专利摘要:
インターロイキン(IL)-4受容体α(IL-4Rα)に対する結合メンバー、特に抗体分子、ならびにそれらの治療への使用、たとえばIL-4R、IL-4および/またはIL-13に関連する疾患(その例は喘息およびCOPDである)の処置または予防への治療的使用。なし
公开号:JP2011508592A
申请号:JP2010538920
申请日:2008-12-19
公开日:2011-03-17
发明作者:エリクソン,パー−オロフ,フレデリック;コヘン,スザンヌ;ドブソン,クレア,ルイーズ;ヴァッヘンフェルト,カリン フォン;レイン,デボラ,ルイーズ
申请人:メディミューン リミテッド;
IPC主号:C12N15-09
专利说明:

[0001] 本発明は、インターロイキン-4受容体α(IL-4Rα、またCD124とも称される)に対する結合メンバー、特に抗体分子、ならびに、それらの治療への使用、たとえば、IL-4Rα、IL-4および/またはIL-13と関係のある疾患の治療もしくは予防への使用に関するが、そうした疾患の例としては喘息およびCOPDがある。]
背景技術

[0002] ヒトIL-4Rαサブユニット(Swiss Protアクセッション番号P24394)は、ヒトIL-4と高い親和性で結合する140kDaの1型膜タンパク質である(Andrews et al J. Biol. Chem (2002) 277:46073-46078)。IL-4/ IL-4Rα複合体は、IL-4上のドメインを介して、共通γ鎖(γc、CD132)またはIL-13Rα1サブユニットのいずれかと二量体を形成し、2つの異なるシグナル伝達複合体を生成することができ、これらはそれぞれI型およびII型受容体と呼ばれる。また、IL-13はIL-13Rα1と結合して、IL-13/IL-13Rα1複合体を形成することができるが、これはIL-4RαサブユニットをリクルートしてII型受容体複合体を形成する。したがって、IL-4RαはIL-4およびIL-13のいずれの生物活性にも介在する(Gessner ら、Immunobiology, 201:285, 2000で概説されている)。in vitroでの研究から、IL-4およびIL-13は、数多くの細胞型、たとえば、T細胞、B細胞、好酸球、マスト細胞、好塩基球、気道平滑筋細胞、呼吸上皮細胞、肺線維芽細胞、および内皮細胞においてエフェクター機能を活性化することが明らかとなっている(Steinkeら、Resp Res, 2:66, 2001、およびWillis-Karp, Immunol Rev, 202:175, 2004で概説されている)。]
[0003] IL-4は、たとえば、末梢血T細胞、単球、気道上皮細胞、B細胞および肺線維芽細胞などのさまざまな細胞型で、少数(100-5000分子/細胞)が発現される。I型受容体は造血細胞で優位を占めるが、II型受容体は、造血細胞および非造血細胞のいずれでも発現される。]
[0004] ヒト個体群においてIL-4Rαの多型が報告されており(Gessnerら、Immunobiology, 201:285, 2000で概説されている)、IgEレベルもしくは臨床的アトピーとの関連性が、一部の個体群で報告されている。たとえば、V75R576 IL-4Rαは、アレルギー性喘息、ならびにIL-4Rα機能の強化に関与する(Rismaら、J.Immunol. 169(3):1604-1610, 2002)。]
[0005] いくつかの証拠が、喘息の病理においてIL-4/IL-13経路の果たす重要な役割を裏付けている(Chatila, Trendsin Molecular Med, 10:493, 2004で概説される)が、本明細書の他所に記載のさまざまな他の疾患においてもその重要な役割が立証されている。IL-4およびIL-13の分泌の増加は、疾病の経過を開始させ、かつ維持すると考えられている。IL-13は、気道過敏症(AHR)、粘液過分泌、および気道リモデリングの誘発において支配的なパートナーであると考えられる一方、IL-4はTh2極性化およびIgE産生の主要な誘導因子であることが示唆されている(Wynn, Annu Rev Immunol, 21: 425, 2003)。]
[0006] 喘息におけるIL-4Rαの役割は、疾病の動物モデルから得られる証拠によってさらに裏付けられる。オボアルブミン(OVA、モデルアレルゲン)によるアレルゲンチャレンジ中に、機能的なマウスIL-4R拮抗薬(IL-4変異体;C118欠失)を投与すると、あらかじめOVAで感作されたマウスにおいて、アレルギー性気道好酸球増多、およびAHRの進行が抑制された(Tomkinsonら、J.Immunol. 166(9):5792-5800, 2001)。その上、多くのin vivo研究によって、喘息の動物モデルにおいて、IL-13もしくはIL-4のいずれかをブロックすることのプラス効果が実証されている。たとえば、OVAで誘発された持続性気道炎症の慢性モデルにおいて抗IL-13 mAbを治療投与すると、AHRが抑制され、上皮下の線維症および炎症の進行が止まり、粘液過形成は基底レベルにまで回復する(Yangら、J. Pharmacol. Exp. Ther. 313(1):8-15, 2005)。マウスOVAモデルにおいて、抗IL-4抗体によるIL-4の阻害は、免疫化中に投与されたとき、好酸球浸潤の著しい減少を示した(Coyleら、Am J Resp Cell Mol Biol, 13:54, 1995)。同様のモデルにおいて、IL-4欠損マウスは、OVAチャレンジ後に、気管支肺胞内の好酸球の数がかなり少なく、気管支周囲の炎症は非常に小さかった(Brusselleら、Clin Exp Allergy, 24:73, 1994)。]
[0007] ヒトでは、フェーズIIa研究から、IL-4Rα拮抗薬(いわゆるIL-4変異タンパク質)がアレルゲン誘発の遅発性喘息反応を低下させ、喘息患者の肺の安静時炎症状態を軽減することが明らかになった(Wenzelら、Lancet, 370:1422, 2007)。こうしたヒトのデータは、IL-4Rα拮抗薬が喘息に関して臨床的有用性を提供しうるという考えをさらに補強する。]
[0008] IL-4Rαは、それが喘息に果たす役割に加えて、いくつかの他の病理、たとえば下記、にも関連している:
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、さまざまな程度の慢性気管支炎、末梢気道疾患および気腫を有する患者集団を包含しており、喘息を基準とする現在の治療にほとんど反応しない、進行性不可逆の肺機能低下を特徴とする。COPDの根本的な原因は、いまだにほとんどわかっていない。「オランダ仮説」は、COPDと喘息に共通する易罹患性があり、したがって、類似の機序が双方の疾患の病因に関与する可能性があることを提示する(Sluiterら、Eur Respir J, 4(4): p. 479-89, 1991)。Zhengら(J Clin Invest, 106(9):1081-93, 2000)は、マウスの肺でIL-13の過剰発現が、気腫、粘液生成の上昇、および炎症を引き起こすことを実証したが、これはヒトCOPDの特徴を示している。さらに、アレルギー性炎症のマウスモデルにおいて、IL-13依存性の反応であるAHRは、喫煙者の肺機能低下の前兆となることが明らかになっている(Tashkinら、Am J Respir Crit Care Med, 153(6 Pt 1):1802-11, 1996)。IL-13プロモーター多型とCOPDの発症しやすさとの間にも関連性が立証されている(Van Der Pouw Kraanら、Genes Immun, 3(7): 436-9, 2002)。したがって、こうした証拠からIL-4/IL-13経路、特にIL-13がCOPDの病因に重要な役割を果たしているということとなる。]
[0009] IL-13は、炎症性腸疾患の病因に関与している可能性がある。Hellerら(Heller et al., Immunity, 17(5):629-38, 2002)は、可溶性IL-13Rα2の投与によるIL-13の中和が、ヒト潰瘍性大腸炎のマウスモデルにおいて、大腸炎症を改善することを報告している。これに対して、IL-13の発現は、対照と比較して、潰瘍性大腸炎患者から得られた直腸生検標本のほうが高い(Inoueら、Am J Gastroenterol, 94(9):2441-6, 1999)。]
[0010] 喘息の他に、IL-4/IL-13経路は、全身性硬化症(Hasegawaら、J Rheumatol, 24(2):328-32, 1997)、肺線維症(Hancockら、Am J Respir Cell Mol Biol, 18(1): 60-5, 1998)、寄生虫による肝線維症(Fallonら、J Immunol, 164(5): 2585-91, 2000; Chiaramonteら、J Clin Invest, 104(6): 777-85, 1999; Chiaramonte Hepatology 34(2):273-82, 2001)、および嚢胞性線維症(Hauberら、J. Cyst Fibr, 2:189, 2003)のような、他の線維性疾患とつながりがあるとされてきた。]
[0011] IL-4は、そしてIL-13もある程度までは、B細胞仲介性活性、たとえばB細胞増殖、免疫グロブリン分泌およびFcεRの発現にきわめて重要である。IL-4Rα阻害薬の臨床応用途としては、たとえば、IgE合成を抑制するアレルギー治療への使用(たとえばアトピー性皮膚炎および食物アレルギーを含む)、移植片拒絶反応を予防するための移植治療への使用、ならびに遅延型過敏もしくは接触過敏反応の抑制が挙げられる。]
[0012] IL-4R拮抗薬は、アレルギー免疫治療のアジュバントとして、またワクチンアジュバントとしての使用も考えられる。]
[0013] IL-4Rαに対する抗体は報告されている。中和マウス抗IL-4Rαモノクローナル抗体MAB230(クローン25463)およびI6146(クローン25463.11)の二つの例があり、これらはそれぞれR&D Systems (Minneapolis, MN)およびSigma (St Louis, MO)から供給される。これらの抗体は、IgG2aサブタイプに属し、精製組換えヒトIL-4Rα(バキュロウイルス由来)で免疫されたマウスから作製されたマウスハイブリドーマから産生された。他に2つの中和マウス抗IL-4Rα抗体M57およびX2/45-12がそれぞれ、BD Biosciences (Franklin Lakes, NJ) および eBioscience (San Diego, CA)から供給される。これらはIgG1抗体であって、やはり組換え可溶性IL-4Rαで免疫化されたマウスから作製されたマウスハイブリドーマによって産生される。]
[0014] 完全にヒト型の抗体は、マウス抗体もしくはキメラ抗体よりすぐれた臨床的有用性を有する可能性が高い。これは、多くの場合マウス免疫グロブリンのFc部分に対するヒト抗マウス抗体(HAMA)が産生されて、結果的に迅速除去を招き、しかもアナフィラキシー反応が起こりうるためである(Brochierら、Int. J. Immunopharm., 17:41-48, 1995)。キメラ抗体(マウス可変領域およびヒト定常領域)は、マウスmAbよりも免疫原性が低いが、ヒト抗キメラ抗体(HACA)応答は報告されている(BellおよびKamm, Aliment. Pharmacol. Ther., 14:501-514, 2000)。]
[0015] WO 01/92340 (Immunex)は、可溶性IL-4Rペプチドによるトランスジェニックマウスの免疫化、ならびにIL-4Rに対する抗体を分泌するハイブリドーマ細胞株の作製を含む手順によって作製された、IL-4受容体に対するヒトモノクローナル抗体を記載しているが、主な抗体12B5は、IgG1抗体であって、完全にヒト型であると開示されている。WO 05/047331 (Immunex)は、VH領域のオリゴヌクレオチド変異によって12B5(H1L1と改称)から生じる他の抗体を開示する。変異したVH鎖はそれぞれ、6つの別個のVL鎖の1つと対をなし、抗体分子の小レパートリーを作っていた。]
[0016] WO 07/082068 (Aerovance)は、R121DおよびY124Dの置換を有する変異型ヒトIL-4タンパク質を投与することを含んでなる、喘息を治療する方法を開示する。その明細書は、医薬組成物において投与されるこのようなIL-4変異タンパク質が野生型huIL-4および野生型huIL-13と受容体との結合に拮抗しうることを示している。]
[0017] WO 08/054606 (Regeneron)は、ヒト抗体を産生する能力を有するトランスジェニックマウスで産生された、ヒトIL-4Rに対する特定の抗体を開示する。]
[0018] 国際公開第01/92340号パンフレット
国際公開第05/047331号パンフレット
国際公開第07/082068号パンフレット
国際公開第08/054606号パンフレット]
先行技術

[0019] Andrews et al J. Biol. Chem (2002) 277:46073-46078
Gessner ら、Immunobiology, 201:285, 2000
Steinkeら、Resp Res, 2:66, 2001
Willis-Karp, Immunol Rev, 202:175, 2004
Gessnerら、Immunobiology, 201:285, 2000
Rismaら、J.Immunol. 169(3):1604-1610, 2002
Chatila, Trendsin Molecular Med, 10:493, 2004
Wynn, Annu Rev Immunol, 21: 425, 2003
Tomkinsonら、J.Immunol. 166(9):5792-5800, 2001
Yangら、J. Pharmacol. Exp. Ther. 313(1):8-15, 2005
Coyleら、Am J Resp Cell Mol Biol, 13:54, 1995
Brusselleら、Clin Exp Allergy, 24:73, 1994
Wenzelら、Lancet, 370:1422, 2007
Sluiterら、Eur Respir J, 4(4): p. 479-89, 1991
Zhengら, J Clin Invest, 106(9):1081-93, 2000
Tashkinら、Am J Respir Crit Care Med, 153(6 Pt 1):1802-11, 1996
Van Der Pouw Kraanら、Genes Immun, 3(7): 436-9, 2002
Heller et al., Immunity, 17(5):629-38, 2002
Inoueら、Am J Gastroenterol, 94(9):2441-6, 1999
Hasegawaら、J Rheumatol, 24(2):328-32, 1997
Hancockら、Am J Respir Cell Mol Biol, 18(1): 60-5, 1998
Fallonら、J Immunol, 164(5): 2585-91, 2000
Chiaramonteら、J Clin Invest, 104(6): 777-85, 1999
Chiaramonte, Hepatology 34(2):273-82, 2001
Hauberら、J. Cyst Fibr, 2:189, 2003
Brochierら、Int. J. Immunopharm., 17:41-48, 1995
BellおよびKamm, Aliment. Pharmacol. Ther., 14:501-514, 2000]
発明が解決しようとする課題

[0020] 他種たとえばカニクイザル起源のオルソロガスタンパク質に対しても交差反応性を示す、ヒトIL-4Rαに対する抗体の発見および開発には利点および恩恵がある。このような抗体は、in vivoでの薬理および安全性に関して、その抗体の特性解析を容易にすることができる。他種に対する能力もしくは親和性は、ヒト活性とは、たとえば10倍未満ほど異なるが、そのような評価には適しているといえる。しかしながら、ヒトIL-4Rαタンパク質は、チンパンジー以外の他種由来オルソロガスIL-4Rαタンパク質に対しては、比較的わずかな類似性しか示さない。したがって、安全性および毒性評価に好適であると広く認められた種に対して交差反応性を有する、臨床用途に適した親和性および能力の高い抗体を発見することは、非常に取り組みがいのあることである。]
課題を解決するための手段

[0021] 適切にデザインされた選抜法およびアッセイを通じて、本発明者らは、ヒトおよびカニクイザルIL-4Rαの生物活性を阻害する、IL-4Rαに対する結合メンバーを開発した。]
[0022] 実施例に詳述するように、最初のリード化合物の同定プログラムから、本発明者らは、カニクイザルIL-4Rαに対しても、弱いがある程度の結合および機能的中和を示す、ヒトIL-4Rαに対する1つの抗体分子を選択した。この親抗体分子から、標的変異誘発およびランダム変異誘発の計画的かつ明確なプロセスを行い、変異体をさらに選択した後、特性が大きく改善された、大規模な抗体分子パネルが開発された。親抗体(抗体1)および最適化抗体の相補性決定領域(CDR)を含めたVHおよびVL領域を、図1、2、3および4に示す。これらの抗体分子、VH、VL、CDR、およびそのCDRのうち1つもしくは複数を含んでなる結合メンバーが、本発明の態様をなしている。]
図面の簡単な説明

[0023] 抗体1に対する抗体2-42のVHドメインのアラインメントを示す(シートaおよびbに分かれている)。
抗体1に対する抗体2-42のVHドメインのアラインメントを示す(シートaおよびbに分かれている)。
抗体1に対する抗体2-42のVLドメインのアラインメントを示す(シートaおよびbに分かれている)。
抗体1に対する抗体2-42のVLドメインのアラインメントを示す(シートaおよびbに分かれている)。
抗体20に対する抗体1-19および21-42のVHドメインのアラインメントを示す(シートaおよびbに分かれている)。
抗体20に対する抗体1-19および21-42のVHドメインのアラインメントを示す(シートaおよびbに分かれている)。
抗体20に対する抗体1-19および21-42のVLドメインのアラインメントを示す(シートaおよびbに分かれている)。
抗体20に対する抗体1-19および21-42のVLドメインのアラインメントを示す(シートaおよびbに分かれている)。
6xCDRに関する配列同一性の表である(a、bおよびcに分かれている)。
6xCDRに関する配列同一性の表である(a、bおよびcに分かれている)。
6xCDRに関する配列同一性の表である(a、bおよびcに分かれている)。
3xVH CDRに関する配列同一性の表である(a、bおよびcに分かれている)。
3xVH CDRに関する配列同一性の表である(a、bおよびcに分かれている)。
3xVH CDRに関する配列同一性の表である(a、bおよびcに分かれている)。
3xVL CDRに関する配列同一性の表である(a、bおよびcに分かれている)。
3xVL CDRに関する配列同一性の表である(a、bおよびcに分かれている)。
3xVL CDRに関する配列同一性の表である(a、bおよびcに分かれている)。]
[0024] 本発明の結合メンバーは、野生型IL-4Rαのほかに、一般的なヒトバリアントである175V IL-4Rαとも結合することが明らかになった。]
