专利摘要:
加圧され温度制御された中央空気流を供給するための空調システムであって、中央空調装置(2)を具備する航空機のキャビン(28)空間領域(28,30,32,34)の個別空調のための航空機用の空調システム。一部の中央空気流(6)は第一キャビン空間領域(28)に供給される。他の中央空気流は加熱用装置(16,18,20)で加熱され、又は冷却用装置(22,24,26)で冷却され、他のキャビン空間領域(30,32,34)へ供給される。キャビン空間領域(28,30,32,34)に供給される空気流を冷却するために、水は冷却用装置(22,24,26)内で蒸発する。
公开号:JP2011509863A
申请号:JP2010542568
申请日:2009-01-12
公开日:2011-03-31
发明作者:クリスチャン シューマッハー;ジャン ディットマー
申请人:エアバス オペラツィオンス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング;
IPC主号:B64D13-08
专利说明:

[0001] 本発明は、気化冷却及び加熱による航空機のキャビン空間領域の個別温度制御に関する。]
背景技術

[0002] 複数の空間領域に分割されているキャビンを有する航空機の場合には、異なる温度でそれぞれの空間領域を空調できることが一般的に望ましい。例えば、エコノミークラスはビジネスクラスとは異なる温度とすることができる。ファーストクラススイートでは、温度は個別に設定可能とすることができる。ビジネスクラス内の温度は通常は一元的に予め設定されている。しかしながら、シートの周囲に他のビジネスクラス空間領域より涼しい又は暖かい空気が供給されるように、乗客は自身のシートの周囲の温度を個別に設定できる。キャビン空間領域の前記個別空調により、それら空間領域間での熱負荷の違いを考慮することもできる。]
[0003] 図5は航空機内の空間領域の空調のための従来型システムを示す。中央空調ユニット102にはキャビンの外の圧力より高い圧力を持つ空気流104が供給される。一般的に、該圧力は海抜約2000m〜3000mの高さに相当する約700〜800mbarとなる。中央空調ユニット102に供給される空気104は、例えばキャビン又はエンジンブリードエアーから再循環された空気136とすることができる。中央空調ユニット102は所定の温度の空気流106を送る。該空気流は、個々の加熱用装置118,120,122及び124へ該空気流を供給する複数のライン108,112,114及び116に分配される。空気流128はキャビン加熱用装置118からキャビン126に供給される。空気流130は第一加熱用装置120から第一シート138の周囲へ供給される。第二加熱用装置122により送られる空気流132と第三加熱用装置124により送られる空気流134は、それぞれ第二シート140と第三シート142の周囲へ供給される。温度センサー150はキャビン内に設置され、それぞれの温度センサー144,146及び148はシート138,140及び142の周囲に設置される。所望の温度の空気がキャビン126又はシート138,140及び142の空間領域に供給されるように、温度センサー150,144,146及び148と制御装置(不示図)は設置された加熱用装置118,120,122及び124を制御する。] 図5
[0004] 中央空調ユニット102は、キャビン126とシート138,140及び142の空間領域内で要求される最も低い温度に相当する温度の空気流106を供給しなければならない。キャビン126内の所望の温度より実質的に低い温度がシート138,140及び142の空間領域のいずれか1カ所で要求される場合には、空気流108を所望の温度にするためにキャビン用の加熱用装置118は大量のエネルギーを消費するに違いない。加熱用装置118が電気加熱用装置である場合には、この加熱用装置は相対的に大量の電気エネルギーを消費するに違いない。電気エネルギーはタービンの回転エネルギーと比べ相対的に高コストかつ相対的に高損失で得なければならないので、航空機内で大量の電気エネルギーを消費する負担は望ましくない。これに代えて、加熱用装置118はエンジンブリードエアーを供給するトリムバルブを有することができる。しかしながら、この手段は、キャビンを通る相対的に大きいブリードエアーダクトを必要とする。追加スペースがブリードエアーダクトのために必要とされ、航空機重量が増大するので、この手段も望ましくない。]
発明が解決しようとする課題

[0005] 本発明は、航空機のキャビン空間領域の個別空調のために改良された空調システムを提供することを目的とする。]
課題を解決するための手段

[0006] 前記目的は、航空機のキャビン空間領域の個別空調のための、航空機用の空調システムであって、キャビン空間領域に供給される空気流を冷却するために、飛行中においてキャビンの外の空気圧より高い圧力を有する空気流の中へ水が蒸発する冷却用装置を有する空調システムにより達成される。中へ水が蒸発する前記空気流の温度は、キャビンの外の温度より高くできる。この水は前記キャビン空間領域に供給される空気流の中へ蒸発することができる。その水は航空機のキャビン空間領域へ供給されない空気流の中へも蒸発することができる。]
[0007] 前記空調システムはどんな海抜でも、どんな外気温でも使うことができる。一般的な航空機の巡航高度では、約−30℃〜約−50℃の外気温が主流である。最新の航空機は約9000m〜約11000mの巡航高度を一般的に飛行する。キャビンへの空気流の圧力は、海抜約2000m〜3000mの高さに相当する約700〜800mbarとなることができる。しかしながら、この空気は人が追加の呼吸器なしで息ができるどんな圧力でも有することができる。キャビンの外の大気温とは独立しているので、気化冷却に基づく冷却用装置も、これらの巡航高度で用いることができる。]
[0008] 航空機内の空気は比較的乾燥している。その結果、機内の空気は比較的大量の水を吸収しやすく、その結果として比較的強い冷却が達成される。]
[0009] キャビン空間領域に供給される空気流は、中央空調装置により供給されることができる。キャビン空間領域に供給される該空気流は、このキャビン空間領域から除かれ、気化冷却により冷却用装置中で冷却され、その後、再度このキャビン空間領域に供給されることもできる。また、空気流の加熱が必要で冷却が不要の場合には、前記キャビン空間領域に供給される空気流を加熱するための加熱用装置を設置することもできる。キャビン空間領域に供給される空気流は、送風機によりその空間領域から除かれ、温度調整後に再度その空間領域に供給されることができる。]
[0010] 冷却のために、キャビン空間領域に供給される空気流の中へ水が蒸発するように、冷却用装置が設計されることができる。この実施形態は、キャビンへ供給される空気流が加湿され、それが乗客をより快適にするという利点を有する。]
