专利摘要:
本発明は、潤滑粘性の油、および上記潤滑組成物のうちの0.06重量%〜1.6重量%の石鹸含有量を有するカルシウム含有界面活性剤を含む潤滑組成物を提供する。上記潤滑組成物は、内燃機関を潤滑するのに適している。一実施形態において、本発明は、潤滑組成物を提供し、上記潤滑組成物は、潤滑粘性の油、および上記潤滑組成物の0.06重量%〜1.6重量%の石鹸含有量を有するカルシウム含有フェネート界面活性剤を含む。特定の実施形態において、上記カルシウム含有フェネート界面活性剤は、上記潤滑組成物に対して0.06〜1.6重量%石鹸含有量を提供し得る;または代わりに、上記カルシウム含有フェネート界面活性剤は、この総量の石鹸の一部を提供し得、その残りは、他の供給源によって提供される。
公开号:JP2011508810A
申请号:JP2010540787
申请日:2008-12-17
公开日:2011-03-17
发明作者:マイケル;アール. サットン,;マーク;シー. デイビース,
申请人:ザ ルブリゾル コーポレイションThe Lubrizol Corporation;
IPC主号:C10M169-04
专利说明:

[0001] (発明の分野)
本発明は、潤滑組成物を提供し、上記潤滑組成物は、潤滑粘性の油、および上記潤滑組成物のうちの0.06重量%〜1.6重量%の石鹸含有量を有するカルシウム含有界面活性剤を含む。上記潤滑組成物は、内燃機関を潤滑するために適切である。]
背景技術

[0002] (発明の背景)
リン化合物および硫黄を含むエンジン潤滑剤は、部分的に、微粒子排出および他の汚染物質の排出に寄与することが示された。さらに、硫黄およびリンは、触媒コンバーターにおいて使用される触媒を汚染し、上記触媒の性能の低下をもたらす傾向にある。]
[0003] 排出の制御(排出は、しばしば、NOx形成、SOx形成,粒状物質の形成、灰分の形成への寄与と関連し、かつ処理後触媒コンバーターの効率を低下させる)が増大するにつれて、エンジンオイルにおいて、硫黄、リンおよび硫酸化灰分の低下した量に関する要求が存在する。排出基準(例えば、Euro 4もしくはEuro 5)は、例えば、硫酸化灰分、リン、硫黄および粒状物質の量をさらに制限する。]
[0004] 乗用車(これは、「軽負荷(light−duty)」内燃機関(代表的には、6リットル以下のエンジン出力(engine capacity)を有する)を含む乗り物に関して言及され得る)において、排出基準(例えば、Euro 4もしくはEuro 5)の導入は、処理後デバイスの使用を増大させることが考えられる。処理後デバイスとしては、粒状フィルタが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、上記粒状フィルタは、ディーゼル乗用車に付け加えられている。]
[0005] 処理後デバイスの、硫黄、リンもしくは過剰量の灰分での汚染を減少させるために、潤滑剤は、低レベルの硫酸化灰分、リンおよび硫黄とともに処方されることが必要とされる。硫黄、リンおよび灰分に対するもっとも近年の制限は、軽負荷エンジンオイルのための2004 ACEAの結論(sequence)内に記載されている。特に、Cカテゴリー(すなわち、触媒適合性)については、その制限は、潤滑剤に必要とされる最低量である。よって、上記ACEA C1およびC4は、もっとも要求されるものの中で満たすべき仕様である。]
[0006] 特許文献1は、内燃機関(特に、高負荷(heavy duty)ディーゼル(HDD)エンジン)のための、低下したリン、硫黄および硫酸化灰分含有量を有する潤滑油組成物を開示している。この組成物は、優れたピストンの清潔さの性能を提供し、一定量のフェネート界面活性剤(これは、上記潤滑油組成物に比較的多量のフェネート石鹸を導入する)を含む。さらに、上記潤滑組成物は、スルホネート界面活性剤を含む。代表的には、上記フェネート界面活性剤もしくはスルホネート界面活性剤のうちの少なくとも一方は、マグネシウム含有界面活性剤である。]
[0007] 特許文献2は、多量の潤滑粘性の油、少量の炭酸化した硫化金属アルキルフェネートおよび少量の炭酸化金属アルキルアリールスルホネートを含む、高負荷ディーゼルエンジンのための潤滑組成物を開示している。ここでフェネートによって与えた上記総塩基当量は、上記フェネートおよびスルホネートによって与えた上記総当量のうちの85%より高い。]
[0008] 乗用車のエンジン技術が発展するにつれて、エンジンの構成要素は、より厳しい作動条件に曝されている。作動条件としては、高出力密度エンジン、ターボチャージャーの使用、および代替燃料の使用が挙げられ得る。多くの厳しい作動条件下で、潤滑剤および構成成分の酸化が、より容易に起きる。]
先行技術

[0009] 米国特許出願公開第2007/0149419号明細書
欧州特許出願公開第765 931号明細書]
課題を解決するための手段

[0010] (発明の要旨)
本発明の発明者らは、腐食コントロール、酸化コントロール、燃費(fuel economy)コントロール、清潔さ、スラッジ(sludge)コントロール、および耐摩耗性能のうちの少なくとも1つを提供する潤滑組成物を同定した。代表的には、本発明は、上記で強調した性能を維持しながら、産業仕様の要件(例えば、ACEAC1)を満たし得る。]
[0011] 一実施形態において、本発明は、潤滑組成物を提供し、上記潤滑組成物は、潤滑粘性の油、および上記潤滑組成物の0.06重量%〜1.6重量%の石鹸含有量を有するカルシウム含有界面活性剤を含む。]
[0012] 一実施形態において、本発明は、潤滑組成物を提供し、上記潤滑組成物は、潤滑粘性の油、および上記潤滑組成物の0.06重量%〜1.6重量%の石鹸含有量を有するカルシウム含有フェネート界面活性剤を含む。特定の実施形態において、上記カルシウム含有フェネート界面活性剤は、上記潤滑組成物に対して0.06〜1.6重量%石鹸含有量を提供し得る;または代わりに、上記カルシウム含有フェネート界面活性剤は、この総量の石鹸の一部を提供し得、その残りは、他の供給源によって提供される。]
[0013] 一実施形態において、本発明は、潤滑組成物を提供し、上記潤滑組成物は、潤滑粘性の油、および上記潤滑組成物の0.06重量%〜1.6重量%の石鹸含有量を有するカルシウム含有フェネート界面活性剤を含み、ここで上記潤滑組成物は、上記潤滑組成物の多くて0.5重量%の総硫酸塩灰分含有量を有する。]
[0014] 一実施形態において、本明細書で開示される潤滑組成物の石鹸含有量は、上記潤滑組成物の0.06重量%から1.4重量%未満の範囲であり得る。]
[0015] 一実施形態において、本明細書に記載される潤滑組成物は、1種以上の分散剤をさらに含む。代表的には、上記分散剤は、無灰分分散剤である。上記分散剤はまた、上記潤滑組成物の総窒素含有量の0.03重量%から0.08重量%未満、または0.04重量%〜0.07重量%を与え得る。]
[0016] 一実施形態において、本明細書に記載される潤滑組成物は、7mg KOH/g以下、または4〜7mg KOH/gの総塩基数(TBN)を有し得る。]
[0017] 一実施形態において、上記潤滑組成物は、(i)0.8重量%以下の硫黄含有量、(ii)0.1重量%以下のリン含有量、もしくは(iii)0.5重量%以下の硫酸化灰分含有量のうちの少なくとも1つを有すると特徴付けられる。]
[0018] 一実施形態において、本発明の潤滑組成物は、(i)0.5重量%以下の硫黄含有量、(ii)0.1重量%以下のリン含有量、および(iii)0.5重量%以下の硫酸化灰分含有量を有すると特徴付けられる。]
[0019] 一実施形態において、本発明は、内燃機関を潤滑するための方法を提供し、上記方法は、上記内燃機関に、本明細書で開示される潤滑組成物を供給する工程を包含する。代表的には、上記内燃機関は、乗用車の内燃機関である。上記乗用車の内燃機関は、6リットル以下、5リットル以下、もしくは4リットル以下、1リットル〜3リットルのエンジン出力(すなわち、ピストンシリンダー排気量)を有し得る。]
[0020] 一実施形態において、本発明は、(i)燃費のコントロール、(ii)腐食のコントロール、(iii)清潔さ、および(iv)内径摩耗(bore wear)のコントロールのうちの少なくとも1つのための、乗用車の内燃機関における、本明細書で開示される上記潤滑組成物の使用を提供する。]
[0021] (発明の詳細な説明)
本発明は、上記で開示されるように、潤滑組成物およびエンジンを潤滑するための方法を提供する。]
[0022] 本明細書で使用される場合、用語「石鹸」とは、界面活性剤の表面活性部分を意味し、金属塩基(例えば、炭酸カルシウム)を含まない。上記石鹸の用語はまた、界面活性剤基体(detergent substrate)に言及し得る。例えば、フェネート界面活性剤石鹸もしくは基体は、アルキル化フェノールもしくは硫黄が結合したアルキル化フェノール、もしくはメチレンが結合したアルキル化フェノールである。あるいは、スルホネート界面活性剤については、上記石鹸もしくは基体は、アルキルベンゼンスルホン酸の中性塩である。]
[0023] 上記潤滑組成物は、1重量%以下、もしくは0.8重量%以下、もしくは0.5重量%以下、もしくは0.3重量%以下の硫黄含有量を有し得る。一実施形態において、上記硫黄含有量は、0.001重量%〜0.5重量%、もしくは0.01重量%〜0.3重量%の範囲であり得る。]
[0024] 上記リン含有量は、0.2重量%以下、もしくは0.1重量%以下、もしくは0.085重量%以下、もしくはさらに0.06重量%以下、0.055重量%以下、もしくは0.05重量%以下であり得る。一実施形態において、上記リン含有量は、100ppm〜1000ppm、325ppm〜700ppm、もしくは300ppm〜500ppmであり得る。]
[0025] 上記総硫酸化灰分含有量は、0.75重量%以下、もしくは0.5重量%以下であり得る。一実施形態において、上記硫酸化灰分含有量は、0.05重量%〜0.5重量%、もしくは0.1重量%〜0.2重量%〜0.45重量%であり得る。一実施形態において、上記総硫酸化灰分含有量は、上記潤滑組成物の0.5重量%以下である。]
[0026] 一実施形態において、上記潤滑組成物は、(i)0.5重量%以下の硫黄含有量、(ii)300ppm〜500ppmもしくはこれ以下のリン含有量、および(iii)0.5重量%以下の硫酸化灰分含有量を有し得る。]
[0027] (界面活性剤)
上記カルシウム含有界面活性剤は、中性であってもよいし、過塩基化されていてもよい。過塩基化カルシウム含有界面活性剤は、当該分野で公知である。]
