专利摘要:
自己抗体の検出のためのイムノアッセイをキャリブレーションするための哺乳動物の体液を含むキャリブレータ材料の使用。
公开号:JP2011508197A
申请号:JP2010538909
申请日:2008-12-23
公开日:2011-03-10
发明作者:キャロリン チャプマン,;アンソニー バーンズ,;アンドレア マレー,;ジョン,;フォーサイス,;ラッセル ロバートソン,
申请人:オンクイミューン リミテッド;
IPC主号:G01N33-53
专利说明:

[0001] 本発明は、一般的に、イムノアッセイの分野に関する。特に、本発明は、自己抗体についてのイムノアッセイをキャリブレーションするためのキャリブレータ材料の使用に関する。]
背景技術

[0002] 日差変動は、いかなるイムノアッセイにも付いて回る。この変動は、周囲条件、測定機器又は測定試薬の老化、試薬におけるバッチ変化、及び生物学的変動を含むいくつかの様々な因子が原因となり得る。ある日の試験結果を異なる日に測定された別の結果と比較することを必要とする縦断的検査において、この変動を調整できることが必要である。アッセイのキャリブレーションがこれを可能にし、機器の出力ドリフト又は日差ドリフトに関する問題をオペレーターに警告することもできる。]
[0003] 一般的に、血清中の抗原を測定するように設計されたイムノアッセイをキャリブレーションすることは、その抗原の組換え型又は合成型を作製して、容易に定量化できることが多いため、比較的簡単である。したがって、高度に特徴づけされ、かつ明確に定義されたキャリブレータ材料を利用することができる。]
[0004] 患者試験試料においてヒト自己抗体のレベルを測定するように設計されたアッセイについて、適切なキャリブレータ材料の同定は、測定することになっている抗体の多様な特異性及び応答のポリクローナル性によって妨害される。本発明者らは、自己抗体アッセイのキャリブレータとしてマウスモノクローナル抗体の使用を調べた。しかしながら、これらは、ヒト自己抗体を検出するために用いられるものとは異なるレポーター系を必要とし、それゆえ、検出された変動が、自己抗体アッセイに内在する真の変動表示であることを保証することは決してできない。加えて、モノクローナル抗体は、高度に限定された特異性を有し、ヒトポリクローナル性応答によって示される乱交雑を欠く。これは、結果としてアッセイ変動を生じる捕獲抗原構造におけるわずかな変化が検出されないままである可能性があることを意味する。キャリブレータ材料として用いるヒト化抗体を設計することができたならば、これは、自己抗体アッセイと同じレポーター系を用いるだろうが、そのマウスの相当するものと同じモノクローナル性の問題を依然として示すだろう。]
[0005] それゆえに、本発明者らは、十分な容量を有すること、及びまた、長期間保存できることの両方に関して、キャリブレーションの長期間供給源を提供するであろうキャリブレータ材料の新しい供給源を捜し出さなければならなかった。]
[0006] 第1の態様において、本発明は、自己抗体の検出のためのイムノアッセイをキャリブレーションするための、哺乳動物、特にヒトの体液を含むキャリブレータ材料の使用に関する。]
[0007] 一実施形態において、キャリブレータ材料はヒト体液を含む。]
[0008] 一実施形態において、キャリブレータ材料は、血清、全血及び血漿からなる群から選択されるいずれの血液産物をも含まない。]
[0009] 一実施形態において、キャリブレータ材料は、ドレナージ液、滲出液又は漏出液を含む。この材料は、好ましくは、血清、全血及び血漿からなる群から選択されるいずれの血液産物をも含まない。]
[0010] 一実施形態において、キャリブレータ材料は、癌を有する1又は複数の対象から収集された体液を含む。]
[0011] 別の実施形態において、キャリブレータ材料は、腫瘍が存在する若しくは存在していた、又は腫瘍が関連する若しくは関連していた体腔又は体空間から収集された体液を含む。]
[0012] 一実施形態において、キャリブレータ材料は、腫瘍が存在する若しくは存在していた、又は腫瘍が関連する若しくは関連していた体腔又は体空間から収集された、哺乳動物、特にヒトの体液を含む。]
[0013] 特定の非限定的な実施形態において、キャリブレータ材料は、1人又は複数のヒト癌患者から収集された胸水又は腹水を含んでもよい。]
[0014] 一実施形態において、キャリブレータ材料は、腫瘍マーカータンパク質に免疫学的に特異的な天然ヒト自己抗体を含み、キャリブレーションされるべきイムノアッセイは、腫瘍マーカータンパク質に免疫学的に特異的な天然ヒト自己抗体の検出のためのイムノアッセイである。]
[0015] 第2の態様において、本発明は、自己抗体の検出のためのイムノアッセイをキャリブレーションする方法であって、
(a)哺乳動物体液を含むキャリブレータ材料の複数の異なる希釈溶液のそれぞれを、イムノアッセイで検出される自己抗体に特異的な抗原と接触させるステップであり、上記体液が抗原に免疫学的に特異的な自己抗体を含有することが知られている、ステップと、
(b)キャリブレータ材料に存在する上記抗原自己抗体間の特異的結合の量を検出するステップと、
(c)ステップ(a)に用いられるキャリブレータ材料の各希釈溶液について、キャリブレータ材料の希釈度に対する上記特異的結合の量の曲線をプロット又は計算し、それによって、上記自己抗体の検出のための上記抗原を用いるイムノアッセイをキャリブレーションするステップと
を含む、方法を提供する。]
[0016] 一実施形態において、キャリブレータ材料はヒト体液を含む。]
[0017] 一実施形態において、キャリブレータ材料は、血清、全血、及び血漿からなる群から選択されるいかなる血液産物も含まない。]
[0018] 一実施形態において、キャリブレータ材料は、ドレナージ液、滲出液、又は漏出液を含む。この材料は、好ましくは、血清、全血、及び血漿からなる群から選択されるいかなる血液産物も含まない。]
[0019] 一実施形態において、キャリブレータ材料は、癌を有する1又は複数の対象から収集された体液を含む。]
[0020] 別の実施形態において、キャリブレータ材料は、腫瘍が存在する、若しくは存在していた、又は腫瘍が関連している、若しくは関連していた体腔又は体空間から収集された体液を含む。]
[0021] 一実施形態において、キャリブレータ材料は、腫瘍が存在する、若しくは存在していた、又は腫瘍が関連している、若しくは関連していた体腔又は体空間から収集された、哺乳動物、特にヒトの体液を含む。]
[0022] 特定の非限定的な実施形態において、キャリブレータ材料は、1人又は複数のヒト癌患者から収集された胸水又は腹水を含んでもよい。]
[0023] 一実施形態において、キャリブレータ材料は、腫瘍マーカータンパク質に免疫学的に特異的な天然ヒト自己抗体を含み、キャリブレーションされるべきイムノアッセイは、腫瘍マーカータンパク質に免疫学的に特異的な天然ヒト自己抗体の検出のためのイムノアッセイである。]
[0024] それゆえに、1つの特定の非限定的な実施形態において、本発明は、抗腫瘍マーカー自己抗体の検出のためのイムノアッセイをキャリブレーションする方法であって、
(a)1人又は複数の癌患者から単離された胸水又は腹水を含むキャリブレータ材料の複数の異なる希釈溶液のそれぞれを、抗腫瘍マーカー自己抗体に特異的な腫瘍マーカー抗原と接触させるステップであり、上記胸水又は腹水が上記抗原に免疫学的に特異的な自己抗体を含有することが知られている、ステップと、
(b)キャリブレータ材料に存在する上記抗原自己抗体間の特異的結合の量を検出するステップと、
(c)ステップ(a)に用いられるキャリブレータ材料の各希釈溶液について、キャリブレータ材料の希釈度に対する上記特異的結合の量の曲線をプロット又は計算し、それによって、上記自己抗体の検出のための上記抗原を用いるイムノアッセイをキャリブレーションするステップと、を含む方法を提供する。]
[0025] 第3の態様において、本発明は、自己抗体の検出のためのイムノアッセイをキャリブレーションするのに用いる1セットのキャリブレーション標準物質であって、上記セット内の各キャリブレーション標準物質が哺乳動物体液の異なる希釈溶液を含み、上記哺乳動物体液が天然ヒト自己抗体を含有することが知られている、1セットのキャリブレーション標準物質を提供する。]
[0026] 上記哺乳動物の体液がヒト体液である、請求項22に記載の1セットのキャリブレーション標準物質。]
[0027] 一実施形態において、哺乳動物体液は、血清、全血及び血漿からなる群から選択されるいずれの血液産物をも含まない。]
[0028] 一実施形態において、哺乳動物体液は、ドレナージ液、滲出液又は漏出液である。]
[0029] 一実施形態において、哺乳動物体液は、癌を有する1又は複数の対象から収集された液体である。]
[0030] 一実施形態において、哺乳動物体液は、腫瘍が存在する若しくは存在していた、又は腫瘍が関連する若しくは関連していた体腔又は体空間から収集された体液である。]
[0031] 一実施形態において、哺乳動物体液は、ヒト癌患者などの癌を有する1又は複数の対象から収集された胸水を含む。]
[0032] 一実施形態において、哺乳動物体液は、ヒト癌患者などの癌を有する1又は複数の対象から収集された腹水を含む。]
[0033] 本発明は、自己抗体の検出のためのイムノアッセイキットであって、本発明の第3の態様による1セットのキャリブレーション標準物質と、上記自己抗体に免疫学的に特異的な抗原を含むイムノアッセイ試薬とを含むキットをさらに提供する。]
図面の簡単な説明

[0034] 進行乳癌患者由来の胸水におけるヒト自己抗体の抗原特異的阻害を示す図である。
ウェスタンブロッティングによって示された組換え癌関連抗原に対する胸水の特異性を示す図である。(a)p53に特異的な液体B3280、(b)NY−ESO−1に特異的な液体B1564、(c)GBU4−5及びアネキシン1に特異的な液体PL−061、(d)p53、CAGE、及びNY−ESO−1に特異的な液体B3084。レーン1=分子量マーカー、レーン2=VOL、レーン3=p53、レーン4=c−myc、レーン5=CAGE、レーン6=NY−ESO−1、レーン7=GBU4−5、レーン8=IKBKE、レーン9=アネキシン1、レーン10=アネキシン2。
ウェスタンブロッティングによって示された組換えタンパク質中の夾雑細菌タンパク質への血清の結合を示す図である。(a)、(b)。レーン1=分子量マーカー、レーン2=アネキシンXIa、レーン3=BRCA2、レーン4=c−myc、レーン5=ECD6、レーン6=IKBKE、レーン7=NY−ESO−1、レーン8=p53、レーン9=PSA、レーン10=VOL。
プレート上にコーティングされた滴定nM濃度のNYESOに対する患者液体希釈溶液の図である。
ドレナージ液を用いて作成されたキャリブレーション曲線の再現性を示す図である。曲線は、10回の実行の平均を表し、アッセイ間変動が、誤差バーとして示された標準偏差によって表されている。p53に対する反応性が示されている。
c−mycに対する反応性が示されている。
ECD6に対する反応性が示されている。