[0025] IL-4Rαの生物学的効果を強力に中和し、IL-4Rαと高い親和性で結合し、IL-4およびIL-13によって誘導されるシグナル伝達を阻害する結合メンバーが本明細書記載されている。注目すべきことには、結合メンバーは、高親和性複合体、たとえばIL-4:IL-4Rα:γc、IL-4:IL-4Rα:IL-13Rα1、IL-13:IL-13Rα1:IL-4Rαからのシグナル伝達を阻害する。こうした作用は、IL-4およびIL-13のシグナル伝達をいずれも妨げる。加えて、データは、結合メンバーがIL-4Rα1型および2型複合体の相互作用およびシグナル伝達を阻害することを示している。結合メンバーの上記およびその他の特性および効果は、以下に、より詳細に記載する。]
[0026] 結合メンバーは、IL-4Rα、IL-4またはIL-13が発現される疾患、たとえば、喘息もしくはCOPDなどの、本明細書の他の箇所で言及される1つまたは複数のIL-4Rα、IL-4またはIL-13関連疾患を治療するのに有用である。]
[0027] 本明細書の他の箇所に記載のように、IL-4Rαに対する結合メンバーの結合は、表面プラズモン共鳴、たとえばBIAcoreを用いて測定することができる。]
[0028] 表面プラズモン共鳴データを、1:1ラングミュア(Langmuir)結合モデルに当てはめることができ(同時Ka Kd)、親和性定数KDは速度定数比kd1/ka1から計算することができる。本発明の結合メンバーは、20nM未満の、ヒトIL-4Rαと結合するための1価の親和性を有しうる。他の実施形態において、ヒトIL-4Rαと結合するための1価の親和性は、10nM未満、たとえば、8nM未満、5nM未満である。他の実施形態において、結合メンバーはカニクイザルIL-4Rαと結合する。ある実施形態において、本発明の結合メンバーは、0.05から12nMの範囲の、ヒトIL-4Rαと結合するための1価の親和性を有する。ある実施形態において、本発明の結合メンバーは、0.1から5nMの範囲の、ヒトIL-4Rαと結合するための1価の親和性を有する。ある実施形態において、本発明の結合メンバーは、0.1から2nMの範囲の、ヒトIL-4Rαと結合するための1価の親和性を有する。]
[0029] ある実施形態において、本発明の結合メンバーは、ヒトIL-4Rαと免疫特異的に結合することができ、その親和性(KD)は、本明細書に記載の、または当業者に周知の方法(たとえば、BIAcoreアッセイ、ELISA)(Biacore International AB, Uppsala, Sweden)によって評価されるように、5000pM未満、4000 pM未満、3000 pM未満、2500 pM未満、2000 pM未満、1500 pM未満、1000 pM未満、750 pM未満、500 pM未満、250 pM未満、200 pM未満、150 pM未満、100 pM未満、75 pM未満でありうる。]
[0030] 特定の実施形態において、本発明の結合メンバーは、ヒトIL-4Rαと免疫特異的に結合することができ、その親和性(KD)は、本明細書に記載の方法、または当業者に知られている方法(たとえば、BIAcoreアッセイ、ELISA)を用いて評価されるように、25から5000 pMまで、25から4000 pMまで、25から3500 pMまで、25から3000 pMまで、25から2500 pMまで、25から2000 pMまで、25から1500 pMまで、25から1000 pMまで、25から750 pMまで、25から500 pMまで、25から250 pMまで、25から100 pMまで、25から75 pMまで、25から50 pMまででありうる。別の実施形態において、本発明の抗IL-4Rα結合メンバー(抗体を含む)は、ヒトIL-4Rαと免疫特異的に結合することができ、その親和性(KD)は、本明細書に記載の方法、または当業者に知られている方法(たとえば、BIAcoreアッセイ、ELISA)を用いて評価されるように、500 pM、100 pM、75 pMまたは50 pMでありうる。]
[0031] 実施例においてより詳細に説明するように、本発明の結合メンバーは、高い能力でIL-4Rαを中和する。中和とは、IL-4Rαを介した生物活性の阻害を意味する。本発明の結合メンバーは、IL-4Rαを介した1つまたは複数の活性を中和することができる。生物活性の阻害は、おそらく、IL-4Rαがγ鎖(もしくはIL-13Rα)および関連する可溶性リガンド、たとえばIL-4もしくはIL-13のいずれか1つとともに、シグナル伝達複合体を形成するのを妨げることによってもたらされる。]
[0032] IL-4Rα含有受容体複合体による、IL-4もしくはIL-13のシグナル伝達の中和は、IL-4もしくはIL-13刺激TF-1細胞増殖の阻害によって測定することができる。]
[0033] 本発明の抗体が結合するヒトIL-4Rαのエピトープの位置は、変異誘発とドメインスワッピングを組み合わせて決定された。全ドメインスワップキメラから、エピトープの位置がヒトIL-4Rαのドメイン1(D1)(残基M1-E119)に限定された。ヒトIL-4Rαは5つのループ領域を含有するが、その領域は結晶構造においてIL-4にきわめて接近している(Hageら、Cell 97:271-281, 1999)。ループスワップキメラによって、本発明の抗体が結合するヒトIL-4Rαエピトープの位置を、ループ3の主要コンポーネント(残基L89-N98)およびループ2の非主要コンポーネント(残基V65-H72)にさらに限定することができた。ヒトループ3を欠くキメラは、ヒトIL-4Rαの抗体との結合を阻害することができず、ループ2を欠くキメラは、ヒトIL-4Rαより100倍高いIC50を与えた(表5)。ループ2およびループ3はドメイン1(D1)に位置しており(Hageら、Cell 97:271-281, 1999)、これはドメインスワップのデータと一致する。]
[0034] 抗体エピトープは、ヒトIL-4Rαの2つのループ領域にある18アミノ酸の不連続エピトープ;V65-H72およびL89-N98に位置づけられた。このエピトープは、ループ2のアミノ酸残基L67およびL68、ならびにループ3のD92およびV93にさらに限定することができる(残基67、68、92および93の位置については配列番号454または460を参照されたい)。D92残基は最も重要であり、V93が続くが、それは、テストした抗体が、ループ2のL67および/またはL68を欠いたキメラIL-4Rαと、依然として結合することができたためである。もちろん、本発明の抗体は、L67、L68、D92およびV93に加えて、ヒトIL-4Rαタンパク質の残基とも結合する可能性が高い。]
[0035] 本発明のある態様によれば、配列番号460の位置づけにしたがって、67、68、92および93位のアミノ酸から選択される少なくとも1つのアミノ酸残基で、ヒトインターロイキン-4受容体α(hIL-4Rα)と結合することができる、単離された結合メンバーが与えられる。本発明のある態様によれば、ネイティブのヒトインターロイキン-4受容体α(hIL-4Rα)の、配列番号460の位置づけにしたがって、67、68、92および93位のアミノ酸残基のうち少なくとも1つと結合することができる、単離された結合メンバーが与えられる。特定の実施形態において、単離された結合メンバーは、配列番号460の位置づけにしたがって、hIL-4Rαの92位にあるアミノ酸と結合することができる。別の実施形態において、単離された結合メンバーは、D92、ならびにL67、L68およびV93から選択される少なくとも1つの他の残基と、結合することができる。別の実施形態において、単離された結合メンバーは、D92およびV93と結合することができる。もう1つの実施形態において、単離された結合メンバーは、D92、V93、およびL67もしくはL68のいずれか一方と結合することができる。もう1つの実施形態において、抗体は、L67、L68、D92およびV93のそれぞれと結合することができる。これらの実施形態はいずれも、hIL-4Rαにおけるアミノ酸位置を参照しているが、その位置は配列番号460に記載のhIL-4Rαアミノ酸配列(1 - 229位)にしたがって同定することができる。ある実施形態において、結合メンバーは、全長hIL-4Rαの、列挙されたエピトープ残基(すなわち、67、68、92および93位のうち少なくとも1つ)と結合することができる。ある実施形態において、結合メンバーは、細胞表面上に発現されたネイティブhIL-4Rαの、列挙されたエピトープ残基(すなわち、67、68、92および93位のうち少なくとも1つ)と結合することができる。ある実施形態において、結合メンバーは、組換え発現全長(229アミノ酸)hIL-4Rαの、列挙されたエピトープ残基(すなわち、67、68、92および93位のうち少なくとも1つ)と結合することができる。]
[0036] 本発明の他の態様によれば、ヒトインターロイキン-4受容体α(hIL-4Rα)と結合することができる、単離された結合メンバーが与えられる。特定の実施形態において、結合メンバーはヒト抗体である。他の実施形態において、結合メンバーは、カニクイザルインターロイキン-4受容体α(cyIL-4Rα)にも結合することができる。]
[0037] 本発明のもう1つの態様によれば、ヒトインターロイキン-4受容体α(hIL-4Rα)に対する、単離された結合メンバーが与えられるが、この結合メンバーは、18 pM可溶性ヒトIL-4タンパク質を用いたTF-1増殖アッセイにおいて、ヒトIL-4(hIL-4)誘発細胞増殖の阻害に関するIC50幾何平均が50pM未満であり、かつこの結合メンバーは、cyIL-4Rαと結合することもできる。]
[0038] 本発明のこの態様の具体的な実施形態において、結合メンバーは、18 pM可溶性ヒトIL-4タンパク質を用いたTF-1増殖アッセイにおいて、ヒトIL-4(hIL-4)誘発細胞増殖の阻害に関するIC50幾何平均が、50pM未満、35 pM未満、25 pM未満、または20 pM未満である。特定の実施形態において、本発明の結合メンバーは、本明細書に記載の(例えば、実施例3.2.1の)、または当業者に公知の方法において、18 pM可溶性ヒトIL-4タンパク質を用いた、ヒトIL-4(hIL-4)誘発細胞増殖の阻害に関するIC50幾何平均が、1から50 pMまで、1から35 pMまで、2から30 pMまで、2から25 pMまで、2から12 pMまでの間である。]
[0039] cyIL-4Rαとの結合は、任意の適当な方法によって測定することができる。]
[0040] 同様に、本発明の範囲に含まれる結合メンバーは、400 pM可溶性ヒトIL-13(hIL13)を用いた、ヒトIL-13(hIL-13)誘発TF-1細胞増殖の阻害(hIL-4Rαの中和による)に関するIC50幾何平均が、200pM未満である。特定の実施形態において、400 pM可溶性ヒトIL-13(hIL13)を用いた、ヒトIL-13(hIL-13)誘発TF-1細胞増殖の阻害(hIL-4Rαの中和による)に関するIC50幾何平均は、5から75pMまで、または5から45pMまでの間である。]
[0041] 特定の実施形態において、本発明の結合メンバーは、マウスIL-4Rαとは実質的に結合することができない。これは、本発明の結合メンバーが、マウスIL-4Rαよりもヒトインターロイキン-4受容体αの方に、少なくとも500倍(たとえば、少なくとも500倍、少なくとも1000倍、少なくとも1500倍、少なくとも2000倍、少なくとも3000倍、少なくとも4000倍)強く結合することができることを意味している。これはたとえば実施例5.1.2に記載のHTRF競合アッセイによって測定することができる。]
[0042] 本明細書で使用される幾何平均は、対数の底が10となるよう変換された、一連のデータの対数値の平均を意味する。これには、少なくとも2つの測定値、たとえば、少なくとも2、好ましくは少なくとも5、より好ましくは少なくとも10回の反復があることが必要である。当業者には当然のことであるが、反復回数が多いほど、幾何平均値は確実となる。反復回数の選択は、当業者の裁量に任せることができる。]
[0043] 生物活性の阻害は、部分的または全体的でありうる。具体的な実施形態において、IL-4Rα生物活性を阻害する結合メンバーであって、結合メンバー非存在下での活性の少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも60%、または少なくとも50%阻害する前記結合メンバーが与えられる。結合メンバーがIL-4Rαを中和する度合いを、その中和能力という。中和能力は、当業者に公知の、および/または本明細書に記載もしくは引用された、1つもしくは複数のアッセイを用いて、決定または測定することができる。たとえば、中和能力は、下記においてアッセイすることができる:
-蛍光(たとえば、HTRFまたはDELFIA)または放射能フォーマットでの受容体リガンド結合アッセイ
- 蛍光(たとえば、HTRFまたはDELFIA)エピトープ競合アッセイ
- ヒトもしくはカニクイザルPBMCのSTAT6リン酸化、TF-1細胞の増殖、ヒトもしくはカニクイザル線維芽細胞株からのエオタキシン放出、ヒト血管内皮細胞でのVCAM-1アップレギュレーション、またはヒトT細胞の増殖などの、細胞に基づく機能アッセイ。]
[0044] 上記アッセイ法の一部は、実施例でも説明している。]
[0045] 2つの種のIL-4Rαに対する結合メンバーの交差反応性の程度を評価するために、第1の種(たとえばヒト)由来のIL-4Rαを用いたアッセイにおいて算定される結合メンバーの中和能力を、第2の種(たとえばカニクイザル)由来のIL-4Rαを用いた同じアッセイでの該結合メンバーの中和能力と比較することができる。ヒト標的と、他種由来のオーソロガス標的の両方に結合する結合メンバー、たとえば抗体もしくは抗体フラグメントがあると非常に好都合である。結合メンバーが治療用製品として進捗中で、安全性研究(たとえば毒性)を別の種で実施する必要がある場合、重要な利点となる。別の種に対する能力および親和性が、たとえばヒトの活性とは、10倍未満ほど異なると、そのような評価には適しているといえる。]
[0046] ヒトおよび「他種」(たとえばカニクイザル)のIL-4Rαに対する本発明の結合メンバーの結合比を測定するさまざまな方法がある。その1つは、実施例4.3で用いられるような、受容体リガンド結合アッセイである。]
[0047] 本発明の結合メンバーに関する特定の実施形態によれば、結合メンバーの結合比は、hIL-4Rαに対するscFv、およびcyIL-4Rαに対するscFvとして、受容体リガンド結合アッセイを用いて測定すると、すくなくとも6:1である。ここで使用される「少なくとも」6:1とは、2:1、1:1ではなくて、8:1、10:1などを含む。]
[0048] 本発明の結合メンバーは、ヒトIL-4RαおよびカニクイザルIL-4Rαと結合するが、ヒトおよびカニクイザルIL-4Rαを中和する能力には、実施例4.3のようにscFvフォーマットにおいて結合メンバーを用いて、受容体リガンド結合アッセイで測定し、250倍未満、たとえば、少なくとも150、100、75、50、25、20、15、10倍未満の相違を有しうる。]
[0049] たとえば、本明細書のデータから、番号2、4-8、12、16、19、20、22、23、24、26、28、32、33、34、37および37GLの抗体は、本明細書に記載の受容体リガンド結合アッセイにおいてscFvフォーマットとした場合、それぞれ、ヒトおよびカニクイザルIL-4Rαを中和する能力に、25倍以下の相違があることが示される。データは実施例4.3および表1に示す。このように、一部の実施形態では、受容体リガンド結合アッセイを用いて測定された、ヒトおよびカニクイザルIL-4Rαに対する本発明の結合メンバーの中和能力は(scFvフォーマットとした場合)、25倍以内である。ヒトおよびカニクイザルIL-4Rαに対して10倍以内の中和能力を示す、本明細書に記載の抗体の具体例には、番号2、4、5、20および22の抗体がある。ある実施形態において、ヒトおよびカニクイザルIL-4Rαに対する本発明の結合メンバーの中和能力は、210倍以内である;すなわち、ヒトIL-4Rαに対する結合は、カニクイザルIL-4Rαに対する結合の210倍程度である。別の実施形態では、前記中和能力は、5:1から210:1の間、たとえば、5:1から100:1の間である。]
[0050] 細胞に基づく機能アッセイに関して、能力は、特に明記しない限り、通常IC50としてnM単位で表される。機能アッセイにおいて、IC50は、生物学的(または生化学的)反応をその最大値の50%に減少させる、結合メンバーのモル濃度である。IC50は、生物学的反応の最大値の%を、結合メンバー濃度の対数の関数としてプロットすること、ならびにIC50値をもたらすデータにシグモイド関数をフィットさせるためにPrism (GraphPad)またはOrigin (Origin Labs)といったソフトウェアプログラムを使用することによって算出される。]
[0051] 受容体リガンド結合アッセイに関して、能力は通常、Ki(阻害定数)、すなわち標識リガンドが存在しない場合に受容体の50%を占有する結合メンバーの濃度、として表される。IC50がリガンド濃度に応じて実験ごとに変動する可能性があるのに対して、Kiはチェン-プルソフ(Cheng Prusoff)式から算出される絶対値である。]
[0052] 本発明の結合メンバーは、本明細書に記載のヒトIL-4RαHTRF(登録商標)アッセイにおいて、5 nM以下の中和能力すなわちKiを示しうる。このアッセイを用いて、scFvフォーマットにおける結合メンバーのKiを測定することができる。Kiは、たとえば、5.0、4.0、3.0、2.0、1.0、0.5、0.2、0.1、0.05または0.02nM以下とすることができる。Kiデータの例は、実施例4.3に示される(表1を参照されたい)が、この場合、最終濃度0.125 nMのヒトIL-4Rαおよび2 nM IL-4が、HTRF(登録商標)受容体リガンド結合アッセイに使用され、詳細な方法が与えられる。]
[0053] さらに、IL-4Rαに対する、IL-4Rα結合メンバーの結合反応速度および親和性(平衡解離定数、KDとして表される)を、たとえば、BIAcore(登録商標)のような表面プラズモン共鳴を用いて決定し、あるいはKdをpA2解析から算定することができる。]
[0054] 表面プラズモン共鳴は、標的に対する結合メンバーの親和性を測定するための、十分に確立された技法である。それは、流体相中のアナライトを、担体に付着させたリガンドに通し、アナライトとリガンドの間の結合を測定するものである。たとえば、組換えIL-4Rαを流体相中にて、担体に付着させた結合メンバー上を通過させるような、表面プラズモン共鳴法を行うことができる。表面プラズモン共鳴データを二価アナライトのデータモデル、または一価アナライトデータモデルにフィットさせることができる。本明細書の実施例に示すように、一価アナライトデータモデルは、IL-4Rαに対する結合メンバーの親和性を測定するために、特にふさわしいことが判明した。親和性定数Kdは、1:1ラングミュア(Langmuir)結合モデルを用いた表面プラズモン共鳴によって測定される速度定数比kd1/ka1から計算することができる。]
[0055] 表面プラズモン共鳴を用いて計算されたIL-4Rαとの結合に関する推定KD値の例を、実施例4.7に示す(表4を参照されたい)。これらのデータは、抗体37GLの、組換え作製ヒトおよびカニクイザルIL-4Rαに対する優れた結合特性を実証する。HEK-EBNA細胞由来のIL-4Rαとの結合は、その抗体がネイティブのグリコシル化されたヒトIL-4Rαと結合することを示している。本明細書に記載のすべての抗体(たとえば抗体1〜42)が、単一の親抗体(抗体1)から得られたこと、ならびにそれゆえにIL-4Rαの同一の、またはきわめて類似したエピトープにすべて結合すると考えられることに鑑みれば、抗体37GLがネイティブなグリコシル化ヒトIL-4Rαと結合するということから、当業者であれば、これらの抗体のすべてがネイティブなグリコシル化ヒトIL-4Rαと結合できると予測することができる。]