[0011] また、前記目的は、航空機キャビン空間領域の個別空調のための、航空機用の空調システムであって、飛行中にキャビンの外の空気圧より高い圧力と実温度Tgactualを有する中央空気流を供給する中央空調装置を有する空調システムでも達成される。該空調システムは、一部の中央空気流を第一キャビン空間領域へ供給するように設計された第一供給ラインを具備する。該空調システムの分岐ラインは、他の中央空気流を少なくとも一つの他のキャビン空間領域へと流れを変えるように設計される。さらに、該空調システムは、上述した冷却用装置を具備する。分岐ライン中の空気流の実温度Tgactualがそれぞれの他の空間領域に供給される空気流の所望の温度Tz1desired,Tz2desired,Tz3desiredより高い場合には、上述した冷却用装置は、少なくとも一つの分岐ライン内の空気流を冷却する。]
[0012] 更に、前記空調システムは加熱用装置を具備することが好ましい。分岐ライン中の空気流の実温度Tgactualがそれぞれの他の空間領域に供給される空気流の所望の温度Tz1desired,Tz2desired,Tz3desiredより低い場合には、該加熱用装置は、少なくとも一つの分岐ライン中の空気流を加熱する。]
[0013] 前記分岐ラインは、一部の中央空気流を前記冷却用装置に供給することができる。該冷却用装置から出る空気流を分割し、それぞれの空気流を加熱用装置に供給する複数の分配ラインが、冷却用装置に接続されることができる。複数のキャビン空間領域のそれぞれ一つにその分割された空気流を供給するためのラインが、加熱用装置に接続されることができる。この場合、一部の中央空気流が第一キャビン空間領域へ供給される。他の中央空気流は冷却用装置に供給され、該冷却用装置から複数の加熱用装置に供給される。それぞれの空気流は、個々の加熱用装置から他のキャビン空間領域へ供給される。]
[0014] 複数の分岐ラインは、中央空調装置からの空気流の一部の流れを変えることができ、流れを変えられた空気流それぞれを一組の加熱用装置と冷却用装置に供給する。複数のキャビン空間領域供給ラインの一つは、その一組の加熱用装置と冷却用装置からの空気流をそれぞれキャビン空間領域に供給する。この実施形態としては、キャビン空間領域へのそれぞれの供給ライン内で、冷却用装置と加熱用装置が直列又は並列に配置されることができる。]
[0015] 第一キャビン空間領域と他のキャビン空間領域は互いに分離されることができる。しかしながら、他のキャビン空間領域は少なくとも一部分は前記第一キャビン空間領域内にも位置できる。前記中央空調ユニットにより送られる空気は、冷却用装置又は加熱用装置を通過しないで実温度Tgactualで常に第一キャビン空間領域へ供給されることができる。加熱用装置はトリムバルブを有することができ、そのトリムバルブによってエンジンブリードエアーが供給される。その加熱用装置は電気加熱用装置であってもよい。前記中央空調装置は少なくとも一部に再循環空気及び/又はブリードエアーを用いることができる。暖かいエンジンブリードエアーは、特に低エネルギー損失のタービンを有する航空機内で供給されることができる。そのエンジンブリードエアーは、キャビン空間領域に供給される空気流の温度より高い温度にまで加圧状態で加熱される圧縮外気である。従って、エネルギー損失を起こすエンジンブリードエアーは冷却されなければならない。通常、ブリードエアーはエンジンコンプレッサーから取り出されるため、推進力としての形態のエネルギーが失われる。ブリードエアーに代えて、電気コンプレッサーにより圧縮された空気を用いることもできるが、これはなお一層高いエネルギー損失をもたらす結果となる。]
[0016] 当然、特に低いエネルギー損失を伴う再循環した空気も用いることができる。この場合には、前記中央空調装置は特に低いエネルギー損失を持つ暖かい及び/又は圧縮された空気を供給できる。キャビンの外から供給された空気の容積がキャビンの安定な換気を達成するのに十分ではない場合には、キャビンエアーも再循環させることができる。]
[0017] 更に、前記空調システムは、前記空調システムにより送られる空気が最大の空気流量を必要とするキャビン空間領域の所望の温度Tzcdesired,Tz1desired,Tz2desired,Tz3desiredと実質的に一致する実温度Tgactualを有するように、中央空調装置を制御する制御装置を具備することができる。上述したように、中央空調装置は比較的低いエネルギー損失を有する暖かい空気を供給できる。中央空調装置により送られる空気流の実温度Tgactualが、最大の空気流量を必要とするキャビン空間領域の所望の温度と実質的に一致するので、前記空調システム全体としては、低い電力損失で稼働させることができる。はじめに述べたように、比較的大きな断面を持つ個々のライン及びバルブが必要とされるので、エンジンブリードエアーをトリムエアーとして加熱用装置に供給することは好ましくない。この余分なラインとバルブは航空機の質量を増大させ、結果として好ましくない。さらに、トリムエアーを原因とする局所加熱は、安全性の問題及び高温のトリムエアーによる断熱の問題を伴う。]
[0018] ブリードエアー供給ラインを必要としないため、電気加熱用装置は好ましい。つまり、より広い空間領域が航空機の他のコンポーネントのために利用できる。該電気加熱用装置は、この装置に必要な電気エネルギーが比較的高い電力損失でのみ発生されるという欠点を有する。しかしながら、電気加熱用装置は比較的小さい空気流量を加熱するだけなので、本発明に係る空調システムの総エネルギー消費量は先行技術である前述の空調システムよりも低い。電気加熱用装置は、例えばキャビン内の小空間領域により簡単に組み込め、前述した高温トリムエアーの安全性のリスクは伴わない。]
[0019] 加熱用装置は燃料電池とすることができる。]
[0020] 前記中央空調装置が、最大の空気流量を必要とするキャビン空間領域の所望の温度と実質的に一致する実温度Tgactualの空気流を送るように、前記空調システムを制御又は統制することは、エネルギーの観点から次善かもしれない。つまり、エネルギー損失も考慮に入れたときには、このような制御又は統制は最も低い総エネルギー消費量をもたらすものではないかもしれない。しかしながら、これによって、より低い重量を有し、より小さい設置スペースしか必要とせず、高い信頼性を有する単純化されたシステム構造が得られる。結果として、このシステム構造は、ある特定の状況ではより適切な設計となることができる。]
[0021] 前記制御装置は、中央空調装置、少なくとも一つの冷却用装置、及び少なくとも一つの加熱用装置を、空調システムの総エネルギー消費量が最小となるように制御できる。総エネルギー消費量では、暖かい空気の供給又は空気の加熱時に生じるエネルギー損失が考慮される。本発明のこの実施形態では、第一空間領域に供給される空気流も、それぞれの空気流が冷却され加熱されることが求められる。エネルギー損失は、例えば回転エネルギーを電気エネルギーに変換することから生じる。さらに、約150℃〜約200℃のエンジンブリードエアーを航空機キャビンの空調に適した温度まで冷却する間にエネルギー損失が生じる。]
