专利摘要:
ピストン室から移動させられるガスが、従来の弁タイミングの場合のようにスロットリングされるのではなく、燃焼行程の最後における温度と圧力とにほぼ等しい圧力と温度にあるように弁タイミングを変更することを含む、ピストンエンジンシステムを動作させる方法。高い温度および圧力のガスが排気流路の中に入る時に、断熱手段が、排気ガスの高温度が維持されるように排気流路を覆うだろう。熱交換器と膨張機が、利用可能な仕事のために排気ガスの高い温度および圧力が捕捉されるように、排気流路に沿って配置されるだろう。
公开号:JP2011508138A
申请号:JP2010539905
申请日:2008-12-19
公开日:2011-03-10
发明作者:メスマー,ハンス−ペーター
申请人:グリーン パートナーズ テクノロジー ホールディングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング;
IPC主号:F01N13-14
专利说明:

[0001] 本明細書に開示されている実施態様は内燃ピストンエンジンに関し、および、特に、効率を増大させるための、出力を増大させるための、かつ、このエンジンの故障を減少させるためのシステムおよび方法に関する。]
背景技術

[0002] 内燃ピストンエンジンは様々な用途に使用されている。このピストンエンジンにおいて使用されている最も一般的なサイクルがオットーサイクルまたはディーゼルサイクルである。ピストンエンジンは任意の個数のシリンダを含むことができる。]
[0003] 自動車用ガソリンエンジンまたはディーゼルエンジンのような4行程内燃エンジンが、次の通りの行程、すなわち、(i)吸気行程、(ii)圧縮行程、(iii)燃焼行程、および、(iv)排気行程を含む。従来の4行程プロセスでは、ピストンがシリンダの最上部(上死点)にある時に吸気行程が始まり、吸気弁が開き、ピストンがシリンダの最下部(下死点)に下降し、空気とガソリンをシリンダ内に吸い込む。圧縮行程中は、この弁が閉じられ、および、ピストンが上方に逆戻りし、燃料/空気混合気を圧縮する。燃焼行程中は、ピストンがその行程の最上部に到達すると、燃料が点火されて爆発し、ピストンを下方に移動させる。最後に、排気行程中には、放出弁が開き、および、ピストンが再び上昇するにつれて排気ガスがシリンダから出て行く。]
[0004] しかし、2行程エンジンは、2つだけの行程によって、すなわち、クランクシャフトの1回転によって、圧縮と燃焼を行う。ピストンがその下死点位置にある時に、吸気行程と排気行程が同時に生じる。吸気管内のガスが、シリンダから排気されるガスよりも高い圧力にある。したがって、吸気ガスはシリンダ内のガスを排気管の中に押し出す。弁が閉じられておりかつピストンが上死点に移動する時に、圧縮行程が生じる。その次に、燃料が点火されて爆発し、ピストンを再び下死点に移動させる。]
[0005] 上述のタイプのエンジンの各々は、無過給式であるか、過給式であるか、または、ターボ過給式であることが可能である。無過給エンジンは大気から直接的に空気を受け入れる。過給エンジンとターボ過給エンジンの各々は、より多くの質量の空気と燃料をシリンダの中に押し込むために圧縮機を使用する。過給エンジンは、そのエンジンの駆動軸に連結されているベルトによって圧縮機を駆動する。ターボ過給エンジンの圧縮機は、排気流膨張タービンによって駆動される。しかし、これらの術語は、空気および/または空気および燃料をシリンダの中に噴射する前にその空気および/または空気および燃料を圧縮するあらゆるタイプのエンジンを意味する形で同義的に使用されている。]
[0006] しかし、従来のピストンエンジンシステムには様々な非効率性と問題点が存在する。例えば、無過給エンジンと過給エンジンは、排気流の増大した温度と圧力とを利用しない。さらに、ターボ過給エンジンは、燃焼室から排気される燃焼生成物の圧力よりも低い圧力に排気流路が保たれることを必要とするので、非効率的である。この圧力損失は、有用な仕事を実現するように回収または利用されることが不可能なので、熱力学的に非効率的である。したがって、高い排気温度および排気圧力をより効率的に利用するためのシステムを開発することが有利だろう。]
[0007] さらに、現行のピストンエンジンは、同一の比出力(燃料の熱kW当たりの機械的kW)を生じさせるためにそのピストンエンジンが全負荷状態にある時にそのピストンエンジンが使用する燃料よりも、アイドリング中すなわちそのピストンエンジンが部分負荷状態である間に必要とされる燃料よりもはるかに多くの燃料を使用することが多い。したがって、部分負荷状態中における燃料の消費量をより少なくするための方法を考案することが有利だろう。]
[0008] さらに、ピストンエンジン内の高圧力が摩耗と故障の原因になることが多い。エンジンの出力と密度と効率を犠牲とすることなしに摩耗を減少させるために、圧縮端温度を依然として高温度に維持しながら、シリンダ内の圧縮端圧力を低下させることが有利だろう。]
[0009] 圧縮空気がより大きい質量をピストンエンジンに供給する。しかし、従来の圧縮機から受け取られる圧縮空気は非圧縮空気よりも高温である。ピストンエンジンの機械的構成要素は、高い熱応力に曝される時に危険にさらされる可能性がある。空気の温度を増大させることなしに空気を圧縮することと、こうした熱エネルギーを比較的に低い温度レベルで環境内に放出することとが、有利だろう。]
[0010] 従来においては、ピストンとシリンダは、ピーク燃焼温度よりも低い温度の状態のままであるように外部冷却機構を使用する。しかし、外部冷却方法は、典型的には熱が冷却媒質に失われて再利用されないので、熱力学的に非効率的である。したがって、ピストンとシリンダを断熱するためのシステムを開発することが有利だろう。このシステムは熱応力からピストンとシリンダを保護すると同時に、これらの構成要素を冷却することによって通常は失われる熱エネルギーを保持するだろう。この場合に、この熱エネルギーは、有用な仕事を行うために使用されることが可能である。]
[0011] さらに、排気流における高温度が従来の膨張タービンの機械的耐久性を上回る可能性もある。したがって、この排気温度を低下させる方法を開発することが有利だろう。]
発明が解決しようとする課題

[0012] 上記内容から見て、ピストンエンジンの効率とピストンエンジンの構成要素の寿命とを増大させるための様々なシステムと方法とを提供することが極めて望ましいだろう。]
課題を解決するための手段

[0013] 従来のピストンエンジンは、そのエンジンの排気流を十分には利用してはいない。幾つかの実施態様では、4行程ピストンエンジンからの燃焼レベル圧力を取り出すための方法が実現される。この方法は、(1)燃焼行程の最後においてガスが第1の圧力を有するようにガスを燃焼させる段階と、(2)排気行程中に第1の圧力を実質的に有する排気ガス流路の中にガスを排気する段階と、(3)吸気行程の一部分の間に追加のガスを送り込むことなしに、第1の圧力よりも低い第2の圧力にガスを膨張させる段階と、(4)吸気行程の残り部分の間に、第2の圧力が第3の圧力よりも高くはない時に、第3の圧力を有する吸引されたガスを室の中に送り込む段階と、(5)それに続けて圧縮行程を開始する段階とを含む。その後で、このプロセスが繰り返される。]
[0014] 幾つかの実施態様では、排気ガス流の第1の圧力は、弁またはタービンによって排気管内で維持される。幾つかの実施態様では、排気ガス流は、エネルギーを取り出すために、または、発電機を回転させるために、排気タービン内を通過させられる。幾つかの実施態様では、吸気空気が、ピストンエンジン室に入る前に最初に圧縮機の中を通過させられる。幾つかの実施態様では、圧縮機が排気タービンと同一の軸の上で動作させられる。幾つかの実施態様では、吸気空気が、圧縮された後に、かつ、ピストンエンジン室の中に入る前に、中間冷却器の中を通過させられる。幾つかの実施態様では、排気管が断熱される。幾つかの実施態様では、この断熱は、高度に反射性である表面を有する断熱室によって実現される。幾つかの実施態様では、この断熱室はガスを充填されている。幾つかの実施態様では、この断熱室は真空状態に維持されている。幾つかの実施態様では、断熱は、排気管内のセラミック製インサートによって実現される。このインサートは、販売後の従来のエンジンに追加されることも可能である。]
[0015] 従来のピストンエンジンは、必要量よりも多くの空気/燃料混合気が比較的に高い圧力でピストンエンジンの中に噴射されるので、必要量より多くの燃料を部分負荷中に使用する場合が多い。幾つかの実施態様では、ピストンエンジン内で吸引空気を予膨張させるための方法が提供されている。この方法は、(1)吸気行程の一部分の間に、第1の圧力のガスをシリンダ内に送り込む段階と、(2)吸気行程の残り部分の間に、追加のガスをシリンダ内に送り込むことなしに、第1の圧力よりも低い第2の圧力に圧力を低下させる段階と、(3)従来の4行程ピストンエンジンの場合と同様に、圧縮行程と燃焼行程と排気行程とに進む段階とを含む。]
[0016] 上述の実施態様では、排気行程の開始時に排気圧力が周囲圧力よりも低い時点がある。この状況は、極端な部分負荷の際に生じる可能性が最も高い。この場合には、排気弁が、周囲圧力とシリンダ圧力とが概ね等しい時に、より後で開かれる。]
[0017] ピストンエンジン内の高圧力が摩耗と故障の原因になる場合が多い。したがって、幾つかの実施態様では、予熱された吸気空気/燃料混合気が予膨張弁タイミングを使用してピストンエンジンの中に噴射される。これらの実施態様では、予膨張後の最終温度が、噴射時における従来のエンジンの空気/燃料温度と同等である。したがって、完全負荷の実施態様では、燃焼させられる空気/燃料混合気は、従来のエンジンの場合よりも低い圧力にあり、かつ、従来のエンジンの場合と概ね同一の温度であり、これによってエンジンの出力と密度と効率とを犠牲にすることなしに摩耗を減少させる。]
[0018] 幾つかの実施態様では、部分負荷がかかった(以下では「部分負荷(part−load)」エンジン、または、全負荷がかかった(以下では「全負荷(full−load)」エンジンにおける、燃料燃焼を管理するための方法が提供される。この方法は、(1)エンジンの排気流から熱を取り出す段階と、(2)周囲吸気ガス流の温度を加熱ガス流に増大させるためにその熱を使用する段階と、(3)吸気行程の一部分の間に、第1の圧力にある加熱されたガス流をエンジンのシリンダの中に送り込む段階と、(4)従来の4行程ピストンエンジンの場合と同様に、吸気行程の残り部分と圧縮行程と燃焼行程と排気行程とに進む段階とを含む。幾つかの実施態様では、ピストンエンジンが、吸気行程の残り部分の間に、追加のガスをシリンダの中に送り込むことなしに、第1の圧力よりも低い第2の圧力に圧力を低下させる。]
[0019] 幾つかの実施態様では、熱交換器への排気ガスの循環が、フラップを有する3方向弁によって制御される。この弁は、全負荷中は排気管の外に排気を送り出し、および、部分負荷中は連結流路によって排気を熱交換器の中を通過させる。]
[0020] 幾つかの実施態様では、部分負荷エンジンにおける燃料消費を管理するための別の方法が提供される。この方法は、(1)エンジンの排気流から熱を取り出す段階と、(2)第1の周囲吸気ガス流の温度を加熱ガス流の温度に上昇させるために、その熱を使用する段階と、(3)混合ガス流を得るように加熱ガス流を第2の周囲吸気ガス流と混合する段階と、(4)吸気行程の一部分の間に、第1の圧力の混合ガス流を送り込む段階と、(5)吸気行程の残り部分の間に、新たな空気をその室の中に送り込むことなしに、第1の圧力よりも低い第2の圧力に第1の圧力を低下させる段階と、(6)従来の4行程ピストンエンジンの場合と同様に、圧縮行程と燃焼行程と排気行程とに進む段階とを含む。]
[0021] 幾つかの実施態様では、部分負荷エンジンにおける燃料消費を管理するための別の方法が提供される。この方法は、(1)排気ガス流を取り出す段階と、(2)温められた混合ガス流を得るために周囲吸気ガス流と排気ガス流とを混合する段階と、(3)吸気行程の一部分の間に、第1の圧力の温められた混合ガス流を送り込む段階と、(4)吸気行程の残り部分の間に、第1の圧力よりも低い第2の圧力に第1の圧力を低下させる段階と、(5)従来の4行程ピストンエンジンの場合と同様に、圧縮行程と燃焼行程と排気行程とに進む段階とを含む。]
[0022] 幾つかの実施態様では、全負荷状態中に周囲空気と混合する前に排気ガスを冷却するために、冷却器が再循環管に追加される。このようにして、加熱された吸気ガスが望ましくない時に、再循環の利益が全負荷中にさえ実現されることが可能である。幾つかの実施態様では、冷却器が全負荷中に使用される場合に、バイパス管が、部分負荷中に冷却器の周りを巡る形で排気ガスを送るために使用される。幾つかの実施態様では、熱交換器への排気ガスの循環が、フラップを有する3方向弁によって制御される。この弁は、全負荷中に排気管の外に排気ガスを送り出し、および、部分負荷中に連結流路によって熱交換器を通過する形で排気ガスを送る。]
[0023] 幾つかの実施態様では、部分負荷エンジン内の燃料の消費を管理するための別の方法が提供される。この方法は、(1)吸気行程の第1の部分の間に、吸引ガスと排気ガスの両方を実質的に第1の圧力で送り込む段階と、(2)吸気行程の第2の部分の間に、追加の空気または燃料を送り込むことなしに、第1の圧力よりも低い第2の圧力に第1の圧力を低下させる段階と、(3)従来のピストンエンジンの場合と同様に、圧縮行程と燃焼行程と排気行程とに進む段階とを含む。]
[0024] あるいは、幾つかの実施態様では、この方法は、(1)吸気行程の第1の部分の間に、第1の圧力において排気流路と吸気流路とから空気が吸引されるように吸気弁と放出弁の両方を開く段階と、(2)吸気行程の第2の部分の間に、吸気弁と放出弁の両方を閉じて、追加の空気または燃料を送り込むことなしに第1の圧力よりも低い第2の圧力に第1の圧力を低下させる段階と、(3)従来の4行程ピストンエンジンの場合と同様に、圧縮行程と燃焼行程と排気行程とに進む段階とを含む。]
[0025] 幾つかの実施態様では、部分負荷エンジンにおける燃料消費を管理するための別の方法が提供される。この方法は、(1)排気行程の間に、第1の圧力において吸気流路と排気流路との中に排気ガスが出て行くように吸気弁と放出弁の両方を開く段階と、(2)吸気行程の第1の部分の間に、放出弁を閉じる段階と、(3)吸気行程の第2の部分の間に、吸気弁を閉じて、追加の空気または燃料を送り込むことなしに第1の圧力よりも低い第2の圧力に第1の圧力を低下させる段階と、(4)従来の4行程ピストンエンジンの場合と同様に、圧縮行程と燃焼行程と排気行程とに進む段階とを含む。]
[0026] 極端な部分負荷の間は、排気圧力が排気行程の開始時に周囲圧力よりも低い。これが当てはまる場合には、排気行程中に放出弁がより後で開かれる。これらの実施態様では、放出弁は、周囲圧力とシリンダ圧力とが概ね等しい時に開かれる。]
[0027] 圧縮空気がより多くの質量をピストンエンジンに供給する。しかし、従来の圧縮機から受け取られる圧縮空気は、非圧縮空気よりも高温でもある。幾つかの実施態様では、流体が送り込まれて圧縮中に気化させられる。こうした気化が圧縮空気を冷却する。したがって、最終圧縮温度は圧縮機の吸気における空気の温度のそれに近い。この実施態様では、噴射される流体のすべてが、圧縮中にその流体の小滴が圧縮機の翼と他の構成要素とに損傷を生じさせることがないように気化させられる。]
[0028] 幾つかの実施態様では、摩耗を減少させ、かつ、ピストンエンジンの出力密度を改善するための方法が提供される。この方法は、(1)第1の温度を有する周囲ガスを圧縮ガスに圧縮する段階と、(2)この圧縮ガスを低速度ガスに拡散させる段階と、(3)液体を低速度ガスの中に噴射する段階と、(4)第1の温度よりも高い第2の温度を有する気化ガス混合気を生じさせるように、低速度ガスの中で液体を気化させる段階と、(5)熱交換器によって、その気化ガス混合気を第2の温度よりも高い第3の温度に加熱する段階と、(6)吸気行程の一部分の間に、第1の圧力でそのガスを送り込む段階と、(7)吸気弁を閉じる段階と、(8)吸気行程の残り部分の間に、第1の圧力よりも低い第2の圧力に圧力を低下させる段階と、(9)圧縮行程と燃焼行程と排気行程とを行う段階と、(10)膨張機の中を通して排気ガスを排出する段階と、(11)排気ガスを熱交換器の中を通過させる段階と、(12)排気を環境に放出する段階とを含む。]
[0029] 流体の温度を低下させるために液体気化を使用することは、さらに、ピストン室内においても有利である可能性がある。幾つかの実施態様では、液体噴射を伴うピストンエンジンを動作させるための方法が提供される。この方法は、(1)圧縮行程の第1の部分の間に、ピストン室内のガスに液体を加え、および、この液体が気化流体の形に気化する段階と、(2)圧縮行程の第2の部分の間に、ガスと気化液体とをさらに圧縮する段階と、(3)ガスと気化液体を燃焼生成物へと燃焼させる段階と、(4)この燃焼生成物を排気する段階と、(5)従来の4行程ピストンエンジンの場合のように吸気行程に進む段階とを含む。]
[0030] 幾つかの実施態様では、流体が、2行程エンジンまたは4行程エンジンの燃焼行程の間に加えられる。幾つかの実施態様では、噴射された液体の温度が周囲温度と圧縮温度との間のレベルである。幾つかの実施態様では、圧縮時間全体の4分の3(3/4)が等温であり、噴射された液体に気化のための多くの時間を与える。幾つかの実施態様では、吸気弁内の圧力が放出弁内の圧力よりも高く、スロットリングまたは環流の問題の原因となる。幾つかの実施態様では、燃焼サイクルが終了した後に、排気ガス収集管がピストンと実質的に同じ圧力を維持する。この排気収集管の圧力は、入口収集管の圧力よりもわずかに低いだけである。幾つかの実施態様では、ピストン室内への流体の噴射は、ピストン運動(適切に設計されたカムシャフト)によって、または、電磁弁によって制御される。]
[0031] 幾つかの実施態様では、(1)周囲吸引空気を液体と共に実質的に完全な飽和圧縮ガスに圧縮することと、(2)熱交換器内の加熱圧縮ガスに飽和圧縮ガスを加熱することと、(3)加熱された圧縮ガスをピストン室内に引き込むことと、(4)圧縮行程の第1の部分の間に、ピストン室内のガスに液体を加えることと、(5)圧縮行程の第1の部分の間に、液体を気化させることと、(6)圧縮行程の第2の部分の間に、ガスと気化液体とをさらに圧縮することと、(7)燃焼行程中に、気化気体と加熱圧縮ガスとを燃焼生成物へと燃焼させることと、(8)排気行程中に、燃焼生成物を放出することと、(9)燃焼生成物を膨張ガスへと膨張させることと、(10)膨張したガスを熱交換器の中を通過させることとが提供される。]
[0032] 幾つかの実施態様では、ピストンに吸気空気が入る前に吸気空気を膨張させるために、熱交換器とピストンとの間に追加の膨張タービンが配置される。幾つかの実施態様では、(膨張機の膨張タービンが圧縮機に動力を供給するように)圧縮機タービンと、膨張タービンの一方または両方が同一の軸の上にある。幾つかの実施態様では、これらのタービンからの余剰動力が、発電機を駆動するために使用される。幾つかの実施態様では、これらのタービンからの余剰動力が、追加の動力をエンジンのクランクシャフトに供給するために使用される。幾つかの実施態様では、圧縮機タービンは機械式圧縮機、スクリュー圧縮機、翼圧縮機、または、任意の適切な圧縮機構である。幾つかの実施態様では、膨張タービンは、ピストン式、スクリュー式、または、回転翼式の膨張機である。]
[0033] 従来のピストンエンジンは、エンジン機構の一部分が過熱および故障しないように外部冷却を使用する。しかし、外部冷却は、利用可能な熱エネルギーの回復不可能な損失の原因となる。幾つかの実施態様が、断熱ピストン要素を熱応力の影響を受けないように使用し、かつ、これと同時に、燃焼プロセスの熱エネルギーが依然として再利用のために維持される。幾つかの実施態様では、内燃エンジンのシリンダとピストンとを断熱するための装置が提供され、この装置は、頂部と底部とを有しかつ金属材料で少なくとも部分的に作られているシリンダと、シリンダの底部における下死点位置とシリンダの頂部における上死点位置との間をシリンダ内でスライドすることが可能なピストンとを備え、および、シリンダの頂部に面するピストンの少なくとも一部分は第1の断熱材料から作られており、かつ、上死点位置においてピストンに面するシリンダの頂部の少なくとも一部分は第2の断熱材料から作られている。]
[0034] 幾つかの実施態様では、内燃エンジンのシリンダとピストンとを断熱するための装置が提供され、この装置は、作動ガスを保持するように形状構成されておりかつ少なくとも部分的に金属材料で作られているシリンダと、下死点位置と上死点位置との間をシリンダ内でスライドすることが可能なピストンとを備え、作動ガスに面するピストンの少なくとも一部分は第1の断熱材料で作られており、および、上死点においてピストンに面するシリンダの一部分は第2の断熱材料から作られている。幾つかの実施態様では、第1の断熱材料は第2の断熱材料と同じである。幾つかの実施態様では、断熱材料はセラミックである。幾つかの実施態様では、ピストンは少なくとも部分的に金属で作られている。]
[0035] 幾つかの実施態様では、ピストンは、第1の断熱材料上の第1の熱吸収材料の層と、第2の断熱材料上の第2の熱吸収材料の層とで作られている。幾つかの実施態様では、第1の熱吸収材料の層と第2の熱吸収材料の層は同じである。幾つかの実施態様では、熱吸収材料は金属である。幾つかの実施態様では、その金属はタングステンである。幾つかの実施態様では、その金属層は非常に薄く、0.1mmから1mmである。]
[0036] 幾つかの実施態様では、熱交換器、膨張タービン、廃熱回収エンジン、または、他の装置が、加熱された排気を捕捉するために使用される。幾つかの実施態様では、断熱材料で覆われていないピストンの側部表面が、冷却媒質によって冷却される。]
[0037] 幾つかの実施態様では、内燃エンジンのシリンダとピストンを断熱するための装置が提供され、この装置は、頂部と底部とを有するシリンダと、シリンダの底部における下死点位置とシリンダの頂部における上死点位置との間をシリンダ内でスライドすることが可能なピストンとを備え、シリンダの頂部に面するピストンの少なくとも一部分は、圧縮空気の小さなポケットを捕らえるための複数の空洞を画定し、かつ、上死点においてピストンに面するシリンダの頂部の少なくとも一部分は、圧縮空気の小さなポケットを捕らえるための複数の空洞を画定する。]
[0038] 幾つかの実施態様では、内燃エンジンのシリンダとピストンを断熱するための装置が提供され、この装置は、頂部と底部とを有するシリンダと、シリンダの底部における下死点位置とシリンダの頂部における上死点位置との間をシリンダ内でスライドすることが可能なピストンとを備え、シリンダの頂部に面するピストンの少なくとも一部分は、圧縮中に流体を供給するための複数のノズルを含み、かつ、上死点においてピストンに面するシリンダの頂部の少なくとも一部分は、圧縮中に断熱流体層を供給するための複数のノズルを含む。幾つかの実施態様では、その流体は圧縮ガスである。他の実施態様では、その流体は水または別の気化可能な液体である。]
[0039] 幾つかの実施態様では、第2の2行程密閉サイクルエンジンを使用することによって部分負荷エンジンの燃料消費を管理するための別の方法が提供される。この方法は、(1)主4行程ピストンエンジンから高温の排気を受け取る段階と、(2)この高温排気からの熱エネルギーを圧縮乾燥動作流体に伝達させる段階と、(3)乾燥圧縮動作流体を2行程廃熱回収ピストンエンジンの中に送り込む段階と、(4)吸気行程の一部分の間にその廃熱回収ピストンエンジンの中で乾燥圧縮動作流体を膨張させる段階と、(5)圧縮行程の第1の部分の間に、気化可能な液体を廃熱回収ピストンエンジンの中に送り込んで、圧縮された湿った生成物を形成する段階と、(6)圧縮行程の第2の部分の間に、この圧縮された湿った生成物を排気する段階と、(7)圧縮された湿った生成物からの液体を、液体と乾燥圧縮作動ガスとに凝縮する段階と、(8)予熱のために第1の流路に沿って乾燥圧縮作動ガスを再循環させる段階と、(9)廃熱回収ピストンエンジンの中での再噴射のために第2の流路に沿ってその液体を再循環させる段階とを含む。]
[0040] 幾つかの実施態様では、統合密閉ループ2行程廃熱回収サイクルエンジンを通してピストンエンジンから熱を回収するための装置が提供され、この装置は、密閉ループシステム内の周囲圧力よりも高い圧力の乾燥圧縮作動ガスと、主ピストンエンジンから高温の排気ガスを受け入れて、密閉2行程廃熱回収エンジンの圧縮された作動ガスに排気ガスから熱エネルギーを伝達するための熱交換器と、圧縮された作動ガスを受け入れるための2行程ピストンエンジンであって、圧縮された湿った生成物を生じさせるために圧縮行程中に気化可能な液体をそのピストン室の中に噴射する2行程ピストンエンジンと、圧縮された湿った生成物を液体と圧縮作動ガスとに凝縮させるための凝縮器と、2行程廃熱回収エンジンのピストンシリンダの中にその液体を再循環させるためのポンプおよび流路と、乾燥した圧縮作動ガスを熱交換器の中に再循環させるための流路とを備える。]
[0041] 幾つかの実施態様では、動作流体は希ガスである。幾つかの実施態様では、動作流体はアルゴンである。幾つかの実施態様では、液体は水である。幾つかの実施態様では、液体はメタノール、ブタン、または、部分酸化された炭化水素である。幾つかの実施態様では、主ピストンエンジンはターボ過給である。幾つかの実施態様では、2行程エンジンのタイミングは部分負荷エンジンに適合化可能である。幾つかの実施態様では、膨張終了温度は蒸気の露点に近い。]
[0042] 幾つかの実施態様では、エンジン摩耗を減少させるための装置が提供され、この装置は、空気を吸引するための圧縮機タービンと、吸引された空気を加熱された空気に加熱するための熱交換器と、その加熱された空気を膨張させられた空気に膨張させるための膨張手段と、その膨張空気を燃料と共に燃焼生成物へと燃焼させるためのピストンエンジンと、その燃焼生成物を外部環境に排出するための排気管とを備える。幾つかの実施態様では、この膨張手段は膨張タービンである。幾つかの実施態様では、この膨張は、特別な弁タイミングによってピストンシリンダ内での予膨張によって生じる。幾つかの実施態様では、圧縮機も流体を連続的に加える。幾つかの実施態様では、ピストンエンジンは2行程型のエンジンである。幾つかの実施態様では、このピストンエンジンは4行程型のエンジンである。幾つかの実施態様では、1つまたは複数のタービンが発電機に連結されている。幾つかの実施態様では、燃料は重質である。幾つかの実施態様は、高圧力放出弁タイミングを使用する。幾つかの実施態様では、熱交換器は高圧/高温熱交換器である。幾つかの実施態様では、膨張タービンはピストンと熱交換器との間に配置されている。幾つかの実施態様では、膨張タービンは熱交換器と排気管との間に配置されている。]
[0043] 従来の過給またはターボ過給エンジンでは、高温度の排気流が、排気ガスを受け取るように配置されている膨張タービンの機械的耐久性を越えることがある。したがって、幾つかの実施態様では、排気ガスを冷却するための方法が提供される。この方法は、(1)圧縮機内で空気流を圧縮する段階と、(2)第1の温度を有する圧縮空気流の第1の部分をバイパス流路の中に送り込む段階と、(3)圧縮空気流の第2の部分をピストンエンジンの中に送り込む段階と、(4)空気流の第2の部分が第1の温度よりも高い第2の温度を有するようにピストンシリンダ内での燃焼サイクルを行う段階と、(5)ピストンシリンダから空気流の第2の部分を排気する段階と、(6)第1の温度を有する空気流の第1の部分を第2の温度を有する空気流の第2の部分と混合する段階と、(7)これに続けて、第1の温度と第2の温度との間の第3の温度を有する統合された空気流を生じさせる段階と、(8)膨張機内でこの統合された空気流を膨張させる段階とを含む。幾つかの実施態様では、熱交換器が空気を予熱する。幾つかの実施態様では、水が圧縮機内の空気流の中に噴射される。幾つかの実施態様では、発電機が膨張機によって駆動される。]
[0044] 幾つかの実施態様では、作動ガスを冷却するための方法が提供される。この方法は、(1)第1の温度および第1の圧力においてガスを圧縮機の第1の段の中に吸引する段階と、(2)このガスを、第1の温度および第1の圧力よりも高い第2の温度および第2の圧力を有する第1の圧縮ガスに圧縮する段階と、(3)この第1の圧縮ガスを、圧縮機から独立している中間冷却装置の第1の段に送る段階と、(4)この第1の圧縮ガスを、第1の温度よりも高くかつ第2の温度よりも低い第3の温度を有するが依然として第1の圧力を有する第1の冷却されたガスに冷却する段階と、(5)この第1の冷却されたガスを圧縮機の第2の段に送り、および、最終温度および最終圧力を有する最終的なガスが得られるまで、段階1から段階4を反復する段階と、(6)この最終的なガスを放出する段階とを含む。]
[0045] 幾つかの実施態様では、圧縮機は特に3つ、4つ、または、5つの段を有するだろう。幾つかの実施態様では、圧縮機はピストンエンジンシステム内で使用される。幾つかの実施態様では、ピストンエンジンシステムは熱交換器と膨張タービンとを含むだろう。幾つかの実施態様では、圧縮機は膨張タービンによって駆動され、この場合に圧縮機と膨張タービンの両方は共通の軸上にある。]
[0046] 上述したように、これらの実施態様は、ピストンエンジンの効率、ピストンエンジンの構成要素の寿命、または、これらの両方を増大させるための様々なシステムおよび方法を生じさせる。]
[0047] 本発明の特質と目的をより適切に理解するために、添付図面に関連付けて行われる以下の詳細な説明を参照されたい。]
図面の簡単な説明