[0056] したがって、特定の実施形態によれば、本発明の結合メンバーは、グリコシル化hIL-4Rαと結合することができる。]
[0057] 実施例4.7および表4に示すように、ヒトおよびカニクイザルIL-4Rαとの結合における良好な交差反応性が、抗体1に由来する代表的な抗体パネルについての表面プラズモン共鳴によって測定された。]
[0058] 本発明の結合メンバーは、他の構造的関連分子(たとえば他のインターロイキン受容体)よりもIL-4Rαに特異的である可能性があり、したがってIL-4Rαと選択的に結合しうる。たとえば、本発明の結合メンバーは、IL-13Rα1もしくはIL-13Rα2および共通γ鎖(γc)のいずれにも交差反応しないと考えられる。これは、たとえば、実施例4.6に例示されたDELFIA(登録商標)エピトープ競合アッセイで測定、もしくは実証することができる。]
[0059] 本発明の結合メンバーは、抗体分子、たとえばヒト抗体分子を含んでいてもよい。結合メンバーのVHドメインも本発明の一部として提供される。結合メンバーは、抗体VHおよび/またはVLドメインを含んでなる。VHおよびVLドメインのそれぞれには、相補性決定領域(CDR)およびフレームワーク領域(FR)が含まれる。VHドメインは、一連のHCDRを含み、VLドメインは一連のLCDRを含む。抗体分子は、VH CDR1、CDR2およびCDR3、ならびにフレームワークを含んでなる抗体VHドメインを含んでいてもよい。抗体分子は、その代わりに、またはそれに加えて、VL CDR1、CDR2およびCDR3、ならびにフレームワークを含んでなる抗体VLドメインを含んでいてもよい。VHまたはVLドメインフレームワークは、4つのフレームワーク領域、FR1、FR2、FR3およびFR4を含んでなり、下記の構造でCDRが散在して組み入れられている:FR1 - CDR1 - FR2 - CDR2 - FR3 - CDR3 - FR4。]
[0060] 本発明の抗体VHおよびVLドメイン、FRおよびCDRの例は、本明細書の開示の一部を成す添付の配列表に記載のとおりである。本明細書に開示されるVHおよびVL配列、CDR配列、CDRのセット、ならびにHCDRのセットおよびLCDRのセットはすべて、本発明の態様および実施形態を示している。本明細書に記載のように、「CDRのセット」はCDR1、CDR2およびCDR3を含む。したがって、HCDRのセットはHCDR1、HCDR2およびHCDR3を表し、LCDRのセットはLCDR1、LCDR2およびLCDR3を表す。特に明記しない限り、「CDRのフルセット」はHCDRおよびLCDRを含める。典型的には、本発明の結合メンバーは、モノクローナル抗体である。]
[0061] 本発明の他の態様は、添付の配列表に示す抗体1から42までのいずれかのVHドメインと、アミノ酸配列が少なくとも75、80、85、90、95、98、または 99%同一のVHドメインを含んでなり、かつ/または添付の配列表に示す抗体1から42までのいずれかのVLドメインと、アミノ酸配列が少なくとも75、80、85、90、95、98、または 99%同一のVLドメインを含んでなる、抗体分子である。AccelerysのMacVector(登録商標)プログラムを用いて、2つのアミノ酸配列の%同一性を計算することができる。]
[0062] 本発明の結合メンバーは、抗原結合部位を非抗体分子内に有していてもよく、下記でさらに検討されるように、非抗体タンパク質スキャフォールド内で、通常1つもしくは複数のCDR、たとえば、HCDR3および/もしくはLCDR3、またはCDRのセットによって与えられる。]
[0063] 実施例の項でより詳細に記載するように、本発明者らは、図1(VHドメイン)および図2(VLドメイン)に示すCDRセットの配列を有する親抗体分子(抗体1)を単離した。最適化のプロセスを通じて、親CDR3配列に由来するが図1(VHドメイン)および図2(VLドメイン)に示す位置に置換を有する、CDR3配列を持つ番号2から20までの抗体クローンが含まれる、抗体クローンパネルを作製した。したがって、たとえば、図1(aおよびb)から、抗体2は親HCDR1、HCDR2、LCDR1およびLCDR2を有しており、かつ、Kabat残基95がQで置換され、Kabat残基95A、95Bおよび96がそれぞれPで置換され、Kabat残基97がLで置換された親LCDR3配列、ならびにKabat残基101がYで置換され、Kabat残基102がNで置換された親HCDR3配列も有していることがわかる。]
[0064] 本明細書に記載の親抗体分子および抗体分子2から20は、それぞれ、親抗体分子のCDRを有する抗体分子、および抗体分子2から20のCDRを有する抗体分子を表す。さらなる最適化プロセスによって、本発明者らは、VHおよびVLドメインの全体にわたって追加の置換を有する番号21から42までの抗体クローンのパネルを作製した。したがって、たとえば、抗体21は、抗体20と同じLCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1およびHCDR3を有する;抗体21は、抗体20の親HCDR2配列を有するが、Kabat残基57はAで置換されている;ならびに、Kabat残基85および87(LFW3にある)がそれぞれVおよびFで置換されている。]
[0065] 図3(VH)および4(VL)に示す抗体20のCDRセットを含有する、基準となる結合メンバーが本明細書に記載されるが、このHCDR1は配列番号193(Kabat残基31-35)であり、HCDR2は配列番号194(Kabat残基50-65)、HCDR3は配列番号195(Kabat残基95-105)、LCDR1は配列番号198(Kabat残基24-34)、LCDR2は配列番号199(Kabat残基50-56)、ならびにLCDR3は配列番号200(Kabat残基89-97)である。他の結合メンバーは、この基準結合メンバーの配列を参照して記載することができる。]
[0066] 本発明の結合メンバーは、本明細書に記載の1つもしくは複数のCDR(すなわち、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、および少なくとも6個)を含有することができるが、たとえば、CDR3、ならびに、状況に応じてCDR1およびCDR2も含有しCDRのセットを形成することができる。CDRまたはCDRのセットは、親CDRまたは親CDRのセットとすることができるが、抗体2から42までの任意のCDRまたはCDRのセットのセットであってもよく、あるいは本明細書に記載のそれらのバリアントであってもよい。]
[0067] たとえば、本発明の結合メンバーまたはVLドメインは、Kabat残基92-97のうち1つもしくは複数が別のアミノ酸で置換された基準LCDR3を含有することができる。置換の例としては次のものがある:
Kabat残基92がPhe (F)、Val (V)またはAla (A)で置換;
Kabat残基93がGly (G)またはSer (S)で置換;
Kabat残基94がThr (T)で置換;
Kabat残基95が Leu (L)、GLn (Q)、Pro (P)またはSer (S)で置換;
Kabat残基95aがSer (S)、Prol (P)、Ala (A)、Thr (T)、His (H)またはGly (G)で置換;
Kabat残基95bがAla (A)、Pro (P)、Ser (S)、Tyr (Y)、Met (M)、Leu (L)、Thr (T)、Arg (R)またはAsp (D)で置換;
Kabat残基95cがAsn (N)、Gln (Q)、His (H)、Tyr (Y)、Thr (T)、Ile (I)、Lys (K)、Arg (R)またはMet (M)で置換;
Kabat残基96がTyr (Y)またはPro (P)で置換;
Kabat残基97がVal (V)、Leu (L)またはIle (I)で置換。]
[0068] 結合メンバーまたはVHドメインは、Kabat残基97-102のうち1つもしくは複数が別のアミノ酸で置換されている基準HCDR3を含有することができる。置換の例としては次のものがある:
Kabat残基97がTrp (W)またはLeu (L)で置換;
Kabat残基98がLeu (L)で置換;
Kabat残基99がLeu (L)、Lys (K)、Phe (F)またはTrp (W)で置換;
Kabat残基101がAsp (D)、Asn (N)またはGln (Q)で置換;
Kabat残基102がTyr (Y)、Asn (N)、Pro (P)またはHis (H)で置換。]
[0069] 本発明の結合メンバーは、抗体1から42までのいずれかのHCDR1、HCDR2および/もしくはHCDR3、ならびに/または抗体1から42までのいずれかのLCDR1、LCDR2および/もしくはLCDR3を含有することができるが、その例は、図1また図2に示す抗体1から42までのいずれかのCDRのセットである。結合メンバーは、上記抗体のうち1つのVH CDRのセットを含有することができる。上記抗体のうち1つのVL CDRのセットを含有することもできるが、VL CDRはVH CDRと同一または異なる抗体に由来するものとすることができる。抗体1から42までのいずれかのHCDRのセットを含有するVHドメイン、および/または抗体1から42までのいずれかのLCDRのセットを含有するVLドメインもまた、本発明の個別の実施形態である。]
[0070] 以下でさらに検討するようにVHまたはVLドメインを単独で使用して、抗原と結合するすることはできるが、典型的には、VHドメインはVLドメインと対になって抗体の抗原結合部位を与える。ある実施形態において、抗体1 VHドメインは抗体1 VLドメインと対をなし、その結果、抗体1 VHおよびVLドメインの両方からなる、抗体の抗原結合部位が形成される。類似の実施形態が、本明細書に記載の他のVHおよびVLドメインについても与えられる。他の実施形態において、抗体1 VHは、抗体1 VL以外のVLドメインと対をなす。軽鎖の無差別な対形成は、当技術分野で十分確立されている。また、本明細書に記載の他のVHおよびVLドメインについても、類似の実施形態が本発明によって与えられる。したがって、親(抗体1)または抗体2から42までのいずれかのVHは、親または抗体2から42までのいずれかのVLと対をなすことができる。]
[0071] 本発明のある態様は、VHおよびVLドメインを含有する抗体であって、そのVHドメインは図1または3に記載の配列を含む。]
[0072] 本発明の別の態様は、VHおよびVLドメインを含有する抗体であって、そのVLドメインは図2または4に記載の配列を含む。]
[0073] 本発明の別の態様は、配列番号362、442、232、422または432に示すVHドメインアミノ酸配列を有するVHドメイン、および配列番号367、237、447、437または427に示すVLドメインアミノ酸配列を有するVLドメインを含有する、単離された抗体分子である。]
[0074] 結合メンバーは、親抗体、または抗体2から42までのいずれかの、Hおよび/またはLCDRのセットであって、その開示されたHおよび/またはL CDRのセットの中に、12または10または9個以下の、たとえば、1、2、3、4もしくは5個の置換を有する前記セットを含有することができる。たとえば、本発明の結合メンバーは、12個以下の置換、たとえば、7個以下の置換、たとえば、0、1、2、3、4、5または6個の置換を有する、抗体16または抗体20のHおよび/またはL CDRセットを含有することができる。置換は、CDRのセットの中の任意の残基で行われる可能性があるが、CDR1、CDR2および/またはCDR3内とすることができる。]
[0075] したがって、本発明のある態様によれば、CDRのセット:HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2およびLCDR3を含んでなる、ヒトインターロイキン-4受容体α(hIL-4Rα)に対する単離された結合メンバーが与えられるが、このCDRのセットは、基準となるCDRセットから12個以下のアミノ酸が変化しており:
HCDR1は配列番号153のアミノ酸配列を有する;
HCDR2は配列番号154のアミノ酸配列を有する;
HCDR3は配列番号155のアミノ酸配列を有する;
LCDR1は配列番号158のアミノ酸配列を有する;
LCDR2は配列番号159のアミノ酸配列を有する;ならびに
LCDR3は配列番号160のアミノ酸配列を有する。]
[0076] この例における基準抗体は、抗体16である。]
[0077] 単離された結合メンバーは、10個以下、8個以下、7個以下、たとえば、6、5、4、3、2、1または0個のアミノ酸が基準のCDRセットから変化している可能性がある。具体的な変化はアミノ酸の置換である。]
[0078] 本発明の別の態様によれば、CDRのセット:HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2およびLCDR3を含んでなる、ヒトインターロイキン-4受容体α(hIL-4Rα)に対する単離された結合メンバーが与えられるが、このCDRのセットは、基準となるCDRセットから12個以下のアミノ酸が変化しており:
HCDR1は配列番号193のアミノ酸配列を有する;
HCDR2は配列番号194のアミノ酸配列を有する;
HCDR3は配列番号195のアミノ酸配列を有する;
LCDR1は配列番号198のアミノ酸配列を有する;
LCDR2は配列番号199のアミノ酸配列を有する;ならびに
LCDR3は配列番号200のアミノ酸配列を有する。]
[0079] この例における基準抗体は、抗体20である。]
[0080] 単離された結合メンバーは、10個以下、8個以下、7個以下、たとえば、6、5、4、3、2、1または0個のアミノ酸が基準のCDRセットから変化している可能性がある。具体的な変化はアミノ酸の置換である。特定の実施形態において、単離された結合メンバーは、上記で特定された基準のCDRセットから4個以下のアミノ酸が置換されている。]
[0081] 本発明の別の態様によれば、CDRのセット:HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2およびLCDR3を含んでなる、ヒトインターロイキン-4受容体α(hIL-4Rα)に対する単離された結合メンバーが与えられるが、このCDRのセットは、基準となるCDRセットから6個以下のアミノ酸が変化しており:
HCDR1は配列番号363のアミノ酸配列を有する;
HCDR2は配列番号364のアミノ酸配列を有する;
HCDR3は配列番号365のアミノ酸配列を有する;
LCDR1は配列番号368のアミノ酸配列を有する;
LCDR2は配列番号369のアミノ酸配列を有する;ならびに
LCDR3は配列番号370のアミノ酸配列を有する。]
[0082] この例における基準抗体は、抗体37である。]
[0083] 置換は、CDR3内、たとえば、図1または3(VHドメイン)および図2または4(VLドメイン)に示されるように、抗体2から42までのいずれかにおいて置換された位置に、存在する可能性がある。したがって、1つもしくは複数の置換は、下記の残基の位置での1つもしくは複数の置換を含むことができる:
HCDR3におけるKabat残基97、98、99、101もしくは102;または
LCDR3におけるKabat残基92、93、94、95、95A、95B、95C、96もしくは97。]
[0084] したがって、CDRは、たとえば、Kabat残基92、93、94、95、95A、95B、95C、96または97の位置に1つもしくは複数の置換を有する基準LCDR3とすることができる。]
[0085] 親/基準CDRにおける置換の例は本明細書の他の箇所に記載される。記載のように、置換は図1から4に示す1つもしくは複数の置換を包含することができる。]
[0086] 本発明の結合メンバーは、基準抗体20のHCDR1、HCDR2および/またはHCDR3を含んでなるとすることができ、下記の置換のうち1つもしくは複数を有していてもよい:
Kabat残基53がArg (R)であるHCDR2;
Kabat残基57がAla (A)であるHCDR2;
Kabat残基97がTrp (W)もしくはLeu (L);Kabat残基98がLeu;Kabat残基99がLeu (L)、Lys (K)もしくはTrp (W);Kabat残基101がAsn (N)もしくはGln (Q);および/またはKabat残基102がTyr (Y)、Asn (N)、Pro (P)もしくはHis (H)であるHCDR3。]
[0087] 本発明の結合メンバーは、基準抗体20のLCDR1、LCDR2および/またはLCDR3を含んでなるとすることができ、下記の置換のうち1つもしくは複数を有していてもよい:
Kabat残基27がGly (G)であり;
Kabat残基27AがThr (T)であり;
Kabat残基27BがSer (S)であり;
Kabat残基31がAsn (N)であるLCDR1;
Kabat残基56がPro (P)であるLCDR2;
Kabat残基92がPhe (F)、Val (V)もしくはAla (A)であり;
Kabat残基93がGly (G)もしくはSer (S)であり;
Kabat残基94がThr (T)であり;
Kabat残基が Leu (L)、Gln (Q)、Pro (P)もしくはSer (S)であり;
Kabat残基95AがSer (S)、Pro (P)、Ala (A)、Thr (T)、His (H)もしくはGly (G)であり;
Kabat残基95BがAla (A)、Pro (P)、Ser (S)、Tyr (Y)、Met (M)、Leu (L)、Thr (T)、Asp (D)もしくはArg (R)であり;
Kabat残基95CがAsn (N)、Gln (Q)、His (H)、Tyr (Y)、Ile (I)、Lys (K)、Arg (R)、Thr (T)もしくはMet (M)であり;
Kabat残基96がTyr (Y)もしくはPro (P)であり;および/または
Kabat残基97がVal (V)、Leu (L)もしくはIle (I)であるLCDR3。]
[0088] 特定の実施形態において、抗体20の配列を基準として、
HCDR2のKabat残基53はArg (R)で置き換える;および/または
HCDR2のKabat残基57はAla (A)で置き換える;および/または
LCDR1のKabat残基27はGly (G)で置き換える;および/または
LCDR1のKabat残基27BはSer (S)で置き換える;および/または
LCDR3のKabat残基95はPro (P)で置き換える。]
[0089] 本発明の特定の態様によれば、ヒトインターロイキン-4受容体α(hIL-4Rα)に対する単離された結合メンバーが与えられるが、この結合メンバーにおいて、
HCDR1は配列番号363のアミノ酸配列を有する;
HCDR2は配列番号364のアミノ酸配列を有する;
HCDR3は配列番号365のアミノ酸配列を有する;
LCDR1は配列番号368のアミノ酸配列を有する;
LCDR2は配列番号369のアミノ酸配列を有する;ならびに
LCDR3は配列番号370のアミノ酸配列を有する。]
[0090] 本発明のもう一つの特定の態様によれば、ヒトインターロイキン-4受容体α(hIL-4Rα)に対する単離された結合メンバーが与えられるが、この結合メンバーにおいて、