NYESOに対する反応性が示されている。
BRCA2に対する反応性が示されている。
PSAに対する反応性が示されている。
アネキシンXIaに対する反応性が示されている。
5回の実行における160nMのNYESOに対する患者胸水プールC3/C4(a)及び患者胸水プールB3255/B3258(b)の反応性を示す図である。対数変換された液体希釈度が、対数変換されたODに対してプロットされている。データは、陰性対照抗原、VOLへの結合から得られたシグナルを引き算することによって非特異的結合について補正されている。
5回の実行における160nMのp53に対する患者胸水プールB3255/B3258(a)及び患者胸水プールC3/C4(b)の反応性を示す図である。対数変換された液体希釈度が、対数変換された光学密度に対してプロットされている。データは、陰性対照抗原、VOLへの結合から得られたシグナルを引き算することによって非特異的結合について補正されている。
5回の実行における160nMのBRCA2に対する患者胸水プールB3255/B3258(a)及び患者胸水プールC3/C4(b)の反応性を示す図である。対数変換された液体希釈度が、対数変換されたODに対してプロットされている。データは、陰性対照抗原、VOLへの結合から得られたシグナルを引き算することによって非特異的結合について補正されている。
5回の実行における160nMのc−mycに対する患者胸水プールB3255/B3258(a)及び患者胸水プールC3/C4(b)の反応性を示す図である。対数変換された液体希釈度が、対数変換されたODに対してプロットされている。データは、陰性対照抗原、VOLへの結合から得られたシグナルを引き算することによって非特異的結合について補正されている。
5回の実行における160nMのPSAに対する患者胸水プールB3255/B3258(a)及び患者胸水プールC3/C4(b)の反応性を示す図である。対数変換された液体希釈度が、対数変換されたODに対してプロットされている。データは、陰性対照抗原、VOLへの結合から得られたシグナルを引き算することによって非特異的結合について補正されている。
5回の実行における160nMのECD6に対する患者胸水プールB3258/B3255(a)及び患者胸水プールC3/C4(b)を示す図である。対数変換された液体希釈度が、対数変換されたODに対してプロットされている。データは、陰性対照抗原、VOLへの結合から得られたシグナルを引き算することによって非特異的結合について補正されている。
5回の実行における160nMのアネキシンXIaに対する患者胸水プールB3255/B3258(a)及び患者胸水プールC3/C4(b)の反応性を示す図である。対数変換された液体希釈度が、対数変換されたODに対してプロットされている。データは、陰性対照抗原、VOLへの結合から得られたシグナルを引き算することによって非特異的結合について補正されている。
対照試料の再現性に対するキャリブレーションの効果を示す図である。p53に対する自己抗体は、5つの別々の場合において8つの対照血清で測定された。生のOD値は(a)に示されている。キャリブレータ曲線は同時に実行され、これは、対照試料(b)についての値を外挿するために用いられた。
対照試料の再現性に対するキャリブレーションの効果を示す図である。c−mycに対する自己抗体は、5つの別々の場合において8つの対照血清で測定された。生のOD値は(a)に示されている。キャリブレータ曲線は同時に実行され、これは、対照試料(b)についての値を外挿するために用いられた。
対照試料の再現性に対するキャリブレーションの効果を示す図である。ECD6に対する自己抗体は、5つの別々の場合において8つの対照血清で測定された。生のOD値は(a)に示されている。キャリブレータ曲線は同時に実行され、これは、対照試料(b)についての値を外挿するために用いられた。
対照試料の再現性に対するキャリブレーションの効果を示す図である。NYESOに対する自己抗体は、5つの別々の場合において8つの対照血清で測定された。生のOD値は(a)に示されている。キャリブレータ曲線は同時に実行され、これは、対照試料(b)についての値を外挿するために用いられた。
対照試料の再現性に対するキャリブレーションの効果を示す図である。BRCA2に対する自己抗体は、5つの別々の場合において8つの対照血清で測定された。生のOD値は(a)に示されている。キャリブレータ曲線は同時に実行され、これは、対照試料(b)についての値を外挿するために用いられた。
対照試料の再現性に対するキャリブレーションの効果を示す図である。PSAに対する自己抗体は、5つの別々の場合において8つの対照血清で測定された。生のOD値は(a)に示されている。キャリブレータ曲線は同時に実行され、これは、対照試料(b)についての値を外挿するために用いられた。
対照試料の再現性に対するキャリブレーションの効果を示す図である。アネキシンXIaに対する自己抗体は、5つの別々の場合において8つの対照血清で測定された。生のOD値は(a)に示されている。キャリブレータ曲線は同時に実行され、これは、対照試料(b)についての値を外挿するために用いられた。
自己抗体アッセイについて可能性のあるキャリブレータ材料としての血清とドレナージ液との比較を示す図である。胸水C3(a)は、同じ患者由来の血清試料18176(b)と比較されている。
自己抗体アッセイについて可能性のあるキャリブレータ材料としての血清とドレナージ液との比較を示す図である。胸水C7(a)は、同じ患者由来の血清試料11828(b)と比較されている。
残差平方和が最小化された、4パラメーターロジスティックキャリブレータ曲線を示す図である。4plプロットは、対数キャリブレータ希釈度に対する光学密度から作成されている。実行1〜12の平均は、灰色実線として示されており、実行13及び14の平均は黒色破線として示されている。誤差バーは、平均の標準偏差を表す。p53についての抗原特異的自己抗体アッセイ。
c−mycについての抗原特異的自己抗体アッセイ。
CAGEについての抗原特異的自己抗体アッセイ。
NY−ESO−1についての抗原特異的自己抗体アッセイ。
GBU4−5についての抗原特異的自己抗体アッセイ。
アネキシン1についての抗原特異的自己抗体アッセイ。
アネキシン2についての抗原特異的自己抗体アッセイ。
異なるアッセイ実行で生じた自己抗体測定値の変動性に対するキャリブレーションの効果を示す図である。血清試料についての結果は、その実行についての抗原特異的キャリブレータ曲線を用いて補正された。白色三角形=キャリブレーションされていない測定値、黒色点=キャリブレーションによって調整された測定値、破線=キャリブレーションされた値の平均±3標準偏差。
異なるアッセイ実行で生じた自己抗体測定値の変動性に対するキャリブレーションの効果を示す図である。血清試料についての結果は、その実行についての抗原特異的キャリブレータ曲線を用いて補正された。白色三角形=キャリブレーションされていない測定値、黒色点=キャリブレーションによって調整された測定値、破線=キャリブレーションされた値の平均±3標準偏差。
異なるアッセイ実行で生じた自己抗体測定値の変動性に対するキャリブレーションの効果を示す図である。血清試料についての結果は、その実行についての抗原特異的キャリブレータ曲線を用いて補正された。白色三角形=キャリブレーションされていない測定値、黒色点=キャリブレーションによって調整された測定値、破線=キャリブレーションされた値の平均±3標準偏差。
異なるアッセイ実行で生じた自己抗体測定値の変動性に対するキャリブレーションの効果を示す図である。血清試料についての結果は、その実行についての抗原特異的キャリブレータ曲線を用いて補正された。白色三角形=キャリブレーションされていない測定値、黒色点=キャリブレーションによって調整された測定値、破線=キャリブレーションされた値の平均±3標準偏差。
異なるアッセイ実行で生じた自己抗体測定値の変動性に対するキャリブレーションの効果を示す図である。血清試料についての結果は、その実行についての抗原特異的キャリブレータ曲線を用いて補正された。白色三角形=キャリブレーションされていない測定値、黒色点=キャリブレーションによって調整された測定値、破線=キャリブレーションされた値の平均±3標準偏差。
キャリブレータシリーズの凍結アリコートの、新鮮に希釈されたキャリブレータシリーズとの比較を示す図である。キャリブレータ胸水C3を、NYESO抗原と反応させておいた。新鮮シリーズ及び凍結シリーズの各ペアは10回、実行された(a)。平均対数/対数プロットは、(b)に示され、誤差バーは標準偏差を表している。
キャリブレータシリーズの凍結アリコートの、新鮮に希釈されたキャリブレータシリーズとの比較を示す図である。キャリブレータ胸水C7を、c−myc抗原と反応させておいた。新鮮シリーズ及び凍結シリーズの各ペアは10回、実行された(a)。平均対数/対数プロットは、(b)に示され、誤差バーは標準偏差を表している。
キャリブレータシリーズの凍結アリコートの、新鮮に希釈されたキャリブレータシリーズとの比較を示す図である。キャリブレータ胸水B3258を、p53抗原と反応させておいた。新鮮シリーズ及び凍結シリーズの各ペアは10回、実行された(a)。平均対数/対数プロットは、(b)に示され、誤差バーは標準偏差を表している。
キャリブレータシリーズの凍結アリコートの、新鮮に希釈されたキャリブレータシリーズとの比較を示す図である。キャリブレータ胸水B3258を、PSA抗原と反応させておいた。新鮮シリーズ及び凍結シリーズの各ペアは10回、実行された(a)。平均対数/対数プロットは、(b)に示され、誤差バーは標準偏差を表している。
キャリブレータシリーズの凍結アリコートの、新鮮に希釈されたキャリブレータシリーズとの比較を示す図である。キャリブレータ胸水B3258を、アネキシン抗原と反応させておいた。新鮮シリーズ及び凍結シリーズの各ペアは10回、実行された(a)。平均対数/対数プロットは、(b)に示され、誤差バーは標準偏差を表している。
キャリブレータシリーズの凍結アリコートの、新鮮に希釈されたキャリブレータシリーズとの比較を示す図である。キャリブレータ胸水B3255を、BRCA2抗原と反応させておいた。新鮮シリーズ及び凍結シリーズの各ペアは10回、実行された(a)。平均対数/対数プロットは、(b)に示され、誤差バーは標準偏差を表している。
キャリブレータシリーズの凍結アリコートの、新鮮に希釈されたキャリブレータシリーズとの比較を示す図である。キャリブレータ胸水C3を、ECD6抗原と反応させておいた。新鮮シリーズ及び凍結シリーズの各ペアは10回、実行された(a)。平均対数/対数プロットは、(b)に示され、誤差バーは標準偏差を表している。
腫瘍関連抗原を有する異なる型の癌をもつ患者由来の液体における自己抗体の反応性を示す図である。
腫瘍関連抗原を有する異なる型の癌をもつ患者由来の液体における自己抗体の反応性を示す図である。
腫瘍関連抗原を有する異なる型の癌をもつ患者由来の液体における自己抗体の反応性を示す図である。
腫瘍関連抗原を有する異なる型の癌をもつ患者由来の液体における自己抗体の反応性を示す図である。
