還元性ガス中で使用するための高性能多層電極
专利摘要:
電気化学的性能が高い平面型固体酸化物燃料用電極材料系として、還元性ガス中で使用した場合に例外的な長期耐久性を提供するアノード材料、および酸素含有ガス中で使用した場合に例外的な長期耐久性を提供するカソード材料が挙げられる。アノード材料は、金属成分がコバルト−ニッケル合金であるサーメットを含むことができる。これらのアノード材料は、還元性ガス中で使用した場合に例外的な長期耐久性を提供するアノード材料、および、例えば、硫黄で汚染された燃料を用いるSOFCにおいて使用した場合に例外的な長期耐久性を提供する。このサーメットはまた、混合伝導性のセリアをベースとする電解質材料を含むこともできる。このアノードは二重層構造を有することができる。混合電子およびイオン伝導性を有する酸化セリウムをベースとする界面層を、電解質/アノード界面に設けることもできる。 公开号:JP2011507160A 申请号:JP2010537145 申请日:2008-12-08 公开日:2011-03-03 发明作者:ジャレド;アール. アーチャー;マシュー;エム. シーボー;スコット;エル. シュワルツ;マイケル;ジェー. デイ;ポール;エイチ. マッター 申请人:ネクステック、マテリアルズ、リミテッドNextech Materials, Ltd.; IPC主号:H01M4-86
专利说明:
[0001] 関連出願の相互参照 該当なし 連邦政府支援研究に関する陳述 該当なし マイクロフィッシュ・アペンディクスの参照 該当なし] [0002] 本発明は、平面型電気化学電池の材料および作製方法に関する。開示されている材料および方法は特に、平面型電池のスタックの高い長期安定性、高効率作動、耐硫黄性ならびに/あるいは高い体積および重量電力密度が望ましい用途に適している。本発明は、炭化水素および水素含有燃料から電力を生産するための固体酸化物燃料電池、蒸気または他の原料から水素または他の燃料を生産するための固体酸化物電解システム、ならびに空気または別の酸素含有ガスから純酸素を生産するためのセラミック酸素生成システムを含むがこれらに限定されない電気化学的ガス分離システムおよび触媒反応器において有用となることがある。] 背景技術 [0003] 効率的で信頼性のある電力に対する需要が高まっており、従来の電力源の向上をしのぐ勢いである。小型で軽量、エネルギー密度が高い(energy-dense)電力供給がすぐに適用されるであろう用途として、携帯型発電機、熱電併給システムおよび車両用補助動力装置が挙げられる。地球規模の気候変動に対する懸念が、化石燃料から発電する燃焼をベースとする方法の使用によって生じる我々の環境中のCO2の濃度に伴って増大している。燃料電池により、汚染物質および温室効果ガスの放出を大幅に削減しながら化石燃料からの発電の効率を増大させるための実行可能な手法が提供される。様々な種類の燃料電池の中で、水素を燃料として作動するプロトン交換膜(PEM)燃料電池が、その低重量、低温作動および製造の容易さから相当な注目を集めている。しかしながら、化石ベースの(fossil-based)炭化水素燃料を用いるPEM燃料電池の作動には、炭化水素を水素リッチガスに変換するための多くの前処理(改質)、ならびに一酸化炭素および硫黄を非常に低濃度(CO<10ppmおよびH2S<10ppb)まで削減するためにその後のガス精製ステップが必要とされる。高温(典型的には600℃〜1000℃)で作動する固体酸化物燃料電池(SOFC)は、炭化水素燃料中の不純物に対してかなり感受性が低く、これにより必要とされるガス精製ステップの量が最小限に抑えられる。このことは、発電効率を大幅に増大させ、システムの複雑さを低減させる。内部改質により、すなわち、最初の改質ステップなしで、特定の炭化水素燃料(例えば、メタン、メタノールおよびエタノール)で直接固体酸化物燃料を作動させることも理論的は可能である。] [0004] 固体酸化物燃料電池は、燃料電極(アノード)および空気電極(カソード)によって挟まれている酸素イオン伝導性セラミック電解質膜で構成される。カソードの上に空気(または酸素)を、またアノードの上に燃料(例えば、水素+一酸化炭素)を通過させ、蒸気および一酸化炭素を形成するための酸素の燃料との電気化学反応によって生成される電流を収集することによって発電される。SOFCシステム発展の成功への鍵は、電気化学電池の設計および「スタッキング(stacking)」構成(すなわち、発電用SOFCモジュール内SOFC素子の構成の仕方)である。これに関連して、可能な最小容量内に電気化学反応のための大量の活性面積を充填することが重要である。典型的な固体酸化物燃料電池は、活性面積100cm2毎に約30〜40ワットの電力を生産し、これは1キロワットの電力に対して約3000cm2の活性面積になる。別の鍵は、発電の電気効率(入力燃料の低位発熱量で割った出力電力と定義される)を最大限にすることである。商業的に実現可能なシステムの妥当な目標は、約50パーセントを超える電気効率である。これにより、SOFCに供給される燃料の大部分を使用して発電することが必要とされる。様々な電池およびスタック設計の代替案について、以下の段落で議論する。] [0005] 管状固体酸化物燃料電池は、カソード層、電解質層およびアノード層を用いて、場合によっては相互接続層も用いて作製される多層管を備える。管状SOFCは、アノード、カソードまたは電解質材料によって支持することも、あるいは後に堆積される薄膜アノード、電解質、カソードおよび相互接続層を有する多孔質の内部電気絶縁性材料によって支持することもできる。従来の管状電池は通常、体積または重量電力密度が低く悩まされている。これは、太いチューブは十分に充填されず、体積比に対して表面積が小さいからである。従来の管状電池で実現可能な電力密度は、長さの大きい(long-length)管状電池に固有の長い電流収集経路によって制限される。通常直径が約5mm未満である微細管状SOFCにより、従来の管状燃料電池の不都合の一部が克服される。直径が小さい微小管の封止は、従来の管の封止よりも簡単である。微小管状電池により、従来の管状電池に関連する、体積比に対する低面積も克服される。しかしながら、微小管状電池には、より高い電力(約100ワットを超える)へのスケーリング(scaling)が困難となるように複雑なマニホルド構成(manifolding)および電気的相互接続層スキームが必要となる。] [0006] 平面型SOFCは、アノード材料または電解質材料のいずれかによって支持することができ、やはり広く実証されている。アノード支持電池が多くの場合好ましい。というのは、これらの電池は薄い電解質層(約20ミクロン未満)を収容することができるからである。これにより、電池における電解質のオーム抵抗が減少し、また比較的低温(例えば、T<800℃)での作動が可能となる。平面型アノード支持電池は、大衆市場により特に魅力的で、それら電池の面積電力密度およびそれら電池の有利な充填効率によるコスト主導の用途である。700℃におけるアノード支持電池の性能が、少ない燃料使用量の小型電池において1W/cm2を超えることが実証されている。適切な封止および相互接続技術により、アノード支持電池スタックについて0.4W/cm2を超える電力密度が報告されている。しかしながら、アノード支持電池に欠点がないわけではない。従来の酸化ニッケル/イットリウム安定化ジルコニア(NiO/YSZ)複合材料を支持体材料として使用した場合、NiOのニッケル金属への還元により電解質層中に応力が生じ、これにより支持体が著しく変形することがある。平面型アノード支持電池を高電力密度および高燃料使用量で作動させることは困難であり、厚い多孔質層により電解質から離れた蒸気の急激な拡散が防止されるが、高電流密度では電池の面積固有抵抗(ASR)が増大する。] [0007] 電解質支持平面型電池は、電池の機械的強度を提供する電解質層を有する。電解質支持電池は、SOFCの製造において数多くの利点をもたらす。電解質支持電池の封止は、電極支持平面型電池よりも簡単である。というのは、緻密な電解質周囲を電池加工中に維持することができ、これにより封止作業用の緻密な平滑表面が提供される。電解質支持電池は、還元時に優れた安定性も有する。薄いアノード層だけが還元工程の影響を受けるため、この工程は一般に、電池の機械的安定性にほとんど影響はない。より薄いアノード層内外のガス拡散経路は短く、燃料および蒸気の拡散限界の懸念は少なくなる。しかしながら、同一の作動条件下では、従来の電解質支持電池が多くの場合、アノード支持電池よりもはるかに高い面積固有抵抗値を示す。これは、電解質はアノードまたはカソード材料よりも耐性が高いからである。このより高い面積固有抵抗を補償するために、電解質支持電池の作動温度は一般に、同じ材料一式を用いたアノード支持電池よりも高い。電解質支持電池のこのより高い作動温度は、特に、金属相互接続材料の使用を望む開発者にとっては欠点となることがある。] [0008] NexTech Materials,Ltd.所有の2つの最近の米国特許出願第11/109,471号(2006年10月19日公開)および第11/220,361号(2007年3月8日公開)には、従来の平面型電池を有するSOFCスタックの構築に関連する技術上の障害を克服する新規の平面型電池構造が記載されている。FlexCellと称されるこれらの第一の構造は、電解質材料の「ハニカム」メッシュ層によって機械的に支持されている薄い電解質膜層を備える(図1および図2参照)。FlexCellの活性領域内の75パーセントを超える電解質膜が薄く(20〜40ミクロン)、電池の周辺部は緻密である。その後活性電池領域内の主面上に電極(アノードおよびカソード)層を堆積させて、FlexCell構造に基づくSOFCの作製を完了する。HybridCellと称される第2の構造は、メッシュ支持体層と電解質膜層との間で共焼結させたアノード層(30〜40ミクロン)を備える(図3および図4参照)。HybridCellの活性電池領域全体が薄い電解質膜(10〜20ミクロン)を有し、電池の周辺部は緻密である。その後、活性電池領域内の主面上にカソード層を堆積させて、HybridCell構造に基づくSOFCの作製を完了する。これら2種類の電池の具体的な利点を以下にまとめる。] 図1 図2 図3 図4 [0009] 高性能用薄い電解質膜層 FlexCellもHybridCellも共に、薄い電解質膜層(10〜40ミクロン)を特徴とし、この薄い電解質膜層は、より低い作動温度において電解質のオーム損失を最小限に抑える。したがって、これらの電池により実現されるSOFC性能レベルを、アノード支持電池のSOFC性能レベルと同等にすることができる。] [0010] 高電力密度用繰り返し小単位 FlexCellおよびHybridCellの全厚は、電極の堆積後には200ミクロン未満であり、この全厚を、600〜1000ミクロンを超える従来のアノード支持電池の厚さと比較する。これにより、全スタック重量および体積に対する電池の寸法および重量の寄与が大幅に減少する。したがって、高電力密度SOFCスタックを構築することができる。] [0011] 機械的強度および可とう性 電池のメッシュ支持体要素として部分安定化ジルコニア(イットリアまたはスカンジアをドープ)を使用すると、機械的強度が高くなり、これによりスタック作製作業時の電池の取り扱いがより容易となる。このことは、スタック作業時に必要とされる加圧量も削減する。これは、気密封止を維持するため、また電池を平坦に保たないようにするため(アノード支持電池を用いる場合のように)だけに圧力が必要とされるからである。] [0012] 封止の簡略化のための緻密な周囲 FlexCellおよびHybridCell構造の緻密な電解質周囲は、封止を補助する。封止表面は、多孔質ではなく緻密で、比較的反応性の電極材料ではなく比較的不活性な電解質材料で作製される。] [0013] レドックスおよび熱サイクル耐性用の薄いアノード FlexCellおよびHybridCell構造に固有の薄いアノード層により、レドックスにも熱サイクルにも耐性のある電池を製造することがはるかに容易となる。したがって、SOFCスタックの過渡作動時にアノードをその完全に還元された状態で維持するための過剰な方策を必要としない。] [0014] アノード材料の柔軟性 FlexCell設計の具体的な利点は、別々の作製作業でアノードを堆積させることである。これにより、より優れた機能性を提供する新しいアノード材料(例えば、硫黄不純物に対して耐性を有するアノード)を取り込むことが容易となる。] [0015] SOFCが実際に適用されるためには、それらSOFCが容易に入手可能な燃料を用いて作動しなければならない。これには、ガソリン、天然ガス、ディーゼルなど従来の燃料で電力供給が作動することが必要となる。空気および/または蒸気と共に触媒で炭化水素燃料を前もって反応させて(改質して)、H2およびCO(場合によってはCH4も)ガスの混合物を生成し、その後、燃料電池に供給する。従来の燃料用の小型で軽量の改質装置を提供するための見込みのある改善が進行中である。しかしながら、従来の燃料はある程度の硫黄を含有する。硫黄は、従来のSOFC性能に壊滅的な影響を与えることがある。ニッケル金属の電解質材料(YSZまたはGDC)サーメット混合物は最も一般的なSOFCアノードであるが、数ppmの低い濃度でも硫黄被毒の影響を受けやすい。これにより、特に、安価な金属相互接続成分を使用するSOFCスタックに望まれるより低い作動温度(700℃〜800℃)で、著しく性能が劣化する。ニッケルをベースとするサーメットアノードは、硫黄にさらされると2段階で失活する(図5参照)。以下の機構を提案した。] 図5 [0016] 段階I劣化: アノード劣化の第1段階は、燃料への硫黄導入時の電池性能の急激な低下を特徴とし、ほぼ瞬間的である。段階I劣化は、硫黄汚染物質を除去すると概ね回復可能である。段階I劣化工程は、活性ニッケル部位(三相境界領域における)の硫化物による被覆率に関係していると理論化されている。Ni/YSZアノードで起こる反応を以下に示す。] [0017] (1)NiO+H2<=>Ni+H2O 750℃におけるΔG=−44kJ/mol (2)3Ni+2H2S<=>Ni3S2+2H2 750℃におけるΔG=−68kJ/mol] [0018] バルク硫化ニッケルの形成は低濃度のH2S(<2000ppm)では好まれないが、非常に低いH2S濃度であっても、ニッケル小粒子の硫化および粗面が容易に進行する。100ppmのH2SにさらされたNi/YSZサーメットを分析することによって、ニッケルのNi3S2への表面硫化(バルク中ではない)がラマン分光法により実験的に観測されている。] [0019] 段階II劣化: 第2段階は、電池性能のよりゆっくりとした劣化を特徴とし、この劣化は回復不可能である。一部の研究者が、より長時間におけるカスケード効果を報告している。この劣化の機構は、表面再配列およびニッケル粒子の焼結によるニッケル表面積の損失によるものと理論化されている。硫化ニッケル(Ni3S2)の融点は787℃であり、したがって硫化物形成はニッケル焼結の大きな原因となる可能性がある。] 先行技術 [0020] 米国特許出願第11/109,471号明細書 米国特許出願第11/220,361号明細書 米国特許第6,946,213号明細書 米国特許出願第11/349,773号明細書] 発明が解決しようとする課題 [0021] 硫黄から燃料電池のアノードを保護するために脱硫器が開発されているが、多くの用途にとって大きすぎ、重すぎ、また複雑すぎる。それら脱硫器は、標的燃料および脱硫器の耐用年数によるが、全システム重量の10〜50%を占める。加えて、脱硫器によりSOFCシステムのコストを増大し、SOFCシステムに対する保守要求が加わる。