专利摘要:
連続的な構造の形の複合材料は、基材上に被覆された真性導電性ポリマー(ICP)層を含み、少なくとも0.1m2/g、少なくとも1m2/g、または少なくとも5m2/gの表面積を有する。該複合材料の製造方法は、該基材を真性導電性ポリマー(ICP)層で被覆することを含む。電気化学的または電気的装置は、該複合材料から形成された少なくともひとつの構成部品を含む。
公开号:JP2011508365A
申请号:JP2010535493
申请日:2008-11-26
公开日:2011-03-10
发明作者:マリア ストローム;レイフ ニホルム;アルバート ミラニアン
申请人:マリア ストローム;レイフ ニホルム;アルバート ミラニアン;
IPC主号:H01B5-02
专利说明:

[0001] 本出願は、2007年11月27日に提出した米国特許出願第60/990,334号の優先権を主張するものである。]
[0002] 本発明は、真性導電性ポリマー(Intrinsically Conducting Polymer)を含有する複合材料、並びに該複合材料の製造方法、該複合材料の使用方法、及び該複合材料を用いた装置に関する。]
背景技術

[0003] 1950年代の後半に、アセチレンとその類似物の導電的特性が開示された以降、これらのタイプの化合物類は、それらの電気的伝導性のため多くの注意をひきつけてきた。ハインツ等(Heinze et al)の Organic Electrochemistry (Marcel Dekker, New York, 2001);ランゲ等(Lange et al)のAnal.Chem.Acta, 614:1(2008);コズナー(Cosnier)のAnal.Lett., 40:1260(2007);グイマルド等(Guimard et al)のProg.Polymer Sci.32:876(2007);ギーサ等(Geetha et al)のAnal.Chim.Acta, 568:119(2006);マーミリオド等(Mermilliod et al)のJ.Electrochem.Soc., 133:1073(1986);カイナク等(Kaynak et al)のJ.Appl.Polymer Sci., 54:269(1944);セン等(Cen et al)のBiosensors & Bioelectronics, 18:363(2003);ロペス‐クラペス等(Lopez-Crapez et al)のClin.Chem., 47:186(2001);ジャガー等(Jager et al)のScience, 290:1540(2000);及びパウリスジン(Pawliszyn)のSolid-Phase Microextraction: Theory and Oractice (WileyVCH, New York(1997)を参照されたい。アセチレンから誘導されるポリマーや、ポリフェニレン(PPh)、ポリフェニレンスルフィド(PPhS)、ポリフェニレンビニレン(PPhV)、ポリピロール(PPy)、ポリチオフェン及びポリアニリン(PANI)などの各種電気的な伝導性ポリマー〔普通、真性導電性ポリマー(ICPs)と呼ばれている〕の導電性が長年にわたって探求されてきた。これらの材料の幾つかは、優れた導電性を示すものの安定性及び/または加工性が悪く、他方、他のものは、安定ではあるものの導電性の小さいことが見出されている。ポリピロールとポリアニリンは、適度に高い導電性、酸化状態での良好な安定性、及び加工が容易であることから、現在知られている最も有望な2つの導電性ポリマーである。]
[0004] これらのポリマーには、2つの主要な用途群がある。
導電性に基づくもの電気的活性に基づくもの
静電材料分子電子工学
導電性接着剤電気的ディスプレイ
電磁遮蔽化学及び生化学センサー
プリント配線板蓄電池とスーパーコンデンサ
人工神経細胞薬物放出システム
帯電防止衣類光学コンピュータ
ピエゾセラミックスイオン交換膜
ダイオードとトランジスタ電気機械アクチュエータ
航空機構造物「スマート」構造物とスイッチ]
[0005] ポリピロール(PPy)は、その高い電気的伝導性、水性媒体及び有機媒体中の両方での合成の容易さ、及びその酸化状態での相対的に良好な安定性のために、現在のところ好ましい導電性ポリマーのひとつである。重合中、電解液中のアニオンがポリマーフィルム中に取り込まれて、電荷バランスを維持する。これらのいわゆるドーパント・イオンの存在により、該フィルムの特性が大きく影響を受ける。随伴する水とともに、アニオンとカチオンの両方が、酸化及び還元に基づいて、該ポリマーフィルム中にまたは外へと移動すると一般に考えられている。重合中に、高移動性の小さなアニオンがドーパントとしてポリマー中に取り込まれると、該ポリマーが還元された場合に、追い出される。低移動性の大きなアニオンでフィルムをドーピングすると、カチオンを可逆的に吸収及び脱着して、電気的中性を維持するために作動する。各種の生物活性体、例えば、酵素〔Fouldset al, Anal.Chem., 60:2473-2478(1998)、及びRajesh et al. Curr.Appl.Phys., 5:184-188(2005)参照〕、免疫センサー用抗体〔Xiao et al, Biosensors and Bioelectronics, 22(12:3161-3166(2007)参照〕、または金属複合体〔Fabre et al, Coord. Chem.Rev., 178-180;1211-1250(1998)参照〕は、同様にPPyフィルム中に取り込まれて、高度の特殊な分子的及び/またはイオン的な認識と分離を可能とする。この現象は、イオン交換膜や分離などにおけるPPyフィルムの各種用途のための基礎を構築する。]
[0006] カナー等(Kaner et al)の米国特許第6,265,615号には、アミノ酸の光学活性異性体及び薬物活性剤の分離のために、ポリアニリンフィルムを用いることが記載されている。また、PPy複合材料は、アミノ酸のエナンチオ区別分離のために研究された〔ピッチ(Pich et al)等のPolymer, 47(19):6536-6543(2006)参照〕。さらに、PPyの特性は、ガス、化学蒸気、または湿度検知のための各種装置に有用であることが示されている〔コリンズ(Collins et al)等のSynth. Met., 78:93-101(1996)、及びvan de Leur等のSynthetic Metals, 102:1330-1331(1999)参照〕。引用文献に示されているように、導電性ポリマー複合体の用途は、数多くあり、将来には、更に多くの用途が現れるのは確かである。]
[0007] 羊毛〔ジョンストン(Johnston et al)等のJ.Appl.Phys., 6:587-590(2006)〕及び織物〔Wu et al, Synthetic Met., 155:698-701(2005)〕を含む各種天然並びに人造ポリマーのPPyによる官能化についても述べられている。セルロースは、例えば、PPyやPANIに対する高い親和性を発揮し、それ故、セルロース繊維がこれらの材料によって被覆可能なことが示されている〔ジョンストン等のSynthetic Met., 153:65-68(2005)〕。さらに、少量の微結晶セルロース(MCC)は、脆い導電性ポリマーの機械特性を大きく改良するため有利であることが見出されている〔van de Berg et al, J.Mater.Chem., 27:2746-2753(2007)〕。]
[0008] 例えば、センサー、電池、抽出法などで電極として用いることができる軽量な材料、柔軟な材料、及び費用をかけずに製造される材料に対する要求のために、各種技術が開発されている。同様に、ミクロ及びマクロの両スケールで、各種生物学的に興味のある種を含有する溶液の処理のために、新規で安価なイオン交換技術に対する強い要求が存在する。現在採用されているイオン交換及び分離技術は、有効に稼動させるために大容量の溶離液を必要とするため、時間がかかり、かつ、労働集約的である。これらの溶離液は、高価であることが多い上、毒性のある試薬を含むことが多いため、注意深く操作し、使用後には環境的に易しい方法で廃棄する必要がある。したがって、最小限の溶離液を用いた迅速かつ効果的な分離技術は、非常に興味深いものである。将来有望な代替品は、電気化学的に制御されたイオン交換または電気化学的に制御された固相抽出技術であり〔Gbatu et al, Anal.Commun., 36:203(1999)、及びLiljegren et al, Analyst, 127:591(2002)参照〕、それらは、電気的伝導性ポリマーのイオン交換特性を利用している。後者の技術は、該材料のイオン交換特性を電位の使用だけで制御することができ、該ポリマーに適用する電位または該材料と接触する溶液のレドックス電位を単に変化させるという制御された方法により、イオン及び極性中性種の吸着及び脱着を可能とする。エネルギー貯蔵装置における電気的伝導性ポリマーから構成された電極材料中でのイオン・インターカレーションは、エネルギー貯蔵用途では、電荷移動及びイオン交換の過程が、化学物質の抽出または分離のためよりも、電気機器への動力供給に用いられるという違いがあるものの、前述のイオン交換に含まれるのと類似の方法によって支配されている。非金属で、軽量で、柔軟で、環境にやさしい電極材料が、エネルギー貯蔵装置において特に重要である。]
[0009] 電気化学的に制御されたイオン交換及び固相ミクロ抽出装置の従来の設計は、金属電極上へのPPyフィルムの堆積に基づくものであって、イオン吸着容量は、一般に、該フィルムの厚みの制御によって操作されていた(例えば、Biosyn R Corp.のWO89/11648参照)。導電性ポリマー膜(フィルム)が、電極表面上で電気化学的に合成できることは周知である。一般に用いられている電極材料は、その表面積が比較的小さいので(すなわち、cm2の大きさ)、主として一般に用いられている電極材料の使用のために、該ポリマー膜の容量は、該膜の厚みを変化させることによって修正されている。]
[0010] その代わりに、該膜は、化学酸化剤が関与する化学法に基づいて重合されてきた。厚みのあるPPy被膜を備えた電極は容易に製造することができる一方、イオン及び極性中性種の吸着と脱着に関する機能性は、一般に、ポリマー被膜の厚みを増大させることによる限定された範囲で改良されるだけである。これは、吸着及び脱着は、物質輸送限定プロセスであり、イオン及び極性種の輸送は、比較的早くフィルムの最外層に限定されるためであり〔Liljegren et al, Analyst, 127:591(2002)参照〕、大きな種では特にそうである。]
[0011] これまで、すべてを軽量成分で構成したエネルギー貯蔵装置を製造する幾つかの試みがなされており〔Song et al, Adv. Mater., 18:1764-1768(2006)〕、その複合材料は、この点で、エネルギー貯蔵装置の発展のための有望な材料として多くの興味を引きつけている〔Grgur et al, Electrochim. Acta, 53:4627(2008)〕。例えば、軽量な黒鉛繊維とPPyとの複合物が、スーパーキャパシタのための有用な電極材料を得るために研究された〔Park et al, J.Power Sources, 105:20(2002)〕。Ruetschiによれば、成功するバッテリー・システムのための決定的な要因は、3−E基準:エネルギー(Energy)‐経済(Economics)‐環境(Environment)である〔Beck et al, Electrochim.Acta, 45:2467(2000);Ruetschi, J.Power Sources, 42:1(1993)〕。導電性ポリマーは、金属の対応する電極材料に比べて、環境にやさしく、安価であるが、比容量が低くかつ作動電圧範囲が小さなことが、市販の全ポリマーバッテリー・システムにおける広い範囲での使用への大きな制約となっている〔Ramakrishnan, Resonance, 48-58(1997)〕。加えて、充放電中での電極の寿命が短いことが、エネルギー貯蔵装置に対する可能な電極としての用途の更なる妨げとなっている(同文献)。]
[0012] したがって、電気的伝導性ポリマー(真性導電性ポリマー)材料における更なる開発が、各種用途でのこのような材料の適応した使用のために望まれている。]
[0013] したがって、本発明の目的は、各種装置や用途での真性導電性ポリマーの使用を促進することができる、真性導電性ポリマーを含む複合材料を提供することにある。]
[0014] ひとつの態様において、本発明は、連続的な構造の形状であり、かつ、基材上に被覆された真性導電性ポリマー(ICP)層を含み、少なくとも0.1m2/gの表面積を有する複合材料に関する。付加的な態様において、該複合材料は、少なくとも1m2/gの表面積を有し、さらなる態様では、該複合材料は、少なくとも5m2/gの表面積を有している。]
[0015] 他の態様において、本発明は、連続的な構造の形状であり、かつ、ポリピロールを含有する真性導電性ポリマー(ICP)層が、主成分としてシオグサ種緑藻類(Cladophora sp. green algae)から誘導されたセルロースを含有する基材上に被覆されており、少なくとも0.1m2/gの表面積を有する複合材料に関する。]
