专利摘要:
本発明は、転写後、in vivoで特異的に切断されて、関心対象のタンパク質を多コピー形成する、マルチマー性前駆体をコードしている核酸分子に関する。本発明はさらに、この核酸分子を含む細胞、およびこの細胞を用いて関心対象のタンパク質を産生するための方法に関する。
公开号:JP2011507507A
申请号:JP2010539327
申请日:2008-12-17
公开日:2011-03-10
发明作者:ヴァン・アステン,ペーター・フランシスクス・テレシウス・マリア;ヴァン・ハウトゥム,アンナ・コーネリア・ヘンドリカ;デ・ボア,アルジョ・ライサンダー;ボウストラ,ヤン・バスティアーン
申请人:フジフィルム・マニュファクチュアリング・ヨーロッパ・ベスローテン・フエンノートシャップ;
IPC主号:C12N15-09
专利说明:

[0001] 本発明は、転写後、in vivoで特異的に切断されて、関心対象のタンパク質を多コピー形成する、マルチマー性前駆体をコードしている核酸分子に関する。本発明はさらに、この核酸分子を含む細胞、およびこの細胞を用いて関心対象のタンパク質を産生するための方法に関する。]
背景技術

[0002] 分泌系は広範囲に研究されてきている。しかし、関心対象のタンパク質の分泌収量は、これまで研究されてきた多くの分泌系において、制限要因のままであり続けているようである。例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)発現プラットフォームを用いると、10g/Lを超えて分泌されるタンパク質の例は比較的少なく(Wertenら(1999).Yeast,15:1087−1096)、一方、多くの他のタンパク質は(はるかに)より低いレベルで分泌される(多コピーピキア発現キット、マニュアルバージョンF、010302、Invitrogen社、および該文献中の参考文献)。関心対象のタンパク質の分泌収量はまた、発現系の特性にも応じる。関心対象のタンパク質は、多様な宿主において、異なるレベルで分泌されうる(Steinborn,G.ら.,Microb Cell Fact.,2006,Nov 14;5:33)。関心対象のタンパク質の分泌収量を改善するよう試みる、いくつかの戦略が発展してきた。例えば、分泌しようとする関心対象のタンパク質をコードする核酸分子を含む発現構築物において、用いる宿主から生じる制御領域を用いてもよい。酵母において、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼの遺伝子由来の強いプロモーターが頻繁に用いられ、そしてメチロトローフ酵母において、ペルオキシソーム・アルコールオキシダーゼの遺伝子由来の強いプロモーターが頻繁に用いられる(例えば、Pichia protocols,Methodsin Molecular Biology,第103巻,David R. HigginsおよびJames M. Cregg監修)。関心対象のタンパク質をコードする遺伝子を改変して、宿主生物において高発現される遺伝子のコドン使用頻度に類似の使用頻度を採用してもよい(Grosjean,Hら(1982),Gene,18:199−209)。遺伝子の改変はまた、転写の未成熟な終結を防止し、そしてメッセンジャーRNAの安定性を増進しうる(Scorer,CAら,(1993),Gene,136:111−119)。しばしば、分泌収量は、遺伝子コピー数を増加させることによって増加させうる(Scorer,CAら,Biotechnology(N Y).,1994,Feb;12(2):181−4.;Higgins,DRら,Methods Mol.Biol..1998;103:41−53)。]
[0003] いくつかの関心対象のタンパク質に関しては、分泌収量は、シャペロン、または分泌経路の他の構成要素、例えばCNE1(Conesa,A.ら(2002),Appl.Environ.Microbiol.,68:846−851;Klabundeら,FEMS Yeast Res.,(2005)Oct 7)、PDI1(Smith,JD.ら(2004),Biotechnol.Bioeng.,85:340−350;Klabunde,J.ら(2005);Inanら,Biotechnol.Bioeng.,(2006),93:771−778;Liu,SH.ら(2005),Biochem.Biophys.Res.Commun.,326:81824およびLodi,T.ら(2005),Appl.Environ.Microbiol.,71:4359−4363)、KAR2(Smith,JD.ら(2004),Biotechnol.Bioeng.,85:340−350;Klabunde,J.ら(2005))、SEC4(Liu,SHら(2005))、SSO1およびSSO2(Toikkanen,JH.ら(2004),Yeast,21:1045−1055;Ruohonen,L.ら(1997),Yeast,13:337−351、およびKlabunde,J.ら(2005))、ERO1(Lodi,T.ら(2005))、SBH1(Toikkanen,JH.ら(2004),Klabunde,J.ら(2005))、PSA1(Uccelletti,D.ら(2005),FEMS Yeast Res.,5:735−746)、UBI4(Chen,Y.ら,(1994)Biotechnology,(N.Y.),12:819−823)、PSE1(Chow,TY.ら,(1992),J.Cell.Sci.,(Pt3):709−719)、ならびにDPM1(Kruszewska,JS.ら,(1999),Appl.Environ.Microbiol.,65:2382−2387)をコードする遺伝子の同時過剰発現によって増加されうると報告された。]
先行技術

[0004] Wertenら(1999).,Yeast,15:1087−1096
多コピーピキア発現キット、マニュアルバージョンF、010302、Invitrogen社
Steinborn G.ら.Microb.Cell Fact.,2006,Nov 14;5:33
Pichia protocols,Methodsin Molecular Biology,第103巻,David R.HigginsおよびJames M.Cregg監修
Grosjean,Hら(1982),Gene,18:199−209
Scorer,CAら,(1993),Gene,136:111−119
Scorer,CAら,Biotechnology(N Y).1994,Feb;12(2):181−4.
