专利摘要:
本開示は、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染を処置および/または防止するための免疫原性組成物(例えばワクチン)を含んでなる、組換えRSV抗原並びにその製造方法および使用方法を提供する。
公开号:JP2011507533A
申请号:JP2010539977
申请日:2008-12-23
公开日:2011-03-10
发明作者:ガイ、ジャン、マリー、フェルナンド、ピエール、ボドー;ジャン‐ルイ、ルエール;ノーマンド、ブレ;パトリック、ロルト
申请人:アイディー バイオメディカル コーポレイション オブ ケベック;グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム;
IPC主号:C07K14-00
专利说明:

[0001] 関連出願の相互参照
本願は、2007年12月24日に提出された米国仮出願第61/016,524号および2008年5月27日に提出された米国仮出願第61/056,206の先の提出日の利益を主張するものであり、これらの開示は参照により本明細書に援用する。]
[0002] 米国特許法施行規則§1.71(E)に従う著作権の通知
本特許文書の開示の一部は、著作権保護されるべき財産を含む。著作権者は、特許商標庁の特許のファイルまたは記録に表れる限りにおいては、特許文書または特許開示の複製に異議を有しないが、それ以外は如何なる場合にも、全ての著作権は著作権者が有する。]
[0003] 背景技術
本発明は免疫学の分野に関する。より具体的には、本発明は、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)に特異的な免疫反応を引き起こすための組成物および方法に関する。]
[0004] ヒト呼吸器合胞体ウイルス(Respiratory Syncytial Virus; RSV)は、6ヶ月未満の幼児および妊娠期間35週間以下の未熟児における下気道感染症(LRI)の世界で最も多い原因である。RSV疾患の範囲には、鼻炎および耳炎から肺炎および細気管支炎にわたる幅広い呼吸器系の症状が含まれ、後者の2つの疾患は罹患率および死亡率がかなり高い。ヒトは、知られている唯一のRSV保有宿主である。ウイルスの混入した鼻汁からのウイルスの拡散は大きな呼吸器系の飛沫を介して起こるため、伝染には、感染した個人または汚染された表面との密接な接触が必要である。RSVは玩具等の物体上に数時間存在し得るので、特に小児病棟において、RSVの院内感染率は高い。]
[0005] 全世界での1年間におけるRSVの感染数および死亡数はそれぞれ6400万件および160,000件と推定されている。米国単独では年間で、RSVが原因の入院件数は18,000〜75,000件、死亡件数は90〜1900件であると推定される。温暖気候では、毎年冬に流行する細気管支炎および肺炎を含む急性LRIの原因がRSVであるという詳細な記録がある。米国では、2歳までにほぼ全ての子供がRSVに感染する。その他の点では健康な子供のRSV関連LRIの発症率は、生後2年間では37/1000人−年(6ヶ月未満の幼児では45/1000人−年)、入院のリスクは6/1000人年(生後6ヶ月までの幼児では/1000人−年)と計算されている。心肺の疾患を有する子供および早産で生まれた子供は発症がより多く、米国におけるRSV関連の入院のほぼ半分を占める。RSVにより引き起こされたより重篤なLRIを経験した子供は、その後の小児喘息の発症率が高い。これらの研究は、重篤なLRIおよびその後遺症を有する患者の看護費用の高い先進国におけるRSVワクチンおよびその使用に対する幅広いニーズを示している。RSVはまた、高齢者のインフルエンザ様疾病の罹患率の大きな原因として次第に認識されてきている。]
[0006] 健常者集団およびリスク集団において長期間にわたり防御免疫反応を引き起こす安全かつ効果的なRSVワクチンを製造するために種々のアプローチが試みられてきた。しかし、これまで調べられた候補のいずれも、RSV感染の防止および/または下気道感染症(LRI)等のRSV疾患の低減もしくは防止を目的とするワクチンとして安全かつ効果的であることは証明されていない。]
[0007] 本発明は、組換え呼吸器合胞体ウイルス(RSV)抗原に関する。より具体的には、三量体融合前構造(trimeric prefusion conformation)を安定化するように修飾された組換えFタンパク質を含む抗原に関する。本発明の組換え抗原は、優れた免疫原性を示し、RSV感染および/または疾患に対する防御のための免疫原性組成物(例えばワクチン)の成分として特に好ましく使用される。また、組換え抗原をコードする核酸、抗原を含む免疫原性組成物、並びに抗原を産生および使用する方法に関する。]
図面の簡単な説明

[0008] RSVFタンパク質の構造的特徴を強調した模式図である。
例示的なRSV融合前F(PreF)抗原の模式図である。
PreFの非対称流フィールドフロー分画(AFF−MALS)分析の代表的結果を示す線グラフである。
PreF抗原によるヒト血清の中和阻害を示す棒グラフである。
PreF抗原に応答してマウスで誘発される血清IgGの力価を示す棒グラフである。
PreF抗原に応答してマウスで誘発される血清IgGの力価を示す棒グラフである。
PreF抗原により誘発されるRSV特異的な中和抗体の力価を示す棒グラフである。
PreF抗原により誘発されるRSV特異的な中和抗体の力価を示す棒グラフである。
マウスにおいて暴露に対してRSV PreF抗原により得られる防御を示すグラフである。
マウスにおいて暴露に対してRSV PreF抗原により得られる防御を示すグラフである。
免疫化および暴露後のBAL白血球を評価したグラフである。]
[0009] 導入
RSV感染を防止するためのワクチンの開発は、宿主の免疫反応がこの疾患の発病に関与していると思われるため、複雑である。1960年代の初期の研究により、ホルマリンで不活化したRSVワクチンを接種した子供は、コントロールとなるワクチン未接種対象に比べて、その後ウイルスに暴露した際により重篤な疾患に罹患することが示された。これらの初期の治験では、ワクチン接種を受けた人の80%が入院し、2人が死亡した。疾患の重篤度が増すことはモデル動物でも確認され、これは不十分な血清−中和抗体レベルと、局所免疫の欠如と、肺好酸球増多症並びにIL−4およびIL−5サイトカインの産生増加を伴う2型ヘルパーT細胞様(Th2)免疫反応の過剰な誘導との結果であると考えられる。対照的に、RSV感染からの防御に成功したワクチンは、IL−2およびγ−インターフェロン(IFN)の産生を特徴とするTh1優位型(Th1 biased)の免疫反応を誘導する。]
[0010] 本発明は、これまでワクチンに使用されていたRSV抗原で遭遇する問題を解決し、抗原の免疫学的特性および製造特性を改善する、組換え呼吸器合胞体ウイルス(RSV)抗原に関する。本発明の組換えRSV抗原は、可溶性融合(F)タンパク質ポリペプチドを含むFタンパク質類似体を含み、これは、Fタンパク質の融合前構造、すなわち、宿主細胞膜と融合する前の組み立てられた成熟Fタンパク質の構造を安定化するように修飾されている。簡潔で分かり易くするために、これらのFタンパク質類似体を「PreF」または「PreF抗原」と呼ぶこととする。本発明のPreF抗原は、異種性(heterologous)三量体形成ドメインの導入により修飾された可溶性Fタンパク質類似体が、免疫原性特性の向上を示し、対象にインビボで投与された時に安全かつ高い防御効果を有するという予期されない発見に基づく。]
[0011] 当該技術分野で広く受け入られている用語および名称を用いてRSVFタンパク質の詳細な構造を本明細書に提供し、図1Aに模式的に示す。例示的PreF抗原の模式図を図1Bに示す。当業者であれば、本明細書の教示に従って任意のRSV Fタンパク質を融合前構造が安定化するように修飾することができると理解できる。したがって、PreF抗原の作製を説明する原理を理解し易くするために、ポリヌクレオチド配列およびアミノ酸配列がそれぞれ配列番号1および2に示される例示的Fタンパク質を参照して、個々の構造要素を記載する。同様に、適切な場合、ポリヌクレオチド配列およびアミノ酸配列がそれぞれ配列番号3および4に示される例示的Gタンパク質を参照して、Gタンパク質抗原を記載する。] 図1A 図1B
[0012] Fタンパク質ポリペプチドの一次アミノ酸配列(図1A)に関して、以下の用語を用いてPreF抗原の構造的特徴を記載する。] 図1A
[0013] F0という用語は、翻訳された全長Fタンパク質前駆体を指す。F0ポリペプチドは、pep27と呼ばれる介在ペプチドによって隔てられたF2ドメインおよびF1ドメインに細区分される。成熟中、F0ポリペプチドは、F2とF1との間に位置しpep27と隣接する2箇所のフューリン部位でタンパク質切断を受ける。後の議論のために説明すると、F2ドメインはFタンパク質のアミノ酸1〜109の少なくとも一部または全部を含み、F1ドメインの可溶性部分はFタンパク質のアミノ酸137〜526の少なくとも一部から全部までを含む。前述の通り、これらのアミノ酸位置(および本明細書で指定する以降の全てのアミノ酸位置)は、配列番号2の例示的Fタンパク質前駆体ポリペプチド(F0)を基準にしたものである。]
[0014] 融合前F(または「PreF」)抗原は、Fタンパク質の融合前構造を安定化する少なくとも1つの修飾を含む可溶性(すなわち膜結合性でない)Fタンパク質類似体であり、RSV抗原は、Fタンパク質の融合前構造の少なくとも1つの免疫優性エピトープを保持している。可溶性Fタンパク質ポリペプチドは、RSV Fタンパク質のF2ドメインおよびF1ドメインを含む(しかし、RSV Fタンパク質の膜貫通ドメインは含まない)。例示的実施形態では、F2ドメインはFタンパク質のアミノ酸26〜105を含み、F1ドメインはアミノ酸137〜516を含む。しかし、安定化されたPreF抗原の3次構造が維持されてさえいれば、これよりも小さな部分を用いてもよい。同様に、更なる構造要素を含むポリペプチド(例えば融合ポリペプチド)も、この更なる要素が3次構造を破壊しないか、安定性、産生、またはプロセシングに悪影響を与えないか、抗原の免疫原性を低下させない限り、例示的F2およびF1ドメインの代わりに用いることができる。F2およびF1ドメインはN末端からC末端に向かって配置され、成熟した融合前構造へのFタンパク質類似体の折り畳みおよび組み立て(assembly)が再現されるように設計されている。産生量を高めるために、組換えPreF抗原が発現される宿主細胞中での産生および分泌が増加するように選択された天然Fタンパク質シグナルペプチドまたは異種性シグナルペプチド等の分泌シグナルペプチドがF2ドメインに先行してもよい。]
[0015] PreF抗原は、1または複数のアミノ酸の付加、欠失、または置換等の修飾を導入することで(三量体融合前構造で)安定化される。そのような安定化修飾の1つは、異種性の安定化ドメインを含むアミノ酸配列の付加である。例示的な実施形態では、異種性安定化ドメインは、タンパク質多量体形成ドメインである。そのようなタンパク質多量体形成ドメインの特に好ましい一例は、そのようなドメインを有する複数のポリペプチドの三量体形成を促進するイソロイシンジッパードメイン等のコイルドコイルドメインである。例示的なイソロイシンジッパードメインを配列番号11に示す。通常、異種性安定化ドメインはF1ドメインのC末端側に位置する。]
[0016] 必要に応じて、GG配列等の短いアミノ酸リンカー配列を介して多量体形成ドメインはF1ドメインに連結される。リンカーは、より長いリンカーであってもよい(例えば、GG配列を含むアミノ酸配列:GGSGGSGGS;配列番号14等)。PreF抗原の構造を破壊することなく用いることができる構造的に中立な多くのリンカーが当該技術分野で公知である。]
[0017] 別の安定化修飾としては、天然F0タンパク質中のF2ドメインとF1ドメインの間に位置するフューリン認識切断部位の除去がある。第105位〜第109位および第133位〜第136位に位置するフューリン認識部位の片方または両方を、フューリン認識部位の1または複数のアミノ酸を欠失または置換して除去することで、プロテアーゼがPreFポリペプチドをその構成ドメインに切断できないようにすることができる。必要に応じて、例えばリンカーペプチドを用いて、介在pep27ペプチドを除去または置換してもよい。更に、または必要に応じて、融合ペプチドに近接する非フューリン切断部位(例えば第112位〜第113位のメタロプロテイナーゼ部位)を除去または置換してよい。]
[0018] 安定化変異の別の例としては、Fタンパク質の疎水性ドメイン中への親水性アミノ酸の付加または置換が挙げられる。通常、疎水性領域中で、ロイシン等の中性残基に対してリジン等の荷電アミノ酸による置換または付加を行う。例えば、Fタンパク質細胞外ドメインのHRBコイルドコイルドメイン内の疎水性または中性のアミノ酸に対して親水性アミノ酸の付加または置換を行ってよい。例えば、Fタンパク質の第512位のロイシンをリジン等の荷電アミノ酸残基で置換してよい。あるいは、またはそれに加えて、Fタンパク質のHRAドメイン内の疎水性または中性のアミノ酸に対して、親水性アミノ酸の付加または置換を行ってよい。例えば、リジン等の1または複数の荷電アミノ酸を、PreF抗原の第105位〜第106位またはその近く(例えば、アミノ酸105と106の間等、参照の配列番号2の105番目の残基に対応するアミノ酸の後ろ)に挿入してよい。必要に応じて、HRAドメインおよびHRBドメインの両方において親水性アミノ酸による付加または置換を行ってよい。あるいは、PreF抗原の全体的な構造に悪影響を与えない限り、1または複数の疎水性残基を欠失させてもよい。]
[0019] 任意のおよび/または全ての安定化修飾を個々に用いるかかつ/または本明細書に開示したその他の安定化修飾のいずれかと組み合わせて用いて、PreF抗原を作製してよい。例示的な実施形態では、PreFタンパク質は、F2ドメインおよびF1ドメインを含み、F2ドメインとF1ドメインの間の介在フューリン切断部位を有さず、F1ドメインのC末端側に配置された異種性の安定化ドメイン(例えば三量体形成ドメイン)を有するポリペプチドを含んでなる。特定の実施形態では、PreF抗原は、疎水性HRAおよび/またはHRBドメイン中における1または複数の親水性残基の付加および/または置換をも含む。必要に応じて、PreF抗原は、メタロプロテイナーゼ部位等の少なくとも1つの非フューリン切断部位への修飾を有する。]
[0020] PreF抗原は、必要に応じて、少なくともRSVGタンパク質の免疫原性部分を含む更なるポリペプチド要素を含んでもよい。すなわち、特定の実施形態では、PreF抗原は、Fタンパク質およびGタンパク質要素の両方を含むキメラタンパク質である。Fタンパク質要素は、上記PreF抗原のいずれであってもよく、Gタンパク質要素は、RSV Gタンパク質の免疫学的に活性な部分となるように選択される(全長Gタンパク質までであるかかつ/または全長Gタンパク質を含む)。例示的な実施形態では、Gタンパク質ポリペプチドは、Gタンパク質のアミノ酸149〜229(ここで、アミノ酸位置は配列番号4で表されるGタンパク質配列を参照して指定)を含む。当業者であれば、選択された部分がより大きなGタンパク質断片の優性な免疫学的特徴を維持していれば、Gタンパク質のより小さな部分または断片を用いてもよいと理解するであろう。特に、選択された断片は、アミノ酸第184位〜第198位付近(例えばアミノ酸180〜200)にある免疫学的に優性なエピトープを維持しており、免疫優性エピトープを提示する安定な構造に折り畳まれて組み立てられるのに十分な長さである。選択された断片は、宿主細胞中で組換え産生された時に、キメラタンパク質に関して安定な構造に折り畳まれ、産生、プロセシング、または安定性に干渉しない限り、より長い断片、例えばアミノ酸128付近〜アミノ酸229付近、全長Gタンパク質までを用いてよい。必要に応じて、GG配列等の短いアミノ酸リンカー配列を介してGタンパク質要素をFタンパク質要素に連結する。リンカーは、より長いリンカー(例えばアミノ酸配列:GGSGGSGGS:配列番号14)であってもよい。PreF抗原の構造を破壊することなく用いることができる構造的に中立な多くのリンカーが当該技術分野で公知である。]
[0021] 必要に応じて、Gタンパク質要素は、RSV疾患のモデル動物において促進されるウイルス疾患を低減または防止する1または複数のアミノ酸置換を含んでもよい。すなわち、Gタンパク質はアミノ酸置換を含んでよく、それにより、一般に認められているモデル動物(例えばRSVのモデルマウス)から選択された対象にPreF−Gキメラ抗原を含む免疫原性組成物を投与した時に、非修飾Gタンパク質を含むワクチン等のワクチンを接種した対照動物と比べて、ワクチンにより促進されるウイルス疾患(vaccine enhanced viral disease)(例えば好酸球増多症、好中球増多症)の症状が対象で低減されるか見られなくなる。ワクチンにより促進されるウイルス疾患の低減および/または防止は、免疫原性組成物をアジュバントなしに投与した時に確認することができる(しかし、例えばTh1を強力に誘導するアジュバントの存在下で抗原を投与した場合には確認されない)。更に、このアミノ酸置換により、ヒト対象に投与された時に、ワクチンにより促進されるウイルス疾患を低減または防止することが可能になる。好適なアミノ酸置換の例としては、アラニンによる第191位のアスパラギンの置換が挙げられる(アミノ酸191におけるAsn→Ala:N191A)。]
[0022] 必要に応じて、上記の任意のPreF抗原は、精製を支援する更なる配列を含んでもよい。一例として、ポリヒスチジンタグが挙げられる。そのようなタグは、所望により最終産物から除去することができる。]
[0023] PreF抗原は発現されると、ポリペプチドの多量体を含む成熟タンパク質へと細胞内で折り畳まれ、組み立てられる。好ましくは、preF抗原ポリペプチドは、プロセシングを受けた成熟RSVFタンパク質の融合前構造に似た三量体に組み立てられる。]