[0022] 空調システムは、必ずしもキャビン内の所望の空気温度で、キャビン空間領域に供給される空気流を供給しないが、その空間領域の所望の温度に到達する又は保つために必要な温度で供給する。例えば電気装置のような専門装置と乗客からの熱負荷次第では、空間領域に供給される該空気は、空間領域の所望の温度より約0度〜約10℃低くすることができる。]
[0023] 前記中央空調装置はいわゆるパックにできる。このパックには前述の約150℃〜約200の温度のエンジンブリードエアーが供給される。そのエンジンブリードエアーはラムエアーにより冷却されることができる。また、そのエンジンブリードエアーは複数の膨張及び/又は圧縮サイクルを通過することもできる。エンジンブリードエアーは例えばラムエアーにより熱交換器内で複数回冷却されることもできる。ラムエアーの使用は航空機の抵抗、すなわちキャビン空間領域の空調におけるエネルギー損失を増大させる。また、前記パックによって提供される空気は再循環空気のためのヒートシンクとして働く。前記パックから供給された空気流の温度は、通常その空気流が供給されるキャビンの空間領域で要求される冷却能に依存する。さらに、そのパック内の複数の熱交換器は、ラムエアー中及び前記パックにより温度制御される空気流中で、航空機の容量を増やし、例えば摩擦のせいで圧損を増大させる。]
[0024] トリムエアーは、例えばバイパスバルブにより前記パックを通過するように導かれるエンジンブリードエアーであり、故にトリムエアーは冷却されていない。前記パック中で冷却されることから生じるエネルギー損失がないので、トリムエアーは前記パックにより供給される空気としてより低エネルギー損失で供給されることができる。しかしながら、トリムエアーもタービンのコンプレッサーにより供給されるブリードエアー量を増大させるので、結果として推進力損失を増大させる。]
[0025] 一方で、最小化されるエネルギーは、例えば高温エンジンブリードエアーを発生するために消費されるエネルギー、該エンジンブリードエアーを冷却するために消費されるエネルギー及び/又はキャビンエアーを再循環するために消費されるエネルギーよりなる。これは、中央空調装置により暖かい空気を供給するために必要とされるエネルギーである。他方では、最小化されるエネルギーは、気化冷却に必要とされるエネルギー、例えば水を供給するために必要なエネルギーよりなる。さらに、最小化されるエネルギーは加熱用装置に求められるエネルギーからなる。電気加熱用装置の場合においては、加熱用装置により消費される電流、及び電流発生時において生じるエネルギー損失が考慮される。トリムバルブを用いる加熱用装置の場合においては、高温エンジンブリードエアー、又はトリムエアーを発生するために消費されるエネルギーが考慮される。]
[0026] 高温エンジンブリードエアーを発生するために消費されるエネルギーは推進力損失の原因となる。これは、エンジンコンプレッサーが外気を吸い込み、圧縮し、それを空調システムに供給しているという事実により生じる。上述のように、高温エンジンブリードエアーは前記パックへ供給されることができ、及び/又はトリムエアーとして用いることができる。また、最小化されるエネルギー収支は、前記ブリードエアーを供給するために外気を圧縮するのに必要なエネルギーを含む。この場合、熱交換器、及び/又はパック内での膨張−圧縮サイクルに起因するパック内での損失も考慮されることとなる。さらに、ラムエアーを用いたことによる航空機の抵抗の増大に起因するエネルギー損失も考慮されることができる。キャビンに供給される空気流を冷却するために積載される水の重量も考慮されることができる。一般的に、冷気は、単に比較的高いエネルギー損失を有する暖かい空気として供給される。]
[0027] キャビン空間領域に供給される空気流の所望の温度が前記中央空調装置により送られる空気流の実温度より低い場合において、該空気流は冷却用装置中で冷却されることができる。この冷却は、冷却時においてできるだけ小さいエネルギーを消費するために気化により行われる。従来法は、熱交換器内の冷却剤又は局所混合機内での冷気の混合により空気を冷却することからなる。冷却剤と熱交換器の使用は比較的高コストである。さらに、この場合には、熱交換器と冷却用回路の能率に起因するエネルギー損失が生じる。冷却剤が回路内に運ばれるため、流入ラインと流出ラインが必要となる。局所混合機内での冷気の混合は、冷気を発生するための更なる中央空調ユニットを必要とする。さらに、冷気を局所混合機へ供給するラインも必要となり、これら供給ラインは通常比較的大きな断面を持たなければならない。]
[0028] 水が前記冷却用装置内の空気流の中へ蒸発するので、前記冷却用装置は全くエネルギー損失を生じさせない又は比較的低いエネルギー損失を生じさせる。エネルギー損失を含む総エネルギー消費量もこの方法により減少するので、冷却用装置のための比較的高い技術の支出も理に適うものとなる。もし最大の空気流量を必要とするキャビン空間領域が、例えば構造的にそのサイズ、及び/又はその熱負荷に基づいて予め定められているのであれば、このキャビン空間領域へのキャビン空間領域空気供給ライン内の冷却用装置と加熱用装置はなくすことができる。結果として、航空機質量は減少される。]
[0029] 冷却用装置は空気流の中へ水を吹き付けることができる。冷却用装置は超音波を用いて空気流の中へ噴霧できる。多孔質材から水が冷却用装置内の空気流の中へ蒸発することができる。さらに、水は冷却用装置内の膜上から空気流の中へ蒸発できる。キャビン空間領域に供給される空気流の冷却のために、水中で気泡塔を用いることもできる。蒸発のために、水を圧縮空気により微細化されることができることが考えられる。蒸発の潜熱を発生するために、水で濡れ、広い表面を有する物体を用いることができる。濡らすためには、その物体は水槽中で動かすか回転させ、又はその物体は水を捲き散らされ又は湿らされることができる。]
[0030] また、本発明は、飛行中にキャビンの外の空気圧より高い圧力に置かれる空気流の中へ水を蒸発させることにより、キャビン空間領域に供給される空気流を冷却することによる、航空機のキャビン空間領域の個別空調方法に関する。水はキャビン空間領域へ供給された空気流の中へ蒸発できる。]
[0031] 空気流の圧力は、約700〜約800mbarの間の上述の値を有することができる。この方法は前述の空調システムと同様に構築できる。]
[0032] 空気流は、冷却前に、冷却後に空気流が供給されるキャビン空間領域から除去されることができる。もし必要であれば、除去された空気流は、再度キャビン空間領域へ供給される前に加熱用装置により加熱されることができる。]
[0033] この方法は以下の工程を有する。
飛行中に、前記キャビンの外の空気圧より高い圧力に加圧された空気流を供給する工程と、
前記加圧された空気流を実温度Tgactualに温度制御する工程と、
実温度Tgactualに前記温度制御された空気流を第一キャビン空間領域へ供給する工程と、
実温度Tgactualに前記温度制御された空気流を少なくとも一つの他のキャビン空間領域へ供給する工程と、及び