特定の用途では、脱硫器を備えることが依然として好ましいことがあるが、理想的なSOFCシステムは、脱硫器のコストも重量も容積もなしで硫黄に耐えるはずである。このようなシステムにおいては、SOFCアノードが硫黄による劣化に耐える能力により、脱硫器の能力すべてを使用しサービスコストを削減することができるように、硫黄吸着床の交換の間の持続期間を最小限に抑える機会が提供されることになる。したがって、耐硫黄性SOFCアノードが不可欠で、技術的要求を可能にする。本発明の一実施形態が、固体酸化物燃料電池における耐硫黄性を実現する全く新しい手法である。一般に使用されるSOFC材料および方法に基づく新規のアノード材料系により、電力密度を犠牲にすることなく、過度に高いSOFC作動温度を用いることなく、また著しいコストの増大なくSOFCにおいて耐硫黄性を実現する特有の能力が提供される。] 課題を解決するための手段 [0022] 平面型固体酸化物燃料電池スタックにおけるコスト制御への鍵は、相互接続要素への低価格金属の使用である。低コストに加えて、SOFC材料との熱膨張の一致、酸化性環境における高い温度での高い耐酸化性、および所望の形状の相互接続材料を作製するために低コストの作製方法(例えば、圧延およびスタンピング)を使用する能力を含むがこれらに限定されない金属相互接続材料の技術的要件が多くある。多くの合金が評価されてきたが、ほんの数種のみしか所望の特性を示していない。特に、クロム含有フェライト合金(例えば、Crofer 22−APU、E−Brite、SS−441、および当分野で公知の他の合金)が、SOFC用途に有望となっている。これらの合金は、SOFCの作動温度における(すなわち、カソード面上)酸化の影響を全く受けないわけではないが、酸化時に形を成すスケールそれ自体が電気伝導性である。しかしながら、これらの合金は、SOFC作動時にクロム蒸発の傾向を示し、クロムがカソード材料に移動し、カソード性能の劣化を引き起こす。このため、合金の酸化をさらに抑制するため、揮発したクロム種の移動を抑制するための2つの目的のために、金属相互接続部のカソード面に塗布することができるコーティングの開発に、相当な努力が集中している。そのようなコーティングの開発に進歩は見られるが、本発明の別の実施形態が、クロム被毒の悪影響に対してカソード材料を安定化させるための新規のカソード材料系である。] [0023] 本発明のこれらの、またさらなる目的は、以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。] 図面の簡単な説明 [0024] FlexCell構造に基づく平面電解質膜の写真である。 FlexCell構成の概略図である。 HybridCell構造に基づくアノード/電解質二重層膜の写真である。 HybridCell構成の概略図である。 コバルトをドープしたSDC中間層および従来のNi/GDCアノードを有する実施例4の固体酸化物燃料電池について750℃で得られたSOFCデータのプロットであり、H2Sの導入によって生じる失活の2つのモードを示すプロットである。 実施例6および7のFlexCellをベースとする固体酸化物燃料電池について800℃で得られたボタン電池SOFCデータの比較であり、従来のNi/YSZアノードを本発明の高性能多層アノード系で置き換えるによって得られる性能優位性を示す比較である。 本発明の高性能耐硫黄性アノード設計の概略図である。 空気中および還元性雰囲気中のサマリウムをドープしたセリア(SDC)の電気伝導度のプロット(上図)、ならびに純セラミックのガドリニウムをドープしたセリア(GDC)アノードを有する電解質支持固体酸化物燃料電池のボタン電池試験により850℃で得られたSOFCデータ(下図)のプロットである。 様々な硫黄含有量で電気化学的インピーダンス分光法によって測定される800℃におけるアノードの面積固有抵抗の比較であり、硫黄導入時の段階I失活のレベルを下げるためのセリアアノード/電解質界面層の重要性を示し、実施例6のFlexCellをベースとする固体酸化物燃料電池が、コバルトをドープしたSDCアノード/電解質界面層ありの多層Ni−Co/SDCアノードを有し(左図)、実施例9のFlexCellをベースとする固体酸化物燃料電池が、コバルトをドープしたSDCアノード/電解質界面層なしのNi−Co/DSCアノードを有する(右図)比較である。 同じLSMをベースとするカソード系を有するがアノードは異なる電解質支持固体酸化物燃料電池について750℃で得られたボタン電池SOFCデータの比較であり、実施例4の固体酸化物燃料電池が、コバルトをドープしたSDCアノード/電解質界面層およびNi/GDCアノードを有し、実施例5の固体酸化燃料電池が、コバルトをドープしたSDCアノード/電解質界面層およびNi−Co/GDCアノードを有する比較である。 同一のLSZFをベースとするカソードを有するがアノードが異なるFlexCellをベースとする固体酸化物燃料電池について800℃で得られたボタン電池SOFCデータの比較であり、定電流密度0.5A/cm2、800℃で作動する電池の電圧安定度に対する様々な量のH2S(0〜200ppm)の影響を示し、実施例7の固体酸化物燃料電池は従来のNi/YSZアノードを有するが、セリア界面層は備えず(上図)、実施例6の固体酸化物燃料電池が、コバルトをドープしたSDCアノード/電解質界面層、Ni−Co/SDC活性アノード層およびNi−Co/ScSZ通電アノード層を有する(下図)比較である。 本発明の一実施形態の高性能多層アノードを有する、実施例11の大面積FlexCellをベースとする固体酸化物燃料電池について得られる、長期の単電池SOFC試験データを提供する図であり、750、800および850℃の温度における定電流試験(0.7A/cm2)時の電圧安定度に対する200ppmのH2Sの影響を示す図である。 コバルトをドープしたSDCカソード/電解質界面層、電気化学的に活性な(LSZF/GDC/Pd)カソード層およびNi−Co/ScSZ通電アノード層および通電(LSZF/Pd)カソード層を備える多層カソード材料系を有する、実施例13の大面積HybridCellをベースとする固体酸化物燃料電池について得られる、長期の単電池試験データのプロットであり、750℃における定電流試験(0.71A/cm2)時の例外的な電圧安定度を示すプロットである。 実施例1の焼成した(Ni0.76Co0.24)O固溶体粉末および還元したNi0.76Co0.24合金粉末のX線回折パターンの比較である。 実施例6のFlexCellをベースとする固体酸化物燃料電池について800℃で得られたボタン電池SOFCデータの比較であり、電力密度対電流密度曲線に対する200ppmのH2Sの影響を示す比較である。 実施例8(上図)、実施例9(中図)および実施例10(下図)のFlexCellをベースとする固体酸化物燃料電池について800℃で得られたボタン電池SOFCデータの比較であり、電力密度対電流密度曲線に対する200ppmのH2Sの影響を示す比較である。 実施例8(上図)、実施例9(中図)および実施例10(下図)のFlexCellをベースとする固体酸化物燃料電池について800℃で得られたボタン電池SOFCデータの比較であり、定電流密度0.5A/cm2、800℃で作動する電池の電圧安定度に対する様々な量のH2S(0〜200ppm)の影響を示す比較である。 燃料使用量が少ない条件下で測定した、実施例12の大面積FlexCellをベースとする固体酸化物燃料電池についての、750、800および850℃の温度におけるSOFC性能データ(電池電位および電力密度対電流密度)のプロットである。 燃料使用量が多い条件下で測定した、実施例12の大面積FlexCellをベースとする固体酸化物燃料電池についての、750および800℃の温度におけるSOFC性能データ(電池電位対電流密度)のプロットである。 アノード材料系の電気化学的に活性な層中のナノスケールSDCなしで作製した、実施例14の大面積FlexCellをベースとする固体酸化物燃料電池の熱サイクル試験時に得られた電池電圧対時間のプロットである。 アノード材料系の電気化学的に活性な層中のナノスケールSDCありで作製した、実施例15の大面積FlexCellをベースとする固体酸化物燃料電池の熱サイクル試験時に得られた電池電圧対時間のプロットである。 ガドリウムをドープしたセリア電解質材料を共に有する実施例16および17のFlexCellをベースとする固体酸化物燃料電池について600℃(上図)および650℃(下図)で得られたボタン電池SOFCデータの比較であり、電力密度対電流密度曲線に対するコバルトをドープしたSDC中間層の影響を示す比較である。] [0025] 本発明は、電気化学的性能が高い平面型固体酸化物燃料電池向け電極材料系を提供する。これら新規のアノード材料は、還元性ガス中で使用した場合に例外的な長期耐久性を提供する。これら新規のカソード材料は、酸素含有ガス中で使用した場合に例外的な長期耐久性を提供する。] [0026] 本発明は、サーメットの金属成分がニッケル金属ではなくコバルト−ニッケル合金である新規のサーメットアノード材料を提供する。これらのアノード材料は、還元性ガス中で、例えば、硫黄で汚染された燃料を伴うSOFC中で使用した場合に、例外的な長期耐久性を提供する。本発明はまた、従来の純粋にイオン伝導性のドープジルコニア電解質材料ではなく、混合伝導性のセリアをベースとする電解質材料のサーメットアノードも提供する。加えて、本発明は、電気化学的活性、ガス輸送および電流収集機能を分離し最適化するために、二重層アノード構造を提供する。本発明はさらに、電解質/アノード界面に混合電子およびイオン伝導性の酸化セリウムをベースとする界面層を提供する。本発明の上記態様のそれぞれを独立に使用することも、またはこれら態様のすべてではないが組み合わせて使用することもできるが、これらの態様すべての組合せは特別な利点を与えることができる。] [0027] 本発明は、従来のランタンストロンチウムマンガナイト(LSM)ではなく、亜鉛をドープしたランタンストロンチウムフェライト(LSZF)または代替のフェライト、輝コバルト鉱もしくはニッケル酸塩セラミック電極材料を含む新規のカソード材料を提供する。カソード材料はまた、従来の複合材料カソードにおいて使用される純粋にイオン伝導性のドープジルコニア電解質材料ではなく、混合伝導性のセリアをベースとする電解質材料を含むこともできる。カソード材料はまた、パラジウムドーパントを含むこともできる。加えて、本発明は、電気化学的活性、ガス輸送および電流収集機能を分離し最適化するために、二重層アノード構造を提供する。本発明はさらに、電解質/カソード界面に混合電子およびイオン伝導性のセリウムをベースとする界面層を提供する。本発明の上記態様のそれぞれを独立に使用することも、またはこれら態様のすべてではないが組み合わせて使用することもできるが、これらの態様すべての組合せにより、酸素含有ガス中で使用される従来のLSMをベースとするカソードと比較して優れた電気化学的性能を有するSOFCカソードがもたらされる。この多層カソード系およびそのパラジウムをドープしたカソード材料も、金属相互接続材料を伴う作動時のクロム汚染に対して高度耐性を示す。] [0028] 高性能多層アノード系 本明細書中に開示されている高性能多層アノード系は、4つの主な実施形態(1)電解質/アノード界面で混合電子伝導およびイオン伝導性の酸化セリウムをベースとする界面層、(2)電気化学的活性、ガス輸送および電流収集機能を分離し最適化するための二重層アノード構造、(3)電解質材料が混合伝導性のセリアをベースとする電解質材料を含むサーメットアノード、ならびに(4)金属成分がコバルト−ニッケル合金を含むサーメットアノードを包含する。これら4つの実施形態を組み合わせると、従来のNi/YSZサーメットアノードと比較して優れた電気化学的性能を有するSOFCアノードがもたらされる(図6参照)。さらに、この多層アノード系は、高度な耐硫黄性を示す。多層アノード系の構造は図7に示し、また以下で詳細に説明する。] 図6 図7 [0029] より具体的には、本発明は、固体酸化物燃料電池などの電気化学的デバイス用の耐硫黄性アノード材料を提供する。このアノード材料は、金属成分がニッケル、ニッケルおよび銅を含有する合金、ならびにニッケル組成物と銅組成物との混合物のうちの少なくとも1種を含み、セラミック成分が混合伝導性電解質材料を含むサーメットでもよい。混合伝導性電解質材料は、ドープセリア電解質材料、ドープジルコニア電解質材料、ランタン・ストロンチウム・マグネシウム・ガリウム酸化物(LSGM)、別の酸素イオン伝導性セラミック電解質材料、またはこれらの混合物でもよい。ドープセリア電解質材料は、ガドリニウムドープセリア、サマリウムドープセリア、ジルコニウムドープセリア、スカンジウムドープセリア、イットリウムドープセリア、カルシウムドープセリア、ストロンチウムドープセリア、希土類およびアルカリ土類元素から選択される少なくとも1種の元素をドープした酸化セリウム、あるいはこれらの組合せでもよい。ドープジルコニア電解質材料は、イットリウムドープジルコニア、スカンジウムドープジルコニア、カルシウムドープジルコニア、希土類およびアルカリ土類元素から選択される少なくとも1種の元素をドープした酸化ジルコニウム、あるいはこれらの組合せでもよい。サーメットは、ガドリニウムドープセリアおよびサマリウムドープセリアから選択されるセラミック電解質材料を20〜80重量パーセント含むことができる。] [0030] 本発明はまた、固体酸化物燃料電池用アノードも提供する。このアノードは、金属成分がニッケル、ニッケルおよび銅を含有する合金、ならびにニッケル組成物と銅組成物との混合物のうちの少なくとも1種を含み、セラミック成分が混合伝導性電解質材料を含むサーメットを含み、セラミック材料のナノスケール微粒子が金属成分の粒子内に存在する。ナノスケールセラミック材料は、ドープジルコニア電解質材料、ドープセリア電解質材料またはこれらの組合せでもよい。このアノードは、酸化ニッケル、酸化ニッケルと少なくとも1種の他の金属酸化物との固溶体、酸化ニッケルと少なくとも1種の他の金属酸化物とを含む化合物、およびこれらの混合物から粉末状アノード前駆体を選択し、粉末状アノード前駆体をナノスケールセラミック材料とを組み合わせて粉末状アノード前駆体/ナノスケールセラミック材料の組合せを生成し、粉末アノード前駆体/ナノスケールセラミック材料の組合せを焼成し、焼成した粉末状アノード前駆体/ナノスケールセラミック材料の組合せをセラミック電解質粉末と混合し、基板上にこの混合物を堆積させ、堆積させた材料を焼結し、水素または還元性ガス混合物の存在下、焼結した材料を還元する方法によって作製することができる。少なくとも1種の他の金属酸化物は、酸化コバルト、酸化鉄、酸化銅およびこれらの混合物から選択される。この方法は、ドープジルコニア電解質材料およびドープセリア電解質材料からナノスケールセラミック材料を選択するステップ、ならびに/あるいはドープジルコニア電解質材料、ドープセリア電解質材料、およびこれらの組合せからセラミック電解質粉末を選択するステップをさらに含むことができる。] [0031] 本発明はまた、固体酸化物燃料電池において電解質膜からアノードを分離するための二重層アノード/電解質界面層を提供する。このアノード/電解質界面層は、セラミック電解質膜の表面上の第1の薄い緻密セリア層と、この緻密セリア層上の第2の薄い多孔質セリア層とを備えることができる。薄い緻密セリア層はドープセリア電解質材料を含むことができ、薄い多孔質セリア層はドープセリア電解質材料を含むことができる。セラミック電解質膜は、ドープジルコニア電解質材料を含むことができる。