[0016] さらなる態様において、本発明は、該基材を真性導電性ポリマー(ICP)層で被覆することを含む前記複合材料の製造方法に関する。]
[0017] まださらなる態様において、本発明は、前記複合材料から形成された少なくともひとつの構成部品を含む電気化学的または電気的装置に関する。本発明のさらなる態様は、前記複合材料を採用した分離または抽出方法に関する。]
[0018] 本発明の複合材料は、連続的基材と高い表面積とを有し、各種装置と方法に使用するのに有用である。特定の態様において、該複合材料は、事実軽量及び/または柔軟であり得る。本発明の付加的な特徴及び利点は、下記の詳細な説明からみて明らかである。下記の説明、図面及び実施例は、限定的な意味に捉えられるべきではなく、単に、本発明の各種側面及び本発明の選択された態様を例示する目的のために含まれているにすぎない。]
[0019] 詳細な説明は、下記の図面を考慮することによって十分に理解されることになる。]
図面の簡単な説明

[0020] 図1は、シオグサ・セルロース上でのポリピロール(PPy)の重合により製造された代表的な紙状シートの形態での複合材料を示すものであり、それは、図示されているように、紙の統一性を損なうことなく箔によって裏打ちすることができる。] 図1
[0021] 図2は、PPy被覆シオグサ・セルロース複合材料の走査型電子顕微鏡(SEM)画像(顕微鏡写真)を示し、そこでは、該セルロースの多孔質構造と高表面積を維持しながら、PPyの均質かつ中断されていない層で該セルロース繊維が被覆されている。] 図2
[0022] 図3は、厚み50nmの均質なPPy層で被覆した個別のシオグサ・セルロース繊維(中心部)の透過型電子顕微鏡画像を示す。] 図3
[0023] 図4は、バルト海から採取された緑藻類から誘導されたシオグサ・セルロース粉末のX線回折パターンを示し、複数のピークがシャープで良好に解像されており、秩序の高度さ(high degree of order)を示し、通常の陸上植物セルロース粉末では、通常、13及び18(角度)2θの間に1つのブロードなピークが観察されるのとは異なり、14及び17(角度)2θに2つの良好に解像されたピークが観察される。] 図4
[0024] 図5A及び5Bは、それぞれ、PPy/シオグサ・セルロース複合体の窒素ガス吸着等温式及びBJH孔径分布を示しており、孔の主要な大きさは、10と100nmとの間に見られる。] 図5A
[0025] 図6A−6Dは、塩素イオンの存在下にピロールを重合して得られたPPy/シオグサ・セルロース複合材料を作用電極として使用し、室温で飽和NaCl溶液中、走査速度0.5mV/s(6A)、1mV/s(6B)、2.5mV/s(6C)、及び5mV/s(6D)で得られたサイクリックボルタモグラム(cyclic voltammograms)を示す。該ボルタモグラムは、該複合材料の電位が変化すると、塩素イオンが該複合材料の中に(酸化中)及び外へ(還元中)と移動することを示す。これらの特定の測定で用いた複合材料の試験片の大きさは、それぞれ7mm×4mm×1mm、8mm×4mm×1mm、9mm×5mm×1mm、及び8mm×mm×1mmであった。白金対電極(対極または補助電極)及びAg/AgCl参照電極を備えた3電極機構(three-electrode set-pu)を用いた。電位は、該Ag/AgCl参照電極に対して得られた。] 図6A
[0026] 図7は、60二重段階試験(60 double step experiment)でのPPy/シオグサ・セルロース複合材料のクロノアンペロメトリック(電位ステップ)応答を示す。電位は、−0.5Vと+0.7Vとの間で段をつけ、電位は、各ステップ後、300秒間一定に保った。図7は、塩素イオンが該複合材料の中へ(酸化中、正電流)及び外へ(還元中、負電位)と移動することを示す。この特定の測定で用いた複合材料の大きさは、5mm×3mm×1mmで、試料重さは8.4mgであった。測定は、飽和NaCl溶液中、室温で行った。白金対電極及びAg/AgCl参照電極を備えた3電極機構を用いた。] 図7
[0027] 図8は、リンモリブデン酸アニオンの存在下に重合したPPy/シオグサ・セルロース複合材料について、2Mのp−トルエンスルホン酸ナトリウム塩(大型モデル・アニオン)を含有する溶液中、室温で、走査速度5mV/sで得られたサイクリックボルタモグラムを示す。該ボルタモグラムは、大型アニオン(代表的なアミノ酸に匹敵する大きさ)が該複合材料から可逆的に吸着及び放出されることを示している。この特定の測定で用いた複合材料の巨視的な大きさは、10mm×4mm×1mmであった。白金対電極及びAg/AgCl参照電極を備えた3電極機構を用いた。表示電位は、Ag/AgCl参照電極に対して得られたものである。] 図8
[0028] 図9は、電位を−0.8Vと+0.7Nとの間で段をつけ、各電位で300秒間保った電位ステップ実験のための溶液中でのNaCl濃度の関数として、PPy/シオグサ・セルロース複合材料の材料1g当たりに吸着される塩素イオン量を示す。表示したデータは、最初の5つの還元(−0.8V)及び酸化(+0.7V)ステップでの平均値である。測定は、室温で行った。白金対電極及びAg/AgCl参照電極を備えた3電極機構を用いた。] 図9
[0029] 図10は、乾燥PPy/シオグサ・セルロース複合材料試料の代表的な電流‐電圧(IV)走査曲線を示す。得られた曲線は、抵抗挙動(Ohmic behaviour)を指示する測定範囲を通して直線である。試料の大きさは、30mm×17mm×1mmであった。] 図10
[0030] 図11は、周囲の相対湿度の関数として、PPy/シオグサ・セルロース複合材料の抵抗率の変化を示す。該膜の抵抗率は、相対湿度が増大すると減少する。試料の大きさは、30mm×17mm×1mmであった。] 図11
[0031] 図12は、走査速度に対するPPy/シオグサ・セルロース複合材料の電荷容量(サイクリックボルタモグラムから得られた)を示す。白金対電極及びAg/AgCl参照電極を備えた3電極機構を用いた。2.0MのNaCl電解質を用いた。電荷容量は、導電性ポリマー系材料では普通のことであるが、走査速度が増大すると減少する。] 図12
[0032] 図13は、2.0Mの塩化ナトリム溶液中でのPPy/シオグサ・セルロース複合材料の定電流充放電プロファイルを示す。2つの同じPPy/シオグサ・セルロース複合材料電極からなる2電極機構を用いた。時間目盛りは、任意であるが、定常状態到達後での応答を示すのに役立つ。] 図13
[0033] 図14は、1000サイクルの充放電実験の前後でのPPy/シオグサ・セルロース複合材料電極のサイクリックボルタモグラムを示す。白金対電極及びAg/AgCl参照電極を備えた3電極機構を用いた。2.0MのNaCl電解質を用いた。プロットは、PPy/シオグサ・セルロース複合材料の電気的活性特性が1000サイクル後、つまり実験終了後も事実上変化しないままであることを示している。] 図14
[0034] 図15は、リンモリブデン酸(PMo)アニオンの存在下で重合したPPy/シオグサ・セルロース複合材料のSEM顕微鏡写真を示す。] 図15
[0035] 図16a−16dは、それぞれ塩化鉄(III)とPMoを用いて合成したPPy/シオグサ・セルロース複合材料のa)塩素、b)アスパラギン酸塩、c)グルタミン酸塩、及びd)p−トルエンスルホン酸塩の2.0M溶液中、走査速度4.5mV/sで記録したサイクリックボルタモグラムを示す。電流は、作動電極として用いた試料の質量に関して標準化した。白金対電極及びAg/AgCl参照電極を備えた3電極機構を用いた。表示電位は、Ag/AgCl参照電極に対して得られたものである。] 図16a
[0036] 図17は、試料の質量に対して標準化した+0.9Vの酸化電位での酸化プロセスに関与する単位電荷数(number of unit charges)を示す。実験の詳細は、実施例21を参照されたい。] 図17
[0037] 図18a−18dは、a)Cl−イオン、b)NO3−イオン、c)CH3C6H4SO2O−イオン、及びd)CH3C6H4SO2O−イオンとCl−イオンの混合物を表示濃度で含有する電解質中、走査速度5mV/sで記録したサイクリックボルタモグラムを示す。測定電流は、試料の質量に関して標準化した。実験の詳細は、実施例22を参照されたい。] 図18a
[0038] 図19は、複合材料の間に配置した2Mの硝酸カリウム溶液中に浸漬したワットマン濾紙により紙状シートに成型した複合材料からなる電気化学的セル(電池)を示す。該複合材料は、アルミニウム箔と接触している。] 図19
[0039] 図面に示されている態様は、事実上例示であり、本発明を限定することを意図していない。本発明の追加の特徴点と態様は、詳細な説明によって明らかとなる。]
[0040] 第一の態様において、本発明は、連続的な構造の形状であり、かつ、基材上に被覆された真性導電性ポリマー(ICP)層を含み、少なくとも0.1m2/gの表面積を有する複合材料に関する。「連続的」との用語は、ここでは、他の支持構造なしに、自立ユニットとして取り扱われる十分な機械的完全性をもつ硬質または軟質の材料を説明するのに使用される。したがって、紙状シートは、連続的材料であるが、粉末はそうではない。しかし、粉末は、連続的ユニットを形成するのに用いることができる。本件明細書から明らかなように、ある種のセルロース及び他のポリマーの粉末は、本発明の連続的な複合材料を形成するための優れた出発材料となり得る。支持構造の使用は、排除されず、ここに述べる複合材料の機能性に悪影響を及ぼさないときはいつも使用することができる。さらに、「表面積」との用語は、ここでは、複合材料の表面積を該複合材料の全重量で割った値であり、窒素吸着等温式の標準BET分析により評価される。]
[0041] ICPを含有し、かつ、連続的な構造と高い表面積を有する複合材料は、電気化学的に制御された分離、エネルギー貯蔵用途などでの作用電極として有利に用いることができる。さらに、そのような材料を軽量及び/または柔軟となるように調製することにより、それらの用途範囲が増大する。好適な多孔質で高表面積の連続的な基材上への連続的な薄いICP膜の重合を、基材の大きな表面積と該膜の機能性を保持しながら行うことは、魅力的であるが、それは、本発明により達成される。]
[0042] より具体的に、本発明は、そのような電極に用いるため、複合材料の比表面積を増大させることにより、電極の容量を向上させる新たな方法を開示している。ひとつの態様において、該複合材料は、少なくとも0.1m2/gの表面積を有している。付加的な態様において、該複合材料は、少なくとも1m2/gの表面積を有し、さらなる態様において、該複合材料は、少なくとも5m2/gの表面積を有している。さらなる付加的な態様において、該複合材料は、それぞれ、少なくとも10m2/g、少なくとも15m2/g、または少なくとも20m2/gの表面積を有している。]
[0043] 多孔を詰まらせて実質的に非多孔質で低表面積の複合材料を得ることなく、高表面積の多孔質基材上で真性導電性ポリマー(ICP)の重合を達成することは容易ではないことは理解されるであろう。本発明によれば、最初に基材に酸化剤を浸み込ませ、次いで、ICP形成モノマーを適用するか、またはその逆によって、重合を達成することができる。したがって、連続的かつ断絶のない被覆を形成するには、試薬によって容易に湿潤する基材を使用することが重要である。ステンレス鋼などの金属表面は、一般に、酸化剤の存在下で溶解するか、あるいは表面に断熱性の酸化物を形成するので、基材としてはあまり適していない。加えて、ICP形成モノマーによる基材の湿潤性が悪いと、連続的なポリマー膜が形成される代わりに、島状のポリマーが形成される。]
[0044] ICP膜の表面積を増大させるひとつの方法は、小さな粒子を含有する粉末材料の上にポリマーを堆積させ、次いで、それを連続的な構造に形成する方法である。連続的な構造に形成されない粉末状のイオン交換器を使用するのは、問題である。例えば、粉末を最初にカラムに詰め込んで、それを通して液体を吸い上げるようにする必要がある。粒径が10μm未満であると、一般に、カラム中の背圧が非常に高くなる。電気化学的に制御されたイオン交換器が用いられると、接触が固体材料に直接なされているように、カラムへの電位の適用が効率的ではない。さらに、粉末状のイオン交換器は、いわゆるバッチ式精製が関与する場合はいつも、便利ではない(そこでは、吸収剤が、イオン交換されるべき試料流体中に直接入れられる)。]