[0024] 本開示のPreF抗原(PreF−G抗原を含む。)はいずれも、RSVに対する防御免疫反応を引き起こすための免疫原性組成物に好ましく用いることができる。そのような免疫原性組成物は通常、薬学的に許容される担体および/または賦形剤、例えば緩衝剤を含む。投与後に生じる免疫反応を強化するために、免疫原性組成物には通常アジュバントも含まれる。RSVに対する防御免疫反応を引き起こすための免疫原性組成物(例えばワクチン)の場合、組成物は好ましくはTh1免疫反応を主に引き起こすアジュバント(Th1優位型のアジュバント)を含む。通常、アジュバントは、組成物を投与する標的群への投与に適するように選択される。したがって、用途に応じて、アジュバントは例えば新生児または高齢者への投与に適するように選択される。]
[0025] 本明細書に記載した免疫原性組成物は、好ましくは、投与またはRSVへの暴露後の病理学的反応(例えばワクチンにより促進されるウイルス疾患)を誘導することなくRSVの感染を低減または防止するためのワクチンとして使用される。]
[0026] いくつかの実施形態では、免疫原性組成物はPreF抗原(例えば配列番号6で示される例示的実施形態)とGタンパク質要素を含む第2のポリペプチドとを含む。Gタンパク質要素は通常、少なくともGタンパク質のアミノ酸149〜229を含む。これよりも小さなGタンパク質部分を用いることもできるが、そのような断片は少なくともアミノ酸184〜198の免疫学的に優性なエピトープを含むべきである。あるいは、Gタンパク質は、必要に応じて全長Gタンパク質やキメラポリペプチド等のより大きなタンパク質の要素として、アミノ酸128〜229または130〜230といったより大きなGタンパク質部分を含んでもよい。]
[0027] 別の実施形態では、免疫原性組成物は、Gタンパク質要素(例えば配列番号8および10で表される例示的実施形態)を含むキメラタンパク質であるPreF抗原を含む。そのようなキメラPreF(またはPreF−G)抗原のGタンパク質要素は通常、少なくともGタンパク質のアミノ酸149〜229を含む。上記の通り、Gタンパク質のより小さいまたはより大きい断片(例えばアミノ酸129〜229または130〜230)も、免疫優性エピトープが維持されており、PreF−G抗原の構造に悪影響を与えない限り、用いることができる。]
[0028] 必要に応じて、免疫原性組成物は、RSV以外の病原生物の更なる抗原の少なくとも1つを含んでもよい。例えば、病原生物はRSV以外のウイルス、例えばパラインフルエンザウイルス(PIV)、麻疹、B型肝炎、ポリオウイルス、またはインフルエンザウイルスである。あるいは、病原生物は、ジフテリア、破傷風(tetanus)、百日咳菌、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、肺炎球菌(Pneumococcus)等の細菌であってよい。]
[0029] PreF抗原(PreF−G抗原を含む。)のいずれかをコードする組換え核酸も本発明に含まれる。いくつかの実施形態では、この核酸の、PreF抗原をコードする核酸のポリヌクレオチド配列は、選択された宿主(例えばCHO細胞、その他の哺乳動物細胞、または昆虫細胞)中での発現に最適化されている。したがって、発現ベクター(真核および原核用の発現ベクターを含む)を含むベクターも本発明に含まれる。同様に、そのような核酸およびベクターを含む宿主細胞も本発明に含まれる。そのような核酸は、対象に投与してRSV特異的な免疫反応を引き起こすための免疫原性組成物との関連で使用することもできる。]
[0030] PreF抗原は、好ましくは、RSV感染の防止および/または処置に用いられる。したがって、本発明の別の態様は、RSVに対する免疫反応を引き起こす方法に関する。この方法は、免疫学的有効量のPreF抗原を含む組成物を対象(例えばヒトまたは動物対象)に投与することを含む。免疫学的有効量の組成物を投与することで、PreF抗原上に存在するエピトープに特異的な免疫反応が惹起される。そのような免疫反応は、B細胞反応(例えば中和抗体の産生)および/またはT細胞反応(例えばサイトカインの産生)を含む。好ましくは、PreF抗原により惹起される免疫反応には、RSVFタンパク質の融合前構造上に存在する構造エピトープの少なくとも1つに特異的な要素が含まれる。PreF抗原および組成物は、RSV接触後にウイルス疾患を促進することなく、対象に投与することができる。好ましくは、本開示のPreF抗原および好適に製剤化された免疫原性組成物は、RSV感染を低減もしくは防止しかつ/またはRSV感染後の病理学的反応を低減もしくは防止するTh1優位型の免疫反応を引き起こす。]
[0031] 免疫原性組成物は、上気道の粘膜にPreF抗原を直接接触させる鼻腔内等の経路を含む種々の経路で投与することができる。あるいは、筋肉内投与等のより一般的な投与経路を用いてもよい。]
[0032] したがって、RSV感染を処置する(例えば、RSV感染を予防的に処置するまたは防止する)ための医薬の製造における本開示のRSV抗原(または核酸)のいずれの使用も想定される。したがって、本開示は、医薬に使用するための本開示の組換えRSV抗原または免疫原性組成物、およびRSV関連疾患の防止または処置のためのその使用を提供する。]
[0033] PreF抗原に関する更なる詳細およびその使用方法を以下の説明および例中に示す。]
[0034] 用語
本開示の種々の実施形態を概観し易くするために以下に用語を説明する。本開示の文脈中で更なる用語および説明が提供され得る。]
[0035] 特に説明のない限り、本明細書で使用される全ての科学技術用語は、本開示が属する分野の当業者に一般的に理解されるのと同じ意味を有する。分子生物学の一般的な用語の定義は、Benjamin Lewin, Genes V、Oxford University Press, 1994(ISBN 0-19-854287-9);Kendrew et al.(eds.)、Encylopaedia of Molecular Biology、Blackwell Science Ltd., 1994(ISBN 0-632-02182-9);およびRobert A. Meyers (ed.)、Molecular Biology and Biotechnology: a Comprehensive Desk Reference、VCH Publishers, Inc.,1995(ISBN 1-56081-569-8)に記載されている。]
[0036] 単数形の語は、文脈から明らかに否定されない限り、複数の対象も含む。同様に、「または」、「もしくは」という語は、文脈から明らかに否定されない限り、「および」を含むことが意図される。「複数」という語は2以上を意味する。また、核酸またはポリペプチドに与えられる全ての塩基サイズまたはアミノ酸サイズ、および全ての分子量または分子質量の値は概数であり、説明のために提供するものであると理解される。更に、抗原等の物質の濃度またはレベルに関する数値的限定も概数であることが意図される。したがって、濃度が少なくとも(例えば)200pgであると示されている場合、濃度は少なくとも約200pgであると理解されることが意図される。]
[0037] 本明細書に記載したものと同様なまたは等価な方法および材料を本開示の実施または試験に用いることができるが、好適な方法および材料は以下に記載するものである。「含む」は「挙げる」を意味する。「含む」という語およびその活用形は、文脈から否定されない限り、記載された化合物または組成物(例えば核酸、ポリペプチド、抗原)もしくは工程、または化合物もしくは工程の群を包含するが、任意のその他の化合物、組成物、工程、またはその群も排除されないことを示唆すると理解される。本明細書において、「例えば」という語は非限定的な例を指すために使用される。]
[0038] 呼吸器合胞体ウイルス(RSV)は、パラミクソウイルス(Paramyxoviridae)科、ニューモウイルス(Pneumovirinae)亜科、ニューモウイルス属の病原ウイルスである。RSVのゲノムはネガティブセンスRNA分子であり、11個のタンパク質をコードしている。RNAゲノムとウイルスNタンパク質の密接な会合が、ウイルスエンベロープの内側に包まれたヌクレオカプシドを形成する。G糖タンパク質の抗原性の違いに基づいて2群のヒトRSV株がA群およびB群として記述されている。現在までに多くのRSV株が単離されている。GenBankおよび/またはEMBLの受託番号で示されている例示的な株が国際公開第2008114149号に記載されている。この文献を、PreF抗原(キメラPreF−G抗原を含む。)の使用およびPreF抗原との併用に適したRSV FおよびGタンパク質の核酸配列およびポリペプチド配列を開示する目的で参照により本明細書に援用する。更なるRSV株が単離される可能性は高く、それらもRSV属に含まれる。同様に、RSV属は、天然(例えば、以前同定されたまたは今後同定される株)から遺伝的浮動により生じるかまたは人工的な合成および/もしくは組換えにより生じた変異体を含む。]
[0039] 「Fタンパク質」または「融合タンパク質」または「Fタンパク質ポリペプチド」または融合タンパク質ポリペプチド」という用語は、RSV融合タンパク質ポリペプチドのアミノ酸配列の全部または一部を有するポリペプチドまたはタンパク質を指す。同様に、「Gタンパク質」または「Gタンパク質ポリペプチド」という用語は、RSVの付着タンパク質ポリペプチドのアミノ酸配列の全部または一部を有するポリペプチドまたはタンパク質を指す。多くのRSV融合および付着タンパク質が報告されており、当業者に知られている。国際公開第2008114149号は、本開示の提出日に一般に利用可能なFおよびGタンパク質変異体(例えば天然の変異体)の例を記載している。]
[0040] 核酸またはポリペプチド(例えば、RSVFもしくはGタンパク質の核酸もしくはポリペプチドまたはPreFの核酸もしくはポリペプチド)に言及する際の「変異体」とは、参照する核酸またはポリペプチドと異なる核酸またはポリペプチドである。通常、変異体と参照する核酸またはポリペプチドの差は、対象に比べて比較的少数である。]
[0041] ポリペプチドまたはタンパク質の「ドメイン」とは、ポリペプチドまたはタンパク質内の構造的に定義された要素である。例えば、「三量体形成ドメイン」とは、ポリペプチドが三量体へと組み立てられるのを促進するポリペプチド内のアミノ酸配列である。例えば、三量体形成ドメインは、(同じまたは異なるアミノ酸配列を有する更なるポリペプチドの)別の三量体形成ドメインとの会合を介して三量体への組み立てを促進することができる。この用語は、そのようなペプチドまたはポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを指すためにも使用される。]
[0042] 「天然の(nativeまたはnaturally occurring)」という用語は、天然と同じ状態で存在するタンパク質、ポリペプチド、または核酸等の因子を指す。すなわち、この因子は人工的に修飾されていない。本開示の文脈において、例えばRSVの種々の天然株または単離株から得られる、RSVタンパク質またはポリペプチドの多くの天然の変異体があることが理解されよう。]
[0043] 「ポリペプチド」という用語は、モノマーがアミド結合を介して結合したアミノ酸残基であるポリマーを指す。本明細書において「ポリペプチド」または「タンパク質」という用語は、任意のアミノ酸配列を含むことを意図し、糖タンパク質等の修飾された配列を含む。「ポリペプチド」という用語は、天然のタンパク質および組換えまたは合成により作製されたものを含むことが特に意図される。ポリペプチドに関して、「断片」という用語は、ポリペプチドの一部(すなわちサブ配列)を指す。「免疫原性断片」という用語は、全長の参照タンパク質またはポリペプチドの少なくとも1つの優性な免疫原性エピトープを維持しているポリペプチドのあらゆる断片を意味する。ポリペプチド内での方向は一般的にN末端からC末端へと記載され、これは個々のアミノ酸のアミノ部分およびカルボキシ部分の向きにより定義される。ポリペプチドはNすなわちアミノ末端からCすなわちカルボキシ末端へと翻訳される。]
[0044] 「シグナルペプチド」とは、新たに合成された分泌タンパク質または膜タンパク質を、例えば小胞体の膜へまたは膜を通して送る、短いアミノ酸配列(例えば約18〜25アミノ酸長)である。シグナルペプチドは、全てではないが多くの場合、ポリペプチドのN末端に位置し、しばしば、タンパク質が膜を通過した後にシグナルペプチダーゼにより切り離される。シグナル配列は通常、3つの共通する構造的特徴、すなわちN末端の極性塩基性領域(n−領域)、疎水性コア、および疎水性C領域)を含む。]
[0045] 「ポリヌクレオチド」および「核酸配列」という用語は、長さが少なくとも10塩基のポリマー形態のヌクレオチドを指す。ヌクレオチドは、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、またはいずれかのヌクレオチドの修飾された形態であってよい。この用語は、単鎖および二重鎖のDNAを含む。「単離されたポリヌクレオチド」とは、それが由来する生物の天然ゲノム中で直接隣接する両方のコード配列(片方は5’末端、他方は3’末端)のいずれにも直接隣接しないポリヌクレオチドを意味する。一実施形態では、ポリヌクレオチドはポリペプチドをコードする。核酸の5’および3’方向は、個々のヌクレオチド単位の結合性に関連して定義され、デオキシリボース(またはリボース)糖環の炭素位置に従って決定される。ポリヌクレオチド配列の情報(コード)内容は5’から3’方向へと読まれる。]
[0046] 「組換え」核酸は、天然でない配列または隔てられた2個の配列セグメントを人工的に組み合わせることで作製された配列を有する核酸である。この人工的組合せは、化学合成、またはより一般的には、単離された核酸セグメントの人工的操作、例えば遺伝子工学技術により達成され得る。「組換え」タンパク質は、細菌または真核細胞等の宿主細胞に導入された異種性(例えば組換え)核酸によりコードされるタンパク質である。核酸は、導入された核酸によりコードされるタンパク質を発現可能なシグナルを有する発現ベクター上載せて導入してもよく、核酸を宿主細胞染色体中に組み込んでもよい。]
[0047] 核酸、ポリペプチド、または他の細胞成分に関連して、「異種性」という用語は、その要素が天然では本来見られない場所で生じかつ/または要素が別の出所もしくは種を起源とすることを示している。]
[0048] 「精製」(例えば病原体または病原体を含有する組成物に関連して)という用語は、組成物からその存在が望ましくない成分を除去するプロセスを意味する。精製は相対的な用語であり、組成物から望ましくない成分が全て除去される必要はない。ワクチン製造の文脈において、精製は、遠心分離、透析、イオン交換クロマトグラフィー、およびサイズ排斥クロマトグラフィー、アフィニティー精製、または沈殿等のプロセスを含む。したがって、「精製された」という用語は、完全に純粋であることを要求するものではなく、むしろ、相対的な用語であることが意図される。したがって、例えば、精製された核酸標品とは、その核酸が生産的状況、例えば細胞内または生化学反応用チャンバー内にある場合よりも、特定のタンパク質が濃縮されている標品である。実質的に純粋な核酸またはタンパク質の標品は、所望の核酸が標品の全核酸含有量の少なくとも50%を占めるように精製され得る。特定の実施形態では、実質的に純粋な核酸は、標品の全核酸またはタンパク質含有量の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%以上を占める。]
[0049] 「単離された」生物学的成分(例えば核酸分子、タンパク質、または細胞小器官)は、他の染色体および染色体外のDNAおよびRNA、タンパク質、並びに細胞小器官等の成分が天然に生じる生物の細胞中にあるその他の生物学的成分から実質的に分離または精製されている。「単離された」核酸およびタンパク質は、標準的な精製方法で精製された核酸およびタンパク質を包含する。この用語はまた、宿主細胞中で組換え発現されることで産生された核酸およびタンパク質並びに化学合成された核酸およびタンパク質を含む。]
[0050] 「抗原」とは、動物中で抗体の産生および/またはT細胞反応を刺激できる化合物、組成物、または物質であり、動物中に注入、吸収、またはその他の方法で導入される組成物を包含する。「抗原」という用語は、関連する全ての抗原性エピトープを包含する。「エピトープ」または「抗原決定基」という用語は、B細胞および/またはT細胞が反応する抗原上の部位を指す。「優性な抗原性エピトープ」または「優性エピトープ」とは、機能的に重要な宿主免疫反応、例えば抗体反応またはT細胞反応が生じる相手となるエピトープである。したがって、病原体に対する防御免疫反応に関して、優性な抗原性エピトープは、宿主免疫系に認識された時に、病原体が引き起こす疾患に対する防御を生じさせる抗原性部分である。「T細胞エピトープ」という用語は、適切なMHC分子に結合した時に、(T細胞受容体を介して)T細胞が特異的に結合するエピトープを指す。「B細胞エピトープ」とは、抗体(またはB細胞受容体分子)が特異的に結合するエピトープである。]
[0051] 「アジュバント」とは、免疫反応の発生を非特異的に強化する薬剤である。一般的なアジュバントとしては、抗原が吸着した鉱物(ミョウバン、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム)の懸濁液;油中水型および水中油型等のエマルション(および二重エマルション、リバーシブルエマルション等のその変形物)、リポ糖、リポ多糖、免疫賦活性核酸(CpGオリゴヌクレオチド等)、リポソーム、トール様受容体のアゴニスト(特に、TLR2、TLR4、TLR7/8、およびTLR9アゴニスト)、およびそのような成分の種々の組合せが含まれる。]