HCDR1は配列番号233のアミノ酸配列を有する;
HCDR2は配列番号234のアミノ酸配列を有する;
HCDR3は配列番号235のアミノ酸配列を有する;
LCDR1は配列番号238のアミノ酸配列を有する;
LCDR2は配列番号239のアミノ酸配列を有する;ならびに
LCDR3は配列番号240のアミノ酸配列を有する。]
[0091] 本発明の結合メンバーにおいて:
HCDR1は、Kabat残基31-35からなる5アミノ酸長とすることができる;
HCDR2は、Kabat残基50-65からなる17アミノ酸長とすることができる;
HCDR3は、Kabat残基95-102からなる9アミノ酸長とすることができる;
LCDR1は、Kabat残基24-34からなる13アミノ酸長とすることができる;
LCDR2は、Kabat残基50-56からなる7アミノ酸長とすることができる;および/または
LCDR3は、Kabat残基89-97からなる9アミノ酸長とすることができる。]
[0092] HCDRおよびLCDRのセットのKabatナンバリングであって、HCDR1はKabat残基31-35であり、HCDR2はKabat残基50-65であり、HCDR3はKabat残基95-102である前記ナンバリングを図1および3に示す; LCDR1はKabat残基24-34であり、LCDR2はKabat残基50-56であり、そしてLCDR3はKabat残基89-97である前記ナンバリングを、図2および4に示す。]
[0093] 本発明のもう一つの態様によれば、CDRのセット:HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2およびLCDR3を含んでなる、ヒトインターロイキン-4受容体α(hIL-4Rα)に対する単離された結合メンバーが与えられるが、このCDRのセットは、2008年12月9日にNCIMBに寄託された、アクセッション番号:NCIMB 41600を有するクローンに含まれている基準CDRセットから6個以下のアミノ酸の変化を有するものである。]
[0094] 本発明の別の態様によれば、2008年12月9日にNCIMBに寄託されたアクセッション番号:NCIMB 41600を有するクローンに含まれているVH配列を含んでなる、ヒトインターロイキン-4受容体α(hIL-4Rα)に対する単離された結合メンバーが与えられる。]
[0095] 本発明の別の態様によれば、2008年12月9日にNCIMBに寄託されたアクセッション番号:NCIMB 41600を有するクローンに含まれているVL配列を含んでなる、ヒトインターロイキン-4受容体α(hIL-4Rα)に対する単離された結合メンバーが与えられる。]
[0096] 本発明の別の態様によれば、2008年12月9日にNCIMBに寄託されたアクセッション番号:NCIMB 41600を有するクローンに含まれているVHおよびVL配列を含んでなる、ヒトインターロイキン-4受容体α(hIL-4Rα)に対する単離された結合メンバーが与えられる。]
[0097] 本発明の別の態様によれば、単離された抗体または抗体のフラグメントが与えられるが、この抗体またはそのフラグメントは、ヒトインターロイキン-4受容体αに免疫特異的に結合し、下記を含んでなる;
(a)2008年12月9日にNCIMBに寄託されたアクセッション番号:NCIMB 41600を有するクローンに含まれているVHCDR1と同一のアミノ酸配列、またはそのVH CDR1と比較して1、2もしくは3個のアミノ酸残基の置換を含むアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(b)2008年12月9日にNCIMBに寄託されたアクセッション番号:NCIMB 41600を有するクローンに含まれているVH CDR2と同一のアミノ酸配列、またはそのVH CDR2と比較して1、2もしくは3個のアミノ酸残基の置換を含むアミノ酸配列を有するVH CDR2;
(c)2008年12月9日にNCIMBに寄託されたアクセッション番号:NCIMB 41600を有するクローンに含まれているVH CDR3と同一のアミノ酸配列、またはそのVH CDR3と比較して1、2もしくは3個のアミノ酸残基の置換を含むアミノ酸配列を有するVH CDR3;
(d)2008年12月9日にNCIMBに寄託されたアクセッション番号:NCIMB 41600を有するクローンに含まれているVL CDR1と同一のアミノ酸配列、またはそのVL CDR1と比較して1、2もしくは3個のアミノ酸残基の置換を含むアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(e)2008年12月9日にNCIMBに寄託されたアクセッション番号:NCIMB 41600を有するクローンに含まれているVL CDR2と同一のアミノ酸配列、またはそのVL CDR2と比較して1、2もしくは3個のアミノ酸残基の置換を含むアミノ酸配列を有するVL CDR2;ならびに
(f)2008年12月9日にNCIMBに寄託されたアクセッション番号:NCIMB 41600を有するクローンに含まれているVL CDR3と同一のアミノ酸配列、またはそのVL CDR3と比較して1、2もしくは3個のアミノ酸残基の置換を含むアミノ酸配列を有するVL CDR3。]
[0098] 本発明の別の態様によれば、単離された抗体または抗体のフラグメントが与えられるが、この抗体またはそのフラグメントは、ヒトインターロイキン-4受容体αに免疫特異的に結合し、下記を含んでなる;
(a)2008年12月9日にNCIMBに寄託されたアクセッション番号:NCIMB 41600を有するクローンに含まれているVH配列と同一のアミノ酸配列、またはそのVH配列と比較して1、2、3、4、5もしくは6個のアミノ酸残基の置換を含むアミノ酸配列を有するVH配列;
(b)2008年12月9日にNCIMBに寄託されたアクセッション番号:NCIMB 41600を有するクローンに含まれているVL配列と同一のアミノ酸配列、またはそのVL配列と比較して1、2、3、4、5もしくは6個のアミノ酸残基の置換を含むアミノ酸配列を有するVL配列。]
[0099] 結合メンバーは、抗体フレームワーク内に1つもしくは複数のCDR、たとえば、CDRのセットを有する抗体分子を含んでなることができる。たとえば、1つもしくは複数のCDR、または抗体のCDRのセットを、フレームワーク(たとえばヒトフレームワーク)内に連結して抗体分子を作製することができる。フレームワーク領域は、ヒト生殖系列遺伝子セグメント配列を含有することができる。したがって、フレームワーク領域を生殖系列化することが可能であり、それによって、該フレームワーク内の1つもしくは複数の残基を、最もよく似たヒト生殖系列フレームワーク内の対応する位置にある残基と一致するように変更することができる。当業者は、生殖系列化する前の抗体のフレームワーク配列に最も近い生殖系列セグメントを選択し、その抗体の親和性または活性をテストして、本明細書に記載のアッセイにおいて生殖系列化が抗原結合もしくは能力を有意に減少させないことを確認することができる。ヒト生殖系列遺伝子セグメント配列は当業者に知られており、たとえば、VBase集積データから判断することができる(Tomlinson. Journal of Molecular Biology. 224. 487-499, 1997)。]
[0100] ある実施形態において、本発明の結合メンバーは、ヒト生殖系列フレームワーク、たとえば、Vh1_DP-7_(1-46)、の中にHCDRのセットを含んでなるVHドメインを有する、単離されたヒト抗体分子である。したがって、そのVHドメインフレームワーク領域FR1、FR2および/またはFR3は、ヒト生殖遺伝子セグメントVh1_DP-7_(1-46)のフレームワーク領域を含むことができる。FR4は、ヒト生殖系列jセグメントJH1、JH4またはJH5(これらのjセグメントは同一のアミノ酸配列を有する)からなるフレームワーク領域を含み、あるいはヒト生殖系列jセグメントJH3のフレームワーク領域を含んでいてもよい。VH FR1のアミノ酸配列は、配列番号442(残基1-30)とすることができる。VH FR2のアミノ酸配列は、配列番号442(残基36-49)とすることができる。VH FR3のアミノ酸配列は、配列番号442(残基66-94)とすることができる。VH FR4のアミノ酸配列は、配列番号442(残基103-113)とすることができる。通常、結合メンバーは、たとえば、ヒト生殖系列フレームワーク、たとえばVλ1_DPL5の中にLCDRのセットを含んでなるVLドメインも有している。したがって、VLドメインフレームワーク領域FR1、FR2および/またはFR3は、ヒト生殖系列遺伝子セグメントVλ1_DPL5のフレームワーク領域を含むことができる。FR4はヒト生殖系列jセグメントJL2またはJL3(これらのjセグメントは同一のアミノ酸配列を有する)のフレームワーク領域を含むことができる。VL FR1のアミノ酸配列は、配列番号447(残基1-23)とすることができる。VL FR2のアミノ酸配列は、配列番号447(残基35-49)とすることができる。VL FR3のアミノ酸配列は、配列番号447(残基57-88)とすることができる。VL FR4のアミノ酸配列は、配列番号447(残基98-107)とすることができる。生殖系列化されたVHもしくはVLドメインは、1つもしくは複数のVernier残基の位置で生殖系列化されていても、されていなくてもよいが、通常、生殖系列化されていない。]
[0101] 本発明の抗体分子もしくはVHドメインは、下記の重鎖フレームワーク領域のセットを含むことができる:
FR1配列番号442(残基1-30);
FR2配列番号442(残基36-49);
FR3配列番号442(残基66-94);
FR4配列番号442(残基103-113);あるいは、1、2、3、4、5もしくは6個のアミノ酸の変化、たとえば置換を有する前記重鎖フレームワーク領域のセットを含有していてもよい。]
[0102] 本発明の抗体分子もしくはVLドメインは、下記の重鎖フレームワーク領域のセットを含むことができる:
FR1配列番号447(残基1-23);
FR2配列番号447(残基35-49);
FR3配列番号447(残基57-88);
FR4配列番号447(残基98-107);あるいは、1、2、3、4、5もしくは6個のアミノ酸の変化、たとえば置換を有する前記軽鎖フレームワーク領域のセットを含有していてもよい。]
[0103] アミノ酸の変化は、置換、挿入(付加)または欠失とすることができる。]
[0104] もっとも多く見られる変化は、置換である可能性が高い。]
[0105] たとえば、本発明の抗体分子は、重鎖および軽鎖フレームワーク領域のセットを含んでいてもよく、その場合
重鎖FR1は、配列番号192(残基1-30) である;
重鎖FR2は、配列番号192(残基36-49) である;
重鎖FR3は、配列番号192(残基66-94) である;
重鎖FR4は、配列番号192(残基103-113) である;
軽鎖FR1は、配列番号197(残基1-23) である;
軽鎖FR2は、配列番号197(残基35-49) である;
軽鎖FR3は、配列番号197(残基57-88) である;
軽鎖FR4は、配列番号197(残基98-107) である;または7個以下、たとえば6個以下のアミノ酸の変化、たとえば置換を有する、前記の重鎖および軽鎖フレームワーク領域のセットを含んでいてもよい。たとえば、1または2個のアミノ酸置換が前記の重鎖および軽鎖フレームワーク領域のセットの中に存在してもよい。]
[0106] 実施例4.2に示すように、抗体21-42は、抗体20を基本とするが、CDRおよびフレームワーク領域内にいくつかの追加的変化を有する。抗体20と同様に、抗体21-42はhIL-4RαおよびcyIL-4Rαに結合する。したがって、こうしたCDRおよび/またはフレームワーク置換は、より強く結合する可能性のある結合メンバーを生じさせる、選択的もしくは追加的な置換として考慮しうる。]
[0107] このように、結合メンバーは、VHおよびVLドメインの6個のCDRのいずれかの中にある置換に加えて、フレームワーク領域内の下記の残基(Kabatの標準ナンバリングによる)にも、1つもしくは複数のアミノ酸置換を含むことができる:
HFW1の11、12;
HFW2の37、48;
HFW3の68、84、85;
HFW4の105、108、113;
LFW1の1、2、3、9;
LFW2の38、42;または
LFW3の58、65、66、70、74、85、87。]
[0108] 適切なフレームワークの置換を図1〜4に示す。そして、本発明の結合メンバーは、図1〜4に示す具体的な置換のうち1つもしくは複数を有することができる。]
[0109] 本発明の抗体分子またはVHドメインは、Kabat残基11がValもしくはGluであり、かつ/またはKabat残基12がLysもしくはArgであるVH FR1を含有することができる;本発明の抗体分子またはVHドメインは、Kabat残基37がAlaもしくはValであり、かつ/またはKabat残基48がMetもしくはValであるVH FR2を含有することができる;本発明の抗体分子またはVHドメインは、Kabat残基68がSer、AlaもしくはThrであり、かつ/またはKabat残基84がSerもしくはProであり、かつ/またはKabat残基85がGluもしくはGlyであるVH FR3を含有することができる;本発明の抗体分子またはVHドメインは、Kabat残基105がLysもしくはAsnであり、かつ/またはKabat残基108がGln、ArgもしくはLeuであり、かつ/またはKabat残基113がSerもしくはGlyであるVH FR4を含有することができる。]
[0110] 本発明の抗体分子またはVLドメインは、Kabat残基1がGlnもしくはLeuであり、かつ/またはKabat残基2がSerもしくはProもしくはAlaであり、かつ/またはKabat残基3がValもしくはAlaであり、かつ/またはKabat残基9がSerもしくはLeuであるVL FR1を含有することができる;本発明の抗体分子またはVLドメインは、Kabat残基38がGlnもしくはArgであり、かつ/またはKabat残基42がThrもしくはAlaであるVL FR2を含有することができる;本発明の抗体分子またはVLドメインは、Kabat残基58がIleもしくはValであり、かつ/またはKabat残基65がSerもしくはPheであり、かつ/またはKabat残基66がLysもしくはArgであり、かつ/またはKabat残基70がSerもしくはThrであり、かつ/またはKabat残基74がAlaもしくはGlyであり、かつ/またはKabat残基85がAspもしくはValであり、かつ/またはKabat残基87がTyrもしくはPheであるVL FR3を含有することができる。]
[0111] 生殖系列化されていない抗体は、生殖系列化された抗体と比べて、CDRは同一であるがフレームワークは異なる。本明細書に示す抗体配列のうち、抗体24PGLおよび37GLのVHおよびVLドメインが生殖系列化されている。]
[0112] 図5、6および7は、抗体1-42のそれぞれが互いに他に対して示す、複合配列同一性を示す。複合配列は、主要CDR領域の人為的なアラインメントである。したがって、図5については、6個のCDRドメイン(LCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2、HCDR3;6xCDR)は、LCDR1の最後のコドンがLCDR2の最初のコドンに隣接し、LCDR2の最後のコドンがLCDR3の最初のコドンに隣接するといったように整列させた。このようにして、介在するフレームワーク領域を欠いた配列が作成される。複合配列は、図5に関するように、すべてのCDR領域からなる複合配列とすることができるが、重鎖もしくは軽鎖CDR配列のみであることもある(それぞれ図6および7がそうであるように)。次に、各抗体の複合配列の、それぞれ他の抗体複合配列に対する配列アラインメントを作成し、図5、6および7のチャートにおいて同一性スコアを示すことができる。図5からわかるように、6個すべてのCDR領域に関しては、抗体1-42のいずれかが他に対して示す配列同一性のうち最低は73%である(これは、抗体3の抗体23、25、37、37GLおよび41に対する同一性である);抗体3を除くと、配列同一性の程度は78%となる。3個の重鎖CDR(3xHCDR)領域のみを比較する配列同一性の最低は75%であるが、抗体3を除外すると79%となる。3個の軽鎖CDR(3xLCDR)領域のみを比較する配列同一性の最低は65%であるが、抗体3を除外すると75%となる。]
[0113] 特定の実施形態において、単離された結合メンバーは、抗体1-42のいずれかの6xCDR複合配列について少なくとも73%のアミノ酸配列同一性を有する。]
[0114] 本発明の他の態様によれば、CDRのセット:HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2およびLCDR3を含有する、ヒトインターロイキン-4受容体α(hIL-4Rα)に対する単離された結合メンバーが与えられるが、この結合メンバーは、抗体1-42のいずれかの、介在するフレームワーク配列のまったくないHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2およびLCDR3の整列した配列からなる複合配列に関して、少なくとも73%のアミノ酸配列同一性を有する。特定の実施形態において、単離された結合メンバーは、抗体1-42のいずれかの複合スコアに関して、少なくとも78%のアミノ酸配列を有する。]
[0115] 本発明の他の態様によれば、CDRのセット:HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2およびLCDR3を含有する、ヒトインターロイキン-4受容体α(hIL-4Rα)に対する単離された結合メンバーが与えられるが、この結合メンバーは、抗体1-42のいずれかのHCDR1、HCDR2およびHCDR3からなる複合配列に関して、少なくとも75%のアミノ酸配列同一性を有する。]
[0116] 本発明の他の態様によれば、CDRのセット:HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2およびLCDR3を含有する、ヒトインターロイキン-4受容体α(hIL-4Rα)に対する単離された結合メンバーが与えられるが、この結合メンバーは、抗体1-42のいずれかのLCDR1、LCDR2およびLCDR3からなる複合配列に関して、少なくとも65%のアミノ酸配列同一性を有する。]
