な転写のためにそれぞれのオープンリーディングフレームに接近することができる。単一メッセージを転写するために単一のプロモーター/エンハンサーを使用して、多数の遺伝子効率的に発現させることができる(例えば、米国特許第5,925,565号および同第5,935,819号を参照のこと。それぞれが、参照により本明細書に援用されている)。]
[0125] 3.マルチクローニング部位
ベクターは、マルチクローニング部位(MCS)を含む場合があり、このマルチクローニング部位は、多数の制限酵素部位を含有する核酸領域であり、それらの制限酵素部位のいずれかを標準的な組換え技術と併用してそのベクターを消化することができる(例えば、参照により本明細書に援用されている、Carbonelliら,1999、Levensonら,1998、およびCocea,1997を参照のこと)。「制限酵素消化」は、核酸分子内の特定の位置でのみ機能する酵素での核酸分子の酵素的分解開裂を指す。これらの制限酵素の多くが市販されている。そのような酵素の使用は、当業者に広く理解されている。多くの場合、MCS内で切断する制限酵素を使用してベクターを線形化またはフラグメント化して、外因性配列をそのベクターにライゲートすることができる。「ライゲーション」は、互いに連続していることもあり、していないこともある2つの核酸フラグメント間でのホスホジエステル結合の形成プロセスを指す。制限酵素およびライゲーション反応を含む技術は、組換え技術の技術分野における技術者には周知である。]
[0126] 4.スプライシング部位
大部分の転写真核性RNA分子は、一次転写産物からイントロンを除去するためにRNAスプライシングを受ける。真核生物ゲノム配列を含有するベクターは、タンパク質発現のために転写産物の正確なプロセッシングを確実なものにするために、ドナーおよび/またはアクセプタースプライシング部位を必要とし得る(例えば、参照により本明細書に援用されている、Chandlerら,1997を参照のこと)。]
[0127] 5.終結シグナル
本発明のベクターまたは構築物は、一般に、少なくとも1つの終結シグナルを含むであろう。「終結シグナル」または「ターミネーター」は、RNAポリメラーゼによるRNA転写産物の特定の終結に関与するDNA配列から成る。従って、一定の実施形態では、RNA転写産物の生産を終わらせる終結シグナルが考えられる。望ましいメッセージレベルを達成するためにインビボでターミネーターが必要である。]
[0128] 真核細胞系の場合、ターミネーター領域は、ポリアデニル化部位を露出させるために新たな転写産物の部位特異的開裂を可能にする特異的DNA配列を含むこともある。これが、特化された内因性ポリメラーゼに、その転写産物の3’末端に約200のA残基(ポリA)の伸長部を付加するようにシグナルを送る。このポリAテールで修飾されたRNA分子は、より安定しているようであり、より効率的に翻訳される。従って、真核細胞を含む他の実施形態おいて、そのターミネーターが、RNAの開裂のためのシグナルを含むことは好ましく、およびそのターミネーターが、メッセージのポリアデニル化を促進することはさらに好ましい。ターミネーターおよび/またはポリアデニル化部位要素は、メッセージレベルの向上、およびそのカセットから他の配列への通読の最小化に役立ち得る。]
[0129] 本発明での使用が考えられるターミネーターとしては、本明細書に記載するまたは通常の当業者に公知である任意の公知転写ターミネーターが挙げられ、それらとしては、例えば、遺伝子の終結配列、例えばウシ成長ホルモンターミネーターなど、またはウイルス終結配列、例えばSV40ターミネーターなど、が挙げられるが、これらに限定されない。一定の実施形態において、前記終結シグナルは、配列トランケーションなどのため、転写可能または翻訳可能配列を欠くことがある。]
[0130] 6.ポリアデニル化シグナル
発現、特に、真核細胞系発現では、概して、転写産物の正しいポリアデニル化を果たすためにポリアデニル化シグナルを含むであろう。ポリアデニル化シグナルの性質は、本発明の実施の成功に重要であるとは考えられず、いずれのそのような配列を利用してもよい。好ましい実施形態は、適便であり、様々なターゲット細胞においてよく機能することが知られている、SV40ポリアデニル化シグナルまたはウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナルを含む。ポリアデニル化は、転写産物の安定性を増すことができ、または細胞質輸送を助長することができる。]
[0131] 7.複製起点
宿主細胞においてベクターを増殖させるために、宿主細胞は、複製が開始される特異的核酸配列である1つ以上の複製起点部位(多くの場合、「ori」と呼ばれる)を含有することがある。あるいは、宿主細胞が酵母である場合には、自律複製配列(ARS)が利用されることがある。]
[0132] 8.選択可能およびスクリーニング可能マーカー