[0028] 一実施形態において、上記カルシウム含有界面活性剤は、フェネート、サリキサレート(salixarate)、スルホネート、サリチレート、ハイブリッド界面活性剤、もしくはこれらの混合物であり得る。一実施形態において、上記カルシウム含有界面活性剤は、フェネートおよびスルホネートの混合物である。]
[0029] ハイブリッド界面活性剤は、フェネート成分および/もしくはスルホネート成分を含む混合界面活性剤系(例えば、フェネート/サリチレート、スルホネート/フェネート、もしくはスルホネート/サリチレート、スルホネート/フェネート/サリチレート)で;例えば、米国特許第6,429,178号;同第6,429,179号;同第6,153,565号;および同第6,281,179号に記載されるように、形成され得る。例えば、ハイブリッドスルホネート/フェネート界面活性剤が使用される場合、上記ハイブリッド界面活性剤は、それぞれ、類似の量のフェネートおよびスルホネート石鹸を導入する、異なるフェネートおよびスルホネート界面活性剤の量に等価であると考えられる。]
[0030] 一実施形態において、本発明の潤滑油組成物は、カルボキシレート界面活性剤を実質的に含まない(例えば、このような界面活性剤を、潤滑油組成物の100gあたり、わずか約0.5gのカルボキシレート石鹸を提供する量において含む)か、または完全にカルボキシレート界面活性剤を含まない。]
[0031] 一実施形態において、上記潤滑組成物は、マグネシウム含有界面活性剤を含まない。]
[0032] 一実施形態において、上記カルシウム含有界面活性剤は、フェネート界面活性剤およびスルホネート界面活性剤の混合物であり得る。カルシウム含有界面活性剤の混合物が使用される場合、上記スルホネート界面活性剤(石鹸、塩基性金属(例えば、炭酸カルシウム)、および従来の量の希釈油を含む)の量は、上記潤滑組成物の0.01重量%〜0.3重量%、もしくは0.02重量%〜0.15重量%、もしくは0.05〜0.1重量%であり得る。上記スルホネート界面活性剤は、300〜550、もしくは350〜480のTBNを有し得る。]
[0033] 上記フェネートは、硫黄含有フェネート、メチレン架橋したフェネート、もしくはこれらの混合物であり得る。一実施形態において、上記フェネートは、硫黄含有フェネートである。]
[0034] 一実施形態において、上記カルシウム含有界面活性剤は、石炭酸カルシウムであり、上記潤滑組成物中の唯一の界面活性剤である。]
[0035] 代表的には、上記硫黄含有フェネート界面活性剤は、30〜350、もしくは40〜300、もしくは50〜270、もしくは70〜170のTBNを有する。一実施形態において、上記硫黄含有フェネート界面活性剤は、155のTBNを有する。一実施形態において、上記硫黄含有フェネート界面活性剤は、250のTBNを有する。上記硫黄含有フェネート界面活性剤は、単独で使用されてもよいし、他の硫黄含有フェネート界面活性剤とともに使用されてもよい。一実施形態において、上記硫黄含有フェネート界面活性剤は、フェネート界面活性剤の混合物である。]
[0036] 上記カルシウム含有界面活性剤の石鹸含有量は、上記潤滑組成物の0.06重量%〜1.6重量%、もしくは0.08重量%〜1.4重量%、もしくは1.0重量%〜1.3重量%であり得る。上記カルシウム含有界面活性剤は、総石鹸含有量が、上記潤滑組成物に存在する石鹸の総量の少なくとも90重量%、もしくは92重量%より高い、96重量%以上、もしくは96重量%〜100重量%を与え得る。]
[0037] 上記潤滑組成物は、少なくとも2、もしくは少なくとも2.2、もしくは少なくとも2.5の、硫酸化灰分に対する石鹸の比を有し得る。一実施形態において、上記潤滑組成物は、2〜4の、灰分に対する石鹸の比を有し得る。]
[0038] (潤滑粘性の油)
上記潤滑組成物は、潤滑粘性の油を含む。このような油としては、天然および合成の油、水素化分解、水素化、および水素化仕上げ(hydrofinishing)に由来する油、未精製油、精製油、および再精製油、ならびにこれらの混合物が挙げられる。]
[0039] 未精製油は、一般に、さらなる精製処理なし(もしくはほとんどなし)に、天然もしくは合成の供給源から直接得られるものである。]
[0040] 精製油は、これらが1以上の精製工程においてさらに処理されて、1つ以上の特性を改善したことを除いて、上記未精製油に類似している。精製技術は、当該分野で公知であり、これら技術としては、溶媒抽出、二次蒸留、酸抽出もしくは塩基抽出、濾過、パーコレーションなどが挙げられる。]
[0041] 再精製油はまた、再生油もしくは再処理油として公知であり、精製油を得るために使用されるものに類似したプロセスによって得られ、しばしば、消費された添加剤および油分解物質の除去に関する技術によって、さらに処理される。]
[0042] 本発明の潤滑剤を作製するにおいて有用な天然油としては、動物性油、植物性油(例えば、ひまし油)、ミネラル潤滑油(例えば、流動パラフィン(liquid petroleum oil)、およびパラフィンタイプ、ナフテンタイプもしくは混合パラフィン−ナフテンタイプの溶媒処理もしくは酸処理したミネラル潤滑油、ならびに石炭もしくは頁岩に由来する油またはこれらの混合物が挙げられる。]
[0043] 合成潤滑油は有用であり、これらとしては、炭化水素油(例えば、重合化オレフィンおよび内部重合化オレフィン(例えば、ポリブチレン、ポリプロピレン、プロピレンイソブチレンコポリマー);ポリ(1−ヘキセン)、ポリ(1−オクテン)、ポリ(1−デセン)、およびこれらの混合物;アルキル−ベンゼン(例えば、ドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジノニルベンゼン、ジ−(2−エチルヘキシル)−ベンゼン);ポリフェニル(例えば、ビフェニル、ターフェニル、アルキル化ポリフェニル);ジフェニルアルカン、アルキル化ジフェニルアルカン、アルキル化ジフェニルエーテルおよびアルキル化ジフェニルスルフィド、ならびにこれらの誘導体、アナログおよびホモログ、またはこれらの混合物が挙げられる。]
[0044] 他の合成潤滑油としては、ポリオールエステル(例えば、Priolube(登録商標)3970)、ジエステル、リン含有酸の液体エステル(例えば、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、およびデカンリン酸のジエチルエステル(diethyl ester of decane phosphonic acid))、またはポリマー状テトラヒドロフランが挙げられる。合成油は、Fischer−Tropsch反応によって生成され得、代表的には、水素異性化(hydroisomerised)したFischer−Tropsch炭化水素もしくはワックスであり得る。一実施形態において、油は、Fischer−TropschGTL合成手順(gas−to−liquid synthetic procedure)ならびに他のGTL(gas−to−liquid)油によって調製され得る。]
[0045] 潤滑粘性の油はまた、American Petroleum Institute(API) Base Oil Interchangeability Guidelinesにおいて特定されるように、定義され得る。5つの基油グループは、以下の通りである:グループI(硫黄含有量>0.03重量%、および/もしくは<90重量%飽和、粘性指数80〜120);グループII(硫黄含有量≦0.03重量%、および≧90重量% 飽和、粘性指数 80〜120);グループIII(硫黄含有量≦0.03重量%、および≧90重量% 飽和、粘性指数≧120);グループIV(すべてのポリαオレフィン(PAO));およびグループV(グループI、II、III、IVのいずれにも含まれないすべての他のもの)。上記潤滑粘性の油は、API グループI、グループII、グループIII、グループIV、グループVの油もしくはこれらの混合物を含む。しばしば、上記潤滑粘性の油は、API グループI、グループII、グループIII、グループIVの油、もしくはこれらの混合物である。あるいは、上記潤滑粘性の油は、しばしば、API グループII、グループIIIもしくはグループIVの油、またはこれらの混合物である。一実施形態において、上記潤滑粘性の油は、API グループIIIの油であり得る。]
[0046] 存在する上記潤滑粘性の油の量は、代表的には、100重量%から残りの成分(すなわち、性能添加剤(performance additive)(無灰分耐摩耗剤および存在する場合、油溶性モリブデン化合物を含む))の量の合計を引いた後の差である。]
[0047] 上記潤滑組成物は、濃縮物および/もしくは完全に処方された潤滑剤の形態において存在し得る。本発明の潤滑組成物(上記カルシウム含有界面活性剤を含む)が、濃縮物(これは、さらなる油と合わされて、全体的にもしくは部分的に、最終潤滑剤を形成し得る)の形態において存在する場合、本発明の成分 対 上記潤滑粘性の油および/もしくは希釈油の比は、1:99〜99:1(重量単位)、もしくは80:20〜10:90(重量単位)の範囲を含む。]
[0048] (他の性能添加剤)
上記組成物は、必要に応じて、他の性能添加剤を含む。上記他の性能添加剤は、金属不活性化剤(metal deactivator)、粘性改変剤、摩擦改変剤、耐摩耗剤、腐食抑制剤、分散剤、分散粘性改変剤、極圧剤、抗酸化剤、消泡剤、解乳化剤、流動点降下剤(pour point depressant)、シール膨潤剤、チタン添加剤、油溶性モリブデン化合物、およびこれらの混合物のうちの少なくとも1つを含み得る。代表的には、完全に処方された潤滑油は、これら性能添加剤のうちの1種以上を含む。]
[0049] 一実施形態において、上記潤滑組成物は、無灰分耐摩耗剤を含み、粘性改変剤、抗酸化剤、スクシンイミド分散剤、もしくはこれらの混合物のうちの少なくとも1種をさらに含む。一実施形態において、上記潤滑組成物は、リン含有耐摩耗剤をさらに含む。]
[0050] (分散剤)
分散剤は、無灰分タイプ分散剤としてしばしば公知である。なぜなら、潤滑油組成物中で混合する前に、これらは、灰分形成金属を含まず、潤滑剤およびポリマー状分散剤に添加される場合に、いかなる灰分形成金属をも通常には与えないからである。無灰分タイプ分散剤は、比較的高分子量の炭化水素鎖に結合された極性基によって特徴付けられる。代表的な無灰分分散剤としてはN−置換された長鎖アルケニルスクシンイミドが挙げられる。N−置換された長鎖アルケニルスクシンイミドの例としては、350〜5000、もしくは500〜3000の範囲のポリイソブチレン置換基の数平均分子量を有するポリイソブチレンスクシンイミドが挙げられる。スクシンイミド分散剤およびそれらの調製は、例えば、米国特許第3,172,892号もしくは米国特許第4,234,435号に開示されている。スクシンイミド分散剤は、代表的には、ポリアミン(代表的には、ポリ(エチレンアミン)から形成されるイミドである。「熱エン」プロセスから調製されるポリイソブチレンスクシン無水物(succinic anhydride)から作製される分散剤は、文献(例えば、欧州特許出願第0 355 895 A2号)に記載されている。]