Higgins,DRら,Methods Mol Biol.1998;103:41−53
Conesa,A.ら(2002),Appl.Environ.Microbiol.,68:846−851
Klabundeら,FEMS Yeast Res.(2005) Oct 7
Smith JD.ら(2004),Biotechnol.Bioeng.,85:340−350
Inanら Biotechnol.,Bioeng.(2006),93:771−778
Liu SH.ら(2005),Biochem.Biophys.Res.Commun.,326:81824
Lodi T.ら(2005),Appl.Environ.Microbiol.,71:4359−4363
Smith JD.ら(2004),Biotechnol.Bioeng.,85:340−350
Toikkanen JH.ら(2004),Yeast,21:1045−1055
Ruohonen L.ら(1997),Yeast,13:337−351
Uccelletti D.ら(2005),FEMS Yeast Res.,5:735−746
Chen Y.ら,(1994),Biotechnology(N.Y.),12:819−823
Chow TY.ら,(1992),J.Cell.Sci.,(Pt3):709−719
Kruszewska JS.ら,(1999),Appl.Environ.Microbiol.,65:2382−2387]
発明が解決しようとする課題

[0005] しかし、多くの分泌系における関心対象のタンパク質の分泌収量は、産業規模でのこれらの系の使用を可能にするのに十分に高くはない。したがって、現存する系の欠点すべてを持たない、代替の、そして場合によって改善された分泌系の必要がなおある。]
課題を解決するための手段

[0006] タンパク質分泌を改善する方法に関する本発明者らの研究において、本発明者らは、ここで、驚くべきことに、モチーフを含む核酸分子であって、前記モチーフが少なくとも2回反復され、前記モチーフが少なくとも2つの要素を含み、前記の2つの要素が:
a)関心対象のタンパク質をコードする要素
および
b)切断部位をコードする要素
である、前記核酸分子で宿主細胞を形質転換することによって、タンパク質分泌量が有意に改善されうることを見出した。]
[0007] 切断部位がKex2切断部位である場合が、さらに好適であるようであった。Kex1切断部位が利用可能であれば、さらなる改善が提供される。宿主細胞は、真核細胞、例えば酵母細胞、真菌細胞、植物細胞、哺乳動物細胞、昆虫細胞等のリストより選択可能である。この方法を用いると、関心対象の多様なタンパク質が分泌可能であり、そして以前は不可能であった量で、関心対象の各タンパク質に関して可能である。分泌プロセスを設計することすら可能であり、ここで、関心対象の2つ、3つまたはそれより多くの別個のタンパク質が1つの単一の生物より分泌される。]
図面の簡単な説明

[0008] マルチマー性前駆体の構築ブロックの設計。所望のタンパク質、この場合はゼラチン配列は、太字および下線で示すアミノ酸モチーフ(KREA)に隣接している。マルチマー構築は、DraIIIおよびPflmI制限部位(斜字で示す)によって容易になる。プライマーB1−FおよびB1−Rの結合部位を下線で示す。
関連する制限部位を含むpPICZ−B1のプラスミドマップ。
マルチマー性前駆体B4(四量体前駆体)の遺伝子。所望の(成熟)ゼラチン配列は、太字および下線で示すアミノ酸モチーフ(KREA)に隣接している。斜字で示す残基(gpapepg)は介在配列を形成し、これは部位DraIIIおよびPflMIを用いたマルチマー構築を容易にするために導入されている。
A. pB1(レーン1および2)、pB2(レーン3および4)、pB4(レーン5および6)およびpB8(レーン7および8)の単一組込みコピーを含むピキア・パストリス株由来の培養上清のSDS−PAGE分析。M:低分子量マーカー(Amersham)。B. pB8(レーン1)の単一組込みコピーを含むピキア・パストリス株およびKEX2遺伝子を過剰発現するpB8の単一組込みコピーを含む株由来の培養上清のSDS−PAGE分析。]
[0009] 定義:
マルチマー(すなわちポリマー)は、関心対象のタンパク質が、モチーフまたはモノマーであって、直鎖方式で少なくとも2回反復されて、より長いポリマーまたはマルチマーを生じる、前記モチーフまたはモノマーを含むことを意味する。こうしたマルチマー(またはポリマー)は、したがって、モノマー配列の少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9または10反復を含むかまたはこうした反復からなる。モノマーまたはモノマー単位は、好ましくは、介在アミノ酸を伴わずに反復されるが、場合によって、いくつかまたはすべてのモノマー単位の間に、1、2、3、4、5、またはそれより多い連結アミノ酸が存在してもよい。]
[0010] ホモマルチマーMaは、関心対象のタンパク質が「a」回反復される単一モチーフMを含むことを意味する。整数「a」は、1および20以上の間であり、例えば2〜50の間、または2〜100の間またはさらにそれ以上であってもよい。]
[0011] ヘテロマルチマーは、関心対象のタンパク質が、数回反復されるいくつかの別個のモチーフまたはモノマーを含むことを意味する:例えばM1aM2bM3cM4d。この例において、モチーフM1は「a」回、M2は「b」回、M3は「c」回、M4は「d」回反復される。整数a、b、cおよびdは、必ずしも同じ値を持たない。これらは、上記で「a」として定義される。M1、M2、M3およびM4は、少なくとも2つのモノマーが互いに異なっている限り、同じであってもまたは異なっていてもよい。]
[0012] 用語「タンパク質」、「関心対象のタンパク質」または「ポリペプチド」または「ペプチド」または「遺伝子産物」は、交換可能に用いられ、そして特定の作用様式、サイズ、三次元構造または起源に関わらず、アミノ酸鎖からなる分子を指す。単離タンパク質は、培地から精製されたタンパク質などの、天然環境で見られないタンパク質である。]
[0013] 用語「酵素」は、基質に対する特定の触媒活性、例えば、限定されるわけではないが、特定のペプチド配列を切断し、特定のペプチド配列を除去し、特定のヌクレオチド配列を切断し、特定のヌクレオチド配列を除去すること等の活性を有するタンパク質を指す。この特定の触媒活性は、酵素濃度、基質濃度および環境因子、例えば温度、酸性度、特定のイオンおよび他の補因子の存在に応じる。]
[0014] 用語「コラーゲン」、「コラーゲン関連」、「コラーゲン由来」および「ゼラチン」または「ゼラチン様」は、交換可能に使用可能である。
「天然」または「自然」または「内因性」のタンパク質または関心対象のタンパク質は、これらが由来する生物によって産生されるようなタンパク質または関心対象のタンパク質を意味する。]
[0015] 「天然」または「自然」コラーゲンまたはコラーゲン性ドメインは、天然に、例えばヒトまたは他の哺乳動物で見られる、5,000から400,000ダルトンを超えるまでの範囲のMWを有する核酸またはアミノ酸配列を指す。]
[0016] ゼラチン様タンパク質は、ゼラチン様タンパク質モノマーまたはゼラチン様タンパク質マルチマーのいずれも意味する。
ゼラチン様タンパク質モノマー(あるいはモノマーを含むかまたはモノマーからなるポリマー)は、好ましくは、かなりの数のGXY三つ組を含むか、または該三つ組からなり、ここで、Gはグリシンであり、そしてXおよびYは任意のアミノ酸である。かなりの数のGXY三つ組は、ゼラチン様タンパク質モノマー全体のアミノ酸トリプレットの少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも60%、70%、80%、90%または最も好ましくは100%が、GXY、特に連続したGXYトリプレットであることを指す。モノマーおよび/またはポリマーのN末端および/またはC末端は、GXYトリプレットでなくてもよい他のアミノ酸を含んでもよい。また、モノマーの分子量は、好ましくは、少なくとも約1kDa(計算分子量)、少なくとも約2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれより多く、例えば15、20、25、30およびさらに40、50、60、70、80、90、または100およびさらにそれより多い。]
[0017] 「断片」は、より長い核酸またはポリペプチド分子の一部であり、例えば、より長い分子の少なくとも10、15、20、25、30、50、100、200、500またはそれより多い連続ヌクレオチドまたはアミノ酸残基を含むかまたはこれらからなる。好ましくは、断片は、より長い分子の1000、800、600、500、300、200、100、50、30またはそれより少ない連続ヌクレオチドまたはアミノ酸残基を含むかまたはこれらからなる。]