[0052] 「免疫原性組成物」とは、例えばRSV等の病原体に特異的な免疫反応を引き起こすことができる、(例えば実験設定下で)ヒトまたは動物対象への投与に適した物質の組成物である。したがって、免疫原性組成物は、1または複数の抗原(例えばポリペプチド抗原)または抗原性エピトープを含む。また、免疫原性組成物は、賦形剤、担体、および/またはアジュバント等の、免疫反応を惹起または強化することができる1または複数の更なる成分を含んでもよい。特定の状況では、免疫原性組成物は、病原体により誘導される症状または状態から対象を防御する免疫反応を引き起こすために投与される。いくつかの場合には、対象が病原体に曝された後の病原体(例えばRSV)の複製を阻害することで、病原体により生じる症状または疾患が防止(または低減または寛解)される。本開示の文脈において、免疫原性組成物という用語は、RSVに対する防御免疫反応または緩和(palliative)免疫反応を引き起こすために対象または対象群に投与されることが意図される組成物(すなわち、ワクチン組成物またはワクチン)を包含すると理解される。]
[0053] 「免疫反応」とは、刺激に対するB細胞、T細胞、単球等の免疫系細胞の反応である。免疫反応はB細胞反応であってもよく、B細胞反応は、抗原特異的中和抗体等の特異的抗体を産生する。免疫反応は、CD4+反応またはCD8+反応等のT細胞反応であってもよい。いくつかの場合には、反応は特定の抗原に特異的である(すなわち、「抗原特異的反応」)。抗原が病原体に由来する場合、抗原特異的反応は、「病原体特異的反応」である。「防御免疫反応」とは、病原体の有害な機能または活性を阻害するか、病原体の感染を低減するか、病原体の感染による症状(死亡を含む)を低減させる、免疫反応である。防御免疫反応は、例えばプラーク減少アッセイにおけるウイルス複製もしくはプラーク形成の阻害、またはELISA中和アッセイ、またはインビボでの病原菌暴露に対する抵抗性を測定することで測定することができる。]
[0054] 「Th1」優位型の免疫反応は、IL−2およびIFN−γを産生するCD4+Tヘルパー細胞の存在を特徴とし、したがって、IL−2およびIFN−γの分泌または存在を特徴とする。一方、「Th2」優位型の免疫反応は、IL−4、IL−5、およびIL−13を産生するCD4+ヘルパー細胞が優位であることを特徴とする。]
[0055] 「免疫学的有効量」とは、組成物(通常、免疫原性組成物)または組成物中の抗原に対する免疫反応を対象中で引き起こすために使用される組成物の量である。一般的に、所望される結果は、対象を病原体から防御できるまたは防御に寄与する、抗原(例えば病原体)特異的免疫反応が生じることである。しかし、病原体に対する防御免疫反応を得るためには、免疫原性組成物の複数回投与が必要になることもある。したがって、本開示の文脈において、免疫学的有効量という用語は、前または後の投与と合わせて防御免疫反応の獲得に寄与する分割量を包含する。]
[0056] 「薬学的に許容される」という形容句は、指示対象物が対象(例えばヒトまたは動物対象)への投与に適していることを示す。Remington’s Pharmaceutical Sciences, by E. W. Martin, Mack Publishing Co., Easton, PA, 15th Edition (1975)に、免疫原性組成物を含む治療的および/または予防的組成物の薬学的送達に適した組成物および製剤(希釈剤を含む)が記載されている。]
[0057] 免疫反応等の反応に関連して、「調節する」という用語は、反応の開始、大きさ、期間、または特性を変更するまたは変えることを意味する。免疫反応を調節する薬剤は、投与後の免疫反応の開始、大きさ、期間、または特性の少なくとも1つを変更するか、参照薬剤と比較して開始、大きさ、期間、または特性の少なくとも1つを変更する。]
[0058] 「低減する(reduce)」という用語は相対的な用語であり、薬剤投与後に反応または状態が定量的に減少した場合または薬剤投与後に反応または状態が参照薬剤と比較して減少した場合、薬剤は反応または状態を低減させているという。同様に、「防止する(prevent)」という用語は、反応または状態の少なくとも1つの特徴を除去すればよく、薬剤が反応または状態を完全に取り除くことを必ずしも意味しない。したがって、ワクチンにより促進されるウイルス疾患等の病理学的反応等の反応または感染を低減または防止する免疫原性組成物は、そのような感染または反応を完全でなくてもよいが取り除くことができ、例えば、薬剤非存在下における感染または反応の、または参照薬剤と比較して、少なくとも約50%、例えば少なくとも約70%、約80%、または約90%の減少(すなわち10%以下)が測定されればよい。]
[0059] 「対象」とは、生きた多細胞脊椎生物である。本開示の文脈において、対象は、非ヒト動物、例えばマウス、コットンラット、または非ヒト霊長類等の実験対象であり得る。あるいは、対象はヒト対象であってもよい。]
[0060] PreF抗原
天然には、RSVFタンパク質はF0と呼ばれる長さ574アミノ酸の単一ポリペプチド前駆体として発現される。生体内において、F0は小胞体中でオリゴマーを形成し、2個の保存されたフューリンコンセンサス配列(フューリン切断部位)、RARR109(配列番号15)およびRKRR136(配列番号16)でフューリンプロテアーゼによりタンパク質分解処理され、2個のジスルフィド結合された断片からなるオリゴマーを生成する。これらの断片の小さい方はF2と名付けられ、F0前駆体のN末端部分に由来する。当業者には、略語F0,F1、およびF2が科学文献中で一般的にF0、F1、およびF2と呼ばれることが理解できる。大きい方のC末端F1断片は、細胞質側末端24アミノ酸に隣接する疎水性アミノ酸配列を介して、Fタンパク質を膜中にアンカーする。3個のF2−F1二量体が会合して成熟Fタンパク質を形成し、準安定な前融合型(prefusogenic)(「融合前」)構造をとり、標的細胞膜との接触が引き金となって構造が変化する。この構造変化により、融合ペプチドとして知られる疎水性配列が露出し、これが宿主細胞膜と会合し、ウイルス膜または感染細胞の膜と標的細胞膜との融合を促進する。]
[0061] F1断片は少なくとも2個の7回リピートドメインを含み、これらはHRAおよびHRBと呼ばれ、それぞれ融合ペプチドと膜貫通アンカードメインの近傍にある。融合前構造では、F2−F1二量体が球状ヘッドおよびストーク構造を形成しており、HRAドメインは球状ヘッド中で分割型(segmented)(伸長型:extended)構造をし、一方、HRBドメインは、ヘッド領域から伸びる3本鎖コイルドコイルストークを形成している。融合前構造から融合後構造への遷移中、HRAドメインは崩壊し、HRBドメインに近づき、逆平行6ヘリックスバンドルを形成する。融合後の状態では、融合ペプチドおよび膜貫通ドメインが並んで、膜融合を容易にしている。]
[0062] 上記の構造の記述は結晶学的データの分子モデリングに基づいているが、融合前構造と融合後構造の構造的区別は、結晶学に頼らずにモニターすることができる。例えば、技術的教示を目的として参照により本明細書に援用するCalder et al., Virology, 271:122-131 (2000)およびMorton et al., Virology, 311:275-288に実証されているように、電子顕微鏡検査を用いて、融合前構造(または前融合型構造と呼ぶ。)と融合後構造(または融合型構造と呼ぶ。)を区別することができる。また、技術的教示を目的として参照により本明細書に援用するConnolly et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 103:17903-17908 (2006)に記載されているように、リポソーム会合アッセイによっても、融合前構造を融合型(融合後)構造から区別することができる。更に、融合前構造および融合型構造は、RSVFタンパク質の融合前形態または融合型形態の一方に存在する構造エピトープを特異的に認識するが他方の形態に存在する構造エピトープは認識しない抗体(例えばモノクローナル抗体)を用いて区別することができる。そのような構造エピトープは、分子表面上の抗原決定基の選択的露出によるものであり得る。あるいは、構造エピトープは、線状ポリペプチド中で非連続なアミノ酸の並置により生じ得る。]
[0063] 本発明のPreF抗原は、RSVFタンパク質の融合前構造を安定化して維持するように設計されている。そのため、発現されたタンパク質群中のかなりの部分が前融合型(融合前)構造である(例えば、構造的または熱力学的モデリングから予測されるか、上記に開示した方法の1または複数により評価される)。安定化修飾が、配列番号2の例示的Fタンパク質等の天然(または合成)のFタンパク質に導入され、その結果、PreF抗原が細胞または細胞外環境(例えば対象に投与した後の生体内)に導入された後も、Fタンパク質の融合前構造の主要な免疫原性エピトープが維持される。]
[0064] 最初に、F0ポリペプチドの膜アンカードメインを置き換えるために、異種性安定化ドメインをコンストラクトのC末端に配置してよい。この安定化ドメインは、HRBの不安定性を補完すると予測され、融合前コンホーマーの安定化を支援する。例示的実施形態では、異種性安定化ドメインは、タンパク質多量体形成ドメインである。そのようなタンパク質多量体形成ドメインの特に好ましい例の1つは三量体形成ドメインである。例示的な三量体形成ドメインは折り畳まれてコイルドコイルを形成し、そのようなコイルドコイルドメインを有する複数のポリペプチドが三量体へと組み立てられるのを促進する。三量体形成ドメインの好ましい例の1つは、イソロイシンジッパーである。例示的イソロイシンジッパードメインとしては、Harbury et al. Science 262:1401-1407 (1993)に記載されている操作された酵母GCN4イソロイシン変異体が挙げられる。好適なイソロイシンジッパードメインの1つの配列は配列番号11で表され、コイルドコイル安定化ドメイン形成能を維持しているこの配列の変異体も同様に好適である。他の安定化コイルドコイル三量体形成ドメインとしては、TRAF2(GENBANK(登録商標)受託番号Q12933[gi:23503103];アミノ酸299〜348);トロンボスポンジン1(受託番号PO7996[gi:135717];アミノ酸291〜314);マトリリン−4(受託番号O95460[gi:14548117];アミノ酸594〜618;CMP(マトリリン−1)(受託番号NP_002370[gi:4505111];アミノ酸463〜496;HSF1(受託番号AAX42211[gi:61362386];アミノ酸165〜191;およびキュビリン(受託番号NP_001072[gi:4557503];アミノ酸104〜138が含まれる。好適な三量体形成ドメインは、発現されたタンパク質のかなりの部分を三量体に組み立てると予想される。例えば、三量体形成ドメインを有する組換えPreFポリペプチドの少なくとも50%が三量体へと組み立てられる(例えばAFF−MALSでの評価による)。通常、発現されたポリペプチドの少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、最も望ましくは少なくとも約75%以上が三量体として存在する。]
[0065] HRBを更に安定化するために、PreFの第512位(天然F0タンパク質に対する位置)のロイシン残基をリジンで置換してよい(配列番号6の例示的PreF抗原ポリペプチドのL482K)。この置換により、コイルドコイル疎水性残基の周期性が改善される。同様に、第105位のアミノ酸の後ろにリジンを付加してもよい。]
[0066] 2番目に、pep27を除去してよい。融合前状態のRSVFタンパク質の構造モデルの分析から、pep27はF1とF2の間に大きな非拘束ループを形成することが示唆されている。このループは融合前状態の安定化に寄与せず、フューリンによる天然タンパク質の切断後に除去される。]
[0067] 3番目に、片方または両方のフューリン切断モチーフを欠失させてよい。このように設計することで、融合ペプチドがF2から切断されず、融合前コンホーマーの球状ヘッドからの遊離および近くの膜への接近が防止される。融合ペプチドと膜界面との相互作用は、融合前状態の不安定性における大きな問題であると予測される。融合プロセス中、融合ペプチドと標的膜が相互作用すると、球状ヘッド構造内から融合ペプチドが露出し、融合前状態の不安定性が増大し、融合後コンホーマーへと折り畳まれる。この構造変化により、膜融合プロセスが可能になる。フューリン切断部位の片方または両方を除去すると、融合ペプチドのN末端に膜が接近しにくくなり、融合前状態が安定化すると予測される。]
[0068] 必要に応じて、例えば1または複数のアミノ酸を置換することで、少なくとも1つの非フューリン切断部位を除去してもよい。例えば、実験的証拠から、特定のメタロプロテイナーゼによる切断を促進する条件下で、PreF抗原がアミノ酸110〜118付近で切断されることが示唆されている(例えば、切断はPreF抗原のアミノ酸112と113の間;配列番号2の参照Fタンパク質ポリペプチドの第142位のロイシンと第143位のグリシンの間で起こる)。したがって、この領域内の1または複数のアミノ酸の修飾は、PreF抗原の切断を減少させ得る。例えば、第112位のロイシンをイソロイシンまたはトリプトファン等の異なるアミノ酸で置換してよい。あるいは、またはそれに加えて、第113位のグリシンをセリンまたはアラニンで置換してもよい。]
[0069] 天然Fタンパク質ポリペプチドは、RSVAまたはRSV B株またはその変異体(上記に定義した通り)の任意のFタンパク質から選択してよい。特定の例示的実施形態では、Fタンパク質ポリペプチドは配列番号2で表されるFタンパク質である。本開示を理解し易いように、全てのアミノ酸残基の位置は、株に関係なく、例示的Fタンパク質のアミノ酸位置を基準にして記載する(すなわち対応するアミノ酸位置)。簡単に利用可能な周知のアラインメントアルゴリズムを用いて(例えばBLASTを、例えばデフォルトのパラメータで用いて)、選択されたRSV株のアミノ酸配列を例示的配列のアミノ酸配列とアラインメントさせることで、当業者であれば任意の他のRSV AまたはRSV B株の相当するアミノ酸位置を容易に決定することができる。種々のRSV株に由来するFタンパク質ポリペプチドの多くの更なる例が国際公開第2008114149号(RSV FおよびGタンパク質配列の更なる例を提供する目的で参照により本明細書に援用する。)に開示されている。更なる変異体が遺伝的浮遊により生じることがある。また、部位特異的突然変異誘発またはランダム突然変異誘発を用いるか、2種以上の既存の変異体の組換えにより、更なる変異体を人工的に作製することもできる。そのような更なる変異体も、本開示のPreF(およびPreF−G)抗原の文脈において好適である。]
[0070] Fタンパク質のF2およびF1ドメインを選択する際、当業者であれば、F2および/またはF1ドメインの全体を含めることが厳密に必須ではないことを理解するであろう。通常、F2ドメインのサブ配列(または断片)を選択する時、構造についての検討が重要である。したがって、F2ドメインは通常、ポリペプチドの組み立ておよび安定性を促進する、F2ドメイン中の部分を含む。特定の例示的変異体では、F2ドメインはアミノ酸26〜105を含む。しかし、(1または複数のアミノ酸の付加または欠失により)長さに軽微な修飾を施した変異体も可能である。]
[0071] 通常、F1ドメインの少なくともサブ配列(または断片)を選択し、Fタンパク質の免疫優性エピトープを含む安定な構造を維持するように設計する。例えば中和抗体により認識されるアミノ酸262〜275(パリビズマブ中和)および423〜436(セントコア社(Centocor)製ch101F MAb)領域中のエピトープを含むF1ポリペプチドドメインのサブ配列を選択することが一般的に望ましい。更に、例えばアミノ酸328〜355領域中のT細胞エピトープを含めることが望ましい。F1サブユニットの単一連続部分(例えばアミノ酸262〜436にまたがる部分)が最も一般的であるが、エピトープは、安定な構造に組み立てられた非連続因子としてこれらの免疫優性エピトープを含む合成配列中に維持されてもよい。したがって、F1ドメインポリペプチドは、少なくともRSVFタンパク質ポリペプチドのアミノ酸262〜436付近を含む。本明細書中で提供される非限定的な例として、F1ドメインは天然Fタンパク質ポリペプチドのアミノ酸137〜516を含む。当業者であれば、実施者の裁量で、更なるより短いサブ配列を用いてもよいと理解するであろう。]
[0072] F2またはF1ドメインのサブ配列を選択する際(または特定のPreF−G抗原のGタンパク質要素に関して後述するように)、構造の検討に加えて、更なる免疫原性エピトープが含まれるかどうかに基づいて配列(例えば変異体、サブ配列等)を選択することが望ましいことがある。例えば、当該技術分野で公知のアンカーモチーフ、またはニューラルネットもしくは多項式の決定等のその他の方法を用いて更なるT細胞エピトープを同定することができる。そのような方法については、例えばRANKPEP(ワールドワイドウェブ:mif.dfci.harvard.edu/Tools/rankpep.htmlで利用可能);ProPredI(ワールドワイドウェブ:imtech.res.in/raghava/propredI/index.htmlで利用可能);Bimas(ワールドワイドウェブ:www-bimas.dcrt.nih.gov/molbi/hla_bind/index.htmlで利用可能);およびSYFPEITH(ワールドワイドウェブ:syfpeithi.bmi-heidelberg.com/scripts/MHCServer.dll/home.htmで利用可能)を参照されたい。例えば、アルゴリズムを用いて、ペプチドの「結合許容限界」を決定し、スコアがMHCまたは抗体と特定のアフィニティーで結合する確率が高いことを示したものを選択する。これらのアルゴリズムは、特定の位置の特定のアミノ酸がMHC結合に及ぼす影響、特定の位置の特定のアミノ酸が抗体結合に及ぼす影響、またはモチーフを含むペプチド中における特定の置換が結合に及ぼす影響のいずれかに基づく。免疫原性ペプチドの文脈において、「保存された残基」とは、ペプチド中の特定の位置にランダム分布で予想されるよりも有意に高い頻度で現れるものである。アンカー残基は、MHC分子との接触点を提供する保存された残基である。そのような予測的方法で同定されたT細胞エピトープは、特異的なMHCタンパク質への結合の測定およびMHCタンパク質に提示された時にT細胞を刺激する能力によって確認することができる。]