本発明の一定の実施形態では、発現ベクターにマーカーを含めることによって、本発明の核酸構築物を含有する細胞をインビトロまたはインビボで同定することができる。そのようなマーカーは、同定可能な変化を細胞にもたらし、それによって、発現ベクターを含有する細胞を容易に同定できるであろう。一般に、選択可能マーカーは、選択が可能になる特性を付与するものである。陽性選択可能マーカーは、マーカーの存在によってその選択が可能になるものであり、一方、陰性選択可能マーカーは、その存在がその選択を妨げるものである。陽性選択可能マーカーの例は、薬物耐性マーカーである。]
[0133] 通常、薬物選択マーカーは、形質転換体のクローニングおよび同定を助長し、例えば、ネオマイシン、ピューロマイシン、ヒグロマイシン、DHFR、GPT、ゼオシンおよびヒスチジノールに対する耐性を付与する遺伝子は、有用な選択可能マーカーである。条件を満たすことに基づいて形質転換体を区別することができる表現型を付与するマーカーに加えて、その基礎が比色分析である他のタイプのスクリーニング可能マーカー、例えばGFP、も考えられる。あるいは、スクリーニング可能酵素、例えば、単純疱疹ウイルスチミジンキナーゼ(tk)またはクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)を利用することができる。免疫学的マーカーを、ことによるとFACS分析と共に、用いる方法も当業者には公知であろう。使用するマーカーは、それが遺伝子産物をコードする核酸と同時に発現され得る限り、重要であると考えられない。選択可能およびスクリーニング可能マーカーのさらなる例は、当業者に周知である。]
[0134] 9.プラスミドベクター
一定の実施形態において、宿主細胞を形質転換するためにプラスミドベクターの使用が考えられる。一般に、宿主細胞と適合性の種に由来するレプリコンおよび制御配列を含有するプラスミドベクターが、これらの宿主と一緒に使用される。前記ベクターは、複製部位、ならびに形質転換細胞において表現型選択を生じさせることができるマーキング配列を、通常、保有する。非限定的な例では、pBR322(E.coli種に由来するプラスミド)の誘導体を使用して、E.coliを形質転換させることが多い。pBR322は、アンピシリンおよびテトラサイクリン耐性のための遺伝子を含有し、従って、形質転換細胞を同定するための容易な手段を提供する。pBRプラスミド、または他の微生物プラスミドもしくはファージは、例えば、その微生物によるそれ自体のタンパク質の発現に用いることができるプロモーターも含有しなければならず、または含有するように修飾されなければならない。]
[0135] 加えて、宿主微生物と適合性であるレプリコンおよび制御配列を含有するファージベクターを形質転換ベクターとしてこれらの宿主と共に使用することができる。例えば、ファージラムダGEMTM 11を、例えばE.coliLE392などの宿主細胞を形質転換するために使用することができる組換えファージベクターを作る際に、利用することができる。]
[0136] さらなる有用なプラスミドベクターとしては、pINベクター(Inouyeら,1985);ならびに後の精製および分離または開裂のためにグルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)可溶性融合タンパク質を精製する際に使用するための、pGEXベクターが挙げられる。他の適する融合タンパク質は、ベータガラクトシダーゼ、ユビキチン、およびこれらに類するものを伴うものである。]
[0137] 発現ベクターを含む細菌細胞宿主、例えばE.coliを、多数の適する培地のうちのいずれか、例えばLBにおいて成長させる。一定のベクターにおける組換えタンパク質の発現は、一定のプロモーターに特異的な薬剤と宿主細胞を接触させることにより、当業者に理解されるように、例えば、IPTGを培地に加えることによって、またはインキュベーションをより高温に切り替えることによって、誘導することができる。さならる期間、一般には2時間と24時間の間の期間、にわたってその細菌を培養した後、遠心分離によって細胞を回収し、洗浄して残留培地を除去する。]
[0138] 10.ウイルスベクター
一定のウイルスの、受容体媒介エンドサイトーシスにより細胞を感染させるもしくは細胞に進入する能力、および宿主細胞ゲノムに組み込まれ、ウイルス遺伝子を安定的且つ効率的に発現する能力が、それらを、細胞(例えば、哺乳動物細胞)への異種核酸の移入のための魅力的な候補にした。本発明の組成物は、1つ以上の組成物または他の成分、例えば免疫修飾物質もしくはアジュバントなど、をコードするウイルスベクターを含むことがある。本発明の核酸を送達するために使用することができるウイルスベクターの非限定的な例を下で説明する。]
[0139] a.アデノウイルスベクター