[0048] 図1は、幾つかの例示的な実施形態によるターボ圧縮機とターボ膨張機と中間冷却器とを有する定置ターボ過給ピストンエンジンの略図である。
図2aは、図1に示されているエンジンの動作中の弁作動を示す略図である。
図2bは、図1に示されているエンジンの動作中の弁作動を示す略図である。
図2cは、図1に示されているエンジンの動作中の弁作動を示す略図である。
図2dは、図1に示されているエンジンの動作中の弁作動を示す略図である。
図2eは、図1に示されているエンジンの動作中の弁作動を示す略図である。
図3は、幾つかの例示的な実施形態の排気流路の断熱を実現する、図1に示されているシリンダヘッドの一部分の拡大図である。
図4は、排気の断熱のための別の例示的な実施形態を実現する、図1のシリンダヘッドの一部分の拡大図である。
図5は、幾つかの例示的な実施形態による制御装置によって吸気弁と放出弁とがソレノイドによって電気的に制御される、ピストンエンジンの構成の略図である。
図6は、発電機を有する図1のターボ過給エンジンの略図である。
図7aは、幾つかの例示的な実施形態による4行程弁制御往復動ピストンおよびシリンダのシリンダ内の予膨張のための弁タイミングを示す略図である。
図7bは、幾つかの例示的な実施形態による4行程弁制御往復動ピストンおよびシリンダのシリンダ内の予膨張のための弁タイミングを示す略図である。
図7cは、幾つかの例示的な実施形態による4行程弁制御往復動ピストンおよびシリンダのシリンダ内の予膨張のための弁タイミングを示す略図である。
図7dは、幾つかの例示的な実施形態による4行程弁制御往復動ピストンおよびシリンダのシリンダ内の予膨張のための弁タイミングを示す略図である。
図7eは、幾つかの例示的な実施形態による4行程弁制御往復動ピストンおよびシリンダのシリンダ内の予膨張のための弁タイミングを示す略図である。
図7fは、幾つかの例示的な実施形態による4行程弁制御往復動ピストンおよびシリンダのシリンダ内の予膨張のための弁タイミングを示す略図である。
図7gは、幾つかの例示的な実施形態による4行程弁制御往復動ピストンおよびシリンダのシリンダ内の予膨張のための弁タイミングを示す略図である。
図7hは、幾つかの例示的な実施形態による4行程弁制御往復動ピストンおよびシリンダのシリンダ内の予膨張のための弁タイミングを示す略図である。
図8aは、この場合には全負荷状態で動作する、幾つかの例示的な実施形態による、熱交換器による吸引ガスの予熱を伴う、4行程弁制御往復動ピストンエンジンの略図である。
図8bは、部分負荷状態で動作する、図8aによって示されているエンジンの略図である。
図9aは、この場合には全負荷状態または全負荷状態に近い状態で動作している、幾つかの例示的な実施形態による、熱交換器によって予熱された高温ガスと混合することによる吸引ガスの予熱を伴う、4行程弁制御往復動ピストンエンジンの略図である。
図9bは、部分負荷状態で動作している、図9aに示されているエンジンの略図である。
図10aは、幾つかの例示的な実施形態による、外部で再循環させられる高温排気ガスによって予熱が実現される、エンジンの略図である。
図10bは、幾つかの例示的な実施形態による、外部で再循環させられる高温排気ガスによって予熱が実現される、エンジンの略図である。
図11は、幾つかの例示的な実施形態による、予膨張弁タイミングを伴うこのような過給4行程ピストンエンジンの基本構成の略図である。
図12は、図11による例示的な実施形態によって行われる熱力学的プロセスを示す理論S−T図である。
図13aは、幾つかの例示的な実施形態による、第1のタイプの弁タイミングによる内部排気ガス再循環によって予熱を容易化するように変更されているエンジンの略図である。
図13bは、幾つかの例示的な実施形態による、第1のタイプの弁タイミングによる内部排気ガス再循環によって予熱を容易化するように変更されているエンジンの略図である。
図13cは、幾つかの例示的な実施形態による、第1のタイプの弁タイミングによる内部排気ガス再循環によって予熱を容易化するように変更されているエンジンの略図である。
図13dは、幾つかの例示的な実施形態による、第1のタイプの弁タイミングによる内部排気ガス再循環によって予熱を容易化するように変更されているエンジンの略図である。
図13eは、幾つかの例示的な実施形態による、第1のタイプの弁タイミングによる内部排気ガス再循環によって予熱を容易化するように変更されているエンジンの略図である。
図13fは、幾つかの例示的な実施形態による、第1のタイプの弁タイミングによる内部排気ガス再循環によって予熱を容易化するように変更されているエンジンの略図である。
図13gは、幾つかの例示的な実施形態による、第1のタイプの弁タイミングによる内部排気ガス再循環によって予熱を容易化するように変更されているエンジンの略図である。
図13hは、幾つかの例示的な実施形態による、第1のタイプの弁タイミングによる内部排気ガス再循環によって予熱を容易化するように変更されているエンジンの略図である。
図14aは、別の例示的な実施形態による、第2のタイプの弁タイミングによる内部排気ガス再循環によって予熱を容易化するように変更されているエンジンの略図である。
図14bは、別の例示的な実施形態による、第2のタイプの弁タイミングによる内部排気ガス再循環によって予熱を容易化するように変更されているエンジンの略図である。
図14cは、別の例示的な実施形態による、第2のタイプの弁タイミングによる内部排気ガス再循環によって予熱を容易化するように変更されているエンジンの略図である。
図14dは、別の例示的な実施形態による、第2のタイプの弁タイミングによる内部排気ガス再循環によって予熱を容易化するように変更されているエンジンの略図である。
図14eは、別の例示的な実施形態による、第2のタイプの弁タイミングによる内部排気ガス再循環によって予熱を容易化するように変更されているエンジンの略図である。
図14fは、別の例示的な実施形態による、第2のタイプの弁タイミングによる内部排気ガス再循環によって予熱を容易化するように変更されているエンジンの略図である。
図14gは、別の例示的な実施形態による、第2のタイプの弁タイミングによる内部排気ガス再循環によって予熱を容易化するように変更されているエンジンの略図である。
図14hは、別の例示的な実施形態による、第2のタイプの弁タイミングによる内部排気ガス再循環によって予熱を容易化するように変更されているエンジンの略図である。
図15aは、幾つかの例示的な実施形態による、効率が改善されている2行程ピストンエンジンにおける弁タイミングを示す略図である。
図15bは、幾つかの例示的な実施形態による、効率が改善されている2行程ピストンエンジンにおける弁タイミングを示す略図である。
図15cは、幾つかの例示的な実施形態による、効率が改善されている2行程ピストンエンジンにおける弁タイミングを示す略図である。
図15dは、幾つかの例示的な実施形態による、効率が改善されている2行程ピストンエンジンにおける弁タイミングを示す略図である。
図15eは、幾つかの例示的な実施形態による、効率が改善されている2行程ピストンエンジンにおける弁タイミングを示す略図である。
図15fは、幾つかの例示的な実施形態による、効率が改善されている2行程ピストンエンジンにおける弁タイミングを示す略図である。
図16は、幾つかの例示的な実施形態による、図15aから図15fに説明されている2行程弁タイミングを使用するピストンエンジンシステムの略図である。
図17は、図16の例示的な実施形態によって行われる熱力学的プロセスを示す理論S−T図である。
図18は、幾つかの例示的な実施形態による、段間の水噴射を伴う軸流タービン圧縮機の全体的なレイアウトの略図である。
図19aは、図19bのインペラと拡散器との内側の流体粒子の経路を示す略図である。
図19bは、幾つかの例示的な実施形態による、図18の第1の圧縮機段を拡大図の略図である。
図19cは、図18の例示的な実施形態によって行われる熱力学的プロセスを示す理論S−T図である。
図19dは、図18の例示的な実施形態によって行われる熱力学的プロセスを示すP−V図である。
図20は、1つまたは複数の圧縮段の後に、気化可能な液体の外部タンクの中を作動ガスを通過させることによって圧縮中に液体の気化が行われれる、ピストンエンジンの略図である。
図21は、図20の例示的な実施形態によって行われる熱力学的プロセスを示す理論S−T図である。
図22は、幾つかの例示的な実施形態による、周囲条件に比較して増大した作動ガス圧力および温度において液体の気化が生じる、エンジンの略図である。
図23は、図22による例示的な実施形態によって行われる熱力学的プロセスを示す理論S−T図である。
図24は、幾つかの例示的な実施形態による、周囲条件に比較して増大した作動ガス圧力および温度において液体の気化が生じ、かつ、後膨張が復熱装置の後で行われる、エンジンの略図である。
図25は、詳細なS−T図の形の、図24による例示的な実施形態によって行われる熱力学的プロセスを示す理論S−T図である。
図26は、幾つかの例示的な実施形態による、液体の気化を伴う圧縮が生じる前に、最初に断熱的圧縮がより高い温度レベルに行われる、エンジンの略図である。
図27は、詳細なS−T図の形の、図26による例示的な実施形態によって行われる熱力学的プロセスを示す理論S−T図である。
図28aは、幾つかの例示的な実施形態による、液体噴射タイミングを伴う2行程ピストンおよびシリンダの略図である。
図28bは、幾つかの例示的な実施形態による、液体噴射タイミングを伴う2行程ピストンおよびシリンダの略図である。
図28cは、幾つかの例示的な実施形態による、液体噴射タイミングを伴う2行程ピストンおよびシリンダの略図である。
図28dは、幾つかの例示的な実施形態による、液体噴射タイミングを伴う2行程ピストンおよびシリンダの略図である。
図28eは、幾つかの例示的な実施形態による、液体噴射タイミングを伴う2行程ピストンおよびシリンダの略図である。
図29は、図28aから図28eに示されている液体噴射タイミングを伴う弁制御2行程ピストンエンジンの略図である。
図30は、図29のピストンエンジンによって生じさせられる熱力学的サイクルの理論S−T図である。
図31aは、幾つかの例示的な実施形態による、液体噴射タイミングを伴う4行程ピストンエンジンのピストンおよびシリンダの略図である。
図31bは、幾つかの例示的な実施形態による、液体噴射タイミングを伴う4行程ピストンエンジンのピストンおよびシリンダの略図である。
図31cは、幾つかの例示的な実施形態による、液体噴射タイミングを伴う4行程ピストンエンジンのピストンおよびシリンダの略図である。
図31dは、幾つかの例示的な実施形態による、液体噴射タイミングを伴う4行程ピストンエンジンのピストンおよびシリンダの略図である。
図31eは、幾つかの例示的な実施形態による、液体噴射タイミングを伴う4行程ピストンエンジンのピストンおよびシリンダの略図である。
図31fは、幾つかの例示的な実施形態による、液体噴射タイミングを伴う4行程ピストンエンジンのピストンおよびシリンダの略図である。
図31gは、幾つかの例示的な実施形態による、液体噴射タイミングを伴う4行程ピストンエンジンのピストンおよびシリンダの略図である。
図31hは、幾つかの例示的な実施形態による、液体噴射タイミングを伴う4行程ピストンエンジンのピストンおよびシリンダの略図である。
図32は、図31aから図31hに示されている液体噴射タイミングを伴う4行程ピストンエンジンシステムの略図である。
図33は、図32のピストンエンジンによって行われる熱力学的サイクルの理論S−T図である。
図34aは、幾つかの例示的な実施形態による、冷却損失を最小限にするための断熱燃焼空間を伴うシリンダおよびピストンの略図である。
図34bは、幾つかの例示的な実施形態による、冷却損失を最小限にするための断熱燃焼空間を伴うシリンダおよびピストンの略図である。
図35aは、幾つかの別の実施形態による、冷却損失を最小限にするための内部的に動作させられる流出断熱燃焼空間(internally operated effusion−isolated combustion space)を伴うシリンダおよびピストンの略図である。
図35bは、幾つかの別の実施形態による、冷却損失を最小限にするための内部的に動作させられる流出断熱燃焼空間を伴うシリンダおよびピストンの略図である。
図35cは、幾つかの別の実施形態による、冷却損失を最小限にするための内部的に動作させられる流出断熱燃焼空間を伴うシリンダおよびピストンの略図である。
図36aは、幾つかの別の実施形態による、冷却損失を最小限にするための外部的に動作させられる流出断熱燃焼空間(externally operated effusion−isolated combustion space)を伴うシリンダおよびピストンの略図である。
図36bは、幾つかの別の実施形態による、冷却損失を最小限にするための外部的に動作させられる流出断熱燃焼空間を伴うシリンダおよびピストンの略図である。
図37は、1つの例示的な実施形態による、主4行程ピストンエンジンと、密閉ループ圧縮作動ガスを使用する2行程廃熱回収ピストンエンジンの両方を有する、エンジンシステムの略図である。
図38aは、図37の例示的な実施形態におけるエンジンの熱力学的プロセスを示す理論S−T図であり、および、図37の例示的な実施形態の主4行程ピストンエンジンによって行われる熱力学的プロセスの理論S−T図である。
図38aは、図37の例示的な実施形態におけるエンジンの熱力学的プロセスを示す理論S−T図であり、および、図37の例示的な実施形態の2行程廃熱回収ピストンエンジンによって行われる熱力学的プロセスの理論S−T図である。
図39aは、図37に示されている2行程廃熱回収ピストンエンジンの弁タイミングの略図である。
図39bは、図37に示されている2行程廃熱回収ピストンエンジンの弁タイミングの略図である。
図39cは、図37に示されている2行程廃熱回収ピストンエンジンの弁タイミングの略図である。
図39dは、図37に示されている2行程廃熱回収ピストンエンジンの弁タイミングの略図である。
図39eは、図37に示されている2行程廃熱回収ピストンエンジンの弁タイミングの略図である。
図39fは、図37に示されている2行程廃熱回収ピストンエンジンの弁タイミングの略図である。
図40aは、図37の例示的な実施形態におけるエンジンの別の熱力学的プロセスを示す理論S−T図であり、および、図37の例示的な実施形態の主4行程ピストンエンジンによって行われる熱力学的プロセスの理論S−T図である。
図40bは、図37の例示的な実施形態におけるエンジンの別の熱力学的プロセスを示す理論S−T図であり、および、その廃熱回収ピストンエンジンによって行われる別の熱力学的プロセスの理論S−T図である。
図41は、幾つかの例示的な実施形態による予膨張タービンを伴うターボ過給4行程ピストンエンジンの略図である。
図42は、図41に示されているエンジンによって行われる熱力学的プロセスの理論S−T図である。
図43は、幾つかの例示的な実施形態による予膨張タービンを伴うターボ過給2行程ピストンエンジンの略図である。
図44は、図43のピストンエンジンによって行われる熱力学的プロセスの理論S−T図である。
図45は、幾つかの例示的な実施形態による、復熱装置を通過した後に排気ガスがさらに膨張させられる、ターボ過給ピストンエンジンの略図である。
図46は、図45に示されているピストンエンジンによって行われる熱力学的プロセスの理論S−T図である。
図47は、幾つかの例示的な実施形態による、予膨張タービンと高温熱交換器とを有するターボ過給4行程ピストンエンジンの別の構成の略図である。
図48は、外部膨張装置内で高温排気ガスが膨張させられる前に、その高温排気ガスが高温復熱装置を直接的に加熱する、例示的な実施形態の略図である。
図49は、図48のピストンエンジンによって行われる熱力学的プロセスの理論S−T図である。
図50は、圧縮された新鮮空気の一部分がピストンエンジンをバイパスし、かつ、ピストンエンジンの直後で高温排気ガスと混合させられる、例示的な実施形態の略図である。
図51は、図50によるエンジンによって行われる熱力学的プロセスの理論S−T図である。
図52は、幾つかの例示的な実施形態による、第2の高温復熱装置によって高温度レベルにおいて高温排気ガスを再循環させる、ターボ過給4行程ピストンエンジンの略図である。
図53は、幾つかの例示的な実施形態による、加圧されかつ予熱された新鮮空気と混合することによって高温度レベルにおいて高温排気ガスを再循環させる、ターボ過給4行程ピストンエンジンの略図である。
図54は、幾つかの例示的な実施形態による、新鮮空気が最初に別個に圧縮される、増大した温度および圧力レベルにおいて高温排気ガスを再循環させる、ターボ過給4行程ピストンエンジンの略図である。
図55は、幾つかの例示的な実施形態による、増大した温度および圧力レベルにおいて排気ガスの大部分を再循環させることと、燃焼のための酸素富化(oxygen−enriched)を吸引することとによって半密閉サイクルを行う、ターボ過給4行程ピストンエンジンの略図である。
図56は、再循環させられる排気ガスから過剰な蒸気を取り除くために凝縮器を使用する、ターボ過給4行程ピストンエンジンの略図である。
図57は、幾つかの例示的な実施形態による、圧縮機タービンによる複数中間冷却高圧縮(multiple inter−cooled high−compression)と、復熱装置と、ピストンエンジン内での予膨張と、燃焼室のセラミック断熱と、断熱された排気ガス経路と、ピストンエンジンのクランクシャフトに対して正味機械動力のすべてを供給するための軽微なスロットリング(throttling)とを組み合わせるピストンエンジンの略図である。
図58は、図57に示されている例示的な実施形態によって行われる熱力学的プロセスの理論S−T図である。
図59は、機械的エネルギーの全体量が膨張タービンの軸上に供給される、図57の例示的な実施形態に類似したピストンエンジンの略図である。
図60は、図59に示されている例示的な実施形態によって行われる熱力学的プロセスの理論S−T図である。
図61は、予圧縮がスクリュー圧縮機によって行われかつセラミックおよび流出断熱の組合せを使用する、図57と図59の例示的な実施形態に類似したピストンエンジンの略図である。
図62は、図61に示されている例示的な実施形態によって行われる熱力学的サイクルの理論S−T図である。
図63は、例示的な実施形態による熱交換器とターボ膨張機を有するピストンエンジンの構成を示す。
図64は、理論S−T図における、オットーエンジンの場合の全負荷において行われる熱力学的プロセスの一例を示す。
図65aは、理論S−T図における、スロットルを有する従来のオットーエンジンの場合の、部分負荷において行われる熱力学的プロセスの一例を示す。
図65bは、理論S−T図における、例示的な実施形態による、オットーエンジンの場合の、部分負荷において行われる熱力学的プロセスの一例を示す。
図66は、従来のオットーエンジンと、例示的な実施形態によるオットーエンジンとを比較した、様々な負荷における図効率を示す。
図67は、例示的な実施形態による排気ガス再循環(EGR)を使用するピストンエンジンの構成を示す。
図68は、例示的な実施形態によるピストンエンジンと共に、第1の熱交換器と、ターボ膨張機と、廃熱回収のための第2の熱交換器/冷却器とを有する、ピストンエンジンの構成を示す。
図69は、図6に示されている構成によって廃熱回収が行われる時の、全負荷におけるまたは全負荷付近のオットーサイクルと、部分負荷における例示的な実施形態によるサイクルとの比較の一例である。] 図1 図10a 図10b 図11 図12 図13a 図13b 図13c 図13d 図13e
実施例

