专利摘要:
β-アミロイドペプチド、特にヒトβ-アミロイドペプチドに結合する抗原結合タンパク質; 増加したβ-アミロイドレベルまたはβ-アミロイド沈着物によって特徴付けられる疾患または障害、特にアルツハイマー病、および増加したβ-アミロイドレベルまたはβ-アミロイド沈着物によって特徴付けられる眼または視神経に影響する疾患または障害、例えば加齢性黄斑変性および緑内障型疾患およびβ-アミロイド依存的白内障形成を、該抗原結合タンパク質を用いて治療する方法; 該抗原結合タンパク質を含む医薬組成物; および製造方法を提供する。
公开号:JP2011506387A
申请号:JP2010537424
申请日:2008-12-09
公开日:2011-03-03
发明作者:アラード,フィリップ,マーク,ルイス;エリス,ジョナサン,ヘンリー;キャッチポール,イアン,リチャード;ゴフ,ジェラルド,ウェイン;ジャーマシェウスキ,ヴォルカー;ゾーデン,ピーター,アーネスト;トーマス,パメラ,ジョアン;フォード,スザンナ,カレン;ルイス,アラン,ピーター;ワッタム,トレヴァー,アンソニー,ケネス
申请人:グラクソ グループ リミテッドGlaxo Group Limited;
IPC主号:C07K16-18
专利说明:

[0001] 発明の属する分野
本発明は、β-アミロイドペプチド、特にヒトβ-アミロイドペプチドに結合する抗原結合タンパク質(抗体を含む)に関する。また、本発明は、β-アミロイドペプチド、特にヒトβ-アミロイドペプチドに結合する抗原結合タンパク質を用いて、β-アミロイドレベルまたはβ-アミロイド沈着物の増加によって特徴付けられる疾患または障害、特にアルツハイマー病、ならびに加齢性黄斑変性、緑内障型疾患およびβ-アミロイド依存的白内障形成を含む、β-アミロイドレベルまたはβ-アミロイド沈着物の増加によって特徴付けられる眼または視神経に影響する疾患または障害を、治療する方法に関する。本発明の他の態様は以下の説明から明らかになる。]
背景技術

[0002] 発明の背景
アルツハイマー病(AD)は加齢性認知低下の最も一般的な原因であり、世界中で1200万人以上の人が罹患している(Citron M (2002) Nat. Neurosci 5, Suppl 1055-1057)。最初期の該疾患は、認知低下ならびに言語および行動欠損を伴う進行性の記憶喪失によって特徴付けられる。疾患の後期には、患者は包括的な健忘症を発症し、非常に低下した運動機能を有する。典型的に、診断後9年で死が生じ、他の症状、典型的に肺炎を伴うことがよくある(Davis K.L. and Samules S.C. (1998) in Pharmacological Management of Neurological and Psychiatric Disorders edsEnna S.J. and Coyle J.T. (McGraw-Hill, New York pp267-316))。現行の治療は対症アプローチであり、認知障害の軽減および進行性の病因に伴う行動徴候の改善に重点を置いている。実際、これらの治療は、短命の認知的利益しか提供せず、その認知障害のレベルは2年までしか持続しないことが報告される。疾患の進行を遅くし、場合により停止させる疾患修飾性治療の可能性は大きい。そのようなアプローチは、患者および、重要なことに、その介護人の生活の質に根本的で持続した改善をもたらし、ならびにこの疾患の莫大なトータル保健医療コストを減少させる。]
[0003] アルツハイマー病の臨床診断は、現在、アルツハイマー病の可能性(possible or probable Alzheimer's disease)の診断を導くフィジカルテストおよびメンタルテストの組み合わせに基づくが、診断バイオマーカーおよび画像診断が研究中である(Sonnen et al. (2007) Expert Rev Neurotherapeutics 7(8): 1021-1028; Lockhart et al (2007) Brain 130: 2607-2615)。死後に、十分に特徴付けられた脳の神経学的特徴によって疾患が確認され、該特徴には、実質プラークおよび脳血管でのAβの沈着、神経原線維変化の神経細胞内形成、特定の脳領域でのシナプス喪失およびニューロン亜集団の喪失が含まれる(Terry, RD (1991) J Neural Trans Suppl 53: 141-145)。]
[0004] 多数の遺伝的、組織学的および機能的証拠は、β-アミロイドペプチド(Aβ)がアルツハイマー病の進行の鍵であることを示唆する(Selkoe, D. J. (2001) Physiological Reviews 81: 741-766)が、最近は、検死で観察された実際のAβ沈着物が認知低下の真の原因であるどうかはあまりはっきりしなくなっている(Ferreira ST (2007) Life 59(4-5): 332-345)。Aβは、BACE1として知られるアスパルチルプロテアーゼ酵素(β-セクレターゼ、Asp2またはメマプシン-2としても知られる)によるβ-アミロイド前駆タンパク質(APPとしても知られる)の切断によって生産されることが知られている(De Strooper, B. and Konig, G. (1999) Nature 402: 471-472)。実質沈着および血管沈着に加え、可溶性オリゴマー型のAβがADの発症に寄与すると想定されており、それらはまずシナプスの機能を損なわせることによってニューロンの機能に影響する(Lambert et. al. (1998) Proceedings of the National Academy of Science, U.S.A. 95 : 6448-6453; Kayed et al (2003) Science 300:486-489; Cheng et al (2007) J Biol Chem 282(33):23818-23828; Ferreira et al (2007) Life 59:332-345)。不溶性アミロイドプラークはADの早期および軽度認知障害(MCI)において見出されるが、これらの個体では可溶性Aβ凝集物(オリゴマーまたはAβ由来拡散性リガンド(ADDL)と称されることもある)のレベルも増加し、かつ可溶性Aβレベルは、アミロイドプラークと相関するより、神経原線維変性、およびシナプスマーカーの喪失とよく相関する(Naslund et. al. (2000) J Am Med Assoc 283: 1571-1577, Younkin, S. (2001) Nat. Med. 1: 8-19)。さらに、これらのオリゴマーは原繊維形成へ向かう途中の前駆体であり、その除去または中和は毒性効果および原繊維形成を妨げる(Ferreira ST (2007) Life 59(4-5): 332-345; Gong Y (2003) PNAS 100:10417-10422)。これらの知見にもかかわらず、高アミロイド形成性Aβ42およびアミノ末端切断型Aβx-42はびまん性プラークおよび老人斑の両者において見出される主要なAβ種であり(Iwatsubo, T (1994) Neuron. 13:45-53, Gravina, SA (1995) J. Biol. Chem. 270:7013-7016)、Aβ42の相対レベルはADのバイオマーカーであるだけでなく、アミロイドプラークになるAβ凝集の重要な調節因子でもあると思われる。Aβ42はin vitroで他のAβ型より容易に凝集することが示されており(Jarrett, JT (1993) Biochemistry.32: 4693-4697)、そのようにAβ42はADの病理発生における開始分子(initiating molecule)であると示唆されている(Younkin SG, (1998) J. Physiol. (Paris). 92:289-292)。Aβ42は、通常、APP代謝の微量産物であるが、その生産の小さい変化はAβ沈着に関する大きい影響と関連し、したがってAβ42単独の減少がADの有効な治療方法であると想定されている(Younkin SG, (1998) J. Physiol. (Paris). 92:289-292; Levites et al (2007) J Clin Invest. 116(1):193-201)。これを支持して、アミロイド前駆タンパク質(APP)およびプレセニリン遺伝子の突然変異は、主に、Aβ42の相対レベルを増加させ、したがってアルツハイマー病(AD)の発症までの時間を短くすることが報告されている(Selkoe D.J., Podlisny M.B. (2002) Annu. Rev. Genomics Hum. Genet. 3:67-99)。しかし、アミロイド沈着の速度がトータルアミロイドレベル、異化作用および、年齢およびADで見出される高アミロイドレベルによって負の影響を受けることが示されているCNSからのAβクリアランスの効率にも依存することが強調されるべきである(Deane et al (2005) J Neurosci 25(50):11495-11503; Wang et al (2006) Drug Discovery Today 11(19/20): 931-938)。この点において、中枢神経系(CNS)と血漿との間のAβの輸送が脳アミロイドレベルの調節において主要な役割を果たし(Shibata, et al (2000) J Clin Invest 106 : 1489-1499)、AβはLRP-1等の輸送機構によってCNSから血漿に高速で輸送され、AβはRAGEに結合することによって血漿からCNSに高速で輸入される(Zlokovic BV (2004) J Neurochem 89: 807-811)ことがますます明らかになっている。したがって、Aβペプチドでの活性ワクチン接種または、末梢Aβに結合し、したがって血漿、CSFおよびCNS間の動的平衡を変化させる特異的Aβ抗体の受動的投与が開発中である。実際、現在、これらの両アプローチがAβレベルを低下させ、Aβ病状を減少させ、かつ、ある場合には、アミロイド症の種々のトランスジェニックモデルにおいて認知的利益を提供できることを示している多数の研究が存在する。また、数少ない研究が高等種で行われている(Lemere, CA (2004) Am J Pathology 165: 283-297; Gandy, S (2004) Alzheimer Dis Assoc Disord 18 : 44:46)。]
[0005] アミロイド沈着の動物モデルは、突然変異ヒト導入遺伝子をマウスで過剰発現させることによって作製されている。単一のヒトAPP導入遺伝子を過剰発現するマウスは典型的に脳プラーク様β-アミロイド沈着物を12月齢から発症し(Games D. et al., (1995) Nature 373: 523-527; Hsiao K. et al., (1996) Science 274: 99-102))、突然変異ヒトAPPおよびプレセニリン-1 (PS-1)導入遺伝子の両者を有するマウスは典型的に脳プラーク様β-アミロイド沈着物を2月齢で早くも発症する(Kurt M.A. et al., (2001) Exp.Neurol. 171: 59-71; McGowan E. et al., (1999) Neurolbiol. Dis. 6: 231-244)。使用された種々のトランスジェニックマウスモデルにおけるこれらのかなりの生物学的差異は、異なるアプローチの薬理学および効率を比較することを困難にしている。この分野で、β-アミロイドおよびその種々の型を標的にする免疫療法が実際にどのように機能するかについて現実的な統一見解は存在しない。異なる結合特性を有する異なる抗体はそれらの動物モデルにおいて様々な結果を示す可能性が非常に高い。また、抗体は複数の機構によって作用する可能性があり、報告されている様々な作用様式は相互に排他的ではないというのが合理的と思われる(Levites et al (2007) J Clin Invest. 116(1):193-201)。]
[0006] クリニックでの脳アミロイドを標的にする最初の免疫療法は活性ワクチンであるElan/WyethのAN-1792であった。この治療は髄膜脳炎と一致する臨床徴候の発生にしたがって終結した。亜群分析では、治療が認知機能の低下を遅くすることが示唆された(Nature Clin Pract Neurol (2005) 1:84-85)。また、患者の死後分析では、プラーククリアランスの証拠が示された(Gilman S. et al, (2005) Neurology 64 (9) 1553-1562)。]
[0007] 受動的モノクローナル抗体であるBapineuzumab (AAB-001, Elan/Wyeth)が開発中である。]
[0008] 増加したβ-アミロイドレベルまたはβ-アミロイド沈着物によって特徴付けられる他の疾患または障害には、軽度認知障害(Kelley BJ (2007) Neurologic Clinics 25 (3), 577-609)、オランダ型のβ-アミロイド症を伴う遺伝性脳出血、脳β-アミロイド血管障害および種々のタイプの退行性痴呆、例えばパーキンソン病、進行性核上麻痺、皮質基底変性(cortical basal degeneration)およびびまん性ルイス体型のアルツハイマー病(diffuse Lewis body type of Alzheimer's disease)と関連しているもの(Mollenhauer B (2007) J Neural Transm e-published 23 Feb 2007, van Oijen, M Lancet Neurol. 2006 5:655-60)、ダウン症候群(Mehta, PD (2007) J Neurol Sci. 254:22-7)、加齢性黄斑変性(AMD) (Johnson LV et al (2002) PNAS USA 99: 11830-11835; Anderson DH et al (2004) Exp Eye Res 78: 243-256)、「緑内障型」疾患(Guo L et al (2007) Proc Natl Acad Sci USA 104:13444-13449)およびAβ依存的白内障形成(GoldsteinLEet al (2003) Lancet 361: 1258-1265; Li G et al (2003) Mol Vision 9: 179-183)が含まれる。]
[0009] 加齢性黄斑変性(AMD)は先進国における失明の主要原因である。2つの主要なAMDの臨床像が存在する。萎縮性(非滲出型(dry)) AMDは網膜色素上皮(RPE)および視神経網膜(neuroretina)の変性によって特徴付けられる。早期の萎縮性AMDはRPE細胞層の下にドルーゼの形成を伴う。早期萎縮性AMDは末期疾患に進行しうる。末期疾患では、RPEは完全に変性し、斑の領域中に境界のはっきりしたRPE萎縮領域、「地図状萎縮(geographic atrophy)」を形成する。この型の疾患では、RPEの変性は黄斑性桿体および錐体の二次死を生じさせ、これらの場合、これは重度の加齢性視力喪失を生じさせる。ある割合のAMD患者は該疾患の異なる型または追加の合併症と見なしうるものを発症する。AMD患者の約10〜20%は脈絡膜血管新生(CNV)を発症する。これが生じると、疾患の型は「滲出型(wet) AMD」として知られ、これはいくつかの最も重度の視力喪失と関連しうる。滲出型AMDでは、新規脈絡膜血管はブルック膜の割れ目を通して成長し、RPEおよび視神経網膜内およびRPEおよび視神経網膜の下に増殖する。典型的な場合、萎縮性AMDは滲出型の発症前に眼で発症するが、まれな場合には、萎縮型の事前の発症の不存在下で血管新生型が発症しうる。両疾患型において、光受容細胞の死に起因して視力喪失が生じるが、滲出型AMDでは、CNV中に形成された漏出性血管からの内部出血も視力喪失の原因になる。AMDの治療に関して、滲出型AMDのいくつかの態様に対処する新規治療、特にVEGF (血管内皮増殖因子)またはVEGF受容体シグナル伝達経路を阻害する種々の分子によってCNVからの漏出性血管出血を減少させる新規治療の開発にいくらかの進歩がある。しかし、現在、非常に広く認められる萎縮型AMDの治療についての決定的な手段も、早期の非滲出型AMDから地図状萎縮または滲出型AMDへの進行を予防する決定的な手段も存在しない(Petrukhin K (2007) Expert Opin Ther Targets 11: 625-639)。]
[0010] RPEでのAβの生産を生じさせる厳密な機構およびAβがAMDに影響するように作用する厳密な機構または機構群は完全には理解されていないが、Aβに結合しかつ潜在的に中和するかまたは単に除去する物質によるAβの排除は、AMDでのドルーゼ(drusen)を排除し、AMDでの補体活性化を減少させ、RPE萎縮を減少させ、かつRPEでのVEGF発現の誘導およびドルーゼ周囲の高レベルのその局在化を潜在的に減少させる候補経路を提供することが証拠によって示唆される。したがって、そのような治療は、AMDに起因する視力の喪失および地図状萎縮および/または滲出型AMDへの進行を予防し、遅延させ、減弱し、または回復させる手段を提供することができる。これは、RPEの周囲環境のAβ含有ドルーゼおよび/または局所Aβのレベルを減少させ、それによって早期および後期のAMDの両者に干渉し、視力の喪失を引き起こす原因となる細胞の減退を治療することができる。]
[0011] いくつかの最近公開されたデータは、AMDの発生における補体タンパク質とアミロイドベータの相互作用を明らかにしている(Wang, J. et al., (2008) J. Immunol. 181: 16651-6)。アミロイドベータは、因子HとともにC3b型からその不活性型iC3bへの補体タンパク質C3の崩壊に関与する補助因子である補体因子Iに結合することが示されている(Wang, J. et al., 2008)。最近公開されたin vitro研究から得られた結果は、アミロイドベータが、網膜下組織での低グレードの慢性炎症を生じさせる補体因子Iの機能をブロックすることによってドルーゼ内の補体系を活性化し; ゆえにAMDの発症に関連する4因子: 炎症、補体活性化、アミロイドベータ沈着およびドルーゼを関連付けるという仮説を支持することが示唆された(Wang, J. et al., 2008)。補体因子Iに対する結合に関して補体因子Hと潜在的に拮抗することによる代替補体経路の活性化でのアミロイドベータの影響に関するそのような直接証拠は以前に提供されていない(Wang, J. et al., 2008)。]