腫瘍関連抗原を有する異なる型の癌をもつ患者由来の液体における自己抗体の反応性を示す図である。
腫瘍関連抗原を有する異なる型の癌をもつ患者由来の液体における自己抗体の反応性を示す図である。
腫瘍関連抗原を有する異なる型の癌をもつ患者由来の液体における自己抗体の反応性を示す図である。
膵臓癌患者由来の胸水の希釈系列の、160nM(a)及び50nM(b)での陰性対照タンパク質、VOLとの反応を示す図である。実験は、5日間の別々の日に5回、繰り返された。
図a及びbの両方において、標準偏差誤差バーと共に、160nMのC−mycに対する腹水B2993の4回の実行の結果を示す図である(図aはこの実験に用いられた対照血清のOD値を示す)。
図a及びbの両方において、標準偏差誤差バーと共に、160nMのECD6に対する腹水B3259の4回の実行の結果を示す図である(図aはこの実験に用いられた対照血清のOD値を示す)。
図a及びbの両方において、標準偏差誤差バーと共に、160nMのECD6に対する腹水B2993の4回の実行の結果を示す図である(図aはこの実験に用いられた対照血清のOD値を示す)。]
[0035] 本発明は、自己抗体、特にヒト自己抗体の検出のためのイムノアッセイをキャリブレーションするための、哺乳動物、特にヒトの体液を含むキャリブレータ材料の使用に関する。]
[0036] 一実施形態において、本明細書に用いられるキャリブレータ材料は、「天然ヒト自己抗体」の供給源としてヒト体液を含んでもよく、「天然ヒト自己抗体」とは、天然の免疫学的過程の結果としてヒト宿主において産生されている自己抗体を意味する。誤解を避けるために言えば、このキャリブレータ材料は、非ヒト抗体、又は実験室技術によって外因的に産生されるいかなるヒト抗体若しくはヒト化抗体、例えば、培養免疫細胞由来のモノクローナル抗体も含まない。]
[0037] キャリブレータ材料は、適切な免疫学的特異性の自己抗体を含有することが知られている任意のヒト又は他の哺乳動物の体液を含み得る、すなわち、キャリブレータは、イムノアッセイで検出されるべき自己抗体が既知の陽性である哺乳動物(例えば、ヒト)体液を含まなければならない。この点において、キャリブレータ液が、イムノアッセイを用いて検出することが望まれる自己抗体に匹敵する免疫学的特異性を示す自己抗体を含むことが、前もって知られているべきである。本発明のキャリブレータ材料の利点は、キャリブレーションすることが意図されるイムノアッセイにおいて試薬として用いられる抗原への結合に関して、ヒト血清に見出される天然自己抗体と実質的に等価の免疫学的特異性の天然ヒト自己抗体をそれが含むことである。]
[0038] 添付の実施例に示されているように、所与のヒト体液試料が、試験抗原を用いる試験アッセイを行うことによって適切な免疫学的特異性の自己抗体を含むかどうかを前もって決定することができる。一実施形態において、この試験アッセイは、イムノアッセイに用いられることが意図されているのと同じ抗原及び検出方法を適切に用いることができる。そのような試験アッセイで試験抗原に対して免疫学的に特異的な自己抗体を含むことが示されている体液は、未知の自己抗体状態の患者試験試料で対応する自己抗体を検出するための同じ試験抗原を用いるその後のイムノアッセイにおいて、キャリブレータ材料として用いるのに適している。このコンテクストにおいて、「試験試料」は、自己抗体の存在について試験されるべき、対象から採取された試料として定義することができ、患者の自己抗体状態が試料の試験前では未知である。]
[0039] 使用前にキャリブレータ材料に存在する自己抗体量の正確な力価を決定することは、特に、キャリブレータ材料の複数の希釈溶液を利用して、1セットのキャリブレーション標準物質を供給する本発明のキャリブレーション方法を用いる場合、一般的には必要ではない。イムノアッセイにおいて未知の抗体状態の患者試験試料を適切に試験する場合、上記セットのキャリブレーション標準物質が、遭遇することが予想される自己抗体力価の通常の範囲を網羅するという条件ならば、上記セットのキャリブレーション標準物質に存在する自己抗体の絶対量は正確に決定される必要はない。これは、希釈されたキャリブレーション試料の範囲を、同時に典型的な患者試験試料と比較して、試験することによって、経験的に決定することができる。]
[0040] キャリブレータ材料は、単に、ヒト身体から単離されているという形をとるヒト体液からなってもよいし(例えば、「混ぜものがない」胸水又は腹水)、又は体液が、他の成分と混合され、若しくはそれで希釈されて、使用前にキャリブレータ材料を形成してもよい。典型的には、適切な緩衝液中の液体の希釈系列が調製されて、1セットのキャリブレーション標準物質を供給する。キャリブレーション標準物質の調製に適した希釈緩衝液として、例えば、PBS+0.5MのNaCl+0.1%のカゼイン+0.1%のツイーン20(Tween 20)(実施例においてはHSBTと呼ばれている)又は1%のBSAを含むPBSの高塩濃度緩衝液が挙げられる。したがって、本発明は、これらの希釈緩衝液の1つと混合された、本明細書に記載された型の哺乳動物(例えば、ヒト)体液からなるキャリブレータ材料の使用を企図する。特に有用なキャリブレータは、HSBTと混合された、1人又は複数のヒト癌患者から得ることができるヒト胸水又はヒト腹水からなる。或いは、正常な血清を、キャリブレータ希釈液として用いることができる。体液を濃縮し、又は抗体を(半)精製し、その後、この材料を希釈してキャリブレーション標準物質を供給することも企図される。追加の成分を、例えば、長期保存中の安定性を向上させるために、キャリブレータ材料に加えてもよい。]
[0041] 適切な希釈緩衝液に希釈されたキャリブレータ材料の試料については、使用前に、アリコートに分配し、保存してもよい。便利には、すぐに希釈できるキャリブレータ材料のアリコートを−20℃又は−80℃で凍結保存し、使用前に解凍してもよい。本発明者らは、胸水及び腹水が−20℃での保存に安定であり、自己抗体反応性の損失なしに長期間、凍結保存することができることを示している。長期間凍結保存前にキャリブレーション標準物質をあらかじめ希釈すること及び等分することは、便利であり、再現性の誤差及び多数の凍結解凍サイクルを回避する。]
[0042] イムノアッセイのためのキャリブレータとして既知の陽性試料の使用は、抗原の検出のためのイムノアッセイの分野においてごく日常的な慣行である。しかしながら、アッセイの標的が抗原よりむしろ抗体である場合、適切な特異性の抗体を含む既知の陽性試料である適したキャリブレータ材料を供給することは困難である。本発明は、適切な特異性の抗体を含むことが前もって知られている体液を含むキャリブレータ材料の使用によってこの問題に取り組む。]
[0043] 一般的に、キャリブレータ材料の主成分として、全血、血漿、又は血清などの「血液産物」である体液又は「血液産物」を含む体液を用いないことが好ましい。代わりとして、キャリブレータ材料は、ドレナージ液、滲出液、又は漏出液である体液を含んでもよく、それらには、疾患中、又は疾患の結果として産生されたそのような材料が挙げられる。非限定的な実施形態において、体液は、胸水、腹水、水管系、創部ドレナージ液、炎症性又は非炎症性滑液、漿液腫、乳頭吸引液、心嚢貯留液、胆汁、膵臓分泌物などから選択することができる。液体は、ヒト対象から、又は例えば、イヌ及び非ヒト霊長類を含む非ヒト哺乳動物対象から得てもよい。]
[0044] 特定の実施形態において、キャリブレータ材料は、腫瘍が存在する、若しくは存在していた、又は腫瘍が関連している、若しくは関連していた体腔又は体空間から単離された体液を含んでもよい。このことにおいて、用語「体腔又は体空間」とは、それが自然の腔であろうと、崩壊した腔又は以前の腔を含む疾患又は医学的介入の結果として生じた空間又は腔であろうと、任意の体腔又は体空間を含む。液体は、腫瘍が存在する、若しくは存在していた、又は腫瘍が関連している、若しくは関連していたそのような腔又は空間に由来する。好ましくは、「体腔由来の体液」は、腫瘍によって誘導された体液であり、それは、疾患過程中、例えば、腫瘍細胞に応答して、又は腫瘍細胞の存在の結果として、産生される体液を意味する。この関連において、例示的な「体腔」液は、腹水、胸水、漿液腫、水管系、及び創部ドレナージ液である。]
[0045] 誤解を避けるために言えば、「体腔又は体空間由来の体液」は、全血、血清、又は血漿などの体循環由来の血液産物を含まない。]
[0046] 胸水及び腹水は、それらが典型的には大容量で得られ、かつ治療ストラテジーの一部として患者から除去されるため、本発明に従って用いるキャリブレータ材料の特に有用な供給源である。この液体は、キャリブレータ材料の貴重な供給源であり、さもなければ、廃棄されるであろう。上記で概要を示したように、胸水及び腹水などのヒト「体腔」液は、これらの液体が、抗原への結合の免疫学的特異性及びまた抗体アイソタイプの両方に関して、ヒト血清に存在するものに匹敵する自己抗体を含むため、ヒト血清における自己抗体の検出のためのイムノアッセイについての適切なキャリブレータ材料であることを本発明者らは実証している。その後者の抗体アイソタイプは、キャリブレータ材料中の自己抗体と患者血清試験試料に存在する等価の抗原結合特異性の自己抗体について同じ検出系を用いることを可能にするため、重要である。]
[0047] キャリブレータ材料は、1人又は複数の癌患者から収集された体液、より具体的には、胸水又は腹水などの「体腔」液を含んでもよい。このコンテクストにおいて、用語「癌患者」として、限定されるわけではないが、結腸癌、卵巣癌、肺癌、肝臓癌、膵臓癌、食道癌、胃癌、腎臓癌、膀胱癌、子宮内膜癌、リンパ腫及び白血病、又は乳癌を含む癌を有すると前に診断された個体が挙げられる。液体については、単一の患者から採取してもよいし、2人以上の患者から得られた液体を一緒にプールしてもよい。液体試料については、同じ型の又は異なる型の癌の同じステージ又は異なるステージを有する2人以上の患者からプールしてもよい。単一又は複数の癌患者由来の異なる型の体液をプールすることも企図される。]
[0048] 特定の型の癌を有する癌患者(複数可)から採取された体液から調製されたキャリブレータ材料は、他の個体における同じ型の癌又は異なる型の癌の診断を助けるために用いることができる。添付の実施例に示されているように、腫瘍マーカータンパク質に特異的な天然ヒト自己抗体は、結腸癌、卵巣癌、肺癌、肝臓癌、膵臓癌、及び乳癌を有する患者から採取された胸水に存在する。必要とされる免疫学的特異性の自己抗体の存在が試験アッセイを用いて、いったん確立されたならば、そのような液体は、他の型の癌を有する患者由来の試験試料における等価の免疫学的特異性の自己抗体について試験するイムノアッセイをキャリブレーションするために用いることができ、例えば、乳癌血清における自己抗体についてのイムノアッセイは、結腸癌、卵巣癌、肺癌、肝臓癌、又は膵臓癌を有する患者(複数可)由来の胸水(及び他の体腔液)を含むキャリブレータ材料を用いてキャリブレーションすることができる。]