[0073] 好ましくは、PreF抗原(後述のPreF−G抗原を含む。)は、発現系に対応したシグナルペプチド、例えば哺乳動物またはウイルスのシグナルペプチド、例えばRSVF0天然シグナル配列(例えば、配列番号2のアミノ酸1〜25または配列番号6のアミノ酸1〜25)を含む。通常、シグナルペプチドは、組換え発現に選択する細胞に適合するように選択される。例えば、シグナルペプチド(例えばバキュロウイルスシグナルペプチドまたはメリチンシグナルペプチドを、昆虫細胞中での発現に置換してもよい。植物発現系が好ましい場合、好適な植物シグナルペプチドは当該技術分野で公知である。多くの例示的シグナルペプチドが当該技術分野で公知であり(例えば、Zhang & Henzel, Protein Sci.,13:2819-2824 (2004)参照。この文献は多くのヒトシグナルペプチドを記載している。)、また、例えば、古細菌、原核生物、および真核生物のシグナル配列を含むSPdbシグナルペプチドデータベースに掲載されている(http://proline.bic.nus.edu.sg/spdb/)。必要に応じて、Hisタグ等の更なる配列またはタグを前述の抗原のいずれかに含めて、精製し易くしてもよい。]
[0074] 必要に応じて、PreF抗原は更なる免疫原性成分を含んでもよい。特定の特に好ましい実施形態では、PreF抗原はRSVGタンパク質抗原成分を含む。PreFおよびG要素を有する例示的キメラタンパク質としては、以下のPreF_V1(配列番号7および8で表される。)およびPreF_V2(配列番号9および10で表される。)が含まれる。]
[0075] PreF−G抗原では、Gタンパク質の抗原性部分(例えばアミノ酸残基149〜229等の切断型Gタンパク質)が構築物のC末端に付加されている。通常、Gタンパク質要素は可動性リンカー配列を介してFタンパク質要素に連結されている。例えば例示的なPreF_V1の設計中では、Gタンパク質は−GGSGGSGGS−リンカー(配列番号14)によってPreF要素に連結される。PreF_V2の設計中では、リンカーはそれよりも短く、−GGSGGSGGS−リンカー(配列番号14)の代わりに2個のグリシン(−GG−)をリンカーとして有する。]
[0076] Gタンパク質ポリペプチドドメインが存在する場合、このドメインは、任意のRSVAまたはRSV B株から選択されたGタンパク質の全部または一部を含み得る。特定の例示的実施形態では、Gタンパク質は配列番号4で表されるGタンパク質(またはそれに95%の同一性)である。好適なGタンパク質配列の更なる例は、国際公開第2008114149号(参照により本明細書に援用する。)に記載されている。]
[0077] Gタンパク質ポリペプチド要素は少なくとも、例えばアミノ酸183〜197領域中にあるような免疫優性T細胞エピトープを維持したGタンパク質のサブ配列(または断片)、例えば天然Gタンパク質のアミノ酸151〜229、149〜229、または128〜229を含むGタンパク質の断片等を含むように選択される。例示的な一実施形態では、Gタンパク質ポリペプチドは、天然Gタンパク質ポリペプチドのアミノ酸残基149〜229の全部または一部を含む天然Gタンパク質ポリペプチドのサブ配列(または断片)である。当業者であれば、選択された部分がPreF−G抗原の構造を不安定化せず、PreF−G抗原の発現、折り畳み、またはプロセシングを阻害しない限り、より長いまたは短いGタンパク質部分を使用してもよいことを容易に理解できる。必要に応じてGタンパク質ドメインは、第191位にアミノ酸置換を含み、これは、ホルマリン不活化RSVワクチンに関連する好酸球増多症を特徴とするワクチンにより促進される疾患の低減および/または防止に関わることが以前に示されている。天然および置換(N191A)Gタンパク質の特徴の詳細は、例えば、参照により本明細書に援用する米国特許公開第2005/0042230号に記載されている。]
[0078] 例えば、天然株の対応する配列の選択に関して、A2またはLongと命名された一般的な研究室用単離株または任意のその他の天然株もしくは単離株(前述の国際公開第2008114149号に開示)を含むRSVAまたはRSV B株に対してドメインの1または複数の配列が対応し得る。そのような天然のおよび単離された変異体に加え、前述の配列に対する配列類似性を有する操作された変異体もPreF(PreF−Gを含む。)抗原に関連して用いることができる。PreF抗原ポリペプチド(および後述するポリヌクレオチド配列)の類似性は、ポリペプチド(および一般にヌクレオチド配列)に関して、配列間の類似性(配列同一性とも呼ばれる)の点から表現できることが当業者には理解されよう。配列同一性はしばしば、同一性(または類似性)のパーセンテージの点から測定され、このパーセンテージが高いほど、2つの配列の一次構造が似ていることになる。一般的に、2個のアミノ酸(またはポリヌクレオチド)配列の一次構造が似ているほど、折り畳みおよび組み立て後の高次構造は近くなる。PreFポリペプチド(およびポリヌクレオチド)配列の変異体は通常、1または少数のアミノ酸の欠失、付加、または置換を含むが、それでも、それらのアミノ酸および一般的にそれらのポリヌクレオチド配列の非常に多くの部分が共通している。更に重要なことは、変異体が、本明細書に開示する参照配列の構造的特性、したがって構造特性を維持していることである。]
[0079] 配列同一性を決定する方法は当該技術分野で周知であり、PreF抗原ポリペプチドおよび(例えば後述する)それらをコードする核酸にも適用可能である。種々のプログラムおよびアラインメントアルゴリズムが、Smith and Waterman, Adv. Appl. Math. 2:482, 1981;Needleman and Wunsch, J. Mol. Biol. 48:443, 1970;Higgins and Sharp, Gene 73:237, 1988;Higgins and Sharp, CABIOS 5:151, 1989;Corpet et al.,Nucleic AcidsResearch 16:10881, 1988;およびPearson and Lipman, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444, 1988に記載されている。Altschul et al., Nature Genet. 6:119, 1994に、配列アラインメント方法および相同性計算の詳細な考察が記載されている。配列解析プログラムblastp、blastn、blastx、tblastn、およびtblastxと一緒に使用するためのNCBI Basic Local Alignment Search Tool(BLAST)(Altschul et al., J. Mol. Biol. 215:403, 1990)が、全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI、メリーランド州ベセスダ)を含む複数の供給元からおよびインターネット上で利用可能である。このプログラムを用いて配列同一性をどのように決定するかについての説明はインターネット上のNCBIのウェブサイトから利用可能である。]
[0080] いくつかの場合では、PreF抗原は、それが由来する天然株のアミノ酸配列に対して1または複数のアミノ酸修飾を有する(例えば、前述の安定化修飾に加えて)。そのような差は、1または複数のアミノ酸の付加、欠失、または置換であってよい。変異体は通常、約1%、2%、5%、10%、15%、または20%未満のアミノ酸残基で異なる。例えば、変異体PreF抗原(PreF−Gを含む。)ポリペプチド配列は、配列番号6、8、および/または10の例示的PreF抗原ポリペプチド配列と比較して、1個、2個、または5個まで、約10個まで、約15個まで、約50個まで、または約100個までの異なるアミノ酸を含んでよい。したがって、RSVFまたはGタンパク質、またはPreF抗原(PreF−G抗原を含む。)に関する変異体は、通常、参照タンパク質、例えば配列番号2、4、6、8および/または10で示される参照配列または本明細書に開示する例示的PreF抗原のいずれかと、少なくとも80%または85%、より一般的には少なくとも約90%以上、例えば95%、更には98%または99%の配列同一性を有する。本開示の構成として含まれる更なる変異体としては、国際公開第2008114149号に開示されている天然変異体から選択されるヌクレオチドまたはアミノ酸配列の全部または一部を含むPreF抗原(PreF−G抗原を含む。)が挙げられる。更なる変異体が遺伝的変動で生じることがある。また、部位特異的突然変異誘発またはランダム突然変異誘発、あるいは2種以上の既存の変異体の組換えにより、更なる変異体を人工的に作製することもできる。そのような更なる変異体も、本明細書に開示するPreF(およびPreF−G)抗原の文脈において好適である。例えば、修飾は、得られるPreF抗原の構造または免疫原性エピトープを変更しない1または複数のアミノ酸(例えば2アミノ酸、3アミノ酸、4アミノ酸、5アミノ酸、約10アミノ酸まで、またはそれ以上)の置換であってよい。]
[0081] あるいは、またはそれに加えて、修飾は、1もしくは複数のアミノ酸の欠失および/または1もしくは複数のアミノ酸の付加を含んでよい。実際、所望であれば、ポリペプチドドメインの1または複数は、如何なる単一の株にも相当せず、複数の株からのサブ配列要素またはRSVウイルスポリペプチドの複数の株のアラインメントから推測されるコンセンサス配列からのサブ配列要素を含む、合成ポリペプチドであってもよい。特定の実施形態では、ポリペプチドドメインの1または複数が、その後のプロセシングまたは精製を容易にするタグを構成するアミノ酸配列の付加によって修飾されている。そのようなタグは、抗原タグもしくはエピトープタグ、酵素タグまたはポリヒスチジンタグであってよい。通常、タグは、タンパク質の一端または他方の端、例えば抗原または融合タンパク質のC末端またはN末端に位置する。]
[0082] PREF抗原をコードする核酸
本開示の別の態様は、上記のPreF抗原をコードする組換え核酸に関する。特定の実施形態では、組換え核酸は、選択された原核または真核の宿主細胞中での発現に最適化されたコドンである。例えば、配列番号5および12は、PreF抗原をコードする配列を説明する2つの異なる非限定的な例であり、これらは、哺乳動物、例えばCHO細胞中での発現に最適化されたコドンである。複製および発現を容易にするために、核酸を原核または真核用の発現ベクター等のベクターに組み込んでよい。組換えPreF抗原をコードする核酸を含む宿主細胞も本発明に含まれる。好ましい宿主細胞としては、大腸菌等の原核(すなわち細菌)宿主細胞、および真菌(例えば酵母)細胞、昆虫細胞、および哺乳動物細胞(例えばCHO、VERO、およびHEK293細胞)を含む多くの真核宿主細胞が含まれる。]
[0083] 複製および発現を容易にするために、核酸を原核または真核用の発現ベクター等のベクターに組み込んでよい。本明細書に開示する核酸は種々のベクター(例えば、細菌プラスミド;ファージDNA;バキュロウイルス;酵母プラスミド;ファージDNAとプラスミドとの組合せに由来するベクターおよびワクシニア、アデノウイルス、鶏痘ウイルス、偽狂犬病、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス、その他多数のウイルスを含むウイルスDNAを含む。)のいずれに含まれてもよいが、最も一般的なベクターは、ポリペプチド発現産物を作製するのに適した発現ベクターであろう。発現ベクター中で、PreF抗原をコードする核酸は通常、mRNA合成へと進ませるための適切な転写調節配列(プロモーター、および必要に応じて、1または複数のエンハンサー)に近接しかつその方向に配置される。すなわち、目的のポリヌクレオチド配列は適切な転写調節配列に作動可能に連結されている。そのようなプロモーターの例としては、CMVの最初期プロモーター、LTRまたはSV40プロモーター、バキュロウイルスのポリヘドリンプロモーター、大腸菌のlacまたはtrpプロモーター、ファージT7およびラムダPLプロモーター、および原核細胞または真核細胞またはそれらのウイルスにおいて遺伝子発現を調節することが知られているその他のプロモーターが含まれる。発現ベクターは通常、転写開始のためのリボソーム結合部位および転写終結因子も含む。ベクターは、必要に応じて、発現を増幅するための適切な配列を含む。更に、発現ベクターは必要に応じて1または複数の選択可能なマーカー遺伝子を含み、形質転換された宿主細胞をセレクションするための表現型形質、例えば真核細胞培養用にジヒドロ葉酸レダクターゼまたはネオマイシンに対する耐性等、あるいは大腸菌中におけるカナマイシン、テトラサイクリン、またはアンピシリンに対する耐性等を付与する。]
[0084] 発現ベクターはまた、例えば翻訳効率を向上させるために、更なる発現因子を含んでもよい。これらのシグナルとしては、例えばATG開始コドンおよび隣接配列が含まれ得る。いくつかの場合には、例えば、翻訳開始コドンおよび関連する配列因子を目的のポリヌクレオチド配列と同時に適切な発現ベクター中に挿入する(例えば天然のスタートコドン)。そのような場合では、それ以外の翻訳調節シグナルは不要である。しかし、ポリペプチドをコードする配列またはその一部のみを挿入する場合には、PreF抗原をコードする核酸が翻訳されるように、ATG開始コドンを含む外来性の翻訳調節シグナルを付与する。開始コドンは、目的のポリヌクレオチド配列が確実に翻訳されるように、正確な読み枠で配置される。外来性の転写因子および開始コドンは、天然および合成の両方を含む種々の起源のものであってよい。所望であれば、使用する細胞系に適したエンハンサーを含めることで発現効率を更に高めてもよい(Scharf et al. (1994) Results Probl Cell Differ 20:125-62;Bitter et al. (1987) Methodsin Enzymol 153:516-544)。]
[0085] いくつかの場合には、PreF抗原をコードする核酸(ベクター等)は、宿主細胞に導入された時にPreFをコードする核酸の発現を増加および/または最適化するように選択された1または複数の更なる配列因子を含む。例えば、特定の実施形態では、PreF抗原をコードする核酸は、ヒトヘルペスウイルス5イントロン配列等のイントロン配列を含む(例えば配列番号13参照)。イントロンは、組換えコンストラクト中に適切に配置された場合に同種および異種性の核酸の発現を増大させることが繰り返し示されている。別のクラスの発現促進配列としては、マトリックス結合領域(またはMAR)等のエピジェネティックな因子またはSTAR因子(例えば、Otte et al., Biotechnol. Prog. 23:801-807, 2007に開示されているSTAR因子等)等の同様なエピジェネティック因子が含まれる。理論により限定されるものではないが、MARは、核マトリックスへの標的DNA配列のアンカー(anchorage)を仲介し、ヘテロクロマチンコアから外側に伸びたクロマチンループドメインを作り出すと考えられる。MARは明らかなコンセンサス配列または認識可能な配列を有していないが、これらの最も共通する特徴は、全体的にA/T含量が高く、C塩基が一方の鎖に多く存在することであると思われる。これらの領域は、鎖の分離を起こしやすくする可能性のある屈曲した二次構造を形成するようであり、鎖分離の核形成点として作用し得るコア巻戻し因子(CUE)を含んでもよい。複数の単純なATリッチ配列モチーフがMAR配列と関連付けられている:例えばAボックス、Tボックス、DNA巻戻しモチーフ、SATB1結合部位(Hボックス、A/T/C25)、および脊椎動物またはショジョウバエのトポイソメラーゼIIコンセンサス部位。例示的なMAR配列は、公開されている米国特許出願第20070178469号および国際公開第02/074969号(参照により本明細書に援用する)に記載されている。PreF抗原をコードする核酸の発現を高めるために使用できる更なるMAR配列としては、Girod et al., Nature Methods, 4:747-753, 2007に記載されている鶏リゾチームMAR、MARp1−42、MARp1−6、MARp1−68、およびMARpx−29が含まれる(それぞれ、GenBank受託番号EA423306、DI107030、DI106196、DI107561、およびDI106512に開示されている)。当業者であれば、MAR1−9で報告されているような中程度の増加を起こすMARを選択することで発現を更に調節することができると理解するであろう。所望であれば、例えばMAR−Finder(futuresoft.org/MarFinderにてウェブ上で利用可能)、SMARTest(genomatix.deにてウェブ上で利用可能)、またはSMARScanI(Levitsky et al., Bioinformatics 15:582-592, 1999)等のソフトウェアを用いて配列データベースを検索することで、PreF抗原の発現を増加させるための代替的なMAR配列を同定してもよい。特定の実施形態では、MARは、PreF抗原をコードする配列と同じ核酸(例えばベクター)に載せて宿主細胞に導入(例えばトランスフェクト)される。別の実施形態では、MARは別の核酸上で(例えばトランスで)導入され、必要に応じて、PreF抗原をコードするポリヌクレオチド配列と共組換えされてよい。]