[0051] 一実施形態において、本発明は、350〜5000、もしくは500〜3000の範囲内の数平均分子量を有するポリイソブチレンスクシンイミドから得られる少なくとも1種の分散剤をさらに含む。上記ポリイソブチレンスクシンイミドは、単独で使用されてもよいし、他の分散剤との組み合わせにおいて使用されてもよい。]
[0052] 一実施形態において、本発明は、亜鉛とのポリイソブチレンスクシンイミド錯体を形成するために、ポリイソブチレンスクシン無水物、アミンおよび酸化亜鉛から得られる少なくとも1種の分散剤をさらに含む。上記亜鉛とのポリイソブチレンスクシンイミド錯体は、単独で使用されてもよいし、組み合わせにおいて使用されてもよい。]
[0053] 無灰分分散剤の別のクラスは、Mannich塩基である。Mannich分散剤は、アルキルフェノールとアルデヒド(特に、ホルムアミド)およびアミン(特に、ポリアルキレンポリアミン)との反応生成物である。上記アルキル基は、代表的には、少なくとも30個の炭素原子を含む。]
[0054] 上記分散剤はまた、種々の薬剤のうちのいずれかとの反応によって、従来の方法によって後処理され得る。これらの中には、ホウ素、尿素、チオ尿素、ジメルカプトチアジアゾ−ル、二硫化炭素、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、炭化水素置換されたスクシン無水物、マレイン酸無水物、ニトリル、エポキシド、およびリン化合物がある。]
[0055] 一実施形態において、本発明は、分散剤の混合物(分散剤パッケージともいわれる)を含む。上記分散剤パッケージは、(i)1以上の窒素に対するカルボニル比を有する分散剤;および(ii)1未満の窒素に対するカルボニル比を有する分散剤を含み得る。分散剤(i)および/もしくは(ii)は、次に、当業者に公知の「熱エン」プロセスによって調製されるアシル化剤を使用して作製され得る。]
[0056] 本発明の分散剤は、しばしば、N−置換された長鎖アルケニルスクシンイミドから得られる。分散剤パッケージとして存在する場合、一方の分散剤は、高い総塩基数を有し得る;そして一方は、高い総酸数を有し得る。一般に、高いTAN数を有する分散剤は、1以上、一実施形態において、1.2以上、別の実施形態において、1.4以上、およびさらに別の実施形態において、1.45以上、例えば、1.5の窒素に対するカルボニル比を有する。一般に、高いTBN数を有する分散剤は、1未満、一実施形態において、0.94以下、別の実施形態において、0.88以下、および別の実施形態において、0.8以下、例えば、0.77の窒素に対するカルボニル比を有する。上記窒素に対するカルボニル比は、モル濃度ベース(すなわち、窒素官能基(例えば、アミン窒素)のモルに対するカルボニル官能基(例えば、−C(O)−)のモルの比)で、計算されるべきである。]
[0057] 上記分散剤もしくは分散剤パッケージは、しばしば、上記組成物のうちの0.01〜30、一実施形態において、0.5〜25、別の実施形態において、1.5〜20、およびさらに別の実施形態において、3〜15重量%において、油を含まない基準で存在する。しばしば、高い総塩基数を有する上記分散剤は、分散剤パッケージにおいて、上記高い総酸数を有する分散剤より低い濃度において存在する。あるいは、高い総酸数を有する分散剤の量および高い総塩基数を有する分散剤の量は、等しい。さらに別の実施形態において、上記高い総酸数を有する分散剤は、しばしば、上記高い総塩基数を有する分散剤より低い濃度で存在する。しばしば、上記より多い量で存在する分散剤は、上記分散剤パッケージ中に存在する分散剤の量の50%より多い、一実施形態において、上記分散剤パッケージ中に存在する分散剤の量の55%より多い、さらに別の実施形態において、上記分散剤パッケージ中に存在する分散剤の量の60%より多い量で存在する。例えば、より多い量で存在する上記分散剤は、上記分散剤パッケージ中に存在する分散剤のうちの61%〜95%、一実施形態において、上記分散剤のうちの62%〜90%、およびさらに別の実施形態において、上記分散剤のうちの63%〜85%で存在し得る。一実施形態において、高いTANの分散剤 対 高いTBNの分散剤の比は、1:1〜15:1、別の実施形態において、2:1〜10:1、および別の実施形態において、3:1〜6:1である。]
[0058] 上記分散剤は、上記潤滑組成物のうちの0重量%〜20重量%、もしくは0.1重量%〜15重量%、もしくは0.1重量%〜10重量%、もしくは1重量%〜6重量%、もしくは7重量%〜12重量%において存在し得る。]
[0059] (抗酸化剤)
抗酸化化合物は公知であり、これらとしては、例えば、硫化オレフィン(代表的には、硫化4−カルボブトキシシクロヘキサン、もしくはそのトリフェニルホスファイト等価物、またはオレフィンスルフィド)、アルキル化ジフェニルアミン(代表的には、ジ−ノニルジフェニルアミン、オクチルジフェニルアミン、ジ−オクチルジフェニルアミン)、ヒンダードフェノール、またはこれらの混合物が挙げられる。抗酸化化合物は、単独で使用されてもよいし、組み合わせにおいて使用されてもよい。上記抗酸化剤は、上記潤滑組成物のうちの0重量%〜20重量%、もしくは0.1重量%〜10重量%、もしくは0.4重量%〜5重量%の範囲であり得る。]
[0060] 上記ヒンダードフェノール抗酸化剤は、しばしば、立体的に障害されている基として、二級ブチル基および/もしくは三級ブチル基を含む。上記フェノール基は、しばしば、ヒドロカルビル基および/もしくは第2の芳香族基に連結している架橋基でさらに置換される。適切なヒンダードフェノール抗酸化剤の例としては、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、4−メチル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、4−エチル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、4−プロピル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノールもしくは4−ブチル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、もしくは4−ドデシル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノールが挙げられる。一実施形態において、上記ヒンダードフェノール酸化剤はエステルであり、これらとしては、例えば、CibaのIrganoxTM L−135、もしくは2,6−ジ−tert−ブチルフェノールおよびアルキルアクリレートから得られた縮合生成物が挙げられ得、ここで上記アルキル基は、1〜18個、もしくは2〜12個、もしくは2〜8個、もしくは2〜6個、もしくは4個の炭素原子を含み得る。適切なエステル含有ヒンダードフェノール抗酸化化学物質のより詳細な説明は、米国特許第6,559,105号において見いだされる。]
[0061] (粘性改変剤)
粘性改変剤としては、スチレン−ブタジエンの水素化コポリマー、エチレン−プロピレンコポリマー、ポリイソブテン、水素化スチレン−イソプレンポリマー、水素化イソプレンポリマー、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリアルキルスチレン、水素化アルケニルアリール結合体化ジエンコポリマー、ポリオレフィン、マレイン酸無水物−スチレンコポリマーのエステル、または(α−オレフィンマレイン酸無水物)コポリマーのエステル、またはこれらの混合物が挙げられる。]
[0062] (分散粘性改変剤)
分散粘性改変剤(しばしば、DVMといわれる)としては、官能化ポリオレフィン、例えば、アシル化剤(例えば、マレイン酸無水物)およびアミンの反応生成物で官能化したエチレン−プロピレンコポリマー;アミンで官能化したポリメタクリレート、もしくはアミンと反応させたエステル化マレイン酸無水物−スチレンコポリマーが挙げられる。]
[0063] 粘性改変剤および/もしくは分散粘性改変剤の総量は、上記潤滑組成物のうちの0重量%〜25重量%、0.1重量%〜20重量%、もしくは0.1重量%〜15重量%であり得る。]
[0064] (耐摩耗剤)
上記潤滑組成物は、必要に応じて、少なくとも1種の他の耐摩耗剤をさらに含む。適切な耐摩耗剤の例としては、リン酸エステル、硫化オレフィン、硫黄含有耐摩耗添加剤(金属ジヒドロカルビルジチオホスフェート(例えば、ジアルキルジチオリン酸亜鉛を含む)、チオカルバメート含有化合物(チオカルバメートエステル、アルキレン連結チオカルバメート、およびビス(S−アルキルジチオカルバミル)ジスルフィドを含む)が挙げられる。]
[0065] ジアルキルジチオリン酸亜鉛は、一般に、以下の式:]
[0066] によって表され得る。
上記R1基およびR2基は、独立して、ヒドロカルビル基であり、これは、アセチレン不飽和を含まないことがあるか、しばしば、エチレン不飽和もまた含まないことがある。それらは、代表的には、アルキル、シクロアルキル、アラルキルもしくはアルカリール基であり、3〜20個の炭素原子(例えば、3〜16個の炭素原子)、もしくは最大13個までの炭素原子(例えば、3〜12個までの炭素原子)を有する。R1基およびR2基を提供するように反応するアルコールは、二級アルコールおよび一級アルコールの混合物(例えば、2−エチルヘキサノールおよびイソプロパノールの混合物)、または代わりに、二級アルコール(例えば、イソプロパノールおよび4−メチル−2−ペンタノール)の混合物であり得る。このような物質は周知であり、潤滑剤処方の当業者に容易に入手可能である。一実施形態において、上記ジアルキルチオリン酸亜鉛は、一級ジアルキルジチオリン酸亜鉛であり得る。一実施形態において、上記ジアルキルジチオリン酸亜鉛は、二級ジアルキルチオリン酸亜鉛であり得る。]