多孔質セリア層の少なくとも一方に、コバルトをドープすることができる。] [0032] 加えて、本発明は、硫黄含有燃料流と共に使用するための固体酸化物燃料電池用アノードを提供する。このアノードは、セラミック電解質膜上の第1のサーメットアノード層と、第1のサーメットアノード層上の第2のサーメットアノード層とを含み、第1のサーメットの金属成分がニッケル、ニッケルおよび銅を含有する合金、ならびにニッケル組成物と銅組成物との混合物のうちの少なくとも1種を含み、第1のサーメットのセラミック成分が混合伝導性電解質材料を含み、第2のサーメットの金属成分がニッケル、ニッケルおよび銅を含有する合金、ならびにニッケル組成物と銅組成物との混合物のうちの少なくとも1種を含み、第2のサーメットのセラミック成分がセラミック電解質材料を含み、第2のサーメットが、第1のサーメット層よりも粗い微細構造を有し、金属含有量が多い。第1のサーメットアノード層中の混合伝導性電解質材料は、ドープセリア電解質材料でもよく、第2のサーメット層中のセラミック電解質材料は、ドープジルコニア電解質材料、ドープセリア電解質材料、またはこれらの組合せでもよい。このアノードが、サーメット層の少なくとも一方の金属成分の粒子内に存在するセラミック材料のナノスケール微粒子を有することができ、ナノスケールセラミック材料は、ドープセリア電解質材料、ドープジルコニア電解質材料、およびこれらの組合せから選択される。] [0033] 本発明はまた、硫黄含有燃料流と共に使用するための固体酸化物燃料電池用アノード系も提供する。このアノードは、電解質膜上の薄い緻密なセリア層を備える第1のアノード/電解質界面層と、第1のアノード/電解質界面層上の多孔質セリア層を備える第2のアノード/電解質界面層と、第2のアノード/電解質界面層上の第1のサーメットアノード層と、第1のサーメットアノード層上の第2のサーメットアノード層とを備え、第1のサーメットの金属成分がニッケル、ニッケルおよび銅を含有する合金、ならびにニッケル組成物と銅組成物との混合物のうちの少なくとも1種を含み、第1のサーメットのセラミック成分が混合伝導性セラミック電解質材料を含み、第2のサーメットの金属成分がニッケル、ニッケルおよび銅を含有する合金、ならびにニッケル組成物と銅組成物との混合物のうちの少なくとも1種を含み、第2のサーメットのセラミック成分がセラミック電解質材料を含み、かつ第1のサーメット層よりも粗い微細構造を有し金属含有量が多い。アノード/電解質界面層の少なくとも一方は、ドープセリア電解質材料を含むことができる。あるいは、アノード/電解質界面層の少なくとも一方は、コバルトをドープしたセリア電解質材料を含むことができる。セラミック材料のナノスケール微粒子が、サーメット層の少なくとも一方の金属成分の粒子内に存在し、ナノスケールセラミック材料は、ドープセリア電解質材料、ドープジルコニア電解質材料およびこれらの組合せから選択される。] [0034] 本発明はまた、硫黄含有燃料流と共に使用するための固体酸化物燃料電池も提供する。この固体酸化物燃料電池は、セラミック電解質膜と、セラミック電解質膜の一方の面上の二重層アノード/電解質界面層と、二重層アノード/電解質界面層に塗布されるアノードと、セラミック電解質膜の反対側の面に塗布されるカソードとを備えることができ、アノードは、金属成分がニッケル、ニッケルおよび銅を含有する合金、ならびにニッケル組成物と銅組成物との混合物のうちの少なくとも1種を含み、セラミック成分が混合伝導性セラミック電解質材料を含むサーメットを含む。二重層アノード/電解質界面層は、セラミック電解質膜の表面上の第1の薄い緻密セリア層と、薄い緻密セリア層上の薄い多孔質セリア層とを備えることができる。アノードは、多孔質セリア層上の第1のアノード層と、第1のアノード層上の第2のアノード層とを備え、第1のアノード層は、金属成分がニッケル、ニッケルおよび銅を含有する合金、ならびにニッケル組成物と銅組成物との混合物のうちの少なくとも1種を含み、セラミック成分がセリアをベースとする電解質材料であるサーメットを含み、かつ細かい微細構造を有し、第2のアノード層は、金属成分がニッケル、ニッケルおよび銅を含有する合金、ならびにニッケル組成物と銅組成物との混合物のうちの少なくとも1種を含み、セラミック成分がセラミック電解質材料を含むサーメットを含み、かつ第1のアノード層よりも粗い微細構造を有しニッケル含有量が多い。セラミック電解質材料のナノスケール微粒子が、サーメットアノード層の少なくとも一方の金属成分の粒子内に存在し、ナノスケール電解質材料がドープジルコニア材料、ドープセリア材料、およびこれらの組合せから選択される。] [0035] 本発明はまた、還元性ガスと共に使用するための固体酸化物燃料電池も提供する。この固体酸化物燃料電池は、セラミック電解質膜と、セラミック電解質膜の表面上の薄い緻密セリア層と、薄い緻密セリア層上の多孔質セリア層とを備えるアノード界面層と、多孔質セリア層上の第1のアノード層と、第1のアノード層上の第2のアノード層とを備えるアノードと、セラミック電解質膜上のカソードとを備え、第1のアノード層は、金属成分がニッケルおよび銅を含有する合金ならびにニッケル組成物と銅組成物との混合物のうちの少なくとも1種を含み、セラミック成分が混合伝導性のセリアをベースとする電解質材料を含むサーメットを含み、かつ細かい微細構造を有し、第2のアノード層は、金属成分がニッケル、ニッケルおよび銅を含有する合金ならびにニッケル組成物と銅組成物との混合物のうちの少なくとも1種を含み、セラミック成分がセラミック電解質材料を含むサーメットを含み、かつ第1のアノード層よりも粗い微細構造を有しニッケル含有量が多く、セラミック電解質材料のナノスケール微粒子が、アノード層の少なくとも一方の金属成分の粒子内に存在する。あるいは、還元性ガスと共に使用するための固体酸化物燃料電池は、セラミック電解質膜と、セラミック電解質膜の表面上の薄い緻密なセリア層および薄い緻密なセリア層上の多孔質セリア層を備える電解質/アノード界面層と、多孔質電解質/アノード界面層上の第1のアノード層および第1のアノード層上の第2のアノード層を備える二重層アノードと、セラミック電解質膜の反対側の第1の薄い緻密なセリア層および薄い緻密なセリア層上の第2の薄い多孔質セリア層を備える電解質/カソード界面層と、多孔質電解質/カソード界面層上の第1のカソード層および第1のカソード層上の第2のカソード層を備える二重層カソードとを備えることができ、第1のアノード層は、金属成分がニッケル、ニッケルおよび銅を含有する合金、ならびにニッケル組成物と銅組成物との混合物のうちの少なくとも1種を含み、セラミック成分が混合伝導性のセリアをベースとする電解質材料を含むサーメットを含み、かつ細かい微細構造を有し、第2のアノード層は、金属成分がニッケル、ニッケルおよび銅を含有する合金、ならびにニッケル組成物と銅組成物との混合物のうちの少なくとも1種を含み、セラミック成分がセラミック電解質材料を含むサーメットを含み、かつ第1のアノード層よりも粗い微細構造を有しニッケル含有量が多く、セラミック電解質材料のナノスケール微粒子が、アノード層の少なくとも一方の金属成分の粒子内に存在し、第1のカソード層が、混合伝導性のセリアをベースとする電解質材料とセラミック電極材料との複合材料を含み、かつ細かい微細構造および小規模な多孔性を有し、第2のカソード層が、単一相セラミック電極材料を含み、かつ第1のカソード層よりも粗い微細構造および大規模な多孔性を有する。] [0036] アノード/電解質界面層: 混合電子およびイオン伝導性を有し、適合した微細構造を有するセリアをベースとする電解質材料の界面層を、アノード/電解質界面に堆積させる。この界面層は2つのステップで堆積させる。第1のステップでは、電解質膜表面上に薄い緻密なセリア層を設け、第2のステップでは、意図的にざらつきを設けた表面を有する多孔質セリア膜を、薄い緻密セリア膜上に設ける。全セリア中間層厚は、約2〜3ミクロンである。これら2つのセリア界面層コーティングの、アニーリング時の緻密性および接着性を、コバルトをドープすることによって高める。層の緻密な部分は電解質表面の性質を変化させ、活性電極領域を広げる一方で電解質とアノードとの間に混合伝導性界面のみを残す。界面層の多孔質部分は、アノード/電解質界面における三相境界領域の体積を増大させ、したがって酸素輸送に対する耐性が低下するが、後に堆積させるアノードコーティングの優れた接着性をもたらす粗面を提供する。活性アノード領域における表面ニッケル部位の硫化(sulfidation)の防止には、高レベルの酸素イオン伝導性が不可欠である。硫化ニッケルのSOxへの酸化は、硫黄の存在下で高いアノード活性を維持するために不可欠な反応である。表1は、他のアノード反応に対する硫化物酸化の温度への高い依存性を示し、耐硫黄性の向上と温度の上昇との周知の関係を説明している。] [0037] ] [0038] 上記反応2は、より高温ではより有利で、活性ニッケル相が高伝導混合伝導体と直接接触している場合に限り速く進行することができる。したがって、混合伝導性セリア界面層により、活性アノード領域における硫化ニッケルの酸化が容易となる。還元性雰囲気中で高い混合伝導性を有する典型的な材料は、サマリウム、ガドリニウムあるいは他の希土類および/またはアルカリ土類金属をドープした酸化セリウムである。還元性雰囲気中におけるサマリウムをドープしたセリア(SDC)の高伝導性を図8に示す。活性アノード層中のSDCの電子伝導性は、アノード/電解質界面からアノードへと三相境界領域を増大させることによって、電子移動を延長する。セリアの混合伝導性および触媒性により、セリアはアノード反応にも関与する。水素酸化用アノードとしてのガドリニウムをドープしたセリア(GDC)の活性を図8に示す。純粋なGDCアノードの性能は、Ni/ジルコニアまたはNi/セリアサーメットアノードの性能と一致しないが、GDCアノードの活性はアノード性能に寄与するには十分である。] 図8 [0039] セリア界面層を使用すると、アノード活性を高める混合伝導性がアノードと電解質との間の界面でもたらされるが、より重要な利点は、耐硫黄性に対するセリアのプラスの影響である。SDC界面層により得られるアノード耐硫黄性の向上は、図9の、電気化学的インピーダンス分光法(EIS)を用いて行ったアノード耐性測定によって示される。アノードのASRは、セリア(SDC)界面層が含まれる場合により低く、200ppmのH2Sの存在下におけるアノードのASRの増大は、セリア界面層なしの場合よりも著しく小さい。] 図9 [0040] 二重層アノード構造: 二重層サーメットアノード構造により、アノード系の電気化学的および通電性能が最適化される。このサーメットの金属段階は、ニッケル、ニッケルおよび銅を含有する合金、ニッケル組成物と銅組成物の混合物のうちの少なくとも1つを含むことができる。電気化学的活性層(セリア界面層上に堆積させる)は細かい微細構造を有し、セラミック相としてセリアをベースとする電解質材料を、また金属相としてコバルト−ニッケル合金とを組み込む。電流収集アノード層は、電流に対する抵抗を下げるために、ベースメタル(ニッケルおよびコバルト)の含有量がより多い、より粗い微細構造を有する。電流収集サーメットアノード層中のセラミック電解質材料の組成は、活性アノード層中のセラミック電解質材料の組成と同じである必要はなく、実際には、電池内の構造支持材料(すなわち、ドープジルコニアセラミック電解質材料)との熱膨張の不一致を低減させるために、通電層中の電解質材料がジルコニア電解質材料であることが好ましいことがある。活性アノード層および通電アノード層はそれぞれ、厚さ約15ミクロンである。] [0041] サーメットアノードにおける混合伝導性セリア電解質相: サーメットアノード中の、混合伝導性のセリアをベースとする電解質は、電気化学的性能を高めるだけでなく、耐硫黄性に対しても重要である。混合伝導性サーメットは、硫黄酸化により活性な部位を提供し、セリア界面層について上で説明したのと同じ理由で硫化ニッケルの酸化をより容易にする。混合伝導性電解質材料は、ドープセリア電解質材料、ドープジルコニア電解質材料、ランタン・ストロンチウム・マグネシウム・ガリウム酸化物(LSGM)、別の酸素イオン伝導性セラミック電解質材料、およびこれらの混合物でもよい。ドープセリア電解質材料は、ガドリニウムドープセリア(GDC)、サマリウムドープセリア(SDC)、ジルコニウムドープセリア、スカンジウムドープセリア、イットリウムドープセリア、カルシウムドープセリア、ストロンチウムドープセリア、希土類およびアルカリ土類元素から選択される少なくとも1種の元素をドープした酸化セリウム、およびこれらの組合せでもよく、ドープジルコニア電解質材料は、イットリウムドープジルコニア(YSZ)、スカンジウムドープジルコニア(ScSZ)、カルシウムドープジルコニア、希土類およびアルカリ土類元素から選択される少なくとも1種の元素をドープした酸化ジルコニウム、およびこれらの組合せでもよい。例えば、耐硫黄性アノード材料において有用なサーメットは、ガドリニウムをドープしたセリアおよびサマリウムをドープしたセリアから選択されるセラミック電解質材料を20〜80wt%含むことができる。これらのセラミック電解質材料は、電解質の機能を妨げない限り、他のドーパントを含むことができる。] [0042] 多成分金属相: サーメットアノードの金属相としての二成分Co−Ni合金は、高性能および耐硫黄性の実現に不可欠である。Ni−Co合金のより高い溶融温度および硫化コバルトのはるかに高い溶融温度は、硫黄の存在下における作動時の定常状態の劣化を大幅に低減するように思われる。硫黄にさらされると、二成分合金サーメットアノード(Ni−Co/GDC)を有する電解質支持SOFCが、従来からの(Ni/GDC)アノードを有するSOFCとは正反対に、段階II(定常状態)の劣化の大幅な低減を示す(図10参照)。この観測結果は、Ni/Co合金の硫化形は硫化ニッケルよりも高い融点を有するという仮説によって説明することができる。ニッケルおよびコバルトの酸化物および硫化物の一部の融点を表2に示す。汚染されたニッケルアノードにおいて検出される種であるNi3S2の融点は、787℃にすぎない。対照的に、硫化コバルトははるかに高い融点を有する。したがって、純ニッケルと比較してNi−Co合金の硫化物により融点が引き上げられることが、また容易には焼結しないであろうことが期待される。Ni−Coをベースとするアノードは水素酸化における律速電荷移動段階に対してより小さい抵抗を示すため、Ni−Coをベースとするアノードにより水素酸化反応についての電気化学的性能が向上することも考えられる。拡大解釈すれば、耐硫黄性についての重要な特徴と特定されている硫黄含有種の触媒酸化に、コバルトも寄与すると予想することは理にかなっている。] 図10 [0043] ] [0044] これら4つの態様を組み合わせると、2つの失活プロセスの影響を低減することができ、高度の耐硫黄性を実現することができる。硫黄免疫の程度を、異なるアノードを有するが同一のFlexCellをベースとするSOFCについて得られるSOFCデータによって図11に示す。高性能多層アノード系を有するSOFCは、最大200ppmの硫黄の添加で100時間を超えても2.5%の性能低下しか示さなかったが、従来のNi−YSZアノードを有するSOFCは、たった20ppmのH2Sを導入するだけですぐに機能しなくなった。多層アノード系は、従来のNi/YSZアノードよりも硫黄に対してはるかに耐性が高い。] 図11 [0045] 上に提示したSOFCの結果は、小さい電池(活性面積が約1cm2)および低燃料使用量(約2〜3パーセント)を必要とする「ボタン電池」試験法を用いて得た。