[0018] 「変異体」は、1またはそれより多くのアミノ酸挿入、欠失または置換によって、自然または天然配列とは異なり、そして以下に定義するような天然配列に「実質的に同一」である配列を指す。]
[0019] 用語「同一性」、「実質的に同一」、「実質的同一性」または「本質的に類似」または「本質的類似性」は、2つのポリペプチドがデフォルトパラメータを伴うSmith−Watermanアルゴリズムを用いて対で並列された際に、少なくとも60%、70%、80%、より好ましくは少なくとも90%、95%、96%、または97%、より好ましくは少なくとも98%、99%またはそれより多いアミノ酸配列同一性を含むことを意味する。好ましくは、並列は、本明細書記載の配列番号によって同定される全コード配列を用いて行われる。配列並列および配列同一性パーセントに関するスコアは、コンピュータプログラム、例えば、Accelrys Inc., 9685 Scranton Road, San Diego, CA 92121-3752 USAより入手可能である、GCG Wisconsinパッケージ、バージョン10.3を用いるか、またはEmbossWIN(例えば、バージョン2.10.0)において用いて、決定してもよい。2つの配列間の配列同一性を比較するため、局所並列アルゴリズム、例えばEmbossWINプログラム「water」において用いられるような、Smith Watermanアルゴリズム(Smith TF,Waterman MS(1981)J.Mol.Biol.,147(1);195−7)などを用いることが好ましい。デフォルトパラメータは、タンパク質用のBlosum62置換マトリックスを用いると、ギャップオープニングペナルティ10.0およびギャップ伸長ペナルティ0.5である(Henikoff&Henikoff,1992,PNAS,89,915−919)。]
[0020] 本明細書において、用語「機能可能であるように連結されている」は、機能的関連にある要素(核酸またはタンパク質またはペプチド)の連結を指す。要素は、別の要素と機能的関連にあるように配置された際、「機能可能であるように連結されている」。例えば、プロモーターまたはエンハンサーは、コード配列の転写に影響を及ぼす場合、コード配列に機能可能であるように連結されている。機能可能であるように連結されている、とは、連結されている要素が、典型的には隣接しており、そして2つのタンパク質コード領域を連結することが必要である場合、隣接しており、そしてリーディングフレーム内にあることを意味する。]
[0021] 発現は、限定されるわけではないが、転写、転写後修飾、翻訳、翻訳後修飾、分泌等を含む、タンパク質産生に関与する任意の工程を含むよう理解される。
過剰発現は、当該技術分野に知られる任意の方法による、宿主細胞への単数または多数の修飾による内因性タンパク質の発現レベル増加と理解される。発現レベル増加は、非修飾宿主細胞に比較した際、内因性タンパク質をコードするメッセンジャーRNAレベルの少なくとも10%の増加と定義される。メッセンジャーRNAレベルはノーザンブロッティングまたはアレイによって評価可能である。宿主細胞において内因性に発現されるのではないタンパク質の場合、こうしたタンパク質が、当業者に知られる任意の方法によって、好ましくは組換え分子生物学技術によって、前記宿主細胞において発現されるのであれば、好ましくは、前記宿主細胞における前記タンパク質の発現について述べるであろう。この場合、発現は、前記宿主細胞における、前記タンパク質をコードするmRNAの任意の検出可能な量を意味する。]
[0022] 核酸構築物は、天然存在遺伝子から単離されるか、あるいは単離されるか、合成されるか、組み合わされるかまたはそうでなければ天然には存在しない方式で並置される核酸セグメントを含むように修飾されている、核酸分子と定義される。]
[0023] さらに、不定冠詞「a」または「an」は、文脈が明らかに要素の1つであってそして1つのみを必要とするのではない限り、要素の1より多くが存在する可能性を排除しない。したがって、不定冠詞「a」または「an」は、通常、「少なくとも1つの」を意味する。用語「含む」は、言及する部分、工程または構成要素の存在を特定するものとして解釈されるものとするが、1以上のさらなる部分、工程または構成要素の存在を排除しない。さらに、動詞「からなる」は、本明細書に定義するような核酸分子、核酸構築物、細胞が、特に同定されたもの以上にさらなる構成要素(単数または複数)を含んでもよく、前記のさらなる構成要素(単数または複数)が本発明に特有の特性を改変しないことを意味する、「から本質的になる」によって置換可能である。]
[0024] 単語「およそ」または「約」は、数値と関連して用いた場合(およそ10、約10)、好ましくは、所定の値の10より、5%多いまたは少ない値であってもよいことを意味する。]
[0025] 本明細書に引用されるすべての特許および参考文献は、その全体が本明細書に援用される。
特定の微生物による、関心対象のタンパク質の分泌収量を改善する方法を調査していて、本発明者らは、タンパク質の分泌収量(リットルあたりのグラムで表す)がサイズに応じることを見出した。特に、ゼラチン様タンパク質の場合、より高い分子量のゼラチン様タンパク質は、より低い分子量のゼラチン様タンパク質よりもより高いレベルで分泌されることが見出した。さらなる調査において、本発明者らは、関心対象のタンパク質の分泌収量を増加させる新規アプローチを探索した。]
[0026] 核酸分子
第一の側面において、本発明は、モチーフを含む核酸分子であって、前記モチーフが少なくとも2回反復され、前記モチーフが少なくとも2つの要素を含み、前記の少なくとも2つの要素が:
a)関心対象のタンパク質をコードする要素
および
b)切断部位をコードする要素
である、前記核酸分子を提供する。]
[0027] 関心対象のタンパク質をコードする要素(要素a))
関心対象のタンパク質は、化粧品産業、食品または餌産業、洗剤産業などの産業適用で使用可能な任意のタンパク質であってもよい。タンパク質は、任意のタイプの疾患または状態を防止し、治療し、遅延する薬剤として使用可能な、活性成分であってもよい。薬剤は、疼痛、癌、心臓血管疾患、心筋修復、血管新生、骨修復および再生、創傷治療、神経刺激/療法または糖尿病の治療のためであってもよい。関心対象のタンパク質の例には:サイトカイン、インターロイキン(IL−2、4、5、6、12等)、アルファ−、ベータ−およびガンマ−インターフェロン、コロニー刺激因子(GM−CSF、C−CSF、M−CSF)、ケモカイン、ホルモン(成長ホルモン、エリスロポエチン、インスリン等)、血液凝固剤および抗凝血剤(ヒルジン等)または酸化防止分子が含まれる。さらなる例は、抗体、遺伝子操作(engineered)免疫グロブリン様分子(ナノボディTMなどのラクダ科(camelid)由来単一ドメイン抗体、アビマー(avimer)TMなどのアビディティー・マルチマー等、またはアンチカリン(anticalin)(登録商標)およびデュオカリン(duocalin)(登録商標)などのリポカリン誘導体等)、一本鎖抗体またはヒト化抗体、免疫同時刺激分子、免疫調節分子、ターゲットタンパク質のトランスドミナントネガティブ突然変異体、ウイルス、細菌、または寄生虫の感染および/または発達を阻害可能な別のタンパク質、構造タンパク質(アルブミン、コラーゲン等)、ゼラチンまたはゼラチン様タンパク質、融合タンパク質、酵素(トリプシン、リボヌクレアーゼ、P450チトクロム、リパーゼ、アミラーゼ等)、毒素、条件毒素、抗原、腫瘍または癌の開始または進行を阻害可能なタンパク質(細胞分裂または伝達シグナルのレベルで作用する阻害剤、腫瘍抑制剤遺伝子の発現産物、例えばp53またはRb等)、増殖因子、膜タンパク質、血管作動性タンパク質およびその誘導体(会合したレポーター基を含むものなど)である。関心対象のタンパク質はまた、プロドラッグ活性化酵素も含みうる。]
[0028] 別の態様において、関心対象のタンパク質はそれ自体、マルチマー:本明細書の一般的な定義のセクションにおいて定義するような、ホモマルチマーまたはヘテロマルチマーである。]
[0029] さらに別の態様において、それ自体がマルチマーである関心対象のタンパク質は、本明細書の一般的な定義と題するセクション中に定義するような、ゼラチン様タンパク質である。]
[0030] 切断部位をコードする要素(要素b))
本発明の核酸分子の核酸配列中に存在するモチーフの要素(b)は、切断部位をコードする。こうした切断部位は、当該技術分野に知られる任意の切断部位であってもよい。本発明において、Kex2切断部位を用いることによって、優れた結果が得られた。好ましくは、切断部位はKex2切断部位である。]
