专利摘要:
透明性、遮熱性、耐久性及び電磁波透過性に優れ、ガラスとの接着性が良好な合わせガラス用中間膜を提供する。ポリビニルアセタール(A)、無水アンチモン酸亜鉛(B)及び可塑剤(C)を含有する樹脂組成物からなる合わせガラス用中間膜であって、ZnO/Sb2O5モル比が0.8〜1.2である無水アンチモン酸亜鉛(B)が樹脂組成物中に平均粒子径60nm以下で分散している合わせガラス用中間膜を提供する。また、このような中間膜を使用して合わせガラスを製造する。
公开号:JP2011506236A
申请号:JP2010523218
申请日:2008-12-11
公开日:2011-03-03
发明作者:ステンツェル ホルガー;知洋 川上;信弘 森口;圭介 森川
申请人:クラレ・ヨーロッパ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツングKuraray Europe GmbH;株式会社クラレ;
IPC主号:C03C27-12
专利说明:

[0001] 本発明は、透明性、遮熱性、耐久性及び電磁波透過性に優れ、ガラスとの接着性が良好な合わせガラス用中間膜に関する。また、その製造方法及びそれを用いた合わせガラスに関する。]
背景技術

[0002] 合わせガラスは、ガラスの飛散防止など安全性の向上のため、自動車等の車両、航空機、建築物等の窓ガラス等に広く利用されている。このような合わせガラスとしては、少なくとも1対のガラス板の間に、可塑化ポリビニルブチラール樹脂などからなる合わせガラス用中間膜を介在させ、貼り合わせたものが挙げられる。しかし、通常の合わせガラス用中間膜を用いた場合、熱的作用の大きな近赤外線(熱線)を遮蔽できないという問題があり、遮熱性の付与が求められていた。]
[0003] 熱線遮蔽性を付与する目的で、可塑化ポリビニルブチラール樹脂と複合し易い有機物を用いた樹脂組成物が提案されている。例えば、近赤外線吸収材としてフタロシアニン化合物を配合する方法が提案されている(特許文献1〜3参照)が、有機物では耐候性が悪く、長期の使用において効果が損なわれるなど、基本的に耐久性の問題を抱えていた。]
[0004] 一方、遮熱性を付与したガラスとして、熱線カットガラスが市販されている。熱線カットガラスは、金属蒸着、スパッタリング加工等によって、ガラス板の表面に金属又は金属酸化物のコーティングを行ったものである。しかし、近赤外線の遮蔽性を高めるためにコーティング層を厚くすると、可視光透過率が低下するため、実使用において制限が課せられるものであった。また、近年、各種の通信機器、例えば、アマチュア無線や緊急通信機器、VICS(自動車通信システム)、ETC(有料道路自動料金収受システム)、衛星放送等が自動車に搭載されるようになってきているが、上記多層コーティングしたガラスは電磁波の透過を阻害し、携帯電話、カーナビ、ガレージオープナー、料金自動収受システム等の通信システムに悪影響を及ぼすという問題点があった。更には、コーティング法ではコーティング層と中間膜の接着力が不十分であり剥離や白化が起こるという問題があった。]
[0005] 他方、錫ドープ酸化インジウム(ITO)微粒子またはアンチモンドープ酸化錫(ATO)微粒子をポリマー中に含有させることにより、遮熱機能を付与した合わせガラス用中間膜が提案されている(特許文献4〜7参照)。しかし、ITOの使用には資源の枯渇化や価格高騰の問題がある。また、最近、ITO微粒子が人体に悪影響を及ぼすことも報告されている(非特許文献1参照)。一方、ATOの使用には性能不足などの問題があり、これらの代替材料が望まれている。]
[0006] ITOやATOを含有させた中間膜では、ITOやATOの分散性を向上させるために、リン酸エステル系の表面処理剤やシランカップリング剤による表面処理が行われていた(特許文献8および9参照)。しかし、リン酸エステル系の表面処理剤を用いた場合、表面処理剤がフィルムとガラスの界面にブリードアウトするため、長期的なガラス接着力の安定性という点で問題があった。そのため、複数の表面処理剤を併用する必要があり、より簡便な手法が望まれていた。一方、シランカップリング剤による表面処理は、処理に時間や熱エネルギーが必要であり、コストアップの要因となり、より簡便な手法が望まれていた。]
[0007] 特許文献10には、ITO粒子、可塑剤、有機溶媒及び分散安定剤を含有する分散液とポリビニルアセタールとを混合して得られる樹脂組成物からなる熱線遮蔽効果を有する合わせガラス用中間膜が記載されている。ここで使用されている分散安定剤としては、多種多様なものが例示されていて、複数種のものを併用することが好ましいことも記載されている。しかしながら、低分子量の分散安定剤はブリードアウトのおそれがあるし、高分子量の分散安定剤はポリビニルアセタールと均一に混じることが容易ではない。したがって、透明性や接着性を損なわずに分散性を改善するのは容易ではない。分散安定剤の多数の例示の中にポリビニルブチラールの記載はあるが、それを用いた実施例はなく、ポリビニルブチラールが他の多数の分散安定剤と比べてどのような特徴を有しているかを示唆するものではない。しかも、微粒子の種類によって分散性は大きく異なるので、ITO粒子を分散させることができる分散安定剤が他の微粒子を良好に分散させられるがどうかは不明である。]
[0008] また、特許文献11には、ポリビニルブチラールを分散剤として、ドープ酸化亜鉛微粒子を中間膜中に分散させ、熱線遮蔽性能を付与した合わせガラス用中間膜が記載されている。しかし、特許文献11に記載された手法では、ドープ酸化亜鉛微粒子の熱線遮蔽性能が不足しているため、ITOと同等の性能を得ることは困難である。また、その実施例に記載された手法では、ポリビニルブチラールが溶解しない可塑剤中にドープ酸化亜鉛微粒子を分散させているため、ポリビニルブチラールが分散剤として有効に作用せず、最終的に得られるフィルムのヘイズが高くなり、中間膜として使用することが困難であった。また、微粒子の種類によって分散性は大きく異なるので、ドープ酸化亜鉛微粒子を分散させることができる分散安定剤が他の微粒子を良好に分散させられるかどうかは不明である。]
[0009] 一方、特許文献12には、紫外線や赤外線を吸収し、無水アンチモン酸亜鉛を含有する樹脂組成物が記載されている。特許文献12には、無水アンチモン酸亜鉛の粉末を水又は有機溶媒に分散させてから各種の樹脂と混合することが記載されている。しかしながら、このような方法で製造した場合、無水アンチモン酸亜鉛が樹脂組成物内で凝集するため、可視光が散乱してヘイズが悪化することが避けられず、高度な透明性が要求される用途においては使用することができなかった。また、無水アンチモン酸亜鉛をシランカップリング剤で処理することも記載されているが、無水アンチモン酸亜鉛の表面の反応性が低く表面修飾が充分に進行しないために、凝集の発生が避けられず、透明性が不十分であった。特許文献12には、ポリビニルブチラールに無水アンチモン酸亜鉛を配合することについては記載されていないし、樹脂組成物を合わせガラス用中間膜として用いることについても記載されていない。]
[0010] また、特許文献13には、合わせガラス用中間膜に含まれる無機粒子を回収する方法が記載されていて、回収される無機粒子の例示の中に、無水アンチモン酸亜鉛粒子も記載されている。特許文献13の実施例2では、無水アンチモン酸亜鉛粒子、分散剤及び可塑剤を混合してビーズミル中で分散させてから、ポリビニルブチラールを加えて溶融混練して中間膜を製造することが記載されている。しかしながら、用いた分散剤の種類について記載はなく、得られた中間膜における無水アンチモン酸亜鉛粒子の分散性についても記載されていない。しかも、有機溶媒を含有しない可塑剤中に無水アンチモン酸亜鉛粒子を分散させているため、分散剤が有効に作用せず、得られる中間膜のヘイズが高くなっていた。]