現実的条件下でアノード性能を評価することを可能にするために、単電池SOFC試験もより大きい面積の電池(28cm2)について完了した。図12に提示するデータは、燃料使用量が50パーセントに近い0.7A/cm2で行った試験における作動温度の影響を示す。750℃では、200ppmのH2Sの導入時に電圧のわずかな減少(段階Iの劣化)が観測され、その後、242時間を超える試験で非常に低速の定常状態(段階II)劣化が起こった。燃料供給からH2Sを取り除くと、初期電圧損失は完全に回復した。800℃では、電池はごくわずかな(かつ回復可能な)電圧損失を示し、195時間を超える試験で定常状態失活は観測されなかった。H2Sは、850℃では電池に何ら影響を及ぼさなかった。電力密度は、200ppmのH2Sにおいて、750℃で470mW/cm2、800℃で530mW/cm2、850℃で575mW/cm2であった。] 図12 [0046] SOFCにおけるアノード性能の安定化 上で述べたとおり、硫黄の存在下におけるSOFCアノード内のニッケル金属粒子の焼結は、ニッケル金属と比較して硫化ニッケルの溶融温度がより低いことによる段階II失活についての機構である推定される。硫黄の不存在下でさえも、固体酸化物燃料電池の定常状態および/または過渡作動時の鍵となる劣化機構は、サーメットアノード(純ニッケル、あるいはコバルト、鉄および/または銅を含有するニッケル合金のいずれか)中のベースメタル粒子の焼結であり、ニッケルまたはニッケル合金の焼結および粒子成長は、熱サイクルおよび/または酸化還元(レドックス)サイクル時に特に問題となる。本発明は、ニッケル金属またはニッケル合金粒子内に存在するナノスケールセラミック電解質粒子を設けてSOFC作動時の粗大化を低減することによってこの問題を解決する。これは、例えば、アノード合成ステップ時の追加の電解質粉末との混合前に、NiO粉末に(または他の混合ベースメタル酸化物粉末混合物に)少量のナノスケールセラミック電解質材料(ジルコニアまたはセリアをベースとする電解質材料のいずれか)を分散させることによって実現することができる。この手法は、従来のアノード支持電池、従来のカソード支持電池、従来の電解質支持電池およびFlexCellおよびHybridCell設計の平面型電池を含めた大部分の固体酸化物燃料電池に適用可能である。] [0047] この手法を実証するために、活性面積が28cm2であるFlexCell設計の平面型電池を2種作製した。一方のFlexCellは、電気化学的に活性なアノード層のベースメタル成分中のナノスケールSDCなしで作製し、他方のFlexCellは、電気化学的に活性なアノード層のベースメタル成分中のナノスケールSDCありで作製した。FlexCellは共に、アノード面およびカソード面上の同一のセリア界面層と、同一の通電アノード層と、同一の二重層カソードとを備えていた。本出願では後ほどより詳細に説明するように、アノードが分散ナノスケールSDCを有するFlexCellは、熱サイクル試験時に劣化に対して優れた耐性を示した。] [0048] 高性能多層カソード系 カソード/電解質界面層: 混合電子およびイオン伝導性を有し、適合した微細構造を有するセリアをベースとする電解質材料の界面層を、カソード/電解質界面に堆積させる。この界面層は2つのステップで堆積させる。第1のステップでは、電解質膜表面上に薄い緻密なセリア層を設け、第2のステップでは、意図的にざらつきを設けた表面を有する多孔質セリア膜を、薄い緻密セリア膜上に設ける。全セリア中間層厚は、約2〜3ミクロンである。これら2つのセリア界面層コーティングの、アニーリング時の緻密性および接着性を、コバルトをドープすることにより高める。層の緻密な部分は電解質表面の性質を変化させ、活性電極領域を広げる一方で電解質とカソードとの間に混合伝導性界面のみを残す。界面層の多孔質部分は、カソード/電解質界面における三相境界領域の体積を増大させ、酸素輸送に対する耐性が低下させる。このセリア界面層はまた、最終的なアニーリングステップ時に、電解質材料(ジルコニアまたはランタンガレートをベースとする)とペロブスカイト構造のマンガナイト、フェライトおよび輝コバルト鉱をベースとするカソード材料との間の有害な反応を防ぐため、重要である。これにより、より高いアニーリング温度を使用することが可能となり、このことは、高い温度におけるSOFC動作時に変化しない熱的に安定なカソード微細構造の実現に役立つ。] [0049] より高性能のカソード材料によるLSMの置換: 酸素還元反応用SOFCにおける従来のランタン・ストロンチウム・マンガナイト(LSM)カソード材料の電気化学的性能は、約800℃を下回る温度ではかなり限られる。ランタンストロンチウム亜鉛フェライト、ランタンストロンチウムマンガナイト、ランタンストロンチウムフェライト(LSF)、ランタンストロンチウム輝コバルト鉱、ランタンストロンチウムコバルトフェライト、バリウムストロンチウムコバルトフェライト、ランタンストロンチウムニッケレート、サマリウムストロンチウム輝コバルト鉱(SSC)、当業者には公知の他のカソード材料、これらの混合物など、より高性能の電極材料を活性カソード層において使用することが有利となるはずである。しかしながら、これらのより高性能の材料は、それら材料の作動条件下(特に揮発したクロムの存在下)における安定性を数千時間を超えて維持することができる場合にのみ使用することができる。本発明の多層カソード系にとって特に興味深いのは、米国特許第6,946,213号に記載されている、亜鉛をドープしたランタンストロンチウムフェライト(LSZF)である。しかしながら、この開示の教示は、SOFCカソードとして使用することができる任意のセラミック電極材料に当てはまるはずである。上で述べたように、セリア界面層を使用すると、これら進歩したカソード材料の使用がより実用的になる。] [0050] 二重層カソード構造: 二重層カソード構造により、カソード系の電気化学的および通電性能が最適化される。電気化学的活性層(セリア界面層上に堆積させる)は、セラミック電極材料(例えば、LSM、LSF、LSCF,LSZF等)とセリアをベースとする電解質材料(例えば、SDC、GDC等)との複合混合物であり、細かい多孔質微細構造を有するが、電流収集カソード層は、電流およびガス流に対する抵抗を最小限に抑えるよう粗い微細構造およびより大規模な多孔性を有する単一相セラミック電極である。活性および通電カソード層はそれぞれ、厚さ約15ミクロンである。通電層に使用するセラミック電極材料の組成は、活性(複合材料)カソード層中の電極材料の組成と同じである必要はない。例えば、電気化学的活性用の複合材料層中のセラミック電極材料の組成と、電気伝導性用の通電セラミック電極材料の組成とを最適化することができる。] [0051] 活性(複合材料)カソード層へのセリア電解質相の混入: カソード性能の向上に加えて、複合材料カソードにおいてセリアをベースとする電解質材料でYSZ電解質材料を置換すると、活性(複合材料)カソード層へのより反応性の高い(かつより電気化学的活性の高い)電極材料(例えば、フェライト、輝コバルト鉱およびニッケレート)の取込みに関連して、より高いアニーリング温度を使用することも可能となる。] [0052] ドーパントとしてのパラジウムのカソード層への取込み: クロム蒸発の有害な影響に対してカソード性能を安定化させるための新規の手法は、カソード材料に少量のパラジウムをドープすることを含む。パラジウム含有カソード層は、スクリーン印刷、噴霧、塗装など従来の方法を用いて堆積させ、その後アニールする。この手法を実証するために、活性面積が28cm2であるHybridCell構造の平面型電池を作製し、セリア中間層(上述のような)と、(La0.60Sr0.40)(Fe0.90Zn0.10)O3−x(LSZF)とガドリニウムをドープしたセリア(GDC)との複合材料である活性アノード層と、純粋LSZFの通電カソード層とを備える多層カソードを塗布した。活性カソード層に対しては1重量パーセントのパラジウム添加を行い、電流収集カソード層に対しては2重量パーセントの添加を行った。ニッケル−クロム合金(Inconel−601)製のマニホルドを用いて、このHybridCellを試験した。電池のアノード側に加湿水素燃料ガス(350cc/分のH2)を供給し、カソード側に空気(1500cc/分)を供給し、この電池を750℃で約1年間(8,500)作動させた。図13に示すように、0.71A/cm2の定電流を電池に印加すると、約150時間の初期「調整(conditioning)」期間の後電圧の低下はなかった(これは、アノード微細構造の安定化に起因する)。パラジウム添加なしでは、クロムによるカソードの被毒のために電池性能が劣化すると予想される。] 図13 [0053] 上述の実証に使用したLSZFをドープしたカソード以外のSOFCカソードにおけるクロム被毒に対する安定剤として、パラジウムを使用することができる。これらのカソード組成物として、ランタンストロンチウムマンガナイト、ランタンストロンチウムフェライト(LSF)、ランタンストロンチウム輝コバルト鉱、ランタンストロンチウムコバルトフェライト、バリウムストロンチウムコバルトフェライト、ランタンストロンチウムニッケレート、サマリウムストロンチウム輝コバルト鉱(SSC)、当業者には公知の他のカソード材料、これらの混合物、およびそれら材料のいずれかとLSZFとの混合物を挙げることができる。このパラジウム安定剤は、例えば、スクリーン印刷インクの調製前にパラジウム金属または酸化パラジウムをカソード粉末と混合する、スクリーン印刷インクを作製する前に従来のincipient wetness法によってカソード材料にパラジウムを取り込む、スクリーン印刷インクビヒクルにカソード粉末を混合する前にインクビヒクルにパラジウム塩を溶解させる、または前もって形成したカソードコーティングにパラジウム塩を含有する溶液を染み込ませることによってカソード層に取り込むことができる。] [0054] 本発明のアノード材料系について、以下により詳細に説明する。アノード材料系は、二層に作製する混合イオンおよび電子伝導性セラミック材料の薄い界面層を備える。この混合イオンおよび電子伝導性セラミック材料は、サマリウムドープセリア、ガドリニウムドープセリア、イットリウムドープセリア、スカンジウムドープセリア、カルシウムドープセリア、ならびに希土類および/またはアルカリ土類元素の任意の組合せをドープした酸化セリウムを含めたセリアをベースとする電解質材料から好ましくは選択される。これらの材料は、指定の材料に加えて、ドーパントを、これらのドーパントがアノードの機能を妨げない限り含有することができる。当業者に公知の他の混合伝導性セラミック電解質材料を使用することもできる。セリアをベースとする界面層の場合には、1つまたは複数の一次粒子径範囲を有し、またコバルト(あるいは他のベースメタル酸化物またはベースメタル酸化物の混合物)などの焼結助剤を少量有するドープ酸化セリウム電解質粉末の混合物から、セラミック電解質膜表面上に第1の緻密セリア層を堆積させる。1つまたは複数の別個の一次粒子径範囲を有し、コバルト(あるいは他のベースメタル酸化物またはベースメタル酸化物の混合物)などの焼結助剤を少量有し、一過性の細孔形成材料(例えば、黒鉛、または当業者に公知の他の適切な一過性の材料)を有するドープ酸化セリウム電解質粉末から、第2の多孔質層を堆積させる。これらの2つの層を順次堆積させ、その後、ドープ酸化セリウム界面層が電解質膜の表面で緻密に、外表面で多孔質となるように、また界面層の全厚が約2〜3ミクロンとなるように共焼結させる。これらの成分層は共に、スクリーン印刷、噴霧、塗装、当業者に公知の他の方法などの方法を用いて、インクまたは懸濁液から堆積させる。焼結助剤(コバルトあるいは他のベースメタル酸化物またはベースメタル酸化物の組合せ)は、界面層を作製するために使用するセリアをベースとする粉末の合成時に取り込むことも、インクまたは噴霧懸濁液を作製する前に、酸化物または金属粉末をセリアをベースとする粉末と前もって混合することも、噴霧またはスクリーン印刷法によってコーティングを塗布するために使用するインクビヒクル(または溶媒)に焼結助剤の可溶性前駆体を前もって溶解させることによって、インク/懸濁液合成ステップ中に焼結助剤を取り込むこともできる。セリア界面層に焼結助剤を取り込むための他の手法を使用することもできる。] [0055] 本発明のアノード材料系は、アノード系の電気化学的および通電機能が別々に最適化されるように二重層アノード構造も備える。セリアをベースとする電解質粉末と、適切なベースメタル酸化物粉末(例えば、酸化ニッケル)または前もって焼成したベースメタル酸化物粉末の組合せ(例えば、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化銅および/または酸化鉄)との混合物から、セリア界面層上に電気化学的に活性なアノード層をまず堆積させる。電気化学的活性層を作製するために使用する混合物中のセリアをベースとする電解質材料は、サマリウムドープセリア、ガドリニウムドープセリア、イットリウムドープセリア、スカンジウムドープセリア、カルシウムドープセリア、ストロンチウムドープセリア、ならびに希土類および/またはアルカリ土類元素の任意の組合せをドープした酸化セリウムから選択することができる。これらの材料は、指定の材料に加えてドーパントを、これらのドーパントがアノードの機能を妨げない限り含有することができる。電気化学的に活性なアノード層を作製するために使用する混合物中のベースメタル酸化物粉末は、1つまたは複数の別個の粒子径範囲で構成される。電気化学的に活性なアノード層を作製するために使用する混合物中のセリアをベースとする電解質材料も、1つまたは複数の別個の粒子径範囲で構成される。電気化学的に活性なアノード層を作製するために使用する混合物中のドープ酸化セリウム粉末に対するベースメタル酸化物粉末の重量比は、1:1〜3:1の範囲に及ぶことができる。セラミック電解質粉末(例えば、ドープ酸化ジルコニウムまたはドープ酸化セリウム)と、ベースメタル酸化物(例えば、酸化ニッケル)またはベースメタル酸化物(例えば、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化銅および/または酸化鉄)の組合せとの混合物から、電気化学的に活性なアノード層上に電流収集アノード層を堆積させる。通電アノード層で使用するベースメタル酸化物粉末は、1つまたは複数の別個の粒子径範囲で構成され、ドープ酸化セリウム粉末に対するベースメタル酸化物粉末の重量比は、3:1〜5:1の範囲に及ぶことができる。これら2種類のアノード層を堆積させ、その後、全厚が約30ミクロン、成分アノード層のそれぞれが厚さ約15ミクロンとなるように焼結させる。ベースメタル酸化物(例えば、ニッケル、コバルト、鉄および/または銅)の混合物を使用する本発明の一実施形態においては、酸化物を前もって焼成して、粒径を修正し電解質材料(セリアまたはジルコニア)と混合する前に、固溶体、単一相混合酸化物または多相混合酸化物を形成することができる。これらセリアをベースとするアノード/電解質界面層、第1の(電気化学的に活性な)アノード層および第2の(通電)アノード層を、別々に堆積させ焼結させることも、または順次堆積させその後焼結させることもできる。] [0056] 酸化ニッケルまたはベースメタル酸化物(酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化鉄および/または酸化銅)の混合物に、高表面積ナノスケール電解質材料(ジルコニアまたはセリアをベースとする電解質材料)を少量混合し、次いで焼成した後、焼成した混合物を追加の電解質材料と混合してサーメットアノードを形成することができる。