[0049] 一実施形態において、癌と診断された患者から調製されたキャリブレータ材料のストックを、同じ患者又は異なる患者の免疫状態を評価するために、例えば、疾患進行をモニターするために、及び/又はその患者における抗癌処置の経過の有効性を評価するために、後日、実施されるイムノアッセイをキャリブレーションするために用いてもよい。]
[0050] 使用において、本発明のキャリブレータ材料は、公知の方法に従って行われる自己抗体の検出のためのイムノアッセイをキャリブレーションするために用いることができる。典型的には、イムノアッセイは、直接ELISA、サンドイッチELISA、又は競合ELISAの形をとることができるが、他のアッセイ方法もまた、本発明の範囲内である。ヒト抗腫瘍マーカー自己抗体の検出のためのイムノアッセイの一般的な特徴は、国際公開第99/58978号パンフレット及び国際公開第2006/126008号パンフレットに記載されており、それらの内容は参照により全体として本明細書に組み入れられている。本発明により提供されるキャリブレータ材料は、国際公開第99/58978号パンフレット及び国際公開第2006/126008号パンフレットに記載されたアッセイをキャリブレーションするために用いることができる。]
[0051] 本明細書に記載されたキャリブレータ材料、及びこのキャリブレータ材料を含む複数のセットのキャリブレーション標準物質は、疾患状態又は疾患感受性のマーカーとしての役割を果たす任意の型の自己抗体についてのイムノアッセイをキャリブレーションするために用いることができ、問題のその疾患は、疾患マーカーとしての役割を果たす自己抗体に匹敵する免疫学的特異性の自己抗体を含む、本明細書に記載された型の体液の形成を生じる/誘導する可能性がある。]
[0052] 自己抗体を含む体液の産生と典型的に関連している疾患の例として、本明細書に列挙された型の癌が挙げられる。上記で説明したように、癌患者から得られる体液、特に、胸水、腹水、水管系、漿液腫、創傷部ドレナージ液などの「体腔液」は、腫瘍マーカーに特異的な自己抗体を含む陽性キャリブレータ材料の有用な供給源を提供する。したがって、このキャリブレータ材料は、患者試験試料(例えば、未知の自己抗体状態の患者血清試料)における癌又は早期新生物性疾患の検出のためのイムノアッセイをキャリブレーションするために用いることができる。(患者試験試料における抗腫瘍マーカー自己抗体の検出のための)そのようなアッセイは、国際公開第99/58978号パンフレット及び国際公開第2006/126008号パンフレットに記載された方法又はそれらの改変方法を用いて行うことができる。]
[0053] しかしながら、本発明が、癌由来液体の使用に限定されないし、それどころか、腫瘍マーカーに対する自己抗体の検出についても、これが重要な実施形態であるとはいえ、それに限定されないことが理解されるべきである。疾患に特有の自己抗体を含む体液(血清、全血、又は血漿以外)の産生に関連した別の群の疾患は、良性自己免疫疾患である。したがって、本発明は、自己免疫疾患のマーカーである自己抗体の検出のためのイムノアッセイについてのキャリブレータ材料として、良性自己免疫疾患を有する哺乳動物(例えば、ヒト)の対象から得られた体液の使用を企図する。そのような自己免疫疾患の例として、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、自己免疫性甲状腺炎(例えば、橋本甲状腺炎)、自己免疫性胃炎(例えば、悪性貧血)、自己免疫性副腎炎(例えば、アジソン病)、自己免疫性副甲状腺機能低下症、自己免疫性糖尿病(例えば、1型糖尿病)、又は重症筋無力症が挙げられる。]
[0054] 関節リウマチの場合、キャリブレータ材料は、疾患過程に関連した滲出液、典型的には、RAを有する患者の膝から単離された炎症性滑液などの関節に蓄積する液体を含んでもよく、又はその液体からなってもよい。]
[0055] 全身性エリテマトーデス(SLE)の場合、キャリブレータ材料は、SLEを有する患者から得られた腹水を含んでもよく、又はその腹水からなってもよい(Lacconiら、Internet Journal of Radiology、ISSN:1528〜8404参照)。このことについて、全ての腹水(又は実際のところ、胸水などの他の体腔液)が腫瘍の存在と関連しているわけではないことに留意すべきである。]
[0056] 胆汁性肝硬変の場合、キャリブレータ材料は、胆汁性肝硬変患者から得られた腹水を含んでもよく、又はその腹水からなってもよい。]
[0057] イムノアッセイ、例えば、ELISA、ラジオイムノアッセイなどの一般的な特徴は、当業者によく知られている(Immunoassay、E.Diamandis及びT.Christopoulus、Academic Press,Inc.、San Diego、CA、1996参照、その内容は、参照により本明細書に組み入れられている)。特定の免疫学的特異性を有する抗体(例えば、腫瘍マーカータンパク質などの所与の抗原との免疫学的反応性を有する自己抗体)の検出のためのイムノアッセイは、一般的に、試験中の抗体と特異的な免疫学的反応性を示す抗原を含む試薬の使用を必要とする。アッセイの形式によっては、この試薬を固体支持体に固定化してもよい。抗体の存在について試験される試験試料を、試薬と接触させ、必要とされる免疫学的反応性の抗体が試験試料に存在する場合には、それらは、試薬と免疫学的に反応して、自己抗体−試薬の複合体を形成し、その後、その複合体を検出することができ、又は定量的に測定することができる。そのようなイムノアッセイは、典型的には、試験試料において(自己)抗体を検出するために用いられる同じ試薬を用いるが、試験試料を1つ又は複数のキャリブレーション標準物質と置換している同時アッセイを行うことによってキャリブレーションされ、そのキャリブレーション標準物質は、適切な免疫学的特異性の(自己)抗体を含有することが知られているキャリブレータ材料の試料である。]
[0058] 本発明のキャリブレータ材料を用いる好ましいキャリブレーション方法は、1セットのキャリブレーション標準物質、典型的には、本発明のキャリブレータ材料の段階希釈溶液を利用し、その1セットのキャリブレーション標準物質を、1つ又は複数の既知の濃度の抗原に対して試験する。典型的な「サンドイッチ」ELISAにおいて、試験中の自己抗体に対する特異性を有する抗原を、固体表面(例えば、標準マイクロタイターアッセイプレートのウェル、又はマイクロビーズの表面)に固定化し、キャリブレータの試料(又は自己抗体の存在について試験されるべき試験試料)を固定化抗原に接触させる。キャリブレータ材料に存在する望ましい特異性の自己抗体は、固定化抗原に結合するだろう。その後、結合した自己抗体/抗原複合体を、任意の適切な方法を用いて検出してもよい。]
[0059] したがって、本発明は、自己抗体の検出のためのイムノアッセイをキャリブレーションする方法であって、
(a)ヒト又は他の哺乳動物の体液を含むキャリブレータ材料の複数の異なる希釈溶液のそれぞれを、自己抗体に(免疫学的に)特異的な抗原に接触させるステップであり、上記ヒト体液が抗原に免疫学的に特異的な自己抗体を含有することが知られている、ステップと、
(b)キャリブレータ材料に存在する上記抗原自己抗体間の(免疫学的に)特異的結合の量を検出するステップと、
(c)ステップ(a)に用いられるキャリブレータ材料の各希釈溶液について、キャリブレータ材料の希釈度に対する上記特異的結合の量の曲線をプロット又は計算し、それによって、上記自己抗体の検出のための上記抗原を用いるイムノアッセイをキャリブレーションするステップと
を含む、方法を提供する。]
[0060] ステップ(b)において特異的結合を検出するのに用いられる正確な方法は、本発明にとって限定的ではない。一実施形態において、1つ又は複数のクラスのヒト免疫グロブリンに共通のエピトープを特異的に認識する標識二次抗ヒト免疫グロブリン抗体が、自己抗体/抗原複合体を検出するために用いられる。典型的には、二次抗体は、抗IgG又は抗IgMであろう。二次抗体は、通常、検出可能なマーカー、典型的には、例えば、ペルオキシダーゼ又はアルカリフォスファターゼなどの酵素マーカーで標識され、検出可能な生成物、例えば、有色生成物、化学発光生成物、又は蛍光生成物を生じる、酵素の基質の添加によって定量的検出を可能にする。当技術分野において知られた他の型の検出可能な標識を、同等の効果で用いることができる。]
[0061] ステップ(a)に用いられる抗原の濃度は、広範囲の自己抗体測定値についてキャリブレーションを提供するために、ステップ(b)で得られた結合測定値に関して幅広いダイナミックレンジを与えるように選択される。これは、定義からしてポリクローナルであり、かつ抗原/自己抗体結合の強さ及び存在する自己抗体の絶対量に関して患者間変動を示す、抗腫瘍マーカー自己抗体の検出のためのイムノアッセイについて、特に重要な考慮すべき事項である。用いられる抗原の濃度は、典型的には、20nMより高く、より具体的には、20nM〜180nMの範囲、又は50nM〜160nMの範囲であろう。]
[0062] パート(c)において幅広いキャリブレーション曲線を作成するのに必要とされるくらいの数のキャリブレータ材料希釈溶液を試験してもよい。典型的には、キャリブレータ材料の少なくとも6つの別々の希釈溶液を、用いられる各抗原濃度で試験するが、この数は限定することを意図するものではない。]
[0063] 本明細書に記載されたキャリブレータ材料の好ましい使用は、ヒト腫瘍マーカーに免疫学的に特異的な天然ヒト自己抗体の検出のためのイムノアッセイ用のキャリブレータとしてであり、これらの自己抗体は典型的には癌関連である。]
[0064] 患者における癌の発生及び進行は、一般的に、患者の体液におけるマーカーの存在と関連していることが見出されており、これらの「腫瘍マーカー」は、癌の生物学の様々な面を反映している(Fateh−Maghadam,A.及びSteilber,P.(1983) Sensible use of tumour markers。VerlagGMBH出版、ISBN 3−926725−07−9;Harrisら、J Clin Oncol.、25:5287〜5312、2007;Voorzanger−Rousselot及びGarnero、Cancer Treatment Reviews、31:230〜283、2007参照)。腫瘍マーカーは、「正常」細胞によって発現した野生型タンパク質の変性型であることを見出されることが多く、その場合、変性は、一次アミノ酸配列の変化、二次、三次、若しくは四次構造の変化、又は翻訳後修飾の変化、例えば、異常なグリコシル化であり得る。加えて、腫瘍細胞において、おそらく遺伝子増幅又は異常な転写制御の結果として、上方制御され、又は過剰発現する野生型タンパク質もまた、腫瘍マーカーであり得る。]
[0065] 「正常」細胞によって発現した野生型タンパク質と対応する腫瘍マーカータンパク質との違いは、場合によっては、腫瘍マーカータンパク質が個体の免疫系によって「非自己」と認識され、したがって、その個体において免疫応答を誘発するということを引き起こす可能性がある。これは、腫瘍マーカータンパク質に免疫学的に特異的な自己抗体の産生をもたらす体液性(すなわち、B細胞媒介性)免疫応答である可能性がある。自己抗体は、その抗原が実際、個体に由来しているにもかかわらず、個体の免疫系が外来と認識する抗原に方向付けられた天然の抗体である。それらは、循環する遊離自己抗体として循環血液中に存在する場合もあるし、それらの標的腫瘍マーカータンパク質に結合した自己抗体からなる循環する免疫複合体の形をとる場合もある。]