[0011] 特開2003−265033号公報
特開2003−265034号公報
特開2005−157011号公報
特開平8−217500号公報
特開平8−259279号公報
特開2001−302289号公報
特開2005−343723号公報
特開2003−261360号公報
特開2006−27962号公報
特開2005−187226号公報
特開2001−261383号公報
特開平9−211221号公報
特開2006−206654号公報]
先行技術

[0012] J.Aerosol Res.,20(3)、213−218(2005)]
発明が解決しようとする課題

[0013] 本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、透明性、遮熱性、耐久性及び電磁波透過性に優れ、ガラスとの接着性が良好な合わせガラス用中間膜を提供することを目的とするものである。また、そのようなガラス用中間膜を製造する方法及びそれを用いた合わせガラスを提供することも、本発明の目的である。]
課題を解決するための手段

[0014] 上記課題は、ポリビニルアセタール(A)、無水アンチモン酸亜鉛(B)及び可塑剤(C)を含有する樹脂組成物からなる合わせガラス用中間膜であって、ZnO/Sb2O5モル比が0.8〜1.2である無水アンチモン酸亜鉛(B)が樹脂組成物中に平均粒子径60nm以下で分散していることを特徴とする合わせガラス用中間膜を提供することによって解決される。このとき、無水アンチモン酸亜鉛(B)が樹脂組成物中に平均粒子径30nm以下で分散していることが好ましい。前記樹脂組成物が、ポリビニルアセタール(A)100重量部に対して、無水アンチモン酸亜鉛(B)を0.1〜3重量部、可塑剤(C)を20〜100重量部含有することが好ましい。]
[0015] 上記中間膜において、ポリビニルアセタール(A)が、ポリビニルアセタール(A1)及びポリビニルアセタール(A2)からなり、ポリビニルアセタール(A2)の原料のポリビニルアルコールの粘度平均重合度が、ポリビニルアセタール(A1)の原料のポリビニルアルコールの粘度平均重合度よりも高く、ポリビニルアセタール(A1)とポリビニルアセタール(A2)の重量比(A1/A2)が0.2/100〜10/100であることが好ましい。そして、ポリビニルアセタール(A1)とポリビニルアセタール(A2)のアセタール化度の差が8モル%以下であり、ポリビニルアセタール(A1)の原料のポリビニルアルコールの粘度平均重合度が600〜1500であることがより好ましい。]
[0016] また上記課題は、前記合わせガラス用中間膜を用いて複数のガラス板を接着してなる合わせガラスを提供することによっても解決される。このとき、波長領域380〜780nmでの可視光透過率が70%以上であり、かつ、波長領域300nm〜2500nmでの日射透過率が70%以下であることが好ましく、ヘイズが1.5%以下であることも好ましい。さらに、接着直後の圧縮せん断強度(s1)が5N/mm2以上であり、かつ、100℃、100時間熱処理後の圧縮せん断強度(s2)と圧縮せん断強度(s1)の比(s2/s1)が0.8〜1.2であることも好ましく、接着直後の圧縮せん断強度(s1)が10N/mm2以上であることがより好ましい。]
[0017] さらに上記課題は、ポリビニルアセタール(A1)、無水アンチモン酸亜鉛(B)、可塑剤(C)及び有機溶媒(D)を含有し、ポリビニルアセタール(A1)が溶解した分散液(d3)を予め調製してから、分散液(d3)をポリビニルアセタール(A2)と溶融混合し、フィルム状に成形することを特徴とする、前記合わせガラス用中間膜の製造方法を提供することによっても解決される。このとき、ポリビニルアセタール(A1)、無水アンチモン酸亜鉛(B)及び有機溶媒(D)を含有し、ポリビニルアセタール(A1)が溶解した分散液(d2)を予め調製してから、分散液(d2)と可塑剤(C)を混合して分散液(d3)を調製することが好ましい。さらに、無水アンチモン酸亜鉛(B)及び有機溶媒(D)を含有する分散液(d1)とポリビニルアセタール(A1)とを混合して分散液(d2)を調製することが好ましい。分散液(d1)、分散液(d2)及び分散液(d3)の少なくともいずれかに対して粉砕処理を施すことも好ましい。ポリビニルアセタール(A1)が、粘度平均重合度が600〜2500のポリビニルアルコールをアセタール化して得られたものであることも好ましい。ポリビニルアセタール(A1)とポリビニルアセタール(A2)のアセタール化度の差が8モル%以下であることも好ましい。また、ポリビニルアセタール(A1)とポリビニルアセタール(A2)の重量比(A1/A2)が0.2/100〜10/100であることも好ましい。]
発明の効果

[0018] 本発明の合わせガラス用中間膜は、透明性、遮熱性、耐久性及び電磁波透過性に優れ、ガラスとの接着性が良好である。したがって該中間膜を用いることによって、透明性、遮熱性、耐久性及び電磁波透過性に優れた合わせガラスを提供することができる。また、本発明の製造方法によれば、そのような合わせガラス用中間膜を簡便な方法で製造することができる。]
図面の簡単な説明

[0019] 合わせガラスの圧縮せん断試験装置の概略図である。]
[0020] 本発明で用いるポリビニルアセタール(A)は、ポリビニルアルコールとアルデヒドとを、水および/または有機溶剤中で、酸触媒の存在下で反応させ、生成したポリビニルアセタール(A)を、場合によっては中和し、洗浄した後、乾燥することにより得ることができる。得られるポリビニルアセタール(A)の構造を下記一般式(I)に示した。]
[0021] ]
[0022] 上記一般式(I)において、n、k(n)、l、m、Rnの意味は以下に示すとおりである。
n:アセタール化に用いたアルデヒドの種類(整数)
k(n):アルデヒド残基Rnを含むアセタール単位の割合(モル比)
l:ポリビニルアルコール単位の割合(モル比)
m:ポリビニルアセテート単位の割合(モル比)
ただし、k(1)+k(2)+・・・+k(n)+l+m=1であり、R1、R2、・・・・Rnはアセタール化反応に用いたアルデヒドの残基を示す。また、一般式(I)の構造において、各単位の配列の仕方は特に制限されず、ブロック的であっても、ランダム的であってもよい。]
[0023] ポリビニルアセタール(A)を製造する際のアセタール化反応、中和、洗浄、脱水の各操作は、特に限定されるものではなく、公知の方法で行うことができる。例えば、ポリビニルアルコールの水溶液とアルデヒドとを酸触媒の存在下にアセタール化反応させて樹脂粒子を析出させる水溶媒法、ポリビニルアルコールを有機溶媒中に分散させ、酸触媒の存在下にアルデヒドとアセタール化反応させ、この反応液をポリビニルアセタール(A)に対する貧溶媒である水等に加えて析出させる有機溶媒法などを採用することができる。いずれの方法を用いても、ポリビニルアセタール(A)が媒体中に分散したスラリーが得られる。]
[0024] 上記方法により得られたスラリーは、酸触媒により酸性を呈しているため、必要に応じて水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウムなどのアルカリ中和剤などを添加して、pHが5〜9、好ましくは6〜9、さらに好ましくは6〜8となるように調整する。]