[0031] 好ましい態様において、本発明の核酸分子中に存在するモチーフは、さらに、介在配列である第三の要素を含む。
別の好ましい態様において、本発明の核酸分子はモチーフを含み、前記モチーフが少なくとも2回反復され、前記モチーフが少なくとも2つの要素を含み、ここで:
要素a)が関心対象のタンパク質をコードし、少なくとも2つの別個の要素a)が存在し、各々が関心対象の別個のタンパク質をコードし、そして
要素b)が切断部位をコードし、切断部位が関心対象の各タンパク質の間に存在するように、少なくとも2つのb)要素が存在し、各々が切断部位をコードする。]
[0032] この核酸分子は、混合物が関心対象の別個のタンパク質を含むことができる、関心対象のタンパク質の混合物の産生を可能にするため、好ましい。この態様の有益な使用の例は、肝炎ワクチンの製造である。このワクチンは、いくつかの別個のタンパク質を含む。]
[0033] 本発明の核酸分子において、本明細書に定義するようなモチーフは、少なくとも2回反復されるが、多数回、例えば2〜100回、またはそれより多く反復されてもよい。例えば、モチーフは、3、4、5、6、7、8、9、10または15、20、25、30、または40、50、60、70、80、90、95回あるいはそれより多く反復されてもよい。]
[0034] 場合によっては、関心対象のタンパク質自体が、例えばKex2様またはKex2切断部位のような切断部位を含有し、前記関心対象のタンパク質もまたこうしたものとして切断され、これが望ましくない可能性もある。こうした場合、関心対象のタンパク質をコードする天然配列から、切断部位を除去することを考慮してもよい。その結果、関心対象の天然タンパク質の変異体を含むマルチマー性前駆体が産生され、そして続いて、関心対象の天然タンパク質の変異体が、本発明の方法によって分泌される。好ましい態様において、関心対象の天然タンパク質は、内部切断部位、より好ましくはKex2切断部位を持たない。]
[0035] 本発明の核酸分子の核酸配列中の反復モチーフの発現は、関心対象のタンパク質を含むマルチマー性前駆体の発現を生じる。このマルチマー性前駆体内の関心対象の各タンパク質は、切断部位によって分離されている。特異的な切断酵素の作用によって、関心対象の個々のタンパク質は、関心対象のタンパク質の発酵プロセスにおいて分泌されて、非常に高収量を生じうる。]
[0036] 先のパラグラフに示すように、関心対象の天然タンパク質は、すでに、少なくとも1つの切断部位を含んでもよい。上に定義するような要素a)およびb)を含む本発明の核酸分子において、要素b)は、好ましくは、関心対象のタンパク質(要素a))内に存在せず、関心対象のタンパク質の上流および下流に存在する。関心対象のタンパク質が少なくとも1つの切断部位を含有する場合、この少なくとも1つの部位は、好ましくは除去される。当業者は、対応するコード配列を操作することによって、所定のタンパク質配列中のこうした部位を特異的に除去する方法を知っている。]
[0037] Kex2切断部位は、Kex2またはKex2様酵素によって切断可能な部位である。Kex2は、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)酵素の名称である(KurjanおよびHerskowitz,(1982)Cell,30:933−943;Brake AJら(1983),Mol.Cell.Biol.,3:1440−1450;ならびにCaplanら,(1991),J.Bacteriol.,173:627−635)。しかし、Kex2様酵素またはKex2相同体は、すでに、植物を含むいくつかの真核生物において同定されてきている(Jiang Lら,(1999),The Plant Journal,18:23−32;Fuller RSら,(1989),J.Science,246:482−486およびBresnata PAら,(1990),J.Cell.Biol.,111:2851−2859)。本発明者らは、Kex2様酵素に関して以下の定義を提唱する:該酵素は、ゴルジに局在するプロテアーゼであり、KまたはRなどの2つの連続する塩基性アミノ酸残基の後でタンパク質を特異的に切断する。したがって、Kex2切断部位は、好ましくは:KK、KR、RRまたはRKである。KRがより好ましい切断部位である。しかし、単一のR残基を含有するいくつかの配列もまた、Kex2によって切断される。例えば、Kex2は、特定のコラーゲン性配列に存在する配列MGPR中のR残基の後で、切断する(Werten MW,de WolfFA.Reduced proteolysis of secreted gelatin and Yps1-mediated alpha-factor leader processing in a Pichia pastoris kex2 disruptant. Appl.Environ.Microbiol.,2005 May;71(5):2310−7)。]
[0038] したがって、要素bとして、KK、KR、RR、またはRKのいずれかをコードする核酸分子を含む核酸分子が本発明に含まれ、MGPR配列をコードする核酸分子もまた含まれる。Kex2様酵素による切断の効率は、二塩基性モチーフに続く残基に依存する。例えば、原型Kex2切断部位KRXにおいて、芳香族アミノ酸、小さいアミノ酸およびヒスチジンなどのいくつかのアミノ酸Xが許容される(多コピーピキア発現キット、マニュアルバージョンF、010302、Invitrogen社)。酵母では、二塩基性Kex2切断部位に、EAまたはその反復が続く場合に、非常に効率的な切断が起こる。これらのEA反復は、典型的には、STE13(STErile13)遺伝子産物によって除去される(Julius D,Blair L,Brake A,Sprague G,Thorner J.,Yeast alpha factor is processed from a larger precursor polypeptide: the essential role of a membrane-bound dipeptidyl aminopeptidase. Cell,1983 Mar;32(3):839−52)。1つの態様において、こうしたEAモチーフは、Kex2切断部位に関連して位置する場合、例えばKREAの場合、STE13切断部位と称される。]
[0039] したがって、好ましい態様において、Kex2切断部位は、EAまたはその反復が続く、本明細書において定義される二塩基性モチーフによって定義される。
より好ましい態様において、関心対象のタンパク質を数コピー含むマルチマー性前駆体をコードし、関心対象のタンパク質の各コピーがKREA、KREAEAおよびKREAEAEAより選択される配列によって分離されている核酸分子を用いる。この核酸分子を、Kex2様タンパク質、Kex1様タンパク質およびSTE13遺伝子産物と同じ活性を持つタンパク質を含む、宿主細胞、好ましくは酵母細胞に導入する。]
[0040] 本発明の核酸分子は、式:
(CP)nまたは(CP)nC、式中、Pは本明細書に定義するような関心対象のタンパク質であり、Cは、本明細書に定義するような切断部位、好ましくはKex2切断部位を含むジペプチドであり、そしてnは少なくとも2である整数である
で示されうるポリペプチドをコードしてもよい。好ましい態様において、nは、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または50、100、150、200またはそれより多い。あるいは、または先の好ましい態様と組み合わせて、本発明は、リーダー配列(L)が第一のCPモチーフの上流に存在する好ましい態様:L(CP)nまたはL(CP)nCに関する。好ましいリーダー配列は、アルファ因子プレプロ配列である(Brake AJら,(1983),Mol.Cell.Biol.,3:1440−1450;KurjanおよびHerskowitz,(1982),Cell,30:933−943)。]
[0041] 本発明記載の核酸分子は、宿主において対応するタンパク質に翻訳された際、宿主細胞中に存在するKex2様プロテアーゼによって各Kex2切断部位が認識され、そして切断され、Kex2が認識部位のC末端で切断することから、典型的にはC末端伸長(Kex2部位から残るもの)を含む、関心対象のタンパク質の産生を生じるため、特に好適である。場合によって、Kex1様酵素がC末端塩基性残基(Kex2部位から残るもの)を除去する(Wagner JCおよびWolf DH.,(1987),FEBSLetters,14:423−426、ならびにCooper A.およびBussey H.,(1989),Mol.Cell.Biol.,9:2706−2714)。例えば、Kex2による配列LCPCPCPCPの切断は、LC、PC、PC、PCおよびPの産生を生じる。Kex1によるさらなる切断は、関心対象のタンパク質P(ならびにLおよびC)の4コピーの産生を生じる。]