[0117] 本発明の結合メンバーは、IL-4Rαとの結合に関して、任意の結合メンバーと競合するものとすることができるが、これらの結合メンバーはいずれもIL-4Rαと結合し、しかも、本明細書に記載の結合メンバー、VHおよび/またはVLドメイン、CDRたとえばHCDR3、およびCDRのセットを含んでなるものである。結合メンバー間の競合は、たとえば、ELISAによって、および/または1つもしくは複数の他のタグなし結合メンバーの存在下で検出されうる結合分子に特異的レポーター分子をタグ付けすることによって、in vitroで容易にアッセイすることができ、同一のエピトープもしくは重なり合ったエピトープに結合する結合メンバーの同定が可能となる。競合は、たとえばELISAによって測定することができるが、この場合、IL-4Rαをプレートに固定化し、第1のタグ付き結合メンバーを、他の1つもしくは複数のタグなし結合メンバーとともにそのプレートに加える。タグ付き結合メンバーと競合するタグなし結合メンバーの存在は、タグ付き結合メンバーの発するシグナルの減少によって観察される。こうした方法は当業者には容易に分かるが、本明細書でより詳細に記載する。ある実施形態において、競合的結合は、本明細書に記載のようにエピトープ競合アッセイで評価する。本発明の結合メンバーは、IL-4Rαに対する結合について、抗体分子、たとえば、特に、親抗体もしくは抗体2-42のいずれかのVHおよび/またはVLドメイン、CDRたとえばHCDR3、またはCDRのセットを含有する抗体分子と競合する、抗体抗原結合部位を含有することができる。本発明の態様は、IL-4Rαとの結合について、本明細書に記載の任意の結合メンバーと競合する結合メンバーを与えるが、この結合メンバーは、たとえば、親抗体または抗体2-42のいずれかと、たとえばscFvもしくはIgG1もしくはIgG2フォーマットで競合する結合メンバーである。IL-4Rαに対する結合について、本明細書に記載の任意の結合メンバーと競合する結合メンバーは、本発明の結合メンバーに関する本明細書に記載の構造的および/または機能的特性のうち任意の1つもしくは複数を有していてもよい。]
[0118] 他の態様において、本発明は、結合メンバー(たとえば、本発明のVHドメインおよび/またはVLドメイン)をコードする配列を含んでなる、単離された核酸を与え、加えて、結合メンバー(たとえば、本発明のVHドメインおよび/またはVLドメイン)を調製する方法を与えるが、その方法は、VHドメインおよび/またはVLドメインおよび/または抗体などの前記結合メンバーの生成をもたらす条件下で前記核酸を発現させること、およびそれを回収することを含んでなる。]
[0119] 本発明の別の態様は、本明細書に記載のVHCDRまたはVLCDR配列をコードする核酸であって、一般に単離された前記核酸を与える。]
[0120] 本発明のさらなる態様は、本発明の核酸を含有する、もしくは本発明の核酸で形質転換された宿主細胞を与える。]
[0121] 本発明のさらに別の態様は、本発明の結合メンバーを含有する組成物、ならびにIL-4Rαを阻害および/または中和する方法におけるその使用を与えるが、これにはヒトもしくは動物を治療によって処置する方法が含まれる。]
[0122] 本発明の結合メンバーは、ヒトもしくは動物を治療もしくは診断する方法、たとえば、ヒト患者の疾患もしくは障害を治療する方法(予防的治療を含めることができる)であって、有効量の本発明の結合メンバーを前記患者に投与することを含んでなる前記方法に使用することができる。本発明にしたがって治療することができる疾患には、本明細書において他所で詳細に検討されるように、IL-4Rα、IL-4および/またはIL-13が関与するあらゆる疾患が含まれる。]
[0123] 本発明の上記の、および他の態様は、以下にさらに詳細に説明される。]
[0124] 用語
本明細書で使用される「および/または」は、2つの指定された特徴または構成要素のそれぞれが他方を付加包含する、または付加包含しないことの具体的開示として解釈されるべきであるとここで指摘する。たとえば、「Aおよび/またはB」は、まさに本明細書中にそれぞれが個別に記載されているように、(i)A、(ii)B、ならびに(iii)AおよびB、のそれぞれの具体的開示であると解釈されるべきである。]
[0125] IL-4Rα
IL-4Rαはインターロイキン-4受容体αである。IL-4Rαへの言及は、特に指示しない限り、通常、ヒトIL-4Rαのことを言う。野生型成熟ヒトIL-4Rαの配列は、アクセッション番号P24394 (Swiss-Prot)として寄託されているが、これはシグナルペプチドを含めた全長IL-4Rαを示す。]
[0126] カニクイザルIL-4Rαは社内で配列決定したが、カニクイザルIL-4RαのcDNA配列は配列番号455として示す。]
[0127] 本明細書の他所に記載するように、IL-4Rαは組換え体であってもよく、かつ/または、グリコシル化もしくは非グリコシル化のいずれでもよい。IL-4Rαは、天然では、in vivoにおいてN-結合グリコシル化型として発現される。グリコシル化IL-4Rαは、たとえば、HEK-EBNA細胞などの組換え系において発現されることもある。IL-4Rαは、大腸菌(E.coli)細胞において非グリコシル化型で発現されることもある。]
[0128] 結合メンバー
この用語は、互いに結合する分子ペアの一方のメンバーを表す。結合ペアのメンバーは、天然由来であってもよいが、全体的または部分的合成によって作製されてもよい。分子ペアの一方のメンバーは、分子ペアの他方のメンバーの特定の空間および極性をもつ構造に結合し、したがって分子ペアの他方のメンバーに相補的である、一定の領域またはキャビティーをその表面上に有している。結合ペアのタイプの例は、抗原-抗体、ビオチン-アビジン、ホルモン-ホルモン受容体、受容体-リガンド、酵素-基質である。本発明は、抗原-抗体型の反応に関係している。]
[0129] 結合メンバーは通常、抗原結合部位を有する分子を含む。たとえば、結合メンバーは、抗原結合部位を含む抗体分子または非抗体タンパク質とすることができる。]
[0130] 抗原結合部位は、フィブロネクチンもしくはチトクロームBなどといった非抗体タンパク質スキャフォールド上にCDRを配置することによって与えられるが(Haan & Maggos、BioCentury, 12(5):A1-A6, 2004; Koide, Journal of Molecular Biology, 284:1141-1151, 1998; Nygrenら、Current Opinion in Structural Biology, 7:463-469, 1997)、あるいは、望ましい標的に対する結合特異性を付与するように、タンパク質スキャフォールド内のループのアミノ酸残基をランダム化する、もしくは変異させることによって与えられることもある。タンパク質中に新規結合部位を操作するためのスキャフォールドは、Nygrenら(上記)により詳細に概説されている。抗体擬似体のためのタンパク質スキャフォールドはWO/0034784に開示されており、これは参照によりその全体を本明細書に組み入れるが、その発明者らは、少なくとも1つのランダム化されたループを有するフィブロネクチンIII型ドメインなどのタンパク質(抗体擬似体)を記載している。1つもしくは複数のCDR、たとえば、複数のHCDRのセット、または単一のHCDRおよび/またはLCDR3をその中にグラフトするのに適したスキャフォールドは、免疫グロブリン遺伝子スーパーファミリーの任意のドメインメンバーが提供することができる。スキャフォールドは、ヒトもしくは非ヒトタンパク質とすることができる。非抗体タンパク質スキャフォールドの利点は、少なくとも一部の抗体分子より小さく、かつ/または操作しやすいスキャフォールド分子内に、抗原結合部位を提供できることである。結合メンバーのサイズが小さいことは、有用な生理学的特性、たとえば、細胞に入り、組織に深く浸透し、あるいは他の構造体の中にある標的に到達する能力、または標的抗原のタンパク質キャビティー内で結合する能力をもたらすことができる。非抗体タンパク質スキャフォールドの抗原結合部位を使用することは、Wess, 2004において概説されている。典型的なのは、安定した骨格および1つもしくは複数の可変ループを有するタンパク質であって、この1つもしくは複数のループのアミノ酸配列が、特異的もしくはラン
ダムに変異して、標的抗原に結合する抗原結合部位をもたらす。こうしたタンパク質には、S. aureus由来プロテインAのIgG結合ドメイン、トランスフェリン、テトラネクチン、フィブロネクチン(たとえば、第10フィブロネクチンIII型ドメイン)、およびリポカリンがある。他の方法としては、合成「ミクロボディー」(SelecoreGmbH社)があるが、これは、分子内ジスルフィド結合を有する小タンパク質-サイクロチドに基づいている。]
[0131] 抗体配列および/または抗原結合部位に加えて、本発明の結合メンバーは、たとえば、折りたたまれたドメインなどのペプチドもしくはポリペプチドを形成している他のアミノ酸、または抗原に結合する能力に加えて別の機能的特徴を分子に付与する他のアミノ酸を含有することができる。本発明の結合メンバーは、検出可能な標識を保有することができるが、毒素またはターゲティング部分または酵素に(たとえば、ペプチド結合もしくはリンカーを介して)コンジュゲートしていてもよい。たとえば、結合メンバーは、抗原結合部位のみならず(たとえば酵素ドメインの)触媒部位も含有することができるが、この抗原結合部位は、抗原と結合することによって触媒部位を抗原に向けてターゲティングする。触媒部位は、抗原の生物学的機能を、たとえば切断によって阻害することができる。]
[0132] 上記のように、非抗体スキャフォールドはCDRを保有することができるが、CDR、たとえばCDR3または本発明のCDRのセットを保有するための構造は、一般に、抗体重鎖もしくは軽鎖配列、またはそれらの重要部分であり、その中で、CDRまたはCDRのセットは、再構成された免疫グロブリン遺伝子によってコードされる天然のVHおよびVL抗体可変ドメインのCDRまたはCDRのセットに対応する位置にある。免疫グロブリン可変ドメインの構造および位置は、Kabat(Sequences of Proteins of Immunological Interest、第4版、US Department of Health and Human Services(米保健社会福祉省)、1987)、およびそのアップデート、たとえば第5版(Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、US Department of Health and Human Services(米保健社会福祉省)、Public Service, NIH, Washington , 1991)を参照して決定することができる。]
[0133] 特に指示しない限り、本明細書で言及される特定の残基、ならびにCDRおよびフレームワーク領域の位置は、Kabatのナンバリングシステムを使用する。]
[0134] CDR領域またはCDRは、Kabatら(上記)で定義される免疫グロブリンの重鎖および軽鎖超可変領域を示すものである。抗体は、典型的には、3つの重鎖CDRおよび3つの軽鎖CDRを含有する。「CDRまたは複数のCDR」という用語は、場合によって、上記領域のうち1つ、またはいくつか、またはその全体までも示すために本明細書では使用され、この領域は、抗体が認識する抗原またはエピトープに対する、当該抗体の親和性に基づく結合に関与する、アミノ酸残基の大部分を含有している。]
[0135] 6つの短いCDR配列のうち、重鎖の第3のCDR(HCDR3)は、サイズ可変性が高い(それを引き起こす遺伝子の配置メカニズムによって本質的に多様性が大きい)。既知の最長サイズは26アミノ酸であるが、2アミノ酸のように短いこともある。HCDR3は、機能としては、抗体の特異性の決定に一部関与する(Segalら、 PNAS, 71:4298-4302, 1974; Amitら、Science, 233:747-753, 1986; Chothiaら、 J. Mol. Biol., 196:901-917, 1987; Chothia ら、Nature, 342:877-883, 1989; Catonら、J. Immunol., 144:1965-1968, 1990; Sharon ら、 PNAS, 87:4814-4817, 1990(a); Sharonら、J. Immunol., 144:4863-4869, 1990; Kabatら、J. Immunol., 147:1709-1719, 1991b)。]
[0136] HCDR1は、Kabat残基31-35からなる5アミノ酸長とすることができる。]
[0137] HCDR2は、Kabat残基50-65からなる17アミノ酸長とすることができる。]
[0138] HCDR3は、Kabat残基95-102からなる7アミノ酸長とすることができる。]
[0139] LCDR1は、Kabat残基24-34からなる13アミノ酸長とすることができる。]
[0140] LCDR2は、Kabat残基50-56からなる7アミノ酸長とすることができる。]
[0141] LCDR3は、Kabat残基89-97からなる12アミノ酸長とすることができる。]
[0142] 抗体分子
この用語は、天然であるか、部分的または完全に合成であるかにかかわらず免疫グロブリンを表す。また、この用語は、抗体の抗原結合部位を含有するポリペプチドもしくはタンパク質を含む。ここで当然のことながら、本発明は自然状態の抗体に関するものではなく、すなわち、抗体は天然の環境に存在するのではなくて、天然起源からの精製によって単離もしくは入手する、あるいは遺伝子組換えまたは化学合成によって入手することができたが、そのとき、後述のように非天然アミノ酸を含有することができる。抗体の抗原結合部位を含有する抗体フラグメントには、Fab、Fab’、Fab’-SH、scFv、Fv、dAb、Fd;およびダイアボディ(diabody)などの分子が含まれるが、それらに限定されない。]
[0143] 本発明の抗体分子は、IgG、たとえばIgG1、IgG4、IgG2または非グリコシルIgG2とすることができる。]
[0144] モノクローナルおよびその他の抗体を用い、さらに組換えDNA技術を使用して、標的抗原に結合する他の抗体またはキメラ分子を作製することができる。こうした技術は、抗体の免疫グロブリン可変領域またはCDRをコードするDNAを、異なる免疫グロブリンの定常領域、または定常領域+フレームワーク領域に導入することを伴いうる。たとえば、EP-A-184187、GB 2188638AまたはEP-A-239400、およびその後の多数の文献を参照されたい。ハイブリドーマ、または抗体を産生する他の細胞は、遺伝子変異または他の変化を受けることができるが、この変異や変化は、産生される抗体の結合特異性を変化させることも変化させないこともある。]
[0145] 抗体はさまざまな方法で改変することができるので、「抗体分子」という用語は、必要とされる特異性を有する抗体の抗原結合部位を有し、かつ/または、抗原に結合する、任意の結合メンバーまたは物質を包含すると解釈されるべきである。したがって、この用語は、天然であるか、全体的もしくは部分的に合成であるかにかかわらず、抗体の抗原結合部位を含有する任意のポリペプチドを含めて、抗体フラグメントおよび誘導体を包含する。したがって別のポリペプチド(たとえば、別種に由来する、または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属するもの)と融合した、抗体の抗原結合部位もしくは同等物を含有するキメラ分子は、この用語に含まれる。キメラ抗体のクローニングおよび発現は、EP-A-0120694およびEP-A-0125023、ならびにその後の多数の文献に記載されている。]
[0146] 抗体工学の分野で利用できるその他の技術によって、ヒト抗体およびヒト化抗体の単離が可能になった。たとえばヒトハイブリドーマは、Kontermann & Dubel (Antibody Engineering, Springer-Verlag New York,LLC; 2001, ISBN: 3540413545)に記載のように作製することができる。結合メンバーを作り出すためのもう一つの既存技術であるファージディスプレイは、多くの刊行物、たとえば、WO92/01047 (以下でさらに検討される)および米国特許US5969108、US5565332、US5733743、US5858657、US5871907、US5872215、US5885793、US5962255、US6140471、US6172197、US6225447、US6291650、US6492160、US6521404および Kontermann & Dubel (上記)に、詳細に記載されている。マウス抗体遺伝子が不活化されて、機能的にはヒト抗体遺伝子に置き換えられているが、マウス免疫系の他の構成要素はインタクトなままである、トランスジェニックマウスを用いて、ヒト抗体を単離することができる(Mendezら、Nature Genet, 15(2):146-156, 1997)。]
[0147] たとえば、Knappikら (J. Mol. Biol. 296, 57-86, 2000) またはKrebs ら (Journal of Immunological Methods, 254:67-84, 2001)によって記載されるように、オリゴヌクレオチドを合成し、適当な発現ベクター内にアセンブルすることによって、合成抗体分子を作製することができる。]
[0148] 全抗体のフラグメントは、抗体と結合する機能を果たせることが示されている。結合フラグメントの例は、(i) VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなるFabフラグメント;(ii) VHおよびCH1ドメインからなるFdフラグメント;(iii) 単一抗体のVLおよびVHドメインからなるFvフラグメント;(iv)VHまたはVLドメインからなるdAbフラグメント(Ward ら、 Nature 341:544-546, 1989; McCafferty ら、 Nature, 348:552-554, 1990; Holt ら、Trendsin Biotechnology 21, 484-490, 2003);(v) 単離されたCDR領域;(vi) F(ab')2フラグメント(2つの連結されたFabフラグメントを含む2価フラグメント);(vii)一本鎖Fv分子(scFv)(VHドメインおよびVLドメインがペプチドリンカーによって連結されており、これによって、前記2つのドメインが会合して抗原結合部位を形成することが可能となっている)(Birdら、Science, 242, 423-426, 1988; Huston PNAS USA, 85, 5879-5883, 1988); (viii)二重特異性一本鎖Fv二量体(PCT/US92/09965)および(ix)遺伝子融合によって構築された多価または多重特異性フラグメント「ダイアボディ」 (WO94/13804; Holligerら、PNAS USA 90:6444-6448, 1993a)である。Fv、scFvまたはダイアボディ分子は、VHおよびVLドメインを連結するジスルフィド架橋を組み込むことによって安定化することができる(Reiterら、Nature Biotech, 14:1239-1245, 1996)。CH3ドメインに連結されたscFvを含有するミニボディを作製してもよい(Huら、 Cancer Res., 56, 3055-3061, 1996)。結合フラグメントの他の例はFab'およびFab'-SHである。Fab'は、重鎖CH1ドメインのカルボキシル末端に少数の残基(抗体ヒンジ領域由来の1つもしくは複数のシステインも含まれる)が付加されていることによってFabフラグメントとは異なる。Fab'-SHは、定常ドメインの1つもしくは複数のシステイン残基が遊離のチオール基を保持するFab'フラグメントである。]
[0149] 本発明の抗体フラグメントは、本明細書に記載の任意の抗体分子、たとえば、抗体1〜42のいずれかのVHおよび/またはVLドメインまたはCDRを含有する抗体分子から出発して、ペプシンまたはパパインといった酵素による消化などの方法によって、および/または化学的還元によるジスルフィド架橋の切断によって得られうる。別の方法では、本発明に含まれる抗体フラグメントは、同様に当業者によく知られている遺伝子組換え技術によって、あるいは他に、たとえばApplied Biosystems社などによって供給されるような自動ペプチドシンセサイザーを用いたペプチド合成、または核酸合成および発現によって得ることができる。]