[0012] 「緑内障型疾患」は、眼の視神経への損傷を生じさせ、失明を生じさせうる一群の疾患に関して使用される用語である。それは、眼内圧(IOP)の増加および視力の低下によって最終的に引き起こされる、世界中の失明の主要な原因である。IOPとこれが網膜神経節細胞(RGC)のアポトーシスをどのように導くかとの関連はあまり理解されていない。高IOPは単独でアポトーシスを誘発することができる(Cordeiro M F et al (2004) Proc Natl Acad Sci USA 101:13352-13356; Quigley H A et al (1995) Invest Ophtalmol Visual Sci 36:774-786)が、本来、それは視覚ニューロンの細胞死の唯一の原因ではない。さらに、眼圧低下剤での治療にしたがうIOPの正常化後でさえ視力が悪化し続けることが観察されている(Oliver JE et al (2002) Am J Ophthamol 133:764-772)。]
[0013] 最近、β-アミロイドの潜在的な細胞傷害効果と緑内障でのRGCのアポトーシスを関連付ける報告がなされている(McKinnon SJ et al (2002) Invest Ophtamol Visual Sci 43:1077-1087)。緑内障の動物モデルで、RGCにおいてカスパーゼ-3プロテアーゼが活性化され、それがカスパーゼ-3によるアミロイド前駆タンパク質(APP)の異常なプロセシングを導き、β-アミロイドを含む潜在的に有毒なAPP断片が生じることが示されている(McKinnon et al (2002); Cheung ZH et al (2004) Mol Cell Neurosci 25:383-393)。他の細胞のうち、RGCはAPPを発現することが示されており、したがってこれはβ-アミロイドの妥当な供給源であると思われる。高レベルのAPPおよび高レベルのβ-アミロイドはともにカスパーゼ-3の活性化に関与するとされているが、これは主にin vitro系で観察されている。緑内障でもRGC中のAPPレベルが増加し、ゆえに正のフィードバック機構でさらに多数のβ-アミロイドの生成に寄与するかどうかは明らかでない。さらについ最近、緑内障のラットモデルにおけるRGCのアポトーシスへのβ-アミロイドの関与が示唆されている(Guo et al (2007))。β-アミロイドまたはβ-アミロイド生産を標的にするいくつかの物質が試験され、それらはin vivoで網膜神経節細胞死の減少を示し、全3種の治療が一緒に使用された場合に軽度の増強効果の可能性を有した。最大の効果は抗β-アミロイド抗体を使用することによって観察され、全3種の物質を一緒に用いた場合に観察された効果にほぼ匹敵した。]
[0014] RGCでのβ-アミロイドの生産およびIOPとの関連を生じさせる厳密な機構は完全には理解されていないが、β-アミロイドに結合しかつ潜在的に中和するかまたは単に除去する物質によるβ-アミロイドの排除は、緑内障でのRGCのアポトーシスを妨げる経路候補を提供し、したがって緑内障における視力の喪失を遅延させ、減弱し、または回復させる手段を提供することが証拠によって示唆される。これは、RGCおよび周囲環境でのβ-アミロイドのレベルを低下させ、それにより視力の喪失を引き起こす原因となる細胞の減退に対処することができる。]
[0015] β-アミロイドは他の眼疾患において役割を果たし、とりわけAD患者で観察されるものにおいて核上性白内障の形成と関連付けられており、Aβ生成およびプロセシング経路の成分はレンズ中に存在する(GoldsteinLE, et al., (2003); Li G, et al., (2003))。したがって、AMDおよび緑内障型疾患での介入に関する上記治療アプローチはAβ依存的白内障形成の予防に適用可能である。]
[0016] WO 2008/110885は、アミロイド-βペプチドを標的にするインヒビターで眼疾患を治療する方法に関する。特に、25-34および40を含むと思われるAβ1-40上のエピトープに結合する抗体6Gが開示されている。]
課題を解決するための手段

[0017] 発明の要旨
本発明の一態様では、β-アミロイドの残基28〜35を含有するβ-アミロイドペプチドのエピトープを認識する治療用抗原結合タンパク質を提供する。]
[0018] 特定の実施形態では、治療用抗原結合タンパク質は、β-アミロイドの残基28〜34を含有するβ-アミロイドペプチドのエピトープを認識する。]
[0019] さらに具体的な実施形態では、治療用抗原結合タンパク質は、β-アミロイドの残基28〜33を含有するβ-アミロイドペプチドのエピトープを認識する。]
[0020] 本発明の別の実施形態では、β-アミロイドの残基28〜35の領域内のβ-アミロイドペプチドのエピトープを認識する治療用抗原結合タンパク質を提供する。]
[0021] 本発明の別の実施形態では、β-アミロイドの残基28〜33、28〜34または28〜35からなるβ-アミロイドペプチドのエピトープを認識する治療用抗原結合タンパク質を提供する。]
[0022] 本発明の一実施形態では、結合のためにβ-アミロイドの残基32および33を必要とする治療用抗原結合タンパク質を提供する。]
[0023] 本発明の一実施形態では、治療用抗原結合タンパク質は抗体もしくはその抗原結合断片および/またはそれらの誘導体である。]
[0024] 本発明の一実施形態では、β-アミロイドペプチドに結合しかつ以下のCDR:
CDRH1: VYYVH (配列番号1)
CDRH2:RIDPENGETIYTPKFQD (配列番号2)
CDRH3: SGY (配列番号3)

CDRL1:RSSKSLLHRNGITYLY(配列番号4)
CDRL2: QMSNLAS (配列番号5)
CDRL3: AQNLELWT (配列番号6)
を含む、抗体もしくはその抗原結合断片および/またはそれらの誘導体等の抗原結合タンパク質である治療用抗原結合タンパク質を提供する。]
[0025] 本発明の別の実施形態では、β-アミロイドペプチドに特異的に結合しかつ上記配列の変異体であるCDRを含む抗体またはその抗原結合断片等の抗原結合タンパク質を提供する。]
[0026] CDR変異体は、CDRの1〜数個のアミノ酸の欠失または置換によるか、またはCDRへの1〜数個のアミノ酸の付加または挿入によるか、またはその組み合わせによるCDRアミノ酸配列の部分的改変を含む。CDR変異体は、CDRのアミノ酸配列中の1、2、3、4、5または6個のアミノ酸置換、付加または欠失を含有してよい。CDR変異体は、CDRのアミノ酸配列中の1、2または3個のアミノ酸置換、挿入または欠失を含有してよい。アミノ酸残基の置換は保存的置換であってよく、例えば、1個の疎水性アミノ酸を代替の疎水性アミノ酸の代わりに用いることであってよい。例えばロイシンはバリン、またはイソロイシンと置換することができる。]
[0027] 変異体CDRを含む抗原結合タンパク質は、上で考察されたCDRを含む抗原結合タンパク質と同一または類似の機能的特性を有する。したがって、変異体CDRを含む抗原結合タンパク質は、本明細書中に記載のCDRと同一または類似の結合親和性で同一の標的タンパク質またはエピトープに結合する。]
[0028] 典型的な抗体は6F6マウスモノクローナル抗体である。本発明の一実施形態では、6F6の上で特定されるCDRを含むヒト化またはキメラ抗体を提供する。例えば、キメラ抗体は6F6マウス抗体の可変領域、すなわち配列番号19(VH)および配列番号21(VL)を含んでよい。マウス6F6に基づくヒト化抗体の例は配列番号27を有する重鎖および配列番号28を有する軽鎖を含む抗体である。]
[0029] 本明細書の全体にわたって、用語「CDR」、「CDRL1」、「CDRL2」、「CDRL3」、「CDRH1」、「CDRH2」、「CDRH3」は、Kabat et al; Sequences of proteins of Immunological Interest NIH, 1987に記載されるKabatナンバリング系にしたがう。したがって本発明では以下のようにCDRを定義する。]
[0030] CDR: 残基
CDRH1: 31-35
CDRH2: 50-65
CDRH3: 95-97
CDRL1: 24-34
CDRL2: 50-56
CDRL3: 89-97]
[0031] IGHV1-24 (配列番号13)はVHCDRの移植に好適なアクセプターフレームワークであるヒト生殖細胞系配列である。特定の態様では、ヒトアクセプター重鎖フレームワークはIGHV1-24由来である。本発明の代替の実施形態では、ヒトアクセプターフレームワークは、その全長(CDR配列を除く)にわたってマウス6F6重鎖可変配列に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有するヒト重鎖可変領域配列を含む。]
[0032] アミノ酸および核酸配列に関して、用語「同一の」または「配列同一性」とは、適切な挿入または欠失を伴って最適にアライメントされかつ比較された場合の2アミノ酸または2核酸配列間の同一性の程度を示す。あるいは、実質的同一性は、選択的ハイブリダイゼーション条件下でDNAセグメントが該ストランドの相補鎖にハイブリダイズした場合に存在する。2配列間の同一性パーセントは、配列によって共有される同一の位置の数の関数(すなわち%同一性=同一の位置の数/位置の総数x100)であり、2配列の最適なアライメントのために導入される必要があるギャップの数および各ギャップの長さを考慮に入れる。2配列間の配列の比較および同一性パーセントの決定は下記のように数学的アルゴリズムを使用して達成することができる。]
[0033] 2ヌクレオチド配列間の同一性パーセントはGCGソフトウェアパッケージのGAPプログラムを使用し、NWSgapdna.CMPマトリックスおよびギャップウェイト40、50、60、70、または80および長さウェイト1、2、3、4、5、または6を使用して決定することができる。2ヌクレオチドまたはアミノ酸配列間の同一性パーセントは、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれているE. MeyersおよびW. Millerのアルゴリズム(Comput. Appl. Biosci., 4:11-17 (1988))を使用し、PAM120ウェイト残基テーブル、ギャップ長さペナルティ12およびギャップペナルティ4を使用して決定することもできる。さらに、2アミノ酸配列間の同一性パーセントは、GCGソフトウェアパッケージのGAPプログラムに組み込まれているNeedlemanおよびWunsch (J. Mol. Biol. 48:444-453 (1970))のアルゴリズムを使用し、Blossum 62マトリックスまたはPAM250マトリックス、ギャップウェイト16、14、12、10、8、6、または4および長さウェイト1、2、3、4、5、または6を使用して決定することができる。]
[0034] 一例として、ポリヌクレオチド配列は、記載される参照ポリヌクレオチド配列と同一であり、すなわち100%同一であるか、またはそれは参照配列と比較された場合に特定の整数までのヌクレオチド改変を含み、例えば少なくとも50、60、70、75、80、85、90、95、96、97、98、または99%同一であってよい。そのような改変は、少なくとも1つのヌクレオチド欠失、置換(トランジションおよびトランスバージョンを含む)、または挿入からなる群から選択され、該改変は参照ヌクレオチド配列の5'または3'末端位置、またはそれらの末端位置間のどこかに存在してよく、参照配列のヌクレオチド中で個別に点在しているかまたは参照配列内の1個以上連続した基中である。ヌクレオチド改変の数は、参照ポリヌクレオチド配列中のヌクレオチドの総数を、該当する同一性パーセントのパーセント数値(100によって除算されている)によって乗算し、該積を参照ポリヌクレオチド配列中の該ヌクレオチド総数から減算することによって決定され、すなわち:
nn < xn - (xn・y)であり、
式中、nnはヌクレオチド改変の数であり、xnは参照ポリヌクレオチド配列中のヌクレオチドの総数であり、yは50%で0.50、60%で0.60、70%で0.70、75%で0.75、80%で0.80、85%で0.85、90%で0.90、95%で0.95、98%で0.98、99%で0.99または100%で1.00であり、・は乗算演算子の記号であり、xnとyの整数でない積はすべて、最も近い整数に切り捨てられた後にxnから減算される。]
[0035] 同様に、ポリペプチド配列は、本明細書中に記載のポリペプチド参照配列と同一であり、すなわち100%同一であるか、またはそれは参照配列と比較された場合に、%同一性が100%未満であるように特定の整数までのアミノ酸改変を含み、例えば少なくとも50、60、70、75、80、85、90、95、96、97、98、または99%同一であってよい。そのような改変は、少なくとも1つのアミノ酸欠失、置換(保存的および非保存的置換を含む)、または挿入からなる群から選択され、該改変は参照ポリペプチド配列のアミノ末端またはカルボキシ末端位置、またはそれらの末端位置間のどこかに存在してよく、参照配列のアミノ酸中で個別に点在しているかまたは参照配列内の1個以上連続した基中である。所定の%同一性に関するアミノ酸改変の数は、本明細書中に記載のポリペプチド参照配列によってコードされるポリペプチド配列中のアミノ酸の総数を、該当する同一性パーセントのパーセント数値(100によって除算されている)によって乗算し、そして該積をポリペプチド参照配列中の該アミノ酸総数から減算することによって決定され、すなわち:
na < xa - (xa・y)であり、
式中、naはアミノ酸改変の数であり、xaはポリペプチド配列中のアミノ酸の総数であり、yは50%で0.50、60%で0.60、70%で0.70、75%で0.75、80%で0.80、85%で0.85、90%で0.90、95%で0.95、98%で0.98、99%で0.99、または100%で1.00であり、・は乗算演算子の記号であり、xaとyの整数でない積はすべて、最も近い整数に切り捨てられた後にxaから減算される。]
[0036] 同一性%は配列の長さにわたってよい。]
[0037] 完全V領域を構築するために、生殖細胞系によってコードされるV遺伝子IGHV1-24にフレームワーク4を付加する必要がある。好適なフレームワーク4配列には、ヒトJH4ミニ遺伝子によってコードされるもの(Kabat):
YFDYWGQGTLVTVSS(配列番号15)
が含まれる。]
[0038] 当業者は、生殖細胞系V遺伝子およびJ遺伝子が重鎖CDR3の全体をコードする配列を含まないことを認識している。しかし、本発明の抗体では、ドナー免疫グロブリンによって重鎖CDR3全体が提供される。したがって、VH遺伝子、例えばIGHV1-24、JHミニ遺伝子、例えばJH4、および重鎖CDRセット、例えば配列番号1、配列番号2および配列番号3の組み合わせ(成熟した完全に再配置された重鎖可変領域を模倣する様式で組み立てられる)は本発明の重鎖可変領域を規定するために十分である。]
[0039] IGKV2-28 (配列番号16)はヒト生殖細胞系配列であり、VLCDRの移植に好適なアクセプターフレームワークである。特定の態様では、ヒトアクセプター軽鎖フレームワークはIGKV2-28由来である。本発明の代替の実施形態では、ヒトアクセプターフレームワークは、その全長(CDR配列を除く)にわたってマウス6F6軽鎖可変配列に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有するヒト軽鎖可変領域配列を含む。]
[0040] 完全V領域を構築するために、生殖細胞系によってコードされるV遺伝子IGKV2-28にフレームワーク4を付加する必要がある。好適なフレームワーク4配列には、ヒトJK-1ミニ遺伝子によってコードされるもの(Kabat):
WTFGQGTKVEIK (配列番号18)
が含まれる。]
[0041] 当業者は、生殖細胞系V遺伝子およびJ遺伝子が軽鎖CDR3の全体をコードする配列を含まないことを認識する。しかし、本発明の抗体では、ドナー免疫グロブリンによって該CDR3配列が提供される。JK-1ミニ遺伝子残基の最初の2残基はCDR3領域内に入る。JK-1ミニ遺伝子では、これらの残基は軽鎖CDRL3 (配列番号6)の最後の2残基と同一である。したがって、VL遺伝子、例えばIGKV2-28、FR4、例えばJK-1、および軽鎖CDRセット、例えば配列番号4、配列番号5および配列番号6の組み合わせ(成熟した完全に再配置された軽鎖可変領域を模倣する様式で組み立てられる)は本発明の軽鎖可変領域を規定するために十分である。]
[0042] 本発明の特定の実施形態では、ヒトアクセプター重鎖フレームワークはIGHV1-24およびJH4ミニ遺伝子由来であり、かつヒトアクセプター軽鎖フレームワークはIGKV2-28およびJK-1ミニ遺伝子由来であり、それは配列番号19の配列を有するドナーVHドメインおよび配列番号21の配列を有するVLドメイン中で見出される対応する残基に基づくアミノ酸残基の1つ以上の置換を場合により含有し、該置換はβ-アミロイドペプチドに関するドナー抗体の結合親和性のすべてまたは実質的にすべてを維持する。「実質的にすべての結合親和性」とは、治療用抗体がドナー抗体と比較して多くとも5倍、より具体的には2倍の結合親和性の低下しか有さないことを意味する。]
[0043] 本発明のさらに具体的な実施形態では、IGHV1-24およびJH4由来のヒトアクセプター重鎖フレームワークは以下の残基(またはその保存的置換)から選択される1個以上、例えば1〜15個、より具体的には2〜15個のアミノ酸残基置換を有する。]
[0044] ]
[0045] さらに具体的な実施形態では、IGHV1-24およびJH4由来のヒトアクセプター重鎖フレームワークは以下の残基(またはその保存的置換基)を含む。]
[0046] ]
[0047] 本発明のさらに具体的な実施形態では、IGKV2-28およびJK-1由来のヒトアクセプター軽鎖フレームワークは以下の残基(またはその保存的置換)から選択される1個以上、例えば1〜4個、より具体的には2個のアミノ酸残基置換を有する。]
[0048] ]
[0049] 本発明のさらに具体的な実施形態では、IGKV2-28およびJK-1由来のヒトアクセプター軽鎖フレームワークは以下の残基(またはその保存的置換基)を含む。]
[0050] ]
[0051] 本発明の一実施形態では、配列番号24に記載の配列を有するVHドメインを含む治療用抗体を提供する。]