前記それぞれ他のキャビン空間領域に供給される空気流の所望の温度Tz1desired,Tz2desired,Tz3desiredが実温度Tgactualより低い場合において、前記空気流がそれぞれの他のキャビン空間領域に供給される前に、水を蒸発することにより前記少なくとも一つの他のキャビン空間領域へ供給された空気流を冷却する工程とを有する。]
[0034] 前記それぞれの他のキャビン空間領域に供給される空気流の所望の温度Tz1desired,Tz2desired,Tz3desiredが実温度Tgactualより高い場合において、該空気流がそれぞれの他のキャビン空間領域に供給される前に、前記方法は、少なくとも一つの他のキャビン空間領域へ供給された該空気流の加熱の工程を更に含むことができる。]
[0035] 第一の実施形態では、前記方法は、他のキャビン空間領域に供給された空気流であって、温度制御された実温度Tgactualの空気流を、他の空間領域の全ての所望の温度Tz1desired,Tz2desired,Tz3desiredの内最も低い所望の温度Tdesiredminにまで温度制御することができる。所望の温度Tdesiredminの該空気流は、それぞれ他のキャビン空間領域に割り当てられる複数の空気流に分割される。それぞれのキャビン空間領域に供給される該空気流の所望の温度が、他の空間領域の全ての所望の温度Tz1desired,Tz2desired,Tz3desiredの内最も低い所望の温度Tdesiredminよりも高い場合において、それぞれの他のキャビン空間領域に供給されるこの分割された空気流はそれぞれの所望の温度Tz1desired,Tz2desired,Tz3desiredにまで加熱される。この実施形態では、他の空間領域に向かう空気を冷却するただ一つの冷却用装置が存在する。]
[0036] もう一つの実施形態としては、前記温度制御された空気流は、それぞれ他のキャビン空間領域に供給される複数の空気流に分割される。それぞれの他の空間領域に供給される空気流の所望の温度が実温度Tgactualより低い場合において、前記少なくとも一つの他のキャビン空間領域に供給された空気流であって、少なくとも一つの温度制御された実温度Tgactualの該空気流は、それぞれ他のキャビン空間領域に供給される空気流の所望の温度Tz1desired,Tz2desired,Tz3desiredにまで冷却される。それぞれ他の空間領域に供給される空気流の所望の温度が実温度Tgactualより高い場合には、その少なくとも一つの他のキャビン空間領域に供給された空気流であって、少なくとも一つの実温度Tgactualに温度制御された該空気流は、他のキャビン空間領域に供給される空気流の所望の温度Tz1desired,Tz2desired,Tz3desiredにまで加熱される。他の空間領域に供給される空気ははじめに分割され、次に上述のように特定の場合に応じて冷却され又は加熱される。どちらの実施形態も、他の空間領域は第一キャビン空間領域から離れて位置することができる。また、他の空間領域は、第一キャビン空間領域内の空間領域とできる。]
[0037] 加圧された空気流の実温度Tgactualは、最大の空気流量を要求するキャビン空間領域の所望の温度Tzcdesired,Tz1desired,Tz2desired,Tz3desiredに実質的に一致することができる。上述したように、これにより、エネルギー消費量と特にエネルギー損失が削減できる。総エネルギー消費量が最小になるように、加圧された空気流の実温度Tgactualは実質的に選ばれる。総エネルギー消費量では、暖かい空気が供給され、空気が加熱され、及び空気が冷却されているときに生じるエネルギー損失が考慮される。本発明のこの実施形態では、第一空間領域に供給される空気流も、それぞれの空気流は冷却され、加熱されることが要求されることができる。]
[0038] また、本発明は、キャビンに供給された空気流を冷却するために、航空機のキャビンに供給される空気流の中へ蒸発させる水を用いることにも関する。この空気流は、前述した中央空調装置によって供給されることができ、キャビンの外の圧力より高い圧力を有することができる。冷却された空気流はキャビンの一以上の空間領域へ供給されることができる。冷却された空気流はただ一つの空間領域を有するキャビンへ供給されることができる。上述のように、冷却された空気は航空機のキャビン空間領域の空調のために用いることができる。]
図面の簡単な説明

[0039] 本発明について以下の添付の図を参照し、より詳細に説明する。
は、空気が中央空調装置から最大の空気流量が要求される空間領域へ直接供給され、他の空間領域へ向かうそれぞれの供給ラインが冷却用装置及び加熱用装置を有する空調システムの実施形態を示す。
は、キャビンの空間領域へ向かうそれぞれの供給ラインが冷却用装置と加熱用装置を有する実施形態を示す。
は、他の空間領域へ供給される空気流が共通の冷却用装置により冷却される実施形態を示す。
は、モリエh−x線図を示す。
は、先行技術の空調システムを示す。]
実施例

[0040] 航空機のキャビンは、個別の所望の温度を持つ区域と考えられる複数の空間領域に通常分割される。それぞれの区域は固有の温度統制又は温度制御を構成することができる。各空間領域の所望の温度は通常大きな違いはない。しかしながら、各空間領域内の熱負荷は、例えば乗客の密度と余熱を発する装置の数によって大きく異なる。空間領域に供給される空気ジェットの所望の温度は、それぞれの空間領域内の熱負荷に依存し、結果として大きく異なる。従って、高い熱負荷を有する空間領域はより低い所望の温度の空気が供給されることを必要とする。]
[0041] 図1は、余分な冷却用装置又は加熱用装置により冷却又は加熱されることなく、空気が、中央空調装置2から最大の空気流量を要求するキャビン空間領域へ直接供給される本発明の実施形態を示している。エンジンブリードエアー及び/又はキャビン28から再循環された空気50から構成できる空気流4が、中央空調装置2へ供給される。中央空調装置2から排出された空気流6は、キャビンの外の空気より高い空気圧を有する。空気流6は第一キャビン供給ラインを通ってキャビン28の中へ供給される。キャビンの中には、個別に空調される他の複数の空間領域があり、それら他の空間領域はそれぞれのシート30,32,及び34の周囲を構成する。個別に空調された空気流36として第一シート30の周囲に入る前に、空気流6は第二供給ライン10により第一冷却用装置16と第一加熱用装置22へ供給される。同様に、個別に空調された空気は、それぞれの供給ライン12と14、個別の冷却用装置18と20、及び個別の加熱用装置24と26を介して、第二シート32と第三シート34へ供給される。供給ラインに配置される加熱用装置と冷却用装置は直列としても並列としても配置されることができる。] 図1