核酸の送達のための特定の方法は、アデノウイルス発現ベクターの使用を伴う。アデノウイルスベクターが、ゲノムDNAへの低い組み込み能力を有することは公知であるが、この特徴は、これらのベクターによってもたらされる高い遺伝子伝達効率によって相殺される。「アデノウイルス発現ベクター」は、(a)その構築物のパッケージングを支持するためにおよび(b)組織または細胞内でクローニングされた組織または細胞特異的構築物を最終的に発現するために十分なアデノウイルス配列を含有する構築物を含むものとする。アデノウイルスの遺伝子構成、36kb、線形、2本鎖DNAウイルス、の知識により、アデノウイルスDNAの大きな断片を7kbまでの異種配列で置換することができる(Grunhaus and Horwitz,1992)。]
[0140] b.AAVベクター
アデノウイルス支援トランスフェクションを用いて、核酸を細胞に導入することができる。アデノウイルス連結系を用いることによる、細胞系におけるトランスフェクション効率上昇が報告されている(Kelleher and Vos,1994;Cottenら,1992;Curiel,1994)。アデノ関連ウイルス(AAV)は、本発明の組成物において使用するために魅力的なベクター系である。それは、高い組み込み頻度を有し、および非分裂細胞を感染させることができるので、組織培養(Muzyczka,1992)またはインビトロでの例えば哺乳動物細胞への遺伝子の送達に有用なものになるからである。AAVは、感染力が広い宿主範囲を有する(Tratschinら,1984;Laughlinら,1986;Lebkowskiら,1988;McLaughlinら,1988)。rAAVベクターの生成および使用に関する詳細は、米国特許第5,139,941号および同第4,797,368号に記載されており、これらのそれぞれが参照により本明細書に援用されている。
c.レトロウイルスベクター
レトロウイルスは、それらの遺伝子を宿主ゲノムに組み込んで、大量の異種遺伝物質を輸送する、広いスペクトルの種および細胞タイプを感染させるならびに特別な細胞系にパッケージされるそれらの能力のため、送達ベクターとして有用である(Miller,1992)。]
[0141] レトロウイルスベクターを構築するために、核酸(例えば、対象となる組成物をコードするもの)を、ウイルスゲノム内の一定のウイルス配列の位置に挿入して、複製欠陥のあるウイルスを生産する。ウイルス粒子を生産するために、gag、polおよびenv遺伝子を含有するがLTRおよびパッケージング成分を伴わないパッケージング細胞系を構築する(Mannら,1983)。レトロウイルスLTRおよびパッケージング配列と共にcDNAを含有する組換えプラスミドを特別な細胞系に(例えば、例えばリン酸カルシウム沈降法によって)導入すると、そのパッケージング配列によって、組換えプラスミドのRNA転写産物をウイルス粒子にパッケージすることができ、その後、それが培養基に分泌される(Nicolas and Rubenstein,1988;Temin,1986;Mannら,1983)。その後、組換えレトロウイルスを含有する培地を回収し、場合によっては濃縮し、遺伝子伝達に使用する。レトロウイルスベクターは、多種多様な細胞タイプを感染させることができる。しかし、組み込みおよび安定な発現には、宿主細胞の分裂が必要である(Paskindら,1975)。]
[0142] レンチウイルスは、一般的なレトロウイルス遺伝子gag、polおよびenvに加えて、調節または構造機能を有する他の遺伝子を含有する、複雑なレトロウイルスである。レンチウイルスベクターは、当該技術分野において周知である(例えば、Naldiniら,1996;Zuffereyら,1997;Blomerら,1997;米国特許第6,013,516号および同第5,994,136号を参照のこと)。レンチウイルスの一部の例としては、ヒト免疫不全ウイルス:HIV−1、HIV−2およびサル免疫不全ウイルス:SIVが挙げられる。レレンチウイルスベクターは、HIVビルレンス遺伝子の多重弱毒化によって生成されており、例えば、そのベクターを生物学的に安全なものにするために遺伝子、env、vif、vpr、vpuおよびnefを欠失させる。]
[0143] 組換えレンチウイルスベクターは、非分裂細胞を感染させることができ、ならびにインビボおよびインビトロ両方の遺伝子伝達および核酸配列発現に使用することができる。例えば、パッケージング機能を有する2つ以上のベクター、すなわちgag、polおよびenv、ならびにrevおよびtat、で適する宿主細胞がトランスフェクトされる、非分裂細胞を感染させることができる組換えレンチウイルスは、参照により本明細書に援用されている米国特許第5,994,136号に記載されている。エンベロープタンパク質と抗体との、または特定の細胞タイプの受容体にターゲッティングするための特定のリガンドとの連結によって、組換えウイルスをターゲッティングすることができる。例えば特定のターゲット細胞上の受容体についてのリガンドをコードする別の遺伝子と共に、対象となる配列(調節領域を含む)をウイルスベクターに挿入することによって、そのベクターは、今やターゲット特異的である。]