[0052] 本発明の一実施形態では、配列番号26に記載の配列を有するVLドメインを含む治療用抗体を提供する。]
[0053] 本発明の一実施形態では、配列番号24に記載の配列を有するVHドメインおよび配列番号26に記載の配列を有するVLドメインを含む治療用抗体を提供する。]
[0054] 本発明の一実施形態では、配列番号59に記載の配列を有するVHドメインおよび配列番号67に記載の配列を有するVLドメインを含む治療用抗体を提供する。]
[0055] 本発明の一実施形態では、配列番号61に記載の配列を有するVHドメインおよび配列番号67に記載の配列を有するVLドメインを含む治療用抗体を提供する。]
[0056] 本発明の一実施形態では、配列番号63に記載の配列を有するVHドメインおよび配列番号67に記載の配列を有するVLドメインを含む治療用抗体を提供する。]
[0057] 本発明の一実施形態では、配列番号65に記載の配列を有するVHドメインおよび配列番号67に記載の配列を有するVLドメインを含む治療用抗体を提供する。]
[0058] 本発明の一実施形態では、配列番号59に記載の配列を有するVHドメインおよび配列番号69に記載の配列を有するVLドメインを含む治療用抗体を提供する。]
[0059] 本発明の一実施形態では、配列番号61に記載の配列を有するVHドメインおよび配列番号69に記載の配列を有するVLドメインを含む治療用抗体を提供する。]
[0060] 本発明の一実施形態では、配列番号63に記載の配列を有するVHドメインおよび配列番号69に記載の配列を有するVLドメインを含む治療用抗体を提供する。]
[0061] 本発明の一実施形態では、配列番号65に記載の配列を有するVHドメインおよび配列番号69に記載の配列を有するVLドメインを含む治療用抗体を提供する。]
[0062] 本発明の一実施形態では、配列番号59に記載の配列を有するVHドメインおよび配列番号71に記載の配列を有するVLドメインを含む治療用抗体を提供する。]
[0063] 本発明の一実施形態では、配列番号61に記載の配列を有するVHドメインおよび配列番号71に記載の配列を有するVLドメインを含む治療用抗体を提供する。]
[0064] 本発明の一実施形態では、配列番号63に記載の配列を有するVHドメインおよび配列番号71に記載の配列を有するVLドメインを含む治療用抗体を提供する。]
[0065] 本発明の一実施形態では、配列番号65に記載の配列を有するVHドメインおよび配列番号71に記載の配列を有するVLドメインを含む治療用抗体を提供する。]
[0066] 抗体重鎖可変領域は、配列番号24、59、61、63、または65のいずれか1つに対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有する。抗体軽鎖可変領域は、配列番号26、67、69、または71のいずれか1つに対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有する。]
[0067] 本発明の一実施形態では、配列番号27に記載の配列を有する重鎖を含む治療用抗体を提供する。]
[0068] 本発明の一実施形態では、配列番号28に記載の配列を有する軽鎖を含む治療用抗体を提供する。]
[0069] 本発明の一実施形態では、配列番号27に記載の配列を有する重鎖および配列番号28に記載の配列を有する軽鎖を含む治療用抗体を提供する。]
[0070] 重鎖可変領域のいずれかを好適なヒト定常領域と組み合わせることができる。軽鎖可変領域のいずれかを好適な定常領域と組み合わせることができる。]
[0071] 特定の実施形態では、本発明の治療用抗原結合タンパク質は、(a) 古典的経路による補体の活性化の機能; および(b)抗体依存性細胞性細胞障害を媒介する機能を本質的に欠いている抗体またはその断片および/または誘導体である。]
[0072] 本発明の別の態様では、本発明の治療用抗原結合タンパク質または治療用抗体を含む医薬組成物を提供する。]
[0073] 本発明の別の態様では、β-アミロイドペプチド関連疾患に罹患しているヒト患者の治療方法であって、本発明の治療用抗原結合タンパク質または治療用抗体の治療有効量を該患者に投与するステップを含む方法を提供する。]
[0074] 本発明の一実施形態では、β-アミロイドペプチド関連疾患はアルツハイマー病である。本発明の別の実施形態では、β-アミロイドペプチド関連疾患疾患は、高いβ-アミロイドレベルまたはβ-アミロイド沈着物によって特徴付けられる眼または視神経に影響する疾患または障害である。特に、β-アミロイドペプチド関連疾患は加齢性黄斑変性(AMD)、緑内障またはβ-アミロイド依存的白内障形成である。]
[0075] 本発明の別の実施形態では、補体経路、特に代替補体経路のインヒビター、例えば、他の抗補体アプローチを除外することなく:補体因子H (CFH)またはその断片、可溶性補体受容体1、(sCR1)またはその断片、可溶性細胞膜補因子タンパク質(MCP)およびその断片、可溶性崩壊促進因子(DAF)およびその断片と組み合わせて治療用抗原結合タンパク質を投与する。この関連で、補体経路インヒビターは、補体経路、特に代替補体経路の活性を負に調節するように作用する分子である。]
[0076] 本発明の別の実施形態では、補体経路アクチベータのインヒビター、特に代替補体経路アクチベータのインヒビター、例えば、他の阻害アプローチまたは他の補体経路標的を除外することなく:補体因子D (CFD)または補体因子B (CFB)活性を中和するための抗体または抗体断片、例えばドメイン抗体と組み合わせて治療用抗原結合タンパク質を投与する。補体成分C3の13残基ペプチドインヒビター、コンプスタチン、および抗C5a補体成分抗体、pexelizumabも、本発明の関連の範囲内で補体経路アクチベータのインヒビターであるとみなされる。一般に、補体経路アクチベータのインヒビターは、所定の補体アクチベータの生物学的活性をある程度阻害またはアンタゴナイズして、その効果が補体経路、特に代替補体経路の活性を負に調節するようにする物質である。]
[0077] 補体を標的にする治療アプローチは最近レビューされており(Ricklin, D & Lambris, J. (2007) Nature Biotechnology 25:1265-75 (参照によりその全体がここに組み入れられる))、該文献中に記載の抗補体経路アプローチはすべて、潜在的に、治療アプローチを提供するために抗アミロイドベータ抗体と組み合わせて使用することできる。考慮される抗補体アプローチには、: (i)プロテアーゼインヒビター、例えば補体因子Dインヒビター、(ii) 可溶性補体調節因子、例えば可溶性切断型補体受容体1、(iii)治療用抗体、例えば補体因子DまたはBに対する治療用抗体、(iv)補体成分インヒビター、例えばC5インヒビター、および(v)受容体アンタゴニスト、例えば小分子C5a受容体アンタゴニストが含まれる。]
[0078] 補体経路インヒビター、または補体経路アクチベータのインヒビターを本発明の治療用抗原結合タンパク質と同時に、または連続して、別々に、または時差様式で投与してよい。]
[0079] また、本明細書中で規定される治療用抗原結合タンパク質および補体経路インヒビターまたは補体経路アクチベータのインヒビターを含む医薬組成物を提供する。]
[0080] また、β-アミロイドペプチド関連疾患の治療のための医薬の製造における、本発明の治療用抗原結合タンパク質または治療用抗体の使用を提供する。]
[0081] また、β-アミロイドに対する、例えば上記β-アミロイドの残基28〜35を含有するβ-アミロイドペプチドのエピトープに対する第1の特異性と補体経路のアクチベータに対する第2の特異性とを有する二重特異性抗体またはその二重特異性断片を提供する。]
[0082] また、β-アミロイドペプチド関連疾患の治療に使用するための本発明の抗原結合タンパク質、本発明の抗体、または本発明の二重特異性抗体もしくはその二重特異性断片を提供する。]
[0083] 本発明の別の実施形態では、配列番号19の配列を有するマウスVHドメインおよび配列番号21の配列を有するマウスVL ドメインを含む抗体またはその断片を提供する。]
[0084] 本発明の別の実施形態では、配列番号19の配列を有するVHドメインを含む抗体重鎖またはその断片をコードするポリヌクレオチド、特に配列番号20のポリヌクレオチドを提供する。]
[0085] 本発明の別の実施形態では、配列番号21の配列を有するVLドメインを含む抗体軽鎖またはその断片をコードするポリヌクレオチド、特に配列番号22のポリヌクレオチドを提供する。]
[0086] 本発明の一態様では、ELISAアッセイにおいて、β-アミロイドに対する結合に関して、配列番号27に記載の配列を有する重鎖および配列番号28に記載の配列を有する軽鎖を含む抗体と競合する抗原結合タンパク質を提供する。]
[0087] 当業者は、抗原結合タンパク質(抗原結合タンパク質A)が、配列番号27に記載の配列を有する重鎖および配列番号28に記載の配列を有する軽鎖を含む抗体(抗体B)と、特異的結合部位(β-アミロイド)に関して競合するために、抗原結合タンパク質Aは該アッセイにおいて効果を有するために十分な量で存在しなければならないことを認識する。特定の実施形態では、抗原結合タンパク質Aおよび抗体Bは等モル量で存在する。別の実施形態では、抗原結合タンパク質Aの存在は、ELISAアッセイにおいて、β-アミロイドへの抗体Bの結合を10%、20%、30%、40%または50%を超えて減少させる。別の実施形態では、ELISAアッセイにおいてβ-アミロイドをイムノアッセイプレートに結合させる。別の実施形態では、抗原結合タンパク質Aは、プレートに結合しているβ-アミロイドに対する抗体Bの結合を減少させるが、非β-アミロイド特異的コントロールはそうではない。]
[0088] 本発明の別の態様では、抗原結合タンパク質は、それぞれ配列番号27および配列番号28のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%または99%同一のポリペプチドを含む重鎖および軽鎖を含む治療用抗体であり、該抗体はβ-アミロイドに結合する。好ましい実施形態では、該抗体は、β-アミロイドの残基28〜35を含有するβ-アミロイドペプチドのエピトープを認識する。]
[0089] 本発明の別の態様では、表面プラズモン共鳴によって測定された場合にβ-アミロイドの残基24〜35 (配列番号10)または28〜39 (配列番号11)を含むC末端ビオチニル化β-アミロイドペプチドに結合する抗原結合タンパク質を提供し、該ペプチドはストレプトアビジンセンサーチップに結合している。]
[0090] 本発明の別の態様では、β-アミロイドに特異的に結合し、かつβ-アミロイドの28〜35領域中の少なくとも1個の残基を結合に必要とする抗原結合タンパク質、特にモノクローナル抗体またはその断片を提供する。好ましい実施形態では、抗原結合タンパク質は、さらに、β-アミロイドの28〜35領域中の該少なくとも1個の残基に対する少なくとも1個のフランキング残基または構造上隣接する残基を結合に必要とする。したがって、抗原結合タンパク質は、独立して、β-アミロイドの28、29、30、31、32、33、34および35からなる群から選択される1、2、3、4、5またはそれ以上の残基、およびフランキング残基または構造上隣接する残基を必要とする。]
[0091] 当業者は、例えばELISAアッセイでアラニン置換スキャニングを使用して、そのような抗原結合タンパク質を容易に特定することができる。この点において、抗原結合タンパク質がβ-アミロイドの28〜35領域中の残基、またはフランキング残基もしくは構造上隣接する残基を結合に必要とするか否かは、β-アミロイドの該残基をアラニンで独立して置換し、アラニン置換β-アミロイドペプチドに対する抗原結合タンパク質の結合親和性を野生型β-アミロイドに対する抗原結合タンパク質の結合親和性と比較することによって決定することができる。β-アミロイドの28〜35領域中の残基が必要とされるか否かは、野生型β-アミロイドペプチドと比較されたアラニン置換β-アミロイドペプチドに対する抗原結合タンパク質の結合親和性の減少によって定められ、該減少はBiacoreまたはELISA親和性測定によって測定された場合に1、2、3、4または5倍を超える。]
[0092] さらに、この関連での構造上隣接する残基は、問題の残基に三次元空間で接近し、かつ抗原結合タンパク質が結合する残基である。当業者は、抗原エピトープが線状または非線状ペプチド配列であってよいことを認識する。後者の非線状の場合、残基はペプチド鎖の異なる領域由来であるが、それらは抗原の三次元構造において接近している。そのような構造上隣接する残基は、コンピュータモデリングプログラムによって、またはX線結晶構造解析等の当技術分野において公知の方法によって得られる三次元構造によって決定することができる。]
[0093] 本発明の別の態様では、本発明の抗体の製造方法であって、宿主細胞中で抗体をコードするポリヌクレオチドを発現させるステップを含む方法を提供する。]
[0094] 本発明の別の態様では、配列番号24に記載の配列を有するVH鎖を含む治療用抗体重鎖をコードするポリヌクレオチドを提供する。]
[0095] 本発明の別の態様では、配列番号26に記載の配列を有するVLドメインを含む治療用抗体軽鎖をコードするポリヌクレオチドを提供する。]
[0096] 本発明の別の態様では、配列番号27に記載の配列を有する治療用抗体重鎖をコードするポリヌクレオチドを提供する。]
[0097] 本発明の別の態様では、配列番号28に記載の配列を有する治療用抗体軽鎖をコードするポリヌクレオチドを提供する。]
[0098] 本発明のさらに具体的な実施形態では、配列番号29に記載の配列を含む、治療用抗体重鎖をコードするポリヌクレオチドを提供する。]
[0099] 本発明の別のさらに具体的な実施形態では、配列番号30に記載の配列を含む、治療用抗体軽鎖をコードするポリヌクレオチドを提供する。]
図面の簡単な説明

[0100] 図1は、6F6抗体または6E10 (ヒトAβ1-16に特異的な抗体; 市販の試薬、Eurogentec)および5G5 (Aβ1-42に特異的な抗体;自家試薬)を使用する種々の型のベータアミロイドのウエスタンブロット検出を示す。
図2は、平均値±平均の標準誤差として表される皮質(ortical)プラーク面積%で表される17mg/kgまたは33mg/kg 6F6での治療後のトランスジェニックhAPPマウスの皮質および海馬の脳切片中のプラーク量(plaque load)を示す棒グラフを示す。
図3は、平均値±平均の標準誤差として表されるmm2あたりのプラーク数で表される17mg/kgまたは33mg/kg 6F6での治療後のトランスジェニックhAPPマウスの皮質および海馬の脳切片中のプラーク量を示す棒グラフを示す。
図4は、老齢CFH -/- マウスの網膜中のアミロイドベータの検出を示す。
図5は、老齢CFH -/- マウスの網膜中のアミロイドベータに対する6F6の交差反応性を示す。] 図1 図2 図3 図4 図5
[0101] 発明の詳細な説明
1.抗原結合タンパク質
本明細書中で使用される用語「抗原結合タンパク質」とは、以下でさらに考察されるように、抗体、抗体断片および他のタンパク質構築物、例えばドメイン、特にβ-アミロイドに結合可能なものを表す。]
[0102] 1.1無傷の抗体
本発明の抗原結合タンパク質は「無傷(intact)の抗体」であってよい。本発明の抗原結合タンパク質には、抗体またはその抗原結合断片および/または誘導体である治療用抗体が含まれる。無傷の抗体は、通常、少なくとも2つの重鎖および2つの軽鎖を含むヘテロ多量体の糖タンパク質である。IgMを除いて、無傷の抗体は、2つの同一の軽(L)鎖および2つの同一の重(H)鎖からなる約150KDaのヘテロ四量体の糖タンパク質である。典型的に、各軽鎖は1つの共有結合性ジスルフィド結合によって重鎖に連結されているが、異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖間でジスルフィド結合の数は変動する。また、各重鎖および軽鎖は鎖間ジスルフィド架橋を有する。各重鎖は一端に可変ドメイン(VH)を有し、いくつかの定常領域が続く。各軽鎖は可変ドメイン(VL)およびその他方の端の定常領域を有し; 軽鎖の定常領域は重鎖の第1の定常領域と並び、軽鎖可変ドメインは重鎖の可変ドメインと並ぶ。ほとんどの脊椎動物種由来の抗体の軽鎖は、定常領域のアミノ酸配列に基づいてカッパおよびラムダと称される2つのタイプのうちの1つに割り当てることができる。それらの重鎖の定常領域のアミノ酸配列に基づいて、ヒト抗体を5つの異なるクラス、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMに割り当てることができる。IgGおよびIgAはサブクラス、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4; ならびにIgA1およびIgA2にさらに細分することができる。種変異体は、少なくともIgG2a、IgG2bを有するマウスおよびラットで存在する。抗体の可変ドメインは抗体に結合特異性を与え、相補性決定領域(CDR)と称される特定の可変性を示す特定の領域を有する。可変領域の、より保存されている部分はフレームワーク領域(FR)と称される。無傷の重鎖および軽鎖の可変ドメインはそれぞれ、3つのCDRによって連結された4つのFRを含む。各鎖中のCDRはFR領域によって密接してまとめられ、他方の鎖由来CDRとともに抗体の抗原結合部位の形成に寄与する。定常領域は抗原に対する抗体の結合に直接関与しないが、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)への関与、Fcγ受容体への結合を介する食作用、新生児Fc受容体(FcRn)を介する半減期/クリアランス速度および補体カスケードのC1q成分を介する補体依存性細胞傷害等の種々のエフェクター機能を示す。ヒトIgG2定常領域は、古典的経路によって補体を活性化するかまたは抗体依存性細胞性細胞傷害を媒介する能力を本質的に欠いていることが報告されている。IgG4定常領域は、古典的経路によって補体を活性化する能力を欠き、かつ抗体依存性細胞性細胞傷害を弱くしか媒介しないことが報告されている。これらのエフェクター機能を本質的に欠いている抗体は、「非溶解性(non-lytic)」抗体と称される。]
[0103] 1.1.1ヒト抗体