[0045] ひとつの態様において、複合材料の基材は、主成分として、ポリマーまたはジオポリマーを含んでいる。一般に、主成分は、基材の少なくとも50%を含有する。ジオポリマーは、炭素ではなく、シリカを基礎とするセラミック状の無機ポリマーであり、低温で製造される。本発明で好適に用いられる基材の例としては、i)ミクロフィブリル化セルロース及び藻類やバクテリア起源のセルロースを含むセルロース、ii)デキストラン、iii)アガロース、iv)スチレン、プロピレン、アクリル酸、アクリルアミド、及びジビニルベンゼンなどのモノマーに基づくポリマー(これらの1または2以上のポリマー及びコポリマーを含む)、v)メタカオリンまたはハロイサイト、及び他のアルミノシリケートに基づくものなどのジオポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。ミクロフィブリル化セルロースは、ヘンリクソンの「Cellulose nanofibril, Networks and composites, Preparation, structure and properties, PhD thesis KTH, Sweden 2008, ISSN 1654-1081, ISBN 978-91-7178-849-8」、及びその参照文献に記載されており、長繊維からなる陸上植物セルロースの強高剪断ホモジネートによりゲルを形成することによって得られる。乾燥すると、このようなミクロフィブリル化セルロースは、比較的高表面積の粉末状材料を形成する。このようなミクロフィブリル化セルロースは、長繊維を含み、概して酸性加水分解によって精製されない(しかし、穏やかな酵素加水分解がミクロフィブリル化セルロースの製造にしばしば用いられる)。ミクロフィブリル化セルロースの粉末は、本発明で用いられる高表面積の連続的基材を形成するための良好な出発材料である。本実施例は、粉末状基材出発材料からの連続的構造の形成について示している。]
[0046] 基材は、唯一の材料から形成されてもよく、あるいは数種の材料の組成物からなるものでもよい。基材の特性に悪影響を及ぼさない付加的な材料を含めることができる。基材に含めることができる非限定的な材料の例には、他の金属、セラミックス、酸化物(Al2O3、SiO2、TiO2、SnO2、WO2、酸化バナジウム、酸化ニッケルなどがあるが、これらに限定されない)、グラファイト、カーボンブラック、ガラス状炭素、熱分解炭素、及びダイヤモンドはもとより、カーボンナノチューブ、並びに他のタイプのカーボンナノ材料が挙げられる。所望により、基材を導電性とすることができる。例えば、基材は、例えばカーボンナノ材料で機能化したり、基材上に薄い導電性膜を析出したりすることにより、導電性にすることができる。例えば、蒸発、原子層析出などの化学蒸着法、またはスパッタリングなどの物理蒸着法など、基材の機能性に悪影響を及ぼさない析出法を採用することができる。基材を導電性にする他の方法も採用することができる。]
[0047] 特定の態様において、基材は、主成分としてセルロースを含有する。さらなる態様において、該セルロースは、藻類セルロース及び細菌セルロースから選ばれる。さらなる特定の態様において、藻類セルロースは、繊維状海藻類及び/または球状海藻類から誘導される。他の態様において、藻類セルロースは、シオグサ目(Cladophorales order)またはクダネダシグサ目(Siphonocladales order)から誘導され、あるいはシオグサ藻類(algae Cladophora)、ジュズモ属(Chaetomorpha)、ネダシグサ属(Rhizoclonium)、ミクロディクティオン(Microdictyon)、バロニア属(Valonia)、キッコウグサ属(Dictysphaeria)、クダネダシグサ属(Siphonocladus)、またはマガタマモ属(Boergesenia)から誘導される。他の態様において、基材は、アセトバクター・キシリナム(Acetobacter xylinum)から誘導される細菌セルロースからなる。より具体的な態様において、該セルロースは、シオグサ種緑藻(Cladophora sp. green algae)から誘導される。]
[0048] 具体的な態様において、基材は、高度の結晶化率(crystallinity index)、即ち、少なくとも50%の結晶化率を有する。さらなる態様において、基材は、それぞれ、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、及び少なくとも90%の結晶化率を有する。ここで使用する「結晶化率」との用語は、材料の結晶化度を規定するものである。セルロースについて、結晶化率は、ミラニアン等(Mihranyan et al)のEuropean J. of Pharm.Sci., 22:279-286(2004)の記載により評価することができ、この文献をここに参照する。他の基材材料について、結晶化率は、その単結晶の対照物と比べて、材料の相対的な結晶化度として、同様の方法により評価されるべきである。この評価で用いられるX線回折図における強度の位置は、この技術分野の当業者によって決定することができる。特定の態様において、高結晶性の基材は、ジオグサ・セルロースまたはアセトバクター・キシリナム・セルロース粉末から形成され、結晶化率が少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、少なくとも85%または少なくとも90%である。]
[0049] 他の態様において、複合材料は、不活性であり、機械的完全性を維持しながら、広範囲のpH値に耐えることができ、代表的には、これに限定されないが、2と11の間のpH値に耐えることができる。このような複合材料の非限定的な例は、ジオポリマー類のみならず、シオグサ藻類またはアセトバクター・キシリナムから誘導される高結晶性セルロースである。]
[0050] ひとつの態様において、基材は、少なくとも1m2/g、少なくとも5m2/g、少なくとも10m2/g、少なくとも20m2/g、または少なくとも40m2/gの表面積を有する。基材の表面積を評価するために、基材は、ICP層の形成前の工程で形成されるべきであり、例えば、この実施例1及び4に記載されているように、該基材は、シオグサ(Cladophora)・セルロース及びミクロフィブリル化セルロース基材をそれぞれ含んでいる。]
[0051] ICP層は、好適には、アセチレン誘導体から、またはポリフェニレン(PPh)、ポリフェニレンスルフィド(PPhS)、ポリフェニレンビニレン(PPhV)、ポリピロール(PPy)、ポリチオフェン、またはポリアニリン(PANI)、若しくはこれらの混合物から形成されるが、他の任意の真性導電性ポリマーも使用することができる。特定の態様において、基材上に被覆されるICP層は、それぞれ5μm未満、1μm未満、500nm未満、250nm未満、または100nm未満の厚みを有する。被覆層厚みは、透過電子顕微鏡により決定することができる。一様でない厚みの被覆層については、前述の層厚は、平均厚み値と考えるべきである。]
[0052] ひとつの態様において、本発明の複合材料は、真性導電性ポリマー(ICP)層を基材に塗布することによって製造される。より具体的に、塗布工程は、酸化剤を含有する溶液中でのICP形成モノマーの重合を含むことができる。酸化剤の好適な例として、S2O82−、H2O2、リンモリブデン酸塩、並びにFe3+、Cu2+、Cr6+、Mo6+、Ce4+、Ru3+、及びMn7+からなる群より選ばれる遷移金属イオンの塩が挙げられるが、これらに限定されない。ICP形成の酸化工程で用いられるアニオンの特性は、非常に重要であり、所望の機能性に合致するように選択される。アニオンの大きさは、ポリマーフィルムの多孔性(またはポリマー・ネットワーク空間)を決定し、分離中でのイオン選択性を得るべく、調整することができる。ポリマー・ネットワーク空間が大きくなるほど、より大きなイオンが、可逆的に該層に吸着され、かつ、該層から放出され得る。酸化剤には、この技術分野の当業者には明らかなように、塩化物、臭化物、硫酸塩、リン酸塩、ギ酸塩、炭酸塩、酢酸塩、過塩素酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、及び/またはリンモリブデン酸塩アニオン、及び/または他のアニオンが含まれる。さらに、ICP層の厚みを増大させるために、及び/またはその機能性を変化させるために、形成されたICP層に制御された電位または電流での電解重合(electropolymerization)を行うことができる。代わりの態様において、被覆工程は、電気的伝導性基材上に、ICP形成モノマーの制御された電位または電流での電解重合を直接実施することを含んでいてもよい。この工程では、電解重合後、前述の酸化剤を含有する溶液中でのICP形成モノマーの重合を引き続き行ってもよい。]
[0053] ここに述べた製造法のいずれかに従って、界面活性剤の存在下でのICP形成モノマーの重合によって、ICP層の導電性を強めることができる。好適な界面活性剤は、この技術分野の当業者には明らかであり、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩など、例えば、ドデシルベンジルスルホン酸ナトリウム塩、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム塩、アルキルスルホン酸ナトリウム塩などが含まれるが、これらに限定されない。前述の重合中、基材の大きな表面積は、実質的に保持され、隣接する多孔質壁の間でブリッジしたり、ついには詰まったりすることなく、多孔質壁に沿った連続的な被覆が得られる。大きな表面積の基材は、本発明の方法によればICPモノマーによって十分に湿潤され、該モノマーを重合すると、該基材の高い表面積構造を損なうことなく、薄い連続的なICP層がつくり出される。]
[0054] ひとつの特定の製造態様において、ICPの重合は、産業でのスケールアップに好適な化学的方法によって達成することができる。特に、ポリピロール系複合材料は、シオグサ種藻類から誘導されたセルロース基材上に、塩化鉄(III)イオンの存在下、ピロールを重合することによって得られる。該材料は、塩素イオンでドープされており、紙状シートに成型される。他の製造例は、実施例1、4、18、19及び21に示されている。他の特定の製造態様では、本発明に従って、例えば、メタカオリンまたはハロイサイトに基づくもののような、ジオポリマー基材を持つ複合材料を使用する。追加の製造工程は、典型的には必要とされ、ICPモノマーを導入する前での例えばNaOH溶液中におけるアルミノシリケート源溶液の溶解工程を含む。本発明のひとつの態様において、該モノマーは、アルミノシリケート源の溶解に引き続いて添加し、アルミノシリケート源と完全に混合した後に、酸化剤を添加することが好ましい。あるいは、該ICPモノマー及び酸化剤は、最終製品の所望の構造に応じて、ジオポリマー形成中の後半に添加される。]
[0055] 得られた複合材料は、紙状シートに成型することができ、それは、かなりの機械的強度を有しており、材料の統一性を損なうことなく、箔で裏打ちしたり、折り畳んだり、曲げたり、または捻ったりすることができる。ひとつの態様において、該ICP層は、貯蔵の際に安定であり、特定の態様において、該層のレドックス電位または該層と接触する溶液のpH若しくはレドックス電位を変化させて、該層の機能性を保持しながら、繰り返し使用することができる。]
[0056] 一般に、該複合材料は、電気化学的に制御された層が望まれる各種装置や方法において使用することができる。該基材は、導電性電気活性層のための連続的な基材を有利に提供する。したがって、本発明は、さらに、ここに述べた複合材料を形成する少なくともひとつの成分を含む電気化学的または電気的装置、ここに述べた複合材料を形成する電気化学的に制御された層を含む電気化学的回路、ここに述べた複合材料から形成された電池またはスーパー・キャパシタを含むエネルギー貯蔵装置、ここに述べた複合材料から形成された電気化学的に制御された層を含む電気化学的アクチュエータ、及びそれらのいずれかを用いる方法に関する。本発明のこれらの側面での無数の具体的な態様は、本開示の観点から当業者には明らかである。非限定的な実施例について説明する。]
[0057] 例えば、本発明の複合材料は、固相抽出、イオン交換膜、分離技術、光学活性異性体の単離、廃水精製、ガス及び湿気の検知器とセンサー、診断用装置、血液透析、電気機械的アクチュエータ、電池、キャパシタ、スーパー・キャパシタ、アクチュエータ、及び薬物投与システムに有用である。該複合材料は、安定であり、例えば、電池やスーパー・キャパシタ用途などのエネルギー貯蔵に関連する用途、並びに電気化学的に制御された抽出、イオン交換、イオン分離、イオン・インターカレーション、及び精製において、繰り返し使用した後に、電気化学的な機能性を保持している。該複合材料は、軽量、柔軟、コンパクトで、かつ、環境にやさしいことは、従来技術で述べられている他の材料に比べて優れた特性であり、全体が非金属成分からなるものを含む各種電池やスーパー・キャパシタ用途での電極材料として使用することができる。該複合材料は、例えば、荷電種が該複合材料によって捕捉され検知される診断と検知において、イオンまたは薬学的に活性な成分の溶液中若しくは生体内への放出用に設計されたレドックス修飾機構(redox modified set-up)において、低コストの環境的にやさしい一次電池(即ち、非充電の電池)において、または溶液があまりに汚染されていて、該複合体のその後の全面洗浄ができない溶液からのある種のイオン若しくは数種のイオンを抽出するために、使い捨てで、ただひとつの電気化学的に制御された工程段階での用途に使用することができる。]