[0049] 図面の幾つかの図においては、同じ照合番号が同じまたは類似の構成要素を示す。]
[0050] 実施形態の詳細な説明

等エントロピー圧縮を使用するシステムと方法とが本明細書に説明されている。本発明の特定の実施形態が言及され、この実施形態の例が添付図面に図示されている。本発明はこの実施形態に関連付けて説明されるが、本発明をこれらの特定の実施形態だけに限定することは意図されていないということを理解されたい。これとは反対に、本発明は、添付されている特許請求項によって定義されている本発明の着想と範囲との範囲内に含まれる代替案と変更と等価物とをその範囲内に含むことが意図されている。]
[0051] さらに、以下の説明では、様々な特定の詳細事項が、本発明の完全な理解を実現するために説明されている。しかし、本発明がこれらの特定の詳細事項なしに実施されてもよいということが当業者には明らかだろう。当業者には公知である他の事例、方法、手順、および、構成要素は、本発明の諸側面を不明瞭にすることを避けるために詳細には説明されていない。]
[0052] 気化可能な液体は、作動ガスと共に圧縮状態で気化することが可能な任意の液体であり、したがって作動ガスの温度が気化可能な液体を気化させるのに十分なだけ高い。幾つかの例示的な実施形態では、当業者には理解されるように、この気化可能な液体は、水、エタノール、メタノール、燃料、これらの類似物、および、これらの混合物であってよい。密閉サイクルガスピストンエンジン構成を有する幾つかの例示的な実施形態では、フロン(CFC)によって生じさせられる特定の液体が気化可能な液体として使用されるだろう。幾つかの例示的な実施形態では、この気化可能な液体は水である。幾つかの例示的な実施形態では、この気化可能な液体は燃焼室内で燃焼させられる燃料である。他の例示的な実施形態では、この気化可能な液体は燃料と水の両方の混合物である。]
[0053] 作動ガスに加えられる気化可能な液体の量は、圧縮の終了の直後にその液体のすべてが正確に気化させられるように、すなわち、圧縮行程から出て行く圧縮作動ガスが気化可能な液体からの蒸気によって過飽和にならないように調整される。幾つかの例示的な実施形態では、気化させられる液体の量は、環境内に放出される熱エネルギー(すなわち、より低い方の温度レベルのリザーブに伝達される熱エネルギー)の少なくとも約80%が、放出後の凝縮によって放出される蒸気によって行われるように決定される。約600℃を越える典型的な高い方の温度を有するピストンエンジンでは、作動ガスに加えられる気化可能な液体の量に関する潜在的な気化熱が、ピストンエンジンを駆動する熱エネルギーの約30%から約50%に等しいように、気化可能な液体の量が決定される。]
[0054] 幾つかの例示的な実施形態では、作動ガスは所望の燃料と共に燃焼することが可能な任意のガスである。幾つかの実施形態では、当業者には理解されるように、作動ガスは窒素、ヘリウム、アルゴン、または、他の希ガス、二酸化炭素、酸素、不活性ガス、これらのガスの混合物、または、これらの類似物である。幾つかの実施形態では、作動ガスは、窒素と、例えば天然ガスまたは液体炭化水素を空気と共に燃焼させることによって形成される様々な燃焼生成物との混合物だろう。]
[0055] 気化可能な液体が蒸気に変形させられるプロセスが、蒸発(evaporation)または気化(vaporization)と呼ばれるだろう。凝縮液とは、気化され終わっておりかつ凝縮によって液体に戻され終わっている気化可能な液体である。作動ガスは、推力、熱、エネルギー等を生じさせるように作用するために、ピストンエンジンの中を通過するガスである。]
[0056] 当業者は、予測される例示的な値が個々の例示的な実施形態に基づいて広範囲に様々であるだろうということを理解するだろう。予測される温度は、個々の物理的な具体例における材料の熱的および機械的な耐久性に基づいている。幾つかの例示的な実施形態では、最大の熱的および機械的な耐久性を有する構成要素が、最高の温度と最大の効率とを可能にするために使用される。]
[0057] 当業者には理解されるように、復熱の度合いは、作動ガスが圧縮機から出て行く時のその作動ガスの温度(圧縮端温度)に依存している。より低い圧縮端温度が、排気ガス温度が同じ場合に、復熱装置の効率を増大させる。]
[0058] 本明細書の説明全体において、様々な構成要素の機械的欠陥が、特に指摘しない限り、無視されている。当業者は、個々の実施形態に基づいて予想値が広範囲に変化するだろうということを理解するだろう。予想される温度は、個々の物理的な具体例における材料の熱的および機械的な耐久性に基づいている。幾つかの例示的な実施形態では、最大の熱的および機械的な耐久性を有する構成要素が、最高の温度と最大の効率とを可能にするために使用される。]
[0059] 1.弁タイミングが変更された実施形態
A.高圧の排気