ナノスケール電解質材料の添加により、SOFC動作時、硫黄含有燃料による動作時、起動および停止時、酸化還元サイクル時のベースメタル粒子の焼結が防止される。ドープ酸化セリウムをナノスケール電解質材料として使用する場合、ナノスケールドープ酸化セリウム材料の組成は、サマリウムドープセリア、ガドリニウムドープセリア、イットリウムドープセリア、スカンジウムドープセリア、カルシウムドープセリア、ならびに希土類および/またはアルカリ土類元素の任意の組合せをドープした酸化セリウムから選択することができる。これらの材料は、指定の材料に加えてドーパントを、これらのドーパントがアノードの機能を妨げない限り含有することができる。ドープ酸化ジルコニウムをナノスケール電解質材料として使用する場合、ナノスケールドープジルコニア電解質材料の組成は、イットリウムドープジルコニア、スカンジアドープジルコニア、ならびに1種または複数種をドープしたジルコニア電解質材料でもよい。] [0057] 本発明のカソード材料系は、二層に作製される混合イオンおよび電子伝導性セラミック材料の薄い界面層を備える。この混合イオンおよび電子伝導性セラミック材料は、好ましくは、サマリウムドープセリア、ガドリニウムドープセリア、イットリウムドープセリア、スカンジウムドープセリア、カルシウムドープセリア、ならびに希土類および/またはアルカリ土類元素の任意の組合せをドープした酸化セリウムを含めたセリアをベースとするセラミック電解質材料から選択する。これらの材料は、指定の材料に加えてドーパントを、これらのドーパントがアノードの機能を妨げない限り含有することができる。当業者に公知の他の混合伝導性セラミック電解質材料を使用することもできる。セリアをベースとする界面層の場合には、1つまたは複数の一次粒子径範囲を有し、またコバルト(あるいは他のベースメタル酸化物またはベースメタル酸化物の混合物)などの焼結助剤を少量有するドープ酸化セリウム電解質粉末の混合物から、セラミック電解質膜表面上に第1の緻密セリア層を堆積させる。1つまたは複数の別個の一次粒子径範囲を有し、コバルト(あるいは他のベースメタル酸化物またはベースメタル酸化物の混合物)などの焼結助剤を少量有し、一過性の細孔形成材料(例えば、黒鉛、または当業者に公知の他の適切な一過性の材料)を有するドープ酸化セリウム電解質粉末から、第2の多孔質層を堆積させる。二重層界面層のこれら2つの層を順次堆積させ、その後、ドープ酸化セリウム界面層が電解質膜の表面で緻密に、外表面で多孔質となるように、また界面層の全厚が約2〜3ミクロンとなるように共焼結させる。これらの成分層は共に、スクリーン印刷、噴霧、塗装、当業者に公知の他の方法などの方法を用いて、インクまたは懸濁液から堆積させる。焼結助剤(コバルトあるいは他のベースメタル酸化物またはベースメタル酸化物の組合せ)は、界面層を作製するために使用するセリアをベースとする粉末の合成時に取り込むことも、インクまたは噴霧懸濁液を作製する前に、酸化物または金属粉末をセリアをベースとする粉末と前もって混合することも、噴霧またはスクリーン印刷法によって界面層を塗布するために使用するインクビヒクル(または溶媒)に焼結助剤酸化物の可溶性前駆体を前もって溶解させることによって、インク/懸濁液合成ステップ中に焼結助剤を取り込むこともできる。セリアをベースとする界面層に焼結助剤を取り込むための他の手法を使用することもできる。] [0058] 本発明のカソード材料系は、アノード系の電気化学的および通電機能が別々に最適化されるように二重層カソード構造も備える。セリアをベースとするセラミック電解質材料と、セラミック電極材料との粉末混合物から、セリアをベースとする界面層上に電気化学的に活性なカソード層をまず堆積させる。セラミック電極材料は、ランタンストロンチウム亜鉛フェライト(LSZF)、ランタンストロンチウムマンガナイト、ランタンストロンチウムフェライト(LSF)、ランタンストロンチウム輝コバルト鉱、ランタンストロンチウムコバルトフェライト、バリウムストロンチウムコバルトフェライト、ランタンストロンチウムニッケレート、サマリウムストロンチウム輝コバルト鉱(SSC)、当業者には公知の他のカソード材料、およびこれらの混合物でもよく、これらの材料は、指定の材料に加えてドーパントを、これらのドーパントがカソードの機能を妨げない限り含有することができる。電気化学的に活性なカソード層を作製するために使用する混合物中のセラミック電極材料は、1つまたは複数の別個の粒子径範囲で構成される。電気化学的に活性なカソード層を作製するために使用する混合物中のセリアをベースとする電解質粉末もまた、1つまたは複数の別個の粒子径範囲で構成される。電気化学的に活性なカソード層を作製するために使用する混合物中のドープ酸化セリウム粉末に対するセラミック電極粉末の重量比は、1:2〜2:1の範囲に及ぶことができる。電流収集カソード層は、単一成分セラミック電極材料または少量の電極材料と混合されているセラミック電極材料のいずれかであり、この層は、電気化学的に活性なカソード層上に堆積される。通電カソード層で使用するセラミック電極材料の組成は、電気化学的に活性なカソード層で使用する組成と同じであっても、または任意選択で、より高い電気伝導性、より優れた熱安定性、または電池の構造用部品(例えば、FlexCellおよびHybridCell構造の場合についてはジルコニアをベースとする電解質)とマッチした改善された熱膨張という理由に基づき選択した異なるセラミック電極材料であってもよい。通電カソード層で使用するセラミック電極材料は、1つまたは複数の別個の粒子径範囲で構成される。これら2種類のカソード層を堆積させ、その後、全厚が約30ミクロン、成分アノード層のそれぞれが厚さ約15ミクロンとなるように焼結させる。本発明の一実施形態においては、パラジウムドーパント(または他のベースメタルもしくは貴金属ドーパント、またはベースメタルと貴金属ドーパントとの任意の組合せ)を、カソード層の少なくとも一方に取り込むことができる。このドーパント添加は、コーティングを塗布するために使用するインクビヒクル(または溶媒)にドーパントの前駆体(例えば、アセチルアセトネートまたは他の可溶性化合物)を再溶解させることによって行うことができる。これらセリアをベースとするカソード/電解質界面層、第1の(電気化学的に活性な)カソード層および第2の(通電)カソード層を、別々に堆積させ焼結させることも、または順次堆積させその後共焼結させることもできる。] [0059] 本発明に記載の電極材料系の有用性は、以下の実施例において説明するように作製した固体酸化物燃料電池について得られた試験結果から明らかである。] [0060] 実施例5、6、11、12、14、16および17で説明するアノード形成において後に使用するための、ニッケルコバルト酸化物固溶体粉末を調製した。最初のステップは、バッチ化学量論(Ni0.76Co0.24)Oに対応する、酸化ニッケル(NiO)112.5グラムと、酸化コバルト(Co3O4)37.50グラムとを含有する混合物の調製であった。この混合物を、ジルコニア粉砕媒体を用いてアセトン中でボールミル粉砕し、得られたスラリーを乾燥させて粉末とした。乾燥させた粉末混合物を1000℃で焼成し、その後35メッシュのふるいにかけた。焼成中、酸化ニッケルと酸化コバルトとが反応して、図14におけるX線回折データによって確認される(Ni0.76Co0.24)O固溶体粉末を形成した。結晶構造に対する還元の影響を調べるために、焼成した(Ni0.76Co0.24)O粉末を水素中800℃で還元し、X線回折によって分析した(やはり図14に示す)。これらXRDデータにより、還元した粉末がニッケル金属とコバルト金属との混合物ではなく、ニッケル金属とコバルト金属との合金であることが確認される。] 図14 [0061] 上で調製した焼成NiO−CoO粉末は、NiO−CoO前駆体粉末の「粗い」留分を構成した。同じ初期手順によって細かいNiO−CoO前駆体粉末を作製したが、焼成後、ジルコニア粉砕媒体を用いてアセトン中でNiO−CoO粉末を振動ミル粉砕して、その粒径を小さくした。振動ミル粉砕したNiO−CoOスラリーをその後乾燥させて、「細かい」NiO−CoO前駆体粉末の調製を完了した。] [0062] 実施例6、8、10、11および15で説明するアノード形成において後に使用するための、ナノスケールのサマリウムをドープしたセリア(SDC−15、Ce0.85Sm0.15O1.925)を少量含有するNiO−CoO固溶体粉末(Ni0.76Co0.24O)を調製した。最初のステップは、酸化ニッケル(NiO)112.5グラムと、酸化コバルト(Co3O4)37.50グラムと、表面積が195m2/グラムであるナノスケールSDC−15粉末3グラムとを含有する混合物の調製であった。この混合物を、ジルコニア粉砕媒体を用いてアセトン中でボールミル粉砕し、得られたスラリーを乾燥させて粉末とした。乾燥させたNiO−CoO/SDC粉末を1000℃で焼成し、その後35メッシュのふるいにかけて、粗いNiO−CoO/SDC前駆体粉末の調製を完了した。同じ初期手順によって細かいNiO−CoO/SDC前駆体粉末を作製したが、焼成後、ジルコニア粉砕媒体を用いてアセトン中でNiO−CoO/SDC粉末を振動ミル粉砕して、その粒径を小さくした。振動ミル粉砕したNiO−CoO/SDCスラリーをその後乾燥させて、細かいNiO−CoO/SDC前駆体粉末の調製を完了した。] [0063] 実施例9で説明するアノード形成において後に使用するための、ナノスケールのサマリウムをドープしたセリア(SDC−15)およびナノスケールのジルコニウムをドープしたセリア(ZDC−50、Ce0.5Zr0.5O2)を少量含有するNiO−CoO固溶体粉末(Ni0.76Co0.24O)を調製した。最初のステップは、酸化ニッケル(NiO)112.5グラムと、酸化コバルト(Co3O4)37.50グラムと、表面積が195m2/グラムであるナノスケールSDC−15粉末1.5グラムと、表面積が81m2/グラムであるナノスケールZDC−50粉末1.5グラムとを含有する混合物の調製であった。この混合物を、ジルコニア粉砕媒体を用いてアセトン中でボールミル粉砕し、得られたスラリーを乾燥させて粉末とした。乾燥させた粉末混合物を1000℃で焼成し、その後35メッシュのふるいにかけた。この焼成したNiO−CoO/SDC/ZDC粉末は、NiO−CoO/SDC/ZDC前駆体粉末を構成した。同じ初期手順によって細かいNiO−CoO/SDC/ZDC前駆体粉末を作製したが、焼成後、ジルコニア粉砕媒体を用いてアセトン中でNiO−CoO/SDC粉末を振動ミル粉砕して、その粒径を小さくした。振動ミル粉砕したNiO−CoO/SDC/ZDCスラリーをその後乾燥させて、細かいNiO−CoO/SDC/ZDC前駆体粉末の調製を完了した。] [0064] 厚さが約125ミクロン、活性面積が1.26cm2である直径1.9cmのスカンジア安定化ジルコニアセラミック電解質基板から、固体酸化物燃料電池を作製した。この電池は、アノード面上とカソード面上との両方に単層のコバルトをドープしサマリウムをドープしたセリア(SDC−20、20モルパーセントのサマリウム)界面層をスクリーン印刷することによって作製した。コバルトの添加は、インク中のSDC−20粉末の量に対して約1wt%のコバルト金属に対応する量のインクに2,4−ペンタンジオナトコバルト(III)を添加することによって行った。コバルトをドープしたSDC界面層を、1300℃で1時間アニールした。アノード面上とカソード面上との両方にある界面層の厚さは、約5ミクロンであった。電池のアノード面上のコバルトをドープしたSDC界面層上に、二重層アノードを堆積させた。電気化学的に活性なアノード層は、50wt%のGDC−10および50wt%のNiOを有する、NiOとガドリニウムをドープしたセリア(GDC−10、10モルパーセントのGd)との混合物を含んでいた。通電アノード層は、20wt%のGDC−10および80wt%のNiOを有する、NiOとGDC−10との混合物を含んでいた。これら2つのアノード層を、1300℃で1時間アニールした。アニール後の電気化学的活性を有する通電アノード層の厚さは共に、それぞれ約15ミクロンであった。電池のカソード面上のコバルトをドープしたSDC界面層上に、亜鉛をドープしたランタンストロンチウムフェライト(La0.60Sr0.40)(Zn0.10Fe0.90)O3−x(LSZF)に基づく二重層カソードを堆積させた。電気化学的に活性なカソード層は、LSZFとGDC−10との(50wt%のLSZFおよび50wt%のGDC−10)混合物を含んでいた。通電カソード層は、純粋なLSZFであった。これら2つのカソード層を、1125℃で1時間アニールした。アニール後の電気化学的活性を有する通電アノード層の厚さは共に、それぞれ約15ミクロンであった。] [0065] 750℃における200ppmのH2Sの存在下のこの電池のSOFC性能を、図5および図10に示す。この電池におけるアノードはコバルトを含んでいなかったため、硫黄の存在下で大幅に定常状態(段階II)が劣化した。] 図10 図5 [0066] 厚さが約125ミクロン、活性面積が1.26cm2である直径1.9cmのスカンジア安定化ジルコニアセラミック電解質基板から、固体酸化物燃料電池を作製した。この電池は、実施例4で説明したように、アノード面上とカソード面上との両方にある同じコバルトをドープしサマリウムをドープしたセリア(SDC)界面層を用いて作製した。電池のアノード面上のコバルトをドープしたSDC界面層上に、二重層アノードを堆積させた。電気化学的に活性なアノード層は、ガドリニウムをドープしたセリア(GDC)40wt%と、実施例1で説明したように調製した粗いNiO−CoO粉末60wt%との混合物を含んでいた。通電アノード層は、NiOとGDCと(80wt%のNiOおよび20wt%のGDC)の混合物を含んでいた。これら2つのアノード層を、1300℃で1時間アニールした。アニール後の電気化学的活性を有する通電アノード層の厚さは共に、それぞれ約15ミクロンであった。電池のカソード面上のコバルトをドープしたSDC界面層上に、実施例4で説明したカソードと同じLSZFに基づく二重層カソードを堆積させ、アニールした。] [0067] 200ppmのH2Sの存在下のこの電池のSOFC性能を、図10に示す。この電池におけるアノードはコバルトを含んでいたため、電気化学的に活性なアノード層中コバルトを含まない同一の電池(実施例4)と比較して、硫黄の存在下における定常状態劣化がより小さかった。] 図10 [0068] 活性面積が0.89cm2であるスカンジア安定化ジルコニア(ScSZ−6、6モルパーセントSC2O3)電解質材料から作製した直径1.9cmのディスク状FlexCell基板から、固体酸化物燃料電池を作製した。この電池は、アノード面上とカソード面上との両方にあるコバルトをドープしたSDC界面層を用いて、アノード面上の二重層アノードを用いて、またカソード面上の二重層カソードを用いて作製した。この電池は以下に説明するように作製した。] [0069] 界面層コーティングの堆積: 米国特許出願第11/349,773号(2007年8月9日公開)に教示されている噴霧堆積法に従って、コバルトをドープしたSDC界面層コーティングを調製した。組成(Ce0.80Sm0.20)O1.90のサマリウムをドープしたセリア粉末(SDC−20)を用いて、コバルトをドープしたSDC界面層インクを調製した。このインクは、テルピネオールをベースとするインクビヒクルにSDC−20粉末を分散させることによって調製した。このインク中のSDC−20粉末は、4種類の異なる表面積を有し、30パーセントが6.0m2/グラムの表面積を、40パーセントが9.3m2/グラムの表面積を、20パーセントが27m2/グラムの表面積を、10パーセントが45m2/グラムの表面積を有する。