[0144] d.他のウイルスベクター
他のウイルスベクターを本発明におけるワクチン構築物として利用することができる。ワクシニアウイルス(Ridgeway,1988;Baichwal and Sugden,1986;Couparら,1988)、シンドビスウイルス、サイトメガロウイルスおよび単純疱疹ウイルスなどのウイルスに由来するベクターを利用することができる。それらは、様々な哺乳動物細胞に幾つかの魅力的な特徴をもたらす(Friedmann,1989;Ridgeway,1988;Baichwal and Sugden,1986;Couparら,1988;Horwichら,1990)。]
[0145] e.修飾ウイルスを使用する送達
特定の結合リガンドを発現するように遺伝子操作された感染性ウイルスの中に送達すべき核酸を収容することができる。このウイルス粒子は、例えば、ターゲット細胞のコグネイト受容体に特異的に結合し、その細胞に内容物を送達するであろう。レトロウイルスベクターの特異的ターゲッティングを可能にするように設計された新規アプローチが、ウイルスエンベロープへのラクトース残基の化学的付加によるレトロウイルスの化学的修飾に基づいて開発された。この修飾は、シアロ糖タンパク質受容体により肝細胞を特異的に感染させることができる。]
[0146] レトロウイルス・エンベロープ・タンパク質に対するおよび特異的細胞受容体に対するビオチニル化抗体を使用する、組換えレトロウイルスのもう1つのターゲッティング方法が設計された。これらの抗体は、ストレプタビジンを使用することによりビオチン成分によってカップリングされた(Rouxら,1989)。主要組織適合遺伝子複合体クラスIおよびクラスII抗原に対する抗体を使用して、彼らは、それらの表面抗原を担持する様々なヒト細胞のインビトロでのエコトロピックウイルスでの感染を立証した(Rouxら,1989)。]
[0147] 11.ベクター送達および細胞形質転換
本発明と共に使用するための細胞小器官、細胞、組織または生物の形質転換のための適するエールリヒア核酸送達方法は、本明細書に記載するような、または通常の当業者に公知であろうような、核酸(例えば、DNA)を細胞小器官、細胞、組織または生物に導入することができる実質的に任意の方法を含むと考えられる。そのような方法としては、DNAの直接送達、例えば、エクスビボトランスフェクションによるもの(Wilsonら,1989、Nabelら,1989)、マイクロイジェクション(Harlan and Weintraub,1985;参照により本明細書に援用されている米国特許第5,789,215号)を含めて、注射によるもの(米国特許第5,994,624号、同第5,981,274号、同第5,945,100号、同第5,780,448号、同第5,736,524号、同第5,702,932号、同第5,656,610号、同第5,589,466号および同第5,580,859号(それぞれが参照により本明細書に援用されている));エレクトロポレーションによるもの(米国特許第5,384,253号(参照により本明細書に援用されている);Tur−Kaspaら,1986;Potterら,1984);リン酸カルシウム沈殿法によるもの(Graham and Van Der Eb,1973;Chen and Okayama,1987;Rippeら,1990);DEAEデキストラン、その後、ポリエチレングリコールを使用することによるもの(Gopal,1985);ダイレクト・ソニック・ローディングによるもの(Fechheimerら,1987);リポソーム媒介トランスフェクションによるもの(Nicolau and Sene,1982;Fraleyら,1979;Nicolauら,1987;Wongら,1980;Kanedaら,1989;Katoら,1991)および受容体媒介トランスフェクションによるもの(Wu and Wu,1987;Wu and Wu,1988);マイクロプロジェクタイル・ボンバードメントによるもの(PCT出願番号WO 94/09699および95/06128;米国特許第5,610,042号、同第5,322,783号、同第5,563,055号、同第5,550,318号、同第5,538,877号および同第5,538,880号、ならびにそれぞれが参照により本明細書に援用されている);シリコンカーバイド線維との攪拌によるもの(Kaepplerら,1990;米国特許第5,302,523号および同第5,464,765号(それぞれが参照により本明細書に援用されている));アグロバクテリウム媒介形質転換によるもの(米国特許第5,591,616号および同第5,563,055号(それぞれが参照により本明細書に援用されている);プロトプラストのPEG媒介形質転換によるもの(Omirullehら,1993;米国特許第4,684,611号および同第4,952,500号(それぞれが参照により本明細書に援用されている);乾燥/阻害媒介DNA取り込みによるもの(Potrykusら,1985)、ならびにこのような方法の任意の組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。これらなどの技術の適用により、細胞小器官(単数もしくは複数)、細胞(単数もしくは複数)、組織(単数もしくは複数)または生物(単数もしくは複数)を安定的にまたは一過的に形質転換させることができる。