本発明の抗原結合タンパク質はヒト抗体であってよい。ヒト抗体は当業者に公知のいくつかの方法によって製造することができる。ヒト抗体は、ヒト骨髄腫またはマウス-ヒトヘテロミエローマセルラインを使用するハイブリドーマ法によって作製することができる。Kozbor J.Immunol 133, 3001, (1984)およびBrodeur, Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, pp51-63 (Marcel Dekker Inc, 1987)を参照のこと。代替法には、ファージライブラリーまたはトランスジェニックマウスの使用が含まれ、それらはともに、ヒトV領域レパートリーを利用する(Winter G, (1994), Annu.Rev.Immunol 12,433-455, GreenLL(1999), J.Immunol.methods231, 11-23を参照のこと)。]
[0104] マウス免疫グロブリン遺伝子座がヒト免疫グロブリン遺伝子セグメントで置換されているいくつかのトランスジェニックマウス系統が現在利用可能である(Tomizuka K, (2000) PNAS 97,722-727; Fishwild D.M (1996) Nature Biotechnol. 14,845-851, Mendez MJ, 1997, Nature Genetics, 15,146-156を参照のこと)。抗原チャレンジ時に、そのようなマウスはヒト抗体のレパートリーを生産可能であり、そのレパートリーから目的の抗体を選択することができる。]
[0105] 特に注目すべきはTrimeraTM系(Eren R et al, (1998) Immunology 93:154-161を参照のこと)(該系では、ヒトリンパ球を放射線照射マウスに移植する)、選択リンパ球抗体系(Selected Lymphocyte Antibody System)(SLAM, Babcook et al, PNAS (1996) 93:7843-7848を参照のこと)(該系では、ヒト(または他の種の)リンパ球を、効果的に、大規模なプールされたin vitro抗体産生手順およびその後のデコンビュレート(deconvulated)された限界希釈および選択手順にかける)、およびXenomouse IITM (Abgenix Inc)である。MorphodomaTMテクノロジーを使用する代替アプローチはMorphotek Incから入手可能である。]
[0106] ファージディスプレイテクノロジーを使用してヒト抗体(およびその断片)を製造することができる。McCafferty; Nature, 348, 552-553 (1990)およびGriffiths AD et al (1994)EMBO 13:3245-3260を参照のこと。この技術では、抗体Vドメイン遺伝子を、糸状バクテリオファージ、例えばM13またはfdのメジャーまたはマイナーコートタンパク質遺伝子にインフレームでクローニングし、ファージ粒子の表面上で機能的抗体断片として(通常ヘルパーファージの支援を受けて)ディスプレイする。抗体の機能的特性に基づく選択の結果、それらの特性を示す抗体をコードする遺伝子が選択される。ファージディスプレイ技術を使用して、上記疾患または障害に罹患した個体から、あるいは免疫されていないヒトドナーから採取されたヒトB細胞から作製されたライブラリーから抗原に特異的な抗体を選択することができる(Marks; J.Mol.Biol. 222,581-597, 1991を参照のこと)。Fcドメインを含む無傷のヒト抗体が所望である場合、所望の定常領域を含みかつ安定な発現セルラインを確立している哺乳類発現ベクターにファージディスプレイされた誘導体断片を再クローニングすることが必要である。]
[0107] 親和性成熟の技術を使用して結合親和性を向上させてもよい。これは、例えば、連続的にHおよびL鎖V領域を天然に存在する変異体で置換し、向上した結合親和性に基づいて選択することによって達成することができる(Marks; Bio/technol 10,779-783 (1992)。この技術の変法、例えば「エピトープインプリンティング」もまた現在利用可能である(WO 93/06213, Waterhouse; Nucl.AcidsRes 21, 2265-2266 (1993))。つい最近、親和性成熟された抗体は、例えば誤りがちのRNAレプリカーゼを使用することによるV領域またはCDRのランダム突然変異誘発およびその後の、これらのライブラリーからのリボソームディスプレイ選択技術による選択によって得られている(Kopsidas GBMCBiotechnology. 7:18, 2007)。]
[0108] 1.1.2キメラおよびヒト化抗体
本発明の抗原結合タンパク質は「キメラ」または「ヒト化」抗体であってよい。ヒト疾患または障害の治療での無傷の非ヒト抗体の使用は、現在十分に確立されている潜在的免疫原性の問題を、特に抗体の反復投与時に伴う: すなわち、患者の免疫系は、非ヒトの無傷の抗体を非自己として認識し、中和応答を開始する。完全なヒト抗体(上記)を開発することに加えて、これらの問題を克服するために長年にわたって種々の技術が開発されており、一般に、免疫された動物、例えばマウス、ラットまたはウサギから非ヒト抗体を取得する際の相対的容易さを保持しながら、無傷の治療用抗体中の非ヒトアミノ酸配列の組成を減らすことを含む。これを達成するために広く2つのアプローチが使用されている。第1のアプローチはキメラ抗体であり、キメラ抗体は、一般に、ヒト定常領域に融合された非ヒト(例えばマウス等のげっ歯類)可変ドメインを含む。抗体の抗原結合部位は可変領域内に位置するため、キメラ抗体は抗原に関するその結合親和性を保持するが、ヒト定常領域のエフェクター機能を獲得し、したがって上記のようにエフェクター機能を実施することができる。キメラ抗体は典型的に組換えDNA法を使用して製造される。抗体をコードするDNA (例えばcDNA)を、慣用の手順を使用して(例えば本発明の抗体のHおよびL鎖可変領域をコードする遺伝子、例えば上記配列番号19および21のDNAに特異的に結合可能なオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)単離し、シークエンシングする。ハイブリドーマ細胞はそのようなDNAの典型的供給源として有用である。単離されたら、DNAを発現ベクターに入れ、次いで該発現ベクターを、さもなければ免疫グロブリンタンパク質を生産しない宿主細胞、例えばE.Coli、COS細胞、CHO細胞、PerC6細胞または骨髄腫細胞にトランスフェクトして抗体の合成を達成する。ヒトLおよびH鎖のコード配列を、対応する非ヒト(例えばマウス) HおよびL定常領域の代わりに使用することによってDNAを改変してよい。例えばMorrison; PNAS 81, 6851 (1984)を参照のこと。ゆえに、本発明の別の実施形態では、ヒト定常領域(恐らくIgGアイソタイプ、例えばIgG1の定常領域)に融合された、配列番号19の配列を有するVHドメインおよび配列番号21の配列を有するVLドメインを含むキメラ抗体を提供する。]
[0109] 第2のアプローチは、抗体の非ヒト部分が可変領域のヒト化によって減少しているヒト化抗体の作製を含む。2つのヒト化技術が人気を得ている。第1の技術はCDR移植によるヒト化である。CDRは、抗体のN末端の近くにループを形成し、それらは、フレームワーク領域によって提供される骨格にマウントされた表面を形成する。抗体の抗原結合特異性は、トポグラフィーによっておよびそのCDR表面の化学的特性によって主に規定される。これらの特徴は、ひいては、個々のCDRのコンフォメーションによって、CDRの相対的配置によって、およびCDRを構成する残基の側鎖の性質および配置によって決定される。非ヒト(例えばマウス)抗体(「ドナー」抗体)のCDRのみを、好適なヒトフレームワーク(「アクセプターフレームワーク」)および定常領域に移植することによって免疫原性の大きな低下を達成することができる(Jones et al (1986) Nature 321,522-525およびVerhoeyen M et al (1988) Science 239, 1534-1536を参照のこと)。しかし、CDR移植は、本質的に、抗原結合特性の完全な保持をもたらさず、重大な抗原結合親和性を回収しようとする場合、ヒト化分子中でドナー抗体のいくつかのフレームワーク残基を保存する(「復帰突然変異」と称されることもある)必要があることがよく見出される(Queen C et al (1989) PNAS 86, 10,029-10,033, Co, M et al (1991) Nature 351, 501-502を参照のこと)。この場合、ヒトフレームワーク(FR)を提供するために、非ヒトドナー抗体に対して最大配列ホモロジー(典型的に60%以上)を示すヒトV領域をデータベースから選択することができる。ヒトFRの選択はヒトコンセンサスまたは個別のヒト抗体から行うことができる。必要であれば、CDRコンフォメーションを保存するために、ドナー抗体由来の重要な残基をヒトアクセプターフレームワーク内に代用する。抗体のコンピュータモデリングを使用して、そのような構造上重要な残基の特定を支援することができる。WO99/48523を参照のこと。]
[0110] あるいは、ヒト化は「ベニアリング(veneering)」の処理によって達成することができる。固有のヒトおよびマウス免疫グロブリン重鎖および軽鎖可変領域の統計解析では、ヒトおよびマウス抗体において露出残基の厳密なパターンが異なり、ほとんどの個々の表面位置は少数の異なる残基に関して強い優先性を有することが示された(Padlan E.A. et al; (1991) Mol.Immunol.28, 489-498およびPedersen J.T. et al (1994) J.Mol.Biol. 235; 959-973を参照のこと)。したがって、ヒト抗体で通常見出される露出残基と異なるフレームワーク領域中の露出残基を置換することによって非ヒトFvの免疫原性を低下させることが可能である。タンパク質抗原性は表面到達性と相関しうるため、表面残基の置換は、マウス可変領域をヒト免疫系に対して「不可視」にするために十分である(Mark G.E. et al (1994) in Handbook of Experimental Pharmacology vol.113: The pharmacology of monoclonal Antibodies, Springer-Verlag, pp105-134も参照のこと)。このヒト化手順は「ベニアリング」と称される。その理由は、抗体の表面だけが改変され、支持残基は元のままであるからである。さらに代替のアプローチには、WO04/006955に記載のアプローチおよびHumaneeringTM (Kalobios)の手順が含まれる。該手順は細菌発現系を活用し、ヒト生殖細胞系に近い配列の抗体を生産する(Alfenito-M Advancing Protein Therapeutics January 2007, San Diego,California)。]
[0111] 用語「由来(derived)」は、それが物質の物理的起源であるという意味での供給源を規定するだけでなく、該物質と構造的に同一であるが参照供給源を起源としない物質をも規定するとされることが当業者には明らかである。ゆえに「ドナー抗体中に見出される残基」は、必ずしも、ドナー抗体から精製されたことを必要としない。]
[0112] 特定のアミノ酸置換が「保存的」であるとみなされることが当技術分野において十分に認識される。アミノ酸は共通の側鎖特性に基づいてグループに分けられ、本発明の治療用抗体のすべてまたは実質的にすべての結合親和性を維持するグループ内の置換は保存的置換とみなされる。以下の表1を参照のこと。]
[0113] ]
[0114] 1.1.3多重および二重特異性抗体
本発明の抗原結合タンパク質は多重特異性であってよく、すなわち2種以上の抗原に結合してよい。特定の実施形態では、抗原結合タンパク質は二重特異性抗体である。二重特異性抗体は少なくとも2つの異なるエピトープに対する結合特異性を有する抗体誘導体であり、二重特異性抗体もまた本発明の部分を形成する。そのような抗体の製造方法は当技術分野において公知である。伝統的に、二重特異性抗体の組換え生産は2つの免疫グロブリンH鎖-L鎖ペアの共発現に基づき、該2つのH鎖は異なる結合特異性を有する。Millstein et al, Nature 305 537-539 (1983), WO93/08829およびTraunecker et alEMBO, 10, 1991, 3655-3659を参照のこと。HおよびL鎖のランダムな組み合わせのせいで、10種の異なる抗体構造の候補混合物が得られ、そのうち1種のみが所望の結合特異性を有する。代替アプローチでは、所望の結合特異性を有する可変ドメインを、ヒンジ領域の少なくとも部分、CH2およびCH3領域を含む重鎖定常領域に融合させるステップを含む。融合物の少なくとも一方に存在する、軽鎖結合に必要な部位を含有するCH1領域を有することが好ましい。これらの融合物、および所望であればL鎖をコードするDNAを別々の発現ベクターに挿入し、次いで好適な宿主生物内に共トランスフェクトする。しかし、2つまたは全3つの鎖のコード配列を1発現ベクター内に挿入することが可能である。好ましい1アプローチでは、二重特異性抗体は、一方のアームの第1の結合特異性を有するH鎖および他方のアームの第2の結合特異性を提供するH-L鎖ペアから構成される。WO94/04690を参照のこと。また、Suresh et al Methodsin Enzymology 121, 210, 1986を参照のこと。]
[0115] 治療用タンパク質の脳への送達は血液脳関門(BBB)の存在によって阻止されており、眼と血流の間には、類似の血液網膜関門が存在する。本発明の抗原結合タンパク質、例えば本発明の抗体または本発明の抗体断片をBBB等の生物学的障壁を横切って送達することが所望である場合、必要であればそのような送達を増強する種々のストラテジーが提唱されており、血液網膜関門の横断を可能にするために類似のストラテジーが適用可能である。]
[0116] 血液から必要な栄養分および因子を得るために、BBBは、循環血液から脳へ化合物を輸送するいくつかの特定の受容体を有する。インスリン(Duffy KR et al (1989) Brain Res. 420:32-38を参照のこと)、トランスフェリン(FishmanJBet al (1987) J.Neurosci 18:299-304を参照のこと)およびインスリン様成長因子1および2 (Pardridge WM (1986) Endocrine Rev.7:314-330およびDuffy KR et al (1986) Metabolism 37:136-140を参照のこと)等のいくつかの化合物が受容体を介するトランスサイトーシスによってBBBを横切ることが研究で示されている。ゆえにこれらの分子の受容体は、いわゆる「誘導(vectored)」抗体を使用して本発明の治療用抗体が脳にアクセスするための潜在的手段を提供する(Pardridge WM (1999) Advanced Drug Delivery Review 36:299-321を参照のこと)。例えば、トランスフェリン受容体に対する抗体は脳実質内に動的に輸送されることが示されている(Friden PM et al (1991) PNAS 88:4771-4775およびFriden PM et al (1993) Science 259:373-377を参照のこと)。ゆえに、1つの候補アプローチは、第1の特異性が、上記β-アミロイドの残基28〜35を含有するβ-アミロイドペプチドのエピトープを標的にし、かつ第2の特異性が、BBBに位置する輸送受容体を標的にし、例えば第2の特異性がトランスフェリン輸送受容体を標的にする、上記のような二重特異性抗体または二重特異性断片を製造することである。]
[0117] 本発明によって想定される他の二重特異性抗体には、β-アミロイドに対する第1の特異性および補体経路のアクチベータ、例えば、他のものを除外することなく、補体因子D等の補体因子、に対する第2の特異性をその活性を阻害することを目的として有する二重特異性抗体またはその二重特異性断片が含まれる。]
[0118] 本発明の多重特異性抗原結合タンパク質には、β-アミロイド、例えば上記β-アミロイドの残基28〜35を含有するβ-アミロイドペプチドのエピトープに対する第1の特異性、BBBまたは血液-網膜関門に位置する輸送受容体に対する第2の特異性、および補体経路のアクチベータに対する第3の特異性を有するタンパク質が含まれる。]
[0119] 1.2抗体断片および、ドメイン等の他のタンパク質構築物
本発明の特定の実施形態では、抗原結合断片である治療用抗体を提供する。そのような断片は無傷および/またはヒト化および/またはキメラ抗体の機能的抗原結合断片であってよく、例えば上記抗体のFab、Fd、Fab'、F(ab')2、Fv、ScFv断片であってよい。定常領域を欠いている断片は、古典的経路によって補体を活性化する能力または抗体依存性細胞性細胞傷害を媒介する能力を欠いている。伝統的にそのような断片は、無傷の抗体のタンパク質分解による消化によって、例えばパパイン消化によって製造される(例えばWO 94/29348を参照のこと)が、組換え的に形質転換された宿主細胞から直接製造してもよい。ScFvの製造に関しては、Bird et al; (1988) Science, 242, 423-426を参照のこと。さらに、下記のような種々の工学技術を使用して抗体断片を製造することができる。]