コバルトの添加は、インク中のSDC−20粉末の総量に対して約1パーセントのコバルト金属に対応する量のインクに2,4−ペンタンジオナトコバルト(III)を添加することによって行った。このコバルトをドープしたSDC界面層インクをその後、2つの別個の噴霧溶液とした。第1の溶液は、SDC/Coインクの一部をアセトンで希釈することによって調製し、第2の溶液は、SDC/Coインクの一部をアセトンで希釈し、2.5wt%の黒鉛(固形分基準)を添加することによって調製した。これらの溶液を、FlexCell基板の両面に噴霧した。FlexCell基板の片面に、第1のコバルトをドープしたコーティング(黒鉛なし)を噴霧堆積させ、乾燥させ、その後第1のコーティング上に、SDC/Co/Cコーティング(黒鉛あり)を同様にして噴霧堆積させ、乾燥させた。この手順を繰り返して、FlexCell基板の反対側に2層のセリア界面層を堆積させた。界面層をコーティングしたFlexCell基板をその後、炉内で1300℃まで1時間加熱して、界面層コーティングを焼結させ、FlexCell基板に付着させた。全界面層厚が約2〜3ミクロン、界面層の各成分層が厚さ約1〜2ミクロンとなるように、噴霧堆積パラメータを制御した。] [0070] 電気化学的に活性なアノードインクの調製: 実施例2で説明したように調製したNiO−CoO/SDCアノード前駆体粉末を使用して、以下のように電気化学的に活性なアノードインクを調製した。組成(Ce0.90Sm0.10)O1.95(SDC−10)の、異なる表面積を有するサマリウムをドープしたセリア粉末を調製した。粗いNiO−CoO/SDC前駆体粉末30グラムと、細かいNiO−CoO/SDC前駆体30グラムと、表面積6.0m2/グラムのSDC−10粉末35グラムと、表面積45m2/グラムのSDC−10粉末5グラムとを含有する混合物を調製した。この粉末混合物をその後、ジルコニア粉砕媒体を用いてアセトン中でボールミル粉砕し、乾燥させた。この粉末の一部を、テルピネオールをベースとするインクビヒクルに分散させて、電気化学的に活性なアノードインクを調製した。] [0071] 通電アノードインクの調製: 実施例1で説明したように調製したNiO−CoOアノード前駆体粉末を使用して、以下のように通電アノードインクを調製した。その後、粗いNiO−CoO前駆体粉末50グラムと、細かいNiO−CoO前駆体50グラムと、スカンジア安定化ジルコニア粉末(ScSZ、10モルパーセントのSc2O3、粒径3〜5ミクロン)25グラムとを含有する混合物を調製した。この粉末混合物をその後、ジルコニア粉砕媒体を用いてアセトン中でボールミル粉砕し、得られたスラリーを乾燥させて粉末とした。この粉末の一部を、テルピネオールをベースとするインクビヒクルに分散させて、NiO−CoO/ScSZ通電アノードインクを調製した。] [0072] アノードコーティングの堆積: 上で調製した界面層をコーティングしたFlexCellのアノード面に、2層アノードを塗布した。第1の電気的に活性な(NiO−CoO/SDC)アノード層を、焼結した界面層上にスポンジはけを用いて塗ることによって塗布し、その後乾燥させた。第2の通電(NiO−CoO/ScSZ)アノード層を、乾燥させた電気化学的に活性なアノードコーティング上にスポンジはけを用いて塗ることによって塗布し、その後乾燥させた。アノードをコーティングしたFlexCell基板をその後、炉内で1300℃まで加熱して、アノード層を焼結させ、セリア界面層に付着させた。全アノード厚が約30ミクロン、二重層アノードの各成分層が厚さ約15ミクロンとなるように、堆積させるアノードコーティングの量を制御した。] [0073] 電気化学的に活性なカソードインクの調製: 組成(Ce0.90Gd0.10)O1.95(GDC−10)の、異なる表面積を有するガドリニウムをドープしたセリア粉末を調製した。組成(La0.60Sr0.40)(Zn0.10Fe0.90)O3−x(LSZF)の、異なる表面積を有する亜鉛をドープしたランタンストロンチウムフェライトの粉末を調製した。表面積1.6m2/グラムのLSZF粉末125グラムと、表面積4.2m2/グラムのLSZF粉末125グラムと、表面積2.9m2/グラムのGDC−10粉末50グラムと、表面積8.3m2/グラムのGDC−10粉末5グラムとを含有する混合物を調製した。この粉末混合物をその後、ジルコニア粉砕媒体を用いてアセトン中でボールミル粉砕し、得られたスラリーを乾燥させて粉末とした。この粉末の一部を、0.35wt%(インク中の全固形物に対して)のパラジウムを製造するために十分な量の2/4ペンタンジオナトパラジウムと共にインクビヒクルに分散させて、電気化学的に活性なカソードインクの調製を完了した。] [0074] 通電カソードインクの調製: 組成(La0.60Sr0.40)(Zn0.10Fe0.90)O3−x(LSZF)の、2種の異なる表面積を有する亜鉛をドープしたランタンストロンチウムフェライトの粉末を調製した。表面積2.2m2/グラムのLSZF粉末375グラムと、表面積4.8m2/グラムのLSZF粉末125グラムとを含有する混合物を調製した。この粉末混合物をその後、ジルコニア粉砕媒体を用いてアセトン中でボールミル粉砕し、得られたスラリーを乾燥させて粉末とした。この粉末の一部を、0.70wt%(インク中の全固形物に対して)のパラジウムを製造するために十分な量の2/4ペンタンジオナトパラジウムと共にインクビヒクルに分散させて、通電カソードインクの調製を完了した。] [0075] カソードコーティングの堆積: 上で調製した界面層をコーティングしたFlexCellのカソード面に、2層カソードを塗布した(アノード堆積および焼結の後)。第1の電気的に活性な(LSZF/GDC/Pd)カソード層を、焼結した界面層上にスポンジはけを用いて塗ることによって塗布し、その後乾燥させた。第2の通電(LSZF/Pd)カソード層を、乾燥させた電気化学的に活性なカソードコーティング上にスポンジはけを用いて塗ることによって塗布し、その後乾燥させた。カソードをコーティングしたFlexCell基板をその後、炉内で1125℃まで加熱して、カソード層を焼結させ、セリア界面層に付着させた。全カソード厚が約30ミクロン、二重層カソードの各成分層が厚さ約15ミクロンとなるように、堆積させるカソードコーティングの量を制御した。] [0076] 水素および空気を燃料および酸化剤とする(燃料中にH2Sなし)この電池のSOFC性能を、ボタン電池試験法を用いて測定した。この電池についての800℃におけるSOFC性能(電流密度対電力密度曲線)に対する200ppmのH2Sの影響を図15に示すが、図15はさらに、H2Sが燃料中に存在している場合にSOFC性能の劣化が比較的少ないことを示唆している。これらの、また先に提示したデータ(図6、9および11に示す)に基づき、本発明のアノードおよびカソード材料を含むこの電池は、高いSOFC性能と硫黄による劣化に対する高い耐性との注目すべき組合せを示すと結論づけることができる。] 図15 図6 [0077] 活性面積が0.89cm2であるScSZ−6電解質材料から作製した直径1.9cmのディスク状FlexCell基板から、固体酸化物燃料電池を作製した。界面層なしのアノード面に従来のNi/YSZアノードを塗布し、カソード面にコバルトをドープしたセリア界面層および二重層カソードを塗布した。この電池は、以下に説明するように作製した。] [0078] カソード/電解質界面層の堆積: 実施例6で説明した材料および方法と同じ材料および方法を用いて、コバルトをドープしたSDC界面層インクを調製し、FlexCell基板のカソード面に二重層界面層を塗布した。] [0079] NiO/YSZアノードインクの調製: ジルコニア粉砕媒体を用いたアセトン中における酸化ニッケル粉末(NiO、Novamet社製の標準型)の振動ミル粉砕によって、細かいNiOアノード前駆体粉末を作製し、その後乾燥させた。粉砕していない酸化ニッケル粉末(NiO、Novamet社製の標準型)50グラムと、細かいNiO前駆体50グラムと、イットリア安定化ジルコニア粉末(YSZ、8モルパーセントY2O3、粒径3〜5ミクロン)25グラムとを含有する混合物を調製した。この混合物を、ジルコニア粉砕媒体を用いてアセトン中でボールミル粉砕し、得られたスラリーを乾燥させて粉末とした。この粉末の一部を、テルピネオールをベースとするインクビヒクルに分散させて、NiO/YSZアノードインクを調製した。] [0080] Ni/YSZアノードコーティングの堆積: 上で調製したFlexCellの界面層コーティングなしのアノード面に、NiO/YSZアノードを塗布した。このコーティングは、基板上にスポンジはけを用いて直接塗ることによって塗布し、その後乾燥させた。このアノードをコーティングしたFlexCell基板をその後、炉内で1300℃まで1時間加熱して、FlexCell基板のカソード面に先に塗布した、コバルトをドープしたセリア界面層を焼結および付着させ、またアノード層を焼結および付着させた。全アノード厚が約20ミクロンとなるように、塗布するアノードコーティングの量を制御した。] [0081] 二重層カソードコーティングの堆積: 実施例6で説明した材料、方法および熱処理と同じ材料、方法および熱処理を用いて、電気化学的に活性な(LSZF/GDC/Pd)カソードインクおよび通電(LSZF/Pd)カソードインクを調製し、FlexCellのカソード面上のセリア界面層上にカソードコーティングを堆積させた。] [0082] 水素および空気を燃料および酸化剤とする(燃料中にH2Sなし)この電池のSOFC性能を、ボタン電池試験法を用いて測定し、図6に示した。定電流(0.5A/cm2)SOFC試験時の、電池電圧に対する20ppmのH2Sの悪影響を図11に示す。これらのデータに基づき、セリア界面層なして従来のNiO/YSZアノードを有するこの電池は、相対的に低いSOFC性能を示し、燃料中に硫黄が存在する場合急速に劣化すると結論づけることができる。] 図11 図6 [0083] 活性面積が0.89cm2であるScSZ−6電解質材料から作製した直径1.9cmのディスク状FlexCell基板から、固体酸化物燃料電池を作製した。この電池は、二重層アノードの通電層中にコバルトが存在しなかったこと以外は、実施例6と同様であった。この電池は、以下に説明するように作製した。] [0084] 界面層コーティングの堆積: 実施例6で説明した材料、方法および熱処理と同じ材料、方法および熱処理を用いて、コバルトをドープしたSDC界面層インクを調製し、FlexCell基板のアノード面とカソード面との両方に、界面層を塗布した。] [0085] 通電アノードインクの調製: ジルコニア粉砕媒体を用いたアセトン中における酸化ニッケル(NiO、Novamet社製の標準型)の振動ミル粉砕によって、細かいNiOアノード前駆体粉末を作製し、その後乾燥させた。粉砕していない酸化ニッケル粉末(NiO、Novamet社製の標準型)50グラムと、細かいNiO前駆体50グラムと、スカンジア安定化ジルコニア粉末(ScSZ、10モルパーセントSc2O3、粒径3〜5ミクロン)25グラムとを含有する混合物を調製した。この混合物を、ジルコニア粉砕媒体を用いてアセトン中でボールミル粉砕し、得られたスラリーを乾燥させて粉末とした。この粉末の一部を、テルピネオールをベースとするインクビヒクルに分散させて、NiO/ScSZ通電アノードインクを調製した。] [0086] アノードコーティングの堆積: 実施例6で説明したように調製した電気化学的に活性な(NiO−CoO/SDC)アノードインクと、上で調製した通電(NiO/ScSZ)アノードインクとを用いて、FlexCell基板のアノード面上のコバルトをドープしたセリア界面層のアノード面に、二層アノードを塗布した。これらのアノードコーティングは、実施例6で説明したように堆積させ熱処理した。] [0087] 二重層カソードコーティングの堆積: 実施例6で説明した材料、方法および熱処理と同じ材料、方法および熱処理を用いて、電気化学的に活性な(LSZF/GDC/Pd)カソードインクおよび通電(LSZF/Pd)カソードインクを調製し、FlexCell基板のカソード面上のコバルトをドープしたセリア界面層上にカソードコーティングを堆積させた。] [0088] 水素および空気を燃料および酸化剤とする(燃料中にH2Sなし)この電池のSOFC性能を、ボタン電池試験法を用いて測定した。この電池についての800℃におけるSOFC性能(電流密度対電力密度曲線)に対する200ppmのH2Sの影響を図16に示す。これらのデータにより、燃料中にH2Sが存在しない場合に非常に高い性能が得られることが、また燃料中にH2Sが存在する場合にはSOFC性能の比較的小さい劣化が観察されることが確認される。定電流(0.5A/cm2)SOFC試験時の電池電圧に対する様々な濃度のH2S(20〜200ppm)の影響も、図16に示す。これらのデータに基づき、本発明のアノードおよびカソード材料を含むこの電池は、高いSOFC性能を示し、硫黄による劣化に耐性を示すと結論づけることができる。しかしながら、この電池の耐硫黄性は、実施例6の電池ほど優れていなかった。というのは、通電アノード層中にコバルトが存在していなかったからである。] 図16 [0089] 活性面積が0.89cm2であるScSZ−6電解質材料から作製した直径1.9cmのディスク状FlexCell基板から、固体酸化物燃料電池を作製した。この電池は、ジルコニアをドープしたセリア(ZDC)が二重層アノードの電気化学的に活性なアノード層中のSDCと部分的に置き換わったこと以外は、実施例8と同様であった。この電池は、以下に説明するように作製した。] [0090] 界面層コーティングの堆積: 実施例6で説明した材料、方法および熱処理と同じ材料、方法および熱処理を用いて、コバルトをドープしたSDC界面層インクを調製し、FlexCell基板のアノード面とカソード面との両方に、界面層を塗布した。] [0091] 電気化学的に活性なアノードインクの調製: 実施例3で説明したように調製したNiO−CoO/SDC/ZDCアノード前駆体粉末を使用して、以下のように電気化学的に活性なアノードインクを調製した。異なる表面積を有するSDC−10およびZDC−50粉末を調製した。粗いNiO−CoO/ZDC/SDC前駆体粉末30グラムと、細かいNiO−CoO/ZDC/SDC前駆体粉末30グラムと、表面積6.0m2/グラムのSDC−10粉末17.5グラムと、表面積7.2m2/グラムのZDC−50粉末17.5グラムと、表面積45m2/グラムのSDC−10粉末5グラムとを含有する混合物を調製した。この混合物をその後、ジルコニア粉砕媒体を用いてアセトン中でボールミル粉砕し、得られたスラリーを乾燥させて粉末とした。この粉末の一部を、テルピネオールをベースとするインクビヒクルに分散させて、NiO−CoO/SDC/ZDC電気化学的に活性なアノードインクを調製した。] [0092] アノードコーティングの堆積: 上で調製した電気化学的に活性な(NiO−CoO/ZDC/SDC)アノードインクと、実施例8で説明したように調製した通電(NiO/ScSZ)アノードインクとを用いて、界面層をコーティングしたFlexCellのアノード面に、二層アノードを塗布した。これらのコーティングは、実施例6で説明したように堆積させ熱処理した。] [0093] 二重層カソードコーティングの堆積: 実施例6で説明した材料、方法および熱処理と同じ材料、方法および熱処理を用いて、電気化学的に活性な(LSZF/GDC/Pd)カソードインクおよび通電(LSZF/Pd)カソードインクを調製し、FlexCell基板のカソード面上のコバルトをドープしたセリア界面層上にカソードコーティングを堆積させた。] [0094] 水素および空気を燃料および酸化剤とする(燃料中にH2Sなし)この電池のSOFC性能を、ボタン電池試験法を用いて測定した。