a.エクスビボ形質転換
生物から除去した血管細胞および組織のエクスビボ設定でのトランスフェクション方法は、当業者に公知である。例えば、イヌ内皮細胞が、インビトロでのレトロウイルス遺伝子移入によって遺伝子改変され、イヌに移植された(Wilsonら,1989)。もう1つの例では、ユカタンミニブタ内皮細胞が、インビトロでレトロウイルスによりトランスフェクトされ、ダブルバルーン(double−ballonw)カテーテルを使用して動脈に移植された(Nabelら,1989)。それ故、細胞および組織を除去し、本発明の核酸を使用してエクスビボでトランスフェクトすることができると考えられる。特定の態様では、移植細胞および組織を生物に配置することができる。好ましい面では、移植細胞または組織において核酸を発現させる。]
[0148] b.注射
一定の実施形態では、核酸を細胞小器官、細胞、組織または生物に1回以上の注射(すなわち、針注入)により(例えば、例えば皮下的に、経皮的に、筋肉内に、静脈間に、腹腔内的になど)送達することができる。ワクチンの注射方法は、通常の当業者に周知である(例えば、食塩溶液を含む組成物の注射)。本発明のさらなる実施形態は、直接マイクロインジェクションによる核酸の導入を含む。直接マイクロインジェクションは、核酸構築物をアフリカツメガエル卵母細胞に導入するために使用された(Harland and Weintraub,1985)。使用される組成物の量は、使用される細胞小器官、細胞、組織または生物ばかりでなく抗原の性質によって変わり得る。]
[0149] c.エレクトロポレーション
一定の実施形態では、核酸をエレクトロポレーションによって細胞小器官、細胞、組織または生物に導入する。エレクトロポレーションは、高圧電気放電への細胞およびDNAの懸濁液の曝露を伴う。この方法の幾つかの変形では、一定の細胞壁分解酵素、例えばペクチン分解酵素、を利用して、ターゲットレシピエント細胞を未処理細胞よりエレクトロポレーションによる形質転換を受けやすくする(参照により本明細書に援用されている、米国特許第5,384,253号を参照のこと)。あるいは、レシピエント細胞を、機械的傷害によって、形質転換をより受けやすくすることができる。]
[0150] エレクトロポレーションを用いる真核細胞のトランスフェクションは、相当成功を収めている。この方法で、マウスプレBリンパ球が、ヒトカッパ免疫グロブリン遺伝子でトランスフェクトされ(Potterら,1984)、およびラット肝細胞が、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子でトランスフェクトされた(Tur Kaspaら,1986)。]
[0151] 例えば植物細胞などの細胞においてエレクトロポレーションによって形質転換を果たすために、もろい組織、例えば細胞もしくは胚形成カルスの懸濁培養物、を利用することができ、または代替的に、未成熟胚もしくは他の器質化組織を直接形質転換することができる。この技術では、選択した細胞の細胞壁を、制御された様式でのペクチン分解酵素(ペクトリアーゼ)または機械的傷害に曝露することよって、部分的に分解することができるだろう。無損傷細胞のエレクトロポレーションによって形質転換された幾つかの種の例としては、トウモロコシ(米国特許第5,384,253号;Rhodesら,1995;D’Halluinら,1992)、小麦(Zhouら,1993)、トマト(Hou and Lin,1996)、大豆(Christouら,1987)およびタバコ(Leeら,1989)が挙げられる。]
[0152] 植物細胞のエレクトロポレーション形質転換にプロトプラストを利用することもできる(Bates,1994;Lazzeri,1995)。例えば、子葉から採取したプロトプラストのエレクトロポレーションによるトランスジェニック大豆植物の産生が、DhirおよびWidholmによって国際特許出願番号WO 9217598(参照により本明細書に援用されている)に記載されている。プロトプラスト形質転換が記載されている種の他の例としては、大麦(Lazerri,1995)、モロコシ属(Battrawら,1991)、トウモロコシ(Bhattacharjeeら,1997)、小麦(Heら,1994)およびトマト(Tsukada,1989)が挙げられる。
d.リン酸カルシウム