[0042] 冷却用装置内で、水は冷却用装置を流れ抜ける空気流の中へ蒸発する。冷却用装置内で、その水がノズルを通して空気流の中へ吹き付けられることができる。このノズルは超音波ノズルとすることができる。これに代わり、超音波により霧が発生されることができる。この場合、霧は超音波により水面上に発生し、その液滴が空気流の中へ蒸発する。さらに、多孔質材または充填剤内に含まれる水が空気流の中へ蒸発できる。広い表面を有する担体材料は、水により濡らされ、その水は空気流の中へ該表面から蒸発する。蒸発は膜を介しても起こることができる。この場合、水は膜の一方の面側の液体状態からもう一方の面側の空気流の中へ蒸発する。キャビンの空間領域に供給される空気流を冷却するために、水中で気泡塔を用いることもできる。蒸発のために、圧縮空気により水を微細化することも考えられる。蒸発の潜熱を発生するために、水で濡れた広い表面を有する物体を用いることができる。濡らすためには、この物体が水槽中で動く又は回転することができ、又はこの物体は水をまき散らされ、又は湿らされることもできる。また、熱伝導表面上で蒸発を起こすことも考えられる。この場合、水は、空気−空気熱交換器内で、二つの空気流のうち第一の空気流内における熱伝導表面上で蒸発される。結果として、その空気流は加湿され、結果として冷却される。さらに、この熱伝導表面により、水荷重それ自体は増加させることなく熱は第二の空気流から抽出される。この第二の空気流はキャビン空間領域に供給されることができる。]
[0043] 冷却用装置16,18,20内で蒸発のために必要とされる水は、水で満たされることができるタンク内に貯蔵されることができ、及び/又は航空機内の任意の空調装置から集めることができる蒸留水とすることができる。冷却用水を得ることができない又は機内から回収できない場合には、重量を増大させ場所を取っても積載しなければならない。この積載も、考慮されることができるエネルギー損失を生じる。例えば航空機の低温の外板上で燃料電池排気ガスの凝集の後、水は一以上の燃料電池からも得ることができる。また、航空機の低温の外板上で空気、例えばキャビンから出た空気を凝集させることにより水を得ることもできる。]
[0044] この実施形態では、キャビン28は最大の空気流量を要求する。第一温度センサー48はキャビン28内の実温度Tcactualをはかる。制御装置(不示図)はキャビン28内の実温度Tcactualと所望の温度Tcdesiredを比較する。これにより、該制御装置は第一供給ライン8を介してキャビン28内へ供給される空気流の所望の温度Tzcdesiredを計算する。中央空調装置2により送られる実温度Tgactualの空気流がキャビン28に供給される空気流の所望の温度Tzcdesiredと実質的に一致するように、中央空調装置2が制御される。]
[0045] 再循環された空気50、及び/又はエンジンブリードエアーは、中央空調装置2に供給されることができる。これらの暖かい空気源は、特に低エネルギー損失を有する暖かい空気を供給することができる。先行技術における空調システムも、最大空気流量を要求するキャビン空間領域へのライン内に電気加熱用装置を有する。航空機内では、電気エネルギーは比較的高いエネルギー損失でのみ発生される。結果として、本発明に係る空調システムは、従来技術の空調システムより低い総エネルギーしか必要としない。]
[0046] 図1についての実施形態では、第二キャビン空間領域は第一シート30の周囲に相当し、第三キャビン空間領域は第二シート32の周囲に相当し、及び第四キャビン空間領域は第三シート34の周囲に相当する。しかしながら、第二、三及び四キャビン空間領域は第一キャビン空間領域28から切り離されて位置することもできる。] 図1
[0047] 第一シート30の周囲では実温度T1actualは第二温度センサー42によって検出され、第二シート32の周囲では実温度T2actualは第三温度センサー44によって検出され、第三シート34の周囲では実温度T3actualは第四温度センサー46によって検出される。第一シート30の周囲には所望の温度T1desiredが割り当てられ、第二シート32の周囲には所望の温度T2desiredが割り当てられ、第三シート34の周囲には所望の温度T3desiredが割り当てられる。シート30,32,及び34の周囲の所望の温度は、一元的に、又は例えばシートに組み込まれた設定装置によってそれぞれのシートで個別に予め設定されることができる。]
[0048] 第一シート30の周囲に第一冷却用装置16と第一加熱用装置22が割り当てられる。空気は、第一分岐ライン10を介して冷却用装置16と加熱用装置22に供給され、第二供給ライン36を通して第一シート30の周囲に入る。第二温度センサー42により検出される第一シート30の周囲の実温度T1actualと所望の温度T1desiredから、制御装置(不示図)は第二供給ライン36から第一シート30の周囲に入る空気流のTz1desiredを決定する。第一分岐ライン10内の空気は実温度Tgactualを有する。もし実温度Tgactualが第二供給ライン36の所望の温度Tz1desiredより高いのであれば、第一冷却用装置16が所望の温度Tz1desiredにまで空気流を冷却する。もし実温度Tgactualが第二供給ライン36内の空気流の所望の温度Tz1desiredより低い場合には、第一加熱用装置22は空気流を所望の温度Tz1desiredにまで加熱する。中央空調装置2によりおくられる空気流の実温度Tgactual、第一シート30の周囲に供給される空気流の所望の温度Tz1desired、及び第一シート30の周囲の実温度T1actualと所望の温度T1desiredに基づく、第一冷却用装置16と第一加熱用装置22の制御は分散化した制御装置により達成される。これは特に大きな航空機の場合に好ましい。しかしながら、中央空調装置2が、第一冷却用装置16と第一加熱用装置22が共通の制御装置により制御されることも考えられる。]
[0049] 第一シート30の周囲に関して上述したのと同様に、第三供給ライン38から第二シート32の周囲に流れ込む空気流の温度の制御は達成される。このために、第三温度センサー44により検出される第二シート32の周囲の実温度T2actualと所望の温度T2desiredから、制御装置は第三供給ライン38から第二シート32の周囲へ入り込む空気流の所望の温度Tz2desiredを決定する。中央空調装置2から送られる実温度Tgactualの空気流が、第二シート32の周囲に供給される空気流の所望の温度Tz2desiredにまで温度制御されるように、制御装置は第二冷却用装置18と第二加熱用装置24を制御する。]
[0050] 第一シート30と第二シート32の周囲に関して上述したのと同様に、第四供給ライン40から第三シート34の周囲へ流れ込む空気流の温度の制御は達成される。第四温度センサー46により検出される第三シート34の周囲の実温度T3actualと所望の温度T3desiredから、制御装置は第四供給ライン40から第三シート34の周囲へ入り込む空気流の所望の温度Tz3desiredを決定する。中央空調装置2から送られる実温度Tgactualの空気流が第三シート34の周囲に供給される空気流の所望の温度Tz3desiredにまで温度制御されるように、制御装置は第三冷却用装置20と第三加熱用装置26を制御する。]