[0025] ポリビニルアセタール(A)の製造に用いられるポリビニルアルコールとしては、一般に、粘度平均重合度500〜4000、好ましくは1000〜2500のものが用いられる。ポリビニルアセタール(A)の粘度平均重合度は、原料のポリビニルアルコールの粘度平均重合度と実質的に同じである。原料のポリビニルアルコールの粘度平均重合度が500未満であるときには、力学物性が不足し、本発明の合わせガラス用中間膜の力学物性、特に靭性が不足する。一方、原料のポリビニルアルコールの粘度平均重合度が4000を超えると溶融成形する際の溶融粘度が高くなりすぎるとともに、製造工程にも問題が生じる。なお、ポリビニルアセタール(A)として、2種類以上のポリビニルアセタールを用いるときには、配合量を勘案した平均値が上記範囲を満足すればよい。ここで、ポリビニルアルコールの重合度は、JIS K 6726に準じて測定することができる。具体的には、ポリビニルアルコールを再けん化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度から求めることができる。特に、後述のポリビニルアセタール(A1)とポリビニルアセタール(A2)を併用することが好ましい。]
[0026] 上記ポリビニルアルコールとしては特に限定されず、ポリ酢酸ビニル等をアルカリ、酸、アンモニア水等によりけん化することにより製造されたもの等の従来公知のポリビニルアルコールを用いることができる。完全にけん化されたポリビニルアルコールであってもよく、また、部分的にけん化されたポリビニルアルコールであってもよく、ポリビニルアルコールのけん化度は80モル%以上であることが好ましい。上記ポリビニルアルコールとしては、単独であってもよいし、2種類以上を混合したものであってもよい。2種類以上のポリビニルアルコールを用いるときには、配合量を勘案した平均値が上記けん化度の範囲を満足すればよい。]
[0027] また、上記ポリビニルアルコールとしては、エチレン−ビニルアルコール共重合体、部分けん化エチレン−ビニルアルコール共重合体等の、ビニルアルコールと共重合可能なモノマーとの共重合体も用いることができる。さらに、カルボン酸等で変性された変性ポリビニルアルコールも用いることができる。]
[0028] ポリビニルアルコールをアセタール化するのに用いられるアルデヒドとしては特に限定されず、例えば、ホルムアルデヒド(パラホルムアルデヒドを含む)、アセトアルデヒド(パラアセトアルデヒドを含む)、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、アミルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、シクロヘキシルアルデヒド、フルフラール、グリオキザール、グルタルアルデヒド、ベンズアルデヒド、2−メチルベンズアルデヒド、3−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、β−フェニルプロピオンアルデヒド等が挙げられる。これらのアルデヒドは単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらアルデヒドのうち、製造の容易度の観点から、ブチルアルデヒドが好ましく用いられる。]
[0029] ポリビニルアルコールのアセタール化を、ブチルアルデヒドを用いて行って得られるポリビニルアセタール(A)を、特にポリビニルブチラールと呼ぶ。本発明では、ポリビニルアセタール(A)中に存在するアセタール単位のうち、ブチラール単位の割合(下式参照)が0.9を超えて有するポリビニルブチラールが好ましい。すなわち、前記式(I)に示されるポリビニルアセタール(A)の構造式において、R1=C3H7(ブチルアルデヒドの残基)であるとき、k(1)/(k(1)+k(2)+・・・+k(n))>0.9であるものが好ましい。]
[0030] アセタール化反応の酸触媒としては特に限定されず、例えば、酢酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸、硝酸、硫酸、塩酸等の無機酸が挙げられる。また、上記アセタール化反応の中和剤としては、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ;エチレンオキサイド等のアルキレンオキサイド類;エチレングリコールジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類が挙げられる。]
[0031] ポリビニルアセタール(A)のアセタール化度は、以下の式で定義することができる。
アセタール化度(モル%)=[(k(1)+k(2)+・・・+k(n))×2]/[(k(1)+k(2)+・・・+k(n))×2+l+m]×100]
[0032] ポリビニルアセタール(A)のアセタール化度は、好ましくは55〜83モル%である。アセタール化度が55モル%未満のポリビニルアセタール(A)は、製造コストが高いこと、入手が困難であること、また溶融加工性にも乏しいことから好ましくない。83モル%を超えるポリビニルアセタール(A)は、アセタール化反応の時間を長くする必要があるので経済的でない。ポリビニルアセタール(A)は、1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。2種類以上のポリビニルアセタールを用いる場合、配合量を勘案した平均値が上記アセタール化度の範囲を満足すればよい。]
[0033] 本発明の合わせガラス用中間膜は、可塑剤(C)により可塑化される。可塑剤(C)としては、ポリビニルアセタール(A)に使用されている公知の可塑剤を用いることができる。好適には、脂肪族ポリオールの脂肪酸エステルが用いられる。なかでも、脂肪族ジオールの脂肪酸ジエステルが好適である。また、ポリアルキレングリコール、特にポリエチレングリコールの脂肪酸エステルが好適である。ここで、ポリアルキレングリコールとしては、ジ、トリ、テトラアルキレングリコールが好適に用いられる。また、炭素数4〜10の脂肪酸のエステルが好適に用いられる。可塑剤(C)の分子量は好適には200〜800、より好適には300〜500である。具体的には、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコール−ジ−n−ヘプタノエート、テトラエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート、テトラエチレングリコール−ジ−n−ヘプタノエート、オリゴエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエートなどが例示される。上記可塑剤(C)は、1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。]
[0034] 可塑剤(C)の添加量はポリビニルアセタール(A)100重量部に対して、20〜100重量部であることが好ましい。20重量部未満では、得られる中間膜や合わせガラスの耐衝撃性が不十分となることがあり、逆に100重量部を超えると、可塑剤(C)がブリードアウトして、得られる中間膜や合わせガラスの透明性が低下したり、ガラスと中間膜との接着性が損なわれたりすることがある。]
[0035] 本発明の合わせガラス用中間膜では、無水アンチモン酸亜鉛(B)を遮熱性付与の目的で配合する。本発明で用いられる無水アンチモン酸亜鉛(B)は、酸化亜鉛成分と酸化アンチモン成分を含む複合酸化物であり、そのZnO/Sb2O5モル比は0.8〜1.2である。]