本発明の他の実施形態では、リン酸カルシウム沈殿法を用いて核酸を細胞に導入する。この技術を用いて、ヒトKB細胞がアデノウイルス5DNAでトランスフェクトされた(Graham and Van Der Eb,1973)。同様に、この仕方で、マウスL(A9)、マウスC127、CHO、CV1、BHK、NIH3T3およびHeLa細胞が、ネオマイシンマーカー遺伝子でトランスフェクトされ(Chen and Okayama,1987)、ならびにラット肝細胞が、様々なマーカー遺伝子でトランスフェクトされた(Rippeら,1990)。]
[0153] e.DEAEデキストラン
もう1つの実施形態では、DEAEデキストラン、続いてポリエチレングリコールを使用して、核酸を細胞に送達する。この方法で、レポータープラスミドが、マウス骨髄腫および赤白血病細胞に導入された(Gopal,1985)。]
[0154] f.ソニフィケーション・ローディング
本発明の追加の実施形態は、ダイレクト・ソニック・ローディングによる核酸の導入を含む。ソニフィケーション・ローディングにより、LTK線維芽細胞が、チミジンキナーゼでトランスフェクトされた(Fechheimerら,1987)。]
[0155] g.リポソーム媒介トランスフェクション
本発明のさらなる実施形態では、エールリヒア核酸を脂質複合体と共に含む、例えば、リポソームの中に含むことなどがある。リポソームは、リン脂質二重層の膜と内部の水性媒質とを特徴とする小胞構造である。多層リポソームは、水性媒質によって隔てられた多数の脂質を有する。それらは、リン脂質を過剰の水溶液に懸濁させると、自発的に形成する。脂質成分は、閉鎖構造形成前に自己再構成を経験し、脂質二重層間に水および溶解した溶質を閉じ込める(Ghosh and Bachhawat,1991)。Lipofectamine(GibcoBRL)またはSuperfect(Qaigen)と複合した核酸も考えられる。]
[0156] インビトロでの異種DNAのリポソーム媒介核酸送達および発現は、非常に成功を収めている(Nicolau and Sene,1982;Fraleyら,1979;Nicolauら,1987)。培養ニワトリ胚、HeLaおよびヘパトーム細胞における異種DNAのリポソーム媒介送達および発現の実現可能性も実証された(Wongら,1980)。]
[0157] 本発明の一定の実施形態では、リポソームを血球凝集ウイルス(HVJ)と複合させることがある。これが、細胞膜との融合を助長し、リポソーム封入DNAの細胞進入を促進することは証明されている(Kandedaら,1989)。他の実施形態では、リポソームを核非ヒストン染色体タンパク質(HMG1)(Katoら,1991)と複合させるまたは併用することがある。尚さらなる実施形態では、リポソームをHVJとHMG 1の両方と複合させるまたは併用することがある。他の実施形態においては、送達ビヒクルは、リガンドおよびリポソームを含むことがある。]
[0158] h.レポーター媒介トランスフェクション
尚、さらに、核酸は、受容体媒介送達ビヒクルによってターゲット細胞に送達することができる。これらは、ターゲット細胞で発生するであろう受容体媒介エンドサイトーシスによる高分子の選択的取り込みを利用する。様々な受容体の細胞タイプ特異的分布から考えて、この送達方法は、本発明に特異性というもう1つの地位を加える。]
[0159] 一定の受容体媒介遺伝子ターゲッティングビヒクルは、細胞受容体特異的リガンドおよび核酸結合剤を含む。他のものは、送達すべき核酸が機能するように連結されている細胞受容体特異的リガンドを含む。幾つかのリガンドが、受容体媒介遺伝子伝達に使用されており(Wu and Wu,1987;Wagnerら,1990;Peralesら,1994;Myers,EPO 0273085)、これによってこの技術の実行可能性が確証される。別の哺乳動物細胞タイプに関連して特異的送達が記載されている(Wu and Wu,1993;参照により本明細書に援用されている)。本発明の一定の態様において、リガンドは、ターゲット細胞集団上で特異的に発現される受容体に対応するように選択されるであろう。]
[0160] 他の実施形態において、細胞特異的核酸ターゲッティングビヒクルの核酸送達ビヒクル成分は、特異的結合リガンドをリポソームとの組み合わせで含むことがある。送達すべき核酸(単数または複数)は、リポソームの中に収容され、特異的リガンドは、リポソーム膜に機能的に組み込まれる。従って、リポソームは、ターゲット細胞の受容体(単数または複数)に特異的に結合し、内容物を細胞に送達することなる。そのようなシステムは、例えば、上皮増殖因子(EGF)がそのEGF受容体のアップレギュレーションを示す細胞への核酸の受容体媒介送達の際に使用されるシステムを用いて、機能的であることが証明されている。]
[0161] 尚さらなる実施形態において、ターゲット送達ビヒクルの核酸送達ビヒクル成分は、リポソームそれ自体であることがあり、このリポソームは、好ましくは、細胞特異的結合を指図する1つ以上の脂質または糖タンパク質を含む。例えば、ラクトシルセラミド、ガラクトース末端アシアロガングリオシド(asialganglioside)、がリポソームに組み込まれ、肝細胞によるインスリン遺伝子の取り込みの増加を維持した(Nicolauら,1987)。類似した仕方で、本発明の組織特異的形質転換構築物をターゲット細胞に特異的に送達することができると考えられる。]