[0042] したがって、本発明の1つの単一の核酸分子は、関心対象のタンパク質nコピーの産生を導く。発酵プロセスにおいて産生されるはずの関心対象のタンパク質の収量は、したがって、同じ宿主細胞中であるが、古典的な核酸分子(または核酸構築物または発現構築物)であって、関心対象のタンパク質をコードする核酸分子の1つの単一コピーを含む前記古典的核酸分子を用いた、関心対象の同じタンパク質の収量に比較して増加すると期待されうる。本発明者らは、驚くべきことに、この理論を実行可能であることを実際に見出した。当業者は、予期される増加が、とりわけ、選択する宿主細胞および選択する関心対象のタンパク質に応じて多様であることを理解するであろう。いくつかの宿主細胞−関心対象のタンパク質の組み合わせに関しては、2%、3%、4%、5%、7%、または10%のわずかな増加しか達成できない。他の組み合わせに関しては、増加はより有意であることも可能であり、例えば、少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%あるいはそれより多く、そしてまた他の組み合わせに関しては、収量は、2、3、4、5、6、7、8、9そしてさらに10倍またはそれより多い倍率で増加しうる。収量は、好ましくは定量的方法で評価される。例えば、培養上清中の関心対象のタンパク質の量は、同じタンパク質の既知の量との比較によって、HPLCまたはGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)などのクロマトグラフィー法によって決定可能である。収量はまた、関心対象のタンパク質の活性に関する特異的アッセイが使用可能である場合、こうしたアッセイを用いることによっても比較可能である。収量が少なくとも50%増加する場合、SDS−PAGEまたはウェスタンブロッティングなどの半定量的方法もまた使用可能である。]
[0043] 1つの態様において、関心対象のタンパク質をコードする各要素a)を、切断部位、好ましくはKex2切断部位をコードする各要素b)に、機能可能であるように連結してもよい。あるいは、または他の態様と組み合わせて、本発明は、本発明の核酸分子が、・・・CPCQCRCS、式中、Cは、例えばKex2切断部位を含むジペプチドのような切断部位であり、P、Q、R、Sは関心対象の4つの別個のポリペプチドである、によって示されるマルチマー性前駆体をコードする、別の好ましい態様に関する。もちろん、これは例であり、本発明の他の態様は、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれより多い別個の関心対象のタンパク質の産生を可能にする核酸分子を含む。本発明のこの態様は、いくつかの関心対象のペプチドまたはタンパク質を含むワクチンの産生のために特に好適である。こうしたワクチンの例は肝炎ワクチンである。]
[0044] あるいは、または先の好ましい態様と組み合わせて、本発明は、本発明の核酸分子が、以下のように示されうるマルチマー性前駆体をコードする、別の好ましい態様に関する:(CPCI)n、式中、Cは、例えばKex2切断部位を含むジペプチドのような切断部位を示し、Pは関心対象のタンパク質を示し、Iは介在配列を示し、そしてnは少なくとも2である整数である。好ましい態様において、nは、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、50、100、200またはそれより多い。より好ましくは、リーダー配列が、第一のモチーフCPCIの上流に存在する:L(CPCI)n。好ましいリーダーは、本明細書にすでに定義されている。]
[0045] 介在配列は、通常、3、4、5、6、7、8、9アミノ酸を含む。1つの態様において、介在配列は、例えば7アミノ酸を含む。介在配列はまた、例えばKex2切断部位のようなさらなる切断部位も含んでもよい。介在配列は、実用的な結果に相当してもよいし、あるいは本発明の核酸分子の設計または構築の副次的な結果に相当してもよい。好ましい介在配列は、制限エンドヌクレアーゼを用いた、本発明のヌクレオチドの構築によって形成される。]
[0046] 本発明の核酸分子の調製は、当業者に知られる分子生物学技術を用いて実行される(J.SambrookらMolecular Cloning:A Laboratory Manual,2001,第3版,Cold Spring Harbor laboratory)。]
[0047] 核酸構築物または発現ベクター
さらなる側面において、先のセクションに定義されるような核酸分子を含む核酸構築物または発現ベクターを提供する。場合によって、核酸構築物中に存在する核酸分子は、1以上の調節配列に機能可能であるように連結され、こうした配列は、適切な発現宿主において、コードされるタンパク質の産生を導く。]
[0048] 調節配列は、本明細書において、関心対象のタンパク質の発現に必要であるかまたは好適であるすべての構成要素を含むよう定義される。最小限、調節配列には、プロモーター、ならびに転写および翻訳停止シグナルが含まれる。]
[0049] 本発明はまた、本発明の核酸構築物を含む発現ベクターにも関する。好ましくは、発現ベクターは、適切な発現宿主において、コードされる関心対象のタンパク質の産生を導く1以上の調節配列に機能可能であるように連結されている、本発明の核酸分子を含む。最小限、調節配列には、プロモーター、ならびに転写および翻訳停止シグナルが含まれる。発現ベクターは、組換え発現ベクターとして見出されてもよい。発現ベクターは、組換えDNA法に好適に供されることも可能であり、そして関心対象の組換えタンパク質をコードする核酸配列の発現を達成することも可能な、任意のベクター(例えばプラスミド、ウイルス)であってもよい。この発現ベクターが導入される宿主の同一性、および本発明の核酸配列の起源に応じて、当業者は、最も適した発現ベクターおよび調節配列を選択する方法を知っている。]
[0050] 宿主細胞
さらにさらなる側面において、先のセクションに定義するような核酸構築物または発現ベクターを含む宿主細胞または宿主または細胞を提供する。]
[0051] 好ましくは、宿主細胞は、酵母細胞、真菌細胞、植物細胞、哺乳動物細胞、昆虫細胞等の真核細胞である。少なくとも、機能するKex2様および好ましくはKex1様酵素をも発現する任意の細胞において、本発明を適用可能であることが注目される。好ましい哺乳動物細胞はヒト細胞である。酵母細胞は、ハンセヌラ属(Hansenula)、トリコデルマ属(Trichoderma)、アスペルギルス属(Aspergillus)、ペニシリウム属(Penicillium)、サッカロミセス属(Saccharomyces)、クリュイベロミセス属(Kluyveromyces)、ニューロスポラ属(Neurospora)、アルクスラ属(Arxula)またはピキア属(Pichia)より選択可能である。真菌および酵母細胞は、反復配列の不適切な発現に対して感受性でないため、細菌より好ましい。酵母細胞がさらにより好ましい。メチロトローフ酵母宿主が最も好ましい。メチロトローフ酵母の例には、ハンセヌラ属またはピキア属種に属する株が含まれる。好ましい種には、ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)およびピキア・パストリスが含まれる。より好ましくは、宿主は、発現された際に関心対象のタンパク質を攻撃するかまたは分解しうる、高レベルのプロテアーゼおよび/またはタンパク質分解酵素を持たない。さらにより好ましくは、宿主は、1以上のプロテアーゼおよび/またはタンパク質分解酵素および/または他の望ましくない酵素が不全であるように修飾されている。これに関連して、プロテアーゼは、好ましくは、Kex2様またはKex1様酵素ではない。望ましくない酵素の例は、プロテイナーゼAまたはBである。この点において、ピキア属またはハンセヌラ属は、非常に適切な発現系の例を提供する。ゼラチン発現系としてのピキア・パストリスの使用が、EP−A−0926543およびEP−A−1014176に開示されている。当業者は、宿主細胞および発現しようとする配列に関する知識と組み合わせて、宿主細胞を、本発明にしたがって用いるのに適した関心対象のタンパク質の発現に適したものにする、本明細書に記載する必要なパラメータに基づいて、既知の産業的酵素産生真菌宿主細胞、特に酵母細胞から、適切な宿主細胞を選択することが可能であろう。]
[0052] 好ましい態様において、宿主細胞は、Kex2様酵素、またはKex2様プロセシング活性もしくは増進したKex2様プロセシング活性を有する酵素を含むか、または発現しそして/または過剰発現する。より好ましくは、宿主細胞は、機能する内因性(すなわち天然)Kex2様酵素を発現する。]