[0067] 特定の実施形態において、適切なジアルキルチオリン酸亜鉛の例としては、PCT出願US07/073428(発明の名称「Method of Lubricating an Internal Combustion Engine and Improving the Efficiency of the Emissions Control System of the Engine」)もしくはPCT出願US07/073426(発明の名称「Lubricating Oil Composition and Method of Improving Efficiency of Emissions Control System」)において開示されるものが挙げられる。両方の出願は、2006年7月17日の優先権を主張する。そこに記載されるジアルキルチオリン酸亜鉛は、以下の式:]
[0068] によって表されるリン含有化合物の混合物の亜鉛塩として定義され得、
ここでQ1およびQ2は、独立して、SもしくはOであり、R3およびR4は、独立して、ヒドロカルビル基であり、リン含有化合物の混合物についてのR3とR4の平均総炭素原子数は、少なくとも9.5であり;ここでR3およびR4は、(i)このような基のうちの4〜70重量%が、2〜4個の炭素原子を含み、そして(ii)このような基のうちの30〜96重量%が、5〜12個の炭素原子を含むという点で特徴付けられ;ここでリン含有化合物の混合物中の式(2)の分子のうちの8モル%未満において、R3およびR4の各々が、2〜4個の炭素原子を含み、上記混合物中の式(2)の分子の11モル%より多くにおいて、R3は、2〜4個の炭素原子を有し、R4は、5〜12個の炭素原子を有し;ここで上記式内において、上記O原子に対してβ位に位置した炭素原子上のR3およびR4における水素原子の平均総数は、少なくとも7.25である。一実施形態において、上記潤滑組成物は、ジヒドロカルビルジチオリン酸亜鉛を含まない。一実施形態において、上記潤滑組成物は、ジヒドロカルビルジチオリン酸亜鉛をさらに含む。]
[0069] 上記ジチオカルバメート含有化合物は、ジチオカルバミン酸もしくはジチオカルバミン酸塩と、不飽和化合物とを反応させることによって調製され得る。上記ジチオカルバメート含有化合物はまた、アミン、二硫化炭素および不飽和化合物を同時に反応させることによって、調製され得る。一般に、上記反応は、25℃〜125oCの温度において起こる。米国特許第4,758,362号および同第4,997,969号は、ジチオカルバメート化合物およびこれらを作製するための方法を記載している。]
[0070] 硫化オレフィンを形成するために硫化され得る適切なオレフィンの例としては、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン、ウンデシル、トリデセン、テトラデセン、ペンタデセン、ヘキサデセン、ヘプタデセン、オクタデセン、ノナデセン(nonodecene)、エイコセンもしくはこれらの混合物が挙げられる。一実施形態において、ヘキサデセン、ヘプタデセン、オクタデセン、ノナデセン(nonodecene)、エイコセンもしくはこれらの混合物、ならびにそれらのダイマー、トリマー、およびテトラマ−は、特に有用なオレフィンである。あるいは、上記オレフィンは、ジエン(例えば、1,3−ブタジエン)および不飽和エステル(例えば、ブチルアクリレート)のDiels−Alder付加物であり得る。]
[0071] 硫化オレフィンの別のクラスは、脂肪酸およびそれらのエステルを含む。上記脂肪酸は、しばしば、植物性油および動物性油から得られ、代表的には、4〜22個の炭素原子を含む。適切な脂肪酸およびそれらのエステルの例としては、トリグリセリド、オレイン酸、リノール酸、パルミトレイン酸もしくはこれらの混合物が挙げられる。しばしば、上記脂肪酸は、豚油、トール油、ラッカセイ油、大豆油、綿実油、ひまわり油もしくはこれらの混合物から得られる。一実施形態において、脂肪酸および/もしくはエステルは、オレフィンと混合される。]
[0072] 一実施形態において、無灰分耐摩耗剤(これはまた、摩擦改変剤としても記載され得る)は、ポリオールおよび脂肪族カルボン酸(しばしば、12〜24個の炭素原子を含む酸)のモノエステルであり得る。しばしば、ポリオールおよび脂肪族カルボン酸の上記モノエステルは、ひまわり油などとの混合物の形態において存在し、これは、上記無灰分耐摩耗剤混合物に存在し得、上記混合物のうちの5〜95重量%、もしくは他の実施形態において、10〜90重量%、もしくは20〜85重量%、もしくは20〜80重量%を含む。上記エステルを形成する脂肪族カルボン酸(特に、モノカルボン酸)は、代表的には、12〜24個もしくは14〜20個の炭素原子を含む酸である。カルボン酸の例としては、ドデカン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ベヘン酸、およびオレイン酸が挙げられる。]
[0073] ポリオールとしては、ジオール、トリオール、およびより高いアルコール性OH基の数を有するアルコールが挙げられる。多価アルコールとしては、エチレングリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびテトラエチレングリコールが挙げられる);プロピレングリコール(ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、およびテトラプロピレングリコールが挙げられる);グリセロール;ブタンジオール;ヘキサンジオール;ソルビトール;アラビトール;マンニトール;スクロース;フルクトース;グルコース;シクロヘキサンジオール;エリスリトール;およびペンタエリスリトール(ジペンタエリスリトールおよびトリペンタエリスリトールが挙げられる)が挙げられる。しばしば、上記ポリオールは、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセロール、ソルビトール、ペンタエリスリトール、もしくはジペンタエリスリトールである。市販の物質は、35±5%グリセロールジオレエート、および約5%未満のトリオレエートおよびオレイン酸とともに、化学種「グリセロールモノオレエート」の、約60±5重量%を含むと考えられる。以下に記載されるモノエステルの量は、市販のグレードの物質の量である。]
[0074] 他の耐摩耗剤としては、種々のホウ素含有化合物が挙げられ、これらのうちのいくつかはまた、腐食抑制剤としても作用し得る。上記ホウ素化合物は、可溶性ホウ素化合物(例えば、ホウ酸エステル)であり得る。上記ホウ酸エステル(ホウ酸化エステル耐摩耗剤としても公知)は、以下の式:]
[0075] のうちの1つ以上によって表される1種以上の化合物であり得、
ここで各Rは、独立して、有機基であり得、任意の2個の隣接するR基は、一緒に、環式基を形成し得る。上記のうちの2種以上の混合物が、使用され得る。一実施形態において、各Rは、独立して、ヒドロカルビル基であり得る。各式におけるR基中の炭素原子の総数は、上記化合物を上記基油において可溶性にするのに十分であり得る。一般に、上記R基中の炭素原子の総数は、少なくとも8個、および一実施形態において、少なくとも10個、および一実施形態において、少なくとも12個であり得る。必要とされる上記R基中の炭素原子の総数に制限はなくてもよいが、実際の上限は、400個もしくは500個の炭素原子であり得る。一実施形態において、各R基は、独立して、1〜100個の炭素原子、および一実施形態において、1〜50個の炭素原子、および一実施形態において、1〜30個の炭素原子、および一実施形態において、1〜10個の炭素原子のヒドロカルビル基であり得るが、ただし上記R基中の炭素の総数は、少なくとも8であり得る。各R基は、他と同じであってもよいが、それらは、異なっていてもよい。有用なR基の例としては、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、アミル、1,3−ジメチル−ブチル、2−エチル−1−ヘキシル、イソオクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、2−ペンテニル、ドデセニル、フェニル、ナフチル、アルキルフェニル、アルキルナフチル、フェニルアルキル、ナフチルアルキル、アルキルフェニルアルキル、およびアルキルナフチルアルキルが挙げられ得る。]
[0076] 一実施形態において、上記ホウ酸エステルは、以下の式:]
[0077] によって表される化合物であり得、
ここでR1、R2、R3およびR4は、独立して、1〜12個の炭素原子のヒドロカルビル基であり;そしてR5およびR6は、独立して、1〜6個の炭素原子、および一実施形態において、2〜4個の炭素原子、および一実施形態において、2個もしくは3個の炭素原子のアルキレン基である。一実施形態において、R1およびR2は、独立して、1〜6個の炭素原子を含み得、一実施形態において、各々は、t−ブチル基であり得る。一実施形態において、R3およびR4は、独立して、2〜12個の炭素原子、および一実施形態において、8〜10個の炭素原子のヒドロカルビル基である。一実施形態において、R5およびR6は、独立して、−CH2CH2−もしくは−CH2CH2CH2−である。]
[0078] 有用なホウ酸エステルは、商品名LA−2607の下でCrompton Corporationから入手可能であり得る。この物質は、R1およびR2が各々t−ブチルであり、R3およびR4が2〜12個の炭素原子のヒドロカルビル基であり、R5が−CH2CH2−であり、R6は−CH2CH2CH2−である、上記に示される構造を有するフェノールボレートとして同定され得る。]
[0079] 一実施形態において、上記ホウ酸エステルは、以下の式:]
[0080] によって表される化合物であり得、
ここで上記R基は、独立して、水素もしくはヒドロカルビル基である。上記ヒドロカルビル基のうちの各々は、1〜12個の炭素原子、および一実施形態において、1〜4個の炭素原子を含み得る。例は、2,2’−オキシ−ビス−(4,4,6−トリメチル−1,3,2−ジオキサボリネート(dioxaborinane))を含み得る。]
[0081] 一実施形態において、上記ホウ酸エステルは、式B(OC5H11)3もしくはB(OC4H9)3によって表される化合物であり得る。有用なホウ素含有化合物は、商品名MCP−1286の下でMobilから入手され得る。]
[0082] 他のホウ酸エステルとしては、いわゆる、ホウ酸化エポキシドが挙げられる。なぜなら、それらは、エポキシドとホウ素供給源とを反応させることによって調製され得るからである。このような物質は、他の構造の中でも以下の式:]