[0036] 無水アンチモン酸亜鉛(B)は、ガラス用中間膜中において微細に分散している必要があり、微細に分散していない場合には、可視光下において光が散乱しヘイズが増加してしまう。また一般に、無水アンチモン酸亜鉛(B)の含有量が同じである場合、粒子径が百分の一になると、粒子間距離も百分の一になることが知られている。一方、中間膜内で無水アンチモン酸亜鉛(B)の粒子が凝集した場合には、中間膜内で粒子分布の疎密が出来てしまい、熱線を遮蔽する箇所と透過する箇所ができ、結果として遮熱性能が低下すると考えられている。従って、無水アンチモン酸亜鉛(B)が合わせガラス用中間膜中に平均粒子径30nm以下の微粒子で分散されている場合、無水アンチモン酸亜鉛(B)が中間膜中に密集した状態となることによって遮熱性能が向上する。本発明のガラス用中間膜は、言わば、このナノサイズ効果により、少量の無水アンチモン酸亜鉛(B)の微粒子で、効果的に遮熱性能を付与することができるものである。]
[0037] 無水アンチモン酸亜鉛(B)の含有量は、ポリビニルアセタール(A)100重量部に対して、0.1〜3重量部であることが好ましい。無水アンチモン酸亜鉛(B)の最適な含有量は中間膜の厚みによっても異なり、適宜調整される。無水アンチモン酸亜鉛(B)の含有量が3重量部を超えると、可視光透過率が低下することがあり、2.5重量部以下がより好ましく、2重量部以下がさらに好ましい。一方、無水アンチモン酸亜鉛(B)の含有量が0.1重量部未満であると、熱線遮断性が不十分になることがあり、0.2重量部以上がより好ましく、0.3重量部以上がさらに好ましく、0.4重量部以上が特に好ましく、0.5重量部以上が最も好ましい。]
[0038] 本発明の合わせガラス用中間膜において、リン酸エステル系界面活性剤の含有量がリン換算で0〜60ppmであることが好ましい。リン酸エステル系の表面処理剤を用いた場合には、リン酸エステル系界面活性剤がフィルムとガラスの界面にブリードアウトするため、長期的なガラス接着力の安定性という点で問題が生じるからである。リン酸エステル系界面活性剤の含有量はより好適には20ppm以下であり、全く含まないことがさらに好ましい。]
[0039] また、本発明の合わせガラス用中間膜において、下記式(II)で表される有機ケイ素化合物の含有量がケイ素換算で0〜10ppmであることが好ましい。
Si(OR1)aR2b (II)
[式(II)中、R1はアルキル基を表し、R2は、アルキル基、ポリオキシアルキレン基、フェニル基、スチリル基、(メタ)アクリロキシ基、エポキシ基、ビニル基、イソシアネート基、メルカプト基、ウレイド基を含む有機基を表す。aは1〜3の整数を表し、bは1〜3の整数を表す。但し、a+bは4である。]]
[0040] 上記式(II)で表される有機ケイ素化合物は、シランカップリング剤とも呼ばれ、無機粒子の表面処理に用いられるものである。本発明の合わせガラス用中間膜においても、無水アンチモン酸亜鉛(B)の表面をシランカップリング剤で処理することができる。しかしながら、シランカップリング剤による表面処理は、塗布工程や乾燥工程において多くの時間や熱エネルギーを必要とするので、コストアップの要因となってしまう。そのような事情を考慮すれば、前記有機ケイ素化合物の含有量はより好適には5ppm以下であり、全く含まないことがさらに好ましい。]
[0041] 本発明の合わせガラス用中間膜には、上記ポリビニルアセタール(A)、無水アンチモン酸亜鉛(B)及び可塑剤(C)以外にも、発明の効果を阻害しない範囲で必要に応じて各種の添加剤、例えば、酸化防止剤、安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、難燃剤、加工助剤、帯電防止剤、着色剤、熱線反射剤、熱線吸収剤、耐衝撃助剤、接着力調整剤、充填剤、耐湿剤、等が添加されても良い。]
[0042] 上記添加剤のうち、接着力調整剤は、ガラスとの接着強度を適度に低下させるために、用途によっては好適に用いられる。接着力調整剤は特に限定されないが、マグネシウム塩又はカリウム塩が好適に用いられる。マグネシウム塩又はカリウム塩は、好適には有機酸塩として添加される。具体的には、例えば、酢酸塩、ヘプタン酸塩、オクタン酸塩、ノナン酸塩、デカン酸塩などとして添加される。これらの塩は、好適には水溶液として添加される。接着力調整剤の含有量は特に限定されないが、好適には、ポリビニルアセタール(A)100重量部に対して0.0001〜1.0重量部である。接着力調整剤の含有量が0.0001重量部未満であると、本発明の合わせガラス用中間膜のガラス板への接着力が高すぎて、合わせガラスの耐貫通性が低下することがあり、より好適には0.01重量部以上である。一方、接着力調整剤の含有量が1.0重量部を超えると、接着強度が低下しすぎたり、接着力調整剤が凝集し外観を損なうおそれがあり、より好適には0.7重量部以下である。]
[0043] 以下、本発明の合わせガラス用中間膜の製造方法について説明する。合わせガラス用中間膜は、ポリビニルアセタール(A)、無水アンチモン酸亜鉛(B)及び可塑剤(C)を含有する樹脂組成物からなり、無水アンチモン酸亜鉛(B)が樹脂組成物中に平均粒子径60nm以下、好適には35nm以下、より好適には30nm以下で分散している。したがって、このように無水アンチモン酸亜鉛(B)を分散させることができる方法を採用することが重要である。]
[0044] 無水アンチモン酸亜鉛(B)を平均粒子径60nm以下で分散させるためには、無水アンチモン酸亜鉛(B)が細かく分散した分散液を予め調製し、それをポリビニルアセタール(A)に配合することが好ましい。最終的に樹脂組成物中において平均粒子径60nm以下で分散できるためには、分散液中でも同様に細かく分散している必要があると考えられる。分散液は市販のゾルとして入手することができるが、その状態では一次粒子が凝集していて、その平均粒子径は60nmを大きく超え、100nm前後あるいはそれ以上であることが多い。したがって、分散液に対して機械的に粉砕する操作を施すことが好ましい。]
[0045] 無水アンチモン酸亜鉛(B)を分散させる分散媒としては、有機溶媒(D)が好適に用いられる。なかでも、ポリビニルアセタール(A)を溶解させることのできる有機溶媒(D)が、好ましく用いられる。ポリビニルアセタール(A)と無水アンチモン酸亜鉛(B)を均一に混ぜることができるし、ポリビニルアセタール(A)を保護コロイドとして添加する場合の添加効果も得られるからである。ポリビニルアセタール(A)を溶解させることのできる有機溶媒(D)としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、ジアセトンアルコール、ベンジルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、プロピレンクロライド、エチレンクロライド、クロロホルム、トルエン、キシレン、ピリジン、酢酸、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。無水アンチモン酸亜鉛(B)との親和性を考慮すれば、アルコールが好適に用いられ、メタノール、エタノール、プロパノール又はイソプロパノールが特に好適に用いられる。中間膜に有機溶媒(D)を残留させないためには、有機溶媒(D)の分子量は大きすぎない方が好ましく、200未満であることが好ましく、150以下であることがより好ましく、100以下であることがさらに好ましい。有機溶媒(D)の分子量は通常30以上である。有機溶媒(D)は、1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、有機溶媒(D)と水を組合せて分散媒として用いても構わない。]
[0046] 無水アンチモン酸亜鉛(B)を、分散液中で粉砕して細かく分散させるための装置としては、サンドミル、ボールミル、ジェットミル、ホモジナイザー、アトライター、ペイントシェーカー、高速攪拌機、超音波分散機、ビーズミルなどが挙げられる。これらの装置を用いて凝集した無水アンチモン酸亜鉛(B)の粒子を粉砕して分散させることができる。効率良く、細かい平均粒子径に到達させるためにはビーズミルが好ましい。]