[0066] 用語「癌関連」抗腫瘍マーカー自己抗体は、癌疾患状態に特有であり、かつ癌疾患状態に優先的に発現する腫瘍マーカータンパク質の型に存在するエピトープに対して方向付けられた自己抗体を指す。]
[0067] 典型的には、抗腫瘍マーカー自己抗体を検出するために用いられる腫瘍マーカー抗原は、(細菌、昆虫、酵母、又は哺乳動物細胞で発現した)組換え腫瘍マーカータンパク質又は化学合成された腫瘍マーカー抗原を含み、それらは、実質的に腫瘍マーカータンパク質全体、又は短いペプチド抗原などのそれらの断片を含んでもよい。抗腫瘍自己抗体の検出のためのイムノアッセイ試薬の主成分として用いる腫瘍関連タンパク質の他の有望な供給源として、培養腫瘍細胞(及びそれらの増殖に用いられた使用済培地)、腫瘍組織、及び新生物を有する個体由来の血清、又は(国際公開第2004/044590号パンフレットに記載されているような)1人若しくは複数の癌患者由来の他の体液が挙げられる。]
[0068] 本明細書に記載されたキャリブレータ材料は、そのようなアッセイに用いられる抗原の性質を問わず、異なる腫瘍マーカーに対する広範囲の抗腫瘍マーカー自己抗体の検出のためのイムノアッセイをキャリブレーションするために用いることができる。本発明に用いられるキャリブレータ材料(及び特に、1人又は複数の癌患者由来の胸水又は腹水を含むキャリブレータ材料)の重要な特徴は、それが、抗原結合特異性に関して癌患者試験試料(例えば、癌患者血清)に存在するものによく似ている自己抗体を含むことである。このキャリブレータ材料は、組換え腫瘍マーカー抗原、合成ペプチド腫瘍マーカー抗原、又は精製腫瘍マーカー天然抗原と共に用いてもよい。]
[0069] 本発明は、イムノアッセイの標的に関して、すなわち、検出することが意図される標的自己抗体の特異性に関して、限定されることを意図するものではない。本明細書に記載されたキャリブレータ材料は、キャリブレータ材料自体に存在する任意の自己抗体についてのイムノアッセイをキャリブレーションするために用いることができる。単一のキャリブレータ材料は、異なる免疫学的特異性のいくつかの異なる自己抗体を含む場合があるので、その同じ材料を、いくつかの異なるアッセイをキャリブレーションするために用いてもよい。例として、ヒト胸水の試料は、p53、c−myc、ECD−6(HER2/neu細胞外断片)、NY−ESO1、BRCA2、PSA、及びアネキシンX1−Aを含む一連の腫瘍マーカーに対する自己抗体を含むことが最新の例で示されている。]
[0070] 最後の態様において、本発明は、例えば、ヒスチジンタグ又はビオチンタグなどの「タグ付き」タンパク質のペプチドタグ成分に免疫学的に特異的な天然自己抗体のキャリブレータ材料における存在による、マイクロタイタープレートのウェルなどの固体表面に結合したタグ付きタンパク質の量を定量化するために用いることができるキャリブレータ材料を提供する。本発明者らは、癌患者から単離された胸水の特定の試料が、組換え腫瘍マーカー抗原に付着したヒスチジンタグ及び/又はビオチンタグに免疫学的に特異的な抗体を含むことを観察した。したがって、これらの胸水は、標識抗ヒト二次抗体と組み合わせて、タグに特異的な天然ヒト抗体を利用するヒスチジンタグ及び/又はビオチンタグを有する組換えタンパク質についての一般的な定量的ELISAを提供するために用いることができる。この方法は、抗腫瘍マーカー自己抗体についてのイムノアッセイの全体的なコンテクストにおいて、固体支持体に結合したタグ付き抗原を定量化するためのマウスモノクローナル抗体の使用に優る特定の利点を提供し、その根拠とは、それが、腫瘍マーカー抗原自体に特異的な天然ヒト自己抗体を測定するために用いられるのと同じレポーター系を用いることである。したがって、単一のアッセイプレート内において、抗原のヒスチジンタグ又はビオチンタグ部分に対する天然自己抗体を含むキャリブレータ材料を用いて、プレートに結合したタグ付き組換え腫瘍マーカー抗原の量を定量化するアッセイを実行し、同時に、天然抗腫瘍マーカー自己抗体への同じタグ付き組換え抗原の結合について、1セットのキャリブレーション標準物質を実行し、両方のアッセイについて同じレポーター系を用いることができる。]
[0071] それゆえに、さらなる態様において、本発明は、固体表面に結合したタンパク質の量を定量化する方法であって、上記タンパク質がタグを含み、
上記タンパク質の存在について試験されるべき固体表面を、ヒト体液を含む試薬材料に接触させるステップであり、上記体液が、タグに免疫学的に特異的な天然ヒト抗体を含有することが知られている、ステップと、
天然ヒト抗体とタグの間の特異的結合の量を測定し、それによって、表面に存在する上記タンパク質の量を定量化するステップと
を含む、方法を提供する。]
[0072] このコンテクストにおいて、用語「タグ」は、タンパク質のいかなる自然に発現した形においても存在しない、タンパク質に付着した化学的部分を指す。タグはポリペプチドであり得、その場合、タグは、そのタンパク質のいかなる自然に発現した形のアミノ酸配列とも隣接していないアミノ酸の配列からなる。]
[0073] 固体表面の定量化されるべきタンパク質は、典型的には、組換え発現されたタンパク質である。組換え発現されるタンパク質に一般的に付けられるタグの例として、ビオチンタグ及びヒスチジンタグが挙げられる。下記の実施例に示されているように、ヒト集団の約10%は、ビオチンに免疫学的に特異的である天然ヒト抗体を含む。ヒスチジンタグに特異的な天然抗体を有するヒト個体もまた、正常ヒト集団内で同定することができる。]
[0074] 本発明に従って得られたキャリブレーション曲線データの統計学的及び数学的解析として、4パラメーターロジスティックプロットを挙げることができるが、それに限定される必要はないことは、理解されているであろう。]
[0075] 本発明は、以下の実験例を参照してさらに理解されるであろう。
本明細書に具体的に引用された全ての科学的刊行物及び特許刊行物は、参照により全体として本明細書に組み入れられることになっている。]
[0076] 材料及び方法
キャリブレータ材料の調製
標準プロトコールを用いてインフォームドコンセントの下、癌患者から胸水及び腹水を収集した。典型的には、局所麻酔下での胸腔又は腹腔へのドレーンの挿入によって液体を収集した。ドレーンは、地域プロトコール及び処置を行う医師の経験に応じて、画像誘導制御(例えば、超音波)を用いて挿入してもよいし、それを用いないで挿入してもよい。
i)胸水は、胸水のドレナージについての標準様式で滅菌胸部ドレーン容器へ収集されるべきである。
ii)腹水は、腹水のドレナージについての標準様式で腹腔ドレーンによって滅菌ドレナージバッグへ収集されるべきである。]
[0077] 液体がバッグ/容器へ排出している間、そのバッグ/容器に化学物質を加える必要はない。]
[0078] バッグ/容器は、いっぱいになった時か又は毎日かの、いずれか早い方の時点で回収されるべきである。]
[0079] クラスIIフードにおいて、1リットルの液体を、滅菌25mlピペットを用いて20×50ml滅菌チューブへ移し、400gで5分間、遠心分離した。]
[0080] 上清を2つの滅菌500ml組織培養フラスコへ注ぎ、アジ化ナトリウムを0.01%まで加えた(1mlの上清に対して1μlの10%ストック)。アプロチニン(プロテアーゼ阻害剤)を1μg/mlまで加えた(10mlの上清に対してPBS中10mg/mlアプロチニンのストックの1μl)。その後、上清を、非滅菌50mlチューブへ注ぎ、−20℃で保存した。]
[0081] 試薬のリスト:
RTで保存されたアジ化ナトリウムのストック
アプロチニン=Calbiochem 616370
−20℃で50μlのアリコートとして保存されたアプロチニンのストック
PBS=リン酸緩衝食塩水]
[0082] 自己抗体についての標準イムノアッセイ
一般的なイムノアッセイ方法は、組換え腫瘍マーカー抗原を用いて本明細書で例示されているが、同じアッセイプロトコールを、他の(自己)抗原と用いるのに適応させ得ることは理解されているであろう。]
[0083] 腫瘍マーカー抗原の試料を、国際公開第99/58978号パンフレットに記載されたものと類似した方法に従って、組換え発現によって調製した。]
[0084] 簡単には、発現したタンパク質の精製を助けるためにビオチンタグ及び6×ヒスチジンタグをコードするように改変されているpET21ベクター(Invitrogen)へ、対象となるマーカー抗原をコードするcDNAをクローン化した。生じたクローンを適切な細菌宿主細胞で(封入体において)増殖させ、細菌を溶解し、変性させ、発現した抗原をニッケルキレートアフィニティーカラム(ハイトラップ(Hi−trap);Amershamから市販されている。製造会社のプロトコールに従う)によって回収した。発現した抗原を適切な緩衝液中での透析によって復元し、保存前に、発現したタンパク質の収量を、SDS−PAGE、ウェスタンブロット、及びELISAによって評価し、定量化した。]
[0085] 陰性対照VOLは、Hisタグ配列及びビオチンタグ配列をなお含んでいる空のベクター(すなわち、クローン化されたcDNAがない)である。]
[0086] いくつかのマーカーcDNAについてのGenBankアクセッション番号は以下の通りである:
P53:B003596
c−myc:V00568
ECD6(HER2)細胞外ドメイン:M11730
NY−ESO:NM_001327
BRCA2:U43746
BRCA1δ9−10:NM_007302
アネキシンX1−A:NM_145868
PSA:NM_001648
CAGE:NM_182699 XM_291343
GBU4−5:NM_001110822 XM_001713629 XM_001713630 XM_001713631
アネキシン1:NM_000700
アネキシン2:NM_004039]
[0087] 1.抗原及びVOL(陰性対照)を、0.1Mの炭酸緩衝液中に適切な濃度に希釈した。抗原希釈溶液を、電子マルチチャンネルピペットを用いてプレートレイアウトに従い、Falconマイクロタイタープレートの列へ50μl/ウェルで分配した。プレートをカバーし、4℃で48時間、保存した。]
[0088] 2.プレートを、自動プレート洗浄機を用いてPBS+0.1%のツイーン20中で1回洗浄し、その後、ティッシュペーパー上で軽くたたいて乾燥させた。]
[0089] 3.プレートを、200μl/ウェルの高塩濃度インキュベーション緩衝液(HSBT、PBS+0.5MのNaCl+0.1%のカゼイン+0.1%のツイーン(商標)20)で1時間、又は使用が求められるまで(4℃でカバーした状態で保存)、ブロッキングした。]
[0090] 4.患者体液の試験試料及びキャリブレータ材料を、室温でHSBT中に必要に応じて希釈した。]