[0120] Fv断片は、Fab断片より低い、その2つの鎖の相互作用エネルギーしか有さないようである。VHおよびVLドメインの会合を安定化するために、それらはペプチド(Bird et al, (1988) Science 242, 423-426, Huston et al, PNAS, 85, 5879-5883)、ジスルフィド架橋(Glockshuber et al, (1990) Biochemistry, 29, 1362-1367)および「ノブ・イン・ホール(knob in hole)」突然変異(Zhu et al (1997), Protein Sci., 6, 781-788)で連結されている。ScFv断片は当業者に周知の方法によって製造することができる。Whitlow et al (1991) Methodscompanion Methods Enzymol, 2, 97-105およびHuston et al (1993) Int.Rev.Immunol 10, 195-217を参照のこと。ScFvはE.Coli等の細菌細胞で製造することができるが、より典型的には、真核細胞で製造する。ScFvの不都合の1つは生成物の一価性(monovalency)であり、それは、多価結合に起因する高いアビディティーを妨げ、かつ半減期が短い。これらの問題を克服する試みには、化学カップリング(Adams et al (1993) Can.Res 53, 4026-4034およびMcCartney et al (1995) Protein Eng. 8, 301-314)によって、または対になっていないC末端システイン残基を含有するScFvの自発的部位特異的二量体化(Kipriyanov et al (1995) Cell. Biophys 26, 187-204を参照のこと)によって追加のC末端システインを含有するScFVから製造される二価(ScFv')2が含まれる。あるいは、ペプチドリンカーを3〜12個の範囲の残基に短くして「ダイアボディ(diabodies)」を形成させることによってScFvに多量体を形成させることができる。Holliger et al PNAS (1993), 90, 6444-6448を参照のこと。リンカーを縮小することによって、さらに、ScFV三量体(「トリアボディ(triabodies)」, Kortt et al (1997) Protein Eng, 10, 423-433を参照のこと)および四量体(「テトラボディ(tetrabodies)」, Le Gall et al (1999) FEBSLett, 453, 164-168を参照のこと)を得ることができる。二価ScFV分子の構築は、「ミニ抗体(miniantibodies)」(Pack et al (1992) Biochemistry 31, 1579-1584を参照のこと)および「ミニボディ(minibodies)」(Hu et al (1996), Cancer Res. 56, 3055-3061を参照のこと)を形成するためのタンパク質二量体化モチーフとの遺伝子融合によって達成することもできる。2つのScFv単位を第3のペプチドリンカーによって連結することによってScFv-Sc-Fvタンデム((ScFV)2)を製造してもよい。Kurucz et al (1995) J.Immol.154, 4576-4582を参照のこと。二重特異性ダイアボディは、別の抗体のVLドメインに短いリンカーによって連結された1抗体由来のVHドメインからなる2つの単鎖融合産物の非共有結合性の会合によって製造することができる。Kipriyanov et al (1998), Int.J.Can 77,763-772を参照のこと。そのような二重特異性ダイアボディの安定性は、上記のようなジスルフィド架橋または「ノブ・イン・ホール」突然変異の導入によってまたは、2つのハイブリッドScFv断片がペプチドリンカーによって連結されている単鎖ダイアボディ(ScDb)の形成によって増強することができる。Kontermann et al (1999) J.Immunol.Methods 226 179-188を参照のこと。四価二重特異性分子は、例えばScFv断片をIgG分子のCH3ドメインまたはFab断片にヒンジ領域を介して融合させることによって入手可能である。Coloma et al (1997) Nature Biotechnol. 15, 159-163を参照のこと。あるいは、四価二重特異性分子は二重特異性単鎖ダイアボディの融合によって作製されている(Alt et al, (1999) FEBS Lett 454, 90-94を参照のこと。ヘリックス・ループ・ヘリックスモチーフを含有するリンカーでのScFv-ScFvタンデム(DiBiミニ抗体, Muller et al (1998) FEBS Lett 432, 45-49を参照のこと)または分子内対形成を妨げる向きで4つの抗体可変ドメイン(VHおよびVL)を含む単鎖分子(タンデムダイアボディ(tandem diabody), Kipriyanov et al, (1999) J.Mol.Biol. 293, 41-56を参照のこと)の二量体化によって、より小さい四価二重特異性分子を形成させることもできる。二重特異性F(ab')2断片は、Fab'断片の化学カップリングによってまたはロイシンジッパーによるヘテロ二量体化によって作製することができる(Shalaby et al, (1992) J.Exp.Med. 175, 217-225およびKostelny et al (1992), J.Immunol. 148, 1547-1553を参照のこと)。また、単離されたVHおよびVLドメインも利用可能である。US 6, 248,516; US 6,291,158; US 6, 172,197を参照のこと。]
[0121] フレーズ「免疫グロブリン単一可変ドメイン」とは、異なるV領域またはドメインと無関係に抗原またはエピトープに特異的に結合する抗体可変ドメイン(VH, VHH, VL)を表す。免疫グロブリン単一可変ドメインは、他の異なる可変領域または可変ドメインを伴う形態(例えばホモ-またはヘテロ-多量体)で存在してよく、その場合、該他の領域またはドメインは単一免疫グロブリン可変ドメインによる抗原結合に必要とされない(すなわち、その場合、免疫グロブリン単一可変ドメインが追加の可変ドメインとは無関係に抗原に結合する)。「ドメイン抗体」または「dAb」は、該用語が本明細書中で使用されるように、抗原に結合可能な「免疫グロブリン単一可変ドメイン」と同じである。免疫グロブリン単一可変ドメインはヒト抗体可変ドメインであってよいが、(例えばWO 00/29004で開示されるように)げっ歯類、テンジクザメ(nurse shark)およびラクダ科(Camelid) VHH dAb等の他の種由来の単一抗体可変ドメインを含んでもよい。ラクダ科VHHは、天然に軽鎖を欠いている重鎖抗体を生産する、ラクダ、ラマ、アルパカ、ヒトコブラクダ、およびグアナコを含む種由来の免疫グロブリン単一可変ドメインポリペプチドである。そのようなVHHドメインは、当技術分野において利用可能な標準的技術にしたがってヒト化することができ、そのようなドメインは、依然として、本発明の「ドメイン抗体」であるとみなされる。本明細書中で使用されるように"VHにはラクダ科VHHドメインが含まれる。]
[0122] 抗原結合断片は、ドメイン等の非抗体タンパク質骨格上での1つ以上のCDRの配置を用いて提供してもよい。ドメインは、異なる可変領域またはドメインとは無関係に抗原またはエピトープに特異的に結合することができる。これは上記のようにドメイン抗体であるか、または、天然リガンド以外の抗原への結合を達成するためにタンパク質工学に付されている、CTLA-4、リポカリン(lipocalin)、SpA、Affibody、アビマー(avimer)、GroEl、トランスフェリン、GroESおよびフィブロネクチン/アドネクチン(adnectin)からなる群から選択される骨格の誘導体であるドメインであってよい。]
[0123] この関連で、用語「ドメイン」とは、残りのタンパク質とは無関係の三次構造を有するフォールディングしたタンパク質構造を表す。一般に、ドメインはタンパク質の個別の機能的特性に関与し、多くの場合、残りタンパク質および/または残りのドメインの機能喪失を伴うことなく、他のタンパク質に対して付加、除去または転移させることができる。「単一可変ドメイン」は、抗体可変ドメインに特徴的な配列を含むフォールディングしたポリペプチドドメインである。したがって、それには、完全抗体可変ドメインおよび改変された可変ドメイン、例えば、1つ以上のループが、抗体可変ドメインに特徴的でない配列によって置換されている改変された可変ドメイン、または切断されているか、もしくはNもしくはC末端伸長を含む抗体可変ドメイン、ならびに完全長ドメインの少なくとも結合活性および特異性を保持するフォールディングした可変ドメイン断片が含まれる。]
[0124] 1.3 ヘテロコンジュゲート抗体
ヘテロコンジュゲート抗体は誘導体であり、それもまた、本発明の実施形態を形成する。ヘテロコンジュゲート抗体は2つの、共有結合によって連結された、任意の好都合な架橋方法を使用して形成された抗体から構成される。US 4,676,980を参照のこと。]
[0125] 1.4 他の改変
抗体のFc領域と種々のFc受容体(FcγR)との間の相互作用は抗体のエフェクター機能を媒介すると考えられ、該エフェクター機能には、抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)、補体の固定、食作用および抗体の半減期/クリアランスが含まれる。所望のエフェクター特性に応じて本発明の抗体のFc領域への種々の改変を実行することができる。特に、(a) 古典的経路による補体の活性化の機能; および(b) 抗体依存性細胞性細胞傷害を媒介する機能を本質的に欠いているヒト定常領域には、IgG4定常領域、IgG2定常領域および、EP0307434 (WO8807089)、EP 0629 240 (WO9317105)およびWO 2004/014953で開示される例えば位置234、235、236、237、297、318、320および/または322での突然変異のような特定の突然変異を含有するIgG1定常領域が含まれる。重鎖定常領域のCH2ドメイン内の残基235または237での突然変異(Kabatナンバリング; EU Index系)は、FcγRI、FcγRIIおよびFcγRIII結合への結合を減少させ、したがって抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)を減少させることが別途記載されている(Duncan et al. Nature 1988, 332; 563-564; Lund et al. J. Immunol. 1991, 147; 2657-2662; Chappelet al. PNAS 1991, 88; 9036-9040; Burton and Woof, Adv. Immunol. 1992, 51;1-84; Morgan et al., Immunology 1995, 86; 319-324; Hezareh et al., J. Virol. 2001, 75 (24); 12161-12168)。さらに、いくつかの報告では、補体依存性細胞傷害(CDC)の漸加または媒介にこれらの残基のいくつかが関与することも記載されている(Morgan et al., 1995; Xu et al., Cell. Immunol. 2000; 200:16-26; Hezareh et al., J. Virol. 2001, 75 (24); 12161-12168)。したがって、補体媒介性およびFcγR媒介性の両効果を減少させるために、残基235および237はともにアラニン残基に突然変異させられている(Brett et al. Immunology 1997, 91; 346-353; Bartholomew et al. Immunology 1995, 85; 41-48; およびWO9958679)。これらの定常領域を含む抗体は「非溶解性」抗体と称される。]
[0126] サルベージ受容体結合エピトープを抗体に組み込んで血清半減期を増加させることができる。US 5,739,277を参照のこと。]
[0127] 5種の現在認識されているヒトFcγ受容体、FcγR (I)、FcγRIIa、FcγRIIb、FcγRIIIaおよび新生児FcRnが存在する。Shieldset al, (2001) J.Biol.Chem 276, 6591-6604では、共通セットのIgG1残基はすべてのFcγRの結合に関与するが、FcγRIIおよびFcγRIIIはこの共通セットの外部の異なる部位を利用することが示された。1群のIgG1残基: Pro-238、Asp-265、Asp-270、Asn-297およびPro-239は、アラニンに改変された場合にすべてのFcγRに対する結合を減少させた。すべてはIgG CH2ドメイン中にあり、CH1およびCH2を連結するヒンジ付近でクラスターを形成している。FcγRIは共通セットのIgG1残基のみを結合に利用するが、FcγRIIおよびFcγRIIIは共通セットに加えて別の残基と相互作用する。いくつかの残基の改変はFcγRII (例えばArg-292)またはFcγRIII (例えばGlu-293)のみに対する結合を減少させた。いくつかの変異体はFcγRIIまたはFcγRIIIに対する結合の向上を示したが、他の受容体への結合には影響しなかった(例えばSer-267AlaはFcγRIIに対する結合を向上させたが、FcγRIIIに対する結合は影響を受けなかった)。他の変異体はFcγRIIまたはFcγRIIIに対する向上した結合を示し、他の受容体に対する結合は減少した(例えば、Ser-298AlaはFcγRIIIに対する結合を向上させ、かつFcγRIIに対する結合を減少させた)。FcγRIIIaでは、最良の結合を示すIgG1変異体はSer-298、Glu-333およびLys-334でのアラニン置換の組み合わせを有した。新生児FcRn受容体は、IgG分子の分解からの保護およびゆえに血清半減期および組織を横切るトランスサイトーシスの向上に関与すると考えられる(Junghans R.P (1997) Immunol.Res 16. 29-57およびGhetie et al (2000) Annu.Rev.Immunol. 18, 739-766を参照のこと)。ヒトFcRnと直接相互作用することが決定されているヒトIgG1残基には、Ile253、Ser254、Lys288、Thr307、Gln311、Asn434およびHis435が含まれる。]
[0128] 本発明の治療用抗体は任意の上記定常領域の改変を包含してよい。]
[0129] 特定の実施形態では、治療用抗体は、(a) 古典的経路による補体の活性化の機能; および(b)抗体依存性細胞性細胞傷害を媒介する機能を本質的に欠いている。さらに具体的な実施形態では、本発明は、半減期/クリアランスおよび/またはエフェクター機能、例えばADCCおよび/または補体依存性細胞傷害および/または補体溶解を改変するための上で詳述される残基変化の任意の1つ(またはそれ以上)を有する本発明の治療用抗体を提供する。]
[0130] 本発明の別の態様では、治療用抗体は235 (例えばL235A)および237 (例えばG237A)(Kabatで概説されるEUスキームにしたがうナンバリング)位でのアラニン(または他の崩壊性)置換を有するアイソタイプヒトIgG1の定常領域を有する。]
[0131] 本発明の他の誘導体には、本発明の抗体のグリコシル化変異体が含まれる。定常領域中の保存された位置での抗体のグリコシル化は、上記のような抗体機能、特にエフェクター機能性に対して顕著な影響を有することが知られている。例えばBoyd et al (1996), Mol.Immunol. 32, 1311-1318を参照のこと。1つ以上の炭水化物部分が付加、置換、欠失または修飾されている本発明の治療用抗体のグリコシル化変異体が想定される。アスパラギン-X-セリンまたはアスパラギン-X-スレオニンモチーフの導入は炭水化物部分の、酵素による取り付けのための潜在的部位を創出し、したがって抗体のグリコシル化を操作するために使用することができる。Raju et al (2001) Biochemistry 40, 8868-8876では、ベータ-1, 4-ガラクトシルトランスフェレース(beta-1, 4-galactosyltransferace)および/またはアルファ, 2,3シアリルトランスフェラーゼを使用する再ガラクトシル化および/または再シアリル化の処理によってTNFR-IgGイムノアドヘシンの末端シアリル化(sialyation)を増加させた。末端シアリル化の増加は免疫グロブリンの半減期を増加させると考えられる。典型的に、抗体は、ほとんどの糖タンパク質と同様に、グリコフォームの混合物として天然に生産される。この混合物は、抗体が真核生物、特に哺乳類細胞中で生産される場合に特に明らかである。特定のグリコフォームを製造する種々の方法が開発されている。Zhang et al Science (2004), 303, 371, Sears et al, Science, (2001) 291, 2344, Wacker et al (2002) Science, 298 1790, Davis et al (2002) Chem.Rev. 102, 579, Hang et al (2001) Acc.Chem.Res 34, 727を参照のこと。ゆえに、本発明は、本明細書中に記載の複数の治療用抗体(IgGアイソタイプ、例えばIgG1の抗体であってよい)であって、該抗体の特定数(例えば7以下、例えば5以下、例えば2または1つ)のグリコフォーム(群)を含む複数の治療用抗体に関する。]
[0132] また、本発明の誘導体には、非タンパク質性(non-proteinaeous)ポリマー、例えばポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコールまたはポリオキシアルキレンにカップリングされた本発明の治療用抗体が含まれる。PEGに対するタンパク質のコンジュゲーションは、タンパク質の半減期を長くし、ならびにタンパク質の抗原性および免疫原性を減少させるための確立された技術である。異なる分子量およびスタイル(直鎖または分岐)を有するペグ化の使用が無傷の抗体ならびにFab'断片を用いて調査されている。Koumenis I.L. et al (2000) Int.J.Pharmaceut. 198:83-95を参照のこと。特定の実施形態は、PEGにカップリングされている、(a) 古典的経路による補体の活性化のエフェクター機能; および(b)抗体依存性細胞性細胞傷害を媒介するエフェクター機能を有さない本発明の抗原結合断片(例えばFab断片またはscFv)を含む。]
[0133] 2. 製造方法