[0051] また、第二冷却用装置18と第二加熱用装置24の制御も、自発的に又は分散的な方法で達成されることができる。同様に、前記第三冷却用装置20と第三加熱用装置26の制御は、自発的に又は分散的な方法で達成されることができる。また、複数の又は全ての冷却用装置と加熱用装置を制御する制御装置も考えられる。また、中央空調装置2と全ての冷却用装置と加熱用装置を制御する制御装置も設置することができる。]
[0052] 本願の背景において、制御は閉ループ制御に関する統制を含むこともできる。それぞれの空間領域において、所望の温度は局所的に影響受け得る。その統制はキャビン内のそれぞれの空間領域でセンサーを介して実施されることができる。また、例えばシート周囲の空調等の局所的な空調のために、人間の知覚に基づいた制御も適している。この場合には、空間領域に供給される空気流の温度の所望の値を直接設定し、及び/又は直接加熱力/冷却力を直接設定することができる。]
[0053] 図2は本発明の第二の実施形態を示す。第二の実施形態の構造と機能は、実質的に第一の実施形態の構造と機能に相当する。一致又は類似するコンポーネントは図1と同じ参照番号で示される。第一の実施形態に加えて、第二の実施形態はキャビン空気冷却用装置54とキャビン空気加熱用装置56を具備する。キャビン空気分岐ライン52は、実温度Tgactualの空気を中央空調装置2からキャビン空気冷却用装置54とキャビン空気加熱用装置56へ供給する。もし中央空調装置2から送られる空気の実温度Tgactualが第一供給ライン8’によりキャビン28へ供給される空気流の所望の温度Tzcdesiredより高い場合には、キャビン空気冷却用装置54が中央空調装置2により供給される空気流を所望の温度Tzcdesiredにまで冷却するように、制御装置(不示図)はキャビン空気冷却用装置54を制御する。もし中央空調装置2から送られる空気の実温度Tgactualがキャビン28へ供給される空気流の所望の温度よりTzcdesired低い場合には、キャビン空気加熱用装置56は前記空気流を所望の温度Tzcdesiredにまで加熱する。この場合、空調システムの総エネルギー消費量が最小になるように、中央空調装置から送られる空気の実温度Tgactualを選択することができる。これは、個々のキャビン空間領域が似たような空気流量を必要とするときに特に役に立つ。この場合、制御装置は中央空調装置2、冷却用装置16,18,20、キャビン空気冷却用装置54、加熱用装置22,24,26、及びキャビン空気加熱用装置56を制御する。供給ラインに割り当てられる加熱用装置又はキャビン加熱用装置、及び冷却用装置又はキャビン冷却用装置は、直列また並列に配置されることができる。] 図1 図2
[0054] 上述したように、一方で、最小化されるエネルギーは、例えば高温エンジンブリードエアーを発生するために消費されるエネルギー、エンジンブリードエアーを冷却するために消費されるエネルギー、及び又はキャビンエアーを再循環させるために消費されるエネルギーからなる。これが、中央空調装置により暖かい空気を供給するために必要なエネルギーとなる。他方で、最小化されるエネルギーは、例えば気化冷却のために必要とされるエネルギー、水を供給するために必要とされるエネルギーからなる。さらに、最小化されるエネルギーは加熱用装置に必要とされるエネルギーからなる。電気加熱用装置の場合では、加熱用装置により消費される電流と電流発生時に生じるエネルギー損失が考慮される。トリムバルブを有する加熱用装置の場合、高温エンジンブリードエアー又はトリムエアーを発生させるために消費されるエネルギーが考慮される。もし除かれたトリムエアーがパックに供給されるブリードエアー量を減少させる場合には、より少ないブリードエアーがパック内で冷却されるので、パック内のエネルギー損失が減少したと考慮することができる。]
[0055] 上述したように、高温エンジンブリードエアーの発生のために消費されるエネルギーは推進力の損失を生じさせる。これは、エンジンのコンプレッサーが外気を取り込み、外気を圧縮し、圧縮された外気を空調システムへ供給するという事実によって発生する。上述のように、高温エンジンブリードエアーはパックに供給されることができ、及び/又はトリムエアーとして用いることができる。最小化されるエネルギー収支はまた、ブリードエアーを供給するために外気が圧縮されるために要求されるエネルギーを含むことができる。また、熱交換器、及び/又はパック内の膨張−圧縮サイクルによるパック内の損失も考慮される。さらに、ラムエアーを用いることによる航空機の抵抗の増加によるエネルギー損失が考慮される。また、キャビンへ供給される空気流を冷却するために積載される水の重量が考慮される。一般的に、冷気は比較的高いエネルギー損失を有する暖かい空気としてのみ発生される。]
[0056] 本発明に係る空調システムは電力損失なしで、又は実質的に電力損失なしで空気を冷却でき、もし電気的に操作されたとしても加熱用装置は電流発生時のエネルギー損失により比較的高いエネルギー損失を生じさせるので、キャビン空間領域に供給される空気流の最も高い所望の温度にまで実温度Tgactualを設定することが好都合である。これは、一つのキャビン空間領域が他のキャビン空間領域よりわずかに高い温度を要求している場合に、特に都合がよい。他のキャビン空間領域に供給される空気は、気化冷却により冷却されることができる。上述のように、例えば、もし、再循環された空気50又はエンジンブリードエアーが使われたとしても、中央空調装置2が比較的低いエネルギー損失で暖かい空気を提供できる。中央空調装置2により送られた空気流の実温度Tgactualはキャビン空間領域に供給される空気流の所望の温度の最小と最大値の間のどの温度でも設定できる。]
[0057] 図3は本発明の第三の実施形態を示す。第三の実施形態は、第一ライン6から共通の分岐ライン58中へと分配される空気流が中央冷却用装置60に供給されるという点において図1による第一の実施形態と異なる。中央冷却用装置60から、第二供給ラインを通り第一シート30の周囲へ空気流を供給する第一分配ライン62を通り、第一加熱用装置22へ空気流が供給される。第二分配ライン64を通り、第三供給ライン38を通り第二シート32の周囲へ空気流が供給される中央冷却用装置60から、第二加熱用装置24へ空気流の一部が供給される。中央冷却用装置60の空気流のもう一部分は、第三分配ライン66を通り、第四供給ライン40を通り第三シート34の周囲へ供給される第三加熱用装置26へ供給される。中央空調装置2から送られる空気流の実温度Tgactualの制御は、図1の第一実施形態で前述した影響を受ける。] 図1 図3
[0058] 故に、中央空調装置2により送られる空気流の実温度Tgactualは、キャビン28の所望の温度と一致する。中央空調装置2により送られる空気流の実温度Tgactualは最大の空気流量を要求するキャビン空間領域の所望の温度と実質的に一致することが好ましい。]