[0083] によって表され得る。ここで上記Rは、水素もしくはヒドロカルビル基である。ホウ酸化エポキシドは、一般に、1種以上の反応性ホウ素化合物(例えば、ホウ酸もしくは三酸化ホウ酸もしくは特定のホウ酸エステル)と少なくとも1個のエポキシドとの反応生成物である。上記エポキシドは、一般に、8〜30個、もしくは10〜24個、もしくは12〜20個の炭素原子を有する脂肪族エポキシドである。有用な脂肪族エポキシドの例としては、ヘプチルエポキシド、オクチルエポキシド、オレイルエポキシドなどが挙げられる。エポキシドの混合物(例えば、14〜16個の炭素原子および14〜18個の炭素原子を有するエポキシドの市販の混合物)もまた、使用され得る。上記ホウ酸化脂肪エポキシドは、一般に公知であり、米国特許第4,584,115号において開示されている。]
[0084] 上記ホウ酸化合物は、代表的には、少なくとも70重量パーツパーミリオン(重量ppm:parts per million by weight)のホウ素濃度(Bとしての)を有する上記潤滑油組成物を提供するに十分な濃度において、上記潤滑油組成物において使用される。このような量は、上記のように、上記チタン化合物と合わされた場合に、優れた酸化性能を付与すると考えられている。上記ホウ素についての適切な範囲は、70〜1000ppmもしくは85〜150ppmを含み得る。]
[0085] ホウ素化合物の他のタイプとしては、ホウ酸化分散剤(例えば、米国特許第6,596,672号(第13欄および第14欄を参照のこと)、ならびに米国特許第3,000,916号;同第3,087,936号;同第3,254,025号;同第3,282,955号;同第3,313,727号;同第3,491,025号;同第3,533,945号;同第3,666,662号および同第4,925,983号においてより詳細に記載されているもの)が挙げられる。]
[0086] 上記耐摩耗剤は、上記潤滑組成物のうちの0重量%〜5重量%、もしくは0.1〜4重量%において存在し得る。]
[0087] (極圧剤)
上記油中で可溶性である極圧(EP)剤としては、硫黄含有EP剤およびクロロ硫黄含有EP剤、塩素化炭化水素EP剤、ならびにリンEP剤が挙げられる。このようなEP剤の例としては、塩素化ワックス;有機スルフィドおよびポリスルフィド(例えば、ジベンジルジスルフィド、ビス−(クロロベンジル)ジスルフィド、ジブチルテトラスルフィド、オレイン酸の硫化メチルエステル、硫化アルキルフェノール、硫化ジペンテン、硫化テルペン、および硫化Diels−Alder付加物;ホスホ硫化炭化水素(例えば、硫化リンとテルペンチン(turpentine)もしくはオレイン酸メチルとの反応生成物);リンエステル(例えば、上記ジヒドロカーボンホスファイトおよびトリヒドロカーボンホスファイト(例えば、亜リン酸ジブチル、亜リン酸ジヘプチル、亜リン酸ジシクロヘキシル、亜リン酸ペンチルフェニル));亜リン酸ジペンチルフェニル、亜リン酸トリデシル、亜リン酸ジステアリル、およびポリプロピレン置換された亜リン酸フェノール;金属チオカルバメート(例えば、亜鉛ジオクチルジチオカルバメートおよびバリウムヘプチルフェノール二酸);アルキルリン酸およびジアルキルリン酸のアミン塩(例えば、ジアルキルジチオリン酸とプロピレンオキシドとの反応生成物のアミン塩が挙げられる);ならびにこれらの混合物が挙げられる。]
[0088] (摩擦改変剤)
一実施形態において、摩擦改変剤、もしくはその混合物がさらに含まれる。代表的には、上記摩擦改変剤は、上記潤滑組成物のうちの0重量%〜10重量%、もしくは0.01重量%〜8重量%、もしくは0.05重量%〜4重量%を含む範囲であり得る。]
[0089] 適切な摩擦改変剤の例としては、長鎖脂肪酸誘導体(例えば、アミン、エステル、もしくはエポキシド);脂肪イミダゾリン;ならびにアルキルリン酸のアミン塩が挙げられる。]
[0090] 摩擦改変剤はまた、硫化脂肪化合物およびオレフィン、トリグリセリド(例えば、ひまわり油)、もしくはポリオールと脂肪族カルボン酸とのモノエステル(これらすべての摩擦改変剤は、抗酸化剤もしくは耐摩耗剤として記載されてきた)のような物質を包含し得る。]
[0091] 一実施形態において、上記摩擦改変剤は、アミン、エステル、もしくはエポキシドの、長鎖脂肪酸誘導体である。]
[0092] 一実施形態において、上記摩擦改変剤は、長鎖脂肪酸エステル(無灰分耐摩耗剤として上記に記載されている)である。別の実施形態において、上記長鎖脂肪酸エステルは、モノエステルであり、別の実施形態において、上記長鎖脂肪酸エステルは、(トリ)グリセリドである。]
[0093] (油溶性モリブデン化合物)
油溶性モリブデン化合物はまた存在し得、耐摩耗剤、抗酸化剤、摩擦改変剤、もしくはこれらの混合物の機能的性能を有し得る。代表的には、上記油溶性モリブデン化合物は、モリブデンジチオカルバメート、ジアルキルジチオリン酸モリブデン、モリブデン化合物のアミン塩、モリブデンキサンテート(xanthate)、硫化モリブデン、カルボン酸モリブデン、モリブデンアルコキシド、もしくはこれらの混合物が挙げられる。上記硫化モリブデンとしては、二硫化モリブデンが挙げられる。上記二硫化モリブデンは、安定な分散物の形態において存在し得る。一実施形態において、上記油溶性モリブデン化合物は、モリブデンジチオカルバメート、ジアルキルジチオリン酸モリブデン、モリブデン化合物のアミン塩、およびこれらの混合物からなる群より選択され得る。一実施形態において、上記油溶性モリブデン化合物は、モリブデンジチオカルバメートである。]
[0094] 抗酸化剤として使用され得るモリブデンジチオカルバメートの適切な例としては、R.T.Vanderbilt Co.,Ltd.のMolyvan 822TMおよびMolyvanTM A、ならびにAsahi Denka Kogyo K.KのAdeka Sakura−LubeTM S−100、S−165、S−515、およびS−600のような商品名の下で販売されている市販の物質、ならびにこれらの混合物が挙げられる。]
[0095] 上記油溶性モリブデン化合物は、0.5ppm〜2000ppm、1ppm〜700ppm、1ppm〜550ppm、5ppm〜300ppm、もしくは20ppm〜250ppmのモリブデンを提供するに十分な量において存在し得る。]
[0096] 一実施形態において、上記潤滑組成物は、油溶性モリブデン化合物を含まない。一実施形態において、上記潤滑組成物は、油溶性モリブデン化合物を含む。]
[0097] (チタン添加剤)
本発明はまた、油溶性チタン含有添加剤物質、またはより一般に、炭化水素可溶性物質の形態においてチタンを含み得る。上記チタン添加剤は、沈着物コントロール、酸化コントロールもしくは濾過性のコントロールに有用であり得る。チタン添加剤およびこれらの調製法は、米国特許出願第2006−0217271号(Brownら、2006年9月28日)において開示された。「油溶性」もしくは「炭化水素可溶性」とは、油もしくは炭化水素中に巨視的にもしくは肉眼の尺度で溶解するかもしくは分散している物質、場合によっては、代表的には、実際の溶液もしくは分散物が調製され得るように、ミネラルオイルを意味する。有用な潤滑処方物を調製するために、上記チタン物質は、数日もしくは数週間の期間にわたって沈殿(precipitate)もせず、沈積もしないべきである。このような物質は、分子スケールで真の溶解度を示し得るか、または種々のサイズもしくはスケールの凝集物の形態において存在し得るが、ただしそれらは、肉眼的尺度では溶解もしくは分散している。]
[0098] 上記油溶性チタン含有物質の性質は、多様であり得る。このような物質は、例えば、米国特許公開第US 2006−0217271号(Brownら)に記載されている。本発明の油溶性物質の調製において、もしくはそのために使用され得るチタン化合物の中には、種々のTi(IV)化合物(例えば、酸化チタン(IV);硫化チタン(IV);硝酸チタン(IV);チタン(IV)アルコキシド(例えば、チタンメトキシド、チタンエトキシド、チタンプロポキシド、チタンイソプロポキシド、チタンブトキシド);および他のチタン化合物もしくは錯体(石炭酸チタン;カルボン酸チタン(例えば、チタン(IV) 2−エチル−1−3−ヘキサンジオエートもしくはクエン酸チタンもしくはオレイン酸チタン);チタン(IV) 2−エチルヘキソキシド;ならびにチタン(IV)(トリエタノールアミナート)イソプロポキシドが挙げられるが、これらに限定されない)がある。本発明に含まれる他の形態のチタンとしては、リン酸チタン(例えば、ジチオリン酸チタン(例えば、ジアルキルジチオホスフェート)およびスルホン酸チタン(例えば、アルキルスルホネート)、または一般に、塩(特に、油溶性塩)を形成するための、チタン化合物と種々の酸物質との反応生成物が挙げられる。チタン化合物は、よって、とりわけ、有機酸、アルコール、およびグリコールから得られ得る。Ti化合物はまた、Ti−O−Ti構造を含むダイマーもしくはオリゴマーの形態において存在し得る。このようなチタン物質は市販されているか、または当業者に明らかな適切な合成技術によって、容易に調製され得る。それらは、特定の化合物に依存して、室温では固体もしくは液体として存在し得る。それらはまた、適切な不活性溶媒中で溶液形態において提供され得る。]
[0099] 別の実施形態において、上記チタンは、Ti改変分散剤として供給され得る。分散剤は、以下により詳細に記載されている。分散剤の例は、スクシンイミド分散剤である。このような物質は、チタンアルコキシドとヒドロカルビル−置換されたスクシン無水物(例えば、アルケニル−(もしくはアルキル)スクシン無水物)との間でチタンを混合した無水物を形成することによって、調製され得る。上記得られたチタン酸−コハク酸中間体は、直接使用されてもよいし、多くの物質(例えば、(a)遊離の縮合可能なNH官能基を有するポリアミンベースのスクシンイミド/アミド分散剤;(b)ポリアミンベースのスクシンイミド/アミド分散剤(すなわち、アルケニル−(もしくはアルキル−)スクシン無水物およびポリアミンの成分、(c)置換されたスクシン無水物と、ポリオール、アミノアルコール、ポリアミン、もしくはこれらの混合物との反応によって調製されるヒドロキシ含有ポリエステル分散剤)のうちのいずれかと反応させられてもよい。あるいは、上記チタン酸−コハク酸中間体は、他の薬剤(例えば、アルコール、アミノアルコール、エーテルアルコール、ポリエーテルアルコールもしくはポリオール、または脂肪酸)、および潤滑剤にTiを付与するために直接使用され得るか、もしくは上記のように上記コハク酸分散剤とさらに反応させられ得るその生成物と反応させられ得る。例としては、1部(モル単位で)のチタン酸テトライソピロピルは、2部(モル単位で)のポリイソブテン−置換されたスクシン無水物と、140〜150℃において、5〜6時間にわたって反応させられて、チタン改変分散剤もしくは中間体を提供し得る。上記得られた物質(30g)は、150℃において1.5時間にわたって、ポリイソブテン−置換されたスクシン無水物からのスクシンイミド分散剤およびポリエチレン−ポリアミン混合物(127g+希釈油)とさらに反応させて、チタン改変スクシンイミド分散剤を生成し得る。]