[0162] i.マイクロプロジェクタイル・ボンバードメント
マイクロプロジェクタイル・ボンバードメント技術を用いて、核酸を少なくとも1つの、細胞小器官、細胞、組織または生物に導入することができる(米国特許第5,550,318号;米国特許第5,538,880号;米国特許第5,610,042号;およびPCT出願WO 94/09699;これらのそれぞれが参照により本明細書に援用されている)。この方法は、DNAをコーティングしたマイクロプロジェクタイルを、高速に加速して細胞膜を貫通させ、細胞を死滅させることなく細胞に進入させる能力に依存する(Kleinら,1987)。当該技術分野において公知の多種多様なマイクロプロジェクタイル・ボンバードメント技術があり、それらの多くを本発明に利用することができる。]
[0163] マイクロプロジェクタイル・ボンバードメントは、様々な細胞(単数もしくは複数)、組織(単数もしくは複数)または生物(単数もしくは複数)、例えば任意の植物種、を形質転換するために用いることができる。マイクロプロジェクタイル・ボンバードメントによって形質転換された種の例としては、単子葉植物種、例えば、トウモロコシ(PCT出願WO 95/06128)、大麦(Ritalaら,1994;Hensgensら,1993)、小麦(参照により本明細書に援用されている、米国特許第5,563,055号)、米(Hensgensら,1993)、オート麦(Torbetら,1995;Torbetら,1998)、ライ麦(Hensgensら,1993)、サトウキビ(Bowerら,1992)、およびモロコシ属(Casasら,1993;Hagioら,1991);ならびにタバコ(Tomesら,1990;Buising and Benbow,1994)、大豆(参照により本明細書に援用されている、米国特許第米国特許第5,322,783号)、ヒマワリ(Knittelら,1994)、落花生(Singsitら,1997)、綿(McCabe and Martinell,1993)、トマト(VanEckら,1995)、および一般にマメ科植物(参照により本明細書に援用されている、米国特許第5,563,055号)をはじめとする多数の双子葉植物が挙げられる。]
[0164] このマイクロプロジェクタイル・ボンバードメントでは、1つ以上の粒子を少なくとも1つの核酸でコーティングし、推進力によって細胞に送達することができる。小粒子を加速するための幾つかの装置が開発された。1つのそのような装置は、電流を発生させる(その結果として動力をもたらす)ための高圧放電に基づく(Yangら,1990)。使用されたマイクロプロジェクタイルは、タングステンまたは金粒子またはビーズなどの生物学的に不活性な物質から成った。例示的粒子としては、タングステン、白金および好ましくは金から成るものが挙げられる。場合によっては、金属粒子上へのDNA沈殿は、マイクロプロジェクタイル・ボンバードメントを用いるレシピエント細胞へのDNA送達に必要ないであろうと考えられる。しかし、粒子は、DNAでコーティングされるのではなくDNAを含有することができると考えられる。DNAでコーティングした粒子は、それ自体ではおよびだけでは必要ないが、粒子ボンバードメントによってDNA送達レベルを増加させることができる。]
[0165] ボンバードメントのために、懸濁状態の細胞をフィルターまたは固体培養基で濃縮する。あるいは、未成熟胚または他のターゲット細胞を固体培養基上に配列してもよい。ボンバードメントを受ける細胞を、マクロプロジェクタイル停止プレートの下の適切な距離に配置する。]
权利要求:

請求項1
以下の1つ以上を含むポリペプチド組成物:(a)配列番号3;配列番号4;配列番号5;配列番号8;配列番号9;配列番号10;および配列番号11から成る群より選択される1つ以上のアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチド;または(b)(a)のポリペプチドと少なくとも95%同一である単離されたポリペプチド。
請求項2
前記単離されたポリペプチドが、医薬的に許容される希釈剤に分散している、請求項1に記載のポリペプチド組成物。
請求項3
前記(a)のポリペプチドが、配列番号3、配列番号4、および配列番号5から成る群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の組成物。
請求項4
前記(a)のポリペプチドが、配列番号8;配列番号9;配列番号10;または配列番号11から成る群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の組成物。
請求項5
前記(a)のポリペプチドが、アミノ酸配列配列番号8を含む、請求項1に記載の組成物。
請求項6
前記(a)のポリペプチドが、アミノ酸配列配列番号9を含む、請求項1に記載の組成物。