[0058] 該複合材料は、特定の態様において、各種装置の小型化を可能とする。重要なことは、本発明の複合材料の高表面積は、小型化後の装置に機能性を提供し、かつ、高容量を維持することである。そのような非限定的な例には、高充電貯蔵容量のエネルギー貯蔵のための小型化電極、さらには軽量で環境に優しい電極の提供はもとより、抽出用、イオン交換用、イオン・インターカレーション用、及び分離用の小型化機構(set-up)が含まれる。]
[0059] 荷電種の抽出と貯蔵のために高容量で小型化した材料への要求が増大すると同時に、大型に容易に作ることができる材料への要求も増大している。本発明は、特定の態様において、この要求をも満足する。本発明の複合材料が好適に用いられるこのような装置の非限定的な例には、水精製システムやアクチュエータはもとより、電池やスーパー・キャパシタを含む大規模なエネルギー貯蔵装置が含まれる。従来開示されているリチウムイオン電池材料は、大型に製造するのが典型的に困難で費用がかかるものである。本発明の複合材料は、エネルギー貯蔵用途や抽出/精製装置を含めて、典型的に比較的低コストで、大型化装置に容易に組み込むことができる。]
[0060] ここに開示する複合材料の用途は、数多くあり、下記に挙げるものは限定的な意味に捉えられるべきではない。]
[0061] ひとつの態様において、該複合材料は、セルロースマトリックスの大きな表面積と微細な多孔質構造を維持する方法で、例えば、PPyなどの導電性ポリマーで被覆された絡み合ったセルロース・ナノ繊維で構成された高表面積で高結晶性のセルロース・マトリックスを含んでいる。この構造を得る方法の例は、実施例1に示されている。このような構造を達成するためのひとつの前提条件は、ピロールに関する繊維の良好な湿潤性にある。したがって、この構造は、この固有の特性を持たない基材では容易に達成することができない。記述された例では、例えば、シオグサ・セルロースまたはアセトバクター・キシリナム・セルロース粉末(これらに限定されないが)などの連続的な基材の形成に用いられる材料の結晶化率は、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも85%、最も好ましくは少なくとも90%であるべきである。]
[0062] 若干の用途では、非常に高い表面積(工業的吸着剤に匹敵する)、例えば、10m2/g超過、特定の態様では50m2/g超過のセルロース基材が有用である。これらの用途のいくつかでは、基材は、高結晶性をも示す。藻類及び細菌起源の天然セルロースの高結晶性は、該セルロース繊維の活性が少なく、強酸での処理に耐えることができるので重要であると考えられる。後者は、精製の間に酸性の加水分解工程を用いたときにすら、セルロースの繊維状ナノ構造を維持することができるものであり、そうでなければ、通常の陸上植物セルロースの繊維長の著しい減少と顕著なDP(重合度)の低下をもたらす。セルロースの高結晶性は、酸性加水分解による製造工程での精製の容易さのためだけではなく、複合材料の高い化学的抵抗性が望まれる各種用途でも有利である。例えば、ICP複合材料は、各種分離技術において、ICP膜のレドックス電位を変化させるか、あるいは該膜と接触する溶液のpH若しくはレドックス電位を変化させることにより、貴重な分子/イオンを抽出または分離するのに用いることができる。それ故、いくつかの用途において、前述のとおり、広いpH範囲内(例えば、2から11)でのpH変化に耐え得るセルロース基材を有することが望ましい。]
[0063] このような高結晶性のセルロース粉末は、典型的に、例えば、藻類や細菌セルロースなどの天然物からのみ抽出することができ、結晶性の程度は、低結晶性種のセルロース材料を化学的に処理することによっては、このような大きさにまで人工的に増大させることはできない。陸上植物から誘導される通常の微結晶セルロースの結晶化率は、XRDで測定したとき、通常、82%を超えることがないが、一方、藻類起源のセルロースの結晶化率は、典型的には90%を超える。さらに、典型的な微結晶セルロースの比表面積は、約1m2/gにすぎない。藻類起源のセルロース粉末は、95m2/gに達する比表面積値を有すると報告されている。セルロースの大きな表面積は、PPy重合の基材として有利に役立つ。セルロース・ナノ繊維に対するPyモノマーの親和性のため、ここに開示されるように、複合材料の製造方法によれば、均質かつ断絶のないポリマー層が個々の繊維を被覆し、セルロースの大きな表面がほとんど損なわれないで残る。大きな表面積の基材上への相対的に薄いポリマーの被覆は、電気化学的制御下での各種荷電種の吸収と脱着がしばしば物質輸送制御されるため、小さな表面積を覆う厚みのあるポリマー被覆に比べてより有利であることがある。したがって、イオン(特に大きなイオン)の拡散は、ポリマーの最外層によってしばしば制限されるが、一方、ポリマー膜の大部分が使用されないままとなる。大きな表面積を覆う薄い連続的ポリマー膜の形成により、高いイオン吸着容量を持つ材料がつくられる。実際、該材料の容量は、非常に高いので、標準実験室装置での本発明の複合材料の電気化学的特性の決定、例えば、サイクリックボルタンメトリー及びクロノアンペロメトリー特性の測定において、電流が電解質溶液の抵抗のみで制限される事態を避けるために、小型試料(約8mm×5mm×1mm厚の長方形の紙状シートで、重さが約10mg)を用いるのが好ましい。]
[0064] 本発明のひとつの態様において、カチオン交換材料が、例えば、Fe(III)(これに限定されない)のような酸化剤の使用により、ICPモノマー(例えば、ピロールであるが、これに限定されない)の酸化によって調製され、そこには、p−トルエンスルホン酸塩またはポリスチレンスルホン酸塩(これらに限定されない)のような十分に大きなアニオンが対イオン(即ち、ドーパントイオン)として存在する。この方法において、大きなアニオンは、ICP層中に固定され、それ故、ICPの酸化と還元中の電荷補償にアニオンよりもカチオンが関与する。あるいは、カチオン(アニオンよりも)交換材料を得るために、酸化剤の存在下にICPモノマーの酸化によって最初に形成されたICP上に、付加的なICP層の電解析出を行うことができる。電解析出工程において、p−トルエンスルホン酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、またはリンモリブデン酸塩など(これらに限定されない)の大きなアニオンが電解重合溶液中に存在する。これにより、大きなアニオンがICP中に捕捉されて、該ICPが還元及び酸化された場合に、カチオンがそれぞれ抽出及び脱着されることになる。]
[0065] 本発明のひとつの態様は、該複合材料の電気化学的イオン交換膜としての使用に関する。特定の態様において、該複合材料は、該複合材料の電気化学的電位を変化させることにより、液体媒体からアニオン性物質を分離するのに使用される。他の特定の態様において、該複合材料は、カチオン種の分離のためのイオン交換膜として用いられる。この用途のために、複合材料のICPの付加的な層を、p−トルエンスルホン酸塩またはポリスチレンスルホン酸塩(これらに限定されない)のような大きな不動性アニオンの存在下に、例えば、電解重合することができる。分離または交換されるこのようなカチオンの非限定的な例には、Mg2+、Ca2+、Na+、K+、Ba2+、Cu2+、Ni2+、Zn2+、Pb2+、及びCd2+が挙げられる。本発明の付加的な特定の態様は、タンパク質、抗生物質、またはホルモンなど(これらに限定されない)の生化学的に活性な物質を含有する溶液の脱塩に関する。これらの用途において、アニオン及びカチオン交換能をそれぞれ備えた2個または数個のICP類を、該溶液から塩を除去するのに繰り返し使用することができる。該ICP類は、例えば、実施例1、2及び6に関連して説明されているようにして製造される。]
[0066] 本発明のさらなる特定に態様は、例えば、天然果汁、乳漿、または醤油などの食品からの酸類/塩類を除去するための複合材料の使用に関する。これらの用途において、アニオン及びカチオン交換能を備えた2個または数個のICP類を、該溶液から塩を除去するのに繰り返し用いることができる。該ICP類は、実施例1、2及び6に関連して説明されているようにして製造される。]
[0067] ここに開示されている本発明のさらなる他の態様は、発酵ブロス(fermentation broth)からの有機酸の除去のための複合材料の使用に関する。この用途において、アニオン交換能を備えたICP類は、実施例1及び2に関連して説明されているようにして製造される。]
[0068] ここに開示されている他の特定の態様は、光学活性異性体(これに限定されない)を含むアミノ酸、ペプチド、及びタンパク質の直接的な電気化学的補助による分離を目的としている。この用途において、複合材料は、実施例1、2または6に関連して述べられているようにして製造することができ、流通セル中での3電極機構の作用電極として使用することができる。該作用電極の電位は、分離されるべき種と電極との間の相互作用の制御のために制御することができる。]
[0069] ここに開示されている本発明のさらなる態様は、ヌクレオチド、単鎖DNA、及び/または二重鎖DNAの分離を目的とするものである。該複合材料のこの用途において、これは、例えば、実施例1、2または6に関連して説明されているようにして製造し、フローセル中での3電極機構の作用電極として使用することができる。作用電極の電位は、分離されるべき種と電極との間の相互作用を制御するために制御することができる。]
[0070] ここに開示されている本発明のひとつの態様は、様々な分子認識装置における該複合材料の使用に関する。この用途において、該複合材料は、例えば、実施例1、2または6に関連して説明されているようにして最初に製造され、例えば、抗体またはDNA(これらに限定されない)など、そのレドックス状態の変化の結果、該複合材料によって吸収され得る種を含有する溶液中を循環させることができる。次いで、試料中の分子は、該複合材料の内部または表面に含まれる種と特異的に結合させることができる。]
[0071] 特定の態様は、該複合材料のポリマー膜を、複数の成分のいずれかと特異的に結合することができる化学的構成要素でドープして抗原抗体反応を利用する医療診断用バイオセンサーに関する。さらなる特定の態様は、本発明のICP層として、グルコース酸化酵素固定ポリマー膜を用いて、生物流体(血液、尿)中の糖値をモニターするバイオセンサーに関する。この用途において、酵素(即ち、グルコース酸化酵素)がPPy上に固定化されて、該PPy膜が導電性基材として働く、速度論的に制御されたグルコースの酸化に基づく大表面積の電流測定センサーがつくられる。該センサーは、酵素と該PPy層との間の電子移動を容易にするレドックスポリマーを含有することができる。]
[0072] 他の特定の態様は、各種ガス検知器において、湿気、ガスまたは有機揮発成分の存在下での該複合材料の導電特性の変化を利用することに関する。この用途において、該複合材料は、例えば、実施例1または2で述べられているようにして、最初に製造され、該複合材料の導電性に影響を及ぼす湿気、ガスまたは揮発性有機化合物への露出の結果、該複合材料の導電性が変化することに基づくセンサーとして利用することができる。該複合材料の導電性は、該複合材料と接触する2つの両電極間の抵抗を測定することにより測定される。]
[0073] さらなる態様は、電気化学的に制御された固相ミクロ抽出装置としての該複合材料の使用を含む。この用途において、該複合材料は、例えば、実施例1、2または6に関連して説明されているようにして、最初に製造され、3電極機構の作用電極としてアニオンまたはカチオンの抽出に用いられ、その後、該電極は、例えば、0.1MのNaClを含有する新しい溶液に移される。次に、抽出された種は、該複合材料を還元または酸化することにより脱着される。該複合材料を備えた作用電極は、小容量の溶液中での抽出及び脱着を可能とするために、対電極及び参照電極と組み合わせて、針状または薄膜セルに形成することができる。]
[0074] ここに開示される本発明のひとつの態様は、血液透析用の電気化学的に制御されたイオン交換膜材料、即ち、慢性腎不全の患者におけるヒト代謝の毒性のある水溶性廃物の分離に関する。血液透析の基本原理は、通常、半透性膜を横切る血液中に存在する溶質の拡散を利用する。流体除去は、透析液コンパートメントの静水圧を変化させて、自由水と若干の溶解した溶質が、生じた圧力傾斜に沿って、膜を横切って動くようにすることによって、限外濾過により達成される。透析法は、病院で通常行われている時間のかかる方法である。イオン交換膜材料として使用される本発明の複合材料は、限外濾過媒体としてのみならず(その大きな表面積、及び特定の態様では、繊維状構造による)、電気化学的に制御されたイオン交換器として働く。この型の膜と慣用の半透性フィルターとを組み合わせると、血液からの毒性廃物の除去効率が向上し、透析時間も短縮する。全体として、これにより、短時間の日常的な使用のための小型家庭血液透析システムを構築する可能性がもたらされる。]