[0100] 別の実施形態において、上記チタンは、チタンと塩形成した、および/もしくはチタンに対してキレート化したトリルトリアゾールオリゴマーとして供給され得る。上記トリルトリアゾールの表面活性特性は、上記チタンの送達系として作用することを可能にし、このことは、本明細書でほかの箇所に記載されている上記チタンの性能利益、およびトリルトリアゾールの耐摩耗性能の両方を付与する。一実施形態において、この物質は、最初に、トリルトリアゾール(1.5当量)およびホルムアルデヒド(1.57当量)を不活性溶媒中で合わせ、続いて、ジエタノールアミン(1.5当量)、次いで、ヘキサデシルスクシン無水物(1.5当量)および触媒量のメタンスルホン酸を添加すると同時に加熱しかつ縮合水を除去することによって、調製され得る。この中間体は、チタンイソプロポキシド(isoproxide)(0.554当量)と60℃において反応させられて、続いて、真空ストリッピングして、赤色の粘性生成物を提供し得る。]
[0101] Q.Xueら,Wear 213,29−32,1997(Elsevier Science S.A.)により詳細に記載されるように、チタンの他の形態(例えば、表面改変二酸化チタンナノ粒子)もまた提供され得る。この文献は、5nmの平均直径を有し、2−エチルヘキサン酸で表面改変されたTiO2ナノ粒子を開示する。有機ヒドロカルビル鎖によってキャップされたこのようなナノ粒子は、非極性有機溶媒もしくは弱い極性有機溶媒中で十分に分散するといわれている。それらの合成は、K.G.Severinらによって、Chem.Mater.6,8990−898,1994においてより詳細に記載されている。]
[0102] 一実施形態において、上記チタンは、長鎖ポリマー(すなわち、高分子量ポリマー)の一部でもないし、上記長鎖ポリマーに付着されてもいない。従って、上記チタン種は、これら環境において、150,000未満、もしくは100,000未満もしくは30,000もしくは20,000もしくは10,000もしくは5000、もしくは3000もしくは2000(例えば、約1000もしくは1000未満)の数平均分子量を有する。上記のように上記チタンを提供する非ポリマー種は、代表的には、このようなポリマーの分子量範囲未満である。例えば、チタンテトラアルコキシド(例えば、チタンイソプロポキシド)は、容易に計算され得るように、1000以下、もしくは300以下の数平均分子量を有し得る。チタン改変分散剤は、上記のように、3000以下、もしくは2000以下(例えば、約1000)の数平均分子量を有するヒドロカルビル置換基を含み得る。]
[0103] 存在する場合、上記潤滑剤に存在するチタンの量は、代表的には、少なくとも25重量パートパーミリオン(金属Tiとして)である。このような量は、以下のホウ素の量と組み合わせて、これらが使用される潤滑剤に、顕著に改善された酸化安定性を付与すると考えられる。上記チタンの量はまた、少なくとも25ppmもしくは少なくとも35ppmであり得る。チタンの適切な量は、従って、25〜1000ppm、もしくは35〜100ppmを含む。]
[0104] これら量は、調査される特定の系とともに変動し得、上記チタンと関連するアニオンもしくは錯化剤によってある程度まで影響を受け得る。また、使用されるべき特定のチタン化合物の全体量は、上記チタンと関連するアニオン基もしくは錯化基の相対重量に依存する。例えば、チタンイソプロポキシドは、代表的には、16.8重量%チタンを含む形態において商業的に供給される。]
[0105] 同様に、異なる性能利点は、異なる特定のチタン化合物を、すなわち、上記化合物の異なるアニオン部分もしくは錯化部分とともに、使用することによって得られ得る。例えば、表面改変TiO2粒子は、摩擦および摩耗特性を付与し得る。同様に、チタンで塩形成され、そして/もしくはチタンに対してキレート化したトリルトリアゾールオリゴマーは、耐摩耗特性を付与し得る。同様の様式において、比較的長鎖のアニオン部分またはリンもしくは他の耐摩耗元素を含むアニオン部分を含むチタン化合物は、上記アニオンの耐摩耗特性によって、耐摩耗性能を付与し得る。例としては、チタンネオデカノエート;チタン 2−エチルヘキソキシド;チタン(IV) 2−プロパノラート、トリス−イソオクタデカナト−O;チタン(IV) 2,2(ビス−2−プレペノラトメチル)ブタノラート、トリス−ネオデカナト−O;チタン(IV) 2−プロパノラート、トリス(ジオクチル)ホスホナト(phosphato)−O;およびチタン(IV) 2−プロパノラート、トリス(ドデシル)ベンゼンスルホナト−Oが挙げられる。任意のこのような耐摩耗付与物質が使用される場合、それらは、このような化合物なしで、潤滑組成物の表面より高い、表面摩耗の低下を付与するのに適した量で使用され得、そして実際に付与するべきである。]
[0106] 特定の実施形態において、上記チタン含有物質は、チタンアルコキシド、チタン改変分散剤、芳香族カルボン酸(例えば、安息香酸もしくはアルキル置換された安息香酸)のチタン塩、および硫黄含有酸(例えば、式R−S−R’−CO2Hのもの(ここでRは、ヒドロカルビル基であり、R’は、ヒドロカルビレン基である)のチタン塩からなる群より選択され得る。]
[0107] 上記チタン化合物は、任意の便利な様式において、例えば、別の方法で仕上げられた潤滑剤に添加する(トップ処理する(top−treating))ことによるか、または油もしくは他の適切な溶媒中において、必要に応じて、1種以上のさらなる成分(例えば、抗酸化剤、摩擦改変剤(例えば、グリセロールモノオレエート)、分散剤(例えば、スクシンイミド分散剤)、もしくは界面活性剤(例えば、過塩基化硫化フェネート界面活性剤)とともに、濃縮物の形態で上記チタン化合物を予めブレンドすることによって、上記潤滑組成物に付与され得る。このようなさらなる成分は、代表的には、希釈油とともに、代表的には、さらなるパッケージ(ときおり、DI(界面活性剤−インヒビター)パッケージといわれる)中に含まれ得る。]
[0108] (他の添加剤)
他の性能添加剤(例えば、腐食抑制剤)は、米国特許出願第US05/038319号(2004年10月25日に出願、発明者としてMcAteeおよびBoyer)の第5〜8段落において記載されるもの、ポリイソブチレンスクシン無水物(350〜2400、もしくは550〜2200の数平均分子量を有するポリイソブチレン基を有する)、オクチルアミンオクタノエート、およびドデセニルコハク酸もしくは無水物および脂肪酸(例えば、オレイン酸)とポリアミンとの縮合生成物が挙げられる。一実施形態において、上記腐食抑制剤としては、Synalox(登録商標)腐食抑制剤が挙げられる。上記Synalox(登録商標)腐食抑制剤は、代表的には、プロピレンオキシドのホモポリマーもしくはコポリマーである。上記Synalox(登録商標)腐食抑制剤は、Form No. 118−01453−0702AMS(The Dow Chemical Companyによって発行)とともに、製品パンフレットにより詳細に記載されている。上記製品パンフレットは、「SYNALOX Lubricants,High−Performance Polyglycols for Demanding Applications」と題されている。]
[0109] 銅腐食抑制剤(もしくは金属不活性化剤)としては、ベンゾトリアゾール(代表的には、トリルトリアゾール)の誘導体、ジメルカプトチアジアゾ−ル誘導体、1,2,4−トリアゾール、ベンゾイミダゾール、2−アルキルジチオベンゾイミダゾール、もしくは2−アルキルジチオベンゾチアゾールが挙げられ得る。]
[0110] ベンゾトリアゾールは、以下の環の1位もしくは2位もしくは4位もしくは5位もしくは6位もしくは7位のうちの少なくとも1つにヒドロカルビル置換を含み得る。上記ヒドロカルビル基は、1〜約30個、もしくは1〜約15個、もしくは1〜約7個の炭素原子を含み得る。一実施形態において、上記腐食抑制剤は、トリルトリアゾールである。一実施形態において、4位もしくは5位もしくは6位もしくは7位において置換されたヒドロカルビルベンゾトリアゾールは、アルデヒドおよび二級アミンとさらに反応させられ得る。]
[0111] アルデヒドおよび二級アミンとさらに反応させられる、適切なヒドロカルビルベンゾトリアゾールの例としては、N,N−ビス(ヘプチル)−ar−メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−メタンアミン、N,N−ビス(ノニル)−ar−メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−メタンアミン、N,N−ビス(デシル)−ar−メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−メタンアミン、N,N−ビス(ウンデシル)−ar−メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−メタンアミン、N,N−ビス(ドデシル)−ar−メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−メタンアミン、N,N−ビス(2−エチルヘキシル)−ar−メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−メタンアミン、およびこれらの混合物が挙げられる。一実施形態において、上記腐食抑制剤は、N,N−ビス(2−エチルヘキシル)−ar−メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−メタンアミンである。]
[0112] 一実施形態において、上記腐食抑制剤は、2,5−ビス(アルキル−ジチオ)−1,3,4−チアジアゾ−ルである。2,5−ビス(アルキル−ジチオ)−1,3,4−チアジアゾ−ルの上記アルキル基は、1〜約30個、もしくは約2〜約25個、もしくは4〜約20個、もしくは約6〜約16個の炭素原子を含む。適切な2,5−ビス(アルキル−ジチオ)−1,3,4−チアジアゾ−ルの例としては、2,5−ビス(tert−オクチルジチオ)−1,3,4−チアジアゾ−ル、2,5−ビス(tert−ノニルジチオ)−1,3,4−チアジアゾ−ル、2,5−ビス(tert−デシルジチオ)−1,3,4−チアジアゾ−ル、2,5−ビス(tert−ウンデシルジチオ)−1,3,4−チアジアゾ−ル、2,5−ビス(tert−ドデシルジチオ)−1,3,4−チアジアゾ−ル、もしくはこれらの混合物が挙げられる。]