[0047] 具体的な合わせガラス用中間膜の製造方法としては、ポリビニルアセタール(A1)、無水アンチモン酸亜鉛(B)、可塑剤(C)及び有機溶媒(D)を含有し、ポリビニルアセタール(A1)が溶解した分散液(d3)を予め調製してから、分散液(d3)をポリビニルアセタール(A2)と溶融混合し、フィルム状に成形する方法が好適な方法として挙げられる。すなわち、一部のポリビニルアセタール(A1)を予め無水アンチモン酸亜鉛(B)、可塑剤(C)及び有機溶媒(D)を含有する分散液(d3)中に溶解させておき、その後、残りのポリビニルアセタール(A2)と溶融混合する方法である。こうすることによって、ポリビニルアセタール(A1)が無水アンチモン酸亜鉛(B)の粒子に対して保護コロイド(分散剤)として働くことができると考えられる。ポリビニルアセタール(A1)が溶解していない分散液とポリビニルアセタール(A2)を溶融混合した場合には、溶融混練時に、無水アンチモン酸亜鉛(B)の粒子が凝集して、フィルムのヘイズが増大し、目的とする透明性および熱線遮蔽性能が得られないおそれがある。]
[0048] 分散液(d3)に含まれる有機溶媒(D)の重量は、ポリビニルアセタール(A1)の重量の1〜100倍であることが好ましい。一定量以上の有機溶媒(D)を含有することによって、ポリビニルアセタール(A1)及び可塑剤(C)を溶解させることが容易となり、かつ、無水アンチモン酸亜鉛(B)の粒子を細かく安定に分散させることも容易となる。有機溶媒(D)の含有量は、2倍以上であることがより好ましい。一方、有機溶媒(D)の含有量が多すぎると、中間膜を成形するまでに除去しなければならず、エネルギー的に不利であるし、溶融成形性も低下する。有機溶媒(D)の含有量は、50倍以下であることがより好ましく、30倍以下であることがさらに好ましい。]
[0049] このとき、ポリビニルアセタール(A1)が、粘度平均重合度が600〜2500のポリビニルアルコールをアセタール化して得られたものであることが好ましい。原料のポリビニルアルコールの粘度平均重合度が2500を超えると、ポリビニルアセタール(A1)の溶液の粘度が高くなりすぎ、無水アンチモン酸亜鉛(B)を粉砕して分散させる際に、粉砕しにくくなるおそれがある。粘度平均重合度は、より好適には2000以下であり、さらに好ましくは1500以下である。一方、原料のポリビニルアルコールの粘度平均重合度が600未満である場合、保護コロイド効果が低下し、無水アンチモン酸亜鉛(B)が凝集しやすくなり、得られるフィルムのヘイズが増加し、目的とする透明性、熱線遮蔽性能が得られない場合がある。粘度平均重合度は、より好適には800以上である。ポリビニルアセタール(A2)の原料のポリビニルアルコールの粘度平均重合度は、前述のポリビニルアセタール(A)の原料のポリビニルアルコールの粘度平均重合度と同程度のものが用いられる。分散液(d3)の粘度を低く保って無水アンチモン酸亜鉛(B)粒子の分散性を良好にしながら、中間膜の力学的強度を高くするには、ポリビニルアセタール(A2)の原料のポリビニルアルコールの粘度平均重合度を、ポリビニルアセタール(A1)の原料のポリビニルアルコールの粘度平均重合度よりも高くすることが好ましい。]
[0050] また、ポリビニルアセタール(A1)とポリビニルアセタール(A2)のアセタール化度の差が8モル%以下であることが好ましく、5モル%以下であることがより好ましい。ポリビニルアセタール(A1)とポリビニルアセタール(A2)のアセタール化度が同一であってもよい。アセタール化度の差が8モル%を超える場合、ポリビニルアセタール(A1)とポリビニルアセタール(A2)が相溶しないため、得られる中間膜内において、ポリビニルアセタール(A2)のマトリックス中で、ポリビニルアセタール(A1)粒子および無水アンチモン酸亜鉛(B)粒子が偏在することによって、中間膜のヘイズが増加して透明性が悪化するおそれがあるとともに、熱線遮蔽性能も低下するおそれがある。]
[0051] ポリビニルアセタール(A1)とポリビニルアセタール(A2)の重量比(A1/A2)は、0.2/100〜10/100であることが好ましい。少量のポリビニルアセタール(A1)を分散性向上のための保護コロイドとして用い、大量のポリビニルアセタール(A2)と混合する際に無水アンチモン酸亜鉛(B)が凝集しないようにする。重量比(A1/A2)が0.2/100未満である場合には、保護コロイド効果が低下し、無水アンチモン酸亜鉛(B)が凝集し易くなり、得られるフィルムのヘイズが増加し、目的とする透明性、熱線遮蔽性能が得られない場合がある。重量比(A1/A2)は、より好適には0.5/100以上であり、さらに好適には1/100以上である。一方、重量比(A1/A2)が10/100を超える場合には、分散液の粘度が高くなり、粉砕しにくくなるおそれがある。重量比(A1/A2)は、より好適には5/100以下である。]
[0052] 上記分散液(d3)を調製するに際して、ポリビニルアセタール(A1)、無水アンチモン酸亜鉛(B)及び有機溶媒(D)を含有し、ポリビニルアセタール(A1)が溶解した分散液(d2)を予め調製してから、分散液(d2)と可塑剤(C)を混合する方法が好適である。可塑剤(C)を配合するよりも前に、ポリビニルアセタール(A1)、無水アンチモン酸亜鉛(B)及び有機溶媒(D)を含有する分散液(d2)を調製するほうが、ポリビニルアセタール(A1)の保護コロイド効果を発現させやすいからである。]
[0053] そして、上記分散液(d2)を調製するに際して、無水アンチモン酸亜鉛(B)及び有機溶媒(D)を含有する分散液(d1)とポリビニルアセタール(A1)とを混合する方法が好適である。無水アンチモン酸亜鉛(B)は、粉体よりも分散液(d1)の方が粒子径の小さい粒子を入手しやすいからである。このとき、有機溶媒(D)に溶解したポリビニルアセタール(A1)を混合することが、均一な分散液(d2)が得られやすい点から好ましい。]
[0054] 上記分散液(d1)、分散液(d2)及び分散液(d3)の少なくともいずれかに対して粉砕処理を施すことが好ましい。粉砕方法については前述の通りである。なかでも、粉砕処理時の溶液の取り扱い性や製造コストの観点から、分散液(d1)又は分散液(d2)に対して粉砕処理を施すことが好ましく、分散液(d1)に対して粉砕処理を施すことがより好ましい。粘度が高くなく量の少ない分散液(d1)に対して粉砕処理を施すことによって、粉砕の効率が向上する。]
[0055] 上記分散液(d3)とポリビニルアセタール(A2)を混合する方法としては、生産性などの観点から溶融混練により混合することが好ましい。混練方法としては特に限定されず、一軸押出機、二軸押出機、ブラベンダー、オープンロール、ニーダーなどの公知の混練機を用いることができる。このとき、有機溶媒(D)は、混練操作中に除去することが好ましく、例えば押出機であればベントから有機溶媒(D)を揮発させて除去することができる。]
[0056] フィルム状に成形する方法は公知の方法を採用することができる。上記溶融混練装置に直接Tダイを装着してフィルムを製造することもできるし、一旦樹脂組成物ペレットを製造してから、別途フィルムを成形しても構わない。フィルムの膜厚は、特に限定されるものではないが、合わせガラスとして最小限必要な耐貫通性や耐候性を考慮すると、0.2〜1.2mm、好ましくは0.3〜1.0mmである。]