[0075] 本発明の他の態様は、該複合材料へのイオンの混入と除去によりもたらされる容量変化に基づく電気化学的アクチュエータとしての該複合材料の使用に関する。この用途において、例えば、実施例1、2または6で概説されているようにして調製された複合材料が、小容量の区画での容量の変化を生じさせて、該区画壁へ圧力を及ぼすのに用いられる。この装置は、例えば、小型化したフロー・システムにおけるバルブとして、あるいは動脈の拡張のため電気化学的に制御され、移動できるステントとして用いられる。]
[0076] ここに開示されている本発明のさらなる態様は、エネルギー貯蔵装置における電極材料としての該複合材料の使用に関する。シート形態の紙状電池は、より伝統的な電池の設計に比べて、薄く、柔軟で、機械的に頑丈で、軽量で、非金属で、完全にリサイクル可能で、かつ、環境にやさしいため、幾つかの利点を提供する。紙状のエネルギー貯蔵装置は、紙ベースのディスプレイ、高性能包装、高性能織物、または小型化医療装置などの小型化ニッチ製品中に組み込むことができるため、利点を有している。他の魅力的な代替品は、本発明によれば、面積で数メートル四方のシート状の紙状電極を容易に製造することができるため、例えば、家庭用暖房、携帯可能な大型機器などの大きな装置の製造を包含している。在来の電極は、充放電中の比容量が低く、寿命が短いため、過去において、エネルギー貯蔵装置用に適した電極として、PPy系電極の使用の著しい妨げとなっている。これらの障害は、ここに開示されている本発明により、比較的大きな比表面積の基材、特定の態様においてはセルロース基材を使用することと、導電性ポリマーによる薄い均質で中断されない機能性被覆によって、克服される。数多くの他の高表面積の基材材料と比較すると、セルロース基材のコスト効率はもとより、利用可能性、加工とスケールアップの容易さにより、セルロース基材を備えたICP複合材料を、本発明の幾つかの態様によれば、軽量で、薄く、かつ、環境にやさしいエネルギー貯蔵装置の製造のための選択の材料とする。]
[0077] ここに開示される電極材料は、エネルギー貯蔵装置において機能し、2つの電極のいずれかひとつまたは陰極及び陽極材料の両方として使用することができる。最も簡単な設計において、単一の電気化学的セルは、電解液中に浸したICP複合体の2つの断片からなる。あるいは、2つのICP電極は、電解質ゲルまたは電解液を含浸した透過性固相材料によって分離される。特定の態様において、該ICP電極は、例えば、実施例23で説明されているように、通常の紙のシートまたは電解液を含浸させた濾紙によって分離される。所望により、エネルギー出力を増大させるために、数個の電気化学的セルを積み重ねることができる。特定の用途において、環境的な要求を満足させるために、水系システムを好ましく用いることができる。他の用途では、非水系システムが好ましい。このような用途の比限定的な例には、極端な寒冷(非凍結の要求)または高温(非沸騰の要求)気候中での運搬手段、宇宙用途、及び水系電解質で得られるよりも大きな開回路電位が必要とされる用途での使用のためのものがある。リチウム塩(例えば、LiPF6またはLiClO4があるが、これらに限定されない)を含有する非水系電解質(例えば、エチルカーボネート及びジエチルカーボネートがあるが、これらに限定されない)を、該複合材料の上に被覆された金属または金属酸化物(例えば、Ag、SnO2、Sb2O3があるが、これらに限定されない)などの層に基づく電極(これに限定されないが)と組み合わせて採用することもできる。]
[0078] 本発明のひとつの態様は、複数の複合材料電極対の積み重ねに基づく電池内での電極としての該複合材料の使用に関する。該複合材料は、例えば、実施例1、2及び6で概説されているようにして調製され、そして、電池で使用される電解質は、例えば、NaCl、NaNO3、LiPF6またはLiClO4(これらに限定されない)を含有する水系であっても非水系であってよい。]
[0079] 本発明のひとつの態様は、2つの異なる導電性ポリマーを基礎とする複合材料からなる電極を備えた電池での電極における該複合材料の使用に関する。非限定的な例では、PPyで機能化したシオグサ・セルロース基材をひとつの電極とし、ポリアニリンで機能化した同じ基材を他方の電極として使用する。他の例では、PPyで機能化したミクロフィブリル化セルロース基材をひとつの電極とし、ポリアニリンで機能化した同じ基材を他方の電極として使用する。]
[0080] 本発明のひとつの態様は、2つの電極からなり、そのうちのひとつが金属層で電気化学的に被覆されているものからなる電池での電極としての該複合材料の使用に関する。使用する金属の非限定的な例は、銀、銅、及びアンチモンである。]
[0081] 本発明のひとつの態様は、リチウムイオン電池での電極としての該複合材料の使用に関する。該複合材料は、電極の一方若しくは両方として使用するか、または一方若しくは両方の一部を構成することができる。該複合材料のLi+イオンの循環を最適化するために、PPyの付加的な層の電解重合を、p−トルエンスルホン酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、及びリンモリブデン酸塩など(これらに限定されない)の大きな不動性アニオンの存在下に実施することができる。非水系電解質(例えば、エチルカーボネート及びジエチルカーボネート、並びに、例えば、LiPF6またはLiClO4に基づくものがあるが、これらに限定されない)が用いられる。]
[0082] 本発明のひとつの態様は、高表面積のポリプロピレン基材上に浸漬被覆されたポリピロールに基づく複合材料の使用に関する。このような複合材料の使用の非限定的な例は、溶液からのアニオン類の抽出用電極としてである。]
[0083] 前述のすべての電池及びエネルギー貯蔵装置において、本発明の複合材料は、一方または両方の電極として用いることができる。該複合材料は、一方または両方の電極の一部であってもよい。]
[0084] ここに開示されている複合材料は、それが作られた用途において、該複合材料の特性に悪影響を及ぼすことがない限り、如何なる材料または材料の組み合わせを含んでいてもよい。該複合材料は、付加的な層若しくは構造を含有するシステムの一部に組み込まれても、またはある用途の全活性要素を構成してもよい。]
[0085] 下記の実施例は、本発明の種々の側面を示すものであるが、本発明をこれらに限定することを意図するものではない。]
[0086] 実施例1
この実施例では、200mgのシオグサ種緑藻セルロース粉末を、8分間の高エネルギー超音波処理(VibraCell 750W, Snonics, USA)を用いて、50mlの水に分散させ、次いで、該分散物を濾紙上に収集した。3mlのピロールをメスフラスコ内に入れ、全容積を100mlとした。収集したセルロースのケークをピロール溶液と混合し、超音波器を用いて1分間分散させた。該分散液を30分間静置し、次いで、濾紙上に収集した。8gのFeCl3を100gの水に溶解させ、重合を誘導するためにフィルターケークに通した。多孔質のスポンジ状ケークが形成された。100mlの0.1MのHClをドーパントとして該ケークに通した。生成物を水で十分に洗浄し、紙シート内で乾燥させた。Pyモノマーを被覆することを除いて、前記に従って対照となるセルロース材料を作製したところ、74m2/gの表面積を有していた。]
[0087] 調製した試料のシートを図1に示す。該複合材料は、その本来の統一性を損なうことなく、曲げたり、ねじったり、または箔を裏打ちしたりすることができるように、著しい機械的弾性を有している。走査型電子顕微鏡は、英国のレオ・ジェミニ(Leo Gemini)社製1550FEG SEMを用いた。試料は、両面粘着テープを用いてアルミニウム台紙上に載せ、顕微鏡の使用前に、Au−Ptでスパッタした。図2に該試料の顕微鏡写真を示す。10〜20μm幅の微細な繊維が明らかに見られる。該繊維は、絡み合って、3次元の多孔性ネットワークを形成している。既に報告されているとおり〔ジョンソンらのSynthetic Metals, 153:65-68 (2005)〕、PPyの島状のものは見られず、該繊維表面上の被膜は、中断されていない。該SEM写真は、著しい多孔質で、しかもPPy被膜が微細な多孔性ネットワークを損なっていないことを示している。図3は、該ICP複合材料の透過型電子顕微鏡視写真を示している。PPyの連続的で中断されていない層で被覆された該複合材料の中心のセルロース繊維が明瞭に示されている。この写真から、PPy被膜の厚みが約50nmであるように見える。図4は、基材のセルロース材料のXRDプロファイルを示している。狭くかつ輪郭のはっきりしたピークは、高度の構造組織を示しており、結晶性率は、92%であると評価される。] 図1 図2 図3 図4
[0088] 米国のマイクロメリティクス(Micromeritics)社製ASAP2020により、窒素ガス吸着及び脱着の等温式を得た。比表面積をBET法に従って測定し、該試料の多孔度をBJH法を用いて評価した。図5Aに示されている吸着等温式は、典型的なタイプIIの曲線である。測定した比表面積は、56.56m2/gであり、全多孔容積は、0.1757cm3/gであった(p/p0=0.9857で、1372.8Å未満の多孔の単一点吸着容積)。Pyモノマーの塗布工程を除いて、前記に従って作製した対照セルロース材料は、74m2/gの表面積を有している。また、図5Bにおいて、BJH脱着データは、孔径に対する多孔容積から誘導されたものとしてプロットされている。該プロットからは、殆どの多孔は、200と600Åとの間の範囲内にあるように見える。ガス吸着分析の結果は、大表面積を示すSEM写真に応じており、多孔容積は、セルロース繊維上での引き続くピロールの重合によって損なわれていなかった。] 図5A 図5B
[0089] イオン組み込み実験において、PPy膜の大表面積が、機能性と特に該膜の高いイオン吸着容量を得るために重要であることが示されている。より小さなイオンは、該ポリマーバルク中に浸透するのに十分な移動性を示すことができるのに、大きなイオン化種の吸着は、液体の界面に隣接する該ポリマーの最外層に限定されている。したがって、吸着容量を増大させるために厚みのあるポリマー層とすることは、しばしば正当ではない。これは、該ポリマー膜のバルク中に短い距離でしか入ることができない大きなイオンにとって、特に当てはまる。それゆえに、本発明の複合材料におけるように、大きな表面積に分布した比較的薄いポリマー膜は、効率と比吸着容量の向上にとって好ましい。]
[0090] PPy/シオグサ・セルロース複合材料を、白金対電極とAg/AgCl参照電極を備えた3電極機構の作用電極として用いて、サイクリックボルタンメトリー実験を行った。該実験では、種々の濃度でイオンを含有する一連の溶液を用いた。図6A−6Dに、電解質として飽和NaClを用いて、種々の電圧掃引速度で行った実験を示す。遅い掃引速度でより明瞭に示されるが、プロット中に、酸化及び還元のピークが明瞭に見られる。サイクリックボルタモグラムを得るために、飽和NaClを使用し、試料の大きさを小型化した。さもないと、電流は、電解溶液の抵抗によって制御されることになる。後者は、該複合材料中のポリマー量が大きく、しかも試料の導電性が高いことを示している。] 図6A
[0091] 多くの酸化・還元サイクル(n=60)で該複合材料の機能を試験するために、サイクリックボルタンメトリー実験で用いたのと同じ電気化学的セル機構中で、クロノアンペロメトリー実験を行った。結果を図7に一括している。最初に、該複合材料は、−0.5Vの電位を印加して還元したが、それによって、該ポリマー膜からのCl−イオンの脱着がもたらされた。次いで、+0.7Vの電位を印加して、該ポリマー膜を酸化した。この段階で、Cl−イオンが該膜中に引き戻され、該膜中での電気的中性を維持する。該プロットからは、ほとんど10時間に相当する60サイクル期間を通して、該膜がそのイオン吸収と再吸収能力を大きく維持していることが明瞭である。この実験及び他の塩溶液中で実施した同様の実験は、PPy/シオグサ・セルロール複合材料が繰り返し使用できることを示している。これは、産業上の適応性にとって重要な特徴である。] 図7
[0092] 実施例2
実施例1で用いた塩化鉄(III)の代わりに、重合中の酸化剤としてリンモリブデン酸を用いたこと以外は、実施例1の全般的な記載に従ってPPy/シオグサ・セルロース複合材料を製造した。8gの塩化鉄(III)に代えて34gのリンモリブデン酸塩を使用して、実施例1と同じ処方を用いて該複合材料を調製した。これは、電気化学的な還元後に、該複合材料中に大きなボイドを作り出して、より大きなアニオンが、イオン含有液体中での酸化により該膜によって吸着されるようになされたものである。図8は、2.0Mのp−トルエンスルホン酸ナトリウム塩溶液(典型的な大径アニオン)中、室温で、リンモリブデン酸塩でドープしたPPy/シオグサ・セルロース複合材料について、走査速度5mV/sで得られたサイクリックボルタモグラムを示す。該ボルタモグラムは、大きなアニオン(典型的なアミノ酸に匹敵する大きさ)が該複合材料に可逆的に吸着かつ放出されることを示している。この特定の測定で用いた該複合材料の巨視的な大きさは、10mm×4mm×1mmであった。白金対電極及びAg/AgCl参照電極を備えた3電極機構を用いた。表示電位は、該Ag/AgCl参照電極に対して示されている。] 図8