[0053] あるいはまたは先の好ましい態様と組み合わせて、宿主細胞は、Kex2様酵素を(過剰)発現するように遺伝子操作され、そして/または増進したKex2様プロセシング活性を示すように遺伝子操作される。この態様において、宿主細胞は、すでに、機能する内因性Kex2様酵素を発現してもよい。内因性Kex2様酵素および/または非天然Kex2様酵素は、宿主細胞において過剰発現されてもよい。細胞が、本明細書において先に定義するようなKex2切断部位をin vivoまたはin vitroで少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、少なくとも99%または100%、特異的に切断可能である場合、用いる宿主細胞は、機能するKex2様酵素を発現するか、あるいはKex2様プロセシング活性を所持するかまたは含むといわれる。所定のKex2様酵素がin vivoでKex2切断部位を切断する能力は、好ましくは、Kex2またはKex2様部位を含むポリペプチドをコードする核酸配列を含む核酸構築物で、前記Kex2様酵素を発現する細胞を形質転換し、形質転換細胞を培養し、そして細胞のKex2様酵素の機能性のパーセントとして評価することによって、評価される。in vitro評価は、好ましくは、試験しようとする前記Kex2様酵素に対して行われ、該酵素を、本明細書において先に定義するようなKex2切断部位を含むポリペプチドとインキュベーションする。]
[0054] あるいは、Kex−2様酵素の機能性は、サッカロミセス・セレビシエまたはピキア・パストリス由来のKex2酵素のKex−2活性との比較によって評価する。この態様において、所定のKex2切断部位を切断する能力が、サッカロミセス・セレビシエまたはピキア・パストリスのKex2が前記の同じ切断部位を切断する能力の少なくとも50%である場合、Kex2様酵素は、好ましくは、機能性であるといわれるか、あるいはKex2様プロセシング活性を所持するかまたは含むといわれる。好ましくは、切断能は、少なくとも60%、70%、80%、90%または100%あるいはそれより高い。この態様において、本明細書において先に定義するように、in vitroまたはin vivoで評価を行ってもよい。]
[0055] Kex2様プロセシング活性は、好ましくは、上に提供するアッセイいずれかを用いて測定した際、遺伝子操作された所定の細胞において、由来する細胞における同じ活性との比較によって、少なくとも5%増進している場合、増進したといわれる。あるいは、活性は、本明細書において先に定義するように、in vitroで評価される。より好ましくは、増進した、とは、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、150%、200%またはそれより多くの増進を意味する。]
[0056] Kex2様活性の存在の結果としての切断産物の存在を、質量分析によって評価してもよい。
さらにより好ましくは、宿主細胞は、Kex1様酵素、またはKex1様プロセシング活性もしくは増進したKex1様プロセシング活性を有するKex1様をさらに発現するか、または含みそして/または過剰発現する。さらにより好ましくは、宿主細胞は、本明細書にすでに定義するような、いかなるさらなるC末端残基(Kex2部位から残るもの)も伴わずに関心対象のタンパク質を生じるように、機能性の内因性Kex1様酵素を発現する。Kex1は、サッカロミセス・セレビシエにおいて同定されるような酵素の名称である(Wagner JCら(1987),Febs Lett.,221:423−436)。Kex2と同様、Kex1のいくつかの真核生物相同体がすでに同定されてきている。別のさらにより好ましい態様において、Kex1様酵素を過剰発現するために宿主細胞を遺伝子操作し、そして/または増進したKex1様プロセシング活性、好ましくはKex1切断部位を示すために遺伝子操作する。この態様において、宿主細胞は、すでに、機能する内因性Kex1様酵素を発現してもよい。内因性Kex1様酵素および/または非天然Kex1様酵素は、宿主細胞において過剰発現されてもよい。細胞が、本明細書において先に定義するようなKex1切断部位をin vivoまたはin vitroで少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、少なくとも99%または100%、特異的に切断可能である場合、用いる宿主細胞は、機能するKex1様酵素を発現するか、またはKex1様プロセシング活性を所持するといわれる。所定のKex1様酵素がin vivoでKex1切断部位を切断する能力は、好ましくは、Kex1またはKex1様部位を含むポリペプチドをコードする核酸配列を含む核酸構築物で、前記Kex1様酵素を発現する細胞を形質転換し、形質転換細胞を培養し、そして細胞のKex1様酵素の機能性のパーセントとして評価することによって、評価される。in vitro評価は、好ましくは、試験しようとする前記Kex1様酵素に対して行われ、該酵素を、本明細書において先に定義するようなKex1切断部位を含むポリペプチドとインキュベーションする。]
[0057] あるいは、Kex1様酵素の機能性は、サッカロミセス・セレビシエまたはピキア・パストリス由来のKex1酵素のKex1活性との比較によって評価する。この態様において、所定のKex1切断部位を切断する能力が、サッカロミセス・セレビシエまたはピキア・パストリスのKex1が前記の同じ切断部位を切断する能力の少なくとも50%である場合、Kex1様酵素は、好ましくは、機能性であるといわれるか、あるいはKex1様プロセシング活性を所持するかまたは含むといわれる。好ましくは、切断能は、少なくとも60%、70%、80%、90%または100%あるいはそれより高い。この態様において、本明細書において先に定義するように、in vitroまたはin vivoで評価を行ってもよい。]
[0058] Kex1様プロセシング活性は、好ましくは、上に提供するアッセイいずれかを用いて測定した際、遺伝子操作された所定の細胞において、由来する細胞における同じ活性との比較によって、少なくとも5%増進している場合、増進したといわれる。あるいは、活性は、本明細書において先に定義するように、in vitroで評価される。より好ましくは、「増進した」は、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、150%、200%またはそれより多くの増進を意味する。]
[0059] Kex1様活性の存在の結果としての切断産物の存在を、質量分析によって評価してもよい。
さらにより好ましくは、宿主細胞は、STE13遺伝子産物と同じ活性または増進した活性を有するSTE13遺伝子様産物またはSTE13遺伝子産物をさらに発現するか、または含みそして/または過剰発現する。さらにより好ましくは、宿主細胞は、本明細書にすでに定義するような、いかなるさらなるEAモチーフ(Kex2部位から残るもの)も伴わずに関心対象のタンパク質を生じるように機能する、内因性STE13遺伝子様産物を発現する。Ste13は、Juliusらに同定されるようなサッカロミセス・セレビシエの酵素の名称である(Julius D.ら, (1983),Cell,32:839−852)。Kex2と同様、Ste13のいくつかの真核生物相同体がすでに同定されてきている。別のさらにより好ましい態様において、STE13遺伝子様産物を過剰発現するために宿主細胞を遺伝子操作し、そして/または増進したSTE13遺伝子産物プロセシング活性を示すために遺伝子操作する。この態様において、宿主細胞は、すでに、機能性の内因性STE13遺伝子産物を発現してもよい。内因性STE13遺伝子産物および/または非天然STE13遺伝子産物は、宿主細胞において過剰発現されてもよい。細胞が、本明細書において先に定義するようなSTE13切断部位をin vivoまたはin vitroで少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、少なくとも99%または100%、特異的に切断可能である場合、用いる宿主細胞は、機能するSTE13遺伝子産物を発現するか、またはSTE13遺伝子産物のプロセシング活性を所持するといわれる。所定のSTE13様酵素がin vivoでSTE13切断部位を切断する能力は、好ましくは、STE13またはSTE13様部位を含むポリペプチドをコードする核酸配列を含む核酸構築物で、前記STE13様酵素を発現する細胞を形質転換し、形質転換細胞を培養し、そして細胞のSTE13様酵素の機能性のパーセントとして評価することによって、評価される。in vitro評価は、好ましくは、試験しようとする前記STE13様酵素に対して行われ、該酵素を、本明細書において先に定義するようなSTE13切断部位を含むポリペプチドとインキュベーションする。]