[0086] 当業者が組換えPreF抗原核酸を作製する指針となるのに十分な例示的手順は、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2d ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989;Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3d ed., Cold Spring Harbor Press, 2001;Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates, 1992 (およびSupplements to 2003);およびAusubel et al., Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methodsfrom Current Protocols in Molecular Biology, 4th ed., Wiley & Sons, 1999に記載されている。]
[0087] PreF抗原ポリペプチドをコードする例示的核酸は配列番号5、7、9、12、および13で表される。例えば国際公開第2008114149号に記載されているような公知の発見されている(またはこれから発見される)RSV株のいずれかから選択された類似するFおよびGタンパク質ポリペプチド配列を構築することで、更なる変異体を作製することができる。当業者は、例示的変異体と配列同一性を有する更なる配列変異体を作製することができる。核酸変異体は通常、1%、2%、5%、10%、15%、または20%未満のアミノ酸残基が異なるポリペプチドをコードする。すなわち、コードされるポリペプチドは、少なくとも80%または85%、より一般的には少なくとも約90%以上、例えば95%、更には98%または99%の配列同一性を有する。当業者には、遺伝暗号の縮重のために、PreFポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列自体の配列同一性が低くなり得ることが容易に理解されよう。いくつかの場合には、PreF抗原は、それが由来する天然株のアミノ酸配列と比較して、1または複数のアミノ酸修飾を有する(例えば、前述の安定化修飾に加えて)。そのような差は、それぞれ、1または複数のヌクレオチドまたはアミノ酸の付加、欠失、または置換であってよい。変異体は通常、約1%、2%、5%、10%、15%、または20%未満のヌクレオチド残基が異なる。例えば、変異体PreF抗原(PreF−Gを含む。)核酸は、配列番号5、7、9、12、および/または13の例示的PreF抗原核酸と比べて、1個または2個、または5個まで、約10個まで、約15個まで、約50個まで、または約100個までの異なるヌクレオチドを含んでよい。したがって、RSVFタンパク質またはRSV Gタンパク質またはPreF抗原(PreF−G抗原を含む。)の核酸の文脈における変異体は通常、参照配列、例えば配列番号1、3、5、7、9、12、もしくは13に示す参照配列または本明細書に開示するその他の例示的PreF抗原核酸のいずれかと、少なくとも80%または85%、より一般的には少なくとも約90%以上、例えば95%、更には98%または99%の配列同一性を有する。本開示の構成として含まれる更なる変異体としては、国際公開第2008114149号に開示されている天然変異体から選択されたヌクレオチド配列の全部または一部を含むPreF抗原(PreF−G抗原を含む。)が挙げられる。更なる変異体が遺伝的変動により生じることがある。また、部位特異的突然変異誘発またはランダム突然変異誘発、あるいは2種以上の既存の変異体の組換えにより、更なる変異体を人工的に作製することもできる。そのような更なる変異体も本明細書に開示するPreF(およびPreF−G)抗原の文脈において好適である。]
[0088] 既に記載した変異体核酸に加えて、配列番号1、3、5、7、9、12、および13で表される例示的核酸の1または複数とハイブリダイズする核酸も、PreF抗原をコードするために使用することができる。当業者であれば、前述した%配列同一性の測定値に加えて、2つの核酸間の配列類似性を示す別の指標がハイブリダイズできるかどうかであることを理解するであろう。2つの核酸の配列が似ているほど、それらの核酸がハイブリダイズする条件は、よりストリンジェントになる。ハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーは、配列に依存し、種々の環境パラメータ下で異なる。したがって、特定の程度のストリンジェンシーとなるハイブリダイゼーション条件は、選択するハイブリダイゼーション方法の性質およびハイブリダイズする核酸配列の組成および長さに応じて変わる。洗浄回数もストリンジェンシーに影響を与えるが、一般的に、ハイブリダイゼーション温度とハイブリダイゼーションバッファーのイオン強度(特にNa+および/またはMg++濃度)がハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを決定する。一般的に、ストリンジェントな条件は、所定のイオン強度およびpHにおいて具体的な配列の融解温度(Tm)より約5〜20℃低くなるように選択される。Tmは、(所定のイオン強度およびpH下にて)標的配列の50%が完全一致プローブとハイブリダイズする温度である。核酸ハイブリダイゼーションの条件およびストリンジェンシーの計算方法は、例えばSambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 2001; Tijssen, Hybridization With Nucleic Acid Probes, Part I: Theory and Nucleic Acid Preparation, Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology, Elsevier Science Ltd., NY, NY, 1993、およびAusubel et al. Short Protocols in Molecular Biology, 4th ed., John Wiley & Sons, Inc., 1999に記載されている。]
[0089] 本開示において、「ストリンジェントな条件」は、ハイブリダイゼーション分子と標的配列の間のミスマッチが25%未満の場合にのみハイブリダイゼーションが起こる条件を包含する。「ストリンジェントな条件」は、より正確に定義するために特定のレベルのストリンジェンシーに分けてもよい。例えば、本明細書において、「適度なストリンジェンシー」条件とは、25%超の配列ミスマッチを有する分子がハイブリダイズしない条件であり、「中程度のストリンジェンシー」条件とは、15%超のミスマッチを有する分子がハイブリダイズしない条件であり、「高ストリンジェンシー」条件とは、10%超のミスマッチを有する配列がハイブリダイズしない条件である。「非常に高いストリンジェンシー」条件とは、6%超のミスマッチを有する配列がハイブリダイズしない条件である。一方、「低ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする核酸としては、それよりはるかに配列同一性が低い核酸、または核酸中の短いサブ配列に対してのみ配列同一性を有する核酸が含まれる。したがって、本開示に包含される核酸の種々の変異体は配列番号1、3、5、7、9、および/または12の少なくとも1つとほぼその全長でハイブリダイズすることができることが理解されよう。]
[0090] RSV抗原性ポリペプチドの産生方法
本開示のPreF抗原(PreF−G抗原および適当であればG抗原も含む。)は、組換えタンパク質を発現および精製するための十分に確立された方法を用いて産生される。当業者の指針となるのに十分な手順が以下の参考文献に見出せる:Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 200;およびAusubel et al. Short Protocols in Molecular Biology, 4th ed., John Wiley & Sons, Inc., 999。更なる具体的な詳細を以下に記載する。]
[0091] PreF抗原をコードする組換え核酸を、選択するベクターおよび宿主細胞に応じて、エレクトロポレーション、リポソームを介したトランスフェクション(例えば、LIPOFECTAMINE(商標)2000またはTRANSFECTIN(商標)等の市販のリポソームトランスフェクション試薬を用いる。)、リン酸カルシウム沈殿、感染、トランスフェクション等の種々の周知の手法のいずれかにより宿主細胞に導入する。PreF抗原(PreF−G抗原を含む。)をコードする例示的核酸を配列番号5、7、9、12、および13に示す。当業者であれば、配列番号5、7、9、12、および13は説明のためのものであり、限定することを意図していないことを理解するであろう。例えば、配列番号5、7、および9と同じタンパク質をコードする(例えば配列番号6、8、および10で示される。)が、遺伝暗号の縮重の分だけ(例えば配列番号12に示されるように代替的なコドン最適化により)異なるポリヌクレオチド配列を、配列番号5、7、および9の例示的配列の代わりに容易に使用することができる。同様に、配列番号13に示すような、内部に配置されたイントロン等の(またはプロモーター、エンハンサー、イントロン、またはその他の同様な因子の付加により)発現促進因子を含むポリヌクレオチド配列を用いてもよい。当業者は、このような修飾の組合せも同様に好適であることが理解されよう。同様に、任意のRSVAまたはRSV B株から選択された相同配列および/または前述したようにかなりの配列同一性を有するその他の配列も、PreF抗原の発現に用いることができる。実際、既に開示した変異体核酸のいずれも好適に宿主細胞に導入してPreF抗原(PreF−G抗原を含む。)および適当であればGポリペプチドを産生するために使用することができる。]
[0092] したがって、組換えPreF抗原をコードする核酸を含む宿主細胞も本発明に含まれる。好ましい宿主細胞としては、大腸菌等の原核(例えば細菌)宿主細胞および真菌(例えば、サッカロミセス・セレビシエ、ピキア・パストリス等の酵母)細胞、昆虫細胞、植物細胞、哺乳動物細胞(CHO、HEK293細胞等)を含む多くの真核宿主細胞が含まれる。組換えPreF抗原核酸は、例えば発現ベクター等のベクターを介して、宿主細胞に導入(例えば形質導入、形質転換、またはトランスフェクト)される。前述した通り、ベクターは最も一般的にはプラスミドであるが、そのようなベクターも、例えばウイルス粒子、ファージ等であってよい。適切な発現宿主の例としては、大腸菌、ストレプトミセス属、サルモネラ・チフィリウム等の細菌細胞;サッカロミセス・セレビシエ、ピキア・パストリス、アカパンカビ等の真菌細胞;ショウジョウバエ、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)等の昆虫細胞;3T3、COS、CHO、BHK、HEK293、またはボーズメラノーマ等の哺乳動物細胞;藻類細胞を含む植物細胞等が含まれる。]
[0093] 宿主細胞は、プロモーターの活性化、形質転換体のセレクション、または挿入されたポリヌクレオチド配列の増幅に適するように改変された従来の栄養培地中で培養することができる。温度、pH等の培養条件は通常、発現用に選択された宿主細胞で既に使用されている条件であり、当業者には明らかであろう。そのような条件は、例えばFreshney (1994) Culture of Animal Cells, a Manual of Basic Technique, third edition, Wiley- Liss, New Yorkを含む本明細書で引用した参考文献およびその中で引用されている参考文献中に記載されている。本発明の核酸に対応する発現産物は、植物、酵母、真菌、細菌等の非動物細胞中でも産生させることができる。細胞培養に関する詳細は、Sambrook、Berger、およびAusubelの他に、Payne et al. (1992) Plant Cell and Tissue Culture in Liquid Systems John Wiley & Sons, Inc. New York, NY;Gamborg and Phillips (eds) (1995) Plant Cell, Tissue and Organ Culture;Fundamental Methods Springer Lab Manual, Springer-Verlag (Berlin Heidelberg New York) and Atlas and Parks (eds) The Handbook of Microbiological Media (1993)CRCPress, Boca Raton,FLに見出せる。]
[0094] 細菌系では、発現される産物の用途に応じて複数の発現ベクターを選択することができる。例えば、抗体の作製に大量のポリペプチドまたはその断片が必要な場合、精製が容易な融合タンパク質を高レベルで発現させるベクターを使用することが好ましい。そのようなベクターとしては、限定されるものではないが、BLUESCRIPT(ストラタジーン社製)等の多機能大腸菌クローニング・発現ベクター;pINベクター(Van Heeke & Schuster (1989) J Biol Chem 264:5503-5509);pETベクター(ウィスコンシン州マディソンのノバジェン社製)等が含まれる。BLUESCRIPTでは、目的のコード配列、例えば前述した本発明のポリヌクレオチドを、アミノ末端翻訳開始メチオニンおよびその後ろのベータ−ガラクトシダーゼの7残基に対する配列とインフレームでベクター中にライゲートすることで、酵素活性ベータガラクトシダーゼ融合タンパク質を産生させることができる。pETベクターでは、アミノ末端メチオニンがヒスチジンタグとインフレームでライゲートされる。]
[0095] 同様に、サッカロミセス・セレビシエ等の酵母では、アルファ因子、アルコールオキシダーゼ、PGH等の構成型または誘導型のプロモーターを含む複数のベクターを、所望の発現産物の産生に用いることができる。概説としては、Berger、Ausubel、および例えばGrant et al. (1987; Methodsin Enzymology 153:516-544)を参照されたい。哺乳動物宿主細胞では、プラスミドおよびウイルスの両方に基づく系を含む複数の発現系が使用可能である。]
[0096] 宿主細胞は、必要に応じて、挿入配列の発現を調節する能力または発現されたタンパク質を所望の通りにプロセシングする能力で選択される。そのようなタンパク質修飾としては、グリコシル化(並びに、例えばアセチル化、カルボキシル化、リン酸化、脂質化、およびアシル化)が含まれるが、これらの限定されるものではない。宿主細胞に関して、必要に応じて、例えば、前駆体の形態を切断(例えばフューリンプロテアーゼによる)してタンパク質に成熟形態を形成させる翻訳後プロセシングが行われる。3T3、COS、CHO、HeLa、BHK、MDCK、293、WI38等の種々の宿主細胞は、そのような翻訳後活性のための特有の細胞機構および特徴的機序を有し、導入する外来タンパク質が正しく修飾およびプロセシングされるようにこれらを選択することができる。]
[0097] 本開示の組換えPreF抗原を長期間にわたって高収率で産生するために、安定な発現系が通常使用される。例えば、PreF抗原ポリペプチドを安定して発現する細胞系を、ウイルスの複製起点または内在性の発現因子および選択可能なマーカー遺伝子を含む発現ベクターを用いて宿主細胞に導入する。ベクターを導入し、細胞を濃縮培地中で1〜2日成長させた後、選択培地に移す。選択可能なマーカーの目的は、セレクションへの耐性を付与することであり、それが存在することで、導入された配列を発現することに成功した細胞の成長および回収が可能になる。例えば、耐性を有する安定に形質転換された細胞の群またはコロニーは、細胞型に適した組織培養技術を用いて増殖させることができる。PreF抗原をコードする核酸で形質転換された宿主細胞は、必要に応じて、コードされたタンパク質の発現および細胞培養液からの回収に適した条件下で培養される。]
[0098] 好適な宿主細胞系に形質導入し、宿主細胞を適当な細胞密度まで成長させた後、選択されたプロモーターを適当な手段(例えば温度変化、または化学的誘導)で誘導し、細胞を更に培養する。必要に応じて、培地に、プロテイナーゼによる発現タンパク質の分解を低減する成分および/または添加剤を含める。例えば、PreF抗原を産生するための細胞培養に用いられる培地は、細胞または細胞外(例えばマトリックス)プロテイナーゼによる望ましくない切断を低減または排除するために、キレート化剤または小分子阻害剤等のプロテアーゼ阻害剤(例えばAZ11557272、AS111793等)を含んでもよい。]
[0099] その後、分泌されたポリペプチド産物を培養培地から回収する。すなわち、細胞を遠心分離により回収し、物理的または化学的な手段で破壊することで、粗抽出物が得られ、その後、これを精製する。タンパク質の発現に使用される真核または微生物細胞は、凍結解凍サイクル、超音波処理、機械的破壊、または細胞溶解剤の使用、または当業者に公知のその他の方法を含む任意の従来の方法で破壊してよい。]