[0093] 実施例3
実施例1に従って製造した高容量のセルロース系ICP複合材料を、溶液からのアニオン(即ち、塩素またはp−トルエンスルホン酸塩)の抽出に用いた。該ICPは、作用電極として作動し、一方、白金線を対電極として用い、Ag/AgClを参照電極として用いた。約1gのICP複合材料のシートを箔で裏打ちし、適切に接触させた。分離前に、該膜に−0.8Vの負電位を15分間印加して還元した。高容量のICP複合材料を、イオンを抽出すべき250mlの溶液を含有するビーカー中に浸漬した。溶液中に浸漬するとすぐに、+0.7Vの電位を15分間印加した。次いで、該3電極機構を、試料溶液を含有するビーカーから取り除き、1.0Mの塩化ナトリウム溶液中へ浸漬した。次に、吸着したイオンを放出するために、−0.8Vの電位を15分間印加した。この還元工程が完了するとすぐに、3電極機構を試料溶液中に再浸漬して、再使用した。図9に、吸着された塩素イオン量を、該電解液内の塩化ナトリウム濃度の関数として示す。吸着された塩素イオン量は、電解質の濃度が高くなるほど多くなる。] 図9
[0094] 前述のようにしてピロールを塩化鉄(III)と共に重合して製造したICP複合材料を用いて、溶液からp−トルエンスルホン酸塩イオン(相対的に大きな有機アニオン)を抽出する一連の同様の実験を行った。0.9Vの正電位を300秒間加えて抽出した後と抽出前の化学元素分析(硫黄含量)により、抽出効率を独立して調べた。また、−0.8Vの電位を300秒間加えて電気化学的に制御した脱着を行った後、独立した化学元素分析(硫黄含量)により、放出効率をさらに調べた。表2に一括した結果によれば、p−トルエンスルホン酸ナトリウム塩と接触させなかった参照試料は、硫黄元素がないことを示している。p−トルエンスルホン酸イオンの存在下に酸化した試料は、かなりの量の硫黄元素(該複合材料の6.1%にもなる)を含有している。電気化学的還元により該ICP複合材料からp−トルエンスルホン酸イオンを脱着させると、該試料の硫黄元素の含量は、該複合材料の約1.6%に減少する。]
[0095] 表2電気化学的抽出及び脱着後のICP複合材料中のp−トルエンスルホン酸塩の化学元素分析
試料硫黄含量(重量%)
参照 <0.05
p−トルエンスルホン酸塩中での酸化6.1
p−トルエンスルホン酸塩中での還元1.6]
[0096] 実施例4
アニオン性物質の抽出のために、ミクロフィブリル化セルロースのICP複合材料を電極材料として用いた。長い天然セルロース繊維のパルプを叩解することにより、ミクロフィブリル化セルロースを得た。パルプ塊中のセルロース繊維は、活性化され、そして、高圧ホモジナイザーを用いて分散することにより、高水分含量(85重量%)の不透明な分散物を得た。50mlの製造した分散物に、20mlの水で希釈した3mlのPyモノマーを加えて、完全に混合する。次いで、該混合物を濾紙上に収集した。8gの塩化鉄(III)を100mlの水に溶解し、次いで、該濾紙上に収集した分散塊に通して、重合を引き起こす。次いで、残留塊を十分に洗浄し、室温で乾燥して、多孔性の紙状シートを得る。得られたシートのBET表面積は、15m2/gであった。Pyモノマーによる塗布工程を除き、前記に従って作製した参照セルロース材料は、19m2/gの表面積を有していた。該複合材料は、バッチ式でのアニオン性物質の抽出に有用である。]
[0097] 実施例5
実施例1で製造した高容量セルロース系ICP複合材料を、流れる溶液からのp−トルエンスルホン酸塩の抽出に用いる。該ICP複合材料は、作用電極として作動し、他方、白金線を対電極として用い、かつ、Ag/AgClを参照電極として用いる。約1gのICP複合材料シートを箔で裏打ちし、かつ、適性に接触させ、流動する溶液中に配置する。分離前に、流動するリン酸緩衝液(PBS)中で−0.8Vの電位を15分間加えて、該ICP膜を還元する。次いで、1.0Mのp−トルエンスルホン酸ナトリウム塩溶液を、流速0.1ml/sで、該ICP作用電極を通過するように流す。+0.7Vの電位を5分間印加する。続いて、新しいPBS溶液を、流速0.05ml/sで、該ICP電極材料を通過させて流す。PBS溶液中にp−トルエンスルホン酸塩を放出するために、−0.8Vの電位を10分間印加する。PBS中へのp−トルエンスルホン酸塩の脱着の後、p−トルエンスルホン酸塩の出発溶液の新たな一部を、該ICP電極を通過させて流し、アニオンを再吸収させる。このようにして、該ICP電極を、PBS中へのp−トルエンスルホン酸塩の抽出と脱着のために、繰り返し使用する。抽出と放出を33サイクル繰り返した後、該PBS溶液中のp−トルエンスルホン酸塩の濃度は、0.1mmol/mlであった。前記の流動システムの使用により、抽出操作が著しく容易となり、価値のあるアニオン性有機物質の抽出に、原理的に使用することができる。]
[0098] 実施例6
実施例1と同様にして、高容量のセルロース系ICP複合材料を作製する。ついで、該複合材料を、0.1MのPyモノマーと0.1Mのポリスチレンスルホン酸塩(Mw70000、アルドリッチ社製)とを含有する溶液100ml中に浸漬して、作用電極として使用する。Ag/AgCl電極を参照電極とし、Pt線(白金線)を対電極として用いた。走査速度10mV/sを用いた10回の走査中、−1.0と+1.0Vとの間で電位を変化させて、PPyの電解重合を生じさせ、得られたPPyマトリックス中にポリスチレンスルホン酸塩を固定した。この結果、カチオン交換膜が得られ、そして、それを水性試料からNa+、K+、Ca2+、Mg2+、及びBa2+を抽出するのに用いた。該PPy膜の厚みは、電解重合中のサイクル数に伴って増大し、80nmまでであることをTEMによって調べた。ポリスチレンスルホン酸塩でドープした該複合材料の表面積は、対照セルロース材料の表面積より小さかった(それぞれ、48m2/g対74m2/g)。]
[0099] 実施例7
実施例1で述べたアニオン交換ICP電極を、実施例6で述べたカチオン交換ICP電極と組み合わせて、2つの電極配列を構築した。0.5gのこれらICP電極を適正に接続して、電気化学的イオン交換用の作用電極とする。この場合、アニオン交換複合材料とカチオン交換複合材料を直列に流動液体中に配置し、各複合材料の作用電極を対電極及び参照電極と共同させて、これらの複合材料の電荷を個別に定電位制御できるようにする。次いで、該機構を、40mS/cmの初期導電率を有する0.4Mの塩化ナトリウム溶液から塩含量を低減するのに用いる。各ICP電極と組み合わせて、参照電極としてAg/AgClを用い、対電極としてPt線を用いた。該アニオン交換ICP電極に−0.8Vの電位を10分間、次いで、+0.7Vの電位を10分間、及び該カチオン交換ICP電極に+0.7Vの電位を10分間、次いで、−0.8Vの電位を10分間、効果的に同時に印加することにより、該塩溶液の導電率は、15サイクル後に50%に減少した。]
[0100] 実施例8
実施例2におけるように、リンモリブデン酸を酸化剤として製造した高容量のセルロース系ICP複合材料を、4個のグルタミン酸残基から構成されたアニオン性オリゴペプチド(PBS中の0.5M溶液)を抽出するために、該複合材料を直接溶液中に浸漬するバッチ式抽出用の電気化学的に制御された固相装置として用いた。該ICP複合材料は、作用電極として作動し、一方、白金線を対電極として用い、Ag/AgCl電極を参照電極として用いる。約1gのICP複合材料のシートを箔で裏打ちし、適正に接続させた。分離前に、該複合材料を、−0.8Vの電位を15分間印加して還元する。次いで、高容量ICP複合材料を、オリゴペプチドを抽出すべき250mlの溶液を含有するビーカー中に浸漬する。溶液中に浸漬するとすぐに、+0.7Vの電位を15分間印加する。次いで、該3電極機構を該PBS媒体を含有するビーカーから除去し、1.0Mの塩化ナトリム溶液中に浸漬する。吸収したオリゴペプチドを放出するために、−0.8Vの電位を15分間印加する。この還元工程が完了するとすぐに、該3電極機構をPBS溶液中に再浸漬して再使用する。該作用電極は、ひとつの媒体から別の媒体へとオリゴペプチドを抽出し移送するために、繰り返し使用された。15サイクル後、塩化ナトリウム溶液中のオリゴペプチドの濃度は、0.02mmol/mlであった。この特定の実験は、多数の負電荷(負帯電)アミノ酸(エナンチオマーを含む)及びタンパク質のバッチ式抽出の可能性を示すように計画さている。]
[0101] 実施例9
下記の電極機構において、実施例6で述べたようにして大きなアニオンの存在下に調製した高容量セルロース系ICP複合材料を、細菌媒体からカチオン性ペプチドを抽出するために、該複合材料を溶液中に直接浸漬するバッチ式抽出に使用する。該ICP複合材料は、作用電極として作動し、一方、対電極として白金線を用い、参照電極としてAg/AgCl電極を用いる。約1gのICP複合材料のシートを箔で裏打ちし、適正に接続する。分離前に、該膜に+0.7Vの電位を15分間印加して、酸化させる。該高容量ICP複合材料を、ペプチドを抽出すべき250mlの溶液を含有するビーカー中に浸漬する。溶液中に浸漬するとすぐに、−0.8Vの電位を15分間印加する。次いで、該3電極機構を、細菌媒体を含有するビーカーから除去して、1.0Mの塩化ナトリウム溶液中に浸漬する。吸収したペプチドを放出するために、+0.7Vの電位を15分間印加する。この酸化工程の終了後すぐに、該3電極機構を細菌媒体中に再浸漬して、再使用する。このようにして、該作用電極を、ペプチドの抽出のために繰り返し使用する。この特定の実験は、エナンチオマーを含む多数の正電荷(陽帯電)アミノ酸及びタンパク質のバッチ式抽出のために計画されている。]
[0102] 実施例10
実施例1または実施例6で述べたようにして調製した高容量セルロース系ICP複合材料を、実施例3(または実施例6)で述べた手順に基づいて、廃水からのアニオン(またはカチオン)の抽出に使用する。該アニオン(またはカチオン)交換複合材料を廃水中に挿入し、抽出工程前に−0.8V(または+0.7V)の電位を15分間印加し、抽出工程では、+0.7V(または−0.8V)の電位を15分間印加する。抽出後、抽出イオンは、−0.8V(または+0.7V)の電位を15分間印加して、該複合材料を還元(または酸化)することにより、1.0MのNaClを含有する溶液中に放出するか、あるいは、該複合材料を単に廃棄して、焼却炉中で燃焼させる。次いで、新しい類似の複合材料により、新たな抽出を行う。この特定の実験は、本発明の複合材料が、廃水などの非常に複雑な溶液から、イオンの費用のかからないワンショット除去に使用し得ることを示すために計画されたものである。]
[0103] 実施例11
それぞれ、可動性アニオン及び大きな不動性アニオン(実施例10で述べたように)でドープした2つの高容量セルロース系ICP複合材料を、実施例10で述べた手順に基づいて、廃水からアニオンとカチオンの両方を抽出するために使用する。この場合、該アニオン及びカチオン交換複合材料を、流動溶液(実施例7で述べたように)中に直列に配置し、各複合材料作用電極を対電極及び参照電極と組み合わせて、これらの複合材料の電荷を個別に制御できるようにする。該装置を、廃水からの汚染アニオン及びカチオンの同時除去のために用いた。実施例10と同様に、該複合材料は、抽出手順の完了後に廃棄した。]
[0104] 実施例12
この実施例は、高表面積ICP複合材料の湿度センサーとしての使用を示すものである。実施例1で述べた複合材料の細長い細片を使用する。該細片の代表的な寸法は、長さ2cm、幅0.5cm、及び厚み0.1cmである。該細片を2つの電極間に固定し、密接に接触させるために、銀接着剤で接着する。電流は、該細片を通って流れ、抵抗を連続的にモニターする。相対湿度を変化させた環境に曝すと、それに応じて細片の抵抗が変化し、それを記録する。試料の抵抗は、半導体装置分析器(B1500A、アジレント・テクノロジー社製、米国)を用いて測定する。結果を図10に一括して示す。分析前に、該PPy/セルロース試料を、デシケータ中のP2O5上で10日間にわたって乾燥させる。次いで、該試料を、相対湿度を制御した他のデシケータに移し、4日間以上貯蔵する。相対湿度は、LiCl、K2CO3、NaI、及びNaClの飽和塩溶液を用いて制御するが、それによって、それぞれ、11、37、54、及び75%の相対湿度がもたらされる。図10は、乾燥した複合材料試料の典型的なIV掃引曲線を示しているが、それは、乾燥試料の抵抗がオームの法則に従って得られることを示している。同様の寸法を有するシオグサ・セルロースシート片の抵抗がMOhmの位であるのに、このプロットからは、セルロース繊維上でのピロールの重合の結果、シオグサ・セルロースの導電率が106倍も改良されていることが明らかである。図11において、該PPy/セルロース複合材料の抵抗は、相対湿度(RH)の関数として表示されている。該プロットから、該PPy/セルロース複合材料の抵抗は、RHが増大するにつれて減少すると結論づけることができ、水分センサー用途で有用となる特性を示している。] 図10 図11