[0060] あるいは、STE13様酵素の機能性は、サッカロミセス・セレビシエまたはピキア・パストリス由来のSTE13酵素のSTE13活性との比較によって評価する。この態様において、所定のSTE13切断部位を切断する能力が、サッカロミセス・セレビシエまたはピキア・パストリスのSTE13が前記の同じ切断部位を切断する能力の少なくとも50%である場合、STE13様酵素は、好ましくは、機能性であるといわれるか、あるいはSTE13様プロセシング活性を所持するかまたは含むといわれる。好ましくは、切断能は、少なくとも60%、70%、80%、90%または100%あるいはそれより高い。この態様において、本明細書において先に定義するように、in vitroまたはin vivoで評価を行ってもよい。]
[0061] STE13様プロセシング活性は、好ましくは、上に提供するアッセイいずれかを用いて測定した際、遺伝子操作された所定の細胞において、由来する細胞における同じ活性との比較によって、少なくとも5%増進している場合、増進したといわれる。あるいは、活性は、本明細書において先に定義するように、in vitroで評価される。より好ましくは、「増進した」は、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、150%、200%またはそれより多くの増進を意味する。]
[0062] STE13様活性の存在の結果としての切断産物の存在を、質量分析によって評価してもよい。
好ましい態様において、細胞は、Kex2様酵素、またはKex2様プロセシング活性もしくは増進したKex2様プロセシング活性を有する酵素を含み、発現しそして/または過剰発現し、そして場合によって
−Kex1様酵素、またはKex1様プロセシング活性もしくは増進したKex1様プロセシング活性を有するKex1様をさらに発現するかまたは含み、そして/または過剰発現し、ならびに/あるいは
−STE13遺伝子産物と同じ活性または増進した活性を有するSTE13遺伝子様産物またはSTE13遺伝子産物をさらに発現するかまたは含み、そして/または過剰発現する。]
[0063] あるいは、または先に言及する態様と組み合わせて、宿主細胞を、Kex2様および場合によってKex1様酵素および/またはSTE13遺伝子様産物をコードする核酸分子を含む核酸構築物で形質転換する。Kex1酵素をコードする核酸配列を配列番号1として提供する。Kex2酵素をコードする核酸配列を配列番号2として提供する。対応する、コードされるKex2を配列番号3として提供する。対応する、コードされるKex1を配列番号4として提供する。STE13遺伝子産物をコードする核酸配列を配列番号5として提供する。対応するSTE13遺伝子産物を配列番号6として提供する。本発明で好ましく用いられるKex2様酵素をコードする核酸配列は、配列番号2と少なくとも60%の同一性を有する。より好ましくは、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%またはそれより高い。]
[0064] 本発明で好ましく用いられるKex1様酵素をコードする核酸配列は、配列番号1と少なくとも60%の同一性を有する。より好ましくは、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%またはそれより高い。]
[0065] 本発明で好ましく用いられるSTE13遺伝子産物をコードする核酸配列は、配列番号5と少なくとも60%の同一性を有する。より好ましくは、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%またはそれより高い。]
[0066] 当業者は、選択する宿主細胞の同一性に応じて、Kex2をコードする最も適切な配列、場合によってKex2の発現を確実にするKex1酵素および/またはSTE13遺伝子産物、場合によってKex1酵素および/またはSTE13遺伝子産物を選択することを知っているであろう。]
[0067] 産生法
さらにさらなる側面において、先のセクションで定義されるような細胞を用いた、関心対象のタンパク質の産生法を提供する。この方法において、好ましくは先のセクションで定義されるような宿主細胞を、関心対象のタンパク質の発現を導くのに適した条件下で培養する。好ましくはないが、場合によって、関心対象のタンパク質はまた、宿主細胞から回収可能である。]
[0068] 本発明にしたがった関心対象のタンパク質の好ましい産生法は:
−セクション「核酸分子」に定義するような核酸分子を含む発現ベクターを調製し
−宿主、好ましくは酵母、より好ましくはメチロトローフ酵母において、前記核酸分子を発現し、
−前記核酸分子の発現および好ましくは前記の関心対象のタンパク質の分泌を可能にするのに適した発酵条件下で、前記酵母を培養し;
−培養から、前記の関心対象のタンパク質を精製する
工程を含む。]
[0069] 例えばゼラチン様タンパク質のような関心対象のタンパク質は、EP−A−0926543、EP−A−1014176またはWO01/34646に開示されるような組換え法によって産生可能である。また、例えばゼラチン様タンパク質のような関心対象のタンパク質の産生および精製を可能にするため、ピキア・パストリスを宿主細胞として用いる、EP−A−0926543およびEP−A−1014176を参照されたい。]
[0070] 本発明の関心対象のタンパク質の産生法を用いることによって、関心対象のこうした組換え的に作製されるタンパク質は、現在、経済的な方式で、産業規模で作製可能である。これらのタンパク質の同一性に応じて、これらを多様な適用で使用可能である。]
[0071] 以下の実施例は例示目的のみのために提供され、そしていかなる点でも、本発明の範囲を限定することは意図されない。]
[0072] 本実施例において、ゼラチン様タンパク質を関心対象のタンパク質の例として採用する。
本発明者らは、ゼラチン様タンパク質をコードする所望の遺伝子を数コピー含む巨大分子を生成した。この巨大分子を発現した際、コードされるポリペプチドが産生され、そして続いて、in vivoでプロテアーゼによってプロセシングされて、多コピーの所望のゼラチン様タンパク質が放出された。]
[0073] 二塩基性切断部位(特に、EAが続くKR)によって、所望のゼラチン様タンパク質断片を分離した。酵母プロテアーゼKex2は、二塩基性アミノ酸モチーフのすぐC末端側でタンパク質を切断する。ピキア・パストリスにおいて、Yps1もまた、この二塩基性アミノ酸モチーフをC末端側で切断する。このYps1部位は、他の微生物において同様に振る舞う。]
[0074] 別の酵母プロテアーゼ、Kex1は、Kex2による切断後にC末端側に残る塩基性アミノ酸残基を除去する。Kex1およびKex2は、酵母ゴルジ体のプロテアーゼである。Yps1は、形質膜に位置する。STE13遺伝子産物は、Kex2による切断後の断片のN末端側に残ったEAジペプチドを除去する。すべての4つのタンパク質分解性酵素は、分泌経路を通過するタンパク質に作用する。したがって、上述の巨大なゼラチン様タンパク質前駆体は、分泌中に細胞内でプロセシングされ、そして所望の小さいゼラチン様タンパク質断片が、培地内に分泌される。]
[0075] 前駆体の設計
この試験の基礎として、Pモノマーまたは極性ゼラチン(Werten MW,Wisselink WH,Jansen−van den Bosch TJ,de Bruin EC,de WolfFA. Secreted production of a custom-designed, highly hydrophilic gelatin in Pichia pastoris. Protein Eng.,2001 Jun;14(6):447−54)は、化学的および/またはタンパク質分解的分解に対して非常に安定であるため、これを選択した。「安定な」ゼラチン様タンパク質の使用は、結果の解釈を容易にするはずである。]
[0076] 前駆体は、α接合因子分泌シグナル、その後、二塩基性切断部位を含み、そして数コピーのゼラチン様タンパク質および介在配列が、同じ二塩基性切断部位および介在配列によって分離されて存在している(特に、EAが続くKR)。酵母プロテアーゼKex2は、二塩基性アミノ酸モチーフのすぐC末端側でタンパク質を切断する。ピキア・パストリスにおいて、Yps1もまた、この二塩基性アミノ酸モチーフをC末端側で切断する。Yps1は、他の微生物において同様に振る舞いうる。]