本発明の抗体はトランスジェニック生物、例えばヤギ(Pollock et al (1999), J.Immunol.Methods231:147-157を参照のこと)、ニワトリ(Morrow KJJ (2000) Genet.Eng.News 20:1-55を参照のこと)、マウス(Pollock et al同書を参照のこと)または植物(Doran PM, (2000) Curr.Opinion Biotechnol. 11, 199-204, Ma JK-C (1998), Nat.Med. 4; 601-606, Baez J et al, BioPharm (2000) 13: 50-54, Stoger E et al; (2000) Plant Mol.Biol. 42:583-590を参照のこと)中で製造することができる。抗体は化学合成によって製造してもよい。しかし、本発明の抗体は、典型的に、当業者に周知の組換え細胞培養テクノロジーを使用して製造される。抗体をコードするポリヌクレオチドを単離し、宿主細胞中でのさらなる増殖または発現のためにプラスミド等の複製可能ベクターに挿入する。有用な発現系の1つはグルタミン酸合成酵素系(Lonza Biologicsによって販売されている系等)であり、特に該系では、宿主細胞はCHOまたはNS0である(下記参照のこと)。抗体をコードするポリヌクレオチドは慣用の手順(例えばオリゴヌクレオチドプローブ)を使用して容易に単離およびシークエンシングすることができる。使用することができるベクターには、プラスミド、ウイルス、ファージ、トランスポゾン、ミニ染色体(minichromsomes)が含まれ、それらのうちプラスミドが典型的な実施形態である。一般に、そのようなベクターはさらに、発現を容易にするよう、軽鎖および/または重鎖ポリヌクレオチドに作動可能に連結されたシグナル配列、複製開始点、1種以上のマーカー遺伝子、エンハンサー要素、プロモーターおよび転写終結配列を含む。軽鎖および重鎖をコードするポリヌクレオチドを別々のベクターに挿入して、同一の宿主細胞内に(例えば形質転換、トランスフェクション、エレクトロポレーションまたは形質導入によって)同時にまたは逐次導入するか、または、所望であれば、重鎖および軽鎖をともに同一のベクターに挿入した後にそのような導入を行うことができる。]
[0134] 遺伝暗号の縮重のせいで、本発明のポリペプチドをコードする本明細書中で開示されるポリヌクレオチドの代替ポリヌクレオチドもまた利用可能であることが当業者には自明である。]
[0135] 2.1シグナル配列
本発明の抗原結合タンパク質、例えば抗体は、成熟タンパク質のN末端に特異的切断部位を有する異種シグナル配列との融合タンパク質として製造することができる。該シグナル配列は宿主細胞によって認識およびプロセシングされるべきである。原核宿主細胞では、該シグナル配列は、アルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、または熱安定エンテロトキシンIIリーダーであってよい。酵母の分泌では、該シグナル配列は、酵母インベルターゼリーダー、α因子リーダーまたは酸性ホスファターゼリーダーであってよい。例えばWO90/13646を参照のこと。哺乳類細胞系では、ウイルス分泌性リーダー、例えば単純ヘルペスgDシグナルおよびネイティブの免疫グロブリンシグナル配列(例えばヒトIg重鎖)が利用可能である。典型的に、シグナル配列は、本発明の抗体をコードするポリヌクレオチドにリーディングフレーム(読み枠)でライゲートされる。]
[0136] 2.2複製開始点
複製開始点は当技術分野において周知であり、ほとんどのグラム陰性菌に好適なpBR322、ほとんどの酵母に関する2μプラスミドおよびほとんどの哺乳類細胞に関する種々のウイルス起点、例えばSV40、ポリオーマ、アデノウイルス、VSVまたはBPVがある。一般に、SV40複製開始点成分は完全な(integrated)哺乳類発現ベクターには必要とされない。しかしSV40 oriを含ませてよい。その理由は、それが初期プロモータを含有するからである。]
[0137] 2.3選択マーカー
典型的な選択遺伝子は、(a)抗生物質または他の毒素、例えばアンピシリン、ネオマイシン、メトトレキセートまたはテトラサイクリンに対する耐性を付与するか、または(b)栄養要求性欠損を補完するかもしくは複合培地中で利用可能でない栄養分を供給するか、または(c) 両者の組み合わせのタンパク質をコードする。選択スキームは、ベクターまたはベクター群を含有しない宿主細胞の成長を停止させることを含む。本発明の治療用抗体をコードする遺伝子でうまく形質転換された細胞は、例えば、共送達された選択マーカーによって付与された薬剤耐性のおかげで生存する。一例はDHFR選択系であり、該系では、DHFR陰性宿主株において形質転換体を作製する(例えばPage and Sydenham 1991 Biotechnology 9: 64-68を参照のこと)。この系では、DHFR遺伝子を本発明の抗原結合タンパク質、例えば抗体のポリヌクレオチド配列と共送達し、そしてDHFR陽性細胞をヌクレオシド離脱によって選択する。必要であれば、DHFRインヒビターであるメトトレキセートも、DHFR遺伝子増幅での形質転換体の選択に用いられる。本発明の抗原結合タンパク質、例えば抗体のコード配列またはその機能的誘導体にDHFR遺伝子を作動可能に連結することによって、DHFR遺伝子の増幅に伴って目的の所望の抗原結合タンパク質、例えば抗体の配列の増幅が生じる。CHO細胞はこのDHFR/メトトレキセート選択に特に有用なセルラインであり、DHFR系を使用して宿主細胞を増幅および選択する方法は当技術分野において十分に確立されている。Kaufman R.J. et al J.Mol.Biol. (1982) 159, 601-621を参照のこと。レビューに関しては、Werner RG, Noe W, Kopp K,Schluter M," Appropriate mammalian expression systems for biopharmaceuticals", Arzneimittel-Forschung. 48(8):870-80, 1998 Aug.を参照のこと。追加の例はグルタミン酸合成酵素発現系である(Bebbington et al Biotechnology 1992 Vol 10 p169)。酵母での使用に好適な選択遺伝子はtrp1遺伝子である; Stinchcomb et al Nature 282, 38, 1979を参照のこと。]
[0138] 2.4プロモーター
本発明の抗原結合タンパク質、例えば抗体を発現するために好適なプロモーターは、該抗原結合タンパク質、例えば抗体をコードするDNA/ポリヌクレオチドに作動可能に連結される。原核生物の宿主のためのプロモーターには、phoAプロモーター、ベータ-ラクタマーゼおよびラクトースプロモーター系、アルカリホスファターゼ、トリプトファンおよびハイブリッドプロモーター、例えばTacが含まれる。酵母細胞での発現に好適なプロモーターには、3-ホスホグリセリン酸キナーゼまたは他の解糖酵素、例えばエノラーゼ、グリセルアルデヒド(glyceralderhyde) 3リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース6リン酸イソメラーゼ、3-ホスホグリセリン酸ムターゼおよびグルコキナーゼが含まれる。誘導性酵母プロモーターには、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソシトクロムC、酸性ホスファターゼ、メタロチオネインおよび、窒素代謝またはマルトース/ガラクトース利用に関与する酵素が含まれる。]
[0139] 哺乳類細胞系での発現のためのプロモーターには、RNAポリメラーゼIIプロモーター、例えばウイルスプロモーター、例えばポリオーマ、鶏痘およびアデノウイルス(例えばアデノウイルス2)、ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス(特に前初期遺伝子プロモーター)、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、アクチン、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーターおよび初期または後期シミアンウイルス40および非ウイルスプロモーター、例えばEF-1アルファ(Mizushima and Nagata Nucleic AcidsRes 1990 18(17):5322が含まれる。プロモーターの選択は、発現に使用される宿主細胞との好適な適合性に基づく。]
[0140] 2.5エンハンサー要素
適切な場合には、例えば高等真核生物(eukaroytics)での発現に関して、上記プロモーター中に位置することが見出されるものの代わりにまたはそれらに加えて追加のエンハンサー要素を含ませることができる。好適な哺乳類のエンハンサー配列には、グロビン、エラスターゼ、アルブミン、フェトプロテイン、メタロチオニン(metallothionine)およびインスリン由来のエンハンサー要素が含まれる。あるいは、真核細胞ウイルス由来のエンハンサー要素、例えばSV40エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、ポリオーマエンハンサー、バキュロウイルスエンハンサーまたはマウスIgG2a遺伝子座を使用することができる(WO04/009823を参照のこと)。そのようなエンハンサーは典型的にプロモーターの上流部位でベクター上に位置するが、他の場所、例えば非翻訳領域内またはポリアデニル化シグナルの下流に位置することもできる。エンハンサーの選択および位置は、発現に使用される宿主細胞との好適な適合性に基づく。]
[0141] 2.6ポリアデニル化/終結
真核生物の系では、本発明の抗原結合タンパク質、例えば抗体をコードするポリヌクレオチドにポリアデニル化シグナルを作動可能に連結する。そのようなシグナルは典型的にオープンリーディングフレームの3'に置かれる。哺乳類の系では、シグナルの非限定的な例には、成長ホルモン、伸長因子-1アルファおよびウイルス(例えばSV40)遺伝子またはレトロウイルス長末端反復配列由来のものが含まれる。酵母の系では、ポリデニル化(polydenylation)/終結シグナルの非限定的な例には、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)およびアルコールデヒドロゲナーゼ1 (ADH)遺伝子由来のものが含まれる。原核生物の系では、ポリアデニル化シグナルは典型的に必要とされず、代わりに、より短くてより限定されたターミネーター配列を用いることが通常である。ポリアデニル化/終結配列の選択は、発現に使用される宿主細胞との好適な適合性に基づく。]
[0142] 2.7収率を高めるための他の方法/要素
上記のものに加えて、収率を高めるために用いることができる他の特徴には、クロマチン再構築要素、イントロンおよび宿主細胞特異的コドン改変が含まれる。その本発明の抗原結合タンパク質、例えば抗体のコドン使用を宿主細胞のコドンバイアスに適合するように改変して、転写物および/または生成物収率を増加させるようにすることができる(例えばHoekema A et al Mol Cell Biol 1987 7(8):2914-24)。コドンの選択は、発現に使用される宿主細胞との好適な適合性に基づく。]
[0143] 2.8宿主細胞
本発明の抗原結合タンパク質、例えば抗体をコードするクローニングまたは発現ベクターに好適な宿主細胞は、原核(prokaroytic)細胞、酵母細胞または高等真核細胞である。好適な原核細胞には、真正細菌、例えば腸内細菌科、例えばエシェリキア(Escherichia)、例えばE.Coli (例えばATCC31,446; 31,537; 27,325)、エンテロバクター(Enterobacter)、エルウィニア(Erwinia)、クレブシエラ(Klebsiella)プロテウス(Proteus)、サルモネラ(Salmonella)、例えばSalmonella typhimurium、セラチア(Serratia)、例えばSerratia marcescansおよびシゲラ(Shigella)ならびにバシラス(Bacilli)、例えばB.subtilisおよびB.licheniformis (DD266 710を参照のこと)、シュードモナス(Pseudomonas)、例えばP.aeruginosaおよびストレプトマイセス(Streptomyces)が含まれる。酵母宿主細胞のうち、Saccharomyces cerevisiae、schizosaccharomyces pombe、クルイベロミセス(Kluyveromyces)(例えばATCC 16,045; 12,424; 24178; 56,500)、ヤロウイア(yarrowia)(EP402, 226)、Pichia Pastoris (EP183, 070, Peng et al J.Biotechnol. 108 (2004) 185-192も参照のこと)、カンジダ(Candida)、Trichoderma reesia (EP244, 234)、ペニシリン(Penicillin)、トリポクラジウム(Tolypocladium)およびアスペルギルス(Aspergillus)宿主、例えばA.nidulansおよびA.nigerもまた想定される。]
[0144] 原核宿主細胞および酵母宿主細胞は本発明によって具体的に想定されるが、典型的には、本発明の宿主細胞は脊椎動物細胞である。好適な脊椎動物宿主細胞には、哺乳類細胞、例えばCOS-1 (ATCCNo.CRL 1650) COS-7 (ATCC CRL 1651)、ヒト胎性腎系統293、、PerC6 (Crucell)、ベビーハムスター腎細胞(BHK) (ATCC CRL.1632)、BHK570 (ATCC NO: CRL 10314)、293 (ATCC NO.CRL 1573)、チャイニーズハムスター卵巣細胞CHO (例えばCHO-K1, ATCC NO: CCL 61, DHFRマイナスCHOセルライン、例えばDG44 (Urlaub et al, Somat Cell Mol Genet (1986) Vol 12 pp555-566)、特に懸濁培養に適合させたそれらのCHOセルライン、マウスセルトリ細胞、サル腎細胞、アフリカミドリザル腎細胞(ATCC CRL-1587)、HELA細胞、イヌ腎細胞(ATCC CCL 34)、ヒト肺細胞(ATCC CCL 75)、Hep G2および骨髄腫またはリンパ腫細胞、例えばNS0 (US 5,807,715を参照のこと)、Sp2/0、Y0が含まれる。]
[0145] ゆえに本発明の一実施形態では、本明細書中に記載の治療用抗体の重鎖および/または軽鎖をコードするベクターを含む安定に形質転換された宿主細胞を提供する。典型的にそのような宿主細胞は、軽鎖をコードする第1のベクターおよび該重鎖をコードする第2のベクターを含む。]
[0146] そのような宿主細胞は、本発明の抗原結合タンパク質、例えば抗体の品質、機能および/または収率を改変するようさらに操作するかまたは作り変えてもよい。非限定的な例には、特定の修飾(例えばグリコシル化)酵素およびタンパク質フォールディングシャペロンの発現が含まれる。]
[0147] 2.9細胞の培養方法
本発明の治療用抗原結合タンパク質、例えば抗体をコードするベクターで形質転換された宿主細胞は当業者に公知の任意の方法によって培養することができる。宿主細胞は、スピナーフラスコ、振とうフラスコ、ローラーボトル、ウェーブリアクター(例えばwavebiotech.comのSystem 1000)または中空繊維系で培養することができるが、攪拌タンクリアクターまたはバッグリアクター(例えばWave Biotech, Somerset, New Jersey USA)を特に懸濁培養に使用することが大量生産には好ましい。典型的に、例えばスパージャー、バッフルまたは低剪断インペラー(low shear impellers)を使用して攪拌タンカーをエアレーションに合わせて改造する。バブルカラムおよびエアリフトリアクターでは、空気または酸素気泡での直接エアレーションを使用することができる。宿主細胞を無血清培地で培養する場合、エアレーションプロセスに起因する細胞損傷の防止を支援するためにpluronic F-68等の細胞保護剤をこれに補充することができる。宿主細胞の特徴に応じて、足場依存性セルラインの増殖基質としてマイクロキャリアを使用するか、または細胞を懸濁培養(典型的である)に適合させることができる。宿主細胞、特に脊椎動物宿主細胞の培養では、種々の操作様式、例えばバッチ、流加式、反復バッチプロセシング(Drapeau et al (1994) cytotechnology 15: 103-109を参照のこと)、拡張バッチプロセスまたは潅流培養を利用することができる。組換え的に形質転換された哺乳類宿主細胞をウシ胎児血清(FCS)を含む培地等の血清添加培地で培養することができるが、必要に応じてエネルギー源、例えばグルコースおよび合成成長因子、例えば組換えインスリンを補充された、Keen et al (1995) Cytotechnology 17:153-163で開示されるような無血清培地、またはProCHO-CDMまたはUltraCHOTM (Cambrex NJ, USA)等の市販の培地でそのような宿主細胞を培養することが好ましい。宿主細胞の無血清培養は、無血清条件での生育にそれらの細胞を適合させることを必要とするかもしれない。適合アプローチの1つは、そのような宿主細胞を血清添加培地で培養し、培地の80%を無血清培地と交換することを繰り返し、宿主細胞が無血清条件への適合を習得するようにすることである(例えばScharfenberg K et al (1995) in Animal Cell technology: Developments towardsthe 21st century (Beuvery E.C. et al eds), pp619-623, Kluwer Academic publishersを参照のこと)。]