[0059] 第二温度センサー42は、第一シート30周囲の実温度T1actualを検出し、第三温度センサー44は、第2シート32周囲の実温度T2actualを検出し、第四温度センサー46は、第一シート34周囲の実温度T3actualを検出する。制御装置(不示図)は、実温度T1actual,T2actual,T3actualとシート30,32,及び34の周囲の所望の温度T1desired,T2desired,T3desiredとを比較し、それから第一シート30の周囲に供給される空気流の所望の温度Tz1desiredを算出し、第二シート32の周囲に供給される空気流の所望の温度Tz2desiredを算出し、第三シート34の周囲に供給される空気流の所望の温度Tz3desiredを算出する。]
[0060] もし中央空調装置2から送られる空気流の実温度Tgactualより所望の温度Tz1desired,Tz2desired,Tz3desiredが低い場合には、中央空気冷却用装置60がシート30,32,34の周囲に供給される空気流の所望の温度Tz1desired,Tz2desired,Tz3desiredの中で最も低い温度にまで、中央分切れライン58により送られる空気流を冷却する。もし中央冷却用装置60から送られる空気流の実温度がシート周囲に供給される空気流の所望の温度と一致するときは、対応する加熱用装置は該空気流を加熱する必要はない。もし、例えば中央冷却用装置60から送られる空気流の実温度が第一シート30周囲に供給される空気流の所望の温度Tz1desiredと一致するときは、第一加熱用装置22は該空気流を加熱する必要はない。]
[0061] もしシート周囲に供給される空気流の所望の温度が中央冷却用装置60により送られる空気流の実温度より高い場合には、該空気流が割り当てられる加熱用装置は、対応する空気流の所望の温度にまで空気流を加熱する必要はない。もし、例えば第二シート32の周囲に供給される空気流の所望の温度Tz2desiredが中央冷却用装置60により送られる空気流の実温度より高い場合には、第二加熱用装置24は、所望の温度Tz2desiredにまで第二分岐ライン64により送られる空気流を加熱する必要はない。]
[0062] この実施形態は、冷気が供給されなければならない、例えばシート周囲等の複数の小さい空間領域を有する航空機には特に適している。]
[0063] 図4は、海抜高度7000フィート(約2134m)に相当する、約782hPaの空気圧でのモリエh−x線図を示している。この線図中でポイントAは、相対湿度5%、温度20℃において、気化冷却用装置に供給される空気を示している。この条件は、巡航高度における航空機のビジネスクラス内の個別設定可能な換気の必要条件におおよそ一致する。ポイントBは気化冷却により到達できる最も低い温度を示している、すなわち約5℃を示している。ポイントAからポイントCへ向かう矢印は加熱により到達できる相対空気湿度と温度を共に示している。気化冷却法では低温表面での多量の凝集を起こし、結果として腐食するので、気化冷却法を用いたときには、航空機内の最大相対空気湿度100%には到達しない。現実的な排気口での最大湿度は50%で、この例で示される空気流は約20℃〜約10℃に冷却されることができる。] 図4
[0064] 本発明に係る方法と本発明に係る空調システムは、制御可能又は統制可能な冷却用と加熱用の局所的な空気流を提供する。個々のキャビン空間領域に供給される空気流の所望の温度に基づく中央空調装置の制御により、例えば空気の加熱又は冷却時に起こるエネルギー損失を考慮するとき、空調システムのエネルギー必要量は最小化できる。気化冷却おける冷却用装置への水供給ラインは、冷気供給ライン又は冷却剤を循環させることにより冷却する場合に必要となる送り配管と戻り配管と比べると、小さいスペースで十分である。航空機内に水が存在するので、追加の冷却剤は不要である。例えば冷却剤の蒸発機又は航空機外板などの低温表面における結露水は収集でき、該結露水は石灰、塩又は他の可能基質を実質的に含まないので、結露水が冷却用装置内で蒸発するために用いられることが望ましい。冷却用装置は小さなスペースで十分という結果になる。単に水を供給し微細化するに過ぎないため、空気流を冷却するための必要エネルギーは低減される。気化による冷却は無駄な時間が短く、又は時定数が低い。局所的な空気湿度の増加により、特に長距離飛行において乗客の快適さが増大する。気化冷却はキャビンの空調とキャビン空間領域の空調の両方に用いることができる。また、気化冷却は局所的な空調、例えばシート周囲の空調にも用いることができる。]
[0065] 更なる本発明の利点は、それぞれの空間領域に新鮮な空気、つまり中央空調装置内で調整された空気が供給されることである。結果として、乗客の快適さも増大する。]
权利要求:

請求項1
航空機のキャビン(28)の空間領域(28,30,32,34)の個別空調のための航空機用の空調システムであって、飛行中に、前記キャビン(28)の外の空気圧より高い圧力と実気温(Tgactual)を有する中央空気流を供給するように設計された中央空調装置(2)と、前記中央空気流の一部を第一キャビン空間領域(28)に供給するように設計された第一供給ライン(8)と、及び前記中央空気流の他の部分を少なくとも一つの他のキャビン空間領域(30,32,34)に供給するように設計された少なくとも一つの分岐ライン(10,12,14;58)とを有し、前記分岐ライン(10,12,14;58)中の空気流の実温度(Tgactual)が前記それぞれの他の空間領域(30,32,34)に供給される空気流の所望の温度(Tz1desired,Tz2desired,Tz3desired)より高い場合において、冷却のために前記キャビン(28)の空間領域(28,30,32,34)へ供給される空気流の中へ水を蒸発させるように設計された、少なくとも一つの前記分岐ライン(10,12,14;58)中の空気流を冷却する冷却用装置(16,18,20;60)を有することを特徴とする個別空調のための航空機用の空調システム。
請求項2
測定された実温度(Tgactual)に基づいて、前記分岐ライン(10,12,14;58)中の空気流が前記それぞれの空間領域(30,32,34)に供給される空気流の所望の温度(Tz1desired,Tz2desired,Tz3desired)まで冷却されるような方法で、前記冷却用装置(16,18,20;60)を制御するように設計された制御装置を有することを特徴とする請求項1に記載の個別空調のための航空機用の空調システム。
請求項3
前記冷却用装置(16,18,20;60)が、冷却のために前記キャビン(28)の空間領域(28,30,32,34)へ供給された空気流の中へ水を蒸発させるように設計されたものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の個別空調のための航空機用の空調システム。
請求項4
前記空気流の実温度が前記それぞれ他の空間領域(30,32,34)に供給される空気流の所望の温度(Tz1desired,Tz2desired,Tz3desired)より低い場合において、少なくとも一つの前記分岐ライン(10,12,14)中の空気流を加熱する加熱用装置(22,24,26)を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の個別空調のための航空機用の空調システム。