基本的なピストンエンジンは燃焼生成物を大気に直接的に排気する。大気が約1バールかつ約15℃であるので、および、燃焼生成物が著しくより高い温度と圧力にあるので、燃焼生成物を大気中に排気することは無駄が多い。大気は常に約1バールかつ約15℃であるわけではないが、燃焼生成物が典型的には大気よりも高い温度および圧力であることが理解されるだろう。ターボ過給エンジンは、燃焼生成物を膨張タービンの中を通過させることによって、燃焼生成物をより効果的に利用する。しかし、現状のターボ過給エンジンは、燃焼室から排気される燃焼生成物の圧力よりも低い圧力に排気流路が保たれることを必要とする。これは、従来のエンジンタイミングが、排気行程の最後と吸気行程の最初とに吸気弁と放出弁とが同時に開かれることを必要とするからである。したがって、従来のターボ過給エンジンは、典型的には、燃焼生成物が吸気流路の中に環流することを防止するために、排気流路の圧力を吸気流路圧力の圧力以下に維持しなければならない。燃焼生成物をより低い圧力の排気流路の中に排気することが、スロットリング(throttling)の原因となる。このスロットリングによる圧力損失は、有効な仕事を実現するために回収されることも使用されることも不可能なので、熱力学的に非効率的である。したがって、燃焼生成物を排気する前に燃焼生成物の温度と圧力とを使用するための非スロットリングシステム(un−throttled system)を開発することが有利だろう。以下の例示的な実施形態は、これらの問題点に対処するためのピストンエンジンを生み出すことに取り組む。]
[0060] 図1は、採用随意のターボ圧縮機2とターボ膨張機3とを有する定置型の4行程ターボ過給ピストンエンジン1の構成を有する実施形態の略図である。温度と圧力と流量とに関する後述の値は例示的であり、何ら限定的なものではない。この実施形態は、オットーエンジン、ディーゼルエンジン、または、ハイブリッドタイプのエンジンによって使用されるだろう。ターボ圧縮機2が入口4の中を通して新鮮空気を吸引し、この新鮮空気を圧縮し、この時点でより高い温度を有する圧縮空気を採用随意の中間冷却器5に配送する。中間冷却器5は採用随意であるが、幾つかの実施形態では効率と出力の両方を増大させるために使用されるだろう。圧縮機2によって配送される空気圧力は約2.8バールであり、および、その温度は約170℃であるだろう。中間冷却器5は、圧縮空気を約55℃に冷却するだろうが、その圧力を維持し、例えば、その当初の圧力が2.8バールであったなら、最終圧力も2.8バールであるだろう。] 図1
[0061] ガスは入口流路8を通ってシリンダ9の中に入り、シリンダヘッド13内で、噴射ノズル10によって噴射された燃料と混合させられる。あるいは、この代わりに、燃料が入口流路8の中の空気流の中に噴射されてもよい。ピストン7が上方に動く時に燃料と空気は圧縮され、その次に空気/燃料混合気が燃焼する。燃焼からの力がピストン7を下方に駆動する。燃焼生成物が排気収集管12を通して排気される。排気収集管12内の圧力は、排気時のシリンダ9内の圧力と概ね同じ圧力に維持される。排気収集管12内のこの高圧力は、弁またはターボ膨張機3によって維持されるだろう。その次に、排気ガスは、ターボ膨張機3の中を通過させられた後に、概ね周囲圧力において出口16を通して環境内に放出される。]
[0062] 典型的には、ターボ膨張機3は、直接的な連結によってターボ圧縮機2に動力を供給する(すなわち、両方のインペラが同じ1つの軸の上にある)が、これは必ずしもすべての実施形態に必要とされているわけではない。ターボ膨張機3は、同時並行的にまたは連続的に動作する幾つかの互いに独立した部分膨張機で構成されていてもよい。同様に、ターボ圧縮機2は、同時並行的にまたは連続的に動作する幾つかの互いに独立した圧縮機で構成されていてもよい.さらに、機械式圧縮機および/または膨張機が使用されてもよい。例えば、大きな体積の空気流を必要とする非常に大型のエンジンの場合には、幾つかの圧縮機2が、十分な圧縮空気を供給するために同時並行的に備えられてもよい。多数の大型エンジンが、対応する個数のシリンダを有する形で受注生産されるので、各々の適切な体積流量を有する個別の圧縮機タービンを開発および構成する代わりに、対応する個数の圧縮機タービンを形成することが必要だろう。チャージ圧力を増大させるために、特定の圧縮機タービンの設計圧力を増大させる代わりに、2つ以上の圧縮タービンが連続的に配置されてもよい。さらに、例えばスクリュー圧縮機として、圧縮機タービンと機械式チャージャとを組み合わせることも可能である。少なくとも中程度の排気ガス温度の場合には、機械式膨張機も使用可能である。一例がスクリュー膨張機であり、これらのエンジンは圧縮機として動作するが、その回転方向を逆転させる時に膨張機としても機能することが可能である。]
[0063] 幾つかの実施形態では、弁6、11が、それぞれにカムシャフト14、15上に取り付けられているカム14a、15aによって駆動される。これらの弁6、11は、ピストンシリンダ9と排気ガス収集管12との間の制御手段の1つの実現からのカム14a、15aとカムシャフト14、15と共に。]
[0064] 弁タイミングは、膨張サイクルの最後のシリンダ9と排気ガス収集管12との間の圧力低下がそのシステムが許容する技術的制限と同じだけ低いように、膨張行程後にピストンエンジン1からの高温でかつ加圧された排気ガスの流れを制御する。]
[0065] 従来のエンジンでは、吸気弁6と放出弁11との弁タイミングは、この両方の弁が排気行程の大部分において同時に開いているということである。本明細書に説明されている例示的な実施形態では、吸気弁6と放出弁11の両方を開くことが、排気ガス収集管12からシリンダ9を通って入口流路8の中への大量の環流の原因となるだろう。このことが、空気がエンジン内に吸引されないので、エンジンの故障の原因となることがある。]
[0066] さらに、現行のターボシステムで行われているように、排気ガス収集管12内の圧力をターボ圧縮機2から送り込まれる空気の圧力よりも低く低下させることが、エンジンの効率を大きく減少させる。したがって、本明細書に説明されている例示的な実施形態の原理による、図1に示されているエンジンの構成と弁6、11の制御タイミングが、この環流の問題を回避し、および、排気ガス収集管12内のガスのより高い圧力を維持する。] 図1
[0067] 膨張タービン3は収集管12から高温の加圧ガスを吸引して周囲圧力に膨張させ、この後で、排気ガスが出口16を通して環境に放出される。]
[0068] 図2aから図2eは、幾つかの例示的な実施形態による弁タイミングを示す略図である。エンジン1の吸気行程の過程中には、吸気弁6が開いて、上死点から離れて下方に移動するピストン7によって、入口流路8を通してシリンダ9の中に圧縮空気を吸引する(図2a)。その次に吸気弁6が閉じる。圧縮行程の過程の中で、ピストン7は上死点に上昇し、これによってシリンダ9の中に吸引された空気を圧縮する(図2b)。上死点位置の付近では、噴射ノズル10が燃料をシリンダの中に噴射する。ディーゼルエンジンでは、圧縮空気の高温度のために、この空気/燃料混合気は直ちに発火するだろう。他の実施形態では、スパークプラグからの火花が必要とされるだろう。他の実施形態では、圧縮空気がシリンダ内に送り込まれる前に、燃料がその圧縮空気に加えられるだろう。燃焼行程中は、燃料が燃焼して急速に膨張し、これによってピストン7が上死点を離れて下方に移動することを生じさせる。] 図2a 図2b 図2e
[0069] 排気行程の過程中は、排気が次のように放出されるだろう。ピストン7が下死点に到達するか、下死点付近に達した直後に、放出弁11が開き、シリンダ9の内容物を排気ガス収集管12に流体連通する(図2c)。排気ガス収集管12内のガス圧力は、放出時におけるシリンダ9内のガス圧力と実質的に同じ圧力に、例えば8バールに維持されるだろう。ピストンエンジン1が断続的に動作する最中に膨張タービン3が連続的に動作するので、収集管内にはわずかな圧力変動しかないだろう。] 図2c
[0070] ピストン7は、上方に移動することによって、シリンダ9内の圧縮された燃焼ガスを排気ガス収集管12の中に放出する(図2d)。シリンダ9と排気ガス収集管12との間の圧力差が比較的小さいので、単純なガス移動プロセスが行われるだろう。この移動プロセスは、従来のエンジンで行われるスロットリングのプロセスとは異なっており、このことは、ガス収集管がシリンダ9よりも低い圧力であることの結果である。] 図2d
[0071] ピストン7が上死点に達すると、放出弁11が閉じる。シリンダ9内の少量の残留ガスの圧力が依然として排気ガス収集管12内の圧力と同じだけ高く、したがって、入口流路8内の圧力よりも著しく高い。シリンダから入口流路の中への高圧力の環流を防止するために、ピストン7は最初に下方に移動するだろう。その次に、吸気弁6が再び開いて、ターボ圧縮機2から入口流路8を通して圧縮空気を吸引する(図2e)。] 図2e
[0072] 入口圧力が2.8バールで収集管圧力が8バールである説明されている実施形態では、ピストンの下方移動が、入口ピストン6が開かれる前にシリンダ内の圧力を下降させるために必要だろう。シリンダ内の圧力は、入口圧力よりも低い圧力に、例えば2.8バールよりも低い圧力に低下させられるだろう。幾つかの実施形態では、ピストン7とシリンダヘッド13との間の空間が2倍にされるだろう。その次に、吸気行程を完了させるためにピストン7がさらに下方に移動することによって、ピストン7が入口流路8を通して空気を吸引するように吸気弁6が開く。]
[0073] 幾つかの実施形態は後期燃焼(late combustion)を使用するだろう。後期燃焼の場合には、燃焼行程中に、ピストン7が上死点位置から下方に移動し始め終わった時に燃料が燃焼させられる。後期燃焼プロセスにおいては、すでに生じているピストン移動のために燃焼容積がより大きいので、通常の燃焼プロセスの場合よりも低い膨張比が存在する。しかし、下死点位置における最終容積は同一のままである。このことは、排気ガス収集管の中への放出の瞬間における圧力と温度の両方が増大させられるだろうということを意味する。したがって、シリンダ9内のガスは従来のサイクルの場合よりも高温でありかつより高い圧力である。本実施形態によるシステムは、この追加の温度および圧力を使用するだろう。ガス移動サイクルは、図1と図2を参照して上述した通りに維持されるだろう。小さな相違点は、吸気弁6が再び開く前にピストン7がシリンダ9内でさらに下方に移動するということである。言い換えると、シリンダ9内のガス圧力が入口流路8内の圧力のそれと等しいために、吸気弁6が開く前にピストンが上死点から移動する距離が、従来のサイクルのそれよりも大きい。排気ガス収集管は、より高い温度および圧力において排気ガスを送り込まれるだろう。膨張タービン3は、従来のサイクルの場合よりも多くの機械的エネルギーを供給するためにこのガスを膨張させる。この機械の効率は、エンジン1と、圧縮機2と中間冷却器5と膨張タービン3を備えるターボ複合システムとの組み合わせ動作の場合には、約50%の出力の上昇に等しい50%の燃焼延長(combustion extension)において、わずかしか低下させられない。燃焼延長とは、この場合に、燃料の噴射および燃焼の時間が50%増大させられ、すなわち、噴射時間と噴射燃料の量とが通常の場合よりも大きいということを意味する。] 図1
[0074] 従来のエンジンでは、このいわゆる「後期燃焼」または「延長燃焼(extended combustion)」は、ピストンがすでに下方に移動させられ終わり、作動ガス圧力を低下させているか、または、作動ガスが体積を増大させられ終わり、したがって作動ガス密度を低下させ終わっているので、燃料の大部分が、燃焼開始時よりもすでに低い作動ガス圧力および/または密度で燃焼させられるということを意味する。したがって、残存膨張比は急速燃焼(例えば、ガスエンジンの場合のように等積燃焼に近い)の場合よりも低く、および、早期燃焼(early combustion)」の場合のように、より少ない機械仕事が残存膨張長さにおいて取り出されるだろう。したがって、排気圧力と排気温度の両方がより高い。従来の排気ガススロットリング(exhaust gas throttling)の場合には、吸気圧力が同一のままであるが排気圧力が低下させられているので、さらにより高いスロットリング比(throttling ratio)が生じる。このことが従来のエンジンにおいて効率を低下させる。しかし、このことは、残りの「後期の(late)」膨張の大部分が膨張タービンに移行させられて利用可能なので、本発明には当てはまらない。機械的エネルギーの大きな損失は必ずしも生じない。増大した量の燃料を燃やすことによるより高い発火力(firing power)によって、ピストンエンジンと膨張タービンとの組み合わされた機械動力も増大させられるだろう。この効果として、同様のまたはより高い効率を有する、より強力なエンジンが得られる。]
[0075] 図3は、シリンダヘッド13と、排気断熱を使用する排気流路17との一部分の拡大図を示す。排気断熱は、図1と図2a−2eとに説明されている高圧排気収集を扱う時に有効だろうが、あらゆる排気流路において使用可能である。図3は、排気流路17を取り囲む材料の中に形成されている断熱室18a、18b、18cを示す。これらの断熱室は流体を取り除かれているかまたは流体で満たされている。幾つかの実施形態では、内側表面19a、19b、19cは、放熱損失を最小限にするために高反射性の材料で覆われている。例えば、この内側表面は、蒸着されたアルミニウムまたはクロムで覆われているだろう。他の断熱手段も採用可能であり、例えば、低い熱伝導率を有するセラミック被覆が使用されてもよい。あるいは、この代わりに、幾つかの実施形態では、排気流路全体が、低い熱伝導率を有する材料で作られている。] 図1 図2a 図3
[0076] 図4は、排気断熱のための別の実施形態を具体化するシリンダヘッド13の一部分の拡大図を示す。この実施形態では、断熱手段は1つまたは複数のインサートである。インサート20、21は排気流路17の表面上に配置されている。幾つかの実施形態では、これらのインサート20、21は、セラミック材料のような低い熱伝導率を有する材料で作られている。幾つかの空洞20a、21aが、排気流路17の表面に面するインサート20、21の表面上に形成されてもよい。空洞20a、21aはインサート20、21を排気流路17の表面から分離する。ブリッジ20b、21bが、インサート20、21を支持する空洞20a、21aの間に配置されてもよい。インサート20、21は、空洞20a、21aとブリッジ20b、21bと共に、高温の排気ガスによって及ぼされる圧力を吸収し、および、有効な排気断熱手段を提供するだろう。インサートは、エンジンの製造後に装着されてもよい。] 図4
[0077] 図5は、入口管57における吸気弁51と、排気管60における放出弁52とがそれぞれに制御装置55によってソレノイド53、54によって電気的に制御される、ピストンエンジン50の略図である。この実施形態では、これらの弁のタイミングは、このタイミングがカムシャフトの回転に必ずしも依存してはいないので、制御および調整がより容易である。スパークプラグ58も示されており、このスパークプラグ58は、空気/燃料混合気に点火するためにピストン室59の中にスパークを放出し、これによって上述の実施形態の場合のようにピストン56を下方に押し下げる。] 図5
[0078] 図6は、4行程ピストンエンジン100と、ターボチャージャ101と、発電機108とを有する、複合ターボシステムの全体的なレイアウトを示す。通常は、出口管107と排気管109との間に配置されている膨張タービン104からの機械動力が圧縮機102を駆動して、入口105を通して吸引された空気を圧縮する。この実施形態では、膨張タービン104からの余剰分の機械動力が、発電機108を駆動するためにも使用されるだろう。あるいは、この代わりに、膨張タービン104は、ピストン主エンジンのカムシャフトまたは駆動シャフトにより多くの機械動力を供給するために、このカムシャフトまたは駆動シャフトに連結されることが可能である。] 図6
[0079] この構成は、排気ガス収集管107内の比較的低速で動く排気ガスの静圧を利用するだろう。ピストン主エンジンからの高速で動く排気ガスの衝撃をそのタービンが使用する別の構成が使用されてもよい。]
[0080] 上述の実施形態は多数の利点を有するだろう。エンジンの放出サイクルがスロットリングプロセスではなく高温ガスのための排気プロセス(displacement cycle)なので、温度と圧力と比容積とエントロピーとが、膨張サイクルの最後におけるピストン主エンジンのシリンダと排気ガス収集管との間で概ね一定不変のままである。このことが、ターボ膨張機がエントロピーの増大無しに周囲圧力への高温ガスの完全な膨張を生じさせることを可能にする。]
[0081] 現行のエンジンは、動作および煙道排気ガスの吸気と排気を画定して生じさせる弁/カムシャフト組合せのような制御手段を含むように改造されてもよい。コンピュータが、弁タイミングをさらに適合化する追加のアクチュエータを制御してもよい。さらに、上述した追加の膨張手段が、エンジン効率を大きく改善するために使用されてもよい。例えば、幾つかの実施形態では、4行程エンジンのカムシャフトが、上述したタイミングを有するカムシャフトによって置き換えられ、および、追加の膨張装置が取り付けられるか、または、膨張装置がすでに存在する場合には、この膨張装置が新しくかつより強力な膨張装置で置き換えられてもよい。]
[0082] 初期効率に応じて、追加の燃料を必要とすることなしに、上述の実施形態によるターボ過給ピストンエンジンに関して、機械動力の20%の増大が可能だろう。さらに、断熱された排気流路が、エンジンからの高温ガスからの熱エネルギーの損失を減少させて、膨張タービンによって供給される機械動力を大きく増大させるだろう。さらには、後期燃焼が使用される場合には、効率を大きく低下させることなしにエンジンの出力がさらに増大させられるだろう。このことは、そのエンジンの比設置コスト(specific installation cost)(kW当たりのコスト)が低下させられるだろうということを意味する。]
[0083] B.予膨張
1.予膨張弁タイミング

部分負荷エンジンは、全負荷エンジンと同じだけ多くの出力を供給する必要はない。したがって、エンジンの部分負荷状態中に、より少ない燃料しか必要とされない場合に、より少ない燃料を消費するための方法を考案することが有利だろう。次の実施形態が、ピストンエンジンが吸引された空気/燃料混合気を圧縮行程と燃焼行程との前に予膨張させるように弁タイミングを変更することによって、より高い燃料効率を実現する。後述する変更された弁タイミングが部分負荷エンジンに関連しており、および、従来の全負荷エンジンの弁タイミングと比較されるということに留意されたい。しかし、この変更された弁タイミングは、特定の全負荷用途において、特に、後述するように予熱された吸気ガスと共に使用される時には、有利だろう。]
[0084] 図7aから図7hは、幾つかの実施形態による4行程弁制御式往復動ピストンエンジンに関する弁タイミングを示す。図7aは、全負荷状態または部分負荷状態の両方で生じる、スパークプラグによるかまたは自己着火燃料の噴射による上死点位置着火における、エンジンシリンダ490内のピストン491の位置を示す。吸気弁492と放出弁493の両方が閉じた状態のままである。] 図7a 図7h
[0085] 図7bは、ピストン491が下方にかつ下死点位置の付近または下死点位置に移動し、放出弁493が全負荷と部分負荷の両方の状態において開くということを示す。高温排気ガスが、開いた放出弁493を通って放出を開始する。部分負荷中には、シリンダ490内の排気ガス圧力が周囲圧力を下回ることがあり、および、排気行程の開始時には、開いた放出弁493を経由したシリンダ490内への環流が生じることがあるということが理解されるだろう。このことは、周囲圧力とシリンダ圧力とが概ね等しい時に放出弁493の開きを可能にする可変的な放出弁タイミングによって回避されるだろう。] 図7b
[0086] 図7cに示されているように、全負荷状態と部分負荷状態の両方において、ピストン491は上方に移動して、開いた放出弁493を通して高温排気ガスをシリンダ490から強制的に送り出す。ピストン491が上死点位置に達するかまたはこの付近に到達する時に、図7dに示されているように、放出弁493が閉じて、吸気弁492が開き始める。このことは、吸気管内の空気または空気/燃料混合気が開いた吸気弁492を通ってシリンダ490の中に移動し始めることを意味する。これは、部分負荷状態と全負荷状態との最中に生じる。] 図7c 図7d
[0087] 図7eは、部分負荷状態と全負荷状態の両方での、この吸気行程におけるその下方移動の過程中のピストン491の中間位置における弁位置を示す。全負荷状態では、吸気弁492は開いたままである。吸引された空気または空気/燃料混合気の質量を制限するために、部分負荷においては、著しくより早期に吸気弁492が閉じ始める。] 図7e
[0088] 図7fに示されているように、全負荷においては、ピストンはその下死点位置に向かって下方に移動するが、一方、吸気弁は吸気行程の全体において開いたままである。しかし、部分負荷においては、この弁は、ピストンが下死点位置に達し終わる前に閉じる。このことが、吸引された新鮮空気または空気/燃料混合気が予膨張することと、温度が低下することとを引き起こす。] 図7f
[0089] 次に、図7gに示されているように、全負荷状態では、ピストン491がその下死点に達する時に吸気弁492も閉じる。部分負荷状態では、吸気弁492は長時間にわたってすでに閉じており、および、シリンダ490内の空気または空気/燃料混合気がすでに予膨張させられている。したがって、この予膨張は、空気または空気/燃料混合気の圧力と温度の両方を低下させる。] 図7g
[0090] 吸引行程の過程中にスロットリングがなかったことが理解されるだろう。したがって、圧力が周囲圧力から著しくより低い値に低下しており、このことは、スロットリング、または、他の効率を悪化させる状態変化をもたらすことなしに、吸引された空気または空気/燃料混合気の質量がすでに減少させられているということを意味する。減少した質量の吸気は、負荷の減少を意味し、したがって部分負荷が高い効率で実現される。]
[0091] 図7hに示されているように、全負荷状態と部部負荷状態の両方において、ピストン491が上昇し、および、シリンダ490内で空気または空気/燃料混合気を圧縮する。] 図7h
[0092] 2.部分負荷用途における燃料消費を管理するために入口空気を予熱しかつ予膨張弁タイミングを使用するシステム