[0148] 使用目的に好適な精製の程度を提供する種々の技術を使用して、培地中に分泌された本発明の抗原結合タンパク質、例えば抗体を培地から回収および精製することができる。例えば、ヒト患者の治療に関する本発明の治療用抗原結合(bidning)タンパク質、例えば抗体の使用は、典型的に、治療用抗原結合タンパク質、例えば抗体を含む培地と比較して、還元SDS-PAGEによって測定された場合に少なくとも95%の純度、より典型的には98%または99%の純度を要求する。まず第一に、典型的に、遠心分離およびその後の例えば精密ろ過、限外ろ過および/またはデプスフィルトレーション(depth filtration)を使用する上清の清澄ステップを使用して培地由来の細胞片を除去する。あるいは、事前の遠心分離を行わずに、精密ろ過、限外ろ過またはデプスフィルトレーションによって抗原結合タンパク質、例えば抗体を回収することができる。種々の他の技術、例えば透析およびゲル電気泳動およびクロマトグラフィー技術、例えばヒドロキシアパタイト(HA)、アフィニティークロマトグラフィー(場合によりポリヒスチジン等の親和性タギング系を含む)および/または疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC, US 5, 429,746を参照のこと)が利用可能である。一実施形態では、種々の清澄ステップ後の本発明の抗原結合タンパク質、例えば抗体を、プロテインAまたはGアフィニティークロマトグラフィーおよびその後の追加のクロマトグラフィーステップ、例えばイオン交換および/またはHAクロマトグラフィー、アニオンまたはカチオン交換、サイズ排除クロマトグラフィーおよび硫安沈殿を使用して捕捉する。典型的に、種々のウイルス除去ステップ(例えばナノフィルトレーション(例えばDV-20フィルターを使用する))も用いられる。これらの種々のステップ後に、少なくとも10mg/ml以上、例えば100mg/ml以上の本発明の抗体を含む精製された(典型的にモノクローナル)調製物が得られ、したがって、それは本発明の実施形態を形成する。超遠心によって100mg/ml以上の濃縮物を作製することができる。好適には、そのような調製物は凝集型の本発明の抗体を実質的に含まない。]
[0149] 細菌系は抗体断片の発現に特に適している。そのような断片は細胞内またはペリプラズマ(periplasma)内に位置する。当業者に公知の方法にしたがって、不溶性ペリプラズムタンパク質を抽出して再フォールディングさせ、活性タンパク質を形成させることができる。Sanchez et al (1999) J.Biotechnol. 72, 13-20およびCupit PM et al (1999) Lett Appl Microbiol, 29, 273-277を参照のこと。]
[0150] 3.医薬組成物
上記のような本発明の抗原結合タンパク質、例えば抗体の精製された調製物(特にモノクローナル調製物)を、上で概説される疾患および障害等のヒト疾患および障害の治療に使用するための医薬組成物に組み入れることができる。典型的にそのような組成物は、許容される薬務によって公知でかつ要求される製薬的に許容される(すなわち不活性)担体をさらに含む。例えばRemingtons Pharmaceutical Sciences, 16th ed, (1980), Mack Publishing Co.を参照のこと。そのような担体の例には、好適なバッファー、例えば酢酸ナトリウム3水和物で製薬的に許容されるpH、例えば5〜8の範囲内のpHに緩衝された、滅菌された担体、例えば生理食塩水、リンゲル液またはブドウ糖液が含まれる。注射(例えば静脈内、腹腔内、皮内、皮下、筋肉内、門脈内による注射、または眼への局所適用もしくは眼周囲適用または眼への硝子体内注射による眼への局所送達による注射)または持続注入用の医薬組成物は、好適には、目に見える粒状物質を含まず、1mg〜10gの治療用抗原結合タンパク質、例えば抗体、典型的には5mg〜1g、より具体的には5mg〜25mgまたは50mgの抗原結合タンパク質、例えば抗体含んでよい。そのような医薬組成物の調製のための方法は当業者に周知である。一実施形態では、医薬組成物は、場合により使用説明書とともに、単位投与剤形中の本発明の1mg〜10gの治療用抗原結合タンパク質、例えば抗体を含む。本発明の医薬組成物は、当業者に周知または自明の方法にしたがって、投与前の再組成のために凍結乾燥(フリーズドライ)することができる。本発明の実施形態がIgG1アイソタイプを含む本発明の抗体を含む場合、銅を含めた金属イオンのキレート剤、例えばクエン酸塩(例えばクエン酸ナトリウム)またはEDTAまたはヒスチジンを医薬組成物に加えて、このアイソタイプの抗体の金属媒介性分解の程度を減少させることができる。EP0612251を参照のこと。医薬組成物は、可溶化剤、例えばアルギニン塩基、界面活性剤/抗凝集剤、例えばポリソルベート80、および、バイアルヘッドスペース酸素を置換するための窒素等の不活性ガスを含んでもよい。]
[0151] 本発明の抗原結合タンパク質、例えば抗体を投与するための有効量および治療方式は、一般に、経験的に決定され、患者の年齢、体重および健康状態および治療対象の疾患または障害等の要因に依存する。そのような要因は主治医の認識の範囲内である。適切な用量の選択に関する指針は例えばSmith et al (1977) Antibodies in human diagnosis and therapy, Raven Press, New Yorkに見出すことができるが、一般に1mg〜10gである。一実施形態では、ヒト患者を治療するための投薬方式は1mg〜1gの本発明の治療用抗体を週1回または2週毎に1回皮下投与するか、または1または2か月毎に静脈内注入によって投与することである。そのような用量は0.014〜140mg/kg、例えば0.014〜14mg/kgに相当する。本発明の組成物は予防的に使用することもできる。]
[0152] 組成物を、局所適用、硝子体内注射または眼周囲投与によって、すなわち球後、球周囲、テノン下(subtenon)または結膜下注射によって強膜下に、より局所的に眼に送達してもよい。治療用抗体の受動的、例えば静脈内投与による全身投与はドルーゼ減少を達成するために十分である。他の局所投与経路は、治療用抗体がより低用量でより容易に眼の後区に到達することを可能にする。局所適用は、ウサギモデルにおいて眼の後部への抗体断片の浸透を可能にすることが報告されている(Williams KA, Bereton HM, Farrall A, Standfield SD, Taylor SD, Kirk LA, Coster DJ (2005) Eye 19; 910-913)。抗体断片または完全モノクローナル抗体の硝子体内注射が報告されており、製品ラニビズマブおよびベバシズマブの硝子体内注射はAMD患者に対して良好な耐容性を示す。治療用抗体を硝子体内インプラントによって投与してもよい。球後および球周囲注射は特殊な23〜26ゲージ針を用いて達成することができ、硝子体内注射より低侵襲性である。テノン下注射は組成物を強膜に接触させて長期間配置し、眼の後部への浸透を支援することができる。結膜(conjuctiva)の直下へのタンパク質の注射はウサギモデルにおいて報告されており、これにより、分子が強膜をより直接的に横切って拡散し、眼の後区に到達することが可能になる。より長い時間枠にわたって眼の中または周囲への物質の放出を可能にし、ゆえに投薬が低頻度であってよい、持続放出薬物送達系を使用してもよい。そのような系には、治療用組成物で充填またはコーティングできるミセル、ゲル、ヒドロゲル、ナノ粒子、マイクロカプセルまたはインプラントが含まれる。これらは、注射または他の以前に記載されている低侵襲性経路のいずれかによって、すなわち眼周囲または強膜下経路を通して眼の硝子体内に送達することができる。そのような持続放出系および局所送達経路の例には、網膜後部およびRPE層を標的にするナノ粒子ベースの製剤の強膜下投与または硝子体内投与のための熱感受性徐放性ヒドロゲルが含まれる(Janoira KG, Gunda S, Boddu SHS, Mitra AK, (2007) Expert Opin Drug Deliv 4:371-388; Birch DG, Liang FQ, (2007) Int J Nanomed 2:65-77)。送達系および局所投与経路の多数の他の組み合わせが可能であり、治療用抗体の組成物に関して考慮することができる。抗体は物理的デバイス、例えばイオン導入によって送達してもよい(Association for Research in Vision and Ophthalmology, 2008, Annual meeting, April 27th - May 1st, Posters #98/A125 & #1813/D693 from EyeGate Pharma: Blalock et al., & Ruiz-Perez et al)。]
[0153] 4. 臨床使用
β-アミロイドレベルまたはβ-アミロイド沈着物の増加によって特徴付けられる疾患には、アルツハイマー病、軽度認知障害、ダウン症候群、オランダ型のβ-アミロイド症を伴う遺伝性脳出血、脳β-アミロイド血管障害および種々のタイプの退行性痴呆、例えばパーキンソン病、進行性核上麻痺、皮質基底変性およびびまん性ルイス体型のアルツハイマー病と関連しているもの、加齢性黄斑変性(AMD)、「緑内障型」疾患およびAβ依存的白内障形成が含まれることが理解される。]
[0154] 本発明の一実施形態では、β-アミロイドレベルまたはβ-アミロイド沈着物の増加によって特徴付けられる疾患はアルツハイマー病である。]
[0155] 本発明の別の実施形態では、β-アミロイドレベルまたはβ-アミロイド沈着物の増加によって特徴付けられる疾患は、加齢性黄斑変性(AMD)、「緑内障型」疾患またはAβ依存的白内障形成である。]
[0156] 本発明を主にヒト疾患または障害の治療に関して記載してきたが、非ヒト哺乳類の類似の疾患または障害の治療に本発明を適用してもよい。]
[0157] 実施例
方法
ABi8200 Applied Biosystems 8200FMAT用蛍光マクロ共焦点細胞検出系
BiacoreTM/Biacore SPRを使用して分子的相互作用のリアルタイムキネティクスの測定を可能にするデバイス
CM5カルボキシメチル化デキストランマトリックスでコーティングされた汎用表面を有するBiacoreTMセンサーチップ
cSLO共焦点走査型レーザー検眼鏡
ELISA酵素結合免疫吸着測定法
FMAT蛍光定量微量アッセイテクノロジー(Applied Biosystems)
FPLC高速タンパク質液体クロマトグラフィー
IHC免疫組織化学
Integra CL1000 IBSIntegra Biosciencesによって販売されているミニバイオリアクター
MSD(登録商標)メソスケールディスカバリー
ProSepA HiTrap GE Healthcareによって販売されているFPLC用プロテインAカラム
RU共鳴単位(Biacore測定でのセンサーチップへの結合を定量するための任意単位)
SDS-PAGEドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動
SPR (表面プラズモン共鳴) - センサーチップ上の質量変化の測定のためにBiacoreTM機器によって用いられる物理現象。]
[0158] SPSS統計解析ソフトウェアパッケージ
SRU 無標識の生化学的相互作用をモニターすることを可能にするSRU BINDTMBiosensorテクノロジー。]
[0159] 材料
BSAウシ血清アルブミン
C57/BL6 「C57 black 6」 - 一般的な近交系の実験室マウス
DAB 3,3'ジアミノベンジジン
DAPI 4',6-ジアミジノ-2-フェニルインドール
DMEMダルベッコ変法イーグル培地
DMSOジメチルスルホキシド
DTTジチオスレイトール
EDTAエチレンジアミン四酢酸
FAギ酸
FCSウシ胎児血清
FITCフルオレセインイソチオシアネート
Glutamax培地に添加される安定な形態のグルタミン(ジペプチドL-アナニル-L-グルタミン(L-Ananyl-L-Glutamine)補充剤)
HEK ヒト胎性腎293細胞
HBS-EPバッファー0.01M HEPESpH7.4, 0.15M NaCl, 3mM EDTA, 0.005% Surfactant P20を含有する汎用BiacoreTMバッファー
HEPES N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N'-(2-エタンスルホン酸)
Histoclear組織除去剤
HRPホースラディッシュペルオキシダーゼ
IMS工業用メチレーテッド・スピリット
Lipofectamine Invitrogen/Gibcoによって販売されているカチオン性脂質ベースの細胞トランスフェクション剤
NaCl塩化ナトリウム
Opti-MEMInvitrogen/Gibcoによる変法イーグル培地ベースの培地
PBSリン酸緩衝食塩水
PFAパラホルムアルデヒド
PEGポリエチレングリコール
PPD精製されたタンパク質誘導体
PRFF12 Nutrient Mixture F-12を含むフェノールレッド不含培地
RIBI 水-油エマルジョンベースの抗原アジュバント
RT-PCR逆転写-ポリメラーゼ連鎖反応
TASTPM APP695 Swedish突然変異マウス(TAS10)とPS-1M146V系統(TPM)の交配によって作製された二重トランスジェニックマウス系統
TBS TRIS緩衝生理食塩水
Transfast Promegaによって販売されているリポソームトランスフェクション剤
Tris HCl tris-(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩
Tween-20ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート。]
[0160] Versene金属イオンキレート剤(エチレンジアミン四酢酸)。]
[0161] 略語
AMD加齢性黄斑変性
APPアミロイド前駆タンパク質
BMブルック膜
CFH補体因子H
CFI補体因子I
CHOチャイニーズハムスター卵巣細胞
CNV脈絡膜血管新生
CPMカウント毎分
CSF脳脊髄液
ICV脳室内
IgG免疫グロブリンガンマ
i.p.腹腔内
hAPPヒトアミロイド前駆タンパク質
HIER 熱誘導抗原賦活
HVT 健康なボランティア
KD平衡時の解離定数
NDS 正常ロバ血清
MO月齢
MRT 平均滞留時間
OS外節
RPE網膜色素上皮細胞。]
[0162] ヒトベータアミロイドに特異的なマウスモノクローナル抗体の作製
1セットのマウスをPPDにN-末端でカップリングされたペプチドCGGGNKGAIIGLMVGG (β-アミロイドの残基27〜38を含有する)(配列番号7)で最初に免疫した。血液サンプルを採取し、同ペプチドのオボアルブミンコンジュゲートを用いるELISAでこれを検査して、免疫されたマウスの抗体力価を測定することによってこれらのマウスの免疫応答を評価した。弱い応答しか観察されなかった。別の実験では、腹腔内経路でRIBIアジュバント中で、PPD (精製されたタンパク質誘導体; Cambridge Research Biochemicals)にコンジュゲートされたN-末端でカップリングされたCGGGEDVGSNKGAIIGLMVGGペプチド(β-アミロイドの残基22〜38を含有する)(配列番号73)10μgで1セットのマウスを免疫した。各追加免疫の7日後に血清サンプルを採取し、ELISAでこれを検査して、免疫されたマウスの抗体力価を測定することによってこれらのマウスの免疫応答を再度評価した。ペプチドコンジュゲート2.5μgでの追加免疫によってマウスが(最後の2つの血清サンプル中の抗体力価の比較分析に基づいて)最適な応答に達したら、最高の抗体力価を有するマウスを犠牲にし、ハイブリドーマ作製のために脾臓を取り出した。脾臓細胞を取得し、PEG (ポリエチレングリコール)方法論を使用してこれらを骨髄腫細胞と融合させることによってハイブリドーマを作製した。そして、得られた混合細胞集団を96ウェル細胞培養プレートにまいた。]
[0163] そして培養上清に含まれる各発現抗体をFMAT (蛍光微量アッセイテクノロジー)均一(homogenous)イムノアッセイにおいてスクリーニングした。このスクリーニングカスケードから29の陽性抗体を同定した。それらはポリスチレンビーズに受動的に吸収されたオボアルブミンタンパク質に関して陰性であるが、以下に関して陽性であった。]
[0164] (i)ポリスチレンビーズに結合している、N-末端でカップリングされたCGGGEDVGSNKGAIIGLMVGG (22-38) (配列番号73)オボアルブミンコンジュゲート、
(ii)ストレプトアビジンコーティングポリスチレンビーズに結合している、N-末端でビオチニル化されたβ-アミロイド(1-40)ペプチド、
(iii) ストレプトアビジンコーティングポリスチレンビーズに結合している、C末端でビオチニル化されているβ-アミロイド(1-40)ペプチドおよび
(iv) ストレプトアビジンコーティングポリスチレンビーズに結合している、N-末端でビオチニル化されているVGSNKGAIIGL (配列番号8)のβ-アミロイド(24-34)ペプチド。]
[0165] 以下で概説されるように、選択された抗体上清サンプルをβ-アミロイド(1-40)ペプチドに対する結合速度論に関して分析した。]
[0166] 表面プラズモン共鳴アッセイを使用する結合相互作用オフレート(off-rate)(kd)の測定
Biacore A100機器を使用して、選択された29抗体とβ-アミロイド(1-40)との相互作用のオフレート速度論を得た。このために、ストレプトアビジンBiacoreセンサーチップフローセルを低レベルのN末端ビオチニル化β-アミロイド(1-40)で誘導体化した。各抗体サンプルに関して3つの曲線を作製し、反応速度式に近似して解離速度を得た。12のクローンでは、オフレートに基づくランキングは不可能であった。その理由は、選択された実験条件で解離速度の測定が不可能であったからである。しかし、これらの条件下で、すべての12クローンは少なくとも10-5のオフレート(kd)を示した。]
[0167] ヒトβ-アミロイド結合ELISA
上記で同定されたハイブリドーマ上清に含まれる29の抗体をELISAによってヒトβ-アミロイド(1-40)に対する結合に関して再検査した。妥当な比較を可能にするために、培養上清に含まれる抗体の濃度をIgG定量ELISAを使用して測定した。機能的抗体のアイソタイプを決定するために、1セットのアイソタイプ特異的検出抗体を使用してヒトβ-アミロイド結合ELISAを行った。全29抗体はこのELISA形式でヒトβ-アミロイド(1-40)に結合した。IgG1、IgG2aまたはIgG2bに対して使用されるアイソタイプ特異的二次抗体によって各結合抗体クローンのアイソタイプを特定した。1事例では、機能的アイソタイプの混合物が観察された。]
[0168] オーバーラップペプチドを使用するELISAによるエピトープマッピング
一次スクリーニングから選択されかつハイブリドーマ上清に含まれる29の抗体によって認識されるエピトープを、β-アミロイド1-42ペプチドの完全配列をカバーする1セットの31の12量体オーバーラップペプチドを使用するELISAによってマップした。すべてのペプチドは3アミノC末端リンカー(グリシン-セリン-グリシン)および末端ビオチニル化リシン残基を含有した。]