請求項5
前記分岐ライン(58)が前記中央空気流の一部を前記冷却用装置(60)に供給し、前記冷却用装置(60)から出る空気流を分割し、それぞれ分割された空気流を加熱用装置(22,24,26)へ供給する複数の分配ライン(62,64,66)に前記冷却用装置が接続されるものであることを特徴とし、複数のキャビン空間領域(30,32,34)のそれぞれ一つに空気流を供給する少なくとも一つのそれぞれの供給ライン(36,38,40)に前記加熱用装置(22,24,26)が接続されるものであることを特徴とする請求項4に記載の個別空調のための航空機用の空調システム。
請求項6
一組の加熱用装置(16,18,20)と冷却用装置(22,24,26)からのそれぞれの空気流をキャビン空間領域(30,32,34)へ導く複数の供給ライン(36,38,40)を有するだけでなく、前記中央空調装置(2)からの一部の空気流の方向を変え、それぞれ方向を変えられた空気流を一組の加熱用装置(22,24,26)と冷却用装置(16,18,20)に供給する複数の分岐ライン(10,12,14)を有することを特徴とする請求項4に記載の個別空調のための航空機用の空調システム。
請求項7
前記中央空調装置により送られた空気が、最大の空気流量を必要とするキャビン空間領域(28,30,32,34)の所望の温度(Tzcdesired,Tz1desired,Tz2desired,Tz3desired)と実質的に一致する実温度(Tgactual)を有するような方法で、制御装置が前記中央空調装置(2)を制御するものであることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の個別空調のための航空機用の空調システム。
請求項8
前記空調システムの総エネルギー消費量が最小となるような方法で、前記制御装置が前記中央空調装置(2)、前記少なくとも一つの冷却用装置(16,18,20;60)、及び前記少なくとも一つの加熱用装置(22,24,26)を制御するものであることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の個別空調のための航空機用の空調システム。
請求項9
前記冷却用装置(16,18,20;60)が前記空気流の中へ水を吹きつけ、超音波により前記空気流の中へ水を噴霧し、及び/又は圧縮空気により前記空気流の中へ水を微細化するものであり、又は前記キャビン空間領域(28,30,32,34)に供給される空気流が気泡塔を通過するように、前記冷却用装置(16,18,20;60)が設計されたものであり、又は多孔質材に含まれた水及び/又は大表面積をもつ物体上の水が空気流の中へ蒸発するように、前記冷却用装置(16,18,20;60)が設計されたものであり、又は膜上の水が空気流の中へ蒸発するように、前記冷却用装置(16,18,20;60)が設計されたものであることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の個別空調のための航空機用の空調システム。
請求項10
航空機のキャビン(28)の空間領域(28,30,32,34)の個別空調方法であって、飛行中に、前記キャビンの外の空気圧より高い圧力に加圧された空気流を供給する工程と、前記加圧された空気流を実温度(Tgactual)に温度制御する工程と、実温度(Tgactual)に前記温度制御された空気流を第一キャビン空間領域(28)へ供給する工程と、及び実温度(Tgactual)に前記温度制御された空気流を少なくとも一つの他のキャビン空間領域(30,32,34)へ供給する工程とを有し、前記それぞれ他のキャビン空間領域(30,32,34)に供給される空気流の所望の温度(Tz1desired,Tz2desired,Tz3desired)が実温度(Tgactual)より低い場合において、前記空気流がそれぞれの他のキャビン空間領域(30,32,34)に供給される前に、水を蒸発することにより前記少なくとも一つの他のキャビン空間領域(30,32,34)へ供給された空気流を冷却する工程を有すること特徴とする個別空調方法。
請求項11
この他のキャビン空間領域(30,32,34)に供給される空気流の所望の温度(Tz1desired,Tz2desired,Tz3desired)で空気流がこのキャビン空間領域(30,32,34)に入るように、測定された実温度(Tgactual)に基づいて、前記少なくとも一つの他のキャビン空間領域(30,32,34)へ供給された空気流の冷却の制御をする工程を有することを特徴とする請求項11に記載の個別空調方法。
請求項12
前記キャビン(28)の前記空間領域(28,30,32,34)へ供給される空気流の中へ水を蒸発させる工程を有することを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の個別空調方法。
請求項13
前記空気流が供給される前記キャビン空間領域(28,30,32,34)から空気を除去し、除去された空気流が再度前記キャビン空間領域(28,30,32,34)に供給される前に、該除去された空気流が冷却される工程を有することを特徴とする請求項9乃至請求項12のいずれか1項に記載の個別空調方法。
請求項14
それぞれの他のキャビン空間領域(30,32,34)に供給される空気流の所望の温度(Tz1desired,Tz2desired,Tz3desired)が実温度(Tgactual)より高い場合において、空気流がそれぞれの他のキャビン空間領域(30,32,34)へ供給される前に、少なくとも一つの他のキャビン空間領域(30,32,34)に供給された空気流を加熱する工程を有することを特徴とする請求項9乃至請求項13のいずれか1項に記載の個別空調方法。
請求項15
前記他のキャビン部分に供給される実温度(Tgactual)に温度制御された空気流を、他のキャビン空間領域(30,32,34)の全ての所望の温度(Tz1desired,Tz2desired,Tz3desired)の中で最も低い所望の温度(Tdesiredmin)にまで冷却する工程と、前記所望の温度(Tdesiredmin)の空気流を、それぞれ他のキャビン空間領域(30,32,34)へ割り当てられる複数の空気流に分配する工程と、それぞれのキャビン空間領域(30,32,34)に供給される空気流の所望の温度が、該他の空間領域の全ての所望の温度(Tz1desired,Tz2desired,Tz3desired)の中で最も低い所望の温度(Tdesiredmin)より高い場合において、それぞれの他のキャビン空間領域(30,32,34)に供給される前記分配された空気流を、それぞれの所望の温度(Tz1desired,Tz2desired,Tz3desired)にまで加熱する工程とを有することを特徴とする請求項14に記載の個別空調方法。
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