[0113] 一実施形態において、上記潤滑組成物は2種以上の腐食抑制剤を含む。2種以上の腐食抑制剤が存在する場合、上記腐食抑制剤のうちの一方は、代表的には、トリアゾール(1,2,4−トリアゾール、もしくはベンゾトリアゾールのいずれか)を含み、上記の他方の腐食抑制剤のうちのいずれかを含む。]
[0114] 一実施形態において、上記潤滑組成物は、2種の腐食抑制剤を含む。一実施形態において、上記潤滑組成物は、3種の腐食抑制剤を含む。一実施形態において、上記潤滑組成物は、4種の腐食抑制剤を含む。]
[0115] 上記腐食抑制剤は、上記潤滑組成物のうちの0重量%〜1.5重量%、もしくは0.0003重量%〜1.5重量%、もしくは0.0005重量%〜1重量%、もしくは0.001重量%〜0.5重量%の範囲であり得る。]
[0116] 消泡剤がまた使用され得、消泡剤としては、エチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレートおよび必要に応じてビニルアセテートのコポリマーが挙げられ;解乳化剤としては、トリアルキルホスフェート、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドおよび(エチレンオキシド−プロピレンオキシド)ポリマーが挙げられる。]
[0117] マレイン酸無水物−スチレン、ポリメタクリレート、ポリアクリレートもしくはポリアクリルアミドのエステルを含む流動点降下剤もまた、使用され得る。]
[0118] (産業状の利用可能性)
上記潤滑組成物は、内燃機関において利用され得る。上記内燃機関は、2ストロークエンジンもしくは4ストロークエンジンであり得る。代表的には、上記内燃機関は、4ストロークエンジンである。]
[0119] 適切な内燃機関としては、船舶用ディーゼルエンジン、航空機用ピストンエンジン、低負荷ディーゼルエンジン、ならびに自動車およびドラック用エンジンが挙げられる。一実施形態において、上記内燃機関は、乗用車に適している。]
[0120] 一実施形態において、上記内燃機関は、ディーゼル燃料エンジン、ガソリン燃料エンジン、天然ガス燃料エンジンもしくはガソリン/アルコール混合燃料エンジンであり得る。一実施形態において、上記内燃機関は、ディーゼル燃料エンジンであり得、別の実施形態において、ガソリン燃料エンジンであり得る。]
[0121] 以下の実施例は、本発明の例示を提供する。これら実施例は、網羅的ではなく、本発明の範囲を限定するとは意図されない。]
[0122] 本明細書で使用される場合、以下に示される分散剤、界面活性剤および粘性改変剤の量のすべては、従来の量の希釈油を含み、代表的には、上記希釈油は、各成分の20重量%〜90重量%を構成する。耐摩耗剤、腐食抑制剤、抗酸化剤については、示される量は、活性剤ベース(すなわち、希釈油を除く)に対してである。なぜなら、上記成分は、代表的には、希釈油中に伴われないからである。]
[0123] 実施例1(EX1):5W−30潤滑組成物を調製し、これは、7重量%の分散剤、0.5重量%のジアルキルジチオリン酸亜鉛、2重量%の抗酸化剤(フェノール酸化剤およびアミン抗酸化剤の混合物)、0.05重量%のチタン化合物、0.15重量%の腐食抑制剤、0.1重量%のスルホネート界面活性剤、2重量%のフェネート界面活性剤を含む。その平衡(balance)は、4mm2s−1オイルおよび6mm2s−1オイルの混合物から得られるAPIグループIII基油である。上記潤滑組成物は、0.5重量%の硫酸化灰分含有量、460ppmのリン含有量、および0.185重量%の硫黄含有量を有する。EX1は、1.26重量%のフェネート石鹸含有量を有する。上記潤滑組成物の石鹸含有量は、1.283である。]
[0124] 実施例2(EX2):5W−30潤滑組成物を調製し、これは、5重量%の分散剤、0.5重量%のジアルキルジチオリン酸亜鉛、2重量%の抗酸化剤(フェノール抗酸化剤およびアミン抗酸化剤の混合物)、0.05重量%のチタン化合物、0.3重量%の腐食抑制剤、0.1重量%のスルホネート界面活性剤、2重量%のフェネート界面活性剤を含む。その平衡は、4mm2s−1オイルおよび6mm2s−1オイルの混合物から得られるAPIグループIII基油である。上記潤滑組成物は、0.5重量%の硫酸化灰分含有量、460ppmのリン含有量、および0.185重量%の硫黄含有量を有する。]
[0125] 実施例3(EX3):5W−30潤滑組成物を調製し、これは、5重量%の分散剤、0.5重量%のジアルキルチオリン酸亜鉛、1重量%の抗酸化剤(フェノール抗酸化剤およびアミン抗酸化剤の混合物)、0.05重量%のチタン化合物、0.15重量%の腐食抑制剤、2重量%のフェネート界面活性剤を含む。その平衡は、4mm2s−1オイルおよび6mm2s−1オイルの混合物から得られ得るAPIグループIII基油である。上記潤滑組成物は、0.5重量%未満の硫酸化灰分含有量、460ppmのリン含有量、および0.185重量%未満の硫黄含有量を有する。]
[0126] 実施例4(EX4):5W−30潤滑組成物を調製し、これは、7重量%の分散剤、0.5重量%のジアルキルチオリン酸亜鉛、1.5重量%の抗酸化剤(フェノール抗酸化剤およびアミン抗酸化剤の混合物)、0.05重量%のチタン化合物、0.2重量%の腐食抑制剤、2重量%のフェネート界面活性剤を含む。その平衡は、4mm2s−1オイルおよび6mm2s−1オイルの混合物から得られ得るAPIグループIII基油である。上記潤滑組成物は、0.5重量%未満の硫酸化灰分含有量、460ppmのリン含有量、および0.185重量%未満の硫黄含有量を有する。]
[0127] 実施例5(EX5):5W−40潤滑組成物を調製し、これは、5重量%の分散剤、0.5重量%のジアルキルチオリン酸亜鉛、2重量%の抗酸化剤(フェノール抗酸化剤およびアミン抗酸化剤の混合物)、0.05重量%のチタン化合物、0.15重量%の腐食抑制剤、0.1重量%のスルホネート界面活性剤、2重量%のフェネート界面活性剤を含む。その平衡は、4mm2s−1オイルおよび6mm2s−1オイルの混合物から得られ得るAPIグループIII基油である。上記潤滑組成物は、0.5重量%の硫酸化灰分含有量、460ppmのリン含有量、および0.185重量%の硫黄含有量を有する。]
[0128] 実施例6(EX6):5W−40潤滑組成物を調製し、これは、7重量%の分散剤、0.5重量%のジアルキルチオリン酸亜鉛、1重量%の抗酸化剤(フェノール抗酸化剤およびアミン抗酸化剤の混合物)、0.05重量%のチタン化合物、0.3重量%の腐食抑制剤、0.1重量%のスルホネート界面活性剤、2重量%のフェネート界面活性剤を含む。その平衡は、4mm2s−1オイルおよび6mm2s−1オイルの混合物から得られ得るAPIグループIII基油である。上記潤滑組成物は、0.5重量%の硫酸化灰分含有量、460ppmのリン含有量、および0.185重量%の硫黄含有量を有する。]
[0129] 実施例7(EX7):5W−40潤滑組成物を調製し、これは、5重量%の分散剤、0.5重量%のジアルキルジチオリン酸亜鉛、1重量%の抗酸化剤(フェノール抗酸化剤およびアミン抗酸化剤の混合物)、0.05重量%のチタン化合物、0.3重量%の腐食抑制剤、2重量%のフェネート界面活性剤を含む。その平衡は、4mm2s−1オイルおよび6mm2s−1オイルの混合物から得られ得るAPIグループIII基油である。上記潤滑組成物は、0.5重量%未満の硫酸化灰分含有量、460ppmのリン含有量、および0.185重量%の硫黄含有量を有する。]
[0130] 実施例8(EX8):5W−40潤滑組成物を調製し、これは、7重量%の分散剤、0.5重量%のジアルキルジチオリン酸亜鉛、2重量%の抗酸化剤(フェノール抗酸化剤およびアミン抗酸化剤の混合物)、0.05重量%のチタン化合物、0.3重量%の腐食抑制剤、2重量%のフェネート界面活性剤を含む。その平衡は、4mm2s−1オイルおよび6mm2s−1オイルの混合物から得られ得るAPIグループIII基油である。上記潤滑組成物は、0.5重量%未満の硫酸化灰分含有量、460ppmのリン含有量、および0.185重量%未満の硫黄含有量を有する。]
[0131] 比較実施例1(CE1):5−W30潤滑油組成物を調製し、これは、EX1に類似の添加剤および基油を含む。しかし、界面活性剤および耐摩耗化学物質の量を、約1.0重量%の硫酸化灰分含有量、1200ppmのリン含有量、および0.32重量%の硫黄含有量を有する潤滑組成物を生成するように改変する。CE1は、0.43重量%のフェネート石鹸含有量を有する。上記潤滑組成物の石鹸含有量は、0.80である。]
[0132] 比較実施例2(CE2):5−W30潤滑油組成物を調製し、これは、EX1に類似の添加剤および基油を含む。しかし、界面活性剤および耐摩耗化学物質の量を、0.5重量%未満の硫酸化灰分含有量、460ppmのリン含有量、および0.115重量%の硫黄含有量を有する潤滑組成物を生成するように改変する。CE2は、0.19重量%のフェネート石鹸含有量を有する。上記潤滑組成物の石鹸含有量は、0.213である。]
[0133] 比較実施例3(CE3):5−W30潤滑油組成物を調製し、これは、EX1に類似の添加剤および基油を含む。しかし、界面活性剤および耐摩耗化学物質の量は、約1.0重量%の硫酸化灰分含有量、1200ppmのリン含有量、および0.32重量%の硫黄含有量を有する潤滑組成物を生成するように改変する。CE3は、0.43重量%のフェネート石鹸含有量を有する。上記潤滑組成物の石鹸含有量は、0.486である。]
[0134] 比較実施例1は、米国特許出願第2007/0149419号および欧州特許出願第765 931 A号において開示される例の代表であると考えられる。上記米国特許出願は、1重量%の硫酸化灰分、1200ppmのリン、0.32重量%の硫黄含有量、および0.80重量%の総石鹸含有量を含む例を開示している。上記欧州特許出願は、0.9重量%の硫酸化灰分、1400ppmのリン、0.3重量%の硫黄含有量、および0.72重量%の総石鹸含有量を含む例を開示している。]