[0169] 96ウェルイムノアッセイプレートを蒸留水中の100μl 0.5μg/ウェルのストレプトアビジン(Sigma)で4℃で一晩コーティングした。プレートを3回洗浄(PBS/0.01% Tween 20)し、ウェルをPBS中の250μl/ウェル 3%BSAで室温で1時間ブロックした。プレートを3回洗浄し、100ulのペプチド溶液(PBS中の1% BSA 0.1% Tween 20中の0.5ug/ウェル)を三つずつのウェルに室温で3時間加えた。さらにDMSOのみのコントロールウェルを調製した。プレートを3回洗浄し、100μlの29ハイブリドーマ上清(1% BSA/ 0.1% Tween 20中で1/20希釈)をすべてのウェルに加え、4℃で一晩インキュベートした。プレートを3回洗浄し、抗マウスIgG抗体-ホースラディッシュペルオキシダーゼコンジュゲート(Amersham, PBS中の1% BSA, 0.1% Tween 20中で1:2000希釈)を100μl/ウェルで加えた。プレートを室温で1時間インキュベートし、3回洗浄し、100ul/ウェルのテトラメチルベンジジン(Sigma)基質を室温で約5分間使用し、青色の発色をモニターして検出抗体の結合を示した。反応を停止させ、各ウェルの光学密度を450nmで読み取った。]
[0170] すべての抗体はモチーフKGAIIGLM (β-アミロイドの残基28〜35に相当)(配列番号9)を含有する非常に類似の領域に結合した。]
[0171] 表面プラズモン共鳴アッセイによって測定される結合速度論
29のプールから選択された8つのモノクローナル抗体のβ-アミロイド結合親和性および速度論を、Biacore 3000テクノロジーを使用して、より詳細に評価した。精製されたマウス抗体調製物をポリクローナル抗マウスIgG抗体チップ表面に捕捉した。新たに調製されたヒトβ-アミロイド1-40をHBS-EPバッファー中で希釈し、捕捉された抗体表面に対して4〜500nMの範囲の濃度で5分間通過させた。注射後の解離をさらに20分間観察した。100mM H3PO4のパルスによって再生を達成した。抗体捕捉およびβ-アミロイド結合のその後のサイクルは再生によって影響されないことが示された。すべての実施(run)はブランク表面およびブランクバッファー注射に対して二重参照した。得られたデータを表2に示す。]
[0172] ]
[0173] 結果は、8モノクローナル抗体すべての親和性が同等であるが、16D4は他のクローンと比較して少なくとも12〜2.5倍低い親和性を示すことを示した。この1実験での残りの7抗体間のKD値の差異は4.4倍までであった。これらのクローンのうちの2つ、5D1および6F6を次のスケールアップのために選択し、3重に再検査した。このデータを表3に示す。]
[0174] ]
[0175] また、同一のBiacore法を使用して、ヒトおよびマウスβ-アミロイド(1-40)およびβ-アミロイド(1-42)に対する6F6の結合を調べた。6F6はこれらのペプチドすべてに類似の値で結合した。]
[0176] 細胞によって発現されたアミロイド前駆タンパク質(APP)に対する結合
β-アミロイドは、アミロイド前駆タンパク質(APP)と称されるI型膜貫通前駆タンパク質のタンパク質分解性の切断によって形成されるペプチドから構成される。APPは大きな細胞外ドメインを有するので、このタンパク質への結合は抗体依存性細胞性細胞傷害反応(ADCC)を潜在的に惹起する。]
[0177] FMATTMABI8200ベースのアッセイ
蛍光定量微量アッセイテクノロジー(FMAT; Cellular Detection System 8200)を使用し、上記で選択された8抗体を用いて、HEK 293T細胞上で発現されたアミロイド前駆タンパク質に対する細胞ベースの結合アッセイを実施した。偽トランスフェクトされたかまたは完全長ヒトAPPをコードするプラスミドでトランスフェクトされたHEK293T細胞をトランスフェクションの48時間後に回収した。トランスフェクトされた細胞を、APPの細胞外ドメインに対する精製されたポジティブコントロール抗体LN27 (Zymed)マウスIgGまたはハイブリドーマ上清の種々の希釈物、およびβ-アミロイドペプチドの遊離N末端を認識するだけのネガティブコントロール抗体(自家試薬)とともにインキュベートした。抗体結合を、FMATブルーでタグ付けされた抗マウス抗体を使用して示し、Cellular Detection System 8200を使用して検出した。偽トランスフェクトされた細胞から得られたバックグラウンドシグナルをAPPトランスフェクトされた細胞から差し引いた。7つのクローンは、ポジティブコントロールモノクローナル抗体LN27と比較してHEK293T細胞上で発現されたAPPに対する結合を示さなかった。偽トランスフェクトされたHEK293T細胞の場合の結果を研究すると、1クローン(5C9)がHEK293T細胞に非特異的に結合する証拠を示し、この特定のクローンのAPP結合能の解釈が困難になった。]
[0178] トランスジェニックマウスの脳切片でのアミロイド前駆タンパク質(APP)に対する結合
2月齢TASTPM (Howlett et al 2008)または12月齢TAS10マウスの脳切片をIHCによって調べた。切片を85%ギ酸で処理し、完全長APP結合に関して染色した。選択された月齢で、それぞれのマウスはアミロイドプラーク沈着物をまったく示さないが、一部の染色は、この技術を使用してアクセス可能な細胞内アミロイドのせいかもしれない。6F6はこれらの切片において染色を示さなかったが、完全長APP (Zymed)に関するコントロール抗体は染色を示した。]
[0179] Fab断片としてのヒトβ-アミロイド結合ELISA
ビーズ上に固定されたパパイン(Pierce #20341)を使用する標準プロテアーゼ切断によって6F6のFab断片を作製した。6F6 lgGの精製Fab断片を用いて、ELISAプレート上に固定されたヒトAβペプチド(1-40)に対する結合に関するELISAを行った。1回のELISA実験から得られた結果は、6F6のFab断片が依然としてAβペプチド(1-40)に結合可能であることを示した。]
[0180] ヒトボランティア由来の血漿サンプル中の未変性ヒトアミロイドに対する6F6の結合
健康なボランティア(HVT)由来の全血を静脈穿刺によってK2EDTAチューブに回収し、チューブをすぐに氷上に置いた。血液サンプルを30分以内に2000 x gで4℃で15分間回転させることによって処理し、血漿を得た。次いでプロテアーゼインヒビター(Roche Complete Protease Inhibitor cocktail, Cat No: 11 973 580 001, Roche Applied Science)を製造元の指示書にしたがって血漿に加えた。次いで分析前に血漿のアリコートを-70℃未満で凍結した。]
[0181] アッセイでは、96ウェルECLイムノアッセイ形式(メソスケールディスカバリー, MSD)において捕捉抗体として6F6を使用した。簡潔に言えば、6F6を96ウェルMSDプレート上にスポットコーティングし; 次いでサンプル(アッセイキャリブレータ、ネガティブコントロール、QCおよび試験サンプル)を加えた。インキュベーション後、未結合物質を洗浄して除き、次いで検出抗体(ビオチニル化4G8 (β-アミロイドエピトープ17-24に特異的))をインキュベートにアプライした。その後、洗浄後にストレプトアビジン-スルホ-TAGを加えた。このインキュベーションの終了時に、洗浄ステップを適用した。MSD ReadバッファーTをプレートに加えることで、MSD Sector Imager 6000で電気化学発光(electrochemiluminescent)シグナルを読み取ることが可能になった。既知の濃度のAβ1-42を用いて確立されたアッセイ標準曲線を使用してアナライト濃度をMSDシグナルから逆算した。このアッセイの定量下限は78.1 pg/mLであった。]
[0182] 表4に、上記6F6-4G8抗体アッセイによって測定された10個のHVT血漿サンプルのAβ濃度をまとめる。すべてのサンプルを2重に検査した。]
[0183] ]
权利要求:

請求項1
β-アミロイドの残基28〜35を含有するβ-アミロイドペプチドのエピトープを認識する治療用抗原結合タンパク質。
請求項2
β-アミロイドの残基28〜34または28〜33を含有するβ-アミロイドペプチドのエピトープを認識する、請求項1に記載の治療用抗原結合タンパク質。
請求項3
β-アミロイドの残基28〜35の領域内のβ-アミロイドペプチドのエピトープを認識する治療用抗原結合タンパク質。
請求項4
抗原結合タンパク質が抗体もしくはその抗原結合断片および/またはそれらの誘導体である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の治療用抗原結合タンパク質。
請求項5
β-アミロイドペプチドに結合し、かつ以下のCDR、またはそのCDR変異体:CDRH1: VYYVH (配列番号1)CDRH2:RIDPENGETIYTPKFQD (配列番号2)CDRH3: SGY (配列番号3)CDRL1:RSSKSLLHRNGITYLY(配列番号4)CDRL2: QMSNLAS (配列番号5)CDRL3: AQNLELWT (配列番号6)を含む抗体もしくはその抗原結合断片および/またはそれらの誘導体である治療用抗体。
請求項6
ヒトアクセプター重鎖フレームワークがフレームワーク4に加えてIGHV1-24 (配列番号13)に由来する、請求項5に記載の治療用抗体。
請求項7
フレームワーク4配列がヒトJH4ミニ遺伝子(Kabat):YFDYWGQGTLVTVSS(配列番号15)によってコードされるものであり、かつ重鎖CDR3配列全体がドナー免疫グロブリンによって提供される、請求項6に記載の治療用抗体。
請求項8
ヒトアクセプター軽鎖フレームワークがフレームワーク4に加えてIGKV2-28 (配列番号16)に由来する、請求項5に記載の治療用抗体。
請求項9
フレームワーク4配列がヒトJK-1ミニ遺伝子(Kabat):WTFGQGTKVEIK (配列番号18)によってコードされるものである、請求項8に記載の治療用抗体。
請求項10
ヒトアクセプター重鎖フレームワークがIGHV1-24およびJH4ミニ遺伝子由来であり、ヒトアクセプター軽鎖フレームワークがIGKV2-28およびJK-1ミニ遺伝子由来であり、それらは配列番号19の配列を有するドナーVHドメインおよび配列番号21の配列を有するVLドメイン中に見出される対応する残基に基づく1つ以上のアミノ酸残基の置換を場合により含有し、該置換はβ-アミロイドペプチドに対するドナー抗体の結合親和性のすべてまたは実質的にすべてを維持する、請求項5に記載の治療用抗体。
請求項11
ヒトアクセプター重鎖フレームワークが以下の残基(またはその保存的置換):から選択される1つ以上のアミノ酸残基置換を有する、請求項10に記載の治療用抗体。
請求項12
ヒトアクセプター重鎖フレームワークが以下の残基(またはその保存的置換基):を含む、請求項11に記載の治療用抗体。
請求項13
ヒトアクセプター軽鎖フレームワークが以下の残基(またはその保存的置換):から選択される1つ以上のアミノ酸残基置換を有する、請求項10〜12のいずれかに記載の治療用抗体。
請求項14
ヒトアクセプター軽鎖フレームワークが以下の残基(またはその保存的置換基):を含む、請求項13に記載の治療用抗体。
請求項15
配列番号24に記載の配列を有するVHドメインおよび配列番号26に記載の配列を有するVLドメインを含む治療用抗体。
請求項16
配列番号59に記載の配列を有するVHドメインおよび配列番号67に記載の配列を有するVLドメインを含む治療用抗体。
請求項17
配列番号61に記載の配列を有するVHドメインおよび配列番号67に記載の配列を有するVLドメインを含む治療用抗体。
請求項18
配列番号63に記載の配列を有するVHドメインおよび配列番号67に記載の配列を有するVLドメインを含む治療用抗体。
請求項19
配列番号65に記載の配列を有するVHドメインおよび配列番号67に記載の配列を有するVLドメインを含む治療用抗体。
請求項20
配列番号59に記載の配列を有するVHドメインおよび配列番号69に記載の配列を有するVLドメインを含む治療用抗体。
請求項21
配列番号61に記載の配列を有するVHドメインおよび配列番号69に記載の配列を有するVLドメインを含む治療用抗体。
請求項22
配列番号63に記載の配列を有するVHドメインおよび配列番号69に記載の配列を有するVLドメインを含む治療用抗体。
請求項23
配列番号65に記載の配列を有するVHドメインおよび配列番号69に記載の配列を有するVLドメインを含む治療用抗体。
請求項24
配列番号59に記載の配列を有するVHドメインおよび配列番号71に記載の配列を有するVLドメインを含む治療用抗体。
請求項25
配列番号61に記載の配列を有するVHドメインおよび配列番号71に記載の配列を有するVLドメインを含む治療用抗体。
請求項26
配列番号63に記載の配列を有するVHドメインおよび配列番号71に記載の配列を有するVLドメインを含む治療用抗体。
請求項27
配列番号65に記載の配列を有するVHドメインおよび配列番号71に記載の配列を有するVLドメインを含む治療用抗体。
請求項28
配列番号27に記載の配列を有する重鎖および配列番号28に記載の配列を有する軽鎖を含む治療用抗体。
請求項29
請求項1〜4のいずれか一項に記載の治療用抗原結合タンパク質または請求項5〜28のいずれか一項に記載の治療用抗体を含む医薬組成物。
請求項30
β-アミロイドペプチド関連疾患に罹患しているヒト患者の治療方法であって、請求項1〜4のいずれか一項に記載の治療用抗原結合タンパク質または請求項5〜28のいずれか一項に記載の治療用抗体の治療有効量を該患者に投与するステップを含む、方法。
請求項31
疾患がアルツハイマー病、加齢性黄斑変性(AMD)、緑内障またはβ-アミロイド依存的白内障形成である、請求項30に記載の方法。
請求項32
前記の抗原結合タンパク質または抗体を、補体経路インヒビターまたは補体経路アクチベータのインヒビターと組み合わせて投与する、請求項30または31に記載の方法。
請求項33
請求項1〜4のいずれか一項で規定される抗原結合タンパク質または請求項5〜28のいずれか一項で規定される抗体と、補体経路インヒビターまたは補体経路アクチベータのインヒビターとを含む医薬組成物。
請求項34
補体経路インヒビターが補体因子H (CFH)または可溶性補体受容体1 (sCR1)である、請求項30に記載の方法、または請求項33に記載の医薬組成物。
請求項35
補体経路アクチベータのインヒビターが補体因子D (CFD)インヒビターである、請求項30に記載の方法、または請求項33に記載の医薬組成物。
請求項36
β-アミロイドペプチド関連疾患の治療のための医薬の製造における、請求項1〜4のいずれか一項に記載の治療用抗原結合タンパク質または請求項6〜28のいずれか一項に記載の治療用抗体の使用。
請求項37
疾患がアルツハイマー病、加齢性黄斑変性(AMD)、緑内障またはβ-アミロイド依存的白内障形成である、請求項36に記載の使用。
請求項38
以下のエピトープ:(a) β-アミロイドの残基28〜35を含有するβ-アミロイドペプチドのエピトープ;(b) β-アミロイドの残基28〜34を含有するβ-アミロイドペプチドのエピトープ;(c) β-アミロイドの残基28〜33を含有するβ-アミロイドペプチドのエピトープ; または(d) β-アミロイドの残基28〜35の領域内のエピトープに対する第1の特異性と補体経路のアクチベータに対する第2の特異性とを有する、二重特異性抗体またはその二重特異性断片。
請求項39
β-アミロイドペプチド関連疾患の治療に使用するための、請求項1〜4のいずれか一項で規定される抗原結合タンパク質、請求項6〜28のいずれか一項で規定される抗体または請求項38で規定される二重特異性抗体もしくはその二重特異性断片。
請求項40
β-アミロイドペプチド関連疾患がアルツハイマー病または、β-アミロイドレベルまたはβ-アミロイド沈着物の増加によって特徴付けられる眼または視神経に影響する疾患もしくは障害である、請求項39に記載の抗原結合タンパク質、抗体または二重特異性抗体もしくはその二重特異性断片。
請求項41
配列番号19の配列を有するVHドメインおよび配列番号21の配列を有するVL ドメインを含む抗体またはその断片。
請求項42
ELISAアッセイにおいてβ-アミロイドに対する結合に関して、配列番号27に記載の配列を有する重鎖および配列番号28に記載の配列を有する軽鎖を含む抗体(抗体B)と競合する抗原結合タンパク質(抗原結合タンパク質A)。
請求項43
抗原結合タンパク質Aおよび抗体Bが等モル量で存在する、請求項42に記載の抗原結合タンパク質A。
請求項44
抗原結合タンパク質Aの存在が、ELISAアッセイでの抗体Bのβ-アミロイドへの結合を10%、20%、30%、40%または50%を超えて減少させる、請求項42または請求項43に記載の抗原結合タンパク質A。
請求項45
ELISAアッセイにおいてβ-アミロイドがイムノアッセイプレートに結合している、請求項42〜44のいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質A。
請求項46
抗原結合タンパク質Aが抗体Bのプレート結合β-アミロイドへの結合を減少させるが、非β-アミロイド特異的コントロールは減少させない、請求項45に記載の抗原結合タンパク質A。
請求項47
それぞれ配列番号27、および配列番号28のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%または99%同一のポリペプチドを含む重鎖および軽鎖を含む抗体であって、β-アミロイドに結合する抗体。
請求項48
表面プラズモン共鳴によって測定された場合に、β-アミロイドの残基24〜35 (配列番号10)または28〜39 (配列番号11)を含む、ストレプトアビジンセンサーチップに結合しているC末端ビオチニル化β-アミロイドペプチドに結合する、抗原結合タンパク質。
請求項49
β-アミロイドに特異的に結合し、β-アミロイドの28〜35領域中の少なくとも1個の残基を結合に必要とする抗原結合タンパク質。
請求項50
該β-アミロイドの28〜35領域中の少なくとも1個の残基に対する少なくとも1つのフランキング残基または構造上隣接する残基を結合にさらに必要とする、請求項49に記載の抗原結合タンパク質。
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