[0150] 本発明の機能的抗体フラグメントには、化学修飾、特にPEG化によって、またはリポソーム内への取り込みによって、半減期が長くなった任意の機能的フラグメントが含まれる。]
[0151] dAb(ドメイン抗体)は、抗体の、抗原に結合する単量体小フラグメント、すなわち抗体重鎖または軽鎖の可変領域である(Holtら、Trendsin Biotechnology 21, 484-490, 2003)。VH dAbは、ラクダ科の動物(たとえばラクダ、ラマ)において天然に存在しており、ラクダ科動物を標的抗原で免疫し、抗原特異的B細胞を単離して、個々のB細胞からdAb遺伝子を直接クローニングすることによって作製することができる。dAbは細胞培養で生成させることもできる。dAbは、サイズが小さく、溶解性に優れ、温度安定性であるので、生理学的に有用で、選択および親和性成熟に好適となる。本発明の結合メンバーは、実質的に本明細書に記載されたVHもしくはVLドメイン、または実質的に本明細書に記載されたCDRのセットを含有するVHもしくはVLドメインを含んでなるdAbとすることができる。]
[0152] 本明細書で使用される「実質的に記載された」という表現は、本明細書に記載の結合メンバーのVHまたはVLドメインの、関連CDRの特徴(1つもしくは複数)が、本明細書に配列が記載されている指定領域と同一であるかまたはきわめて類似していることを表す。本明細書で使用される、1つもしくは複数の可変領域の指定領域(1つもしくは複数)に関する「きわめて類似している」という表現は、VHおよび/またはVLドメインのCDRにおいて、1から約12個まで、たとえば1〜8、たとえば1〜7、1〜6、1〜5、1〜4、1〜3、または1もしくは2個のアミノ酸置換を行ってもよいことを想定している。]
[0153] 本発明の抗体には二重特異性抗体が含まれる。二重特異性または二機能性抗体はモノクローナル抗体の第二世代となるが、これらにおいて、2つの異なる可変領域が同一分子に組み込まれている(Holliger, P. & Winter, G. 1999 Cancer and metastasis rev. 18:411-419, 1999)。それらが新規エフェクター機能を補充する能力、またはいくつかの分子を腫瘍細胞表面にターゲティングする能力から、その有用性は、診断分野でも治療分野においても実証されている。二重特異性抗体を使用する場合、これらは従来の二重特異性抗体であってもよいが、上記の二重特異性抗体フラグメントのいずれかであってもよく、前者は、さまざまな方法で製造することができるが(Holligerら、PNAS USA 90:6444-6448, 1993)、たとえば、化学的に、またはハイブリッドハイブリドーマから、調製することができる。これらの抗体は、化学的方法(Glennie et al., 1987 J. Immunol. 139, 2367-2375; Repp et al., J. Hemat. 377-382, 1995)、または体細胞による方法(Staerz U. D. and Bevan M. J. PNAS 83, 1986; et al., Method Enzymol. 121:210-228, 1986)によって得られるが、同様に遺伝子工学技術によっても得ることが可能であって、この技術は、強制的にヘテロ二量体化させることを可能にし、それによって目的の抗体の精製プロセスを容易にするものである(Merchand et al. Nature Biotech, 16:677-681, 1998)。二重特異性抗体の例としては、BiTE(商標)技術の二重特異性抗体があるが、この抗体では、異なる特異性を有する2つの抗体の結合ドメインが使用され、短いフレキシブルなペプチドを介して直接連結されている。これが短いポリペプチド一本鎖の上で2つの抗体を結びつけている。ダイアボディおよびscFvは、可変ドメインのみを用いて、Fc領域なしで構築することができるので、抗イディオタイプ反応の影響を低下させることができる。]
[0154] 二重特異性抗体は、完全なIgGとして、二重特異性Fab'2として、Fab'PEGとして、ダイアボディとして、あるいは二重特異性scFvとして構築することができる。さらに、2つの二重特異性抗体を当業者に公知の通常の方法によって連結し、四価抗体を形成することができる。]
[0155] 二重特異性ダイアボディは、二重特異性全抗体とは対照的に、大腸菌において容易に構築し発現させることができるという理由で、特に有用であることもある。適当な結合特異性を持つダイアボディ(および抗体フラグメントなどの他の多くのポリペプチド)は、ライブラリーからファージディスプレイ(WO94/13804)によって容易に選択することができる。ダイアボディの一方のアームが、たとえばIL-4Rαに対する特異性を有していて、一定に保持されるべきであるならば、もう一方のアームを変化させたライブラリーを作製して、適当な特異性を持つ抗体を選択することができる。二重特異性全抗体は、Ridgewayら、(Protein Eng., 9:616-621, 1996)に記載されるような別法によって作製してもよい。]
[0156] IL-4Rαに対する抗体を得るために、当技術分野においてさまざまな方法が利用できる。抗体は、特にヒト、マウス、キメラまたはヒト化起源の、モノクローナル抗体とすることができるが、これは当業者に周知の標準的方法によって得られる。]
[0157] 一般に、モノクローナル抗体またはその機能的フラグメント(特にマウス起源)を調製するために、特にマニュアル「Antibodies」 (Harlow and Lane, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor N.Y., pp. 726, 1988)に記載の技術、またはKohlerおよびMilstein (Nature, 256:495-497, 1975)に記載のハイブリドーマからの調製法を参照することができる。]
[0158] モノクローナル抗体は、たとえば、IL-4Rα、または、前記モノクローナル抗体によって認識されるエピトープを含有するその断片の1つ、に対して免疫した動物細胞から得られる。IL-4Rαまたはその断片の1つは、特に、IL-4Rαまたはその断片をコードするcDNA配列中に含まれる核酸配列から出発する遺伝子組換えによる通常の作業方法、IL-4Rαおよび/またはその断片のペプチド配列中に含まれるアミノ酸配列から出発するペプチド合成による通常の作業方法にしたがって、作製することができる。モノクローナル抗体は、たとえば、IL-4Rα、または前記モノクローナル抗体によって認識されるエピトープを含有するその断片の1つが、あらかじめ固定化されたアフィニティカラムで、精製することができる。より詳細には、モノクローナル抗体は、プロテインAおよび/またはGでのクロマトグラフィーによって精製することができるが、次に、残存する夾雑タンパク質ならびにDNAおよびLPSの除去を目的とするイオン交換クロマトグラフィーを、それ自体行っても行わなくてもよく、続いて、二量体または他の多量体の存在による潜在的凝集物を除去する目的で、セファロースゲルによる排除クロマトグラフィーを行うことができるが行わなくてもよい。ある実施形態において、これらの全技術を同時に、または逐次的に続けて行うことができる。]
[0159] 抗原結合部位
これは、標的抗原の全体または一部と結合し、かつそれに相補的な、分子の一部を表す。抗体分子では、それは抗体抗原結合部位と称され、標的抗原の全体または一部と結合し、かつそれに相補的な、抗体の一部をなす。抗原が大きい場合、抗体は抗原の特定の部分にしか結合することができず、その部分をエピトープという。抗体抗原結合部位は、1つもしくは複数の抗体可変ドメインによって与えられうる。抗体の抗原結合部位は、抗体軽鎖可変領域(VL)および抗体重鎖可変領域(VH)を含むことができる。]
[0160] 単離されている
これは、本発明の結合メンバー、またはそうした結合メンバーをコードする核酸が、総じて本発明に合致している状態を表す。したがって、VHおよび/またはVLドメインを含む本発明の結合メンバー、ならびにコードする核酸分子およびベクターは、たとえば、その天然環境から単離および/または精製されて、実質的に純粋もしくは均一な状態で、または核酸の場合には、所定の機能を有するポリペプチドをコードする配列以外の起源の核酸もしくは遺伝子が実質的にない状態で、提供される。単離された結合メンバーおよび単離された核酸は、天然の環境、またはそれらが調製される(この場合その調製はin vitroまたはin vivoで実施される組換えDNA技術による)環境(たとえば、細胞培養)中に存在する他のポリペプチドまたは核酸などの、天然では付随する物質を含まないまたは実質的に含まない。メンバーおよび核酸は、賦形剤またはアジュバントとともに製剤することができるが、それでもなお事実上、実用目的については単離されているとすることができる‐たとえば、メンバーは通常、イムノアッセイ用にマイクロタイタープレートをコーティングするために使用する場合、ゼラチンと混合することになり、あるいは、診断または治療に使用する場合は製薬上許容される担体または賦形剤と混合することになる。結合メンバーは、天然で、または異種真核細胞(たとえば、CHO、またはNS0(ECACC85110503)細胞)の系によって、グリコシル化されていてもよいが、グリコシル化されていなくてもよい(たとえば、原核細胞での発現によって作製される場合)。]
[0161] 抗IL-4Rα抗体分子を含有する不均一標品も本発明の一部をなしている。たとえば、こうした標品は、さまざまな程度にグリコシル化され、かつ/または、N末端グルタミン酸が環化してピログルタミン酸残基を形成するといった、誘導体化されたアミノ酸を有する、全長重鎖、およびC末端リジンを欠いた重鎖を有する、抗体の混合物とすることができる。]
[0162] 上記のように、本発明の結合メンバーは、IL-4Rαの生物活性を調節しており、これを中和することができる。本明細書に記載のように、本発明のIL-4Rα結合メンバーは、中和能力について最適化することができる。一般に、中和能力の最適化には、選択された結合メンバーの配列(通常、抗体の可変ドメイン配列)を変異させて、結合メンバーのライブラリーを作製する必要があり、その後、能力をアッセイして、より強力な結合メンバーが選択される。このようにして選択された「能力最適化」結合メンバーは、ライブラリーを作製する元になった結合メンバーより高い能力を有する傾向がある。それにもかかわらず、高い能力を持つ結合メンバーは、最適化せずに得ることも可能であって、たとえば、能力の高い結合メンバーは、生化学的中和アッセイなどの最初のスクリーニングから、直接得ることができる。「能力最適化」結合メンバーは、最適化された結合能力、またはIL-4Rαの特定の活性、または下流機能を中和する最適化された能力をもつ結合メンバーを表す。アッセイおよび能力は、本明細書の別の箇所でより詳細に説明される。本発明は、能力最適化結合メンバーと非最適化結合メンバーをともに与えるが、選択された結合メンバーから能力を最適化するための方法ももちろん提供する。このように、本発明によって当業者は、高い能力を有する結合メンバーを生成させることが可能になる。]
[0163] 能力の最適化によって、所与の結合メンバーからより能力の高い結合メンバーを生成させることができるが、能力の最適化をしなくても能力の高い結合メンバーが得られることも指摘しておく。]
[0164] 他の態様において、本発明は、抗原に結合することができる1つもしくは複数の結合メンバーを得る方法を与えるが、その方法は、本発明の結合メンバーのライブラリーと当該抗原とを接触させること、ならびに当該抗原に結合可能なライブラリーの1つもしくは複数の結合メンバーを選択することを包含する。]
[0165] ライブラリーは、粒子または分子複合体、たとえば、酵母、細菌もしくはバクテリオファージ(たとえばT7)粒子、ウイルス、細胞などの複製可能な遺伝的パッケージ上に、または共有結合によるディスプレイ系、リボゾームディスプレイ系もしくはその他のin vitroディスプレイ系に、ディスプレイすることができるが、それぞれの粒子または分子複合体は、抗体VH可変ドメインをその上にディスプレイして含有しており、さらに、もしあればディスプレイされたVLドメインを含有してもよい。ファージディスプレイは、WO92/01047、ならびに米国特許US5969108、US5565332、US5733743、US5858657、US5871907、US5872215、US5885793、US5962255、US6140471、US6172197、US6225447、US6291650、US6492160およびUS6521404に記載されており、これはそれぞれ、参照によりその全体を本明細書に含めるものとする。]
[0166] 抗原に結合可能で、かつバクテリオファージまたは他のライブラリー粒子もしくは分子複合体上にディスプレイされている結合分子を選択した後、選択された前記結合メンバーをディスプレイしているバクテリオファージまたは他の粒子もしくは分子複合体から、核酸を取得することができる。こうした核酸はその後、選択された前記結合メンバーをディスプレイするバクテリオファージまたは他の粒子もしくは分子複合体から採取された核酸配列を有する、核酸からの発現によって、結合メンバーまたは抗体VHもしくはVL可変ドメインを作製する際に、使用することができる。]
[0167] 前記の選択された結合メンバーの抗体VHドメインのアミノ酸配列を有する、抗体VHドメインは、単離された状態でも、このようなVHドメインを含有する結合メンバーとしても与えられうる。]
[0168] IL-4Rαと結合する能力、および/または、IL-4Rαとの結合について、たとえば親抗体分子(たとえば抗体1)もしくは最適化抗体分子、抗体2〜42(たとえば、scFv型および/またはIgG型で、たとえばIgG1、IgG2またはIgG4で)と競合する能力をさらに調べることができる。IL-4Rαを中和する能力は、本明細書の他所で検討されるように、テストすることができる。]
[0169] 本発明の結合分子は、たとえば、scFvまたはIgG1またはIgG2またはIgG4型の、抗体1〜42のうち1つのもつ親和性で、またはそれより強い親和性で、IL-4Rαと結合することができる。]
[0170] 本発明の結合分子は、たとえば、scFvまたはIgG1またはIgG2またはIgG4型の、抗体1〜42のうち1つのもつ能力で、またはそれに優る能力で、IL-4Rαの生物活性を中和することができる。]
[0171] 異なる結合メンバーの結合親和性および中和能力を、適切な条件下で比較することができる。]
[0172] 本明細書に記載の抗体分子の変異体を作製し、本発明に使用することができる。多変数データ解析技術を構造/特性-活性相関に適用する計算化学の先導にしたがって(Woldら, Multivariate data analysis in chemistry. Chemometrics -Mathematics and Statistics in Chemistry (Ed.: B. Kowalski), D. Reidel Publishing Company, Dordrecht, Holland, 1984 (ISBN 90-277-1846-6))、周知の数学的手法、たとえば、統計的回帰、パターン認識および分類を用いて、抗体の定量的活性-特性相関を導くことができる(Normanら, Applied Regression Analysis. Wiley-Interscience; 第3版 (April 1998) ISBN: 0471170828; Kandel, Abraham & Backer, Computer-Assisted Reasoning in Cluster Analysis. Prentice Hall PTR, (May 11, 1995), ISBN: 0133418847; Principles of Multivariate Analysis: A User's Perspective (Oxford Statistical Science Series, No 22 (Paper)). Oxford University Press; (December 2000), ISBN: 0198507089; Witten & Frank Data Mining: Practical Machine Learning Tools and Techniques with Java(登録商標) Implementations. Morgan Kaufmann; (October 11, 1999), ISBN: 1558605525; Denison DGT. (Editor), Holmes, CC. ら, Bayesian Methodsfor Nonlinear Classification and Regression (Wiley Series in Probability and Statistics). John Wiley & Sons; (July 2002), ISBN: 0471490369; Ghose, AK. & Viswanadhan, VN. Combinatorial Library Design and Evaluation Principles, Software, Tools, and Applications in Drug Discovery. ISBN: 0-8247-0487-8)。抗体の特性は、抗体配列、機能および三次元構造の経験的および理論的モデル(たとえば、接触しそうな残基、または計算された物理化学的特性)から導かれ、これらの特性は、1つ1つ個別に、および組み合わて考慮することができる。]
[0173] VHドメインおよびVLドメインからなる抗体の抗原結合部位は、典型的には、6つのペプチドループ:軽鎖可変ドメイン(VL)由来の3つ、および重鎖可変ドメイン(VH)由来の3つ、で形作られている。既知の原子構造をもつ抗体の解析は、抗体複合部位の配列と三次元構造との間の相関を解明した(Chothia et al. Journal Molecular Biology 1992227, 799-817, 1992; Al-Lazikani et al. Journal Molecular Biology 273(4):927-948, 1997)。こうした相関性は、VHドメインの第3領域(ループ)を除いて、結合部位のループが、少数の主鎖立体構造:カノニカル構造の1つを有することを意味する。特定のループ内で形成されるカノニカル構造は、そのサイズ、ならびにループとフレームワーク領域の双方の重要部位における特定の残基の存在によって決定されることが明らかとなっている(Chothia et al, Journal Molecular Biology 1992227, 799-817, 1992; Al-Lazikani 上記)。]
[0174] 配列-構造相関に関するこの研究は、既知の配列をもつが三次元構造は不明である抗体中の残基であって、その抗体のCDRループの三次元構造の維持に重要であり、ゆえに結合特異性を維持している前記残基を予想するために利用することができる。こうした予想は、その予想と先行する最適化実験から得られたアウトプットとを比較することによって、裏付けることができる。構造的アプローチでは、任意の、自由に利用できる、または市販されているパッケージ、たとえばWAMを用いて(Whitelegg & Rees, Prot. Eng., 12:815-824, 2000)、抗体分子のモデルを作成することができる(Chothia et al. Science, 223:755-758, 1986)。そこで、タンパク質可視化および解析ソフトウェアパッケージ、たとえば、Insight II(Accelerys, Inc.)またはDeep View(Geux & Peitsch, lectrophoresis(1997) 18, 2714-2723)を用いて、CDR内のそれぞれの位置で起こりうる置換を評価することができる。次に、この情報を用いて、活性に対して最小の、または有益な影響を及ぼす可能性の高い置換を行うことができる。]