[0135] 潤滑剤EX1、CE1、CE2およびCE3を、パネルコーカー沈着試験(panel coker deposit test)において評価する。約233gのサンプルを、250ml Panel Coker装置中に配置し、325℃へと加熱する。その油受け(sump)温度は、95℃である。上記サンプルを、15秒間にわたって金属プレートに対して勢いよく塗りつけ(splash)、次いで、75秒間にわたって焼く。上記塗りつけおよび焼きサイクルを、スピンドル速度1000rpmで約4時間にわたって継続する。上記試験の間の気流は、350ml/分である。上記サンプルを室温へと冷却し、上記金属プレート上に残っている沈着物の量を、秤量する。得られた結果は、以下の通りである:]
[0136] その結果は、低灰分含有量および高フェネート石鹸含有量を有する本発明の潤滑組成物が、CE1、CE2およびCE3と比較して、沈着物形成を低下させることを示す。]
[0137] 上記の物質のうちのいくつかが、最終処方物中で相互作用し得、その結果、上記最終処方物の成分が、最初に添加したものとは異なる可能性があることは知られている。これによって形成される生成物(その意図された用途において本発明の潤滑組成物を使用する際に形成される生成物を含む)は、容易な説明ができない可能性がある。にも関わらず、すべてのこのような改変および反応生成物は、本発明の範囲内に含まれる;本発明は、上記の成分を混合することによって調製される潤滑組成物を包含する。]
[0138] 上記に言及される文献の各々は、本明細書に参考として援用される。実施例において、もしくは別のところで明示的に示される場合を除いて、この説明において物質、反応条件、分子量、炭素原子数などを特定するすべての数値量は、語句「約」によって修飾されていると理解されるべきである。別段示されなければ、本明細書で言及される各化学物質もしくは組成物は、市販のグレードの物質であると解釈されるべきであり、この物質は、異性体、副生成物、誘導体、および上記市販のグレードにおいて存在すると通常理解される他のこのような物質を含み得る。しかし、各化学成分の量は、別段示されなければ、上記市販の物質中に慣例上存在し得る任意の溶媒もしくは希釈油を除いて示される。本明細書に示される上限量および下限量、範囲、ならびに比率区域は、独立して、合わされ得ることが理解されるべきである。同様に、本発明の各要素についての範囲および量は、他の要素のうちのいずれかについての範囲および量とともに使用され得る。]
[0139] 本明細書で使用される場合、用語「ヒドロカルビル置換基」もしくは「ヒドロカルビル基」とは、その通常の意味において使用され、これは、当業者に周知である。具体的には、これは、炭素原子を有し、その分子の残りに直接結合し、主に炭化水素特徴を有する基をいう。ヒドロカルビル基の例としては、以下が挙げられる:
(i)炭化水素置換基(すなわち、脂肪族(例えば、アルキルもしくはアルケニル)、脂環式(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル)置換基、ならびに芳香族置換された、脂肪族置換された、および脂環式で置換された芳香族置換基、ならびに環式置換基)。ここで上記環は、上記分子の別の部分を介して完成している(例えば、2個の置換基が一緒になって環を形成する);
(ii)置換された炭化水素置換基(すなわち、本発明の状況において、上記置換基の主に炭化水素性質を変化させない非炭化水素基(例えば、ハロ(特に、クロロおよびフルオロ)、ヒドロキシ、アルコキシ、メルカプト、アルキルメルカプト、ニトロ、ニトロソ、およびスルホキシ)を含む置換基);
(iii)ヘテロ置換基(すなわち、主に炭化水素特徴を有すると同時に、本発明の状況において、炭素原子から別に構成される、環もしくは鎖中の炭素以外のものを含む置換基);ならびに
(iv)ヘテロ原子は、硫黄、酸素、窒素を含み、ピリジル、フリル、チエニルおよびイミダゾリルとして置換基を含む。一般に、わずか2個、好ましくはわずか1個の、非炭化水素置換基が、上記ヒドロカルビル基中の10個の炭素原子ごとに存在し;代表的には、上記ヒドロカルビル基中に非炭化水素置換基は存在しない。]
実施例

[0140] 本発明は、その好ましい実施形態に関連して説明されてきたが、その種々の改変が、本明細書を読めば、当業者に明らかになることは、理解されるべきである。従って、本明細書で開示される発明が、このような改変を、添付の特許請求の範囲内に入るとして網羅することが意図されることは、理解されるべきである。]
权利要求:

請求項1
潤滑組成物であって、該潤滑組成物は、潤滑粘性の油、および該潤滑組成物のうちの0.06重量%〜1.6重量%の石鹸含有量を有するカルシウム含有フェネート界面活性剤を含み、ここで該潤滑組成物は、該潤滑組成物のうちの多くて0.5重量%の総硫酸塩灰分含有量を有する、潤滑組成物。
請求項2
前記潤滑組成物のうちの石鹸含有量は、該潤滑組成物のうちの1.0重量%〜1.3重量%の範囲である、請求項1に記載の潤滑組成物。
請求項3
前記潤滑組成物は、分散剤をさらに含む、前述の請求項のいずれか1項に記載の潤滑組成物。
請求項4
前記潤滑組成物は、無灰分分散剤をさらに含み、該無灰分分散剤は、0.03重量%から0.08重量%未満の窒素を該潤滑組成物に与える、前述の請求項のいずれか1項に記載の潤滑組成物。
請求項5
前記潤滑組成物は、無灰分分散剤をさらに含み、該無灰分分散剤は、0.04重量%〜0.07重量%の窒素を該潤滑組成物に与える、前述の請求項のいずれか1項に記載の潤滑組成物。
請求項6
前記潤滑組成物は、(i)窒素に対するカルボニル比が1以上を有する分散剤;および(ii)窒素に対するカルボニル比が1未満を有する分散剤、の分散剤パッケージをさらに含む、前述の請求項のいずれか1項に記載の潤滑組成物。
請求項7
「熱エン」反応によって作製されるアシル化剤から得られる分散剤を含む、前述の請求項のいずれか1項に記載の潤滑組成物。
請求項8
前記潤滑組成物は、7mgKOH/g以下、もしくは4〜7mgKOH/gの総塩基数(TBN)を有する、前述の請求項のいずれか1項に記載の潤滑組成物。
請求項9
前記潤滑組成物は、(i)0.5重量%以下の硫黄含有量、(ii)0.1重量%以下のリン含有量、および(iii)0.5重量%以下の硫酸化灰分含有量、のうちの少なくとも一方を有すると特徴付けられる、前述の請求項のいずれか1項に記載の潤滑組成物。
請求項10
前記潤滑組成物は、0.01重量%〜0.3重量%の硫黄含有量を有する、前述の請求項のいずれか1項に記載の潤滑組成物。
請求項11
前記潤滑組成物は、300ppm〜500ppmのリン含有量を有する、前述の請求項のいずれか1項に記載の潤滑組成物。
請求項12
前記カルシウム含有フェネート界面活性剤は、スルホネート界面活性剤との混合物において存在する、前述の請求項のいずれか1項に記載の潤滑組成物。
請求項13
前記カルシウム含有界面活性剤は、フェネート界面活性剤のみである、前述の請求項のいずれか1項に記載の潤滑組成物。
請求項14
前記カルシウム含有フェネート界面活性剤は、硫黄含有フェネート界面活性剤である、前述の請求項のいずれか1項に記載の潤滑組成物。
請求項15
前記カルシウム含有フェネート界面活性剤は、前記潤滑組成物に存在する石鹸の総量の、少なくとも90重量%、または92重量%より高い、96重量%以上、または96重量%〜100重量%の総石鹸含有量を与える、前述の請求項のいずれか1項に記載の潤滑組成物。
請求項16
前記潤滑組成物は、硫酸化灰分に対するカルシウム含有フェネート界面活性剤からの石鹸の比が少なくとも2、または少なくとも2.2、または少なくとも2.5を有する、前述の請求項のいずれか1項に記載の潤滑組成物。
請求項17
油溶性チタン含有添加剤をさらに含む、前述の請求項のいずれか1項に記載の潤滑組成物。
請求項18
2種以上の腐食抑制剤をさらに含む、前述の請求項のいずれか1項に記載の潤滑組成物。
請求項19
1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾールもしくはこれらの混合物をさらに含む、前述の請求項のいずれか1項に記載の潤滑組成物。
請求項20
前記潤滑粘性の油は、APIグループII、IIIもしくはIVの油である、前述の請求項のいずれか1項に記載の潤滑組成物。
請求項21
前記潤滑粘性の油は、APIグループIIIの油を含む、前述の請求項のいずれか1項に記載の潤滑組成物。
請求項22
前記硫黄含有フェネート界面活性剤は、50〜270、もしくは70〜170のTBNを有する、前述の請求項のいずれか1項に記載の潤滑組成物。
請求項23
内燃機関を潤滑するための方法であって、該方法は、請求項1〜21に記載の潤滑組成物を該内燃機関に供給する工程を包含する、方法。
請求項24
前記内燃機関は、乗用車の内燃機関である、請求項23に記載の方法。
請求項25
前記内燃機関は、6リットル以下、5リットル以下、もしくは4リットル以下、1リットル〜3リットルのエンジン出力を有する、請求項23〜24のいずれか1項に記載の方法。
請求項26
(i)燃費のコントロール、(ii)腐食のコントロール、(iii)清潔さ、および(iv)内径摩耗のコントロールのうちの少なくとも1つのための、乗用車の内燃機関における請求項1〜22のいずれか1項に記載の潤滑組成物の使用。
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同族专利:
公开号 | 公开日
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WO2009085800A1|2009-07-09|
引用文献:
公开号 | 申请日 | 公开日 | 申请人 | 专利标题
法律状态:
2011-10-01| A521| Written amendment|Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110930 |
2011-10-01| A621| Written request for application examination|Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20110930 |
2013-08-01| A131| Notification of reasons for refusal|Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20130731 |
2014-04-18| A02| Decision of refusal|Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20140417 |
优先权:
申请号 | 申请日 | 专利标题
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