[0105] 実施例13
可動性アニオン及び大きな不動性アニオン(実施例1、2、6、及び10で述べたように)のいずれかでドープした高容量セルロース系ICP複合材料を、流動する溶液中でアニオン、カチオン、及び極性化合物を分離するための電気化学的に制御されたイオン交換クロマトグラフィにおいて、固定相材料として使用する。該ICP複合材料は、作用電極として作動し、一方、白金線を対電極として用い、Ag/AgClを参照電極として用いる。該ICP複合材料を適正に接続し、流動液体中に配置する。分離中、該ICP複合材料の電位を、該ポリマーの電荷を制御するために、一定の電位、電位パルス、または他のタイプの電位プログラムのいずれかを印加して制御する。これは、流動する溶液中の種を、該複合材料と異なるそれらの相互作用に基づいて分離することを可能にする。該電極機構は、一連のアミノ酸及びペプチドの分離のために効果的に用いられた。]
[0106] 実施例14
可動性アニオン及び大きな不動性アニオン(実施例1、2、6、及び10で述べたように)のいずれかでドープしたICP複合材料を、それぞれアニオン性及びカチオン性薬物のレドックス制御薬物送達に用いる。後者の薬物は、該薬物を含有する溶液中で、該複合材料の酸化または還元の間に、該複合材料内に最初に吸収される。次いで、該薬物は、該複合材料と接触する溶液中の酸化剤または還元剤の存在により該複合材料が緩やかに還元若しくは酸化される結果、あるいは該複合材料と接触する溶液のレドックス電位の変化の結果、開回路条件下で該複合材料から放出される。該放出は、該複合材料が作用電極として作動する機構の電位または電流の制御によっても遂行される。このアプローチは、溶液中への異なる濃度の鉄(II)及び鉄(III)の導入により、該溶液のレドックス電位を制御することによって、リン酸塩緩衝溶液(PBS)中へのアミノ酸及びペプチドのレドックス制御された送達のために効果的に用いられた。]
[0107] 実施例15
実施例1に記載されたICP複合材料を、電池の電極として使用する。該ICP複合材料の2つの同じ断片を、2.0Mの塩化ナトリウムを含有するビーカー内に浸した。図12は、サイクリックボルタンメトリーから得られた走査速度の関数として、該ICP複合材料電極の電荷容量を示す。図6A−6Dから分かるように、該サイクリックボルタモグラムは、二重層キャパシタに典型的な長方形の形状を持たない。その代わりに、陽極及び陰極の走査中のピークが観察され、それらは、擬似容量性挙動を明瞭に示している。従来、長方形状のサイクリックボルタモグラムを持つICP電極が報告されている。後者は、これらの電極がICPの非常に厚い層(代表的には数百ミクロン)を有しており、これが理想的な二重層容量性挙動を説明するので、驚くべきことではない。ここに開示されているICP複合材料の応答は、大きな微視的表面積にわたって分布している薄い被膜(50nmにすぎない)によるファラデー過程の結果、電気的電荷が主として貯蔵されるため、前述の材料のそれとは相違している。図12に示したように、約500C/gの電荷容量は、それぞれ139mAh/gの比電荷容量に対応して観察された。得られた比電荷容量は、ICP複合材料の全重量に関係しているが、一方、文献における殆どの電荷容量値は、機能性塗膜の重量当たりに基づいて算出されているだけである(それは、重量全体のほんの少しの部分である)。このように、文献値に比べて、ここに開示されている複合材料の全電極重量に対する容量は、著しく大きい。前述のとおり、好適な電解質溶液中に浸漬するした2つの同じICP複合紙片を接触させるだけで、電気化学セルを得ることができる。電極間の電位差は、電荷移動に関与する電極それぞれのレドックス状態の差によって得られる。図13は、100秒間の充放電間隔で1mAの一定の印加電流にて得られた、このような単純2電極系の定電流充放電実験を示す。開始時における初期のシャープな変化(iRドロップに起因)の後では、充放電曲線は直線状である。120F/gの静電容量は、iRドロップからの寄与を除外して、この特定の実験機構について計算された。電池及びスーパー・キャパシタを正常に使用するためには、寿命が長いことが不可欠である。図14は、28時間のノンストップ使用に相当する充放電サイクル1000回を反復した、長期充放電実験の前後のサイクリックボルタンメトリーの結果を示す。このプロットからわかるように、電極材料の電気活性は、その後実験を中止した1000サイクルの連続使用にもかかわらず、事実上変化しないままであった。系の開回路電圧(OCV)は、重量10mgの複合ICP電極2個を2.0Mの塩化ナトリウム溶液中に浸漬することによって測定した。(+1.0Vの電位を300秒間印加することによって製造されたような)陽極は酸化状態であり、(−1Vの電位を300秒間印加することによって製造されたような)陰極は還元状態であった。上の実験のOCVは0.79Vであることがわかった。] 図12 図13 図14 図6A
[0108] 実施例16
実施例4のようなICP複合材料は、エネルギー貯蔵装置で有用である。電解質によって分離されたICP複合材料電極対の積み重ねは、エネルギー貯蔵装置を提供する。この態様において、電解質として2.0Mの塩化ナトリウムを含有するポリビニルアルコールゲルによって電極の間が分離されたICP複合材料電極対の積み重ねを製造した。開回路出力電圧及びエネルギー出力は、使用したICP電極の対の数及び表面積によって調整した。10対の複合電極で構成された積み重ねでは、開回路出力電圧が6.5Vであることがわかった。]
[0109] 実施例17
一方は導電性ポリマーとしてポリピロールに基づき、もう一方は導電性ポリマーとしてポリアニリンに基づいている、レドックス電位の異なる2つのICP複合材料を電池の2個の電極として使用した。2個の電極は、2Mの塩化ナトリウムを含有する電解質に浸漬した未被覆セルロースの絶縁シートによって分離した。該電池の開回路電圧は0.8Vであることがわかった。]
[0110] 実施例18
0.1MのAgNO3の溶液中での定電流電解析出法を使用して、ICP複合材料を100nm厚の銀層で被覆した。得られた表面修飾複合材料を別の未修飾複合材料と電池内で組み合わせ、該電池において電極を2Mの塩化ナトリウムを含有する電解質に浸漬した未被覆セルロースの絶縁シートによって分離した。該電池の開回路電圧は1.0Vであることがわかった。]
[0111] 実施例19
0.5Mのp−トルエンスルホン酸ナトリウム塩を含有する溶液からのポリピロールの付加的なICP層の電解析出によって、ICP複合材料を電気化学的に修飾した。電解析出層の厚さは50nmであり、ポリピロール層が電気化学的に酸化及び還元されたときに、該複合材料は元素分析によって主にカチオンを交換することが示された。得られた複合材料は続いて、50nm厚のSnO2層で電気化学的に被覆された別の複合材料電極と共に、電池内で電極として使用した。この電池では、該電極は、エチルカーボネート及びジエチルカーボネートの2:1混合物に溶解させた1MのLiPF6を含有する電解質に浸漬した未被覆セルロースの絶縁シートによって分離した。該電池の開回路電圧は3.5Vであることがわかった。]
[0112] 実施例20
ポリピロールを大表面積のポリプロピレン基材上に浸漬被覆することによって得られたICP複合材料を、溶液からのアニオンの電気化学的に制御されたバッチ式抽出のための電極材料として使用した。複合電極は、性能を著しく損うことなく、100回の反復抽出及び脱着実験に使用できた。]
[0113] 実施例21
本実験において、繊維状シオグサ・セルロース/ポリピロール複合材料のアニオン交換特性に対する酸化剤の種類の影響を調べた。シオグサ藻はバルト海から採取した。セルロースは、前述のとおり、シオグサ藻から抽出した(Mihranyan et al, International Journal of Pharmaceutics, 269:433 (2004))。ピロール(Py)、塩化鉄(FeCl3)、リンモリブデン酸(PMo)水和物、塩化ナトリウム及び塩酸は、スウェーデン国のVMR社に供給されたまま使用した。DL−アスパラギン酸(99%)、DL−グルタミン酸(98%)及びp−トルエンスルホン酸ナトリウム塩(95%)は、SigmaAldrich社より購入した。300mgのセルロース粉末を8分間の高エネルギー超音波処理(VibraCell 750W、Sonics社、米国)を用いて、50mlの水に分散させ、該分散物を濾紙上に収集した。3mlのPyをメスフラスコ内に入れ、全容積を100mlとした。収集したセルロースのケークをPy溶液と混合し、超音波器を用いて1分間再分散させた。次に該分散液を30分間静置し、次いで濾紙上に収集した。8gの塩化鉄(III)を100mlの水に分散させて、重合を誘導するためにフィルターケークに通した(反応は、濾過前に10分間継続させた)。ふわふわしたスポンジ状ケークが形成された。続いて、100mlの0.1MのHClをケークに通した。次いで生成物を水で十分に洗浄し、乾燥させた(ケークは、均質層を形成するために、超音波器を用いて再分散させた)。同様の手順を使用して、酸化剤として塩化鉄(III)ではなくPMoを用いて、PMo合成複合材料を調製した。その目的のために、34gのPMoを100mlの水に溶解させ、重合を誘導するためにフィルターケークに通した。しかし、PMo合成試料の製造中にHClはケークを通らなかった。]
[0114] 図15は、PMo合成複合材料のSEM画像を示す。塩化鉄(III)合成試料(図2)は、シオグサ・セルロースに典型的である微小繊維状構造を呈した。PMo合成複合材料では、試料がより結節状のカリフラワー様形態を呈するので、この小繊維状構造は完全に維持されないように思われる(図15)。塩化鉄(III)及びPMo合成試料のTEM画像より、セルロース小繊維を被覆するPPy層は両方の試料で約50nmであり、したがって100nmよりやや大きい直径の繊維を生成することがわかった。塩化鉄(III)及びPMo合成試料の測定した比表面積は、それぞれ58.8及び31.3m2/gであったのに対して、対応する全多孔容積は、0.186及び0.128cm3/gであった。塩化鉄(III)合成試料の導電率は0.65S/cmであったのに対して、PMo合成試料の対応する値は0.12S/cmであった。] 図15 図2
[0115] 塩化物(a)、アスパラギン酸塩(b)、グルタミン酸塩(c)、及びp−トルエンスルホン酸塩(d)を含有する電解質中での実験において、2種類の試料について記録したサイクリックボルタモグラムを図16a−16dに示す。これらのボルタモグラムでは、電流は、実験で作用電極として用いた複合材料の質量に関して標準化した。ボルタモグラムの形状は、同じ種類の試料による異なる電解質の場合と同様に、2つの試料で明瞭に異なっている。すべての電解質で、電流は、PMo合成試料よりも塩化鉄(III)合成試料で高いことがわかった。このことは、PMo試料におけるイオンの輸送速度が、図2及び15のSEM顕微鏡写真と良好に一致するより緻密な構造の結果として、PMo試料にてより低いことを示している。塩化物含有電解質中では、酸化及び還元ピークは塩化鉄(III)合成試料では明瞭に見られるが、PMo試料の対応するボルタモグラムの形状は、電流がこの試料に関連する(より高い)抵抗によって制限されたことを示している。他の3つの電解質中で塩化鉄(III)試料に対してあまり明確でないボルタモグラムが得られたという事実は、これらの電解質の導電率がより低いことによって説明できる。この効果によって、両方の試料についてこれらの溶液中での、より陽性のピーク電位も説明される。したがって、ボルタモグラムのピーク電位及び形状が試料の導電率及び電解質の導電率の両方に依存することを結論づけることができる。したがって、抵抗降下の効果を最小限に抑えるために、作用電極として使用した試料は可能な限り少量に抑えられた。] 図16a 図2
[0116] 塩化鉄(III)及びPMo合成材料の異なるアニオン抽出挙動を描出するために、+0.9Vの酸化電位における酸化プロセスに関与する単位電荷数を、図17にアニオン種の関数としてプロットした。塩化鉄(III)合成試料によって吸収されたイオンの数は、おそらく塩化鉄(III)合成試料の表面積がほぼ2倍の大きさであるために、すべてのイオンでPMo試料よりも多いことが明瞭に示されている。しかし、PMo試料での相対的な収量は、塩化物よりも最大のp−トルエンスルホン酸イオンで良好であることも示されている。このことは、PMo試料がより大型のイオンの抽出に好適であることを示している。] 図17
[0117] 図17において、塩化鉄(III)合成試料は3種類のより大型のアニオンを区別しないと思われたのに対して(正規化値は、3種類すべてでほぼ同じである)、PMo合成試料の対応する結果は異なったことも示されている。したがって、PMo試料では、最大のp−トルエンスルホン酸イオンの値は、アスパラギン酸塩の値よりも4.4倍大きく、グルタミン酸塩の値よりも1.2倍大きかった。PMo合成試料によりこのようなイオンで得られた値が異なるのは、材料のバルク内でのイオンの抽出の程度が異なることによって説明され得る。塩化鉄(III)試料では、これらのより大型のイオンは、おそらく主に材料表面に存在している。このことは、より大型のイオンよりも(材料のバルク中に容易に進入できるはずである)塩化物でより大きい値が見出されるのと同様に、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、及びp−トルエンスルホン酸塩について後者の材料によってほぼ同じ値が得られることを説明するであろう。] 図17