[0100] 発現されたPreF抗原は、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、ろ過、限外ろ過、遠心分離、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー(例えば本明細書に記載したタグシステムのいずれかを使用)、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、およびレクチンクロマトグラフィーを含む当該技術分野で公知の複数の方法のいずれを用いて組換え細胞培養液から回収および精製してよい。所望により、成熟タンパク質の立体構造を完成させるために、タンパク質を再度折り畳む工程を用いてもよい。最後に、最終精製工程に高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いてもよい。上記で言及したものに加えて、種々の精製方法が当該技術分野で公知であり、例えば以下に記載されているものが含まれる:Sandana (1997) Bioseparation of Proteins, Academic Press, Inc.;Bollag et al. (1996) Protein Methods, 2nd Edition Wiley-Liss, NY;Walker (1996) The Protein Protocols Handbook Humana Press, NJ, Harris and Angal (1990) Protein Purification Applications: A Practical Approach IRL Press at Oxford, Oxford, U.K.;Scopes (1993) Protein Purification: Principles and Practice 3rd Edition Springer Verlag, NY;Janson and Ryden (1998) Protein Purification: Principles, High Resolution Methods and Applications, Second Edition Wiley-VCH, NY;およびWalker (1998) Protein Protocols onCD-ROMHumana Press, NJ。]
[0101] 特定の例では、核酸は、大腸菌等の原核細胞での導入および発現に適したベクターを介して細胞に導入される。例えば、PreF抗原をコードするポリヌクレオチド配列を含む核酸は、pETシリーズの発現ベクター(例えばpET9bおよびpET2d)等の種々の市販されているまたは独占権下にあるベクターのいずれかに導入してよい。コード配列の発現はIPTGで誘導可能であり、高レベルのタンパク質発現が得られる。PreF抗原をコードするポリヌクレオチド配列は、ファージT7プロモーター下で転写される。熱で誘導可能なラムダpLプロモーターを含むpURV22等の代わりのベクターも好適である。]
[0102] 発現ベクターは、(例えばエレクトロポレーションにより)好適な細菌宿主に導入される。大腸菌の多くの好適な株が利用可能であり、当業者に選択可能である(例えば、Rosetta株およびBL21(DE3)株が、PreF抗原をコードするポリヌクレオチド配列を含む組換えベクターの発現に好ましいことが証明されている。]
[0103] より一般的には、PreF抗原をコードするポリヌクレオチドは真核細胞(例えば昆虫または哺乳動物の細胞)での導入および発現に適した発現ベクター中に組み込まれる。好ましくは、そのような核酸は、選択されたベクター/宿主細胞中での発現に最適化されたコドンである(例えば配列番号5、7、9、および12に記載の配列は、CHO細胞中での発現に最適化されたコドンである)。例示的な一実施形態では、PreF抗原をコードするポリヌクレオチド配列は、ロンザ・バイオロジカルズ(Lonza Biologicals)社により開発されたpEE14ベクター等のベクターに導入される。このポリペプチドは、最初期CMV(サイトメガロウイルス)プロモーター等の構成的プロモーター下で発現される。ポリペプチドを発現する安定なトランスフェクト細胞のセレクションは、トランスフェクト細胞がグルタミン源非存在下で成長する能力に基づいて行われる。pEE14ベクターはGS酵素(グルタミン合成酵素)を発現するため、pEE14の組込みに成功した細胞は、外部からのグルタミンがなくても成長することができる。セレクションされた細胞は、クローニングにより増やすことができ、所望のPreFポリペプチドの発現について特徴解析することができる。]
[0104] 別の例では、PreF抗原をコードするポリヌクレオチド配列は、バキュロウイルス発現ベクターシステム(BEVS)を用いて昆虫細胞に導入される。昆虫細胞に感染することができる組換えバキュロウイルスは、BDバイオサイエンス社のBD BaculoGoldシステム等の市販のベクター、キット、および/またはシステムを用いて作製することができる。簡潔に説明すると、抗原をコードするポリヌクレオチド配列を、pAcSG2転移ベクターに挿入する。その後、宿主細胞SF9(スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda))を、pAcSG2−キメラプラスミドと、バキュロウイルスであるオートグラファカリフォルニカ核多角体病ウイルス(Autographa californica nuclear polyhedrosis virus:AcNPV)の線状化したゲノムDNAを含むBD BaculoGoldとで共トランスフェクトする。トランスフェクション後、pACSG2プラスミドとバキュロウイルスゲノムとの間で相同組換えが起こり、組換えウイルスが生成する。1つの例では、PreF抗原は、ポリヘドリンプロモーター(pH)の調整制御下で発現される。ベーシック(Ba)プロモーター、p10プロモーター等のその他のプロモーターを用いて同様な転移ベクターを作製してよい。同様に、Sf9と密接に関連するSF21および鱗翅目ヤガ科のガの幼虫(cabbage looper)であるイラクサギンウワバ(Trichoplusia ni)に由来するハイファイブ細胞系等の代替的な昆虫細胞を用いてもよい。]
[0105] トランスフェクションおよび(選択されたプロモーターおよび/またはエンハンサーまたはその他の調節因子に応じた)発現誘導の後、発現されたポリペプチドを回収(例えば精製または濃縮)し、抗原活性を有する融合前構造に確実に折り畳まれるように再生する。]
[0106] 免疫原性組成物および方法
上記のPreF抗原(例えば配列番号6、8、および10で例示されるもの)のいずれか、および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む免疫原性組成物も提供する。]
[0107] 特定の実施形態、典型的には、PreF抗原がGタンパク質要素を含まない実施形態(例えば配列番号6)では、免疫原性組成物は、単離されて組換えおよび/または精製されたGタンパク質を含み得る。多くの好適なGタンパク質が当該技術分野で報告されており、それには、全長組換えGタンパク質、並びにGタンパク質の一部(例えば、アミノ酸128〜229または130〜230)と融合相手(例えばチオレドキシン)または発現および/もしくは精製を容易にするシグナルおよび/もしくはリーダー配列とで構成されるキメラタンパク質が含まれる。PreF抗原との混合物中に使用するための例示的Gタンパク質は、それぞれを参照により本明細書に援用する国際公開第2008114149号、米国特許第5,149,650号、同第6,113,911号、米国出願公開第20080300382号、および米国特許第7,368,537号に見出せる。キメラPreF−Gタンパク質に関して示すように、PreF(Gを含まない。)およびGを含む混合物に関して、アミノ酸149〜229の部分または128付近〜229付近の部分等のより小さなGタンパク質断片を好ましく使用することができる。前述した通り、例えばアミノ酸183〜197領域内に含まれる免疫優性エピトープが存在することが重要である。あるいは、そのような組成物中に全長Gタンパク質を用いてもよい。]
[0108] 薬学的に許容される担体および賦形剤は周知であり、当業者により選択可能である。例えば、担体または賦形剤は、好ましくは緩衝剤を含んでもよい。必要に応じて、担体または賦形剤は、溶解性および/または安定性を安定化する少なくとも1つの成分も含む。可溶化/安定化剤の例としては、界面活性剤、例えばローレル(laurel)サルコシンおよび/またはTweenが含まれる。別の可溶化/安定化剤としては、アルギニンおよびガラス形成ポリオール(スクロース、トレハロース等)が含まれる。多くの薬学的に許容される担体および/または薬学的に許容される賦形剤が当該技術分野で公知であり、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences, by E. W. Martin, Mack Publishing Co., Easton, PA, 5th Edition (975)に記載されている。]
[0109] したがって、選択された投与経路で対象に送達されるのに適した製剤を製造するために、当業者は好適な賦形剤および担体を選択することができる。]
[0110] 好適な賦形剤としては、グリセロール、ポリエチレングリコール(PEG)、ソルビトール、トレハロース、N−ラウロイルサルコシンナトリウム塩、L−プロリン、非界面活性剤スルホベタイン、塩酸グアニジン、尿素、トリメチルアミンオキシド、KCl、Ca2+、Mg2+、Mn2+、Zn2+、およびその他の二価カチオン関連塩、ジチオスレイトール、ジチオエリトロール、およびβ−メルカプトエタノールが含まれるが、これらに限定されるものではない。その他の賦形剤としては、界面活性剤(Tween80、Tween20、トリトンX−00、NP−40、Empigen BB、オクチルグルコシド、ラウロイルマルトシド、両性洗浄剤3−08、両性洗浄剤3−0、両性洗浄剤3−2、両性洗浄剤3−4、両性洗浄剤3−6、CHAPS,デオキシコール酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、臭化セチルトリメチルアンモニウムを含む。)が挙げられる。]
[0111] 必要に応じて、免疫原性組成物はアジュバントを含んでもよい。RSVに対する防御免疫反応を引き起こす目的で対象に投与するのに適した免疫原性組成物に関して、アジュバントは、Th1優位型の免疫反応を引き起こすように選択される。]
[0112] アジュバントは通常、組成物を投与する対象または対象群中のTh1優位型の免疫反応を高めるように選択される。例えば、免疫原性組成物が、RSV感染症に罹りやすい(またはそのリスクが高い)特定の年齢群の対象に投与される場合、アジュバントは、その対象または対象群中で安全かつ効果的であるように選択される。したがって、高齢対象(例えば65歳を超える対象)に投与するためのRSVPreF抗原を含む免疫原性組成物を製剤化する場合、アジュバントは、高齢対象中で安全かつ効果的であるように選択される。同様に、RSV PreF抗原を含む免疫原性組成物を新生児または幼児対象中に投与する場合(例えば生後2歳までの対象)、アジュバントは、新生児および幼児中で安全かつ効果的であるように選択される。]
[0113] 更に、アジュバントは通常、免疫原性組成物が投与される投与経路を介して投与された時にTh1型免疫反応を高めるように選択される。例えば、経鼻投与用にPreF抗原を含む免疫原性組成物を製剤化する場合、好ましいTh1優位型のアジュバントはプロテオソームおよびプロトリンである。一方、免疫原性組成物を筋肉内投与用に製剤化する場合、3D−MPL、スクアレン(例えばQS21)、リポソーム、および/または油と水のエマルションの1または複数を含むアジュバントを選択することが好ましい。]
[0114] PreF抗原と組み合わせて用いるのに適したアジュバントの1つは非毒性細菌リポ多糖誘導体である。好適なリピドAの非毒性誘導体の例としては、モノホスホリルリピドA、より具体的には3−脱アシル化モノホスホリルリピドA(3D−MPL)が挙げられる。3D−MPLは、グラクソ・スミスクライン・バイオロジカルズN.A.社からMPLの名称で販売されており、本明細書中ではMPLまたは3D−MPLと呼んでいる。例えば、米国特許第4,436,727号、同第4,877,611号、同第4,866,034号、および同第4,912,094号を参照されたい。3D−MPLは、IFN−γ(Th1)表現型を示すCD4+T細胞反応を主に促進する。3D−MPLは、英国特許公開第2220211(A)号に開示されている方法に従って作製することができる。化学的には、3D−MPLは3−脱アシル化モノホスホリルリピドAと3、4、5、または6アシル化鎖の混合物である。本発明の組成物中では、小粒子3D−MPLを使用してよい。小粒子3D−MPLは、0.22μmのフィルターで滅菌ろ過することができる粒子サイズである。そのような標品は、国際公開第94/21292号に記載されている。]
[0115] 3D−MPL等のリポ多糖は、ヒト1回投与量の免疫原性組成物当たり1〜50μgの量で使用してよい。そのような3D−MPLは、約25μg、例えば20〜30μg、好ましくは21〜29μg、22〜28μg、23〜27μg、24〜26μg、または25μgのレベルで使用してよい。別の実施形態では、ヒト投与量の免疫原性組成物は、3D−MPLを約10μg、例えば5〜15μg、好ましくは6〜14μg、例えば7〜13μg、8〜12μg、9〜11μg、または10μgのレベルで含む。別の実施形態では、ヒト投与量の免疫原性組成物は、3D−MPLを約5μg、例えば1〜9μg、2〜8μg、好ましくは3〜7μg、または4〜μg、または5μgのレベルで含む。]
[0116] 別の実施形態では、リポ多糖は、米国特許第6,005,099号および欧州特許第0 729 473(B1)号に記載されているようなβ(1−6)グルコサミン二糖であってよい。当業者であれば、これらの参考文献の教示に基づいて、3D−MPL等の種々のリポ多糖を容易に作製することができるが、これらの参考文献のそれぞれを参照により本明細書に援用する。前述の免疫賦活薬(LPSまたはMPLまたは3D−MPLの構造に似た構造をしている。)に加えて、上記MPLの構造のサブ部分であるアシル化された単糖および二糖の誘導体も好適なアジュバントである。別の実施形態では、アジュバントはリピドAの合成誘導体であり、これらのいくつかはTLR−4アゴニストであると言われており、限定されるものではないが、OM174(2−デオキシ−6−o−[2−デオキシ−2−[(R)−3−ドデカノイルオキシテトラ−デカノイルアミノ]−4−o−ホスホノ−β−D−グルコピラノシル]−2−[(R)−3−ヒドロキシテトラデカノイルアミノ]−α−D−グルコピラノシルリン酸二水素)、(国際公開第95/14026号);OM294DP(3S、9R)−3−−[(R)−ドデカノイルオキシテトラデカノイルアミノ]−4−オキソ−5−アザ−9(R)−[(R)−3−ヒドロキシテトラデカノイルアミノ]デカン−1,10−ジオール、1,10−ビス(リン酸二水素)(国際公開第99/64301号および同第00/0462号);およびOM197MP−AcDP(3S−,9R)−3−[(R)−ドデカノイルオキシテトラデカノイルアミノ]−4−オキソ−5−アザ−9−[(R)−3−ヒドロキシテトラデカノイルアミノ]デカン−1,10−ジオール、1−リン酸二水素10−(6−アミノヘキサノアート)(国際公開第01/46127号)が含まれる。]
[0117] 使用することのできるその他のTLR4リガンドとしては、アルキルグルコサミニドホスフェート(AGP)、例えば国際公開第98/50399号または米国特許第6,303,347号(AGPの製造プロセスも開示している。)に開示されているもの、好ましくはRC527またはRC529、または米国特許第6,764,840号に開示されているようなAGPの薬学的に許容される塩が挙げられる。AGPはTLR4アゴニストであるものも、TLR4アンタゴニストであるものもある。どちらもアジュバントとして有用であると考えられる。]
[0118] TLR−4を介してシグナル伝達反応を生じさせることのできるその他の好適なTLR−4リガンド(Sabroe et al, JI 2003 p1630-5)としては、例えば、グラム陰性菌由来のリポ多糖およびその誘導体またはその断片、特に、LPSの非毒性誘導体(3D−MPL等)が挙げられる。その他の好適なTLRアゴニストとしては、熱ショックタンパク質(HSP)10、60、65、70、75、または90;サーファクタントタンパク質A、ヒアルロン酸オリゴ糖、ヘパラン硫酸断片、フィブロネクチン断片、フィブリノーゲンペプチドおよびb−デフェンシン−2、およびムラミルジペプチド(MDP)が挙げられる。一実施形態では、TLRアゴニストはHSP60、70、または90である。その他の好適なTLR−4リガンドとしては、国際公開第2003/011223号および同第2003/099195号に記載されているもの、例えば国際公開第2003/011223号の4〜5頁または国際公開第2003/09919号の3〜4頁に開示されている化合物I、化合物II、および化合物III、特に、国際公開第2003/011223号にER803022、ER803058、ER803732、ER804053、ER804057、ER804058、ER804059、ER804442、ER804680、およびER804764として開示されている化合物が挙げられる。例えば、好適なTLR−4リガンドの1つはER804057である。]
[0119] これら以外のTLRアゴニストもアジュバントとして有用である。「TLRアゴニスト」という用語は、直接リガンドとしてまたは内性もしくは外性のリガンドを生成して間接的に、TLRシグナル経路を介してシグナル伝達反応を生じさせることのできる薬剤を指す。そのような天然または合成のTLRアゴニストを、代替的または追加的なアジュバントとして用いてもよい。アジュバント受容体としてのTLRの役割についての簡潔な概要はKaisho & Akira, Biochimica et Biophysica Acta 1589:1-13, 2002に記載されている。これらの潜在的なアジュバントとしては、TLR2、TLR3、TLR7、TLR8、およびTLR9のアゴニストが含まれるが、これら限定されるものではない。したがって、一実施形態では、アジュバントおよび免疫原性組成物は更に、TLR−1アゴニスト、TLR−2アゴニスト、TLR−3アゴニスト、TLR−4アゴニスト、TLR−5アゴニスト、TLR−6アゴニスト、TLR−7アゴニスト、TLR−8アゴニスト、TLR−9アゴニスト、またはその組合せからなる群から選択されるアジュバントを含む。]