上述の予膨張プロセスは、膨張中にピストン室内の空気/燃料混合気の温度と圧力を低下させる。したがって、予膨張を使用する時に圧縮温度は同様により低く、このことが、燃焼前の燃料凝縮および圧縮端温度低下と他の効率低下効果とを生じさせるだろう。したがって、ピストン室の中に吸引される空気を予熱することが有利だろう。次で説明する実施形態は、新鮮に吸引された空気を予熱することによって、これらの問題に対処する。その次に、予熱された吸引空気は、予熱された空気/燃料混合気を予膨張させるために、上述した変更された弁タイミングを有するシリンダの中に入る。しかし、空気/燃料混合気が予熱され終わっているので、ピストン内の最終膨張温度は依然として全負荷モータの類似の温度と同じであるかまたはこの温度よりも高いだろう。したがって、燃焼前の圧縮端温度は維持されるか、または、さらには従来のエンジンよりも高いだろう。]
[0093] a.熱交換器と予膨張弁タイミング

図8aは、全負荷で動作する、熱交換器455と3方向制御弁456とを有する4行程弁制御式往復動ピストンエンジンの具体例を示す。このエンジンは、シリンダ450内をスライド可能なピストン451を備える。吸引空気の吸気が吸気弁452によって制御され、および、燃焼ガスの排気が放出弁453によって制御される。図8aは、エンジンが全負荷または全負荷付近で動作している状態を示す。] 図8a
[0094] 新鮮空気または空気/燃料混合気が、例えば15℃かつ1バールのような通常の条件下で入口454を通して吸引され、および、熱交換器455の中を通過する。エンジンが全負荷または全負荷付近で動作している時に、非常にわずかな加熱がこの熱交換器455内で生じ、および、吸引されたガスが吸引時とほぼ同じ温度および圧力において熱交換器455から出て行く。熱交換器455を通過することによって引き起こされる圧力損失は、説明を容易にするためにこの説明では無視される。温度と圧力と流量に関する後述の値は例示的であって、何ら限定的なものではない。]
[0095] シリンダ450が必要に応じて吸引ガスで完全に満たされるように、ガス流が吸気弁452によって制御される。通常の圧縮行程と燃焼行程と膨張行程との後に、放出弁453が開き、および、例えば1バールで1000℃の高温排気ガスがピストン451の上方移動によってシリンダ450から出て行くことを可能にする。高温排気ガスが、排気ガスの流れを制御するフラップ457を有する3方向制御弁456を通過する。全負荷状態では、フラップ457はすべての排気ガスが通過することを可能にし、および、排気ガスを出口458を通して大気中に放出する。部分負荷状態では、この3方向制御弁は、連結流路459に連結し、この連結流路459は、冷却されたガスを出口管460を通して排気する前に入口空気の予熱という加熱目的のために高温排気ガスを熱交換器455に送るように、熱交換器455に至る。]
[0096] 図8bは、部分負荷状態で動作する、熱交換器455と3方向制御弁456とを有する同じ4行程弁制御式往復動ピストンエンジンを示す。部分負荷状態では、新鮮空気または空気/燃料混合気が、例えば15℃かつ1バールのような通常の条件で、入口454を通して吸引される。新鮮空気または空気/燃料混合気は熱交換器455の中を通過する。このエンジンが部分負荷状態で動作している間は、熱交換器455は圧力を維持しながら吸引ガスの温度を200℃に上昇させる。] 図8b
[0097] 部分負荷状態では、吸気弁452の弁タイミングが、予膨張を生じさせるように調整される。この弁動作は、すでに図7aから図7bを参照して詳細に上述されている。この予膨張サイクルの最後には、ピストン451が下死点に達し終わった時に、そのガスの圧力と温度の両方が低下させられ終わっている。このことは、新鮮ガスの圧力が全負荷状態の場合よりも著しく低い時点から圧縮行程が始まるということを意味する。しかし、吸引ガスが熱交換器455内で予熱されたので、その吸引ガスの温度が全負荷状態におけるその吸引ガスの温度に少なくとも等しいかまたはこの温度よりも高い。したがって、圧縮端温度は、全くスロットリングなしに、全負荷と同等に維持されるだろう。] 図7a 図7b
[0098] 通常の圧縮行程と燃焼行程と膨張行程との後に、放出弁453が開き、および、例えば1000℃かつ1バールの高温排気ガスがピストン451の上方移動によってシリンダ450を出て行くことを可能にする。高温排気ガスが、高温排気ガスの大部分を流路459としたがって熱交換器455との中に送り込む位置にあるフラップ457を有する3方向制御弁456を通過する。この場合に、高温排気ガスは、吸引された空気または空気/燃料混合気を予熱し、および、最終的には出口460を通って環境内に放出される。]
[0099] 3方向制御弁456内のフラップ457の位置を調整することによって、熱交換器455の中に送り込まれる高温排気ガスの量が制御されるだろう。したがって、熱交換器455を出て行きかつ吸気弁452に送り込まれる新鮮ガスの温度は、部分負荷効率の増大のための動作要件にしたがって任意の所望の温度に設定されることが可能である。]
[0100] b.非遅延使用のための予熱された熱交換器と予膨張弁タイミング

図8aと図8bを参照して説明した構成は、フラップ457が典型的には動かされなければならず、かつ、高温排気ガスが流路459を通って流れなければならず、かつ、熱交換器455が加熱されなければならないので、負荷の変化が急速に生じる時に新鮮空気の温度の上昇において遅延を生じるだろう。したがって、図9aと図9bとによる構成は、負荷が急速には変化しない定置型用途または船舶用用途に適しているだろう。] 図8a 図8b 図9a 図9b
[0101] 乗用車またはトラックのような自動車用途では、突然の負荷変化に応答するために吸引空気または空気/燃料混合気の温度が迅速に加熱されるように、熱交換器をより高い温度に連続的に維持することが有利だろう。]
[0102] 図9aと図9bは、熱交換器がより高い温度に維持されることがあるこうした実施形態を示す。幾つかの実施形態では、特定の体積の高温空気が、2重入口474、475と熱交換器476と制御可能な混合機477とによる即時的な使用のために貯蔵される。部分負荷状態(例えば、アイドリング中の乗用車)のピストンエンジンが、熱を取り出すために、そうでない場合には廃棄されることになる高温排気ガスが熱交換器476の中を通過することを生じさせる。その次に、この熱は、エンジンの中に吸引され空気を予熱するために使用される。その次に、予熱された吸引空気は、新鮮空気と予熱された空気とを所望の比率に混合する制御可能な混合機477の中を通過する。その次に、上述したように、混合させられた空気は、予熱された空気/燃料混合気を予膨張させるために、上述した変更された弁タイミングによってピストンの中に入る。] 図9a 図9b
[0103] この設計の利点は、熱交換器が高温状態のままであることが可能であるということである。したがって、エンジンは、制御可能な混合機477において混合比を単に変更することによって、遅延なしに突然の負荷変化に応答するだろう。]
[0104] このピストンエンジンは、通常通りに、ピストン471が中で往復動するシリンダ470を備える。吸気が吸気弁472によって制御され、および、燃焼ガスの排気が放出弁473によって制御される。図9aは、ピストンエンジンが全負荷または全負荷付近で動作している実施形態を示す。] 図9a
[0105] 空気または空気/燃料混合気が、例えば15℃および1バールのような通常の条件の下で入口474を通して吸引され、および、制御可能な混合機477の中に直接的に入り、この混合機477内では、空気または空気/燃料混合気は、入口475を通して吸引される空気または空気/燃料混合気の別の部分と混合させられ、および、熱交換器476によって加熱されることが可能である。混合比と、したがって、吸気弁472に送り込まれるガスの温度とが、例えば可動フラップ478a、478bによって、自由に制御されることが可能である。]
[0106] エンジンが全負荷または全負荷付近で動作している時には、予熱された空気との非常にわずかな混合がこの混合機477内で起こり、および、吸引されたガスが、吸引時と概ね同一の温度および圧力で混合機477を出て行く。このガス流は、吸引されたガスでシリンダ470が所望の通りに完全に満たされるように、吸気弁472によって制御される。通常の圧縮行程と燃焼行程と膨張行程との後に、放出弁473が開き、および、例えば1000℃かつ1バールの高温排気ガスが、ピストン471の上方移動によってシリンダ470を出て行くことを可能にする。この高温排気ガスは、排気ガスの流れを制御するフラップ480を有する3方向弁479を通過する。全負荷状態では、フラップ480が排気ガスの大部分が通過することを可能にし、および、排気ガスを出口481を通して大気中に放出する。熱交換器476が動作温度に維持され、かつ、迅速な負荷変化のために必要とされる十分な量の空気または空気/燃料混合気を予熱することが可能であるように、その高温排気ガスの少量の部分だけが流路482に送られる。]
[0107] 全負荷状態においてさえ、1つの例示的な実施形態では最大限で25%の特定の量の高温排気ガスが、混合機477内のプラップ478a、478bが位置を迅速に変化させる場合に、十分な熱リザーブ(thermal reserve)を維持するために、熱交換器476を通して送られる。このことが、加熱されていない空気の量を減少させ、および、ガスがピストンエンジンの中に送り込まれる前にそのガスのより高い混合温度を制御するために使用可能な予熱された空気の量を増大させる。このことは、さらに、排気流路482を温かく保つ。熱交換器の中を通して送られない残りの排気ガスは、出口483を通して放出されるだろう。]
[0108] 一般的に、この実施形態は、ピストンエンジンによって吸引される空気または空気/燃料混合気の温度変化に関連している負荷変化に対するより迅速な応答を示すだろう。さらに、幾つかの実施形態では、吸気弁472に送り込まれるガスの温度が、混合温度を即時的に変化させるためにフラップ478を動かすことによって、より精確に制御される。]
[0109] 3方向制御弁479が採用随意であることを理解されたい。こうした3方向制御弁なしで、一定不変の量の高温排気ガスが熱交換器476の中を通して送られるが、このことは複雑性とコストとを低減させるが、空気が吸引されていない時にさえ一定不変の高い排気ガス温度に熱交換器476を曝すことがある。]
[0110] 図9bは、部分負荷状態におけるフラップ位置とガス流とを示し、この場合も同様に、空気または空気/燃料混合気が、例えば15℃かつ1バールのような通常の条件において入口474を通して吸引され、および、混合機477に進む。さらに、空気または空気/燃料混合気は、例えば15℃かつ1バールのような通常の条件において入口475を通して吸引され、および、熱交換器476の中に入り、この熱交換器内で400℃に加熱される。この熱交換器から、空気または空気/燃料混合気は混合機477に進む。ここでは、フラップ478aが全負荷状態においてより小さく閉じられ、一方、熱交換器476からの予熱されたガスの流れを制御するフラップ478bは、〜180℃の混合温度を得るように、全負荷状態の場合よりも大きく開いている。この予熱され混合させられたガスは、シリンダ470の中への吸気のために吸気弁472に案内される。非限定的な具体例では、15℃における入口474からの空気の約57%の部分と、400℃における熱交換器476からの予熱された空気の約43%の部分とが、所望の温度180℃を得るために混合させられる。] 図9b
[0111] 部分負荷状態中は、吸気弁472の弁タイミングは、予膨張を生じさせるように調整される。この弁の動作は、図7aから図7hを参照してすでに詳細に上述されている。この予膨張はピストン室内の温度と圧力の低下を生じさせるが、上述したように空気が熱交換器によって予熱されるので、部分負荷における予圧縮温度は全負荷における予圧縮温度と同じである。したがって、圧縮端温度は、スロットリングなしに、少なくとも全負荷と同等に維持される。] 図7a 図7h
[0112] 通常の圧縮行程と燃焼行程と膨張行程との後に、放出弁473が開き、および、例えば1000℃かつ1バールの高温排気ガスが、ピストン471の上方移動によってシリンダ470を出て行くことを可能にする。極端な部分負荷状態中は、下死点位置における膨張端圧力が周囲圧力を大きく下回っておりかつ早期の弁開放が使用可能な機械的エネルギーの損失の原因となる可能性があるので、放出弁は、ピストン471がすでに上方に移動し終わった後に開くだろう。]
[0113] 高温排気ガスは、高温排気ガスの大きい方の部分が流路482の中に入ることを可能にし、したがって、より高い熱を熱交換器476に供給することを可能にする位置にある、フラップ480を有する3方向弁479を通過する。この場合には、高温排気ガスが吸引空気または空気/燃料混合気を予熱し、および、最終的には出口483を通って環境内に排出される。]
[0114] 混合機477内のフラップ478a、478bの位置を調整することによって、混合機477を出て吸気弁472の中に送り込まれるガスの温度が、部分負荷効率の増大のための負荷要件にしたがって任意の所望の温度に設定されることが可能である。3方向弁479は追加の制御手段を提供する。]
[0115] 各ピストンエンジンの全体的効率を最適化するために、熱交換器455、476および/または混合機477内の実際の予熱温度と、吸気弁472の実際の弁タイミングとが、試運転によって決定されるだろう。一般的に、負荷が低下するのに応じて、予熱温度が上昇し、および、吸気弁はより早期に閉じ始めるだろう。このことは、より大きな膨張を意味するが、予熱温度が上昇するのに応じて、予膨張端温度が十分に高い温度に維持される。典型的には、吸気弁472に送られる前の吸引された空気または空気/燃料混合気の温度上昇は、10%以下であり得る負荷に応じて、50℃から250℃の温度である。この実施形態が部分負荷において著しくより高い効率を可能にするので、燃料消費は従来のエンジンの燃料消費よりも著しく少ない。]
[0116] この実施形態がオットーエンジンに適用可能であるだけではなく、ディーゼルエンジンにも適用可能であることを理解されたい。さらに、この場合に、燃焼行程中に機械的圧縮仕事を減少させるために、部分負荷中に吸引空気の量を減少させることが有益だろう。上述したように、予熱が、圧縮行程の最後における等しく高いかまたはさらにはより高い圧縮端温度を確実なものにし、噴射された燃料を発火させる効率と能力の両方が維持されるだろう。これに加えて、この場合における対応するより低い平均圧力が、部分負荷中においてエンジン上の機械的負荷を減少させ、および、多くの場合に、燃料を燃焼させることによって生じさせられる機械的エネルギーを最大限に利用するように、膨張行程の最後におけるシリンダ内の作動ガスの完全な膨張を確実なものにする。]
[0117] c.排気再循環混合機および予膨張弁タイミング

部分負荷エンジンの場合には、吸気ガスが完全に新鮮であることは不必要である。排気ガスの特定の部分を再循環させることが有利だろう。吸引された空気または空気/燃料混合気を予熱するために熱交換器を使用する代わりに、高温排気ガスの小さな部分が加熱のために直接的に使用されるだろう。この場合に、混合させられた空気は、上述したように、予熱された空気の利点を実現するのに十分なだけ温かいだろう。]
[0118] 図10aと図10bは、外部で再循環させられる高温排気ガスによって予熱が実現される実施形態を示す。このピストンエンジンは、ピストン1001が中を通常通り上下に移動するシリンダ1000を備える。吸気は吸気弁1002によって制御され、および、排気は放出弁1003によって制御される。図10aは、全負荷または全負荷付近で動作しているピストンエンジンを示す。温度と圧力と流量とに関する後述の値は例示的であり、何ら限定的なものではない。] 図10a 図10b
[0119] 空気または空気/燃料混合気が、例えば約15℃かつ1バールのような通常の条件において入口1004を通して吸引され、および、混合機1005を通過する。エンジンが全負荷または全負荷付近において動作しているので、非常に少量の高温排気ガスが、吸引された空気または空気/燃料混合気と混合させられる。幾つかの実施形態では、冷却された排気ガスが、ピストンエンジンに送り込まれるガスの温度を著しく上昇させることなしに排気ガス再循環を実現するように混合させられる。したがって、吸引されたガスは、吸引時と概ね同じ温度と圧力で混合機1005を出て行く。ガス流は、シリンダ1001が所望の量のガスで満たされるように吸気弁1002によって制御される。]
[0120] 通常の圧縮行程と燃焼行程と膨張行程との後に、放出弁1003が開き、および、例えば1000℃かつ1バールの高温排気ガスがシリンダ1000を出て行くが、これはピストン1001の上方移動によって生じさせられる。高温排気ガスが、排気ガスの流れを制御するフラップ1007を有する3方向弁1006を通過する。全負荷においては、フラップ1007は概ねすべての排気ガスを通過させ、および、出口1008を通して排気ガスを環境内に放出し、すなわち、混合機1005に通じる連結流路1009を閉じる。]
[0121] 全負荷または比較的より高い負荷において排気ガスの再循環が必要とされる場合には、3方向弁1006は所望の量の高温排気ガスを連結流路1009に送り込むだろう。幾つかの実施形態では、吸引された空気の温度が著しくは上昇させられず、および、採用随意の冷却器1010が、再循環させられる高温排気ガスを冷却するために備えられるだろう。この冷却器1010は、部分負荷中に再循環排気ガスの温度を上昇させるように、動作させられるか、または、制御可能なパイパス管1011によってバイパスさせられるだろう。]
[0122] 図10bは、部分負荷動作中のフラップ位置とガス流とを示し、この場合も同様に、空気または空気/燃料混合気が、例えば15℃かつ1バールのような通常の条件において入口1004を通して吸引され、および、混合機1005に進む。この場合に、エンジンが部分負荷において動作しているので、混合機1005は、対応する量の高温排気ガス中で混合することによって、吸引ガスの温度を200℃に上昇させると同時にその吸引ガスの圧力を維持する。一実施形態では、その混合気の約20%が再循環排気ガスによって構成されているだろうが、任意の適切な量の再循環排気ガスが使用されてよいということが理解されるだろう。このことは、少なくとも吸引された空気または空気/燃料混合気の中程度の温度上昇(例えば、200K以下)の場合には、外部排気ガス再循環は比較的に単純で低コストの選択肢であるということを意味する。] 図10b
[0123] 部分負荷中は、シリンダ1001が予熱ガスで完全に満たされることがないように、吸気弁1002によってガス流が制御される。このことは、吸気弁1003が全負荷状態中よりも早期に閉じ、これによってピストン1001が下方に移動し続ける時に予膨張サイクルを生じさせ、および、結果的に予熱ガスを膨張させるということを意味する。この弁動作は、図7aから図7hを参照してすでに詳細に上述されている。] 図7a 図7h
[0124] 高温排気ガスは、連結流路1009としたがって混合機1005との中に高温排気ガスの大部分を送る位置にある、フラップ1007を有する3方向弁1006を通過する。この場合には、高温排気ガスは、新鮮に吸引された空気と空気/燃料混合気を混合によって予熱し、および、最終的にはその吸引空気と共にピストンエンジンに送り込まれる。採用随意の冷却器1010が、エンジン負荷が減少するのに応じて、ますます無効化されるかバイパスさせられる。冷却器1010を無効化することが、ピストンエンジンに供給される空気または空気/燃料混合気に関する温度要件にしたがって混合機1005内の排気ガス温度を上昇させる。]
[0125] 3.全負荷のための熱交換器および予膨張弁タイミング