[0057] こうして得られた本発明の合わせガラス用中間膜を用いて合わせガラスが製造される。用いられるガラスは特に限定されず、一般に使用されている透明板ガラスが使用でき、例えば、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入りガラス、線入りガラス、着色されたガラス、熱線吸収ガラス等が挙げられる。また、無機ガラス以外に、透明性に優れるポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等を用いても良い。本発明の合わせガラスを製造する方法としては特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。具体的には、中間膜を少なくとも2枚のガラス板で挟み、加熱溶融させてから冷却固化させることによって合わせガラスが製造される。]
[0058] 本発明の合わせガラスは、波長領域380〜780nmでの可視光透過率が70%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましい。また、本発明の合わせガラスは、波長領域300nm〜2500nmでの日射透過率が70%以下であることが好ましく、65%以下であることがより好ましい。波長領域380〜780nmでの可視光透過率が70%以上であり、かつ、波長領域300nm〜2500nmでの日射透過率が70%以下であることによって、可視光を透過させながら遮熱効果を得ることができる。可視光透過率が日射透過率よりも12%以上高いことが好ましく、15%以上高いことがより好ましい。また、本発明の合わせガラスのヘイズが1.5%以下であることが好ましく、それによって透明性の良好な合わせガラスとすることができる。]
[0059] 合わせガラスにおいては、破損時のガラスの飛散防止の観点から、中間膜とガラスとの接着性が非常に重要である。中間膜とガラスとの接着性とガラスの飛散防止性能との間には密接な関連があり、接着力を制御することによりガラスの飛散防止性が制御可能である。そのような観点から、本発明の合わせガラスの圧縮せん断強度が、5N/mm2以上であることが好ましく、10N/mm2以上であることがより好ましく、15N/mm2以上であることがさらに好ましい。圧縮せん断強度が5N/mm2未満の場合、中間膜とガラスとの接着性が十分でなく、合わせガラスに衝撃を与えた際にガラスが飛散するなど、安全上問題となるおそれがある。ここで、合わせガラスの圧縮せん断強度は、特表2001−526165号公報に記載された方法によって測定される。また、接着直後の圧縮せん断強度(s1)が5N/mm2以上、好適には10N/mm2以上であり、かつ、100℃、100時間熱処理後の圧縮せん断強度(s2)と圧縮せん断強度(s1)の比(s2/s1)が0.8〜1.2であることが好ましい。すなわち、合わせガラスの製造後、経時的に接着力が大きく変化しないことが好ましい。]
[0060] 本発明の合わせガラス用中間膜は、透明性、遮熱性、耐久性及び電磁波透過性に優れ、ガラスに対する接着性が良好である。したがって、これをガラスと積層することにより得られる合わせガラスは、建築物、車両、航空機、船舶などの窓材などとして広く用いることができる。合わせガラスが用いられる車両としては、自動車、電車などが挙げられ、自動車においては、本発明の合わせガラスを、フロントガラス、サイドガラス、リアガラス、ルーフガラスなどとして用いることができる。]
[0061] 以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例において、合わせガラスの可視光透過率、日射透過率、ヘイズおよび圧縮せん断強度は下記の方法に従って測定した。また、合わせガラス用中間膜におけるアンチモン酸亜鉛(B)の平均粒子径は下記の方法に従って測定した。]
[0062] [可視光透過率・日射透過率]
日立製作所株式会社製の分光光度計「UV−4100」を用い、作製した合わせガラスについて、波長領域280〜2500nmの透過率を測定した。そして、JIS R3106に準じ、380〜780nmまでの可視光透過率(%)を求めた。また、JIS R3106記載の重価係数を用いて300〜2500nmまでの日射透過率(%)を求めた。]
[0063] [ヘイズ]
JIS K7105に準じて、作製した合わせガラスのヘイズ(%)を求めた。]
[0064] [圧縮せん断強度]
中間膜のガラス接着性の評価は、特表2001−526165号公報に記載の方法に従い、圧縮せん断強度を測定することによって行った。図1に示す圧縮せん断試験装置1を用いて、合わせガラス2の圧縮せん断試験を実施した。試料とする合わせガラス2を寸法26mm×24mmに切断し、上側治具3と下側治具4の間に角度45°で装着し、上側治具3に正確に垂直方向下向きの力を作用させた。このとき、下側治具4は、水平方向に移動可能になっている。ガラス5から中間膜6がせん断するために必要な最大力を試料面積で割ることにより圧縮せん断強度(N/mm2)を測定し、5回の測定値の平均値を得た。合わせガラス2の作製直後に23℃、相対湿度50%の雰囲気に4時間保管したサンプルについての圧縮せん断強度(s1)と、100℃で100時間熱処理した後のサンプルを、23℃、相対湿度50%の雰囲気に4時間保管したサンプルについての圧縮せん断強度(s2)とを測定した。] 図1
[0065] [中間膜中での無水アンチモン酸亜鉛(B)の平均粒子径]
株式会社日立ハイテクノロジーズ製透過型電子顕微鏡(TEM)「H−800NA」を用いて、合わせガラス用中間膜の断面の写真を撮影した。その写真から任意に50個の無水アンチモン酸亜鉛(B)の微粒子を選び、それぞれ実測し、その長径の平均値を平均粒子径(nm)とした。ただし、5nm未満の粒子は、写真のコントラスト斑と区別がつかないため、測定の対象外とした。]
[0066] [電磁波透過性]
電磁波シールド効果測定法(関西電子工業振興センター法)により、10MHz〜1GHzの周波数領域での反射損失値を測定し、厚さ2mmのガラス単板から得られる値と比較した。測定周波領域全体を比較し、その差(ΔdB)を以下の基準で判定することにより電磁波透過性を評価した。
A:ΔdBが5dB以内(合格)
B:ΔdBが5dBを超える]
[0067] 実施例1
[分散液の作製]
ZnO/Sb2O5モル比が0.8〜1.2である無水アンチモン酸亜鉛(B)の60重量%メタノール分散液(日産化学株式会社製「CX−Z693M−F」)をビーズミルにて粉砕処理して、分散液(d1)を得た。分散液(d1)0.6gに、10重量%のポリビニルブチラール(A1)(原料ポリビニルアルコールの粘度平均重合度1000、アセタール化度70モル%)が溶解したエタノール溶液7.2gを攪拌しながら加え、分散液(d2)を得た。さらに、分散液(d2)を攪拌しながら、可塑剤(C)としてトリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート(以下、3G8と略す)15.2gを添加し、無水アンチモン酸亜鉛(B)が分散し、ポリビニルブチラール(A1)と可塑剤(C)が溶解した分散液(d3)を得た。]
[0068] [合わせガラス用中間膜の作製]
以上のようにして調製した分散液(d3)をポリビニルブチラール(A2)(原料ポリビニルアルコールの粘度平均重合度1700、アセタール化度72モル%)40gに添加し混合した。この混合物をラボプラストミルで、170℃にて混練した後、プレス機で、140℃、5分間プレス成形することにより、厚さ1mmの合わせガラス用中間膜を作製した。サンプル作製条件を表1に示す。表1中、PVBはポリビニルブチラールを示し、Pnは粘度平均重合度を示す。]
[0069] [合わせガラスの作製]
得られた合わせガラス用中間膜を2mm厚のガラス(Saint Gobain社製、Planilux Clear)2枚を用いて挟んだ後、減圧下、140℃で90分保持することにより、合わせガラスを作製した。]
[0070] [評価]
得られた合わせガラス用中間膜および合わせガラスについて評価した結果を表2に示す。]
[0071] 実施例2