請求項7
前記(a)のポリペプチドが、アミノ酸配列配列番号10を含む、請求項1に記載の組成物。
請求項8
前記(a)のポリペプチドが、アミノ酸配列配列番号11を含む、請求項1に記載の組成物。
請求項9
前記(a)のポリペプチドが、アミノ酸配列配列番号3を含む、請求項1に記載の組成物。
請求項10
前記(a)のポリペプチドが、アミノ酸配列配列番号4を含む、請求項1に記載の組成物。
請求項11
前記(a)のポリペプチドが、アミノ酸配列配列番号5を含む、請求項1に記載の組成物。
請求項12
配列番号3;配列番号4;配列番号5;配列番号8;配列番号9;配列番号10;および配列番号11から成る群より選択されるアミノ酸配列のうちの1つ以上と免疫反応する単離された抗体。
請求項13
アミノ酸配列配列番号3と免疫反応する単離された抗体。
請求項14
アミノ酸配列配列番号4と免疫反応する単離された抗体。
請求項15
アミノ酸配列配列番号5と免疫反応する単離された抗体。
請求項16
アミノ酸配列配列番号8と免疫反応する単離された抗体。
請求項17
アミノ酸配列配列番号9と免疫反応する単離された抗体。
請求項18
アミノ酸配列配列番号10と免疫反応する単離された抗体。
請求項19
アミノ酸配列配列番号11と免疫反応する単離された抗体。
請求項20
モノクローナル抗体である、請求項12に記載の抗体。
請求項21
ポリクローナル抗体である、請求項12に記載の抗体。
請求項22
個体における免疫応答を誘導する方法であって、治療有効量の請求項1に記載の組成物を該個体に送達する工程を含む方法。
請求項23
被験体におけるE.chaffeensis感染症を抑制する方法であって、有効量の請求項1に記載の組成物を被験体に送達する工程を含む方法。
請求項24
個体におけるE.chaffeensis感染症を同定する方法であって、該個体からのサンプルを以下の1つについてアッセイする工程を含む方法:(a)配列番号3;配列番号4;配列番号5;配列番号8;配列番号9;配列番号10;および配列番号11から成る群より選択される1つ以上のアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチド;または(b)(a)のポリペプチドから成る群より選択されるアミノ酸配列と免疫反応する抗体。
請求項25
前記(a)のポリペプチドが、アミノ酸配列配列番号3を有する、請求項24に記載の方法。
請求項26
前記(a)のポリペプチドが、アミノ酸配列配列番号4を有する、請求項24に記載の方法。
請求項27
前記(a)のポリペプチドが、アミノ酸配列配列番号5を有する、請求項24に記載の方法。
請求項28
前記(a)のポリペプチドが、アミノ酸配列配列番号8を有する、請求項24に記載の方法。
請求項29
前記(a)のポリペプチドが、アミノ酸配列配列番号9を有する、請求項24に記載の方法。
請求項30
前記(a)のポリペプチドが、アミノ酸配列配列番号10を有する、請求項24に記載の方法。
請求項31
前記(a)のポリペプチドが、アミノ酸配列配列番号11を有する、請求項24に記載の方法。
請求項32
前記サンプルが、配列番号17および配列番号19のアミノ酸配列を有するポリペプチドについてアッセイされる、請求項24に記載の方法。
請求項33
前記アッセイが、(b)の抗体についてのELISAによるものである、請求項24に記載の方法。
請求項34
前記個体からサンプルを得ることをさらに含む、請求項24に記載の方法。
請求項35
請求項1に記載のポリペプチド組成物を含む、適切な容器に収容された、キット。
請求項36
請求項1に記載の2つ以上のポリペプチド組成物を含む、適切な容器に収容された、キット。
請求項37
前記(a)のポリペプチドが、アミノ酸配列配列番号8を含む、請求項1に記載の組成物を含む、適切な容器に収容された、キット。
請求項38
前記(a)のポリペプチドが、アミノ酸配列配列番号9を含む、請求項1に記載の組成物を含む、適切な容器に収容された、キット。
請求項39
前記(a)のポリペプチドが、アミノ酸配列配列番号10を含む、請求項1に記載の組成物を含む、適切な容器に収容された、キット。
請求項40
前記(a)のポリペプチドが、アミノ酸配列配列番号11を含む、請求項1に記載の組成物を含む、適切な容器に収容された、キット。
請求項41
前記(a)のポリペプチドが、アミノ酸配列配列番号3を含む、請求項1に記載の組成物を含む、適切な容器に収容された、キット。
請求項42
前記(a)のポリペプチドが、アミノ酸配列配列番号4を含む、請求項1に記載の組成物を含む、適切な容器に収容された、キット。
請求項43
前記(a)のポリペプチドが、アミノ酸配列配列番号5を含む、請求項1に記載の組成物を含む、適切な容器に収容された、キット。
請求項44
請求項12に記載の1つ以上の抗体を含む、適切な容器に収容された、キット。
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