ピストンエンジン内の高圧力が摩耗の原因となり、および、特定の事例では、故障の原因となる可能性があるということが、立証されている。したがって、高い圧縮端温度を上昇させるかまたは少なくとも維持しながら、全負荷状態中でさえピストンエンジンの圧縮端圧力を制限することが望ましいだろう。従来のエンジンでは、エンジン効率に強く相関することが多い圧縮端温度が、圧縮比としたがって圧縮端圧力とを増大させることによって増大させられる。しかし、この実施形態では、エンジン摩耗は、高い吸気温度を導入することによって、エンジンの動力と効率とを犠牲にすることなしに減少させられるだろう。]
[0126] 吸引空気が熱交換器を通過した後に、その吸引空気の圧力と温度の両方を調整することによって、より低いピストンエンジン圧縮比の場合でさえ、より高い圧縮端温度に達するだろう。このことが、全負荷の実施形態において、意図された値を超えて圧縮圧力と燃焼圧力とを増大させることなしに、高い空気温度が、噴射された燃料に点火することと、ターボ過給ピストンエンジンによって行われる熱力学的プロセスの効率を増大させることとを可能にする。言い換えると、このピストンエンジンの効率と燃焼特性は、圧力を増大させる必要なしに改善されるだろう。適切な高圧縮温度と穏当な圧縮比(例えば6から14)とを組み合わせることが、組み合わされた吸気−膨張行程の過程中の(または、上述した外部膨張タービン4による)第1の膨張の後の対応するベース圧力(base pressure)と共に、燃焼サイクルの最後において、過剰に高いピーク圧力なしに、高い平均圧力を確実なものにする。したがって、エンジン摩耗は、エンジンの出力密度と効率とを犠牲にせずに減少させられるだろう。]
[0127] 図11は、幾つかの実施形態によるこうした過給4行程ピストンエンジンの基本構成を示す。図12は、図11の実施形態によって行われる熱力学的プロセスを示す理論S−T図を示す。これらの図は互いに関連付けて説明されるだろう。温度と圧力と流量とに関する後述の値は例示的であり、何ら限定的なものではない。圧縮機タービン31が、約15℃の温度かつ1バールの周囲圧力(図12の状態点「A」)を有する新鮮空気を入口32を通して吸引し、この新鮮空気を水の連続的な供給と気化との下で約150℃かつ約15バール(図12の状態点「B」)に圧縮する。したがって、外部の熱が供給されず、または、外部の熱が取り出されないので、この圧縮は基本的に等エントロピー状態変化である。したがって、この状態変化を示す図12の線A−Bは、温度軸に対して平行な直線である。] 図11 図12
[0128] 圧縮された空気/蒸気混合気が復熱装置22を通過し、この復熱装置22内でこの混合気が約15バールに圧力を維持しながら約450℃に加熱される(図12の状態点「C」)。次に、シリンダ27内を往復動するピストン26を備えるピストンエンジン25が、最初に、圧縮された空気/蒸気混合気をその吸気管23を通して吸引する。膨張は生じない。吸気弁(図11には示されていない)が、ピストン26がその下死点に達する前に閉じる。したがって、等エントロピー状態変化C−D(図12)がピストンエンジン25によって行われる。より適切な理解のために、この説明の段階では、不可逆性と損失は無視されている。ピストンの下死点では、約200℃の温度と約3.5バールの圧力で状態「D」に達する。ピストン26は、再び上昇して、約800℃の圧縮端温度と約62バールの圧力とに達するように、吸引された空気/蒸気混合気を圧縮する(図12の状態点「E」)。燃料に応じて、スパークプラグによって外部から燃料に点火することによって、または、自己発火するように燃料を噴射することによって、燃焼が生じる。燃料の燃焼が、空気/蒸気混合気の温度と圧力との両方がそれぞれに約2000℃と約130バールとに上昇することを引き起こす(図12の状態点「F」)。] 図11 図12
[0129] ピストン26は、下死点において高温の作動ガスを約1000℃の温度と約8バールの圧力に膨張させるために下方に移動する(図12の状態点「G」)。排気弁(図示されていない)が開き、依然として高温である作動ガスが排気管24を通ってシリンダ27から出て行く。上述したように、高温でありかつ依然として加圧されている排気ガスが排気管24の中へ十分に移動するように、弁タイミングが設定される。一実施形態では、大幅なスロットリングは生じない。膨張タービン28が排気ガスを約1バールの周囲圧力とこれに対応する約450℃の温度とにさらに膨張させる(図12における状態点「H」)。] 図12
[0130] 減圧されているが依然として高温である排気ガスが、圧縮機タービン31からの新鮮に吸引されかつ圧縮された空気/蒸気混合気を加熱するために、管29を通して復熱装置22に送られる。したがって、この混合気は約1バールの周囲圧力において約150℃に温度低下する(図12の状態点「J」)。最後にこの温度低下した排気ガスが排気管30を通して環境に放出される。周囲空気と混合することによって、排気ガスは、最初に、圧縮機タービン31内の噴射された水の量にしたがった蒸気の露点(状態点「K」)に達するまで温度低下する。] 図12
[0131] 圧縮機タービン31と膨張タービン28は同一の軸(例えば、ターボチャージャ)上に取り付けられるだろう。さらに、これらの連結されたタービンによって発生させられることがある余剰出力を使用するために、追加の発電機が連結されることも可能である。あるいは、この代わりに、膨張タービン28は、過剰出力をピストンエンジン25のクランクシャフトに供給するために、そのクランクシャフトに連結されてもよい。ピストンエンジンから排気管24の中への排気ガスを適度にスロットリングすることによって、膨張タービン28によって生じさせられる出力が、圧縮のために圧縮機タービン31を作動させるために十分な出力をその膨張タービン28が供給するように設定されるだろう。これに加えて、ピストンエンジンのクランクシャフトによって供給される残りの出力が増大し、一方、典型的にはピストン26がそれに逆らって排気管24の中に排気ガスを移動させなければならない出力が減少する。このスロットリングが適度である(すなわち、排気管24内の圧力がシリンダ27内での膨張行程の最後における圧力の少なくとも半分である)場合に、不可逆性と、したがって、このようなスロットリングを原因とした効率低下とが極めて僅かだろう。この例示的な実施形態では、約5バールの圧力に低下する排気管24の中へのスロットリングが、膨張タービン28が圧縮機タービン31を駆動することを可能にするだろうし、一方、効率の低下は、燃焼させられた燃料の熱出力に比較して約1%であるだろう。吸気管内において2.3バール未満の圧力に低下するスロットリングが生じる場合には、燃焼させられた燃料の熱出力に比較して約3%の効率損失が生じるだろう。]
[0132] 適切な仕方で復熱装置22(図11)後の圧力と温度を調整することによって、ピストンエンジンのより低い圧縮比の場合でさえ、より高い圧縮端温度に達することが可能である。このことが、高い空気温度が、噴射された燃料に点火することと、意図された値を超えて圧縮端圧力と燃焼圧力とを増大させることなしに、幾つかの実施形態による過給ピストンエンジンによって行われる熱力学的プロセスの効率を増大させることを可能にする。言い換えると、このピストンエンジンの効率と燃焼特性とが、圧力を増大させる必要なしに改善されるだろう。組み合わされた吸気−膨張行程の過程中の第1の膨張の後の対応するベース圧力と共に、適切な高圧縮温度と適度な圧縮比(例えば6から14)とを組み合わせることが、燃焼サイクルの最後において、過剰に高いピーク圧力なしに、高い平均圧力を確実なものにする。したがって、エンジン摩耗は、エンジンの出力密度と効率とを犠牲にせずに減少させられるだろう。この説明している実施形態の場合には、圧縮端温度は比較的高く、例えば800℃であり、この場合に、少なくとも16:1(作動ガスとしての空気と完全圧縮状態変化の場合には19:1)の圧縮比が必要とされるだろう。燃料を燃焼させることによる200バールを越える値への圧力の増大と共に、このことは明らかに今日の材料の耐久性の限界に達する。したがって、現時点における最高技術水準の最大圧力を維持する時に、チャージ圧力が、ピストンエンジンのピーク圧力を増大させることなしに増大させられるだろう。このことがそのピストンエンジンの出力密度を改善するだろう。] 図11
[0133] C.変更された弁タイミングによる内部排気再循環

新たに吸引された空気を予熱するために、および、排気からピストンシリンダの中に戻る未燃焼燃料の一部分を混合するために、排気空気の特定の部分をピストンエンジンの中に再循環させることが有利だろう。このプロセスは外部排気再循環によって実現されるだろう。空間が制限されている用途では、ピストン内部での再循環が、上述したように、弁タイミングを変更することによって実現されるだろう。]
[0134] 圧縮行程において必要とされる機械的圧縮仕事を減少させるために部分負荷中に吸引空気の量を削減することが有益だろう。予熱が、他の形で存在するものよりも高い、部分負荷におけるより高い圧縮端温度を確実なものにする。したがって、予熱することによって、燃焼効率と、噴射燃料に点火する能力とが維持されるだろう。これに加えて、この対応するシリンダ内のより低い平均圧力が、部分負荷におけるエンジン上の機械的負荷を減少させ、および、多くの場合に、ミラータイミング(Miller timing)またはアトキンソンタイミング(Atkinson timing)の必要なしに、燃料を燃焼させることによって生じさせられる機械的エネルギーを最大限に使用するための、膨張行程の最後におけるシリンダ内の作動ガスの完全な膨張を確実なものにする。]
[0135] 図13aから図13hは、幾つかの実施形態における、第1のタイプの弁タイミングによって内部排気ガス再循環による予熱を容易にするために変更されているエンジンの略図である。後述の変更された弁タイミングが部分的負荷状態(部分負荷)エンジンのためのものであり、および、従来の全負荷エンジンの弁タイミングと同等であるということが指摘されなければならない。しかし、この同じ変更された弁タイミングは、特定の全負荷用途において有利だろう。温度と圧力と流量とに関する後述の値は例示的であり、何ら限定的なものではない。] 図13a 図13h
[0136] 図13aは、全負荷状態および部分負荷状態における、スパークプラグによって、または、自己発火燃料の噴射によって、または、これらの両方によって発火が生じる時の、上死点位置点火におけるエンジンシリンダ520内のピストン521の位置を示す。吸気弁522と放出弁523の両方が閉じた状態のままである。] 図13a
[0137] ピストン521が下死点位置に達すると、図13bに示されているように、放出弁523が開く。高温排気ガスが、この開いた放出弁523を通って放出し始める。極端な部分負荷においては、シリンダ520内の排気ガス圧力が周囲圧力よりも低いことがあり、および、排気行程の開始時には、開いた放出弁523を通るシリンダ520の中への環流が生じるだろう。このことは、周囲圧力とシリンダ圧力との両方が概ね等しい時に放出弁523の開きを可能にする可変放出弁タイミングを実現することによって回避されるだろう。] 図13b
[0138] 図13cに示されているように、全負荷と部分負荷の両方において、ピストン521は上方に移動し、開いた放出弁523を通して高温排気ガスをシリンダ520から強制的に排出する。ピストン521が上死点位置に達すると、放出弁523が閉じて、全負荷において吸気弁522が開き始める(図13d)。このことは、吸気管内の吸引空気または空気/燃料混合気が、開いている吸気弁522を通ってシリンダ520の中に移動し始めることを意味する。一方、部分負荷においては、ピストン521がその上死点位置付近に達する時に、放出弁523が閉じられず、および、必要とされる排気ガス再循環の量に応じて完全にまたは部分的に開いた状態に保たれる。] 図13c 図13d
[0139] 吸気弁522が開き始める(図13d)。このことは、吸気管内の吸引空気および空気/燃料混合気と、排気管内のすでに移動させられ終わった高温排気ガスとが、開いている吸気弁522と、依然として開いている放出弁523とを通ってシリンダ520の中に移動するということを意味する。] 図13d
[0140] 図13eは、全負荷と部分負荷の両方における、吸気行程中の下方移動の過程中のピストン521の中間位置にある弁位置を示す。全負荷状態では、吸気弁522は開いたままである。一方、部分負荷においては、吸気弁はすでに閉じ始め、放出弁が閉じ始める。各弁が開いている度合いが、吸気弁522を通して吸引される低温空気または空気/燃料混合気と混合する高温排気ガスの量を決定する。高温排気ガスの温度は、吸引空気の温度よりも著しく高い。したがって、その密度は著しくより低く、および、したがって、大量の再循環排気ガスがわずかなガス質量と熱エネルギー容量とに相当するだけだろう。吸引空気と排気ガスとの間の比熱エネルギー差と、吸引空気に関する50℃の実際的な温度と排気ガスに関する約1000℃の実際的な温度とを無視することが、等しい環流体積の場合に約240℃の混合温度をもたらすだろうし、すなわち、同一のガス体積が、吸引空気の場合に吸気弁を通過し、および、再循環排気ガスの場合に放出弁を通過する。] 図13e
[0141] 図13fに示されているように、全負荷においては、ピストンが下死点位置に向かって下方に移動し、一方、吸気弁が吸気行程全体にわたって開いた状態のままである。部分負荷においては、ピストンが下死点位置に達し終わる前に、これらの弁が閉じる。このことが吸引空気または空気/燃料混合気が膨張することを生じさせる。] 図13f
[0142] 図13gに示されているように、全負荷においては、ピストン521が下死点位置に達する時に吸気弁522が閉じて、吸気行程が終了する。部分負荷においては、吸気弁522は、長時間にわたってすでに閉じられており、および、したがって、シリンダ520内の空気または空気/燃料混合気が予膨張させられ終わっている。] 図13g
[0143] 部分負荷においては、予膨張が圧力低下と温度低下の両方を生じさせる。しかし、(吸気弁522と放出弁523の両方の閉鎖時の)シリンダ520内のガス混合気の温度が、全負荷の場合よりも著しく高いことがあるので、部分負荷における空気または空気/燃料混合気の温度は、予膨張行程の最後には少なくとも周囲温度のままであるだろう。]
[0144] 吸気行程の一部分中にスロットリングが生じないということが理解されるだろう。部分負荷において空気または混合気を予膨張させることによって、圧力が周囲圧力からより低い値に低下するだろうが、このことは、スロットリングまたは効率を悪化させる他の状態変化を課することなしに、吸引空気または空気/燃料混合気の量がすでに減少させられているということを意味する。減少した質量の吸気は、減少した負荷を意味し、および、したがって、部分負荷が高い効率で実現されるだろう。]
[0145] 図13hに示されているように、全負荷と部分負荷の両方において、ピストン521は上方に移動して、シリンダ520内の空気または空気/燃料混合気を圧縮する。部分負荷の圧縮が、全負荷におけるガス温度と同等の温度で開始するので、圧縮後において、類似した圧縮端温度に達するだろうし、および、熱力学的サイクル効率が維持されるだろう。] 図13h
[0146] 一般的に、負荷が低下するのに応じて、より多い量の高温排気ガスが放出弁523を通してシリンダ520内に再循環させられる。負荷の減少と共に、吸気弁522はより早期に閉じ始め、および、放出弁523は、吸気弁522が閉じられる時点のより近くまで開いた状態に保たれる。言い換えると、放出弁523はより長期にわたって開いた状態に保たれる。]
[0147] 典型的には、吸気弁522と放出弁523の両方が閉じている時の、部分負荷における吸引空気または混合気の温度上昇は、負荷に応じて50℃から250℃であるだろう。]
[0148] 図14aから図14hは、他の実施形態による、第2のタイプの弁タイミングによる内部排気ガス再循環による予熱を容易にするために変更されている、エンジンの一連の略図を示す。この場合に、再加熱が、吸気弁の前で主として吸気管内で生じる。] 図14a 図14h
[0149] 図14aは、全負荷と部分負荷の両方における、点火が生じる時のその上死点位置におけるエンジンシリンダ530内のピストン531の位置を示す。点火は、スパークプラグによって、または、自己発火燃料を噴射することによって実現されるだろう。吸気弁522と放出弁533の両方が閉じられている。] 図14a
[0150] ピストン531は下方に移動し、および、図14bに示されているように、全負荷と部分負荷の両方において、このピストンが下死点位置に達すると、放出弁533が開く。高温排気ガスが、開いた放出弁533を通して放出され始める。極端な部分負荷中には、シリンダ530内の排気ガス圧力が周囲圧力よりも低いだろうし、および、排気行程の開始時には、開いた放出弁533を通ってシリンダ530内への環流が生じるだろうということに留意されたい。これは、可変放出弁タイミングによって、上述したように回避されるだろう。] 図14b
[0151] 図14cに示されているように、全負荷においては、ピストン531は上方に移動し、吸気弁522が閉状態に保たれると同時に、開いた放出弁533を通して高温排気ガスをシリンダ530から強制的に排除する。しかし、部分負荷においては、ピストンが上方に移動し始める時に、吸気弁532が開く。ピストンが上方に移動する時に吸気弁が開いているので、吸気管の中への高温排気ガスの環流が生じる。したがって、高温排気ガスは吸気管内で低温空気または空気/燃料混合気と混合する。実際の部分負荷状態に応じて、吸引空気の温度上昇は典型的には50℃から250℃の範囲内の温度までであるが、特に、ノッキング耐久性が高い燃料の場合、または、ディーゼルエンジンの場合には、より高いだろう。] 図14c
[0152] ピストン531が上死点位置付近に達すると、全負荷と部分負荷の両方において放出弁533が閉じる。全負荷においては、吸気弁532が開き始め(図14d)、一方、部分負荷においては、吸気弁532は開いたままである。このことが、全負荷の場合に、吸引空気または混合気が吸気弁532を通ってシリンダ530内に移動することを引き起こす。部分負荷の場合には、吸気管内のより早期に移動させられて混合させられた排気ガスとの対応する予熱された混合気が、吸気弁532を通ってシリンダ530の中に移動する。] 図14d
[0153] 図14eは、全負荷と部分負荷の両方における、吸気行程中のピストン531の下方移動の過程中のピストン531の中間位置における弁の位置を示す。全負荷においては、吸気弁532は開いたままであり、一方、部分負荷においては、吸気弁532は閉じ始める。] 図14e
[0154] 図14fに示されているように、全負荷においては、ピストンは下死点位置に向かって下方に移動し、一方、吸気弁532は吸気行程全体にわたって開いた状態のままである。しかし、部分負荷においては、この弁は、ピストン531が下死点位置に達し終わる前に閉じる。このことが、より早期に再循環される排気ガスと共に吸引空気または空気/燃料混合気が膨張することを可能にする。] 図14f
[0155] 図14gに示されているように、全負荷においては、ピストン531が下死点位置に達する時に吸気弁532が最終的に閉じ、および、吸気行程が終了する。部分負荷においては、吸気弁532がすでに閉じられており、および、シリンダ530内の空気または空気/燃料混合気がすでに予膨張させられ終わっている。したがって、部分負荷においては、温度と圧力の両方が低下する。しかし、ガス混合気の温度が排気ガスによって予熱されたので、シリンダ530内の温度は、吸気弁532が閉じられると、および、この予膨張行程の最後には、少なくとも周囲温度のままであるだろう。] 図14g
[0156] 一実施形態では、吸気行程中に大幅なスロットリングが生じないということが理解されるだろう。部分負荷において空気または空気/燃料混合気を予膨張させることによって、圧力が周囲圧力からより低い値に低下するだろうが、このことは、スロットリングまたは他の効率を悪化させる状態変化を強いることなしに、吸気空気または空気/燃料混合気の質量が低減させられ終わっているということを意味する。減少した質量の吸気は、減少した負荷を意味し、したがって、高い効率で部分負荷が実現されるだろう。]
[0157] 図14hに示されているように、全負荷と部分負荷の両方において、ピストン531は上昇移動し、および、シリンダ530内の空気または空気/燃料混合気を圧縮する。部分負荷圧縮が全負荷におけるガス温度と同等の温度で開始するので、圧縮後に、同等の圧縮端温度に達しているだろうし、および、熱力学的サイクル効率が維持されるだろう。] 図14h
[0158] 一般的に、負荷が低下するにつれて、より多くの量の高温排気ガスが、排気行程中に吸気弁532を通って吸気管の中に再循環させられる。後で、吸気行程の過程中に、吸気管の中の高温排気ガスがシリンダ530の中に再循環させられる。これは、より多い量の高温排気ガスがシリンダ530から出て吸気弁532を通って吸気管の中に入るように、吸気弁532を予め開くことによって実現される。負荷の減少に応じて、吸気弁532は、さらに、より高い予膨張比と、したがって、より低い膨張端圧力と、したがって、より低い空気質量(air mass)とを可能にするために、より早期に閉じる。吸気弁の開きと吸気弁の閉じの両方が、より早期のタイミングに向かって動かされるので、大半の場合には、開き持続時間を維持しながらの単純なタイミングの変更で充分だろう。このことが、吸気弁の制御を著しく単純化する。]
[0159] 本明細書で説明されている変更された弁タイミングのすべてが、オットーエンジンに適用可能であるだけでなく、ディーゼルエンジンにも適用可能であるということが指摘されなければならない。]
[0160] D.2行程エンジンのための改良された弁タイミング