この電池についての800℃におけるSOFC性能(電流密度対電力密度曲線)に対する200ppmのH2Sの影響を図16に示す。これらのデータにより、燃料中にH2Sが存在しない場合に非常に高い性能が得られることが、また燃料中にH2Sが存在する場合にはSOFC性能の比較的小さい劣化が観察されることが確認される。定電流(0.5A/cm2)SOFC試験時の電池電圧に対する様々な濃度のH2S(20〜200ppm)の影響を、図17に示す。これらのデータに基づき、本発明のアノードおよびカソード材料を含むこの電池は、高いSOFC性能を示し、硫黄による劣化に耐性を示すと結論づけることができる。しかしながら、この電池の耐硫黄性は、実施例6の電池ほど優れていなかった(図11および図15に示す)。というのは、通電アノード層中にコバルトが存在していなかったからである。一方、この電池の耐硫黄性は実施例8の電池の耐硫黄性と同じであった。これにより、電気化学的に活性なアノード中のSDCの少なくとも一部をZDCに置き換えることに対する不利益がないことが示唆される。] 図11 図15 図16 図17 [0095] 活性面積が0.89cm2であるScSZ−6電解質材料から作製した直径1.9cmのディスク状FlexCell基板から、固体酸化物燃料電池を作製した。この電池は、FlexCell基板のアノード面に直接二重層アノードを塗布した(アノード/電解質界面層なし)こと以外は、実施例8と同様であった。この電池は、以下に説明するように作製した。] [0096] カソード/電解質/界面層の堆積: 実施例6で説明した材料、方法および熱処理と同じ材料、方法および熱処理を用いて、コバルトをドープしたSDC界面層インクを調製し、FlexCell基板のカソード面に、二重層界面層を塗布した。] [0097] アノードコーティングの堆積: 実施例6で説明したように調製した電気化学的に活性な(NiO−CoO/SDC)アノードインクと、実施例8で説明したように調製した通電(NiO/ScSZ)アノードインクとを用いて、界面層をコーティングしていないFlexCell基板のアノード面に、二重層アノードを塗布した。これらのコーティングは、実施例6で説明したように堆積させ熱処理した。] [0098] 二重層カソードコーティングの堆積: 実施例6で説明した材料、方法および熱処理と同じ材料、方法および熱処理を用いて、電気化学的に活性な(LSZF/GDC/Pd)カソードインクおよび通電(LSZF/Pd)カソードインクを調製し、FlexCell基板のカソード面上のコバルトをドープしたセリア界面層上にカソードコーティングを堆積させた。] [0099] 水素および空気を燃料および酸化剤とする(燃料中にH2Sありの場合およびなしの場合)この電池のSOFC性能を、ボタン電池試験法を用いて測定した。図16に提示するデータにより、アノード側のコバルトをドープしたSDC界面層を用いて作製したこと以外同一である実施例8の電池と比較した場合、この電池の性能は高くないことが示唆される。この比較により、SOFC性能に対するコバルトをドープしたSDC界面層の有益な影響が確認される。定電流(0.5A/cm2)SOFC試験時の電池電圧に対する様々な濃度のH2S(20〜200ppm)の影響を、図17に示す。この電池は、特に実施例8の電池について得られたデータと比較した場合(図11に示す)、硫黄による劣化に対して低い耐性を示した。この比較により、高いSOFC性能を実現するためだけではなく、硫黄による劣化に対して高い耐性を実現するためにも、コバルトをドープしたSDC界面層は重要であることが示唆される。] 図11 図16 図17 [0100] 活性面積が28cm2であるScSZ−6電解質材料から作製した10cm×10cmFlexCell基板から、固体酸化物燃料電池を作製した。この電池は、コバルトをドープしたSDC界面層、電気化学的に活性な(NiO−CoO/SDC)アノード層および通電(NiO/ScSZ)アノード層、ならびに実施例6で説明したカソード層と同一である電気化学的に活性な(LSZF/GDC/Pd)カソード層および通電(LSZF/Pd)カソード層を用いて作製した。この大面積電池のSOFC性能を、750℃、800℃および850℃の温度で水素および空気を燃料および酸化剤として(燃料中に200ppmのH2Sありの場合およびなしの場合)試験した。図12に示すこれらのデータにより、開示の多層アノード系が高いSOFC性能と硫黄による劣化に対する高い耐性とのこれまでにない組合せことが確認される。] 図12 [0101] 活性面積が28cm2であるScSZ−6電解質材料から作製した10cm×10cmのFlexCell基板から、固体酸化物燃料電池を作製した。この電池は、以下のように作製した。] [0102] 界面層コーティングの堆積: 実施例6で説明した材料、方法および熱処理と同じ材料、方法および熱処理を用いて、コバルトをドープしたSDC界面層インクを調製し、FlexCell基板のアノード面とカソード面との両方に、界面層を塗布した。] [0103] 電気化学的に活性なアノードインクの調製: 細かいNiO−CoOアノード前駆体粉末を、実施例1で説明したように作製した。組成(Ce0.90Gd0.10)O1.95(GDC−10)の、異なる表面積を有するガドリニウムをドープしたセリア粉末を調製した。粉砕していない酸化ニッケル粉末(NiO、AlfaAesar)30グラムと、細かいNiO−CoO前駆体30グラムと、表面積6.6m2/グラムのGDC−10粉末35グラムと、表面積44m2/グラムのSDC−10粉末5グラムとを含有する混合物を調製した。この混合物を、ジルコニア粉砕媒体を用いてアセトン中でボールミル粉砕し、得られたスラリーを乾燥させて粉末とした。この粉末の一部を、テルピネオールをベースとするインクビヒクルに分散させて、電気化学的に活性なNiO−CoO/GDCアノードインクを調製した。] [0104] アノードコーティングの堆積: 上で調製した電気化学的に活性な(NiO−CoO/GDC)アノードインクと、実施例8で説明したような通電(NiO/ScSZ)アノードインクとを用いて、界面層をコーティングしたFlexCell基板のアノード面に、二層アノードを塗布した。これらのコーティングは、実施例6で説明したように堆積させ熱処理した。] [0105] 電気化学的に活性なカソードインクの調製: インクの調製時にパラジウムを添加しなかったこと以外は実施例6で説明したのと同じようにして、電気化学的に活性なLSZF/GDCカソードインクを調製した。] [0106] 電気化学的に活性なカソードインクの調製: インクの調製時にパラジウムを添加しなかったこと以外は実施例6で説明したのと同じようにして、通電LSZFカソードインクを調製した。] [0107] 二重層カソードコーティングの堆積: 実施例6で説明した方法および熱処理と同じ方法および熱処理を用いて、上で調製した電気化学的に活性な(LSZF/GDC)カソードインクおよび通電(LSZF)カソードインクを、FlexCellのカソード面上のコバルトをドープしたSDC界面層上に堆積させた。] [0108] この大面積電池のSOFC性能を、750℃、800℃および850℃の温度で水素および空気を燃料および酸化剤として試験した。図18に示すように、この電池は従来のアノード支持電池と同等の、燃料および空気の流量が高い条件下で非常に高い電力密度を示した。図19に示すように、燃料使用量が90パーセントを超えるところで、より低い燃料および空気流量で電池を作動させた場合に性能の多くが維持された。750℃および800℃の温度で、約0.50W/cmの電池出力密度により約50パーセントの電気効率(電池への入力燃料低位発熱量に対する電池から出力される電力の比率として算出される)が得られた。これらのデータにより、本発明の新規電極材料系は、燃料使用量が多い条件下で作動させた場合であっても高性能を実現することができることが確認される。] 図18 図19 [0109] 活性面積が28cm2である10cm×10cmのHybridCell基板から、固体酸化物燃料電池を作製した。この電池は、以下のように作製した。] [0110] 界面層コーティングの堆積: 実施例6で説明した材料、方法および熱処理と同じ材料、方法および熱処理を用いて、コバルトをドープしたSDC界面層インクを調製し、HybridCell基板のカソード面に、二重層界面層を塗布した。] [0111] 二重層カソードコーティングの堆積: 実施例6で説明した材料、方法および熱処理と同じ材料、方法および熱処理を用いて、電気化学的に活性な(LSZF/GDC/Pd)カソードインクおよび通電(LSZF/Pd)カソードインクを調製し、HybridCellのカソード面上のコバルトをドープしたセリア界面層上にカソードコーティングを堆積させた。] [0112] 0.71A/cm2の定電流を印加しながら、また1年を超える間(8800時間)電圧をモニターしながら、この大面積電池のSOFC性能を、750℃の温度で水素および空気を燃料および酸化剤として試験した。図13に示すように、最初の150時間後には、この電池には基本的に劣化が観測されなかった。これは、Inconel−601、高クロム合金製のマニホルドを用いて電池を試験したこと、またマニホルドからのクロムの蒸発により劣化が起こると予想されることを考慮すると、注目すべき結果である。このクロム耐性は、コバルトをドープしたセリア界面層と、電気化学的に活性なカソード層および通電層におけるセラミック電極材料成分としてのLSZFの使用と、カソード層内のドーパントとしてのパラジウムの使用との組合せによるものと推定される。] 図13 [0113] 活性面積が28cm2であるScSZ−6電解質材料から作製した10cm×10cmのFlexCell基板から、固体酸化物燃料電池を作製した。この電池は、以下のように作製した。] [0114] 界面層コーティングの堆積: 実施例6で説明した材料、方法および熱処理と同じ材料、方法および熱処理を用いて、コバルトをドープしたSDC界面層インクを調製し、FlexCell基板のアノード面とカソード面との両方に、界面層を塗布した。] [0115] アノードコーティングの堆積: 実施例12で説明したように調製した電気化学的に活性な(NiO−CoO/GDC)アノードインクと、実施例8で説明したような通電(NiO/ScSZ)アノードインクとを用いて、界面層をコーティングしたFlexCellのアノード面に、二層アノードを塗布した。これらのコーティングは、実施例6で説明したように堆積させ熱処理した。] [0116] 二重層カソードコーティングの堆積: 実施例6で説明した材料、方法および熱処理と同じ材料、方法および熱処理を用いて、電気化学的に活性な(LSZF/GDC/Pd)カソードインクおよび通電(LSZF/Pd)カソードインクを調製し、FlexCell基板のカソード面上のコバルトをドープしたセリア界面層上に堆積させた。] [0117] この大面積電池に、長期熱サイクル試験を行った。電池を還元し、その性能特性を決定した後、定常定電流条件(0.7A/cm2)下800℃で電池を作動させた。各熱サイクルは以下、電気負荷を除去し電池を開路状態に戻すこと、水素燃料経路を窒素でパージすること、アノード室中を流れる窒素およびカソード室中を流れる空気を用いて、3℃/分の速度で50℃を下回るまで冷却すること、アノード室中を流れる窒素およびカソード室中を流れる空気を用いて、800℃まで加熱すること、水素燃料流を再導入し、電池を開路条件に戻し、電気負荷を施し、そして電池をその元の作動条件(0.7A/cm2)に戻すことを含んでいた。この電池には、570時間を超える10回の熱サイクルを行った。図20に示すように、電池電圧は、試験中合計28.5パーセント低下した。] 図20 [0118] 活性面積が28cm2であるScSZ−6電解質材料から作製した10cm×10cmのFlexCell基板から、固体酸化物燃料電池を作製した。この電池は、以下のように作製した。] [0119] 界面層コーティングの堆積: 実施例6で説明した材料、方法および熱処理と同じ材料、方法および熱処理を用いて、コバルトをドープしたSDC界面層インクを調製し、FlexCell基板のアノード面とカソード面との両方に、界面層を塗布した。] [0120] アノードコーティングの堆積: 実施例6で説明したように調製した電気化学的に活性な(NiO−CoO/SDC)アノードインクと、実施例8で説明したような通電(NiO/ScSZ)アノードインクとを用いて、界面層をコーティングしたFlexCellのアノード面に、二層アノードを塗布した。これらのコーティングは、実施例6で説明したように堆積させ熱処理した。] [0121] 二重層カソードコーティングの堆積: 実施例6で説明した材料、方法および熱処理と同じ材料、方法および熱処理を用いて、電気化学的に活性な(LSZF/GDC/Pd)カソードインクおよび通電(LSZF/Pd)カソードインクを調製し、FlexCell基板のカソード面上のコバルトをドープしたセリア界面層上に堆積させた。] [0122] この大面積電池に、実施例14で説明した手順に従って長期熱サイクル試験を行った。この電池には、1200時間を超える23回の熱サイクルを行った。図21に示すように、電池電圧は、試験中約1.7パーセント低下した。実施例14の電池と比較してこの電池について観測されるはるかに低い熱サイクル劣化率は、多層アノード系の電気化学的に活性なアノード層内へのナノスケールSDCの取込みによるものであった。] 図21 [0123] 活性面積が0.89cm2であるGdをドープしたセリア(GDC−10、10モルパーセントGd)から作製した直径1.9cmのFlexCell基板から、固体酸化物燃料電池を作製した。実施例6で説明したように調製した電気化学的に活性な(NiO−CoO/SDC)アノードインクと、実施例8で説明したような通電(NiO/ScSZ)アノードインクとを用いて、界面層をコーティングしていないGDC FlexCell基板のアノード面に、二層アノードを塗布した。これらのアノードコーティングは、実施例6で説明したように堆積させ熱処理した。組成(Sm0.5Sr0.5)CoO3(SSC)カソード粉末を調製し、テルピネオールをベースとするインクビヒクルへのSSC粉末の分散によってSSCカソードインクを調製した。GDC FlexCell基板の界面層をコーティングしていないカソード面上に、単層SSCカソードコーティングを堆積させた。水素および空気を燃料および酸化剤としたこの電池の性能は、600℃および650℃の温度でボタン電池試験法を用いて測定した(図22参照)。] 図22 [0124] 活性面積が0.89cm2であるGdをドープしたセリア(GDC−10、10モルパーセントGd)から作製した直径1.9cmのFlexCell基板から、固体酸化物燃料電池を作製した。実施例6で説明した材料、方法および熱処理と同じ材料、方法および熱処理を用いて、コバルトをドープしたSDC界面層インクを調製し、GDC FlexCell基板のアノード面とカソード面との両方に界面層を塗布した。実施例6で説明したように調製した電気化学的に活性な(NiO−CoO/SDC)アノードインクと、実施例8で説明したような通電(NiO/ScSZ)アノードインクとを用いて、界面層をコーティングしたGDC FlexCell基板のアノード面に、二層アノードを塗布した。実施例16で説明したように、FlexCell基板のカソード面に単層SSCカソードコーティングを堆積させた。