[0077] 別の酵母プロテアーゼ、Kex1は、Kex2による切断後にC末端側に残る塩基性アミノ酸残基を除去する。Kex1およびKex2は、酵母ゴルジ体のプロテアーゼである。Yps1は、形質膜に位置する。STE13遺伝子産物は、Kex2による切断後の断片のN末端側に残ったEAジペプチドを除去する。すべての4つのタンパク質分解性酵素は、分泌経路を通過するタンパク質に作用する。したがって、上述の巨大なゼラチン様タンパク質前駆体は、分泌中に細胞内でプロセシングされ、そして所望の小さいゼラチン様タンパク質断片が、培地内に分泌される。]
[0078] 方法
本発明の核酸構築のための構築ブロックが、プライマーB1−FおよびB1−Rを用いた、pPIC−P由来のPモノマー遺伝子の増幅によって生成された(Werten MW,Wisselink WH,Jansen−van den Bosch TJ,de Bruin EC,de WolfFA.,Secreted production of a custom-designed, highly hydrophilic gelatin in Pichia pastoris. Protein Eng.,2001 Jun;14(6):447−54)。この構築ブロックの構造および配列を図1に示す。制限部位XhoIおよびNotIを用いて、生じたPCR産物をpPICKαA内にクローニングして、pB1を生じた(図2)。pPICKαAは、pPIC9K(Invitrogen)由来のカナマイシン遺伝子のコード配列で、pPICZαA(Invitrogenより)のゼオシン遺伝子のコード配列を置換することによる、pPICZαAの修飾である。pPICKαA中のカナマイシン耐性遺伝子は、大腸菌ではカナマイシンに対する耐性を与え、そして酵母ではG418またはジェネティシンに対する耐性を与える。Wertenら、2001に本質的に記載されるように、マルチマー(B2、B4、B8)を生成した(いくつかのDraIII部位およびPflMI部位が、消化後、適合末端を有し、そして連結した際、元来の部位はどちらも再び形成されることがないという事実を用いる)。クローニング工程を表1に要約する。多数コピーの関心対象のゼラチンおよび介在配列を含むポリペプチドをコードする巨大分子の構造を、4コピーの所望のゼラチンを含むポリペプチドをコードする遺伝子に関して、図3に例示する。] 図1 図2 図3
[0079] プラスミドpB1、pB2、pB4およびpB8をPmeIで直線化し、そしてピキア・パストリスX−33に導入した。0.5mg/mlジェネティシンを含有するYPDプレート上での選択によって、単一コピー形質転換体を得た。以下のように、サザンブロット分析によって、コピー数を確認した。野生型ピキア・パストリスのAOX1プロモーターは、約2.2kbのAcc65I断片上に位置する。AOX1プロモーター中のaの組込みに際して、プラスミドはすべてAcc65I部位を欠くため、この断片はプラスミドのサイズとともに増加する。]
[0080] いくつかの形質転換体からゲノムDNAを単離し、Acc65Iで消化し、電気泳動し、そして膜上にブロッティングした。AOX1プロモーターを含有する断片(約1.2kb)で膜を探査した(probed)。AOX1プロモーター中の単一コピーとしてのpB1、pB2、pB4およびpB8それぞれの組込みと予期される、約6.5kb、6.8kb、7.5kbおよび8.8kbの断片が観察された。]
[0081] 表1.マルチマーを生成するためのクローニング戦略]
[0082] ]
[0083] 多コピーピキア発現キット、マニュアルバージョンF、010302、Invitrogen社のマニュアル中の示唆にしたがって、各プラスミドの2つの単一コピー形質転換体の小規模発現研究を行った。EP−A−0926543およびEP−A1014176に記載されるような修飾ピキア株を用いて、発酵を実行した。培養上清をSDS−PAGEによって分析した(図4A)。マルチマーに関しては、部分的におよび完全にプロセシングされた型の両方が観察され、KEX2酵素によるプロセシングが不完全であることが示された。分泌されるゼラチン様タンパク質の総量は、前駆体のサイズとともに増加した。]
実施例

[0084] KEX2によるプロセシングを改善するため、KEX2コード配列をpGAPZ A(Invitrogen)中にクローニングした。生じたプラスミドをHpaIで直線化してGAPプロモーターにおける組込みを促進し、そしてpB8の単一の組込みコピーを含有するピキア・パストリス内に形質転換した。図4Bからわかるように、KEX2遺伝子の過剰発現は、B8前駆体の完全なプロセシングを生じた。Kex2過剰発現を伴って、pB8プラスミドで形成されるBの量(図4B、レーン2)は、pB1プラスミドから産生されるBの量(図4A、レーン1および2)よりはるかに高い。したがって、本発明者らは、驚くべきことに、プラスミドpB2、pB4またはpB8の単一の組込みコピーを含むピキア・パストリス株由来の培養上清が、プラスミドpB1の単一の組込みコピーを含む対照株よりも、はるかに多くの関心対象のゼラチン、Bを産生することを見出した。特定の株および発酵条件に応じて、収量は、最大8倍改善された。]
权利要求:

請求項1
関心対象のタンパク質を含むマルチマー性前駆体をコードする核酸分子であって、該核酸分子がモチーフを含み、前記モチーフが少なくとも2回反復され、前記モチーフが少なくとも2つの要素を含み、前記の少なくとも2つの要素が:a)関心対象のタンパク質をコードする要素およびb)切断部位をコードする要素である、前記核酸分子。
請求項2
切断部位がKex2切断部位である、請求項1記載の核酸分子。
請求項3
モチーフがさらに、介在配列である第三の要素を含む、請求項1または2記載の核酸分子。
請求項4
関心対象のタンパク質が、以下のリスト:サイトカイン、インターロイキン、インターフェロン、コロニー刺激因子、ケモカイン、ホルモン、血液凝固剤、抗凝血剤、酸化防止剤、抗体、遺伝子操作(engineered)免疫グロブリン様分子、一本鎖抗体、ヒト化抗体、免疫同時刺激分子、免疫調節分子、ターゲットタンパク質のトランスドミナントネガティブ突然変異体、ウイルス、細菌、または寄生虫感染を阻害可能なタンパク質、構造タンパク質、融合タンパク質、酵素、毒素、条件毒素、抗原、腫瘍または癌の開始または進行を阻害可能なタンパク質、増殖因子、膜タンパク質、血管作動性タンパク質、ペプチドおよびゼラチン様タンパク質、より選択される、請求項1〜3のいずれか一項記載の核酸分子。
請求項5
関心対象のタンパク質がゼラチン様タンパク質である、請求項4記載の核酸分子。
請求項6
関心対象のタンパク質が、ナノボディTM、アビマー(avimer)TM、アンチカリン(anticalin)(登録商標)またはデュオカリン(duocalin)(登録商標)である、請求項4記載の核酸分子。
請求項7
要素a)が関心対象のタンパク質をコードし、少なくとも2つの別個のa)要素が存在し、各々が関心対象の別個のタンパク質をコードし、そして要素b)が切断部位をコードし、切断部位が関心対象の各タンパク質の間に存在するように、少なくとも2つのb)要素が存在し、各々が切断部位をコードする請求項1〜5のいずれか一項記載の核酸分子。
請求項8
請求項1〜7のいずれか一項記載の核酸分子を含む、核酸構築物または発現ベクター。
請求項9
請求項8記載の核酸構築物または発現ベクターを含む、細胞。
請求項10
細胞が真核細胞である、請求項9記載の細胞。
請求項11
真核細胞が酵母細胞、好ましくはメチロトローフ酵母細胞である、請求項10記載の細胞。
請求項12
メチロトローフ酵母細胞が、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)またはハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)株である、請求項11記載の細胞。
請求項13
Kex2様酵素、またはKex2様プロセシング活性もしくは増進したKex2様プロセシング活性を有する酵素を含み、発現しそして/または過剰発現し、そして場合によってKex1様酵素、またはKex1様プロセシング活性もしくは増進したKex1様プロセシング活性を有するKex1様をさらに発現するかまたは含み、そして/または過剰発現し、ならびに/あるいはSTE13遺伝子産物と同じ活性または増進した活性を有するSTE13遺伝子様産物またはSTE13遺伝子産物をさらに発現するかまたは含み、そして/または過剰発現する請求項9〜12のいずれか一項記載の細胞。
請求項14
請求項9〜13のいずれか一項に定義される細胞を用いた、関心対象のタンパク質の産生法。
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公开号 | 公开日
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