図15aから図15fは、効率が改善されている2行程ピストンエンジンにおける弁タイミングを示す。図l5aでは、ピストン186はその上死点位置にある。この場合に、圧縮行程が行われないが故に、燃焼空間が残っていないので、この場合のピストン186の上死点位置が4行程の実施形態の場合よりも著しく高いということが理解されるだろう。このピストンは、吸気弁193と排気弁194の両方が可能にするだけ近くまでシリンダヘッドに接近する。ピストン186内の矢印がピストン移動を示す。吸気弁193と排気弁194との上方の矢印が、それに対応する弁の動きを示す。] 図15a 図15f
[0161] 排気弁194が閉じる(図15a)時に、ピストン186はシリンダ187内のその上死点位置にあり、および、可能な限り多くの排気ガスが排気管184の中に放出され終わっている。吸気弁193は、高度に加圧された新鮮空気または空気/燃料混合気の吸気を開始するために、開き始める。] 図15a
[0162] ピストン186が下降し始める(図15b)と、吸気弁193が完全に開き、および、ピストン186の下方の移動が新鮮空気をシリンダ187の中に吸引する。ピストン186が、十分な新鮮空気または空気/燃料混合気がシリンダ187の中に移動し終わる位置に達すると、吸気弁193が閉じる。この吸気弁193が閉じられた直後に、空気/燃料混合気が点火され、または、燃料が噴射されて燃焼し始め、および、作動ガスの温度と圧力の両方が上昇する(図15c)。この時点において、ピストン186は依然としてその下死点位置から遠く離れている。低速で動く大型ピストンエンジンの場合には特に、ピストンが低速で動くので、死点位置の付近で、吸気弁193を開閉するのに十分な時間がある。] 図15b 図15c
[0163] ピストン186は、その下死点位置に向かって下方に移動することによって、燃料を燃焼させることによって加熱された高温作動ガスを膨張させる(図15d)。この時点では、吸気弁193と排気弁194の両方が閉じられている。] 図15d
[0164] ピストン186がその下死点位置に達した直後に(図15d)、排気弁194が開いて、ピストン186の後続の上方移動によって、高温の加圧された作動ガスがシリンダ187を出て行くことを可能にする。] 図15d
[0165] 図15eに示されているように、ピストン186のこの上方移動は、大幅なスロットリングなしに、依然として高温の作動ガスをシリンダ187の外に押し出す。排気弁194が最大限に開かれ、および、排気行程が行われる。ピストン186がその上死点位置に接近すると(図15f)、排気弁194が閉じ始め、および、排気管と吸気管との間の圧力差を減少させるように少量の排気ガスを再圧縮するだろう。ピストン186がその上死点位置に達し終わると、そのサイクルが再び始まる(図15a)。] 図15a 図15e 図15f
[0166] 図16は、図15aから図15fに説明されている2行程タイミングを使用するピストンエンジンシステムである。図17は、図16の実施形態によって行われる熱力学的プロセスを説明する理論S−T図である。これらの図は、互いに関連付けて説明されるだろう。図16は、タービン、スクリュー圧縮機または回転翼圧縮機のような機械式圧縮機、または、タービンと機械式圧縮機との組合せであってよい圧縮機180が、約30バールの圧力の高度に圧縮された新鮮空気を供給する、こうした実施形態を示す。この圧力は、一般的に、航空転用ターボ圧縮機(aero−derived turbo compessor)によって得られる。このピストンエンジンは、上述の弁制御式2行程エンジンとして動作させられる。温度と圧力と流量とに関する後述の値は例示的であり、および、何ら限定的なものではない。] 図15a 図15f 図16 図17
[0167] 圧縮機タービン180が、入口181を通して、約15℃の温度と約1バールの周囲圧力(図17の状態点「A」)とを有する新鮮空気を吸引し、水の連続的な供給と気化との下で、約230℃の比較的高い温度と約30バールの高い圧力とにその新鮮空気を圧縮する(図17の状態点「B」)。] 図17
[0168] 圧縮された空気/蒸気混合気が高温度復熱装置182を通過し、この高温度復熱装置182では、この混合気が約30バールにその圧力を維持しながら約700℃に加熱される(図17における状態「C」)。次に、シリンダ187内を往復動するピストン186を備えるピストンエンジン185が、圧縮された空気/蒸気混合気を吸気管183を通して吸引する。吸気弁(図示されていない)が開き、および、その後で、充分な空気または空気/燃料混合気がシリンダ187の中に入り終わった直後に閉じる。言い換えると、吸気弁は、ピストン186が下死点位置に達する前に閉じるだろう。復熱装置182の後の作動ガスの約700℃の比較的高い温度が、70%の理論オットーエンジン効率(すなわち、20:1より大きい圧縮比)と同等である。このことが、高温度復熱装置182の使用が、過剰に高い圧縮端圧力という障害なしに、最高の圧縮ガスエンジンの幾つかの効率を生じさせるだろう(空気における20:1の圧縮比の場合に、無過給エンジンにおける圧縮端圧力がすでに65バールを越えているだろう)。] 図17
[0169] 吸気弁が閉じ終わった直後に燃焼が生じて、空気/蒸気混合気の温度と圧力との両方がそれぞれに約2200℃および約76バールに上昇する(図17の状態点「D」)。] 図17
[0170] ピストン186は、その下死点位置において高温の作動ガスを約1000℃の温度と約9バールの圧力に膨張させるために下方に移動する(図17の状態点「E」)。排気弁(図示されていない)が開き、依然として高温である作動ガスが排気管184を通ってシリンダ187から出て行く。吸気管183内の圧力がより高く、したがって、排気管184の中へのスロットリングは生じない。膨張タービン188が排気ガスを約4バールの中間的な圧力とこれに対応する約700℃の温度とにさらに膨張させる(図17の状態点「F」)。] 図17
[0171] 加圧されておりかつ依然として高温である排気ガスが、圧縮機タービン180からの新鮮に吸引されかつ圧縮された空気/蒸気混合気を加熱するために、管189を通して復熱装置182に送られる。したがって、この混合気は約4バールの定圧力において約230℃に温度低下する(図17の状態点「G」)。] 図17
[0172] 冷却されているが依然として加圧されている排気ガスが管190を通して第2の膨張タービン191に供給され、この膨張タービン191では、排気ガスが、排気192を通して環境の中に放出される前に、約1バールの周囲圧力と約70℃の最終排気温度とに膨張させられる。周囲空気と混合することによって、この排気ガスは、最初は、圧縮機タービン180内の噴射された水の量に応じた(および、おそらくは、水素を含む燃料を燃焼させることによって生じさせられる蒸気)蒸気の露点(状態点「J」)に達するまで、温度低下する。]
[0173] この燃焼プロセスは、図16、図17、および、図15aから図15fを参照して説明した連続燃焼よりも長い連続燃焼に延長されてもよいということが理解されるだろう。このことは、燃焼が続く間にピストン186が大きく下方に移動するだろうということを意味する。この場合に、ピストンエンジン185は連続的に機械動力を供給し、および、排気弁194が膨張行程の最後に開く時には、排気温度と排気圧力の両方がより高い。高い燃焼温度と、2つの膨張タービン188、191による後続の追加の膨張とが、より低いサーマルリザーブ(thermal reserve)への熱エネルギー伝達としての蒸気の凝縮と共に、こうした後期燃焼を悪化させない。] 図15a 図15f 図16 図17
[0174] 幾つかのタービンが1200℃を優に超える入口温度に耐えることが可能である。この場合には、ピストンエンジン185が動力供給燃焼室として機能し、および、図16に示されているタービン−ピストンエンジン構成の効率と出力全体の両方が増大するだろう。この構成では、ピストンエンジンの主要な利点(例えば、高圧力持続可能性、高燃焼温度、高圧動作の際の、エンジンの限られたサイズに起因する高い機械的および熱力学的な効率等)が、ガスタービンの主要な利点(低圧力および中圧力における高い体積流れ、および、低減されたメンテナンス)と組み合わされている。] 図16
[0175] 上述した弁タイミングと実施形態は、さらに、密閉サイクル構成において動作する外部点火式ピストンエンジン(externally fired piston engine)の場合にも使用されるだろう。密閉サイクル構成においては、図15cに示されているように燃料に点火する代わりに、吸気弁193が閉じて、高温でかつ加圧された作動ガスの膨張が行われる。] 図15c
[0176] この実施形態では、作動ガスが復熱装置によって最初に予熱される。200℃から400℃の温度が適切だろう。これは、図17の状態変化B→Cに相当する。その次に、作動ガスが熱交換器(図16には示されていない)を通して外部からさらに加熱され、この熱交換器は、例えば固体燃料の燃焼の燃焼ガスによって、多孔質燃焼器によって、または、他の任意の熱エネルギー供給源によって加熱される。この温度上昇は図17の状態変化C→Dに相当する。その次に、高温の加圧された作動ガスが、図15aから図15cに示されている弁タイミングにしたがってピストンエンジン185によって吸引され、膨張させられる。このエンジンは密閉形状構成で動作することができ、すなわち、排気192が冷却器/凝縮器(図示されていない)を通って入口181に短絡させられ、この冷却器/凝縮器は、作動ガスを冷却し、かつ、圧縮機タービン180内での後続の蒸発のために気化液体を凝縮させる。圧縮機タービン180もピストンエンジンであってよい。膨張タービン188、191の一方または両方が省略されてもよい。類似の形状構成が、ピストンエンジンではなくタービンと共に使用されてもよい。] 図15a 図15c 図16 図17
[0177] II.液体噴射を伴う圧縮機

等エントロピー圧縮プロセスが、作動ガスの温度と圧力とを増大させながら作動ガスのエントロピーを一定不変に維持する。理想的な(理論上の)サイクルが完全に等エントロピーの圧縮を想定するが、実際の圧縮機は、等エントロピーではない断熱的プロセスにおいて作動ガスのエントロピーを不可逆的に増大させる。本明細書で使用される「圧縮機」は、作動ガス、ガス/蒸気混合気、または、排気ガスを圧縮するための装置であり、および、ポンプ、圧縮機タービン、往復動圧縮機、ピストン圧縮機、回転翼またはスクリュー圧縮機、および、作動ガスを圧縮することが可能な装置とその組合せとを含む。幾つかの実施形態では、圧縮機タービンのような特定のタイプの圧縮機が使用されるだろう。]
权利要求:

請求項1
往復動ピストンエンジンシステムであって、シリンダであって、内側室と、前記内側室に流体連通している排気口とを有するシリンダと、前記シリンダの前記排気口に流体連通している排気収集管であって、内側表面と内部容積とを含み、かつ、前記内部容積が実質的に第1の圧力に維持されている排気収集管と、前記シリンダの前記内側室内に往復動する形で配置されており、かつ、出力サイクルを循環するように作動可能であるピストンであって、前記出力サイクルは燃焼行程を含み、前記燃焼行程は始まりと終わりを有し、および、前記シリンダの前記内側室内の排気ガスが前記燃焼行程の終わりにおいて第2の圧力を有し、および、前記第1の圧力は前記第2の圧力に実質的に等しいピストンと、を備える往復動ピストンエンジンシステム。
請求項2
排気弁をさらに備え、および、前記排気弁は前記排気口を開閉するために移動可能である請求項1に記載の往復動ピストンエンジンシステム。
請求項3
開位置と閉位置との間で前記排気弁を動かすためのソレノイドをさらに備える請求項2に記載の往復動ピストンエンジンシステム。
請求項4
前記排気収集管に流体連通している膨張タービンをさらに備え、前記膨張タービンは、前記排気ガスを受け取るように、かつ、第3の圧力の膨張させられた排気ガスを生じさせるために前記排気ガスを膨張させるように作動可能であり、および、前記第3の圧力は前記第2の圧力よりも低い請求項1に記載の往復動ピストンエンジンシステム。
請求項5
前記排気収集管内に配置されている排気断熱部材をさらに備える請求項1に記載の往復動ピストンエンジンシステム。
請求項6
前記排気断熱部材は前記排気収集管内に形成されている断熱室を備える請求項5に記載の往復動ピストンエンジンシステム。
請求項7
前記断熱室は流体によって満たされている請求項6に記載の往復動ピストンエンジンシステム。
請求項8
前記排気断熱部材は放射損失を最小限にするための反射性材料を備える請求項5に記載の往復動ピストンエンジンシステム。
請求項9
前記排気断熱部材は低い熱伝導率を有する材料を備える請求項5に記載の往復動ピストンエンジンシステム。
請求項10
前記材料はセラミックである請求項9に記載の往復動ピストンエンジンシステム。
請求項11
前記排気断熱部材はインサートを備える請求項5に記載の往復動ピストンエンジンシステム。
請求項12
前記インサートは研磨されている請求項11に記載の往復動ピストンエンジンシステム。
請求項13
前記インサートは、それらの間に空洞を画定するように前記排気収集管の内側表面からオフセットされている請求項11に記載の往復動ピストンエンジン。
請求項14
内燃エンジンを動作させる方法であって、前記内燃エンジンは、内側室を有するシリンダと、前記内側室に流体連通している吸気口と、前記吸気口を開閉するように作動可能な吸気弁と、前記内側室に流体連通している排気口と、前記排気口を開閉するように作動可能な排気弁とを備え、前記吸気口を開く開位置に前記吸気弁を動かす段階と、前記吸気口を通して前記内側室に作動ガスを送り込む段階と、前記吸気口を閉じるために前記吸気弁を閉位置に動かす段階と、圧縮された作動ガスを生じさせるために前記作動ガスを圧縮する段階と、排気ガスを生じさせるために前記圧縮された作動ガスを燃焼させる段階と、前記排気口を開くために前記排気弁を開位置に動かす段階と、前記排気口を通して前記排気ガスを排気する段階と、前記吸気弁の開位置への前記吸気弁の後続の移動の前に、前記排気弁を閉位置に動かす段階と、を含む方法。
請求項15
前記吸気弁と前記排気弁の少なくと1つはソレノイドによって動かされることが可能である請求項14に記載の方法。
請求項16
ピストンエンジンを動作させる方法であって、第1の圧力を有する排気ガスを生じさせるために作動ガスを燃焼させる段階と、第2の圧力を有する排気ガス流経路の中に前記排気ガスを排気する段階とを含み、前記第2の圧力は前記第1の圧力に実質的に等しい方法。
請求項17
膨張させられた排気ガスを生じさせるために前記排気ガスを膨張させることをさらに含み、および、前記膨張させられた排気はガス第3の圧力を有し、および、前記第3の圧力は前記第2の圧力よりも低い請求項16に記載の方法。
請求項18
内燃エンジンと共に使用するためのシリンダヘッドであって、内側表面を有する排気流路と、前記排気流路内に配置されている排気断熱部材と、を備えるシリンダヘッド。
請求項19
前記排気断熱部材は、排気流路内に形成されている断熱室を備える請求項18に記載の往復動ピストンエンジン。
請求項20
前記断熱室は流体で満たされている請求項19に記載の往復動ピストンエンジン。
請求項21
前記排気断熱部材は放射損失を最小限にするための反射性材料を備える請求項18に記載の往復動ピストンエンジン。
請求項22
前記排気断熱部材は低い熱伝導率を有する材料を備える請求項18に記載の往復動ピストンエンジン。
請求項23
前記材料はセラミックである請求項22に記載の往復動ピストンエンジン。
請求項24
前記排気断熱部材はインサートを備える請求項18に記載の往復動ピストンエンジン。
請求項25
前記インサートは研磨されている請求項24に記載の往復動ピストンエンジン。
請求項26
前記インサートは、その間に空洞を画定するように排気流路内側表面からオフセットしている請求項24に記載の往復動ピストンエンジン。
請求項27
往復動ピストンエンジンシステムであって、作動ガスを受け入れて、第1の圧力の排気ガスを生じさせるために前記作動ガスを燃焼させる燃焼室と、前記燃焼室に流体連通している排気収集管であって、前記排気ガスを受け入れるように作動可能であり、かつ、第2の圧力に維持されており、および、前記第1の圧力は前記第2の圧力に実質的に等しい排気収集管と、を備える往復動ピストンエンジンシステム。
請求項28
前記排気収集管に流体連通している膨張タービンをさらに備え、前記膨張タービンは、前記排気ガスを受け取るように、かつ、第3の圧力の膨張させられた排気ガスを生じさせるために前記排気ガスを膨張させるように作動可能であり、および、前記第3の圧力は前記第2の圧力よりも低い請求項27に記載の往復動ピストンエンジンシステム。
請求項29
前記膨張タービンは、前記受け取られた排気ガスからエネルギーを引き出して前記エネルギーを発電機に供給するように形状構成されている請求項28に記載の往復動ピストンエンジンシステム。
請求項30
前記膨張タービンは、前記受け取られた排気ガスからエネルギーを引き出して前記エネルギーをエンジンクランクシャフトに供給するように形状構成されている請求項28に記載の往復動ピストンエンジンシステム。
請求項31
往復動ピストンエンジンシステムであって、作動ガスを受け入れるための圧縮機であって、圧縮された作動ガスを生じさせるために作動ガスを圧縮するように作動可能である圧縮機と、気化可能な液体を前記作動ガスに供給するための、前記圧縮機に関連付けられている気化可能流体供給装置と、前記圧縮機に流体連通している復熱装置であって、加熱されかつ圧縮された作動ガスを生じさせるために、前記圧縮された作動ガスに熱エネルギーを供給するように作動可能な復熱装置と、前記復熱装置に流体連通している燃焼室であって、排気ガスを生じさせるために、加熱されかつ圧縮された作動ガスを燃焼させるように作動可能な燃焼室と、前記燃焼室と前記復熱装置とに流体連通している第1の膨張機であって、膨張させられた排気ガスを生じさせるために前記排気ガスを膨張させるように作動可能であり、かつ、前記膨張させられた排気ガスは前記復熱装置に熱エネルギーを供給する第1の膨張機と、を備える往復動ピストンエンジンシステム。
請求項32
前記加熱されかつ圧縮された作動ガスは第1の温度と第1の圧力とを有し、前記燃焼室は、燃焼の前に前記加熱されかつ圧縮された作動ガスが第2の温度と第2の圧力とを有するように、前記加熱されかつ圧縮された作動ガスを予膨張させ、および、前記第2の温度は前記第1の温度よりも低く、かつ、前記第2の圧力は前記第1の圧力よりも低い請求項31に記載の往復動ピストンエンジンシステム。
請求項33
前記復熱装置に流体連通している第2の膨張機をさらに備え、前記第2の膨張機は、前記復熱装置から前記膨張させられた排気ガスを受け取るように、かつ、2回膨張させられた排気ガスを生じさせるために前記膨張させられた排気ガスを膨張させるように作動可能である請求項31に記載の往復動ピストンエンジンシステム。
請求項34
前記圧縮機に流体連通している予圧縮機をさらに備え、前記予圧縮機は、新鮮な作動ガスを受け取るように、かつ、前記作動ガスを生じさせるために前記新鮮な作動ガスを圧縮するように作動可能である請求項31に記載の往復動ピストンエンジンシステム。
請求項35
前記圧縮機と前記気化可能液体供給装置は、前記圧縮された作動ガスを蒸気で飽和させるように作動可能である請求項31に記載のエンジンシステム。
請求項36
往復動ピストンエンジンシステムであって、作動ガスを受け入れるための第1の圧縮機であって、圧縮された作動ガスを生じさせるために作動ガスを圧縮するように作動可能である第1の圧縮機と、前記第1の圧縮機に流体連通している第1の復熱装置であって、加熱されかつ圧縮された作動ガスを生じさせるために、前記圧縮された作動ガスに熱エネルギーを供給するように作動可能な第1の復熱装置と、前記第1の復熱装置に流体連通している第2の圧縮機であって、加熱されかつ2回圧縮された作動ガスを生じさせるために、前記加熱されかつ圧縮された作動ガスを圧縮するように作動可能である第2の圧縮機と、前記加熱されかつ2回圧縮された作動ガスに気化可能な液体を供給するための、前記第2の圧縮機に関連付けられている気化可能流体供給装置と、前記第2の圧縮機に流体連通している第2の復熱装置であって、2回加熱されかつ2回圧縮された作動ガスを生じさせるために、前記加熱されかつ2回圧縮された作動ガスに熱エネルギーを供給するように作動可能な第2の復熱装置と、前記第2の復熱装置に流体連通している燃焼室であって、排気ガスを生じさせるために、前記2回加熱されかつ2回圧縮された作動ガスを燃焼させるように作動可能な燃焼室と、前記燃焼室と前記第1の復熱装置と前記第2の復熱装置とに流体連通している第1の膨張機であって、膨張させられた排気ガスを生じさせるために前記排気ガスを膨張させるように作動可能であり、かつ、前記膨張させられた排気ガスは前記第1および第2の復熱装置の少なくとも1つに熱エネルギーを供給する第1の膨張機と、を備える往復動ピストンエンジンシステム。
請求項37
前記第2の復熱装置に流体連通している第2の膨張機をさらに備え、前記第2の膨張機は、前記第2の復熱装置から前記膨張させられた排気ガスを受け取るように、かつ、2回膨張させられた排気ガスを生じさせるために前記膨張させられた排気ガスを膨張させるように作動可能である請求項36に記載の往復動ピストンエンジンシステム。
請求項38
前記2回加熱されかつ2回圧縮された作動ガスは第1の温度と第1の圧力とを有し、前記燃焼室は、燃焼の前に前記2回加熱されかつ2回圧縮された作動ガスが第2の温度と第2の圧力とを有するように、前記2回加熱されかつ2回圧縮された作動ガスを予膨張させ、および、前記第2の温度は前記第1の温度よりも低く、かつ、前記第2の圧力は前記第1の圧力よりも低い請求項36に記載の往復動ピストンエンジンシステム。
請求項39
前記第2の圧縮機と前記気化可能液体供給装置は、前記圧縮された作動ガスを蒸気で飽和させるように作動可能である請求項36に記載のエンジンシステム。
請求項40
往復動ピストンエンジンシステムであって、作動ガスを受け入れるための圧縮機であって、圧縮された作動ガスを生じさせるために前記作動ガスを圧縮するように作動可能である圧縮機と、気化可能な液体を前記作動ガスに供給するための、前記圧縮機に関連付けられている気化可能流体供給装置と、前記圧縮機に流体連通している復熱装置であって、加熱されかつ圧縮された作動ガスを生じさせるために、前記圧縮された作動ガスに熱エネルギーを供給するように作動可能な復熱装置と、前記復熱装置に流体連通している第1の膨張機であって、加熱されかつ膨張させられた作動ガスを生じさせるために、前記加熱されかつ圧縮された作動ガスを膨張させるように作動可能である第1の膨張機と、前記第1の膨張機に流体連通している燃焼室であって、排気ガスを生じさせるために前記加熱されかつ膨張させられた作動ガスを燃焼させるように作動可能な燃焼室と、前記燃焼室と前記復熱装置とに流体連通している第2の膨張機であって、膨張させられた排気ガスを生じさせるために前記排気ガスを膨張させるように作動可能であり、かつ、前記膨張させられた排気ガスは前記復熱装置に熱エネルギーを供給する第2の膨張機と、を備える往復動ピストンエンジンシステム。
請求項41
前記圧縮機と前記気化可能液体供給装置は、前記圧縮された作動ガスを蒸気で飽和させるように作動可能である請求項40に記載のエンジンシステム。
請求項42
往復動ピストンエンジンシステムであって、作動ガスを受け入れるための圧縮機であって、圧縮された作動ガスを生じさせるために前記作動ガスを圧縮するように作動可能である圧縮機と、気化可能な液体を前記作動ガスに供給するための、前記圧縮機に関連付けられている気化可能流体供給装置と、前記圧縮機に流体連通している復熱装置であって、加熱されかつ圧縮された作動ガスを生じさせるために、前記圧縮された作動ガスに熱エネルギーを供給するように作動可能な復熱装置と、前記復熱装置に流体連通している第1の膨張機であって、加熱されかつ膨張させられた作動ガスを生じさせるために、前記加熱されかつ圧縮された作動ガスを膨張させるように作動可能である第1の膨張機と、前記第1の膨張機と前記復熱装置とに流体連通している燃焼室であって、排気ガスを生じさせるために、前記加熱されかつ膨張させられた作動ガスを燃焼させるように作動可能であり、かつ、前記排気ガスは前記復熱装置に熱エネルギーを供給する燃焼室と、前記復熱装置に流体連通している第2の膨張機であって、膨張させられた排気ガスを生じさせるために前記排気ガスを膨張させるように作動可能である第2の膨張機と、を備える往復動ピストンエンジンシステム。
請求項43
前記圧縮機と前記気化可能液体供給装置は、前記圧縮された作動ガスを蒸気で飽和させるように作動可能である請求項42に記載のエンジンシステム。
請求項44
往復動ピストンエンジンシステムであって、作動ガスを受け入れるための圧縮機であって、圧縮された作動ガスを生じさせるために前記作動ガスを圧縮するように作動可能である圧縮機と、気化可能な液体を前記作動ガスに供給するための、圧縮機に関連付けられている気化可能流体供給装置と、前記圧縮機に流体連通している復熱装置であって、加熱されかつ圧縮された作動ガスを生じさせるために、前記圧縮された作動ガスに熱エネルギーを供給するように作動可能な復熱装置と、前記復熱装置に流体連通している燃焼室であって、排気ガスを生じさせるために、前記加熱されかつ圧縮された作動ガスを燃焼させるように作動可能であり、かつ、前記排気ガスは前記復熱装置に熱エネルギーを供給する燃焼室と、前記復熱装置に流体連通している膨張機であって、膨張させられた排気ガスを生じさせるために前記排気ガスを膨張させるように作動可能である膨張機と、を備える往復動ピストンエンジンシステム。
請求項45
前記加熱されかつ圧縮された作動ガスは第1の温度と第1の圧力とを有し、前記燃焼室は、燃焼の前に前記加熱されかつ圧縮された作動ガスが第2の温度と第2の圧力とを有するように、前記加熱されかつ圧縮された作動ガスを予膨張させ、および、前記第2の温度は前記第1の温度よりも低く、かつ、前記第2の圧力は前記第1の圧力よりも低い請求項44に記載の往復動ピストンエンジンシステム。
請求項46
前記圧縮機と前記気化可能液体供給装置は、前記圧縮された作動ガスを蒸気で飽和させるように作動可能である請求項44に記載のエンジンシステム。
請求項47
内燃エンジンを動作させる方法であって、前記内燃エンジンは、内側室を有するシリンダと、前記内側室に流体連通している吸気口と、前記吸気口を開閉するように作動可能な吸気弁と、前記シリンダの前記内側室内に往復動する形に配置されているピストンを備え、この方法は、加熱された作動ガスを生じさせるために作動ガスを加熱する段階と、前記ピストンを上死点位置から下死点位置に向けて移動させる段階と、前記吸気弁を開位置に動かす段階と、前記吸気口を通して前記加熱された作動ガスを前記内側室に送り込む段階と、前記ピストンが前記下死点位置に達する前に前記吸気弁を閉位置に動かす段階と、を備える方法。
請求項48
往復動ピストンエンジンシステムであって、作動ガスを受け入れるための圧縮機であって、圧縮された作動ガスを生じさせるために前記作動ガスを圧縮するように作動可能である圧縮機と、前記圧縮機に流体連通しているタンクであって、気化可能な流体を収容するように、かつ、飽和させられた作動ガスを生じさせるために前記作動ガスを蒸気で実質的に飽和させるように作動可能であるタンクと、前記タンクに流体連通している復熱装置であって、加熱されかつ飽和させられた作動ガスを生じさせるために、前記飽和させられた作動ガスに熱エネルギーを供給するように作動可能な復熱装置と、前記復熱装置に流体連通している燃焼室であって、排気ガスを生じさせるために、前記加熱されかつ飽和させられた作動ガスを燃焼させるように作動可能である燃焼室と、前記燃焼室と前記復熱装置とに流体連通している第1の膨張機であって、膨張させられた排気ガスを生じさせるために、前記排気ガスを膨張させるように作動可能であり、前記膨張させられた排気ガスは前記復熱装置に熱エネルギーを供給する第1の膨張機と、を備える往復動ピストンエンジンシステム。
請求項49
往復動ピストンエンジンを動作させる方法であって、圧縮行程中に作動ガスを圧縮する段階と、前記圧縮行程の少なくとも一部分の間に前記作動ガスに気化可能な液体を送り込む段階と、を含む方法。
請求項50
前記往復動ピストンエンジンは4行程往復動ピストンエンジンである請求項42に記載の方法。
請求項51
前記往復動ピストンエンジンは2行程往復動ピストンエンジンである請求項42に記載の方法。
請求項52
往復動ピストンエンジンシステムであって、作動ガスを受け入れるための圧縮機であって、圧縮された作動ガスを生じさせるために前記作動ガスを圧縮するように作動可能である圧縮機と、気化可能な液体を前記作動ガスに供給するための、前記圧縮機に関連付けられている第1の気化可能流体供給装置と、前記圧縮機に流体連通している復熱装置であって、加熱されかつ圧縮された作動ガスを生じさせるために、前記圧縮された作動ガスに熱エネルギーを供給するように作動可能な復熱装置と、前記復熱装置に流体連通している第1の膨張機であって、加熱されかつ膨張させられた作動ガスを生じさせるために、前記加熱されかつ圧縮された作動ガスを膨張させるように作動可能である第1の膨張機と、前記第1の膨張機と前記復熱装置とに流体連通している燃焼室であって、排気ガスを生じさせるために、前記加熱されかつ膨張させられた作動ガスを燃焼させるように作動可能であり、かつ、前記排気ガスは前記復熱装置に熱エネルギーを供給する燃焼室と、前記加熱されかつ膨張させられた作動ガスの燃焼の前に、前記加熱されかつ膨張させられた作動ガスに気化可能な液体を供給するための、前記燃焼室に関連付けられている第2の気化可能流体供給装置と、前記復熱装置に流体連通している第2の膨張機であって、膨張させられた排気ガスを生じさせるために前記排気ガスを膨張させるように作動可能である第2の膨張機と、を備える往復動ピストンエンジンシステム。
請求項53
往復動ピストンエンジンシステムであって、作動ガスを受け入れるための圧縮機であって、圧縮された作動ガスを生じさせるために前記作動ガスを圧縮するように作動可能である圧縮機と、気化可能な液体を前記作動ガスに供給するための、前記圧縮機に関連付けられている第1の気化可能流体供給装置と、前記圧縮機に流体連通している復熱装置であって、加熱されかつ圧縮された作動ガスを生じさせるために、前記圧縮された作動ガスに熱エネルギーを供給するように作動可能な復熱装置と、前記復熱装置に流体連通している燃焼室であって、排気ガスを生じさせるために、前記加熱されかつ膨張させられた作動ガスを燃焼させるように作動可能である燃焼室と、前記加熱されかつ圧縮された作動ガスの燃焼の前に、前記加熱されかつ圧縮された作動ガスに気化可能な液体を供給するための、前記燃焼室に関連付けられている第2の気化可能流体供給装置と、前記燃焼室と前記復熱装置とに流体連通している膨張機であって、膨張させられた排気ガスを生じさせるために、前記排気ガスを膨張させるように作動可能であり、かつ、前記膨張させられた排気ガスは前記復熱装置に熱エネルギーを供給する膨張機と、を備える往復動ピストンエンジンシステム。
請求項54
内燃機関ピストンエンジンシステムであって、上部部分を有する内側室と、前記内側室内に往復動する形に配置されており、かつ、上死点位置と下死点位置との間を移動可能であり、かつ、頂部面を有するピストンと、前記ピストンが前記上死点位置にある時の前記ピストンの前記頂部面と前記シリンダの前記内側室の前記上部部分とによって画定されている燃焼空間と、前記ピストンの前記頂部面上に配置されている第1の断熱層と、前記シリンダの前記内側室の前記上部部分上に配置されている第2の断熱層と、を備える往復動ピストンエンジンシステム。
請求項55
エンジンシステムであって、クランクシャフトと、前記クランクシャフトに連結されている第1の往復動ピストンエンジンであって、機械動力と、熱エネルギーを有する排気ガスとを生じさせるために、燃料を燃焼させるように作動可能であり、かつ、前記生じさせられた機械動力が前記クランクシャフトに供給される第1の往復動ピストンエンジンと、前記第1の往復動ピストンエンジンと流体連通しており、かつ、前記排気ガスからの熱エネルギーの少なくとも一部分を取り出すように作動可能である熱交換器と、前記熱交換器に流体連通しておりかつ前記クランクシャフトに連結されている第2の往復動ピストンエンジンであって、機械動力を生じさせるために、取り出された熱エネルギーによって動力供給されるように作動可能であり、かつ、前記生じさせられた機械動力は前記クランクシャフトに供給される第2の往復動ピストンエンジンと、を備えるエンジンシステム。
請求項56
往復動ピストンエンジン内で排気ガスを冷却する方法であって、第1の温度を有する作動ガスを供給する段階と、前記作動ガスの第1の部分をバイパス流路に送る段階と、第2の温度を有する排気ガスを生じさせるために前記作動ガスの第2の部分を燃焼させる段階と、第3の温度を有する統合されたガスを生じさせるために前記排気ガスと前記作動ガスの第1の部分とを組み合わせ、かつ、前記第3の温度は前記第1の温度と前記第2の温度との中間である段階と、を含む方法。
請求項57
排気ガスを再循環させる方法であって、第1の酸素富化ガスを供給する段階と、排気ガスを生じさせるために前記酸素富化ガスを燃焼させる段階と、圧縮された排気ガスを生じさせるために前記排気ガスの一部分を圧縮する段階と、混合ガスを生じさせるために前記圧縮された排気ガスを第2の酸素富化ガスと混合する段階と、排気ガスを生じさせるために前記混合ガスを燃焼させる段階と、を含む方法。
請求項58
エンジンシステムであって、作動ガスを受け取るための多段中間冷却式圧縮機であって、圧縮された作動ガスを生じさせるために前記作動ガスを圧縮するように作動可能である多段中間冷却式圧縮機と、前記圧縮機に流体連通している復熱装置であって、加熱されかつ圧縮された作動ガスを生じさせるために、前記圧縮された作動ガスに熱エネルギーを供給するように作動可能である復熱装置と、前記復熱装置に流体連通している断熱された燃焼室であって、排気ガスを生じさせるために、前記加熱されかつ圧縮された作動ガスを燃焼させるように作動可能である断熱された燃焼室と、前記断熱された燃焼室に流体連通しておりかつ排気ガスを受け取るように作動可能である断熱された排気収集管と、前記断熱された排気収集管と前記復熱装置とに流体連通している膨張機であって、膨張させられた排気ガスを生じさせるために前記排気ガスを膨張させるように作動可能であり、および、前記膨張させられた排気ガスは、前記復熱装置に熱エネルギーを供給する膨張機と、を備えるエンジンシステム。
請求項59
エンジンシステムであって、作動ガスを受け取るための圧縮機であって、圧縮された作動ガスを生じさせるために前記作動ガスを圧縮するように作動可能である圧縮機と、前記作動ガスに気化可能な液体を供給するための、前記圧縮機に関連付けられている気化可能流体供給装置と、前記圧縮機に流体連通している復熱装置であって、加熱されかつ圧縮された作動ガスを生じさせるために、前記圧縮された作動ガスに熱エネルギーを供給するように作動可能である復熱装置と、前記膨張機に流体連通している断熱された燃焼室であって、排気ガスを生じさせるために、前記加熱されかつ圧縮された作動ガスを燃焼させるように作動可能である断熱された燃焼室と、前記燃焼室と前記復熱装置とに流体連通している膨張機であって、膨張させられた排気ガスを生じさせるために前記排気ガスを膨張させるように作動可能であり、および、前記膨張させられた排気ガスは、前記復熱装置に熱エネルギーを供給する膨張機と、を備えるエンジンシステム。
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