水素および空気を燃料および酸化剤としたこの電池の性能は、600℃および650℃の温度でボタン電池試験法を用いて測定した(図22参照)。これらのデータが示すように、二層のコバルトをドープしたSDC界面層のくみ込みにより、これらの低作動温度においてSOFC性能が著しく改善された。この改善は、二重層コバルトをドープしたSDC界面層(すなわち、コバルトをドープしたセリア二重層界面層の第2の層の多孔質性およびきめの細かさ(texturednature))によってもたらされる、電解質/カソードおよび電解質/アノード界面における三相境界領域の増大によるものと推定される。] 図22 [0125] 本発明のSOFCアノード材料系は、電解質支持構成の平面型固体酸化物燃料電池、ならびにアノード支持型およびカソード支持型を含めた他の平面型固体酸化物燃料電池に適用可能である。これらのアノード材料系は、カソード支持管状設計、電解質支持管状設計および分割直列(segmentaed-in-series)設計などのハイブリッド設計を含めた非平面型固体酸化物燃料電池設計にも適用可能である。本発明のSOFCカソード材料系は、電解質支持およびアノード支持構成の平面型固体酸化物燃料電池に適用可能であるが、カソード支持設計を含めた他の平面型固体酸化物燃料電池向けに適応させることもできる。これらのカソード材料系は、アノード支持管状設計、電解質支持管状設計および分割直列設計などのハイブリッド設計など、非平面型固体酸化物燃料電池設計にも適用可能である。本発明の電極材料系も、水素および/または酸素を生成するための固体酸化物電解系、発電と反応物(水素および酸素)生成との間を循環する可逆固体酸化物燃料電池系、空気から酸素を分離するためのセラミック酸素生成系、ならびに炭化水素原料から水素および/または他の化学物質を生成するためのセラミック膜反応器を含めた、他のタイプの電気化学系に適応させることができる。] [0126] 高い電気化学的性能および例外的な長期耐久性を有する平面型固体酸化物燃料電池の作製を可能にするいくつかの材料およびプロセスが、本明細書中に開示されている。これらの材料およびプロセスの多くを、FlexCellおよびHybridCell構造に基づく平面型固体酸化物燃料電池に関して説明したが、同材料および成分は、他のタイプの平面型固体酸化物燃料電池および平面スタック型の電気化学電池に基づく他の電気化学系において実用性がある。さらに、開示の材料溶液の多くは、管状および平面管状電池設計のカソード支持、アノード支持および電解質支持構成など、非平面電気化学構成に適用することができる。] 実施例 [0127] 本発明の好ましい実施形態は、当業者に公知の多くの技術および方法によって実現することができる。本発明が関連する分野における当業者には、本発明の意図および範囲から逸脱することなく、上記によって多くの様々に異なる実施形態が提案される。本明細書中の記載および開示は、説明のためのものにすぎず、以下の特許請求の範囲によって記載される本発明の範囲を限定すると解釈すべきではない。]
权利要求:
請求項1 固体酸化物燃料電池などの電気化学的デバイス用耐硫黄性アノード材料であって、金属成分がニッケル、ニッケルおよび銅を含有する合金、ならびにニッケル組成物と銅組成物との混合物のうちの少なくとも1種を含み、セラミック成分が混合伝導性電解質材料を含むサーメットを含む耐硫黄性アノード材料。 請求項2 前記混合伝導性電解質材料が、ドープセリア電解質材料、ドープジルコニア電解質材料、ランタン・ストロンチウム・マグネシウム・ガリウム酸化物(LSGM)、別の酸素イオン伝導性セラミック電解質材料、およびこれらの混合物から選択される、請求項1に記載の耐硫黄性アノード材料。 請求項3 前記ドープセリア電解質材料が、ガドリニウムドープセリア、サマリウムドープセリア、ジルコニウムドープセリア、スカンジウムドープセリア、イットリウムドープセリア、カルシウムドープセリア、ストロンチウムドープセリア、希土類およびアルカリ土類元素から選択される少なくとも1種の元素をドープした酸化セリウム、およびこれらの組合せから選択され、前記ドープジルコニア電解質材料が、イットリウムドープジルコニア、スカンジウムドープジルコニア、カルシウムドープジルコニア、希土類およびアルカリ土類元素から選択される少なくとも1種の元素をドープした酸化ジルコニウム、およびこれらの組合せから選択される、請求項2に記載の耐硫黄性アノード材料。 請求項4 前記サーメットが、ガドリニウムドープセリアおよびサマリウムドープセリアから選択されるセラミック電解質材料を20〜80重量パーセント含む、請求項1に記載の耐硫黄性アノード材料。 請求項5 固体酸化物燃料電池用アノードであって、金属成分がニッケル、ニッケルおよび銅を含有する合金、ならびにニッケル組成物と銅組成物との混合物のうちの少なくとも1種を含み、セラミック成分が混合伝導性電解質材料を含むサーメットを含み、セラミック材料のナノスケール微粒子が前記金属成分の粒子内に存在するアノード。 請求項6 前記ナノスケールセラミック材料が、ドープジルコニア電解質材料、ドープセリア電解質材料、およびこれらの組合せから選択される、請求項5に記載のサーメットアノード。 請求項7 酸化ニッケル、酸化ニッケルと少なくとも1種の他の金属酸化物との固溶体、酸化ニッケルと少なくとも1種の他の金属酸化物とを含む化合物、およびこれらの混合物から粉末状アノード前駆体を選択し、前記粉末状アノード前駆体をナノスケールセラミック材料と組み合わせて粉末状アノード前駆体/ナノスケールセラミック材料の組合せを生成し、前記粉末アノード前駆体/ナノスケールセラミック材料の組合せを焼成し、前記焼成した粉末状アノード前駆体/ナノスケールセラミック材料の組合せをセラミック電解質粉末と混合し、基板上に前記混合物を堆積させ、前記堆積させた材料を焼結し、水素または還元性ガス混合物の存在下、前記焼結した材料を還元する方法によって作製される固体酸化物燃料電池用アノードであって、前記少なくとも1種の他の金属酸化物が、酸化コバルト、酸化鉄、酸化銅およびこれらの混合物から選択されるアノード。 請求項8 ドープジルコニア電解質材料およびドープセリア電解質材料から前記ナノスケールセラミック材料を選択するステップをさらに含む、請求項7に記載のアノード。 請求項9 ドープジルコニア電解質材料、ドープセリア電解質材料、およびこれらの組合せから前記セラミック電解質粉末を選択するステップをさらに含む、請求項7に記載のアノード。 請求項10 固体酸化物燃料電池において電解質膜からアノードを分離するための二重層アノード/電解質界面層であって、セラミック電解質膜の表面上の第1の薄い緻密セリア層と、前記緻密セリア層上の第2の薄い多孔質セリア層とを備える二重層アノード/電解質界面層。 請求項11 前記薄い緻密セリア層がドープセリア電解質材料を含み、前記薄い多孔質セリア層がドープセリア電解質材料を含む、請求項11に記載の二重層アノード/電解質界面層。 請求項12 前記セラミック電解質膜がドープジルコニア電解質材料を含む、請求項11に記載の二重層アノード/電解質界面層。 請求項13 前記第1の緻密セリア層および前記第2の多孔質セリア層の少なくとも一方に、コバルトがドープされている、請求項11に記載の二重層アノード/電解質界面層。 請求項14 硫黄含有燃料流と共に使用するための固体酸化物燃料電池用アノードであって、セラミック電解質膜上の第1のサーメットアノード層と、前記第1のサーメットアノード層上の第2のサーメットアノード層とを含み、前記第1のサーメットの金属成分がニッケル、ニッケルおよび銅を含有する合金、ならびにニッケル組成物と銅組成物との混合物のうちの少なくとも1種を含み、前記第1のサーメットのセラミック成分が混合伝導性電解質材料を含み、前記第2のサーメットの金属成分がニッケル、ニッケルおよび銅を含有する合金、ならびにニッケル組成物と銅組成物との混合物のうちの少なくとも1種を含み、前記第2のサーメットのセラミック成分がセラミック電解質材料を含み、前記第2のサーメットが、前記第1のサーメット層よりも粗い微細構造を有し、金属含有量が多いアノード。 請求項15 前記第1のサーメットアノード層中の前記混合伝導性電解質材料が、ドープセリア電解質材料である、請求項14に記載のアノード。 請求項16 前記第2のサーメット層中の前記セラミック電解質材料が、ドープジルコニア電解質材料、ドープセリア電解質材料、およびこれらの組合せから選択される、請求項14に記載のアノード。 請求項17 セラミック材料のナノスケール微粒子が、前記サーメット層の少なくとも一方の前記金属成分の粒子内に存在し、前記ナノスケールセラミック材料が、ドープセリア電解質材料、ドープジルコニア電解質材料、およびこれらの組合せから選択される、請求項14に記載のアノード。 請求項18 硫黄含有燃料流と共に使用するための固体酸化物燃料電池用アノード系であって、電解質膜上の薄い緻密なセリア層を備える第1のアノード/電解質界面層と、前記第1のアノード/電解質界面層上の多孔質セリア層を備える第2のアノード/電解質界面層と、前記第2のアノード/電解質界面層上の第1のサーメットアノード層と、前記第1のサーメットアノード層上の第2のサーメットアノード層とを備え、前記第1のサーメットの金属成分がニッケル、ニッケルおよび銅を含有する合金、ならびにニッケル組成物と銅組成物との混合物のうちの少なくとも1種を含み、前記第1のサーメットのセラミック成分が混合伝導性電解質材料を含み、前記第2のサーメットの金属成分がニッケル、ニッケルおよび銅を含有する合金、ならびにニッケル組成物と銅組成物との混合物のうちの少なくとも1種を含み、前記第2のサーメットのセラミック成分がセラミック電解質材料を含み、かつ前記第1のサーメット層よりも粗い微細構造を有し金属含有量が多いアノード系。 請求項19 前記アノード/電解質界面層の少なくとも一方がドープセリア電解質材料を含む、請求項18に記載のアノード系。 請求項20 前記アノード/電解質界面層の少なくとも一方が、コバルトをドープしたセリア電解質材料を含む、請求項18に記載のアノード系。 請求項21 セラミック材料のナノスケール微粒子が、前記サーメット層の少なくとも一方の前記金属成分の粒子内に存在し、前記ナノスケールセラミック材料が、ドープセリア電解質材料、ドープジルコニア電解質材料およびこれらの組合せから選択される、請求項18に記載のアノード系。 請求項22 硫黄含有燃料流と共に使用するための固体酸化物燃料電池であって、セラミック電解質膜と、前記セラミック電解質膜の一方の面上の二重層アノード/電解質界面層と、前記二重層アノード/電解質界面層に塗布されるアノードと、前記セラミック電解質膜の反対側の面に塗布されるカソードとを備え、前記アノードは、金属成分がニッケル、ニッケルおよび銅を含有する合金、ならびにニッケル組成物と銅組成物との混合物のうちの少なくとも1種を含み、セラミック成分が混合伝導性セラミック電解質材料を含むサーメットを含む固体酸化物燃料電池。 請求項23 前記二重層アノード/電解質界面層が、前記セラミック電解質膜の表面上の第1の薄い緻密セリア層と、前記薄い緻密セリア層上の薄い多孔質セリア層とを備える、請求項22に記載の固体酸化物燃料電池。 請求項24 前記アノードが、前記多孔質セリア層上の第1のアノード層と、前記第1のアノード層上の第2のアノード層とを備え、前記第1のアノード層は、金属成分がニッケル、ニッケルおよび銅を含有する合金、ならびにニッケル組成物と銅組成物との混合物のうちの少なくとも1種を含み、セラミック成分がセリアをベースとする電解質材料であるサーメットを含み、かつ細かい微細構造を有し、前記第2のアノード層は、金属成分がニッケル、ニッケルおよび銅を含有する合金、ならびにニッケル組成物と銅組成物との混合物のうちの少なくとも1種を含み、セラミック成分がセラミック電解質材料を含むサーメットを含み、かつ前記第1のアノード層よりも粗い微細構造を有しニッケル含有量が多い、請求項22に記載の固体酸化物燃料電池。 請求項25 セラミック電解質材料のナノスケール微粒子が、前記サーメットアノード層の少なくとも一方の前記金属成分の粒子内に存在し、前記ナノスケール電解質材料がドープジルコニア材料、ドープセリア材料、およびこれらの組合せから選択される、請求項22に記載の固体酸化物燃料電池。 請求項26 還元性ガスと共に使用するための固体酸化物燃料電池であって、セラミック電解質膜と、前記セラミック電解質膜の表面上の薄い緻密セリア層と、前記薄い緻密セリア層上の多孔質セリア層とを備えるアノード界面層と、前記多孔質セリア層上の第1のアノード層と、前記第1のアノード層上の第2のアノード層とを備えるアノードと、前記セラミック電解質膜上のカソードとを備え、前記第1のアノード層は、金属成分がニッケルおよび銅を含有する合金ならびにニッケル組成物と銅組成物との混合物のうちの少なくとも1種を含み、セラミック成分が混合伝導性のセリアをベースとする電解質材料を含むサーメットを含み、かつ細かい微細構造を有し、前記第2のアノード層は、金属成分がニッケル、ニッケルおよび銅を含有する合金ならびにニッケル組成物と銅組成物との混合物のうちの少なくとも1種を含み、セラミック成分がセラミック電解質材料を含むサーメットを含み、かつ前記第1のアノード層よりも粗い微細構造を有しニッケル含有量が多く、セラミック電解質材料のナノスケール微粒子が、前記アノード層の少なくとも一方の前記金属成分の粒子内に存在する固体酸化物燃料電池。 請求項27 還元性ガスと共に使用するための固体酸化物燃料電池であって、セラミック電解質膜と、前記セラミック電解質膜の表面上の薄い緻密なセリア層および前記薄い緻密なセリア層上の多孔質セリア層を備える電解質/アノード界面層と、前記多孔質電解質/アノード界面層上の第1のアノード層および前記第1のアノード層上の第2のアノード層を備える二重層アノードと、前記セラミック電解質膜の反対側の第1の薄い緻密なセリア層および前記薄い緻密なセリア層上の第2の薄い多孔質セリア層を備える電解質/カソード界面層と、前記多孔質電解質/カソード界面層上の第1のカソード層および前記第1のカソード層上の第2のカソード層を備える二重層アノードとを備え、前記第1のアノード層は、金属成分がニッケル、ニッケルおよび銅を含有する合金、ならびにニッケル組成物と銅組成物との混合物のうちの少なくとも1種を含み、セラミック成分が混合伝導性のセリアをベースとする電解質材料を含むサーメットを含み、かつ細かい微細構造を有し、前記第2のアノード層は、金属成分がニッケル、ニッケルおよび銅を含有する合金、ならびにニッケル組成物と銅組成物との混合物のうちの少なくとも1種を含み、セラミック成分がセラミック電解質材料を含むサーメットを含み、かつ前記第1のアノード層よりも粗い微細構造を有しニッケル含有量が多く、セラミック電解質材料のナノスケール微粒子が、前記アノード層の少なくとも一方の前記金属成分の粒子内に存在し、前記第1のカソード層が、混合伝導性のセリアをベースとする電解質材料とセラミック電極材料との複合材料を含み、かつ細かい微細構造および小規模な多孔性を有し、前記第2のカソード層が、単一相セラミック電極材料を含み、かつ前記第1のカソード層よりも粗い微細構造および大規模な多孔性を有する固体酸化物燃料電池。 請求項28 前記電解質/アノード界面層の少なくとも一方にコバルトがドープされている、請求項27に記載の固体酸化物燃料電池。 請求項29 前記電解質/カソード界面層の少なくとも一方にコバルトがドープされ、前記組成物材料が、固体酸化物燃料電池の作動時に前記カソードを使用した場合にクロム被毒に対する耐性を提供するように十分な量でパラジウムドーパントを含む、請求項27に記載の固体酸化物燃料電池。
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