[0091] 5.プレートを空にし、ティッシュペーパー上で軽くたたいて乾燥させた。各希釈試験試料(又はキャリブレータ材料)を、電子マルチチャンネルピペットを用いてマイクロタイタープレートの全ウェルへ50μl/ウェルで分配した。プレートをカバーし、振盪しながら室温で1.5時間、インキュベートした。]
[0092] 6.洗浄ステップ:プレートを、自動プレート洗浄機を用いてPBS+0.1%のツイーン20中で3回洗浄し、その後、ティッシュペーパー上で軽くたたいて乾燥させた。]
[0093] 7.西洋ワサビペルオキシダーゼ結合ウサギ抗ヒトIgG&M(Jackson、HSBT中1/10,000)又はウサギ抗ヒトIgG(Dako、HSBT中1/5000)を、マイクロタイタープレートの全ウェルへ50μl/ウェルで分配した。HRP結合ウサギ抗マウスIg(HSBT中1/1000)を、マウスモノクローナル抗体を用いるアッセイに用いた。その後、プレートを振盪しながら、室温で1時間、インキュベートした。]
[0094] 8.プレートを、ステップ6のように洗浄した。]
[0095] 9.あらかじめ調製したTMB基質を50μ/ウェルで加え、プレートを実験台上で1分間、インキュベートした。プレートを優しく軽くたたき、混合した。]
[0096] 10.ウェルの光学密度を、標準プレートリーダープロトコールを用いて650nmで測定した。]
[0097] 実施例1(比較):キャリブレータとしてのモノクローナル抗体
モノクローナル抗体を、自己抗体アッセイにおける有望なキャリブレータ材料として調べた(データ示さず)。再現性のある希釈応答を発生させることができたが、これらは、キャリブレータ曲線として用いることができなかった。モノクローナル抗体は起源がマウスであり、それゆえに、血清中のヒト自己抗体を検出するために用いられるものと異なる二次抗体レポーター系を必要としたため、これは非効率的なキャリブレーション系であったと考えられた。したがって、このアプローチに関して、事実上、2つの異なる測定系を用いており、二次抗体系による日差変動を、マウスモノクローナル系によって検出することができず、又はキャリブレーションすることができない。加えて、モノクローナル応答は、非常に特異的であるので、ヒト自己抗体によって示されるポリクローナル応答を効果的には模倣することができない。これは、全身性エリテマトーデス及び関節リウマチなどの良性自己免疫疾患においてキャリブレータ材料としてモノクローナル抗体が用いられない理由を説明し得る。]
[0098] モノクローナル抗体は、可能なキャリブレータ材料として考慮に入れられていなかったため、本発明者らは、上記で概要を示した理由によって、キャリブレータ材料の可能な供給源としてヒト胸水及び腹水を調べることを選択した。]
[0099] 実施例2:ヒト液体における自己抗体の抗原特異性の実証
患者液体を、100分の1の希釈(HSBT中)での標準自己抗体アッセイにおいてスクリーニングし、選択された抗原に対する自己抗体を含むものを決定した(表1)。図1a及び1bは、2つの異なる胸水における自己抗体の2つの異なる抗原への結合の、溶液中でのその抗原とのそれらのプレインキュベーションによる阻害の例を示す。このように、本発明者らは、選択された抗原が、その特定の腫瘍関連抗原に特異的である自己抗体を測定することを示している。] 図1a
[0100] 胸水における自己抗体の腫瘍関連抗原に対する特異性の追加の実証として、自己抗体アッセイにおいて捕獲剤として用いた組換え抗原についてウェスタンブロットを行った。これらは、文献に記載された標準方法に従って実行され、キャリブレータとして選択した胸水を用いて探索した。結果は図2に見ることができ、図2において、特定の抗原に対する各液体の特異性は、抗体の抗原への結合に対応する正しいサイズの強いバンドによって示されており、夾雑物質のバンドへの結合の証拠はほとんど又は全くなかった。図3において、血清を用いて、同様のウェスタンブロットを探索し、この場合、組換え抗原の全部に存在する細菌夾雑物への強い結合を見ることができる。本発明者らは、試験された血清試料の7/67(90%)が細菌タンパク質に対する抗体を含むが、ウェスタンブロッティングによってスクリーニングした54の胸水については、4つ(7%)だけがそのような結合のいくらかの証拠を示したことを観察している。] 図3
[0101] 患者が転移性癌を有し、それゆえに、おそらく癌はしばらくの間、存在していたという事実にもかかわらず、一部の液体試料は、限られた数の抗原に対する自己抗体しか有していなかったことが示された(表1)。]
[0102] ]
[0103] 表1:7種の異なる腫瘍関連抗原に対する自己抗体についての胸水のスクリーニング。測定された自己抗体のレベルは裁量により、低、中間、又は高と名付けた。]
[0104] 良性自己免疫疾患において、自己抗原は、通常、各特定の障害についてはるかに限定されている。この点において、本発明者らによって報告された癌患者における体液に関するデータは異なっている。異なる癌患者における異なる自己抗体の存在は、多重自己抗体試験についての全体的なキャリブレーション系を開発することをよりずっと困難かつ複雑にさせている。これらの液体のスクリーニング後、抗原に対して陽性のものを、アッセイのキャリブレータとしての最善の使用についてさらに調べた。]
[0105] 実施例3:抗原及びVOLの滴定並びに液体の滴定
キャリブレーション系として患者液体を用いることの可能性を、最初、二重滴定系を用いて調べ、その二重滴定においては、アッセイプレートを、抗原及びVOLの両方の滴定に関してコーティングした(表2a参照)。最低48時間、抗原及びVOLをプレートに吸着するようにしておき、この時間の後、プレートを洗浄し、カゼイン(0.1%w/v)、NaCl(0.5M)、及びツイーン20(0.1%w/v)を含むPBSで90分間、ブロッキングした。ブロッキングインキュベーションの間、1セットの患者液体キャリブレータ滴定物(HSBT中)をチューブ内に調製した。ブロッキング緩衝液の除去後、これらを、表2bに示されているように空のプレートに加え、90分間、インキュベートした。アッセイの残りは、材料及び方法に記載したように行った。]
[0106] ]
[0107] ]
[0108] 表2:液体及び抗原が両方ともプレート全体にわたって滴定される方法2キャリブレーションのプレート及びアッセイレイアウト。表中、A:抗原及びV:VOL(陰性対照タンパク質)。]
[0109] この方法によってデータを分析することにより、大量のデータが生じたが、その全部がキャリブレーション系の関数に適用可能とは限らない。図4は、キャリブレータ材料として胸水を用いるこのアッセイ形式によって生じた結果の例である。] 図4
[0110] この方法を用いることによって、患者の液体は異なる液体及び/又は抗原希釈溶液における有効な滴定曲線を作成できることが実証された。この方法は、大量のデータを生じたが、アッセイキャリブレータとしてそのような液体の使用を最適化してはいないようであった。図5で明らかに示されているように、液体の低濃度抗原への結合は、低いシグナル及び狭いダイナミックレンジのため、キャリブレーションにおいて有用ではない。しかしながら、160nM及び50nMなどの抗原の静的高濃度において、患者液体の抗原への結合に由来するOD値の幅広いダイナミックレンジがある、すなわち、それが広範な自己抗体測定値のキャリブレーションのための範囲を生み出している。]
[0111] この結果は、キャリブレータ方法3へと導き、方法3においては、本発明者らは、この観察を利用して、プレートを静的濃度の抗原でコーティングし、患者液体をキャリブレータとして滴定した。]
[0112] 実施例4:静的濃度における抗原及びVOL並びに液体の滴定
本発明者らは、この方法が、容易に、再現性良く作成でき、かつ効率的に解析できるレベルまで、収集されることになっているデータ量を低減したため、自己抗体アッセイに関して最も有用なデータセットを生じることを見出した。キャリブレーション実行1回あたりの、アッセイすることになるウェルの量を低減することによって、キャリブレータ曲線と同じプレート上で同時に対照試料を実行することも可能になった。160nM及び50nMにおける血清自己抗体測定値が最も有用な情報を与えること、並びにこれらの2つの抗原濃度に対して測定されたキャリブレーション曲線がキャリブレーションのための最も大きいダイナミックレンジを提供することもまた実証されている。したがって、この方法を複数の設定で調べることに決定した。]
[0113] 最初の実験については、7つの異なる抗原に対する患者液体の再現性を決定するために行った。これらのアッセイを、160nM及び50nMでの抗原でコーティングしたプレート上で行った。抗原を最低48時間、プレートに吸着するようにしておき、この時間の後、プレートを洗浄し、HSBTで90分間、ブロッキングした。ブロッキングインキュベーションの間、1セットの複数の患者液体キャリブレータ滴定物をチューブ内に調製した。ブロッキング緩衝液の除去後、これらを、空のプレートに加え、90分間、インキュベートした。アッセイの残りは、材料及び方法に記載したように行った。]
[0114] 各プレートに、1:2から始める2倍希釈範囲を下方へとキャリブレータ液体を二連でアプライした。このアッセイを10の場合について行い、シグナルの再現性を決定した。図5における結果は、10回の実行から作成した曲線の平均形の代表的グラフを示す。アッセイ間変動は、10回の実行の平均に伴う標準偏差の形をとって示される誤差バーの形で表されている。各抗原との反応についてのアッセイ間変動係数(CV)は表3に示されている。]
[0115] ]
[0116] 表3:一連の腫瘍関連抗原と反応する各ドレナージ液希釈溶液についてのアッセイ間CV(%)。数値は、10回の実行から計算されている。]
[0117] 上記実験をさらに発展させて、以下のキャリブレータプロトコールを導き出した。しかしながら、この方法は例として与えられるが、腹水及び胸水などの体液を用いて、キャリブレーション系を作製することができる唯一の方法ではないことは、留意されるべきである。記載した方法は、静的濃度の抗原(例えば、50nMか又は160nMのいずれかの抗原及びVOL)でコーティングされたプレートを下方へと段階希釈される、キャリブレータとしての1つの患者液体の使用を可能にする。それはまた、対照血清のアッセイ形式への組み込みを可能にする。その後、この方法は、液体キャリブレータの対数ODに対して対数液体希釈度をプロットして、4パラメーターロジスティック曲線を作成する。その後、この曲線を用いて、等価キャリブレータ液体希釈度値を対照血清の対数光学密度値から外挿した。]
[0118] 実施例5:キャリブレーション方法の最適化
以下は、抗腫瘍マーカー自己抗体アッセイをキャリブレーションするためのアッセイ計画の例である。]