[0118] すでに示したように、図17に示す塩化鉄(III)及びPMo合成試料イオン抽出特性が異なるのは、重合反応で使用したアニオンのサイズが大きく異なるためである。リンモリブデン酸アニオンは大きさが10〜11Åのクラスタを形成することが報告されており、このことは、この試料が還元された(及びリンモリブデン酸アニオンが試料を離脱する)ときに生じる空きが、p−トルエンスルホン酸アニオン(すなわち本実験で使用した最大のアニオン)のサイズよりも大きいことが予想されることを意味する。p−トルエンスルホン酸塩の値と塩化物の値との比がPMo試料で著しくより高いという事実も、PMo試料が塩化鉄(III)合成試料よりも大型のイオンの抽出により好適であることを明瞭に示している。塩化鉄(III)合成試料は、小型アニオンも含有する溶液からの大型のアニオンの抽出で特に有用なはずである。したがって、溶液との接触面積を大きくするためには、複合材料の表面積を可能な限り大きくすべきであることが結論づけられる。さらに、重合工程で使用したアニオンのサイズは、大きな吸収容量及び選択性の両方を確保するために抽出される分子のサイズに比例して選択すべきである。] 図17
[0119] 本実施例から、シオグサ・セルロースに典型的な微小繊維状構造が塩化鉄(III)合成試料で維持されたのに対して、PMo合成試料はより結節状のカリフラワー様形態を呈したことが結論づけられる。両方の試料でセルロース小繊維を被覆するPPy層が約50nm厚であることがわかり、したがって100nmよりやや大きい直径の複合材料繊維が生じる。塩化鉄(III)合成試料の表面積がPMo合成試料の表面積のほぼ2倍であることが証明された。どちらの試料も、検討したより大きいアニオンと比較して、著しくより多い量の塩化物イオンを吸収した。試料の質量当たりの吸収イオンの数は4つの電解質すべてについて、塩化鉄(III)合成試料のほうがPMo合成試料よりも多かったが、PMo合成試料は実験した最大のアニオンに対してより高い選択性を示した。]
[0120] 提示した材料の大きい比表面積は、タンパク質、DNA及び他のバイオマーカーの抽出を含むバイオテクノロジー用途で有用な機能である、大きなアニオンのかなりの吸収容量を伴う。イオン抽出のためにこの種の大表面積繊維状複合材料を作るときに、重合工程で使用したアニオンの大きさは、表面積と同様に、本明細書の教示に従って当業者によって最適化されるべきである。]
[0121] 実施例22
本実験は、2つ以上のアニオン種を含有する溶液中でのアニオンの大きさ及びアニオンの濃度の関数としてのPPy及びシオグサ種緑藻セルロースからなる導電性紙状複合材料のアニオン吸収特性及び複合材料の挙動を調べた。複合材料は、実施例1に概説されているような手順に従って製造した。]
[0122] Autolab/GPESインターフェース(ECO Chemie社、オランダ国)を作用電極としての複合材料、対電極としてのPt線及び参照電極としてのAg/AgCl電極と共に利用する標準3電極電気化学的セルにおいて、サイクリックボルタンメトリー及びクロノアンペロメトリー(電位ステップ)測定を実施した。実験で使用した複合材料試料は典型的に、5〜10mmの長さ、3〜5mmの幅及び1〜2mmの長さを有していた。各試料の重量は、約10〜20mgであった。測定は、室温にてNaCl(0.2〜5M)、KNO3(0.2〜2M)及びp−トルエンスルホン酸塩ナトリウム、CH3C6H4SO3Na、(0.2〜2M)溶液中で実施した。サイクリックボルタンメトリー測定は、−0.8〜1.2Vの電位領域で走査速度5mV/sにて実施した。クロノアンペロメトリック測定では、電位は−0.8Vと+0.7Vとの間で段をつけた。実験の前に、すべての試料を1.0MのNaCl溶液中で−0.8Vにて300秒間還元した(材料の重合工程から生じる塩化物イオンを除去するため)。その後、試料を実験用電解質まで移動して、そこでただちに測定を開始した。]
[0123] 各種の濃度(すなわち0.2〜2M)のCl−イオン(a)、NO3−イオン(b)、及びCH3C6H4SO2O−イオン(c)はもちろんのこと、2つの異なるCH3C6H4SO2O−及びCl−のイオンの混合物(d)を含有する電解質中で記録したサイクリックボルタモグラムを図18a−18dに示す。] 図18a
[0124] クロノアンペロメトリック測定は、硝酸イオンが塩化物イオンよりもやや容易に複合材料中に取り込まれるのに対して、大型のp−トルエンスルホン酸イオンを収容する複合材料の容量は、本実験で使用した酸化条件におけるより小型のイオンを収容する容量と比較して約50%であることを示した。結果は、アニオンが十分に高い電解質濃度においてポリマーのバルク中に拡散する前に複合材料表面の大半を物理的に被覆できること、及び表面部位間の距離がアニオンの大きさと厳密に一致することも示している。塩化物イオン及びp−トルエンスルホン酸イオンの両方を含有する混合物では、高濃度のより大きいp−トルエンスルホン酸アニオンは塩化物イオンの複合材料中への輸送を妨害し得るのに対して、他方、低濃度は輸送を促進し得ることがわかった。本結果は、複合材料の薄いポリマー被覆と大きい比表面積の組み合わせによって、大型のアニオンに対しても高いイオン吸収容量を生じさせることを明瞭に示している。これは、本材料が例えば、生体試料からのタンパク質及びDNAの脱塩及び抽出を含むバイオテクノロジー用途に好適であることを証明している。]
[0125] 実施例23
導電性ポリマーとしてのポリピロール及び基材としてのシオグサ・セルロースに基づく2つの同じICP複合材料を、図19に示す電池での2個の電極として使用した。2個の電極は、2Mの硝酸カリウムを含有する電解質に浸漬したワットマン濾紙の絶縁シートによって分離した。該電池の開回路電圧は1Vであることがわかった。] 図19
実施例

[0126] 本発明の複合材料、方法、及び装置は特定の態様を参照して説明され、実施例は本発明の各種の特定の側面を示した。しかし、本発明のさらなる態様、側面、変更及び修正が、特許請求されるような本発明の範囲から逸脱することなく当業者によって実施できることが認識されるであろう。]
权利要求:

請求項1
連続的な構造の形であり、基材上に被覆された真性導電性ポリマー(ICP)層を含む複合材料であって、少なくとも0.1m2/g、少なくとも1m2/g、または少なくとも5m2/gの表面積を有する複合材料。
請求項2
該複合材料が、少なくとも10m2/g、少なくとも15m2/g、または少なくとも20m2/gの表面積を有する、請求項1に記載の複合材料。
請求項3
該基材上に被覆される該ICP層が、5μm未満、1μm未満、500nm未満、250nm未満、または100nm未満の厚みを有する、請求項1または2に記載の複合材料。
請求項4
該基材が、少なくとも1m2/g、少なくとも5m2/g、少なくとも10m2/g、少なくとも20m2/g、または少なくとも40m2/gの表面積を有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の複合材料。
請求項5
該基材が、主成分としてポリマーまたはジオポリマーを含む、請求項4に記載の複合材料。
請求項6
該基材ポリマーまたはジオポリマーが、デキストラン、セルロース、ミクロフィブリル化セルロース、アガロース、スチレンポリマー及びコポリマー、アクリル酸ポリマー及びコポリマー、アクリルアミドポリマー及びコポリマー、プロピレンポリマー及びコポリマー、ジビニルベンゼンポリマー及びコポリマー、メタカオリンジオポリマー、ハロイサイトジオポリマー、及び他のアルミノシリケートジオポリマーからなる群より選択される、請求項5に記載の複合材料。
請求項7
該基材が、主成分としてミクロフィブリル化セルロースを含む、請求項6に記載の複合材料。
請求項8
該基材が、主成分としてセルロースを含み、該セルロースが藻類セルロース及び細菌セルロースから選択される、請求項6に記載の複合材料。
請求項9
該藻類セルロースが繊維状海藻類及び/または球状海藻類から誘導される、請求項8に記載の複合材料。
請求項10
該藻類セルロースが、シオグサ目またはクダネダシグサ目から誘導される、請求項9に記載の複合材料。
請求項11
該藻類セルロースが、シオグサ藻類、ジュズモ属、ネダシグサ属、ミクロディクティオン、バロニア属、キッコウグサ属、クダネダシグサ属またはマガタマモ属から誘導される、請求項10に記載の複合材料。
請求項12
該細菌セルロースが、アセトバクター・キシリナムから誘導される、請求項8に記載の複合材料。
請求項13
該セルロースが、シオグサ種緑藻から誘導される、請求項8に記載の複合材料。
請求項14
該複合材料が、紙状シートに形成されている、請求項7乃至13のいずれか1項に記載の複合材料。
請求項15
該基材が、カーボンナノ材料を用いた機能化によって、または基材上に薄い導電性層を析出することによって導電性にされている、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の複合材料。
請求項16
該ICPが、アセチレンの誘導体である、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の複合材料。
請求項17
該ICPが、ポリフェニレン(PPh)、ポリフェニレンスルフィド(PPhS)、ポリフェニレンビニレン(PPhV)、ポリピロール(PPy)、ポリチオフェン、またはポリアニリン(PANI)からなる群より選択される、請求項16に記載の複合材料。
請求項18
該基材が、主成分としてシオグサ種緑藻類から誘導されたセルロースを含み、該ICPが、ポリピロールを含む、請求項1乃至17のいずれか1項に記載の複合材料。
請求項19
該基材が、主成分としてミクロフィブリル化セルロースを含み、該ICPがポリピロールを含む、請求項1乃至17のいずれか1項に記載の複合材料。
請求項20
該複合材料が、pH2〜11の範囲でその機械的完全性を維持する、請求項1乃至19のいずれか1項に記載の複合材料。
請求項21
該基材が、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、または少なくとも90%の結晶化率を有する、請求項1乃至20のいずれか1項に記載の複合材料。
請求項22
請求項1乃至21のいずれか1項に記載の複合材料から形成された少なくともひとつの構成部品を含む、電気化学的または電気的装置。
請求項23
請求項1乃至21のいずれか1項に記載の複合材料から形成された電気化学的に制御された層を含む、電気化学的回路。
請求項24
請求項1乃至21のいずれか1項に記載の複合材料から形成された電池またはスーパー・キャパシタを含む、エネルギー貯蔵装置。
請求項25
請求項1乃至21のいずれか1項に記載の複合材料から形成された電気化学的に制御された層を含む、電気化学的アクチュエータ。
請求項26
該基材を真性導電性ポリマー(ICP)層で被覆することを含む、請求項1乃至21のいずれか1項に記載の複合材料を製造する方法。
請求項27
被覆工程が、酸化剤を含有する溶液中でICP形成モノマーを重合することを含む、請求項26に記載の方法。
請求項28
該酸化剤が、S2O82−、H2O2、リンモリブデン酸塩、並びにFe3+、Cu2+、Cr6+、Mo6+、Ce4+、Ru3+及びMn7+からなる群より選択される遷移金属イオンの塩からなる群より選択される、請求項27に記載の方法。
請求項29
該酸化剤が、塩化物、臭化物、硫酸塩、リン酸塩、ギ酸塩、炭酸塩、酢酸塩、過塩素酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、及び/またはリンモリブデン酸塩アニオンを含む、請求項27に記載の方法。
請求項30
ICP層の厚みを増大させるために制御された電位または電流での電解重合をさらに含む、請求項27に記載の方法。
請求項31
該被覆工程が、導電性基材上に、ICP形成モノマーの制御された電位または電流での電解重合を直接実施することを含む、請求項26に記載の方法。
請求項32
電解重合工程後に、酸化剤を含有する溶液中でICP形成モノマーを重合することをさらに含む、請求項31に記載の方法。
請求項33
該ICP層の導電性が、界面活性剤の存在下でICP形成モノマーを重合することによって強められる、請求項26乃至32のいずれか1項に記載の方法。
請求項34
該複合材料が、その機械的完全性を維持しながら、箔で裏打ちしたり、折り畳んだり、曲げたり、または捻ったりすることができる紙状シートに成型される、請求項26乃至33のいずれか1項に記載の方法。
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