[0120] 本発明の一実施形態では、TLR−1を介してシグナル伝達反応を生じさせることのできるTLRアゴニストが用いられる。好ましくは、TLR−1を介してシグナル伝達反応を生じさせることのできるTLRアゴニストは、トリアシル化リポペプチド(LP);フェノール可溶性モジュリン;結核菌(Mycobacterium tuberculosis)LP;S−(2,3−ビス(パルミトイルオキシ)−(2−RS)−プロピル)−N−パルミトイル−(R)−Cys−(S)−Ser−(S)−Lys(4)−OH、細菌リポタンパク質のアセチル化アミノ末端を模倣した三塩酸塩(Pam3Cys)LP、およびボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)由来のOspA LPから選択される。]
[0121] 別の実施形態では、TLR−2を介してシグナル伝達反応を生じさせることのできるTLRアゴニストが用いられる。好ましくは、TLR−2を介してシグナル伝達反応を生じさせることのできるTLRアゴニストは、リポタンパク質、ペプチドグリカン、結核菌(M.tuberculosis)、ボレリア・ブルグドルフェリ(B.burgdorferi)、または梅毒トレポネーマ(T.pallidum)に由来する細菌リポペプチド;スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)等の種に由来するペプチドグリカン;リポタイコ酸、マンヌロン酸、ナイセリア・ポリンズ(Neisseria porins)、細菌線毛、エルシナ(Yersina)ビルレンス因子、CMVビリオン、麻疹赤血球凝集素、および酵母由来のザイモサンの1または複数である。]
[0122] 別の実施形態では、TLR−3を介してシグナル伝達反応を生じさせることのできるTLRアゴニストが用いられる。好ましくは、TLR−3を介してシグナル伝達反応を生じさせることのできるTLRアゴニストは、二本鎖RNA(dsRNA)、またはウイルス感染に関連する分子核酸パターンであるポリイノシン・ポリシチジン酸(ポリIC)である。]
[0123] 別の実施形態では、TLR−5を介してシグナル伝達反応を生じさせることのできるTLRアゴニストが用いられる。好ましくは、TLR−5を介してシグナル伝達反応を生じさせることのできるTLRアゴニストは、細菌のフラジェリンである。]
[0124] 別の実施形態では、TLR−6を介してシグナル伝達反応を生じさせることのできるTLRアゴニストが用いられる。好ましくは、TLR−6を介してシグナル伝達反応を生じさせることのできるTLRアゴニストは、マイコバクテリアのリポタンパク質、ジアセチル化LP、およびフェノール可溶性モジュリンである。更なるTLR6アゴニストは国際公開第2003/043572号に記載されている。]
[0125] 別の実施形態では、TLR−7を介してシグナル伝達反応を生じさせることのできるTLRアゴニストが用いられる。好ましくは、TLR−7を介してシグナル伝達反応を生じさせることのできるTLRアゴニストは、一本鎖RNA(ssRNA)、ロキソリビン、N7位およびC8位におけるグアノシン類似体、またはイミダゾキノリン化合物、またはその誘導体である。一実施形態では、TLRアゴニストはイミキモドである。更なるTLR7アゴニストは国際公開第2002/085905号に記載されている。]
[0126] 別の実施形態では、TLR−8を介してシグナル伝達反応を生じさせることのできるTLRアゴニストが用いられる。好ましくは、TLR−8を介してシグナル伝達反応を生じさせることのできるTLRアゴニストは、一本鎖RNA(ssRNA)、抗ウイルス活性を有するイミダゾキノリン分子、例えばレジキモド(R848)である。レジキモドはTLR−7にも認識される。使用することができるその他のTLR−8アゴニストとしては、国際公開第2004/071459号に記載のものが含まれる。]
[0127] 別の実施形態では、TLR−9を介してシグナル伝達反応を生じさせることのできるTLRアゴニストが用いられる。一実施態様では、TLR−9を介してシグナル伝達反応を生じさせることのできるTLRアゴニストはHSP90である。あるいは、TLR−9を介してシグナル伝達反応を生じさせることのできるTLRアゴニストは、細菌またはウイルスのDNA、非メチル化CpGヌクレオチドを含むDNA、特にCpGモチーフとして知られる配列構成を含むDNAである。CpG含有オリゴヌクレオチドは主にTh1反応を誘導する。そのようなオリゴヌクレオチドは周知であり、例えば国際公開第96/02555号、同第99/33488号、米国特許第6,008,200号、および同第5,856,462号に記載されている。好ましくは、CpGヌクレオチドはCpGオリゴヌクレオチドである。本発明の免疫原性組成物中で使用するのに適したオリゴヌクレオチドはCpG含有オリゴヌクレオチドであり、必要に応じて、少なくとも3個、好ましくは少なくとも6個以上のヌクレオチドで隔てられた、2個以上のジヌクレオチドCpGモチーフを含む。CpGモチーフは、シトシンヌクレオチドにグアニンヌクレオチドが続いたものである。本発明のCpGオリゴヌクレオチドは通常、デオキシヌクレオチドである。特定の実施形態では、このオリゴヌクレオチド中の内部ヌクレオチドはホスホロジチオエートまたは好ましくはホスホロチオエート結合であるが、ホスホジエステル結合およびその他のヌクレオチド間結合も本発明の範囲に含まれる。複数種類のヌクレオチド間結合を有するオリゴヌクレオチドも本発明の範囲に含まれる。ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドまたはホスホロジチオエートオリゴヌクレオチドの作製方法は米国特許第5,666,153号、同第5,278,302号、および国際公開第95/26204号に記載されている。]
[0128] PreF抗原を含む免疫原性組成物中で例えば単独でまたは3D−MPLもしくはその他の本明細書に記載のアジュバントと組み合わせて用いることのできるその他のアジュバントとして、QS21等のサポニンが挙げられる。]
[0129] サポニンは、Lacaille-Dubois, M and Wagner H. (1996. A review of the biological and pharmacological activities of saponins. Phytomedicine vol 2 pp 363-386)に教示されている。サポニンは植物界および海洋動物界に広く分布するステロイドまたはトリテルペングリコシドである。サポニンは、振盪により水中でコロイド溶液を形成することおよびコレステロールを沈殿させることが知られている。サポニンは、細胞膜の近くにあると、膜中にポア様構造を形成して膜を破裂させる。赤血球の溶血がこの現象の例であり、これは全てではないが特定のサポニンの特性である。]
[0130] サポニンは、全身投与用のワクチン中におけるアジュバントとして知られている。個々のサポニンのアジュバントおよび溶血の活性は当該技術分野で広く研究されてきた(前述のLacaille-Dubois and Wagner)。例えば、クイルA(Quil A;南アメリカの木、キラヤ・サポナリア・モリナ(Quillaja Saponaria Molina)の樹皮に由来する)およびその画分が米国特許第5,057,540号および“Saponins as vaccine adjuvants”, Kensil, C. R., Crit Rev Ther Drug Carrier Syst, 1996, 12 (1-2):1-55;および欧州特許第0 362 279(B1)号に記載されている。クイルA画分を含む免疫刺激複合体(ISCOMS)と呼ばれる微粒子構造は溶血性であり、ワクチンの製造に使用されてきた(Morein, B.に付与された欧州特許第0 109 942(B1)号;国際公開第96/11711号;同第96/33739号)。溶血性のサポニンであるQS21およびQS17(HPLC精製されたクイルA画分)は強力な全身用アジュバントであることが報告されており、その製造方法は、参照により本明細書に援用する米国特許第5,057,540号および欧州特許第0 362 279(B1)号に開示されている。全身用ワクチン接種の研究に用いられてきたその他のサポニンとしては、カスミソウ(Gypsophila)、サポナリア等のその他の植物種に由来するものが含まれる(Bomford et al., Vaccine, 10(9):572-577, 1992)。]
[0131] QS21は、キラヤ・サポナリア・モリナの樹皮に由来するHpcl精製された非毒性画分である。QS21の製造方法は米国特許第5,057,540号に開示されている。QS21を含む非反応源性アジュバント製剤が国際公開第96/33739に記載されている。前述の参考文献を参照により本願に援用する。QS21等の前記免疫学的活性サポニンは、ヒト1回投与量の免疫原性組成物当たり1〜50μgの量で用いてよい。好ましくは、QS21は約25μg、例えば20〜30μg、好ましくは21〜29μg、22〜28μg、23〜27μg、24〜26μg、または25μgのレベルで用いられる。別の実施形態では、ヒト投与量の免疫原性組成物は、QS21を約10μg、例えば5〜15μg、好ましくは6〜14μg、例えば7〜13μg、8〜12μg、9〜11μg、または10μgのレベルで含む。別の実施形態では、ヒト投与量の免疫原性組成物は、QS21を5μg、例えば1〜9μg、2〜8μg、好ましくは3〜7μg、4〜6μg、または5μgのレベルで含む。QS21およびコレステロールを含むそのような製剤は、抗原と一緒に製剤化された時に、Th1刺激性アジュバントとして機能することが示されている。したがって、例えば、PreFポリペプチドを、QS21とコレステロールの組合せを含むアジュバントと一緒に免疫原性組成物中で好ましく使用することができる。]
[0132] 必要に応じて、アジュバントは、アルミニウム塩やカルシウム塩、特に水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム等の鉱物塩も含んでよい。例えば、3D−MPLをアルミニウム塩(例えば水酸化アルミニウムまたは「ミョウバン」)と一緒に含むアジュバントは、ヒト対象に投与するためのPreF抗原を含む免疫原性組成物に製剤化するのに適している。]
[0133] PreF抗原を用いた製剤中での使用に適したTh1優位型のアジュバントの別のクラスとしては、OMPを主成分とする免疫賦活組成物が含まれる。OMPを主成分とする免疫賦活組成物は、例えば鼻腔内投与用の粘膜アジュバントとして特に好ましい。OMPを主成分とする免疫賦活組成物は、限定されるものではないが例えばナイセリア種(例えばLowell et al., J. Exp. Med. 167:658, 1988;Lowell et al., Science 240:800, 1988;Lynch et al., Biophys. J. 45:104, 1984;Lowell, in "New Generation Vaccines" 2nd ed., Marcel Dekker, Inc., New York, Basil, Hong Kong, page 193, 1997;米国特許第5,726,292号;同第4,707,543号参照)等のグラム陰性菌に由来する外膜タンパク質(OMP。いくつかのポリンを含む。)標品の属であり、細菌抗原またはウイルス抗原等の免疫原用の組成物中で、または担体として、有用である。OMPを主成分とする免疫賦活組成物の一部は「プロテオソーム」と呼ばれることもあり、これは疎水性であり、ヒトで使用するのに安全である。プロテオソームは自発的に組み立てられて約20〜約800nmの小胞または小胞様OMPクラスターを形成し得、タンパク質抗原(Ag)、特に疎水性部分を有する抗原を非共有結合的に組み込むか、配位するか、またはそれと(例えば静電的または疎水的に)会合もしくは協調することが可能である。1または複数のOMPの多分子膜状構造または溶融した球様のOMP組成物を含む小胞形態または小胞様形態の外膜タンパク質成分を生じさせる任意の作製方法が、プロテオソームの定義に含まれる。プロテオソームは、例えば当該技術分野で報告されているように作製してよい(例えば米国特許第5,726,292号または同第5,985,284号参照)。プロテオソームは、OMPポリンの作製に用いられる細菌(例えばナイセリア種)を起源とする内性のリポ多糖またはリポオリゴ糖(それぞれLPSまたはLOS)を含んでもよく、これらは通常、全OMP標品の2%未満である。]
[0134] プロテオソームは、ナイセリア・メニギチディス(Neisseria menigitidis)から化学的に抽出された外膜タンパク質(OMP)から主に構成され(主にポリンAおよびB並びにクラス4OMP)、界面活性剤により溶液中に維持されている(LowellGH. Proteosomes for Improved Nasal, Oral, or Injectable Vaccines. In: Levine MM, WoodrowGC, KaperJB, Cobon GS, eds, New Generation Vaccines. New York: Marcel Dekker, Inc. 1997; 193-206)。プロテオソームは、例えばダイアフィルトレーションまたは従来の透析プロセスにより、本明細書に開示するPreFポリペプチドを初めとするウイルス源に由来する精製または組換えタンパク質等の種々の抗原と一緒に製剤化することができる。界面活性剤を徐々に除去することで、直径が100〜200nmの疎水性微粒子複合体を形成することができる(Lowell GH. Proteosomes for Improved Nasal, Oral, or Injectable Vaccines. In: Levine MM, Woodrow GC, Kaper JB, Cobon GS, eds, New Generation Vaccines. New York: Marcel Dekker, Inc. 1997; 193-206)。]
[0135] 本明細書において「プロテオソーム:LPSまたはプロトリン」とは、OMP−LPS組成物(免疫賦活組成物として機能し得る。)を得るために少なくとも1種類のリポ多糖を例えば外部から添加するなどして混合したプロテオソーム標品を指す。したがって、OMP−LPS組成物は、(1)ナイセリア・メニンギチジス等のグラム陰性菌から調製したプロテオソームの外膜タンパク質標品(例えばプロジュバント(Projuvant))および(2)1または複数のリポ糖標品、を含む、プロトリンの基本的成分の2つを含んでよい。リポオリゴ糖は、内性(例えばOMPプロテオソーム標品に天然で含まれる。)であってもよく、外的に調製された(例えば、OMP標品とは異なる培養物または微生物から調製された)リポオリゴ糖由来のOMP標品と混合または組み合せてもよく、それらの組合せであってもよい。そのような外部から添加されるLPSは、OMP標品を作製したのと同じグラム陰性菌に由来してもよく、異なるグラム陰性菌に由来してもよい。また、プロトリンは、必要に応じて脂質、糖脂質、糖タンパク質、小分子等、およびその組合せを含んでもよいと理解されるべきである。プロトリンは、例えば米国特許出願公開第2003/0044425号に記載されているように調製することができる。]
[0136] 前述したように種々のアジュバントの組合せをPreF抗原と一緒に組成物中で用いてもよい。例えば、既に述べたように、QS21を3D−MPLと一緒に製剤化してもよい。QS21:3D−MPLの比率は通常、ほぼ1:10〜10:1、例えば1:5〜5:1、しばしば実質的に1:1である。通常、この3D−MPL:QS21の比率は、2.5:1〜1:1である。別の組合せのアジュバント製剤は、3D−MPLおよびアルミニウム塩、例えば水酸化アルミニウムを含む。組み合わせて製剤化した時に、この組合せは抗原特異的なTh1免疫反応を高めることができる。]
[0137] いくつかの場合には、アジュバント製剤は、水中油型エマルションまたはカルシウム塩もしくはアルミニウム塩等の鉱物塩、例えばリン酸カルシウム、リン酸アルミニウム、もしくは水酸化アルミニウムを含む。]
[0138] 水中油型エマルションの一例としては、スクアレン等の代謝可能な油と、アルファ−トコフェロールを初めとするトコフェロール等のトコールと、ポリソルベート80またはTween80等の界面活性物質とを水性担体中に含むものが含まれ、これは更なる免疫賦活薬は含まず、特に、非毒性リピドA誘導体(3D−MPL等)またはサポニン(QS21等)は含まない。水性担体は、例えばリン酸緩衝生理食塩水であってよい。更に、水中油型エマルションは、スパン85および/またはレシチンおよび/またはトリカプリリンを含んでよい。]
[0139] 本発明の別の実施形態では、抗原または抗原組成物と、水中油型エマルションおよび必要に応じて1または複数の更なる免疫賦活薬を含むアジュバント組成物とを含むワクチン組成物が提供され、前記水中油型エマルションは0.5〜10mgの代謝可能な油(好ましくはスクアレン)、0.5〜11mgのトコール(好ましくはトコフェロール、例えばアルファ−トコフェロール)、および0.4〜4mgの乳化剤を含む。]