[0119] 96ウェルマイクロタイタープレートを、表4に示されているように、160nM及び50nMの両方のレベルの抗原(アネキシンXIa、PSA、p53、ECD6、BRCA2、NYESO、及びc−myc)及び陰性対照タンパク質、VOLでコーティングした。抗原を4℃で少なくとも48時間、プレートに吸着するようにしておいた。この時間の後、プレートを洗浄し、HSBTで90分間、ブロッキングした。ブロッキングインキュベーションの間、キャリブレータ希釈溶液及び(HSBT中1:100に希釈した)対照血清を調製した。]
[0120] ]
[0121] 表4:液体キャリブレータプレートについてのコーティング方法]
[0122] ブロッキング緩衝液の除去後、キャリブレータ液及び対照血清を、表5に示されているように、空のプレートに加え、90分間、インキュベートした。アッセイの残りは、材料及び方法に記載したように行った。抗原滴定曲線を、各キャリブレータについての三連の平均値を用いて作成した。キャリブレータ液希釈度の対数及び平均光学密度の対数をグラフにプロットし、それらを用いて、4パラメーターロジスティック曲線をプロットしてデータをフィッティングした。その後、この曲線を用いて、等価キャリブレータ液希釈度値を対照血清の対数光学密度値から外挿した。]
[0123] 自己抗体アッセイを実行するそれぞれの日について、1セットのキャリブレータプレートもまた実行する。50nM及び160nMの両方の濃度における7種の抗原を用いると、合計14枚のキャリブレーションプレートを必要とする。]
[0124] ]
[0125] 表5:キャリブレータ及び対照血清設定の例。希釈出発点は、各抗原に対して各キャリブレータ液に最も適切な値を与えるように経験的に決定された。]
[0126] これらの実験については、最初、2つの異なるキャリブレータ液を用いて行い、キャリブレータ液のそれぞれは、同じ患者からであるが異なる時点で採取された2つの液体のプール、及び8つの血清対照からなった。5回のアッセイ実行からのデータは、図6〜12に示されている。] 図10 図11 図12 図6 図7 図8 図9
[0127] 次の実験は、1つの抗原に対して1つの液体キャリブレータの選択に焦点を合わせた。良いキャリブレータ液を定義する原理特性は、良いダイナミックレンジである。対数/対数プロットが用いられた場合には、他の有用な特性は以下の通りである:
・対数/対数プロットの直線性
・対数/対数プロットの傾きの適合性
・対数/対数プロットの傾きの再現性]
[0128] 実施例6:対照試料における日差変動に対するキャリブレーションの効果
胸水キャリブレーション曲線を用いて、対数希釈度値まで遡って外挿することにより、本発明者らが対照試料において観察される日差変動について補正することができるかどうかを調べるために、キャリブレータ曲線と同じプレート上で対照試料を実行した。キャリブレータ曲線から外挿された値と比較した生のOD値における変動を示すデータは、図13〜19に示されている。たいていの抗原について、キャリブレーション線の対数/対数プロットからの外挿は、血清中の自己抗体レベルの測定の日毎の再現性を向上させることがこれらの図から見ることができる。] 図13 図14 図15 図16 図17 図18 図19
[0129] 実施例7:キャリブレータ材料としての血清の胸水との比較
自己免疫疾患において自己抗体を測定するアッセイは、キャリブレータ材料として血清又は血漿を用いている。ドレナージ液は、血液産物に優るいくつかの利点を有する。それらは、非常に大容量で入手可能であり、長期間の低温での保存下で安定であり、それゆえに、多数のアッセイに再現性のあるキャリブレータ材料を供給するために用いることができる。単一時点での大容量の収集は、はるかに少ない容量の血清の複数回の連続収集に優る重要な利点を有する可能性が高い。第1に、転移性疾患は、不治の状態であり、患者は全て、最終的には彼らの疾患で死亡するであろうし、それが、連続的血液試料採取を非常に困難にさせ、最終的には、不可能にさせている。第2に、自己抗体の力価は、時間と共に変化する可能性があり、それゆえ、連続的血液試料は比較することができない可能性がある。第3に、抗原ドリフトによって、体液性免疫応答は、別の免疫優性抗原(複数可)へ切り替える可能性がある。原発性乳癌患者から(すなわち、早期ステージで)血液試料を採取したとしても、患者がそれらの処置によって治癒したならば、自己抗体応答は減少し、連続的試料において検出されない可能性がある。上記の全ては、本出願に記載した体液の使用が、新規かつ発明性のあるものと考えられることを意味する。液体を用いることの他の利点を評価するために、対応した血清試料との直接比較を行った。同じ患者から採取された血清及びドレナージ液の希釈系列を、一連の腫瘍関連抗原に結合する能力についてアッセイした。その結果は図20及び21に示されている。] 図20
[0130] 液体及び血清の反応性パターンは一連の抗原にわたって類似していたことが、図20に見ることができる。しかしながら、図21は、自己抗体に対して陽性反応性を示す抗原(すなわち、ECD6、PSA、及びアネキシンXI−a)について、血清におけるシグナルは、一般的に、胸水におけるシグナルより低いことを示している。加えて、反応性のパターンは異なり、血清自己抗体は、ECD6と比較してPSAに対してはるかに低いレベルの反応性を有する。これは、試料C7及び11828が同じ患者由来であるが、胸水ドレナージ液C7が、そのより大きいダイナミックレンジのために、PSA自己抗体についてより良いキャリブレータを提供するだろうことを示唆するものと考えられる。この特定の新知見は極めて予想外であった。] 図20 図21
[0131] 実施例8:臨床検査室設定におけるアッセイをキャリブレーションするための腹水の使用
自己抗体アッセイを行うハイスループット検査室で遭遇する条件下で胸水の使用を検証するために、以下の実験を実行した。]
[0132] キャリブレーション:
最初に、適切なキャリブレータ液を各抗原に対する特異性について同定し(実施例2参照)、アッセイのダイナミックレンジにわたるように希釈範囲を最適化した(実施例4参照)後、キャリブレータプレートを表6における抗原でコーティングした。]
[0133] ]
[0134] 表6:キャリブレーションのために用いられる抗原コーティングプレートの形式]
[0135] 図3に示されたパネルにおける抗原のそれぞれに特異的なキャリブレータ液を、適切な範囲にわたって段階希釈し、例に示されているような上記のプレートに加えた。これらのプレートは、標準プロトコールに従ってアッセイした。] 図3
[0136] 血清試料:
プレートを、表7にある抗原でコーティングし、それを用いて、抗原特異的自己抗体レベルを有することが以前に示されているいくつかの異なる血清試料をアッセイした。アッセイについては、標準プロトコールに従って行った。]
[0137] ]
[0138] 表7:臨床検査室条件下でキャリブレーション系の性能を試験するために血清試料をアッセイするのに用いられたプレートの形式]
[0139] 上記のアッセイを、1日あたり2回(午前及び午後)、2週間のスパンにわたる6日間、行った(実行1〜12)。]
[0140] 変動性実行:
キャリブレーション系を試験するために、変動性をアッセイ出力へ導入しなければならなかった。これは、全プレート上でより低いシグナルを生じるために西洋ワサビペルオキシダーゼ標識二次抗体の濃度を低下させることによって達成された。これを、第7番目のアッセイの日に2回、行った(実行13及び14)。]
[0141] 血清試料のキャリブレーション:
4パラメーターロジスティック(4pl)プロットを、キャリブレータデータの各セットについて作成した。各プロットについて、下端漸近線をゼロに設定し、傾きを1に設定した。上端漸近線を最大値2として制約した。各個々の曲線からのデータを、残差平方和を最小にするように解析した。これは、4つのパラメーター(上端漸近線、下端漸近線、傾き、及びEC50)についての値を提供し、その後、それらの値を、キャリブレータ曲線から血清試料を読み取るための式に用いた。図22において、実行1〜12についての対数キャリブレータ液希釈度に対する光学密度の4plプロットが、データセットについての標準偏差を表す誤差バーと共に、(灰色実線として)示されている。各図における第2の曲線(破線)は、誤差バーとしての標準偏差を有する、変動性実行(実行13及び14)の平均4plプロットである。]
[0142] 図22に示されたプロットを記載する等式を用いて、そのそれぞれのキャリブレータに従って各血清試料を補正した。この結果は、キャリブレータ液の対数希釈度に対応する任意単位として表現されている値が生じた(RU値)。これが実行間の変動に対して与えた効果は、いくつかの異なる血清試料について、図23に示されており、その図において、キャリブレーションされていない値は白色三角形として示され、その実行についてのキャリブレーション曲線に従って補正された値は黒丸として示されている。破線は、キャリブレーションされた値の平均±3標準偏差を表す。実行13及び14に導入された変動性がどれくらいキャリブレーションによって有意に低下しているかに注目されたい。]
[0143] 実施例9:凍結キャリブレータシリーズの保存
連続滴定の希釈は時間がかかり、再現性の誤差を起こしやすいので、本発明者らは、1セットの「凍結」キャリブレータ(キャリブレータ胸水希釈溶液のストックを調製し、等分して、−20℃で凍結した)と、当日に新鮮に調製したものとの差を調べた。この検査の結果は、図24〜30に見ることができる。新鮮に毎日調製されているキャリブレータシリーズと、バルク量で作製して、アリコートとして凍結しているものとの差はほんの少しであったと見ることができる。これは、キャリブレータ材料として用いられる場合、希釈された患者液体が低温(−20℃)での保存に安定であり、活性の損失なしに長期間にわたって保存することができることを示唆するものと考えられる。それゆえに、これは、実行間変動を低下させるための妥当な方法である。] 図24 図25 図26 図27 図28 図29 図30
[0144] 実施例10:乳癌以外の癌を有する患者に由来する液体を用いるキャリブレーション
一部の腫瘍関連抗原及びそれらが誘発する自己抗体は、腫瘍型特異的ではない。それゆえに、例えば、肺癌を有する患者に由来する液体を、乳癌の早期診断のための自己抗体アッセイをキャリブレーションするために用いることができ、その逆もまた同様である可能性がある。この理論を試験するために、結腸癌、卵巣癌、肺癌、肝臓癌、及び膵臓癌を有する患者から採取された胸水を、腫瘍関連抗原のパネルに対してスクリーニングした。いったん陽性が確立されたならば、キャリブレーション希釈曲線を調製し、抗原に対して試験した。実験については、再現性を評価するために別々の日に5回、繰り返した。図31において、自己抗体の一連の異なる腫瘍関連抗原への結合は、結腸癌(a及びe)、卵巣癌(b)、肺癌(c)、肝臓癌(d及びf)、及び膵臓癌(g)を有する患者由来の液体において検出できることを、見ることができる。これらの応答は、再現性があり、液体が薄くなるにつれて消失するように思われ、それらが乳癌及び他の癌の早期診断のための自己抗体アッセイにおいてキャリブレータ材料として用いられる可能性があることを示している。]
[0145] 実施例11:固体表面上のタンパク質の量の定量化のためのヒト液体の使用