実施例1において、分散液(d2)を調製する際に添加したポリビニルブチラール(A1)の代わりに、ポリビニルブチラール(A1)(原料ポリビニルアルコールの粘度平均重合度1700、アセタール化度72モル%)を添加したこと以外は実施例1と同様にしてサンプルを作製した。サンプル作製条件について表1に示す。また、得られた合わせガラス用中間膜および合わせガラスについて性能を評価した結果を表2に示す。]
[0072] 実施例3
実施例1において、分散液(d2)を調製する際に添加するエタノール溶液のポリビニルブチラール(A1)の濃度を5重量%とし、該エタノール溶液を14.4g加えたこと以外は実施例1と同様にしてサンプルを作製した。サンプル作製条件について表1に示す。また、得られた合わせガラス用中間膜および合わせガラスについて性能を評価した結果を表2に示す。]
[0073] 実施例4
実施例1において、分散液(d2)を調製する際に添加するエタノール溶液のポリビニルブチラール(A1)の濃度を20重量%とし、該エタノール溶液を7.2g加えたこと以外は実施例1と同様にしてサンプルを作製した。サンプル作製条件について表1に示す。また、得られた合わせガラス用中間膜および合わせガラスについて性能を評価した結果を表2に示す。]
[0074] 実施例5
実施例1において、分散液(d2)を調製する際に添加する10重量%のポリビニルブチラール(A1)が溶解したエタノール溶液の添加量を3.6gにした以外は、実施例1と同様にしてサンプルを作製した。サンプル作製条件について表1に示す。また、得られた合わせガラス用中間膜および合わせガラスについて性能を評価した結果を表2に示す。]
[0075] 実施例6
実施例1と同様にして作製した分散液(d2)を攪拌しながら、可塑剤(C)として3G8を5.2g添加し、無水アンチモン酸亜鉛(B)が分散し、ポリビニルブチラール(A1)と可塑剤(C)が溶解した分散液(d3)を得た。分散液(d3)を、可塑剤(C)10g、酢酸マグネシウムの25重量%水溶液0.18g、酢酸カリウムの25重量%水溶液0.09gとポリビニルブチラール(A2)(原料ポリビニルアルコールの粘度平均重合度1700、アセタール化度72モル%)40gからなる混合物と混合した。得られた混合物を実施例1と同様に成形し、サンプルを作製した。サンプル作製条件について表1に示す。また、得られた合わせガラス用中間膜および合わせガラスについて性能を評価した結果を表2に示す。]
[0076] 実施例7
実施例1と同様にして作製した分散液(d1)0.27gに、10重量%のポリビニルブチラール(A1)(原料ポリビニルアルコールの粘度平均重合度1000、アセタール化度70モル%)が溶解したエタノール溶液3.2gを攪拌しながら加え、分散液(d2)を得た。分散液(d2)を、可塑剤(C)15.2gとポリビニルブチラール(A2)(原料ポリビニルアルコールの粘度平均重合度1700、アセタール化度72モル%)40gからなる混合物と混合した。得られた混合物を実施例1と同様に成形し、サンプルを作製した。サンプル作製条件について表1に示す。また、得られた合わせガラス用中間膜および合わせガラスについて性能を評価した結果を表2に示す。]
[0077] 実施例8
実施例1と同様にして作製した分散液(d1)0.27gに、10重量%のポリビニルブチラール(A1)(原料ポリビニルアルコールの粘度平均重合度1000、アセタール化度70モル%)が溶解したエタノール溶液3.2gを攪拌しながら加え、分散液(d2)を得た。さらに、分散液(d2)を攪拌しながら、可塑剤(C)として3G8を5.2g添加し、無水アンチモン酸亜鉛(B)が分散し、ポリビニルブチラール(A1)と可塑剤(C)が溶解した分散液(d3)を得た。分散液(d3)を、可塑剤(C)10g、酢酸マグネシウムの25重量%水溶液0.54g、酢酸カリウムの25重量%水溶液0.27gとポリビニルブチラール(A2)(原料ポリビニルアルコールの粘度平均重合度1700、アセタール化度72モル%)40gからなる混合物と混合した。得られた混合物を実施例1と同様に成形し、サンプルを作製した。サンプル作製条件について表1に示す。また、得られた合わせガラス用中間膜および合わせガラスについて性能を評価した結果を表2に示す。]
[0078] 比較例1
実施例1において、無水アンチモン酸亜鉛(B)のメタノール分散液を使用しなかったこと以外は実施例1と同様にしてサンプルを作製した。サンプル作製条件について表1に示す。また、得られた合わせガラス用中間膜および合わせガラスについて性能を評価した結果を表2に示す。]
[0079] 比較例2
実施例1において、ポリビニルブチラール(A1)のエタノール溶液を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にしてサンプルを作製した。サンプル作製条件について表1に示す。また、得られた合わせガラス用中間膜および合わせガラスについて性能を評価した結果を表2に示す。]
[0080] 比較例3
実施例1において、分散液(d2)を調製する際に添加したポリビニルブチラール(A1)の代わりに、ポリビニルブチラール(A1)(原料ポリビニルアルコールの粘度平均重合度380、アセタール化度72モル%)を添加したこと以外は実施例1と同様にしてサンプルを作製した。サンプル作製条件について表1に示す。また、得られた合わせガラス用中間膜および合わせガラスについて性能を評価した結果を表2に示す。]
[0081] 比較例4
実施例1において、分散液(d2)を調製する際に添加したポリビニルブチラール(A1)の代わりに、ポリビニルブチラール(A1)(原料ポリビニルアルコールの粘度平均重合度1000、アセタール化度62モル%)を添加したこと以外は実施例1と同様にしてサンプルを作製した。サンプル作製条件について表1に示す。また、得られた合わせガラス用中間膜および合わせガラスについて性能を評価した結果を表2に示す。]
[0082] 比較例5
実施例1において、無水アンチモン酸亜鉛(B)の分散液(d1)を調製する際に、ビーズミルによる粉砕処理を実施しなかったこと以外は実施例1と同様にしてサンプルを作製した。サンプル作製条件について表1に示す。また、得られた合わせガラス用中間膜および合わせガラスについて性能を評価した結果を表2に示す。]
[0083] 比較例6
実施例1において、分散液(d2)を調製する際に、ポリビニルブチラール(A1)の粉末0.72gをエタノールに溶解させずに、直接無水アンチモン酸亜鉛(B)の分散液(d1)に添加したこと以外は実施例1と同様にしてサンプルを作製した。サンプル作製条件について表1に示す。また、得られた合わせガラス用中間膜および合わせガラスについて性能を評価した結果を表2に示す。]
[0084] 比較例7
実施例1において、分散液(d2)を調製する際に、ポリビニルブチラール(A1)のエタノール溶液を添加する代わりに、界面活性剤として第一工業製薬株式会社製リン酸エステル「A213B」0.36gが溶解したエタノール溶液を7.2g加えたこと以外は実施例1と同様にしてサンプルを作製した。サンプル作製条件について表1に示す。リンの含有量をサーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製ICP発光分析装置「IRIS−AP」によって測定したところ、2000ppmであった。また、得られた合わせガラス用中間膜および合わせガラスについて性能を評価した結果を表2に示す。]
[0085] 比較例8