[0175] CDR、抗体VHまたはVLドメインおよび結合メンバーのアミノ酸配列の中で置換を行うのに必要な技術は、一般に当技術分野で利用可能である。活性に対して最小の、または有益な影響を及ぼすと予想されるまたは予想されない置換を有する変異体配列を作製することができ、IL-4Rαと結合する能力および/もしくはIL-4Rαを中和する能力について、ならびに/または他の任意の所望の特性について、テストすることができる。]
[0176] 本明細書中にその配列を具体的に開示しているVHおよびVLドメインのいずれかの、可変ドメインアミノ酸配列変異体を、先に述べたように、本発明にしたがって用いることができる。特定の変異体は、1つもしくは複数のアミノ酸配列の変化(アミノ酸残基の付加、欠失、置換および/または挿入)を含んでいてもよく、約20個未満の変化、約15個未満の変化、約12個未満の変化、約10個未満の変化、または約6個未満の変化を含んでいてもよく、例えば5、4、3、2または1個の変化を含むことができる。変更は、1つもしくは複数のフレームワーク領域、および/または1つもしくは複数のCDR内で、加えることができる。変化は通常、結果として機能の喪失をもたらさないので、このように変化したアミノ酸配列を含有する結合メンバーは、IL-4Rαと結合し、および/またはこれを中和する能力を保持することができる。たとえば、結合メンバーは、たとえば、本明細書に記載のアッセイで測定して、変化させていない結合メンバーと量的に同じ結合および/または中和能力を保有することができる。このように変化したアミノ酸配列を含有する結合メンバーは、向上したIL-4Rαに対する結合および/または中和能力を有することもある。実際、抗体20のランダム変異から生じた抗体21〜42は、抗体20と比較して、大半がさまざまなフレームワーク領域内に変異を示すが、これらはそれぞれ依然としてIL-4Rαと結合し、および/またはこれを中和するのであって、たしかに一部は、向上したIL-4Rαに対する結合および/または中和能力を示す。]
[0177] 変化には、非天然または非標準アミノ酸で1つもしくは複数のアミノ酸残基を置き換えること、1つもしくは複数のアミノ酸残基を、非天然または非標準の形に修飾すること、または、1つもしくは複数の非天然または非標準アミノ酸を配列内に挿入することを含めることができる。例番号および本発明の配列中の位置は本明細書の他の箇所に記載する。天然アミノ酸には、標準一文字コードでG、A、V、L、I、M、P、F、W、S、T、N、Q、Y、C、K、R、H、D、Eと表示される20個の「標準的な」L-アミノ酸がある。非標準アミノ酸には、ペプチド骨格に組み込むことができる、または既存のアミノ酸残基の修飾の結果として得られる、任意の他の残基が含まれる。非標準アミノ酸は、天然であることも、非天然であることもある。いくつかの天然の非標準アミノ酸が当技術分野で知られており、たとえば、4-ヒドロキシプロリン、5-ヒドロキシリジン、3-メチルヒスチジン、N-アセチルセリン、などである(Voet & Voet, Biochemistry, 2nd Edition, (Wiley) 1995)。N-α位で誘導体化されたアミノ酸残基は、アミノ酸配列のN末端にのみ位置づけられることになる。本発明では通常、アミノ酸はL-アミノ酸であるが、一部の実施形態では、D-アミノ酸とすることができる。したがって、変化とは、L-アミノ酸を、D-アミノ酸に改変する、またはD-アミノ酸で置き換えることを含む。アミノ酸のメチル化、アセチル化および/またはリン酸化型も知られており、本発明のアミノ酸は、そうした修飾を受けることができる。]
[0178] 本発明の抗体ドメインおよび結合メンバーのアミノ酸配列は、上記の非天然または非標準アミノ酸を含有することができる。一部の実施形態では、非標準アミノ酸(たとえば、D-アミノ酸)をアミノ酸配列内に、合成中に組み込むことができるが、他の実施形態では、アミノ酸配列の合成後に、「元の」標準アミノ酸の修飾または置換によって、非標準アミノ酸を導入してもよい。]
[0179] 非標準および/または非天然アミノ酸の使用は、構造的および機能的多様性を高めるので、本発明の結合メンバーにおいて、望ましいIL-4Rα結合および中和特性を達成するための能力を高めることができる。加えて、D-アミノ酸およびアナログは、動物、たとえばヒトへの投与後にL-アミノ酸を有するポリペプチドのin vivo分解がおこるので、標準L-アミノ酸より優れた薬物動態プロファイルを有することが明らかになっている。]
[0180] 本発明のCDR由来配列を保有する新規VHまたはVL領域は、可変ドメイン全体において変異を生じさせる、1つもしくは複数の選択されたVHおよび/またはVL遺伝子のランダム変異誘発によって生成させることができる。こうした技術は、Gramら(Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 89:3576-3580, 1992)により記載されているが、そこではエラープローンPCRが用いられた。一部の実施形態では、可変ドメイン全体またはCDRのセットの中で、1つもしくは複数のアミノ酸置換が起こっている。利用可能なもう1つの方法は、変異誘発を、VHまたはVL遺伝子のCDR領域に向けることである。こうした技術は、Barbasら(Proc. Natl. Acad. Sci., 91:3809-3813, 1994)およびSchierら(J. Mol. Biol. 263:551-567, 1996)により開示されている。]
[0181] 上記の技術はすべて、そのまま当技術分野で公知であって、当業者は当技術分野の通常の方法論によって本発明の結合メンバーを作製するために、そうした技術を利用することができる。]
[0182] 本発明の他の態様は、IL-4Rαに対する抗体の抗原結合部位を得るための方法を与えるが、その方法は、本明細書に提示されたVHドメインのアミノ酸配列内で1つもしくは複数のアミノ酸を付加、欠失、置換または挿入することによって、VHドメインのアミノ酸配列変異体であるVHドメインを提供すること、こうして与えられたVHドメインを1つもしくは複数のVLドメインと必要に応じて組み合わせること、ならびにそのVHドメインまたは1つもしくは複数のVH/VLの組み合わせをテストして、IL-4Rαに対する結合メンバーまたは抗体の抗原結合部位であって、必要に応じて、1つもしくは複数の機能的特性、たとえばIL-4Rα活性を中和する能力、を有するものを同定することを含む。前記VLドメインは、実質的に本明細書に提示されたとおりのアミノ酸配列を有していてもよい。本明細書に記載のVLドメインの1つもしくは複数の配列変異体を、1つもしくは複数のVHドメインと組み合わせる、同様の方法を用いることもできる。]
[0183] 上記のように、実質的に本明細書に提示されるCDR配列は、ヒト抗体可変ドメインまたはその実質的な一部分の中にCDRとして保持されることが考えられる。実質的に本明細書に提示されるHCDR3配列は、本発明の実施形態を表しており、たとえばこれらはそれぞれ、HCDR3として、ヒト重鎖可変ドメインもしくは実質的なその一部分の中に保持されることがある。]
[0184] 本発明で使用される可変ドメインは、任意の生殖系列または再構成ヒト可変ドメインから得る、もしくは導き出すことができるが、既知のヒト可変ドメインのコンセンサス配列または実際の配列に基づいた合成可変ドメインであってもよい。可変ドメインは非ヒト抗体を起源として得ることができる。本発明のCDR配列(たとえば、CDR3)は、組換えDNA技術を用いて、CDR(たとえば、CDR3)を欠いた可変ドメインのレパートリーに導入することができる。たとえば、Marksら(Bio/Technology, 10:779-783, 1992)は、抗体可変ドメインのレパートリーを作製する方法を記載しているが、その方法では、可変ドメイン領域の5’末端に対する、またはそれに隣接するコンセンサスプライマーを、ヒトVH遺伝子の第3フレームワーク領域に対するコンセンサスプライマーとともに使用して、CDR3を欠いたVH可変ドメインのレパートリーを提供する。Marksらはさらに、このレパートリーを特定の抗体のCDR3と組み合わせる方法も記載している。同様の技術を用いて、本発明のCDR3由来配列を、CDR3を欠いたVHまたはVLドメインのレパートリーとシャッフルし、シャッフルされた完全なVHまたはVLドメインを同属のVLまたはVHドメインと組み合わせて、本発明の結合メンバーを与えることができる。その後、適当な結合メンバーを選択することができるように、レパートリーを適当な宿主系、たとえば、WO92/01047(これはその全体を参照により本明細書に含めるものとする)、またはKay, Winter & McCafferty(Phage Display of Peptides and Proteins: A Laboratory Manual, San Diego: Academic Press, 1996)などのその後の多数の文献のいずれかの、ファージディスプレイ系にディスプレイすることができる。レパートリーは104個から上の数のメンバー、たとえば、少なくとも105、少なくとも106、少なくとも107、少なくとも108、少なくとも109、または少なくとも1010個のメンバーから構成されるとすることができる。他の適当な宿主系には、酵母ディスプレイ、細菌ディスプレイ、T7ディスプレイ、ウイルスディスプレイ、細胞ディスプレイ、リボゾームディスプレイおよび共有結合ディスプレイがあるがそれに限定されない。]
[0185] 同様のシャッフリングまたはコンビナトリアル技術は、Stemmer(Nature, 370:389-391, 1994)によっても開示されており、ここではβラクタマーゼ遺伝子に関する技術が記載されているが、そのアプローチを抗体の作製に利用できることが観察されている。]
[0186] IL-4Rα抗原に対する結合メンバーを調製する方法が与えられるが、その方法は下記を含んでなる:
(a) 置き換えられるべきCDR3を含有する、またはCDR3をコードする領域を欠失した、VHドメインをコードする核酸の出発レパートリーを提供すること;
(b) VHドメインをコードする核酸の生成物レパートリーを与えるために、前記レパートリーを、本明細書で後に提示する、VH CDR3のアミノ酸配列をコードするドナー核酸と組み合わせて、前記ドナー核酸がレパートリーのCDR3領域に挿入されるようにすること;
(c) 前記生成物レパートリーの核酸を発現させること;
(d) IL-4Rαに対する結合メンバーを選択すること;ならびに
(e) 前記結合メンバーまたはそれをコードする核酸を回収すること。]
[0187] また、置き換えられるべきCDR3を含有する、またはCDR3をコードする領域を欠失した、VLドメインをコードする核酸のレパートリーと、本発明のVL CDR3を組み合わせる、同様の方法を用いることができる。]
[0188] 同じように、本明細書に記載の、他のVHおよびVLドメイン、CDRのセットおよびHCDRのセットおよび/またはLCDRのセットを用いることができる。]
[0189] 同様に、1つもしくは2つ、または3つすべてのCDRを、VHまたはVLドメインのレパートリーにグラフトすることができ、これらは次にIL-4Rαに対する1つまたは複数の結合メンバーのためにスクリーニングされる。]
[0190] あるいはまた、本発明の結合メンバー、たとえば抗体1〜42のいずれかのVHおよび/またはVLドメインをコードする核酸を、変異誘発(たとえば、標的化またはランダム)に供し、1つもしくは複数の変異した核酸を生成させることができる。その後、こうした配列によってコードされる結合メンバーを生成することができる。]
[0191] ある実施形態において、抗体1〜42のHCDR1、HCDR2およびHCDR3のうち1つもしくは複数、または抗体1〜42のHCDRのセットを用いることができ、かつ/または、抗体1〜42のLCDR1、LCDR2およびLCDR3のうち1つもしくは複数、または抗体1〜42のLCDRのセットを用いることができる。]
[0192] 本発明のある態様によれば、IL-4Rαと結合する結合メンバーを作製するための方法が与えられるが、その方法は下記を含んでなる:
VHドメインもしくはVLドメインをコードする出発核酸、または、置き換えられるべきCDR1、CDR2およびCDR3を含有する、またはCDR1、CDR2および/もしくはCDR3をコードする領域を欠失した、VHまたはVLドメインをそれぞれコードする核酸の出発レパートリーを提供すること;
VHまたはVLドメインをコードする核酸の生成物レパートリーを与えるために、前記出発核酸または出発レパートリーを、抗体1〜42のいずれかのCDR1、CDR2,および/またはCDR3のアミノ酸配列をコードする、またはそのアミノ酸配列の変異によって作製された、1つもしくは複数のドナー核酸と組み合わせて、1つもしくは複数の前記ドナー核酸が出発核酸もしくは出発レパートリーのCDR1、CDR2および/またはCDR3領域に挿入されるようにすること;
前記生成物レパートリーの核酸を発現させて、生成物VHもしくはVLドメインを作製すること;
必要に応じて、前記生成物VHまたはVLドメインを1つもしくは複数のコンパニオンVLもしくはVHドメインと組み合わせること;
生成物VHもしくVLドメイン、および必要に応じてコンパニオンVLもしくはVHドメインを含有する、IL-4Rαに対する結合メンバーを選択すること;ならびに
前記結合メンバーまたはそれをコードする核酸を回収すること。]
[0193] 具体的な実施形態において、ドナー核酸は、VHもしくはVLドメイン、またはその任意のCDR領域の、標的化変異誘発もしくはランダム変異誘発によって作製される。]
[0194] 別の実施形態において、生成物VHもしくはVLドメインは、抗体定常領域に連結される。]
[0195] もう1つの実施形態において、生成物VHもしくはVLドメインおよびコンパニオンVLもしくはVHドメインはそれぞれ、IgG、scFvまたはFab抗体分子に含まれる。]
[0196] 別の実施形態において、回収された結合メンバーまたは抗体分子は、IL-4Rαを中和する能力についてテストされる。]
[0197] 別の実施形態において、抗体分子は、少なくとも1つの追加成分を含有する組成物へと調剤される。こうした成分は、たとえば、不活性な製薬用賦形剤または担体でありうる。]
[0198] 一部の実施形態では、免疫グロブリン可変ドメインの大部分は、少なくとも3個のCDR領域を、介在するフレームワーク領域とともに含む。その部分は、第1および第4フレームワーク領域のいずれか一方または両方のうち少なくとも約50%をやはり含むことができるが、その50%は、第1のフレームワーク領域のC末端50%、および第4のフレームワーク領域のN末端50%である。可変ドメインの大部分のN末端およびC末端での付加残基は、天然の可変ドメイン領域には通常付いていないものとすることができる。たとえば、組換えDNA技術によって作製される、本発明の結合メンバーの構築は、結果的に、クローニングまたは他の操作段階を容易にするために導入されたリンカーによってコードされるNまたはC末端残基の導入をもたらすことがある。他の操作段階としては、本明細書の他所でより詳細に検討されるように、本発明の可変ドメインを、他のタンパク質配列、たとえば、抗体定常領域、他の可変ドメイン(たとえば、ダイアボディの作製時)、または検出可能な/機能的な標識に連結するためのリンカーの導入が挙げられる。]
[0199] 本発明の一部の態様において、結合メンバーはVHおよびVLドメインのペアを含有するが、VHまたはVLドメインのいずれか一方の配列に基づく単一の結合ドメインは、本発明の別の態様をなす。単一の免疫グロブリンドメイン、特にVHドメインが標的抗原と特異的な様式で結合する能力を有することがわかっている。たとえば、上記Absに関する考察を参照されたい。]
[0200] 単一の結合ドメインの一方についていえば、これらのドメインを用いて、IL-4Rαと結合できる2ドメイン結合メンバーを形成することが可能な、相補的ドメインをスクリーニングすることができる。これは、WO92/01047(参照によりその全体を本明細書に組み入れる)に記載の、いわゆる階層的二元コンビナトリアルアプローチを用いたファージディスプレイスクリーニング法によって達成することができるが、この方法では、HまたはL鎖クローンのいずれか一方を含有する個々のコロニーを用いて、もう一方の鎖(LまたはH)をコードするクローンの完全なライブラリーに感染させ、その結果として得られる2鎖結合メンバーを、その参考文献に記載されるようなファージディスプレイ技術にしたがって選択する。この技術は、Marksら(Bio/Technology, 10:779-783, 1992)によっても開示されている。]
[0201] 本発明の結合メンバーは、抗体定常領域またはその一部、たとえば、ヒト抗体定常領域またはその一部をさらに含有することができる。たとえば、VLドメインはそのC末端で、ヒトCκまたはCλ鎖などの抗体軽鎖定常ドメイン、たとえばCλ鎖に結合していてもよい。同様に、VHドメインを基本とする結合メンバーは、そのC末端で、任意の抗体アイソタイプ、たとえば、IgG、IgA、IgY、IgEおよびIgM、ならびにアイソタイプサブクラスのいずれか(たとえばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2;特にIgG1およびIgG4)に由来する免疫グロブリン重鎖の全て、または一部(たとえばCH1ドメイン)に結合していてもよい。IgG1は、そのエフェクター機能および製造の容易さから利用しやすい。上記の特性を有し可変領域を安定化する、合成の、またはその他の、任意の定常領域バリアントも、本発明の実施形態において有用である。]
[0202] 「アイソタイプ」という用語は、抗体の重鎖もしくは軽鎖定常領域の分類を表す。抗体の定常ドメインは抗原との結合には関与しないが、さまざまなエフェクター機能を示す。重鎖定常領域のアミノ酸配列に応じて、所与のヒト抗体もしくは免疫グロブリンを、免疫グロブリンの5つの主要クラス:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMの1つに帰属させることができる。前記クラスのいくつかは、さらにサブクラス(アイソタイプ)、たとえばIgG1(γ1)、IgG2(γ2)、IgG3(γ3)およびIgG4(γ4)、ならびにIgA1およびIgA2に分割することができる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常領域は、それぞれα、δ、ε、γ、およびμと呼ばれる。クラスの異なる免疫グロブリンの構造および三次元配置はよく知られている。さまざまなヒト免疫グロブリンクラスの中で、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4およびIgMだけが補体を活性化することが知られている。ヒトIgG1およびIgG3は、ヒトにおいてADCCを仲介することが知られている。ヒト軽鎖定常領域は、2つの主要クラス、κおよびλに分類される。]