マイクロタイタープレートウェルなどのプラスチック表面へのタンパク質の受動的吸着は、細部が明らかにされてなく、制御もされておらず、表面の凸凹並びにタンパク質及びプラスチック上の電荷などの因子に依存し得る。したがって、どれくらいのタンパク質が吸着しているかを定量化する能力があり、かつこれを他のタンパク質及び他の表面に関連づける能力があることは、有用であると考えられる。比色定量タンパク質アッセイはそのような測定にとって感受性が低すぎる。吸着等温線方法は記載されているが(Kelsoら)、これらは標識トレーサー分子の有効性に頼っている。(Hisタグなどの)タンパク質タグに対する抗体もまた用いることができるが、それらは、通常、起源がマウスであり、それゆえに、ヒト自己抗体の測定に用いられるものと異なるレポーター系に頼る。]
[0146] 一連の腫瘍関連抗原に対するヒト液体のスクリーニング中、液体のうちの2つが、陰性対照、VOLを含む全タンパク質に結合することが観察された(図32)。VOLは、ビオチンタグ配列及びhisタグからなることだけを除けば、抗原と全く同じ様式でクローン化され、発現した組換えペプチドである。それゆえに、これらの液体内のヒト抗体は、これらのタグの一方又は両方に結合していなければならない。タグはまた、組換え腫瘍関連抗原の全部に存在するので、液体を、プレートのウェルに吸着したタンパク質の量を定量化するために用いることができる。表8は、各濃度における、VOLについての160nMでのシグナルに対する50nMでのシグナルの比を示す。50nM及び160nMにおけるVOLへの結合シグナルの比が、胸水の全希釈溶液にわたって比較的一定であることを見ることができる。これは、測定されたシグナルが、プレート上のタンパク質の量に関連づけられ、それゆえ、この系がタンパク質レベルを定量化するために用いることができることを示唆するように考えられる。] 図32
[0147] ]
[0148] 表8:ドレナージ液16の自己抗体のVOLへの結合の測定。各液体希釈度における、VOLについての160nMでのシグナルに対する50nMでのシグナルの比。]
[0149] 実施例12:非特異的結合の検出及びキャリブレーション
非特異的結合は、プレートのプラスチック又はコーティング抗原に非特異的に結合する傾向にある血清中に存在する高濃度の免疫グロブリンのために、いかなる血清学的イムノアッセイにも付いて回る問題である。非特異的結合シグナルは、血清試料によって異なるが、非常に高くあり得るため、それらが分析物の特異的反応を遮蔽する。]
[0150] 前のセクションにおいて、VOLに結合する液体が同定された。血清抗体の反応は、それが任意の特定の抗原に対して方向付けられていない点において非特異的である。したがって、これらの胸水は、非特異的結合を検出し、かつ補正するために用いることができる。]
[0151] 実施例13:キャリブレータ材料としての腹水の使用
胸水に加えて、腹水は、前の実施例に用いられたものに類似したキャリブレーション系に有効であった。これらのアッセイを、160nM及び50nMでの抗原でコーティングされたプレート上で行った。抗原を最低48時間、プレートに吸着するようにしておき、この時間の後、プレートを洗浄し、HSBTで90分間、ブロッキングした。ブロッキングインキュベーションの間、1セットの複数の患者腹水キャリブレータ滴定物をチューブ内に調製した。ブロッキング緩衝液の除去後、これらを、空のプレートに加え、90分間、インキュベートした。アッセイの残りは、材料及び方法に記載したように行った。]
実施例

[0152] 各プレートに、1:2から始める2倍希釈範囲を下方へと腹水を二連でアプライした。このアッセイを4例の場合について行い、シグナルの再現性を決定した。図33〜35における結果は、4回の実行から作成したVOL補正曲線の平均形の代表的グラフを示す。アッセイ間変動は、4回の実行の平均に伴う標準偏差の形として示される誤差バーの形で表されている。] 図33 図34 図35
权利要求:

請求項1
自己抗体の検出のためのイムノアッセイをキャリブレーションするための哺乳動物の体液を含むキャリブレータ材料の使用。
請求項2
前記キャリブレータ材料がヒトの体液を含む、請求項1に記載の使用。
請求項3
前記キャリブレータ材料が、血清、全血及び血漿からなる群から選択されるいずれの血液産物をも含まない、請求項1又は2に記載の使用。
請求項4
前記キャリブレータ材料が、ドレナージ液、滲出液又は漏出液を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用。
請求項5
前記キャリブレータ材料が、腫瘍が存在する若しくは存在していた、又は腫瘍が関連する若しくは関連していた体腔又は体空間から収集された体液を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用。
請求項6
前記キャリブレータ材料が、癌を有する1又は複数の対象から収集された胸水を含む、請求項5に記載の使用。
請求項7
前記キャリブレータ材料が、癌を有する1又は複数の対象から収集された腹水を含む、請求項5に記載の使用。
請求項8
前記イムノアッセイが、癌に対する自己抗体の検出のためのものである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の使用。
請求項9
前記イムノアッセイが、早期新生物性変化に対する自己抗体の検出のためのものである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の使用。
請求項10
自己抗体の検出のためのイムノアッセイをキャリブレーションする方法であって、(a)哺乳動物体液を含むキャリブレータ材料の複数の異なる希釈溶液のそれぞれを、自己抗体に特異的な抗原と接触させるステップであり、前記哺乳動物体液が抗原に免疫学的に特異的な自己抗体を含有することが知られているステップと、(b)キャリブレータ材料に存在する前記抗原自己抗体間の特異的結合の量を検出するステップと、(c)ステップ(a)に用いられるキャリブレータ材料の各希釈溶液について、キャリブレータ材料の希釈度に対する前記特異的結合の量の曲線をプロット又は計算し、それによって、前記自己抗体の検出のための前記抗原を用いるイムノアッセイをキャリブレーションするステップと、を含む方法。
請求項11
前記キャリブレータ材料がヒト体液を含む、請求項10に記載の方法。
請求項12
前記キャリブレータ材料が、血清、全血及び血漿からなる群から選択されるいずれの血液産物をも含まない、請求項10又は11に記載の方法。
請求項13
前記キャリブレータ材料が、ドレナージ液、滲出液又は漏出液を含む、請求項10〜12のいずれか一項に記載の方法。
請求項14
前記キャリブレータ材料が、癌を有する1又は複数の対象から収集された体液を含む、請求項10〜13のいずれか一項に記載の方法。
請求項15
前記キャリブレータ材料が、腫瘍が存在する若しくは存在していた、又は腫瘍が関連する若しくは関連していた体腔又は体空間から収集された体液を含む、請求項10〜14のいずれか一項に記載の方法。
請求項16
前記キャリブレータ材料が、癌を有する1又は複数の対象から収集された胸水を含む、請求項15に記載の方法。
請求項17
前記キャリブレータ材料が、癌を有する1又は複数の対象から収集された腹水を含む、請求項4に記載の方法。
請求項18
前記キャリブレータ材料が、腫瘍マーカータンパク質に免疫学的に特異的である天然ヒト自己抗体を含有することが知られているヒト体液を含む、請求項11〜17のいずれか一項に記載の方法。
請求項19
ステップ(a)の抗原が20nMより多い濃度で用いられる、請求項10〜18のいずれか一項に記載の方法。
請求項20
ステップ(a)の抗原が20nM〜180nMの範囲の濃度で用いられる、請求項19に記載の方法。
請求項21
ステップ(a)の抗原が50nM〜160nMの範囲の濃度で用いられる、請求項19に記載の方法。
請求項22
自己抗体の検出のためのイムノアッセイをキャリブレーションするのに用いる1セットのキャリブレーション標準物質であって、前記セットにおける各キャリブレーション標準物質が、哺乳動物体液の異なる希釈溶液を含み、前記哺乳動物体液が天然ヒト自己抗体を含有することが知られている、1セットのキャリブレーション標準物質。
請求項23
前記哺乳動物体液がヒト体液である、請求項22に記載の1セットのキャリブレーション標準物質。
請求項24
前記哺乳動物体液が、血清、全血及び血漿からなる群から選択されるいずれの血液産物をも含まない、請求項22又は23に記載の1セットのキャリブレーション標準物質。
請求項25
前記哺乳動物体液が、ドレナージ液、滲出液、又は漏出液である、請求項22〜24のいずれか一項に記載の1セットのキャリブレーション標準物質。
請求項26
前記哺乳動物体液が、癌を有する1又は複数の対象から収集された液体である、請求項22〜25のいずれか一項に記載の1セットのキャリブレーション標準物質。
請求項27
前記哺乳動物体液が、腫瘍が存在する若しくは存在していた、又は腫瘍が関連する若しくは関連していた体腔又は体空間から収集された体液である、請求項22〜26のいずれか一項に記載の1セットのキャリブレーション標準物質。
請求項28
前記哺乳動物体液が、癌を有する1又は複数の対象から収集された胸水を含む、請求項27に記載の1セットのキャリブレーション標準物質。
請求項29
前記哺乳動物体液が、癌を有する1又は複数の対象から収集された腹水を含む、請求項27に記載の1セットのキャリブレーション標準物質。
請求項30
前記哺乳動物体液が、腫瘍マーカータンパク質に免疫学的に特異的な天然ヒト自己抗体を含有することが知られているヒト体液である、請求項22〜29のいずれか一項に記載の1セットのキャリブレーション標準物質。
請求項31
自己抗体の検出のためのイムノアッセイキットであって、請求項22〜30のいずれか一項に記載の1セットのキャリブレーション標準物質と、前記自己抗体に免疫学的に特異的な抗原を含むイムノアッセイ試薬とを含むイムノアッセイキット。
請求項32
固体表面に結合したタンパク質の量を定量化する方法であって、前記タンパク質がタグを含み、前記タンパク質の存在について試験されるべき固体表面を、ヒト体液を含む試薬材料と接触させるステップであり、前記体液が、タグに免疫学的に特異的な天然ヒト抗体を含有することが知られている、ステップと、天然ヒト抗体とタグの間の特異的結合の量を測定し、それによって、表面に存在する前記タンパク質の量を定量化するステップと、を含む方法。
請求項33
前記タンパク質が組換え発現されたタンパク質である、請求項32に記載の方法。
請求項34
前記タグがビオチンである、請求項32又は33に記載の方法。
請求項35
前記タグがヒスチジンタグである、請求項33に記載の方法。
請求項36
前記イムノアッセイが、良性自己免疫疾患に対する自己抗体の検出のためのものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用。
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