[0140] 特定の一実施形態では、アジュバント製剤は、水中油型エマルション等のエマルションの形態で調製された3D−MPLを含む。いくつかの場合には、国際公開第94/21292号に開示されているように、エマルションは直径0.2μm未満の小粒子サイズを有する。例えば、3D−MPLの粒子は、(欧州特許第0 689 454号に記載されているように)0.22ミクロンのメンブレンで滅菌ろ過することができるほど小さくてよい。あるいは、3D−MPLは、リポソーマル製剤の形態で調製してもよい。必要に応じて、3D−MPL(またはその誘導体)を含むアジュバントは、更なる免疫賦活成分も含んでよい。]
权利要求:

請求項1
可溶性Fタンパク質の融合前構造を安定化する少なくとも1つの修飾を含んでなる可溶性Fタンパク質ポリペプチドを含んでなる、組換え呼吸器合胞体ウイルス(RSV)抗原。
請求項2
可溶性Fタンパク質ポリペプチドを含んでなる組換え呼吸器合胞体ウイルス(RSV)抗原であって、前記Fタンパク質ポリペプチドが、以下から選択される少なくとも1つの修飾を含んでなる、組換えRSV抗原:(i)異種性三量体形成ドメインを含んでなるアミノ酸配列の付加;(ii)少なくとも1つのフューリン切断部位の欠失;(iii)少なくとも1つの非フューリン切断部位の欠失;(iv)pep27ドメインの1または複数のアミノ酸の欠失;および(v)前記Fタンパク質の細胞外ドメインの疎水性ドメインにおける、親水性アミノ酸による少なくとも1つの置換または付加。
請求項3
前記可溶性Fタンパク質ポリペプチドが、RSVFタンパク質ポリペプチドのF2ドメインおよびF1ドメインを含んでなる、請求項1または2に記載の組換えRSV抗原。
請求項4
前記少なくとも1つの修飾が、異種性三量体形成ドメインを含んでなるアミノ酸配列の付加を含んでなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組換えRSV抗原。
請求項5
前記異種性三量体形成ドメインが、F1ドメインのC末端側に位置する、請求項4に記載の組換えRSV抗原。
請求項6
介在フューリン切断部位を有さず、F2ドメインおよびF1ドメインを含んでなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組換えRSV抗原。
請求項7
RSVFタンパク質ポリペプチドのF2ドメインおよびF1ドメインを含んでなる融合(F)タンパク質類似体であって、F2ドメインとF1ドメインの間にフューリン切断部位がなく、前記ポリペプチドが、F1ドメインのC末端側に配置された異種性三量体形成ドメインを更に含んでなる、融合(F)タンパク質類似体。
請求項8
前記RSV抗原が三量体に組み立てられる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組換えRSV抗原。
請求項9
前記F2ドメインが、配列番号2の参照Fタンパク質前駆体ポリペプチド(F0)のアミノ酸26〜105に対応するRSVFタンパク質ポリペプチド部分を少なくとも含んでなる、請求項3〜8のいずれか一項に記載の組換えRSV抗原。
請求項10
前記F1ドメインが、配列番号2の参照Fタンパク質前駆体ポリペプチド(F0)のアミノ酸137〜516に対応するRSVFタンパク質ポリペプチド部分を少なくとも含んでなる、請求項3〜9のいずれか一項に記載の組換えRSV抗原。
請求項11
前記F2ドメインが、配列番号2の参照Fタンパク質前駆体ポリペプチド(F0)のアミノ酸26〜105に対応するRSVFタンパク質ポリペプチドを含んでなり、かつ/または前記F1ドメインが、アミノ酸137〜516に対応するRSVFタンパク質ポリペプチドを含んでなる、請求項3〜10のいずれか一項に記載の組換えRSV抗原。
請求項12
前記RSV抗原が以下の群から選択される、請求項9〜11のいずれか一項に記載の組換えRSV抗原:a)配列番号6を含んでなるポリペプチド;b)ストリンジェントな条件下で配列番号6とそのほぼ全長でハイブリダイズするポリペプチドであって、天然RSV株に対応するアミノ酸配列を含んでなるポリペプチド;c)配列番号6と少なくとも95%の配列同一性を有するポリペプチドであって、天然RSV株に対応しないアミノ酸配列を含んでなる、ポリペプチド。
請求項13
シグナルペプチドを更に含んでなる、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組換えRSV抗原。
請求項14
前記F2ドメインが、前記RSVFタンパク質ポリペプチドのアミノ酸1〜105を含んでなる、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組換えRSV抗原。
請求項15
前記F2ドメインおよびF1ドメインが、介在pep27ドメインを有さずに配置されている、請求項3〜14のいずれか一項に記載の組換えRSV抗原。
請求項16
前記異種性三量体形成ドメインがコイルドコイルドメインを含んでなる、請求項4〜15のいずれか一項に記載の組換えRSV抗原。
請求項17
前記多量体形成ドメインが、イソロイシンジッパーを含んでなる、請求項16に記載の組換えRSV抗原。
請求項18
前記イソロイシンジッパードメインが、配列番号11のアミノ酸配列を含んでなる、請求項17に記載の組換えRSV抗原。
請求項19
前記RSV抗原が、前記Fタンパク質細胞外ドメインの疎水性ドメインにおける、親水性アミノ酸による少なくとも1つの置換または付加を含んでなる、請求項1〜18のいずれか一項に記載の組換えRSV抗原。
請求項20
前記疎水性ドメインが、前記Fタンパク質細胞外ドメインのHRBコイルドコイルドメインである、請求項19に記載の組換えRSV抗原。
請求項21
前記HRBコイルドコイルドメインが、配列番号2の参照Fタンパク質前駆体(F0)のアミノ酸512に対応する位置における中性残基の荷電残基による置換を含んでなる、請求項20に記載の組換えRSV抗原。
請求項22
前記HRBコイルドコイルドメインが、配列番号2の参照Fタンパク質前駆体(F0)のアミノ酸512に対応する位置におけるロイシンのリジンによる置換を含んでなる、請求項21に記載のRSV抗原。
請求項23
前記疎水性ドメインが、前記Fタンパク質細胞外ドメインのHRAドメインである、請求項19に記載の組換えRSV抗原。
請求項24
前記HRAドメインが、配列番号2の参照Fタンパク質前駆体(F0)のアミノ酸105に対応する位置の後ろに荷電残基の付加を含んでなる、請求項23に記載の組換えRSV抗原。
請求項25
前記HRAドメインが、配列番号2の参照Fタンパク質前駆体(F0)のアミノ酸105に対応する位置の後ろにリジンの付加を含んでなる、請求項24に記載の組換えRSV抗原。
請求項26
前記RSV抗原が、前記Fタンパク質細胞外ドメインのHRAドメインにおける親水性アミノ酸による少なくとも第1の置換または付加、およびHRBドメインにおける親水性アミノ酸による少なくとも第2の置換または付加を含んでなる、請求項19〜25のいずれか一項に記載の組換えRSV抗原。
請求項27
前記RSV抗原が、天然Fタンパク質前駆体(F0)に存在するフューリン切断部位を除去する少なくとも1つのアミノ酸の付加、欠失、または置換を含んでなる、請求項1〜26のいずれか一項に記載の組換えRSV抗原。
請求項28
前記RSV抗原が、配列番号2の参照Fタンパク質前駆体(F0)のアミノ酸105〜109に対応する位置、アミノ酸133〜136に対応する位置、またはアミノ酸105〜109および133〜136に対応する位置の両方のフューリン切断部位を除去するアミノ酸の付加、欠失、または置換を含んでなる、請求項27に記載の組換えRSV抗原。
請求項29
RSVGタンパク質ポリペプチドのアミノ酸第149位〜第229位を含んでなるGタンパク質ポリペプチドを更に含んでなる、請求項1〜28のいずれか一項に記載の組換えRSV抗原。
請求項30
前記RSV抗原が以下の群から選択される、請求項29に記載の組換えRSV抗原:a)配列番号8または配列番号10を含んでなるポリペプチド;b)ストリンジェントな条件下で配列番号8および配列番号10の少なくとも1つとそのほぼ全長でハイブリダイズするポリペプチドであって、天然RSV株に対応するアミノ酸配列を含んでなる、ポリペプチド;c)配列番号8および配列番号10の少なくとも1つと少なくとも95%の配列同一性を有するポリペプチドであって、天然RSV株に対応しないアミノ酸配列を含んでなる、ポリペプチド。
請求項31
前記Gタンパク質ポリペプチドが、配列番号4の参照Gタンパク質配列のアミノ酸第149位〜第229位に対応するアミノ酸配列を含んでなる、請求項29または30に記載の組換えRSV抗原。
請求項32
前記Gタンパク質ポリペプチドが、配列番号4のアミノ酸149〜229を含んでなる、請求項31に記載の組換えRSV抗原。
請求項33
前記Gタンパク質ポリペプチドが、天然RSVポリペプチドに対する少なくとも1つのアミノ酸置換を含んでなり、前記アミノ酸置換が、ワクチンにより促進されるウイルス疾患の低減または防止に関連する、請求項29または30に記載の組換えRSV抗原。
請求項34
前記RSV抗原がアジュバント非存在下で対象に投与された時に、前記ワクチンにより促進されるウイルス疾患が低減または防止される、請求項33に記載の組換えRSV抗原。
請求項35
前記RSV抗原がヒト対象に投与された時に、ワクチンにより促進されるウイルス疾患が低減または防止される、請求項33に記載の組換えRSV抗原。
請求項36
前記Gタンパク質ポリペプチドが、Gタンパク質の第191位においてアスパラギンのアラニンによる置換(N191A)を含んでなる、請求項33に記載の組換えRSV抗原。
請求項37
リンカーを更に含んでなる、請求項1〜36のいずれか一項に記載の組換えRSV抗原。
請求項38
前記リンカーがアミノ酸配列GGを含んでなる、請求項37に記載の組換えRSV抗原。
請求項39
前記リンカーが、アミノ酸配列GGSGGSGGSを含んでなる、請求項38に記載の組換えRSV抗原。
請求項40
前記リンカーが、GGおよびGGSGGSGGSからなるアミノ酸配列の群から選択される、請求項39に記載の組換えRSV抗原。
請求項41
前記Fタンパク質ポリペプチドが、配列においてRSVALong株に対応するものである、請求項1〜40のいずれか一項に記載の組換えRSV抗原。
請求項42
前記Fタンパク質ポリペプチドが、ポリヒシチジンタグを更に含んでなる、請求項1〜41のいずれか一項に記載の組換えRSV抗原。
請求項43
前記RSV抗原が、ポリペプチドの多量体を含んでなる、請求項1〜42のいずれか一項に記載の組換えRSV抗原。
請求項44
前記RSV抗原が、ポリペプチドの三量体を含んでなる、請求項1〜43のいずれか一項に記載の組換えRSV抗原。
請求項45
請求項1〜44のいずれか一項に記載の組換えRSV抗原および薬学的に許容される担体または賦形剤を含んでなる、免疫原性組成物。
請求項46
前記担体または賦形剤が、緩衝剤を含んでなる、請求項45に記載の免疫原性組成物。
請求項47
アジュバントを更に含んでなる、請求項45または46に記載の免疫原性組成物。
請求項48
前記アジュバントが、Th1優位型の免疫反応を引き起こす、請求項47に記載の免疫原性組成物。
請求項49
前記アジュバントが、3D−MPL、QS21、水中油型エマルション、およびミョウバンの少なくとも1つを含んでなる、請求項48に記載の免疫原性組成物。
請求項50
前記アジュバントが、水中油型エマルションを含んでなる、請求項49に記載の免疫原性組成物。
請求項51
前記水中油型エマルションが、トコールを含んでなる、請求項49または50に記載の免疫原性組成物。
請求項52
3D−MPLを更に含んでなる、請求項49〜51のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
請求項53
前記アジュバントが、3D−MPLを含んでなる、請求項49に記載の免疫原性組成物。
請求項54
ミョウバンを更に含んでなる、請求項53に記載の免疫原性組成物。
請求項55
QS21を更に含んでなる、請求項53に記載の免疫原性組成物。
請求項56
前記3D−MPLおよびQS21が、リポソーム製剤である、請求項55に記載の免疫原性組成物。
請求項57
前記アジュバントが新生児への投与に適した、請求項47または48に記載の免疫原性組成物。
請求項58
前記免疫原性組成物が、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)の感染を低減または防止する、請求項45〜57のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
請求項59
前記免疫原性組成物が、RSV感染後の病理学的反応を低減または防止する、請求項45〜58のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
請求項60
前記免疫原性組成物が請求項1〜28のいずれか一項に記載の組換えRSV抗原を含んでなる時、前記免疫原性組成物が、RSVGタンパク質ポリペプチドのアミノ酸第149位〜第229位に対応するアミノ酸配列を含んでなるGタンパク質ポリペプチドを更に含んでなる、請求項45〜59のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
請求項61
前記Gタンパク質ポリペプチドが、RSVGタンパク質ポリペプチドのアミノ酸第128位〜第229位に対応するアミノ酸配列を含んでなる、請求項60に記載の免疫原性組成物。
請求項62
前記Gタンパク質ポリペプチドが、配列番号4の参照Gタンパク質配列のアミノ酸第149位〜第229位に対応するアミノ酸配列を含んでなる、請求項60または61に記載の免疫原性組成物。
請求項63
前記Gタンパク質ポリペプチドが、配列番号4のアミノ酸149〜229を含んでなる、請求項62に記載の免疫原性組成物。
請求項64
前記Gタンパク質ポリペプチドが、天然RSVポリペプチドに対する少なくとも1つのアミノ酸置換を含んでなり、前記アミノ酸置換が、ワクチンにより促進されるウイルス疾患の低減または防止に関連する、請求項60または61に記載の免疫原性組成物。
請求項65
前記Gタンパク質ポリペプチドが、全長Gタンパク質ポリペプチドまたはGタンパク質ポリペプチドの少なくとも一部を含んでなる融合タンパク質を含んでなる、請求項60または64に記載の免疫原性組成物。
請求項66
RSV以外の病原生物の少なくとも1つの更なる抗原を更に含んでなる、請求項45〜65のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
請求項67
前記少なくとも1つの更なる抗原が、RSV以外のウイルスのものである、請求項66に記載の免疫原性組成物。
請求項68
前記ウイルスが、B型肝炎ウイルス(HBV)、パラインフルエンザウイルス(PIV)、ポリオウイルス、およびインフルエンザウイルスから選択される、請求項67に記載の免疫原性組成物。
請求項69
前記少なくとも1つの更なる抗原が、ジフテリア、破傷風、百日咳菌、インフルエンザ菌、および肺炎球菌から選択される、請求項66に記載の免疫原性組成物。
請求項70
請求項1〜44のいずれか一項に記載の組換えRSV抗原をコードするポリヌクレオチド配列を含んでなる、組換え核酸。
請求項71
前記RSV抗原をコードする前記ポリヌクレオチド配列が、選択された宿主細胞での発現に最適化されたコドンである、請求項70に記載の組換え核酸。
請求項72
請求項70または71に記載の組換え核酸を含んでなるベクター。
請求項73
前記ベクターが、原核または真核用の発現ベクターを含んでなる、請求項72に記載のベクター。
請求項74
請求項70もしくは71に記載の核酸または請求項72もしくは73に記載のベクターを含んでなる、宿主細胞。
請求項75
前記宿主細胞が、細菌細胞、昆虫細胞、および哺乳動物細胞の群から選択される、請求項74に記載の宿主細胞。
請求項76
請求項70または71に記載の核酸および薬学的に許容される担体または賦形剤を含んでなる免疫原性組成物。
請求項77
RSV感染を処置するための医薬の製造における請求項1〜44のいずれか一項に記載のRSV抗原または請求項70もしくは71に記載の核酸の使用。
請求項78
前記医薬が、RSV感染の予防的処置を目的として投与される、請求項76に記載のRSV抗原または核酸の使用。
請求項79
呼吸器合胞体ウイルス(RSV)に対する免疫反応を引き起こす方法であって、請求項1〜44のいずれか一項に記載の組換えRSV抗原または請求項45〜69のいずれか一項に記載の免疫原性組成物を含んでなる組成物を対象に投与することを含んでなる、方法。
請求項80
前記RSV抗原を含んでなる組成物の投与が、RSV接触後にウイルス疾患を促進することなく、RSV特異的な免疫反応を引き起こす、請求項79に記載の方法。
請求項81
前記免疫反応が、Th1優位型の免疫反応を含んでなる、請求項79または80に記載の方法。
請求項82
前記免疫反応が、RSV感染を低減もしくは防止する、および/またはRSV感染後の病理学的反応を低減もしくは防止する防御免疫反応を含んでなる、請求項79〜81のいずれか一項に記載の方法。
請求項83
前記対象がヒト対象である、請求項79〜82のいずれか一項に記載の方法。
請求項84
前記RSV抗原を含んでなる組成物の投与が、鼻腔内経路による投与を含んでなる、請求項79〜83のいずれか一項に記載の方法。
請求項85
前記RSV抗原を含んでなる組成物の投与が、筋肉内経路による投与を含んでなる、請求項79〜83のいずれか一項に記載の方法。
請求項86
医薬に使用するための、請求項1〜44のいずれか一項に記載の組換えRSV抗原または請求項45〜69のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
請求項87
RSV関連疾患を防止または処置するための、請求項1〜44のいずれか一項に記載の組換えRSV抗原または請求項45〜69のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
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