[0203] 抗体フォーマット
本発明にはまた、改変されたIgG定常ドメインを有する、本発明の結合メンバー、特に本発明の抗体が含まれる。ヒトIgGクラスの抗体は、血清中で半減期が長く、様々なエフェクター機能を仲介することができるという機能的特徴を有しており、本発明の一定の実施形態に使用される(Monoclonal Antibodies: Principles and Applications, Wiley-Liss, Inc., Chapter 1 (1995))。ヒトIgGクラス抗体は、次の4つのサブクラスにさらに分類される:IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4。IgGクラス抗体のエフェクター機能としてのADCCおよびCDCについて、これまで数多くの研究が行われてきたが、ヒトIgGクラスの抗体のうち、IgG1サブクラスがヒトにおいてもっとも高いADCC活性およびCDC活性を有することが報告されている(Chemical Immunology, 65, 88 (1997))。]
[0204] 「抗体依存性細胞介在性細胞傷害」および「ADCC」は、非特異的細胞傷害性細胞(たとえばナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、およびマクロファージ)が、標的細胞に結合した抗体を認識した後、その標的細胞の溶解を引き起こす、細胞介在性の反応を表す。ある実施形態において、上記細胞はヒト細胞である。いかなる特定の作用メカニズムにも限定されるものではないが、ADCCを仲介する上記の細胞傷害性細胞は、一般に、Fc受容体(FcR)を発現する。ADCCを仲介する第1の細胞であるNK細胞はFcγRIIIを発現するが、単球はFcγRI、FcγRII、FcγRIIIおよび/またはFcγRIVを発現する。造血細胞上のFcR発現は、RavetchおよびKinet, Annu. Rev. Immunol., 9: 457-92 (1991)に概要がまとめられている。分子のADCC活性を評価するために、米国特許第5,500,362号または5,821,337号に記載のようなin vitro ADCCアッセイを実施することができる。こうしたアッセイに有用なエフェクター細胞としては、末梢血単核細胞(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞がある。その代わりに、またはそれに加えて、当該分子のADCC活性は、in vivoで、たとえばClynesら、Proc. Natl. Acad. Sci. (USA), 95: 652-656 (1998)に記載されるような、動物モデルで評価してもよい。]
[0205] 「補体依存性細胞傷害」または「CDC」は、ある分子が補体活性化を開始し、補体の存在下で標的を溶解させる能力を表す。補体活性化経路は、補体系(C1q)の第1成分が、コグネイト抗原と複合体を形成している分子(たとえば抗体)に結合することによって開始される。補体活性化を評価するために、たとえば(Gazzano-Santaro et al., J. Immunol. Methods, 202:163 (1996))に記載のCDCアッセイを行うことができる。]
[0206] ヒトIgG1サブクラス抗体のADCC活性およびCDC活性の発現は、一般に、抗体のFc領域が、キラー細胞、ナチュラルキラー細胞、または活性化マクロファージなどのエフェクター細胞表面に存在する、抗体に対する受容体(以後「FcγR」と称する)に結合することを必要とする。さまざまな補体成分が結合可能である。その結合に関しては、ヒンジ領域のいくつかのアミノ酸残基、および抗体のC領域の第2ドメイン(以後「Cγ2ドメイン」と称する)が重要であること(Eur. J. Immunol., 23, 1098 (1993), Immunology, 86, 319 (1995), Chemical Immunology, 65, 88 (1997))ならびにCγ2ドメインの糖鎖(Chemical Immunology, 65, 88 (1997))も重要であることが示唆されている。]
[0207] 「エフェクター細胞」は、1つもしくは複数のFcRを発現してエフェクター機能を果たす白血球である。この細胞は、すくなくともFcγRI、FcγRII、FcγRIIIおよび/またはFcγRIVを発現し、ADCCエフェクター機能を果たす。ADCCを仲介するヒト白血球の例には、末梢血単核細胞(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、細胞傷害性T細胞および好中球がある。]
[0208] 「Fc受容体」または「FcR」という用語は、抗体のFc領域と結合する受容体を表すために使用される。ある実施形態において、FcRは、天然配列のヒトFcRである。さらに、ある実施形態では、FcRはIgG抗体と結合するもの(γ受容体)であって、これには、FcγRI、FcγRII、FcγRIIIおよびFcγRIVサブクラスの受容体(これらの受容体の対立遺伝子多型および選択的スプライシング型を含む)が含まれる。FcγRII受容体にはFcγRIIA(「活性化受容体」)およびFcγRIIB(「抑制受容体」)があるが、これらは、主としてその細胞質ドメインに相違がある類似したアミノ酸配列を有する。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメインに、免疫受容体チロシン依存性活性化モチーフ(ITAM)を含有する。抑制受容体FcγRIIBは、その細胞質ドメインに、免疫受容体チロシン依存性抑制モチーフ(ITIM)を含有する(Daeron, Annu. Rev. Immunol., 15:203-234 (1997)を参照されたい)。FcRは、Ravetch and Kinet, Annu. Rev. Immunol., 9:457-92 (1991); Capelet al., Immunomethods, 4:25-34 (1994); および de Haas et al., J. Lab. Clin. Med., 126:330-41 (1995)に概説されている。将来同定されるものを含めて、他のFcRは、本明細書の「FcR」という用語に含まれる。この用語には、新生児受容体、FcRnも含まれるが、これは母体IgGの胎児への移行に関与する(Guyer et al., Immunol., 117:587 (1976)およびKim et al., J. Immunol., 24:249 (1994))。]
[0209] 抗IL-4Rα抗体は、エフェクター機能について、たとえば、抗体のADCCおよび/または補体依存性細胞傷害(CDC)を強めるために、改変することができる。これは、1つもしくは複数のアミノ酸置換を抗体のFc領域内に導入することによって達成することができる。1つもしくは複数のシステイン残基もFc領域内に導入することができるが、これによってこの領域に鎖間ジスルフィド結合を形成することが可能になる。このようにして、改善された内在化能力、および増強された補体依存性細胞傷害およびADCCを有する可能性のある、ホモ二量体型抗体を生成させることができる(Caron et al., J. Exp. Med., 176:1191-1195 (1992)およびShopes, J. Immunol., 148:2918-2922 (1992))。ヘテロ二官能性架橋剤を用いて、抗腫瘍活性の強まったホモ二量体型抗体を作製することもできる(Wolff et al., Cancer Research, 53:2560-2565 (1993))。抗体は、2つ以上のFc領域を有し、その結果として補体溶解およびADCC能力が強まるように操作することもできる(Stevenson et al., Anti-Cancer Drug Design, (3): 219-230 (1989))。]
[0210] エフェクター機能を変化させるために抗体のFc領域を操作する他の方法が、当技術分野で知られている(たとえば、いずれもKoenigらの米国特許公開第20040185045号およびPCT公報WO2004/016750は、FcγRIIAに対する結合親和性と比べてFcγRIIBに対する結合親和性を強めるようにFc領域を変化させることを記載する;Armour らのPCT公報WO 99/58572 、Idusogie らのWO 99/51642 、およびDeoらの U.S. 6,395,272も参照されたい;これらの開示はその全体を本明細書に含めるものとする)。FcγRIIBに対する結合親和性を低下させるためにFc領域を改変する方法も、当技術分野で知られている(たとえば、いずれもRavetchらの米国特許公開第20010036459号およびPCT公報WO01/79299、これらの開示はその全体を本明細書に含めるものとする)。野生型Fc領域と比べてFcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する結合親和性が強くなった変異型Fc領域を有する改変抗体も記載されている(たとえば、StavenhagenらのPCT公報WO2004/063351;この開示はその全体を本明細書に含めるものとする)。]
权利要求:

請求項1
ヒトインターロイキン-4受容体α(hIL-4Rα)に対する単離された結合メンバーであって、該結合メンバーは、18pMの可溶性ヒトIL-4タンパク質を用いるTF-1増殖アッセイにおいて、ヒトIL-4(hIL-4)誘発細胞増殖の阻害についてのIC50幾何平均が50pM未満であり、かつ該結合メンバーはカニクイザルインターロイキン-4受容体α(cyIL-4Rα)に結合することもできる、前記結合メンバー。
請求項2
hIL-4誘発細胞増殖の阻害が20pM未満である、請求項1記載の結合メンバー。
請求項3
受容体−リガンド結合アッセイを用いて測定した、scFvとしての該結合メンバーの、hIL-4Rαへの、およびcyIL-4Rαへの結合の比が少なくとも6:1である、請求項1記載の結合メンバー。
請求項4
比が210:1未満である、請求項3記載の結合メンバー。
請求項5
配列番号460中の位置に従った位置67、68、92および93から選択される少なくとも1つのアミノ酸残基においてヒトインターロイキン-4受容体α(hIL-4Rα)に結合することのできる単離された結合メンバー。
請求項6
配列番号460中の位置に従った位置92および93のアミノ酸に結合することのできる、請求項5記載の結合メンバー。
請求項7
配列番号460中の位置に従った67、68、92および93の各アミノ酸に結合することのできる、請求項5または6記載の結合メンバー。
請求項8
ヒトインターロイキン-4受容体α(hIL-4Rα)に対する単離された結合メンバーであって、CDRのセット:HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2およびLCDR3を含み、該CDRのセットが、以下の参照CDRのセット:HCDR1が配列番号193のアミノ酸配列を有し、HCDR2が配列番号194のアミノ酸配列を有し、HCDR3が配列番号195のアミノ酸配列を有し、LCDR1が配列番号198のアミノ酸配列を有し、LCDR2が配列番号199のアミノ酸配列を有し、かつLCDR3が配列番号200のアミノ酸配列を有するものからの、10以下のアミノ酸置換を有する前記結合メンバー。
請求項9
CDRのセットが、参照CDRセットからの4以下のアミノ酸置換を有する、請求項8記載の単離された結合メンバー。
請求項10
アミノ酸置換が図3および4に示す1以上の置換を含む、請求項8または9記載の結合メンバー。
請求項11
前記アミノ酸置換が、Kabatの標準ナンバリングに従いCDR内の以下の残基、HCDR2中の53、57、HCDR3中の97、98、99、101、102、LCDR1中の27、27A、27B、31、LCDR2中の56、またはLCDR3中の92、93、94、95、95A 95B、95C、96、97の1以上においてアミノ酸置換を有する、請求項8〜10のいずれか1項記載の結合メンバー。
請求項12
HCDR2中のKabat残基53および/または57が置換されている、請求項8または9記載の結合メンバー。
請求項13
HCDR2中のKabat残基53がアルギニンであり、かつ/またはKabat残基57がアラニンである、請求項12記載の結合メンバー。
請求項14
LCDR1中のKabat残基27および/または27Bが置換されている、請求項8または9記載の結合メンバー。
請求項15
LCDR1中のKabat残基27がグリシンであり、かつ/またはKabat残基27Bがセリンである、請求項14記載の結合メンバー。
請求項16
LCDR3中のKabat残基95が置換されている、請求項8または9記載の結合メンバー。
請求項17
LCDR3中のKabat残基95がプロリンである、請求項16記載の結合メンバー。
請求項18
フレームワーク領域内において、Kabatの標準ナンバリングを用いて以下の残基、HFW1中の11、12、HFW2中の37、48、HFW3中の68、84、85、HFW4中の105、108、113、LFW1中の1、2、3、9、LFW2中の38、42、またはLFW3中の58、65、66、70、74、85、87において1以上のアミノ酸置換をさらに有する、請求項8〜11のいずれか1項記載の結合メンバー。
請求項19
フレームワーク領域中のアミノ酸置換が図3および4に示すとおりの1以上の置換を含む、請求項18記載の結合メンバー。
請求項20
ヒトインターロイキン-4受容体α(hIL-4Rα)に対する単離された結合メンバーであって、HCDR1が配列番号363のアミノ酸配列を有し、HCDR2が配列番号364のアミノ酸配列を有し、HCDR3が配列番号365のアミノ酸配列を有し、LCDR1が配列番号368のアミノ酸配列を有し、LCDR2が配列番号369のアミノ酸配列を有し、かつLCDR3が配列番号370のアミノ酸配列を有する前記結合メンバー。
請求項21
ヒトインターロイキン-4受容体α(hIL-4Rα)に対する単離された結合メンバーであって、HCDR1が配列番号233のアミノ酸配列を有し、HCDR2が配列番号234のアミノ酸配列を有し、HCDR3が配列番号235のアミノ酸配列を有し、LCDR1が配列番号238のアミノ酸配列を有し、LCDR2が配列番号239のアミノ酸配列を有し、かつLCDR3が配列番号240のアミノ酸配列を有する前記結合メンバー。
請求項22
抗体1−42のいずれかの6×CDR複合スコアと少なくとも73%アミノ酸配列同一性を有する、ヒトインターロイキン-4受容体α(hIL-4Rα)に対する単離された結合メンバー。
請求項23
結合メンバーが、抗体VHドメインおよび抗体VLドメインを含む抗体分子であるかまたは該抗体分子を含み、VHドメインがHCDR1、HCDR2、HCDR3および第1フレームワークを含み、VLドメインがLCDR1、LCDR2、LCDR3および第2フレームワークを含む、請求項1〜22のいずれか1項記載の結合メンバー。
請求項24
抗体分子がscFvである、請求項23記載の結合メンバー。
請求項25
抗体分子が抗体定常領域を含む、請求項23記載の結合メンバー。
請求項26
抗体分子がIgG1、IgG2またはIgG4分子である、請求項25記載の結合メンバー。
請求項27
VHドメインが、配列番号2、12、22、32、42、52、62、72、82、92、102、112、122、132、142、152、162、172、182、192、202、212、222、232、242、252、262、272、282、292、302、312、322、332、342、352、362、372、382、392、402、412、422、432,および442からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項23〜26のいずれか1項記載の結合メンバー。
請求項28
VHドメインが配列番号362、442、232、422および432からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項27記載の結合メンバー。
請求項29
第1および第2フレームワークがヒト生殖細胞系列遺伝子セグメントによりコードされる、請求項23〜27のいずれか1項記載の結合メンバー。
請求項30
抗体VHドメインがヒト生殖細胞系列フレームワークVh1_DP-7_(1-46)を含む、請求項29記載の結合メンバー。
請求項31
抗体分子が配列番号7、17、27、37、47、57、67、77、87、97、107、117、127、137、147、157、167、177、187、197、207、217、227、237、247、257、267、277、287、297、307、317、327、337、347、357、367、377、387、397、407、417、427、437および447からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するVLドメインを含む、請求項23〜26のいずれか1項記載の結合メンバー。
請求項32
抗体分子が配列番号367、237、447、437および427から選択されるアミノ酸配列を有するVLドメインを含む、請求項31記載の結合メンバー。
請求項33
抗体VLドメインがヒト生殖細胞系列フレームワークVλ1_DPL5を含む、請求項29記載の結合メンバー。
請求項34
結合メンバーが、表面プラズモン共鳴を用いて測定すると、20nM未満の親和性でヒトIL-4Rαに結合し、かつ該結合メンバーがカニクイザルIL-4Rαにも結合する、請求項1〜33のいずれか1項記載の結合メンバー。
請求項35
請求項1〜34のいずれか1項記載の単離された結合メンバーおよび製薬上許容される添加剤を含む組成物。
請求項36
手術または治療によるヒトもしくは動物の治療方法に用いるための、請求項1〜34のいずれか1項記載の単離された結合メンバーを含む組成物。
請求項37
IL-4Rαに関連する疾患の治療に使用するための、請求項35または36記載の組成物。
請求項38
IL-4、IL-13もしくはIL-4Rα発現および/またはIL-4Rα活性に関連した疾患の治療用の医薬の製造のための、請求項1〜34のいずれか1項記載の単離された結合メンバーの使用。
請求項39
疾患がアレルギー、喘息、気管支炎、COPD、炎症性腸疾患、線維性疾患、アレルギー、移植拒絶反応、遅延型過敏症または接触過敏症反応の1以上である、請求項35〜37のいずれか1項記載の組成物または請求項34記載の使用。
請求項40
請求項1〜34のいずれか1項記載の結合メンバーを個体に投与することを含む、該個体における異常なIL-4Rα発現および/またはIL-4Rα活性に関連した疾患の治療方法。
請求項41
疾患が喘息である、請求項40記載の方法。
請求項42
請求項1〜34のいずれか1項記載の結合メンバーまたは結合メンバーの単離されたVHもしくはVLドメインをコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子。
請求項43
請求項42記載の核酸により形質転換されたin vitroの宿主細胞。
請求項44
請求項43記載の宿主細胞を結合メンバーの産生のための条件下で培養することを含む、該結合メンバーの産生方法。
請求項45
結合メンバーを単離および/または精製することをさらに含む、請求項44記載の方法。
請求項46
結合メンバーを、少なくとも1つの追加成分を含んでなる組成物に配合することをさらに含む、請求項44または45記載の方法。
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