ZnO/Sb2O5モル比が0.8〜1.2である無水アンチモン酸亜鉛(B)の60重量%メタノール分散液(日産化学株式会社製「CX−Z693M−F」)をビーズミルにて粉砕処理して分散液(d1)を得た。得られた分散液(d1)0.6gにエタノールを3g加えてから、さらにシランカップリング剤であるフェニルトリエトキシシラン(信越シリコーン社製「KBM903」)0.036gを添加した。得られた溶液を80℃、1時間熱処理した後、遠心分離により溶媒を除去した。さらに、150℃で熱処理することにより、フェニルトリエトキシシランの脱水縮合物で表面が処理された無水アンチモン酸亜鉛(B)の粒子を得た。その粒子を、15.2gの3G8と0.2gのキシレンが混合した溶媒中に分散させた。得られた分散液を、ポリビニルブチラール(A2)(原料ポリビニルアルコールの粘度平均重合度1700、アセタール化度72モル%)40gに添加し混合した。この混合物をラボプラストミルで、170℃にて混練した後、プレス機で、140℃、5分間プレス成形することにより、厚さ1mmの合わせガラス用中間膜を作製した。サンプル作製条件について表1に示す。また、さらに実施例1と同様に合わせガラスを作製した。ケイ素の含有量をサーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製ICP発光分析装置「IRIS−AP」によって測定したところ、650ppmであった。得られた合わせガラス用中間膜および合わせガラスについて性能を評価した結果を表2に示す。]
[0086] ]
[0087] ]
[0088] 表1及び2に示す結果から、本発明の合わせガラス用中間膜および合わせガラス(実施例1〜8)は、高い可視光透過率を保持しながら、日射透過率を低く抑え、かつヘイズがほとんどなく、高い透明性と遮熱性を兼ね備え、さらにガラスとの接着性にも優れていることがわかる。]
[0089] 一方、比較例1のように無水アンチモン酸亜鉛(B)を含まない場合には、得られた合わせガラスは日射透過率が高く、熱線遮蔽性能が十分ではない。比較例2のように、分散液にポリビニルアセタール(A1)を添加しない場合は、無水アンチモン酸亜鉛(B)の微粒子が凝集し、透明性、可視光透過率ともに十分ではない。比較例3のように、ポリビニルアセタール(A1)の分子量が低い場合、充分な保護コロイド効果が発現せず無水アンチモン酸亜鉛(B)が凝集し、透明性が十分ではない。比較例4のように、ポリビニルアセタール(A1)とポリビニルアセタール(A2)のアセタール化度が大きく異なる場合、ポリビニルアセタール(A1)がポリビニルアセタール(A2)に相溶しないため、ポリビニルアセタール(A1)粒子と無水アンチモン酸亜鉛(B)粒子が中間膜内に偏在し十分な透明性が得られない。]
実施例

[0090] 比較例5のように、無水アンチモン酸亜鉛(B)を含む分散液を粉砕処理しない場合、透明性が十分ではない。比較例6のように、ポリビニルアセタール(A1)を有機溶媒(D)に溶解させずに粉体のまま混合した場合、充分な保護コロイド効果が発現せず無水アンチモン酸亜鉛(B)が凝集し、透明性が十分ではない。比較例7のように、ポリビニルアセタール(A1)を使用する代わりに、表面処理剤として従来から知られているリン酸エステルを加えた場合、無水アンチモン酸亜鉛(B)の微粒子が凝集し、透明性を満足するフィルムが得られず、ガラスへの接着性も低下する。比較例8のように、ITOなどで実施されているシランカップリング剤処理を実施しても無水アンチモン酸亜鉛(B)の表面の反応性が低いため表面修飾が充分に進行せず、無水アンチモン酸亜鉛(B)の微粒子が凝集し、ヘイズが高かった。]
[0091] 1圧縮せん断試験装置
2合わせガラス
3 上側治具
4 下側治具
5ガラス
6 中間膜]
权利要求:

請求項1
ポリビニルアセタール(A)、無水アンチモン酸亜鉛(B)及び可塑剤(C)を含有する樹脂組成物からなる合わせガラス用中間膜であって、ZnO/Sb2O5モル比が0.8〜1.2である無水アンチモン酸亜鉛(B)が樹脂組成物中に平均粒子径60nm以下で分散していることを特徴とする合わせガラス用中間膜。
請求項2
無水アンチモン酸亜鉛(B)が樹脂組成物中に平均粒子径30nm以下で分散している請求項1記載の合わせガラス用中間膜。
請求項3
前記樹脂組成物が、ポリビニルアセタール(A)100重量部に対して、無水アンチモン酸亜鉛(B)を0.1〜3重量部、可塑剤(C)を20〜100重量部含有する請求項1又は2記載の合わせガラス用中間膜。
請求項4
ポリビニルアセタール(A)が、ポリビニルアセタール(A1)及びポリビニルアセタール(A2)からなり、ポリビニルアセタール(A2)の原料のポリビニルアルコールの粘度平均重合度が、ポリビニルアセタール(A1)の原料のポリビニルアルコールの粘度平均重合度よりも高く、ポリビニルアセタール(A1)とポリビニルアセタール(A2)の重量比(A1/A2)が0.2/100〜10/100である請求項1〜3のいずれか記載の合わせガラス用中間膜。
請求項5
ポリビニルアセタール(A1)とポリビニルアセタール(A2)のアセタール化度の差が8モル%以下であり、ポリビニルアセタール(A1)の原料のポリビニルアルコールの粘度平均重合度が600〜1500である請求項4記載の合わせガラス用中間膜。
請求項6
請求項1〜5のいずれか記載の合わせガラス用中間膜を用いて複数のガラス板を接着してなる合わせガラス。
請求項7
波長領域380〜780nmでの可視光透過率が70%以上であり、かつ、波長領域300nm〜2500nmでの日射透過率が70%以下である請求項6記載の合わせガラス。
請求項8
ヘイズが1.5%以下である請求項6又は7記載の合わせガラス。
請求項9
接着直後の圧縮せん断強度(s1)が5N/mm2以上であり、かつ、100℃、100時間熱処理後の圧縮せん断強度(s2)と圧縮せん断強度(s1)の比(s2/s1)が0.8〜1.2である請求項6〜8のいずれか記載の合わせガラス。
請求項10
接着直後の圧縮せん断強度(s1)が10N/mm2以上である請求項9記載の合わせガラス。
請求項11
ポリビニルアセタール(A1)、無水アンチモン酸亜鉛(B)、可塑剤(C)及び有機溶媒(D)を含有し、ポリビニルアセタール(A1)が溶解した分散液(d3)を予め調製してから、分散液(d3)をポリビニルアセタール(A2)と溶融混合し、フィルム状に成形することを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の合わせガラス用中間膜の製造方法。
請求項12
ポリビニルアセタール(A1)、無水アンチモン酸亜鉛(B)及び有機溶媒(D)を含有し、ポリビニルアセタール(A1)が溶解した分散液(d2)を予め調製してから、分散液(d2)と可塑剤(C)を混合して分散液(d3)を調製する請求項11記載の合わせガラス用中間膜の製造方法。
請求項13
無水アンチモン酸亜鉛(B)及び有機溶媒(D)を含有する分散液(d1)とポリビニルアセタール(A1)とを混合して分散液(d2)を調製する請求項12記載の合わせガラス用中間膜の製造方法。
請求項14
分散液(d1)、分散液(d2)及び分散液(d3)の少なくともいずれかに対して粉砕処理を施す請求項11〜13のいずれか記載の合わせガラス用中間膜の製造方法。
請求項15
ポリビニルアセタール(A1)が、粘度平均重合度が600〜2500のポリビニルアルコールをアセタール化して得られたものである請求項11〜14のいずれか記載の合わせガラス用中間膜の製造方法。
請求項16
ポリビニルアセタール(A1)とポリビニルアセタール(A2)のアセタール化度の差が8モル%以下である請求項11〜15のいずれか記載の合わせガラス用中間膜の製造方法。
請求項17
ポリビニルアセタール(A1)とポリビニルアセタール(A2)の重量比(A1/A2)が0.2/100〜10/100である請求項11〜16のいずれか記載の合わせガラス用中間膜の製造方法。
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